JPWO2014192845A1 - 決定論的通信路を含む伝搬環境のmimo通信システム及びそのアンテナ - Google Patents

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Abstract

送信機と受信機とを含み、送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムであって、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設けた。

Description

本発明は空間分割多重方式(以下、MIMOと略す;Multiple-Input/Multiple-Output)に関するものであり、特に、見通し内通信システムにおける固定マイクロ波通信システムや、反射や散乱を伴う伝搬環境でも見通し内の伝搬が含まれる移動体通信システムや、室内における見通し内を含む伝搬環境で使われるMIMO通信システムに関し、更に、そのアンテナに関する。
無線通信では、これまでにMIMOを用いた技術が盛んに使われ始めており、MIMO自体もはや新しい技術では無くなりつつある。しかし、従来のMIMOを用いた技術の中心は移動体通信であって、固定通信への応用はあまり検討されて来なかった。移動体通信における電波伝搬路では送信アンテナから到来した電波が周囲の地形などに応じて反射や散乱を受け一群の素波の集まりとなって受信機に到着する。その為、品質の高い通信を実現する上で常に障害となっていたのが、これらの結果から生じるところのフェージング現象である。移動体通信におけるMIMOは、このフェージング現象を悪者扱いするのではなく、逆にこのフェージングを移動体通信における電波伝搬に内在する可能性を秘めた環境資源として見直した点で画期的で有った。
この様なMIMO技術を電波伝搬路が確定されている見通し内固定無線通信へ適用した場合にどうなるかといった疑問に対し、移動体に比べて数は少ないが、見通し内MIMOの記載が非特許文献1に開示されている。
上述の様な移動体通信では通信路を確率的なマトリクス(行列ともいう)として扱う。これに対して見通し内固定通信路では決定論的に扱う必要がある。
同文献には、送信側及び受信側ともにアンテナ間隔を広げることによって、その通信路行列Hに対し、

ここでnはアンテナの数である、なる記載があり、送受間で対向する様に直線配置された送信アンテナ番号i,受信アンテナ番号kに対して、信号の位相回転を

の様に直線アンテナで構成することが出来るので、例えばn=2の場合、通信路行列Hは、

となって[数1]の条件を満足するアンテナ構成が可能である。[数1]の条件を満足するとMIMO構成による通信路容量がHmaxによって最大となることが同文献に記載されている。
即ち、反射や散乱による移動体環境でなく決定論的な見通し内通信環境であっても、MIMOによる通信路容量の増大が可能なのである。
この様な決定論的見通し内MIMOを小型固定マイクロ波通信に適応した場合を考える。一般的に小型固定マイクロ波通信では数GHz〜数十GHzの周波数帯を用いる。波長にして数mm〜数cmである。従って、風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ方向の動きで激しい位相変位を生ずることになる。このような条件では、上述の確定的な通信路行列を確保することが困難である
尚、後述の理論解析では、この様な感度の高いアンテナ方向の変位が有っても、上述の大容量化の為の通信路容量は変わらないことを解析的に示している。
MIMO技術では複数の独立な信号を同一帯域で同時に送受信する。その為、信号分離/検出が必要である。その為の手段の一つとして特異値分解(以下「SVD」と略す)によって得られるユニタリー行列を使ったマトリクス演算による方法が有る(以下「SVD方式」と略す)。このSVD方式において、受信端から送信端へ理想的にユニタリー行列構築の為のフィードバック情報を受け渡すことが出来たとすると、上述の感度の高いアンテナ方向の変位が有ったとしても、それを補償すべくユニタリー行列が作用する。その結果として、MIMOによる大容量固定マイクロ波通信が実現出来ることになる。
しかし、この様なフィードバック情報はシステムのオーバーヘッドを増やすばかりでなく、逆回線も用意しなければならない。
尚、後述の通信路行列Hのモデリングは感度の高いアンテナ変位も含めて解析している。
ところで、上述の伝搬路が確定されている見通し内固定通信路を特異値解析すると、固有値が重根となって特異点の生じるアンテナ間位置がある。特異値は一意に決まるが特異ベクトル(Singular Vectors)は一意ではない。特に、この状態は解析的に厄介で、これによって特異ベクトルの激しい遷移を生ずることもある。
尚、この現象を逆に利用すると色々な構成が可能である。この特性を生かした各種の構成例については後の章で詳しく説明する。
更に、決定論的な見通し内MIMOの大きな問題として、上述の従来の方法では送信側或いは受信側におけるアンテナ間のキャリア同期を取る必要があった。即ち、送信側或いは受信側における複数のアンテナ間の位相は同相かまたは或る一定の位相差をもって構成する必要があった。
一方、固定マイクロ波通信システムでは扱う周波数の関係からアンテナ間隔を広く取る必要がある。これに伴って局部発信器を含む各無線機は、アンテナ近くに設置される。即ち、アンテナ間のキャリア同期の問題が固定マイクロ波通信システム構築上の大きな制約となる。
1999年2月、アイ・イー・イー・イー・トランザクション・オン・コミュニケーションズ、173〜176頁、On the capacity of formula for multiple input multiple output wireless channels: a geometric interpretation、pp.173-176
以上の様な固定マイクロ波通信システム構築上の大きな制約条件を満足するMIMOの仮想的な直交伝送路を仮に形成出来たとする。しかし、その為にはアンテナ間隔を広げる必要があり、実際にアンテナを設置する際に場所の確保等のMIMO通信システム構築上の制約となっていた。
更に、移動通信システムは、上述した様に反射や散乱を繰り返す所謂リッチスキャッタリング環境で用いられるが、近年の小セル化に伴って見通し内で到来する電波の割合が増加して来ている。この様な環境下にあって従来の見通し外(以下「NLOS」と略す)のMIMOを想定したやり方では特性が極端に劣化する。
即ち、NLOS環境下の移動通信システムであっても、決定論的通信路を含む伝搬環境への対策が必要になってきており、その為にはアンテナ間隔を広げるといったMIMOシステム構築上の制約が大きく立ちはだかっている。
更に、近年、室内におけるHDTV(High Definition Television)動画の実時間での非圧縮伝送等の家電製品で、短距離高速デジタル無線伝送を行う様になってきており、高速化の為にMIMOを使う、所謂、短距離MIMO(Short range MIMO)が検討されつつある。しかし、室内の為に見通し内伝搬路になることが多く、通常のMIMOでは特性が極端に劣化するという問題があった。そこで、上述の決定論的通信路を含む伝搬環境のMIMOシステムを用いることになるが、室内であるから広いスペースを占領するアンテナ間隔が問題となることが予想される。
更に、室内であるから家電製品の移動に伴い、アンテナ間隔等の見通し内MIMO伝送路構築上の幾何学的な位置を変更する必要性が生じる。専門知識の無い家電の使用者にとってアンテナ設置の変更は厄介であり、利便性に欠けるといった問題があった。
(発明の目的)
本発明は以上の問題に鑑みなされたものであって、決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信側の送信アンテナと受信側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおいて、送信側、受信側、又はその両方にてアンテナ間隔を短縮することにある。
本発明のMIMO送信システムは、送信機と受信機とを含み、決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムであって、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設けて構成される。
本発明の送信機は、決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおける送信機であって、前記送信アンテナの前面に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設けて構成される。
本発明の送信機は、決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおける受信機であって、前記送信アンテナの前面に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設けて構成される。
本発明のアンテナは、決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信側のアンテナと受信側のアンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおける送信側又は受信側のアンテナであって、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を前面に設けて構成される。
本発明のMIMO通信方法は、決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信側の送信アンテナと受信側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおけるMIMO通信方法であって、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間にて、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮ステップを含むことを特徴とする。
本発明のプログラムは、決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成すると共に、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設け、かつ、前記最適アンテナ間隔短縮部は異方性メタマテリアル誘電体から構成され、前記異方性メタマテリアル誘電体の誘電体素子が対向アンテナ方向に対する傾斜角度を変更自在に配置されるMIMO通信システムの送信機又は受信機において、アンテナ間隔を最適化するプログラムであって、コンピュータを、現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように前記傾斜角度を変更させる制御部として機能させることを特徴とする。
本発明のプログラムは、決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成すると共に、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設け、かつ、前記最適アンテナ間隔短縮部は平行な金属板の集合から構成された金属板ガイドであり、金属板ガイドのガイド方向が対向アンテナの方向に対する傾斜角度を変更自在に配置されるMIMO通信システムの送信機又は受信機において、アンテナ間隔を最適化するプログラムであって、コンピュータを、現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように前記傾斜角度を変更させる制御部として機能させることを特徴とする。
本発明によると、決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信側の送信アンテナと受信側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおいて、送信側、受信側、又はその両方にてアンテナ間隔を短縮することができる。
本発明の実施態様における見通し内MIMOの構成例を示し、任意のアンテナ間距離で感度の高いアンテナ変位を考慮したSVD方式を使用している。 直交伝送路の固有値の計算結果を示す。 本発明の実施態様における見通し内MIMOの構成例〔1〕を示し、送信側のみのユニタリー行列Vによる演算を用いている。 本発明の実施態様における見通し内MIMOの構成例〔2〕を示し、送信側のみのマトリクス演算により、異なる値の仮想直交伝送路を形成した例を示している。 送信のみのマトリクス演算構成の応用例を示す。 本発明の実施態様における見通し内MIMOの構成例〔3〕を示し、受信側のみのユニタリー行列による演算で、送信側に局部発信器を独立に設けた構成である。 本発明の実施態様における見通し内MIMOの構成例〔4〕を示し、受信側のみのユニタリー行列による演算で、送信側及び受信側共に局部発信器を独立に設けた構成である。 本発明の実施態様における見通し内MIMOの構成例〔5〕を示し、受信側のみのマトリクス演算で、異なる値の仮想直交伝送路を形成し、更に送信側及び受信側共に局部発信器を独立に設けた構成である。 本発明の実施態様における見通し内MIMOの構成例〔6〕を示し、アンテナ数が送受共に3本、送受共に局部発信器を独立に設けた構成である。 本発明の実施態様における見通し内MIMOの構成例〔7〕を示し、アンテナ数が送受共に4本、送受共に局部発信器を独立に設けた構成である。 各方式によるアンテナ間距離に対する各仮想直交伝送路のSNRを、各方式で比較して示す図である。 送受信で異なるアンテナ間距離を用いた場合の構成例を示す。 図12の伝送路のモデリングを示す。 図12の送受で異なるアンテナ間距離を用いた場合の通信容量を示す。 送受信アンテナ形状がアンテナ配置方向に菱形状にずれた場合の構成例を示す。 アンテナ配置方向に菱にずれた送受信アンテナ形状で、受信側のみのユニタリー行列による演算の構成例を示す。 任意の幾何学形状によるアンテナ配置の場合を示す。 LOS−MIMOの送信アンテナと受信アンテナの構成を示す。 メタマテリアル誘電体の誘電率の測定の説明図である。 メタマテリアル誘電体素子の説明図である。 解析モデル(その1)を示す。 解析モデル(その2)を示す。 解析モデル(その3)を示す。 解析モデル(その4)を示す。 解析モデル(その5)を示す。 異方性メタマテリアル誘電体素子の説明図である。 アンテナ前面に装着したマテリアルを示す。 メタマテリアルによるLOS−MIMOアンテナ間隔短縮効果(その1)を示す。 メタマテリアルによるLOS−MIMOアンテナ間隔短縮効果(その2)を示す。 金属板ガイドを用いたLOS−MIMOアンテナ間隔の短縮の説明図である。 室内におけるShort range MIMOの説明図である。 移動通信システムへのMIMOアンテナ間隔短縮の適用例を示す。
101 ユニタリー行列Vによるマトリクス演算処理部
102 周波数変換部
103 ミキサ
104 局部発信器
105 ミキサ
106 固定アンテナ部
107 固定アンテナ部
108 周波数変換部
109 ミキサ
110 局部発信器
111 ミキサ
112 ユニタリー行列Uによるマトリクス演算処理部
201 ユニタリー行列Vによるマトリクス演算処理部
202 固定アンテナ部
203 固定アンテナ部
301 行列Vによるマトリクス演算処理部
302 固定アンテナ部
303 固定アンテナ部
401 パイロット信号生成部
402 周波数変換部
403 ミキサ
404 局部発信器
405 局部発信器
406 キャリア同期していないことによる位相雑音のモデリング
407 ミキサ
408 固定アンテナ部
409 固定アンテナ部
410 ユニタリー行列Uによるマトリクス演算処理部
501 パイロット信号生成部
502 周波数変換部
503 ミキサ
504 局部発信器
505 局部発信器
506 キャリア同期していないことによる位相雑音のモデリング
507 ミキサ
508 固定アンテナ部
509 固定アンテナ部
510 周波数変換部
511 ミキサ
512 局部発信器
513 局部発信器
514 キャリア同期していないことによる位相雑音のモデリング
515 ミキサ
516 パイロット信号検出部
517 ユニタリー行列Uによるマトリクス演算処理部
601 パイロット信号生成部
602 周波数変換部
603 ミキサ
604 局部発信器
605 局部発信器
606 キャリア同期していないことによる位相雑音のモデリング
607 ミキサ
608 固定アンテナ部
609 固定アンテナ部
610 周波数変換部
611 ミキサ
612 局部発信器
613 局部発信器
614 キャリア同期していないことによる位相雑音のモデリング
615 ミキサ
616 パイロット信号検出部
617 行列Uによるマトリクス演算処理部
2001 送信局
2002 受信局1
2003 受信局2
2501,2502 送信アンテナ
2503,2504 マテリアル
2505,2506 受信アンテナ
2507,2508 マテリアル
2901,2902 アンテナ素子
2903,2904 マテリアル
2901,2902 アンテナ
2903,2904 マテリアル
次に、本発明の実施形態について式と図面を参照しながら説明する前に、先ず決定論的な見通し内通信路であっても通信路容量がMIMOの最大容量となる理論的な裏付けを解析的に示す。
MIMO構成による仮想直交伝送路の通信路容量は各パスの固有値によって表される。そこで、図1の様なアンテナ構成による固有値解析を行う。下記モデリングは感度の高いアンテナ方向の変位も考慮している。
説明の都合で2アンテナの場合で記すが、任意のアンテナ数でも同様に計算出来る。
相対的な位相シフトで決まるから送受間距離Rによる距離減衰、共通位相シフトは無視して考える。対角経路との経路差は、

であり、経路差による位相回転αは、
因みに、RF周波数30GHz、R=5000m、d=d=5mとすると
従って、s送信アンテナ位置変動による位相シフトΦを考慮したチャネル行列Hは、
従って、
これより、仮想的な直交伝送路の通信路容量である固有値λ及びλは以下の様に計算出来る。

数値計算結果を図2に記す。
同図の解析結果はアンテナ毎に単位電力送信の場合であるから、通信路容量がアンテナ本数分の2倍になっていることを示している。ここで注意を要するのは、上記の計算で用いているモデリングに感度の高いアンテナ方向の変位も含まれている点である。それにも関わらず最終的な通信容量である固有値の結果には、その変位成分は現れてこない。即ち、電波伝搬路が確定されている見通し内固定無線通信であってもMIMOによって大容量化が可能であり、それは感度の高いアンテナ変位に関係ないアンテナ間距離で決定されている。
上記の例では2アンテナの場合であったが、それ以上の場合の例を以下に記す。
送受間で互いに直線配置されたアンテナ素子間の対角経路との経路差による位相回転は[数5]より得られ、素子間隔を共通のdとすると、
そこで、

となる様にdと送受間距離Rを定め3アンテナの構成をとると、以下の通信路行列Hを得る。
従って、

となって、仮想的な直交伝送路の通信路容量である三つの固有値全てが3となり、全体の通信路容量がアンテナ本数分の3倍になっていることが分かる。
同様に、

となる様にdと送受間距離Rを定め4アンテナの構成をとると、以下の通信路行列Hを得る。
従って、

となって、仮想的な直交伝送路の通信路容量である四つの固有値全てが4となり、全体の通信路容量がアンテナ本数分の4倍になっていることが分かる。
即ち、アンテナ本数が2を超える値であっても、決定論的な見通し内通信路の通信路容量がMIMOの最大容量となるアンテナ本数分に拡大されていることが分かる。
尚、以下の例では説明の都合上、2アンテナの場合で記すが、それを超えるアンテナ本数であっても同様のことがいえ、アンテナ本数が2本に限ったことでは無いことはいうまでもない。
次に、MIMOにおける信号分離/検出の方法として特異値分解によって得られるユニタリー行列を使ったマトリクス演算による方法(以下「SVD方式」と略す。)について記す。
SVD方式では送信側でのユニタリー行列Vによるマトリクス演算と、受信側でのユニタリー行列Uによるマトリクス演算が必要となる。ユニタリー行列Vによるマトリクス演算の為には受信端から送信端へユニタリー行列構築の為のフィードバック情報を受け渡す必要がある。
以下、本発明の実施形態について式と図面を参照しながら詳細に説明する。
図1において、送信側でのユニタリー行列Vによるマトリクス演算処理部101で処理された送信信号は、送信側における局部発信器104とミキサ103及びミキサ105とを含む周波数変換部102によって無線周波数に周波数変換された後、複数のアンテナからなる固定アンテナ部106からs及びsとして送出される。ここでs、sは等価低域表現による信号表記を用いている。
ここで注意を要するのは、局部発信器は104の一つであり、それをミキサ103と105に供給することでアンテナ間のキャリア同期を取っている点である。これは決定論的通信路が各パスの位相差によって確定されるという空間分割多重型固定マイクロ波通信システム構築上の制約からくるものである。しかしながら後述する様に、この局部発信器をアンテナ毎に独立に設けることも可能であることを追記しておく。
この様にして送出された信号は受信側における複数のアンテナからなる固定アンテナ部107にr及びrとして受信される。ここで、r、rは等価低域表現による信号表記を用いている。受信信号r及びrは、受信側における局部発信器110と、ミキサ109及びミキサ111とを含む周波数変換部108によってベースバンド周波数に周波数変換されたあと、受信におけるユニタリー行列Uによるマトリクス演算処理部112で処理され、MIMOの信号分離/検出が完了する。
ここで注意を要するのは局部発信器が110一つであり、それをミキサ109及び111に供給することによりアンテナ間のキャリア同期を取っているという点である。これは、決定論的通信路が各パスの位相差によって確定されるという空間分割多重型固定マイクロ波通信システム構築上の制約からくるものである。しかしながら後述する様に、この受信側の場合にも送信側同様に局部発信器をアンテナ毎に独立に設ける構成も可能である。また、使用するアンテナとしては、パラボラアンテナやホーンアンテナ等色々なものが使用できるが、これらに限定されるものでもない。
以下、任意のアンテナ間距離と感度の高いアンテナ変位を考慮した以下の通信路行列Hを用いて、上述のユニタリー行列V,Uの算出の方法を、詳細に具体的に数式を交えて説明する。
[ここで用いる見通し内伝搬路の通信路行列]
また、以降、前述の固有値からの特異値直交行列Λ1/2を次の様に表すことにする。
以下では、この通信路行列Hを用いてユニタリー行列V、ユニタリー行列Uの順で計算する。
[ユニタリー行列V]

に対する固有ベクトルを、

とすると、

であるから、

より、
ところで、

の両辺に左からvを掛けて

となる。直交するvを集めて、

を得る。

より、

であるから、上記の固有ベクトル

を集めて、

を得る。
正規化と直交性を考慮し特解として、

とすると、

を得る。
[ユニタリー行列U]

より、固有ベクトルuを

とすると、

より、

を得る。
ところで、

の両辺に左からuを掛けて、

を得る。
直交するuを集めて、

であるから、上記の固有ベクトル

を集めて、

を得る。
正規化と直交性を考慮して特解として、

とすると、

を得る。
以上の計算より得られたユニタリー行列V、Uの確認の為、通信路行列HをV、Uで特異値分解してみる。
[特異値分解H=U・Λ・V

となって、上述の例の様に、R=5000m、d=d=5mといった最適位置でも、そうでなくとも直交伝送路の形成が可能なことが分かる。
但し、それぞれの伝送路品質は21/2及び21/2から、(2+2cosα)1/2及び(2−2cosα)1/2に比例し、異なる伝送路品質となる。
図1のブロック図に太い矢印で書かれている(2+2cosα)1/2及び(2−2cosα)1/2が構築された仮想直交伝送路を示している。
ここで注意を要するのは、上記のユニタリー行列は風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ位置変動(同図中Φでモデリングしている。)等の外部要因によって生じた伝送路の変動を上記の行列は含んでいる点で、これによって感度の高いアンテナ方向の変位が有ったとしてもそれを補償すべくユニタリー行列が作用する点である。後述する様にアンテナ毎に独立な局部発信器を用いた構成(以下、単に「局発独立構成」ともいう)でも、その位相差がこのアンテナ位置変動へとモデリングされるので、同構成でも局発独立構成が可能となる。
尚、この構成は、受信端から送信端へV行列構築の為のフィードバック情報を受け渡す必要があるが、受信端のみで補償することによってフィードバック情報を無くすことも可能である。
上述の説明は、構築されたパスの太さが異なる場合も含む一般的な仮想直交伝送路の場合であったが、次に、見通し内固定通信路が重根となる特異点での場合について記す。
伝搬路が確定されている見通し内の固定通信路を上述の様に特異値解析すると、固有値が重根となって特異点の生じるアンテナ間位置が存在する。特異値は一意に決まるが、特異ベクトル(Singular Vectors)は一意ではない。特にこの状態(Deficient matrix)は解析的に厄介で、これによって固有ベクトルの激しい遷移を生ずることもある。この現象を逆に利用すると色々な構成が可能である。この特性を生かした各種の構成例をこれから説明するが、その前に原理的な部分について記す。

なる位相回転αで、

となるアンテナ間位置の場合を考える。以降、煩雑さを避ける為jとして記す。
この状態での通信路行列は、

となる。

であるから、

より固有方程式が重根となる。重根の場合には以下の様な変換が可能である。
今、固有値λに対する或る固有ベクトルuに対して、

が成り立つ。
同様に固有値λに対する別の固有ベクトルuに対して、

が成り立つ。
従って、両固有ベクトルの線形和に対して、

が成り立つので、線形和(c・u+c・u)も固有ベクトルとなる。
そこで、重根に対して他条件からの漸近的な固有ベクトルを、

とすると、

より、
ところで、

の両辺に左からuを掛けて、

を得る。
直交するuを集めて

となる。
また、

であるから、上記の固有ベクトル

を集め、正規化と直交性を考慮して、

を得る。
線形結合として和と差を考えると、


となり、これより

を得る。
また、

であるから、

となる。
試しに、ここで求めたU,Λ1/2,VよりHを計算してみると、

となって確かに成り立っていることが分かる。これは一例であって、重根による特異点によって同様な方法で色々な分解方法が存在する。
先ず、構成例〔1〕として送信側のみのマトリクス演算を行う構成例を示す。
[構成例〔1〕:(送信側のみのマトリクス演算の場合)]
[特異値直交行列Λ1/2
同じ値の仮想直交伝送路を有する場合となるから、

である。
[通信路行列H]

以上の結果を元に構成したのが図3である。
同図において、送信側でのユニタリー行列Vによるマトリクス演算処理部201で処理された送信信号は、複数のアンテナからなる固定アンテナ部202からs及びsとして送出される。ここでs及びsは等価低域表現による信号表記を用いており、周波数変換の処理は煩雑になることを避ける為に省略している。
この様にして送出された信号は受信側における複数のアンテナからなる固定アンテナ部203にr,rとして受信される。ここで、r、及びrは等価低域表現による信号表記を用いており、ベースバンドへの周波数変換は省略している。
ここで、受信側でのユニタリー行列Uによるマトリクス演算処理部は全く無く、全ての行列演算は送信側のみで行われている点に特徴がある。[数68]より送信側だけのマトリクス演算のみでも、風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する高感度のアンテナ位置変動(同図中Φでモデリングしている。)等の外部要因によって生じた伝送路の変動を上記の行列は含んでいて、これによって高感度のアンテナ方向の変位が有ったとしてもそれを補償すべくユニタリー行列が作用する点に特徴がある。
尚、この構成は、受信端から送信端へV行列構築の為のフィードバック情報を受け渡す必要がある。図中の太い矢印は伝送路品質が21/2及び21/2に比例して構築された仮想直交伝送路を示している。また、使用するアンテナとしては、パラボラアンテナやホーンアンテナ等色々なものがあるがこれらに限定されるものでもない。
次に、構成例〔2〕として、異なる太さの仮想直交伝送路を形成し送信側のみのマトリクス演算による構成例を示す。
[構成例〔2〕:(送信側のみのマトリクス演算で異なるパスの太さを持った仮想直交伝送路の場合)]
[特異値直交行列Λ1/2
異なる値の仮想直交伝送路を有する場合となるから、

である。
[通信路行列H]

であるから、
ここで、

であるから、

を得る。
但し、ベクトルの二乗ノルムを見ると、

であるから、Vはもはやユニタリー行列ではない。従ってVを求めるには逆行列演算が必要となる。
試しに、ここで求めたU,Λ1/2,VよりHを計算してみると、

となって確かに成り立っていることが分かる。
次にVの逆行列Vを考えると、任意の行列

の逆行列は、
従って、

を得る。以上の結果を基に構成したのが図4である。
同図において、送信側での行列Vによるマトリクス演算処理部301で処理された送信信号は、複数のアンテナからなる固定アンテナ部302からs及びsとして送出される。ここで、s及びsは等価低域表現による信号表記を用いており、周波数変換の処理は煩雑になることを避ける為に省略している。
この様にして送出された信号は受信側における複数のアンテナからなる固定アンテナ部303にr,rとして受信される。ここで、r,rは等価低域表現による信号表記を用いており、ベースバンドへの周波数変換は省略している。
ここで、受信側での行列Uによるマトリクス演算処理部は全く無く、全ての行列演算は送信側のみで行われているのが特徴である。[数78]より送信側だけのマトリクス演算でも、風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ位置変動(同図中Φでモデリングしている。)等の外部要因によって生じた伝送路の変動を上記の行列は含んでいて、これによって感度の高いアンテナ方向の変位が有ったとしてもそれを補償すべく送信側の行列が作用する点に特徴がある。
尚、この構成は、受信端から送信端へV行列構築の為のフィードバック情報を受け渡す必要がある。また、使用するアンテナとしては、パラボラアンテナやホーンアンテナ等色々なものがあるが、これらに限定されるものでもない。
この様にR=5000m、d=d=5mといった最適位置でなくとも仮想的な直交伝送路の形成が可能であり、しかも送信側の行列処理だけで実現出来ていることが分かる。
上述の送信側のみのマトリクス演算構成の応用例を図5に示す。同図において、基幹網に近い送信局2001に複数のアンテナを装備し、ユーザー網に近い受信局2002及び受信局2003にはそれぞれ一個のアンテナを装備する。受信局2001と受信局2003の間は距離が離れており、マトリクス演算を行うことが出来ない。一方、送信局2001では送信マトリクス演算を行うことが出来るので、上記で説明した送信側のみのマトリクス演算構成が適用出来る。尚、この様な一局対多局構成の考え方は、次に説明する受信側のみのマトリクス演算構成でも多局対一局として適用出来るのはいうまでもない。
次に、構成例〔3〕として、受信側のみのユニタリー行列演算による構成例を示す。
[構成例〔3〕:(受信側のみのユニタリー行列演算で送信局発独立構成の場合)]
この構成例〔3〕は受信端から送信端へのフィードバック情報を必要とせず、また送信端で独立なアンテナ毎の局部発信器を用いることが出来る構成で、しかも特性はSVD方式と全く同じである。
[特異値直交行列Λ1/2
同じ値の仮想直交伝送路を有する場合となるから、
[通信路行列H]

を得る。以上の結果を基に構成したのが図6である。
同図において、送信側でのユニタリー行列Vによるマトリクス演算処理部は全く無く、全ての行列演算は受信側のみで行われている点がこの構成の特徴である。[数80]より受信側だけのマトリクス演算のみでも、風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ位置変動(同図中Φでモデリングしている。)等の外部要因によって生じた伝送路の変動を上記の行列は含んでいて、これによって感度の高いアンテナ方向の変位が有ったとしても、それを補償すべくユニタリー行列が作用する点に特徴がある。
更に、この構成の最大の特徴は、固定マイクロ波通信システムで扱う周波数の関係からアンテナ間隔を広く取る必要があるが、それに伴って局部発信器をアンテナ近くに設置している点である。即ち、送信側でアンテナ毎に独立な局部発信器を用いている点に特徴がある。
同図において、送信信号は、パイロット信号生成部401によってアンテナ毎のパイロット信号を付加された後、送信側における局部発信器404,405とミキサ403、407を含む周波数変換部402によって無線周波数に周波数変換され、複数のアンテナからなる固定アンテナ部408からs及びsとして送出される。ここで、s1及びs2は等価低域表現による信号表記を用いている。
ここで注意を要するのは、アンテナ毎に独立の局部発信器404,405を用いている点で、その為にアンテナ毎のキャリア間でキャリア同期していないことによって生じる位相雑音Φが発生する。図中の406が、それをモデリングしたものである。この様にして送出された信号は受信側における複数のアンテナからなる固定アンテナ部409にr,rとして受信される。ここで、r,rは等価低域表現による信号表記を用いており、ベースバンドへの周波数変換は省略している。それぞれの受信号r,rは、受信側のユニタリー行列Uによるマトリクス演算処理部410で処理されMIMOの信号分離/検出が完了する。
ここで注意を要するのは、送信側でのユニタリー行列Vによるマトリクス演算処理部は全く無く、全ての行列演算は受信側のみで行われている点である。[数80]より受信側だけのマトリクス演算のみでも、風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ位置変動(同図中Φでモデリングしている。)等の外部要因によって生じた伝送路の変動を上記の行列は含んでおり、更に、キャリア同期していないことによる位相雑音Φを含んでいるので、感度の高いアンテナ方向の変位やキャリア間の位相変位が有ったとしてもそれを補償すべくユニタリー行列が作用する。
尚、この構成による最大のメリットは、受信端から送信端へV行列構築の為のフィードバック情報を受け渡す必要がないという点である。図中の太い矢印は伝送路品質が21/2及び21/2に比例して構築された仮想直交伝送路を示している。また、使用するアンテナとしては、パラボラアンテナやホーンアンテナ等色々なものがあるが、これらに限定されるものでもない。
この様に送信端でユニタリー行列演算を用いない構成でも直交伝送路の形成が可能で、またパイロット信号によって位相差Φ=Φ+Φが検出可能であれば、送信端で独立の局部発信器を用いたとしても仮想直交伝送路の構築が可能となる。これによって形成される直交伝送路はこの位相差Φの影響を受けない。更に受信端から送信端へのフィードバックを必要としない。使っている行列はユニタリー行列なので特性はSVD方式と全く同じになる。
次に構成例〔4〕として、同じ太さの仮想直交伝送路を形成し、受信側のみユニタリー演算で送信側及び受信側共にアンテナ毎に独立な局部発信器を用いた場合による構成例を示す。
[構成例〔4〕:(受信側のみのユニタリー行列演算で送受局発独立構成の場合)]
この構成例〔4〕も受信端から送信端へのフィードバック情報を必要としない。また、送信、受信共に独立なアンテナ毎の局部発信器を用いることが出来る構成で、しかも特性はSVD方式と全く同じである。更に、送信アンテナ及び受信アンテナ共に、風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ方向の動きで激しい位相変位を生じても全てアンテナ毎の局発による位相変動と同じモデリングに帰着することが出来ることを利用して解析している。尚、上述の理論解析では、この様な感度の高いアンテナ方向の変位が有っても、上述の大容量化の為の通信路容量は変わらないことを解析的に示している。
[特異値直交行列Λ1/2
[通信路行列H]

を得る。以上の結果を基に構成したのが図7である。
同図において、送信側でのユニタリー行列Vによるマトリクス演算処理部は全く無く、全ての行列演算は受信側のみで行われている。受信側だけのマトリクス演算のみでも、風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高い送信側及び受信側のアンテナ位置変動(同図中Φ及びφでモデリングしている。)等の外部要因によって生じた伝送路の変動を上記の行列は含んでいて、これによって感度の高いアンテナ方向の変位が有ったとしてもそれを補償すべくユニタリー行列が作用する。
更に、この構成の特徴として、固定マイクロ波通信システムで扱う周波数の関係からアンテナ間隔を広く取る必要があり、それに伴って局部発信器をアンテナ近くに設置している。即ち、送信側及び受信側共にアンテナ毎に独立な局部発信器を用いている点に最大の特徴がある。この様に送信側、受信側共にアンテナ独立の局部発信器を用いたとしてもパイロット信号を適切に検出すればSVD方式と等価な特性を得ることが出来る。
同図において、送信信号は、パイロット信号生成部501によってアンテナ毎のパイロット信号を付加された後、送信側における局部発信器504,505とミキサ503、507を含む周波数変換部502によって無線周波数に周波数変換され、複数のアンテナからなる固定アンテナ部508からs及びsとして送出される。s及びsは等価低域表現による信号表記を用いている。
ここで注意を要するのは、アンテナ毎に独立の局部発信器504,505を用いている為に、アンテナ毎のキャリア間でキャリア同期していないことによって生じる位相雑音Φが発生する点である。図中に示した506が、それをモデリングしたものである。この様にして送出された信号は受信側における複数のアンテナからなる固定アンテナ部509にr,rとして受信される。ここで、r,rは等価低域表現による信号表記を用いている。
受信信号r及びrは、受信側における局部発信器512、513とミキサ511,515を含む周波数変換部510によってベースバンド信号に周波数変換された後、パイロット信号検出部516を通って受信側ユニタリー行列Uによるマトリクス演算処理部517で処理され、これによってMIMOの信号分離/検出が完了する。
受信側の処理で注意を要するのは、アンテナ毎に独立の局部発信器512,513を用いている点で、その為にアンテナ毎のキャリア間でキャリア同期していないことによって生じる位相雑音φが発生する。図中の514が、それをモデリングしたものである。また、使用するアンテナとしては、パラボラアンテナやホーンアンテナ等色々なものがあるがこれらに限定されるものでもない。
パイロット信号検出部516では、パイロット信号生成が送信側の局部発信器による処理より前に有り、且つパイロット検出が受信側の局部発信器による処理より後に配置されているので、[数82]におけるΦ=Φ+Φ及びφ=φ+φの検出を行うことが出来る。これによって送信側でのユニタリー行列Vによるマトリクス演算処理部を全て省略して全ての行列演算を受信側のみで行うことが出来る。[数82]より風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ位置変動(同図においてΦ及びφでモデリングしている。)等の外部要因によって生じた伝送路の変動、及び、キャリア同期していないことによる位相雑音Φやφを補償すべくユニタリー行列が作用するからである。
尚、この構成による最大のメリットは、受信端から送信端へV行列構築の為のフィードバック情報を受け渡す必要がないという点である。図中の太い矢印は、伝送路品質が21/2及び21/2に比例して構築された仮想直交伝送路を示している。
この様に送信端でユニタリー行列演算を用いない構成でも直交伝送路の形成が可能で、またパイロット信号によって位相差Φ=Φ+Φ及びφ=φ+φの検出が可能なので、送信端で独立の局部発信器を用いても、更に受信端で独立な局部発信器を用いても、仮想直交伝送路を形成することが出来る。これによる直交伝送路はこの位相差Φやφの影響を受けない。更に受信端から送信端へのフィードバックを必要としない。更に、使っている行列はユニタリー行列なので特性はSVD方式と全く同じになる。
次に構成例〔5〕として、異なる太さの仮想直交伝送路を形成し、受信側のみのマトリクス演算で、更に、送信側及び受信側共にアンテナ毎に独立な局部発信器を用いた構成例を示す。
[構成例〔5〕:(異なる太さの仮想直交伝送路で、受信側のみの行列演算、送受共にアンテナ毎の局発)]
異なる値の仮想直交伝送路を形成する例である。この構成例〔5〕も受信端から送信端へのフィードバック情報を必要としない。また、送信及び受信共に独立なアンテナ毎の局部発信器を用いることが出来る構成である。更に、送信アンテナ及び受信アンテナ共に、風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ方向の動きで激しい位相変位を生じても全てアンテナ毎の局発による位相変動と同じモデリングに帰着することが出来ることを利用して解析している。実用的なフレキシビリティのある構成とする為、最適なアンテナ位置と異なるアンテナ間距離で構成されている。従って特性はSVD方式と異なってくる。この構成の特性解析については後述する。
[特異値直交行列Λ1/2
異なる値の仮想直交伝送路を形成する例であるから、
[通信路行列H]
ここで送信側の感度の高いアンテナ変位Φは送信側の独立なアンテナ毎の局発による位相変動Φに含めてΦとし、受信側の感度の高いアンテナ変位φは受信側の独立なアンテナ毎の局発による位相変動φに含めてφとしている。

であるから、
また、

であるから、
但し、ベクトルの二乗ノルムを見ると、

であるからUは、もはやユニタリー行列ではない。従ってUを求めるには逆行列演算が必要となる。
試しに、ここで求めたU,Λ1/2,VよりHを計算してみると、

となって確かに成り立っていることが分かる。
次に、Uの逆行列U−1を考える。
任意の行列

の逆行列は、
従って、

を得る。以上の結果を基に構成したのが図8である。
異なる値の仮想直交伝送路の場合であるが、パイロット検出を適切に行えば送受信端共にアンテナ毎の局発を用いた場合でも、直交伝送路の形成が可能である。送信側でのマトリクス演算を用いない構成なので受信端から送信端へのフィードバック情報を必要とせず、送信端位相変動Φや受信端位相変動φといった速い位相変動に対応出来る。
R=5000m、d=d=5mといった最適アンテナ間位置でなくとも送信側マトリクス処理をすることなく異なる伝送路品質をもった直交伝送路の形成が可能となる。但し、Uはもはやユニタリー行列ではない。逆行列U−1となる。この為、SVD方式からの特性劣化が予想される。SVD方式とこの方式の特性差については後述する。
同図において送信信号はパイロット信号生成部601によってアンテナ毎に互いに直交するパイロット信号が付加される。用いる直交パイロット信号としてはアダマール行列から得られた直交パターンや、或いは、CAZAC系列を用いてもよい。この様にしてパイロットが付加された送信信号は、送信側における局部発信器604,605とミキサ603、607を含む周波数変換部602によって無線周波数に周波数変換され、複数のアンテナからなる固定アンテナ部608からs及びsとして送出される。s及びsは等価低域表現による信号表記を用いている。
ここで注意を要するのは、アンテナ毎に独立の局部発信器604,605を用いている為に、アンテナ毎のキャリア間でキャリア同期していないことによって生じる位相雑音Φが発生する点である。図中に示した606が、それをモデリングしたものである。この様にして送出された信号は受信側における複数のアンテナからなる固定アンテナ部609にr,rとして受信される。ここで、r,rは等価低域表現による信号表記を用いている。
受信信号r及びrは、受信側における局部発信器612、613とミキサ611,615を含む周波数変換部610によってベースバンド信号に周波数変換された後、パイロット信号検出部616を通って受信側行列Uによるマトリクス演算処理部617で処理され、これによってMIMOの信号分離/検出が完了する。受信側の処理では、アンテナ毎に独立の局部発信器612及び613を用いており、その為にアンテナ毎のキャリア間でキャリア同期していないことによって生じる位相雑音φが発生する。同図の中の614が、それをモデリングしたものである。また、使用するアンテナとしては、パラボラアンテナやホーンアンテナ等色々なものがあるがこれらに限定されるものでもない。
パイロット信号検出部616では、互いに直交するパイロット信号の生成が送信側の局部発信器による処理より前に有り、且つパイロット検出が受信側の局部発信器による処理より後に配置されているので、[数93]におけるΦ=Φ+Φ及びφ=φ+φの検出を行うことが出来る。パイロット信号で用いているパターンはアダマール系列やCAZAC系列といった直交パターンなので図示はしていないが簡単な相関器によってΦ及びφの検出が可能である。全ての行列演算を受信側のみで行うことが出来る様になったのである。即ち[数93]より風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ位置変動(同図においてΦ及びφでモデリングしている。)等の外部要因によって生じた伝送路の変動、及び、キャリア同期していないことによる位相雑音Φやφを補償すべく受信側の行列が作用するのである。
尚、この構成による最大のメリットは、受信端から送信端へV行列構築の為のフィードバック情報を受け渡す必要がないという点である。図中の太い矢印は仮想直交伝送路で、前の構成例と違って異なる太さになっている。しかし、後述する様にこの構成を用いると同じ伝送路品質となる点に特徴がある。
以上は2アンテナの構成例で示してきた。しかし、上述した様に、本発明は2アンテナの構成に限らず複数のアンテナ構成が可能である。
煩雑になるので送受のアンテナのみ図示し、他の箇所は省略するが、以下では2アンテナを超えるアンテナ数の場合を説明する。
[3アンテナによる構成例〔6〕(受信信側のみのユニタリー行列演算)]
[特異値直交行列Λ1/2
[通信路行列H]
図9より、

として、
従って、

を得る。
ここで、[数97]のΦ及びφは、送信側及び受信側における風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ位置変動によるキャリア位相変位を示しており、添え字の1及び2は、最上部のアンテナを基準とした二番目と三番目のアンテナの位相変位を示している。
また、固定マイクロ波通信で扱う周波数の関係からアンテナ間隔を広く取る必要があり、それに伴って局部発信器をアンテナ近くに設置している。即ち、送信側及び受信側共にアンテナ毎に独立な局部発信器を用いている。従って、キャリア同期していないことによる位相雑音Φやφが発生する。添え字の1及び2は、最上部のアンテナを基準とした二番目と三番目のアンテナの位相変位を示している。
上記の送信アンテナ及び受信アンテナ共に、風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ方向の動きによる激しい位相変位は、全てアンテナ毎の局発による位相変動と同じモデリングに帰着するので、[数97]による解析では、最上部のアンテナを基準に送信側の二番目、三番目のアンテナで、Φ1=ΦL1+ΦA1、Φ2=ΦL2+ΦA2とし、受信側における二番目、三番目のアンテナで、φ1=φL1+φA1、φ2=φL2+φA2として解析している。
即ち、3アンテナでも受信側のユニタリー行列演算のみで仮想直交伝送路の形成が可能である。図中の太い矢印は伝送路品質がそれぞれ31/2、31/2及び31/2に比例して構築された仮想直交伝送路を示している。
また、それぞれの位相変位をパイロット信号により適切に検出すればSVD方式と等価な特性を得ることが出来る。通信路容量は全アンテナ電力比較で3倍になる。
[4アンテナによる構成例〔7〕(受信側のみのユニタリー行列演算、送受共に局発独立)]
[特異値直交行列Λ1/2
[通信路行列H]
図10より、

として、
従って、

を得る。
ここで、[数101]のΦ及びφは、送信側、及び受信側における風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ位置変動によるキャリア位相変位を示しており、添え字の1、2、及び3は、最上部のアンテナを基準とした二番目、三番目及び四番目のアンテナの位相変位を示している。
ところで、固定マイクロ波通信で扱う周波数の関係からアンテナ間隔を広く取る必要があり、それに伴って局部発信器をアンテナ近くに設置している。即ち、送信側及び受信側共にアンテナ毎に独立な局部発信器を用いている。
従って、キャリア同期していないことによる位相雑音Φやφが発生する。添え字の1、2及び3は、最上部のアンテナを基準とした二番目、三番目及び四番目のアンテナの局部発信器の位相変位を示している。上記の送信アンテナ及び受信アンテナ共に、風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ方向の動きによる激しい位相変位は、全てアンテナ毎の局発による位相変動と同じモデリングに帰着するので、[数101]による解析では最上部のアンテナを基準に送信側の二番目、三番目、及び四番目のアンテナで、Φ1=ΦL1+ΦA1、Φ2=ΦL2+ΦA2及びΦ3=ΦL3+ΦA3とし、受信側における二番目、三番目、及び四番目のアンテナで、φ1=φL1+φA1、φ2=φL2+φA2及びφ3=φL3+φA3として解析している。
即ち、4アンテナでも受信のユニタリー行列演算のみで仮想直交伝送路の形成が可能である。図中の太い矢印は伝送路品質がそれぞれ41/2、41/2、41/2及び41/2に比例して構築された仮想直交伝送路を示している。
また、それぞれの位相変位をパイロット信号によりを適切に検出すればSVD方式と等価な特性を得ることが出来る。通信路容量は全アンテナ電力比較で4倍になる。
更に、任意のアンテナ本数で、受信のみ、送信のみ、及び送受共にマトリクス演算を用いた場合について順に説明する。
[任意のアンテナ本数N本の構成(一般解)]
任意のアンテナ本数N本の構成を考える。
[特異値直交行列Λ1/2
[通信路行列H]

として、送受位相変位の無い理想的な見通し内伝送路行列を以下の様に記す。
送信側位相変位行列Tを以下の様に定義する。
同様に受信側位相変位行列Wを右の様に定義する。
ここで

且つ

であって、Φ及びφは、送信側及び受信側における風や周囲温度等の微妙な気象条件に対する感度の高いアンテナ位置変動による位相変位をそれぞれ示しており、Φ及びφはキャリア同期していないことによる位相変動を示している。また、添え字は、最上部のアンテナを基準としたアンテナに対応した場所を示している。
従って、送受位相変位の有る実際の見通し内伝送路行列は以下の様になる。
[受信のみユニタリー行列演算構成の場合]

であるから、
従って、

を得る。
即ち、任意のNアンテナ構成でも、局発独立や感度の高いアンテナ方向のアンテナ変位に対しても受信側のみのマトリクス演算処理によって仮想直交行列を構築することが出来るのである。
因みに、
ここで、
何とならばNが偶数の時上記の任意の列ベクトル、或いは任意の行ベクトルはChu系列を巡回シフトさせたものであり、その自己相関(E[a・a*])が直交することによる。またNが奇数の場合は巡回シフトとならないが、後述より直交していることが分かる。
[送信側のみユニタリー行列演算構成の場合]

であるから、
従って、

を得る。
即ち、任意のNアンテナ構成でも、局発独立や感度の高いアンテナ方向のアンテナ変位に対しても送信側のみのマトリクス演算処理Vによって仮想直交行列を構築することが出来るのである。
[送受共にユニタリー行列演算構成の場合]
[特異値直交行列Λ1/2
従って、

ここで、任意のユニタリー行列をVとして用いると、

を得る。
因みに、

となって任意のユニタリー行列をVとして用いてもUはユニタリー行列となる。
従って、

を得る。
即ち、送受共にユニタリー行列演算構成によるNアンテナ構成でも、局発独立や感度の高いアンテナ方向のアンテナ変位に対しても受信側のみのマトリクス演算処理によって仮想直交行列を構築することが出来るのである。
このとき、固定された送信行列Vは、ユニタリー行列であれば何でも良く、受信側のユニタリー行列演算は、

となって局発やアンテナ変位による変動を補償する様に作用する。
(例)
簡単な例として、2アンテナ構造に上式を適用してみる。
固定された任意の送信行列として例えば

を選ぶ。

であるから、

となる。
以下、上記[数114]で用いた直交関係について説明する。
(付録)

における任意のm行ベクトルと任意のn列ベクトルの積を計算する。
(1) m<nの場合。
ここで、

と置くと、

従って直交する。
(2) m>nの場合。
同様に、

であるから直交する。
以上より、

以上、複数のアンテナによる構成で、アンテナ毎の感度の高いアンテナ方向の変位、並びに、アンテナ毎の局発を用いた場合のキャリア同期が出来ない構成による位相雑音を受信側のユニタリー行列Uのみで補正し通信容量がアンテナ本数倍になる構成について記した。
以下、この様な理想的でないアンテナ間距離における状態、即ち、仮想直交伝送路が異なる太さになっている状態での特性がどうなるかについて説明する。一例として構成例〔5〕を用いて記す。
[見通し内固定通信路によるSVD方式と構成例〔5〕による特性解析](異なる太さの仮想直交伝送路で、受信側のみの行列演算、送受共にアンテナ毎の局発)
実用的なフレキシビリティのある構成とする為、最適なアンテナ位置とは異なるアンテナ間距離で構成された構成例〔5〕について、SVD方式と比較しながら特性解析を行う。
構成例〔5〕より、受信信号ベクトルをrとすると、受信マトリクス演算後の信号ベクトルは、
ここで、Sは送信信号ベクトル、nは雑音ベクトルである。構成例〔5〕より、

であるから、

とし、更に相対的な値で比較する為、

として正規化すると、λチャネルのSNRは、
同様にλチャネルのSNRは、

となって直交チャネルの太さがλ1=2+2cosα, λ2=2−2cosαと異なるにも関わらずSNRは共にsin2αとなる。
[SVD方式の場合]
以下では、上記構成例〔5〕との比較の為SVD方式の特性解析を行う。
図1の構成図より、SVD方式のユニタリーマトリクス演算後の受信信号ベクトルは、

[数43]より

であるから、正規化後のλチャネルのSNRは、
同様にλチャネルのSNRは、

となって直交チャネルの太さがλ1=2+2cosα, λ2=2−2cosαに比例して各SNRもSNR1=1+1cosα, SNR2=1−1cosαとなる。
[各方式によるアンテナ間距離に対する各直交チャネルのSNRの比較]
以上の構成例〔5〕及びSVD方式による特性解析結果をアンテナ間距離d,dで比較すると図11になる。
構成例〔5〕は直交チャネルλ,λに関係なく同じSNR値を示し、アンテナ間距離に対する変化が小さいことが分かる。
実用的なフレキシビリティのある構成にする為に、固有値が重根となって特異点の生じるアンテナ間位置とは異なる構成も、送信側にフィードバック情報を送る必要がない受信側のみの処理として解析した。
受信マトリクス演算後の信号電力は構成例〔5〕もSVD方式も同じで、固有値に比例した電力となるが、SVD方式の場合、受信マトリクス演算がユニタリー行列なので、雑音電力は固有値が変わっても変化せず常に同じ値を保つ。その為SVD方式の各パスのSNRは固有値に比例した異なる値でアンテナ間距離と共に変化する。
一方、構成例〔5〕の方式はもはやユニタリー行列ではないので、雑音電力が固有値とともに変化して、その結果、信号電力が固有値に比例した大きな電力と小さな電力にも関わらず、各パスのSNRは常に同じ値を示し、アンテナ間距離に応じて同じ値で同じ様に変化するという解析結果を図11は示している。
従って、構成例〔5〕の方式は、アンテナ間距離変動しても仮想直交伝送路に対するSNRが同じで、更にその変化が小さいということを示しているので、SVD方式よりも実用的で使いやすい方式といえる。
尚、上記アンテナ毎の局発独立として理論解析した内容は、感度の高いアンテナ方向の動きに対しても同じモデリングに帰着するので、風等の微妙な気象条件による影響も全てカバーしていることになる。
次に、実際の設置場所を考慮した配置について記す。よりユーザーに近い位置ではアンテナ設定場所の確保が厳しいことが予想される。一方、基幹網に近い対向するアンテナは比較的アンテナ設置場所の確保に恵まれている可能性がある。両者のアンテナ設定位置の関係から図12の様な送受間で異なるアンテナ間距離を用いた場合について記す。
図12の伝送路を上下対称として下半分をモデリングした図13より以下の様に解析する。
相対的な位相シフト量で決まるから送受間距離Rによる距離減衰、共通位相シフトは無視して考える。以下、Rを基準に考えて、Rに対する角度Δθの対角経路の経路差は、
同様にRに対する角度Δθの対角経路の経路差は、
受信点における二波の経路差による位相回転αは、
因みにRF周波数30GHz、R=2000m、d=5m、d=2mとすると

角度Δθの対角経路で正規化されたチャネル行列Hはs送信アンテナ位置変動による位相シフトΦを考慮し、

となって今までの結果と同様の条件となる。

より、

を得る。これをグラフにしたのが図14である。
同結果より、

とすると今までの結果と同じである。提案の方式もそのまま使えることになる。
更に変形して、送受アンテナ間でアンテナ配置方向に菱形状のズレが生じた場合について記す。
図15において、上記同様にRを基準に考える。Rに対する対角経路の経路差は、
d11の場合;

d12の場合;

d21の場合;

d22の場合;
経路差による位相回転を

とすると、経路d11で正規化されたたチャネル行列Hは以下の様になる。
従って、
これより、

となって菱形状にズレが生じても各パスの太さである固有値への影響がないことが分かる。
上記チャネル行列Hの特異値分解は、
[特異値分解H=U・Λ1/2・V
また上記U,Vは、

となって、上記U、Vがユニタリー行列で、Hの特異値分解が成り立っていることが確認出来る。
即ち、菱形状にズレが生じてもずれる前の各パスの太さである固有値のままで、上記チャネル行列Hの特異値分解もユニタリー行列U,Vで実現出来る。尚、送信アンテナ位置変動による位相シフトΦが有っても上述と同様の構成が可能であることはいうまでもない。
次にこの様な菱形状のズレが生じた場合、提案の受信端のみのマトリクス演算の構成がどうなるかについて記す。
[受信端のみのマトリクス演算で送受信アンテナ間形状が菱形の場合]
本発明の受信端のみのマトリクス演算の構成で、送受アンテナ間でアンテナ配置方向に菱形状のズレが生じた場合について記す。上述の検討で得られた菱形状の通信路行列Hをそのまま用いる。
図16より一例としてejα=jとなるアンテナ間位置の場合を考えると、
[特異値直交行列Λ1/2
[通信路行列H]
ここで、

となって、菱形状のズレが生じた場合であっても提案の受信端のみのユニタリー行列演算で構成出来ることが分かる。尚、局発やアンテナ位置変動による位相シフトΦやφが有っても上述と同様の構成が可能である。
更に一般化した送受アンテナ間形状の場合を記す。見通し内で構成される無線LAN等を含む設置位置の自由度が高い応用例である。
[更に一般化した送受信アンテナ間形状の場合]
図17より、
各受信アンテナにおける位相差のみに注目した通信路行列Hは図17より、

これより、
従って、固有値が重根になる為には一項

と二項

が逆位相になれば良い。即ち、

或いは、一項と二項の差がπということで、
これより、

を得る。
この関係にd11〜d22を代入すると、

となって、

を得る。従って、重根となる条件として以下を得る。
この条件を満足するアンテナ構成ならば同じ太さのパスで色々な構成が可能である。尚、ここで用いたRと上述で用いたRとでは若干定義が異なるので注意を要する。
尚、以上の説明では外部要因によって生じるアンテナ変動や伝送路の変動、或いは、アンテナ毎に独立な局部発信器を用いることによって生じた位相変動の検出手段としてパイロット信号を用いて説明してきたが、パイロット信号を用いない処理によって検出することも可能である。例えば、情報を運ぶデータを用いる。特に図示はしていないが、等化後の判定結果を用いて位相変動を推定する方法や誤り訂正後の信号を再符号化して推定する方法等がある。以下、その方法について説明の都合上2アンテナの場合で説明する。
上述で説明した通信路行列

を用いて説明する。
送信信号ベクトル及び受信信号ベクトルをそれぞれ

とすると、以下を得る。
ここで、等化後の判定結果、或いは誤り訂正後の信号再生によって上式におけるs,sが正しく得られたとすると、

の関係より、

を得、これよりΦを検出することが出来る。
次にこの検出されたΦを用いるが、その前に[数178]の関係より、

であるから、

を得る。これよりφを検出することが出来る。
従って、パイロット信号を用いなくとも情報を運ぶデータにより、外部要因によって生じるアンテナ変動や伝送路の変動、或いは、アンテナ毎に独立な局部発信器を用いることによって生じた位相変動の検出を行うことが出来る。尚、本動作は、初期立ち上げ後の動作を示しているが、一度立ち上げを完了すると、データが絶え間なく流れているので、定常的に上記による位相変動の検出は継続される。
[LOS−MIMOのアンテナ間隔の短縮]
以上説明した内容はアンテナ自体の工夫を特に行わず、一般的なアンテナで構成した場合である。しかし、実際のアンテナを設置するには、例えばビルの上とか、ランプポストとか、必ずしも理想的なアンテナ配置が可能であるとは限らない。その様な場合、図11で示した様にアンテナ間隔dを理想的なd=5mから短縮することになり、特性が劣化する。或いは、特別な支持具を別途用意することや、場合によっては設置出来ないということになってしまい利便性に欠ける結果となる。
そこで、LOS−MIMOのアンテナの小型化をメタマテリアル誘電体によって実現する方法を説明する。
尚、見通し内MIMOをLOS―MIMO(Line Of Sight MIMO)と記すことにする。見通し内環境はLOS環境とも言う。逆に、見通し外環境はNLOS(Non-Line Of Sight)環境とも言う。
図18に示す様な送信アンテナ及び受信アンテナの前面に、レドームの様な形でメタマテリアルの装着を考える。一般的に考えられているメタマテリアルは、等方的に電磁特性が作用する様に構成することが多いが、ここでは敢えて、異方性を強調して構成する。この異方性がLOS−MIMOのアンテナの小型化に味方する。使用する異方性メタマテリアルは、メタマテリアル誘電体で周期的に配列された偏極Pの構造体である。Pによる双極子能率によって、マイクロ波の入射角により等価的な誘電体の誘電率が変化するのである。
尚、メタマテリアル誘電体の構成要素の配置方法については、製造の容易性を考慮して異方性を示す角度等の精度を要しない方法を用いるのが好ましい。マイクロ波の入射角により、この偏極Pにより誘電率が高い程入射マイクロ波の波長が短縮され、結果としてLOS−MIMOのアンテナの間隔が小さくなるように作用する。
尚、図18において、MIMOのアンテナの送受間でそれぞれ対向するアンテナ間のマイクロ波を直接対向波と呼び、クロスするアンテナ間のマイクロ波を交差波という言い方をする。
また、図18のLOS−MIMOの開口面アンテナの前面にレドームの様な形でメタマテリアル誘電体の装着を考えているが、ここで、レドームとは、アンテナを保護するカバーでアンテナの前面に装着されているものである。また、この様なLOS−MIMOの環境で、アンテナの指向性は変えずにアンテナの間隔を短縮する。
LOS−MIMOのアンテナの小型化の為に用いるのがメタマテリアル誘電体で、その偏極Pによる誘電率を用いて小型化を行うので、その具体的な構成の説明に入る前に実効的な誘電率の測定法について記しておく。
[メタマテリアル誘電体の実効的な誘電率の測定](均質化の概念としての有効誘電率の抽出法)
メタマテリアル誘電体は、電磁波の波長より十分小さな要素を周期的に組み合わせて配置され構成される。その結果得られる実効的な誘電率εがどうなるか、均質化の概念とあいまってその抽出法が重要である。
実効的な誘電率を簡便に設計したいとき、任意の単位素子と配置に対して電磁界解析が必要となるが、簡便な方法があれば有意義である。そこで、図19の様な方法を考える。
単位素子が周期的境界面を境に無限に並んでいるものとする。左端面から入射する平面波で励振したときの値を媒質の右端を開放、あるいは短絡した時の左端面から見たインピーダンスが等質媒質と等しくなる様に決定する。
今、左端面から右側を見た入力インピーダンスを、メタマテリアル誘電体の場合はZ、連続媒質かつ等質媒質の場合をZとする。それぞれの媒質の右端を短絡した場合をZMS、ZTSとし、開放した場合をZMO、ZTOとする。
連続媒質と等価であるためには、

なる関係が必要である。マイクロ波工学の基礎理論より、次式の関係が成り立つ。
両式を[数183]に示す関係で割ると、

掛けると

従って、得られた入力インピーダンスZMS、ZTSより、実効的な誘電率εを求めることが出来る。
次に、測定で求める代わりに、解析的にメタマテリアル誘電体の実効誘電率を求める。
[メタマテリアル誘電体(Artificial Dielectrics)]
通常の誘電体は微視的大きさの分子の粒子から構成されている。一方、人工的に作られたメタマテリアル誘電体は巨視的な大きさの別々の金属粒子から出来ている。この粒子の大きさは、使用周波数に比べて小さいものである。例えば電界に平行な大きさは1/4波長よりも小さい。粒子の形状は、金属の球、盤、片、棒等が考えられる。
[予備検討]
始めに、球の場合を考える。電界Eの中に帯電していない導体球を置く。電界によって正と負の電荷が誘導される。これを図19の様に、距離δlだけ離れた+Qと−Qの点電荷によって代表させる。ベクトルの距離δlは−Qから+Qへ向かう。この様な配置は双極子能率(dipole moment)Qδlの電気双極子(electric dipole)として知られている。
双極子能率Mは、

で定義されるベクトルである。その方向は−QからQ方向に向かう。この双極子による電界を考える。図の電荷+Qからベクトルr、−Qからベクトルr隔てた点Pの電位V

である。ここで、双極子中央部からのP点へのベクトルrがδlに比べて十分大きい場合、

従って、
メタマテリアル誘電体の偏極(分極)Pを、この双極子能率Mの微少体積δV中での和と定義する。
ε・Eも分極Pも面積分すると電荷になるような量である。このことは以下の解析より分かる。
今、任意の形をしたメタマテリアル誘電体が分極した為に現れる電荷を求める為、体積中に双極子が立体的に分布しているとする。任意の点Z(xz,yz,zz)の周りの微小体積δvを双極子と考え、その能率はP・δvであるから、図21の解析モデルよりX点の電位は、上式より、
何とならば、

注)
しかし、体積積分を行うに当たって被積分関数は点Zの関数とする必要がある。現状はZ固定で点Xの関数となっている。そこで、rの方向を逆にする。(図21参照のこと。)即ち、



とする。図20の左の座標軸によるポテンシャルの勾配をgradx、右の座標軸によるポテンシャルの勾配をgradzとする。ここで、

であり、

である。
図21よりベクトルrの方向が逆になっているから、直感的な例としてx軸の一次元で見ると、図22の様になり、右図の動点xに対して、電界Eは、
従って、[数192]の式は、被積分関数の点Zを動点として、

となる。ここで、

であるから、上式は、
ここで、閉曲面S上のベクトルJに対して、dSの向きは閉局面Sによって囲まれた領域Vの外側向きを正として、

であるから、上記[数202]の式の第一項は、

となる。SはVを囲む閉曲面である。Pnは電荷面密度となるもので、面dSに対して垂直な偏極(分極)Pの成分である。即ち、体積Vの境界面Sに電荷密度Pnの電荷が生じていることを意味する。
ここで、電界は図23より

で、その面積分は、

であるから、
これを上記[数203]の式の微視的な面積分と体積分に適用すると、

となる。また電位は
従って、[数202]の式の第二項

は、体積Vの中に体積密度−∇・Pの電荷が生じていることを意味する。
境界面S上の電荷密度Pnの電荷と体積V中の体積密度−∇・Pの電荷としてX点の電位Vを表記すると、

となる。そこで、体積Vに入った電波を考える。等価的に体積Vは体積密度−∇・P=−div(P)の電荷が漂流している。また真の電荷ρも存在しているとすると、等価的にその中の電界Eは、

なる関係を満足する筈である。そこでこの等価的な電荷も含めて扱う為、電界に対応する電束密度Dを考える。電束密度Dの空間上の作用は、変位電流として直感的に見るのがこの場合には適当である。
変位電流は、

である。
[数212]の式と[数213]の式の意味するところは、図24に示す様に、divPが値を持つのはPに変化のある場所である。その場所では電界Eによって誘起される電荷ρ=ε0・E=ε0・div(E)によって電界Eがバランスするが、偏極電荷ρP=−div(P)が存在する為にトータルでε0・div(E)−div(P)の電荷が存在することになり、電荷の量が減ってEとバランスすることが出来なくなる。そこで、ρP=−div(P)を相殺する為の追加の電荷が変位電流の増量という形で流れるのである。このことは、

のεが増加したことに他ならず、その値はρP=−div(P)を相殺するのであるから、

であり、

ベクトルPとベクトルEの方向は同じで、定数倍の違いのみであるから、2項はその定数倍となり

上述よりM=Q・δlでM=Pδvであるから偏極Pは立方メートル当たりの電気双極子の数をNとすると
従って、

を得る。
上記で記した図25の一様な電界Eに置かれた球の外部の電位(ポテンシャル)は、元々有る電界Eによるポテンシャルと電気双極子Pによるポテンシャルの和として表せる。今、図25のP点の電位を見ると、元々有る電界Eによるポテンシャルは、ベクトルrを軸として、原点r=0からの電位差となるから、
一様な電界に置かれた球の外部のポテンシャルV0は電気双極子Pによるポテンシャルとこの元々有る電界EによるポテンシャルVの和である。電気双極子Pによるポテンシャルは、上述の[数191]の式より、
従って、
上記の電界Eによるポテンシャルは、ベクトルrを軸として、原点r=0を起点にしている。また、電気双極子Pによるポテンシャルは、+の電荷と−の電荷の中央では電位零の場所が現れ、そこを起点に電界と平行な経路を上げると、電位零のまま無限の位置まで延ばすことが出来る。(偏極ベクトルPとベクトルrが直交している経路は又電界Eとも直交する。)球は導体であるから球のどの場所の電位も全て等しい。又電位零のまま延ばした無限大点の電位も等しい。そこで、その電位を零と置くと、球の表面ではV0=0[v]の電位である。従って、
従って、

を得る。これを[数219]の式に代入すると、

を得る。
以上の検討内容を用いて異方性メタマテリアル誘電体によるLOS−MIMOのアンテナ間隔の短縮例を以下に詳細に説明する。
[異方性メタマテリアル誘電体(Artificial Dielectrics)]
図26の右図の様に置かれた直方体或いは楕円の傾きαによるメタマテリアル誘電体の誘電率の値εの変化を見る。
αがδα変化すると、δlは、

へと増加する。
偏極によるメタマテリアル誘電体の誘電率が支配的だとするとδαによって変化する誘電率δεの割合は、
このメタマテリアル誘電体の媒質の厚さをsとする。媒質内における波長λは、

である。従って誘電率が高い程波長は短縮される。
[異方性メタマテリアル誘電体を用いたLOS−MIMOのアンテナ間隔の短縮の例]
以上得られた結果を用いてアンテナ間距離dがどのくらい短縮されるかを示す。説明を分かり易くする為に図27に示したアンテナの配置で行うが、このアンテナ配置に限ったことではない。
図27のアンテナ配置の実施例で説明する。図27において送信アンテナ2501、2502の前面にマテリアル2503,2504をレドームの様な形で装着している。このマテリアル2503,2504は異方性メタマテリアル誘電体であって、その誘電率εは交差波の方向には大きくなる様に、また直接波の方向には小さくなるようにその異方性メタマテリアル誘電体素子を斜めに配置している。図26の角度αがその斜めの配置を表しており、[数227]の式により交差波と直接波の角度差δαによってδεが異なることになる。更に、斜めの角度αの置き方で、交差波に対して誘電率が大きく、直接波に対して誘電率が小さくなることは上述の議論で容易に理解出来る。
更に、受信アンテナ2505、2506の前面に対してマテリアル2507,2508がレドームの様な形で装着されている。マテリアル2503,2504は異方性メタマテリアル誘電体であって、その誘電率εは交差波の方向には大きくなる様に、また直接波の方向には小さくなるようにその異方性メタマテリアル誘電体素子を斜めに配置している。上述同様に、図26と[数227]の式の関係からそのことは容易に理解出来る。ここで、[数228]の式の関係から、誘電率が高い程、波長が短縮されるから、交差波に対して同じ距離の伝搬でもその搬送波の位相回転が直接対向波に対する搬送波の位相回転よりも大きくなる。即ち、同じ位相回転で考えると、交差波の距離は短くて済むことになる。その結果、図27から容易に理解出来る様に、アンテナ間隔dを短縮する様にマテリアル2503,2504或いはマテリアル2507,2508は作用する。
また、片方のアンテナだけに装着してもそのアンテナの交差波に対する搬送波の位相回転が大きくなるから、アンテナ間隔短縮効果は小さくなるがそれなりの効果は生じる。この実施例の場合、説明のし易さから送信アンテナと受信アンテナの両方にメタマテリアルが装着されているが、送信側のみ、或いは受信側のみでも、片方でも交差波に対して波長が短縮されアンテナ間隔dの短縮効果が、程度の差こそあれ存在する。
以上説明した異方性メタマテリアルがアンテナ間隔を短縮する様に作用する現象を、具体的に、定量的に、以下で説明する。
今、厚さSの異方性メタマテリアル誘電体を通過することによって生じる直接対向波と交差波の位相差は、直接対向波に対する伝搬定数をβ、交差波に対する伝搬定数をβ’とすると、[数227]の式より、

ここで、

とした。
注)これは[数227]の式を用いた。また「’」は交差波に対応。空間の伝搬定数β0

としている。
そこで、[数227]の式において、以下の条件1を用いる。この条件によって異方性を示す角度等の精度を要することなく、製造が容易になる。また、この条件そのものも厳密性を要しない。
(条件1)

この条件によって、cotα=1となるから、
従って、位相差は、
また、送受間隔R、アンテナ間隔dによる経路差は、
従って、異方性メタマテリアルによる短縮効果によりMIMOアンテナ間隔dの関係は、始めに示したLOS−MIMOの最適なアンテナ配置を考慮すると、

ここで、

で近似した。また、×2は送受両アンテナ分を考慮したものである。

はradから距離に変換する為のものである。更に

を用いた。
[数236]の式の関係より、異方性メタマテリアル誘電体を用いたLOS−MIMOのアンテナの小型化の効果は以下の方程式を解けば良いことに帰着する。
この方程式を解くと、

注)解の内、正の値を求めれば良い。
以上の結果を用いて下記(1)、(2)の二つの例で求めた異方性メタマテリアル誘電体によるLOS−MIMOのアンテナ間隔短縮効果について次に示す。
(1)60GHz、R=100m (Short−Range)
(2)80GHz(E−band)、R=1000m
図28は上記(1)の場合で、搬送波周波数60GHzで運用した場合で、送受間距離R=100mに置かれたLOS−MIMOの異方性メタマテリアル誘電体によるアンテナ間距離dの短縮効果を示したグラフである。
同図は[数231]で示した比誘電率

をパラメータとして用いている。横軸は異方性メタマテリアル誘電体の厚さSである。縦軸はアンテナ間距離dである。LOS−MIMOのアンテナ前面に何も装着しない通常のLOS−MIMOの最適なアンテナ間隔である距離dはS=0の場合に相当する。この実施例の場合ではd=50cmがそれにあたる。それに対して異方性メタマテリアル誘電体をアンテナの前面に装着させ、厚さSを増やしていくと、最適なアンテナ間隔である距離dが急激に短縮されることが図28より分かる。
即ち、上記で説明した様に、アンテナの前面にレドームの様な形で装着した異方性メタマテリアル誘電体によって、交差波に対する搬送波の位相回転と、直接対向波に対する搬送波の位相回転を変えることでMIMOの最適なアンテナ間隔を短縮出来るのである。
次の例は上記(2)の場合で図29にそのアンテナ間隔短縮効果が示されている。搬送波周波数80GHzで運用した場合で、送受間距離R=1kmに置かれたLOS−MIMOの異方性メタマテリアル誘電体によるアンテナ間距離dの短縮効果を示したグラフである。
同図も[数231]で示した比誘電率

をパラメータとして用いている。横軸は異方性メタマテリアル誘電体の厚さSで、縦軸はアンテナ間距離dである。LOS−MIMOのアンテナ前面に何も装着しない通常のLOS−MIMOの最適なアンテナ間隔である距離dはS=0でこの実施例の場合ではd=140cmがそれにあたる。それに対して異方性メタマテリアル誘電体をアンテナの前面に装着させ、厚さSを増やしていくと、最適なアンテナ間隔である距離dが急激に短縮されることが図29より分かる。
即ち、上記で説明した様に、アンテナの前面にレドームの様な形で装着した異方性メタマテリアル誘電体によって、交差波に対する搬送波の位相回転と、直接対向波に対する搬送波の位相回転を変えることでMIMOの最適なアンテナ間隔を短縮出来るのである。
尚、以上のやり方は、上述の固有値が重根となる構成例〔1〕の送信側のみのマトリクス演算の場合も、構成例〔2〕の場合も、重根となる構成例〔3〕の受信のみの行列演算で、送信局発独立構成の場合も、構成例〔4〕で送受局発独立構成の場合も、更に構成例〔5〕の場合も、同様に用いることが出来ることはいうまでもない。
即ち、アンテナの前面にレドームの様な形で装着した異方性メタマテリアル誘電体によって、交差波に対する搬送波の位相回転と、直接対向波に対する搬送波の位相回転を変えることで上述の構成例で示したMIMOの最適なアンテナ間隔を短縮出来るのである。
[LOS−MIMOのアンテナ間隔の短縮(その2)]
以上説明した方法はメタマテリアルを用いた例である。ここではアンテナの前面に置かれたマテリアルを別の構成で実現する。パスレングスを制御する様に構成された平行な金属板の集合で構成する例である。以下、図を用いて詳細に説明する。
図30がその例である。同図で中央に置かれた厚さsの部分が金属板ガイドで構成されたマテリアルである。同図の水平方向の平面波が直接対向波に相当し、左下から斜め上方向の平面波が交差波に相当する。
このマテリアルのアンテナへの装着は上記のメタマテリアルと同じで、図27の様に行われる。従って、金属板ガイドの方向は対向するアンテナ方向に対して斜めになるように配置されている。
この角度θの金属板ガイドが入ると、パスレングスが制御され、厚さSのマテリアルを通ることによって生じる位相回りは、
従って、角度θがδθ変化すると位相の変化は、

となる。ここで、上述の異方性メタマテリアル誘電体を用いた式(条件1)と同じθをπ/4とすると、金属板ガイドを通過することによって生じる直接対向波と交差波の位相差は、

となる。この式は丁度異方性メタマテリアル誘電体を用いた直接対向波と交差波の位相差の[数234]の式

に相当するので、同様の原理によってLOS−MIMOのアンテナ間隔の短縮が可能となる。
即ち、図30の様にパスレングスを制御する様に構成された平行な金属板の集合によって交差波に対する搬送波の位相回転と、直接対向波に対する搬送波の位相回転を変えることが出来、上述の構成例で示したMIMOの最適なアンテナ間隔を短縮出来るのである。なお、上記の異方性メタマテリアル誘電体や金属板ガイドにより構成されたマテリアルは、最適なアンテナ間隔を短縮できるものであり、明細書において最適アンテナ間隔短縮手段ともいう。
[電気的な位相回転の制御を用いたMIMOのアンテナ間隔の短縮]
近年、室内におけるHDTV動画の実時間での非圧縮伝送等の家電製品で、短距離高速デジタル無線伝送を行う様になってきており、高速化の為にMIMOを使う、所謂、短距離MIMO(Short range MIMO)が検討されつつある。しかし室内の為に見通し内伝搬路になることが多く、通常のMIMOでは特性が極端に劣化するという問題があった。そこで上述の決定論的通信路を含む伝搬環境のMIMOシステムを用いることになるが、室内であるから広いスペースを占領するアンテナ間隔が問題となることが予想される。
また、室内であるから家電製品の移動に伴ってアンテナ間隔等の見通し内MIMO伝送路構築上の幾何学的な位置を変更する必要性が生じる。専門知識の無い家電の使用者にとってアンテナ設置の変更は厄介であり、利便性に欠ける。
図31に示すShort range MIMOは、これらの問題に対処した室内の見通し内伝搬環境でも問題なく動作する構成を示している。見通し内環境における直交伝送路の形成用行列演算処理は既に詳細な説明の前半で十分に説明しており、同じ処理を用いることが出来るので説明を省略する。
ここでは、アンテナ間隔dを短縮する構成を説明する。図31においてアンテナ素子2901,2902の前面にマテリアル2903,2904が装着されている。このマテリアル2903,2904は既に説明した異方性メタマテリアル誘電体でもよいし、金属板ガイドでもよい。そのマテリアル2903,2904には電気信号2905が接続されており、異方性メタマテリアルの誘電体素子の角度αや金属板ガイドの角度θが電気信号2905につながれたMEMS(Micro Electro Mechanical Systemsの略)によってαやθが変更出来る様になっている。[数244]や[数230]の式から分かる様に、αやθが変わると直接対向波と交差波の位相回転と位相差が変わる。従って、LOS―MIMOの為のアンテナ間隔が電気信号2905によって自動的に制御され、物理的に同じアンテナ間隔dであってもLOS−MIMOの最適なアンテナ間隔に合わせ込むことが出来るのである。このメカニズムによって、アンテナ毎に受信したパイロット信号を基に適応的な最適アンテナ間隔合わせ込み機構も可能となる。このように最適なアンテナ間隔に合わせ込む制御は送信機側又は受信機側のコンピュータ(図示せず)により行ってもよい。
[液晶による位相回転の制御を用いたMIMOのアンテナ間隔の短縮]
液晶とは二枚の板の間に液晶分子を入れ電圧をかけることによって液晶分子の向きを変えるというものである。この液晶分子と異方性メタマテリアル素子を連動させる。すると、液晶分子に掛けられた電圧によって異方性メタマテリアルの素子の角度αが電気信号によって変更出来るようになる。[数230]から分かる様に、αが変わると直接対向波と交差波の位相回転と位相差が変わる。従ってLOS―MIMOの為のアンテナ間隔が電気信号により自動的に制御され、物理的に同じアンテナ間隔であってもLOS―MIMOの最適なアンテナ間隔に合わせ込むことが出来るのである。
これによって室内における家電製品等で使用が予想されている短距離MIMO(Short range MIMO)で、スペースを占領するアンテナ設置と設置変更に際し、その利便性を向上させたMIMO通信システムを提供することが出来る。なお、上記のMEMSや液晶は傾斜角度αやθを変更することができ、明細書において傾斜角度変更手段ともいう。
[移動通信システムへのMIMOアンテナ間隔短縮の適用]
移動通信システムでは、上述した様に反射や散乱を繰り返す所謂リッチスキャッタリング環境ではあるが、近年の小セル化に伴って見通し内で到来する電波の割合が増加して来ている。この様な環境下にあって従来の見通し外(以下、NLOSと略す)のMIMOを想定したやり方では特性が極端に劣化する。
即ち、NLOS環境下の移動通信システムであっても、決定論的通信路を含む伝搬環境への対策が必要になってきており、その為にはアンテナ間隔を広げるといったMIMOシステム構築上の制約が大きく立ちはだかっている。
移動通信システムの電波伝搬環境は、NLOS(見通し外)とLOS(見通し内)の合成としてみることが出来る。上述の見通し内伝搬環境で最適化されたLOS−MIMOを見通し外のNLOSで用いても特性劣化は生じない。逆に、見通し外のNLOS環境で使われていたMIMOを見通し内のLOS環境で用いると特性が極端に劣化する。
従って、LOS−MIMOを前提としてMIMOシステムを構築した方が特性が良くなる。しかしその為にはアンテナ間隔を広げる必要があり、システム構築上の制約となるのである。
そこで、図32に示す様に、アンテナ3001,3002の前面に、交差波に対する搬送波の位相回転と、直接対向波に対する搬送波の位相回転を変えるマテリアル3003,3004を装着させる。これによってアンテナ間隔が既に説明してきた原理によって短縮されるので、システム構築上の制約条件が緩和される。
ここで、移動通信の場合は複数の端末で構成される。従って、マテリアル3003,3004内の例えば異方性メタマテリアル誘電体素子の角度αをどの様に設定するかという問題になる。その場合には例えば、時分割で有る端末に割り当てられた期間はその端末の位置に合わせてαをセットし、他の端末の時には別の値にαをセットするといった扱いが可能である。時分割処理が出来ない場合には、ホットスポット等のMIMOの対象となる端末が集まった位置に対して平均的に最も良くなるαをセットする。これでLOS伝搬環境による特性劣化が緩和されるのである。
(作用・効果)
以上説明した様に、本発明の一実施形態では、決定論的通信路を含む伝搬環境下のMIMO通信システムにおいて、送信側または受信側或いは送受共に通信路行列演算処理手段を備え通信路行列演算処理手段にて直交伝送路を形成し、通信路行列を形作る送信アンテナまたは受信アンテナあるいは送受共にアンテナの前面に、交差波に対する搬送波の位相回転と、直接対向波に対する搬送波の位相回転を変えるマテリアルを具備し、最適アンテナ間隔を短縮する様に作用させることを特徴としているので、MIMO通信システムを構築する上での制約条件となっていたアンテナ配置問題を解消することができる。
更に、本発明の一実施形態では、決定論的通信路を含む伝搬環境下のMIMO通信システムにおいて、通信路行列の固有値が重根になるべくその通信路のアンテナ間距離による幾何学的パラメータを設定し、固有値に基づいて得られる特異ベクトルあるはその線形和によって得られる特異ベクトルに基づいて構成されるユニタリー行列によって送信或いは受信側での行列演算を行うことにより直交伝送路を形成すると共に、通信路行列を形作る送信アンテナまたは受信アンテナ或いは送受共にアンテナの前面に、交差波に対する搬送波の位相回転と、直接対向波に対する搬送波の位相回転を変えるマテリアルを具備し、最適アンテナ間隔を短縮する様に作用させることを特徴としているので、MIMO通信システムを構築する上で制約条件となっていたアンテナ配置問題を解消することが出来る。
更に、本発明の一実施形態では、決定論的通信路を含む伝搬環境のMIMO通信システムにおいて、送信側または受信側、或いは送受共に通信路行列演算処理部を備え、通信路行列演算処理部にて直交伝送路形成用行列を送信アンテナ又は受信アンテナの位置変動或いは送受のアンテナの位置変動または伝送路の変動により更新すると共に、通信路行列を形作る送信アンテナまたは受信アンテナあるいは送受共にアンテナの前面に、交差波に対する搬送波の位相回転と、直接対向波に対する搬送波の位相回転を変えるマテリアルを具備し、最適アンテナ間隔を短縮する様に作用させることを特徴としているので、通信路行列演算処理手段にて送信アンテナ又は受信アンテナの位置変動又は伝送路の変動の補正を行う際に、アンテナ配置問題を解消したアンテナ構成で送信アンテナ又は受信アンテナの位置変動又は伝送路の変動を吸収してMIMO通信システムを実現出来る。
更に、本発明の一実施形態では、決定論的通信路を含む伝搬環境のMIMO通信システムにおいて、通信路行列の固有値が重根になるべく通信路の幾何学的パラメータを設定し、固有値に基づき得られる固有ベクトル或いはその線形和によって得られる固有ベクトルに基づいて構成されるユニタリー行列演算を送信側或いは受信側のどちらか一方のみにおいて行うことにより仮想的な直交伝送路を形成すると共に、通信路行列を形作る送信アンテナまたは受信アンテナ或いは送受共にアンテナの前面に、交差波に対する搬送波の位相回転と、直接対向波に対する搬送波の位相回転を変えるマテリアルを具備し、最適アンテナ間隔を短縮する様に作用させることを特徴としているので、アンテナ配置問題を解消し、逆回線によるフィードバック情報のいらない構成で、受信のみ処理とする構成や送信のみの処理とする構成など柔軟性のあるシステム設計を行うことが出来る。
更に、本発明の一実施形態では、決定論的通信路を含む伝搬環境のMIMO通信システムにおいて、MIMO通信システムが複数のアンテナを用いた固定マイクロ波通信システムであって、送信側または受信側或いは送受信共にアンテナ毎に独立な局部発信器を用いて構成されると共に、通信路行列を形作る送信アンテナまたは受信アンテナ或いは送受共にアンテナの前面に、交差波に対する搬送波の位相回転と、直接対向波に対する搬送波の位相回転を変えるマテリアルを具備し、最適アンテナ間隔を短縮する様に作用させることを特徴としているので、アンテナ配置問題を解消し、固定マイクロ波通信用MIMOシステム構築上の制約条件となっていたアンテナ間キャリア同期の問題を、アンテナ間隔を短縮しつつ解消することが出来る。
更に、本発明の一実施形態では、決定論的通信路を含む伝搬環境のMIMO通信システムにおいて、上記のマテリアルが異方性メタマテリアル誘電体であって、メタマテリアル誘電体素子は対向アンテナ方向に対して斜めになるように配置されたことを特徴としているので、アンテナ間隔を短縮する際に使われる構造体を小型で効率よく実現出来る。
更に、本発明の一実施形態では、決定論的通信路を含む伝搬環境のMIMO通信システムにおいて、上記のマテリアルがパスレングスを制御する様に構成された平行な金属板の集合であって、金属板ガイドの方向は対向アンテナの方向に対して斜めになる様に配置されたことを特徴としているので、そのアンテナ間隔を短縮する際に使われる構造体を簡単に実現出来る。
更に、本発明の一実施形態では、決定論的通信路を含む伝搬環境のMIMO通信システムにおいて、上記のマテリアルが電気的に位相回転量の制御が可能であって、最適なアンテナ間隔を自動的に制御することを特徴としているので、アンテナ設置位置に変動があっても動的に対応することが出来る。
更に、本発明の一実施形態では、決定論的通信路を含む伝搬環境のMIMO通信システムにおいて、上記のマテリアルが電気的に位相回転量の制御が可能であって、液晶により誘電体素子の方向を変更することによりアンテナ間隔を自動的に制御することを特徴としているので、最適なアンテナ間隔の自動制御を小型で効率よく実現出来る。
更に、本発明の一実施形態では、決定論的通信路を含む伝搬環境のMIMO通信システムにおいて、LOS環境とNLOS環境が混在したMIMO通信システムにおいても、通信路行列を形作る送信アンテナまたは受信アンテナあるいは送受共にアンテナの前面に、交差波に対する搬送波の位相回転と、直接対向波に対する搬送波の位相回転を変えるマテリアルを具備し、最適アンテナ間隔を短縮する様に作用させることを特徴としているので、移動通信システムでLOS電波伝搬環境を含むMIMO通信システムを構築する上での制約条件となっていたアンテナ配置問題を解消することができる。
更に、本発明の一実施形態によると、固定マイクロ波通信システムの様に決定論的な見通し内通信路へのMIMOの適用で通信路容量を増加させた空間分割多重方式並びに空間分割多重型の固定マイクロ波通信装置を提供すると共に、実際にアンテナを設置する際に場所の確保等のMIMO通信システム構築上の制約を解消したMIMO通信システムを提供することができる。
更に、本発明の一実施形態によると、受信端から送信端へユニタリー行列構築の為のフィードバック情報を必要とする従来のSVD方式と違い、フィードバック情報を必要とせずSVD方式と等価な性能を発揮する空間分割多重方式並びに空間分割多重型の固定マイクロ波通信装置を提供すると共に、実際にアンテナを設置する際に場所の確保等のMIMO通信システム構築上の制約を解消したMIMO通信システムを提供することができる。
更に、本発明の一実施形態によると、反射や散乱を繰り返す所謂リッチスキャッタリング環境の移動通信システムでも、近年の小セル化に伴って見通し内で到来する電波の割合が増加し、NLOSを想定した従来のMIMOのやり方で特性劣化が発生しても、これらの問題を、アンテナ設置上の制約を解消しつつ解決したMIMO通信システムを提供することができる。
更に、本発明の一実施形態によると、室内における家電製品等での使用が予想されている短距離MIMO(Short range MIMO)で、広いスペースを占領するアンテナ設置と設置変更に際し、その利便性を向上させたMIMO通信システムを提供することができる。
なお、上記の通信システム、送信機、受信機、アンテナは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合せにより実現することができる。また、上記の通信方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらに組合せにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
本願は、日本の特願2013−114036(2013年5月30日に出願)に基づいたものであり、又、特願2013−114036に基づくパリ条約の優先権を主張するものである。特願2013−114036の開示内容は、特願2013−114036を参照することにより本明細書に援用される。
本発明の代表的な実施の形態が詳細に述べられたが、様々な変更(changes)、置き換え(substitutions)及び選択(alternatives)が請求項で定義された発明の精神と範囲から逸脱することなくなされることが理解されるべきである。また、仮にクレームが出願手続きにおいて補正されたとしても、クレームされた発明の均等の範囲は維持されるものと発明者は意図する。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
送信機と受信機とを含み、決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムであって、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設けたMIMO通信システム。
(付記2)
前記最適アンテナ間隔短縮部は異方性メタマテリアル誘電体から構成され、前記異方性メタマテリアル誘電体の誘電体素子が対向アンテナ方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする付記1に記載のMIMO通信システム。
(付記3)
前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように液晶により前記誘電体素子の前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする付記2に記載のMIMO通信システム。
(付記4)
前記最適アンテナ間隔短縮部は平行な金属板の集合から構成された金属板ガイドであり、金属板ガイドのガイド方向が対向アンテナの方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする付記1に記載のMIMO通信システム。
(付記5)
前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるようにMEMS(Micro Electro Mechanical System)により前記金属板ガイドの前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする付記4に記載のMIMO通信システム。
(付記6)
前記最適アンテナ間隔短縮部が送信アンテナ若しくは受信アンテナ又は送信アンテナと受信アンテナの両方の前面に設けられることを特徴とする付記1〜5のいずれか1に記載のMIMO通信システム。
(付記7)
送信側若しくは受信側又は送信側と受信側の両方に、直交伝送路を形成する為の行列演算処理を表す行列である直交伝送路形成用行列に基づいて行列演算処理を実行する行列演算処理部を備え、該行列演算処理部にて直交伝送路を形成することを特徴とする付記1〜6のいずれか1に記載のMIMO通信システム。
(付記8)
通信路行列の固有値が重根になるべく前記通信路のアンテナ間距離による幾何学的パラメータを設定し、該固有値に基づいて得られる特異ベクトルあるはその線形和によって得られる特異ベクトルに基づいて構成されるユニタリー行列によって送信或いは受信側での行列演算を行うことにより直交伝送路を形成することを特徴とする付記1〜7のいずれか1に記載のMIMO通信システム。
(付記9)
前記行列演算処理部にて直交伝送路形成用行列を送信アンテナ又は受信アンテナの位置変動、或いは送受のアンテナの位置変動又は伝送路の変動により更新することを特徴とする付記1〜8のいずれか1に記載のMIMO通信システム。
(付記10)
前記通信路行列の固有値が重根になるべく通信路の幾何学的パラメータを設定し、前記固有値に基づき得られる固有ベクトル或いはその線形和によって得られる固有ベクトルに基づいて構成されるユニタリー行列演算を送信側或いは受信側のどちらか一方のみにおいて行うことにより仮想的な直交伝送路を形成することを特徴とする付記1〜9のいずれか1に記載のMIMO通信システム。
(付記11)
前記MIMO通信システムが複数のアンテナを用いた固定マイクロ波通信システムであって、送信側または受信側或いは送受信共にアンテナ毎に独立な局部発信器を用いて構成されることを特徴とする付記1〜10のいずれか1に記載のMIMO通信システム。
(付記12)
決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおける送信機であって、前記送信アンテナの前面に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設けた送信機。
(付記13)
前記最適アンテナ間隔短縮部は異方性メタマテリアル誘電体から構成され、前記異方性メタマテリアル誘電体の誘電体素子が対向アンテナ方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする付記12に記載の送信機。
(付記14)
前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように液晶により前記誘電体素子の前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする付記13に記載の送信機。
(付記15)
前記最適アンテナ間隔短縮部は平行な金属板の集合から構成された金属板ガイドであり、金属板ガイドのガイド方向が対向アンテナの方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする付記12に記載の送信機。
(付記16)
前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるようにMEMS(Micro Electro Mechanical System)により前記金属板ガイドの前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする付記15に記載の送信機。
(付記17)
決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおける受信機であって、前記送信アンテナの前面に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設けた受信機。
(付記18)
前記最適アンテナ間隔短縮部は異方性メタマテリアル誘電体から構成され、前記異方性メタマテリアル誘電体の誘電体素子が対向アンテナ方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする付記17に記載の受信機。
(付記19)
前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように液晶により前記誘電体素子の前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする付記18に記載の受信機。
(付記20)
前記最適アンテナ間隔短縮部は平行な金属板の集合から構成された金属板ガイドであり、金属板ガイドのガイド方向が対向アンテナの方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする付記17に記載の受信機。
(付記21)
前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるようにMEMS(Micro Electro Mechanical System)により前記金属板ガイドの前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする付記20に記載の受信機。
(付記22)
決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信側のアンテナと受信側のアンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおける送信側又は受信側のアンテナであって、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を前面に設けたアンテナ。
(付記23)
前記最適アンテナ間隔短縮部は異方性メタマテリアル誘電体から構成され、前記異方性メタマテリアル誘電体の誘電体素子が対向アンテナ方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする付記22に記載のアンテナ。
(付記24)
前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように液晶により前記誘電体素子の前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする付記23に記載のアンテナ。
(付記25)
前記最適アンテナ間隔短縮部は平行な金属板の集合から構成された金属板ガイドであり、金属板ガイドのガイド方向が対向アンテナの方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする付記22に記載のアンテナ。
(付記26)
前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるようにMEMS(Micro Electro Mechanical System)により前記金属板ガイドの前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする付記25に記載のアンテナ。
(付記27)
決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信側の送信アンテナと受信側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおけるMIMO通信方法であって、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間にて、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮ステップを含むMIMO通信方法。
(付記28)
前記最適アンテナ間隔短縮ステップは異方性メタマテリアル誘電体から構成されたマテリアルを、前記異方性メタマテリアル誘電体の誘電体素子が対向アンテナ方向に対して傾斜するように配置することを特徴とする付記27に記載のMIMO通信方法。
(付記29)
前記最適アンテナ間隔短縮ステップは現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように液晶により前記誘電体素子の前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更ステップを含むことを特徴とする付記28に記載のMIMO通信方法。
(付記30)
前記最適アンテナ間隔短縮ステップにおいて、送信アンテナ若しくは受信アンテナ又は送信アンテナと受信アンテナの両方の前面に前記マテリアルを設けることを特徴とする付記28又は29に記載のMIMO通信方法。
(付記31)
前記最適アンテナ間隔短縮ステップは平行な金属板の集合から構成された金属板ガイドを、金属板ガイドのガイド方向が対向アンテナの方向に対して傾斜するように配置することを特徴とする付記27に記載のMIMO通信方法。
(付記32)
前記最適アンテナ間隔短縮ステップは現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるようにMEMS(Micro Electro Mechanical System)により前記金属板ガイドの前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更ステップを含むことを特徴とする付記31に記載のMIMO通信方法。
(付記33)
前記最適アンテナ間隔短縮ステップにおいて、送信アンテナ若しくは受信アンテナ又は送信アンテナと受信アンテナの両方の前面に前記金属板ガイドを設けることを特徴とする付記31又は32に記載のMIMO通信方法。
(付記34)
送信側若しくは受信側又は送信側と受信側の両方にて、直交伝送路を形成する為の行列演算処理を表す行列である直交伝送路形成用行列に基づいて行列演算処理を実行する行列演算処理ステップを含み、該行列演算処理部にて直交伝送路を形成することを特徴とする付記27〜33のいずれか1に記載のMIMO通信方法。
(付記35)
通信路行列の固有値が重根になるべく前記通信路のアンテナ間距離による幾何学的パラメータを設定し、該固有値に基づいて得られる特異ベクトルあるはその線形和によって得られる特異ベクトルに基づいて構成されるユニタリー行列によって送信或いは受信側での行列演算を行うことにより直交伝送路を形成することを特徴とする付記27〜34のいずれか1に記載のMIMO通信方法。
(付記36)
前記行列演算処理ステップにて直交伝送路形成用行列を送信アンテナ又は受信アンテナの位置変動、或いは送受のアンテナの位置変動又は伝送路の変動により更新することを特徴とする付記27〜35のいずれか1に記載のMIMO通信方法。
(付記37)
前記通信路行列の固有値が重根になるべく通信路の幾何学的パラメータを設定し、前記固有値に基づき得られる固有ベクトル或いはその線形和によって得られる固有ベクトルに基づいて構成されるユニタリー行列演算を送信側或いは受信側のどちらか一方のみにおいて行うことにより仮想的な直交伝送路を形成することを特徴とする付記27〜36のいずれか1に記載のMIMO通信方法。
(付記38)
前記MIMO通信システムが複数のアンテナを用いた固定マイクロ波通信システムであって、送信側または受信側或いは送受信共にアンテナ毎に独立な局部発信器を用いて構成されることを特徴とする付記27〜37のいずれか1に記載のMIMO通信方法。
(付記39)
決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成すると共に、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設け、かつ、前記最適アンテナ間隔短縮部は異方性メタマテリアル誘電体から構成され、前記異方性メタマテリアル誘電体の誘電体素子が対向アンテナ方向に対する傾斜角度を変更自在に配置されるMIMO通信システムの送信機又は受信機において、アンテナ間隔を最適化するプログラムであって、
コンピュータを、現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように前記傾斜角度を変更させる制御部として機能させるプログラム。
(付記40)
決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成すると共に、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設け、かつ、前記最適アンテナ間隔短縮部は平行な金属板の集合から構成された金属板ガイドであり、金属板ガイドのガイド方向が対向アンテナの方向に対する傾斜角度を変更自在に配置されるMIMO通信システムの送信機又は受信機において、アンテナ間隔を最適化するプログラムであって、
コンピュータを、現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように前記傾斜角度を変更させる制御部として機能させるプログラム。
本発明は、MIMO通信に利用でき、特に、見通し内の伝搬環境下で使用される固定マイクロ波通信システムや、反射や散乱を伴う伝搬環境でも見通し内の伝搬が含まれる移動体通信システムや、室内における見通し内を含む伝搬環境で使用される室内MIMO通信システムや、それらのアンテナなどに利用できる。

Claims (40)

  1. 送信機と受信機とを含み、決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムであって、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設けたMIMO通信システム。
  2. 前記最適アンテナ間隔短縮部は異方性メタマテリアル誘電体から構成され、前記異方性メタマテリアル誘電体の誘電体素子が対向アンテナ方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のMIMO通信システム。
  3. 前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように液晶により前記誘電体素子の前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする請求項2に記載のMIMO通信システム。
  4. 前記最適アンテナ間隔短縮部は平行な金属板の集合から構成された金属板ガイドであり、金属板ガイドのガイド方向が対向アンテナの方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のMIMO通信システム。
  5. 前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるようにMEMS(Micro Electro Mechanical System)により前記金属板ガイドの前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする請求項4に記載のMIMO通信システム。
  6. 前記最適アンテナ間隔短縮部が送信アンテナ若しくは受信アンテナ又は送信アンテナと受信アンテナの両方の前面に設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のMIMO通信システム。
  7. 送信側若しくは受信側又は送信側と受信側の両方に、直交伝送路を形成する為の行列演算処理を表す行列である直交伝送路形成用行列に基づいて行列演算処理を実行する行列演算処理部を備え、該行列演算処理部にて直交伝送路を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のMIMO通信システム。
  8. 通信路行列の固有値が重根になるべく前記通信路のアンテナ間距離による幾何学的パラメータを設定し、該固有値に基づいて得られる特異ベクトルあるはその線形和によって得られる特異ベクトルに基づいて構成されるユニタリー行列によって送信或いは受信側での行列演算を行うことにより直交伝送路を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のMIMO通信システム。
  9. 前記行列演算処理部にて直交伝送路形成用行列を送信アンテナ又は受信アンテナの位置変動、或いは送受のアンテナの位置変動又は伝送路の変動により更新することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のMIMO通信システム。
  10. 前記通信路行列の固有値が重根になるべく通信路の幾何学的パラメータを設定し、前記固有値に基づき得られる固有ベクトル或いはその線形和によって得られる固有ベクトルに基づいて構成されるユニタリー行列演算を送信側或いは受信側のどちらか一方のみにおいて行うことにより仮想的な直交伝送路を形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のMIMO通信システム。
  11. 前記MIMO通信システムが複数のアンテナを用いた固定マイクロ波通信システムであって、送信側または受信側或いは送受信共にアンテナ毎に独立な局部発信器を用いて構成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のMIMO通信システム。
  12. 決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおける送信機であって、前記送信アンテナの前面に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設けた送信機。
  13. 前記最適アンテナ間隔短縮部は異方性メタマテリアル誘電体から構成され、前記異方性メタマテリアル誘電体の誘電体素子が対向アンテナ方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする請求項12に記載の送信機。
  14. 前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように液晶により前記誘電体素子の前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする請求項13に記載の送信機。
  15. 前記最適アンテナ間隔短縮部は平行な金属板の集合から構成された金属板ガイドであり、金属板ガイドのガイド方向が対向アンテナの方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする請求項12に記載の送信機。
  16. 前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるようにMEMS(Micro Electro Mechanical System)により前記金属板ガイドの前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする請求項15に記載の送信機。
  17. 決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおける受信機であって、前記送信アンテナの前面に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設けた受信機。
  18. 前記最適アンテナ間隔短縮部は異方性メタマテリアル誘電体から構成され、前記異方性メタマテリアル誘電体の誘電体素子が対向アンテナ方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする請求項17に記載の受信機。
  19. 前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように液晶により前記誘電体素子の前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする請求項18に記載の受信機。
  20. 前記最適アンテナ間隔短縮部は平行な金属板の集合から構成された金属板ガイドであり、金属板ガイドのガイド方向が対向アンテナの方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする請求項17に記載の受信機。
  21. 前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるようにMEMS(Micro Electro Mechanical System)により前記金属板ガイドの前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする請求項20に記載の受信機。
  22. 決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信側のアンテナと受信側のアンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおける送信側又は受信側のアンテナであって、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を前面に設けたアンテナ。
  23. 前記最適アンテナ間隔短縮部は異方性メタマテリアル誘電体から構成され、前記異方性メタマテリアル誘電体の誘電体素子が対向アンテナ方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする請求項22に記載のアンテナ。
  24. 前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように液晶により前記誘電体素子の前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする請求項23に記載のアンテナ。
  25. 前記最適アンテナ間隔短縮部は平行な金属板の集合から構成された金属板ガイドであり、金属板ガイドのガイド方向が対向アンテナの方向に対して傾斜するように配置されることを特徴とする請求項22に記載のアンテナ。
  26. 前記最適アンテナ間隔短縮部は現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるようにMEMS(Micro Electro Mechanical System)により前記金属板ガイドの前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更部を備えることを特徴とする請求項25に記載のアンテナ。
  27. 決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信側の送信アンテナと受信側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成するMIMO通信システムにおけるMIMO通信方法であって、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間にて、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮ステップを含むMIMO通信方法。
  28. 前記最適アンテナ間隔短縮ステップは異方性メタマテリアル誘電体から構成されたマテリアルを、前記異方性メタマテリアル誘電体の誘電体素子が対向アンテナ方向に対して傾斜するように配置することを特徴とする請求項27に記載のMIMO通信方法。
  29. 前記最適アンテナ間隔短縮ステップは現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように液晶により前記誘電体素子の前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更ステップを含むことを特徴とする請求項28に記載のMIMO通信方法。
  30. 前記最適アンテナ間隔短縮ステップにおいて、送信アンテナ若しくは受信アンテナ又は送信アンテナと受信アンテナの両方の前面に前記マテリアルを設けることを特徴とする請求項28又は29に記載のMIMO通信方法。
  31. 前記最適アンテナ間隔短縮ステップは平行な金属板の集合から構成された金属板ガイドを、金属板ガイドのガイド方向が対向アンテナの方向に対して傾斜するように配置することを特徴とする請求項27に記載のMIMO通信方法。
  32. 前記最適アンテナ間隔短縮ステップは現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるようにMEMS(Micro Electro Mechanical System)により前記金属板ガイドの前記傾斜の角度を変更する傾斜角度変更ステップを含むことを特徴とする請求項31に記載のMIMO通信方法。
  33. 前記最適アンテナ間隔短縮ステップにおいて、送信アンテナ若しくは受信アンテナ又は送信アンテナと受信アンテナの両方の前面に前記金属板ガイドを設けることを特徴とする請求項31又は32に記載のMIMO通信方法。
  34. 送信側若しくは受信側又は送信側と受信側の両方にて、直交伝送路を形成する為の行列演算処理を表す行列である直交伝送路形成用行列に基づいて行列演算処理を実行する行列演算処理ステップを含み、該行列演算処理部にて直交伝送路を形成することを特徴とする請求項27〜33のいずれか1項に記載のMIMO通信方法。
  35. 通信路行列の固有値が重根になるべく前記通信路のアンテナ間距離による幾何学的パラメータを設定し、該固有値に基づいて得られる特異ベクトルあるはその線形和によって得られる特異ベクトルに基づいて構成されるユニタリー行列によって送信或いは受信側での行列演算を行うことにより直交伝送路を形成することを特徴とする請求項27〜34のいずれか1項に記載のMIMO通信方法。
  36. 前記行列演算処理ステップにて直交伝送路形成用行列を送信アンテナ又は受信アンテナの位置変動、或いは送受のアンテナの位置変動又は伝送路の変動により更新することを特徴とする請求項27〜35のいずれか1項に記載のMIMO通信方法。
  37. 前記通信路行列の固有値が重根になるべく通信路の幾何学的パラメータを設定し、前記固有値に基づき得られる固有ベクトル或いはその線形和によって得られる固有ベクトルに基づいて構成されるユニタリー行列演算を送信側或いは受信側のどちらか一方のみにおいて行うことにより仮想的な直交伝送路を形成することを特徴とする請求項27〜36のいずれか1項に記載のMIMO通信方法。
  38. 前記MIMO通信システムが複数のアンテナを用いた固定マイクロ波通信システムであって、送信側または受信側或いは送受信共にアンテナ毎に独立な局部発信器を用いて構成されることを特徴とする請求項27〜37のいずれか1項に記載のMIMO通信方法。
  39. 決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成すると共に、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設け、かつ、前記最適アンテナ間隔短縮部は異方性メタマテリアル誘電体から構成され、前記異方性メタマテリアル誘電体の誘電体素子が対向アンテナ方向に対する傾斜角度を変更自在に配置されるMIMO通信システムの送信機又は受信機において、アンテナ間隔を最適化するプログラムであって、
    コンピュータを、現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように前記傾斜角度を変更させる制御部として機能させるプログラム。
  40. 決定論的通信路を含む伝搬環境下で送信機側の送信アンテナと受信機側の受信アンテナの間で見通し内直交伝送路を形成すると共に、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間に、対向アンテナ間の直接対向波に用いられる搬送波の位相回転と、斜向アンテナ間の交差波に用いられる搬送波の位相回転とを、それぞれの位相回転の変化量が互いに異なるように変化させて最適アンテナ間隔を短縮する最適アンテナ間隔短縮部を設け、かつ、前記最適アンテナ間隔短縮部は平行な金属板の集合から構成された金属板ガイドであり、金属板ガイドのガイド方向が対向アンテナの方向に対する傾斜角度を変更自在に配置されるMIMO通信システムの送信機又は受信機において、アンテナ間隔を最適化するプログラムであって、
    コンピュータを、現アンテナ間隔が最適アンテナ間隔になるように前記ガイド方向の前記傾斜角度を変更させる制御部として機能させるプログラム。
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