JPWO2016084880A1 - Pcna単量体 - Google Patents
Pcna単量体 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2016084880A1 JPWO2016084880A1 JP2016561935A JP2016561935A JPWO2016084880A1 JP WO2016084880 A1 JPWO2016084880 A1 JP WO2016084880A1 JP 2016561935 A JP2016561935 A JP 2016561935A JP 2016561935 A JP2016561935 A JP 2016561935A JP WO2016084880 A1 JPWO2016084880 A1 JP WO2016084880A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- amino acid
- pcna
- dna
- dna polymerase
- seq
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K14/00—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- C07K14/195—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N5/00—Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
- C12N5/10—Cells modified by introduction of foreign genetic material
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P21/00—Preparation of peptides or proteins
- C12P21/02—Preparation of peptides or proteins having a known sequence of two or more amino acids, e.g. glutathione
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q1/00—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
- C12Q1/48—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving transferase
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Zoology (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Plant Pathology (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Gastroenterology & Hepatology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
Abstract
Description
配列番号1に記載のアミノ酸配列における142番目のアミノ酸残基を、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチドからなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドからなることを特徴とするPCNA(Proliferating Cell Nuclear Antigen)単量体。
[項2]
配列番号1に記載のアミノ酸配列における142番目のアミノ酸残基を、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチドからなり、以下の(1)から(5)のいずれかの変異を含んでなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドからなることを特徴とする請求項1に記載のPCNA単量体。
(1)80番目のアミノ酸残基をリジン、ヒスチジン及びトリプトファンからなる群から選択されるいずれかに置換
(2)82番目のアミノ酸残基をアルギニン、ヒスチジン及びトリプトファンからなる群から選択されるいずれかに置換
(3)108番目のアミノ酸残基をリジン、ヒスチジン及びトリプトファンからなる群から選択されるいずれかに置換
(4)138番目のアミノ酸残基をグルタミン酸に置換
(5)146番目のアミノ酸残基をグルタミン酸に置換
[項3]
配列番号1に記載のアミノ酸配列における142番目のアミノ酸残基を、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチドからなり、80番目、82番目、108番目、138番目、142番目及び第146番目に相当するアミノ酸残基以外の、1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入又は付加されているアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドからなることを特徴とする項1に記載のPCNA単量体。
[項4]
配列番号1に記載のアミノ酸配列の142番目のアミノ酸残基のみを、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチドからなることを特徴とする項1に記載のPCNA単量体。
[項5]
配列番号1で示されるアミノ酸配列との相同性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドからなることを特徴とする項1に記載のPCNA単量体。
[項6]
項1から5のいずれかに記載のポリペプチドをコードするDNA。
[項7]
配列番号5に記載の塩基配列において、第424番目から426番目の塩基が、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸をコードするトリプレットで置換された塩基配列からなり、かつ、項1から5のいずれかに記載のポリペプチドをコードするDNA。
[項8]
項6に記載の塩基配列との相同性が80%以上である塩基配列からなり、かつ、項1から5のいずれかに記載のポリペプチドをコードするDNA。
[項9]
項6に記載のポリペプチドをコードするDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
[項10]
配列番号5に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、項1から5のいずれかに記載のポリペプチドをコードするDNA。
[項11]
項6から9のいずれかに記載のDNAを組み込んだベクター。
[項12]
項10に記載のベクターを含む形質転換体。
[項13]
項11に記載の形質転換体を培地で培養し、該形質転換体中又は培地中に、PCNA単量体及び/又は該PCNA単量体で構成されたPCNA多量体を蓄積させ、蓄積したPCNAの単量体又は多量体を回収する工程を含む、PCNAの製造方法。
[項14]
項1から4のいずれかに記載のPCNA単量体及び/又は該単量体で構成された多量体、並びにDNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP))、及びマグネシウムイオン、アンモニウムイオン及び/又はカリウムイオンを含む緩衝液溶液を含むことを特徴とするDNA複製用試薬。
[項15]
DNAポリメラーゼが、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼである項12に記載のDNA複製用試薬。
本明細書においては、塩基配列、アミノ酸配列及びその個々の構成因子については、アルファベット一文字表記による簡略化した記号を用いる場合があるが、いずれも分子生物学・遺伝子工学分野における慣行に従う。また、本明細書においては、アミノ酸配列の変異を簡潔に示すため、例えば「D143A」などの表記を用いる。「D143A」は、第143番目のアスパラギン酸をアラニンに置換したことを示しており、すなわち、置換前のアミノ酸残基の種類、その場所、置換後のアミノ酸残基の種類を示している。欠損はΔで表記する。また、配列番号は、特に断らない限り、配列表に記載された配列番号に対応する。また、多重変異体の場合は、上記の表記を「/」でつなげて表す。例えば「D143A/D147A」は、第143番目のアスパラギン酸をアラニンに置換し、かつ、第147番目のアスパラギン酸をアラニンに置換したことを示す。三重変異体以上の多重変異体については、さらに「/」の記号の後に「P36H」などの変異箇所についての情報を追記する。また、本明細書において「変異型PCNA」という場合の「変異型」とは、従来知られたPCNAとは異なるアミノ酸配列を備えることを意味するものであり、人為的変異によるか自然界における変異によるかを区別するものではない。
本発明の実施形態の一つは、以下の(A)から(E)のうちいずれかに示されるPCNA単量体である。
(A)配列番号1に記載のアミノ酸配列における142番目のアミノ酸残基を、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチドからなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチド。
(B)(A)で示されるPCNA単量体において、さらに、配列番号1に記載のアミノ酸配列における142番目のアミノ酸残基を、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチドからなり、以下の(a)から(e)のいずれかの置換、欠失、挿入及び/又は付加(これらを纏めて「変異」とも表す。)を含んでなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチド。
(a)80番目のアミノ酸残基をリジン、ヒスチジン及びトリプトファンからなる群から選択されるいずれかに置換
(b)82番目のアミノ酸残基をアルギニン、ヒスチジン及びトリプトファンからなる群から選択されるいずれかに置換
(c)108番目のアミノ酸残基をリジン、ヒスチジン及びトリプトファンからなる群から選択されるいずれかに置換
(d)138番目のアミノ酸残基をグルタミン酸に置換
(e)146番目のアミノ酸残基をグルタミン酸に置換
(C)(A)で示されるPCNA単量体において、さらに、配列番号1に記載のアミノ酸配列における142番目のアミノ酸残基を、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチドからなり、、80番目、82番目、108番目、138番目、142番目及び第146番目に相当するアミノ酸残基以外の、1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入又は付加されているアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチド。
(D)(A)で示されるPCNA単量体において、さらに、配列番号1に記載のアミノ酸配列の142番目のアミノ酸残基のみを、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(E)(A)で示されるPCNA単量体において、さらに、配列番号1で示されるアミノ酸配列との相同性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチド。
配列番号1は、Methanocaldococcus jannaschii(以下、「Mja」とも記載する。)由来のPCNAのアミノ酸配列である。このアミノ酸配列は非特許文献1などにおいて報告されている。
(a)80、82、108番目のアミノ酸残基群
(b)138、142、146番目のアミノ酸残基群
本発明のPCNA単量体においては、配列番号1における142番目のアミノ酸残基が塩基性アミノ酸残基に置換されるが、置換する塩基性アミノ酸の種類は特に限定されない。塩基性アミノ酸としては、天然のものであれば、アルギニン、ヒスチジン、リジン、トリプトファンが挙げられる。好ましくはアルギニン又はリジンである。
DNAポリメラーゼ増幅増強活性はPCRによって評価することができる。鋳型となるDNA、緩衝剤、マグネシウム、dNTPs、プライマー、及びファミリーBに属するDNAポリメラーゼを含むPCR反応液に、評価するPCNAを添加し、PCNA添加なしのものと増幅量を比較することで、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を確認することができる。好ましくは増幅量が少ないPCR反応系でPCNAのDNAポリメラーゼ増幅増強活性は評価しやすく、さらに好ましくはdUTPを含む反応系や伸長時間が短い反応条件などでPCNAのDNAポリメラーゼ増幅増強活性を評価することが望ましい。本発明においてファミリーBに属するDNAポリメラーゼとは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有し、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を有さないDNAポリメラーゼをいう。好ましくは古細菌(アーキア、Archea)由来のDNAポリメラーゼである。
PCNAのDNAポリメラーゼ増幅増強活性を評価しやすくするため、伸長時間を短くし、増幅量を少なくした反応系でPCNAのDNAポリメラーゼ増幅増強活性を比較する。本発明においては、DNAポリメラーゼ増幅増強活性は、以下の方法に基づいて評価するものとする。
(i)PCR
KOD Dash(東洋紡製)添付の10×PCR Buffer(反応に用いる濃度の10倍に濃縮されている。)を用いて、
1×PCR Buffer、
0.2mM dNTPs、
1pmolのプライマー(配列番号3及び4)、
50ngのヒトゲノムDNA(Roche製Human Genomic DNA;型番11691112001)、
1Uの KOD −Plus− DNAポリメラーゼ
を含むよう反応液を調製する。50μlの前記反応液中に、評価するPCNAを250ng添加し、
94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→68℃、30秒を30サイクル繰り返すスケジュールでPCRを行う。
(ii)PCR産物の分析
反応終了後、5μlの反応液について1%アガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下、増幅DNA断片を、PCNAを添加していないものと比較することでDNAポリメラーゼ増幅増強活性を評価することができる。DNAポリメラーゼ増幅増強活性の高いPCNAを添加することによってDNA増幅量が増加する。
PCRにおいては、プライマーと鋳型DNAを用いてDNA複製を繰り返し、幾何級数的にDNAを増幅させる。そのため、PCNAはDNAポリメラーゼに対するクランプとしての機能を果たすと共に、DNAポリメラーゼが鋳型上で安定した後又は所定領域の増幅後には、鋳型から速やかに外れることが望ましい。本発明のPCNA変異体が従来のPCNA変異体よりDNAの複製反応を促進し得る作用・機序は必ずしも明確ではないが、多量体により形成される環構造が温度上昇時に解除されるような構造を有することにより、DNAの複製反応の繰り返しが円滑に行われ、その結果、DNA複製反応をより促進するということが推測される。
本発明のPCNA単量体は、単離されたもの又は精製されたものであることが好ましい。また、本発明のPCNA単量体は、上記保存に適した溶液中に溶解した状態又は凍結乾燥された状態(例えば、粉末状)で存在してもよい。本発明のPCNA単量体に関して使用する場合の「単離された」とは、当該酵素以外の成分(例えば、宿主細胞に由来する夾雑タンパク質、他の成分、培養液等)を実質的に含まない状態をいう。具体的には例えば、本発明の単離されたPCNA単量体は、夾雑タンパク質の含有量が重量換算で全体の約20%未満、好ましくは約10%未満、更に好ましくは約5%未満、より一層好ましくは約1%未満である。一方で、本発明のPCNA単量体は、保存又は酵素活性の測定に適した溶液(例えば、緩衝液)中に存在してもよい。また、一部又は全部が三量体などの多量体を形成していてもよい。
(2.1)本発明のPCNAをコードするDNA
PCNAをコードする遺伝子は、PCNAをもつ微生物からクローニングすることができる。またアミノ酸の配列情報や核酸の配列情報をもとに人工的に合成することもできる。本発明の実施形態の一つは、上記の本発明の変異型PCNA単量体が備えるアミノ酸配列をコードするDNAである。具体的には以下の(A)〜(D)のいずれかである。
(A)配列番号1に記載のアミノ酸配列における142番目のアミノ酸残基を、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチドからなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列を示すDNA。
(B)(A)で示されるDNAにおいて、さらに、配列番号5に記載の塩基配列において、第424番目から426番目の塩基が、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸をコードするトリプレットで置換された塩基配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
(C)項6に記載の塩基配列との相同性が80%以上である塩基配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
(D)配列番号5に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
本発明の実施形態の一つは、上記の本発明の変異型PCNAが備えるアミノ酸配列をコードするDNAを組み込んだベクターである。
本発明の実施形態の一つは、上記の本発明の変異型PCNAが備えるアミノ酸配列をコードするDNAを組み込んだベクターを含む形質転換体である。DNAの宿主への導入手段は特に制限されないが、例えば、上記(2.2)で説明するベクターに組み込まれた状態で宿主に導入される。宿主細胞は、本発明のDNAを発現して変異型PCNAを生産することが可能である限り、特に制限されない。具体的には、大腸菌、枯草菌等の原核細胞や、酵母、カビ、昆虫細胞、植物培養細胞、哺乳動物細胞等の真核細胞を使用することができる。
本発明の実施形態の一つは、前記の形質転換体を培地で培養し、前記形質転換体中又は培地中に、PCNA単量体又は前記単量体で構成された多量体を蓄積させ、蓄積したPCNAの単量体又は多量体を回収する工程を含む、変異型PCNAの製造方法である。
(3.1)DNAの複製方法
本発明の実施形態の一つは、上記の本発明のPCNA及びDNAポリメラーゼの存在下でDNAの合成反応を行う、DNAの複製方法である。前記方法において、PCNAは単量体であっても前記単量体で構成された多量体のいずれであっても良いし、その両方の形態が混在していても良い。
増幅対象DNAに、
(a)DNAポリメラーゼ
(b)PCNA
(c)一方のプライマーが他方のプライマーのDNA伸長生成物に互いに相補的である一対のプライマー
(d)DNA合成基質(デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP))、及び、
(e)マグネシウムイオン、アンモニウムイオン及び/又はカリウムイオンを含む緩衝液溶液
を、混合し、サーマルサイクラー等を用いて反応液の温度を以下の(I)から(IV)で示されるサイクルで上下させることにより、(1)DNA変性、(2)プライマーのアニーリング、(3)プライマーの伸長の熱サイクルを繰り返し、特定のDNA断片を増幅させる。
(I)反応液を94℃程度に加熱し、30秒から1分間温度を保ち、2本鎖DNAを1本鎖に分かれさせる。
(II)60℃程度(プライマーによって若干異なる)にまで急速冷却し、その1本鎖DNAとプライマーをアニーリングさせる。
(III)プライマーの分離が起きずDNAポリメラーゼの活性に至適な温度帯まで、再び加熱する。実験目的により、その温度は60から72℃程度に設定される。DNAが合成されるのに必要な時間、増幅する長さによるが通常1分から2分、この温度を保つ。
(IV)ここまでが1つのサイクルで、以後、(I)から(III)までの手順を繰り返していく事で特定のDNA断片を増幅させる。
本発明のPCNAは特に伸長性向上に有効であり、忠実性には優れるが伸長性に劣るタイプのα型DNAポリメラーゼとの組み合わせにおいて特に有用である。典型的なα型DNAポリメラーゼとしては、ファミリーBに属するものが挙げられる。なかでも、PyrococcusやThermococcusなど古細菌に由来するものが好ましい。例えば、Pyrobest DNA Polymerase(タカラバイオ)、TaKaRa EX Taq(タカラバイオ)、Vent DNA Polymerase(NEW ENGLAND Bio Labs)、Deep VentR DNA Polymerase(New England Biolabs)、Pfu Turbo DNA Polymerase(ストラタジーン)、KOD DNA Polymerase(東洋紡)、及びPwo DNA Polymerase(ロシュ・ダイアグノスティックス)など、現在主要に用いられているDNAポリメラーゼのほとんどのものに適用し得るが、これらに特に限定されるものではない。
上記のα型DNAポリメラーゼは、さらに、減少した塩基類似体検出活性を有する変異体であっても良い。塩基類似体とはアデニンやシトシン、グアニン、チミン以外の塩基を示し、ウラシルやイノシンなどが挙げられる。通常、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼは、塩基類似体であるウラシルやイノシンを検出すると強く結合し、DNAポリメラーゼ機能を阻害する。塩基類似体検出活性とは、塩基類似体と強く結合し、DNAポリメラーゼ機能を阻害する活性を示す。減少した塩基類似体検出活性を有するファミリーBに属するDNAポリメラーゼ変異体とは、ウラシルやイノシンへの結合能力が低いことを特徴とするファミリーBに属するDNAポリメラーゼ変異体である。このような変異体は、ウラシルの結合に関するアミノ酸配列(ウラシル結合ポケット)の少なくとも1か所に改変を加えることにより作製できる。具体的には、Thermococcus kodakaraensis KOD1株由来のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列(配列番号6)の1〜40番目、及び78〜130番目によって形成されるウラシル結合ポケットの少なくとも1か所に改変を加え、野生型のDNAポリメラーゼと比較してウラシルやイノシンへの結合能力を低下させたDNAポリメラーゼ変異体が例示される。
本発明の核酸増幅試薬に用いる減少した塩基類似体検出活性を有するDNAポリメラーゼ変異体として、より好ましいのは、ウラシルと相互作用に直接関連していると想定されている、7、36、37、90〜97及び112〜119番目のうち少なくとも1つに改変を加えた古細菌DNAポリメラーゼ変異体、例えば、
(a1)配列番号6又は配列番号7で示されるアミノ酸配列の7、36、37、90〜97及び112〜119番目に相当するアミノ酸のうち、少なくとも1つのアミノ酸の改変を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
上記のDNAポリメラーゼ変異体は、以下の(a2)で示されるものであってもよい。
(a2)(a1)で示されるDNAポリメラーゼ変異体において、さらに、7、36、37、90〜97及び112〜119番目以外の部位において少なくとも1つのアミノ酸が改変されており、そのアミノ酸配列と配列番号6との同一性又はそのアミノ酸配列と配列番号7との同一性が80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上)であり、かつ、減少した塩基類似体検出活性を有するポリペプチド。
上記のDNAポリメラーゼ変異体は、以下の(a3)で示されるものであってもよい。
(a3)(a1)で示されるDNAポリメラーゼ変異体において、さらに、7、36、37、90〜97及び112〜119番目以外の部位において1乃至数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されており、かつ、減少した塩基類似体検出活性を有するポリペプチド。
本発明の核酸増幅試薬に用いる減少した塩基類似体検出活性を有する古細菌由来のDNAポリメラーゼ変異体は、より好ましくは、配列番号6又は配列番号7で示されるアミノ酸配列の7、36、又は93番目に相当するアミノ酸のうち、少なくとも1つのアミノ酸の改変を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
KOD −Plus− Ver.2(東洋紡製)添付の10×PCR Buffer、又はPfu DNA Polymerase(Agilent製)添付の10×PCR Bufferを用い、1×PCR Buffer、及び1.5mM MgSO4、0.2mM dNTPs(dATP、dTTP,dCTP、dGTP)、約1.3kbを増幅する15pmolの配列番号11及び12に記載のプライマー、10ngのヒトゲノムDNA(Roche製Human Genomic DNA;型番11691112001)、1Uの各酵素を含む50μlの反応液中に、dUTP(Roche製)を終濃度0.5、5、50、100、200μMになるよう添加する。94℃、30秒の前反応の後、98℃、10秒→65℃、30秒→68℃、1分30秒を30サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp9700(Applied Biosystem)にてPCRを行う。反応終了後、5μlの反応液について1%アガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下で約1.3kbの増幅DNA断片を確認することで、塩基類似体検出活性が減少しているかどうかが評価できる。
本発明の核酸増幅試薬に用いられる改変されたDNAポリメラーゼは、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性領域のアミノ酸配列のいずれかに、少なくとも1つのアミノ酸の改変を含んでいてもよい。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とは、取り込まれたヌクレオチドをDNA重合体の3’末端から除去する能力を指し、上記の3’−5’エキソヌクレアーゼ領域とは、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼで高度に保存されている部位であり、サーモコッカス・コダカラエンシスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号6)、パイロコッカス・フリオサスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号7)、サーモコッカス・ゴルゴナリウスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号8)、サーモコッカス・リトラリスに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号9)、パイロコッカス・エスピーGB−Dに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号10)、サーモコッカス・エスピーJDF−3に由来するDNAポリメラーゼ(配列番号11)、サーモコッカス・エスピー9°N−7に由来するDNAポリメラーゼ(配列番号12)、サーモコッカス・エスピーKS−1に由来するDNAポリメラーゼ(配列番号13)、サーモコッカス・セラーに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号14)、又はサーモコッカス・シクリに由来するDNAポリメラーゼ(配列番号15)においては、137〜147、206〜222、及び308〜318番目のアミノ酸である。
本発明のDNA複製用試薬においては,本発明のPCNAがRFCを必要としないことから、反応系にRFCを添加しなくてよい。RFC標品は一般には市販されておらず、その調製は手間を要する。RFC標品が利用できるとしても、添加して使用する場合には、RFC以外のDNA複製系の諸因子との適切な量比等の条件設定が必要であるが、本発明においてはこれらの要因を考慮しなくてよいというメリットがある。また、特にPCRでの使用の場合には、本発明のPCNAは、RFCを併用しなくとも、野生型PCNAとRFCの併用時よりも優れた促進活性を発揮する。
本発明のDNA複製用試薬は、上述したような本発明のPCNA単量体及び/又は該単量体で構成された多量体、並びにDNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP))、及びマグネシウムイオン、アンモニウムイオン及び/又はカリウムイオンを含む緩衝液溶液を含むことを特徴とする。DNAポリメラーゼは、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼであることが好ましい。
(4.1)DNAポリメラーゼ活性測定法
本発明において、DNAポリメラーゼ活性測定は、以下のようにして実施するものとする。
(1)下記のA液25μl、B液5μl、C液5μl、滅菌水10μl、及び酵素溶液5μlをマイクロチューブに加えて75℃にて10分間反応する。(2)その後、氷冷し、E液50μl、D液100μlを加えて攪拌後、更に10分間氷冷する。(3)この液をガラスフィルター(ワットマン製GF/Cフィルター)で濾過し、0.1N 塩酸及びエタノールで十分洗浄する。(4)フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パーキンエルマー製TriCarb 2810TR)で計測し、鋳型DNAのヌクレオチドの取り込みを測定する。酵素活性の1単位はこの条件で30分当りの10nmolのヌクレオチドを酸不溶性画分(即ち、D液を添加したときに不溶化する画分)に取り込む酵素量とする。酵素活性が強い場合には、保存緩衝液(50mM Tris−HCl(pH8.0),50mM KCl,1mM ジチオスレイトール,0.1% Tween20,0.1% Nonidet P40,50% グリセリン)でサンプルを希釈して測定を行う。
A液:40mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)、16mM 塩化マグネシウム、15mM ジチオスレイトール、100μg/mL BSA(牛血清アルブミン)
B液:1.5μg/μl 活性化仔牛胸腺DNA
C液:1.5mM dNTP(250cpm/pmol [3H]dTTP)
D液:20% トリクロロ酢酸(2mM ピロリン酸ナトリウム)
E液:1mg/mL 仔牛胸腺DNA
Mja−PCNA変異体のプラスミド作製
Methanocaldococcus jannaschii株由来の改変型耐熱性PCNA遺伝子を含有するプラスミドを作製した。Methanocaldococcus jannaschii株由来のPCNA遺伝子(配列番号5)は非特許文献1に記載の情報を参考にし、人工合成にて作成した。人工合成した核酸を、pET23bにクローニングし、変異導入のDNA鋳型(pMjaPCNA)として利用した。変異導入にはKOD −Plus− Mutagenesis Kit(東洋紡製)を用いて、方法は取扱い説明書に準じて行った。なお、変異体の確認は塩基配列の解読で行った。得られたプラスミドによりエシェリシア・コリBL21(DE3)pLysSを形質転換し、酵素の調製に用いた。実施例1で作製したプラスミドを表1に示す。
Mja−PCNAの作製
実施例1で得られた菌体の培養は、以下のようにして実施した。まず、滅菌処理した100μg/mLのアンピシリンを含有するLB培地(1% バクトトリプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム;ギブコ製)80mLを500mL坂口フラスコに分注した。この培地に予め100μg/mLのアンピシリンを含有する3mLのLB培地で37℃、16時間培養したエシェリシア・コリBL21(DE3)pLysS(プラスミド形質転換株)(試験管使用)を接種し、37℃にてOD600が0.3〜0.6になるまで通気培養した。その後、IPTGを終濃度0.5mMになるように添加し、4時間通気培養した。培養液より菌体を遠心分離により回収し、50mLの破砕緩衝液(30mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、30mM NaCl、0.1mM EDTA)に懸濁後、ソニケーション処理により菌体を破砕し、細胞破砕液を得た。次に細胞破砕液を80℃にて15分間処理した後、遠心分離にて不溶性画分を除去した。更に、ポリエチレンイミンを用いた除核酸処理、硫安塩析、Qセファロースクロマトグラフィーを行い、最後に保存緩衝液(50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、50mM 塩化カリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1% Tween20、0.1% ノニデットP40、50% グリセリン)に置換し、Mja−PCNA変異体を得た。
KOD−PCNA1変異体のプラスミド作製
サーモコッカス・コダカラエンシス KOD1株由来の改変型耐熱性PCNA(M73L/D147A変異体)遺伝子を含有するプラスミドを作製した。変異導入に使用されるDNA鋳型は、pBlueScriptにクローニングされたサーモコッカス・コダカラエンシス KOD1株由来のPCNA(配列番号16)(pKODPCNA)を用いた。変異導入にはKOD −Plus− Mutagenesis Kit(東洋紡製)を用いて、取扱い説明書に準じて行った。なお、変異体の確認は塩基配列の解読により行った。得られたプラスミドによりエシェリシア・コリDH5αを形質転換し、酵素の調製に用いた。
KOD−PCNA1変異体の作製
実施例3で得られた菌体の培養は、以下のようにして実施した。まず、滅菌処理した100μg/mLのアンピシリンを含有するTB培地(Molecular cloning 2nd edition、p.A.2)80mLを500mL坂口フラスコに分注した。この培地に予め100μg/mLのアンピシリンを含有する3mLのLB培地(1% バクトトリプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム;ギブコ製)で37℃、16時間培養したエシェリシア・コリDH5α(プラスミド形質転換株)(試験管使用)を接種し、37℃にて16時間通気培養した。培養液より菌体を遠心分離により回収し、50mLの破砕緩衝液(30mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、30mM NaCl、0.1mM EDTA)に懸濁後、ソニケーション処理により菌体を破砕し、細胞破砕液を得た。次に、細胞破砕液を80℃にて15分間処理した後、遠心分離にて不溶性画分を除去した。更に、ポリエチレンイミンを用いた除核酸処理、硫安塩析、Qセファロースクロマトグラフィーを行い、最後に保存緩衝液(50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、50mM 塩化カリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1% Tween20、0.1% ノニデットP40、50% グリセリン)に置換し、KOD−PCNA1変異体を得た。
KOD DNAポリメラーゼ変異体のプラスミド作製
後述の実施例におけるPCNAの評価に用いるために、サーモコッカス・コダカラエンシス KOD1株由来の改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子を含有するプラスミドを作製した。変異導入に使用されるDNA鋳型は、pBluescriptにクローニングされたサーモコッカス・コダカラエンシス KOD1株由来の改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子(配列番号17)(pKOD)を用いた。変異導入にはKOD −Plus− Mutagenesis Kit(東洋紡製)を用いて、方法は取扱い説明書に準じて行った。なお、変異体の確認は塩基配列の解読することにより行った。得られたプラスミドによりエシェリシア・コリJM109を形質転換し、酵素の調製に用いた。実施例3で作製したプラスミドを表2に示す。
改変型耐熱性DNAポリメラーゼの作製
実施例5で得られた菌体の培養は、以下のようにして実施した。まず、滅菌処理した100μg/mLのアンピシリンを含有するTB培地(Molecular cloning 2nd edition、p.A.2)80mLを、500mL坂口フラスコに分注した。この培地に予め100μg/mLのアンピシリンを含有する3mLのLB培地(1% バクトトリプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% 塩化ナトリウム;ギブコ製)で37℃、16時間培養したエシェリシア・コリJM109(プラスミド形質転換株)(試験管使用)を接種し、37℃にて16時間通気培養した。培養液より菌体を遠心分離により回収し、50mLの破砕緩衝液(30mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、30mM NaCl、0.1mM EDTA)に懸濁後、ソニケーション処理により菌体を破砕し、細胞破砕液を得た。次に細胞破砕液を80℃にて15分間処理した後、遠心分離にて不溶性画分を除去した。更に、ポリエチレンイミンを用いた除核酸処理、硫安塩析、ヘパリンセファロースクロマトグラフィーを行い、最後に保存緩衝液(50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、50mM 塩化カリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1% Tween20、0.1% ノニデットP40、50% グリセリン)に置換し、改変型耐熱性DNAポリメラーゼを得た。上記精製工程のDNAポリメラーゼ活性測定は(4.1)に記載のDNAポリメラーゼ活性測定法に従い行った。また、酵素活性が高い場合はサンプルを希釈して測定を行った。
Mja−PCNAのスクリーニング
PCRでDNAポリメラーゼ増幅増強活性がある変異体を取得するため、実施例2で作製したMja−PCNA変異体を用いて、上記(1.3.1)で示したDNAポリメラーゼ増幅増強活性の測定方法に従い、PCR system GeneAmp(登録商標)9700(Applied Biosystem)を用いてHuman β−グロビンの3.6kbを増幅することで比較した。PCNAは25、50、100、200、400、800ngを反応系に添加した。
0:増幅なし(DNAポリメラーゼ増幅増強活性なし)
1:薄く増幅している(微弱なDNAポリメラーゼ増幅増強活性あり)
2:増幅している(DNAポリメラーゼ増幅増強活性あり)
伸長時間が短い反応条件でのKOD−PCNA1変異体とMja−PCNA変異体の比較KOD−PCNA1 M73L/D147A変異体は、DNAポリメラーゼ増幅増強活性があると示された変異体になる。今回、スクリーニングで得られたMja−PCNA(E142K)と上記KOD−PCNA1変異体を用いて、PCRでその効果を比較した。PCRにはKOD Dash(東洋紡製)添付の10×PCR Bufferを用い、1×PCR Buffer、0.2mM dNTPs、約2.8kbを増幅する15pmolの配列番号18及び19に記載のプライマー、50コピー相当のヒトゲノムDNA(Roche製Human Genomic DNA;型番11691112001)、1μgのKOD抗体と混合した1.25U KODポリメラーゼ変異体(Y7A/P36H/N210D)を含む50μlの反応液中に、評価するPCNAをそれぞれ200、400、800ng添加し、コントロールとしてPCNAを添加しないものも実施した。サイクルは94℃、2分の前反応の後、98℃、0秒→65℃、0秒→68℃、0秒を50サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp(登録商標)9700(Applied Biosystem)を用いてPCRを行った。反応終了後、5μlの反応液について1%アガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下増幅DNA断片の増幅量を確認した。
長鎖ターゲット増幅でのKOD−PCNA1変異体とMja−PCNA変異体の比較
KOD−PCNA1 M73L/D147Aと今回、スクリーニングで得られたMja−PCNA変異体(E142K)を用いて、長鎖ターゲットを増幅するPCRでその効果を比較した。PCRにはKOD Dash(東洋紡製)に添付の10×PCR Bufferを用い、1×PCR Buffer、0.2mM dNTPs、約17.5kbを増幅する15pmolの配列番号20及び21に記載のプライマー、50ngのヒトゲノムDNA(Roche製Human Genomic DNA;型番11691112001)、1μgのKOD抗体と混合した1.25U KOD DNAポリメラーゼ変異体(Y7A/P36H/N210D)を含む50μlの反応液中に、評価するPCNAをそれぞれ500、1000ng添加し、コントロールとしてPCNAを添加しないものも実施した。サイクルは94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→74℃、9分を5サイクル、98℃、10秒→72℃、9分を5サイクル、98℃、10秒→70℃、9分を5サイクル、98℃、10秒→68℃、9分を20サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp(登録商標)9700(Applied Biosystem)を用いてPCRを行った。反応終了後、5μlの反応液について1%アガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下増幅DNA断片の増幅量を確認した。
GC率の高い領域をもつターゲットの増幅でのKOD−PCNA1変異体とMja−PCNA変異体の比較
KOD−PCNA1 M73L/D147Aと今回、スクリーニングで得られたMja−PCNA変異体(E142K)を用いて、10kbのターゲットDNA15種の増幅を比較した。15種中5種はGC率が70%を超える500bp以上の領域を内部に含んでいる。PCRにはKOD −Plus− Ver.2(東洋紡製)添付の10×PCR Bufferを用い、1×PCR Buffer、1.5mM MgSO4、0.2mM dNTPs、約10kbを増幅する6pmolのプライマー(BRCA2:配列番号22及び23、KRAS:配列番号24及び25、FANCE:配列番号26及び27、BLM:配列番号28及び29、DDB2:配列番号30及び31、ERCC4:配列番号32及び33、WRN:配列番号34及び35、PTEN:配列番号36及び37、XPA:配列番号38及び39、XPC:配列番号40及び41、ATCB:配列番号42及び43、BRAF:配列番号44及び45、TGFb:配列番号46及び47、ACE:配列番号48及び49、CASP3:配列番号50及び51)、20ngのヒトゲノムDNA(Roche製Human Genomic DNA;型番11691112001)、0.5μgのKOD抗体と混合した0.6U KODポリメラーゼ変異体(Y7A/V93K/H147E)を含む20μlの反応液中に、評価するPCNAをそれぞれ400ng添加し、コントロールとしてPCNAを添加しないものも実施した。サイクルは94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→60℃、10秒→68℃、2分を30サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp(登録商標)9700(Applied Biosystem)を用いてPCRを行った。
Mja−PCNA変異体を用いた植物ライセートからの増幅
今回、スクリーニングで得られたMja−PCNA変異体を用いて、植物のライセートから精製を行うことなくPCRができるかを検討した。鋳型にはタバコの葉3mm角をBuffer A(100mM Tris−HCl(pH9.5)、1M KCl、10mM EDTA)100μlに添加し、95℃、10分の熱処理を行ったものをライセートとして用いた。PCRにはKOD Dash(東洋紡製)に添付の10×PCR Bufferを用い、1×PCR Buffer、0.2mM dNTPs、約1.3kbを増幅する15pmolの配列番号52及び53に記載のプライマー、1μgのKOD抗体と混合した1.25U KOD DNAポリメラーゼ変異体(Y7A/P36H/N210D)を含む50μlの反応液中に、評価するPCNAを1000ng添加し、コントロールとしてPCNAを添加しないものも実施した。サイクルは94℃、2分の前反応の後、98℃、10秒→65℃、10秒→68℃、1.5分を35サイクル繰り返すスケジュールでPCR system GeneAmp(登録商標)9700(Applied Biosystem)を用いてPCRを行った。反応終了後、5μlの反応液について1%アガロース電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色し、紫外線照射下、増幅DNA断片の増幅量を確認した。
Claims (15)
- 配列番号1に記載のアミノ酸配列における142番目のアミノ酸残基を、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチドからなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドからなることを特徴とするPCNA(Proliferating Cell Nuclear Antigen)単量体。
- 配列番号1に記載のアミノ酸配列における142番目のアミノ酸残基を、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチドからなり、以下の(1)から(5)のいずれかの変異を含んでなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドからなることを特徴とする請求項1に記載のPCNA単量体。
(1)80番目のアミノ酸残基をリジン、ヒスチジン及びトリプトファンからなる群から選択されるいずれかに置換
(2)82番目のアミノ酸残基をアルギニン、ヒスチジン及びトリプトファンからなる群から選択されるいずれかに置換
(3)108番目のアミノ酸残基をリジン、ヒスチジン及びトリプトファンからなる群から選択されるいずれかに置換
(4)138番目のアミノ酸残基をグルタミン酸に置換
(5)146番目のアミノ酸残基をグルタミン酸に置換 - 配列番号1に記載のアミノ酸配列における142番目のアミノ酸残基を、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチドからなり、80番目、82番目、108番目、138番目、142番目及び第146番目に相当するアミノ酸残基以外の、1乃至数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入又は付加されているアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドからなることを特徴とする請求項1に記載のPCNA単量体。
- 配列番号1に記載のアミノ酸配列の142番目のアミノ酸残基のみを、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなるポリペプチドからなることを特徴とする請求項1に記載のPCNA単量体。
- 配列番号1で示されるアミノ酸配列との相同性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、かつ、DNAポリメラーゼ増幅増強活性を有するポリペプチドからなることを特徴とする請求項1に記載のPCNA単量体。
- 請求項1から5のいずれかに記載のポリペプチドをコードするDNA。
- 配列番号5に記載の塩基配列において、第424番目から426番目の塩基が、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファンからなる群がら選択されるいずれかのアミノ酸をコードするトリプレットで置換された塩基配列からなり、かつ、請求項1から5のいずれかに記載のポリペプチドをコードするDNA。
- 請求項6に記載の塩基配列との相同性が80%以上である塩基配列からなり、かつ、請求項1から5のいずれかに記載のポリペプチドをコードするDNA。
- 請求項6に記載のポリペプチドをコードするDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
- 配列番号5に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、請求項1から5のいずれかに記載のポリペプチドをコードするDNA。
- 請求項6から9のいずれかに記載のDNAを組み込んだベクター。
- 請求項10に記載のベクターを含む形質転換体。
- 請求項11に記載の形質転換体を培地で培養し、該形質転換体中又は培地中に、PCNA単量体及び/又は該PCNA単量体で構成されたPCNA多量体を蓄積させ、蓄積したPCNAの単量体又は多量体を回収する工程を含む、PCNAの製造方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載のPCNA単量体及び/又は該単量体で構成された多量体、並びにDNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP))、及びマグネシウムイオン、アンモニウムイオン及び/又はカリウムイオンを含む緩衝液溶液を含むことを特徴とするDNA複製用試薬。
- DNAポリメラーゼが、ファミリーBに属するDNAポリメラーゼである請求項12に記載のDNA複製用試薬。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014241238 | 2014-11-28 | ||
JP2014241238 | 2014-11-28 | ||
PCT/JP2015/083176 WO2016084880A1 (ja) | 2014-11-28 | 2015-11-26 | Pcna単量体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2016084880A1 true JPWO2016084880A1 (ja) | 2017-09-07 |
JP6699560B2 JP6699560B2 (ja) | 2020-05-27 |
Family
ID=56074432
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016561935A Active JP6699560B2 (ja) | 2014-11-28 | 2015-11-26 | Pcna単量体 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6699560B2 (ja) |
WO (1) | WO2016084880A1 (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002522042A (ja) * | 1998-08-06 | 2002-07-23 | ライオン バイオサイエンス アクチェンゲゼルシャフト | ポリメラーゼ活性を有する熱安定性invitro複合体 |
WO2007004654A1 (ja) * | 2005-07-04 | 2007-01-11 | Celestar Lexico-Sciences, Inc. | 変異型pcna |
-
2015
- 2015-11-26 WO PCT/JP2015/083176 patent/WO2016084880A1/ja active Application Filing
- 2015-11-26 JP JP2016561935A patent/JP6699560B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002522042A (ja) * | 1998-08-06 | 2002-07-23 | ライオン バイオサイエンス アクチェンゲゼルシャフト | ポリメラーゼ活性を有する熱安定性invitro複合体 |
WO2007004654A1 (ja) * | 2005-07-04 | 2007-01-11 | Celestar Lexico-Sciences, Inc. | 変異型pcna |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6699560B2 (ja) | 2020-05-27 |
WO2016084880A1 (ja) | 2016-06-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN110291196B (zh) | 耐热逆转录酶突变体 | |
JP5308027B2 (ja) | 変異型pcna | |
JP6332609B2 (ja) | 変異型pcna | |
WO2017090685A1 (ja) | Dnaポリメラーゼ変異体 | |
JP2020036614A (ja) | 核酸増幅法 | |
EP3822349A1 (en) | Dna polymerase mutant suited to nucleic acid amplification from rna | |
JP6658796B2 (ja) | 核酸増幅方法 | |
JP7363063B2 (ja) | 変異型dnaポリメラーゼ | |
JP7014256B2 (ja) | 核酸増幅試薬 | |
JP6326893B2 (ja) | 変異型pcna | |
JP6741061B2 (ja) | 核酸増幅法 | |
JP6699560B2 (ja) | Pcna単量体 | |
CN109943549B (zh) | 一种超高速扩增型Taq DNA聚合酶 | |
JP6519173B2 (ja) | Thermococcuskodakaraensis由来変異型PCNA | |
JP7107345B2 (ja) | Pcr方法 | |
JP6798594B2 (ja) | 核酸増幅の正確性を向上させる方法 | |
JP2010183842A (ja) | 新規耐熱性dnaポリメラーゼ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20181109 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20191112 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20191226 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200121 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200317 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200331 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200413 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6699560 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |