JPWO2015060307A1 - フェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、およびその硬化物 - Google Patents
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Abstract
本発明は熱伝導特性・耐熱性・溶剤溶解性を満たす樹脂、およびその硬化物を提供することを目的とする。本発明のフェノール樹脂は、下記一般式(1)で示されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で示されるポリホルミルフェニル誘導体を縮合させて得られるフェノール樹脂であって、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)において測定した重量平均分子量が500〜3,000g/eq.である。【化1】(式中R1、R2は、水素原子等を、nは2〜5の正数を示す。)
Description
その硬化物が高い熱伝導特性・耐熱性を有し、溶剤溶解性に優れ、低粘度であることを特徴とするエポキシ樹脂混合物、エポキシ樹脂組成物、それらを用いたプリプレグおよびそれらの硬化物を提供する。
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。従来工業的に最も使用されているエポキシ樹脂としてはビスフェノールAにエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物が知られている。半導体封止材などの用途においては耐熱性が要求されるためクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が広く利用されている。
近年、エポキシ樹脂組成物の代表的な用途である電気・電子産業分野においては、多機能化、高性能化、コンパクト化を目的とした半導体の高密度実装やプリント配線板の高密度配線化が進んでおり、半田リフロー時からの熱収縮に起因するパッケージの反り、半導体素子やプリント配線板の内部から発生する熱に起因する誤作動等の不具合が生じやすくなったため、これを回避すべく電気信頼性に対する要求が高度化している。これらの対策として、特許文献1〜3ではガラス転移温度の高い硬化物を与える高耐熱樹脂を用いて、温度収縮率のα2領域を狭める方法が提案されている。特許文献4では、構造中にメソゲン基を導入することで、分子配向を高め、発生した熱を効率よく外部に放出させる高熱伝導樹脂を開発している。
一般的に高熱伝導特性を発現するエポキシ樹脂はメソゲン基を有することから、配向性が高く、溶剤への溶解性が低いという課題が有る。特に熱伝導特性が必要な熱伝導シートや耐熱基板においては、溶剤に溶解できないと成型ができない。さらには融点が高いため、成型時、結晶が融解する前に硬化反応が進行するため、そのエポキシ樹脂組成物では均一な硬化物ができないことが多く、その結晶部は基板等の欠陥部位となり得る。また熱伝導特性の必要な分野には、例えば車載用のパワーデバイスなどが挙げられるが、このような分野では高熱条件下に曝されることが多く、高い耐熱性が要求される。このことからも、熱伝導特性・耐熱性・溶剤溶解性を満たす樹脂の開発が求められていた。
本発明者らはこうした実情に鑑み、その硬化物が高い熱伝導特性・耐熱性を有することに加え、溶剤溶解性に優れることを特徴とするフェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を求めて鋭意検討した結果、フェノール樹脂を特定の構造とすることにより本発明を完成させるに至った。
尚、以下本明細書において、化学式中の破線は、その部分が存在していても存在していなくても良いことを示す。例えば、下記一般式(1)において、基本骨格として示されるのはベンゼン骨格またはナフタレン骨格である。
すなわち本発明は、下記[1]〜[10]に関する。
[1]下記一般式(1)で示されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で示されるポリホルミルフェニル誘導体を縮合させて得られるフェノール樹脂であって、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)において測定した重量平均分子量が500〜3,000g/eq.であるフェノール樹脂。
[1]下記一般式(1)で示されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で示されるポリホルミルフェニル誘導体を縮合させて得られるフェノール樹脂であって、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)において測定した重量平均分子量が500〜3,000g/eq.であるフェノール樹脂。
(式中複数存在するR1は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基もしくはその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。)
(式中複数存在するR2は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基もしくはその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。nは2〜5の正数を示す。)
[2]下記一般式(1)で示されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で示されるポリホルミルフェニル誘導体を縮合させて得られるフェノール樹脂であって、13C−NMR(炭素核磁気共鳴分光法)から算出したパラ配向/オルト配向の割合が0.5〜100であるフェノール樹脂。
[2]下記一般式(1)で示されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で示されるポリホルミルフェニル誘導体を縮合させて得られるフェノール樹脂であって、13C−NMR(炭素核磁気共鳴分光法)から算出したパラ配向/オルト配向の割合が0.5〜100であるフェノール樹脂。
(式中複数存在するR1は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基もしくはその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。)
(式中複数存在するR2は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基もしくはその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。nは2〜5の正数を示す。)
[3]下記一般式(1)で示されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で示されるポリホルミルフェニル誘導体を縮合させて得られるフェノール樹脂であって、LC/MS(マスクロマトグラフィ)分析において、下記一般式(3)で表される化合物を面積比50%以上含有するフェノール樹脂。
[3]下記一般式(1)で示されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で示されるポリホルミルフェニル誘導体を縮合させて得られるフェノール樹脂であって、LC/MS(マスクロマトグラフィ)分析において、下記一般式(3)で表される化合物を面積比50%以上含有するフェノール樹脂。
(式中複数存在するR1は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基もしくはその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。)
(式中複数存在するR2は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基もしくはその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。nは2〜5の正数を示す。)
(式中複数存在するR1、R2は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基もしくはその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を示す。)
[4][1]及至[3]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂に、エピハロヒドリンを反応させることにより得られるエポキシ樹脂。
[5]GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)において測定した重量平均分子量が700〜3,000g/eq.である[4]に記載のエポキシ樹脂。
[6]13C−NMR(炭素核磁気共鳴分光法)から算出したパラ配向/オルト配向の割合が0.5〜100である[4]または[5]に記載のエポキシ樹脂。
[7][1]及至[3]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂とエポキシ樹脂を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
[8][4]及至[6]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂と硬化剤および/または硬化促進剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
[9][7]または[8]に記載のエポキシ樹脂組成物及びシート状の繊維基材からなるプリプレグ。
[10][7]もしくは[8]に記載のエポキシ樹脂組成物または[9]に記載のプリプレグを硬化してなる硬化物。
に関する。
[4][1]及至[3]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂に、エピハロヒドリンを反応させることにより得られるエポキシ樹脂。
[5]GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)において測定した重量平均分子量が700〜3,000g/eq.である[4]に記載のエポキシ樹脂。
[6]13C−NMR(炭素核磁気共鳴分光法)から算出したパラ配向/オルト配向の割合が0.5〜100である[4]または[5]に記載のエポキシ樹脂。
[7][1]及至[3]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂とエポキシ樹脂を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
[8][4]及至[6]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂と硬化剤および/または硬化促進剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
[9][7]または[8]に記載のエポキシ樹脂組成物及びシート状の繊維基材からなるプリプレグ。
[10][7]もしくは[8]に記載のエポキシ樹脂組成物または[9]に記載のプリプレグを硬化してなる硬化物。
に関する。
本発明によれば、特定の構造のフェノール樹脂を用いることで、その硬化物が高い熱伝導特性・耐熱性を有することに加え、溶剤溶解性に優れることを特徴とするフェノール樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物を提供することができる。本発明のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物の硬化物は優れた熱伝導特性・耐熱性を有し、また該エポキシ樹脂自体も溶剤溶解性に優れるので、熱伝導特性が要求される分野、例えば車載用のパワーデバイスなどへの応用に有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフェノール樹脂は、下記一般式(1)で示されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で示されるポリホルミルフェニル誘導体を縮合させて得られる。
本発明のフェノール樹脂は、下記一般式(1)で示されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で示されるポリホルミルフェニル誘導体を縮合させて得られる。
(式中複数存在するR1は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基もしくはその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換基もしくは無置換のフェニル基を示す。)
(式中複数存在するR2は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基もしくはその金属塩、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又は置換基もしくは無置換のフェニル基を示す。nは2〜5の正数を示す。)
本発明のフェノール樹脂は耐熱性、熱伝導特性に優れた硬化物を与え、溶剤溶解性も良好であることから、エポキシ樹脂原料、エポキシ樹脂硬化剤、シアネート樹脂原料、硬化性シート、プリプレグ、積層板、プリント配線板、半導体装置に有効であり、特に車載用のパワーデバイス等への適用が有用である。
ここでフェノール化合物とはフェノール性水酸基を少なくとも1個有する化合物が該当する。本発明において用い得る一般式(1)で表されるフェノール化合物の具体例としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソブチルフェノール、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、キシレノール、メチルブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノールなどを代表例とするアルキルフェノールの各o−,m−,p−異性体、またはビニルフェノール、アリルフェノール、プロペニルフェノール、エチニルフェノールの各o−,m−,p−異性体、またはシクロペンチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、シクロヘキシルクレゾールなどを代表例とするシクロアルキルフェノール、またはフェニルフェノール等の置換フェノール類、あるいはα−ナフトール、β−ナフトールなどのナフトール類が例示されるが、これらに限定されない。好ましくはフェノール、クレゾール、キシレノールが挙げられる。これらのフェノール類は1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。上記縮合反応を行う場合フェノール類の使用量は、式(2)で表されるポリホルミルフェニル誘導体のホルミル基の1モルに対して、通常2〜50モルであり、2〜20モルが好ましく、2〜10モルが特に好ましい。
本発明において用い得る一般式(2)で表されるポリホルミルフェニル誘導体の具体例としては、テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、2−ヒドロキシイソフタルアルデヒド、4−ヒドロキシイソフタルアルデヒド、2−ヒドロキシ−5−メチルイソフタルアルデヒド、2,3−ナフタルアルデヒドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特にテレフタルアルデヒドが好ましい。
上記縮合反応において、必要により酸触媒を用いることができる。酸触媒としては種々のものが使用できるが塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の無機あるいは有機酸、三弗化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのルイス酸が挙げられる。また、酸の種類によってはフェノール樹脂の配向性が変わるため、必要に応じて適宜選択することができる。本発明者らの知見によれば、酸性度の高いものの方がよりパラ配向性が強くなる傾向がある。
例えば、オルト配向性が増すと溶剤への溶解性が向上する可能性が有る。また、パラ配向性が増すと分子量分布が低くなる傾向があり、低粘度化できる可能性が有る。これら酸触媒の使用量は触媒の種類により異なるが、例えば、式(2)で表される化合物の0.0005重量%〜200重量%の範囲内で適正量を添加することができる。好ましくは0.1〜30重量%の範囲である。
反応は無溶媒で行ってもよく、溶媒を使用してもよい。溶媒を使用する場合、溶剤の使用量は仕込んだ原料の総重量に対して50〜300重量%が好ましく、特に100〜250重量%が好ましい。使用しうる溶媒としては反応に不活性なアルコール類、ケトン類、アルキル置換フェニル類等が挙げられる。具体的にアルコール類としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アルキル置換フェニル類としては、トルエン、キシレン等が好ましいが、これらに限定されるものではない。式(1)で表されるフェノール化合物を過剰量仕込んで、溶剤としても構わない。フェノール化合物の仕込み量を任意に選択することによって、本発明のフェノール樹脂の分子量分布を制御することができる。また、これらの溶剤類は単独で、あるいは数種類を混合して用いることが出来る。反応中に生成する水あるいはアルコール類などを系外に分留管などを用いて留去することは、反応を速やかに行う上で好ましい。
反応温度は通常30〜200℃であり、好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜120℃である。本発明者らの知見によれば、低温で反応させることにより、パラ配向性を高めることができる。
反応時間は0.5〜20時間が好ましく、より好ましくは1〜15時間である。反応は、全原料を一括投入して昇温しながら行っても、分割して逐次添加して行っても良いが、一定の分子量分布を得る観点から、一括投入することが好ましい。
反応時間は0.5〜20時間が好ましく、より好ましくは1〜15時間である。反応は、全原料を一括投入して昇温しながら行っても、分割して逐次添加して行っても良いが、一定の分子量分布を得る観点から、一括投入することが好ましい。
反応終了後、洗浄液のpH値が例えば3〜8、好ましくは5〜8になるまで水洗処理を行う。水洗処理を行う場合は必要により水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、リン酸二水素ナトリウムさらにはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、アニリン、フェニレンジアミンなどの有機アミンなど様々な塩基性物質等を中和剤として用いてもよい。また、場合によっては、溶剤を追加しても良い。用いうる溶剤としては高分子量物を溶解し、水層との分離が良好であれば特に制限はなく、例えばトルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。水洗処理は常法にしたがって行えばよく、例えば反応混合物中に上記中和剤を溶解した温水を加え、分液抽出操作をくり返す。
得られた有機層をロータリーエバポレーター等により加熱減圧下、溶剤および未反応のフェノール類を除去することで本発明のフェノール樹脂を得ることができる。
上記反応により得られる本発明のフェノール樹脂の具体例としては、下記一般式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、下記一般式(5)で表される化合物および下記一般式(6)で表される化合物などを挙げることができるが、これらに限られない。また、さらに高分子量化した構造の化合物でもよい。
(式(3)中のうちR1、R2は前記式(1)及び式(2)に記載のR1、R2とそれぞれ同じ意味を表す。)
(式(4)中、R1、R2は前記式(1)及び式(2)に記載のR1、R2とそれぞれ同じ意味を表す。Xは前記式(3)に記載のXと同じである。)
(式(5)中、R1、R2は、前記式(1)及び式(2)に記載のR1、R2とそれぞれ同じ意味を表す。)
(式(6)中、R1、R2は、前記式(1)及び式(2)に記載のR1、R2とそれぞれ同じ意味を表す。Xは式(3)に記載のXと同じ意味を表す。)
得られる本発明のフェノール樹脂は、通常、一般式(3)で表される化合物を主成分として含むが、その他に、芳香族ジアルデヒドがさらに反応し高分子量化した一般式(4)で表される化合物及び/又は一般式(5)で表される化合物を含む場合もある。
本発明のフェノール樹脂は、主たる成分である一般式(3)で表される化合物を、LC/MS(マスクロマトグラフィ)分析において、面積比50%以上含むことが好ましく、特に60%以上含むことが好ましい。50%以下の場合、分子量が大きくなり過ぎてゲル化の恐れが有る。また、一般式(4)〜(6)で表される化合物の少なくとも一種類が含まれる場合、一般式(4)で表される化合物は面積比が1%〜30%であることが好ましく、1%〜20%であることがより好ましい。一般式(5)および一般式(6)で表される化合物は、その合計が面積比5%以下であることが好ましい。
本発明のフェノール樹脂は、主たる成分である一般式(3)で表される化合物を、LC/MS(マスクロマトグラフィ)分析において、面積比50%以上含むことが好ましく、特に60%以上含むことが好ましい。50%以下の場合、分子量が大きくなり過ぎてゲル化の恐れが有る。また、一般式(4)〜(6)で表される化合物の少なくとも一種類が含まれる場合、一般式(4)で表される化合物は面積比が1%〜30%であることが好ましく、1%〜20%であることがより好ましい。一般式(5)および一般式(6)で表される化合物は、その合計が面積比5%以下であることが好ましい。
本発明のフェノール樹脂の一態様では、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)において、重量平均分子量が500〜3,000g/eq.であり、好ましくは600〜2,500g/eq.、より好ましくは700〜2,000g/eq.である。重量平均分子量が500g/eq.より小さい場合、結晶性が高く溶剤溶解性が悪くなることに加え、耐熱性が悪くなる。重量平均分子量が3,000g/eq.より大きい場合、粘度が高くなり過ぎて、成型性が悪くなる恐れが有る。尚、重量平均分子量は下記条件下で測定した。
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC KF−802.5(2本) KF−802 KF−803
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC KF−802.5(2本) KF−802 KF−803
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
本発明のフェノール樹脂の一態様では、13C−NMR(炭素核磁気共鳴分光法)において、パラ配向/オルト配向の割合が0.5〜100であり、好ましくは0.75〜50であり、さらに好ましくは1〜20である。パラ配向/オルト配向の割合が0.5より低いと、硬化物中分子が配向しにくく、熱伝導特性が劣る可能性が有る。パラ配向/オルト配向の割合が100より高いと、結晶性が高すぎて溶剤溶解性が悪くなることに加え、分子量が大きくならず、耐熱性に劣る傾向が有る。尚、パラ配向、オルト配向性は、下記条件下でホルミル基由来メチン炭素の核磁気共鳴ピークを測定し、算出した。
13C−NMRの各種条件
NMRモデル:日本電子(株)JNM−ECS400
溶媒:DMSO−d6
濃度:100mg/0.5mL
周波数領域:400MHz
パルス間隔:3.7us
積算回数:3000回
測定温度:9.4T
NMRモデル:日本電子(株)JNM−ECS400
溶媒:DMSO−d6
濃度:100mg/0.5mL
周波数領域:400MHz
パルス間隔:3.7us
積算回数:3000回
測定温度:9.4T
一般式(1)で表されるフェノール化合物と一般式(2)で表されるポリホルミルフェニル誘導体を縮合させて得られるフェノール樹脂においては、軟化点は70〜180℃が好ましく、80〜160℃がより好ましく、90〜140℃が特に好ましい。軟化点が70℃より低い場合、耐熱性が劣る可能性が有り、軟化点が180℃より高いと均一な硬化物が作製できない場合がある。
ここで、一般式(1)および(2)において、R1、R2は、好ましくは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基である。より好ましくは、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基である。特に好ましくは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基である。
ここで、一般式(1)および(2)において、R1、R2は、好ましくは水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基である。より好ましくは、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基である。特に好ましくは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基である。
続いて、本発明のエポキシ樹脂について説明する。本発明のエポキシ樹脂は前述の本発明のフェノール樹脂を、例えば公知の手法で、エピハロヒドリンと反応させることで得られる。本発明のエポキシ樹脂は、耐熱性、熱伝導特性に優れた硬化物を与え、溶剤溶解性も良好であることから、硬化性シート、プリプレグ、積層板、プリント配線板、半導体装置に有効であり、特に車載用のパワーデバイス等への適用が有用である。
本発明のエポキシ樹脂の合成法に使用するエピハロヒドリンとしては工業的に入手が容易なエピクロルヒドリンが好ましい。エピハロヒドリンの使用量は本発明のフェノール混合物の水酸基1モルに対し通常3.0〜15モル、好ましくは3.0〜10モル、より好ましくは3.5〜8.5モルであり、特に好ましくは4.5〜8.5モルである。
3.0モルを下回るとエポキシ当量が大きくなることがあり、また、得られるエポキシ樹脂の作業性が悪くなる可能性がある。15モルを超えると溶剤量が多量となる場合がある。
3.0モルを下回るとエポキシ当量が大きくなることがあり、また、得られるエポキシ樹脂の作業性が悪くなる可能性がある。15モルを超えると溶剤量が多量となる場合がある。
上記反応において使用しうるアルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、固形物を利用してもよく、その水溶液を使用してもよいが、本発明においては特に、溶解性、ハンドリングの面からフレーク状に成型された固形物の使用が好ましい。
アルカリ金属水酸化物の使用量は原料の本発明のフェノール混合物の水酸基1モルに対して通常0.90〜1.5モルであり、好ましくは0.95〜1.25モル、より好ましくは0.99〜1.15モルである。
アルカリ金属水酸化物の使用量は原料の本発明のフェノール混合物の水酸基1モルに対して通常0.90〜1.5モルであり、好ましくは0.95〜1.25モル、より好ましくは0.99〜1.15モルである。
反応を促進するためにテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加してもかまわない。4級アンモニウム塩の使用量としては原料フェノール混合物の水酸基1モルに対し通常0.1〜15gであり、好ましくは0.2〜10gである。
本反応においては上記エピハロヒドリンに加え、非極性プロトン溶媒(ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ジメチルイミダゾリジノン等)や、炭素数1〜5のアルコールを併用することが好ましい。炭素数1〜5のアルコールとしてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類が挙げられる。非極性プロトン溶媒もしくは炭素数1〜5のアルコールの使用量はエピハロヒドリンの使用量に対し通常2〜50重量%、好ましくは4〜25重量%である。また、共沸脱水等の手法により、系内の水分をコントロールしながらエポキシ化を行ってもかまわない。
系中の水分が多い場合には、得られたエポキシ樹脂において電気信頼性が悪くなる場合があるため、水分は5%以下にコントロールして合成することが好ましい。また、非極性プロトン溶媒を使用してエポキシ樹脂を得た際には、電気信頼性により優れるエポキシ樹脂が得られるため、非極性プロトン溶媒は好適に使用できる。
系中の水分が多い場合には、得られたエポキシ樹脂において電気信頼性が悪くなる場合があるため、水分は5%以下にコントロールして合成することが好ましい。また、非極性プロトン溶媒を使用してエポキシ樹脂を得た際には、電気信頼性により優れるエポキシ樹脂が得られるため、非極性プロトン溶媒は好適に使用できる。
反応温度は通常30〜90℃であり、好ましくは35〜80℃である。特に本発明においては、より高純度なエポキシ化のために60℃以上が好ましく、還流条件に近い条件での反応が特に好ましい。反応時間は通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜8時間、特に好ましくは1〜3時間である。反応時間が短いと反応が進みきらない場合があり、反応時間が長くなると副生成物ができる場合があることから好ましくない。
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂を炭素数4〜7のケトン化合物(たとえば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。)を溶剤として溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用した本発明のフェノール樹脂の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂が得られる。
こうして得られたエポキシ樹脂は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)において測定した重量平均分子量が通常700〜3,000g/eq.であり、好ましくは800〜2,500g/eq.、より好ましくは900〜2,000g/eq.である。重量平均分子量が700g/eq.より小さい場合、結晶性が高く溶剤溶解性が悪くなることに加え、耐熱性が悪くなる場合がある。重量平均分子量が3,000g/eq.より大きい場合、粘度が高くなり過ぎて、成型性が悪くなる恐れが有る。尚、重量平均分子量は下記条件下で、測定を行った。
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC KF−802.5(2本) KF−802 KF−803
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC KF−802.5(2本) KF−802 KF−803
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
本発明のエポキシ樹脂は、13C−NMR(炭素核磁気共鳴分光法)において、パラ配向/オルト配向の割合が通常0.5〜100であり、好ましくは0.75〜50であり、さらに好ましくは1〜20である。パラ配向/オルト配向の割合が0.5より低いと、硬化物中分子が配向しにくく、熱伝導特性が劣る可能性が有る。パラ配向/オルト配向の割合が100より高いと、結晶性が高すぎて溶剤溶解性が悪くなることに加え、分子量が大きくならず、耐熱性に劣る傾向が有る。尚、パラ配向、オルト配向性は、下記条件下で、ホルミル基由来メチン炭素の核磁気共鳴ピークを測定し、算出した。
13C−NMRの各種条件
NMRモデル:日本電子(株)JNM−ECS400
溶媒:DMSO−d6
濃度:100mg/0.5mL
周波数領域:400MHz
パルス間隔:3.7us
積算回数:3000回
測定温度:9.4T
NMRモデル:日本電子(株)JNM−ECS400
溶媒:DMSO−d6
濃度:100mg/0.5mL
周波数領域:400MHz
パルス間隔:3.7us
積算回数:3000回
測定温度:9.4T
本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は原料となる本発明のフェノール樹脂の理論エポキシ当量に対し1.02倍〜1.13倍であることが好ましい。より好ましくは1.03〜1.10倍である。1.02倍を下回る場合、エポキシの合成、精製に多大な費用がかかることがあり、また1.13倍を超えた場合、塩素量による課題が生じることがある。
ここで、理論エポキシ当量とは、本発明のフェノール樹脂のフェノール性水酸基が過不足なくグリシジル化した時に算出されるエポキシ当量を示す。エポキシ当量が上記範囲内にあることで、硬化物の耐熱性、電気信頼性により優れたエポキシ樹脂を得ることができる。
ここで、理論エポキシ当量とは、本発明のフェノール樹脂のフェノール性水酸基が過不足なくグリシジル化した時に算出されるエポキシ当量を示す。エポキシ当量が上記範囲内にあることで、硬化物の耐熱性、電気信頼性により優れたエポキシ樹脂を得ることができる。
また塩素量による課題とは、塩素量の多さから、エポキシドが閉環せずにエピハロヒドリンが残留して架橋がうまく進まず、エポキシ環が完成されていない構造となるため、フェノール樹脂による硬化や、イミダゾール等の塩基性触媒によるアニオン重合、オニウム塩等によるカチオン重合を行った際に、その機械特性や吸水性といった特性に支障が生じることをいう。特に電子材料用途においては、上記課題だけではなく、高温多湿条件での塩素イオンの遊離や、アミン系硬化剤を用いた際の硬化時の塩素の遊離が起因となる配線の腐食等が予想され、電気信頼性を落とす恐れがあることが課題となる。
本発明のエポキシ樹脂に残存している全塩素の含有量としては5000ppm以下が好ましく、より好ましくは3000ppm以下、特に1000ppm以下であることが好ましい。塩素量が5000ppmより多い場合、水分や熱の影響により遊離し、電子材料、特に半導体パッケージ内部の配線や接続部の腐食を進行させる要因となる場合がある。なお、塩素イオン、ナトリウムイオンの含有量については各々5ppm以下が好ましく、より好ましくは3ppm以下である。塩素イオンは先に記載した課題を有し、またナトリウムイオン等のカチオンも、特にパワーデバイス用途においては非常に重要なファクターとなり、高電圧がかかった際の不良モードの一因となる。
本発明のエポキシ樹脂は、通常、軟化点を有する樹脂状の形態を有する。ここで、軟化点としては70〜180℃が好ましく、80〜160℃がより好ましく、90〜140℃が特に好ましい。軟化点が低すぎると保管時のブロッキングが問題となる場合があり、また低温で取り扱いをしないといけない等の課題が生じる場合がある。逆に軟化点が高すぎる場合、他の樹脂(たとえば硬化剤)との混練の際に、ハンドリングが悪くなる等の問題が生じることがある。
以下に本発明のエポキシ樹脂組成物について記載する。
本発明のエポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂と硬化剤および/または硬化促進剤を含有し、少なくともエポキシ樹脂として本発明のエポキシ樹脂を含有するか、例えば硬化剤として本発明のフェノール樹脂を含有する。
本発明のエポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂と硬化剤および/または硬化促進剤を含有し、少なくともエポキシ樹脂として本発明のエポキシ樹脂を含有するか、例えば硬化剤として本発明のフェノール樹脂を含有する。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂混合物に含有されるエポキシ樹脂以外にエポキシ樹脂を含有してもかまわない。全エポキシ樹脂中、本発明のエポキシ樹脂の割合は20重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上である。
本発明のエポキシ樹脂と併用し得る他のエポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールS、チオジフェノール、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン又は1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類並びにアルコール類から誘導されるグリシジルエーテル化物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、シルセスキオキサン系のエポキシ樹脂(鎖状、環状、ラダー状、あるいはそれら少なくとも2種以上の混合構造のシロキサン構造にグリシジル基および/またはエポキシシクロヘキサン構造を有するエポキシ樹脂)等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のフェノール樹脂は、単独でまたは他の硬化剤と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のフェノール樹脂の全硬化剤中に占める割合は30質量%以上が好ましく、特に40質量%以上が好ましい。ただし、本発明のフェノール樹脂をエポキシ樹脂組成物の改質剤として使用する場合は、エポキシ樹脂組成物中で1〜30質量%の割合となるよう添加することが好ましい。
本発明のフェノール樹脂と併用し得る他の硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、本発明のフェノール樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体、テルペンとフェノール類の縮合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
エポキシ樹脂の硬化剤は、エポキシ樹脂のエポキシ基に対し、フェノール性水酸基が通常0.55〜1.0当量、好ましくは0.6〜0.95当量となる量を使用する。硬化剤が0.55当量未満の場合、未反応のエポキシ基が多くなり、特にトランスファー成型時の作業性が低下する恐れがある。1.0当量を越える場合、未反応硬化剤量が多くなり、熱的及び機械的物性が低下する恐れがあり好ましくない。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要により硬化促進剤を添加しても良い。硬化促進剤の具体例としては、トリフェニルフォスフィン、ビス(メトキシフェニル)フェニルフォスフィン等のフォスフィン類、2―メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2―エチル,4―メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリスジメチルアミノメチルフェノール、ジアザビシクロウンデセン等の3級アミン類、テトラブチルアンモニウム塩、トリイソプロピルメチルアンモニウム塩、トリメチルデカニルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩などの4級アンモニウム塩、トリフェニルベンジルフォスフォニウム塩、トリフェニルエチルフォスフォニウム塩、テトラブチルフォスフォニウム塩などの4級フォスフォニウム塩(4級塩のカウンターイオンはハロゲン、有機酸イオン、水酸化物イオンなど、特に指定は無いが、特に有機酸イオン、水酸化物イオンが好ましい。)、オクチル酸スズ等の金属化合物等が例示される。
硬化促進剤の使用量は、エポキシ樹脂100重量部当たり、通常0.2〜5.0重量部、好ましくは、0.2〜4.0重量部である。
本発明において必要に応じて溶剤を加えてもよい。用い得る溶剤は本発明のエポキシ樹脂混合物を溶解できるものであれば制限はないが、アルキル置換フェニル類、ケトン類、アミド類等が挙げられる。具体的にアルキル置換フェニル類としてはトルエン、キシレン、ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アミド類としてはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。溶剤の使用量は、エポキシ樹脂混合物中で通常10〜90重量%、好ましくは15〜90重量%を占める量を用いる。
本発明においては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の非極性溶媒が好ましく、ケトン類が特に好ましい。
本発明においては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の非極性溶媒が好ましく、ケトン類が特に好ましい。
電気、電子部品用に使用される場合、加水分解性塩素濃度が小さいものが好ましい。即ちエポキシ樹脂をジオキサンに溶解し、1規定KOHで還流下30分処理した時の脱離塩素で規定される、加水分解性塩素が0.2重量%以下のものが好ましく、0.15重量%以下のものがより好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、リン含有化合物を難燃性付与成分として含有させることもできる。リン含有化合物としては反応型のものでも添加型のものでもよい。リン含有化合物の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−ジキシリレニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4’−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)等のリン酸エステル類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のホスファン類;エポキシ樹脂と前記ホスファン類の活性水素とを反応させて得られるリン含有エポキシ化合物、赤リン等が挙げられるが、リン酸エステル類、ホスファン類またはリン含有エポキシ化合物が好ましく、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4’−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)またはリン含有エポキシ化合物が特に好ましい。リン含有化合物の含有量はリン含有化合物/全エポキシ樹脂=0.1〜0.6(重量比)が好ましい。0.1以下では難燃性が不十分となる懸念があり、0.6以上では硬化物の吸湿性、誘電特性に悪影響を及ぼす懸念がある。
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤を添加しても構わない。使用できる酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。酸化防止剤の使用量は、本発明の硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100重量部に対して、通常0.008〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部である。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。フェノール系酸化防止剤の具体例として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、等のモノフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルスルホン酸エチル)カルシウム等のビスフェノール類;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類が例示される。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。フェノール系酸化防止剤の具体例として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、等のモノフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルスルホン酸エチル)カルシウム等のビスフェノール類;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類が例示される。
イオウ系酸化防止剤の具体例として、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルル−3,3’−チオジプロピオネート等が例示される。
リン系酸化防止剤の具体例として、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類などが例示される。
これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、2種以上を組み合わせて併用しても構わない。特に本発明においてはリン系の酸化防止剤が好ましい。
リン系酸化防止剤の具体例として、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類などが例示される。
これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、2種以上を組み合わせて併用しても構わない。特に本発明においてはリン系の酸化防止剤が好ましい。
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて光安定剤を添加しても構わない。光安定剤としては、ヒンダートアミン系の光安定剤、特にHALS等が好適である。HALSとしては特に限定されるものではないが、代表的なものとしては、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’―ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、等が挙げられる。HALSは1種のみが用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてバインダー樹脂を配合することも出来る。バインダー樹脂としてはブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、NBR−フェノール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。バインダー樹脂の配合量は、硬化物の難燃性、耐熱性を損なわない範囲であることが好ましく、樹脂成分100重量部に対して通常0.05〜50重量部、好ましくは0.05〜20重量部が必要に応じて用いられる。
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じ、無機充填材、顔料、離型剤、シランカップリング剤、柔軟剤等を添加することができる。特に、不燃性無機充填材の添加は、さらに本組成物の難燃性を向上させる効果があり、作業性、硬化後の物性に支障がない限り、難燃性の点では、多く添加することが望ましい。不燃性無機充填材としては、水酸化アルミ、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の水酸化物、錫酸亜鉛、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、窒化アルミ、窒化珪素等が例示される。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各成分を所定の割合で均一に混合することにより得ることができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えばエポキシ樹脂と硬化剤を予め、100〜200℃に加温し、少なくともエポキシ樹脂または硬化剤のどちらか一方を溶融させ、この溶融液に他方を溶解させた後、押出機、ロール、ニーダー等で必要により無機充填材、顔料、離型剤、難燃剤、シランカップリング剤等及び硬化促進剤を添加、混合することにより得ることが出来る。また、場合により溶融工程を経ずに上記各成分を押出機、ロール、ニーダー等で混合しても良い。得られたエポキシ樹脂組成物は通常トランスファー成型機等を用いて成型し、硬化させるが、更に80〜200℃で2〜10時間後硬化を行うと性能がより向上する。また、液状封止材とする場合には液状エポキシ樹脂を用い、本発明のエポキシ樹脂組成物を室温で混合し製造できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は成型材料、接着剤、複合材料、塗料など各種用途に使用できる。特に本発明のエポキシ樹脂硬化物は優れた耐熱性・熱伝導特性を示すため、IC封止材料、積層材料、電気絶縁材料等などの電気・電子分野に有用である。
前述のエポキシ樹脂組成物ワニスに用いられる溶媒は、前記樹脂組成物中の樹脂成分に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、アルキル置換フェニル類、ケトン類、アミド類等が挙げられる。具体的にアルキル置換フェニル類としてはトルエン、キシレン、ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アミド類としてはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
前述のエポキシ樹脂組成物ワニス中の固形分含有量としては特に限定されないが、10〜70重量%が好ましく、特に20〜55重量%が好ましい。
本発明のプリプレグは、前述のエポキシ樹脂組成物ワニスを基材に含浸させて製造することができる。
プリプレグに用いる基材としては、特に限定されず、例えば、ガラス繊布、ガラス不繊布等のガラス繊維基材、ガラス以外の無機化合物を成分とする繊布または不繊布等の無機繊維基材、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の有機繊維で構成される有機繊維基材等が挙げられる。これら基材の中でも強度、吸水率の点でガラス織布に代表されるガラス繊維基材が好ましい。
エポキシ樹脂組成物を基材に含浸させる方法としては、特に限定されず、例えば、溶剤を用いて樹脂組成物を樹脂ワニスとして調整し、この樹脂ワニスに基材を浸漬する方法、樹脂ワニスを各種コーターにより塗布する方法、樹脂ワニスをスプレーにより吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、基材に対する樹脂組成物の含浸性が向上する。樹脂ワニスを調整する際に用いる溶媒は、樹脂組成物に対して良好な溶解性を示すことが望ましい。このような溶媒としては、アルキル置換フェニル類、ケトン類、アミド類等が挙げられる。具体的にアルキル置換フェニル類としてはトルエン、キシレン、ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アミド類としてはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
上記のようにして得られるワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維及び紙などの繊維基材に含浸させた後に加熱によって溶剤を除去すると共に、本発明のエポキシ樹脂組成物を半硬化状態とすることにより、本発明のプリプレグを得ることが出来る。尚、ここで言う「半硬化状態」とは、反応性の官能基であるエポキシ基が一部未反応で残っている状態を意味する。
本発明の硬化物は、前述のエポキシ樹脂組成物を均一に混合したもの、または前述のプリプレグを従来知られている方法と同様の方法で硬化し、容易に得ることができる。例えば、本発明のエポキシ樹脂と硬化剤、並びに必要により硬化促進剤及び無機充填剤、配合剤、各種熱硬化性樹脂とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合することより本発明のエポキシ樹脂組成物を得て、そのエポキシ樹脂組成物を溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に例えば80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。本発明の硬化物は各種用途に使用できる。具体的にはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
封止剤としては、例えば、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSI等のためのポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TAB等のためのポッティング封止、フリップチップ等のためのアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)を挙げることができる。
こうして得られた半導体装置は、優れた熱伝導特性および耐熱性を有することから、特に車載用のパワーデバイスなどに有用である。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において部は特に断わりのない限り重量部である。なお、水酸基当量、エポキシ当量、軟化点、ICI粘度、ピール強度、硬化収縮率、DMA、TMA、HDT、CTE、吸水湿性、誘電性、熱伝導率は以下の条件で測定した。
・水酸基当量
JIS K 7236に記載された方法で測定し、単位はg/eq.である。
・エポキシ当量
JIS K 7236に記載された方法で測定し、単位はg/eq.である。
・軟化点
JIS K 7234に準拠した方法で測定し、単位は℃である。
・ICI粘度
JIS K 7117−2に準拠した方法で測定し、単位はPa・sである。
・ピール強度
JIS K−6911に準拠した方法で測定した。
・硬化収縮率
JIS K 6911(成型収縮率)に準拠した方法で測定した。
JIS K 7236に記載された方法で測定し、単位はg/eq.である。
・エポキシ当量
JIS K 7236に記載された方法で測定し、単位はg/eq.である。
・軟化点
JIS K 7234に準拠した方法で測定し、単位は℃である。
・ICI粘度
JIS K 7117−2に準拠した方法で測定し、単位はPa・sである。
・ピール強度
JIS K−6911に準拠した方法で測定した。
・硬化収縮率
JIS K 6911(成型収縮率)に準拠した方法で測定した。
・DMA
動的粘弾性測定器:TA−instruments製DMA−2980
昇温速度:2℃/分
・TMA/CTE
TMA熱機械測定装置:真空理工(株)製TM−7000
昇温速度:2℃/min.
・HDT
ASTM D−648に準拠した方法で測定した。
・吸水湿性
直径5cm×厚み4mmの円盤状の試験片を100℃―浸水、85℃―85%、121℃―100%の各条件下、24時間煮沸した後の重量増加率(%)
・誘電性
K6991に準拠して1GHzにおいて測定した。
・熱伝導
熱伝導率測定装置:Anter社製Unitherm2022
ASTME−1530に準拠した方法で測定した。
動的粘弾性測定器:TA−instruments製DMA−2980
昇温速度:2℃/分
・TMA/CTE
TMA熱機械測定装置:真空理工(株)製TM−7000
昇温速度:2℃/min.
・HDT
ASTM D−648に準拠した方法で測定した。
・吸水湿性
直径5cm×厚み4mmの円盤状の試験片を100℃―浸水、85℃―85%、121℃―100%の各条件下、24時間煮沸した後の重量増加率(%)
・誘電性
K6991に準拠して1GHzにおいて測定した。
・熱伝導
熱伝導率測定装置:Anter社製Unitherm2022
ASTME−1530に準拠した方法で測定した。
実施例1〜フェノール−テレフタルアルデヒド型フェノール樹脂の合成〜
攪拌機、還流冷却管、攪拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらフェノール624部、テレフタルアルデヒド59部、p−トルエンスルホン酸一水和物10部を加え、100℃に昇温し、そのままの温度を保ち8時間反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトン(MIBK)を150部加え、水層が中性になるまで水洗を行った。得られた有機層をロータリーエバポレーターで180℃で減圧下、過剰のフェノールを留去することでフェノール樹脂1を202部得た。得られたフェノール樹脂1は赤色固形であり、水酸基当量は122g/eq.、軟化点は117℃であった。パラ配向性/オルト配向性の割合は2.7であった。なお、LC/MSによる分析結果より一般式(3)で表される化合物は面積比で68.4%であり、一般式(4)で表される化合物は面識比で12.4%であり、一般式(5)または一般式(6)で表される化合物は面積比で0.8%であることがわかった。
攪拌機、還流冷却管、攪拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらフェノール624部、テレフタルアルデヒド59部、p−トルエンスルホン酸一水和物10部を加え、100℃に昇温し、そのままの温度を保ち8時間反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトン(MIBK)を150部加え、水層が中性になるまで水洗を行った。得られた有機層をロータリーエバポレーターで180℃で減圧下、過剰のフェノールを留去することでフェノール樹脂1を202部得た。得られたフェノール樹脂1は赤色固形であり、水酸基当量は122g/eq.、軟化点は117℃であった。パラ配向性/オルト配向性の割合は2.7であった。なお、LC/MSによる分析結果より一般式(3)で表される化合物は面積比で68.4%であり、一般式(4)で表される化合物は面識比で12.4%であり、一般式(5)または一般式(6)で表される化合物は面積比で0.8%であることがわかった。
実施例2〜o−クレゾール−テレフタルアルデヒド型フェノール樹脂の合成〜
フェノールの代わりにo−クレゾール714部を用いた以外、実施例1と同様の方法でフェノール樹脂2を214部得た。得られたフェノール樹脂2は赤色固形であり、水酸基当量は134g/eq.、軟化点は138℃であった。パラ配向性/オルト配向性の割合は4.1であった。なお、LC/MSによる分析結果より一般式(3)で表される化合物は面積比で63.2%であり、一般式(4)で表される化合物は面識比で19.4%であり、一般式(5)または一般式(6)で表される化合物は面積比で1.9%であることがわかった。
フェノールの代わりにo−クレゾール714部を用いた以外、実施例1と同様の方法でフェノール樹脂2を214部得た。得られたフェノール樹脂2は赤色固形であり、水酸基当量は134g/eq.、軟化点は138℃であった。パラ配向性/オルト配向性の割合は4.1であった。なお、LC/MSによる分析結果より一般式(3)で表される化合物は面積比で63.2%であり、一般式(4)で表される化合物は面識比で19.4%であり、一般式(5)または一般式(6)で表される化合物は面積比で1.9%であることがわかった。
実施例3〜フェノール−テレフタルアルデヒド型エポキシ樹脂の合成〜
攪拌機、還流冷却管、攪拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら実施例1で得られたフェノール樹脂1を240部、エピクロロヒドリンを1819部、メタノールを118部加え、75℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム81部を90分かけて分割添加した後、さらに75℃で75分間反応を行った。反応終了後水洗を行い、有機層からロータリーエバポレーターを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロロヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン665部を加え溶解し、75℃にまで昇温した。攪拌下でメタノール26部、30%水酸化ナトリウム水溶液8部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで有機層を水洗し得られた有機層からロータリーエバポレーターを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等の溶剤を留去することで本発明のエポキシ樹脂1を313部得た。得られたエポキシ樹脂は黄色固形であり、エポキシ当量は181g/eq.、軟化点は88℃、150℃における粘度は1.2Pa・sであった。パラ配向性/オルト配向性の割合は3.2であった。
攪拌機、還流冷却管、攪拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら実施例1で得られたフェノール樹脂1を240部、エピクロロヒドリンを1819部、メタノールを118部加え、75℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム81部を90分かけて分割添加した後、さらに75℃で75分間反応を行った。反応終了後水洗を行い、有機層からロータリーエバポレーターを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロロヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン665部を加え溶解し、75℃にまで昇温した。攪拌下でメタノール26部、30%水酸化ナトリウム水溶液8部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで有機層を水洗し得られた有機層からロータリーエバポレーターを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等の溶剤を留去することで本発明のエポキシ樹脂1を313部得た。得られたエポキシ樹脂は黄色固形であり、エポキシ当量は181g/eq.、軟化点は88℃、150℃における粘度は1.2Pa・sであった。パラ配向性/オルト配向性の割合は3.2であった。
実施例4〜o−クレゾール−テレフタルアルデヒド型エポキシ樹脂の合成〜
攪拌機、還流冷却管、攪拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら実施例2で得られたフェノール樹脂2を255部、エピクロロヒドリンを1056部、メタノールを68部加え、75℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム79部を90分かけて分割添加した後、さらに75℃で75分間反応を行った。反応終了後水洗を行い、有機層からロータリーエバポレーターを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロロヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン687部を加え溶解し、75℃にまで昇温した。攪拌下でメタノール25部、30%水酸化ナトリウム水溶液8部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで有機層を水洗し得られた有機層からロータリーエバポレーターを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等の溶剤を留去することで本発明のエポキシ樹脂2を325部得た。得られたエポキシ樹脂2は黄色固形であり、エポキシ当量は215g/eq.、軟化点は116℃、150℃における粘度は粘度が高く測定できなかった。パラ配向性/オルト配向性の割合は1.2であった。
攪拌機、還流冷却管、攪拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら実施例2で得られたフェノール樹脂2を255部、エピクロロヒドリンを1056部、メタノールを68部加え、75℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム79部を90分かけて分割添加した後、さらに75℃で75分間反応を行った。反応終了後水洗を行い、有機層からロータリーエバポレーターを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロロヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン687部を加え溶解し、75℃にまで昇温した。攪拌下でメタノール25部、30%水酸化ナトリウム水溶液8部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで有機層を水洗し得られた有機層からロータリーエバポレーターを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等の溶剤を留去することで本発明のエポキシ樹脂2を325部得た。得られたエポキシ樹脂2は黄色固形であり、エポキシ当量は215g/eq.、軟化点は116℃、150℃における粘度は粘度が高く測定できなかった。パラ配向性/オルト配向性の割合は1.2であった。
実施例5、6、比較例1
各種成分を表1の割合(部)で配合し、ミキシングロールで混練、タブレット化後、トランスファー成形で樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間加熱を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物及び比較用樹脂組成物の硬化物を得た。これら硬化物の物性を表1に示した。
各種成分を表1の割合(部)で配合し、ミキシングロールで混練、タブレット化後、トランスファー成形で樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間加熱を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物及び比較用樹脂組成物の硬化物を得た。これら硬化物の物性を表1に示した。
エポキシ樹脂3:トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製EPPN−501H エポキシ当量:166g/eq.)
硬化剤1:フェノールノボラック(明和化成工業株式会社製 H−1)
触媒1:トリフェニルホスフィン(純正化学株式会社製)
硬化剤1:フェノールノボラック(明和化成工業株式会社製 H−1)
触媒1:トリフェニルホスフィン(純正化学株式会社製)
参考物性値
上記実施例5、6について、参考のために、硬化物のピール強度、吸水湿率、誘電率を測定した。これらの測定結果を表2に示した。
上記実施例5、6について、参考のために、硬化物のピール強度、吸水湿率、誘電率を測定した。これらの測定結果を表2に示した。
実施例7、8、比較例2
各種成分を表3の割合(部)で配合し、ミキシングロールで混練、タブレット化後、トランスファー成形で樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間加熱を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物及び比較用樹脂組成物の硬化物を得た。これら硬化物の物性を以下の条件で測定した結果を表3に示した。
各種成分を表3の割合(部)で配合し、ミキシングロールで混練、タブレット化後、トランスファー成形で樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間加熱を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物及び比較用樹脂組成物の硬化物を得た。これら硬化物の物性を以下の条件で測定した結果を表3に示した。
硬化剤2:ジフェニルジアミノメタン(東京化成工業株式会社製)
以上の結果から、本発明のフェノール樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物は溶剤溶解性に優れ、その硬化物が高い熱伝導特性・耐熱性を有すことから、硬化性シート、プリプレグ、積層板、プリント配線板、半導体装置への成型が可能となり、さらに高い熱伝導特性および耐熱性を有する硬化物を与えることができるため、特に車載用のパワーデバイス等に有用である。
実施例1〜実施例4で合成した樹脂の13C−NMRの測定結果を図1〜図4に示す。
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本出願は、2013年10月23日付で出願された日本国特許出願(特願2013−220097)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
なお、本出願は、2013年10月23日付で出願された日本国特許出願(特願2013−220097)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
本発明のフェノール樹脂によれば、これを用いたエポキシ樹脂の硬化物は優れた熱伝導特性・耐熱性を有し、また該エポキシ樹脂自体も溶剤溶解性に優れることから、優れた熱伝導特性や耐熱性が求められる分野、例えば車載用のパワーデバイスなどへの応用に有用である。
Claims (10)
- 下記一般式(1)で示されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で示されるポリホルミルフェニル誘導体を縮合させて得られるフェノール樹脂であって、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)において測定した重量平均分子量が500〜3,000g/eq.であるフェノール樹脂。
- 下記一般式(1)で示されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で示されるポリホルミルフェニル誘導体を縮合させて得られるフェノール樹脂であって、13C−NMR(炭素核磁気共鳴分光法)から算出したパラ配向/オルト配向の割合が0.5〜100であるフェノール樹脂。
- 下記一般式(1)で示されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で示されるポリホルミルフェニル誘導体を縮合させて得られるフェノール樹脂であって、LC/MS(マスクロマトグラフィ)分析において、下記一般式(3)で表される化合物を面積比50%以上含有するフェノール樹脂。
- 請求項1及至請求項3のいずれか一項に記載のフェノール樹脂に、エピハロヒドリンを反応させることにより得られるエポキシ樹脂。
- GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)において測定した重量平均分子量が700〜3,000g/eq.である請求項4に記載のエポキシ樹脂。
- 13C−NMR(炭素核磁気共鳴分光法)から算出したパラ配向/オルト配向の割合が0.5〜100である請求項4または請求項5に記載のエポキシ樹脂。
- 請求項1及至請求項3のいずれか一項に記載のフェノール樹脂とエポキシ樹脂を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
- 請求項4及至請求項6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂と硬化剤および/または硬化促進剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
- 請求項7または請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物及びシート状の繊維基材からなるプリプレグ。
- 請求項7もしくは請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物、または請求項9に記載のプリプレグを硬化してなる硬化物。
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