JPWO2012105721A1 - 3次元紙マイクロ検査診断用チップ - Google Patents
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Abstract
本発明の課題は、3次元マイクロ流体経路を用いたイムノクロマトグラフィー法により、多検体、多項目の同時検査を可能にする検査診断用チップとその検査方法を提供することである。検査診断用チップを3つのパーツ(上部、中間部、下部)に分けて、各パーツにそれぞれ機能を持たすことを行なった。上部パーツにマイクロ流体経路を作製して、当該流体経路をイムノクロマトグラフィー法におけるテストゾーン、コントロールゾーンとした。中間部パーツには、マイクロ流体経路の適切な箇所に金コロイド標識抗体などを担持させて、イムノクロマト法におけるコンジュゲートパッドの役割を担わせた。下部パーツは、主にマイクロ流体経路の役割と、イムノクロマト法におけるサンプルパッドと吸収パッドの役割を併せ持つものとした。以上の構成により、本発明の検査診断用チップを簡易に作製することができるようになった。
Description
本発明は、3次元のマイクロ流体経路を持つイムノクロマトグラフィー方式の検査診断用チップに関するものである。更に詳しくは、紙とマイクロ流体経路を形成したテープを重ねて形成される3次元のマイクロ検査診断用チップに関するものである。
現在では、ペーパーイムノクロマトグラフィーによる、妊娠診断やインフルエンザ診断等が行なわれている。しかし、通常のイムノクロマトグラフィーの問題点として、簡易で経済性が高いが、検出感度が悪く、また、主に一つの抗原の確認しか出来ないということが指摘されている。そこで、抗原濃度が低い場合、特に遺伝子診断のような場合には、検出感度を上げるために、PCR法を組合わせることが行なわれている(特許文献1)。
しかし、ペーパーイムノクロマトグラフィーでは主に一つの抗原の確認しか出来ず、多種類の抗原を一度のイムノクロマトグラフィーで確認することは不可能であった。
最近になり、マイクロ流体経路を用いて、微量で各種の検査や診断を行なうことが試みられている(非特許文献1)。更には、3次元マイクロ流体経路を作製して、複数の試験・診断を行うことが試みられている(特許文献2)。そして、3次元マイクロ流体経路を用いたラテラルフロー方式のイムノクロマトグラフィーが提案されている(特許文献3)。このように、イムノクロマトグラフィーの改良が進み、多種類の抗原が確認できるようになってきた。
しかしながら、検出感度の点では、まだ充分でなく、例えば金コロイド粒子の均一化によるプラズモン効果により、検出感度(4ng/ml)を20倍向上させることができ、検出感度が0.2ng/mlになったことなどが報告されているに止まっている(非特許文献2)。
以上のことから、ペーパーイムノクロマトグラフィーの利便性、3次元マイクロ流体経路による検出対象の多様性および向上した検出感度を併せ持つようなスクリーニング方法の開発が望まれていた。更に、検出対象の存在濃度をペーパーイムノクロマトグラフィーで評価するスクリーニング方法の開発も望まれており、これらの方法が使用できる検査診断用のチップの開発が期待されていた。
しかし、ペーパーイムノクロマトグラフィーでは主に一つの抗原の確認しか出来ず、多種類の抗原を一度のイムノクロマトグラフィーで確認することは不可能であった。
最近になり、マイクロ流体経路を用いて、微量で各種の検査や診断を行なうことが試みられている(非特許文献1)。更には、3次元マイクロ流体経路を作製して、複数の試験・診断を行うことが試みられている(特許文献2)。そして、3次元マイクロ流体経路を用いたラテラルフロー方式のイムノクロマトグラフィーが提案されている(特許文献3)。このように、イムノクロマトグラフィーの改良が進み、多種類の抗原が確認できるようになってきた。
しかしながら、検出感度の点では、まだ充分でなく、例えば金コロイド粒子の均一化によるプラズモン効果により、検出感度(4ng/ml)を20倍向上させることができ、検出感度が0.2ng/mlになったことなどが報告されているに止まっている(非特許文献2)。
以上のことから、ペーパーイムノクロマトグラフィーの利便性、3次元マイクロ流体経路による検出対象の多様性および向上した検出感度を併せ持つようなスクリーニング方法の開発が望まれていた。更に、検出対象の存在濃度をペーパーイムノクロマトグラフィーで評価するスクリーニング方法の開発も望まれており、これらの方法が使用できる検査診断用のチップの開発が期待されていた。
青木弘良ら、VCAD System Research,2009,p105
科学技術振興機構報 第758号「金コロイドを用いた高感度体外診断薬キット」の開発
本発明の課題は、多検体、多項目の同時検査が可能になる3次元マイクロ流体経路を利用した、検査診断用チップを提供することにある。特に被検体中の測定対象物質の濃度を測定できる、検査診断用チップを提供することにある。
本発明者らは、図1と2に示される、通常のイムノクロマトグラフィーが2次元であるため、通常1サンプル、1検査項目となっていることを改良することを試みた。即ち、多検体、多項目の同時検査が可能になるイムノクロマトグラフィー用のシステムと検査診断用チップの開発を検討した。
この目的のために、本発明者らは、特許文献2と3の3次元マイクロ流体経路を利用し、多検体、多項目の同時検査システムの構築を検討した。更に、この方法を用いる、検出対象物質の存在濃度を評価するシステムの構築を検討した。
まず、検査診断用チップを3つのパーツ(上部、中間部、下部)に分けて作製し、各パーツにそれぞれ機能を持たすことを行なった。まず、特許文献2と3の方法に基づき、上部パーツにマイクロ流体経路を作製して、当該流体経路をイムノクロマトグラフィー法におけるテストゾーン、コントロールゾーンとした。中間部パーツには、上部パーツと下部パーツのマイクロ流体経路を接続する役割の孔が開設されている。この接続孔の適切な箇所に金コロイド標識抗体を担持させる。即ち、イムノクロマト法におけるコンジュゲートパッドの役割を中間部パーツの役割とした。下部パーツは、主にマイクロ流体経路の役割を担うものであり、イムノクロマト法におけるサンプルパッドと吸収パッドの役割を併せ持つものとした。
3つのパーツを組み合わせて作製される本発明の検査診断用チップは、特に多項目(濃度測定を含む)の同時検査が可能となることを見出した。これらの知見の結果、本発明者らは、本件発明を完成した。
本件発明の要旨は以下の通りである。
(1)3次元マイクロ流体経路を利用した、3つのパーツを有する検査診断用チップであって、
a)下部パーツには、一つの検体注入口から複数に分岐したマクロ流体経路と、分岐したマクロ流体経路に対応する数の独立したマクロ流体経路を有し、
b)中間部パーツには、上部パーツと下部パーツのマイクロ流体経路を接続するための接続孔または接続のためのマイクロ流体経路が開設され、その接続孔または接続のためのマイクロ流体経路の一部に金コロイド標識抗体または着色ラテックス標識抗体が添加されている、
c)上部パーツには、複数のマクロ流体経路が平行に設置されてグループを形成し、検体の流れる順にテストゾーンとコントロールゾーンに分かれ、テストゾーンには抗原特異的抗体を固相化し、コントロールゾーンには標識抗体特異的抗体が固相化されている
ことを特徴とする、検査診断用チップ。
(2)上記下部パーツ、中間部パーツと上部パーツの材質が紙または不織布であり、マイクロ流体経路以外の部分が光硬化樹脂で含浸、硬化したものであることを特徴とする、上記(1)記載の検査診断用チップ。
(3)上部パーツがマイクロ流体経路部分の紙のみであることを特徴とする、上記(1)記載の検査診断用チップ。
(4)上記中間部パーツの材質が、撥水性樹脂シートまたは撥水性テープであることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の検査診断用チップ。
(5)上記上部パーツのマイクロ流体経路のテストゾーンとコントロールゾーンが紙であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の検査診断用チップ。
(6)上記マイクロ流体経路の紙がニトロセルロースであることを特徴とする、上記(5)の検査診断用チップ。
(7)上記複数に分岐したマクロ流体経路が、2〜8個に分岐することを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の検査診断用チップ。
(8)上記マイクロ流体経路の一つのレーンの中に2箇所の金コロイド標識抗体が設置され、コントロールゾーンの中に抗原特異的抗体と標識抗体特異的抗体が固相化されていることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の検査診断用チップ。
(9)検体注入口が複数あることを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の検査診断用チップ。
(10)上記下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツが撥水性接着材で結合され、マイクロ流体経路が連結されていることを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の検査診断用チップ。
(11)上記撥水性接着材が両面テープであることを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の検査診断用チップ。
(12)3次元マイクロ流体経路を用いた、以下の工程を有するイムノクロマトグラフィー検査方法であって、
a)上記(1)〜(11)に記載の検査診断用チップを用いて、
b)検体を注入口に滴下する、
c)検体の溶液がマイクロ流体経路を移動し、コントロールゾーンに到達して標識抗体特異的抗体が発色するまで検体の滴下を継続する、
d)テストゾーンに固相化した抗原特異的抗体が反応して発色するか否かを評価する
ことを特徴とする、イムノクロマトグラフィー検査方法。
(13)上記検査診断用チップの中間部パーツに設置する金コロイド標識抗体または着色ラテックス標識抗体の添加濃度を順次変化させ、多様な添加量の幅を持ったものを作製し、
検体を注入することによって、テストゾーンまたはコントロールゾーンで抗原を発色させる、
発色した赤色の強度を評価することにより、検体の抗原濃度を測定することを特徴とする、上記(12)に記載のイムノクロマトグラフィー検査方法。
(14)上記(8)の検査診断用チップを用いて、血中のヘモグロビンA1cの濃度を測定することを特徴とする、上記(12)に記載のイムノクロマトグラフィー検査方法。
(15)
3次元マイクロ流体経路を利用した、3つのパーツを有する検査診断用チップであって、
a)下部パーツには、一つの検体注入口から複数に分岐したマクロ流体経路と、分岐したマクロ流体経路に対応する数の独立したマクロ流体経路を有し、
b)中間部パーツには、上部パーツと下部パーツのマイクロ流体経路を接続するための接続孔が開設されている、
c)上部パーツには、上記接続孔に連結する部分に複数のテストゾーンが設置され、そのテストゾーンには呈色反応試薬を担持させている
ことを特徴とする、検査診断用チップ。
(16)上記呈色反応試薬が、グルコース呈色反応試薬、タンパク質呈色反応試薬、アミノ酸呈色反応試薬、血液呈色反応試薬、酵素抗体反応試薬の中から複数選択されるものであることを特徴とする、上記(15)記載の検査診断用チップ。
この目的のために、本発明者らは、特許文献2と3の3次元マイクロ流体経路を利用し、多検体、多項目の同時検査システムの構築を検討した。更に、この方法を用いる、検出対象物質の存在濃度を評価するシステムの構築を検討した。
まず、検査診断用チップを3つのパーツ(上部、中間部、下部)に分けて作製し、各パーツにそれぞれ機能を持たすことを行なった。まず、特許文献2と3の方法に基づき、上部パーツにマイクロ流体経路を作製して、当該流体経路をイムノクロマトグラフィー法におけるテストゾーン、コントロールゾーンとした。中間部パーツには、上部パーツと下部パーツのマイクロ流体経路を接続する役割の孔が開設されている。この接続孔の適切な箇所に金コロイド標識抗体を担持させる。即ち、イムノクロマト法におけるコンジュゲートパッドの役割を中間部パーツの役割とした。下部パーツは、主にマイクロ流体経路の役割を担うものであり、イムノクロマト法におけるサンプルパッドと吸収パッドの役割を併せ持つものとした。
3つのパーツを組み合わせて作製される本発明の検査診断用チップは、特に多項目(濃度測定を含む)の同時検査が可能となることを見出した。これらの知見の結果、本発明者らは、本件発明を完成した。
本件発明の要旨は以下の通りである。
(1)3次元マイクロ流体経路を利用した、3つのパーツを有する検査診断用チップであって、
a)下部パーツには、一つの検体注入口から複数に分岐したマクロ流体経路と、分岐したマクロ流体経路に対応する数の独立したマクロ流体経路を有し、
b)中間部パーツには、上部パーツと下部パーツのマイクロ流体経路を接続するための接続孔または接続のためのマイクロ流体経路が開設され、その接続孔または接続のためのマイクロ流体経路の一部に金コロイド標識抗体または着色ラテックス標識抗体が添加されている、
c)上部パーツには、複数のマクロ流体経路が平行に設置されてグループを形成し、検体の流れる順にテストゾーンとコントロールゾーンに分かれ、テストゾーンには抗原特異的抗体を固相化し、コントロールゾーンには標識抗体特異的抗体が固相化されている
ことを特徴とする、検査診断用チップ。
(2)上記下部パーツ、中間部パーツと上部パーツの材質が紙または不織布であり、マイクロ流体経路以外の部分が光硬化樹脂で含浸、硬化したものであることを特徴とする、上記(1)記載の検査診断用チップ。
(3)上部パーツがマイクロ流体経路部分の紙のみであることを特徴とする、上記(1)記載の検査診断用チップ。
(4)上記中間部パーツの材質が、撥水性樹脂シートまたは撥水性テープであることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の検査診断用チップ。
(5)上記上部パーツのマイクロ流体経路のテストゾーンとコントロールゾーンが紙であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の検査診断用チップ。
(6)上記マイクロ流体経路の紙がニトロセルロースであることを特徴とする、上記(5)の検査診断用チップ。
(7)上記複数に分岐したマクロ流体経路が、2〜8個に分岐することを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の検査診断用チップ。
(8)上記マイクロ流体経路の一つのレーンの中に2箇所の金コロイド標識抗体が設置され、コントロールゾーンの中に抗原特異的抗体と標識抗体特異的抗体が固相化されていることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の検査診断用チップ。
(9)検体注入口が複数あることを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の検査診断用チップ。
(10)上記下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツが撥水性接着材で結合され、マイクロ流体経路が連結されていることを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の検査診断用チップ。
(11)上記撥水性接着材が両面テープであることを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の検査診断用チップ。
(12)3次元マイクロ流体経路を用いた、以下の工程を有するイムノクロマトグラフィー検査方法であって、
a)上記(1)〜(11)に記載の検査診断用チップを用いて、
b)検体を注入口に滴下する、
c)検体の溶液がマイクロ流体経路を移動し、コントロールゾーンに到達して標識抗体特異的抗体が発色するまで検体の滴下を継続する、
d)テストゾーンに固相化した抗原特異的抗体が反応して発色するか否かを評価する
ことを特徴とする、イムノクロマトグラフィー検査方法。
(13)上記検査診断用チップの中間部パーツに設置する金コロイド標識抗体または着色ラテックス標識抗体の添加濃度を順次変化させ、多様な添加量の幅を持ったものを作製し、
検体を注入することによって、テストゾーンまたはコントロールゾーンで抗原を発色させる、
発色した赤色の強度を評価することにより、検体の抗原濃度を測定することを特徴とする、上記(12)に記載のイムノクロマトグラフィー検査方法。
(14)上記(8)の検査診断用チップを用いて、血中のヘモグロビンA1cの濃度を測定することを特徴とする、上記(12)に記載のイムノクロマトグラフィー検査方法。
(15)
3次元マイクロ流体経路を利用した、3つのパーツを有する検査診断用チップであって、
a)下部パーツには、一つの検体注入口から複数に分岐したマクロ流体経路と、分岐したマクロ流体経路に対応する数の独立したマクロ流体経路を有し、
b)中間部パーツには、上部パーツと下部パーツのマイクロ流体経路を接続するための接続孔が開設されている、
c)上部パーツには、上記接続孔に連結する部分に複数のテストゾーンが設置され、そのテストゾーンには呈色反応試薬を担持させている
ことを特徴とする、検査診断用チップ。
(16)上記呈色反応試薬が、グルコース呈色反応試薬、タンパク質呈色反応試薬、アミノ酸呈色反応試薬、血液呈色反応試薬、酵素抗体反応試薬の中から複数選択されるものであることを特徴とする、上記(15)記載の検査診断用チップ。
本発明の3次元マイクロ流体経路を利用した検査システム及び検査診断用チップでは、イムノクロマト法ではあるが、多検体、多項目(濃度測定を含む)の同時検査が可能となっている。例えば、タンパク質とDNA/RNAが同時に検出でき、また、常法の抗原特異的抗体に換えて、オリゴDNAを使用してハイブリダイゼーションを行なうことで被検体中のDNA濃度のチェックやDNAサイズのチェックが可能である。即ち、糖尿病患者の血液や尿を使用して、血糖やヘモグロビンA1cの濃度の決定、あるいは尿中の糖やタンパク質などのバイオマーカーの濃度決定が同時にできるようになる。更には、インフルエンザの場合にも、A型かB型の判定だけでなく、新型か否かの判定が可能になる。
本発明の検査診断用チップは、主に紙とテープが素材なので安価に作製でき、通常のイムノクロマト法のチップと比較し、高度な加工技術などが不要であるので製造も容易である。
本発明の検査診断用チップは、主に紙とテープが素材なので安価に作製でき、通常のイムノクロマト法のチップと比較し、高度な加工技術などが不要であるので製造も容易である。
図1はイムノクロマトグラフィー法の一般的な検査キットの様子を表わした概念図である。
図2はイムノクロマトグラフィー法で抗原を検出するスクリーニングの様子を表わした概念図である。
図3は本発明のマイクロ流体経路検査診断用チップ(上部、中間部、下部の3つのパーツから構成される)の下部パーツの一例を表わした図である。灰色は、紙に光硬化樹脂を含浸させ露光して固化した撥水部分であり、白色は紙のままの部分を表わしている。
図4は本発明のマイクロ流体経路検査診断用チップの中間部パーツの一例を表した図である。樹脂シートまたは撥水性両面テープにパンチ等で孔を開設した様子を表わしている。
図5は図4の中間部パーツの孔にセルロース粉末を充填した様子を●で表わした図である。更に、金コロイド標識抗体を添加している箇所を表わしている。
図6は本発明のマイクロ流体経路検査診断用チップの上部パーツの一例を表した図である。図3と同様に、灰色は、紙に光硬化樹脂を含浸させ露光して固化した撥水部分であり、白色は紙のままの部分を表わしている。2組みの平行な一対のマイクロ流体経路と検体注入口が紙のまま残されている。
図7は上記図6のマイクロ流体経路が、図1で示される一般的なイムノクロマトグラフィー法のテストライン、コントロールラインに相当する部分であることを表わした図である。左側の平行な一対のマイクロ流体経路をテストゾーン、右側の平行な一対のマイクロ流体経路をコントロールゾーンと位置付けて、テストゾーンには抗原特異的抗体を設置し、コントロールゾーンには標識抗体特異的抗体を設置していることを表わしている。
図8は図3と図5、図7で表わされる、下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツを3つ組み合せて作製される検査診断用チップを表わした図である。なお、このチップは、市販のイムノクロマト試剤に見られるように、プラスチック容器で包装されていても良い。また、このチップを図の切断線で切ると、その断面が図9や図10のようになることが示されている。
図9は上記図8の検査診断用チップの断面を模式的に表わし、3次元のマイクロ流体経路を明確に表わした図である。白色部分は検体が流れる紙の部分であり、斜線部分は紙に光硬化樹脂が含浸し露光して固化した撥水部分である。矢印はマイクロ流体経路の中を流れる検体の方向を表わしている。
図10は上記図8の検査診断用チップの断面のマイクロ流体経路に、それぞれ、金コロイド標識抗体、着色ラテックス標識抗体、抗原特異的抗体(例えば、anti−DIG)、標識抗体の特異抗体あるいはbiotin−BSAが存在する位置を模式的に表わした図である。図8の検体注入口より検体がマイクロ流体経路に導入される。順次、通常のイムノクロマト法の抗体反応が進行して、テストゾーン、コントロールゾーンで、金コロイドの赤い色、または着色ラテックスの色が発色する。
図11は検査診断用チップの一つの態様として、中間部パーツの金コロイド標識体の添加箇所を増加させる(一本のマイクロ流体経路(レーン)当り、1箇所から2箇所に増やす)ことを表わした図である。
図12は上記図11に示されるように、金コロイド標識体の添加箇所の増加に対応して、抗原特異的抗体を添加する箇所をコントロールゾーンに増設したことを表わした図である。
図13は図3、図11と図12で作製される検査診断用チップを、図12の切断線の位置で切断して得られる、検査診断用チップの断面図を表わした図である。それぞれ、同一又は異なった金コロイド標識体が中間部パーツに添加されている。また、上部のコントロールゾーンに抗原特異的抗体と標識抗体特異的抗体が添加、固相化されている。コントロールゾーンに添加される抗原特異的抗体は、その前方に設置される金コロイド標識体に対応して使用するものが決められる。
図14は一つの検体注入口から、8本のマイクロ流体経路に分岐して、8項目の評価が可能になる検査診断用チップの下部パーツの一つの例を表わした図である。
図15は図14のマイクロ流体経路に対応するために作製される中間部パーツの様子を表わした図である。
図16は図14(下部パーツ)と図15(中間部パーツ)に対応して作製される上部パーツの様子を表わした図である。
図17は図14〜図16を組み合せて作製される検査診断用チップを表わした図である。
図18は2箇所の検体注入口を持つ、多検体検査診断用チップを作製するための下部パーツの一例を表わした図である。この下部パーツに対応する中間部パーツと上部パーツは、上記図15と図16とは注入口部分が異なるだけであり、同様のものを用いることができる。
図19は図17の切断線部分で切断したテストゾーンとコントロールゾーンの断面図を示す。図10と基本は同様であるが、テストゾーンの距離が短い、コントロールゾーンの距離も短い。
図20は図12と基本的には同様であるが、テストゾーンをさらに追加し、2つのテストゾーンと一つのコントロールゾーンを形成することもできる。
図21は図20の切断線部分で切断したテストゾーンとコントロールゾーンの断面図を示す。
図22はPCR−イムノクロマト法の原理を表わした図である。末端をビオチンとDIGでラベルされたDNAは、まず金コロイドアビジンと反応し、結合する。さらに抗DIG抗体(antiDIG)と反応して、捕捉される。Gは金コロイド、Aはアビジン、Bはビオチンである。捕捉されなかった金コロイドはビオチンウシ血清アルブミン(Biotin−BSA)に捕捉され、コントロールラインを形成する。
図23はDNA−イムノクロマト法の原理を表わした図である。例えば、NASBA法で増幅されたRNAは注入口から導入されると、テストゾーンに固定されている捕捉用DNAに捕捉される。金コロイドオリゴプローブを注入口から導入すると、捕捉されている標的RNAとハイブリダイズして、テストラインを形成する。
図24は本発明のマイクロ流体経路検査診断用チップ(上部、中間部、下部の3つのパーツから構成される)の下部パーツの一例を表わした図である。灰色は、紙に光硬化樹脂を含浸させ露光して固化した撥水部分であり、白色は紙のままの部分を表わしている。
図25は本発明のマイクロ流体経路検査診断用チップの中間部パーツの一例を表した図である。樹脂シートまたは撥水性両面テープにパンチ等で孔を開設した様子を表わしている。中間部パーツの孔にセルロース粉末を充填した様子を●で表わした図である。
図26は本発明のマイクロ流体経路検査診断用チップの上部パーツの一例を表した図である。図3と同様に、灰色は、紙に光硬化樹脂を含浸させ露光して固化した撥水部分であり、白色は紙のままの部分を表わしている。マイクロ流体経路が、図1で示される一般的なイムノクロマトグラフィー法のテストライン、コントロールラインに相当する部分であることを表わした図である。テストゾーンには捕捉用オリゴDNAを設置し、コントロールゾーンにはコントロールプローブを設置していることを表わしている。
図27は図24と図25、図26で表わされる、下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツを3つ組み合せて作製される検査診断用チップを表わした図である。また、このチップを図の切断線で切ると、その断面が図28のようになることが示されている。
図28は上記図27の検査診断用チップの断面を模式的に表わし、3次元のマイクロ流体経路を明確に表わした図である。白色部分は検体が流れる紙のままの部分であり、灰色部分は紙に光硬化樹脂が含浸し露光して固化した撥水部分である。チップの断面のマイクロ流体経路に、それぞれ、捕捉用オリゴDNA、コントロールプローブが存在する位置を模式的に表わした図である。順次、図27の2箇所の注入口より検体と金コロイド標識オリゴプローブがマイクロ流体経路に導入される。核酸クロマト法のサンドイッチハイブリダイゼーション反応が進行して、テストゾーン、コントロールゾーンで、金コロイドの赤い色が発色する。
図29は実施例4の検査診断用チップに関する、下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツの形状を模式的に表わした図である。(1)の下部パーツと(3)の上部パーツは、不織布またはイムノクロマトグラフィー用紙を使用して、公知方法(Anal.Chem.2009,81,7091−7095)によりマイクロ流体経路(白色部分)を作製できる。(2)の中間部パーツは上部パーツと下部パーツを接続する両面テープで、上部パーツと下部パーツのマイクロ流体経路を接続するための接続孔が開設される。また、これらの3つのパーツを図29に示されるように組合わせて、検査診断用チップを作製する。
図30は試験例2における糖(グルコース)測定とタンパク質測定の原理を表わした概念図である。図30の(1)では、上部パーツの試薬充填部分で検体中のグルコースがグルコースオキシダーゼと反応して過酸化水素とグルコン酸が産生される。産生された過酸化水素がヨウ化カリウムと反応して、産生されたヨウ素で上部パーツの試薬充填部分が茶褐色に変色する。図30の(2)では、上部パーツの試薬充填部分でテトラブロモフェノールブルー(tetrabromophenol blue)指示薬は酸性下では黄色を呈している。検体中にタンパク質が存在すると、タンパク質のアミノ基と上記試薬が結合して青色化合物を形成するため、黄色から青色に変化することになる。この青色の強度を評価することで、尿中タンパク質濃度を評価することが出来る。
図31は実施例4の検査診断用チップを用いて、ヒト尿中の糖とタンパク質の排出量を評価した図(写真)である。図31のa)では、一定濃度のグルコースとタンパク質(BSA)を用いて、呈色の状態がどのように変化するかを表している。糖とタンパク質の濃度が高くなると、それに相関して、色調が変化する。検体を使用した場合に、この色調変化に対応する位置が、検体の糖とタンパク質の濃度であると評価される。図31のb)では、検体としてヒト尿を評価したデータが示されている。色の変化を観察することにより、糖の濃度としては、2.5mM以下の濃度であり、タンパク質の濃度としては、25〜50μMであることが示された。
図32は実施例5の検査診断用チップに関する下部パーツの設計図面とプリント方法により得られるパーツを模式的に表した図である。図32のa)では、下部バーツのサイズ(mm)を表している。図32のb)では、マイクロ流体経路(白色部分)で表している。図32のc)では、セルロスファイバーサンプルパッド(cellulose
fiber sample pad)で構成された吸収パッドを表している。
図33は実施例5の検査診断用チップに関する中間部パーツの設計図面とプリント方法により得られるパーツを模式的に表した図である。図33のa)では、中間部バーツのサイズ(mm)を表している。図33のb)では、マイクロ流体経路(白色部分)で表している。なお、赤の部分は金コロイド標識抗体が充填されているマイクロ流体経路を示している。図33のc)では、金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗原抗体が充填されているコンジュゲートパッドで、中間部パーツの該当箇所を切り抜き、同じサイズの金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗原抗体が充填されているコンジュゲートパッドを入れて完成する。コンジュゲートパッドあるいは不織布にバータンを印刷して、直接該当箇所に金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗原抗体を固相化して利用することもできる。
図34は実施例5の検査診断用チップに関する上部パーツに張るニトロセルロースメンブレイン(Nitro cellulose membrane)を模式的に表した図である。ニトロセルロースメンブレインに存在する2箇所の青い部分は、左側の部分が抗原特異的抗体を固相化したものであり、右側の部分が標識抗体特異的抗体を固相化したものである。
図35は実施例5の検査診断用チップの上部パーツの設計図面とプリント方法により得られるパーツを模式的に表した図である。図35のa)では、上部バーツのサイズ(mm)を表している。図35のb)では、マイクロ流体経路(白色部分)で表している。
図36は図32、33、34、35の設計図面を用いて組み立てられる実施例5の検査診断用チップの様子を模式的に表した図である。
図37は実施例5の検査診断用チップを用いて、抗原測定を行なう場合の試薬の充填位置と測定原理を示す図である。ポジテイブ・テストの場合、検体を注入口に滴下すると検体の溶液が各パーツを移動し、下部パーツのマイクロ流体経路を通じて、中間部パーツの金コロイド標識抗原抗体あるいはラテックス標識抗原抗体と結合する。更に、結合した抗体が移動し、上部パーツのテストゾーンに到着すると、そこに存在する固相化された抗原特異的抗体と結合して発色することになる。結合しなかった金コロイド標識抗原抗体あるいはラテックス標識抗原抗体は続いて移動し、上部パーツのコントロールゾーンに到着すると、そこに存在する固相化された標識抗体特異的抗体と結合して発色することになる。一方、ネガテイブ・テストの場合、抗原と結合してない金コロイド標識抗原抗体あるいはラテックス標識抗原抗体は、そのままマイクロ流体経路を移動し、コントロールゾーンに到達する。そして、コントロールゾーンに存在する固相化された標識抗体特異的抗体(例えば抗マウスIgG抗体)と反応して発色する。
図38は実施例5の検査診断用チップを用いて、PCR産物の測定(PCRイムノクロマトグラフィー)を行なう場合の試薬の充填位置と測定原理を示す図である。ポジテイブ・テストの場合、検体を注入口に滴下すると検体の溶液が各パーツを移動し、下部パーツのマイクロ流体経路を通じて、中間部パーツに存在する金コロイド−アビジン(gold−avidin)と結合する。更に、結合したPCR産物は移動して、上部パーツのテストゾーンに到着する。そこに存在する固相化されたanti−DIGと結合して、発色する。結合しなかった金コロイド−アビジンは続いて移動し、上部パーツのコントロールゾーンに到着すると、そこに存在する固相化されたビオチン−BSA(biotin−BSA)と結合して発色することになる。一方、ネガテイブ・コントロールの場合、PCR産物がないため、注入口に滴下された検体は、PCR産物と結合してない金−アビジンを移動させて行く。金−アビジンは、マイクロ流体経路を移動し、コントロールゾーンに到達して、コントロールゾーンに固相化されたビオチン−BSA(biotin−BSA)と反応して発色する。
図39は実施例5の検査診断用チップを用いて、FGF21のPCR産物の確認を行なったことを表す図である。ネガテイブ・コントロールの場合、図39のa)で示されるように、FGF21のPCR産物が存在しないので、コントロール・ゾーンでの発色が見られるだけである。一方、図39のb)の場合、検体にFGF21のPCR産物が存在するので、テスト・ゾーンとコントロール・ゾーンの2箇所に発色が見られている。
図2はイムノクロマトグラフィー法で抗原を検出するスクリーニングの様子を表わした概念図である。
図3は本発明のマイクロ流体経路検査診断用チップ(上部、中間部、下部の3つのパーツから構成される)の下部パーツの一例を表わした図である。灰色は、紙に光硬化樹脂を含浸させ露光して固化した撥水部分であり、白色は紙のままの部分を表わしている。
図4は本発明のマイクロ流体経路検査診断用チップの中間部パーツの一例を表した図である。樹脂シートまたは撥水性両面テープにパンチ等で孔を開設した様子を表わしている。
図5は図4の中間部パーツの孔にセルロース粉末を充填した様子を●で表わした図である。更に、金コロイド標識抗体を添加している箇所を表わしている。
図6は本発明のマイクロ流体経路検査診断用チップの上部パーツの一例を表した図である。図3と同様に、灰色は、紙に光硬化樹脂を含浸させ露光して固化した撥水部分であり、白色は紙のままの部分を表わしている。2組みの平行な一対のマイクロ流体経路と検体注入口が紙のまま残されている。
図7は上記図6のマイクロ流体経路が、図1で示される一般的なイムノクロマトグラフィー法のテストライン、コントロールラインに相当する部分であることを表わした図である。左側の平行な一対のマイクロ流体経路をテストゾーン、右側の平行な一対のマイクロ流体経路をコントロールゾーンと位置付けて、テストゾーンには抗原特異的抗体を設置し、コントロールゾーンには標識抗体特異的抗体を設置していることを表わしている。
図8は図3と図5、図7で表わされる、下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツを3つ組み合せて作製される検査診断用チップを表わした図である。なお、このチップは、市販のイムノクロマト試剤に見られるように、プラスチック容器で包装されていても良い。また、このチップを図の切断線で切ると、その断面が図9や図10のようになることが示されている。
図9は上記図8の検査診断用チップの断面を模式的に表わし、3次元のマイクロ流体経路を明確に表わした図である。白色部分は検体が流れる紙の部分であり、斜線部分は紙に光硬化樹脂が含浸し露光して固化した撥水部分である。矢印はマイクロ流体経路の中を流れる検体の方向を表わしている。
図10は上記図8の検査診断用チップの断面のマイクロ流体経路に、それぞれ、金コロイド標識抗体、着色ラテックス標識抗体、抗原特異的抗体(例えば、anti−DIG)、標識抗体の特異抗体あるいはbiotin−BSAが存在する位置を模式的に表わした図である。図8の検体注入口より検体がマイクロ流体経路に導入される。順次、通常のイムノクロマト法の抗体反応が進行して、テストゾーン、コントロールゾーンで、金コロイドの赤い色、または着色ラテックスの色が発色する。
図11は検査診断用チップの一つの態様として、中間部パーツの金コロイド標識体の添加箇所を増加させる(一本のマイクロ流体経路(レーン)当り、1箇所から2箇所に増やす)ことを表わした図である。
図12は上記図11に示されるように、金コロイド標識体の添加箇所の増加に対応して、抗原特異的抗体を添加する箇所をコントロールゾーンに増設したことを表わした図である。
図13は図3、図11と図12で作製される検査診断用チップを、図12の切断線の位置で切断して得られる、検査診断用チップの断面図を表わした図である。それぞれ、同一又は異なった金コロイド標識体が中間部パーツに添加されている。また、上部のコントロールゾーンに抗原特異的抗体と標識抗体特異的抗体が添加、固相化されている。コントロールゾーンに添加される抗原特異的抗体は、その前方に設置される金コロイド標識体に対応して使用するものが決められる。
図14は一つの検体注入口から、8本のマイクロ流体経路に分岐して、8項目の評価が可能になる検査診断用チップの下部パーツの一つの例を表わした図である。
図15は図14のマイクロ流体経路に対応するために作製される中間部パーツの様子を表わした図である。
図16は図14(下部パーツ)と図15(中間部パーツ)に対応して作製される上部パーツの様子を表わした図である。
図17は図14〜図16を組み合せて作製される検査診断用チップを表わした図である。
図18は2箇所の検体注入口を持つ、多検体検査診断用チップを作製するための下部パーツの一例を表わした図である。この下部パーツに対応する中間部パーツと上部パーツは、上記図15と図16とは注入口部分が異なるだけであり、同様のものを用いることができる。
図19は図17の切断線部分で切断したテストゾーンとコントロールゾーンの断面図を示す。図10と基本は同様であるが、テストゾーンの距離が短い、コントロールゾーンの距離も短い。
図20は図12と基本的には同様であるが、テストゾーンをさらに追加し、2つのテストゾーンと一つのコントロールゾーンを形成することもできる。
図21は図20の切断線部分で切断したテストゾーンとコントロールゾーンの断面図を示す。
図22はPCR−イムノクロマト法の原理を表わした図である。末端をビオチンとDIGでラベルされたDNAは、まず金コロイドアビジンと反応し、結合する。さらに抗DIG抗体(antiDIG)と反応して、捕捉される。Gは金コロイド、Aはアビジン、Bはビオチンである。捕捉されなかった金コロイドはビオチンウシ血清アルブミン(Biotin−BSA)に捕捉され、コントロールラインを形成する。
図23はDNA−イムノクロマト法の原理を表わした図である。例えば、NASBA法で増幅されたRNAは注入口から導入されると、テストゾーンに固定されている捕捉用DNAに捕捉される。金コロイドオリゴプローブを注入口から導入すると、捕捉されている標的RNAとハイブリダイズして、テストラインを形成する。
図24は本発明のマイクロ流体経路検査診断用チップ(上部、中間部、下部の3つのパーツから構成される)の下部パーツの一例を表わした図である。灰色は、紙に光硬化樹脂を含浸させ露光して固化した撥水部分であり、白色は紙のままの部分を表わしている。
図25は本発明のマイクロ流体経路検査診断用チップの中間部パーツの一例を表した図である。樹脂シートまたは撥水性両面テープにパンチ等で孔を開設した様子を表わしている。中間部パーツの孔にセルロース粉末を充填した様子を●で表わした図である。
図26は本発明のマイクロ流体経路検査診断用チップの上部パーツの一例を表した図である。図3と同様に、灰色は、紙に光硬化樹脂を含浸させ露光して固化した撥水部分であり、白色は紙のままの部分を表わしている。マイクロ流体経路が、図1で示される一般的なイムノクロマトグラフィー法のテストライン、コントロールラインに相当する部分であることを表わした図である。テストゾーンには捕捉用オリゴDNAを設置し、コントロールゾーンにはコントロールプローブを設置していることを表わしている。
図27は図24と図25、図26で表わされる、下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツを3つ組み合せて作製される検査診断用チップを表わした図である。また、このチップを図の切断線で切ると、その断面が図28のようになることが示されている。
図28は上記図27の検査診断用チップの断面を模式的に表わし、3次元のマイクロ流体経路を明確に表わした図である。白色部分は検体が流れる紙のままの部分であり、灰色部分は紙に光硬化樹脂が含浸し露光して固化した撥水部分である。チップの断面のマイクロ流体経路に、それぞれ、捕捉用オリゴDNA、コントロールプローブが存在する位置を模式的に表わした図である。順次、図27の2箇所の注入口より検体と金コロイド標識オリゴプローブがマイクロ流体経路に導入される。核酸クロマト法のサンドイッチハイブリダイゼーション反応が進行して、テストゾーン、コントロールゾーンで、金コロイドの赤い色が発色する。
図29は実施例4の検査診断用チップに関する、下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツの形状を模式的に表わした図である。(1)の下部パーツと(3)の上部パーツは、不織布またはイムノクロマトグラフィー用紙を使用して、公知方法(Anal.Chem.2009,81,7091−7095)によりマイクロ流体経路(白色部分)を作製できる。(2)の中間部パーツは上部パーツと下部パーツを接続する両面テープで、上部パーツと下部パーツのマイクロ流体経路を接続するための接続孔が開設される。また、これらの3つのパーツを図29に示されるように組合わせて、検査診断用チップを作製する。
図30は試験例2における糖(グルコース)測定とタンパク質測定の原理を表わした概念図である。図30の(1)では、上部パーツの試薬充填部分で検体中のグルコースがグルコースオキシダーゼと反応して過酸化水素とグルコン酸が産生される。産生された過酸化水素がヨウ化カリウムと反応して、産生されたヨウ素で上部パーツの試薬充填部分が茶褐色に変色する。図30の(2)では、上部パーツの試薬充填部分でテトラブロモフェノールブルー(tetrabromophenol blue)指示薬は酸性下では黄色を呈している。検体中にタンパク質が存在すると、タンパク質のアミノ基と上記試薬が結合して青色化合物を形成するため、黄色から青色に変化することになる。この青色の強度を評価することで、尿中タンパク質濃度を評価することが出来る。
図31は実施例4の検査診断用チップを用いて、ヒト尿中の糖とタンパク質の排出量を評価した図(写真)である。図31のa)では、一定濃度のグルコースとタンパク質(BSA)を用いて、呈色の状態がどのように変化するかを表している。糖とタンパク質の濃度が高くなると、それに相関して、色調が変化する。検体を使用した場合に、この色調変化に対応する位置が、検体の糖とタンパク質の濃度であると評価される。図31のb)では、検体としてヒト尿を評価したデータが示されている。色の変化を観察することにより、糖の濃度としては、2.5mM以下の濃度であり、タンパク質の濃度としては、25〜50μMであることが示された。
図32は実施例5の検査診断用チップに関する下部パーツの設計図面とプリント方法により得られるパーツを模式的に表した図である。図32のa)では、下部バーツのサイズ(mm)を表している。図32のb)では、マイクロ流体経路(白色部分)で表している。図32のc)では、セルロスファイバーサンプルパッド(cellulose
fiber sample pad)で構成された吸収パッドを表している。
図33は実施例5の検査診断用チップに関する中間部パーツの設計図面とプリント方法により得られるパーツを模式的に表した図である。図33のa)では、中間部バーツのサイズ(mm)を表している。図33のb)では、マイクロ流体経路(白色部分)で表している。なお、赤の部分は金コロイド標識抗体が充填されているマイクロ流体経路を示している。図33のc)では、金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗原抗体が充填されているコンジュゲートパッドで、中間部パーツの該当箇所を切り抜き、同じサイズの金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗原抗体が充填されているコンジュゲートパッドを入れて完成する。コンジュゲートパッドあるいは不織布にバータンを印刷して、直接該当箇所に金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗原抗体を固相化して利用することもできる。
図34は実施例5の検査診断用チップに関する上部パーツに張るニトロセルロースメンブレイン(Nitro cellulose membrane)を模式的に表した図である。ニトロセルロースメンブレインに存在する2箇所の青い部分は、左側の部分が抗原特異的抗体を固相化したものであり、右側の部分が標識抗体特異的抗体を固相化したものである。
図35は実施例5の検査診断用チップの上部パーツの設計図面とプリント方法により得られるパーツを模式的に表した図である。図35のa)では、上部バーツのサイズ(mm)を表している。図35のb)では、マイクロ流体経路(白色部分)で表している。
図36は図32、33、34、35の設計図面を用いて組み立てられる実施例5の検査診断用チップの様子を模式的に表した図である。
図37は実施例5の検査診断用チップを用いて、抗原測定を行なう場合の試薬の充填位置と測定原理を示す図である。ポジテイブ・テストの場合、検体を注入口に滴下すると検体の溶液が各パーツを移動し、下部パーツのマイクロ流体経路を通じて、中間部パーツの金コロイド標識抗原抗体あるいはラテックス標識抗原抗体と結合する。更に、結合した抗体が移動し、上部パーツのテストゾーンに到着すると、そこに存在する固相化された抗原特異的抗体と結合して発色することになる。結合しなかった金コロイド標識抗原抗体あるいはラテックス標識抗原抗体は続いて移動し、上部パーツのコントロールゾーンに到着すると、そこに存在する固相化された標識抗体特異的抗体と結合して発色することになる。一方、ネガテイブ・テストの場合、抗原と結合してない金コロイド標識抗原抗体あるいはラテックス標識抗原抗体は、そのままマイクロ流体経路を移動し、コントロールゾーンに到達する。そして、コントロールゾーンに存在する固相化された標識抗体特異的抗体(例えば抗マウスIgG抗体)と反応して発色する。
図38は実施例5の検査診断用チップを用いて、PCR産物の測定(PCRイムノクロマトグラフィー)を行なう場合の試薬の充填位置と測定原理を示す図である。ポジテイブ・テストの場合、検体を注入口に滴下すると検体の溶液が各パーツを移動し、下部パーツのマイクロ流体経路を通じて、中間部パーツに存在する金コロイド−アビジン(gold−avidin)と結合する。更に、結合したPCR産物は移動して、上部パーツのテストゾーンに到着する。そこに存在する固相化されたanti−DIGと結合して、発色する。結合しなかった金コロイド−アビジンは続いて移動し、上部パーツのコントロールゾーンに到着すると、そこに存在する固相化されたビオチン−BSA(biotin−BSA)と結合して発色することになる。一方、ネガテイブ・コントロールの場合、PCR産物がないため、注入口に滴下された検体は、PCR産物と結合してない金−アビジンを移動させて行く。金−アビジンは、マイクロ流体経路を移動し、コントロールゾーンに到達して、コントロールゾーンに固相化されたビオチン−BSA(biotin−BSA)と反応して発色する。
図39は実施例5の検査診断用チップを用いて、FGF21のPCR産物の確認を行なったことを表す図である。ネガテイブ・コントロールの場合、図39のa)で示されるように、FGF21のPCR産物が存在しないので、コントロール・ゾーンでの発色が見られるだけである。一方、図39のb)の場合、検体にFGF21のPCR産物が存在するので、テスト・ゾーンとコントロール・ゾーンの2箇所に発色が見られている。
−本発明の第一の態様−
本発明の第一の態様は、3次元マイクロ流体経路を持つ検査診断用チップに関するものである。
本発明の「マイクロ流体経路」とは、断面が1mm以下の径の流路のことを言う。また、1本のマイクロ流体経路のことをレーンとも言う。
本発明の「3つのパーツ」とは、上部、中間部、下部の3つのパーツに分かれて作製される部材のことを言う。それぞれのパーツには、例えば図3〜7に示されるようなマイクロ流体経路を持つものを例示することが出来る。
本発明の「検査診断用チップ」とは、上部、中間部、下部の3つのパーツで組み立てられた、3次元マイクロ流体経路を持つものを言う。なお、3つのパーツ以外に、プラスチック等の撥水性部材を保護容器として使用することもできる。
本発明の「下部パーツ」とは、注入口から導入される検体を複数のマイクロ流体経路に分割して流す役割を担うと共に、イムノクロマトグラフィーの吸収パッドの役割を併せて担う部材である。下部パーツの材質は主に濾紙等の紙(イムノクロマトグラフィー用紙等)または不織布で作製されており、例えば特許文献2と3の方法あるいは公知文献(Anal.Chem.2009,81,7091−7095)の方法でマイクロ流体経路を作製することができる。
本発明の「複数に分岐したマクロ流体経路」とは、例えば図3、図14に示されるように、一つの注入口から、複数のマイクロ流体経路に分岐していく流路(レーン)のことを言う。
本発明の「分岐したマクロ流体経路に対応する数の独立したマクロ流体経路」とは、図3、図14に示される、中央部分に設置されている平行な一組の流路(レーン)を言う。
本発明の「中間部パーツ」とは、上部パーツと下部パーツのマイクロ流体経路を分離すると共に、上部パーツと下部パーツの流体経路を接続するための接続孔又は接続用のマイクロ流体経路の役割を担う部材である。そして、接続孔の場合、その接続孔はセルロースの粉末等の材料で充填され、毛管現象で検体の水等の流体が浸透して行けるようになっている。また、テストゾーンの直前の接続孔に、金コロイド標識抗体が設置されているので、上部パーツのテストゾーンに設置された抗原特異的抗体で抗原の評価が行なえるようになっている。また、検体注入口に接続する孔には、血液などを濾過したり、検体を精製したりできる機能を持つ材料を充填することができる。
また、接続用のマイクロ流体経路の場合、下部パーツと同様の方法で中間部パーツにマイクロ流体経路を作製することができる。そして、図37と図38に示されるように、そのマイクロ流体経路に金コロイド標識抗体が設置されている。従って、検体の水等の液体が流れて行けば、検体中の抗原が金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗体と反応して、一体となって上部パーツの方に流れて行く。
中間部パーツの材質としては、マイクロ流体経路以外の部分が撥水性のものであれば特に限定されるものではない。また、紙であっても、下部パーツの作製と同様に、公知文献特許文献2と3の方法と公知文献(Anal.Chem.2009,81,7091−7095)の方法に準じて作製することができる。その場合には、孔やマイクロ流体経路を開設する必要がないので、セルロース粉末の充填は不要となる。中間部パーツの材質が撥水性のものである場合、好ましい材質としては、撥水性の樹脂シートや撥水性の両面テープを挙げることが出来る。中間部パーツの材質が紙又は不織布である場合には、好ましい材質として濾紙等を挙げることができる。
本発明の「金コロイド標識抗体」とは、検体の中に含まれる抗原に対する特異的抗体を金コロイドと結合させたものを言う。本発明で使用可能な抗原特異的抗体としては、公知のイムノクロマトグラフィー法で使用されるものであれば特に限定されるものではない。好ましい抗原特異的抗体の抗原としては、例えばヘモグロビンA1c(HbA1c)、FGF21、FGF19、アディポネクチン、レプチン、インスリン、可溶性インスリン受容体α、レジスチン、TNF−α、IL−6、糖化アルブミンなどの糖尿病関連抗原、例えば肝炎ウイルス・マーカー、インフルエンザマーカ、ノロウイルスマーカーなどのウイルス関連抗原、例えば食中毒関連細菌、土壌細菌、薬剤耐性菌などの細菌など関連抗原、例えば皮膚関連抗原、妊娠関連抗原などの皮膚、妊娠関連抗原、例えばPSA(前立腺特異抗原)、GAT(癌関連ガラクトース転移酵素)、尿中BTA(膀胱腫瘍抗原)などの癌関連抗原を挙げることができる。
なお、本発明の金コロイド標識抗体として、アビジンが結合した「アビジン標識金コロイド」を用いることができる。アビジン標識金コロイドとは、金コロイドとアビジンを結合させたものを言う。このアビジン標識金コロイドを使用することによって、例えば検体の中に含まれるDNAの検出が可能になる。即ち、DNAにラベルされたビオチンをアビジン標識金コロイドと結合させることができるため、特許文献1に示されるようにイムノクロマトグラフィー法(図22)での検出が可能となる。本発明で使用可能なDNAとしては、PCRで増幅可能なあらゆるDNAが対象として挙げられる。例えば、公知の糖尿病関連遺伝子、癌関連遺伝子、脳疾患関連遺伝子、植物遺伝子などを挙げることができる。その一例として、例えば図38に示される形状のマイクロ流体経路を使用し、FGF21のPCR増幅産物を評価すると、図39に示されるように本発明の検査診断用チップでFGF21のPCR増幅産物が検査できることが示された。
本発明の検査評価用チップにおいて、図10には一つのマイクロ流体経路当たり1つの金コロイド標識抗体が設置されているが、図13あるいは図20のように一つのマイクロ流体経路当たり2つの金コロイド標識抗体が設置されていてもよい。このようにして、一つのマイクロ流体経路(レーン)当たり2つの抗原を評価することも出来る。なお、同じ金コロイド標識抗体を図13または図20のように一つのマイクロ流体経路当たり2つ設置することにより、検体の濃度の幅を測定することが出来る。
本発明の「上部パーツ」とは、主に検査結果の表示部分であって、抗原の存在の有無を確認できるテストゾーンと、検体がマイクロ流体経路を流れたことを確認するコントロールゾーンの2つの部分を持つパーツである。例えば、図7に示されるように、白色で示されるマイクロ流体経路を持ち、テストゾーンとコントロールゾーンに区分された2つのマイクロ流体経路を持っていてもよく、図12〜13に示されるように一つのマイクロ液体流路にテストゾーンとコントロールゾーンの2つの部分を持っていてもよい。テストゾーンには、適当な位置に抗原特異的抗体が固相化されて設置されている。また、コントロールゾーンには、適当な位置に標識抗体特異的抗体が固相化されて設置されている。なお、図13に示されるようにコントロールゾーンに抗原特異的抗体と標識抗体特異的抗体が固相化されて設置されていてもよい。あるいは、図20、図21のように流路を追加してもよい。また、上部パーツの材質、製造方法は、前記下部パーツと同様に行なうことができる。
また、テストゾーンとコントロールゾーンに抗原特異的抗体と標識抗体特異的抗体を固相化させるために、好ましくは、濾紙等の紙(イムノクロマトグラフィー用紙等)の材質が好適であり、より好ましくはニトロセルロースを挙げることができる。なお、上部パーツのテストゾーンとコントロールゾーンの部分が、濾紙等の紙の材質でない場合には、該当する部分を削除して、濾紙等の紙の材質に置き換えるとよい。あるいは、上部パーツを単純化して、図37〜39に示されるように、濾紙等の紙の細片のみをマイクロ流体経路として使用することもできる。さらに、コンジュゲートパッドあるいは不織布にバータンを印刷して、直接該当箇所に金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗原抗体を固相化して利用することもできる。
本発明の「複数のマクロ流体経路が平行に設置されてグループを形成(する)」とは、例えば図7と図16のテストゾーンやコントロールゾーンに示されるように、マイクロ流体経路が一組のグループになっている状態を示すものである。
本発明の「検体」とは、検査対象である血液、尿、糞便、喀痰、鼻汁等の生物学的流体や動植物細胞および微生物コロニー等の培養液や破砕液等を適切な処理を行った後に、検体として使用するものを言う。
本発明の「抗原特異的抗体」とは、上記金コロイド標識抗体で検出対象とした抗原に関する抗体のことを言うだけでなく、特許文献1に開示されるように、PCR法を用いて検体中のDNAを増幅した場合に用いられる、抗ハプテン物質抗体を含むものである。
本発明の「標識抗体特異的抗体」とは、標識抗体を認識する抗体のことであり、汎用のものを用いることができる。例えば、抗マウスイムノグロブリン抗体等を用いることができる。
本発明の「光硬化樹脂」とは、モノマー、オリゴマー、光重合開始剤と添加剤とで構成されるものであり、半導体の製造プロセスや微細作製プロセスにおいて汎用されているものを使用することができる。例えば、アクリル酸系のUV硬化樹脂を挙げることができる。
本発明の「撥水性」とは、検体の溶媒を吸収しないと言うことである。
本発明の「撥水性樹脂」とは、汎用の合成樹脂を使用することができる。例えばポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,アクリル,ポリエチレンテレフタレート,ポリスチレン,アクリロニトル・ブタジエン・スチレン共重合体,ポリカーボネート,ポリアミド,フッ素樹脂,ポリブチレンテレフタレート等を挙げることができる。また、上部パーツと下部パーツを圧着させるため、粘着剤を両面に塗布していてもよい。
本発明の「撥水性テープ」とは、上記撥水性樹脂シートがより薄い形状となったものを言い、市販のテープ類を使用することができる。例えば市販の両面テープを用いることができる。
本発明の「撥水性接着材」とは、撥水性の接着剤あるいは上記撥水性樹脂のシートや撥水性テープの両面に撥水性の接着剤を塗布したものを言う。下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツを組合わせて、マイクロ流体経路が一本の流路になり、水等の液体が通るように接着できる材質のものであれば、特に限定するものではない。なお、簡便に使用できる材質のものとしては、例えば、両面テープ等のものを挙げることができる。
−本発明の第二の態様−
本発明の第二の態様は、本発明の検査診断用チップを用いたイムノクロマトグラフィー検査方法に関するものである。
本発明の「金コロイド標識抗体の添加濃度を順次変化させ(る)」とは、各マイクロ流体経路(各レーン)毎に、金コロイド標識抗体の添加濃度を変えることを言う。添加濃度の設定は、検出目的に合わせて適宜変化させる。例えば、血中のヘモグロビンA1c濃度の測定であれば、血中ヘモグロビンA1c濃度が5.1%、6.5%のサンプルが完全にトラップできる量の金コロイド標識抗体を添加する。
本発明の「赤色の強度を評価する」とは、テストゾーンで発色する赤色の強度を、比色法にて評価することを言う。
第一の態様と第二態様の中で共通して使用される用語は、第一の態様と同じ意味を表わすものである。
−本発明の第三の態様−
本発明の第三の態様は、呈色反応を利用した検査診断用チップに関するものである。
本発明の「呈色反応試薬」とは、検体中の成分と反応して呈色する試薬のことを言い、比色分析方法で使用される汎用の試薬のことである。呈色反応試薬としては、例えば、糖の呈色反応に用いる試薬、タンパク質の呈色反応に用いる試薬、アミノ酸の呈色反応に用いる試薬、血液の呈色反応に用いる試薬等を挙げることができ、適宜、検査診断目的に応じて、その中から複数選択することができる。例えば、図30、図31に示すように、糖(グルコール)の呈色反応試薬とタンパク質(BSA)の呈色反応試薬を使用して、検査診断用チップを作製し、それを用いて、ヒトの排尿中の糖(グルコール)濃度とタンパク質濃度を、標準サンプルとの比色分析によって、求めることが出来た。
第一の態様〜第三態様の中で共通して使用される用語は、第一や第二の態様と同じ意味を表わすものである。
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の第一の態様は、3次元マイクロ流体経路を持つ検査診断用チップに関するものである。
本発明の「マイクロ流体経路」とは、断面が1mm以下の径の流路のことを言う。また、1本のマイクロ流体経路のことをレーンとも言う。
本発明の「3つのパーツ」とは、上部、中間部、下部の3つのパーツに分かれて作製される部材のことを言う。それぞれのパーツには、例えば図3〜7に示されるようなマイクロ流体経路を持つものを例示することが出来る。
本発明の「検査診断用チップ」とは、上部、中間部、下部の3つのパーツで組み立てられた、3次元マイクロ流体経路を持つものを言う。なお、3つのパーツ以外に、プラスチック等の撥水性部材を保護容器として使用することもできる。
本発明の「下部パーツ」とは、注入口から導入される検体を複数のマイクロ流体経路に分割して流す役割を担うと共に、イムノクロマトグラフィーの吸収パッドの役割を併せて担う部材である。下部パーツの材質は主に濾紙等の紙(イムノクロマトグラフィー用紙等)または不織布で作製されており、例えば特許文献2と3の方法あるいは公知文献(Anal.Chem.2009,81,7091−7095)の方法でマイクロ流体経路を作製することができる。
本発明の「複数に分岐したマクロ流体経路」とは、例えば図3、図14に示されるように、一つの注入口から、複数のマイクロ流体経路に分岐していく流路(レーン)のことを言う。
本発明の「分岐したマクロ流体経路に対応する数の独立したマクロ流体経路」とは、図3、図14に示される、中央部分に設置されている平行な一組の流路(レーン)を言う。
本発明の「中間部パーツ」とは、上部パーツと下部パーツのマイクロ流体経路を分離すると共に、上部パーツと下部パーツの流体経路を接続するための接続孔又は接続用のマイクロ流体経路の役割を担う部材である。そして、接続孔の場合、その接続孔はセルロースの粉末等の材料で充填され、毛管現象で検体の水等の流体が浸透して行けるようになっている。また、テストゾーンの直前の接続孔に、金コロイド標識抗体が設置されているので、上部パーツのテストゾーンに設置された抗原特異的抗体で抗原の評価が行なえるようになっている。また、検体注入口に接続する孔には、血液などを濾過したり、検体を精製したりできる機能を持つ材料を充填することができる。
また、接続用のマイクロ流体経路の場合、下部パーツと同様の方法で中間部パーツにマイクロ流体経路を作製することができる。そして、図37と図38に示されるように、そのマイクロ流体経路に金コロイド標識抗体が設置されている。従って、検体の水等の液体が流れて行けば、検体中の抗原が金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗体と反応して、一体となって上部パーツの方に流れて行く。
中間部パーツの材質としては、マイクロ流体経路以外の部分が撥水性のものであれば特に限定されるものではない。また、紙であっても、下部パーツの作製と同様に、公知文献特許文献2と3の方法と公知文献(Anal.Chem.2009,81,7091−7095)の方法に準じて作製することができる。その場合には、孔やマイクロ流体経路を開設する必要がないので、セルロース粉末の充填は不要となる。中間部パーツの材質が撥水性のものである場合、好ましい材質としては、撥水性の樹脂シートや撥水性の両面テープを挙げることが出来る。中間部パーツの材質が紙又は不織布である場合には、好ましい材質として濾紙等を挙げることができる。
本発明の「金コロイド標識抗体」とは、検体の中に含まれる抗原に対する特異的抗体を金コロイドと結合させたものを言う。本発明で使用可能な抗原特異的抗体としては、公知のイムノクロマトグラフィー法で使用されるものであれば特に限定されるものではない。好ましい抗原特異的抗体の抗原としては、例えばヘモグロビンA1c(HbA1c)、FGF21、FGF19、アディポネクチン、レプチン、インスリン、可溶性インスリン受容体α、レジスチン、TNF−α、IL−6、糖化アルブミンなどの糖尿病関連抗原、例えば肝炎ウイルス・マーカー、インフルエンザマーカ、ノロウイルスマーカーなどのウイルス関連抗原、例えば食中毒関連細菌、土壌細菌、薬剤耐性菌などの細菌など関連抗原、例えば皮膚関連抗原、妊娠関連抗原などの皮膚、妊娠関連抗原、例えばPSA(前立腺特異抗原)、GAT(癌関連ガラクトース転移酵素)、尿中BTA(膀胱腫瘍抗原)などの癌関連抗原を挙げることができる。
なお、本発明の金コロイド標識抗体として、アビジンが結合した「アビジン標識金コロイド」を用いることができる。アビジン標識金コロイドとは、金コロイドとアビジンを結合させたものを言う。このアビジン標識金コロイドを使用することによって、例えば検体の中に含まれるDNAの検出が可能になる。即ち、DNAにラベルされたビオチンをアビジン標識金コロイドと結合させることができるため、特許文献1に示されるようにイムノクロマトグラフィー法(図22)での検出が可能となる。本発明で使用可能なDNAとしては、PCRで増幅可能なあらゆるDNAが対象として挙げられる。例えば、公知の糖尿病関連遺伝子、癌関連遺伝子、脳疾患関連遺伝子、植物遺伝子などを挙げることができる。その一例として、例えば図38に示される形状のマイクロ流体経路を使用し、FGF21のPCR増幅産物を評価すると、図39に示されるように本発明の検査診断用チップでFGF21のPCR増幅産物が検査できることが示された。
本発明の検査評価用チップにおいて、図10には一つのマイクロ流体経路当たり1つの金コロイド標識抗体が設置されているが、図13あるいは図20のように一つのマイクロ流体経路当たり2つの金コロイド標識抗体が設置されていてもよい。このようにして、一つのマイクロ流体経路(レーン)当たり2つの抗原を評価することも出来る。なお、同じ金コロイド標識抗体を図13または図20のように一つのマイクロ流体経路当たり2つ設置することにより、検体の濃度の幅を測定することが出来る。
本発明の「上部パーツ」とは、主に検査結果の表示部分であって、抗原の存在の有無を確認できるテストゾーンと、検体がマイクロ流体経路を流れたことを確認するコントロールゾーンの2つの部分を持つパーツである。例えば、図7に示されるように、白色で示されるマイクロ流体経路を持ち、テストゾーンとコントロールゾーンに区分された2つのマイクロ流体経路を持っていてもよく、図12〜13に示されるように一つのマイクロ液体流路にテストゾーンとコントロールゾーンの2つの部分を持っていてもよい。テストゾーンには、適当な位置に抗原特異的抗体が固相化されて設置されている。また、コントロールゾーンには、適当な位置に標識抗体特異的抗体が固相化されて設置されている。なお、図13に示されるようにコントロールゾーンに抗原特異的抗体と標識抗体特異的抗体が固相化されて設置されていてもよい。あるいは、図20、図21のように流路を追加してもよい。また、上部パーツの材質、製造方法は、前記下部パーツと同様に行なうことができる。
また、テストゾーンとコントロールゾーンに抗原特異的抗体と標識抗体特異的抗体を固相化させるために、好ましくは、濾紙等の紙(イムノクロマトグラフィー用紙等)の材質が好適であり、より好ましくはニトロセルロースを挙げることができる。なお、上部パーツのテストゾーンとコントロールゾーンの部分が、濾紙等の紙の材質でない場合には、該当する部分を削除して、濾紙等の紙の材質に置き換えるとよい。あるいは、上部パーツを単純化して、図37〜39に示されるように、濾紙等の紙の細片のみをマイクロ流体経路として使用することもできる。さらに、コンジュゲートパッドあるいは不織布にバータンを印刷して、直接該当箇所に金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗原抗体を固相化して利用することもできる。
本発明の「複数のマクロ流体経路が平行に設置されてグループを形成(する)」とは、例えば図7と図16のテストゾーンやコントロールゾーンに示されるように、マイクロ流体経路が一組のグループになっている状態を示すものである。
本発明の「検体」とは、検査対象である血液、尿、糞便、喀痰、鼻汁等の生物学的流体や動植物細胞および微生物コロニー等の培養液や破砕液等を適切な処理を行った後に、検体として使用するものを言う。
本発明の「抗原特異的抗体」とは、上記金コロイド標識抗体で検出対象とした抗原に関する抗体のことを言うだけでなく、特許文献1に開示されるように、PCR法を用いて検体中のDNAを増幅した場合に用いられる、抗ハプテン物質抗体を含むものである。
本発明の「標識抗体特異的抗体」とは、標識抗体を認識する抗体のことであり、汎用のものを用いることができる。例えば、抗マウスイムノグロブリン抗体等を用いることができる。
本発明の「光硬化樹脂」とは、モノマー、オリゴマー、光重合開始剤と添加剤とで構成されるものであり、半導体の製造プロセスや微細作製プロセスにおいて汎用されているものを使用することができる。例えば、アクリル酸系のUV硬化樹脂を挙げることができる。
本発明の「撥水性」とは、検体の溶媒を吸収しないと言うことである。
本発明の「撥水性樹脂」とは、汎用の合成樹脂を使用することができる。例えばポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,アクリル,ポリエチレンテレフタレート,ポリスチレン,アクリロニトル・ブタジエン・スチレン共重合体,ポリカーボネート,ポリアミド,フッ素樹脂,ポリブチレンテレフタレート等を挙げることができる。また、上部パーツと下部パーツを圧着させるため、粘着剤を両面に塗布していてもよい。
本発明の「撥水性テープ」とは、上記撥水性樹脂シートがより薄い形状となったものを言い、市販のテープ類を使用することができる。例えば市販の両面テープを用いることができる。
本発明の「撥水性接着材」とは、撥水性の接着剤あるいは上記撥水性樹脂のシートや撥水性テープの両面に撥水性の接着剤を塗布したものを言う。下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツを組合わせて、マイクロ流体経路が一本の流路になり、水等の液体が通るように接着できる材質のものであれば、特に限定するものではない。なお、簡便に使用できる材質のものとしては、例えば、両面テープ等のものを挙げることができる。
−本発明の第二の態様−
本発明の第二の態様は、本発明の検査診断用チップを用いたイムノクロマトグラフィー検査方法に関するものである。
本発明の「金コロイド標識抗体の添加濃度を順次変化させ(る)」とは、各マイクロ流体経路(各レーン)毎に、金コロイド標識抗体の添加濃度を変えることを言う。添加濃度の設定は、検出目的に合わせて適宜変化させる。例えば、血中のヘモグロビンA1c濃度の測定であれば、血中ヘモグロビンA1c濃度が5.1%、6.5%のサンプルが完全にトラップできる量の金コロイド標識抗体を添加する。
本発明の「赤色の強度を評価する」とは、テストゾーンで発色する赤色の強度を、比色法にて評価することを言う。
第一の態様と第二態様の中で共通して使用される用語は、第一の態様と同じ意味を表わすものである。
−本発明の第三の態様−
本発明の第三の態様は、呈色反応を利用した検査診断用チップに関するものである。
本発明の「呈色反応試薬」とは、検体中の成分と反応して呈色する試薬のことを言い、比色分析方法で使用される汎用の試薬のことである。呈色反応試薬としては、例えば、糖の呈色反応に用いる試薬、タンパク質の呈色反応に用いる試薬、アミノ酸の呈色反応に用いる試薬、血液の呈色反応に用いる試薬等を挙げることができ、適宜、検査診断目的に応じて、その中から複数選択することができる。例えば、図30、図31に示すように、糖(グルコール)の呈色反応試薬とタンパク質(BSA)の呈色反応試薬を使用して、検査診断用チップを作製し、それを用いて、ヒトの排尿中の糖(グルコール)濃度とタンパク質濃度を、標準サンプルとの比色分析によって、求めることが出来た。
第一の態様〜第三態様の中で共通して使用される用語は、第一や第二の態様と同じ意味を表わすものである。
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)マイクロ流体経路を有する検査診断用チップの作製
検査診断用チップは、上部、中間部、下部の3つのパーツから構成されており、材質は主に濾紙等(不織布、イムノクロマトグラフィー用紙、コンジュゲートパッド等)の紙である。ここで使用される紙は、イムノクロマトグラフィー法で汎用されるものであれば特に問題はない。
(1)下部パーツの作製
紙に光硬化樹脂(ホトレジスト)を含浸させ、130℃のホットプレートで予備加熱を10分間行う。
予備加熱を行った上記紙を室温(23℃)に冷却し、マイクロ流体経路に相当する部分をマスクして、UV照射(100mW/cm2)する。
再度、130℃のホットプレートで加熱を10分間行い、室温に冷却する。次いで、アセトン浴を1分間行ない、アセトンで1回洗浄する。そして、30%水−2−プロパノール溶液で2回洗浄して、図3に示される形状の樹脂部分(灰色部分)を持った下部パーツが作製される。
得られた下部パーツを室温下20分間乾燥させた後、酸素プラズマクリーナーに700mmHgで3秒暴露し、樹脂が付着していないマイクロ流体経路(灰色部分の中に含まれる白地の部分)の親水性を向上させる。
このようにして得られた下部パーツを図3に示す。
(2)中間部パーツの作製
中間部パーツの材質として、両面テープを用い、図4のようにパンチ等で穴を開ける。穴の位置は、上記下部パーツのマイクロ流体経路部分の末端部に相当する場所に設定する。左端の一個の穴は、検査液注入部分に対応し、上下に並んだ4つの組の穴は、マイクロ液体流路の末端に接続する位置に開いている。
この9個の穴に、セルロース粉末と水を混合したペースト状のものを充填し、乾燥させる。その後、図5のパーツが作製される。上下に並んだ4つの組の穴の内、左端の上下一組の穴に、金コロイド標識抗体(金で標識された抗ヘモグロビンA1c抗体A)を充填する。このようにして、中間部パーツが得られる。なお、中間部の材質として、撥水性の樹脂製シートやテープ、撥水性を示すコーテイングされた紙であれば特に問題はなく使用できる。
(3)上部パーツの作製
前記(1)と同様にして、図6に示されるマイクロ流体経路(白地部分)を作製した。図6の左端の円形部分は検査液注入部分に対応し、上下に並んだ2つの組の流路のそれぞれの末端は、前記中間部パーツの上下に並んだ4つの組の穴に対応する。
次に、図16の左側の上下に並んだ流路をテストゾーンとし、右側の上下に並んだ流路をコントロールゾーンとする。テストゾーンの中央部に抗原特異的抗体(抗ヘモグロビンA1c抗体B)を固相化して定着させる。コントロールゾーンの中央部に標識抗体の特異的抗体(抗マウスイムノグロブリン抗体)を固相化して定着させる。このようにして、図7に示される上部パーツを得ることができる。抗体を固定化する位置は目的に応じて変更できる。
(4)検査診断用チップの組立て
マイクロ流体経路が連結されるように、上部パーツ、中間部パーツ、下部パーツの3つを組合せて圧着する。その結果、図8に示される検査診断用チップが得られる。図8に示される検査診断用チップを図に示す切断個所で切った場合の断面図を図9に示す。
図9に示されるように、3次元マイクロ流体経路がつながったものが形成される。なお、中間部パーツに充填された金コロイド標識抗体(金で標識された抗ヘモグロビンA1c抗体A)、テストゾーンの中央部に固相化された抗原特異的抗体(抗ヘモグロビンA1c抗体B)、コントロールゾーンの中央部に固相化された標識抗体の特異的抗体(抗マウスイムノグロブリン抗体)を合わせて記載すると図10のように示される。
(実施例2)多項目検査診断用チップ(A)の作製
一つの検査診断用チップで多数の項目を評価する一つの方法として、上記中間部パーツを改変し、図11に示すように、別種類の金コロイド標識抗体を右側の上下一組の穴の部分に添加し、一つの経路の中で2種の抗原を検査するように出来る。そして、これに対応するため、図12に示すように、上部パーツの右側の一組のマイクロ流体経路の中に、対応する抗原特異的抗体を固定化し、また、少し離れた部分に標識抗体の特異的抗体を固定化する。このような図12の検査診断用チップを作製することにより、一つのマイクロ流体の経路の中で、2つの抗原を検査することができ、本実施例の検査診断用チップでは、合計4種の抗原を検査することが出来る。
(実施例3)多項目検査診断用チップ(B)の作製
一つの検査診断用チップで多数の項目を評価するもう一つの方法として、マイクロ流体経路を幾つかに分岐させて、実施例1と同様にして検査診断用チップを作製することができる。まず、図14に示す下部パーツと図15に示す中間部パーツ、図16に示す上部パーツを作製し、これらを圧着して、図17に示す多項目検査診断用チップを作製することができる。
図17に示されるように、一つの検体で8個の異なる項目の検査を行うことができる。
(実施例4)マイクロ流体経路を有する改良型検査診断用チップの作製
実施例1と同様に上部、中間部、下部の3つのパーツに分けて、検査診断用チップを作製した。なお、マイクロ流体経路の作製は、公知文献(Anal.Chem.2009,81,7091−7095)の方法を使用し、プリント法により作製した。
(1)下部パーツの作製
パーソナルコンピューターを用いて、マイクロ流体経路を持つ下部パーツのパターン(図29(1))を米国レターサイズ(215mm×280mm)上に構築した。パターン作図のソフトとして、フェニックス社のソフト(Cle Win)を使用し、PDF化した。
ペーパークロマト用濾紙(Whatman No.1 Chr)を使用し、米国レターサイズに切断し、光高品質印刷が標準仕様のプリンターにセットして印刷する。
下部パーツが印刷された用紙を150℃のホットプレート上で2分間加熱し、捺印されたインクを溶解させて、紙に浸潤させた。更に、インクを充分に浸潤させるため、1分間用紙をホットプレートにかざすことを複数回行った。
インクが定着した用紙をチップのサイズに切断し、マイクロ流体経路(白地部分)を有する下部パーツを作製した。
(2)中間部パーツの作製
両面テープを図29(2)の形に成形し、流体経路に該当する箇所に円形の孔をあける。
(3)上部パーツの作製
前記(1)と同様にして、図29(3)に示されるマイクロ流体経路(白地部分)を作製した。なお、図29(3)の4個の黒丸は、以下の試薬が充填されていることを示している。
a)タンパク質アッセイ試薬の充填
下塗り溶液として、8%エタノール溶液を含む250mMクエン酸バッファー(pH1.8)をマイクロピペットで0.2μl分取し、図29(3)の4個の流体経路の右側2箇所にそれぞれ充填する。室温で10分間乾燥した。その後、タンパク質との反応試薬として、95%エタノールを含む9mMテトラブロモフェノールブルー溶液を0.2μl分取して、それぞれ2箇所に充填し、室温で10分間乾燥した。
b)糖アッセイ試薬の充填
グルコース・オキシダーゼ−ホースラデッシュ・パーオキシダーゼ(1ml溶液当たり、120単位のグルコース・オキシダーゼ酵素活性と30単位のホースラデッシュ・パーオキシダーゼ酵素活性を示すもの)、0.6Mヨウ化カリウム及び0.3Mトレハロースを含有するpH6.0のリン酸緩衝液を0.2μl分取する。図29(3)の4個の流体経路の左側2箇所にそれぞれ充填し、室温で乾燥した。
(4)検査診断用チップの組立て
マイクロ流体経路が連結されるように、上部パーツ、中間部パーツ、下部パーツの3つを組合せて圧着する。その結果、図29の下図に示される検査診断用チップが得られる。
(実施例5)PCR−イムノクロマト法によるDNA又はRNAの検査診断用チップの作製
実施例4と同様に上部、中間部、下部の3つのパーツに分けて、検査診断用チップを作製した。
(1)下部パーツの作製
図32のa)に示されるマイクロ流体経路の図面(単位mm)を用いて、b)に示されるようなマイクロ流体経路(白地部分)を持つ下部パーツを作製した。図32のb)には20μlの展開液(5mM EDTA,0.6M tris,0.2M Nacl,1% Tween 20,1% BSA dissolve in 0.1L water,PH 9.0)を固相化させた。
(2)中間部パーツの作製
下部パーツの作製と同様にして、図33のa)に示されるマイクロ流体経路の図面(単位mm)を用いて、b)に示されるようなマイクロ流体経路(白地部分、赤字部分)を持つ中間部パーツを作製した。白地部分は試薬の存在しないマイクロ流体経路であり、赤字部分は、金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗原抗体が充填されているコンジュゲートパッドで、中間部パーツの該当箇所を切り抜き、同じサイズのコンジュゲートパッドを入れて完成する。コンジュゲートパッドあるいは不織布にバータンを印刷して、直接該当箇所に金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗原抗体を固相化して利用することもできる。
(3)上部パーツの作製
図34に示されるのは検査診断用チップに関する上部パーツに張るニトロセルロースメンブレインである。ニトロセルロースメンブレインに存在する2箇所の青い部分は、左側の部分が抗原特異的抗体を固相化したものであり、右側の部分が標識抗体特異的抗体を固相化したものである。下部パーツの作製と同様にして、図35のa)に示されるマイクロ流体経路の図面(単位mm)を用いて、図35のb)に示されるようなマイクロ流体経路(白地部分)を持つパーツにニトロセルロースメンブレインを張って上部パーツを作製した。
なお、図34の場合、イムノクロマトグラフィー用紙を使用すると、上記2種の抗体の固相化等に難しいことが起きるため、上記抗体を固相化させる部分はニトロセルロース等のセルロース膜で置き換えることが望ましい。即ち、置き換える該当箇所を切り抜き、同じサイズのセルロース膜を嵌め込むことで実施できる。
テスト・ゾーン等の部分をセルロース膜へ置き換える操作を避けるため、上部パーツとして、図35に示されるようにマイクロ流体経路(白地部分)を持つものを作製し、その上に、テスト・ゾーン等のマイクロ流体経路をセルロース膜で作製して架橋することを検討した。
(4)検査診断用チップの組立て
図36に示されるように、マイクロ流体経路が連結されるように、下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツの3つを、両面テープで組合せて圧着する。その上に、テスト・ゾーン等のパーツで架橋して、マイクロ流体経路が最後まで連結されるようにする。
図36に示される検査診断用チップを用いて行う、抗原測定またはPCR産物測定の原理を図示すると、図37、図38で表わすことができる。即ち、金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗体と抗原特異的抗体を適宜選択すれば、所望の生体成分の検査診断が可能になる。例えば、DNAとRNAに関する検出・診断は以下のようにして可能となる。
a)DNA検出用のチップ
検出したいDNAをあらかじめビオチンラベルした5’側PCRプライマーとジゴキシゲニン(DIG)ラベルした3’側プライマーで増幅する。増幅法はPCR法に限らない。増幅されたDNAを検体注入口から導入する。中間部パーツに充填された金コロイド標識アビジンを使用し、テストゾーンの中央部に固相化された抗原特異的抗体として、抗DIG抗体を使用する。コントロールゾーンの中央部にアビジンに結合するビオチン−BSAを固相化して定着させる。これにより、DIGに結合しなかった金コロイドDNAを検出することができる。なお、ラベルする物質とそれに結合する物質であれば、ビオチンやDIGである必要はなく、使用できる。
従って、例えばDIGの代わりにフルオレセイン(fluorescein,FLU)を使用し、その抗体をテストゾーンに使用することができる。この組み合わせを変えることにより、多項目の検査診断が可能となる。
b)RNA検出用のチップ
検出したいRNAをあらかじめcDNAに変換し、PCR増幅したい部位に対応するビオチンラベルした5’側PCRプライマーとジゴキシゲニン(DIG)ラベルした3’側プライマーで増幅し、それを検体注入口から導入し、中間部パーツに充填された金コロイド標識アビジンを使用し、テストゾーンの中央部に固相化された抗原特異的抗体として、抗DIG抗体を使用する。コントロールゾーンの中央部にアビジンに結合するビオチン−BSAを固相化して定着させる。これにより、DIGに結合しなかった金コロイドDNAを検出することができる。なお、ラベルする物質とそれに結合する物質であれば、ビオチンやDIGである必要はなく、使用できる。
従って、例えばDIGの代わりにフルオレセイン(fluorescein,FLU)を使用し、その抗体をテストゾーンに使用することができる。この組み合わせを変えることにより、多項目の検査診断が可能となる。
(実施例6)PCRなどにより増幅されたDNAの核酸クロマト法によるDNA又はRNAの検査診断用チップの作製
図23に示すのは2次元法による典型的な核酸クロマト法の原理図である。この方法により1検体の検査が可能であるが、本発明により、多項目の検査、濃度チェック、サイズチェックが可能となる。例えば、図19あるいは図21において、抗原の代わりにDNAを用い、抗体の代わりに捕捉用核酸を用いることにより、検査が可能となる。検出したいDNAをあらかじめビオチンラベルした5’側PCRプライマーで非対称PCR法により1本鎖DNAを増幅する。増幅法はPCR法に限らない。増幅された1本鎖DNAを検体注入口から導入する。中間部パーツに充填された金コロイド標識アビジンを使用し、テストゾーンの片側に固相化された抗原特異的抗体の代わりに、1本鎖DNA捕捉用オリゴDNA(A)を定着する。さらに、テストゾーンの別の片側に、1本鎖DNA捕捉用オリゴDNA(B)を定着する。2種類の捕捉用オリゴDNAを使用することにより、非得意的なハイブリダイゼーションによる検出を防止することができる。コントロールゾーンの中央部にビオチンラベルしたプライマーに相補的オリゴ核酸を固相化して定着させる。これにより、捕捉用オリゴDNAに結合しなかった金コロイドDNAを検出することができる。なお、ラベルする物質とそれに結合する物質であれば、ビオチンである必要はなく、DIGやFLUなども使用できる。
従って、例えばDIGの代わりにフルオレセイン(fluorescein,FLU)を使用し、その抗体をテストゾーンに使用することができる。この組み合わせを変えることにより、多項目の検査診断が可能となる。
あるいは、捕捉用のオリゴDNAを検出したい配列に変えることにより、多項目の検査が可能となる。あるいは、NASBA法により、一本鎖RNAを増幅する。
あるいは、図24−図28に示すように、標的DNAまたはRNAを含むサンプルを検体注入口(図27)から導入する。一方、テストゾーンには、固相化アンチDIG抗体の代わりに標的核酸と相補的な配列で、金コロイドに結合したDNAとは異なる配列を持つDNAを固定しておく。標的核酸は、テストゾーンに捕捉される。次に、図27の金オリゴプローブをその注入口から導入すると、金コロイド標識DNAは、標的核酸にハイブリダイズできるように設計し、標的の核酸と相補的な配列を持つ。標的核酸が存在すれば、テストゾーンに捕捉される。この方法により、配列特異的に核酸を検出することができる。金コロイド結合DNAおよび捕捉用のオリゴDNAを検出したい標的の配列に応じて変えることにより、多項目の検査が可能となる。
(実施例7)PCRで増幅されたDNAの核酸クロマト法によるDNAの検査診断用チップの作製
実施例4の検査診断用チップを使用し、以下のように試薬を担持させ、組み立てを行った。まず、図36に示されるPCR産物検査診断用チップの作製を行った。図36に示されるように、8つのパーツに分けて作製し、各パーツにそれぞれ機能を持たせた。下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツのパータンを図32、図33、図35のようにデザインして、不織布に印刷した。その結果、マイクロ流体経路は親水性、その以外の部分は疎水性となった。
図36に示すように組み立てを行い、上部パーツのAnti−DIGとBiotin−BSAを固相化したセルロースメンブレイン(図34)をイムノクロマトグラフィー法におけるテストゾーン、コントロールゾーンとした。下部パーツと中間部パーツ、中間部パーツと上部パーツは両面テープで、マイクロ流体経路を接続するために穴を開けた。中間部パーツにはgold−avidinを固相化させたコンジュケットパッドを入れ、下部パーツは、主にマイクロ流体経路で、イムノクロマト法におけるサンプルパッドと吸収パッドの役割を併せ持つものとした。
本実施例7の使用方法としては、PCR産物を含む溶液(検体)を注入口に滴下すると検体の溶液が中間部パーツを移動し、下部パーツのマイクロ流体経路を通じて、中間部パーツのgold−avidinと結合して、上部パーツのテストゾーンに到着し、そこに固相化されたanti−DIGと結合して、発色する。一方、検体と結合してないgold−avidinはコントロールゾーンに到達して、コントロールゾーンに固相化されたBiotin−BSAと反応して発色する。
(試験例1)ヘモグロビンA1cの血中濃度測定
図13で示される検査診断用チップを用いて、テストゾーンに用いた同じ抗体をコントロールゾーンに定着させる。テストゾーンの抗体濃度を各レーン毎(マイクロ流体経路毎)に変化させる。即ち、テストゾーンのヘモグロビンA1c(HbA1c)の抗体濃度を以下のように設定する。2つのレーンの一つには、血中のHbA1c濃度が5.1%以下であれば完全にHbA1c抗体でトラップされる濃度設定を行う。もう一方のレーンには血中HbA1c濃度が6.5%以下であれば完全にHbA1c抗体でトラップされる濃度設定を行なう。
このHbA1c抗体濃度設定の検査診断用チップを用いることにより、被験者の血中のHbA1c濃度を測定すると、被験者の血中のHbA1c濃度が5.1%以下の場合、両レーンのコントロールゾーンの左側のHbA1c抗体には、シグナル(発色)が検出されない。即ち、被験者の血液を測定し、上記のようにコントロールゾーンにシグナル(発色)が検出されない場合には、被験者のHbA1c濃度が正常値であるということになる。
一方、被験者の血液を測定して、両レーンのコントロールゾーンのHbA1c抗体が赤く発色する場合には、被験者の血中HbA1c濃度が6.5%以上ということになり、被験者は糖尿病であると言う診断が可能となる。
更に、一つのレーンのコントロールゾーンのHbA1c抗体が赤く発色するが、他のレーンのコントロールゾーンのHbA1c抗体が発色しない場合、被験者の血中HbA1c濃度は、5.1〜6.5%の範囲にあることになり、糖尿予備軍として診断されることになる。
(試験例2)ヒト尿中の糖とタンパク質の検出・評価試験
実施例4の検査診断用チップを用いて、尿中の糖とタンパク質の排出量の評価試験を行った。
まず、ネガテイブ・コントロール溶液として、人工尿(1.1mM lactic acid,2.0mM citric acid,25mMsodium bicarbonate, 170mM urea, 2.5mM calcium chloride,90mM sodium chloride,2.0mM magnesium sulfate,10mM sodium sulfate,7.0mMpotassium dihydrogen phosphate,7.0mM dipotassium hydrogen phosphate,25mM ammonium chloride dissolve in 1L water,PH6.0)を使用した。ポジテイブ・コントロール溶液としては、人工尿を用いて、以下の3つの溶液を作製した。
a)2.5mMのグルコース(Glc)と12μMのウシ血清アルブミン(BSA)溶液、
b)5.0mMのGlcと25μMのBSA溶液、
c)10mMのGlcと50μMのBSA溶液
(1)糖とタンパク質の尿中排出濃度の評価基準の設定
上記の溶液をそれぞれ5μl採取し、マイクロ流体経路の注入孔に滴下注入する。その場合、図30に示す反応が進行し、呈色反応を示すことになる。即ち、Glcの場合、グルコース・オキシダーゼと反応し、過酸化水素とグルクロン酸が産生される。この過酸化水素がヨウ化カリウムと反応して、茶褐色のヨウ素が発生し、呈色されることになる。一方、BSAの場合、テトラブロモフェノールブルー試薬は、酸性下では黄色であるが、BSAのアミノ基と結合して青色化合物を形成するため、黄色から青色に色が変化して行く。即ち、この青色の強度が尿中タンパク質の濃度に相関している。
実施例4の検査診断用チップを用いて行った結果を図31のa)に示す。GlcとBSAの濃度が増加していくに従い、Glcの場合には、白色から茶褐色に変化して行き、BSAの場合には、黄色から青色に変化して行くことが分かる。従って、検体を評価した時に、色調が同じものであれば同じ濃度GlcやBSAが含まれることになる。
(2)検査診断用チップを用いたヒト尿中の糖とタンパク質の評価
実施例4の検査診断用チップにヒトの尿を使用した場合の結果を図31のb)に示す。この結果から、検査した尿には、Glcの濃度が2.5mM以下であり、タンパク質量が25〜50μMであることが評価できた。
(試験例3)FGF21のPCR産物の検出試験
実施例7の検査診断用チップを使用して、FGF21のPCR産物の検出を行った。
DIGでラベリングしたプライマー、ビオチン(biotin)でラベリングしたプライマー、FGF21cDNA(human)を用いて、常法によりPCRを行い、PCR産物を取得した。
このPCR産物を蒸留水で希釈し、25ng/μlに設定する。この溶液を150μlを採取して、検査診断用チップの注入口に滴下する。また、ネガテイブ・コントロールとして、蒸留水を使用した。
この結果を図39に示す。図39のa)で示されるように、ネガテイブ・コントロールを使用した場合には、コントロールの標識抗体の特異的抗体(biotin−BSA)のみが赤く発色した。一方、図39のb)で示されるように、FGF21のPCR産物を含む溶液を使用する場合には、抗原特異的抗体(anti−DIG)と標識抗体の特異的抗体(biotin−BSA)の両方が赤く発色した。
検査診断用チップは、上部、中間部、下部の3つのパーツから構成されており、材質は主に濾紙等(不織布、イムノクロマトグラフィー用紙、コンジュゲートパッド等)の紙である。ここで使用される紙は、イムノクロマトグラフィー法で汎用されるものであれば特に問題はない。
(1)下部パーツの作製
紙に光硬化樹脂(ホトレジスト)を含浸させ、130℃のホットプレートで予備加熱を10分間行う。
予備加熱を行った上記紙を室温(23℃)に冷却し、マイクロ流体経路に相当する部分をマスクして、UV照射(100mW/cm2)する。
再度、130℃のホットプレートで加熱を10分間行い、室温に冷却する。次いで、アセトン浴を1分間行ない、アセトンで1回洗浄する。そして、30%水−2−プロパノール溶液で2回洗浄して、図3に示される形状の樹脂部分(灰色部分)を持った下部パーツが作製される。
得られた下部パーツを室温下20分間乾燥させた後、酸素プラズマクリーナーに700mmHgで3秒暴露し、樹脂が付着していないマイクロ流体経路(灰色部分の中に含まれる白地の部分)の親水性を向上させる。
このようにして得られた下部パーツを図3に示す。
(2)中間部パーツの作製
中間部パーツの材質として、両面テープを用い、図4のようにパンチ等で穴を開ける。穴の位置は、上記下部パーツのマイクロ流体経路部分の末端部に相当する場所に設定する。左端の一個の穴は、検査液注入部分に対応し、上下に並んだ4つの組の穴は、マイクロ液体流路の末端に接続する位置に開いている。
この9個の穴に、セルロース粉末と水を混合したペースト状のものを充填し、乾燥させる。その後、図5のパーツが作製される。上下に並んだ4つの組の穴の内、左端の上下一組の穴に、金コロイド標識抗体(金で標識された抗ヘモグロビンA1c抗体A)を充填する。このようにして、中間部パーツが得られる。なお、中間部の材質として、撥水性の樹脂製シートやテープ、撥水性を示すコーテイングされた紙であれば特に問題はなく使用できる。
(3)上部パーツの作製
前記(1)と同様にして、図6に示されるマイクロ流体経路(白地部分)を作製した。図6の左端の円形部分は検査液注入部分に対応し、上下に並んだ2つの組の流路のそれぞれの末端は、前記中間部パーツの上下に並んだ4つの組の穴に対応する。
次に、図16の左側の上下に並んだ流路をテストゾーンとし、右側の上下に並んだ流路をコントロールゾーンとする。テストゾーンの中央部に抗原特異的抗体(抗ヘモグロビンA1c抗体B)を固相化して定着させる。コントロールゾーンの中央部に標識抗体の特異的抗体(抗マウスイムノグロブリン抗体)を固相化して定着させる。このようにして、図7に示される上部パーツを得ることができる。抗体を固定化する位置は目的に応じて変更できる。
(4)検査診断用チップの組立て
マイクロ流体経路が連結されるように、上部パーツ、中間部パーツ、下部パーツの3つを組合せて圧着する。その結果、図8に示される検査診断用チップが得られる。図8に示される検査診断用チップを図に示す切断個所で切った場合の断面図を図9に示す。
図9に示されるように、3次元マイクロ流体経路がつながったものが形成される。なお、中間部パーツに充填された金コロイド標識抗体(金で標識された抗ヘモグロビンA1c抗体A)、テストゾーンの中央部に固相化された抗原特異的抗体(抗ヘモグロビンA1c抗体B)、コントロールゾーンの中央部に固相化された標識抗体の特異的抗体(抗マウスイムノグロブリン抗体)を合わせて記載すると図10のように示される。
(実施例2)多項目検査診断用チップ(A)の作製
一つの検査診断用チップで多数の項目を評価する一つの方法として、上記中間部パーツを改変し、図11に示すように、別種類の金コロイド標識抗体を右側の上下一組の穴の部分に添加し、一つの経路の中で2種の抗原を検査するように出来る。そして、これに対応するため、図12に示すように、上部パーツの右側の一組のマイクロ流体経路の中に、対応する抗原特異的抗体を固定化し、また、少し離れた部分に標識抗体の特異的抗体を固定化する。このような図12の検査診断用チップを作製することにより、一つのマイクロ流体の経路の中で、2つの抗原を検査することができ、本実施例の検査診断用チップでは、合計4種の抗原を検査することが出来る。
(実施例3)多項目検査診断用チップ(B)の作製
一つの検査診断用チップで多数の項目を評価するもう一つの方法として、マイクロ流体経路を幾つかに分岐させて、実施例1と同様にして検査診断用チップを作製することができる。まず、図14に示す下部パーツと図15に示す中間部パーツ、図16に示す上部パーツを作製し、これらを圧着して、図17に示す多項目検査診断用チップを作製することができる。
図17に示されるように、一つの検体で8個の異なる項目の検査を行うことができる。
(実施例4)マイクロ流体経路を有する改良型検査診断用チップの作製
実施例1と同様に上部、中間部、下部の3つのパーツに分けて、検査診断用チップを作製した。なお、マイクロ流体経路の作製は、公知文献(Anal.Chem.2009,81,7091−7095)の方法を使用し、プリント法により作製した。
(1)下部パーツの作製
パーソナルコンピューターを用いて、マイクロ流体経路を持つ下部パーツのパターン(図29(1))を米国レターサイズ(215mm×280mm)上に構築した。パターン作図のソフトとして、フェニックス社のソフト(Cle Win)を使用し、PDF化した。
ペーパークロマト用濾紙(Whatman No.1 Chr)を使用し、米国レターサイズに切断し、光高品質印刷が標準仕様のプリンターにセットして印刷する。
下部パーツが印刷された用紙を150℃のホットプレート上で2分間加熱し、捺印されたインクを溶解させて、紙に浸潤させた。更に、インクを充分に浸潤させるため、1分間用紙をホットプレートにかざすことを複数回行った。
インクが定着した用紙をチップのサイズに切断し、マイクロ流体経路(白地部分)を有する下部パーツを作製した。
(2)中間部パーツの作製
両面テープを図29(2)の形に成形し、流体経路に該当する箇所に円形の孔をあける。
(3)上部パーツの作製
前記(1)と同様にして、図29(3)に示されるマイクロ流体経路(白地部分)を作製した。なお、図29(3)の4個の黒丸は、以下の試薬が充填されていることを示している。
a)タンパク質アッセイ試薬の充填
下塗り溶液として、8%エタノール溶液を含む250mMクエン酸バッファー(pH1.8)をマイクロピペットで0.2μl分取し、図29(3)の4個の流体経路の右側2箇所にそれぞれ充填する。室温で10分間乾燥した。その後、タンパク質との反応試薬として、95%エタノールを含む9mMテトラブロモフェノールブルー溶液を0.2μl分取して、それぞれ2箇所に充填し、室温で10分間乾燥した。
b)糖アッセイ試薬の充填
グルコース・オキシダーゼ−ホースラデッシュ・パーオキシダーゼ(1ml溶液当たり、120単位のグルコース・オキシダーゼ酵素活性と30単位のホースラデッシュ・パーオキシダーゼ酵素活性を示すもの)、0.6Mヨウ化カリウム及び0.3Mトレハロースを含有するpH6.0のリン酸緩衝液を0.2μl分取する。図29(3)の4個の流体経路の左側2箇所にそれぞれ充填し、室温で乾燥した。
(4)検査診断用チップの組立て
マイクロ流体経路が連結されるように、上部パーツ、中間部パーツ、下部パーツの3つを組合せて圧着する。その結果、図29の下図に示される検査診断用チップが得られる。
(実施例5)PCR−イムノクロマト法によるDNA又はRNAの検査診断用チップの作製
実施例4と同様に上部、中間部、下部の3つのパーツに分けて、検査診断用チップを作製した。
(1)下部パーツの作製
図32のa)に示されるマイクロ流体経路の図面(単位mm)を用いて、b)に示されるようなマイクロ流体経路(白地部分)を持つ下部パーツを作製した。図32のb)には20μlの展開液(5mM EDTA,0.6M tris,0.2M Nacl,1% Tween 20,1% BSA dissolve in 0.1L water,PH 9.0)を固相化させた。
(2)中間部パーツの作製
下部パーツの作製と同様にして、図33のa)に示されるマイクロ流体経路の図面(単位mm)を用いて、b)に示されるようなマイクロ流体経路(白地部分、赤字部分)を持つ中間部パーツを作製した。白地部分は試薬の存在しないマイクロ流体経路であり、赤字部分は、金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗原抗体が充填されているコンジュゲートパッドで、中間部パーツの該当箇所を切り抜き、同じサイズのコンジュゲートパッドを入れて完成する。コンジュゲートパッドあるいは不織布にバータンを印刷して、直接該当箇所に金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗原抗体を固相化して利用することもできる。
(3)上部パーツの作製
図34に示されるのは検査診断用チップに関する上部パーツに張るニトロセルロースメンブレインである。ニトロセルロースメンブレインに存在する2箇所の青い部分は、左側の部分が抗原特異的抗体を固相化したものであり、右側の部分が標識抗体特異的抗体を固相化したものである。下部パーツの作製と同様にして、図35のa)に示されるマイクロ流体経路の図面(単位mm)を用いて、図35のb)に示されるようなマイクロ流体経路(白地部分)を持つパーツにニトロセルロースメンブレインを張って上部パーツを作製した。
なお、図34の場合、イムノクロマトグラフィー用紙を使用すると、上記2種の抗体の固相化等に難しいことが起きるため、上記抗体を固相化させる部分はニトロセルロース等のセルロース膜で置き換えることが望ましい。即ち、置き換える該当箇所を切り抜き、同じサイズのセルロース膜を嵌め込むことで実施できる。
テスト・ゾーン等の部分をセルロース膜へ置き換える操作を避けるため、上部パーツとして、図35に示されるようにマイクロ流体経路(白地部分)を持つものを作製し、その上に、テスト・ゾーン等のマイクロ流体経路をセルロース膜で作製して架橋することを検討した。
(4)検査診断用チップの組立て
図36に示されるように、マイクロ流体経路が連結されるように、下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツの3つを、両面テープで組合せて圧着する。その上に、テスト・ゾーン等のパーツで架橋して、マイクロ流体経路が最後まで連結されるようにする。
図36に示される検査診断用チップを用いて行う、抗原測定またはPCR産物測定の原理を図示すると、図37、図38で表わすことができる。即ち、金コロイド標識抗体あるいはラテックス標識抗体と抗原特異的抗体を適宜選択すれば、所望の生体成分の検査診断が可能になる。例えば、DNAとRNAに関する検出・診断は以下のようにして可能となる。
a)DNA検出用のチップ
検出したいDNAをあらかじめビオチンラベルした5’側PCRプライマーとジゴキシゲニン(DIG)ラベルした3’側プライマーで増幅する。増幅法はPCR法に限らない。増幅されたDNAを検体注入口から導入する。中間部パーツに充填された金コロイド標識アビジンを使用し、テストゾーンの中央部に固相化された抗原特異的抗体として、抗DIG抗体を使用する。コントロールゾーンの中央部にアビジンに結合するビオチン−BSAを固相化して定着させる。これにより、DIGに結合しなかった金コロイドDNAを検出することができる。なお、ラベルする物質とそれに結合する物質であれば、ビオチンやDIGである必要はなく、使用できる。
従って、例えばDIGの代わりにフルオレセイン(fluorescein,FLU)を使用し、その抗体をテストゾーンに使用することができる。この組み合わせを変えることにより、多項目の検査診断が可能となる。
b)RNA検出用のチップ
検出したいRNAをあらかじめcDNAに変換し、PCR増幅したい部位に対応するビオチンラベルした5’側PCRプライマーとジゴキシゲニン(DIG)ラベルした3’側プライマーで増幅し、それを検体注入口から導入し、中間部パーツに充填された金コロイド標識アビジンを使用し、テストゾーンの中央部に固相化された抗原特異的抗体として、抗DIG抗体を使用する。コントロールゾーンの中央部にアビジンに結合するビオチン−BSAを固相化して定着させる。これにより、DIGに結合しなかった金コロイドDNAを検出することができる。なお、ラベルする物質とそれに結合する物質であれば、ビオチンやDIGである必要はなく、使用できる。
従って、例えばDIGの代わりにフルオレセイン(fluorescein,FLU)を使用し、その抗体をテストゾーンに使用することができる。この組み合わせを変えることにより、多項目の検査診断が可能となる。
(実施例6)PCRなどにより増幅されたDNAの核酸クロマト法によるDNA又はRNAの検査診断用チップの作製
図23に示すのは2次元法による典型的な核酸クロマト法の原理図である。この方法により1検体の検査が可能であるが、本発明により、多項目の検査、濃度チェック、サイズチェックが可能となる。例えば、図19あるいは図21において、抗原の代わりにDNAを用い、抗体の代わりに捕捉用核酸を用いることにより、検査が可能となる。検出したいDNAをあらかじめビオチンラベルした5’側PCRプライマーで非対称PCR法により1本鎖DNAを増幅する。増幅法はPCR法に限らない。増幅された1本鎖DNAを検体注入口から導入する。中間部パーツに充填された金コロイド標識アビジンを使用し、テストゾーンの片側に固相化された抗原特異的抗体の代わりに、1本鎖DNA捕捉用オリゴDNA(A)を定着する。さらに、テストゾーンの別の片側に、1本鎖DNA捕捉用オリゴDNA(B)を定着する。2種類の捕捉用オリゴDNAを使用することにより、非得意的なハイブリダイゼーションによる検出を防止することができる。コントロールゾーンの中央部にビオチンラベルしたプライマーに相補的オリゴ核酸を固相化して定着させる。これにより、捕捉用オリゴDNAに結合しなかった金コロイドDNAを検出することができる。なお、ラベルする物質とそれに結合する物質であれば、ビオチンである必要はなく、DIGやFLUなども使用できる。
従って、例えばDIGの代わりにフルオレセイン(fluorescein,FLU)を使用し、その抗体をテストゾーンに使用することができる。この組み合わせを変えることにより、多項目の検査診断が可能となる。
あるいは、捕捉用のオリゴDNAを検出したい配列に変えることにより、多項目の検査が可能となる。あるいは、NASBA法により、一本鎖RNAを増幅する。
あるいは、図24−図28に示すように、標的DNAまたはRNAを含むサンプルを検体注入口(図27)から導入する。一方、テストゾーンには、固相化アンチDIG抗体の代わりに標的核酸と相補的な配列で、金コロイドに結合したDNAとは異なる配列を持つDNAを固定しておく。標的核酸は、テストゾーンに捕捉される。次に、図27の金オリゴプローブをその注入口から導入すると、金コロイド標識DNAは、標的核酸にハイブリダイズできるように設計し、標的の核酸と相補的な配列を持つ。標的核酸が存在すれば、テストゾーンに捕捉される。この方法により、配列特異的に核酸を検出することができる。金コロイド結合DNAおよび捕捉用のオリゴDNAを検出したい標的の配列に応じて変えることにより、多項目の検査が可能となる。
(実施例7)PCRで増幅されたDNAの核酸クロマト法によるDNAの検査診断用チップの作製
実施例4の検査診断用チップを使用し、以下のように試薬を担持させ、組み立てを行った。まず、図36に示されるPCR産物検査診断用チップの作製を行った。図36に示されるように、8つのパーツに分けて作製し、各パーツにそれぞれ機能を持たせた。下部パーツ、中間部パーツ、上部パーツのパータンを図32、図33、図35のようにデザインして、不織布に印刷した。その結果、マイクロ流体経路は親水性、その以外の部分は疎水性となった。
図36に示すように組み立てを行い、上部パーツのAnti−DIGとBiotin−BSAを固相化したセルロースメンブレイン(図34)をイムノクロマトグラフィー法におけるテストゾーン、コントロールゾーンとした。下部パーツと中間部パーツ、中間部パーツと上部パーツは両面テープで、マイクロ流体経路を接続するために穴を開けた。中間部パーツにはgold−avidinを固相化させたコンジュケットパッドを入れ、下部パーツは、主にマイクロ流体経路で、イムノクロマト法におけるサンプルパッドと吸収パッドの役割を併せ持つものとした。
本実施例7の使用方法としては、PCR産物を含む溶液(検体)を注入口に滴下すると検体の溶液が中間部パーツを移動し、下部パーツのマイクロ流体経路を通じて、中間部パーツのgold−avidinと結合して、上部パーツのテストゾーンに到着し、そこに固相化されたanti−DIGと結合して、発色する。一方、検体と結合してないgold−avidinはコントロールゾーンに到達して、コントロールゾーンに固相化されたBiotin−BSAと反応して発色する。
(試験例1)ヘモグロビンA1cの血中濃度測定
図13で示される検査診断用チップを用いて、テストゾーンに用いた同じ抗体をコントロールゾーンに定着させる。テストゾーンの抗体濃度を各レーン毎(マイクロ流体経路毎)に変化させる。即ち、テストゾーンのヘモグロビンA1c(HbA1c)の抗体濃度を以下のように設定する。2つのレーンの一つには、血中のHbA1c濃度が5.1%以下であれば完全にHbA1c抗体でトラップされる濃度設定を行う。もう一方のレーンには血中HbA1c濃度が6.5%以下であれば完全にHbA1c抗体でトラップされる濃度設定を行なう。
このHbA1c抗体濃度設定の検査診断用チップを用いることにより、被験者の血中のHbA1c濃度を測定すると、被験者の血中のHbA1c濃度が5.1%以下の場合、両レーンのコントロールゾーンの左側のHbA1c抗体には、シグナル(発色)が検出されない。即ち、被験者の血液を測定し、上記のようにコントロールゾーンにシグナル(発色)が検出されない場合には、被験者のHbA1c濃度が正常値であるということになる。
一方、被験者の血液を測定して、両レーンのコントロールゾーンのHbA1c抗体が赤く発色する場合には、被験者の血中HbA1c濃度が6.5%以上ということになり、被験者は糖尿病であると言う診断が可能となる。
更に、一つのレーンのコントロールゾーンのHbA1c抗体が赤く発色するが、他のレーンのコントロールゾーンのHbA1c抗体が発色しない場合、被験者の血中HbA1c濃度は、5.1〜6.5%の範囲にあることになり、糖尿予備軍として診断されることになる。
(試験例2)ヒト尿中の糖とタンパク質の検出・評価試験
実施例4の検査診断用チップを用いて、尿中の糖とタンパク質の排出量の評価試験を行った。
まず、ネガテイブ・コントロール溶液として、人工尿(1.1mM lactic acid,2.0mM citric acid,25mMsodium bicarbonate, 170mM urea, 2.5mM calcium chloride,90mM sodium chloride,2.0mM magnesium sulfate,10mM sodium sulfate,7.0mMpotassium dihydrogen phosphate,7.0mM dipotassium hydrogen phosphate,25mM ammonium chloride dissolve in 1L water,PH6.0)を使用した。ポジテイブ・コントロール溶液としては、人工尿を用いて、以下の3つの溶液を作製した。
a)2.5mMのグルコース(Glc)と12μMのウシ血清アルブミン(BSA)溶液、
b)5.0mMのGlcと25μMのBSA溶液、
c)10mMのGlcと50μMのBSA溶液
(1)糖とタンパク質の尿中排出濃度の評価基準の設定
上記の溶液をそれぞれ5μl採取し、マイクロ流体経路の注入孔に滴下注入する。その場合、図30に示す反応が進行し、呈色反応を示すことになる。即ち、Glcの場合、グルコース・オキシダーゼと反応し、過酸化水素とグルクロン酸が産生される。この過酸化水素がヨウ化カリウムと反応して、茶褐色のヨウ素が発生し、呈色されることになる。一方、BSAの場合、テトラブロモフェノールブルー試薬は、酸性下では黄色であるが、BSAのアミノ基と結合して青色化合物を形成するため、黄色から青色に色が変化して行く。即ち、この青色の強度が尿中タンパク質の濃度に相関している。
実施例4の検査診断用チップを用いて行った結果を図31のa)に示す。GlcとBSAの濃度が増加していくに従い、Glcの場合には、白色から茶褐色に変化して行き、BSAの場合には、黄色から青色に変化して行くことが分かる。従って、検体を評価した時に、色調が同じものであれば同じ濃度GlcやBSAが含まれることになる。
(2)検査診断用チップを用いたヒト尿中の糖とタンパク質の評価
実施例4の検査診断用チップにヒトの尿を使用した場合の結果を図31のb)に示す。この結果から、検査した尿には、Glcの濃度が2.5mM以下であり、タンパク質量が25〜50μMであることが評価できた。
(試験例3)FGF21のPCR産物の検出試験
実施例7の検査診断用チップを使用して、FGF21のPCR産物の検出を行った。
DIGでラベリングしたプライマー、ビオチン(biotin)でラベリングしたプライマー、FGF21cDNA(human)を用いて、常法によりPCRを行い、PCR産物を取得した。
このPCR産物を蒸留水で希釈し、25ng/μlに設定する。この溶液を150μlを採取して、検査診断用チップの注入口に滴下する。また、ネガテイブ・コントロールとして、蒸留水を使用した。
この結果を図39に示す。図39のa)で示されるように、ネガテイブ・コントロールを使用した場合には、コントロールの標識抗体の特異的抗体(biotin−BSA)のみが赤く発色した。一方、図39のb)で示されるように、FGF21のPCR産物を含む溶液を使用する場合には、抗原特異的抗体(anti−DIG)と標識抗体の特異的抗体(biotin−BSA)の両方が赤く発色した。
本発明の検査診断用チップにより、多検体、多項目(濃度測定を含む)の同時検査方法が提供できる。本発明の検査診断用チップは、簡易な操作で再現性よく実施でき、しかも材質が主に紙で出来ていることから、コスト的にも安価に提供できる。このことから、尿などの検体から、多くの評価、診断項目の検査を一度に実施でき、特に病院で行なう必要もないことから、日常生活の中で使用でき、成人病対策の予防等に汎用できるものとなっている。
Claims (14)
- 3次元マイクロ流体経路を利用した、3つのパーツを有する検査診断用チップであって、
a)下部パーツには、一つの検体注入口から複数に分岐したマクロ流体経路と、分岐したマクロ流体経路に対応する数の独立したマクロ流体経路を有し、
b)中間部パーツには、上部パーツと下部パーツのマイクロ流体経路を接続するための接続孔または接続のためのマイクロ流体経路が開設され、その接続孔または接続のためのマイクロ流体経路の一部に金コロイド標識抗体が添加されている、
c)上部パーツには、複数のマクロ流体経路が平行に設置されてグループを形成し、検体の流れる順にテストゾーンとコントロールゾーンに分かれ、テストゾーンには抗原特異的抗体を固相化し、コントロールゾーンには標識抗体特異的抗体が固相化されている
ことを特徴とする、検査診断用チップ。 - 上記下部パーツ、中間部パーツと上部パーツの材質が紙または不織布またはコンジュゲートパッドであり、マイクロ流体経路以外の部分が光硬化樹脂で含浸、硬化したものであることを特徴とする、請求項1記載の検査診断用チップ。
- 上部パーツがマイクロ流体経路部分の紙のみであることを特徴とする、請求項1記載の検査診断用チップ。
- 上記中間部パーツの材質が、撥水性樹脂シートまたは撥水性テープであることを特徴とする、請求項1または2に記載の検査診断用チップ。
- 上記上部パーツのマイクロ流体経路のテストゾーンとコントロールゾーンが紙であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の検査診断用チップ。
- 上記マイクロ流体経路の紙がニトロセルロースであることを特徴とする、請求項5の検査診断用チップ。
- 上記複数に分岐したマクロ流体経路が、2〜8個に分岐することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の検査診断用チップ。
- 上記マイクロ流体経路の一つのレーンの中に2箇所の金コロイド標識抗体が設置され、コントロールゾーンの中に抗原特異的抗体と標識抗体特異的抗体が固相化されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の検査診断用チップ。
- 上記上部パーツ、中間部パーツ、上部パーツが撥水性接着材で結合され、マイクロ流体経路が連結されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の検査診断用チップ。
- 上記撥水性接着材が両面テープであることを特徴とする、請求項9の検査診断用チップ。
- 3次元マイクロ流体経路を用いた、以下の工程を有するイムノクロマトグラフィー検査方法であって、
a)上記請求項1〜9に記載の検査診断用チップを用いて、
b)検体を注入口に滴下する、
c)検体の溶液がマイクロ流体経路を移動し、コントロールゾーンに到達して標識抗体特異的抗体が発色するまで検体の滴下を継続する、
d)テストゾーンに固相化した抗原特異的抗体が反応して発色するか否かを評価する
ことを特徴とする、イムノクロマトグラフィー検査方法。 - 上記検査診断用チップの中間部パーツに設置する金コロイド標識抗体の添加濃度を順次変化させ、多様な添加量の幅を持ったものを作製し、
検体を注入することによって、テストゾーンで抗原を発色させる、
発色した赤色の強度を評価することにより、検体の抗原濃度を測定することを特徴とする、請求項11記載のイムノクロマトグラフィー検査方法。 - 3次元マイクロ流体経路を利用した、3つのパーツを有する検査診断用チップであって、
a)下部パーツには、一つの検体注入口から複数に分岐したマクロ流体経路と、分岐したマクロ流体経路に対応する数の独立したマクロ流体経路を有し、
b)中間部パーツには、上部パーツと下部パーツのマイクロ流体経路を接続するための接続孔が開設されている、
c)上部パーツには、上記接続孔に連結する部分に複数のテストゾーンが設置され、そのテストゾーンには呈色反応試薬を担持させていることを特徴とする、検査診断用チップ。 - 上記呈色反応試薬が、グルコース呈色反応試薬、タンパク質呈色反応試薬、アミノ酸呈色反応試薬、血液呈色反応試薬、酵素抗体反応試薬の中から複数選択されるものであることを特徴とする、請求項13の検査診断用チップ。
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