JPWO2014157645A1 - レーザ走査型観察装置及びレーザ走査方法 - Google Patents

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Abstract

筐体の一部領域に設けられ、観察対象に接触又は近接するウインドウ部と、前記ウインドウ部を通して前記観察対象にレーザ光を集光する対物レンズと、前記筐体内を導光されてきた前記レーザ光の進行方向を前記ウインドウ部に向けて変更する光路変更素子と、前記ウインドウ部よりも前段に設けられ、前記レーザ光が前記観察対象に集光される際に生じる非点収差を補正する非点収差補正素子と、前記レーザ光が前記観察対象を走査するように、前記レーザ光の前記ウインドウ部への入射方向に対して垂直な回転軸で、少なくとも前記光路変更素子を回転させる回転機構と、を備え、前記非点収差補正素子は、前記観察対象における前記レーザ光の集光位置の深さである観察深さの変化に伴う非点収差の変動に対応した補正量で当該非点収差を補正する、レーザ走査型観察装置を提供する。

Description

本開示は、レーザ走査型観察装置及びレーザ走査方法に関する。
対象物を高解像度で観察するための技術として、レーザ走査型顕微鏡装置がある。レーザ走査型顕微鏡装置では、レーザ光を対象物に照射し、当該レーザ光を対象物上で走査しながら、その透過光や後方散乱光、蛍光、ラマン散乱光、非線形光学効果によって生じる各種の光等の強度を検出することにより、対象物に関する各種の情報を2次元又は3次元の画像データとして取得することができる。近年、このようなレーザ走査型顕微鏡装置の技術を、被測定者(患者)の体表面に接触させるプローブや、被測定者の体腔内に挿入される内視鏡等に応用し、被測定者(患者)の生体組織をより高解像度で観察しようとする試みが行われている。
ここで、上述したようなレーザ光を走査することによって対象物を観察する顕微鏡装置、内視鏡装置、プローブ等(以下、レーザ走査型観察装置と総称する。)においては、観察対象(例えば生体組織)を広範囲に見渡すことができ、必要に応じて任意の部位を拡大して観察したいという要求がある。すなわち、レーザ走査型観察装置には、広い視野(実視野(FOV:Field Of View))と高い開口数(NA:Numerical Aperture)との両立が求められている。しかしながら、一般的に、広いFOVと高いNAとを両立させるためには、複雑な光学系を構成する必要があり、装置の大型化、高コスト化が懸念される。特に、プローブや内視鏡装置のように、その用途から比較的小型であることが求められる装置では、複雑な光学系を実装することが困難であり、広いFOVと高いNAとを両立させる構成を実現することが困難であった。
一方、光の干渉を利用して生体組織の断層画像を得る、いわゆる光コヒーレンストモグラフィ(OCT:Optical Coherence Tomography)の分野では、内視鏡のヘッド部における光学素子に回転機構を設けることにより、ヘッド部の小型化を実現した内視鏡装置が提案されている。例えば、非特許文献1には、内視鏡のヘッド部に設けられたグリンレンズ及びプリズムを鏡筒の長手方向を回転軸方向として回転させながら生体組織に対して低コヒーレンス光を照射することにより、当該生体組織の断層画像を取得することのできるOCTシステムが開示されている。また、例えば、非特許文献2には、非特許文献1と同様にヘッド部に設けられたグリンレンズ及びミラーを鏡筒の長手方向を回転軸方向として回転させて観察画像を得る、OCTを用いた内視鏡装置において、当該ミラーの反射面を、鏡筒の側壁に設けられるデータ取得用(画像撮影用)のウインドウ部において生じ得る非点収差を補正するような形状で形成することにより、より高画質の観察画像を得る技術が開示されている。レーザ走査型観察装置に対して、非特許文献1、2のような光学素子の回転機構を適用することにより、広いFOVを実現できる可能性がある。
このような知見から、内視鏡のヘッド部において光学素子を回転させ、鏡筒の円周方向にレーザ光を走査させることにより、広いFOVを実現する技術が提案されている。例えば、非特許文献3には、光ファイバによって鏡筒内を導光されたレーザ光をグリンレンズによってミラーに集光させ、鏡筒の側面方向に存在する生体組織に光を照射する内視鏡装置において、当該ミラーを鏡筒の長手方向を回転軸方向として回転させることにより、レーザ光を鏡筒の円周方向に走査させて画像データを取得するレーザ走査型内視鏡装置が開示されている。また、例えば、非特許文献4には、光ファイバによって鏡筒内を導光されたレーザ光をグレーティングによって鏡筒の側面方向に回折させ、対物レンズを介して生体組織に光を照射する内視鏡装置において、当該グレーティング及び対物レンズを鏡筒の長手方向を回転軸方向として回転させることにより、レーザ光を鏡筒の円周方向に走査させて画像データを取得するレーザ走査型内視鏡装置が開示されている。
Guillermo J. Tearney et al., "In Vivo Endoscopic Optical Biopsy with Optical Coherence Tomograhy", Science 1997 Vol.276 p.2037−2039 Jiefeng Xi et al., "High−resolution OCT balloon imaging catheter with astigmatism correction", OPTICS LETTERS 2009 Vol.34 No.13 p.1943−1945 Gangjun Liu et al., "Rotational multiphoton endoscopy with a 1 μm fiber laser system", OPTICS LETTERS 2009 Vol.34 No.15 p.2249−2251 D. Yelin et al., "Large area confocal microscopy", OPTICS LETTERS 2007 Vol.32 No.9 p.1102−1104
一方、レーザ走査型観察装置においては、所望の部位の画像データをより安定的に取得するために、筐体の一部に設けられる画像データ取得用(画像撮影用)のウインドウ部を観察対象に接触させながら、対物レンズによって当該ウインドウ部を介して観察対象にレーザ光を集光することにより観察を行う使用方法が考えられる。このような使用方法を用いる場合、安全上の観点から、観察対象と接触するウインドウ部には、所定の強度を確保するために、所定の厚さを有することが求められる。
ここで、対物レンズによって集光されたレーザ光がウインドウ部を介して観察対象に照射される際に生じる収差について考察すると、対物レンズのNAが高くなるほど、ウインドウ部の厚さが厚くなるほど、当該収差の度合いは大きくなる傾向がある。また、ウインドウ部が内視鏡の鏡筒のような円筒形の筐体の側壁に設けられ、当該筐体の形状に合わせて円筒形状(シリンドリカル形状)を有する場合には、当該ウインドウ部の曲率が小さくなるほど(すなわち、筐体である鏡筒の直径が小さくなるほど)、収差の度合いは更に大きくなると考えられる。特に、シリンドリカル面を有するウインドウ部をレーザ光が通過する際には、光軸上であっても収差(特に非点収差)が生じ、取得される画像データの品質が劣化する恐れがある。
更に、レーザ走査型観察装置においては、観察深さ(すなわち、観察対象におけるレーザ光の照射深さ)を変えながらレーザ走査を行うことにより、複数層(レイヤー)の画像を取得したいという要望がある。観察深さが変更されれば、対物レンズ及びウインドウ部を通過する際のレーザ光の収束状態、発散状態も変化するため、収差の度合いも変化する。高画質な観察画像を取得するためには、このような、観察中に光学系が変更されることによって生じる収差の変化も考慮して光学系を設計する必要がある。
しかしながら、上記非特許文献1、2に記載の技術は、OCTに関するものであり、NAが比較的低い対物レンズ(例えばNA≒0.1程度)が用いられるため、観察画像の画質において上記のような収差はそれほど大きな問題とならない。それでも、非特許文献2に記載の技術では、ミラーの形状によって収差を補正することにより画質の向上を図っているが、当該方法では、上述したような、例えば観察深さが変更され、収差の度合いが変化した場合に対応することができない。また、非特許文献2及び非特許文献3に記載の技術では、ウインドウ部の詳細な構成については言及されておらず、よって、上記のような安全上の観点からウインドウ部に求められる条件や、ウインドウ部の構成に起因して生じる収差については考慮されていなかった。このように、従来の内視鏡装置においては、NAが比較的高い対物レンズを用いながら、ウインドウ部に所定の厚さを設けることにより安全性を確保することと、収差の影響を抑制することにより高精度な観察を行うこととを両立させることが困難であった。
そこで、本開示では、より高精度な観察を行うことが可能な、新規かつ改良されたレーザ走査型観察装置及びレーザ走査方法を提案する。
本開示によれば、筐体の一部領域に設けられ、観察対象に接触又は近接するウインドウ部と、前記ウインドウ部を通して前記観察対象にレーザ光を集光する対物レンズと、前記筐体内を導光されてきた前記レーザ光の進行方向を前記ウインドウ部に向けて変更する光路変更素子と、前記ウインドウ部よりも前段に設けられ、前記レーザ光が前記観察対象に集光される際に生じる非点収差を補正する非点収差補正素子と、前記レーザ光が前記観察対象を走査するように、前記レーザ光の前記ウインドウ部への入射方向に対して垂直な回転軸で、少なくとも前記光路変更素子を回転させる回転機構と、を備え、前記非点収差補正素子は、前記観察対象における前記レーザ光の集光位置の深さである観察深さの変化に伴う非点収差の変動に対応した補正量で当該非点収差を補正する、レーザ走査型観察装置が提供される。
また、本開示によれば、筐体の内部に設けられる光路変更素子にレーザ光を入射することと、前記光路変更素子によって前記筐体内を導光されてきた前記レーザ光の進行方向を変更し、前記筐体の一部領域に設けられ観察対象に接触又は近接するウインドウ部を介して、対物レンズによって集光され、非点収差補正素子によって非点収差が補正された前記レーザ光を前記観察対象に照射することと、前記レーザ光が前記生体組織を走査するように、前記レーザ光の前記観察対象への入射方向である観察方向に対して垂直な回転軸で、少なくとも前記光路変更素子を回転させることと、を含み、前記非点収差補正素子は、前記観察対象における前記レーザ光の集光位置の深さである観察深さの変化に伴う非点収差の変動に対応した補正量で当該非点収差を補正する、レーザ走査方法が提供される。
本開示によれば、筐体内で少なくとも光路変更素子が回転することで観察対象に対してレーザ光が走査される。よって、光路変更素子が1回転する間に観察対象にレーザ光が走査される範囲が、FOVとして確保されるため、対物レンズのNAが比較的高い場合であっても広視野が実現される。また、観察深さの変化に伴う非点収差の変動に対応した補正量で当該非点収差を補正するような、非点収差補正素子が備えられるため、観察深さが変更された場合であっても、非点収差の影響の少ない高精度な観察を行うことが可能となる。
以上説明したように本開示によれば、より高精度な観察を行うことが可能となる。なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
既存のレーザ走査型内視鏡装置についての、NAとFOVとの関係を示すグラフである。 既存のレーザ走査型内視鏡についての、ヘッド部のサイズとNA及びFOVとの関係を示すグラフである。 本開示の第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置の一構成例を示す概略図である。 図2に示す走査部の構成を模式的に示す概略図である。 本開示の第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置の一構成例を示す概略図である。 マルチコア光ファイバの断面の様子を示す概略図である。 走査部が対物レンズを複数有する場合のレーザ走査型内視鏡装置の一構成例を示す概略図である。 光路変更素子が偏光ビームスプリッタである場合の走査部の一構成例を示す概略図である。 図6Aに示す走査部をy軸を回転軸として180度回転したときの様子を示す概略図である。 光路変更素子がMEMSミラーである場合の走査部の一構成例を示す概略図である。 光路変更素子がMEMSミラーである場合の走査部の一構成例を示す概略図である。 走査部が光路分岐素子を有する場合の走査部の一構成例を示す概略図である。 走査部が光路分岐素子を有する場合の走査部の一構成例を示す概略図である。 鏡筒に対するレーザ光の入射位置が固定される場合の走査部の一構成例を示す概略図である。 鏡筒に対するレーザ光の入射位置が固定される場合の走査部の一構成例を示す概略図である。 走査部が異なる回転軸方向を有する内視鏡の一構成例を示す概略図である。 図10Aに示す走査部の構成を模式的に示す概略図である。 複数の対物レンズが鏡筒の長手方向に配列される変形例に係る内視鏡の一構成例を示す概略図である。 複数の対物レンズが鏡筒の長手方向に配列される変形例に係る内視鏡の他の構成例を示す概略図である。 本実施形態に係る収差補正素子の一構成例であるシリンドリカル凹凸レンズペアの構成を示す模式図である。 本実施形態に係る収差補正素子の一構成例であるシリンドリカル凹凸レンズペアの構成を示す模式図である。 本実施形態に係る収差補正素子の一構成例であるシリンドリカルメニスカスレンズの構成を示す模式図である。 本実施形態に係る収差補正素子の一構成例であるシリンドリカル平凸レンズの構成を示す模式図である。 本実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置における、観察深さ調整機構について説明するための説明図である。 本実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置における、観察深さ調整機構を用いたレーザ走査方法の一例を示す図である。 本実施形態に係るレーザ走査型プローブの一構成例を示す側面図である。 図18に示すレーザ走査型プローブにおける光学部材の配置を示す図である。 図18に示すレーザ走査型プローブにおける光学部材の配置を示す図である。 図18に示すレーザ走査型プローブにおける光学部材の配置を示す図である。 レーザ走査型プローブの光学系において非点収差に影響を及ぼすパラメータについて説明するための説明図である。 本実施形態において非点収差補正素子として用いられるシリンドリカルメニスカスレンズの光学特性の一例を示すグラフ図である。 2面の曲面を有する光学部材及び1面の曲面を有する光学部材の非点収差の観察深さ依存性を示すグラフ図である。 レーザ走査型プローブに適用される色収差補正素子について説明するための説明図である。 色収差補正素子を適用した場合と適用しなかった場合における、蛍光の光ファイバへの集光効率を示すグラフ図である。 本実施形態に係るレーザ走査型プローブの他の構成例である、手持ち型のレーザ走査型プローブの構成を示す斜視図である。 本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡装置の一構成例を示す概略図である。 本実施形態に係るレーザ走査型観察装置のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.他の構成によるレーザ走査型内視鏡装置についての検討
2.第1の実施形態
3.第2の実施形態
4.変形例
4−1.走査部が複数の対物レンズを有する構成
4−1−1.光路変更素子が偏光ビームスプリッタである構成
4−1−2.光路変更素子がMEMSミラーである構成
4−1−3.走査部が光路分岐素子を有する構成
4−1−4.鏡筒に対するレーザ光の入射位置が固定される構成
4−2.その他の構成
4−2−1.走査部が異なる方向の回転軸を有する構成
4−2−2.複数の対物レンズが鏡筒の長手方向に配列される変形例
5.収差補正素子の構成
5−1.非点収差の補正について
5−1−1.シリンドリカル凹凸レンズペア
5−1−2.シリンドリカルメニスカスレンズ
5−1−3.シリンドリカル平凹レンズ
6.観察深さ調整機構を備える構成
6−1.観察深さ調整機構を利用したレーザ走査
6−2.レーザ走査型プローブ
6−2−1.全体構成
6−2−2.非点収差補正素子
6−2−3.色収差補正素子
6−2−4.レーザ走査型プローブの他の構成例
6−3.レーザ走査型顕微鏡装置
7.ハードウェア構成
8.まとめ
以下の説明では、(1.他の構成によるレーザ走査型内視鏡装置についての検討)から(5.収差補正素子の構成)において、本開示の一実施形態に係るレーザ走査型観察装置の一例として、レーザ走査型内視鏡装置を例に挙げて、その構成や取り得る変形例等について説明を行う。ただし、本開示はかかる例に限定されず、本実施形態に係るレーザ走査型観察装置は、レーザ走査型プローブやレーザ走査型顕微鏡装置等、他の構成であってもよい。(1.他の構成によるレーザ走査型内視鏡装置についての検討)から(5.収差補正素子の構成)で説明する諸事項は、レーザ走査型プローブ及びレーザ走査型顕微鏡装置等の他の構成においても同様に適用され得る。なお、レーザ走査型プローブやレーザ走査型顕微鏡装置の具体的な構成の一例については、(6−2.レーザ走査型プローブ)及び(6−3.レーザ走査型顕微鏡装置)で詳しく説明する。
また、本開示の好適な一実施形態として、レーザ走査型観察装置は、観察対象においてレーザ光が集光される深さである観察深さを調整するための観察深さ調整機構を備えてもよい。レーザ走査型観察装置が、観察深さ調整機構を有することにより、観察対象の深さ方向の情報も取得することが可能となるため、より操作者(ユーザ)の要望に適う、有用な観察が可能となる。そこで、本明細書では、(6.観察深さ調整機構を備える構成)において、観察深さ調整機構を有するレーザ走査型観察装置の構成について詳しく説明する。そして、最後に、(7.ハードウェア構成)で本実施形態に係るレーザ走査型観察装置を実現し得るハードウェア構成の一例について説明を行う。
具体的には、(6.観察深さ調整機構を備える構成)では、まず、(6−1.観察深さ調整機構を利用したレーザ走査)において、観察深さ調整機構を用いることにより実現されるレーザ走査方法について説明する。次いで、(6−2.レーザ走査型プローブ)において、それまで説明した内視鏡とは異なる構成の一例として、観察深さ調整機構を備えるレーザ走査型プローブの構成について説明するとともに、観察深さ調整機構や、観察深さが変更されることに対応した収差補正素子の構成について詳細に説明する。最後に、(6−3.レーザ走査型顕微鏡装置)において、本実施形態に係るレーザ走査型観察装置の更に他の構成の一例として、観察深さ調整機構を備えるレーザ走査型顕微鏡装置の構成について説明する。なお、(6−2.レーザ走査型プローブ)及び(6−3.レーザ走査型顕微鏡装置)で説明するレーザ走査型プローブ及びレーザ走査型顕微鏡装置の構成は、観察深さ調整機構を備える場合の一例に対応するものであるが、レーザ走査型プローブ及びレーザ走査型顕微鏡装置の構成はかかる例に限定されず、観察深さ調整機構は必ずしも設けられなくてもよい。本実施形態に係るレーザ走査型プローブ及びレーザ走査型顕微鏡装置は、本明細書内でレーザ走査型内視鏡装置を例に挙げて説明する各種の構成を取り得る。
(1.他の構成によるレーザ走査型内視鏡装置についての検討)
まず、本開示をより明確なものとするために、既存の他の構成によるレーザ走査型内視鏡装置について本発明者らが検討した内容について説明する。
レーザ走査型内視鏡装置に求められる性能としては、以下の各性能が挙げられる。すなわち、「1.深達度」、「2.ヘッド部の小型化」、「3.高いNA」、「4.広視野」及び「5.高速スキャン」である。
「1.深達度」は、観察対象である生体組織の深さ方向への観察可能距離を表す指標である。深達度が大きければ、生体組織の表面だけではなくより深い位置まで観察することが可能となるため、生体組織に関するより多くの情報を取得することが可能となる。具体的には、生体組織と対向して配設される対物レンズによる作動距離(生体組織内における対物レンズの焦点までの距離)を大きくすることにより、深達度を大きくすることができる。また、所定の大きさの深達度を有するとともに、その深達度の範囲内で観察深さを変更できるような機構(以下、観察深さ調整機構とも呼称する。)が設けられることが好ましい。観察深さが可変であれば、例えば観察深さを変化させながら観察画像を取得することにより、深さ方向に複数層の画像を得ることができ、より多くの情報を取得することが可能となる。
「2.ヘッド部の小型化」は、低侵襲医療の観点から要請されるものである。患者への身体的な負担を考慮すれば、内視鏡の鏡筒先端のヘッド部の直径は、数mm以下であることが望ましい。ただし、当該性能は、内視鏡において特に求められるものである。本実施形態に係るレーザ走査型プローブやレーザ走査型顕微鏡装置であれば、直径が10mm超、あるいはより大型な鏡筒(筐体)が用いられてもよい。
「3.高いNA」は、分解能(解像度)の高い画像を取得するために要求される。高いNAを有する対物レンズを用いることにより、特に深さ方向の分解能の高い画像を取得することができる。OCTの分野であれば対物レンズのNAは0.1程度であってもよいが、レーザ走査型内視鏡として高分解能の画像を取得するためには、対物レンズのNAは、例えば0.5程度以上であることが望ましい。
「4.広視野」は、観察対象である生体組織を広範囲に見渡すために要求される。ここでいう視野とは、いわゆる実視野(FOV)のことであってよく、レーザ光が走査(スキャン)されるラインの範囲であってよい。上記の「3.高いNA」と「4.広視野」とを両立させることができれば、広い範囲をスキャンしながら高い分解能の画像を取得することが可能となる。視野としては、例えばFOVが1.0mm程度以上であることが望ましい。
「5.高速スキャン」は、動きのある生体組織を観察するために要求される。スキャンスピード(走査速度)が遅いと、画像データを取得するために長い時間が必要となるため、生体組織の動きを正確に捉えることが困難となるからである。スキャンスピードとしては、例えば、少なくとも1fps(frame per sec)以上、理想的には、一般的なビデオレートと同様の30fps程度であることが望ましい。
本発明者らは、上記の5つの性能の観点から、既存のレーザ走査型内視鏡装置について検討を行った。
例えば、Montana State Univ.等の研究グループにより、MEMSミラー(MEMS mirror)方式のレーザ走査型内視鏡装置が開発されている(例えば、Christopher L. Arrasmith et al., “MEMS−based handheld confocal microscope for in−vivo skin imaging” OPTICS EXPRESS 2010 Vol.18 NO.4 p.3805−3819)。これは、レーザ光を走査するためのデバイスとしてMEMSによって形成された小型ミラーを用いることにより、「2.ヘッド部の小型化」と「5.高速スキャン」との両立を実現するものである。
また、例えば、Washington Univ.等の研究グループにより、ファイバ先端(Fiber end)スキャン方式のレーザ走査型内視鏡装置が開発されている(例えば、Cameron M. Lee et al., “Scanning fiber endoscopy with highly flexible, 1 mm catheterscopes for wide−field, full−color imaging” Journal of BIOPHOTONICS 2010 Vol.3 NO.5−6 p.385−407)。これは、レーザ光を導光する光ファイバの先端を2次元的に移動させて生体組織に対してレーザ光を走査することにより、「2.ヘッド部の小型化」と「5.高速スキャン」との両立を実現するものである。
また、例えば、Mauna Kea Technologies社によって、ファイババンドル(Fiber bundle)接触方式のレーザ走査型内視鏡装置が開発されている。これは、内視鏡の鏡筒内でレーザ光を導光する光ファイバをバンドル(束)状に構成し、ファイババンドルからの射出光によってレーザ光を走査するものである。当該方式では、バンドルの直径のサイズに対応する視野を確保することができるため、「2.ヘッド部の小型化」、「4.広視野」、「5.高速スキャン」を同時に実現することが可能となる。また、同社からは、上記バンドル接触方式のファイババンドルの先端に対物レンズが設けられた構成を有するレーザ走査型内視鏡装置も提案されている。
また、例えば、Fraunhofer Institute for Biomedical Technology(IBMT)等の研究グループにより、アクチュエータ方式のレーザ走査型内視鏡装置が開発されている(例えば、R. Le Harzic et al., “Nonlinear optical endoscope based on a compact two axes piezo scanner and a miniature objective lens” OPTICS EXPRESS 2008 Vol.25 NO.16 p.20588−20596)。これは、対物レンズを含む光学系全体を2次元的に移動させて生体組織に対してレーザ光を走査することにより、「3.高いNA」と「4.広視野」との両立を実現するものである。
ここで、一般的に、既存の構成によるレーザ走査型内視鏡装置においては、「2.ヘッド部の小型化」、「3.高いNA」及び「4.広視野」を同時に実現することは困難であると考えられる。何故ならば、一般的に高いNAを有するレンズは高い倍率を有するため、そのFOVは低くなってしまうからである。ここで、レーザ走査型顕微鏡装置であれば、鏡筒径が比較的大きく、その内部に大規模な構成を設けることが可能であるため、光学系の設計の自由度が高く、「3.高いNA」と「4.広視野」とを両立させることが可能である。例えば、顕微鏡装置及び内視鏡装置の性能を表す性能指数として、FOV×NAを定義すると、レーザ走査型顕微鏡装置ではFOV×NA=1.0程度のものが存在する。しかしながら、広大な軸外特性を確保しようとすると必然的にレンズ枚数が増えるので、その光学系の構成は大型かつ複雑なものとなり、小型化、低コスト化を実現することは難しい。例えば、鏡筒径に数mm程度のサイズが要求されるレーザ走査型内視鏡装置においては、鏡筒内に複雑な光学系を構成することが難しく、「2.ヘッド部の小型化」、「3.高いNA」及び「4.広視野」を同時に実現することは困難であると考えられる。
そこで、本発明者らは、上記の各構成を有する既存のレーザ走査型内視鏡装置について、「2.ヘッド部の小型化」、「3.高いNA」及び「4.広視野」の各性能に注目して、ベンチマークを行った。
ベンチマークの結果を図1A及び図1Bに示す。図1Aは、既存のレーザ走査型内視鏡装置についての、NAとFOVとの関係を示すグラフである。また、図1Bは、既存のレーザ走査型内視鏡についての、ヘッド部のサイズとNA及びFOVとの関係を示すグラフである。なお、グラフ中に凡例「Rotation」で示す点は、上記非特許文献3、4で示したような、内視鏡のヘッド部において光学素子を回転させることにより、生体組織へのレーザ光の走査を行うレーザ走査型顕微鏡の性能である。
まず、図1Aは、横軸にNAを取り、縦軸にFOVを取り、上記の各構成を有する既存のレーザ走査型内視鏡装置について、その性能をプロットしたものである。図1Aを参照すると、全体的な傾向としてNAとFOVとが相反する関係(反比例の関係)にあることが示されており、上記で考察した通り、「3.高いNA」と「4.広視野」とを両立させることは困難であることが分かる。
次に、図1Bは、横軸にヘッド部の直径を取り、縦軸に内視鏡装置の性能指数であるFOV×NAを取り、上記の各構成を有する既存のレーザ走査型内視鏡装置について、その性能をプロットしたものである。図1Bを参照すると、ヘッド部の直径を数mm以下にしようとすると、FOV×NAの値は最も高いものでも0.3(mm)程度が限界であることが分かる。
なお、図1Bを参照すると、今回ベンチマークを行った既存のレーザ走査型内視鏡装置の中で、FOV×NAの値が最も高いレーザ走査型内視鏡装置は、アクチュエータ方式のレーザ走査型内視鏡装置であることが分かる。しかし、アクチュエータ方式のレーザ走査型内視鏡装置は、光学系全体を動かす構成であるため、より広い視野を得ようとすると、すなわち、より広い領域を走査するように光学系を動かそうとすると、走査速度に限界があると考えられる。このように、アクチュエータ方式のレーザ走査型内視鏡装置では、図1Bには表されていないが、「4.広視野」と「5.高速スキャン」とを両立させることが困難である。
以上、既存の他の構成によるレーザ走査型内視鏡装置について本発明者らが検討した内容について説明した。以上の検討結果から、本発明者らは、既存のレーザ走査型内視鏡装置の構成では、「1.深達度」、「2.ヘッド部の小型化」、「3.高いNA」、「4.広視野」及び「5.高速スキャン」を同時に満たすことは困難であるとの知見を得た。その中でも、特に、「2.ヘッド部の小型化」、「3.高いNA」及び「4.広視野」を同時に満たすことは、既存のレーザ走査型内視鏡装置の構成では困難であると考えられた。本発明者らは、上記の各性能の中でも、「2.ヘッド部の小型化」、「3.高いNA」及び「4.広視野」を満たす構成について検討した結果、以下に示す本開示に係るレーザ走査型内視鏡装置に想到した。以下では、本開示に係るレーザ走査型内視鏡装置の好ましい実施形態について説明する。
(2.第1の実施形態)
まず、図2及び図3を参照して、本開示の第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置の一構成例について説明する。図2は、本開示の第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置の一構成例を示す概略図である。図3は、図2に示す走査部の構成を模式的に示す概略図である。なお、図2及び図3を含む以下の図面では、本開示に係るレーザ走査型内視鏡装置を構成する各構成部材を支持する支持部材については図示を省略し、また、詳細な説明も省略するが、各構成部材は、以下に説明するレーザ光の伝播や各構成部材の駆動を妨げないように、各種の支持部材によって適宜支持されているものとする。
図2を参照すると、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1は、レーザ光源110、ビームスプリッタ120、光ファイバ140、光ファイバ用導光レンズ130、150、内視鏡160、光検出器170、制御部180、出力部190及び入力部195を備える。なお、図2では、簡単のため、レーザ走査型内視鏡装置1が有する機能のうち、レーザ走査による画像データの取得に関する構成のみを図示している。ただし、レーザ走査型内視鏡装置1は、図2に示す構成以外にも、他の公知の内視鏡装置が有する各種の構成を更に有してもよい。
第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1では、レーザ光源110から射出されたレーザ光が、ビームスプリッタ120、光ファイバ用導光レンズ130、光ファイバ140、光ファイバ用導光レンズ150を順に通過し、内視鏡160の内部に導光される。内視鏡160の一部領域は観察対象であるヒト又は動物(以下では、一例として患者とする。)の体腔内に挿入されており、内視鏡160の内部に導光されたレーザ光は観察対象である患者の体腔内の生体組織500に照射される。観察対象である生体組織500にレーザ光が照射されると、生体組織500からは、反射光、散乱光、蛍光、非線形光学効果によって生じる各種の光等、様々な物理的情報又は化学的情報を含んだ光が発せられる。このような、様々な物理的情報又は化学的情報を含んだ生体組織500からの戻り光は、上記の光路を逆に辿って、すなわち、光ファイバ用導光レンズ150、光ファイバ140、光ファイバ用導光レンズ130を順に通過し、ビームスプリッタ120に導光される。ビームスプリッタ120は、生体組織500からの戻り光を光検出器170に導光する。光検出器170によって検出された、戻り光に対応する画像信号に対して、制御部180によって適宜画像信号処理が施されることにより、生体組織500に関する各種の情報が画像データとして取得される。以下、レーザ走査型内視鏡装置1の各構成部材について詳細に説明する。なお、以下の説明では、レーザ光が、レーザ光源110から射出され、内視鏡160の内部を導光され、生体組織500に照射されるまでの光路について、レーザ光源110側を上流側、生体組織500側を下流側とも呼称する。また、レーザ光の光路上に配設される構成部材間の位置関係を説明するために、当該光路においてより上流側のことを前段、より下流側のことを後段とも呼称する。
レーザ光源110は、観察対象である生体組織500に照射されるレーザ光を射出する。本実施形態においては、レーザ光源110の構成は一意に限定されず、観察対象やレーザ走査型内視鏡装置1の用途に応じて適宜設定されてよい。例えば、レーザ光源110は、固体レーザであってもよく、また半導体レーザであってもよい。また、当該固体レーザ及び半導体レーザの媒体(材料)は、レーザ走査型内視鏡装置1の用途に応じて、所望の波長帯域のレーザ光を射出するように適宜選択されてよい。例えば、レーザ光源110は、人体の生体組織500に対して透過性が比較的高いことが知られている近赤外の波長帯域の光を射出するように、その材料が適宜選択される。
また、例えば、レーザ光源110は、連続発振のレーザ(CWレーザ:Contimuous Wave Laser)を射出してもよいし、パルス発振のレーザ(パルスレーザ)を射出してもよい。レーザ光源110がCWレーザを射出する場合には、例えば、レーザ走査型内視鏡装置1では、1光子共焦点反射や共焦点蛍光等を利用した各種の観察が行われてもよい。また、レーザ光源110がパルスレーザを射出する場合には、例えば、レーザ走査型内視鏡装置1では、多光子励起や非線形光学現象等を利用した各種の観察が行われてもよい。
ビームスプリッタ120は、一方向から入射した光と他方向から入射した光とを互いに異なる方向に導光する。具体的には、ビームスプリッタ120は、レーザ光源110から射出されたレーザ光を光ファイバ用導光レンズ130を介して光ファイバ140に導光する。また、ビームスプリッタ120は、観察対象である生体組織500に照射されたレーザ光による戻り光を光検出器170に導光する。つまり、ビームスプリッタ120は、図2に点線の矢印で示すように、上流側から入射したレーザ光は光ファイバ用導光レンズ130を介して光ファイバ140に導光し、下流側から入射した生体組織500からの戻り光は光検出器170に導光する。
光ファイバ用導光レンズ130、150は、光ファイバ140の前段及び後段の端部にそれぞれ設けられ、光ファイバ140に光を入射させるとともに、光ファイバ140から射出される光を後段の部材に導光する。具体的には、光ファイバ用導光レンズ130は、レーザ光源110から射出され、ビームスプリッタ120によって導光された光を光ファイバ140に入射させる。また、光ファイバ用導光レンズ130は、光ファイバ140を通過してきた生体組織500からの戻り光をビームスプリッタ120に導光する。
光ファイバ140は、レーザ光源110から射出されたレーザ光を内視鏡160の内部まで導光する導光部材である。光ファイバ140は内視鏡160の内部に延設され、内視鏡160の先端部にあたるヘッド部まで当該レーザ光を導光する。光ファイバ140によって内視鏡160のヘッド部まで導光されたレーザ光は、光ファイバ用導光レンズ150を介して、後述する内視鏡160のヘッド部に設けられる走査部163に導光される。走査部163によって生体組織500にレーザ光が照射され、生じた戻り光が光ファイバ用導光レンズ150によって光ファイバ140に入射される。そして、当該戻り光は、光ファイバ140によって内視鏡160の外部まで導光される。
このように、光ファイバ用導光レンズ150は、内視鏡160のヘッド部に設けられ、光ファイバ140を導光してきたレーザ光を走査部163に導光する。また、光ファイバ用導光レンズ150は、走査部163によって生体組織500に照射されたレーザ光の戻り光を光ファイバ140に入射させ、内視鏡160の外部まで導光する。なお、光ファイバ用導光レンズ150は、光ファイバ140を導光してきたレーザ光を、略平行光として走査部163に導光するコリメータレンズとして機能し得る。光ファイバ用導光レンズ150の光軸方向(鏡筒161の長手方向)の位置を調整することにより、後述する、生体組織500に対してレーザ光を集光する対物レンズ165におけるレーザ光の収束状態、発散状態が変化するため、観察深さを変更することができる。このように、光ファイバ用導光レンズ150は、観察深さを調整する観察深さ調整機構の役割を果たすことができる。
ここで、本実施形態においては、光ファイバ140の構成は一意に限定されず、観察対象やレーザ走査型内視鏡装置1の用途に応じて適宜設定されてよい。例えば、レーザ走査型内視鏡装置1が共焦点反射を利用した観察を行う場合には、光ファイバ140としてはシングルモード光ファイバが用いられてよい。また、光ファイバ140がシングルモード光ファイバである場合には、例えば、シングルモード光ファイバを複数束ねてバンドルとして用いてもよい。
また、例えば、レーザ走査型内視鏡装置1が多光子励起を利用した観察を行う場合には、戻り光のモードに制限がなくなるため、光ファイバ140としてはマルチコア光ファイバやダブルクラッド光ファイバが用いられてよい。また、光ファイバ140がダブルクラッド光ファイバである場合には、例えば、コアでレーザ光(すなわち、励起光)を内視鏡160のヘッド部まで導光し、生体組織500からの戻り光(すなわち、蛍光光)を内部クラッドで内視鏡160の外部まで導光してもよい。このように、光ファイバ140としてダブルクラッド光ファイバを用いることにより、レーザ光及び戻り光のより効率的な導光が可能となる。なお、2光子励起を利用した観察を行う場合における、本実施形態に係るレーザ走査型観察装置の具体的な構成については、下記(6−2.レーザ走査型プローブ)で詳しく説明する。
また、例えば、光ファイバ140は複数本設けられてもよく、レーザ光を内視鏡160のヘッド部まで導光する光ファイバと、生体組織500からの戻り光を内視鏡160の外部まで導光する光ファイバとが互いに異なる光ファイバによって構成されてもよい。
なお、レーザ光源110がパルスレーザを射出する場合には、光ファイバ140内で生じる非線形光学効果を抑制するために、光ファイバ140はコア部が大モード面積になっているもの、又は中空コア型のフォトニック結晶光ファイバになっていることが望ましい。また、同じくレーザ光源110がパルスレーザを射出する場合には、光ファイバ140内で生じる分散や当該分散に伴うパルス幅(パルス時間幅)の広がりを考慮して、光ファイバ140の前段に各種の分散補償素子が設けられてもよい。
ここで、本実施形態では、装置の構成によっては、光ファイバ140は必ずしも用いられなくてもよい。例えば、本実施形態に係るレーザ走査型プローブやレーザ走査型内視鏡装置1では、光源から、観察対象に対してレーザ光を照射するプローブや内視鏡160までレーザ光を導光する必要があるため、光ファイバ140が好適に用いられ得る。しかしながら、レーザ走査型顕微鏡装置では、例えば当該装置内に設けられるステージに観察対象のサンプルを設置し、当該サンプルに対してレーザ光を照射する構成を取ることができる。従って、本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡装置では、光源からサンプルまでレーザ光を導光する光学系を装置の筐体内に適宜配置することが可能であるため、光ファイバ140は必ずしも用いられなくてもよい。
内視鏡160は、管状の形状を有し、その先端部であるヘッド部を含む一部領域が患者の体腔内に挿入される。当該ヘッド部によって体腔内の生体組織500にレーザ光が走査されることにより、生体組織500に関する各種の情報が取得される。内視鏡160のヘッド部が有するレーザ走査機能の詳細については、図3を参照して後で説明する。
ここで、内視鏡160のヘッド部には、上記レーザ走査機能の他にも、他の公知の内視鏡が有する各種の構成が更に設けられてもよい。例えば、内視鏡160のヘッド部には、患者の体腔内を撮影する撮像部、患部に対して各種の処置を行うための処置具、及び撮像部のレンズ等を洗浄するための水や空気を噴出する洗浄ノズル等が設けられていてもよい。内視鏡160は、撮像部によって患者の体腔内の様子をモニタしながら観察対象部位を探索し、当該観察対象部位に対してレーザ走査を行うことができる。ただし、これら撮像部や処置具、洗浄ノズル等の構成は、他の公知の内視鏡が有する構成と同様であるため、以下の説明では、内視鏡160の機能のうち、当該ヘッド部が有するレーザ走査機能について主に説明することとし、その他の機能及び構成については詳細な説明を省略する。
光検出器170は、光ファイバ140によって内視鏡160の外部に導光された生体組織500からの戻り光を検出する。具体的には、光検出器170は、生体組織500からの戻り光を、その光強度に応じた信号強度を有する画像信号として検出する。例えば、光検出器170は、フォトダイオードや光電子増倍管(PMT:Photo Multiplier Tube)等の受光素子を有してもよい。また、例えば、光検出器170は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の各種の撮像素子を有してもよい。また、戻り光のスペクトル情報を取得する目的で光検出器170の前段に分光素子が設けられてもよい。光検出器170は、生体組織500へのレーザ光の走査により生じた戻り光を、レーザ光の走査順に連続的に(レーザ光がCWレーザである場合)又は断続的に(レーザ光がパルスレーザである場合)検出することができる。光検出器170は、検出した戻り光に対応する画像信号を、制御部180に送信する。
制御部180は、レーザ走査型内視鏡装置1を統合的に制御するとともに、生体組織500に対するレーザ走査の制御及びレーザ走査の結果得られる画像信号に対する各種の画像信号処理を行う。
制御部180の機能及び構成について詳しく説明する。図2を参照すると、制御部180は、画像信号取得部181、画像信号処理部182、駆動制御部183及び表示制御部184を有する。なお、制御部180における各構成要素の機能は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の各種の信号処理回路によって全て行われてもよい。
画像信号取得部181は、光検出器170から送信される画像信号を取得する。ここで、光検出器170においては、レーザ光の走査順に連続的に又は断続的に戻り光が検出されるため、画像信号取得部181には、当該戻り光に対応する画像信号が、同様にレーザ光の走査順に連続的に又は断続的に送信される。画像信号取得部181は、このようなレーザ光の走査順に連続的に又は断続的に受診した画像信号を、時系列に沿って取得することができる。なお、光検出器170から送信される画像信号がアナログ信号である場合には、画像信号取得部181は、受信した当該画像信号をデジタル信号に変換してもよい。つまり、画像信号取得部181は、アナログ/デジタル変換機能(A/D変換機能)を有してもよい。画像信号取得部181は、デジタル化した画像信号を画像信号処理部182に送信する。
画像信号処理部182は、受信した画像信号に対して各種の信号処理を行うことにより画像データを生成する。本実施形態においては、生体組織500に走査されたレーザ光に対応する画像信号が、走査された順に連続的に又は断続的に光検出器170によって検出され、画像信号取得部181を介して画像信号処理部182に送信される。画像信号処理部182は、連続的に又は断続的に送信される画像信号に基づいて、生体組織500へのレーザ光の走査に対応した画像データを生成する。また、画像信号処理部182は、レーザ走査型内視鏡装置1の用途に応じて、すなわち、どのような画像データを取得したいかに応じて、当該用途に対応した信号処理を行い画像データを生成してもよい。画像信号処理部182は、一般的なレーザ走査型内視鏡装置が行う各種の画像データ生成処理と同様の処理を行うことにより、画像データを生成することができる。更に、画像信号処理部182は、画像データを生成する際に、ノイズ除去処理や、黒レベルの補正処理、明度(輝度)やホワイトバランスの調整処理等、一般的な画像信号処理において行われる各種の信号処理を行ってもよい。画像信号処理部182は、生成した画像データを駆動制御部183及び表示制御部184に送信する。
駆動制御部183は、内視鏡160のヘッド部におけるレーザ走査機能の駆動を制御することにより、生体組織500へのレーザ走査を行う。具体的には、駆動制御部183は、後述する内視鏡160のヘッド部に設けられる回転機構167及び/又は平行移動機構168の駆動を制御することにより、走査部163を駆動させ、生体組織500へのレーザ走査を行う。ここで、駆動制御部183は、回転機構167及び/又は平行移動機構168の駆動を制御することにより、レーザ走査における走査速度やレーザ照射の間隔等のレーザ走査条件を調整することができる。駆動制御部183は、このようなレーザ走査条件の調整を、入力部195から入力される命令に基づいて行ってもよいし、画像信号処理部182によって生成される画像データに基づいて行ってもよい。駆動制御部183による回転機構167及び/又は平行移動機構168の駆動制御については、内視鏡160の機能及び構成について説明する際に詳しく説明する。
表示制御部184は、出力部190におけるデータ表示機能の駆動を制御し、出力部190の表示画面上に各種のデータを表示させる。本実施形態では、表示制御部184は、出力部190の駆動を制御し、出力部190の表示画面上に画像信号処理部182によって生成される画像データを表示させる。
出力部190は、レーザ走査型内視鏡装置1において処理される各種の情報を操作者(ユーザ)に対して出力するための出力インターフェースである。出力部190は、例えば、ディスプレイ装置やモニタ装置等、テキストデータや画像データ等を表示画面上に表示する表示装置によって構成される。本実施形態においては、出力部190は、画像信号処理部182によって生成される画像データを当該表示画面上に表示させる。なお、出力部190は、音声データを音声として出力するスピーカやヘッドホン等の音声出力装置や、各種のデータを紙面に印刷して出力するプリンタ装置等、データの出力機能を有する各種の出力装置を更に有してもよい。
入力部195は、ユーザがレーザ走査型内視鏡装置1に各種の情報や処理動作に関する命令等を入力するための入力インターフェースである。入力部195は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバー等、ユーザによって操作される操作手段を有する入力装置によって構成される。本実施形態においては、ユーザは、入力部195から、内視鏡160の動作に関する各種の命令を入力することができる。具体的には、入力部195から入力された命令に応じて、内視鏡160におけるレーザ走査条件が制御されてもよい。また、内視鏡160が有するレーザ走査機能以外の各種の構成、例えば撮像部や処置具、洗浄ノズル等の駆動が、入力部195から入力された命令に応じて制御されてもよい。
以上、図2を参照して、本開示の第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1の概略構成について説明した。次に、図2と併せて図3を参照して、内視鏡160の機能及び構成についてより詳しく説明する。図3は、図2に示す走査部163の構成を模式的に示す概略図である。なお、図3では、簡単のため、内視鏡160が有する機能のうち、レーザ走査機能に関する構成について主に図示している。
図2及び図3を参照すると、第1の実施形態に係る内視鏡160は、鏡筒(筐体)161、ウインドウ部162、走査部163、回転機構167及び平行移動機構168を有する。
本実施形態においては、図2に示すように、内視鏡160の一部領域を観察対象である生体組織500に接触させ、当該接触領域に対して走査部163からレーザ光が照射される。そして、走査部163から生体組織500にレーザ光が照射された状態で、走査部163を内視鏡160の挿入方向(鏡筒161の長手方向)を回転軸方向として回転させる、及び/又は走査部163を内視鏡160の挿入方向に平行移動させることにより、生体組織500に対してレーザ光を走査する。なお、以下の説明において、内視鏡160又はその構成部材の生体組織500への「接触」とは、「接触又は近接」を表すものであってもよい。
ここで、以下の説明では、図2及び図3に示すように、走査部163の回転によってレーザ走査が行われる方向(紙面垂直方向)をx軸、内視鏡160(鏡筒161)の挿入方向をy軸、x軸及びy軸と互いに垂直な方向をz軸と定義して説明を行う。ここで、図2においては、内視鏡160の走査部163及びその近傍の構成について、鏡筒161の中心軸を通りy−z平面と平行な断面で切断したときの断面図を模式的に示している。また、図3は、図2におけるA−Aでの断面をy軸の正方向から見た様子を示す図である。ただし、図3では、走査部163が上記の回転軸で所定の角度回転した様子を図示している。
鏡筒161は、管状の筐体であり、その先端部であるヘッド部には、ウインドウ部162、走査部163、回転機構167及び平行移動機構168等の、レーザ走査機能に関する各種の構成が設けられる。なお、鏡筒161のヘッド部の直径は、例えば数mm程度以下である。本実施形態においては、図2及び図3に示すように、鏡筒161は円筒状の形状を有するが、鏡筒161の断面形状はかかる例に限定されず、管状の筐体であればあらゆる形状であってよい。例えば、鏡筒161の断面形状は任意の多角形であってもよい。ただし、患者への身体的な負担の軽減を考えれば、鏡筒161の断面形状は円形に近い形状であることが好ましく、従って、鏡筒161の断面形状が任意の多角形である場合には、当該多角形は頂点の数ができるだけ多く円形に近い形状であることが好ましい。なお、以下の説明では、内視鏡160及び鏡筒161の長手方向のことを、筐体の長軸方向とも呼称する。
また、当該ヘッド部には、撮像部、処置具、洗浄ノズル等のレーザ走査機能以外の各種の機構が設けられてもよい。これらの各種の機構は、鏡筒161の内部に延設されるケーブルやワイヤ(いずれも図示せず。)等により、レーザ走査型内視鏡装置1の装置本体部と電気的、機械的に接続されており、当該装置本体部からの制御によって駆動される。例えば、これらの各種の機構は、ユーザによって入力部195から入力される命令に応じて制御されてもよい。
ウインドウ部162は、鏡筒161の一部領域に設けられ、観察対象である患者の体腔内の生体組織500に接触する。本実施形態においては、ウインドウ部162は、鏡筒161の長手方向と略平行な側壁の一部領域に設けられ、鏡筒161の側壁の形状に則したシリンドリカル面を有する。図2に示すように、光ファイバ140によって鏡筒161内を導光されてきたレーザ光は、ウインドウ部162を介して生体組織500に照射される。また、生体組織500からの戻り光は、ウインドウ部162を介して鏡筒161の内部に入射し、光ファイバ140によって内視鏡160の外部に導光される。従って、ウインドウ部162の材料は、レーザ光源110によって射出されるレーザ光の波長帯域及び生体組織500からの戻り光の波長帯域に対して透明である(透過率が大きい)ことが望ましい。具体的には、ウインドウ部162は、例えば、石英、ガラス、プラスチック等の各種の公知の材料によって構成されてよい。
また、上述したように、本実施形態においては、走査部163のy軸を回転軸とした回転及び/又は走査部163のy軸方向への平行移動によって、生体組織500に対してレーザ光を走査する。従って、走査部163以降(生体組織500にレーザ光が照射されるまで)の光学系は、走査部163の回転及び又は平行移動に対して保存されていることが望ましい。ウインドウ部162の形状は、このような、走査部163以降の光学系が、走査部163の回転及び又は平行移動に対して保存される観点から設定されてもよい。
更に、レーザ走査時にウインドウ部162は生体組織500に接触するため、安全の観点から、ウインドウ部162には所定の強度が求められる。このように、ウインドウ部162の厚さや材料は、ウインドウ部162が生体組織500に接触することを考慮して、患者に危険を及ぼさないように十分な強度を有するように設計される。例えば、ウインドウ部162は、その材料にもよるが、数百μm程度の厚さを有することが望ましい。
なお、図2及び図3に示す例では、ウインドウ部162は、鏡筒161の側壁の形状に則したシリンドリカル面を有しているが、本実施形態はかかる例に限定されない。ウインドウ部162の形状は他の形状、例えば他の各種の曲面やあるいは平面であってもよい。また、図2及び図3に示す例では、ウインドウ部162は、鏡筒161の円周方向(外周方向)の一部領域にのみ設けられているが、本実施形態はかかる例に限定されない。ウインドウ部162は、鏡筒161の円周方向の全領域に鏡筒161の長手方向にある幅を有して設けられてもよい。鏡筒161の円周方向にウインドウ部162が設けられる長さは、レーザ走査時に生体組織500に鏡筒161が押圧される際に互いに接触する領域の面積に応じて適宜設定されてよい。
走査部163は、ウインドウ部162を通して生体組織500にレーザ光を照射した状態で、鏡筒161内でウインドウ部162に対して相対的に回転及び/又は平行移動することにより、生体組織500に対して当該レーザ光を走査する。
走査部163の機能及び構成について詳しく説明する。走査部163は、光路変更素子164、対物レンズ165、収差補正素子166及びハウジング169を有する。
光路変更素子164は、鏡筒161内を鏡筒161の長手方向に導光してきたレーザ光を、対物レンズ165のレンズ面に導光する。具体的には、光路変更素子164は、光ファイバ140によって鏡筒161内を導光してきたレーザ光を受光し、その光路を変更して対物レンズ165の光軸上に導光する。図2に示す例では、光ファイバ140を導光してきたレーザ光は、光ファイバ用導光レンズ150によって略平行光にコリメートされ、y軸方向に導光され光路変更素子164に入射する。光路変更素子164は、例えば折り曲げミラーであり、光ファイバ用導光レンズ150から導光されたレーザ光を略直角にz軸方向に反射し、自身から見てz軸方向に位置する対物レンズ165に向かって導光する。なお、本実施形態においては、光路変更素子164は折り曲げミラーに限定されず、他の各種の光学素子であってよい。光路変更素子164が他の光学素子である本実施形態の変形例については、下記(4.変形例)で詳しく説明する。
対物レンズ165は、鏡筒161の内部に設けられ、ウインドウ部162を通して生体組織500にレーザ光を集光する。具体的には、対物レンズ165は、光路変更素子164から導光されたレーザ光を集光し、ウインドウ部162を通して生体組織500に向かって照射する。また、生体組織500からの戻り光は、ウインドウ部162及び対物レンズ165を介して鏡筒161の内部に入射し、光ファイバ140によって内視鏡160の外部に導光される。従って、対物レンズ165の材料は、レーザ光源110によって射出されるレーザ光の波長帯域及び生体組織500からの戻り光の波長帯域に対して透明である(透過率が大きい)ことが望ましい。具体的には、対物レンズ165は、例えば、石英、ガラス、プラスチック等の各種の公知の材料によって構成されてよい。また、例えば、対物レンズ165は非球面レンズであってよい。また、本実施形態においては、高分解能の画像データを取得するために、対物レンズ165は比較的高いNAを有することが望ましい。例えば、対物レンズ165のNAは0.5以上であってよい。
なお、図2及び図3に示す例では、対物レンズ165は、走査部163内において光路変更素子164の後段に設けられ、光路変更素子164とともに回転するように構成されているが、対物レンズ165が設けられる位置はかかる位置に限定されない。例えば、対物レンズ165は、走査部163に含まれなくてもよく(すなわち、走査部163の他の構成部材とともに回転しなくてもよく)、光路変更素子164の前段に設けられてもよい。当該構成の場合、対物レンズ165によって集光されたレーザ光が、光路変更素子164によってその進行方向が変更され、ウインドウ部162を透過して生体組織500に対して走査されることになる。ただし、対物レンズ165が光路変更素子164の前段に設けられる場合には、対物レンズ165から光路変更素子164までの距離及び光路変更素子164から生体組織500までの距離を考慮して、比較的作動距離が長い対物レンズ165が用いられることが好ましい。
収差補正素子166は、ウインドウ部162よりも前段に設けられ、レーザ光が生体組織500に集光される際に生じる収差を補正する。具体的には、収差補正素子166は、レーザ光を生体組織500に照射する際に対物レンズ165及び/又はウインドウ部162に起因して生じる色収差、球面収差、非点収差等の各収差の少なくともいずれかを補正する。例えば、球面収差を補正するための収差補正素子166としては、ウインドウ部162や対物レンズ165の厚み誤差による球面収差を補償する目的で、例えば対物レンズ165とウインドウ部162との間に平行平板が用いられてもよい。ただし、対物レンズ165が非球面レンズである場合には、対物レンズ165自体に球面収差の補正機能が備えられていてもよい。また、例えば、非点収差を補正するための収差補正素子166としては、各種のシリンドリカルレンズやシリンドリカルメニスカスレンズを用いることができる。なお、収差補正素子166の具体的な構成については、下記(5.収差補正素子の構成)で詳細に説明する。
ここで、上記の収差の度合いは、対物レンズ165のNAの値や、ウインドウ部162の形状に影響される。具体的には、対物レンズ165のNAが高くなるほど、ウインドウ部162の構成部材の厚さが大きくなるほど、ウインドウ部162の曲率が小さくなるほど(すなわち、鏡筒161の直径が小さくなるほど)、収差の度合いは大きくなる傾向がある。従って、収差補正素子166としてどのような光学素子を用いるかや、その具体的な構成は、ウインドウ部162及び対物レンズ165の形状及び特性に応じて適宜選択されてよい。
なお、上述したように例えばコリメータレンズとして機能する光ファイバ用導光レンズ150によって観察深さが変更される場合には、観察深さの変更に伴う収差の変動を考慮して設計された、非点収差を補正する収差補正素子が好適に適用され得る。また、レーザ走査型内視鏡装置1によって、2光子励起を利用した観察を行う場合には、色収差を補正する収差補正素子が好適に適用され得る。このような、観察深さ調整機構を有する場合や、2光子励起を利用した観察を行う場合における収差補正素子の具体的な構成については、下記(6−2.レーザ走査型プローブ)で詳細に説明する。
なお、図2及び図3に示す例では、収差補正素子166は、光路変更素子164と対物レンズ165との間に設けられているが、収差補正素子166が設けられる位置はかかる位置に限定されない。収差補正素子166は、光ファイバ140から射出されたレーザ光がウインドウ部162を通過するまでの間であれば任意の位置に設けられてよく、走査部163の一構成部材として回転及び平行移動をしないように構成されてもよい。
また、レーザ光が生体組織500に集光される際に生じる収差を抑制する目的で、対物レンズ165とウインドウ部162との間の空間を、対物レンズ165の屈折率及びウインドウ部162の屈折率と略同一の屈折率を有する液体によって液浸してもよい。当該液体は、例えば、上記条件を満たすオイル等であってよい。ここで、一般的に、生体組織500の屈折率は、空気よりもウインドウ部162の材料として選択され得るガラス等と近い値であることが知られている。従って、対物レンズ165とウインドウ部162との間の空間を所定の屈折率を有する液体で液浸することにより、対物レンズ165からウインドウ部162を介して生体組織500に至るまでの光路上での屈折率の変化、特にウインドウ部162の内面における屈折率差を小さくすることができ、収差の発生を抑制することができる。対物レンズ165とウインドウ部162との間の空間が液浸される場合には、収差補正素子166の構成は、液浸される液体の屈折率等の光学特性を考慮して適宜選択される。なお、当該収差を抑制する目的で、対物レンズ165とウインドウ部162との間の空間に満たされる媒体は、液体に限定されず、上記の屈折率の条件を満たすような公知の各種の材質によって構成された他の媒体であってもよい。
また、光路変更素子164である折り曲げミラーのレーザ光の反射面を非球面形状にすることにより、光路変更素子164が収差補正機能を有するようにしてもよい。光路変更素子164が収差補正機能を有する場合には、収差補正素子166の構成は、光路変更素子164の当該収差補正機能の性能も考慮して適宜選択される。
ハウジング169は、走査部163の各構成部材を内部の空間に収容する。本実施形態では、ハウジング169は、図2及び図3に示すように、内部に空間を有する略直方体の形状を有し、当該内部空間に光路変更素子164及び収差補正素子166が配設される。また、ハウジング169の鏡筒161の内壁と対向する一面の一部領域には対物レンズ165が配設される。図2に示すように、走査部163に入射したレーザ光は、ハウジング169の内部に設けられた光路変更素子164に入射してその光路が変更され、収差補正素子166を通過して、対物レンズ165を介してハウジング169の外部に導光される。なお、光路変更素子164及び収差補正素子166は、ハウジング169の内部空間において、図示しない支持部材等によってハウジング169に対して固定されているものとする。
回転機構167は、レーザ光が生体組織500を走査するように、対物レンズ165の光軸と直交し対物レンズ165を通らない回転軸で、少なくとも対物レンズ165を鏡筒161内で回転させる。回転機構167は、具体的には、例えば、電磁力、超音波等を動力として駆動する各種のモータや、ピエゾ素子からなるモータ等によって構成されてよい。また、回転機構167は、小型のエアタービンによって構成されてもよい。更には、回転機構167は、カップリング機構を用いて内視鏡160の外部からトルクを伝達する機構によって構成されてもよい。
図2及び図3に示す例では、回転機構167は、走査部163、すなわち、光路変更素子164、対物レンズ165、収差補正素子166及びハウジング169を一体的に、y軸を回転軸として回転させる。つまり、回転機構167は、対物レンズ165の光軸がウインドウ部162の面上をx軸方向に走査するように、走査部163をy軸を回転軸として回転させる。このように、本実施形態においては、回転機構167が走査部163を1回転させる間に、生体組織500においてx軸方向の1ライン分レーザ光が走査される。従って、当該レーザ光の戻り光を検出することにより、生体組織500のうち回転機構167の回転によりレーザ光が走査されたラインに対応する部分の特性を画像データとして取得することができる。
平行移動機構168は、少なくとも対物レンズ165を、鏡筒161内で、回転機構167による回転軸の方向に平行移動させる。平行移動機構168は、具体的には、例えば、リニアアクチュエータやピエゾ素子等によって構成されてよい。図2及び図3に示す例では、平行移動機構168は、走査部163、すなわち、光路変更素子164、対物レンズ165、収差補正素子166及びハウジング169を一体的に、y軸方向に平行移動させる。つまり、平行移動機構168は、対物レンズ165の光軸がウインドウ部162の面上をy軸方向に走査するように、走査部163をy軸方向に平行移動させる。ここで、本実施形態においては、走査部163に入射するレーザ光は、光ファイバ用導光レンズ150によって略平行光にコリメートされている。従って、平行移動機構168によって走査部163がy軸方向に平行移動しても、生体組織500に照射されるレーザ光の焦点(フォーカス)が変化しない。
このように、本実施形態においては、回転機構167が走査部163を回転させることによりx軸方向にレーザ光を走査するとともに、平行移動機構168が走査部163を平行移動させることによりy軸方向にレーザ光を走査する。従って、生体組織500においてx−y平面(x軸とy軸とで規定される平面)上で2次元状にレーザ光が走査される。よって、当該レーザ光の戻り光を検出することにより、生体組織500においてレーザ光が走査された部分の特性を、2次元の画像データとして取得することができる。
本実施形態では、回転機構167による走査部163の回転速度によってx軸方向のスキャンスピードが制御され、平行移動機構168による走査部163の平行移動速度によってy軸方向のスキャンスピードが制御される。従って、当該回転速度及び平行移動速度は、画像データのサンプリング周波数等に基づいて適宜設定されてよい。また、平行移動機構168による走査部163の可動範囲(可動距離)によって、取得される画像データの範囲が制御される。従って、当該可動距離は、ウインドウ部162のy軸方向の長さを考慮して、適宜設定されてよい。
なお、図2及び図3に示す例では、回転機構167及び平行移動機構168は、走査部163、すなわち、光路変更素子164、対物レンズ165、収差補正素子166及びハウジング169を一体的に回転及び平行移動させているが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、回転機構167及び平行移動機構168は、対物レンズ165及びそのホルダーのみを、レーザ光が生体組織500を走査するように回転及び平行移動させてもよい。回転機構167及び平行移動機構168が対物レンズ165及びそのホルダーのみを回転及び平行移動させる場合には、光路変更素子164は回転及び平行移動せず、回転機構167及び平行移動機構168による対物レンズ165の回転及び平行移動と同期して、レーザ光の光路を動的に変化させることにより、回転及び平行移動する対物レンズ165のレンズ面にレーザ光を導光する構成にしてもよい。また、その場合、収差補正素子166は、例えば、光路変更素子164と対物レンズ165との間に回転及び平行移動しない状態で設けられ、光路変更素子164による光路の動的な変更に同期して、その収差補正機能を動的に変化させる構成にしてもよい。また、例えば、対物レンズ165及び収差補正素子166が、光路変更素子164よりも前段に設けられ、回転機構167及び平行移動機構168は、光路変更素子164のみを回転及び平行移動させてもよい。このように、本実施形態では、走査部163の回転及び/又は平行移動によって、生体組織500に対してレーザ光が走査されればよく、どの光学部材を回転及び/又は平行移動させることによってレーザ光の走査を実現するかは適宜設定されてよい。
また、図2及び図3には図示しないが、内視鏡160には、走査部163をz軸方向に、すなわち対物レンズ165の光軸方向に移動させる光軸方向移動機構が更に設けられてもよい。具体的には、当該光軸方向移動機構は、例えば小型のアクチュエータによって構成される。当該光軸方向移動機構によって走査部163がz軸方向に移動されることにより、対物レンズ165の生体組織500に対する焦点深度(すなわち観察深さ)を変化させることができる。なお、当該光軸方向移動機構も、上記回転機構167及び平行移動機構168と同様、対物レンズ165及びそのホルダーのみをz軸方向に移動させてもよい。また、対物レンズ165を光軸方向に移動させる代わりに、対物レンズ165を可変焦点レンズによって構成することにより対物レンズ165の焦点距離が変更されてもよい。なお、内視鏡160は、ウインドウ部162と生体組織500との相対距離を検出することにより、上記の光軸方向移動機構や可変焦点レンズによる焦点距離の調節を自動的に行うフォーカスサーボ機構を有してもよい。当該光軸方向移動機構や当該可変焦点レンズによる焦点距離の調節機構は、上述したコリメータレンズとして機能する光ファイバ用導光レンズ150と同様に、本実施形態に係る観察深さ調整機構の一例である。
本実施形態では、これらの観察深さ調整機構を用いることにより、生体組織500へのz軸方向のレーザ光の走査を行うことが可能となる。よって、上述した回転機構167及び平行移動機構168による走査部163の駆動と、観察深さ調整機構の駆動とを組み合わせることにより、生体組織500を3次元的にレーザ光で走査することができ、その戻り光を検出することにより、生体組織500の特性を3次元の画像データとして取得することが可能となる。従って、例えば深さ方向に複数層の画像を撮影しながら、観察したい部位(例えば患部)を探索する等、ユーザにとってより利便性の高い観察が実現される。
以上、図2及び図3を参照して、本開示の第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1の概略構成について説明した。以上説明したように、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1によれば、鏡筒161内において対物レンズ165がy軸を回転軸として回転することによって、ウインドウ部162を介して生体組織500に対してx軸方向にレーザ光が走査される。このように、対物レンズ165が回転することでレーザ光が走査されることにより、レーザ走査型内視鏡装置1における視野(FOV)は、対物レンズ165の軸外特性によって制限されない。従って、レーザ走査型内視鏡装置1では、対物レンズ165が回転中にウインドウ部162と対向する範囲(すなわち、x軸方向にレーザ光が走査される範囲)がFOVとして確保されるため、対物レンズ165のNAが比較的高い場合であっても広視野が実現される。また、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1の内視鏡160に設けられるウインドウ部162は、所定の厚さを有して形成されるため、ウインドウ部162が生体組織に接触する際の安全性が確保される。更に、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1によれば、ウインドウ部162よりも前段に、レーザ光が生体組織に集光される際に生じる収差を補正する収差補正素子166が設けられる。ここで、収差補正素子166の収差補正性能は、対物レンズ165及び/又はウインドウ部162に起因して生じる収差を補正するように、対物レンズ165及びウインドウ部162の特性や形状に応じて適宜設定されてよい。従って、レーザ走査型内視鏡装置1では、NAが比較的高い対物レンズを用いながら、ウインドウ部に所定の厚さを設けることにより安全性を確保することと、収差の影響を抑制することにより高品質な画像を取得することを両立させることが可能となる。
また、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1においては、ウインドウ部162を生体組織500に接触させてレーザ光を走査するため、対物レンズ165を生体組織500に近接させることができるため、比較的高いNAを有する対物レンズ165を用いた場合であっても、生体組織500のより深い部位まで観察可能な画像データを、より高い解像度で、より安定的に取得することができる。
ここで、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1におけるFOV×NAの概算値を算出してみる。上述したように、レーザ走査型内視鏡装置1のFOVは、走査部163の回転によって生体組織500においてx軸方向にレーザ光が走査される範囲であるため、ウインドウ部162の円周方向の長さのうち生体組織500と接している長さだと考えることができる。従って、FOVは、以下の数式(1)で算出される。
FOV=π×(ウインドウ部162の外径)×(生体組織500との接触角度/360°)
…(1)
なお、数式(1)での「接触角度」とは、ウインドウ部162の円周方向の長さのうち生体組織500と接している長さに対応する、鏡筒161のx−z平面で切断した断面(すなわち、図3に示す鏡筒161の断面)の円における中心角のことである。
ここで、例えば、ウインドウ部162の外径が鏡筒161の直径と等しく、5(mm)であったとする。また、例えば、生体組織500との接触角度が60°であったとする。これらの値を、上記数式(1)に代入すると、レーザ走査型内視鏡装置1のFOVは、FOV≒2.6(mm)と算出される。従って、例えば、NAが0.5の対物レンズ165を用いたとすると、レーザ走査型内視鏡装置1の性能を示す指標FOV×NAは、FOV×NA=2.6×0.5=1.3となる。上記(1.他の構成によるレーザ走査型内視鏡装置についての検討)で説明したように、既存のレーザ走査型内視鏡におけるFOV×NAの値は最も高いものでも0.3(mm)程度であり、また、レーザ走査型顕微鏡におけるFOV×NAの値も1.0(mm)程度である。従って、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1は、「3.高いNA」及び「4.広視野」という性能に関して、既存のレーザ走査型内視鏡及び既存のレーザ走査型顕微鏡よりも高い性能を有するものであるといえる。このように、レーザ走査型内視鏡装置1においては、対物レンズ165を回転させることにより、「2.ヘッド部の小型化」、「3.高いNA」及び「4.広視野」が同時に実現される。すなわち、レーザ走査型内視鏡装置1においては、高い解像度と広い視野とを確保することができる。従って、レーザ走査のライン間隔やサンプリングレートを制御することにより、生体組織を広範囲に見渡したり、必要に応じて所望の部位を拡大してより高い解像度で観察したりすることができ、効率的な生体組織の観察が実現される。
また、レーザ走査型内視鏡装置1に、上述した光軸方向移動機構のような、対物レンズ165の生体組織500への焦点深度を制御する機構を設けることにより、「1.深達度」についても所定の性能を達成することができる。
更に、レーザ走査型内視鏡装置1における「5.高速スキャン性能」について考えてみる。レーザ走査型内視鏡装置1におけるレーザ光のスキャンスピードは、回転機構167による走査部163の回転速度によって決定される。ここで、走査部163に求められる回転速度を概算してみる。例えば、1フレームの画像データが(x×y)=(500(pixel)×500(pixel))であるとすると、スキャンスピード1fpsを実現するためには、1秒間に500ライン、レーザ光を走査する必要がある。従って、スキャンスピード1fpsを実現するために走査部163に求められる回転速度は、500×60×1=30000(rpm)である。これは、回転機構167が各種のモータによって構成されるとすれば十分実現可能な回転数であり、レーザ走査型内視鏡装置1においては、少なくとも1fps程度のスキャンスピードは実現可能であるといえる。
なお、上記では対物レンズ165が非球面レンズである場合について説明したが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、対物レンズ165は、グリンレンズ、回折光学素子、ホログラム、位相変調器等、非球面レンズと同等の光学的機能を持つ他の光学素子であってもよい。
また、スキャンスピードを向上させる観点から、回転機構167による高速回転を実現するために、対物レンズ165の材料としては、より比重の軽い材料が用いられることが好ましい。
また、対物レンズ165の代わりに、レーザ光を集光するとともに光路を変更することが可能な、反射型対物レンズや自由曲面ミラー、プリズム等の各種の光学素子が用いられてもよい。対物レンズ165の代わりに、レーザ光を集光するとともに光路を変更することが可能な光学素子が用いられる場合、光路変更素子164は必ずしも設けられなくてもよい。
また、レーザ光源110と対物レンズ165との間には、ガルバノミラー等の光偏光デバイスとリレーレンズ光学系によって構成される、一般的に用いられ得るレーザ走査機構が別途設けられてもよい。
また、上記では生体組織500にレーザ光をy軸方向に走査するための手段として、平行移動機構168が設けられる場合について説明したが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、平行移動機構168は設けられなくてもよく、回転機構167による走査部163の回転により、x軸方向の1ライン分の画像データが取得されてもよい。生体組織500へのレーザ光の照射では、レーザ光は所定の広がりを有して生体組織500に照射されるため、x軸方向の1ライン分の走査しかされない場合であっても、y軸方向に所定の幅を有する画像データが取得される。あるいは、平行移動機構168が設けられない場合には、内視鏡160自体の体腔内への挿入動作又は体腔内からの引き抜き動作によって、レーザ光のy軸方向への走査が実現されてもよい。なお、下記(6−2.レーザ走査型プローブ)で説明するレーザ走査型プローブ5のような手持ち型のレーザ走査型プローブであれば、当該レーザ走査型プローブ自体を観察対象であるヒトや動物の体表面上でy軸方向に移動させることによりy軸方向へのレーザ走査を行ってもよい。また、下記(6−3.レーザ走査型顕微鏡)で説明するレーザ走査型顕微鏡装置6のように、観察対象が載置されるステージ880が設けられる場合であれば、当該ステージ880をy軸方向に移動させることによりy軸方向へのレーザ走査を行ってもよい。このように、平行移動機構168が設けられない場合であっても、筐体(より詳細には観察対象に対してレーザ光を照射するウインドウ部)又は観察対象をy軸方向に移動させながら観察対象にレーザ光を照射することにより、y軸方向へのレーザ走査を行うことが可能となる。
(3.第2の実施形態)
次に、図4Aを参照して、本開示の第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置の一構成例について説明する。図4Aは、本開示の第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置の一構成例を示す概略図である。
図4Aを参照すると、第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置2は、レーザ光源110、ビームスプリッタ120、光変調器230、光ファイババンドル240、光ファイバ用導光レンズ130、150、内視鏡160、光検出器170、制御部280、出力部190及び入力部195を備える。なお、図4Aでは、簡単のため、レーザ走査型内視鏡装置2が有する機能のうち、レーザ走査による画像データの取得に関する構成のみを図示している。ただし、レーザ走査型内視鏡装置2は、図4Aに示す構成以外にも、他の公知の内視鏡装置が有する各種の構成を更に有してもよい。
ここで、本開示の第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置2は、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1に対して、光変調器230が新たに設けられ、光ファイバ140及び制御部180の代わりに、光ファイババンドル240及び制御部280が設けられたものであり、その他の構成については、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1と同様の構成を備える。従って、以下の第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置2の構成についての説明では、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1と相違する構成について主に説明を行い、重複する構成については詳細な説明を省略する。
図4Aを参照すると、本開示の第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置2は、図2に示す第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1に対して、ビームスプリッタ120と光ファイバ用導光レンズ130との間に、光変調器230を備える。また、レーザ走査型内視鏡装置2は、レーザ走査型内視鏡装置1の光ファイバ140の代わりに光ファイババンドル240を備える。
光変調器230は、レーザ光源110、ビームスプリッタ120を介して入力されたレーザ光を、例えば数MHz〜数GHzの互いに異なる周波数で強度変調し多重化させた状態で励起させる。そして、互いに異なる変調を施したレーザ光を、光ファイバ用導光レンズ130を介して光ファイババンドル240に向かって入射させる。
光ファイババンドル240は、複数の光ファイバが束状にまとめられたものであり、図4Aに示す例では、光ファイバ241、242、243を有する。複数の光ファイバ241、242、243を有することにより、図2に示すように、生体組織500上において、複数の光ファイバ241、242、243に対応する複数のスポットにレーザ光が順に照射される。このように、互いに異なる複数のスポットにレーザ光が照射されることにより、いわば、狭い領域において複数のレーザ走査が行われることとなる。複数のスポットに照射されたレーザ光の戻り光は、複数の光ファイバ241、242、243によって逆方向に導光され、光検出器170によって検出される。なお、本明細書において、生体組織500にレーザ光が照射される「スポット」とは、レーザ光が照射される所定の広がりを持った領域のことを意味するものである。
このように、本実施形態においては、光路変更素子164にレーザ光の光束が入射され、対物レンズ165は、生体組織500の互いに異なる複数のスポットに、当該レーザ光の光束を集光する。ここで、対物レンズ165を通過するレーザ光は、基本的には光軸上に集光されることが望ましいが、光軸外の領域が全く使えない訳ではない。従って、対物レンズ165における光軸外の領域(例えば、数10μm程度の領域)を利用して、レーザ光の光束を対物レンズ165に入射させ、生体組織500の互いに異なる複数のスポットに照射させる走査方法が可能となる。
ここで、レーザ走査型内視鏡装置2は、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1の制御部180の代わりに制御部280を備える。制御部280は、制御部180の構成に対して、画像信号取得部181の代わりに画像信号取得部(光復調部)281を有する。画像信号取得部(光復調部)281は、画像信号取得部181が有する機能に加えて、光検出器170から送信される画像信号を復調する機能を有する。ここで、画像信号取得部(光復調部)281は、光変調器230でのレーザ光の変調方法に対応する方法で画像信号を復調することができる。本実施形態においては、上述したように、光変調器230がレーザ光を周波数変調し、複数のスポットに対応する信号を多重化させるため、画像信号取得部(光復調部)281は、当該レーザ光による戻り光を当該周波数変調に対応した方法で復調させる。従って、画像信号取得部(光復調部)281は、生体組織500の複数のスポットに照射されたレーザ光の戻り光について、各スポットからの戻り光に対応する画像信号を選択的に分離して取得することができる。
ここで、生体組織500上においてレーザ光が照射される複数のスポットは、例えばy軸方向に沿って配置される。生体組織500上のスポットをこのように配置し、各スポットにレーザ光を順に照射しながら、回転機構167によって走査部163を回転させることにより、走査部163の1度の回転により、x軸方向の複数のラインを同時に走査することが可能となる。上述したように、画像信号取得部(光復調部)281は、各スポットからの戻り光に対応する画像信号を選択的に分離して取得することができるため、レーザ走査型内視鏡装置2では、走査部163の1度の回転によって複数の走査ラインに関する画像情報を取得することができる。ここで、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1では、走査部163を1度回転させることにより1ラインしか走査することができなかったため、複数のラインを走査するためには、走査部163の回転と走査部163(又は内視鏡160自体)のy軸方向への平行移動とを繰り返し行う必要があった。しかし、第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置2では、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1と同等の画像データを取得するために必要な走査部163の回転数をより小さくすることができ、回転機構167が有するモータ等の駆動機構の小型化や消費電力の低減を実現することが可能となる。
以上、図4Aを参照して、本開示の第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置2の概略構成について説明した。以上説明したように、第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置2によれば、上述した第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置によって得られる効果に加えて、以下の効果を得られる。すなわち、レーザ走査型内視鏡装置2においては、光路変更素子164にレーザ光の光束が入射され、対物レンズ165は、生体組織500の互いに異なる複数のスポットに、当該レーザ光の光束を集光する。ここで、当該光束を構成するレーザ光は、互いに異なる変調を施したレーザ光であってよく、レーザ走査型内視鏡装置2は、これらのレーザ光に対する復調機能を有することにより、各スポットからの戻り光に対応する画像信号を選択的に分離して取得することができる。従って、レーザ走査型内視鏡装置2では、走査部163が1回転する間に、複数のスポットに照射されるレーザ光による複数のラインを走査することが可能となる。よって、走査部163の回転数が比較的小さくても、高いスキャンスピードを得ることができる。
例えば、上記(2.第1の実施形態)で考察したように、1フレームの画像データが(x×y)=(500(pixel)×500(pixel))であるとする。第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1では、スキャンスピード1fpsを実現するために、30000(rpm)程度の走査部163の回転数が必要であった。しかし、例えば、第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置2におけるスポット数が5つであれば、スキャンスピード1fpsを実現するために必要な走査部163の回転数はこの1/5で済むため、6000(rpm)程度でよいことになる。従って、第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置2によれば、上述したように、より少ない回転数で第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1と同等の画像データと同等の情報を得ることが可能となるため、回転機構167が有するモータ等の駆動機構の小型化や消費電力の低減を実現することが可能となる。
なお、上記では光変調器230は、レーザ光に対して振幅変調による周波数多重化を施していたが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、光変調器230によるレーザ光の変調処理は、時分割の強度変調や周波数変調であってもよい。光変調器230による変調処理は、復調処理により各スポットからの戻り光に対応する画像信号を選択的に分離して取得することができれば、どのような処理であってもよい。
また、第2の実施形態においては、対物レンズ165における光軸外の領域がレーザ光の走査に用いられるため、対物レンズ165としては、回折限界に近い、視野がなるべく広くなるように設計されたものであることが好ましい。
また、上記の例では、光ファイババンドル240を用いることにより、生体組織500の複数のスポットにレーザ光を照射することが実現されているが、第2の実施形態はかかる例に限定されない。第2の実施形態では、他の方法によってレーザ光の複数の照射スポットが形成されてもよい。例えば、複数のコアを有するマルチコア光ファイバを用いて、当該マルチコア光ファイバの各コアによってレーザ光を導光することにより、1本の光ファイバによって生体組織500の複数のスポットにレーザ光を照射することも可能である。
マルチコア光ファイバの一例を図4Bに示す。図4Bは、マルチコア光ファイバの断面の様子を示す概略図である。図4Bを参照すると、マルチコア光ファイバ340は、複数のコア341が内部クラッド342及び外部クラッド343によって覆われて構成される。マルチコア光ファイバ340の各コア341によってレーザ光を導光することにより、上述した光ファイババンドル240を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
例えば、複数のコア341は、マルチコア光ファイバ340の断面において、等間隔で1列に配列されることが好ましい。また、マルチコア光ファイバ340は、コア341の配列方向がレーザ光の回転走査方向に対して垂直になるように(すなわち、コア341の配列方向がy軸方向と平行になるように)配置されることが好ましい。これにより、y軸方向に等間隔に並んだ複数のスポットにおいて生体組織500にレーザ光が照射されることとなるため、走査部163の回転により、x軸方向に複数のラインを同時に走査することが可能となる。
なお、図4Bに示す例では、マルチコア光ファイバ340は、ダブルクラッドのマルチコア光ファイバであるが、第2の実施形態はかかる例に限定されず、マルチコア光ファイバ340としてはシングルクラッドのマルチコア光ファイバが用いられてもよい。ただし、ダブルクラッドのマルチコア光ファイバを用いることにより、上述したように、例えば2光子励起を利用した観察を行う場合に、観察対象からの戻り光である蛍光の光ファイバへの集光効率を向上させることが可能となる。
(4.変形例)
次に、本開示の第1及び第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1、2のいくつかの変形例について説明する。なお、以下の第1及び第2の実施形態の変形例についての説明では、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1を例に挙げて主に説明を行うが、以下に説明する変形例と同様の構成は、第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置2にも適用することが可能である。また、以下に示す変形例と同様の構成は、下記(6−2.レーザ走査型プローブ)及び下記(6−3.レーザ走査型顕微鏡装置)で説明する、本実施形態に係るレーザ走査型プローブ及びレーザ走査型顕微鏡装置に対しても、可能な範囲で適用することが可能である。
(4−1.走査部が複数の対物レンズを有する構成)
上記(2.第1の実施形態)及び(3.第2の実施形態)で説明したレーザ走査型内視鏡装置1、2では、走査部163が対物レンズ165を1つ有していた。しかし、本実施形態はかかる例に限定されず、走査部163は対物レンズ165を複数有してもよい。
図5を参照して、そのような走査部が対物レンズを複数有する場合のレーザ走査型内視鏡装置の一構成例について説明する。図5は、走査部が対物レンズを複数有する場合のレーザ走査型内視鏡装置の一構成例を示す概略図である。なお、図5では、レーザ走査型内視鏡装置のうち、内視鏡の部分だけを主に図示し、その他の部分については図示を省略している。
図5を参照すると、本変形例に係る内視鏡360は、鏡筒161、ウインドウ部162、走査部363、回転機構167及び平行移動機構168を有する。なお、これらの構成のうち、鏡筒161、ウインドウ部162、回転機構167及び平行移動機構168については、図2及び図3を参照して説明した各構成部材と同様であるため、以下では走査部363の構成について主に説明することとし、これらの構成については詳細な説明を省略する。また、図5においては、内視鏡360の走査部363及びその近傍の構成について、鏡筒161の中心軸を通りy−z平面と平行な断面で切断したときの断面図を模式的に示している。
走査部363は、光路変更素子364、1対の対物レンズ365、366、1対の収差補正素子367、368及びハウジング369を有する。
1対の対物レンズ365、366は、走査部363の鏡筒161の内壁と対向する位置に設けられる。また、1対の対物レンズ365、366は、例えば、図5に示すように、走査部363において互いに対向する位置に設けられる。つまり、1対の対物レンズ365、366は、y軸の正方向から見たときに走査部363において対称な位置、すなわち、180度回転した位置に配置されてよい。1対の対物レンズ365、366をこのように配置することにより、図5に示すように、一方の対物レンズ365がz軸の負方向に位置してウインドウ部162と対向しているとき、他方の対物レンズ366はz軸の正方向に位置して鏡筒161の内壁と対向する。
光路変更素子364には、光ファイバ140から射出され光ファイバ用導光レンズ150によって略平行光にコリメートされたレーザ光が入射される。光路変更素子364は、入射したレーザ光を、少なくともウインドウ部162と対向している方の対物レンズ365、366に向かって入射させるように、当該レーザ光の光路を変更する。例えば、光路変更素子364は、ビームスプリッタの機能を有し、入射されたレーザ光を2つに分離し、分離したレーザ光を対物レンズ365、366に向かってそれぞれ導光してもよい。また、光路変更素子364は、走査部363の回転と同期して光路の方向を動的に変化させることができる光学素子であり、ウインドウ部162と対向している方の対物レンズ365、366に向かってレーザ光を導光してもよい。なお、走査部363のように、複数の対物レンズを有する走査部の具体的な構成例については、図6A、図6B、図7A、図7B、図8A及び図8Bを参照して後で詳しく説明する。
1対の収差補正素子367、368は、1対の対物レンズ365、366の前段にそれぞれ配設される。収差補正素子367、368の機能は、図2を参照して説明した収差補正素子166と同様であり、レーザ光が生体組織500に集光される際に生じる収差を補正する機能を有する。なお、図5に示す例では、1対の収差補正素子367、368は、光路変更素子364と1対の対物レンズ365、366との間にそれぞれ配設されているが、1対の収差補正素子367、368が配設される位置はかかる例に限定されず、光ファイバ140から射出されたレーザ光がウインドウ部162を通過するまでの間であればどこに設けられてもよい。
ハウジング369は、走査部363の各構成部材を内部の空間に収容する。本変形例では、ハウジング369は、図5に示すように、内部に空間を有する略直方体の形状を有し、当該内部空間に光路変更素子364及び1対の収差補正素子367、368が配設される。また、ハウジング369の鏡筒161の内壁と対向する面であって、ハウジング369において互いに対向する面の一部領域には1対の対物レンズ365、366が配設される。このように、1対の対物レンズ365、366は、図5に示すように、ハウジング369において互いにレンズ面が対向するように設けられる。なお、光路変更素子364及び1対の収差補正素子367、368は、ハウジング369の内部空間において、図示しない支持部材等によってハウジング369に対して固定されているものとする。
本変形例においても、第1の実施形態と同様、回転機構(図示せず。)によって、走査部363がハウジング369ごとy軸を回転軸として回転することができる。また、第1の実施形態と同様、平行移動機構(図示せず。)によって、走査部363がハウジング369ごとy軸方向に平行移動することができる。このように、本変形例においては、回転機構による走査部363のy軸を回転軸とした回転により生体組織500に対してレーザ光がx軸方向に走査され、平行移動機構による走査部363のy軸方向への平行移動により生体組織500に対してレーザ光がy軸方向に走査される。
以上、図5を参照して、本開示の第1及び第2の実施形態の変形例として、走査部363が複数の対物レンズ365、366を有する構成について説明した。本変形例によれば、走査部363が1回転する間に、対物レンズ365によるレーザ光の走査と対物レンズ366によるレーザ光の走査とが行われる。従って、第1及び第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1、2と比べて、走査部363が1回転する間に取得される情報量を増加させることができるため、更なるスキャンスピードの高速化が実現される。あるいは、より少ない走査部363の回転数で、第1及び第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1、2と同等の情報量を有する画像データを取得することが可能となる。
なお、図5に示す例では、走査部363が1対の対物レンズ365、366を有し、また、それら1対の対物レンズ365、366は、y軸の正方向から見たときに走査部363において対称な位置、すなわち、180度回転した位置に配置される場合について説明したが、本変形例はかかる例に限定されない。走査部363は2つより多くの対物レンズを有してもよいし、複数の対物レンズの配置位置も、鏡筒161の長手方向の略同一な位置において、鏡筒161の内壁と対向して、鏡筒161の外周方向に沿って所定の間隔で配設されれば、あらゆる位置に配設されてよい。以下では、図6A、図6B、図7A、図7B、図8A、図8B、図9A及び図9Bを参照して、複数の対物レンズを有する走査部において、対物レンズの配置数や配置位置が図5に示す例とは異なる場合について説明する。
(4−1−1.光路変更素子が偏光ビームスプリッタである構成)
図6A及び図6Bを参照して、走査部が対物レンズを複数有する構成の具体的な構成例として、光路変更素子が偏光ビームスプリッタである構成について説明する。図6Aは、光路変更素子が偏光ビームスプリッタである場合の走査部の一構成例を示す概略図である。図6Bは、図6Aに示す走査部をy軸を回転軸として180度回転したときの様子を示す概略図である。なお、図6A及び図6Bでは、簡単のため、本変形例に係るレーザ走査型内視鏡装置の構成のうち、走査部及びその近傍の構成についてのみ主に図示している。また、図6A及び図6Bは、走査部及びその近傍の構成について、鏡筒の中心軸を通りy−z平面と平行な断面で切断したときの断面図を示している。
図6A及び図6Bを参照すると、本変形例に係る走査部370は、偏光ビームスプリッタ372、1/4波長板373、ミラー374、1対の対物レンズ375、376、1対の収差補正素子377、378及びハウジング379を有する。また、図6Aに示す構成例においては、走査部370の前段、すなわち、光ファイバから射出されたレーザ光が走査部370に入射する直前に、偏光変調素子371が更に設けられる。なお、図6A及び図6Bに示す実線及び破線の矢印はレーザ光の光路を示す。
1対の対物レンズ375、376は、図5に示す例と同様、y軸方向から見たときに走査部370において対称な位置、すなわち、180度回転した位置に配置される。つまり、図6Aに示すように、一方の対物レンズ375がz軸の負方向に位置してウインドウ部162と対向しているとき、他方の対物レンズ376はz軸の正方向に位置して鏡筒161の内壁と対向している。また、1対の収差補正素子377、378は、1対の対物レンズ375、376の前段にそれぞれ配置される。収差補正素子377、378の機能は、図2を参照して説明した収差補正素子166と同様であり、レーザ光が生体組織500に集光される際に生じる収差を補正する機能を有する。
偏光変調素子371は、入射したレーザ光の偏光方向を変更する機能を有する。具体的には、偏光変調素子371は、入射したレーザ光のうち所定の偏光方向を有するレーザ光のみを通過させる機能を有していてもよい。本変形例であれば、偏光変調素子371には、前段の光ファイバ(図示せず。)から射出されたレーザ光が入射され、偏光変調素子371は、当該レーザ光のうち、所定の偏光方向を有するレーザ光のみを通過させ、走査部370に入射させる。
偏光変調素子371を通過したレーザ光は、走査部370に入射し、更に偏光ビームスプリッタ372に入射する。偏光ビームスプリッタ372は、所定の偏光方向を有するレーザ光の光路を変更する機能を有する。具体的には、偏光ビームスプリッタ372は、入射したレーザ光が有する偏光方向に応じてその光路を変更させる。図6Aに示す例では、偏光ビームスプリッタ372は、偏光変調素子371を通過したレーザ光の光路を略90度変化させ、z軸の負方向に配設された収差補正素子377及び対物レンズ375に入射させるように調整されている。偏光ビームスプリッタ372によって光路を変更されたレーザ光は、収差補正素子377及び対物レンズ375を通過し、ウインドウ部162を介して生体組織500に照射される。
ハウジング379は、走査部370の各構成部材を内部の空間に収容する。本変形例では、ハウジング379は、図6Aに示すように、内部に空間を有する略直方体の形状を有し、当該内部空間に偏光ビームスプリッタ372、1/4波長板373、ミラー374及び1対の収差補正素子377、378が配設される。また、ハウジング379の鏡筒161の内壁と対向する面であって、ハウジング379において互いに対向する面の一部領域には1対の対物レンズ375、376が配設される。なお、偏光ビームスプリッタ372、1/4波長板373、ミラー374及び1対の収差補正素子377、378は、ハウジング379の内部空間において、図示しない支持部材等によってハウジング379に対して固定されているものとする。
本変形例においても、第1の実施形態と同様、回転機構(図示せず。)によって、走査部370がハウジング379ごとy軸を回転軸として回転することができる。また、第1の実施形態と同様、平行移動機構(図示せず。)によって、走査部370がハウジング379ごとy軸方向に平行移動することができる。このように、本変形例においては、回転機構による走査部370のy軸を回転軸とした回転により生体組織500に対してレーザ光がx軸方向に走査され、平行移動機構による走査部370のy軸方向への平行移動により生体組織500に対してレーザ光がy軸方向に走査される。
図6Bは、走査部370が、図6Aの状態からy軸を回転軸として180度回転したときの様子を示している。走査部370がy軸を回転軸として180度回転しているため、収差補正素子377及び対物レンズ375と収差補正素子378及び対物レンズ376との位置関係、並びに偏光ビームスプリッタ372も180度回転している。つまり、図6Bに示す状態では、収差補正素子378及び対物レンズ376が、ウインドウ部162と対向している。
図6Bに示す状態では、偏光ビームスプリッタ372は、y軸の負方向から偏光変調素子371を通過して入射したレーザ光を、そのままの光路で、すなわち、y軸の正方向に通過させるように調整されている。あるいは、偏光ビームスプリッタ372が図6Aに示す状態から180度回転して図6Bに示す状態にあるときに、入射したレーザ光をy軸の正方向に通過させるように、偏光変調素子371の特性が走査部370の回転と同期して動的に変更されてもよい。
偏光ビームスプリッタ372のy軸の正方向には、1/4波長板373及びミラー374がこの順に設けられており、偏光ビームスプリッタ372を通過した光は、1/4波長板373を通過した後にミラー374によって反射され、再度1/4波長板373を通過して、偏光ビームスプリッタ372にy軸の正方向から入射する。この一連の光路において、レーザ光は1/4波長板373を2度通過することにより、その偏光方向が変化している。偏光ビームスプリッタ372は、y軸の正方向から入射した、偏光方向が変化されたレーザ光の光路を略90度変化させ、z軸の負方向に位置する収差補正素子378及び対物レンズ376に入射させるように調整されている。偏光ビームスプリッタ372によって光路を変更されたレーザ光は、収差補正素子377及び対物レンズ375を通過し、ウインドウ部162を介して生体組織500に照射される。
以上、図6A及び図6Bを参照して説明したように、本変形例においては、レーザ光の偏光方向を制御する偏光変調素子371と、レーザ光の偏光方向に応じてその光路を制御する偏光ビームスプリッタ372とを組み合わせることにより、走査部370の回転と同期して、ウインドウ部162と対向している対物レンズ375又は対物レンズ376の方向に、レーザ光を導光することができる。従って、走査部370が1回転する間に、対物レンズ375を介した生体組織500へのレーザ光の走査と、対物レンズ376を介した生体組織500へのレーザ光の走査とを両方行うことができ、より効率的なレーザ光の走査が可能となる。
(4−1−2.光路変更素子がMEMSミラーである構成)
次に、図7A及び図7Bを参照して、走査部が対物レンズを複数有する構成の具体的な構成例として、光路変更素子がMEMSミラーである構成について説明する。図7A及び図7Bは、光路変更素子がMEMSミラーである場合の走査部の一構成例を示す概略図である。なお、図7A及び図7Bでは、簡単のため、本開示に係るレーザ走査型内視鏡装置の構成のうち、走査部及びその近傍の構成についてのみ主に図示している。また、図7Aは、走査部及びその近傍の構成について、鏡筒の中心軸を通りx−z平面と平行な断面で切断したときの断面図を示している。また、図7Bは、走査部及びその近傍の構成について、走査部の対物レンズの中心を通りy−z平面と平行な断面で切断したときの断面図を示している。なお、図7Aは、図7Aに示すB−B断面での断面図に対応している。
図7A及び図7Bを参照すると、走査部380は、MEMSミラー381、1対の対物レンズ382、383、1対の収差補正素子384、385及びハウジング386を有する。なお、図7A及び図7Bに示す実線の矢印はレーザ光の光路を示す。
図7Aに示す例では、1対の対物レンズ382、383の配置位置が、図5、図6A及び図6Bに示す例とは異なっている。すなわち、図7Aに示す例では、1対の対物レンズ382、383は、y軸方向から見たときに走査部380において、180度回転した位置には配置されず、180度よりも小さい所定の角度を有して配置されている。また、1対の収差補正素子384、385は、1対の対物レンズ382、383の前段にそれぞれ配置される。収差補正素子384、385の機能は、図2を参照して説明した収差補正素子166と同様であり、レーザ光が前記生体組織に集光される際に生じる収差を少なくとも補正する機能を有する。ただし、本変形例においても、対物レンズ382、383及び収差補正素子384、385の配置位置は、図5、図6A及び図6Bと同様、y軸方向から見たときに走査部380において180度回転した位置であってもよい。
MEMSミラー381は、MEMSによって形成されたミラーであり、入射したレーザ光の反射方向を動的に制御することができる。具体的には、MEMSミラー381は、入射したレーザ光を反射させる反射面の角度及び形状の少なくともいずれかを動的に変化させることにより、当該レーザ光の光路を動的に変化させることができる。例えば、MEMSミラー381は、鏡筒161の内径の略中心に配設される。MEMSミラー381の角度及び表面の形状は、前段の光ファイバ(図示せず。)から射出されたレーザ光を鏡筒161の径方向に導光し、当該レーザ光が鏡筒161の円周方向に沿って観察対象を走査するように(すなわち、x軸方向に観察対象を走査するように)導光するように動的に制御されている。
ここで、本変形例においては、図7A及び図7Bに示すように、ハウジング386は、円筒の内部がより径の小さい円筒状にくり抜かれた、コップ状の形状を有する。そして、ハウジング386の内部の空間に収差補正素子384、385が配設され、ハウジング386の鏡筒161の内壁と対向する面(すなわち、円筒の外周面)の一部領域に、対物レンズ382、383が、ハウジング386の外周に沿って所定の間隔で配設される。更に、MEMSミラー381は、ハウジング386の内部には配設されず、コップ形状の凹部にハウジング386と離隔して配設される。なお、収差補正素子384、385は、ハウジング386の内部空間において、図示しない支持部材等によってハウジング386に対して固定されているものとする。
本変形例においても、第1の実施形態と同様、回転機構(図示せず。)によって、走査部380がハウジング386ごとy軸を回転軸として回転することができる。ここで、本変形例においては、上記のように、MEMSミラー381はハウジング386と離隔して配設されるため、走査部380が回転してもMEMSミラー381は回転しない。本変形例においては、光路変更素子であるMEMSミラー381は走査部380とともに回転せず、走査部380の回転と同期して、その反射面の角度や表面の形状を変化させ、ウインドウ部162と対向している対物レンズ382、383の方向にレーザ光の光路を変更させる。つまり、MEMSミラー381によってレーザ光の光路を変更することにより、生体組織500におけるレーザ光の走査を行う。例えば、図7Aに示す状態から走査部380が所定の角度回転し、収差補正素子385及び対物レンズ383がウインドウ部162と対向する位置に来たときには、MEMSミラー381は、その角度や表面の形状を変化させ、レーザ光の光路を収差補正素子385及び対物レンズ383に入射するように変更させる。
また、本変形例においても、第1の実施形態と同様、平行移動機構(図示せず。)によって、走査部380がハウジング386ごとy軸方向に平行移動することができる。走査部380がy軸方向に平行移動する場合には、MEMSミラー381は、走査部380と一緒に平行移動してもよい。このように、本変形例においては、MEMSミラー381の反射面の角度や形状の動的な制御によるレーザ光の光路の偏光により生体組織500に対してレーザ光がx軸方向に走査され、平行移動機構による走査部370(及びMEMSミラー381)のy軸方向への平行移動により生体組織500に対してレーザ光がy軸方向に走査される。
ただし、MEMSミラー381は、走査部380のy軸方向の平行移動に伴って平行移動しなくてもよい。つまり、MEMSミラー381は、走査部380のy軸を回転軸とする回転及びy軸方向への平行移動に対して、その位置が不変であってもよい。MEMSミラー381が走査部380とともに回転せず、平行移動もしない場合であっても、MEMSミラー381が、走査部380の回転及び平行移動と同期して、その反射面の角度や表面の形状を変化させ、ウインドウ部162と対向している対物レンズ382、383の方向にレーザ光の光路を変更させることにより、生体組織500に対するレーザ光の走査を行うことができる。
なお、MEMSミラー381は、ハウジング386のコップ形状の凹部において、図示しない支持部材等によって、上述した駆動を妨げないように支持されているものとする。例えば、MEMSミラー381は、支持部材によって、ハウジング386のコップ形状の凹部の底面の略中心(ハウジング386の回転軸に対応する部分)と接続されていてもよい。そして、当該支持部材に、ハウジング386の回転をキャンセルする機構が設けられることにより、ハウジング386が回転してもMEMSミラー381は回転しない構成を実現できる。
以上、図7A及び図7Bを参照して説明したように、本変形例においては、MEMSミラー381における反射面の条件(反射面の角度、形状等)を動的に変化させることにより、生体組織500に対してレーザ光を走査する。MEMSミラー381の制御によりレーザ光の走査が制御されるため、より自由度の高いレーザ走査が実現できる。
なお、MEMSミラー381は、光の反射方向を動的に変更可能な光偏向デバイス(光偏向素子)の一例であり、MEMSミラー381の代わりに他の光偏向デバイスを用いた場合であっても、上述した構成と同様の構成を実現することができ、同様の効果を得ることができる。また、本変形例では、回転機構は設けられなくてもよい。例えば、鏡筒内においてレーザ光の光路上に、対物レンズ、収差補正素子、MEMSミラーをこの順に設ける。鏡筒の外壁の、鏡筒の長手方向においてMEMSミラーの配設位置に対応する部位にウインドウ部を設け、対物レンズ及び収差補正素子を通過してMEMSミラーに入射したレーザ光が、当該ウインドウ部を介して観察対象である生体組織をx軸方向に走査するように、MEMSミラーの反射面の条件を動的に制御する。このような構成により、鏡筒内の構成部材を回転させなくても、観察対象に対するレーザ光のx軸方向の走査を実現することができる。
(4−1−3.走査部が光路分岐素子を有する構成)
次に、図8A及び図8Bを参照して、走査部が対物レンズを複数有する構成の具体的な構成例として、走査部が光路分岐素子を有する構成について説明する。図8A及び図8Bは、走査部が光路分岐素子を有する場合の走査部の一構成例を示す概略図である。なお、図8A及び図8Bでは、簡単のため、本開示に係るレーザ走査型内視鏡装置の構成のうち、走査部及びその近傍の構成についてのみ主に図示している。また、図8Aは、走査部及びその近傍の構成について、鏡筒の中心軸を通りy−z平面と平行な断面で切断したときの断面図を示している。また、図8Bは、走査部及びその近傍の構成について、図8Aに示すC−C断面で切断したときの断面図を示している。
図8A及び図8Bを参照すると、走査部390は、光路分岐素子391、レンズ392、レンズアレイ393、光路変更素子394a、394b、394c、394d、対物レンズ395a、395b、395c、395d、収差補正素子396a、396b、396c、396d及びハウジング397を有する。このように、本変形例に係る走査部390は、4つの対物レンズ395a、395b、395c、395dを有する。また、図8Bに示すように、4つの対物レンズ395a、395b、395c、395dは、y軸方向から見たときに走査部390において、90度ずつ回転した位置に配置される。
また、これらの対物レンズ395a、395b、395c、395dの前段には収差補正素子396a、396b、396c、396d及び光路変更素子394a、394b、394c、394dがそれぞれ配置される。収差補正素子396a、396b、396c、396dの機能は、図2を参照して説明した収差補正素子166と同様であり、レーザ光が前記生体組織に集光される際に生じる収差を少なくとも補正する機能を有する。また、図8A及び図8Bに示す例では、光路変更素子394a、394b、394c、394dは例えば折り曲げミラーであり、図2を参照して説明した光路変更素子164と同様の機能を有する。すなわち、光路変更素子394a、394b、394c、394dは、走査部390に入射したレーザ光を対物レンズ395a、395b、395c、395dのレンズ面に導光する。
ハウジング397は、走査部390の各構成部材を内部の空間に収容する。本変形例では、ハウジング397は、図8A及び図8Bに示すように、内部に空間を有する略直方体の形状を有し、当該内部空間に光路分岐素子391、レンズ392、レンズアレイ393、光路変更素子394a、394b、394c、394d及び収差補正素子396a、396b、396c、396dが配設される。また、ハウジング397の鏡筒161の内壁と対向する4面の一部領域には、対物レンズ395a、395b、395c、395dがそれぞれ配設される。なお、光路分岐素子391、レンズ392、レンズアレイ393、光路変更素子394a、394b、394c、394d及び収差補正素子396a、396b、396c、396d、ハウジング397の内部空間において、図示しない支持部材等によってハウジング397に対して固定されているものとする。
本変形例においては、図8Aに示すように、光ファイバ(図示せず。)によって鏡筒161内を導光してきたレーザ光は、光ファイバ用導光レンズ150によって略平行光にコリメートされ、ハウジング397の一側に設けられた光路分岐素子391に入射する。光路分岐素子391は、ビームスプリッタの一種であり、入射したレーザ光を複数の光路に分岐することができる。例えば、光路分岐素子391は、回折格子によって入射したレーザ光を複数の光路に分岐してもよい。本変形例では、光路分岐素子391は、入射したレーザ光を4つの光路に分岐する。
4つの光路に分岐されたレーザ光は、レンズ392を介してレンズアレイ393に集光される。レンズアレイ393は、分岐されたレーザ光と同数のレンズがアレイ状に配列されたものであり、分岐されたそれぞれのレーザ光がレンズアレイ393を構成する各レンズによって略平行光にコリメートされ、光路変更素子394a、394b、394c、394dにそれぞれ入射する。光路変更素子394a、394b、394c、394dは、入射した光を、対応する収差補正素子396a、396b、396c、396d及び対物レンズ395a、395b、395c、395dにそれぞれ導光する。
本変形例においても、第1の実施形態と同様、回転機構(図示せず。)によって、走査部390がハウジング397ごとy軸を回転軸として回転することができる。また、第1の実施形態と同様、平行移動機構(図示せず。)によって、走査部390がハウジング397ごとy軸方向に平行移動することができる。このように、本変形例においては、回転機構による走査部390のy軸を回転軸とした回転により生体組織500に対してレーザ光がx軸方向に走査され、平行移動機構による走査部390のy軸方向への平行移動により生体組織500に対してレーザ光がy軸方向に走査される。
以上、図8A及び図8Bを参照して説明したように、本変形例においては、走査部390に入射したレーザ光が、光路分岐素子391によって複数、例えば4つのレーザ光に分岐される。そして、分岐されたレーザ光のそれぞれが、光路変更素子394a、394b、394c、394dによって、対物レンズ395a、395b、395c、395dのそれぞれに向かって導光される。本変形例においては、この状態で走査部390がy軸を回転軸として回転することにより、走査部390が1回転する間に、生体組織500にはウインドウ部162を介して4回レーザ光が走査されることとなる。従って、走査部390の1度の回転によって走査されるライン数を増加させることができるため、より効率的なレーザ走査が可能となる。
(4−1−4.鏡筒に対するレーザ光の入射位置が固定される構成)
次に、図9A及び図9Bを参照して、走査部が対物レンズを複数有する構成の具体的な構成例として、鏡筒に対するレーザ光の入射位置が固定される構成について説明する。図9A及び図9Bは、鏡筒に対するレーザ光の入射位置が固定される場合の走査部の一構成例を示す概略図である。なお、図9A及び図9Bでは、簡単のため、本開示に係るレーザ走査型内視鏡装置の構成のうち、走査部及びその近傍の構成についてのみ主に図示している。また、図9Aは、走査部及びその近傍の構成について、鏡筒の中心軸を通りy−z平面と平行な断面で切断したときの断面図を示している。また、図9Bは、走査部及びその近傍の構成をy軸の負方向から(レーザ光が入射する方向から)見た様子を示している。ただし、図9Bでは、走査部がy軸を回転軸として所定の角度回転した様子を図示し、対物レンズについては走査部のハウジングを透過して図示している。
図9A及び図9Bを参照すると、走査部350は、入射ウインドウ部351a、351b、351c、351d、光路変更素子352a、352b、352c、352d、対物レンズ353a、353b、353c、353d、収差補正素子354a、354b、354c、354d及びハウジング355を有する。このように、本変形例に係る走査部350は、4つの対物レンズ353a、353b、353c、353dを有する。また、図9Bに示すように、4つの対物レンズ353a、353b、353c、353dは、y軸方向から見たときに走査部350において、90度ずつ回転した位置に配置される。
また、これらの対物レンズ353a、353b、353c、353dの前段には収差補正素子354a、354b、354c、354d及び光路変更素子352a、352b、352c、352dがそれぞれ配置される。収差補正素子354a、354b、354c、354dの機能は、図2を参照して説明した収差補正素子166と同様であり、レーザ光が前記生体組織に集光される際に生じる収差を少なくとも補正する機能を有する。また、図9A及び図9Bに示す例では、光路変更素子352a、352b、352c、352dは例えば折り曲げミラーであり、図2を参照して説明した光路変更素子164と同様の機能を有する。すなわち、光路変更素子352a、352b、352c、352dは、走査部350に入射したレーザ光を対物レンズ353a、353b、353c、353dのレンズ面に導光する。
ハウジング355は、走査部350の各構成部材を内部の空間に収容する。本変形例では、ハウジング355は、図9A及び図9Bに示すように、内部に空間を有する略直方体の形状を有し、当該内部空間に光路変更素子352a、352b、352c、352d、及び収差補正素子354a、354b、354c、354dが配設される。また、ハウジング397の鏡筒161の内壁と対向する4面の一部領域には、対物レンズ353a、353b、353c、353dがそれぞれ配設される。なお、光路変更素子352a、352b、352c、352d及び収差補正素子354a、354b、354c、354dは、ハウジング355の内部空間において、図示しない支持部材等によってハウジング355に対して固定されているものとする。
ハウジング355のy軸の負方向に位置する面には、光路変更素子352a、352b、352c、352dと対向する位置に、入射ウインドウ部351a、351b、351c、351dがそれぞれ形成される。ここで、ハウジング355は、入射するレーザ光の波長帯域において当該レーザ光を透過しない材料によって形成されており、入射ウインドウ部351a、351b、351c、351dは、当該レーザ光を透過する材料によって形成される。従って、本変形例においては、図9Aに示すように、y軸の負方向から入射して走査部350に照射されたレーザ光は、ハウジング355の入射ウインドウ部351a、351b、351c、351dを通過して、ハウジング355内部の光路変更素子352a、352b、352c、352dに入射する。ここで、図9Aでは、光ファイバ(図示せず。)によって鏡筒161内を導光してきたレーザ光が、光ファイバ用導光レンズ(図示せず。)によって略平行光にコリメートされた後段の様子を図示している。
また、本変形例においても、第1の実施形態と同様、回転機構(図示せず。)によって、走査部350がハウジング355ごとy軸を回転軸として回転することができる。また、第1の実施形態と同様、平行移動機構(図示せず。)によって、走査部350がハウジング355ごとy軸方向に平行移動することができる。このように、本変形例においては、回転機構による走査部350のy軸を回転軸とした回転により生体組織500に対してレーザ光がx軸方向に走査され、平行移動機構による走査部350のy軸方向への平行移動により生体組織500に対してレーザ光がy軸方向に走査される。
また、本変形例においては、レーザ光が入射する位置は、鏡筒161に対して固定されている。つまり、鏡筒161に対してレーザ光の光軸が所定の位置に保たれた状態で、走査部350がy軸を回転軸として回転する又はy軸方向に平行移動する。ここで、上述したように、走査部350のハウジング355には、光路変更素子352a、352b、352c、352dと対向する位置に、入射ウインドウ部351a、351b、351c、351dがそれぞれ形成されている。従って、図9Bに示すように、走査部350が回転して、ハウジング355におけるレーザ光の照射スポットSの領域内に入射ウインドウ部351a、351b、351c、351dが位置したタイミングで、対応する入射ウインドウ部351a、351b、351c、351dからレーザ光がハウジング355の内部に入射し、走査が行われる。
ここで、本変形例においては、図9Bに示すように、レーザ光が複数の入射ウインドウ部351a、351dに同時に照射する場合が考えられる。この場合、入射ウインドウ部351aから入射したレーザ光と、入射ウインドウ部351dから入射したレーザ光とが同時に生体組織500に照射されると、生体組織500の互いに異なる2箇所に同時にレーザ光が照射されることとなり、当該2箇所からの戻り光が同時に検出されてしまうため、レーザ走査として好ましくない。従って、ハウジング355に照射されるレーザ光のビーム径(図9Bに示す照射スポットSを表す円の直径に相当)、入射ウインドウ部351a、351b、351c、351dのサイズ、及び入射ウインドウ部351a、351b、351c、351dが設けられる間隔等は、互いに異なる入射ウインドウ部351a、351b、351c、351dから入射したレーザ光が同時に生体組織500に照射されることを避けるように設計されてよい。例えば、レーザ光のビーム径は、入射ウインドウ部351a、351b、351c、351dのサイズの約1.5倍であってよい。
以上、図9A及び図9Bを参照して説明したように、本変形例においては、鏡筒161に対してレーザ光の入射位置が固定された状態で、当該レーザ光が走査部350に入射する。そして、ハウジング355のレーザ光が入射する面には、それぞれ異なる位置であって、ハウジング355内部に設けられる光路変更素子352a、352b、352c、352dに対応する位置に、入射ウインドウ部351a、351b、351c、351dが形成される。この状態で走査部350がy軸を回転軸として回転することにより、入射ウインドウ部351a、351b、351c、351dのいずれかから入射したレーザ光によって、生体組織500へのレーザ走査が行われる。従って、本変形例においては、走査部350が1回転する間に、生体組織500にはウインドウ部162を介して4回レーザ光が走査されることとなる。従って、走査部390の1度の回転によって走査されるライン数を増加させることができるため、より効率的なレーザ走査が可能となる。また、レーザ走査における上記の効率(走査部350が1回転する間に4回レーザ走査される)は、図8A及び図8Bに示した走査部390におけるレーザ走査の効率と同程度であるが、図9A及び図9Bに示したように、本変形例に係る走査部350は、走査部390よりも少ない構成部材によって構成され得る。従って、本変形例では、レーザ走査において、より簡易な構成で、図8A及び図8Bに示した走査部390と同程度の効率を実現することができる。
以上、図6A、図6B、図7A、図7B、図8A、図8B、図9A及び図9Bを参照して、第1及び第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1、2の変形例として、走査部が複数の対物レンズを有する変形例の具体的な構成例について説明した。以上説明したように、本変形例においては、走査部が複数の対物レンズを有することにより、走査部が1回転する間に、複数の対物レンズによる複数のラインのレーザ走査を行うことが可能となる。従って、走査部の1度の回転によって走査可能なライン数を増加させることができるため、より効率的なレーザ走査が可能となる。
(4−2.その他の構成)
次に、本開示の第1及び第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1、2の他の変形例について説明する。
(4−2−1.走査部が異なる方向の回転軸を有する構成)
図10A及び図10Bを参照して、走査部が異なる回転軸方向を有する変形例の一構成例について説明する。図10Aは、走査部が異なる回転軸方向を有する内視鏡の一構成例を示す概略図である。図10Bは、図10Aに示す走査部の構成を模式的に示す概略図である。なお、図10Bは、図10AにおけるD−Dでの断面をz軸方向から見た様子を示す図である。ただし、図10Bでは、走査部がy軸を回転軸として所定の角度回転した様子を図示している。ここで、本変形例は、図2及び図4Aに示す第1及び第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1、2と、内視鏡の構成が異なるものであり、その他の構成についてはレーザ走査型内視鏡装置1、2と同様であってよい。従って、以下の本変形例についての説明では、相違点である内視鏡の構成について主に説明するものとし、図10Aにおいても、レーザ走査型内視鏡の構成のうち内視鏡の構成について主に図示している。
図10Aを参照すると、本変形例に係る内視鏡400は、鏡筒161、ウインドウ部162、光ファイバ140、光ファイバ用導光レンズ150、回転機構167、平行移動機構168、光路変更素子410、走査部420及び回転部材430を有する。なお、鏡筒161、ウインドウ部162、光ファイバ140、光ファイバ用導光レンズ150、回転機構167及び平行移動機構168の機能については、図2を参照して説明した各構成部材とほぼ同様であるため、詳細な説明は省略する。ただし、本変形例においては、ウインドウ部162は、鏡筒161の側壁ではなく、鏡筒161の長手方向の先端部に、鏡筒161の長手方向と略垂直な面を有して設けられる。すなわち、本変形例に係る内視鏡400は、鏡筒161の長手方向における一端(先端部)を生体組織500に接触させた状態でレーザ走査を行う。なお、本変形例においては、ウインドウ部162の形状は、球面又はシリンドリカル面等の曲面であってもよいし、平面であってもよい。図10A及び図10Bに示す例では、ウインドウ部162は、所定の曲率を有する曲面を有している。
本変形例においては、光ファイバ140によって鏡筒161内を導光してきたレーザ光は、光ファイバ用導光レンズ150によって略平行光にコリメートされ、鏡筒161内をy軸方向に導光される。内視鏡400のヘッド部には、光路変更素子410が設けられており、光路変更素子410に入射した当該レーザ光は、その光路がz軸方向に変更され、走査部420に入射される。光路変更素子410は、レーザ光の光路を変更することができる光学素子であればどのような光学素子であってもよく、例えば折り曲げミラーであってよい。
走査部420は、光路変更素子421、対物レンズ422、収差補正素子423及びハウジング424を有する。なお、光路変更素子421、対物レンズ422、収差補正素子423及びハウジング424の機能及び構成は、第1及び第2の実施形態に係る走査部163が有する光路変更素子164、対物レンズ165、収差補正素子166及びハウジング169の機能及び構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。ただし、本実施形態においては、走査部420は、内視鏡400の先端に設けられたウインドウ部162と対物レンズ422とが対向し、対物レンズ422によってウインドウ部162を介して生体組織500にレーザ光が集光されるように配置される。つまり、図10Aに示すように、光路変更素子410によってz軸方向に光路を変更され、走査部420に入射したレーザ光は、走査部420内の光路変更素子421によってその光路がy軸方向に変更され、収差補正素子423及び対物レンズ422を順に通過して生体組織500に照射される。
また、本変形例においては、走査部420は、回転部材430を介して回転機構167と機械的に接続されており、回転機構167によって、z軸を回転軸として回転する。走査部420から生体組織500にレーザ光を照射した状態で、z軸を回転軸として走査部420がを回転することにより、内視鏡400の先端部分において、生体組織500に対してx軸方向にレーザ光を走査することができる。また、本変形例においては、平行移動機構168は走査部420をz軸方向に平行移動させる。従って、本変形例においては、生体組織500に対して、x−z平面におけるレーザ走査が行われる。
ここで、回転部材430は、複数のシャフト431、432によって構成される。シャフト431は、鏡筒161内で鏡筒161の長手方向に沿って延設され、その一端は回転機構167に接続されている。そして、シャフト431は、回転機構167によってy軸を回転軸として回転する。シャフト431の他端には歯車(ギア)機構が設けられており、同じくギア機構が設けられているシャフト432の一端と、ギア機構を噛み合わせて連結される。シャフト432は、鏡筒161内で鏡筒161の長手方向と略90度の方向であるz軸方向に延設され、その一端は上述のようにギア機構を介してシャフト431と連結され、他端は走査部420と接続されている。回転機構167及び回転部材430がこのように連結されることにより、回転機構167によるy軸を回転軸とした回転運動が、最終的にz軸を回転軸とした回転運動として走査部420に伝達される。従って、回転機構167は、走査部420をz軸を回転軸として回転させることが可能となる。
なお、本変形例においては、回転機構167及び回転部材430の構成はかかる例に限定されず、走査部420をz軸を回転軸として回転させることができればどのような構成であってもよい。
以上、図10A及び図10Bを参照して、第1及び第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1、2の変形例として、走査部が異なる回転軸方向を有する変形例の一構成例について説明した。本変形例によれば、ウインドウ部162が、鏡筒161の長手方向の先端部に、鏡筒161の長手方向と略垂直な面を有して設けられる。そして、鏡筒161の先端部を接触させた部位に対してレーザ走査が行われる。従って、例えば、観察対象部位が、鏡筒161の側壁を接触させることが困難であるような体腔内の奥まった凹部に存在する場合であっても、レーザ走査による観察を行うことが可能となる。
なお、第1及び第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1、2のように鏡筒161の側壁にウインドウ部162が設けられる内視鏡160と、本変形例のように鏡筒161の先端部にウインドウ部162が設けられる内視鏡400とは、例えば、同一の装置本体部に対して取り換え可能であってもよい。内視鏡として、鏡筒161の側壁にウインドウ部162が設けられる構成を用いるか、鏡筒161の先端部にウインドウ部162が設けられる構成を用いるかは、観察対象部位の形状等に応じて、ユーザによって適宜選択されてよい。
(4−2−2.複数の対物レンズが鏡筒の長手方向に配列される変形例)
上記(4−1.走査部が複数の対物レンズを有する構成)で説明した変形例では、複数の対物レンズが、鏡筒161の長手方向の略同一な位置において、鏡筒161の円周方向に沿って並んで配設される場合について説明した。しかし、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、複数の対物レンズが、鏡筒161の長手方向に沿って並んで配設されてもよい。
図11を参照して、このような、複数の対物レンズが鏡筒の長手方向に配列される変形例について説明する。図11は、複数の対物レンズが鏡筒の長手方向に配列される変形例に係る内視鏡の一構成例を示す概略図である。
図11を参照すると、本変形例に係る内視鏡450は、鏡筒161と、ウインドウ部162と、回転機構167と、平行移動機構168と、走査部460と、を有する。なお、鏡筒161、ウインドウ部162、回転機構167及び平行移動機構168の機能については、図2を参照して説明した各構成部材と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、図11では簡単のため図示を省略しているが、内視鏡450は、図2に示す内視鏡160が有する光ファイバ140及び光ファイバ用導光レンズ150と同様の構成を有している。当該光ファイバによって鏡筒161内を導光してきたレーザ光が、当該光ファイバ用導光レンズによって略平行光にコリメートされ、鏡筒161内をy軸方向に導光され、走査部460に入射することとなる。
本変形例に係る走査部460は、収差補正素子461と、第1の光路変更素子463と、第2の光路変更素子464と、第1の対物レンズ465と、第2の対物レンズ466と、が、ハウジング469内に格納されて構成される。図11に示すように、本変形例では、第1の対物レンズ465及び第2の対物レンズ466が、鏡筒161の長手方向に沿って、略同一の方向を向いて(すなわち、鏡筒161の円周方向において略同一の位置に)並んで配設される。そして、第1の対物レンズ465及び第2の対物レンズ466のそれぞれに対応するように第1の光路変更素子463及び第2の光路変更素子464が設けられる。なお、収差補正素子461及びハウジング469の機能及び構成は、図2に示す収差補正素子166及びハウジング169の機能及び構成とそれぞれ同様であるため、詳細な説明は省略する。また、第1の対物レンズ465及び第2の対物レンズ466の各々の機能及び構成は、図2に示す対物レンズ165の機能及び構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
第1の光路変更素子463は、例えばビームスプリッタであり、鏡筒161内を導光されてきたレーザ光の一部を後段の第2の光路変更素子464に導光するとともに、一部を自身に対応して設けられた第1の対物レンズ465に向かって導光する。第2の光路変更素子464は例えば折り曲げミラーであり、前段の第1の光路変更素子463を透過してきたレーザ光を自身に対応して設けられた第2の対物レンズ466に向かって導光する。第1の光路変更素子463及び第2の光路変更素子464によって光路を変更されたレーザ光は、第1の対物レンズ465及び第2の対物レンズ466をそれぞれ通過し、ウインドウ部162を介して観察対象である生体組織(図示せず。)に照射される。このように、本変形例では、y軸方向における互いに異なる2つのスポットで、レーザ光が生体組織に照射されることとなる。本変形例においても、図2に示す内視鏡160の走査部163と同様に、走査部460は、回転機構167によってy軸方向を回転軸方向として回転され、平行移動機構168によってy軸方向に平行移動される。従って、本変形例に係る内視鏡450では、走査部460が1回転する間に、y軸方向における複数のスポット(図11に示す例では2つのスポット)に照射されるレーザ光によって複数のラインを走査することが可能となる。
複数のスポットへのレーザ光の照射によって得られる光学的な信号を区別するために、波長、角度又は偏光等を時間的に変調させたレーザ光を第1の光路変更素子463に入射させ、当該レーザ光の変調に応じて第1の光路変更素子463でのレーザ光の透過及び反射を制御してもよい。このような制御に用いられ得る第1の光路変更素子463としては、例えば、ダイクロイックミラー(波長に応じてレーザ光を分離する光学素子の一例)、ボリュームホログラフィック回折素子(角度に応じてレーザ光を分離する光学素子の一例)又は偏光ビームスプリッタ(偏光に応じてレーザ光を分離する光学素子の一例)等の光学素子が挙げられる。また、生体組織における観察深さが変化しないように、第1の光路変更素子463及び第2の光路変更素子464に入射するレーザ光は、できるだけ平行光に近いものであることが望ましい。
ここで、図2に示す内視鏡160では、y軸方向にレーザ光を走査する際に、平行移動機構168によって走査部163をy軸方向に移動させていた。従って、y軸方向の視野をより広くしようとする場合には、走査部163のy軸方向へのストロークを大きくしなくてはならない。ストロークが大きい場合に、走査部163を高速駆動させながら走査部163の光学系の位置精度を高精度に保つためには、平行移動機構168の軸ガイドや送り機構等に求められる機械的な剛性等、各部材に対する要求精度が一層高いものとなる。一方、本変形例によれば、第1の対物レンズ465及び第2の対物レンズ466がy軸方向に並んで設けられることにより、y軸方向における複数のスポットに対してレーザ光を照射することが可能となる。従って、平行移動機構168による走査部460のストロークを大きくすることなく、y軸方向の視野をより広くすることができる。なお、本変形例に係る構成は、特に、y軸方向の視野が対物レンズの開口サイズよりも広い場合に好適に適用され得る。
図12に、図11に示す本変形例に係る内視鏡の他の構成例を示す。図12は、複数の対物レンズが鏡筒の長手方向に配列される変形例に係る内視鏡の他の構成例を示す概略図である。図12を参照すると、本変形例に係る内視鏡470は、鏡筒161と、ウインドウ部162と、回転機構167と、平行移動機構168と、走査部480と、を有する。また、走査部480は、収差補正素子461と、第1の光路変更素子463と、第2の光路変更素子464と、第1の対物レンズ465と、第2の対物レンズ466と、が、ハウジング469内に格納されて構成される。図12を参照すると、本変形例に係る内視鏡470は、第1の対物レンズ465と、第2の対物レンズ466とが、鏡筒161の長手方向に沿って配設されるとともに、略180度異なる方向を向いて(すなわち、鏡筒161の円周方向において略180度回転した位置に)配設される。その他の構成については、図11を参照して説明した内視鏡450と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図12に示す内視鏡470では、走査部480の回転の位相に基づいて、第1の対物レンズ465及び第2の対物レンズ466のいずれによってレーザ光が生体組織に照射されているかを区別することができるため、走査部480の回転に同期させて、生体組織からの戻り光を検出することにより、上述したような信号を区別するためのレーザ光の変調を行う必要はなくなる。
以上、図11及び図12を参照して、複数の対物レンズが鏡筒の長手方向に配列される変形例について説明した。以上説明したように、本変形例では、第1の対物レンズ465及び第2の対物レンズ466がy軸方向に並んで設けられることにより、y軸方向における複数のスポットに対してレーザ光を照射することが可能となる。従って、平行移動機構168による走査部460のストロークを大きくすることなく、y軸方向の視野をより広くすることができる。また、図11及び図12に示すように、本変形例では、第1の対物レンズ465及び第2の対物レンズ466は略同一の方向を向いて配設されてもよいし、互いに異なる方向を向いて配設されてもよい。なお、第1の対物レンズ465及び第2の対物レンズ466の配設位置は図11及び図12に示す例に限定されず、複数の対物レンズが鏡筒161の長手方向に沿って螺旋状に配設されてもよい。
また、本変形例では、収差補正素子461として、下記(6−2−2.非点収差補正素子)で説明するような、非点収差の補正量を動的に変更可能な非点収差補正素子(後述する能動非点収差補正素子)が用いられてもよい。能動非点収差補正素子を用いて、走査部460、480の回転に同期して当該能動非点収差補正素子による補正量を適宜調整することにより、複数の対物レンズの相対アライメント誤差等によって生じる収差の影響を軽減することができる。
(5.収差補正素子の構成)
次に、図2及び図3に示す収差補正素子166の具体的な構成について説明する。上記(2.第1の実施形態)で説明したように、本実施形態に係る収差補正素子166は、レーザ光が生体組織500に集光される際に生じる収差を補正する。このような収差として、例えば、色収差、球面収差、コマ収差及び非点収差等がある。
これらの収差のうち、色収差については、本実施形態のように生体組織を観察する場合であれば、例えば近赤外光のように特定の波長帯域を有するレーザ光が用いられることが多いため、当該色収差の影響は比較的小さいと考えられる。また、例えばウインドウ部162に起因して生じる球面収差については、対物レンズ165を非球面レンズとし、当該非球面レンズの曲率、厚さ、非球面係数等の光学特性を調整することにより、当該球面収差をほぼ補正することが可能である。従って、以下では、収差の中でも、対物レンズ165及びウインドウ部162に起因する非点収差を補正するための収差補正素子166の具体的な構成について主に説明する。ただし、本実施形態においては、色収差を補正する素子や球面収差を補正する素子が、非点収差を補正する素子とは別に更に設けられても構わない。例えば、蛍光観察など、励起光(生体組織500への照射光)と生体信号光(生体組織500からの戻り光)の波長帯域が異なる場合には、当該戻り光がファイバに効率よく導かれるように、色収差を補正する素子が別途配設されることが望ましい。また、例えば、ウインドウ部や生体組織の厚みによる球面収差を補正するために、上述した対物レンズ165の光学特性を調整することと併せて、球面収差補正素子が別途配設されてもよい。
なお、上記(2.第1の実施形態)で説明したように、本実施形態に係るレーザ走査型観察装置には、観察深さを変更するための観察深さ調整機構が設けられてもよい。このような観察深さ調整機構が設けられるレーザ走査型観察装置においては、観察深さの変更に伴う収差の変動を考慮して設計された、非点収差を補正する収差補正素子が好適に適用され得る。また、上記のように、レーザ走査型内視鏡装置1によって、2光子励起等の蛍光を利用した観察を行う場合や、複数の異なる波長のレーザ光を用いた観察には、色収差を補正する収差補正素子が好適に適用され得る。このような、観察深さ調整機構を有する場合や、2光子励起を利用した観察を行う場合における収差補正素子の具体的な構成については、下記(6−2.レーザ走査型プローブ)で詳細に説明する。
(5−1.非点収差の補正について)
非点収差を補正するための収差補正素子の具体的な構成例について説明する。非点収差補正用の収差補正素子の具体的に構成について説明するに先立ち、本発明者らが非点収差について検討した内容について説明する。
上記(2.第1の実施形態)で説明したように、対物レンズ165及びウインドウ部162に起因して生じる収差の度合いは、対物レンズ165のNAの値や、ウインドウ部162の形状に影響される。具体的には、対物レンズ165のNAが高くなるほど、ウインドウ部162の構成部材の厚さが大きくなるほど、ウインドウ部162の曲率が小さくなるほど(すなわち、鏡筒161の直径(外径)が小さくなるほど)、当該収差の度合いは大きくなる傾向がある。
本発明者らは、上記の3つのパラメータ(対物レンズ165のNA、ウインドウ部162の厚さ、鏡筒161の直径)を変化させながら、光線追跡シミュレーションを繰り返し行うことにより、当該3つのパラメータと非点収差の度合いとの関係をより詳細に調査し、非点収差を補正するための構成について検討を行った。なお、ここで言う非点収差とは、図2及び図3に示すx軸方向の焦点距離とy軸方向の焦点距離との差を意味する。
上記の検討の結果、非点収差の度合いは、上記深さ方向の距離の光学距離(媒体の屈折率と深さ方向の距離との積)の2乗に比例して大きくなり、対物レンズ165のNAの2乗に比例して大きくなるとの知見が得られた。また、鏡筒161の直径(すなわち、ウインドウ部162の外径)が小さくなるほど非点収差の度合いが大きくなることが確認された。
上記知見に鑑み、本発明者らは、非点収差を補正するための構成について検討を行った。以下に、図13A、図13B、図14及び図15を参照して、上記検討の結果本発明者らが想到した収差補正素子の具体的な構成例について説明する。ここで、上述したように非球面レンズである対物レンズ165の光学特性を調整して球面収差を補正する場合、例えば、球面収差のうち、x軸方向又はy軸方向のいずれかの方向の成分を最小化するように、対物レンズ165の光学特性のパラメータを調整することができる。そこで、本発明者らは、シリンドリカル形状を有するウインドウ部162を平行平板とみなすことができる方向である、図2及び図3に示すy軸方向(すなわち、y−z平面)における球面収差については、対物レンズ165の光学特性を調整することにより補正を行い、x−z平面における球面収差については、非点収差を補正するための構成で併せて補正を行うことを考えた。従って、以下に示す収差補正素子の具体的な構成例は、非点収差を補正するとともに、x−z平面における球面収差を補正する機能を有する構成の一例である。
なお、以下に示す図13A−図15は、図2及び図3に示す内視鏡160の走査部163及びその近傍の様子を図示したものに対応する。具体的には、図13A−図15では、図2及び図3に示す構成のうち、ウインドウ部162、光路変更素子164、対物レンズ165、収差補正素子166及び生体組織500を主に図示するとともに、収差補正素子166の構成をより具体的に図示している。なお、図13A−図15に示すウインドウ部162、光路変更素子164及び対物レンズ165の機能及び構成は、図2及び図3を参照して説明したこれらの構成部材の機能及び構成と同様であるため、以下では、これらの構成部材についての詳細な説明は省略し、収差補正素子166の具体的な構成について主に説明する。また、以下の収差補正素子166の具体的な構成についての説明においては、光路変更素子164が折り曲げミラーであり、対物レンズ165が非球面レンズである場合について説明する。なお、下記に示す収差補正素子の具体的な各構成は、図5−図10Bに示した各収差補正素子としても適用可能である。
(5−1−1.シリンドリカル凹凸レンズペア)
図13A及び図13Bを参照して、非点収差及びx−z平面における球面収差を補正するための収差補正素子の一構成例であるシリンドリカル凹凸レンズペアについて説明する。図13A及び図13Bは、本実施形態に係る収差補正素子166の一構成例であるシリンドリカル凹凸レンズペアの構成を示す模式図である。なお、図13Aは、図2に示す内視鏡160の走査部163及びその近傍を、z軸の正方向から見た様子を図示している。また、図13Bは、図2に示す内視鏡160の走査部163及びその近傍を、y軸の正方向から見た様子を図示している。ただし、図13Aでは、光路変更素子164を透過して対物レンズ165を図示している。また、図13A及び図13Bでは、簡単のため、レーザ光の光束を表す直線は、説明に必要な直線のみを主に図示している。
図13Aを参照すると、本構成例においては、光路変更素子164の前段に、シリンドリカル凹凸レンズペア620が配設される。シリンドリカル凹凸レンズペア620は、凹レンズ面を有する凹シリンドリカルレンズ621と、凸レンズ面を有する凸シリンドリカルレンズ622と、から構成される。シリンドリカル凹凸レンズペア620は、図2及び図3に示す収差補正素子166に対応するものであり、非点収差及びx−z平面における球面収差を補正するための収差補正素子である。本実施形態においては、シリンドリカル凹凸レンズペア620は、図13Aに示すように、光路変更素子164の前段、すなわち対物レンズ165よりも前段に配設される。
凹シリンドリカルレンズ621は、一面が平面、当該一面と対向する他面が凹形状のシリンドリカル面を有する。そして、図13Aに示すように、平面を有する面がy軸の負方向、すなわち、レーザ光が入射する方向を向き、凹形状のシリンドリカル面を有する面がy軸の負方向を向くように配設される。また、凹シリンドリカルレンズ621は、z軸方向がシリンドリカル面の円筒の軸方向になるように配設される。
凸シリンドリカルレンズ622は、一面が平面、当該一面と対向する他面が凸形状のシリンドリカル面を有する。そして、図13Aに示すように、凸形状のシリンドリカル面を有する面がy軸の負方向、すなわち、レーザ光が入射する方向を向き、平面を有する面がy軸の正方向を向くように配設される。すなわち、凹シリンドリカルレンズ621及び凸シリンドリカルレンズ622は、凸シリンドリカルレンズ622の凸形状のシリンドリカル面と、凹シリンドリカルレンズ621の凹形状のシリンドリカル面とが対向するように配設される。また、凸シリンドリカルレンズ622は、z軸方向がシリンドリカル面の円筒の軸方向になるように配設される。
図13A及び図13Bを参照すると、レーザ光の光束が直線で図示されている。また、略平行光にコリメートされy軸方向を導光されてきたレーザ光が、シリンドリカル凹凸レンズペア620を通過し、光路変更素子164によってz軸方向にその光路を変更され、対物レンズ165、ウインドウ部162を順に通過して生体組織500に照射される様子が図示されている。このように、本構成例においては、入射したレーザ光は、凹シリンドリカルレンズ621の平面、凹形状のシリンドリカル面、凸シリンドリカルレンズ622の凸形状のシリンドリカル面、平面を順に通過して、光路変更素子164に入射する。シリンドリカル凹凸レンズペア620を図13Aに示すように配設することにより、非点収差及びx−z平面における球面収差を補正することができる。なお、シリンドリカル凹凸レンズペア620は、回転機構(図示せず。)及び/又は平行移動機構(図示せず。)によって、当該走査部とともに回転及び/又は平行移動する。
ここで、シリンドリカル凹凸レンズペア620の光学特性(例えば、材質、厚さ、シリンドリカル面の曲率等)や具体的な構成は、入射するレーザ光の波長帯域、対物レンズ165の光学特性及びウインドウ部162の光学特性等に応じて適宜設定されてよい。例えば、非点収差及びx−z平面における球面収差を最小化するように、凹シリンドリカルレンズ621のシリンドリカル面及び凸シリンドリカルレンズ622のシリンドリカル面の曲率や、双方の曲率の大小関係、凹シリンドリカルレンズ621及び凸シリンドリカルレンズ622の光軸方向(y軸方向)の厚さ、並びに凹シリンドリカルレンズ621と凸シリンドリカルレンズ622との間隔等が調整されてよい。
(5−1−2.シリンドリカルメニスカスレンズ)
図14を参照して、非点収差及びx−z平面における球面収差を補正するための収差補正素子の一構成例であるシリンドリカルメニスカスレンズについて説明する。図14は、本実施形態に係る収差補正素子166の一構成例であるシリンドリカルメニスカスレンズの構成を示す模式図である。なお、図14は、図2に示す内視鏡160の走査部163及びその近傍を、y軸の正方向から見た様子を図示している。また、図14では、簡単のため、レーザ光の光束を表す直線は、説明に必要な直線のみを主に図示している。
図14を参照すると、本構成例においては、対物レンズ165とウインドウ部162の間に、シリンドリカルメニスカスレンズ630が配設される。シリンドリカルメニスカスレンズ630は、図2及び図3に示す収差補正素子166に対応するものであり、非点収差及びx−z平面における球面収差を補正する機能を有する収差補正素子である。
シリンドリカルメニスカスレンズ630は、両面にシリンドリカル面を有するメニスカスレンズである。図14に示すように、シリンドリカルメニスカスレンズ630における両面のシリンドリカル面は、同じ方向を円筒の軸方向とするように形成され、また、両面のシリンドリカル面の曲率は同じ符号を有する。本構成例においては、図14に示すように、シリンドリカルメニスカスレンズ630は、当該シリンドリカル面の円筒の軸方向が、y軸方向、すなわち、ウインドウ部162のシリンドリカル面の円筒の軸方向と同じ方向になるように配設される。ただし、シリンドリカルメニスカスレンズ630は、そのシリンドリカル面の曲率が、ウインドウ部162のシリンドリカル面の曲率と逆の符号を有するように配設される。また、図14に示す例では、シリンドリカルメニスカスレンズ630の両面のシリンドリカル面は、対物レンズ165と対向するシリンドリカル面の曲率が、ウインドウ部162と対向するシリンドリカル面の曲率よりも大きくなるように形成されている。
図14を参照すると、レーザ光の光束が直線で図示されている。また、略平行光にコリメートされy軸方向を導光されてきたレーザ光が、光路変更素子164によってz軸方向にその光路を変更され、対物レンズ165、シリンドリカルメニスカスレンズ630、ウインドウ部162を順に通過して生体組織500に照射される様子が図示されている。このように、本構成例においては、シリンドリカルメニスカスレンズ630を、対物レンズ165とウインドウ部162の間に配設することにより、非点収差及びx−z平面における球面収差を補正することができる。なお、シリンドリカルメニスカスレンズ630は、回転機構(図示せず。)及び/又は平行移動機構(図示せず。)によって、当該走査部とともに回転及び/又は平行移動する。
ここで、シリンドリカルメニスカスレンズ630の光学特性(例えば、材質、厚さ、シリンドリカル面の曲率等)や具体的な構成は、入射するレーザ光の波長帯域、対物レンズ165の光学特性及びウインドウ部162の光学特性等に応じて適宜設定されてよい。例えば、図14に示す例では、シリンドリカルメニスカスレンズ630は、対物レンズ165と対向するシリンドリカル面の曲率が、ウインドウ部162と対向するシリンドリカル面の曲率よりも大きくなるように形成されているが、両者の曲率の関係はかかる例に限定されない。シリンドリカルメニスカスレンズ630の両面のシリンドリカル面の曲率は、非点収差及びx−z平面における球面収差等の高次収差を最小化するように、その値や大小関係が調整されてよい。
なお、上述したように、非点収差の度合いは、観察深さ方向の光学距離(媒体の屈折率と深さ方向の距離との積)に応じて変化する。以上説明したシリンドリカル凹凸レンズペア620及びシリンドリカルメニスカスレンズ630のように、少なくとも2面にシリンドリカル面を有するレンズ系を用いる場合には、その両面の曲面の曲率や形状等を適宜調整することにより、観察深さの変化に伴う非点収差の変動に対応した補正量で当該非点収差を補正するような非点収差補正素子を実現することが可能となる。従って、本実施形態に係るレーザ走査型観察装置が観察深さ調整機構を備える場合には、非点収差を補正するための非点収差補正素子として、以上説明したシリンドリカル凹凸レンズペア620やシリンドリカルメニスカスレンズ630に例示されるような構成が好適に適用され得る。このような、非点収差の観察深さ依存性を考慮した非点収差補正素子の詳細については、下記(6−2−2.非点収差補正素子)で詳しく説明する。
(5−1−3.シリンドリカル平凹レンズ)
図15を参照して、非点収差及びx−z平面における球面収差を補正するための収差補正素子の一構成例であるシリンドリカル平凸レンズについて説明する。図15は、本実施形態に係る収差補正素子166の一構成例であるシリンドリカル平凸レンズの構成を示す模式図である。なお、図15は、図2に示す内視鏡160の走査部163及びその近傍を、y軸の正方向から見た様子を図示している。また、図15では、簡単のため、レーザ光の光束を表す直線は、説明に必要な直線のみを主に図示している。
図15を参照すると、本構成例においては、対物レンズ165とウインドウ部162の間に、シリンドリカル平凸レンズ640が配設される。シリンドリカル平凸レンズ640は、図2及び図3に示す収差補正素子166に対応するものであり、非点収差及びx−z平面における球面収差を補正する機能を有する収差補正素子である。
シリンドリカル平凸レンズ640は、一面にシリンドリカル面を有し、当該一面と対向する他面に平面を有するレンズである。図15に示すように、シリンドリカル平凸レンズ640は、平面が対物レンズ165と対向し、シリンドリカル面がウインドウ部162と対向するように配設される。また、シリンドリカル平凸レンズ640は、当該シリンドリカル面の円筒の軸方向が、y軸方向、すなわち、ウインドウ部162のシリンドリカル面の円筒の軸方向と同じ方向になるように配設される。また、図15に示すように、シリンドリカル平凸レンズ640は、ウインドウ部162に近接されて配設される。
図15を参照すると、レーザ光の光束が直線で図示されている。また、略平行光にコリメートされy軸方向を導光されてきたレーザ光が、光路変更素子(図示せず。)によってz軸方向にその光路を変更され、対物レンズ165、シリンドリカル平凸レンズ640、ウインドウ部162を順に通過して生体組織500に照射される様子が図示されている。このように、本構成例においては、シリンドリカル平凸レンズ640を、対物レンズ165とウインドウ部162の間の位置であって、ウインドウ部162に近接する位置に配設することにより、非点収差及びx−z平面における球面収差を補正することができる。なお、シリンドリカル平凸レンズ640は、回転機構(図示せず。)及び/又は平行移動機構(図示せず。)によって、当該走査部とともに回転及び/又は平行移動する。
ここで、シリンドリカル平凸レンズ640の光学特性(例えば、材質、厚さ、シリンドリカル面の曲率等)や具体的な構成は、入射するレーザ光の波長帯域、対物レンズ165の光学特性及びウインドウ部162の光学特性等に応じて適宜設定されてよい。例えば、シリンドリカル平凸レンズ640のz軸方向の厚さや、シリンドリカル面の曲率、ウインドウ部162との近接距離等は、非点収差及びx−z平面における球面収差を最小化するように、その値が調整されてよい。
以上、図13A−図15を参照して、図2及び図3に示す収差補正素子166の具体的な構成例について説明した。ここで、上記では、図2及び図3に示す第1の実施形態に係る構成を例に挙げて、収差補正素子166の具体的な構成例について説明したが、上記説明した収差補正素子が適用される構成は、かかる例に限定されない。上記説明した収差補正素子である、シリンドリカル凹凸レンズペア620、シリンドリカルメニスカスレンズ630及びシリンドリカル平凸レンズ640は、上記(3.第2の実施形態)で説明した第2の実施形態や、上記(4.変形例)で説明した各変形例に係る構成における収差補正素子として適用可能である。また、本実施形態に係る収差補正素子は上記説明した構成に限定されず、各種のレンズ、屈折率マッチング用の媒体等、公知の光学部材によって構成される任意の構成であってもよい。また、上記の説明では、収差の中でも球面収差と非点収差を補正する収差補正素子の具体的な構成について説明したが、本実施形態に係る収差補正素子はかかる例に限定されない。本実施形態に係る収差補正素子は、他の種類の収差を補正するための構成を有してもよく、また、互いに異なる種類の収差を補正するための複数の構成が組み合わされたものであってもよい。また、本実施形態に係る収差補正素子の構成を設計する際には、上記説明した光学特性以外にも、対物レンズのz軸方向のシフトに伴う収差の変化や、高次の収差(例えば4回対称の高次非点収差)等を考慮して、設計することが望ましい。
(6.観察深さ調整機構を備える構成)
本実施形態に係るレーザ走査型観察装置には、観察深さを変更するための観察深さ調整機構が設けられてもよい。レーザ走査型観察装置が観察深さ調整機構を有することにより、観察対象に対して深さ方向にもレーザ走査を行うことが可能となるため、よりユーザの要望に適う、有用な観察が実現される。
観察深さ調整機構としては、例えば、光ファイバからの射出光を略平行光にして走査部に導光するコリメータレンズ(図2に示す光ファイバ用導光レンズ150に対応)の光軸方向への移動機構、対物レンズの光軸方向への移動機構、対物レンズを可変焦点レンズによって構成することによる焦点距離調節機構、筐体内における光ファイバの端部の位置の光軸方向への移動機構等が挙げられる。また、観察対象と接触するウインドウ部に、それぞれ厚さが異なる領域を複数設け、観察対象に接触させる領域を変更することにより、観察深さが変更されてもよい。
一方で、観察深さが変更された場合には、対物レンズやウインドウ部におけるレーザ光の収束状態、発散状態が変化するため、レーザ光が観察対象に集光する際の非点収差の度合いも変化する。従って、本実施形態では、レーザ走査型観察装置が観察深さ調整機構を有する場合に、観察深さの変化に伴う非点収差の変動に対応した補正量で当該非点収差を補正するような、非点収差補正素子が好適に設けられる。
以下では、観察深さ調整機構を利用したレーザ走査方法や、観察深さが変更されることに対応した非点収差補正素子が搭載されたレーザ走査型観察装置の構成について、詳細に説明する。なお、以下では、上述した第1の実施形態と同様に、観察対象に対して単一のスポットにレーザ光が照射される場合におけるレーザ走査型観察装置の構成について説明する。ただし、以下に示す各構成はかかる例に限定されず、第2の実施形態と同様に、例えば光ファイババンドルやマルチコア光ファイバを用いることにより、観察対象に対して複数のスポットにレーザ光が照射されるように構成されてもよい。また、以下に示す各構成は、上記(4.変形例)で説明した各変形例に示す構成とも、可能な範囲で互いに組み合わせて用いられてもよい。
(6−1.観察深さ調整機構を利用したレーザ走査)
図16及び図17を参照して、本実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置における、観察深さ調整機構を用いたレーザ走査方法について説明する。図16は、本実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置における、観察深さ調整機構について説明するための説明図である。図17は、本実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置における、観察深さ調整機構を用いたレーザ走査方法の一例を示す図である。
ここで、図16に示すレーザ走査型内視鏡装置は、図2に示すレーザ走査型内視鏡装置1に対応するものであり、既に説明したレーザ走査型内視鏡装置1と略同様の構成を有する。従って、以下の図16及び図17を参照した説明では、上述したレーザ走査型内視鏡装置1と重複する構成については詳細な説明を省略し、主に観察深さ調整機構について説明を行う。なお、図16では、本実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置の構成のうち、内視鏡に対応する部分を主に図示している。
図16を参照すると、本実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置3の内視鏡660は、鏡筒661の内部に、コリメータレンズ650、色収差補正素子670、走査部663、回転機構667及び平行移動機構668が配置されて構成される。なお、図16に示す例では、回転機構667及び平行移動機構668を一体的な部材として図示しているが、これらは別々の部材として鏡筒661内に配置されてもよい。
鏡筒661の一端にはファイバコネクタ645を介して光ファイバ641が接続される。レーザ光源(図示せず。)から射出されたレーザ光が、光ファイバ641によって鏡筒661の内部に導光される。光ファイバ641によって鏡筒661内に導光された光は、鏡筒661内を長手方向(y軸方向)に進み、コリメータレンズ650及び色収差補正素子670を通過して、走査部663に入射する。
走査部663は、ハウジング669内に非点収差補正素子666、光路変更素子664及び対物レンズ665が格納されて構成されており、鏡筒661の他端に設けられる回転機構667によって、y軸方向を回転軸方向として一体的に回転可能に構成される。走査部663に入射した光は、非点収差補正素子666を通過し、光路変更素子664によってその進行方向を略垂直な方向(鏡筒661の径方向(z軸方向))に変更され、対物レンズ665を通過してハウジング669の外部に導光される。鏡筒661の側壁の一部であって、対物レンズ665と対向する部位には、少なくともレーザ光及びその戻り光に対応する波長帯域の光を透過させる材質によって形成されるウインドウ部662が設けられており、対物レンズ665によって集光された光は、ウインドウ部662を通過して鏡筒661の外部に照射される。ウインドウ部662を観察対象(例えば生体組織)に接触させることにより、レーザ光が観察対象に照射されることとなる。
回転機構667によって走査部663がy軸方向を回転軸として回転することにより、レーザ光が観察対象に対してx軸方向に走査される。また、平行移動機構668によって走査部163がy軸方向に平行移動することにより、レーザ光が観察対象に対してy軸方向に走査される。図16では図示を省略しているが、レーザ走査型内視鏡装置3には、図2に示すレーザ光源110、ビームスプリッタ120、光ファイバ用導光レンズ130、光検出器170、制御部180、出力部190及び入力部195に対応する構成が備えられており、レーザ走査による戻り光に基づいて観察対象の画像を取得することができる。なお、図16に示す光ファイバ641、鏡筒661、ウインドウ部662、ハウジング669、光路変更素子664、対物レンズ665、回転機構667及び平行移動機構668は、図2に示すこれらの構成部材と同様の機能を有するものであってよいため、詳細な説明は省略する。
非点収差補正素子666は、レーザ光が観察対象に集光される際に生じる非点収差を補正する。非点収差補正素子666は、観察深さの変更に伴う非点収差の変動に対応した補正量を呈するように設計される。また、色収差補正素子670は、例えば戻り光として観察対象から発せられた蛍光を検出する際に、レーザ光と蛍光との波長の違いによって生じる色収差を補正する。色収差補正素子670が設けられることにより、光ファイバ641の端部面への蛍光の集光効率を向上させることができる。これら非点収差補正素子666及び色収差補正素子670の具体的な構成については、下記(6−2.レーザ走査型プローブ)で詳しく説明する。
なお、非点収差補正素子666及び色収差補正素子670は、図2に示す収差補正素子166に対応するものである。図2では、代表的に1つの収差補正素子166を図示していたが、本実施形態では、図16に示すように、異なる種類の収差を補正するための収差補正素子が複数設けられてもよい。また、図2に示す例では、収差補正素子166が光路変更素子164と対物レンズ165との間に設けられていたが、図16に示すように、非点収差補正素子666及び色収差補正素子670が、光路変更素子664よりも前段に設けられる場合であっても、光学的には同様の収差補正効果を得ることができる。なお、非点収差補正素子666には、非点収差を補正するというその目的上、光路変更素子164との相対的な位置関係が変化しないことが求められるため、非点収差補正素子666は光路変更素子164とともに回転及び/又は平行移動するように配置され得る。一方、色収差補正素子670は、主に対物レンズ165において生じ得る色収差が補正された蛍光が光ファイバ641に導光されるように、コリメータレンズ650と対物レンズ665との間に配置され得る。
コリメータレンズ650は、図2に示す光ファイバ用導光レンズ150に対応するものである。コリメータレンズ650は、光ファイバ641からの射出光を略平行光にして後段の部材に対して導光する。また、コリメータレンズ650を光軸方向(y軸方向)に移動させることにより、対物レンズ665におけるレーザ光の集光状態、発散状態を変化させ、観察深さを変更することができる。
レーザ走査型内視鏡装置3には、コリメータレンズ650をy軸方向に移動させる移動機構(図示せず。)が更に設けられてよく、コリメータレンズ650及び当該移動機構によって、観察深さ調整機構が構成され得る。当該観察深さ調整機構によって観察深さが変更されることにより、観察対象の深さ方向(z軸方向)にもレーザ光を走査することが可能となる。従って、走査部663の回転及び平行移動と同期してコリメータレンズ650の移動が制御されることにより、観察対象に対する3次元のレーザ走査を行うことができる。なお、コリメータレンズ650を移動させる移動機構の具体的な構成は、平行移動機構668と同様であってよい。例えば、当該移動機構は、リニアアクチュエータやピエゾ素子等によって構成され得る。
ここで、観察深さ調整機構を備える場合には、走査部663の回転(すなわち、x軸方向へのレーザ走査)と観察深さの変更(すなわち、z軸方向へのレーザ走査)とを協調して制御することにより、より高精度な観察を行うことが可能となる。図17を参照して、このような、走査部663の回転と観察深さの変更とを協調して制御するレーザ走査方法について説明する。
図17は、内視鏡660をy軸方向から見た場合において、観察対象である生体組織500に対して、ウインドウ部662が接触している様子を図示している。図17では、鏡筒661や走査部663等の図示を省略し、走査部663の回転に伴うレーザ光の走査の軌道(スキャン軌道)R1、R2を、円によって概略的に表している。図17に示すように、互いに異なる観察深さにおけるスキャン軌道R1、R2は、半径の異なる2つの円として表現され得る。
レーザ走査型内視鏡装置3では、走査部663の回転によりx軸方向へのレーザ走査が行われる。従って、生体組織500に対するx軸方向へのレーザ光の走査は、実際には、x軸方向に沿った直線的な走査ではなく、図17に示すような円弧に沿ったレーザ走査であり得る。この状態で走査部663を平行移動させ、y軸方向へのレーザ走査を行った場合には、当該円弧に沿った断面画像が得られることとなる。しかしながら、観察対象や観察の目的によっては、x軸方向と略平行な断面を観察したい場合も考えられる。
このような要望に対して、本実施形態では、観察深さ調整機構を用いて走査部663が1回転する最中に観察深さを動的に変化させることにより、x軸方向に沿った直線的なレーザ光の走査を実現することができる。具体的には、図17に示すように、走査部663の回転と同期して、スキャン軌道R1からスキャン軌道R2、更にスキャン軌道R2からスキャン軌道R1にスキャン軌道を連続的に変化させることにより、生体組織500における観察深さがx軸と略平行となるように、観察深さ調整機構の駆動を制御する。このような制御を行うことにより、略一定の観察深さにおいてx軸方向へのレーザ走査を行うことが可能となるため、走査部663の平行移動によるy軸方向へのレーザ走査とを組み合わせることにより、生体組織500における平面状の断面を観察することが可能となる。
以上、図16及び図17を参照して、本実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置3における、観察深さ調整機構を用いたレーザ走査方法について説明した。本実施形態では、観察深さ調整機構を用いて、走査部663の回転と観察深さの変更とを協調して制御することにより、生体組織500に対して略一定の観察深さにおける直線的なレーザ走査を行うことが可能となる。これにより、ユーザの要望に応じて、観察対象の平面状の断面を観察することが可能となるため、ユーザの利便性をより向上させることができる。また、レーザ走査型内視鏡装置3は、観察深さの変化に伴う非点収差の変動に対応した補正量で当該非点収差を補正するような、非点収差補正素子666を備える。従って、観察深さが変更された場合であっても、高精度な観察を行うことが可能となる。
(6−2.レーザ走査型プローブ)
以上説明してきたレーザ走査型内視鏡装置3は、内視鏡660の鏡筒661の内部に、当該鏡筒661の長手方向を回転軸方向として回転可能な走査部663が設けられ、鏡筒661の側壁に設けられたウインドウ部662を介してレーザ光を観察対象に照射する構成を有していた。しかしながら、本実施形態では、より一般的に、円筒形の筐体の内部に走査部663や他の光学部材が配置され、当該筐体の側壁の少なくとも一部領域にウインドウ部が設けられた、レーザ走査型プローブが構成されてもよい。上述してきたレーザ走査型内視鏡装置3の内視鏡660に対応する部分は、当該レーザ走査型プローブの一適用例であり、当該レーザ走査型プローブを直接、又は、既存の内視鏡の鏡筒の先端部に格納して、被測定者の体腔内に挿入したものであるとみなすことができる。また、このようにレーザ走査型プローブがレーザ走査型内視鏡装置に適用される場合には、例えば円筒形の筐体の直径が略10(mm)以下であることが求められるが、本実施形態では、レーザ走査型プローブをより大型(例えば筐体の直径が略10(mm)超)に構成し、観察対象であるヒトや動物の体表面に接触させて、体表面から所定の深さにおける生体組織を観察する用途に用いられてもよい。
ここでは、このような、本実施形態に係るレーザ走査型プローブの一構成例について説明する。なお、以下では、本実施形態に係るレーザ走査型プローブの一例として、2光子励起を利用した観察を好適に行うレーザ走査型プローブの構成について説明する。2光子励起を利用することにより、観察対象の表面だけではなく深さ方向の情報を取得することができる。また、励起光(レーザ光)を照射することによって発せられる蛍光を検出することにより観察対象の情報を得ることができるため、OCT、光音響、共焦点反射等の他の散乱や吸収を可視化する光イメージング技術では得られない、観察対象に対するより詳細な分子レベルの知見を得ることができる。更に、励起光として近赤外光を用いることにより、例えば観察対象であるヒトへのダメージを低減することが可能となる。
(6−2−1.レーザ走査型プローブの構成)
図18−図22を参照して、本実施形態に係るレーザ走査型プローブの構成について説明する。図18は、本実施形態に係るレーザ走査型プローブの一構成例を示す側面図である。図18では、レーザ走査型プローブを構成する筐体を透過して、当該筐体内部に配置される構成部材を図示している。図19−図21は、図18に示すレーザ走査型プローブにおける光学部材の配置を示す図である。
図18を参照すると、本実施形態に係るレーザ走査型プローブ4は、円筒形の筐体731内に、コリメータレンズ720、色収差補正素子740、走査部733及び回転機構737及び平行移動機構738が配置されて構成される。なお、図18に示すレーザ走査型プローブ4は、筐体731を内視鏡の鏡筒とみなせば、図16に示す内視鏡660と略同様の構成を有する。従って、以下の図18を参照した説明では、上述したレーザ走査型内視鏡装置3と重複する構成については詳細な説明を省略する。
筐体731の一端にはファイバコネクタ765を介して光ファイバ710が接続される。レーザ光源(図示せず。)から射出されたレーザ光が、光ファイバ710によって筐体731の内部に導光される。光ファイバ710によって筐体731内に導光された光は、筐体731内を長手方向(y軸方向)に進み、コリメータレンズ720及び色収差補正素子740を通過して、走査部733に入射する。
走査部733は、ハウジング739内に非点収差補正素子736、光路変更素子734及び対物レンズ735が格納されて構成されており、筐体731の他端に設けられる回転機構737によって、y軸方向を回転軸方向として一体的に回転可能に構成される。走査部733に入射した光は、非点収差補正素子736を通過し、光路変更素子734によってその進行方向を略垂直な方向(筐体731の径方向(z軸方向))に変更され、対物レンズ735及び球面収差補正素子745を通過してハウジング739の外部に導光される。筐体731の側壁の一部であって、対物レンズ735と対向する部位には、少なくともレーザ光及びその戻り光に対応する波長帯域の光を透過させる材質によって形成されるウインドウ部732が形成されており、対物レンズ735によって集光された光は、ウインドウ部732を通過して筐体731の外部に照射される。ウインドウ部732を観察対象(例えば生体組織500)に接触させることにより、レーザ光が観察対象に照射されることとなる。
回転機構737によって走査部733がy軸方向を回転軸として回転することにより、レーザ光が観察対象に対してx軸方向に走査される。また、平行移動機構738によって走査部733がy軸方向に平行移動することにより、レーザ光が観察対象に対してy軸方向に走査される。図18では図示を省略しているが、レーザ走査型プローブ4には、図2に示すレーザ光源110、ビームスプリッタ120、光ファイバ用導光レンズ130、光検出器170、制御部180、出力部190及び入力部195に対応する構成が備えられており、レーザ走査による戻り光に基づいて生体組織500の画像を取得することができる。なお、図18に示す例では、回転機構737及び平行移動機構738を一体的な部材として図示しているが、これらは別々の部材として筐体731内に配置されてもよい。また、図18に示す光ファイバ710、ウインドウ部732、ハウジング739、光路変更素子734、対物レンズ735、回転機構737及び平行移動機構738は、図2に示すこれらの構成部材と同様の機能を有するものであってよいため、詳細な説明は省略する。
ここで、コリメータレンズ720は、図16に示すコリメータレンズ650に対応するものである。レーザ走査型プローブ4においても、上記(6−1.観察深さ調整機構を利用したレーザ走査)で説明したレーザ走査型内視鏡装置3と同様に、コリメータレンズ720をy軸方向に移動させる移動機構(図示せず。)が更に設けられてよく、当該移動機構によってコリメータレンズ720をy軸方向に移動させることにより、観察深さが変更されてよい。
また、非点収差補正素子736及び色収差補正素子740は、図16に示す非点収差補正素子666及び色収差補正素子670にそれぞれ対応するものである。非点収差補正素子736は、観察深さの変更に伴う非点収差の変動に対応するように設計される。また、色収差補正素子740は、例えば2光子励起を用いた観察において、レーザ光と戻り光である蛍光との波長の違いによって生じる色収差を補正することにより、蛍光の光ファイバ710への集光効率を向上させる。
また、球面収差補正素子745は、対物レンズ735によって生じ得る球面収差を補正するために設けられる。図18に示す例では、球面収差補正素子745は平行平板であるが、球面収差補正素子745の具体的な構成はかかる例に限定されない。球面収差補正素子745の形状や材質等、光学特性を決定し得るパラメータは、対物レンズ735の光学特性に応じて、その球面収差を補正し得るように適宜設計されてよい。また、対物レンズ735が非球面レンズである場合には、対物レンズ735自体に球面収差の補正機能が備えられていてもよく、球面収差補正素子745は設けられなくてもよい。
また、2光子励起を利用した観察を行うことに対応して、光ファイバ710としては、ダブルクラッド光ファイバが好適に用いられる。光ファイバ710がダブルクラッド光ファイバである場合には、例えば、コアでレーザ光(すなわち、励起光)を筐体731内まで導光し、生体組織500からの戻り光である蛍光を内部クラッドで筐体731の外部まで導光することができるため、光ファイバ710への蛍光の集光効率を向上させることができる。
また、筐体731はy軸方向における所定の長さの領域にのみウインドウ部732が形成されていてもよいし、筐体731の全体がウインドウ部732と同様の材質によって形成されていてもよい。例えば、筐体731は、少なくともレーザ光及び蛍光に対応する波長帯域の光に対して透明な材質によって形成されるガラスチューブであってもよい。
ここで、図19−図21を参照して、レーザ走査型プローブ4における光学部材の配置について説明する。図19は、図18に示す筐体631の内部の構成部材をz軸の正方向(上方)から観察した様子を示している。図20は、図18に示す筐体631の内部の構成部材をx軸方向(側方)から観察した様子を示している。図21は、図18に示す構成のうち、対物レンズ735の光軸を含むx−z平面での断面図を示している。なお、図19−図21では、各光学部材の配置について示すために、筐体731や走査部733のハウジング739等は、その一部を透過して図示している。また、図19−図21では、各光学部材を通過する光の経路の一例を示すために、光を表す直線を併せて図示している。
図19−図21を参照すると、光ファイバ710から射出された光が、コリメータレンズ720、色収差補正素子740及び非点収差補正素子736を通過し、光路変更素子734によってその進行方向が変更され、対物レンズ735及びウインドウ部732を通過して外部に照射される様子が図示されている。非点収差補正素子736、光路変更素子734及び対物レンズ735はハウジング739内に格納されており、回転機構737によってy軸方向を回転軸方向として一体的に回転する。
非点収差補正素子736としては、例えば、一面に凸レンズが形成され、他面に凹レンズが形成された、シリンドリカルメニスカスレンズ(例えば上述した図14に示すシリンドリカルメニスカスレンズ630に対応)が用いられる。また、非点収差補正素子736としては、例えば上述した図13A及び図13Bに示すシリンドリカル凹凸レンズペア620のような、2つのシリンドリカルレンズが組み合わされた構成が用いられてもよい。一方、色収差補正素子740としては、例えば、2つの凹レンズがレンズ面を向い合せた状態で接合された接合レンズが用いられる。なお、図19−図21では、色収差補正素子740及び非点収差補正素子736について、簡単のためその詳細な形状の図示は省略し、模式的に図示している。ここで、本実施形態では、他の光学部材(例えば、コリメータレンズ720、光路変更素子734、対物レンズ735、球面収差補正素子745及び/又はウインドウ部732)の光学特性に応じて、非点収差補正素子736及び色収差補正素子740が所定の光学特性を有するように、光学系の光学設計が行われることにより、高品質な観察画像を得ることができる。下記(6−2−2.非点収差補正素子)及び下記(6−2−3.色収差補正素子)において、非点収差補正素子736及び色収差補正素子740について詳細に説明する。
(6−2−2.非点収差補正素子)
まず、図22を参照して、レーザ走査型プローブ4の光学系において非点収差に影響を及ぼすパラメータについて説明する。図22は、レーザ走査型プローブ4の光学系において非点収差に影響を及ぼすパラメータについて説明するための説明図である。図22では、説明のため、図18−図21に示すレーザ走査型プローブ4の構成のうち、光ファイバ710、コリメータレンズ720、非点収差補正素子736、対物レンズ735及びウインドウ部732のみを図示している。また、実際には、図18−図21に示すように、光路変更素子734によって進行方向が変更された光が対物レンズ735に入射するが、図22では、光路変更素子734の図示を省略し、レーザ光の進行方向の変更を破線で表している。
上記(5−1.非点収差の補正について)で説明したように、本発明者らによる検討の結果、非点収差の度合いは、観察深さ方向の光学距離(媒体の屈折率と観察深さ方向の距離との積)に応じて変化するとの知見が得られた。つまり、対物レンズ735による収束光がウインドウ部732を通過することによって生じる非点収差は、ウインドウ部732の厚さ、対物レンズ735とウインドウ部732との距離及び観察深さに依存していると言える。ここで、図22に示すように、本実施形態に係るレーザ走査型プローブ4では、コリメータレンズ720の光軸方向の位置を変化させることにより、観察深さを変更することが可能である。従って、非点収差補正素子736には、観察深さの変更に伴う非点収差の度合いの変化に対応した補正量を実現するような光学特性が求められる。
非点収差補正素子736においてこのような光学特性を実現するためには、ウインドウ部732における非点収差の観察深さ依存性を取得し、各観察深さに対してウインドウ部732における非点収差をちょうど相殺するような逆向きの非点収差特性を有するように、非点収差補正素子736の形状や材質を設計すればよい。このような、観察深さが変化したとしてもウインドウ部732における非点収差を打ち消すことが可能な非点収差補正素子736は、例えば、少なくとも2面のシリンドリカル面又はトロイダル面をレーザ光が通過するように構成されたレンズによって実現され得る。例えば、非点収差補正素子736としては、図22に示すような、光ファイバ710から入射する光に対して両面が凹面である(すなわち、曲面の曲率の向きが両面で同じ)シリンドリカルメニスカスレンズが好適に適用され得る。
図23に、本実施形態において非点収差補正素子736として用いられるシリンドリカルメニスカスレンズの光学特性の一例を示す。図23は、本実施形態において非点収差補正素子736として用いられるシリンドリカルメニスカスレンズの光学特性の一例を示すグラフ図である。図23では、横軸に観察深さを取り、縦軸に非点収差の度合いを示す指標であるフリンジゼルニケ多項式(Fringe Zernike polynomial)の係数を取り、両者の関係性をプロットしている。
図23に示す曲線Gは、ウインドウ部732における非点収差の観察深さ依存性を示している。また、曲線Hは、非点収差補正素子736として用いられるシリンドリカルメニスカスレンズにおける非点収差の観察深さ依存性を示している。また、曲線Iは、ウインドウ部732の非点収差とシリンドリカルメニスカスレンズの非点収差とが足し合わされた、本実施形態において実現され得る非点収差特性を示している。曲線Gと曲線Hとを比較すると、シリンドリカルメニスカスレンズの非点収差特性は、ウインドウ部732における非点収差の観察深さ依存性に対してほぼ逆の特性を有しており、曲線Iに示すように、両者が足し合わされることにより、非点収差がほぼ相殺されていることが分かる。
ここで、図24を参照して、2面の曲面(シリンドリカル面又はトロイダル面)を有する光学部材によって非点収差を補正する場合と、1面の曲面を有する光学部材によって非点収差を補正する場合と、の比較を行う。2面の曲面を有する光学部材は、例えば、上述したシリンドリカルメニスカスレンズに対応している。また、1面の曲面を有する光学部材は、例えば、平凸シリンドリカルレンズや、表面に凹状のシリンドリカル曲面が形成された光路変更素子として用いられるミラー等、非点収差を補正するために一般的に用いられている光学部材に対応している。
図24は、2面の曲面を有する光学部材及び1面の曲面を有する光学部材の非点収差の観察深さ依存性を示すグラフ図である。図24では、横軸に観察深さを取り、縦軸に波面収差の度合いを示す指標であるRMS波面収差の値を取り、両者の関係性をプロットしている。
図24に示す曲線Jは、1面の曲面を有する光学部材の波面収差の観察深さ依存性を示している。図24に示す曲線Kは、2面の曲面を有する光学部材の波面収差の観察深さ依存性を示している。図24に示すように、1面しか曲面を持たない光学部材では、観察深さに対する収差の度合いの変動が大きい。従って、非点収差補正素子736として1面しか曲面を持たない光学部材を用いた場合には、特定の観察深さにおける非点収差を補正するように光学設計を行うことは可能であるが、観察深さが変化した場合にまで対応することは難しい。一方、2面に曲面を有する光学部材では、観察深さに対する収差の度合いの変動が比較的小さい。従って、収差補正素子として2面に曲面を有する光学部材を用いることにより、観察深さが変化した場合であっても、略一定の割合で収差を補正することが可能となる。このように、例えば上述したシリンドリカルメニスカスレンズのような、2面に曲面を有するレンズを非点収差補正素子736として用いることにより、観察深さの変化に対応した非点収差の補正が可能となる。
なお、非点収差補正素子736として用いられるシリンドルメニスカスレンズの具体的な形状(例えば両曲面の曲率等)は、上述したようなレーザ光が観察対象に集光される際に生じる非点収差に影響を及ぼす各種のパラメータ(例えば、ウインドウ部732の厚さ、対物レンズ735とウインドウ部732との距離、対物レンズ735及びウインドウ部732の材質、並びに、対物レンズ735及びウインドウ部732の形状(曲率等))に応じて、例えば光学シミュレータ等を用いて適宜設計されてよい。
以上、本実施形態に係る非点収差補正素子736の構成について詳細に説明した。以上説明したように、本実施形態では、非点収差補正素子736として、観察深さの変更に伴う非点収差の変化に対応した補正量を実現するような光学特性を有する光学部材が用いられる。このような光学特性は、少なくとも2面のシリンドリカル面又はトロイダル面をレーザ光が通過するように構成されたレンズ系によって実現され得る。従って、非点収差補正素子736は、上述したシリンドリカルメニスカスレンズのような単一のレンズによって実現されてもよいし、例えば上記図13A及び図13Bに示すシリンドリカル凹凸レンズペア620のような、少なくとも2面のシリンドリカル面又はトロイダル面を有するレンズ系によって実現されてもよい。このような非点収差補正素子736を用いることにより、観察深さを変更しながら観察を行う場合、すなわち、深さ方向にレーザ走査を行う場合において、非点収差の影響がより少ないより高精度な観察を行うことが可能となる。
ここで、上記では、非点収差補正素子736が少なくとも2面のシリンドリカル面又はトロイダル面をレーザ光が通過するように構成されたレンズを含む場合について説明したが、本実施形態はかかる例に限定されない。例えば、1面に曲面を有する光学部材であっても、観察深さの変化に応じて当該曲面の形状を変化させるような駆動機構を設けることにより、観察深さの変化に応じて非点収差の補正量を調整することが可能となるため、上述したシリンドリカルメニスカスレンズと同様の非点収差の補正特性を実現することが可能となる。このように、非点収差補正素子736は、観察深さの変化に応じて非点収差の補正量を動的に変更させる駆動素子を含む光学部材(以下、能動非点収差補正素子とも呼称する。)であってよい。能動非点収差補正素子としては、例えば、液晶素子や液体レンズ、デフォーマブルミラー等を用いることができる。
ここで、非点収差補正素子736として、上述したシリンドリカルメニスカスレンズのような、光学特性が動的に変化しない光学部材を用いた場合には、レーザ走査を行う際に、非点収差補正素子736と光路変更素子734とをともに回転させる必要がある。非点収差補正素子736と光路変更素子734との相対的な位置関係が変化すると、所望の非点収差の補正特性が実現されない可能性があるからである。一方、非点収差補正素子736として能動非点収差補正素子を用いる場合には、非点収差補正素子736は、光路変更素子734とともに回転しなくてもよい。非点収差補正素子736は、その非点収差の補正量を動的に変化させることが可能であるため、観察深さの変化及び光路変更素子734の回転の双方に応じて非点収差の補正量を変更させることができるからである。このように、非点収差補正素子736として能動非点収差補正素子を用いることにより、走査部733として回転させる構成部材を削減することができるため、回転機構737に必要とされる出力や剛性を低減することができ、回転機構737の設計がより容易になる。
(6−2−3.色収差補正素子)
図25を参照して、レーザ走査型プローブ4に適用される色収差補正素子740について説明する。図25は、レーザ走査型プローブ4に適用される色収差補正素子740について説明するための説明図である。図25では、説明のため、図18−図21に示すレーザ走査型プローブ4の構成のうち、光ファイバ710、コリメータレンズ720、色収差補正素子740及び対物レンズ735のみを簡略化して図示している。
上述したように、本実施形態に係るレーザ走査型プローブ4では、2光子励起を利用した観察が好適に行われる。2光子励起を用いた観察では、励起光であるレーザ光が光ファイバ710から射出され、コリメータレンズ720、色収差補正素子740及び対物レンズ735を順に通過して生体組織500に照射される(図中(a))。また、レーザ光の照射によって生体組織500から発せられる蛍光は、レーザ光とは逆の経路を辿り、対物レンズ735、色収差補正素子740及びコリメータレンズ720を順に通過して光ファイバ710に導光され、例えば外部に設けられる光検出器(図示せず。)によって検出される(図中(b))。従って、より効率的に観察を行うためには、蛍光の光ファイバ710への集光効率を向上させる必要がある。
ここで、生体組織500に照射されるレーザ光の波長と、戻り光として生体組織500から戻ってくる蛍光とは、異なる波長を有することが多い。例えば、例えば近赤外光に対応する波長(785(nm))を有するレーザ光を用いた場合には、その戻り光である蛍光は可視光帯域の光であり得る。従って、生体組織500から戻ってきた蛍光が対物レンズ735を通過する際に色収差が生じてしまい、蛍光の光ファイバ710のコアへの集光効率が低くなってしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、図25に示すように、光ファイバ710としてダブルクラッド光ファイバを用い、レーザ光を光ファイバ710のコアでシングルモード伝搬する一方、蛍光を内部クラッドで伝搬して光検出器まで導光する。このような構成を取ることにより、光ファイバ710の端部での面積がより大きい内部クラッドの部分に蛍光を集光すればよいため、集光効率を向上させることができる。
しかしながら、色収差の度合いが大きい場合には、ダブルクラッド光ファイバを用いても、蛍光の集光効率を十分に得ることができない可能性がある。そこで、本実施形態では、図25に示すように、コリメータレンズ720と対物レンズ735との間に色収差補正素子740が設けられる。色収差補正素子740が設けられることにより、蛍光が対物レンズ735を通過することによって生じる色収差が補正され、蛍光の光ファイバ710への集光効率をより向上させることができる。色収差補正素子740としては、例えば近赤外光に対応する波長(785(nm))を有するレーザ光にとっては実質的に平行平板として機能するが、蛍光に対応する波長帯域(例えば可視光帯域)の光に対しては凹レンズとして機能するような光学特性を有する接合レンズが好適に用いられる。
図26に、色収差補正素子740を適用した場合と適用しなかった場合における、蛍光の光ファイバ710への集光効率を示す。図26は、色収差補正素子740を適用した場合と適用しなかった場合における、蛍光の光ファイバ710への集光効率を示すグラフ図である。図26では、横軸に蛍光の波長を取り、縦軸に蛍光の光ファイバ710への集光効率を取り、両者の関係性をプロットしている。
図26に示す曲線Lは、色収差補正素子740が適用されなかった場合における蛍光の集光効率を示している。また、曲線Mは、色収差補正素子740が適用された場合における蛍光の集光効率を示している。図26を参照すると、曲線Lに示されるように、色収差補正素子740が適用されない場合には、波長が短い蛍光に対する集光効率が大幅に低下していることが分かる。これは、蛍光の波長が短くなるほど、レーザ光との波長の差が大きくなり、色収差の度合いが大きくなるため、光ファイバ710の端部に蛍光が集光され難くなるからであると考えられる。一方、曲線Mに示されるように、色収差補正素子740が適用された場合には、蛍光の波長にかかわらず高い集光効率が確保される。このように、本実施形態では、色収差補正素子740を配置することにより、蛍光の光ファイバ710への集光効率を向上させることができ、より効率的に観察を行うことが可能となる。
以上、本実施形態に係る色収差補正素子740について説明した。なお、色収差補正素子740の形状や材質等、具体的な構成は、対物レンズ735の光学特性や、観察に用いるレーザ光の波長、検出対象である蛍光の波長等を考慮して、適切な蛍光の光ファイバ710への集光効率が得られるように適宜設計され得る。
(6−2−4.レーザ走査型プローブの他の構成例)
次に、本実施形態に係るレーザ走査型プローブの他の構成例について説明する。上述したように、本実施形態では、レーザ走査型プローブをより大型に構成し、例えばユーザが手で把持しながら、観察対象であるヒトや動物の体表面にウインドウ部を接触させて、当該体表面から所定の深さにおける生体組織に対してレーザ走査を行ってもよい。
図27を参照して、本実施形態に係るレーザ走査型プローブの他の構成例として、このような手持ち型のレーザ走査型プローブの構成について説明する。図27は、本実施形態に係るレーザ走査型プローブの他の構成例である、手持ち型のレーザ走査型プローブの構成を示す斜視図である。なお、図27では、筐体の内部に配置される構成部材を示すために、筐体を透過して図示している。
図27を参照すると、本実施形態に係るレーザ走査型プローブ5は、略直方体の筐体781内に、コリメータレンズ770、色収差補正素子790及び走査部783が配置されて構成される。このように、本実施形態では、レーザ走査型プローブ5の筐体781の形状は円筒形でなくてもよい。筐体781の形状は、例えばユーザによる操作性を考慮して、ユーザにとってより把持しやすい形状が選択され得る。なお、図27に示すレーザ走査型プローブ5は、筐体781の形状が異なる点以外は、特にその光学的な構成は、図18に示すレーザ走査型プローブ4と略同様であってよい。従って、以下の図27を参照した説明では、上述したレーザ走査型プローブ4と重複する構成については詳細な説明を省略する。
筐体781の一端にはファイバコネクタ765を介して光ファイバ760が接続される。レーザ光源(図示せず。)から射出されたレーザ光が、光ファイバ760によって筐体781の内部に導光され、コリメータレンズ770及び色収差補正素子790を通過して、走査部783に入射する。
走査部783は、ハウジング789内に非点収差補正素子786、光路変更素子784及び対物レンズ785が格納されて構成され、筐体781の他端に設けられる回転機構787によって、y軸方向を回転軸方向として一体的に回転可能に構成される。走査部733に入射した光は、非点収差補正素子786を通過し、光路変更素子784によってその進行方向を略垂直方向(例えば筐体731の曲率を有する面方向(図中のz軸方向))に変更され、対物レンズ785を通過してハウジング789の外部に導光される。
筐体781の内部には、円筒形のガラスチューブ782が走査部783を取り囲むように配置される。また、筐体781の少なくとも一面はガラスチューブ782に対応する曲率を有するように形成されている。筐体781の当該曲率を有する面の一部領域には開口部が設けられており、当該開口部においてガラスチューブ782の一部が露出するように(すなわち、ガラスチューブ782の一部が筐体781の曲率を有する面の一部を構成するように)、筐体781及びガラスチューブ782が構成されている。対物レンズ785によって集光され、走査部783から射出されたレーザ光は、ガラスチューブ782の露出部(以下、ウインドウ部782とも呼称する。)を通過して、筐体781の外部に照射される。ガラスチューブ782の露出部を観察対象に接触させることにより、レーザ光が観察対象に照射されることとなる。このように、ガラスチューブ782の露出部は、図18に示すレーザ走査型プローブ4のウインドウ部732に対応している。
回転機構787によって走査部783がy軸方向を回転軸として回転することにより、レーザ光が観察対象に対してx軸方向に走査される。また、平行移動機構788によって走査部783がy軸方向に平行移動することにより、レーザ光が観察対象に対してy軸方向に走査される。図27では図示を省略しているが、レーザ走査型プローブ5には、図2に示すレーザ光源110、ビームスプリッタ120、光ファイバ用導光レンズ130、光検出器170、制御部180、出力部190及び入力部195に対応する構成が備えられており、レーザ走査による戻り光に基づいて観察対象の画像を取得することができる。なお、図27に示す例では、回転機構787及び平行移動機構788を一体的な部材として図示しているが、これらは別々の部材として筐体781内に配置されてもよい。また、図27に示すコリメータレンズ770、光路変更素子784、対物レンズ785、非点収差補正素子786及び色収差補正素子790等の光学素子の光学特性や、回転機構787及び平行移動機構788の駆動機構の詳細な構成は、図18に示すこれらの構成部材と同様の機能を有するものであってよいため、詳細な説明は省略する。
また、レーザ走査型プローブ5においても、図18に示すレーザ走査型プローブ4と同様に、コリメータレンズ770をy軸方向に移動させる移動機構(図示せず。)が更に設けられてよく、当該移動機構によってコリメータレンズ770をy軸方向に移動させることにより、観察深さが変更されてよい。これにより、z軸方向におけるレーザ走査を行うことが可能となり、上述したx軸及びy軸方向へのレーザ走査と合わせて、3次元の画像データを取得することができる。
図27に示すレーザ走査型プローブ5は、例えばヒトの皮膚や口腔等、外部から接触可能な箇所の観察に好適に用いられる。例えば、レーザ走査型プローブ5には、レーザ走査が行われるウインドウ部782から外部を撮影するカメラ装置(図示せず。)が搭載されている。ユーザは、レーザ走査型プローブ5のウインドウ部782を観察対象に接触させた状態で、当該カメラ装置によって撮影された画像を参照しながらレーザ走査型プローブ5を移動させ、詳細に観察したい部位を探索することができる。所望の観察部位を発見したら、当該部位に対するレーザ走査が開始される。このように、レーザ走査型プローブ5は、ユーザが手に持って比較的自由に移動させることができるため、より操作性の高い観察を行うことが可能となる。
また、レーザ走査型プローブ5の他の使用方法として、レーザ走査型プローブ5を試験用の動物の身体の一部位(例えば頭部や胴体等)に取り付け、脳や臓器の様子を経時的に観察する使用方法も考えられる。このような使用方法の場合には、動物に対して過度の負担を与えないように、レーザ走査型プローブ5は比較的小型、軽量に構成されることが好ましい。
以上、本実施形態に係るレーザ走査型プローブの他の構成例について説明した。以上説明したように、本実施形態に係るレーザ走査型観察装置は、ユーザが手に持って使用することを想定した手持ち型のレーザ走査型プローブ5であってよい。このように、本実施形態では、レーザ走査型観察装置は、内視鏡のように体腔内において生体組織を観察する場合だけでなく、体表面から所定の深さに位置する生体組織を観察する用途にも用いることが可能である。
(6−3.レーザ走査型顕微鏡)
次に、図28を参照して、本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡装置の一構成例について説明する。図28は、本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡装置の一構成例を示す概略図である。なお、図28では、筐体の内部に配置される構成部材を示すために、筐体の図示を省略している。
図28を参照すると、本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡装置6は、レーザ光源810、ビームスプリッタ820、光検出器870、コリメータレンズ850、色収差補正素子840、走査部863、回転機構867及び平行移動機構868が、筐体(図示せず。)内に配置されて構成される。このように、レーザ光源から走査部に至るまでの光学系が1つの筐体内に設けられ得るため、レーザ走査型顕微鏡装置6では、光ファイバ等の導光部材が用いられなくてよい。なお、図28に示すレーザ走査型顕微鏡装置6は、筐体内にレーザ光源810、ビームスプリッタ820及び光検出器870が設けられ、光ファイバが用いられないこと以外の構成、特にその光学的な構成は、図18に示すレーザ走査型プローブ4と略同様であってよい。従って、以下の図28を参照した説明では、上述したレーザ走査型プローブ4と重複する構成については詳細な説明を省略する。
レーザ光源810から射出されたレーザ光は、コリメータレンズ850及び色収差補正素子840を通過して、走査部863に入射する。走査部863は、ハウジング869内に非点収差補正素子866、光路変更素子864及び対物レンズ865が格納されて構成される。走査部863には、例えばモータやリニアアクチュエータによって構成される回転機構867及び平行移動機構868が接続されており、走査部863は、y軸方向を回転軸方向として一体的に回転可能であるとともに、y軸方向に一体的に平行移動可能に構成される。走査部863に入射した光は、非点収差補正素子866を通過し、光路変更素子864によってその進行方向を略垂直方向(図中のz軸方向)に変更され、対物レンズ865を通過してハウジング869の外部に導光される。
ここで、レーザ走査型顕微鏡装置6には、観察対象500が載置されるステージ880が設けられており、走査部863は、対物レンズ865が当該ステージ880の観察対象500の載置面の裏面に対向する位置に配置されている。ステージ880の、少なくとも走査部863と対向する領域には、少なくともレーザ光に対応する波長帯域の光を透過する材質によってウインドウ部862が形成されており、対物レンズ865によって集光され、走査部863から射出されたレーザ光は、当該ウインドウ部862を介してステージ880上に載置された観察対象500に照射されることとなる。なお、図28に示すように、観察対象500がスライドガラス510等の試料載置用の部材の上に置かれたプレパラートが事前に作製され、当該プレパラートがステージ880上に載置されてもよい。この場合、レーザ光はスライドガラス510を通過して観察対象500に照射されることとなるため、スライドガラス510としてはレーザ走査を妨げないような光学特性を有する材質によって形成されたものが好適に用いられ得る。
走査部863が回転機構867によってy軸方向を回転軸方向として回転されることにより、レーザ光が観察対象500に対してx軸方向に走査される。また、走査部863が平行移動機構868によってy軸方向に平行移動されることによりレーザ光が観察対象500に対してy軸方向に走査される。観察対象500からの戻り光が、レーザ光が通過した経路を逆に辿って、すなわち、対物レンズ865、光路変更素子864、非点収差補正素子866、色収差補正素子840及びコリメータレンズ850を通過して、ビームスプリッタ820によって光検出器870に向かって導光される。光検出器870によって検出された戻り光に応じて、観察対象500についての情報が例えば画像データとして取得される。
また、レーザ走査型顕微鏡装置6においても、図18に示すレーザ走査型プローブ4と同様に、コリメータレンズ850をy軸方向に移動させる移動機構(図示せず。)が更に設けられてよく、当該移動機構によってコリメータレンズ850をy軸方向に移動させることにより、観察深さが変更されてよい。これにより、観察対象500に対する深さ方向(z軸方向)へのレーザ走査を行うことが可能となり、上述したx軸及びy軸方向へのレーザ走査と合わせて、3次元の画像データを取得することができる。
なお、図28に示すレーザ光源810、ビームスプリッタ820、光検出器870、コリメータレンズ850、光路変更素子864、対物レンズ865、非点収差補正素子866、色収差補正素子840、回転機構867及び平行移動機構868等の構成は、図2及び図18に示すこれらの構成部材と同様の機能を有するものであってよいため、詳細な説明は省略する。また、図28では図示を省略しているが、レーザ走査型顕微鏡装置6には、図2に示す制御部180、出力部190及び入力部195に対応する構成が更に備えられていてよく、これらの構成によって、レーザ走査による戻り光に基づいて観察対象500の画像が取得され得る。
以上、本実施形態に係るレーザ走査型顕微鏡装置の一構成例について説明した。以上説明したように、本実施形態に係るレーザ走査型観察装置は、レーザ走査型顕微鏡装置6であってよい。ここで、上述した図16に示すレーザ走査型内視鏡装置3や、図27に示すレーザ走査型プローブ5では、被測定者の体腔内の生体組織を観察したり、ユーザがレーザ走査型プローブ5を手で把持して用いることを想定しているため、走査部等の光学系や、回転機構及び平行移動機構等の駆動系を比較的小型に構成する必要がある。一方、レーザ走査型顕微鏡装置6では、観察対象が装置に設けられるステージに載置され、ステージ上の観察対象に対してレーザ走査が行われるため、走査部、回転機構及び平行移動等の構成に対する小型化の要請が比較的緩和される。従って、光学系や駆動系を、より高い自由度で設計することができる。
ここで、駆動系の一例として、上述した回転機構867について検討する。上記(2.第1の実施形態)で説明したように、例えば、1フレームの画像データが(x×y)=(500(pixel)×500(pixel))であるとすると、スキャンスピード1fpsを実現するためには、1秒間に500ライン、レーザ光を走査する必要がある。従って、スキャンスピード1fpsを実現するために走査部863に求められる回転速度は、500×60×1=30000(rpm)である。用途によってはより低速でも適用可能であるが、それでも、回転機構867に設けられるモータには、例えば5000(rpm)−30000(rpm)程度の回転速度が要求される。
また、回転機構867のモータには、回転中における回転軸の軸振れや軸の傾き(軸倒れ)を、より小さい範囲に抑えることが要求される。回転中にモータの回転軸の位置が変動してしまうと、レーザ光のz軸方向の走査位置の精度(すなわち、観察深さの精度)が低下してしまう可能性があるからである。
また、上記のような回転速度、回転軸の位置精度を満たすためには、回転機構867には所定の剛性が求められる。具体的には、回転機構867のモータの回転軸が、回転中に走査部863に作用する遠心力(mrw)に耐え得るように設計されなければいけない(mは走査部863の質量、rは回転軸から回転体である走査部863の重心までの距離、wは回転角速度)。また、回転軸の位置精度を保つためには、モータ内に設けられるベアリングが高い剛性を有することが必要となる。例えば、回転体である走査部863の大きさが、回転機構867のモータの性能に比して大きすぎる場合には、モータの回転軸に対して過度な遠心力が作用することとなり、モータの剛性に対する要求が厳しくなる。従って、モータと回転体である走査部863との力学的なバランスを考慮した設計や、走査部863をより小型に、より軽量に構成することも求められる。
更に、本実施形態では、走査部863の回転によるx軸方向へのレーザ走査と同期して、y軸方向及び/又はz軸方向へのレーザ走査が行われ得る。従って、レーザ走査の精度を向上させるためには、回転機構867のモータの回転角度を高精度に検出するための高分解能の角度センサ(例えばロータリエンコーダ)が、モータとともに搭載されることが望ましい。
ここで、例えば図16に示すようなレーザ走査型内視鏡装置3において、これらの性能を満たすことを考える。レーザ走査型内視鏡装置3では、例えば直径10(mm)程度の鏡筒661内に、走査部663及び回転機構667が搭載される必要がある。従って、他の構成も鏡筒661内に設けられることを考慮すれば、回転機構667のモータとしては、例えば径方向の大きさが鏡筒661の径の60%以下(上記の例では6(mm)以下)、鏡筒661に沿った長さが20(mm)以下であることが望ましい。また、例えば対物レンズ665のNAが0.45であるとすると、モータの回転軸の位置精度としては、軸振れ量が0.01(mm)以下、軸倒れ量が0.1(deg)以下であることが望ましい。
このように、レーザ走査型内視鏡装置3では、比較的小型のモータにおいて、回転軸の位置を高精度に保ちつつ、剛性を確保する必要がある。また、角度センサにも、高分解能であるとともに小型であることが求められる。従って、レーザ走査型内視鏡装置3のような比較的小型の筐体内に各構成部材を搭載しなければいけない場合には、回転機構667及び走査部663等の構成部材を設計する際の条件が比較的厳しいものとなる可能性がある。一方、上述したように、レーザ走査型顕微鏡装置6では、レーザ走査型内視鏡装置3ほどの小型化が求められない。従って、回転機構867のモータとしてもより大型なものを用いることができるため、回転機構867及び走査部863等の構成部材の設計がより容易になる。
ここで、上記(1.他の構成によるレーザ走査型内視鏡装置についての検討)で説明したように、一般的な既存の技術として、レーザ走査型顕微鏡装置では、構成を比較的大型化することができ、光学系の設計自由度が高いため、光学系を適宜設計することにより、「3.高いNA」及び「4.広視野」を同時に実現する構成が存在し得る。ただし、既存の技術では、光学系の構成が複雑なものとなり、装置の小型化、低コスト化を図ることが難しくなる。一方、本実施形態では、走査部863を回転させてレーザ光を走査することにより、より簡易な構成によって、比較的高いNAを有する対物レンズ865を用いた場合であっても広い視野が実現される。また、非点収差補正素子866が設けられることにより、観察深さが変更された場合であっても、非点収差の影響の少ないより高精度な観察を行うことが可能となる。
(7.ハードウェア構成)
次に、図29を参照しながら、本実施形態に係るレーザ走査型観察装置のハードウェア構成について詳細に説明する。図29は、本実施形態に係るレーザ走査型観察装置のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。なお、図29に示すレーザ走査型観察装置は、上述したレーザ走査型内視鏡装置1、2、3、レーザ走査型プローブ4、5及びレーザ走査型顕微鏡装置6を構成し得る。
図29を参照すると、レーザ走査型観察装置900は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、レーザ走査型観察装置900は、更に、ホストバス907、ブリッジ909、外部バス911、インターフェース913、センサ914、入力装置915、出力装置917、ストレージ装置919、ドライブ921、接続ポート923及び通信装置925を備える。
CPU901は、演算処理装置及び制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919又はリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、レーザ走査型観察装置900内の動作全般又はその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。CPU901、ROM903及びRAM905は、本実施形態においては、例えば、図2及び図4Aに示す制御部180、280に対応している。
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
センサ914は、例えば、ユーザに固有の生体情報、または、かかる生体情報を取得するために用いられる各種情報を検出する検出手段である。センサ914は、本実施形態においては、例えば、図2及び図4Aに示す光検出器170に対応している。また、センサ914は、例えば、図2及び図4Aに示す内視鏡160及び光検出器170を含む、生体組織500にレーザ光を走査してその戻り光を検出する一連のシステムに関連する各構成部材に対応している。センサ914は、例えば、フォトダイオード、PMTなどの光検出器やCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の各種の撮像素子を有していてもよい。また、センサ914は、生体部位を撮像するために用いられるレンズ等の光学系や光源等を更に有していてもよい。また、センサ914は、音声等を取得するためのマイクロフォン等であってもよい。なお、センサ914は、上述のもの以外にも、温度計、照度計、湿度計、速度計、加速度計などの様々な測定機器を備えていてもよい。
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバー等、ユーザが操作する操作手段である。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、レーザ走査型観察装置900の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器929であってもよい。更に、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。入力装置915は、本実施形態においては、例えば、図2及び図4Aに示す入力部195に対応している。レーザ走査型観察装置900のユーザは、この入力装置915を操作することにより、レーザ走査型観察装置900に対して、例えば回転機構、平行移動機構及び/又は観察深さ調整機構等の駆動に関する各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置及びランプ等の表示装置や、スピーカ及びヘッドホン等の音声出力装置や、プリンタ装置等がある。出力装置917は、例えば、レーザ走査型観察装置900が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、レーザ走査型観察装置900が行った各種処理により得られた結果を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。出力装置917は、本実施形態においては、例えば、図2及び図4Aに示す出力部190に対応している。例えば、出力装置917の表示画面には、レーザ走査の結果取得された生体組織に関する画像データが表示される。
また、図2及び図4Aには明示しなかったが、レーザ走査型観察装置900は、以下の構成部材を更に備えてもよい。
ストレージ装置919は、レーザ走査型観察装置900の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、レーザ走査型観察装置900において処理される各種のデータ、例えば、CPU901が実行するプログラムや各種データ、外部から取得した各種データ、及び、レーザ走査型観察装置900におけるレーザ走査の結果取得される各種のデータ等を格納する。本実施形態においては、例えば、ストレージ装置919は、レーザ走査型観察装置900におけるレーザ走査を制御するためのプログラムや各種の条件等を格納する。例えば、ストレージ装置919は、レーザ走査の結果取得された生体組織に関する画像データを格納する。
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、レーザ走査型観察装置900に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体927は、例えば、DVDメディア、HD−DVDメディア、Blu−ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体927は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ又はSDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体927は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)又は電子機器等であってもよい。ドライブ921は、レーザ走査型観察装置900において処理される各種のデータの、各種のリムーバブル記録媒体927への書き込み及び読み出しを行う。
接続ポート923は、各種の外部機器をレーザ走査型観察装置900に直接接続するためのポートである。接続ポート923の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート及びSCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート923の別の例として、RS−232Cポート、光オーディオ端子及びHDMI(登録商標)(High−Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、レーザ走査型観察装置900は、外部接続機器929から直接各種データを取得したり、外部接続機器929に各種データを提供したりする。このように、接続ポート923により、レーザ走査型観察装置900と各種の外部機器とが、各種のデータを通信可能に接続される。レーザ走査型観察装置900は、接続ポート923を介して、レーザ走査型観察装置900において処理される各種のデータ、例えばレーザ走査の結果取得された生体組織に関する画像データを、各種の外部機器へ送信することができる。
通信装置925は、例えば、通信網(ネットワーク)931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線若しくは無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置925は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ又は各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置925に接続される通信網931は、有線又は無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信又は衛星通信等であってもよい。通信装置925により、レーザ走査型観察装置900と各種の外部機器との間で、レーザ走査型観察装置900において処理される各種のデータを相互に送受信することができる。例えば、通信装置925は、レーザ走査型観察装置900において処理される各種のデータを、通信網931を介して各種の外部機器に送信することができる。例えば、レーザ走査の結果取得された生体組織に関する画像データが、通信装置925によってデータベースサーバ等の各種の外部機器へ送信されてもよい。
以上、本実施形態に係るレーザ走査型観察装置900の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
なお、上述のようなレーザ走査型観察装置900におけるレーザ走査及び画像データ取得に関する各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
(8.まとめ)
以上説明したように、本開示の好適な実施形態によれば、以下の効果を得られる。
第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1によれば、鏡筒161内において対物レンズ165がy軸を回転軸として回転することによって、ウインドウ部162を介して生体組織500に対してx軸方向にレーザ光が走査される。このように、対物レンズ165が回転することでレーザ光が走査されることにより、レーザ走査型内視鏡装置1における視野(FOV)は、対物レンズ165の軸外特性によって制限されない。従って、レーザ走査型内視鏡装置1では、対物レンズ165が回転中にウインドウ部162と対向する範囲(すなわち、x軸方向にレーザ光が走査される範囲)がFOVとして確保されるため、対物レンズ165のNAが比較的高い場合であっても広視野が実現される。また、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1の内視鏡160に設けられるウインドウ部162は、所定の厚さを有して形成されるため、ウインドウ部162が生体組織に接触する際の安全性が確保される。更に、第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1によれば、ウインドウ部162よりも前段に、レーザ光が生体組織に集光される際に生じる収差を補正する収差補正素子166が設けられる。ここで、収差補正素子166の収差補正性能は、対物レンズ165及び/又はウインドウ部162に起因して生じる収差を補正するように、対物レンズ165及びウインドウ部162の特性や形状に応じて適宜設定されてよい。従って、レーザ走査型内視鏡装置1では、NAが比較的高い対物レンズを用いながら、ウインドウ部に所定の厚さを設けることにより安全性を確保することと、収差の影響を抑制することにより高品質な画像を取得することを両立させることが可能となる。
また、レーザ走査型内視鏡装置1においては、対物レンズ165を回転させることにより、高い解像度と広い視野とを確保することができる。従って、レーザ走査のサンプリングレートを制御することにより、生体組織を広範囲に見渡したり、必要に応じて所望の部位を拡大してより高い解像度で観察したりすることができ、効率的な生体組織の観察が実現される。
また、第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置2によれば、上述した第1の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置によって得られる効果に加えて、以下の効果を得られる。すなわち、レーザ走査型内視鏡装置2においては、光路変更素子164にレーザ光の光束が入射され、対物レンズ165は、生体組織500の互いに異なる複数のスポットに、当該レーザ光の光束を集光する。ここで、当該光束を構成するレーザ光は、互いに異なる変調を施したレーザ光であってよく、レーザ走査型内視鏡装置2は、これらのレーザ光に対する復調機能を有することにより、各スポットからの戻り光に対応する画像信号を選択的に分離して取得することができる。従って、レーザ走査型内視鏡装置2では、走査部163が1回転する間に、複数のスポットに照射されるレーザ光による複数のラインを走査することが可能となる。よって、走査部163の回転数が比較的小さくても、高いスキャンスピードを得ることができる。
また、第1及び第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1、2においては、走査部が複数の対物レンズを有する構成であってもよい。走査部が複数の対物レンズを有することにより、走査部が1回転する間に、複数の対物レンズによる複数のラインのレーザ走査を行うことが可能となる。従って、走査部の1度の回転によって走査可能なライン数を増加させることができるため、より効率的なレーザ走査が可能となる。
また、第1及び第2の実施形態に係るレーザ走査型内視鏡装置1、2においては、走査部が異なる回転軸方向を有する構成であってもよい。例えば、ウインドウ部162が、鏡筒161の長手方向の先端部に、鏡筒161の長手方向と略垂直な面を有して設けられ、鏡筒161の先端部を接触させた部位に対してレーザ走査が行われる。従って、例えば、観察対象部位が、鏡筒161の外側壁を接触させることが困難であるような体腔内の奥まった凹部に存在する場合であっても、レーザ走査による観察を行うことが可能となる。
更に、上記(6.観察深さ調整機構を備える構成)では、本実施形態に係るレーザ走査型観察装置が観察深さ調整機構を備える場合について説明した。また、本実施形態に係るレーザ走査型観察装置の内視鏡装置以外の構成例として、レーザ走査型プローブ及びレーザ走査型顕微鏡装置の構成について説明した。これらの構成によれば、上述した第1の実施形態及び/又は第2の実施形態で得られる効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
上記(6.観察深さ調整機構を備える構成)で説明したレーザ走査型観察装置では、観察深さ調整機構が設けられることにより、観察対象に対する深さ方向へのレーザ走査が可能となる。従って、観察対象を3次元的に観察することが可能となり、観察対象についてより多くの情報を取得することが可能となる。また、当該レーザ走査型観察装置には、観察深さの変化に伴う非点収差の変動に対応した補正量で当該非点収差を補正するような、非点収差補正素子が設けられてよい。このような特性を有する非点収差補正素子が設けられることにより、観察深さが変化した場合であっても、非点収差の影響の少ないより高精度な観察を行うことが可能となる。
また、例えば2光子励起を利用した観察のように、戻り光として蛍光を検出する場合には、光ファイバとしてダブルクラッド光ファイバが用いられるとともに、色収差補正素子が設けられてよい。ダブルクラッド光ファイバを用いることにより、内部クラッドで蛍光を導光することができるため、より広い面積で蛍光を集光することができるため、集光効率を向上させることができる。また、色収差補正素子は、レーザ光と蛍光との波長の違いによって生じる色収差を補正するように設計される。従って、このような特性を有する非点収差補正素子が設けられることにより、蛍光の光ファイバへの集光効率を更に向上させることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した各実施形態に係る技術の用途は、顕微鏡観察に限定されず、他の用途に用いられてもよい。例えば、光励起によって活性及び不活性を制御することができる神経細胞のイオンチャンネルの制御をはじめとした、各種の光遺伝学的なマニピュレーションにも適用可能である。
また、例えば、以上説明した各構成に対して、以下に示す構成が更に設けられてもよい。
例えば、レーザ光源110は、レーザ光を射出するタイミングを動的に制御する構成を更に有してもよい。そして、レーザ光源110は、回転機構167による走査部の回転に同期して、レーザ光が生体組織500に照射されるタイミングでのみレーザ光を射出してもよい。レーザ光源110が必要なときにのみレーザ光を射出する構成とすることより、消費電力を低減することができる。
また、例えば、レーザ光源110は、射出するレーザ光の強度(パワー)を動的に制御する構成を更に有してもよい。一般的に、拡大された画像データを取得する場合には、拡大(ズーム)するほど、1画素(pixel)当たりの受光積算時間は短くなり、取得される画像データの明度が落ちる。従って、レーザ光源110は、取得する画像データのサイズに応じて、射出するレーザ光の強度を制御してもよい。例えば、レーザ光源110は、拡大された画像データを取得する場合には、射出するレーザ光の強度を上げてもよい。また、これらのレーザ光源110のレーザ光射出タイミング及び強度の制御は、例えば制御部180によって制御されてよい。
また、回転機構167は、走査部の回転駆動の安定化制御のために、回転系サーボ機構を更に有してもよい。当該回転系サーボ機構は、例えば、走査部の回転中における離心量等を検出し、回転速度等を制御することにより、走査部の回転を安定化させることができる。なお、走査部の離心量に応じて、非点収差等の収差は変動し得る。従って、走査部の離心量についての情報を収差補正素子にフィードバックし、当該離心量から計算される非点収差等の収差の変動に応じて、収差補正素子による補正量を動的に制御してもよい。
また、上記(2.第1の実施形態)で説明したように、内視鏡160は、患者の体腔内を撮影する撮像部を有してもよい。例えば、当該撮像部は、広角の明視野撮影用のカメラを有していてもよい。当該撮像部が広角の明視野撮影用のカメラを有する場合、撮像部によって撮影された広角の映像を参照しながら、詳細に観察したい観察対象部位を探索し、発見した観察対象部位にウインドウ部162を接触させることによりレーザ走査を行ってもよい。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)管状の筐体の一部領域に設けられ、観察対象である被測定者の体腔内の生体組織に接触又は近接するウインドウ部と、前記筐体の内部に設けられ、前記ウインドウ部を通して前記生体組織にレーザ光を集光する対物レンズと、前記筐体内を前記筐体の長軸方向に沿って導光されてきた前記レーザ光を、前記対物レンズのレンズ面に導光する光路変更素子と、前記ウインドウ部よりも前段に設けられ、前記レーザ光が前記生体組織に集光される際に生じる収差を補正する収差補正素子と、前記レーザ光が前記生体組織を走査するように、前記対物レンズの光軸と直交し前記対物レンズを通らない回転軸で、少なくとも前記対物レンズを前記筐体内で回転させる回転機構と、を備える、内視鏡。
(2)前記収差補正素子は、前記ウインドウ部に起因して生じる非点収差を少なくとも補正する、前記(1)に記載の内視鏡。
(3)前記収差補正素子は、少なくとも1つのシリンドリカルレンズを含む、前記(2)に記載の内視鏡。
(4)前記回転機構は、前記光路変更素子、前記収差補正素子及び前記対物レンズを一体的に回転させる、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の内視鏡。
(5)少なくとも前記対物レンズを、前記筐体内で、前記回転軸方向に平行移動させる平行移動機構、を更に備える、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の内視鏡。
(6)前記光路変更素子には、前記レーザ光の光束が入射され、前記対物レンズは、前記生体組織の互いに異なる複数のスポットに、前記レーザ光の光束を集光する、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の内視鏡。
(7)前記レーザ光の光束は、互いに異なる複数の状態に変調された前記レーザ光によって構成される、前記(6)に記載の内視鏡。
(8)前記ウインドウ部は、前記筐体の長軸方向と略平行な側壁の一部領域に設けられる、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の内視鏡。
(9)前記対物レンズは複数設けられ、複数の前記対物レンズは、前記筐体の長軸方向の略同一な位置において、前記筐体の内壁と対向し、前記筐体の外周方向に沿って所定の間隔で配設される、前記(8)に記載の内視鏡。
(10)前記光路変更素子の前段に設けられ、前記光路変更素子に入射する前記レーザ光の偏光方向を変更する偏光変調素子、を更に備え、前記光路変更素子は所定の偏光方向を有する前記レーザ光の光路を変更する偏光ビームスプリッタであり、前記偏光ビームスプリッタは、前記偏光変調素子によって偏光方向が変更された前記レーザ光を、当該レーザ光の偏光方向に応じて、複数の前記対物レンズのうち前記ウインドウ部と対向している前記対物レンズに導光する、前記(9)に記載の内視鏡。
(11)前記光路変更素子は、入射した前記レーザ光の反射方向を動的に制御可能なMEMSミラーであり、前記MEMSミラーは、入射した前記レーザ光を、複数の前記対物レンズのうち前記ウインドウ部と対向している前記対物レンズに導光する、前記(9)に記載の内視鏡。
(12)前記光路変更素子の前段に設けられ、前記光路変更素子に入射する前記レーザ光を複数の光路に分岐させる光路分岐素子、を更に備え、複数の前記対物レンズの前段には、前記収差補正素子及び前記光路変更素子が、それぞれ設けられ、前記光路分岐素子によって分岐された前記レーザ光のそれぞれが、前記光路変更素子及び前記収差補正素子を順に通過して、複数の前記対物レンズのそれぞれに導光される、前記(9)に記載の内視鏡。
(13)複数の前記対物レンズの前段には、前記収差補正素子及び前記光路変更素子が、それぞれ設けられ、複数の前記光路変更素子の前段にそれぞれ設けられ、対応する前記光路変更素子にのみ前記レーザ光を入射させる入射ウインドウ部、を更に備え、前記レーザ光は、前記レーザ光の光軸が前記筐体に対して所定の位置に保たれた状態で前記筐体内を導光され、前記レーザ光の照射位置に対応する前記入射ウインドウ部から入射したレーザ光が、当該入射ウインドウ部に対応する前記収差補正素子、前記光路変更素子及び前記対物レンズに順に導光される、前記(9)に記載の内視鏡。
(14)前記ウインドウ部は、前記筐体の長軸方向の先端部に、前記筐体の長軸方向と略垂直な面を有して設けられる、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の内視鏡。
(15)前記対物レンズと前記ウインドウ部との間の空間は、前記対物レンズの屈折率及び前記ウインドウ部の屈折率と略同一の屈折率を有する液体によって液浸される、前記(1)〜(14)のいずれか1項に記載の内視鏡。
(16)少なくとも前記対物レンズを、前記対物レンズの光軸方向に平行移動させる光軸方向移動機構、を更に備える、前記(1)〜(15)のいずれか1項に記載の内視鏡。
(17)管状の筐体の一部領域に設けられ、観察対象である被測定者の体腔内の生体組織に接触又は近接するウインドウ部と、前記筐体の内部に設けられ、前記ウインドウ部を通して前記生体組織にレーザ光を集光する対物レンズと、前記筐体内を前記筐体の長軸方向に沿って導光されてきた前記レーザ光を、前記対物レンズのレンズ面に導光する光路変更素子と、前記ウインドウ部よりも前段に設けられ、前記レーザ光が前記生体組織に集光される際に生じる収差を補正する収差補正素子と、前記レーザ光が前記生体組織を走査するように、前記対物レンズの光軸と直交し前記対物レンズを通らない回転軸で、少なくとも前記対物レンズを前記筐体内で回転させる回転機構と、を有する内視鏡と、前記レーザ光が前記生体組織に集光されて生じる戻り光を検出する光検出器と、検出された前記戻り光に基づいて、前記生体組織に関する画像データを生成する制御部と、を備える、レーザ走査型内視鏡装置。
(18)内視鏡における管状の筐体の内部にレーザ光を導光し、前記筐体の内部に設けられる光路変更素子に前記レーザ光を入射することと、前記光路変更素子によって、前記筐体の長軸方向に沿って導光されてきた前記レーザ光の光路を変更し、前記筐体の内部に設けられる対物レンズのレンズ面に前記レーザ光を導光することと、前記筐体の一部領域に設けられ観察対象である被測定者の体腔内の生体組織に接触又は近接するウインドウ部を介して、前記対物レンズによって前記生体組織に前記レーザ光を集光することと、前記レーザ光が前記生体組織を走査するように、前記対物レンズの光軸と直交し前記対物レンズを通らない回転軸で、少なくとも前記対物レンズを前記筐体内で回転させることと、を含み、前記ウインドウ部よりも前段には、前記レーザ光が前記生体組織に集光される際に生じる収差を補正する収差補正素子が設けられる、レーザ走査方法。
また、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)筐体の一部領域に設けられ、観察対象に接触又は近接するウインドウ部と、前記ウインドウ部を通して前記観察対象にレーザ光を集光する対物レンズと、前記筐体内を導光されてきた前記レーザ光の進行方向を前記ウインドウ部に向けて変更する光路変更素子と、前記ウインドウ部よりも前段に設けられ、前記レーザ光が前記観察対象に集光される際に生じる非点収差を補正する非点収差補正素子と、前記レーザ光が前記観察対象を走査するように、前記レーザ光の前記ウインドウ部への入射方向に対して垂直な回転軸で、少なくとも前記光路変更素子を回転させる回転機構と、を備え、前記非点収差補正素子は、前記観察対象における前記レーザ光の集光位置の深さである観察深さの変化に伴う非点収差の変動に対応した補正量で当該非点収差を補正する、レーザ走査型観察装置。
(2)前記非点収差補正素子は、前記レーザ光が少なくとも2面のシリンドリカル面又はトロイダル面を通過するように構成されたレンズを含み、前記回転機構によって前記光路変更素子とともに回転される、前記(1)に記載のレーザ走査型観察装置。
(3)前記非点収差補正素子は、両面にシリンドリカル面が形成されたメニスカスレンズである、前記(2)に記載のレーザ走査型観察装置。
(4)前記非点収差補正素子は、前記観察深さの変化に応じて非点収差の補正量を動的に変更させる駆動素子を含む光学部材である、前記(1)に記載のレーザ走査型観察装置。
(5)少なくとも前記光路変更素子を、前記回転軸方向に平行移動させることにより、前記観察対象に対して前記回転軸方向に前記レーザ光を走査する平行移動機構、を更に備える、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のレーザ走査型観察装置。
(6)前記観察深さを変更することにより、前記観察対象に対して深さ方向に前記レーザ光を走査する観察深さ調整機構、を更に備える、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のレーザ走査型観察装置。
(7)前記観察深さ調整機構は、前記レーザ光を略平行光にして前記光路変更素子及び前記非点収差補正素子に導光するコリメータレンズと、当該コリメータレンズを光軸方向に移動させる移動機構と、を含む、前記(6)に記載のレーザ走査型観察装置。
(8)前記レーザ走査型観察装置は、前記レーザ光が前記観察対象に照射されることによって生じる蛍光を戻り光として検出することにより、前記観察対象についての情報を取得し、前記レーザ光と前記蛍光との波長の違いによって生じる色収差を補正する色収差補正素子、を更に備える、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のレーザ走査型観察装置。
(9)前記色収差補正素子は、前記レーザ光に対応する波長帯域の光に対しては平行平板として機能するとともに、前記蛍光に対応する波長帯域の光に対しては凹レンズとして機能する接合レンズである、前記(8)に記載のレーザ走査型観察装置。
(10)前記光路変更素子には、前記レーザ光の光束が入射され、前記対物レンズは、前記観察対象の互いに異なる複数のスポットに、前記レーザ光の光束を集光する、前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のレーザ走査型観察装置。
(11)前記レーザ光の光束は、互いに異なる複数の状態に変調された前記レーザ光によって構成される、前記(10)に記載のレーザ走査型観察装置。
(12)前記レーザ光の光束は、複数の光ファイバによって前記筐体内に導光される、前記(10)又は(11)に記載のレーザ走査型観察装置。
(13)前記レーザ光の光束は、複数のコアを有するマルチコア光ファイバによって前記筐体内に導光される、前記(10)又は(11)に記載のレーザ走査型観察装置。
(14)前記光路変更素子の前段に設けられ、前記光路変更素子に入射する前記レーザ光の偏光方向を変更する偏光変調素子、を更に備え、前記光路変更素子は所定の偏光方向を有する前記レーザ光の光路を変更する偏光ビームスプリッタであり、前記偏光ビームスプリッタは、前記偏光変調素子によって偏光方向が変更された前記レーザ光の進行方向を、当該レーザ光の偏光方向に応じて、前記ウインドウ部に向けて変更する、前記(1)〜(13)のいずれか1項に記載のレーザ走査型観察装置。
(15)前記光路変更素子の前段に設けられ、前記光路変更素子に入射する前記レーザ光を複数の光路に分岐させる光路分岐素子、を更に備え、前記複数の光路の各々に対して、前記非点収差補正素子、前記光路変更素子及び前記対物レンズがそれぞれ設けられ、前記光路分岐素子によって分岐された前記レーザ光のそれぞれの進行方向が、前記光路変更素子によって、前記回転軸方向と垂直な複数の方向に変更される、前記(1)〜(13)のいずれか1項に記載のレーザ走査型観察装置。
(16)少なくとも複数の前記光路変更素子を格納し、複数の前記光路変更素子とともに回転するハウジングが設けられ、当該ハウジングの前記レーザ光が入射する壁面には、前記レーザ光を複数の前記光路変更素子の各々に入射させる入射ウインドウ部が形成され、複数の前記入射ウインドウ部のそれぞれに対して前記非点収差補正素子及び前記対物レンズが設けられ、前記レーザ光は、前記レーザ光の光軸が前記筐体に対して所定の位置に保たれた状態で前記筐体内を導光され、前記ハウジングの回転に伴って複数の前記入射ウインドウ部に順に照射され、前記レーザ光の照射位置に対応する前記入射ウインドウ部から入射したレーザ光が、前記光路変更素子によって前記ウインドウ部に向かって導光される、前記(1)〜(13)のいずれか1項に記載のレーザ走査型観察装置。
(17)前記筐体は円筒形状を有し、前記ウインドウ部は、前記筐体の長軸方向と略平行な側壁に設けられ、当該筐体の側壁の形状に則した円筒形の曲面を有する、前記(1)〜(16)のいずれか1項に記載のレーザ走査型観察装置。
(18)前記筐体は円筒形状を有し、前記ウインドウ部は、前記筐体の長軸方向の先端部に、前記筐体の長軸方向と略垂直な面を有して設けられる、前記(1)〜(16)のいずれか1項に記載のレーザ走査型観察装置。
(19)前記対物レンズは、前記光路変更素子と前記ウインドウ部との間に設けられ、
前記対物レンズと前記ウインドウ部との間の空間は、前記ウインドウ部の屈折率と略同一の屈折率を有する液体によって液浸される、前記(1)〜(18)のいずれか1項に記載のレーザ走査型観察装置。
(20)前記筐体は内視鏡の鏡筒であり、前記鏡筒の一部領域に設けられる前記ウインドウ部が観察対象であるヒト又は動物の体腔内の生体組織に接触又は近接し、前記生体組織に対して前記レーザ光が走査される、前記(1)〜(19)のいずれか1項に記載のレーザ走査型観察装置。
(21)前記ウインドウ部が観察対象であるヒト又は動物の体表面に接触又は近接し、前記体表面から所定の深さにおける生体組織に対して前記レーザ光が走査される、前記(1)〜(19)のいずれか1項に記載のレーザ走査型観察装置。
(22)前記レーザ走査型観察装置は、前記観察対象が載置されるステージ、を更に備え、前記ステージの少なくとも一部領域に設けられる前記ウインドウ部を通して前記観察対象に対して前記レーザ光が走査される、前記(1)〜(19)のいずれか1項に記載のレーザ走査型観察装置。
(23)筐体の内部に設けられる光路変更素子にレーザ光を入射することと、前記光路変更素子によって前記筐体内を導光されてきた前記レーザ光の進行方向を変更し、前記筐体の一部領域に設けられ観察対象に接触又は近接するウインドウ部を介して、対物レンズによって集光され、非点収差補正素子によって非点収差が補正された前記レーザ光を前記観察対象に照射することと、前記レーザ光が前記生体組織を走査するように、前記レーザ光の前記観察対象への入射方向である観察方向に対して垂直な回転軸で、少なくとも前記光路変更素子を回転させることと、を含み、前記非点収差補正素子は、前記観察対象における前記レーザ光の集光位置の深さである観察深さの変化に伴う非点収差の変動に対応した補正量で当該非点収差を補正する、レーザ走査方法。
1、2、3 レーザ走査型内視鏡装置
4、5 レーザ走査型プローブ
6 レーザ走査型顕微鏡装置
110、810 レーザ光源110
120、820 ビームスプリッタ
130、150 光ファイバ用導光レンズ
140、241、242、243、340、641、710、740、760 光ファイバ
160、360、400、450、470 内視鏡
161 鏡筒
162、662、732、782、862 ウインドウ部
163、363、370、380、390、420、460、480、663、733、783、863 走査部
164、364、421、422、664、734、784、864 光路変更素子
165、365、366、422、665、735、785、865 対物レンズ
166、367、368、423、461 収差補正素子
167、667、737、787、867 回転機構
168、668、738、788、868 平行移動機構
169、369、424、469、669、739、789、869 ハウジング
170、870 光検出器
180、280 制御部
181 画像信号取得部
182 画像信号処理部
183 駆動制御部
184 表示制御部
190 出力部
195 入力部
240 光ファイババンドル
281 画像信号取得部(光復調部)
372 偏光ビームスプリッタ
381 MEMSミラー
391 光路分岐素子
463 第1の光路変更素子
464 第2の光路変更素子
465 第1の対物レンズ
466 第2の対物レンズ
620 シリンドリカル凹凸レンズペア
621 凹シリンドリカルレンズ
622 凸シリンドリカルレンズ
630 シリンドリカルメニスカスレンズ
640 シリンドリカル平凸レンズ
650、720、770、850 コリメータレンズ
661、731、781 筐体
666、736、786、866 非点収差補正素子
670、740、790、840 色収差補正素子

Claims (23)

  1. 筐体の一部領域に設けられ、観察対象に接触又は近接するウインドウ部と、
    前記ウインドウ部を通して前記観察対象にレーザ光を集光する対物レンズと、
    前記筐体内を導光されてきた前記レーザ光の進行方向を前記ウインドウ部に向けて変更する光路変更素子と、
    前記ウインドウ部よりも前段に設けられ、前記レーザ光が前記観察対象に集光される際に生じる非点収差を補正する非点収差補正素子と、
    前記レーザ光が前記観察対象を走査するように、前記レーザ光の前記ウインドウ部への入射方向に対して垂直な回転軸で、少なくとも前記光路変更素子を回転させる回転機構と、
    を備え、
    前記非点収差補正素子は、前記観察対象における前記レーザ光の集光位置の深さである観察深さの変化に伴う非点収差の変動に対応した補正量で当該非点収差を補正する、レーザ走査型観察装置。
  2. 前記非点収差補正素子は、前記レーザ光が少なくとも2面のシリンドリカル面又はトロイダル面を通過するように構成されたレンズを含み、前記回転機構によって前記光路変更素子とともに回転される、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  3. 前記非点収差補正素子は、両面にシリンドリカル面が形成されたメニスカスレンズである、
    請求項2に記載のレーザ走査型観察装置。
  4. 前記非点収差補正素子は、前記観察深さの変化に応じて非点収差の補正量を動的に変更させる駆動素子を含む光学部材である、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  5. 少なくとも前記光路変更素子を、前記回転軸方向に平行移動させることにより、前記観察対象に対して前記回転軸方向に前記レーザ光を走査する平行移動機構、を更に備える、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  6. 前記観察深さを変更することにより、前記観察対象に対して深さ方向に前記レーザ光を走査する観察深さ調整機構、を更に備える、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  7. 前記観察深さ調整機構は、前記レーザ光を略平行光にして前記光路変更素子及び前記非点収差補正素子に導光するコリメータレンズと、当該コリメータレンズを光軸方向に移動させる移動機構と、を含む、
    請求項6に記載のレーザ走査型観察装置。
  8. 前記レーザ走査型観察装置は、前記レーザ光が前記観察対象に照射されることによって生じる蛍光を戻り光として検出することにより、前記観察対象についての情報を取得し、
    前記レーザ光と前記蛍光との波長の違いによって生じる色収差を補正する色収差補正素子、を更に備える、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  9. 前記色収差補正素子は、前記レーザ光に対応する波長帯域の光に対しては平行平板として機能するとともに、前記蛍光に対応する波長帯域の光に対しては凹レンズとして機能する接合レンズである、
    請求項8に記載のレーザ走査型観察装置。
  10. 前記光路変更素子には、前記レーザ光の光束が入射され、
    前記対物レンズは、前記観察対象の互いに異なる複数のスポットに、前記レーザ光の光束を集光する、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  11. 前記レーザ光の光束は、互いに異なる複数の状態に変調された前記レーザ光によって構成される、
    請求項10に記載のレーザ走査型観察装置。
  12. 前記レーザ光の光束は、複数の光ファイバによって前記筐体内に導光される、
    請求項10に記載のレーザ走査型観察装置。
  13. 前記レーザ光の光束は、複数のコアを有するマルチコア光ファイバによって前記筐体内に導光される、
    請求項10に記載のレーザ走査型観察装置。
  14. 前記光路変更素子の前段に設けられ、前記光路変更素子に入射する前記レーザ光の偏光方向を変更する偏光変調素子、
    を更に備え、
    前記光路変更素子は所定の偏光方向を有する前記レーザ光の光路を変更する偏光ビームスプリッタであり、
    前記偏光ビームスプリッタは、前記偏光変調素子によって偏光方向が変更された前記レーザ光の進行方向を、当該レーザ光の偏光方向に応じて、前記ウインドウ部に向けて変更する、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  15. 前記光路変更素子の前段に設けられ、前記光路変更素子に入射する前記レーザ光を複数の光路に分岐させる光路分岐素子、
    を更に備え、
    前記複数の光路の各々に対して、前記非点収差補正素子、前記光路変更素子及び前記対物レンズがそれぞれ設けられ、
    前記光路分岐素子によって分岐された前記レーザ光のそれぞれの進行方向が、前記光路変更素子によって、前記回転軸方向と垂直な複数の方向に変更される、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  16. 少なくとも複数の前記光路変更素子を格納し、複数の前記光路変更素子とともに回転するハウジングが設けられ、
    当該ハウジングの前記レーザ光が入射する壁面には、前記レーザ光を複数の前記光路変更素子の各々に入射させる入射ウインドウ部が形成され、
    複数の前記入射ウインドウ部のそれぞれに対して前記非点収差補正素子及び前記対物レンズが設けられ、
    前記レーザ光は、前記レーザ光の光軸が前記筐体に対して所定の位置に保たれた状態で前記筐体内を導光され、前記ハウジングの回転に伴って複数の前記入射ウインドウ部に順に照射され、
    前記レーザ光の照射位置に対応する前記入射ウインドウ部から入射したレーザ光が、前記光路変更素子によって前記ウインドウ部に向かって導光される、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  17. 前記筐体は円筒形状を有し、
    前記ウインドウ部は、前記筐体の長軸方向と略平行な側壁に設けられ、当該筐体の側壁の形状に則した円筒形の曲面を有する、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  18. 前記筐体は円筒形状を有し、
    前記ウインドウ部は、前記筐体の長軸方向の先端部に、前記筐体の長軸方向と略垂直な面を有して設けられる、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  19. 前記対物レンズは、前記光路変更素子と前記ウインドウ部との間に設けられ、
    前記対物レンズと前記ウインドウ部との間の空間は、前記ウインドウ部の屈折率と略同一の屈折率を有する液体によって液浸される、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  20. 前記筐体は内視鏡の鏡筒であり、
    前記鏡筒の一部領域に設けられる前記ウインドウ部が観察対象であるヒト又は動物の体腔内の生体組織に接触又は近接し、前記生体組織に対して前記レーザ光が走査される、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  21. 前記ウインドウ部が観察対象であるヒト又は動物の体表面に接触又は近接し、前記体表面から所定の深さにおける生体組織に対して前記レーザ光が走査される、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  22. 前記レーザ走査型観察装置は、前記観察対象が載置されるステージ、を更に備え、
    前記ステージの少なくとも一部領域に設けられる前記ウインドウ部を通して前記観察対象に対して前記レーザ光が走査される、
    請求項1に記載のレーザ走査型観察装置。
  23. 筐体の内部に設けられる光路変更素子にレーザ光を入射することと、
    前記光路変更素子によって前記筐体内を導光されてきた前記レーザ光の進行方向を変更し、前記筐体の一部領域に設けられ観察対象に接触又は近接するウインドウ部を介して、対物レンズによって集光され、非点収差補正素子によって非点収差が補正された前記レーザ光を前記観察対象に照射することと、
    前記レーザ光が前記観察対象を走査するように、前記レーザ光の前記観察対象への入射方向である観察方向に対して垂直な回転軸で、少なくとも前記光路変更素子を回転させることと、
    を含み、
    前記非点収差補正素子は、前記観察対象における前記レーザ光の集光位置の深さである観察深さの変化に伴う非点収差の変動に対応した補正量で当該非点収差を補正する、レーザ走査方法。
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