JPWO2013080531A1 - 無線電力伝送装置 - Google Patents

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Abstract

本発明の無線電力伝送装置は、共振磁界結合によって非接触で電力を伝送することができる一対のアンテナであって、一方は共振周波数がfsの直列共振回路であり、他方は共振周波数がfpの並列共振回路である一対のアンテナを備える。また、この無線電力伝送装置は、高周波電力を送る側のアンテナに接続された発振器と、アンテナ間を伝送される電力の大きさに応じて伝送周波数を制御する制御部とを備える。fs/fpは、1未満の値に設定されている。

Description

本発明は、共振磁界結合を利用して電力を無線で伝送する共振磁界結合型の非接触電力技術に関する。
特許文献1は、2つの共振器の間で空間を介してエネルギーを伝送する新しい無線エネルギー伝送装置を開示している。この無線エネルギー伝送装置では、共振器の周辺の空間に生じる共振周波数の振動エネルギーのしみ出し(エバネッセント・テール)を介して2つの共振器を結合することにより、振動エネルギーを無線(非接触)で伝送する。
一方で、古くから電磁誘導技術が存在する。これらの電力伝送技術が適用される電子機器の中には、一定電圧の電力の入力を受けて、何らかの電力変換や分圧、エネルギー伝送などのブロックを経た後に、機器へ供給する電圧を一定電圧とするよう要求するものが多い。例えばテレビなどのAV機器について説明すると、入力はほぼ一定電圧のAC電力を供給するコンセントから受け、最終的に電力を消費する機器内個別回路は所定の電圧を保って動作する。画面の輝度が変化した場合も電流量を変化させることで対応する。このように一定電圧の電力供給を電源から受け、一定電圧の電力を負荷に出力する動作のことを以後「定電圧動作」と記述することとする。
米国特許出願公開第2008/0278264号明細書(図12、図14)
特許文献1に記載の無線エネルギー伝送回路では、大電力伝送時から小電力伝送時まで定電圧動作を行う際に高効率伝送特性を維持することが困難である。
本発明の実施形態は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、大電力伝送時だけでなく小電力伝送時も高い効率を維持することが可能な無線電力伝送装置を提供することができる。
本発明の無線電力伝送装置共振磁界結合によって非接触で電力を伝送することができる一対のアンテナであって、一方は共振周波数がfsの直列共振回路であり、他方は共振周波数がfpの並列共振回路である一対のアンテナと、前記一対のアンテナのうち、高周波電力を送る側のアンテナに接続された発振器と、前記一対のアンテナ間を伝送される電力の大きさに応じて伝送周波数を制御する制御部とを備え、fs/fpは、1未満の値に設定されている。
本発明の無線電力伝送装置によれば、共振磁界結合を利用してアンテナ間の伝送を行う際に、例えば広い伝送電力範囲において、電力伝送装置の高効率化を実現しうる。
本発明の無線電力伝送装置の実施形態の基本構成の一例を示す図である。 本発明の無線電力伝送装置の実施形態における共振回路の結合を模式的に示す図である。 本発明の無線電力伝送装置の実施形態におけるアンテナ対の等価回路の例を示す図である。 本発明の無線電力伝送装置の実施形態におけるアンテナ対の等価回路の他の例を示す図である。 fs/fp=1.0の場合において、伝送電力(規格化伝送電力)と伝送効率との関係を示すグラフである。 fs/fpを結合係数kによって定まる最適値(kの関数)に設定した無線電力伝送装置について、伝送効率(規格化伝送電力)と伝送電力との関係の一例を示すグラフである。 最適なfs/fpと結合係数kとの関係を示すグラフである。 「Dip率」を説明するためのグラフである。 負荷111と伝送周波数制御部100とが接続された実施形態を示すブロック図である。 発電部103と伝送周波数制御部100とが接続された実施形態を示すブロック図である。 本発明の実施形態における伝送電力の大きさと伝送電力の周波数との関係の一例を示すグラフである。 本発明の実施形態における伝送電力の大きさと伝送電力の周波数との関係の他の一例を示すグラフである。 本発明の実施形態における伝送電力の大きさと伝送電力の周波数との関係の更に他の例を示すグラフである。 本発明の実施形態における伝送電力の大きさと伝送電力の周波数との関係の更に他の例を示すグラフである。 送電アンテナおよび受電アンテナの構成例を示す斜視図である。 Dip率が2%以下になるfs/fpの範囲の上限(high)・下限(low)を規定する曲線と最適値(best)を規定する曲線を記載するグラフである。 Dip率が1%以下になるfs/fpの範囲の上限(high)・下限(low)を規定する曲線と最適値(best)を規定する曲線を記載するグラフである。 Dip率が0.5%以下になるfs/fpの範囲の上限(high)・下限(low)を規定する曲線と最適値(best)を規定する曲線を記載するグラフである。 結合係数kに依存する基準値を定める関数の一例を示すグラフである。 結合係数kに依存する基準値を定める関数の他の例を示すグラフである。 結合係数kに依存する基準値を定める関数の更に他の例を示すグラフである。 fs/fpを可変にする実施形態の動作例を示すグラフである。 k=0.1の場合における伝送効率と伝送電力との関係を示すグラフである。 図18Aの伝送効率を得るときの伝送周波数と伝送電力との関係を示すグラフである。 k=0.2の場合における伝送効率と伝送電力との関係を示すグラフである。 図18Aの伝送効率を得るときの伝送周波数と伝送電力との関係を示すグラフである。 k=0.3の場合における伝送効率と伝送電力との関係を示すグラフである。 図18Aの伝送効率を得るときの伝送周波数と伝送電力との関係を示すグラフである。 k=0.4の場合における伝送効率と伝送電力との関係を示すグラフである。 図18Aの伝送効率を得るときの伝送周波数と伝送電力との関係を示すグラフである。 Dip率とfs/fpとの関係を示すグラフである。 本発明の実施例について、k=0.3、fs/fp=0.922の場合において、伝送周波数の制御を行うときの伝送効率(with f-ctrl)と、伝送周波数の制御を行わないときの伝送効率(w/o f-ctrl)とを示すグラフである。 比較例1の伝送効率の伝送電力依存性を示すグラフである。 比較例1の伝送周波数と伝送電力との関係を示すグラフである。 比較例2における伝送効率の伝送電力依存性を示すグラフである。 比較例2における伝送周波数の伝送電力依存性を示すグラフである。 比較例3および実施例1における伝送効率の伝送電力依存性を示すグラフである。 比較例3および実施例1における伝送周波数の伝送電力依存性を示すグラフである。 比較例4、5における伝送周波数の伝送電力依存性を示すグラフである。 比較例5における伝送周波数の伝送電力依存性を示すグラフである。
本発明の無線電力伝送装置の実施形態は、図1に示されるように、共振磁界結合によって非接触で高周波(RF)電力を伝送することができる一対のアンテナ(送電アンテナ107および受電アンテナ109)と、高周波電力を送る側の送電アンテナ107に接続された発振器103とを備えている。送電アンテナ107および受電アンテナ109の一方は共振周波数がfsの直列共振回路であり、他方は共振周波数がfpの並列共振回路である。受電アンテナ109は、送電アンテナ107に接触しておらず、送電アンテナ107から例えば数ミリメートル〜数十センチメートル程度は離間している。
この無線電力伝送装置は、さらに、アンテナ107、109間を伝送される高周波電力の周波数(伝送周波数)を制御する制御部(伝送周波数制御部)100を備えている。伝送周波数制御部100は、アンテナ107、109間を伝送される高周波電力の大きさ(伝送電力)に応じて伝送周波数を調整するように構成されている。伝送周波数は、例えば50Hz〜300GHzの範囲内で調整され得る。伝送周波数は、20kHz〜10GHzの範囲内に設定されてもよく、20kHz〜20MHzの範囲内に設定されてもよく、20kHz〜1MHzの範囲内に設定されてもよい。ある実施形態では、伝送周波数が6.78MHzに設定される。
発振器103は、図示しない電源から供給される直流または交流のエネルギー(電力)を受け取り、供給されたエネルギーを伝送周波数のRFエネルギーに周波数変換する(DC/RF変換もしくはAC/RF変換)。発振器103は、伝送周波数制御部100に接続されており、伝送周波数制御部100の働きにより、伝送周波数を変化させる。以下、発振器103から出力されたRFエネルギーは送電アンテナ107に入力される。電力伝送時、送電アンテナ107と受電アンテナ109は、互いの共振器が周辺空間に形成する共振磁界を介して磁気的に結合される。受電アンテナ109の出力部は負荷に接続されるが、受電アンテナ109の後段に周波数変換回路が接続されてもよい。
本発明の無線電力伝送装置の実施形態における「アンテナ」は、放射電磁界の送受信を行うための通常のアンテナではなく、共振器の電磁界の近傍成分(エバネッセント・テール)の結合を利用して2つの物体間でエネルギー伝送を行うための要素である。共振磁界を利用した無線電力伝送によれば、電磁波を遠方に伝搬させるときに生じるエネルギー損失(放射損失)が生じないため、極めて高い効率で電力を伝送することが可能になる。このような共振電磁界(近接場)の結合を利用したエネルギー伝送では、ファラデーの電磁誘導の法則を利用した公知の無線電力伝送に比べて損失が少ないだけではなく、例えば数メートルも離れた2つの共振器(アンテナ)間で高効率にエネルギーを伝送することが可能になる。
このような原理に基づく無線電力伝送を行うには、2つの共振アンテナ間で結合を生じさせる必要がある。fsおよび/またはfpは、伝送周波数と一致する必要は無い。共振器間の結合に基づき高効率なエネルギー伝送を実現するために、本発明の実施形態では、fsをfpよりも小さな値に設定し、かつ、伝送周波数を伝送電力に応じて変化させる。
図2は、共振周波数がfsの直列共振回路200と共振周波数がfpの並列共振回路300との間で、結合係数kの共振磁界結合が生じている様子を模式的に示している。
一般的に、固有の共振周波数を有する二つの共振器が電気的に結合した場合、共振周波数が変化することが知られている。仮に2つの共振器の共振周波数が同一であったとしても、上記結合により共振器対としての共振周波数は2つの周波数に分離する。結合共振器対が示す2つの共振周波数の内、周波数が高いものを偶モードの共振周波数(fH)、周波数が低いものを奇モードの共振周波数(fL)と呼ぶ。このとき、共振器間の結合係数kは、以下の式1で表される。
k=(fH2−fL2)÷(fH2+fL2) ・・・(式1)
結合が強いほど、kは大きな値となり、2つの共振周波数の分離量が増大する。本発明の実施形態では、kの値を比較的低い値、すなわち、0<k≦0.5の範囲内に、好ましくは0.1≦k≦0.5の範囲内に設定する。kの値は0.5を超えてもよいが、kの値を0.5以下に設定することにより、送受アンテナ間の距離の増大や、送受アンテナ間のサイズ非対称性など、共振磁界結合方式ならではの効果を顕著に得ることが可能になる。
図3Aは、送電アンテナ107が直列共振回路であり、受電アンテナ109が並列共振回路である構成例の等価回路図である。図3Aの構成例における送電アンテナ107は、第1インダクタ107aおよび第1容量素子107bが直列に接続された直列共振回路であり、受電アンテナ109は第2インダクタ109aおよび第2容量素子109bが並列に接続された並列共振回路である。送電アンテナ107の直列共振回路は寄生抵抗成分R1を有し、受電アンテナ109の並列共振回路は寄生抵抗成分R2を有している。本発明の無線電力伝送装置の実施形態では、送電アンテナ107および受電アンテナ109が、直列共振回路および並列共振回路、という非対称な組み合わせで構成されている。本発明は、図3Bに示すように、送電アンテナ107が並列共振回路であり、受電アンテナ109が直列共振回路であってもよい。kの値を0.5以下に設定し、送電アンテナを直列共振回路、受電アンテナを並列共振回路に構成することにより、電力伝送後の受電電圧を上昇させるという効果を顕著に得ることも可能となる。また、kの値を0.5以下に設定し、送電アンテナを並列共振回路、受電アンテナを直列共振回路に構成することにより、電力伝送後の受電電圧を降下させるという効果を顕著に得ることも可能となる。
本明細書では、並列共振回路の共振周波数fpに対する直列共振回路の共振周波数fsの比率fs/fpを「共振周波数比」と称することにする。本発明者は、共振周波数比fs/fpを1.0に等しく設定した場合、伝送電力に依存して伝送効率が低下する問題が存在することを見出した。図4Aは、この問題を示すグラフである。このグラフは、fs/fp=1.0の場合において、伝送電力と伝送効率との関係を示している。図のグラフの横軸は、ある伝送電力の値によって規格化された伝送電力(規格化伝送電力:単位は%)である。規格化に用いる値は、任意であるが、例えば伝送される電力の最大値が使用され得る。本明細書では、この「規格化伝送電力」を簡単に「伝送電力」と称する場合がある。図4Aの例では、規格化された伝送電力が約50%のとき、伝送効率の顕著な低下が観察される。このような伝送効率の落ち込みをDipと称する。本発明者は、fs/fpを、結合係数kに応じて選択された特定範囲内の値に設定することにより、伝送電力の変化に起因する伝送効率の低下を低減できることを見出した。また、伝送電力に応じて伝送周波数を変化させるときの伝送電力と伝送周波数との関係は、結合係数kに依存して変化する基準値とfs/fpの値との大小関係によって変化させることが好ましいことを見出し、本発明を完成した。
図4Bは、fs/fpを、結合係数kによって定まる最適値(kの関数)に設定した無線電力伝送装置について、伝送効率と伝送電力との関係の一例を示すグラフである。図4Bの例では、伝送電力によらず伝送周波数を一定に固定している。図4Aの曲線(破線)と図4Bの曲線(実線)との比較から明らかなように、fs/fpを結合係数kに応じて選択された最適値に設定することにより、伝送電力の変化に起因する伝送効率低下を抑制することが可能になる。しかし、本発明者は、fs/fpが、結合係数kに応じて選択された最適値(kの関数)から外れている場合に、伝送電力に応じて伝送周波数を調整することを見出した。
以下、fs/fpと結合係数kとの関係を説明する。
まず、図5を参照する。図5は、横軸が結合係数k、縦軸が共振周波数比fs/fpのグラフである。実線の曲線は、以下の式2で表される二次式である。
fs/fp=F(k)
=−0.6074×k2+0.0466×k+0.9955 ・・・(式2)
上記の式2は、結合係数kが与えられたときの最適(best)なfs/fpを与える。ここで、「最適」の意味は、fs/fpを変化させたとき、図4Aに示されるような伝送効率の局所的低下が最も小さくなることである。「最適」は、伝送効率の局所的低下が全く生じないことを意味するわけではない。
ここで、伝送効率低下の程度を評価するため、「Dip率」という値を導入する。図6は、「Dip率」を説明するためのグラフであり、図4Aの曲線(破線)および図4Bの曲線(実線)の両方を記載している。伝送効率が局所的に低下するDip部分を有する曲線について、伝送効率が局所的に最小になる伝送電力をPD、伝送電力PDにおける伝送効率をPLとする。また、fs/fpが最適化された場合の曲線について、伝送電力PDにおける伝送効率をPUとする。このとき、Dip率は、PU−PLによって表現される。Dip率は0%であることが最も好ましい(best)が、0%である必要はない。
本発明の実施形態によれば、与えられたkによって決まる基準値(kの関数)とfs/fpとの大小関係に応じて、伝送周波数と伝送電力との関係を変化させる。この基準値の好適な一例は、式2の二次式で表される関数F(k)によって定められる。fs/fpがF(k)から外れている場合、伝送電力に応じて伝送周波数を適切に調整することにより、Dip率を小さくすることができる。ここで、与えられたkの大きさは、「設計によって予め設定されたkの大きさ」、「アンテナを設置した後、直接に測定されたkの大きさ」、および「アンテナを設置した後、kに依存して変化する物理的パラメータを測定または観測することによって推定されたkの大きさ」を含むものとする。
図1に示される例では、発振器103に接続された伝送周波数制御部100が、アンテナ間の伝送電力の大きさに応じて伝送周波数を制御する。伝送周波数の変化を説明する際の分かりやすさのため、基準となる周波数f0を導入する。ここで、周波数f0は、fs/fpが最適化された場合において、伝送電力が最大値における伝送電力の周波数である。
本実施形態では、図5に示す曲線、すなわち式2で定義される関数F(k)が、結合係数kに依存する基準値であるものとする。したがって、本実施形態における伝送周波数制御部100は、fs/fpの値が図5の曲線よりも上側に位置するか、下側に位置するかによって伝送周波数の伝送電力依存性を変更することができる。なお、fs/fpの値が図5の曲線上に位置する場合は、伝送周波数を伝送電力に依らず一定に保持してもよい。
fs/fpが関数F(k)を超える場合、本実施形態の伝送周波数制御部100は、アンテナ107、109間を伝送される電力が基準値P1よりも高いとき、伝送周波数を周波数f0よりも高い第1周波数範囲内の値に設定する。そして伝送電力が基準値P1よりも低いときは、伝送周波数を第1周波数範囲よりも低い第2(電力条件(範囲)における)周波数範囲内の値に設定する。この基準値P1は、最大伝送電力Pmaxよりも低く設定された値であり、好ましくは、最大伝送電力Pmaxの40%以上80%以下の範囲に設定され得る。伝送電力を最大伝送電力Pmaxよりも十分に低くするときは、送受アンテナ間の共振磁界の結合モードを切り替えることにより、伝送効率を高く維持することが可能になる。
一方、fs/fpの値が関数F(k)よりも小さい場合、本実施形態における伝送周波数制御部100は、伝送電力が基準値P1よりも低いとき、伝送周波数を、周波数fpよりも高い第1周波数範囲内の値に設定する。そして、伝送電力が基準値P1よりも高いときは、伝送周波数を、第1周波数範囲よりも低い第2周波数範囲内の値に設定する。
伝送周波数制御部100は、例えば、発振器103の発振周波数を制御するための信号(例えば周波数可変のパルス列)を生成し、発振器103に入力する。本実施形態では、図7Aに示すように、受電アンテナ109の出力は負荷111に接続されている。この負荷111の状況(例えば消費される電力)に応じて、送電アンテナ107から受電アンテナ109に伝送すべき電力の大きさが変化し得る。図7Aの例では、負荷111が必要とする伝送電力の大きさを示す情報または信号が、負荷111から制御部100に与えられる。これに応答して、制御部100は発振器103の発振周波数を増減させることができる。この結果、伝送電力の周波数が制御されることになる。
また、本発明の別の実施形態では、図7Bに示すように、発振器103が発電部102に接続され、周波数制御部100は発電部102の状況に応じて発振器103の発信周波数を変化させることができる。発電部102は、例えば太陽電池などの発電素子を含んでいる。発電部102から発振器103に供給される電力は、発電部102の状況に応じて変化し得る。例えば、太陽電池が受ける太陽光の量に応じて発生する電力が変化し得る。このため、送電アンテナ107から受電アンテナ109に伝送すべき電力の大きさも変化し得る。図7Bの例では、発電部102で発電される電力、すなわち伝送電力の大きさを示す情報または信号が、発電部102から制御部100に与えられる。これに応答して、伝送周波数制御部100は発振器103の発振周波数を増減させることができる。この結果、伝送周波数が制御されることになる。
後述するように、伝送効率を低下させないように伝送周波数を伝送電力に応じて変化させるときの伝送周波数の伝送電力依存性は、fs/fpの値と結合係数kとによって異なる。伝送電力の大きさと伝送周波数との関係は、予め実験などに基づいて決定され、無線電力伝送装置または負荷に設けられたメモリに記録されていてもよい。また、伝送電力の大きさと伝送周波数との関係は、実際の電力伝送中に、伝送効率に基づいて決定されてもよい。一般に、fs/fpの値は、送電アンテナ107および受電アンテナ109を製造するときに所定の大きさ(設計値)に設定されるが、fs/fpの実際の値は、設計値からずれている可能性がある。したがって、無線電力伝送装置の設置後におけるfs/fpの正確な値は不明になることがあり得る。そのような場合は、無線電力伝送装置の設置後に、実際に無線で電力を伝送し、Dip率が充分に小さくなるような伝送電力と伝送周波数との関係を決定すればよい。
図8Aは、fs/fpの値が結合係数kに依存する基準値以上の場合における、伝送する電力の強度と周波数との関係の一例を示すグラフである。図8Aは、fs/fpの値が結合係数kに依存する基準値を超える場合において、Dip率を小さくすることが可能な関係の一例を模式的に示している。図示される例では、第1周波数範囲での周波数は周波数f0よりも高く設定される この例では、第1周波数範囲は、周波数f0から偶モード共振周波数fHまでの範囲であり、第2周波数範囲は、奇モード共振周波数fLから周波数f0までの範囲である。偶モードおよび奇モードの共振周波数fH、fLは、前述した通りである。
制御部100は、伝送電力が基準値P1よりも高い値から前記基準値P1よりも低い値に変化したとき、または、前記電力が前記基準値P1よりも低い値から前記基準値P1よりも高い値に変化したとき、伝送周波数を、前期第1周波数範囲内の値と前記第2周波数範囲内の値との間でホッピングさせる。制御部100は、上記伝送周波数のホッピング制御によって一対のアンテナ間を結合する共振磁界のモードを偶モードと奇モードとの間で切り替える。
伝送電力と伝送周波数との関係は、図8Aの例に限定されない。図8Bは、より複雑な関係の一例を示している。この例によれば、制御部100は、伝送電力が基準値P1と、基準値P1よりも低い第2の基準値P2との間にあるとき、伝送周波数を、周波数f0よりも低い周波数f2以下の値に設定する。そして、制御部100は、伝送電力が第2の基準値P2よりも低いときは、伝送周波数を周波数f2よりも高い値に設定する。伝送電力が充分に低いとき、例えば最大の伝送電力Pmaxの10%以下のとき、伝送周波数は周波数f0にほぼ等しく設定され得る。
伝送電力の大きさと伝送周波数との関係、および基準値P1、P2などの値は、与えられた伝送電力の大きさのもとで伝送効率を最適化する伝送周波数を決定することによって得られる。伝送電力の大きさと伝送周波数との関係の具体例については、後に詳しく説明する。なお、一対のアンテナの結合係数kは、電力伝送中に一定に維持され得る。
図8Aまたは図8Bに示される例は、特に、fs/fpが1に近い場合に採用され得る。前述したように、fs/fpが式2の曲線上にある場合は、伝送周波数を伝送電力に応じて変化させる必要はない。このため、fs/fpが式2の曲線に近い値を有している場合は、図8Aまたは図8Bに示されるように伝送周波数を変化させる必要はない。
次に、伝送電力の大きさと伝送電力の周波数との関係の他の一例を説明する。図9Aは、fs/fpの値が結合係数kに依存する基準値未満の場合における、伝送する電力の強度と周波数との関係の一例を示すグラフである。fs/fpの値と結合係数kに依存する基準値との大小関係に応じて、制御部100による伝送周波数のホッピングの形態が異なる。図9Aの例では、制御部100は、伝送電力が基準値P1よりも高い値から前記基準値P1よりも低い値に変化したとき、伝送周波数を第2周波数範囲内の値から第1周波数範囲内の値に上昇させる。一方、伝送電力が前記基準値P1よりも低い値から前記基準値P1よりも高い値に変化したとき、制御部100は、伝送周波数を第1周波数範囲内の値から第2周波数範囲内の値に低下させる。fs/fpの値が結合係数kに依存する基準値未満の場合における伝送電力の大きさと伝送周波数との関係は、図9Aの例に限定されない。図9Bは、より複雑な関係の一例を示している。
伝送電力の大きさと伝送周波数との関係、および基準値P1、P2などの値は、与えられた伝送電力の大きさのもとで伝送効率を最適化する伝送周波数を決定することによって得られる。伝送電力の大きさと伝送周波数との関係の具体例については、後に詳しく説明する。なお、一対のアンテナの結合係数kは、電力伝送中に一定に維持され得る。
無線電力伝送装置においては、伝送電力Pが最大(Pmax)となる動作条件において、高い伝送効率がされるべきであることはいうまでもないが、伝送電力を低減した伝送条件においてもやはり効率は高く維持されるべきである。更に、伝送電力がP=Pmaxの場合も、P≠Pmaxの場合でも、定電圧動作を行うことができる。そこで、P=Pmaxの条件での入出力インピーダンスZin(P=Pmax)、Zout(P=Pmax)と任意の伝送電力P伝送時の入出力インピーダンスZin、Zoutの間には、以下の関係が成立する。
Zin=Zin(P=Pmax)×(Pmax÷P) ・・・(式3)
Zout=Zout(P=Pmax)×(Pmax÷P) ・・・(式4)
すなわち、定電圧動作中、入出力インピーダンスは伝送電力に反比例して変化する。この条件下において、広い伝送電力範囲で伝送効率を高く維持することができる。本発明の無線電力伝送装置の実施形態における伝送周波数ftrは、電力の伝送量に応じて周波数fLより大きくfHより小さい範囲内で可変制御される。
なお、この現象は、直列共振回路と並列共振回路という非対称な共振回路構造の組み合わせで送受アンテナを構成した場合に限定される。すなわち、送受アンテナが共に直列共振回路対や並列共振回路対で構成された場合は、本願発明の実施形態の効果は発現しない。また、送受アンテナが共に、外部回路から電磁誘導原理を利用してエネルギー給電を受ける回路構成(電磁誘導給電型と以下記述)の場合も、本願発明の実施形態の効果は発現しない。更には直列共振回路と電磁誘導給電型、並列共振回路と電磁誘導給電型、のハイブリッドな組み合わせの共振器対においても、本願発明の実施形態の効果は発現しない。
P1の値は、例えばPmaxの40%から80%程度の電力値に設定され得る。ただし、P1の値は、この範囲内に限定されず、状況に応じて上記の範囲から外れてもよい。
伝送周波数の可変制御は、発振器103の発振周波数を制御することにより、容易に実現できる。
電力伝送中、送電アンテナと受電アンテナ間の結合係数kがほぼ一定に維持されることが望ましい。電力伝送中に結合係数kが大きく変動すると、定電圧動作を高い効率で実現することが困難になるからである。
発振器103には、D級、E級、F級などの、高効率且つ低歪な特性を実現できる増幅器を用いることができるし、ドハーティ増幅器を用いてもよい。インバータ回路など歪成分を含む出力信号を発生するスイッチング素子の後段に、低域通過フィルタまたは帯域通過フィルタを配置することにより、正弦波を高効率に生成してもよい。この際、無線伝送部が帯域通過フィルタの機能を兼用してもよい。AC入力から高周波出力を行う周波数変換回路であってもかまわない。いずれにしろ発振器に入力された電力はRFエネルギーに変換される。このRFエネルギーは、無線伝送部により、空間を介して非接触に伝送され、出力端子から出力される。
回路ブロック間でのRFエネルギーの多重反射を抑圧し、総合伝送効率を改善するためには、受電アンテナ109の出力端子が負荷に接続された状態において、発振器103から出力されるRFエネルギーの出力インピ−ダンスZocと送電アンテナ107の入力インピーダンスZinとを等しくすることができる。また、同様に、発振器103が送電アンテナ107に接続された状態で、受電アンテナの出力インピーダンスZoutが、接続される負荷の抵抗値Rと等しくすることができる。
なお、本明細書において、2つのインピーダンスが「等しい」とは、インピーダンスが厳密に一致する場合に限られず、2つのインピーダンスの差異が、大きい方のインピーダンスの25%以下である場合を含むものと定義する。
本実施形態における無線電力伝送の効率は、送電アンテナ107と受電アンテナ109との間隔(アンテナ間隔)や、送電アンテナ107と受電アンテナ109を構成する回路素子の損失の大きさに依存する。なお、「アンテナ間隔」とは、実質的に2つのインダクタ107a、109aの間隔である。アンテナ間隔は、アンテナの配置エリアの大きさを基準に評価することができる。
実施形態において、第1インダクタ107aおよび第2インダクタ109aは、図10に斜視模式図を示したように、いずれも平面状に広がって形成される。インダクタの外形形状は任意に選択しうる。すなわち、正方形や円形だけでなく長方形、楕円形状なども選択しうる。ここで、アンテナの配置エリアの大きさとは、サイズが相対的に小さなアンテナの配置エリアの大きさを意味し、アンテナを構成するインダクタの外形が円形の場合はインダクタの直径、正方形の場合はインダクタの一辺の長さ、長方形の場合はインダクタの短辺の長さとする。
本実施形態における第1インダクタ107aおよび第2インダクタ109aは、それぞれ、巻数N1、N2のスパイラル構造を有している(N1>1、N2>1)が、巻数が1のループ構造を有していてもよい。これらのインダクタ107a、109aは、一層の導電体パターンから構成されている必要は無く、積層された複数の導電体パターンを直列に接続した構成を有していてもよい。
第1インダクタ107a、第2インダクタ109aは、良好な導電率を有する銅や銀などの導電体から好適に形成され得る。RFエネルギーの高周波電流は、導電体の表面を集中して流れるため、発電効率を高めるため、導電体の表面を高導電率材料で被覆してもよい。導電体の断面中央に空洞を有する構成からインダクタ107a、109aを形成すると、軽量化を実現することができる。更に、リッツ線などの並列配線構造を採用してインダクタ107a、109aを形成すれば、単位長さ辺りの導体損失を低減できるため、直列共振回路、および並列共振回路のQ値を向上させることができ、より高い効率で電力伝送が可能になる。
製造コストを抑制するために、インク印刷技術を用いて、配線を一括して形成することも可能である。第1インダクタ107aおよび/または第2インダクタ109aの周辺に磁性体を配置してもよい。インダクタ107a、109aの間の結合係数を適度な値に設定できる空芯スパイラル構造を有するインダクタを用いることができる。
第1、第2容量素子107b、109bには、例えばチップ形状、リード形状を有する、あらゆるタイプのキャパシタを利用できる。空気を介した2配線間の容量を第1、第2容量素子107b、109bとして機能させることも可能である。第1、第2容量素子107b、109bをMIMキャパシタから構成する場合は、公知の半導体プロセスまたは多層基板プロセスを用いて低損失の容量回路を形成できる。
送電アンテナ107および受電アンテナ109の各々を構成する共振器のQ値は、システムが要求するアンテナ間電力伝送の伝送効率、及び結合係数kの値にも依存するが、好ましくは100以上、更に好ましくは200以上、更に好ましくは500以上、更に好ましくは1000以上に設定される。高いQ値を実現するには、上述したようにリッツ線の採用が効果的である。
以上の実施形態において、図8Aに示すように伝送周波数を変化させるか、あるいは、図9Aに示すように伝送周波数を変化させるかは、上記の式2の関数F(k)によって定まる基準値とfs/fpとを比較して決定しているが、kの関数である基準値は、式2に限定されない。以下、この点を説明する。
まず、前述したように、伝送周波数を伝送電力によらず一定に保持する場合、fs/fpの値が式2の二次式で定まる基準値に近づくほど、Dip率が低減する。このDip率は、fs/fpの値と基準値との差異が僅かであれば、十分に小さく抑えられる。このため、式2に近い関数によって、伝送周波数の変化のモードを区分けしてもよい。
図11は、fs/fpが1より小さい場合において、Dip率が2%以下になるfs/fpの範囲の上限(high)・下限(low)を規定する曲線と最適値(best)を規定する曲線を記載するグラフである。以下の式5a、5bの関係を満たすようにfsおよびfpが設定されているとき、Dip率を2%以下に低減でき、且つfs/fp=1とした従来構成よりも低Dip率の電力伝送を実現できる。
0.1≦k<0.29の場合
−0.7309×k2−0.0269×k+0.9862≦fs/fp<1 ・・・(式5a)
0.29≦k≦0.5の場合、
−0.7309×k2−0.0269×k+0.9862≦fs/fp<0.08×k2−0.357×k+1.0944 ・・・(式5b)
なお、k=0.29は、図11の2%(high)の曲線がfs/fp=1と交わる点である。
図12は、fs/fpが1より小さい場合において、Dip率が1%以下になるfs/fpの範囲の上限(high)・下限(low)を規定する曲線と最適値(best)を規定する曲線を記載するグラフである。また、本願の構成がfs/fp=1の構成に対してDip率に関して特性が改善する下限を規定する曲線(下限)も記載されている。以下の式6a、6bの関係を満たすようにfsおよびfpが設定されているとき、Dip率を1%以下に低減でき、且つfs/fp=1とした従来構成よりも低Dip率の電力伝送を実現できる。
0.1≦k<0.21の場合
−0.7348×k2+0.087×k+0.9889≦fs/fp<1 ・・・(式6a)
0.21≦k≦0.5の場合、
−0.7348×k2+0.087×k+0.9889≦fs/fp<−0.5377×k2+0.10018×k+1.00106 ・・・(式6b)
なお、k=0.21は、図12の1%(high)の曲線がfs/fp=1と交わる点である。
図13は、fs/fpが1より小さい場合において、Dip率が0.5%以下になるfs/fpの範囲の上限(high)・下限(low)を規定する曲線と最適値(best)を規定する曲線を記載するグラフである。また、本願の構成がfs/fp=1の構成に対してDip率に関して特性が改善する下限を規定する曲線(下限)も記載されている。以下の式7a、7bの関係を満たすようにfsおよびfpが設定されているとき、Dip率を0.5%以下に低減できる。
0.1≦k<0.15の場合、
−0.7242×k2+0.0329×k+0.9894≦fs/fp<1 ・・・(式7a)
0.15≦k<0.5の場合、
−0.7242×k2+0.0329×k+0.9894≦fs/fp<−0.5183×k2+0.0603×k+1.0016 ・・・(式7b)
なお、k=0.15は、図13の0.5%(high)の曲線がfs/fp=1と交わる点である。
このように、fs/fpが式2の二次式で表される関数F(k)に一致しない場合であっても、fs/fpが図11から図13の各々に示される上限および下限の間にあれば、伝送周波数が一定でも、Dip率を比較的小さく抑制することは可能である。
したがって、結合係数kの関数が、図11から図13の各々に示される上限および下限の間にあれば、「kによって定まる基準値」として使用することが可能になる。基準値を規定する関数は、例えば、図14に示すように結合係数に応じて直線的に変化する関数、図15に示すように式2で示される曲線とは厳密に一致しない関数、あるいは、図16に示すように結合係数変動に対し階段状に変化する関数であってもよい。これらの図に示されるように、基準値を規定する関数は、結合係数kが増加するとき、単調に減少する単調減少関数であり得る。
なお、無線電力伝送装置の設置後でも、送電アンテナ107および/または受電アンテナ109の共振周波数を可変に調整することが可能である。fs/fpの値は、アンテナ107、109におけるインダクタンスおよびキャパシタタンスを種々の値に設計することによって調節することが可能である。
しかしながら、送電アンテナ107および受電アンテナ109を構成する回路要素の特性には部品間でばらつきが発生し得る。そのため、fs/fpの値が設計値からシフトすることが起こり得る。そのような場合、無線電力伝送装置の設置後における結合係数kの実際の値とfs/fpの実際の値との大小関係は、無線電力伝送装置の設置後に決定してもよい。
上述したように、結合係数kで定まる基準値とfs/fpの値との間の大小関係が不明な場合は、図8Aおよび図9Aの少なくとも一方のパターンで伝送周波数を変化させながら実際に無線電力伝送を行うことができる。そして、実際に行った無線電力伝送の際に伝送効率を測定し、伝送効率が最も高くなる伝送周波数の制御パターンを求めてもよい。伝送効率は、例えば、負荷の受電電力と発電部の送電電力の比に基づいて計算され得る。このように、fs/fpと結合係数kとが既知でない場合でも、伝送周波数と伝送電力との間にある、より好ましい関係を決定することができる。
なお、「伝送効率が最も高くなる伝送周波数の制御パターン」は、無線電力伝送装置が取り得る伝送電力範囲の全てで動作させなくても、あらかじめ設定されたP1前後の一部の伝送電力範囲のみを用いた試験動作で判断しても良い。例えば、図8Aのパターンで伝送周波数を変化させることが最適である場合、伝送電力P1より例えば10%低い電力を送りながら伝送周波数を低減すると伝送効率の改善が確認できる。また、例えば、図9Aのパターンで伝送周波数を変化させることが最適である場合、伝送電力P1より例えば10%低い電力を送りながら伝送周波数を低減すると伝送効率の劣化が確認できる。伝送電力範囲の全域を用いず、電力P1と異なる電力値で試験動作を行うことで調整工程がより簡便になる。試験動作を行う電力値を電力P1より低い値に設定することが、省電力化できる。
また、送受アンテナの共振周波数設定に可変周波数制御機能を持たせることにより、fs/fpの比は任意に調整可能である。
次に、図17を参照しながら、送受アンテナの可変周波数制御の採用により、より高い効率で電力伝送を実現する方法を説明する。
第1工程として、伝送電力Pを図8Aまたは図9Aに示す電力P1の近傍の値P3に固定し、試験的に無線電力伝送を行いながら、伝送周波数を細かく掃引する。こうして、固定した電力値P3での最大伝送効率hmax(P3)を把握する。
次に第2工程として、送受アンテナの共振周波数比fs/fpを初期値から変更する。送受アンテナの少なくともいずれかに共振周波数可変制御機能を与えておくことにより、無線電力伝送装置の設置後であっても、fs/fpを調整することができる。例えば、送受アンテナの少なくとも一方の共振周波数を変化させることにより、初期条件では図17の点Aに位置していたfs/fpが点B1へ移動したとする。第3工程では、fs/fp条件を点B1に固定したまま、上述の第1工程と同様の試験を行う。その結果、点B1に位置するfs/fpの条件で、電力値P3における最大伝送効率hmax(P3)を把握できる。
第4工程では、第1工程と第3工程で得た、点Aと点B1におけるhmax(P3)を比較することで、点Aと点B1のどちらがより好ましい伝送条件に対応するのかを決定する。
なお、第1工程や第3工程においてhmax(P3)を把握するための伝送電力の値は、1つに限定されず、複数であってもよい。図17に示される2点では、点Aよりも点B1の条件の方が、Dipが大きい。このため、無線電力伝送装置を点Aの条件で動作させることも可能である。追加第3工程として、更にfs/fpを点B2に変化させた後、追加第4工程として、点Aと点B2のfs/fpにおけるhmax(P3)を比較してもよい。こうすることにより、点Aと点B2のどちらがより好ましい伝送条件に対応するかを決定できる。
fs/fpの値が異なる複数の条件で最大伝送効率を測定することにより、fs/fpのより好ましい値を求めることが可能になる。図17に示される3つの点A、B1、B2の中では、点B2のfs/fpがDipを最も小さくする。
点B2のfs/fpで動作させる場合に、図8Aおよび図9Aのどちらの伝送周波数制御パターンが最適なのかは、第1工程で既に取得していた情報に基づいて決定され得る。
次に、第5工程として、電力値を、一旦、他の値P4に固定し、伝送周波数を細かく掃引し、その電力値P4における最大効率を導出する伝送周波数fhmax(P4)を決定する。更に、伝送電力をP4から変化させながら同様の試験を行い、fhmaxの電力依存性を取得する。
、このように送受アンテナの可変周波数制御と伝送周波数制御の両制御の採用により、より高効率な電力伝送動作を実現することが容易となる。
(実施例1)
以下、本発明の実施例1を説明する。
送電アンテナおよび受電アンテナは、その共振周波数を250kHz付近となるように設計した。例えば送電アンテナは、インダクタンスが41.08μHの第1インダクタとキャパシタンスが9.69nFの第1容量素子とを直列に接続することによって作製された。受電アンテナは、インダクタンスが41.08μHの第2インダクタと第2容量素子とを並列に接続して作製された。送電アンテナと受電アンテナの共振周波数比は、第2容量素子のキャパシタンスを調整することで実現した。
第1および第2インダクタは、共に、直径80μmの銅配線を300本ずつ互いに絶縁して並列に配置して構成したリッツ線により実現した。2つのインダクタの外形は共に直径12cmの円形であり、巻数は20に設定した。送電アンテナ(共振器)の無負荷Q値は450であった。送電アンテナと受電アンテナは、互いの形成面を平行に対向して配置し、対抗面間の間隔gを1.2〜5.5cmの範囲で変化させることにより、結合係数を0.5から0.1の範囲で変化させた。最適なfs/fpの値は各結合係数条件によって異なる。よって、上述した間隔g条件での結合係数を導出した後、計算機シミュレーションによって導出された最適なfs/fp値とすべく、送受アンテナの各インダクタンスやキャパシタンスの値を微調整した。インダクタンスの調整は、巻き線数を初期値20から異なる値に違えたり、隣接する巻き線間の間隔を局所的に調整したりすることで可能であった。キャパシタンスの調整は、積層セラミックコンデンサの容量値を変化させることで実現できた。
図18Aは、k=0.1の場合における実施例1についての伝送効率と伝送電力との関係を示すグラフである。図18Bは、図18Aの伝送効率を得るときの伝送周波数と伝送電力との関係を示すグラフである。図における●はfs/fp=0.995の場合、△はfs/fp=0.985の場合、□はfs/fp=1.0の場合(参考例)を示す。●のfs/fpは、式2の関数F(k)で示される基準値にほぼ等しいが、△のfs/fpは式2の関数F(k)で示される基準値よりも小さい。
図18Aからわかるように、fs/fp=1.0の場合、伝送電力が約50%で伝送効率が局所的に低下するDipが観察される。しかし、fs/fp=0.995の場合、そのようなDipは観察されない。fs/fp=0.985の場合は、fs/fp=1.0の場合に比べて大きなDipが観察される。fs/fp=0.985の場合、伝送周波数は、図18Bに示されるように変化している。この変化のモードは、図9Bに示されるパターンを有している。一方、fs/fp=1.0の場合、伝送周波数は、図18Bに示されるように変化している。この変化のモードは、図8Bに示されるパターンを有している。なお、fs/fp=1とした場合での、送受電アンテナの共振周波数は251.7kHzで、奇モード共振周波数fLは240kHzで、偶モード共振周波数fHは265.4kHzであった。また、fs/fp=0.995とした場合の、送電アンテナの共振周波数は250kHzで、受電アンテナの共振周波数は252.5kHzで、奇モード共振周波数fLは239.9kHzで、偶モード共振周波数fHは265.2kHzであった。また、fs/fp=0.985とした場合の、送電アンテナの共振周波数は247.7kHzで、受電アンテナの共振周波数は251.5kHzで、奇モード共振周波数fLは239.9kHzで、偶モード共振周波数fHは265.2kHzであった。
図19Aは、k=0.2の場合における実施例についての伝送効率と伝送電力との関係を示すグラフである。図19Bは、図19Aの伝送効率を得るときの伝送周波数と伝送電力との関係を示すグラフである。図における●はfs/fp=0.98の場合、△はfs/fp=0.943の場合、□はfs/fp=1.0の場合(参考例)を示す。●のfs/fpは、式3の関数F(k)で示される基準値にほぼ等しいが、△のfs/fpは式2の関数F(k)で示される基準値よりも小さい。
図19Aからわかるように、fs/fp=1.0の場合、伝送電力が約50%で伝送効率が局所的に低下するDipが観察される。しかし、fs/fp=0.98の場合、そのようなDipは観察されない。fs/fp=0.943の場合は、fs/fp=1.0の場合に比べて大きなDipが観察される。fs/fp=0.943の場合、伝送周波数は、図19Bに示されるように変化している。この変化のモードは、図9Bに示されるパターンを有している。一方、fs/fp=1.0の場合、伝送周波数は、図19Bに示されるように変化している。この変化のモードは、図8Bに示されるパターンを有している。fs/fp=0.98の場合、伝送周波数は、伝送電力によらず、ほぼ一定である。なお、fs/fp=1とした場合(送受電アンテナの共振周波数は247.7kHz)の、奇モード共振周波数fLは226kHzで、偶モード共振周波数fHは276.8kHzであった。また、fs/fp=0.995とした場合の、送電アンテナの共振周波数は248.8kHzで、受電アンテナの共振周波数は250.1kHzで、奇モード共振周波数fLは225.9kHzで、偶モード共振周波数fHは277kHzであった。また、fs/fp=0.943とした場合の、送電アンテナの共振周波数は249.0kHzで、受電アンテナの共振周波数は264kHzで、奇モード共振周波数fLは233.1kHzで、偶モード共振周波数fHは287.8kHzであった。
図20Aは、k=0.3の場合における実施例1についての伝送効率と伝送電力との関係を示すグラフである。図20Bは、図20Aの伝送効率を得るときの伝送周波数と伝送電力との関係を示すグラフである。図における●はfs/fp=0.954の場合、△はfs/fp=0.894の場合、□はfs/fp=1.0の場合(参考例)を示す。●のfs/fpは、式2の関数F(k)で示される基準値にほぼ等しいが、△のfs/fpは式2の関数F(k)で示される基準値よりも小さい。
図20Aからわかるように、fs/fp=1.0の場合、伝送電力が約50%で伝送効率が局所的に低下するDipが観察される。しかし、fs/fp=0.954の場合、そのようなDipは観察されない。fs/fp=0.894の場合は、fs/fp=1.0の場合に比べて大きなDipが観察される。fs/fp=0.894の場合、伝送周波数は、図20Bに示されるように変化している。この変化のモードは、図9Bに示されるパターンを有している。一方、fs/fp=1.0の場合、伝送周波数は、図20Bに示されるように変化している。この変化のモードは、図8Bに示されるパターンを有している。fs/fp=1.0の場合、伝送周波数は、伝送電力によらず、ほぼ一定である。なお、fs/fp=1とした場合(送受電アンテナの共振周波数は251.7kHz)の、奇モード共振周波数fLは218.8kHzで、偶モード共振周波数fHは299.3kHzであった。また、fs/fp=0.954とした場合の、送電アンテナの共振周波数は244.1kHzで、受電アンテナの共振周波数は255.9kHzで、奇モード共振周波数fLは218.8kHzで、偶モード共振周波数fHは299.3kHzであった。また、fs/fp=0.894とした場合での、送電アンテナの共振周波数は232.2kHzで、受電アンテナの共振周波数は259.6kHzで、奇モード共振周波数fLは213.2kHzで、偶モード共振周波数fHは296.4kHzであった。
図21Aは、k=0.4の場合における実施例1についての伝送効率と伝送電力との関係を示すグラフである。図21Bは、図21Aの伝送効率を得るときの伝送周波数と伝送電力との関係を示すグラフである。図における●はfs/fp=0.917の場合、△はfs/fp=0.837の場合、□はfs/fp=1.0の場合(参考例)を示す。●のfs/fpは、式2の関数F(k)で示される基準値にほぼ等しいが、△のfs/fpは式2の関数F(k)で示される基準値よりも小さい。
図21Aからわかるように、fs/fp=1.0の場合、伝送電力が約50%で伝送効率が局所的に低下するDipが観察される。しかし、fs/fp=0.917の場合、そのようなDipは観察されない。fs/fp=0.837の場合は、fs/fp=1.0の場合に比べて小さなDipが観察される。fs/fp=0.837の場合、伝送周波数は、図21Bに示されるように変化している。この変化のモードは、図9Bに示されるパターンを有している。一方、fs/fp=1.0の場合、伝送周波数は、図21Bに示されるように変化している。この変化のモードは、図8Bに示されるパターンを有している。fs/fp=0.917の場合、伝送周波数は、伝送電力によらず、ほぼ一定である。なお、fs/fp=1とした場合(送受電アンテナの共振周波数は251.7kHz)の、奇モード共振周波数fLは212.8kHzで、偶モード共振周波数fHは325kHzであった。また、fs/fp=0.917とした場合の、送電アンテナの共振周波数は252.0kHzで、受電アンテナの共振周波数は274.8kHzで、奇モード共振周波数fLは221.4kHzで、偶モード共振周波数fHは341.3kHzであった。また、fs/fp=0.894とした場合での、送電アンテナの共振周波数は251.1kHzで、受電アンテナの共振周波数は280.9kHzで、奇モード共振周波数fLは224.4kHzで、偶モード共振周波数fHは343.5kHzであった。
図22は、Dip率(%)とfs/fpとの関係を示すグラフである。このグラフには、k=0.1、0.2、0.3、0.4、0.5の曲線が示されている。図22からわかるように、kが0.1から0.5までの範囲で変化しても、Dip率が0%となるfs/fpの最適値が存在する。また、この最適値からfs/fpが外れると、Dip率が増加する。
図23は、k=0.3、fs/fp=0.922の場合において、伝送周波数の制御を行うときの伝送効率(with f-ctrl)と、伝送周波数の制御を行わないときの伝送効率(w/o f-ctrl)とを示すグラフである。伝送周波数の制御を行わない場合、伝送電力が相対的に大きな領域で伝送効率の著しい低下がみられる。しかし、伝送周波数の制御を行って図9Bに示すように変化させると、伝送効率を大電力側で著しく改善できることがわかる。
(比較例1〜2)
実施例1では送電側アンテナと受電側アンテナの共振回路構成を非対称としたが、送受アンテナを対称な共振回路構成とした比較例1、2を作製した。比較例1では送受アンテナは共に直列共振回路、比較例2では送受アンテナは共に並列共振回路で構成した。実施例1と同様の検討を行い、定電圧動作時の各伝送電力での最大伝送効率と、最大伝送効率を実現する伝送周波数(ピーク周波数)とを導出した。ここでは、k=0.3、fs/fp=0.922に設定した。比較例1の伝送効率の伝送電力依存性を図24に示す。図24から明らかなように、比較例1の伝送効率は狭い範囲でのみ高い。また、伝送周波数を制御しても、伝送効率の改善は小さい。
図25は、比較例1の伝送周波数と伝送電力との関係を示すグラフである。図25から明らかなように、比較例1の伝送周波数は、電力伝送領域が小電力側に向かうにしたがって、偶モード共振周波数302kHzを大きく超えた値になっており、本願発明の実施形態の周波数制御条件にも従っていなかった。同様に、送受アンテナのいずれも並列共振器から構成した比較例2の伝送効率を図26に示し、伝送周波数の伝送電力依存性を図27に示す。これらの図から明らかなように、比較例2でも本発明の実施形態の効果は発現しなかった。
(比較例3)
実施例1では送受アンテナに計測用の高周波入出力端子を直結することにより、外部回路から送受アンテナへの信号給電を行っていた。比較例3では、外部回路から送受アンテナへの信号給電を、電磁誘導原理を用いて行った。具体的には、それぞれ送受アンテナから3mm離間して対向した直径20cm、巻き数6の非共振コイルを用い、外部回路から非共振コイルを励振し、非共振コイルから非接触で送受アンテナを励振した。実施例1と同様の検討を行い、定電圧動作時の各伝送電力での最大伝送効率と最大伝送効率を実現する伝送周波数を導出した。比較例3、実施例1の伝送効率の伝送電力依存性を図28に示す。図28からわかるように、比較例3では、小電力伝送領域に向かうにつれ生じる最大伝送効率の劣化が激しい。また、図29より明らかなように、比較例3の伝送周波数は、伝送電力の増大に従い単調に増大しており、本願発明の実施形態の周波数制御条件にも従っていなかった。これは、比較例3の構成が、奇モード共振のみを利用して伝送電力の変動に対応していることを示しており、偶奇共振モードを最大限利用する本願発明の実施形態の動作原理とは異なることが実証された。
(比較例4、5)
比較例4と5では、送受アンテナの一方に対しては直結型の給電を行い、他方には電磁誘導給電を行った。直結型の給電については実施例1と同様の条件とした。また、電磁誘導給電については比較例3と同様の条件とした。表1に、実施例1と比較例1〜5の回路構成比較を示す。
比較例4、5についても、実施例1と同様の検討を行い、定電圧動作時の各伝送電力での最大伝送効率と最大伝送効率を実現する伝送周波数を導出した。図30より明らかなように、比較例4の伝送周波数は、電力伝送領域が小電力側に向かうにしたがって、上昇する傾向を示しており、本願発明の周波数制御条件にも従っていなかった。同様に、比較例5の伝送周波数の伝送電力依存性を示した図31から明らかなように、比較例5も本発明の実施形態の周波数制御条件に従っていなかった。
Figure 2013080531
本願発明の無線電力伝送装置の実施形態は、一定電圧を供給する電源回路からエネルギー供給を受けて動作することが可能な、AV機器白物家電などのさまざまな機器への給電システムに適用できる。AV機器は、例えばテレビを含み、白物家電は、例えば洗濯機、冷蔵庫、およびエアコンを含む。
また、本発明の無線電力伝送装置の実施形態は、充電池を用いる電子機器、電動バイク、電動アシスト自転車、電気自動車への充電システムとして適用することも可能である。これは、リチウムイオン電池などの充電池への充電制御の一つとして、定電圧での充電制御が要求される場合があるからである。また、一定電圧で駆動するモータを伴う全ての電子機器に対しても本願発明のシステムの実施形態は適用しうる。
また、太陽光発電システムにおいて太陽電池セルへの照射太陽光強度(照度)が変化した場合、最大電力点(最大電力を発電するための電流、電圧値)は、電流が照度にほぼ比例し、電圧はほぼ一定となることが知られている。よって、本願発明の無線電力伝送装置の実施形態は、太陽光発電装置が発電する電力を集電するシステムにも適用できる。
100 伝送周波数制御部
103 発振器
107 送電アンテナ(送電側の共振器)
107a 第1インダクタ
107b 第1キャパシタ
109 受電アンテナ(受電側の共振器)
109a 第2インダクタ
109b 第2キャパシタ
111 負荷
161 周波数変換回路
200 直列共振回路
300 並列共振回路

Claims (15)

  1. 共振磁界結合によって非接触で電力を伝送することができる一対のアンテナであって、一方は共振周波数がfsの直列共振回路であり、他方は共振周波数がfpの並列共振回路である一対のアンテナと、
    前記一対のアンテナのうち、高周波電力を送る側のアンテナに接続された発振器と、
    前記一対のアンテナ間を伝送される電力の大きさに応じて伝送周波数を制御する制御部と、
    を備え、
    fs/fpは、1未満の値に設定されている、無線電力伝送装置。
  2. 前記制御部は、
    前記伝送周波数と前記電力との関係を、前記一対のアンテナ間の結合係数kに依存する基準値とfs/fpとに基づいて変化させる、請求項1に記載の無線電力伝送装置。
  3. 前記制御部は、
    fs/fpの値が前記基準値未満の場合において、前記電力が基準値P1よりも低いとき、前記伝送周波数を、第1周波数範囲内の値に設定し、前記電力が前記基準値P1より高いときは、前記伝送周波数を、前記第1周波数範囲よりも低い第2周波数範囲内の値に設定する、請求項2に記載の無線電力伝送装置。
  4. 前記制御部は、
    fs/fpの値が前記基準値を超える場合において、前記電力が基準値P1よりも高いとき、前記伝送周波数を、第1周波数範囲内の値に設定し、前記電力が前記基準値P1より低いときは、前記伝送周波数を、前記第1周波数範囲よりも低い第2周波数範囲内の値に設定する、請求項2に記載の無線電力伝送装置。
  5. 前記制御部は、
    fs/fpの値が前記結合係数kに依存する基準値を超える場合において、前記電力が基準値P1よりも高いとき、前記伝送周波数を、第1周波数範囲内の値に設定し、前記電力が前記基準値P1よりも低いときは、前記伝送周波数を、前記第1周波数範囲よりも低い第2周波数範囲内の値に設定し、
    fs/fpの値が前記基準値未満の場合において、前記電力が基準値P1よりも高いとき、前記伝送周波数を、前記周波数fpよりも低い第1周波数範囲内の値に設定し、前記電力が前記基準値P1よりも低いときは、前記伝送周波数を、前記第1周波数範囲よりも高い第2周波数範囲内の値に設定する、請求項1または2に記載の無線電力伝送装置。
  6. 前記制御部は、
    fs/fpの値が前記結合係数kに依存する基準値に一致する場合、伝送電力に依らず伝送周波数を一定値に保持する、請求項5に記載の無線電力伝送装置。
  7. 前記基準値は、前記結合係数kの単調減少関数である、請求項2に記載の無線電力伝送装置。
  8. 前記基準値は、1より小さく、かつ、−0.7309×k2−0.0269×k+0.9862と0.08×k2−0.357×k+1.0944との間に含まれる大きさを有している、請求項7に記載の無線電力伝送装置。
  9. 前記制御部は、
    異なる制御パターンで伝送周波数を変化させながら無線電力伝送を行って伝送効率を測定し、前記伝送効率が最も高くなる伝送周波数の制御パターンを決定する、請求項1から8のいずれかに記載の無線電力伝送装置。
  10. 前記制御部は、
    前記伝送電力の少なくとも1つの値において、伝送周波数の増加または減少に伴って伝送効率が上昇するか低下するかを評価し、前記評価結果に基づいて伝送周波数の制御パターンを決定する、請求項1から8のいずれかに記載の無線電力伝送装置。
  11. 前記一対のアンテナは、fsおよびfpの少なくとも一方を変化させる共振周波数調整機能を有し、
    制御部は、無線電力伝送装置の設置後に、fs/fpの値を変化させる、請求項1から8のいずれかに記載の無線電力伝送装置。
  12. 制御部は、無線電力伝送装置の設置後に、異なるfs/fpの複数の値で無線電力伝送を実行し伝送効率を測定し、前記伝送効率に基づいて通常動作時のfs/fpの値を決定する、請求項11に記載の無線電力伝送装置。
  13. 請求項1から12の何れかに記載の無線電力伝送装置に使用される送電装置であって、
    前記一対のアンテナのうち高周波電力を送る側のアンテナと、
    前記アンテナに接続された発振器と、
    を備える、送電装置。
  14. 請求項1から12の何れかに記載の無線電力伝送装置に使用される受電装置であって、
    前記一対のアンテナのうち高周波電力を受け取る側のアンテナを備える、受電装置。
  15. 請求項1から12の何れかに記載の無線電力伝送装置に使用される制御装置であって、
    前記一対のアンテナ間を伝送される電力の大きさに応じて伝送周波数を制御する、制御装置。
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