JPWO2011114882A1 - 有機エレクトロルミネッセンスパネル及び有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンスパネル及び有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、有機EL素子の初期ダークスポット耐性並びに素子寿命に優れ、高い整流比を有する有機ELパネルの製造方法及び有機ELパネルを提供する。この有機ELパネルの製造方法は、第1電極、発光層を含む有機化合物層及び第2電極を有する有機EL素子を形成した基板上に、シール材を介して封止基板を貼合、面接着させて密着封止構造を形成する有機ELパネルの製造方法において、該シール材が熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂であり、有機ELパネルは、基板上にシール材を介して封止基板を貼合して面接着させた後、5℃以下に冷却する工程を経た後、該シール材に熱または紫外線を付与して硬化させて製造することを特徴とする。

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンスパネルとその製造方法に関し、更に詳しくは、シート状のシール材を用いた固体封止方法を適用した有機エレクトロルミネッセンスパネルとその製造方法に関するものである。
近年、有機物質を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視されており、活発な研究開発がなされている。有機EL素子は、基板上に形成された第1電極(陽極または陰極)と、その上に積層された有機発光物質を含有する有機化合物層(単層部または多層部)すなわち発光層と、この発光層上に積層された第2電極(陰極または陽極)とを有する薄膜型の素子である。この様な構成からなる有機EL素子に電圧を印加すると、有機化合物層に陰極から電子が注入され陽極から正孔が注入される。この電子と正孔が発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出することにより発光が得られることが知られている。
この様に、有機EL素子は薄膜型の素子であるため、1個または複数個の有機EL素子を基板上に形成した有機EL素子をバックライト等の面光源として利用した場合には、面光源を備えた装置を容易に薄型にすることができる。また、画素としての有機EL素子を基板上に所定個数形成した有機エレクトロルミネッセンスパネル(以下、有機ELパネルともいう)をディスプレイパネルとして用いて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を構成した場合には、視認性が高く、視野角依存性がないなど、液晶表示装置では得られない利点がある。
ところが、有機EL素子に用いられる有機発光材料等の有機物は、水分や酸素等による影響を受けやすく、その様な環境下で保管された際には性能が劣化し、また、電極も、酸化により大気中では特性が急激に劣化し、有機EL素子上に斑点状の非発光部(以下、ダークスポットと称す)が発生し、更にはそれが拡大してしまう欠点があるため、これらの劣化を防止するためには、最上層に封止層を設けて有機EL素子を封止して使用しているのが一般的である。
これらダークスポットの発生を防止する方法としては、例えば、特開平5−182759号公報、同5−36475号公報、特開2002−43055号公報には、金属製の容器型封止材料を用いて、乾燥窒素雰囲気下で有機EL素子を、接着剤層を介して被覆封止する方法が記載されている。しかし、ダークスポット対策に優れたこれら金属製の容器型封止材料を使用する方法では、その効果は、主には容器型封止材料の厚さに依存することになり、市場で求められている薄型の有機EL素子の製造には不向きとなっている。このため、容器型封止材料と同じダークスポット防止効果を有する薄型の有機EL素子の製造方法が、これまで検討されてきた。例えば、特許文献1には、薄い有機EL素子を形成させることが可能で、バリア性を有する封止フィルムを用いた有機エレクトロルミネッセンスパネルが提案されている。特許文献1では、封止缶に代わり、バリア性を有する可撓性フィルム(以下、封止用フィルムともいう)を封止部材として、有機EL素子基板と接着剤を介し真空中で貼り合わせる方法が開示されている。また、有機EL素子の耐久性を更に向上させる観点から、特許文献2では、封止部材の脱水処理に加えて、乾式の洗浄処理を施すことにより、有機物の除去及び表面改質をする方法が記載されている。
特開2003−045652号公報 特開2007−087852号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の密着タイプの封止方法は、大量生産が比較的容易で、高い封止効果を有した薄型の有機EL素子の製造は可能であるが、未だ密着封止(有機エレクトロルミネッセンス素子上への面接着)に起因する発光素子への初期ダメージが発生し、その対応が不十分となっている。
この様な状況から、封止材を、接着剤を介して固着する密着タイプの封止方法で有機EL素子を封止した有機ELパネルを製造する時、有機EL素子の性能劣化を生じさせないで、生産効率の低下が少ない有機ELパネルの製造方法及び有機ELパネルの開発が望まれている。
従って、本発明の目的は、有機EL素子の初期ダークスポット耐性並びに素子寿命に優れ、高い整流比を有する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法及び有機エレクトロルミネッセンスパネルを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.少なくとも第1電極、発光層を含む有機化合物層及び第2電極を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を形成した基板上に、シール材を介して封止基板を貼合、面接着させて密着封止構造を形成する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、該シール材が熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂であり、該有機エレクトロルミネッセンスパネルは、基板上にシール材を介して封止基板を貼合して面接着させた後、5℃以下に冷却する工程を経た後、該シール材に熱または紫外線を付与して硬化させて製造することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
2.前記基板及び前記封止基板が、いずれも可撓性基板であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
3.前記封止基板が、金属箔を有する防湿フィルムであることを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
4.前記シール材が、エポキシ系の熱硬化型樹脂であることを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
5.前記有機エレクトロルミネッセンス素子を形成した基板上に、前記シール材を介して封止基板を貼合して面接着させた後、12時間以内に前記5℃以下に冷却する工程で処理することを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
6.前記5℃以下に冷却する工程における処理時間が、2時間以上であることを特徴とする前記1から5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
7.前記5℃以下に冷却する工程における処理温度が、0℃以下であることを特徴とする前記1から6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
8.前記1から7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネル。
本発明により、封止材を、接着剤を介して固着する密着タイプの封止方法を用い、有機EL素子の初期ダークスポット耐性並びに素子寿命に優れ、高い整流比を有する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法及び有機エレクトロルミネッセンスパネルを提供することができた。
本発明の有機ELパネルの構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、少なくとも第1電極、発光層を含む有機化合物層及び第2電極を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を形成した基板上に、シール材を介して封止基板を貼合、面接着させて密着封止構造を形成する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、該シール材が熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂であり、該有機エレクトロルミネッセンスパネルは、基板上にシール材を介して封止基板を貼合して面接着させた後、5℃以下に冷却する工程を経た後、該シール材に熱または紫外線を付与して硬化させて製造することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法により、有機EL素子の初期ダークスポット耐性並びに素子寿命に優れ、高い整流比を有する有機エレクトロルミネッセンスパネルを製造することができる有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法を実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法の詳細について説明する。
〔基板〕
本発明に係る有機EL素子に用いることのできる基板(以下、支持基板、基体、基材、支持体ともいう)としては、ガラス、プラスチック、金属、セラミック等、種類には特に限定はなく用いることができ、また透明であっても不透明であってもよい。基板側から光を取り出す場合には、基板は透明であることが好ましく、好ましく用いられる透明な基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基板は、有機EL素子にフレキシブル性(可撓性ともいう)を与えることが可能な樹脂フィルムである。
本発明に係る有機EL素子の基板として適用可能な樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名、JSR社製)あるいはアペル(商品名、三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
基材として適用する樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(温度:25±0.5℃、相対湿度:90±2%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更にはJIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm以下、水蒸気透過度(温度:25±0.5℃、相対湿度:90±2%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
高バリア性フィルムとするため、樹脂フィルム表面に形成されるバリア膜の構成材料としては、有機ELパネルの劣化を誘発する酸素や水分の浸入を防止する機能を備えた材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などの無機膜を用いることができる。更に、無機膜の脆弱性を改良するために、これら無機膜と有機材料からなる膜の積層構造とすることがより好ましい。無機膜と有機膜の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法を用いた形成方法が特に好ましい。
〔機能層(有機化合物層)〕
本発明における有機化合物層としては、例えば、正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層等、各種の有機化合物からなる機能層が必要に応じ積層された構成を有する。最も単純な構成は、発光層のみからなる構造である。
(正孔注入・輸送層)
正孔注入・輸送層に用いられる有機化合物材料としては、例えば、フタロシアニン誘導体、ヘテロ環アゾール類、芳香族三級アミン類、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)などに代表される導電性高分子等の高分子材料が用いられる。
(発光層)
発光層に用いられる有機化合物材料としては、例えば、4,4′−ジカルバゾリルビフェニル、1,3−ジカルバゾリルベンゼン等のカルバゾール系発光材料、(ジ)アザカルバゾール類、1,3,5−トリピレニルベンゼンなどのピレン系発光材料に代表される低分子発光材料、ポリフェニレンビニレン類、ポリフルオレン類、ポリビニルカルバゾール類などに代表される高分子発光材料などが挙げられる。これらのうちで、発光材料としては分子量10000以下の低分子系発光材料が好ましく用いられる。
また、発光層に適用する発光材料には、好ましくは0.1〜20質量%程度のドーパントが含まれてもよく、ドーパントとしては、ペリレン誘導体、ピレン誘導体等公知の蛍光色素、また、りん光色素、例えば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトナート)イリジウム、ビス(2,4−ジフルオロフェニルピリジン)(ピコリナート)イリジウム、などに代表されるオルトメタル化イリジウム錯体等の錯体化合物がある。
(電子注入・輸送層)
電子注入・輸送層の構成材料としては、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛等の金属錯体化合物もしくは以下に挙げられる含窒素五員環誘導体がある。即ち、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等が挙げられる。
これら発光層、また各機能層に用いられる有機化合物材料として、分子中にビニル基等の重合反応性基を有する材料を用い、製膜後に架橋・重合膜を形成させて各機能層を形成してもよい。
(注入層)
また、必要に応じて駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に注入層を形成してもよい。
注入層としては、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)がある。
〈正孔注入層〉
陽極バッファー層(正孔注入層)として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
〈電子注入層〉
陰極バッファー層(電子注入層)には、例えば、ストロンチウムやアルミニウムやカルシウムやマグネシウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
上記各バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1〜100nmの範囲が好ましい。注入層は1層でも複数層でも良い。
本発明に係る有機EL素子においては、上記説明した各機能層は、真空蒸着法、またスパッタ法等の乾式法により形成されてもよく、また塗布、印刷法等の湿式法で成膜されてもよい。
〔第1電極、第2電極〕
本発明に係る有機EL素子においては、発光した光を透過させるため、有機EL素子を構成する第1電極または第2電極の少なくとも一方は、必ず透明または半透明である必要がある。更に、第1電極を透明電極とし、更に透明または半透明の第2電極を作製することにより、陽極と陰極の両方が透過性を有する有機EL素子とすることができる。
本発明に係る第1電極としては、陰極、陽極は特に限定せず、有機EL素子構成により選択することができるが、好ましくは、第1電極としては、透明電極を用い陽極とすることである。例えば、陽極として用いる場合、好ましくは380nmから800nmの光を透過する電極である。材料としては、4eVより大きな(深い)仕事関数を持つものが適しており、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金、銀、白金等の金属薄膜、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を用いることができる。
第1電極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合(100μm以上程度)には、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。また、有機導電性化合物のように塗布可能な化合物を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式製膜法を用いることもできる。
この第1電極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また第1電極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下であることが好ましい。更に、膜厚は使用する材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
本発明に係る第2電極としては、陰極、陽極は特に限定せず、有機EL素子構成により選択することができる。例えば、陰極として用いる場合、好ましくは仕事関数が4eV以下(浅い)の金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。この様な電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、有機機能層との電気的な接合、及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく(深く)安定な金属である第2の金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム単独等が好適である。
第2電極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nmから5μm、好ましくは50nmから200nmの範囲で選ばれる。
第2電極として反射率の高い金属材料を用いれば、有機EL素子において、発光した光の一部を反射して外部に取り出すことができ、また、有機光発電素子(有機Photo Voltaic素子、太陽電池)においては、光電変換層を通過した光を反射し、再度、光電変換層に戻すことで光路長を稼ぐ効果が得られ、何れにおいても外部量子効率の向上が期待できる。
更に、金属(例えば、金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、または炭素からなるナノ粒子、ナノワイヤー、ナノ構造体であってもよく、ナノ粒子やナノワイヤーの高分散性ペーストであれば、透明で導電性の高い対電極を塗布法や印刷法により形成でき好ましい。
〔封止用接着剤〕
本発明の有機ELパネルの製造方法において、有機EL素子の基板と、封止基板とを貼合、面接着させて密着封止構造を形成するのに用いるシール材(封止用接着剤ともいう)としては、熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂であることを特徴の一つとする。
本発明に適用可能な熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂としては、特に制限はないが、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化型樹脂が好ましく、より好ましくは耐湿性、耐水性に優れ、硬化時の収縮が少ないエポキシ系の熱硬化型樹脂である。また、接着層の形成方法としては、適用する材料に応じて、ロールコート、スピンコート、スクリーン印刷法、スプレーコートなどのコーティング法を用いることができる。また、接着層内部の含有水分を除去するため、酸化バリウムや酸化カルシウムなどの乾燥剤を混入してもよい。本発明に係る封止用接着剤の含水率は300ppm以下であることが好ましく、0.01〜200ppmであることがより好ましく、0.01〜100ppmであることが特に好ましい。
上記含水率は、いかなる方法により測定しても良いが、例えば、容量法水分計(カールフィッシャー)、赤外水分計、マイクロ波透過型水分計、加熱乾燥重量法、GC/MS、IR、DSC(示差走査熱量計)、TDS(昇温脱離分析)等の測定方法が挙げられる。また、精密水分計AVM−3000型(オムニテック社製)等を用い、水分の蒸発によって生じる圧力上昇から含水率を測定することができる。
本発明において、シール材(封止用接着剤)の含水量は、例えば、露点温度が−80℃以下で、酸素濃度が0.8ppmの窒素雰囲気下に置き、時間を変化させることで、所望の条件に調整することができる。また、100Pa以下の真空状態で置き、時間を変化させて乾燥させることによっても調整することができる。また、封止用接着剤は、接着剤のみを乾燥させることもできるが、封止部材へ予め配置した後、乾燥させることもできる。
〔封止基板〕
本発明に係る封止基板としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等の金属、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル等の樹脂フィルム、およびこれらの複合材料、ガラス等が挙げられ、必要に応じて用いることができる。特に、樹脂フィルムの場合には、樹脂基板と同様に、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素等から構成されるガスバリア層を積層した材料を用いることができる。本発明において、封止基板として好ましくはフレキシブル性、バリア性の観点より金属箔である。封止基板として用いられる金属箔としては、金属の種類に特に限定はなく、例えば、銅(Cu)箔、アルミニウム(Al)箔、金(Au)箔、黄銅箔、ニッケル(Ni)箔、チタン(Ti)箔、銅合金箔、ステンレス箔、スズ(Sn)箔、高ニッケル合金箔等が挙げられる。これらの各種の金属箔の中でも、特に好ましい金属箔としては、Al箔が挙げられる。
金属箔としては、主に、金属の圧延等により形成された金属の箔またはフィルム状のものを指すが、ポリマーフィルム上にスパッタや蒸着等で形成された金属薄膜や、導電性ペースト等の流動性電極材料から形成された導電膜であってもよい。
また、金属箔単体では機械的強度に劣るため、ピンホールの発生を防止するために、ポリマーフィルムと積層する構造をとることが好ましい。積層に用いられるポリマーフィルムの材料としては、「機能性包装材料の新展開(株式会社東レリサーチセンター)」に記載の各種ポリマー材料を使用することが可能である。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体系樹脂、セロハン系樹脂、ビニロン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ナイロン系樹脂等の各樹脂は、延伸されていてもよく、さらに塩化ビニリデン系樹脂をコートされていてもよい。また、ポリエチレン系樹脂は、低密度あるいは高密度のものも用いることができる。
金属箔の片面にポリマーフィルムを積層する方法としては、一般に使用されているラミネート機を使用することができる。接着剤としてはポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系等の接着剤を用いることができる。必要に応じて硬化剤を併用してもよい。ホットメルトラミネーション法やエクストルージョンラミネート法および共押出しラミネーション法も使用できるが、ドライラミネート方式が好ましい。
また、金属箔をスパッタや蒸着等で形成し、導電性ペースト等の流動性電極材料から形成する場合は、逆にポリマーフィルムを基材としてこれに金属箔を成膜する方法で作製してもよい。
本発明において、封止基板として用いられる金属箔は、厚みが9〜500μmであることが好ましく、これにポリマーフィルムが積層され、ポリマーフィルムの厚みが金属箔に対し、10〜100%の厚みであることが好ましい。
〔有機ELパネルの構成、封止方法〕
図1は、本発明の有機ELパネルの構成の一例を示す断面図である。
図1には、樹脂基板1上に、第1電極2、発光層を含む有機EL層(有機化合物層)3、及び第2電極4から構成されている有機EL素子が形成され、この上に封止基板5を接着層6によりその端部で封止した構成を有する封止された有機エレクトロルミネッセンス(EL)パネルPを示している。
密着封止(固体封止)の方法においては、封止基板として、例えば、50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに、アルミ箔を、例えば、30μm厚でラミネートしたものを用いることができる。これを封止基板として、アルミニウム面にディスペンサを使用して均一に塗布した封止用接着剤を予め配置しておき、樹脂基板1と封止基板5を位置合わせした後、両者を圧着して(0.1〜3MPa)貼合した後、温度として80〜160℃の範囲で加熱硬化させて、密着封止(固体封止)する。封止用接着剤の種類、付与量、あるいは付与面積等によって圧着時間は適宜設定されるが、圧力としては概ね0.1〜3MPaの範囲で仮接着する。この際に、内部に残留した空隙を排除するため、加熱した圧着ロールを用いることができる。固体封止は、以上のように封止部材と有機EL素子基板との間に空間がなく硬化した樹脂で覆う形態である。
封止用接着剤の種類や付与量によって、接着剤層の硬化に必要な加熱温度は適宜設定することができるが、好ましくは50℃以上、200℃以下であり、さらに好ましくは80℃以上、160℃以下の範囲である。また、加熱時間は、1分以上、1時間以下で加熱することにより、熱硬化型樹脂の場合には硬化(架橋反応)が進み接着する。また、光硬化型接着剤の場合にも、光照射後に加熱を実施することにより、硬化(接着)速度を上げることができる。
〔5℃以下に冷却する工程〕
本発明においては、接着剤を介して封止基板を有機EL素子基板と貼合して面接着させて密着封止構造を形成する有機ELパネルの製造方法において、シール材が熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂であり、基板上にシール材を介して封止基板を貼合して面接着させた後に、一旦5℃以下に冷却する工程を経た後に、シール材に熱または紫外線を付与して硬化させて製造することを特徴とする。
面接着させた後、そのままシール材を加熱硬化させる従来の方法では、有機EL素子への初期ダメージが生じるが、本発明の特徴である加熱硬化前に5℃以下に冷却する工程を経て製造することにより、驚くべきことに、有機EL素子への初期ダメージが低減されることを見出した。
本発明で規定する製造プロセスにより、上記効果が発現する機構に関しては明確ではないが、第2電極は完全に緻密な膜ではないため、微小な第2電極の空隙に接着剤成分が浸透してしまい、加熱硬化することによって第2電極と有機化合物層界面の微小剥離を引き起こしやすくなる状況にあるが、熱硬化前に冷却工程を経ることにより接着剤成分の浸透が抑制され、かつ冷却滞留することにより、微小空隙内での硬化のみが進み、後に加熱硬化しても第2電極と有機化合物層界面の微小剥離が抑制されたためと推定している。
冷却滞留によって微小空隙内の接着剤の硬化が進む理由は不明だが、第2電極の微小欠陥には、熱硬化型接着剤の硬化促進の触媒作用を有している可能性が考えられる。
封止基板を貼合して面接着させた後に、本発明に係る5℃以下に冷却する工程に移行するまでの時間は短いほど好ましいが、12時間以内であることがより好ましく、10秒以上、6時間以内であることが更に好ましく、特に好ましくは1分以上、4時間以内である。
また、本発明に係る5℃以下に冷却する工程における有機ELパネルの滞留時間は、1時間以上が好ましく、2時間以上、8日以内がより好ましく、更に好ましくは1日以上、8日以内である。
本発明に係る冷却する工程における温度は、5℃以下であることを特徴とするが、好ましくは0℃以下であり、更に好ましくは−20℃以上、0℃以下である。
〔光取りだし部材〕
本発明において、可撓性の基板から第2電極との間、あるいは可撓性の基板から光出射側の何れかの場所に光取出し部材を有することが好ましい。
本発明において、光取出し部材としては、プリズムシート、レンズシート及び拡散シートが挙げられる。また、全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に導入される回折格子や拡散構造等が挙げられる。
通常、基板から光を放射するような有機エレクトロルミネッセンス素子においては、発光層から放射された光の一部が基板と空気との界面において全反射を起こし、光を損失するという問題が発生する。この問題を解決するために、基板の表面にプリズムやレンズ状の加工を施す、もしくは基板の表面にプリズムシートやレンズシートおよび拡散シートを貼り付けることにより、全反射を抑制して光の取り出し効率を向上させる。
また、光取り出し効率を高めるためには、全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法や拡散構造を導入する方法が知られている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《有機ELパネルの作製》
〔有機ELパネル101の作製〕
(可撓性基材上にガスバリア層を形成する工程)
予め、露点温度−65℃、不活性ガス雰囲気下、圧力80Paで保管し、脱水処理・脱酸素処理を施した厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人・デュポン社製フィルム、以下、PETと略記する)の両面に、常法に従って膜厚5μmのアクリル系クリアハードコート層を設けた可撓性基材の片面に、特開2007−83644号公報の実施例に記載された方法に従って、大気圧プラズマ処理法によりガスバリア層を形成した。即ち、同公報に記載の図3に示すロール電極型大気圧プラズマ放電処理装置を用いた。
具体的には、上記可撓性基材の片面上に、以下に示す大気圧プラズマ処理条件で、密着層/セラミック層/密着層/セラミック層の順に積層した構成からなるガスバリア層を形成した。各膜厚は、密着層が200nm、セラミック層が25nmである。また、製膜時の可撓性基材の保持温度は140℃とした。
〈セラミック層の形成条件〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:酸素ガスを全ガスに対し5%
反応ガス2:TEOS(テトラエトキシシラン)を全ガスに対し0.1%
低周波側電源:周波数=80kHz、出力密度=10W/cm
高周波側電源:周波数=13.56MHz、出力密度=10W/cm
〈密着層の形成条件〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:水素ガスを全ガスに対し1%
反応ガス2:TEOS(テトラエトキシシラン)を全ガスに対し0.5%
低周波側電源:周波数=80kHz、出力密度=10W/cm
高周波側電源:周波数=13.56MHz、出力密度=5W/cm
(可撓性基材上に電極層を形成する工程)
次いで、ガスバリア層を形成したPETフィルムを100mm×100mmに切り出し、ターゲット材料としてインジウム錫酸化物(ITO)を用いて、真空槽中で、スパッタガスとして酸素を5体積%含むアルゴンを用いてガス圧力を0.5Paとし、電極層として、ITO膜をスパッタによりガスバリア層上に厚さが110nmとなる条件でパターニング形成した。これを、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を更に5分間行った。
(有機化合物層を形成する工程)
このガスバリア層及び電極層を形成した可撓性基材上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を、3000rpm、30秒でスピンコート法により成膜した後、150℃で1時間乾燥して、膜厚30nmの正孔輸送層を形成した。
正孔輸送層を乾燥した後、更に下記組成の発光層用塗布液を1mlとなるように調製し、水分濃度1ppm以下、酸素濃度10ppm以下、温度26℃のグローブボックスにて、スピンコートして、膜厚約25nmの発光層を形成した。
〈発光層用塗布液〉
溶媒:トルエン 100質量%
ホスト材料:H−A 1質量%
青色材料:Ir−A 0.10質量%
緑色材料:Ir(ppy) 0.004質量%
赤色材料:Ir(piq) 0.005質量%
次いで、下記電子輸送層用塗布液を調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布し、電子輸送層を設けた。この電子輸送層用塗布液を用いて、別途用意した基板に同条件で塗布を行い、膜厚を測定した結果、20nmであった。
〈電子輸送層用塗布液〉
2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール 100ml
ET−A 0.50g
更に電子輸送層が形成された上記可撓性基材を真空蒸着装置に移し、真空槽を4×10−4Paまで減圧し、上記電子輸送層上に陰極バッファー層としてフッ化リチウム10nm及び陰極としてアルミニウム110nmの層を順次蒸着成膜して、有機EL素子1を作製した。
(封止基板)
次いで封止基板として、ポリエステルシートでラミネートされたアルミ箔を作製した。
厚み30μmのアルミ箔(東洋アルミニウム株式会社製)を用い、このマット面に、厚みが25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをドライラミネーション用の接着剤(2液反応型のウレタン系接着剤)を用いラミネートした(接着剤層の厚み1.5μm)。なお、このアルミ箔のけし面(マット面)の表面粗さRaは470nm、つや面のRaは1nm以下であった。
(有機ELパネルの作製)
次いで、上記作製したポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミ箔を、有機EL素子1を形成したPET基板と略同じサイズ(100mm×100mm)に断裁し、そのつや面(PETラミネート面の反対側)に、下記のa剤、b剤、c剤から構成される熱硬化性接着剤を塗布し、シール材付の封止基板を作製した。
〈熱硬化接着剤組成:エポキシ接着剤〉
a剤)ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)
b剤)ジシアンジアミド(DICY)
c剤)エポキシアダクト系硬化促進剤
上記熱硬化接着剤を、ディスペンサを使用してポリエチレンテレフタレートでラミネートしたアルミ箔の接着面(つや面)に沿って均一に塗布し、水分濃度が1ppm以下、酸素濃度が10ppm以下、温度が26℃のグローブボックスにて12時間放置した。接着剤層の厚みは20μmで、カールフィッシャー法で測定した含水率は50ppm以下であった。
このようにして作製した接着剤付の封止基板を、水分濃度が1ppm以下、酸素濃度が10ppm以下、温度が26℃のグローブボックスにて、取り出し電極が露出するよう、有機EL素子1を形成したPET基板上に、これを覆うようにして接着面を密着、配置し、封止基板を圧着(圧力0.15MPa、時間30秒)して仮接着した。次いで、26℃の環境下で1時間保管した後、直ちに有機ELパネルをホットプレート上に移動し、加熱(温度120℃、30分)して熱硬化接着剤を熱硬化させ、有機ELパネル101を作製した。
〔有機ELパネル102、103の作製〕
上記有機ELパネル101の作製において、仮接着した後の26℃における保管時間を、それぞれ24時間、120時間に変更した以外は同様にして、有機ELパネル102、103を作製した。
〔有機ELパネル104の作製〕
上記有機ELパネル101の作製において、仮接着した後、26℃の環境下で1時間保管し、ついで、10℃で、120時間の冷却工程で処理を施した後、熱硬化処理を行った以外は同様にして、有機ELパネル104を作製した。
〔有機ELパネル105〜113の作製〕
上記有機ELパネル104の作製において、仮接着後、冷却処理を行うまでの26℃における保管時間と、冷却工程での冷却温度、冷却時間を、表1に記載の条件に変更した以外は同様にして、有機ELパネル105〜113を作製した。
《有機ELパネルの評価》
上記作製した有機ELパネル101〜113について、下記の方法に従って各評価を行った。
〔整流比の評価〕
上記作製した各有機ELパネルの取り出し電極から、低電圧電源(株式会社エーディーシー製、直流電圧・電流源R6243)にて+5V(正方向)、−5V(逆方向)を印加し、その時の電流値を測定し、正逆電流値の比(整流比=正方向電流値/逆方向電流値)を求め、下記のランクに従って判定した。
◎:整流比が、1000以上である
○:整流比が100以上、1000未満である
△:整流比が10以上、100未満である
×:整流比が10未満である
〔初期ダークスポット耐性の評価〕
定電圧電源を用いて、各有機ELパネルに直流5Vを印加し、ダークスポットの有無を、ルーペ(倍率8倍)を用いて目視観察し、発光全領域におけるスポット状の非発光部の発生数を測定し、下記の基準に従って初期ダークスポット耐性を評価した。
◎:ダークスポットの発生が全く認められない
○:ダークスポットの発生数が、1個以上、5個未満である
△:ダークスポットの発生数が、5個以上、20個未満である
×:ダークスポットの発生数が、20個以上である
〔パネル寿命の評価〕
上記作製した各有機ELパネルの封止した側を外側にして、60°の角度で曲げたまま60℃、90%RHの環境下で1000時間放置した後、定電圧電源を用いて、各有機ELパネルに直流5Vを印加し、マイクロスコープ(モリテックス社製MS−804、レンズMP−ZE25−200)で発光面積を測定し、Win Roof(三谷商事製)を用いて画像解析を行い、初期発光面積に対する非発光面積(ダークスポット面積)の割合を測定し、下記の基準に従ってパネル寿命を評価した。
◎:非発光面積の割合が、0.1%未満である
○:非発光面積の割合が、0.1%以上、1.0%未満である
△:非発光面積の割合が、1.0%以上.2.0%未満である
×:非発光面積の割合が、2.0%以上である
以上により得られた結果を、表1に示す。
表1に記載の結果より明らかな様に、仮接着を行った後、熱硬化を行うまでの間に、本発明で規定する5℃以下の冷却工程で処理を施す本発明の製造方法で作製した有機ELパネルは、比較例に対し、整流比が高く、初期ダークスポット耐性及びパネル寿命に優れていることが分かる。
1 樹脂基板
2 第1電極
3 有機EL層
4 第2電極
5 封止基板
6 接着層
P 有機ELパネル

Claims (8)

  1. 少なくとも第1電極、発光層を含む有機化合物層及び第2電極を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を形成した基板上に、シール材を介して封止基板を貼合、面接着させて密着封止構造を形成する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、該シール材が熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂であり、該有機エレクトロルミネッセンスパネルは、基板上にシール材を介して封止基板を貼合して面接着させた後、5℃以下に冷却する工程を経た後、該シール材に熱または紫外線を付与して硬化させて製造することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  2. 前記基板及び前記封止基板が、いずれも可撓性基板であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  3. 前記封止基板が、金属箔を有する防湿フィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  4. 前記シール材が、エポキシ系の熱硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  5. 前記有機エレクトロルミネッセンス素子を形成した基板上に、前記シール材を介して封止基板を貼合して面接着させた後、12時間以内に前記5℃以下に冷却する工程で処理することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  6. 前記5℃以下に冷却する工程における処理時間が、2時間以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  7. 前記5℃以下に冷却する工程における処理温度が、0℃以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネル。
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