JPWO2010137335A1 - α−リポ酸ナノ粒子を含有する、ターンオーバー促進用組成物 - Google Patents

α−リポ酸ナノ粒子を含有する、ターンオーバー促進用組成物 Download PDF

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Abstract

本発明により、皮膚のターンオーバーを促進するための組成物が提供される。本発明の組成物は、皮膚のターンオーバーを促進するための組成物であって、該組成物は、α−リポ酸ナノ粒子を含み、該α−リポ酸ナノ粒子は、α−リポ酸と、非イオン性界面活性剤と、2価金属イオンと、炭酸イオンまたはリン酸イオンとを含む。この組成物は、特定の好ましい実施形態では、皮膚のメラニンを排出するため、創傷治癒のため、または皮膚再生促進のための組成物である。

Description

本発明は、α−リポ酸ナノ粒子を含有する皮膚のターンオーバー促進用組成物に関する。
α−リポ酸は生体内に含まれ、糖の代謝およびTCAサイクルの回転に作用する補酵素の一種であり、構造式C14、分子量206.3、黄色結晶で融点60〜62℃の物質である。α−リポ酸は人間の体内にも存在し、ブロッコリーや赤身肉など多くの食品にも含まれる。そのため、α−リポ酸は安全性の高い物質といえる。機能面に関して、α−リポ酸は、生体内で強力な抗酸化力を持ち、酸化ストレスを軽減することや、重金属排出に効果的なキレート剤であることが認められている。α−リポ酸は、現在、「チオクト酸」として医薬品に配合されており、チオクト酸製剤は、通常、注射剤として販売されている。チオクト酸製剤の効能・効果としては、チオクト酸の需要が増大した際の補給(激しい肉体労働時)、リー症候群(亜急性壊死性脳脊髄炎)、中毒性(ストレプトマイシン、カナマイシンによる)および騒音性(職業性)の内耳性難聴が日本医薬品集 医療薬(非特許文献1)に記載されている。
α−リポ酸は、日本では近年の規制緩和によって食品および化粧品への使用が認められたので、これらの分野でのさらなる応用が期待される。
α−リポ酸は黄色粉末状の性状を持つが、水に難溶であるためにその用途が限られている。またα−リポ酸は熱および光に対して非常に不安定であり、製剤中に安定して存在することが困難である。さらにα−リポ酸は特有の硫黄臭を持ち、変質することでその臭いがより強力になること、および熱によってガム化してしまうことが問題となり、食品、化粧品および医薬品に使用するには、これらの品質および使用感の面で大きな問題がある。
上記のような問題を解決するために、本発明者らは、α−リポ酸を水中でミセル化し、その表面を無機塩類でコートすることによって得られた、直径8〜10ナノメートルの球状ナノカプセルを開発した(非特許文献2)。非特許文献2には、(1)ナノカプセル化によって水溶液でのα−リポ酸の安定性が向上すること;(2)へアレスマウスに紫外線照射をすることによって得られたシワモデルマウスでの抗シワ効果の検討;および(3)ヒトにおける抗シワ効果の検討が記載されている。しかし、非特許文献2には、このα−リポ酸のナノカプセルとターンオーバー促進効果との関連については全く開示されていない。
非特許文献3は、α−リポ酸がメラニン生成抑制および線維芽細胞増殖による美容機能を有することを記載している。非特許文献3の13頁には、Bl6メラノーマをα−リポ酸(25〜100μg/mL)の共存下で培養した結果、濃度依存的なメラニン生成抑制作用が認められたと記載されている。非特許文献3の13頁にはまた、褐色モルモットにα−リポ酸(1、5または25mg/kg)を継続投与した後、紫外線照射により色素沈着を背部に惹起した結果、α−リポ酸投与群のモルモットの照射部位では明度の上昇が観察されたことが記載されている。非特許文献3の14頁には、α−リポ酸処理細胞において表皮層の顆粒が角質層に浸潤し、角質層との境界域が不明瞭になってきている像が観察されたこと;この知見は、表皮層で生まれた細胞が上層へ移行するのが促進され、皮膚の代謝サイクルが亢進している可能性を示唆するものと考えられること;が記載されている。非特許文献4は、非特許文献3と同様の内容を開示している。しかし、非特許文献3および4で使用されたα−リポ酸はナノ粒子ではなかった。
日本医薬品集 医療薬 2007年版、株式会社 じほう、1327頁(2006) 第24回 日本DDS(Drug Delivery System)学会学術集会 プログラム予稿集、2008年、377頁 下田博司、杉下朋子、FOOD FUNCTION、第2巻、第1号、1−6(2006) オリザ油化株式会社のα−リポ酸カタログ ver4.0 HS/SM(制定日2004年10月5日;改定日2006年5月12日)
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、皮膚のターンオーバーを促進するための組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、非イオン性界面活性剤と、2価金属イオンと、炭酸イオンまたはリン酸イオンとを特定の順序で使用することにより製造されるα−リポ酸ナノ粒子を使用することにより、優れたターンオーバー促進効果が得られることを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。
α−リポ酸(α−lipoic acid;LA)は両親媒性の低分子含硫脂肪酸である。α−リポ酸は、ミトコンドリア酵素群の補因子として作用し、エネルギー代謝に関与していることが知られている。本発明者らはこのLAをナノカプセル化した新規DDS(Drug Delivery System)製剤α−リポ酸ナノ粒子についてその薬理効果の解析を行った。これまでLAはその物性から外用剤への利用が困難であったが、ナノカプセル化することでLAの持つ様々な物性が改善された。そこで、本発明者らは外用剤としての利用、特にシミ改善効果に着目し解析を行った。本発明者らは、α−リポ酸ナノ粒子の色素排出効果について解析を行った。その結果、予想に反し、α−リポ酸ナノ粒子投与群においてLA投与群より高い色素排出効果が観察された。さらに組織学的解析からα−リポ酸ナノ粒子は皮膚表皮層ターンオーバーを加速していることが示唆された。
本発明で使用するα−リポ酸ナノ粒子は、α−リポ酸の両親媒性を利用して製造される。α−リポ酸は酸性条件または中性条件では非常に水に難溶であるが、アルカリを加えると透明な液状になる。アルカリ溶液中のα−リポ酸は、水中で球状ミセルを形成すると考えられる。ついで、α−リポ酸に非イオン性界面活性剤を添加すると、α−リポ酸と非イオン性界面活性剤の混合ミセルが形成すると考えられる。さらに2価金属のハロゲン化物、酢酸塩、あるいはグルコン酸塩を添加することにより、リポ酸イオンのマイナス電荷に2価の金属カチオンを結合させ、α−リポ酸の凝集・沈澱を防ぐことによりリポ酸の表面に2価の金属イオンが結合した球状、もしくは卵形等を有するミセルが形成すると考えられる。さらに2価の陰イオンを添加して、2価の陰イオンをミセル表面の金属イオンに吸着(結合)させて、ミセル表面荷電を中和させる。その結果、ミセル表面に多価金属無機塩の皮膜が形成され、多価金属無機塩皮膜α−リポ酸ナノ粒子が調製されると考えられる。このナノ粒子の調製においてはα−リポ酸ミセルを鋳型にしていることから、封入率は単分散α−リポ酸分子を除いた濃度に相当し100%に近いものとなると考えられる。このナノ粒子の表面には非イオン性界面活性剤の親水基が露出すると考えられる。本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子は、水中に透明に分散する。またCaCOなどの多価金属無機塩結晶は水に溶解しないが、ナノ粒子表面ではバテライトあるいはアモルファス構造をとると考えられ、生体内では徐々に溶解する。そのため、本発明の組成物は、α−リポ酸が徐放されるDDS効果が期待される。
本発明で使用するα−リポ酸ナノ粒子は、別の実施形態では、α−リポ酸がある種の非イオン性界面活性剤に可溶化され、この可溶化物を水中に分散させることによりα−リポ酸と非イオン性界面活性剤の混合ミセルが形成されるという知見に基づいて製造され得る。このα−リポ酸溶解非イオン性界面活性剤の混合ミセルに、2価金属のハロゲン化物、酢酸塩、あるいはグルコン酸塩を添加することにより、α−リポ酸イオンのマイナス電荷に2価の金属カチオンを結合させる。この際、界面活性剤の存在によりα−リポ酸の凝集・沈澱が妨げられ、リポ酸の表面に2価の金属イオンが結合した球状もしくは卵形の形状のミセルが形成されると考えられる。このミセルに対してさらに2価の陰イオン(アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物)を添加して、2価の陰イオンをミセル表面の金属イオンに吸着(結合)させて、ミセル表面荷電を中和させる。その結果、ミセル表面に多価金属無機塩の皮膜が形成され、多価金属無機塩皮膜α−リポ酸ナノ粒子が調製されると考えられる。
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する:
(項目1) 皮膚のターンオーバーを促進するための組成物であって、該組成物は、α−リポ酸ナノ粒子を含み、該α−リポ酸ナノ粒子は、α−リポ酸と、非イオン性界面活性剤と、2価金属イオンと、炭酸イオンまたはリン酸イオンとを含む、組成物。
(項目2) 皮膚のメラニンを排出するため、創傷治癒のため、または皮膚再生促進のための組成物である、項目1に記載の組成物。
(項目3) 前記2価金属イオンがカルシウムイオン、亜鉛イオンまたはマグネシウムイオンである、項目1または2に記載の組成物。
(項目4) 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される、項目1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
(項目5) さらにポリエチレングリコールを含む、項目1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
(項目6) 前記α−リポ酸ナノ粒子が、
α−リポ酸と非イオン性界面活性剤とを含む水性分散液を調製する工程;
該水性分散液に、2価金属塩を添加する工程であって、該2価金属塩が、2価金属ハロゲン化物、2価金属酢酸化物または2価金属グルコン酸化物である、工程;および
該2価金属塩を添加した水性分散液に、アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物を添加して、α−リポ酸ナノ粒子を形成させる工程
を包含する方法によって製造される、項目1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
(項目7) 前記α−リポ酸と非イオン性界面活性剤とを含む水性分散液を調製する工程が、
液状の非イオン性界面活性剤にα−リポ酸を溶解して界面活性剤溶液を得ること;および
該界面活性剤溶液に水または水を含む液体を添加して水性分散液を得ることを含む、項目6に記載の組成物。
(項目8) 前記α−リポ酸と非イオン性界面活性剤とを含む水性分散液を調製する工程が、α−リポ酸とアルカリ性物質と水との混合物を作製してα−リポ酸含有水性分散液を調製すること;および該α−リポ酸含有水性分散液に非イオン性界面活性剤を添加することを含む、項目6に記載の組成物。
(項目9) 前記2価金属塩が、塩化カルシウム、臭化カルシウム、フッ化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、フッ化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、ヨウ化亜鉛、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マグネシウムおよびグルコン酸亜鉛からなる群より選択される、項目6〜8のいずれか1項に記載の組成物。
(項目10) 前記2価金属塩が、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよびグルコン酸亜鉛からなる群より選択される、項目6〜9のいずれか1項に記載の組成物。
(項目11) 前記アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムからなる群より選択される、項目6〜10のいずれか1項に記載の組成物。
(項目12) 前記アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物が、炭酸ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムからなる群より選択される、項目6〜11のいずれか1項に記載の組成物。
(項目13) 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される、項目6〜12のいずれか1項に記載の組成物。
(項目14) 前記非イオン性界面活性剤のHLB値が、10以上である、項目13に記載の組成物。
(項目15) 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(重合度10〜20)オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(重合度10〜20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(重合度10〜20)ポリオキシプロピレン(重合度4〜8)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(重合度20〜100)硬化ヒマシ油およびショ糖ラウリン酸エステルからなる群より選択される、項目6〜14のいずれか1項に記載の組成物。
(項目16) 前記α−リポ酸と非イオン性界面活性剤とを含む水性分散液を調製する工程において、
前記非イオン性界面活性剤にα−リポ酸を溶解する前に、ポリエチレングリコールを該非イオン性界面活性剤中に混合しておくか、または
前記界面活性剤溶液に水を含む液体を添加する際に、該水を含む液体として、ポリエチレングリコールを含む水を用いる、項目7〜15のいずれか1項に記載の組成物。
(項目17) 皮膚外用剤である、項目1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
(項目18) 経口投与剤である、項目1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
本発明の組成物は、皮膚のターンオーバーを顕著に促進する。本発明の組成物はまた、メラニン排出もまた顕著に促進する。
図1は、実施例1で蒸留水を使用して作製したα−リポ酸−MgCOナノ粒子の粒子径分布を動的光散乱光度計(大塚電子 ELS−710TY)によって測定した結果を示す。 図2は、比較例1Aでイオン交換水を使用して作製したα−リポ酸ナノ粒子の粒子径分布を動的光散乱光度計(大塚電子 ELS−710TY)によって測定した結果を示す。 図3は、α−リポ酸の残存率の結果を示す。△は対照である試薬のα−リポ酸の結果であり、■は比較例1のα−リポ酸ナノ粒子の結果であり、□は実施例1のα−リポ酸−MgCOナノ粒子の結果である。 図4は、試験例3の結果を示す。 図5は、試験例4の結果を示す。 図6は、試験例4のしわのレプリカを示す。 図7は、実施例22Aで蒸留水を使用して作製したα−リポ酸−CaCOナノ粒子の粒子径分布を動的光散乱光度計(大塚電子 FPAR1000)によって測定した結果を示す。 図8は、実施例29Bで蒸留水を使用して作製したα−リポ酸−MgCOナノ粒子の粒子径分布を動的光散乱光度計(大塚電子 FPAR1000)によって測定した結果を示す。 図9は、試験例5の結果を示す。 図10は、試験例6の結果を示す。 図11は、試験例7で3T3−L1細胞培養液にα−リポ酸−MgCOナノ粒子を添加し、未成熟脂肪細胞内に蓄積した脂肪をオイルレッドOで染色し、吸光度計(波長520nm)にて測定した結果を示す。 図12は、試験例8で3T3−L1細胞培養液にα−リポ酸−MgCOナノ粒子を添加し、成熟脂肪細胞内に蓄積した脂肪をオイルレッドOで染色し、吸光度計(波長520nm)にて測定した結果を示す。 図13は、試験例9で3T3−L1細胞培養液にα−リポ酸−MgCOナノ粒子を添加し培養した未成熟脂肪細胞を破砕した細胞破砕液中のα−リポ酸濃度を高速液体クロマトグラフ質量分析計によって測定した結果を示す。 図14は、試験例9で3T3−L1細胞培養液にα−リポ酸−MgCOナノ粒子を添加し培養した未成熟脂肪細胞培養上清液中のα−リポ酸濃度を高速液体クロマトグラフ質量分析計によって測定した結果を示す。 図15は、試験例10で作製した皺モデルマウスの評価基準例を示す。 図16は、試験例10で作製した皺モデルマウスに6週間α−リポ酸−MgCOナノ粒子を塗布したマウスの皺レプリカとその皺評価点数を示す。 図17は、試験例10で作製した皺モデルマウス皮膚切片のヒアルロン酸染色の結果を示す。 図18は、試験例11の皺レプリカを示す。 図19は、試験例12の細胞破砕液画分に対するヒアルロン酸ELISAの結果を示す。 図20は、試験例14の塗布開始日および塗布11日目における、比較例60のα−リポ酸分散液を塗布したモルモット背部皮膚の写真である。 図21は、試験例14の塗布開始日および塗布11日目における、実施例60のα−リポ酸−MgCOナノ粒子分散液を塗布したモルモット背部皮膚の写真である。 図22は、試験例14の塗布開始日および塗布11日目における、実施例61のα−リポ酸−CaCOナノ粒子分散液を塗布したモルモット背部皮膚の写真である。 図23は、試験例14の塗布開始日および塗布11日目における、水を塗布したかまたは無処置部分のモルモット背部皮膚の写真である。 図24は、試験例14の塗布11日目における、各塗布部分のモルモット背部皮膚組織切片をヘマトキシリン・エオジンで染色したものの顕微鏡写真である。 図25は、試験例17の結果を示す。塗布後各日数に採取した皮膚組織染色画像解析における基底膜1mmあたりのKi−67陽性細胞の平均数を表す。 図26は、試験例17の結果を示す。塗布後各日数に採取した皮膚組織染色画像解析における表皮層の平均厚さを表す。 図27は、試験例17の塗布後3日目のマウス背部皮膚組織切片をKi−67抗体で免疫染色したものの顕微鏡写真である。灰色が細胞核を表し。核と陽性シグナルとで二重に濃く染色され、黒色になった細胞が免疫染色陽性細胞を表す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物は、皮膚のターンオーバーを促進するための組成物であって、該組成物は、α−リポ酸ナノ粒子を含む。本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子は、α−リポ酸と、非イオン性界面活性剤と、2価金属イオンと、炭酸イオンまたはリン酸イオンとを含む。
(1.α−リポ酸ナノ粒子の材料)
本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子は、α−リポ酸、非イオン性界面活性剤、2価金属塩、アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物を使用して製造される。当業者は、本発明の製造法において、アルカリ性水溶液など、必要に応じて他の材料を使用し得る。
(1a.α−リポ酸)
本発明において用いられるα−リポ酸は、当該分野で公知の任意のα−リポ酸であり得る。α−リポ酸はチオクト酸としても公知である。α−リポ酸は、R,S−(+/−)−α−リポ酸、R−(+)−α−リポ酸、S−(−)−α−リポ酸のいずれであってもよい。α−リポ酸は、酸の形態であってもよく、塩の形態であってもよい。市販の任意のα−リポ酸が用いられ得る。α−リポ酸は、粉末または結晶の形態であり得る。
(1b.非イオン性界面活性剤)
本発明において用いられる非イオン性界面活性剤は、非イオン性であれば任意の界面活性剤であり得る。本発明において用いられる非イオン性界面活性剤の例としては、特に限定はないが、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。本発明において用いられる非イオン性界面活性剤としては特に、HLB値が約10以上であるものが好ましい。本発明において用いられる非イオン性界面活性剤としては特に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される非イオン性界面活性剤であって、かつHLB値が約10以上であるものが好ましい。本発明においてはさらに、非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(重合度10〜20)オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(重合度10〜20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(重合度10〜20)ポリオキシプロピレン(重合度4〜8)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(重合度20〜100)硬化ヒマシ油およびショ糖ラウリン酸エステルからなる群より選択されることが特に好ましい。本発明においては、1種類の非イオン性界面活性剤を使用してもよく、または2種類以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのHLB値は、約10以上であることが好ましく、約12以上であることがより好ましく、約14以上であることが最も好ましい;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのHLB値は、約20以下であることが好ましく、約18以下であることがより好ましく、約16以下であることが最も好ましい。
非イオン性界面活性剤は、室温で固体のもの(すなわち、融点が室温よりも高い界面活性剤)であってもよく、室温で液体のもの(すなわち、融点が室温よりも低い界面活性剤)であってもよい。本願明細書中で「液状の非イオン性界面活性剤」との用語は、室温で液体の非イオン性界面活性剤を使用する実施形態と、室温で固体の非イオン性界面活性剤を加熱して融解させて液状にして使用する実施形態との両方に関して用いられる。
本明細書中で用いられる場合、「HLB値」とは、親水性疎水性バランス値(Hydrophile Lipophile Balance value)をいい、一般に、20×M/Mにより計算され、ここで、M=親水基部分の分子量であり、M=分子全体の分子量である。HLB値は、分子中の親水基の量が0%のとき0であり、100%のとき20である。HLB値は、界面活性剤では界面活性剤分子を形成する親水性および疎水性の基の大きさと強さを表し、疎水性の高い界面活性剤はHLB値が小さく、親水性の高い界面活性剤はHLB値が大きい。
本発明において好適に使用されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の例としては、酸化エチレンの重合度が任意のものであるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられる。例えば、酸化エチレンの重合度が約10以上のものが好ましく、酸化エチレンの重合度が約200以下のものが好ましい。さらにより好ましいポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の例としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80が挙げられる。なお、この数字は、酸化エチレンの重合度の程度を表し、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40は、酸化エチレンの付加モル数が40であることを示す。
本発明において好適に使用されるポリオキシエチレンアルキルエーテルの例としては、酸化エチレンの重合度が任意のものであるポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられる。酸化エチレンの重合度が約10以上のものが好ましく、酸化エチレンの重合度が約20以下のものが好ましい。さらにより好ましいポリオキシエチレンアルキルエーテルの例としては、例えば、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(POE(20)ステアリルエーテルとも記載される)、ポリオキシエチレン(20)オクチルドデシルエーテル(POE(20)オクチルドデシルエーテルとも記載される)およびポリオキシエチレン(20)イソステアリルエーテル(POE(20)イソステアリルエーテル)が挙げられる。この(20)という数字は酸化エチレンの重合度が20であることを示す。
本発明において好適に使用されるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例としては、酸化エチレンの重合度が任意のものであるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。酸化エチレンの重合度が約10以上のものが好ましく、酸化エチレンの重合度が約20以下のものが好ましい。さらにより好ましいポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例としては、例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(POE(20)ソルビタンモノオレエートとも記載される)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(POE(20)ソルビタンモノラウレートとも記載される)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(POE(20)ソルビタンモノステアレートとも記載される)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(POE(20)ソルビタンモノパルミテートとも記載される)およびポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレート(POE(20)ソルビタントリオレートとも記載される)が挙げられる。この(20)という数字は酸化エチレンの重合度が20であることを示す。
本発明において好適に使用されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルの例としては、酸化エチレンの重合度が任意のものであるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルが挙げられる。ポリオキシエチレン部分の重合度が約10以上のものが好ましく、ポリオキシエチレン部分の重合度が約20以下のものが好ましい。ポリオキシプロピレン部分の重合度が約4以上のものが好ましく、ポリオキシプロピレン部分の重合度が約8以下のものが好ましい。さらにより好ましいポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルの例としては、例えば、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル(POE(20)POP(8)セチルエーテルとも記載される)、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル(POE(20)POP(4)セチルエーテルとも記載される)、ポリオキシエチレン(34)ポリオキシプロピレン(23)セチルエーテル(POE(34)POP(23)セチルエーテルとも記載される)、ポリオキシエチレンポリオキシエチレンプロピレンデシルテトラデシルエーテル(POEPOEプロピレンデシルテトラデシルエーテルとも記載される)およびポリオキシエチレン(20)イソステアリルエーテル(POE(20)イソステアリルエーテルとも記載される)が挙げられる。
本発明において好適に使用されるポリグリセリン脂肪酸エステル類の例としては、例えば、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノミリステート、デカグリセリンモノオレートおよびデカグリセリンモノステアレートが挙げられる。使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は特に限定はされないが、HLB値は好ましくは約8以上であり、より好ましくは約10以上であり、さらに好ましくは約12以上である。HLB値は好ましくは約20以下であり、より好ましくは約19以下であり、さらに好ましくは約18以下である。
本発明において好適に使用されるショ糖脂肪酸エステル類の例としては、例えば、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステルおよびショ糖ラウリン酸エステルが挙げられる。中でもショ糖ラウリン酸エステルがより好適に使用される。
本発明において、α−リポ酸ナノ粒子中の界面活性剤の含有量は、界面活性剤の種類により異なる。界面活性剤の量は、α−リポ酸重量の、好ましくは約1倍以上であり、より好ましくは約2倍以上であり、さらに好ましくは約3倍以上であり、特に好ましくは約4倍以上であり、最も好ましくは約5倍以上である。界面活性剤の量は、α−リポ酸重量の、好ましくは約40倍以下であり、より好ましくは約35倍以下であり、さらに好ましくは約30倍以下であり、特に好ましくは約25倍以下であり、最も好ましくは約20倍以下である。α−リポ酸に対する界面活性剤の量が少なすぎると、ナノ粒子が凝集しやすくなり、透明かつ安定な粒子を得ることが難しい場合がある。α−リポ酸に対する界面活性剤の量が多すぎると、添加量を増やしてもそれにより得られる効果がそれほど増えない上に、α−リポ酸含量が相対的に低下する、使用時のハンドリングが悪くなる、本ナノ粒子を食品に利用した場合に界面活性剤由来の味が発現し商品価値を下げる、などの問題が生じ得る。
(1c.2価金属塩)
本発明においては、2価金属塩が使用される。使用され得る2価金属塩の例としては、2価金属ハロゲン化物、2価金属酢酸化物および2価金属グルコン酸化物が挙げられる。
2価金属酢酸化物とは、酢酸と2価金属との塩であり、酢酸二価金属塩ともいう。2価金属グルコン酸化物とは、グルコン酸と2価金属との塩であり、グルコン酸二価金属塩ともいう。2価金属塩は好ましくは、塩化カルシウム、臭化カルシウム、フッ化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、フッ化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、ヨウ化亜鉛、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マグネシウムおよびグルコン酸亜鉛からなる群より選択され、より好ましくは、塩化マグネシウム、塩化カルシウムおよびグルコン酸亜鉛からなる群より選択される。市販の2価金属塩が使用され得る。1種類の2価金属塩を使用してもよく、2種類以上の2価金属塩を混合して使用してもよい。1種類の2価金属塩を使用することが好ましい。
(1d.アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物)
本発明においては、アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物が使用される。アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物中のアルカリ金属の例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウムおよびフランシウムが挙げられる。アルカリ金属は、ナトリウムまたはカリウムであることが好ましく、ナトリウムであることがさらに好ましい。本発明において使用され得るアルカリ金属炭酸化物の例としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウムが挙げられ、炭酸ナトリウムが好ましい。本発明において使用され得るアルカリ金属リン酸化物の例としては、例えば、リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムが挙げられる。リン酸ナトリウムは、メタリン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムまたはピロリン酸水素ナトリウムであり得、好ましくはリン酸水素二ナトリウムである。リン酸カリウムは、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムまたはリン酸三カリウムであり得、好ましくはリン酸水素二カリウムである。
市販のアルカリ金属炭酸化物およびアルカリ金属リン酸化物が使用され得る。1種類のアルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物を使用してもよく、2種類以上のアルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物を混合して使用してもよい。1種類のアルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物を使用することが好ましい。
(1e.添加剤)
本発明においては、添加剤を使用することができる。添加剤は、水溶性高分子であることが好ましい。添加剤の例としては、ポリエチレングリコール、植物系高分子、微生物系高分子、動物系高分子、デンプン類およびデキストリン類、セルロース類、ビニル系高分子およびアクリル系高分子が挙げられる。
添加剤を用いることにより、ミセル表面へと水溶性高分子が吸着することによるミセルの凝集抑制効果および分散効果;ミセル間の水中(連続相)に高分子化合物が存在することによる立体障害によるミセルの凝集抑制効果;ならびに増粘によるミセルの凝集抑制効果などの効果が得られると考えられる。
ポリエチレングリコールは、HO(CHCHO)Hによって示される物質である。ポリエチレングリコールは、エチレングリコールの脱水重縮合によって生成したと考えられる構造をもち、両末端がヒドロキシル基であるポリエーテルである。分子量約200から約20,000の種々のものが公知である。ポリエチレングリコールは、分子量が約200〜約600では液体であり、分子量が約1000を超えると固体である。ポリエチレングリコールは高分子であるので、通常、種々の分子量の分子の混合物として販売される。ポリエチレングリコールの数平均分子量は、好ましくは約500以上であり、より好ましくは約600以上であり、さらに好ましくは約700以上であり、なおさらに好ましくは約800以上であり、特に好ましくは約900以上であり、そして最も好ましくは約1,000以上である。ポリエチレングリコールの数平均分子量は、好ましくは約10,000以下であり、より好ましくは約9,000以下であり、さらに好ましくは約8,000以下であり、なおさらに好ましくは約7,000以下であり、特に好ましくは約6,500以下であり、そして最も好ましくは約2,000以下である。本発明で好適に使用されるポリエチレングリコールの例としては、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000が挙げられる。
植物系高分子とは、植物から抽出または精製される高分子をいう。植物系高分子の例としては、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、ローカストビーンガム、カラギナン、ペクチン、クインスシード(マルメロ種子)抽出物、褐藻粉末などが挙げられる。
微生物系高分子とは、微生物から抽出または精製される高分子をいう。微生物系高分子の例としては、キサンタンガム、デキストラン、プルランなどが挙げられる。
動物系高分子とは、動物から抽出または精製される高分子をいう。動物系高分子の例としては、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸などが挙げられる。
デンプン類およびデキストリン類とは、デンプンおよびデキストリン、ならびにそれらの化学修飾物、酵素処理物および物理的処理物をいう。デンプン類は、好ましくは、化学修飾されたデンプンである。デンプン類の例としては、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシデンプンなどが挙げられる。
セルロース類とは、セルロース類およびその化学修飾物、酵素処理物および物理的処理物をいう。セルロース類の例としては、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸塩、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、セルロース末などが挙げられる。
ビニル系高分子とは、ビニル系モノマーを重合して得られる高分子をいう。ビニル系高分子の例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーなどが挙げられる。
アクリル系高分子とは、アクリル系モノマーを重合して得られる高分子をいう。アクリル系高分子の例としては、ポリアクリル酸及びその塩、ポリアクリルイミドなどが挙げられる。
(2.α−リポ酸ナノ粒子の製造方法)
本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子の製造方法は、α−リポ酸と非イオン性界面活性剤とを含む水性分散液を調製する工程;該水性分散液に、2価金属塩を添加する工程であって、該2価金属塩が、2価金属ハロゲン化物、2価金属酢酸化物または2価金属グルコン酸化物である、工程;および該2価金属塩を添加した水性分散液に、アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物を添加して、α−リポ酸ナノ粒子を形成させる工程を包含する。
好ましい実施形態では、前記α−リポ酸と非イオン性界面活性剤とを含む水性分散液を調製する工程が、液状の非イオン性界面活性剤にα−リポ酸を溶解して界面活性剤溶液を得ること;および該界面活性剤溶液に水または水を含む液体を添加して水性分散液を得ることを含む。この実施形態では、以下に記載の「2a−1」、「2b−1」、「2c」および「2d」を含む工程を行うことにより、α−リポ酸ナノ粒子を製造し得る。
別の好ましい実施形態では、前記α−リポ酸と非イオン性界面活性剤とを含む水性分散液を調製する工程が、α−リポ酸とアルカリ性物質と水との混合物を作製してα−リポ酸含有水性分散液を調製すること;および該α−リポ酸含有水性分散液に非イオン性界面活性剤を添加することを含む。この実施形態では、以下に記載の「2a−2」、「2b−2」、「2c」および「2d」を含む工程を行うことにより、α−リポ酸ナノ粒子を製造し得る。
特定の好ましい実施形態では、本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子の方法は、α−リポ酸とアルカリ性物質と水との混合物を作製してα−リポ酸含有水性分散液を調製する工程(該水性分散液中でα−リポ酸がミセルを形成すると考えられる);該水性分散液に非イオン性界面活性剤を添加する工程(α−リポ酸と非イオン性界面活性剤との混合ミセルが形成すると考えられる);該水性分散液に、2価金属塩を添加する工程であって、該2価金属塩が、2価金属ハロゲン化物、2価金属酢酸化物または2価金属グルコン酸化物である、工程;および該2価金属塩を添加した水性分散液に、アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物を添加して、α−リポ酸ナノ粒子を形成させる工程を包含する。
(2a−1.α−リポ酸を液状の非イオン性界面活性剤に溶解する工程)
α−リポ酸を非イオン性界面活性剤に最初に溶解させる実施形態を説明する。この実施形態においては、非イオン性界面活性剤を溶媒として用いる。すなわち、界面活性剤溶液を調製する。この実施形態においては、まず、液状の非イオン性界面活性剤にα−リポ酸を溶解して界面活性剤溶液を得る。このα−リポ酸は、非イオン性界面活性剤に直接添加してもよく、間接的に添加してもよい。「間接的に添加する」とは、他の物質と混合してから添加することをいう。例えば、α−リポ酸を添加剤と混合した後に非イオン性界面活性剤に添加してもよい。α−リポ酸は、通常、結晶または粉末の形態で市販されている。この実施形態では、α−リポ酸は、液状の非イオン性界面活性剤にほぼ完全に溶解する。非イオン性界面活性剤が室温で液状であれば、室温でこの溶解操作を行うことができるが、必要に応じて、加熱してこの溶解操作を行っても良い。非イオン性界面活性剤が室温で固体であれば、加熱して非イオン性界面活性剤を液状にして、この溶解操作を行う。この界面活性剤溶液を調製する際、必要に応じて、非イオン性界面活性剤に上述した添加剤を加えておいても良い。
この界面活性剤溶液を調製する際、好ましくは、水を使用しない。すなわち、界面活性剤溶液を調製する際に混入する水の量は、α−リポ酸100重量部に対して約50重量部以下とすることが好ましく、約20重量部以下とすることがより好ましく、約10重量部以下とすることがさらに好ましく、約5重量部以下とすることがいっそう好ましく、約1重量部以下とすることが特に好ましい。水分量の下限は特にないが、α−リポ酸100重量部に対して約0.001重量部以上、約0.01重量部以上、または約0.1重量部以上の水が混合される条件を採用してもよい。
α−リポ酸はアルコールには溶解するが、本発明においてはアルコールを実質的に使用しないことが好ましい。アルコールを使用するとα−リポ酸のミセル形成効率に悪影響を及ぼし得る。従って、例えば、α−リポ酸100重量部に対して、アルコールの使用量を約10重量部以下とすることが好ましく、約5重量部以下とすることがより好ましく、約1重量部以下とすることがさらに好ましく、約0.5重量部以下とすることが特に好ましく、約0.1重量部以下とすることが最も好ましい。ただし、必要に応じてアルコールを使用する場合、そのアルコールの使用量の下限は特にないが、例えば、α−リポ酸100重量部に対して、アルコールの使用量が約0.01重量部以上に設定することは可能である。
なお、後述する実施形態では、α−リポ酸を溶解させる際にアルカリ性化合物を使用するが、本実施形態では、アルカリ性化合物を使用してα−リポ酸を溶解させる必要はない。本実施形態において、α−リポ酸を非イオン性界面活性剤に溶解する際には、好ましくは、α−リポ酸および非イオン性界面活性剤以外の材料を用いずに、当該溶解操作を行う。例えば、アルカリ性化合物を実質的に使用せずに、当該溶解操作を行うことができる。従って、溶解操作を行う際に使用されるアルカリ性化合物の量については、例えば、α−リポ酸100重量部に対して、アルカリ性化合物の使用量を5重量部以下とすることが可能であり、約1重量部以下とすることも可能であり、約0.5重量部以下とすることも可能であり、約0.1重量部以下とすることも可能であり、約0.05重量部以下とすることも可能であり、約0.01重量部以下とすることも可能である。
なお、α−リポ酸を非イオン性界面活性剤に溶解した後、水を加える際には、必要に応じて、水とともにアルカリを同時に添加しても良く、アルカリ性の水(例えば、塩基性化合物の水溶液)を添加しても良い。
非イオン性界面活性剤は、融点が室温以上のものは、加熱して融解することが好ましい。加熱は、使用する非イオン性界面活性剤が融解するに充分な温度になるように行われればよい。α−リポ酸を分解するおそれがあるので、非イオン性界面活性剤の温度が約70℃以上になるような、過度の加熱は好ましくない。α−リポ酸を添加する際の非イオン性界面活性剤の温度は、この非イオン性界面活性剤の融点より高く、(融点+20℃)以下であることが好ましく、(融点+15℃)以下であることがより好ましく、(融点+10℃)以下であることが最も好ましい。
非イオン性界面活性剤とα−リポ酸との混合物の作製の際に、α−リポ酸と非イオン性界面活性剤との混合(ミセル形成)に実質的に悪影響を及ぼさない限り、他の物質をまた混合してもよい。例えば、非イオン性界面活性剤と添加剤(例えば、ポリエチレングリコール)とを混合した後にα−リポ酸を添加することにより混合物を作製してもよい。あるいは、非イオン性界面活性剤とα−リポ酸との混合物に添加剤(例えば、ポリエチレングリコール)を添加してもよい。
α−リポ酸を添加した後の混合物をよく攪拌することが好ましい。
α−リポ酸の量は、工程2b−1で得られるα−リポ酸含有水性分散液中のα−リポ酸の濃度が、臨界ミセル濃度以上になるように選択される。α−リポ酸含有水性分散液中のα−リポ酸の濃度は、好ましくは約0.1重量%以上であり、より好ましくは約0.5重量%以上であり、より好ましくは約1.0重量%以上である。α−リポ酸含有水性分散液中のα−リポ酸の濃度は、好ましくは約20重量%以下であり、より好ましくは約16重量%以下であり、さらに好ましくは約14重量%以下であり、特に好ましくは約12重量%以下であり、最も好ましくは約10重量%以下である。
α−リポ酸を溶解するために使用される非イオン性界面活性剤の量は、任意に選択され得るが、α−リポ酸の量を100としたときに、重量比で、好ましくは約100以上であり、より好ましくは約200以上であり、さらに好ましくは約300以上であり、特に好ましくは約400以上であり、最も好ましくは約500以上である。この工程で添加される非イオン性界面活性剤の量は、α−リポ酸の量を100としたときに、重量比で、好ましくは約4000以下であり、より好ましくは約3500以下であり、さらに好ましくは約3000以下であり、特に好ましくは約2500以下であり、最も好ましくは約2000以下である。
(2b−1.非イオン性界面活性剤とα−リポ酸との混合物に水を添加してα−リポ酸含有水性分散液を得る工程)
次いで、非イオン性界面活性剤とα−リポ酸との混合物に水を添加して、α−リポ酸含有水性分散液が得られる。α−リポ酸含有水性分散液の作製の際に、α−リポ酸と非イオン性界面活性剤との混合(ミセル形成)に実質的に悪影響を及ぼさない限り、他の物質をまた混合してもよい。
非イオン性界面活性剤とα−リポ酸との混合物に水を添加して混合することにより、α−リポ酸と非イオン性界面活性剤との混合ミセルが自然に形成されると考えられる。この実施形態では、α−リポ酸と非イオン性界面活性剤とが規則的に配列している状態から、水の添加によって一気に混合ミセルが形成されると考えられるので、非常に安定的に混合ミセルを形成できると考えられる。水を添加した後の溶液をよく攪拌することが好ましい。攪拌は、ある程度の時間継続されることが好ましい。攪拌時間は、好ましくは約10分間以上であり、より好ましくは約20分間以上であり、さらに好ましくは約25分間以上であり、最も好ましくは約30分間以上である。攪拌時間に特に上限はない。例えば、約48時間以下、約24時間以下、約18時間以下、約12時間以下、約6時間以下、約4時間以下、約2時間以下、約1時間以下、約50分間以下、約40分間以下、約35分間以下など、任意に設定され得る。
このようにしてα−リポ酸と非イオン性界面活性剤とを含む水性分散液が得られる。
(2a−2.α−リポ酸とアルカリを混合する工程)
α−リポ酸とアルカリを最初に混合する実施形態のα−リポ酸ナノ粒子の製造方法においては、まず、α−リポ酸とアルカリ性物質と水との混合物を作製してα−リポ酸含有水性分散液が調製される。α−リポ酸は、通常、結晶または粉末の形態で市販されている。α−リポ酸を水に添加すると、分散はするが、完全に溶解することはない。α−リポ酸はアルコールには溶解するが、本発明においてはアルコールを使用しないことが好ましい。アルコールを使用するとα−リポ酸のミセル形成効率に悪影響を及ぼし得る。アルカリ性物質は、任意のアルカリ性物質であり得るが、好ましくは、強塩基であり、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
α−リポ酸含有水性分散液は、例えば、まず、水にα−リポ酸を添加して混合し、そこにアルカリ性溶液を添加して混合することによって作製され得る。α−リポ酸含有水性分散液はまた、水にα−リポ酸を添加して混合し、そこにアルカリ性物質を添加して混合することによっても作製され得る。α−リポ酸含有水性分散液はまた、アルカリ性溶液にα−リポ酸を添加して混合することによっても作製され得る。α−リポ酸含有水性分散液はまた、水にα−リポ酸とアルカリ性物質とを添加して混合することによっても作製され得る。
α−リポ酸含有水性分散液の作製の際に、α−リポ酸とアルカリとの混合(ミセル形成)に実質的に悪影響を及ぼさない限り、他の物質をまた混合してもよい。
α−リポ酸含有水性分散液を作製するために使用されるα−リポ酸の量は、α−リポ酸含有水性分散液中のα−リポ酸の濃度が、臨界ミセル濃度以上になるように選択される。α−リポ酸含有水性分散液中のα−リポ酸の濃度は、好ましくは約0.1重量%以上であり、より好ましくは約0.5重量%以上であり、より好ましくは約1.0重量%以上である。α−リポ酸含有水性分散液中のα−リポ酸の濃度は、好ましくは約20重量%以下であり、より好ましくは約16重量%以下であり、さらに好ましくは約14重量%以下であり、特に好ましくは約12重量%以下であり、最も好ましくは約10重量%以下である。
α−リポ酸含有水性分散液を作製するために使用されるアルカリ性物質の量は、α−リポ酸を水に分散させる量であれば任意の量であり得る。アルカリ性物質の量は、好ましくは、α−リポ酸含有水性分散液のpHを約6.5以上にする量である。アルカリ性物質の量は、好ましくは、α−リポ酸含有水性分散液のpHを約13.5以下にする量であり、より好ましくはα−リポ酸含有水性分散液のpHを約13.0以下にする量であり、特に好ましくはα−リポ酸含有水性分散液のpHを約12.5以下にする量である。
このようにしてα−リポ酸含有水性分散液が得られる。
(2b−2.α−リポ酸含有水性分散液と非イオン性界面活性剤を添加する工程)
次いで、このα−リポ酸含有水性分散液に非イオン性界面活性剤を添加する。α−リポ酸のミセルの表面は、マイナス荷電で覆われた状態となっているため、容易に2価金属イオン、たとえばカルシウムイオン(Ca2+)が吸着(結合)し、ナトリウムイオンとの交換反応が生じ得る。この場合、2価金属イオンはナトリウムイオンに比較して吸着力(結合力)が高いことから、2価金属イオンを吸着したミセルは、その表面の荷電は解離しにくくなり、水に不溶化して、ミセルが沈澱する。沈澱を生じると、粒子同士の凝集が生じ、非常に大きな粒子を形成することとなる。この段階での粒子同士の凝集を防ぐために、非イオン性界面活性剤が添加される。非イオン性界面活性剤は、α−リポ酸と共に混合ミセルを形成し、ミセル表面上に親水基を突出させるために、多価金属イオンがミセル表面に吸着(結合)しても、ミセル表面に突出した親水基の存在により、ミセルの沈澱が生じないこととなると考えられる。
この工程で添加される非イオン性界面活性剤の量は任意に選択され得るが、α−リポ酸の濃度を100としたときに、重量比で、好ましくは約100以上であり、より好ましくは約200以上であり、さらに好ましくは約300以上であり、特に好ましくは約400以上であり、最も好ましくは約500以上である。この工程で添加される非イオン性界面活性剤の量は、α−リポ酸の濃度を100としたときに、重量比で、好ましくは約4000以下であり、より好ましくは約3500以下であり、さらに好ましくは約3000以下であり、特に好ましくは約2500以下であり、最も好ましくは約2000以下である。
α−リポ酸含有水性分散液に非イオン性界面活性剤を添加して混合することにより、α−リポ酸と非イオン性界面活性剤との混合ミセルが自然に形成されると考えられる。非イオン性界面活性剤を添加した後の溶液をよく攪拌することが好ましい。攪拌は、ある程度の時間継続されることが好ましい。攪拌時間は、好ましくは約10分間以上であり、より好ましくは約20分間以上であり、さらに好ましくは約25分間以上であり、最も好ましくは約30分間以上である。攪拌時間に特に上限はない。例えば、約48時間以下、約24時間以下、約18時間以下、約12時間以下、約6時間以下、約4時間以下、約2時間以下、約1時間以下、約50分間以下、約40分間以下、約35分間以下など、任意に設定され得る。
このようにしてα−リポ酸と非イオン性界面活性剤を含む水性分散液が得られる。
(2c.2価金属塩を添加する工程)
次いで、上記2b−1または2b−2で調製された水性分散液に、2価金属塩が添加される。2価金属塩は、この水性分散液に直接添加されてもよく、水溶液として添加されてもよいが、好ましくは、2価金属塩の水溶液として添加される。
2価金属塩を添加すべき水性分散液は、前の工程のものがそのまま使用され得るが、好ましくは、使用する金属塩に応じて、金属塩を添加する直前にpHが調整される。
本発明者らは、α−リポ酸においてはα−リポ酸の分散に好適なpHと、2価金属塩を添加する際に好適なpHとが異なり、α−リポ酸および非イオン性界面活性剤を含む混合ミセルを含む水性分散液に2価の金属イオンを付加する際に、金属イオンの種類によって好適なpHが存在することを見出した。このpHは、2価の金属イオンがMg2+の際には約12.0以下、Ca2+の際には約12.0以下、Zn2+の際には約9.5以下であることが望ましく、さらに好ましくはMg2+の際には約11.5以下、Ca2+の際には約11.5以下、Zn2+の際には約8.8以下が望ましい。
2価金属塩が塩化カルシウム、臭化カルシウム、フッ化カルシウム、ヨウ化カルシウム、酢酸カルシウムまたはグルコン酸カルシウムである場合、2価金属塩を添加する直前の水性分散液のpHは、好ましくは約3.4以上であり、より好ましくは約3.6以上であり、特に好ましくは約3.8以上であり、最も好ましくは約4.0以上であり;2価金属塩を添加する直前の水性分散液のpHは好ましくは約12.0以下であり、さらに好ましくは約11.9以下であり、特に好ましくは約11.7以下であり、最も好ましくは約11.5以下である。
2価金属塩が塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、フッ化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、酢酸マグネシウムまたはグルコン酸マグネシウムである場合、2価金属塩を添加する直前の水性分散液のpHは、好ましくは約3.4以上であり、より好ましくは約3.6以上であり、特に好ましくは約3.8以上であり、最も好ましくは約4.0以上であり;2価金属塩を添加する直前の水性分散液のpHは好ましくは約12.0以下であり、さらに好ましくは約11.9以下であり、特に好ましくは約11.7以下であり、最も好ましくは約11.5以下である。
2価金属塩が塩化亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、ヨウ化亜鉛、酢酸亜鉛またはグルコン酸亜鉛である場合、2価金属塩を添加する直前の水性分散液のpHは、好ましくは約3.5以上であり、より好ましくは約3.7以上であり、最も好ましくは約3.9以上であり;2価金属塩を添加する直前の水性分散液のpHは好ましくは約9.5以下であり、さらに好ましくは約9.2以下であり、最も好ましくは約8.8以下である。
この工程で添加される2価金属塩の量は任意に選択され得るが、α−リポ酸の濃度を100としたときに、モル比で、好ましくは約10以上であり、より好ましくは約20以上であり、さらに好ましくは約30以上であり、特に好ましくは約40以上であり、最も好ましくは約50以上である。この工程で添加される2価金属塩の量は、α−リポ酸の濃度を100としたときに、モル比で、好ましくは約200以下であり、より好ましくは約160以下であり、さらに好ましくは約140以下であり、特に好ましくは約120以下であり、最も好ましくは約100以下である。
水性分散液に2価金属塩を添加して混合することにより、混合ミセル表面のマイナス電荷に2価の金属イオンが結合して、α−リポ酸のミセル同士の凝集および沈澱が防御されると考えられる。2価金属塩を添加した後の溶液をよく攪拌することが好ましい。攪拌は、ある程度の時間継続されることが好ましい。攪拌時間は、好ましくは約10分間以上であり、より好ましくは約20分間以上であり、さらに好ましくは約25分間以上であり、最も好ましくは約30分間以上である。攪拌時間に特に上限はない。例えば、約48時間以下、約24時間以下、約18時間以下、約12時間以下、約6時間以下、約4時間以下、約2時間以下、約1時間以下、約50分間以下、約40分間以下、約35分間以下など、任意に設定され得る。
(2d.アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物を添加する工程)
次いで、この2価金属塩を添加した水性分散液に、アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物が添加される。
アルカリ金属炭酸化物およびアルカリ金属リン酸化物(「2価陰イオンを持つ塩」ともいう)の量は任意に選択され得るが、添加した2価金属塩の量を1としたときの2価陰イオンを持つ塩の量は、モル比で、好ましくは約0.01以上であり、より好ましくは約0.02以上であり、さらに好ましくは約0.1以上である。添加した2価金属塩の量を1としたときの2価陰イオンを持つ塩の量は、モル比で、好ましくは約0.80以下であり、より好ましくは約0.70以下であり、さらに好ましくは約0.60以下である。特定の実施形態では、添加した2価金属塩の量を1としたときの2価陰イオンを持つ塩の量は、モル比で、例えば、約0.60以下、約0.50以下または約0.40以下であってもよい。添加した2価金属塩の量を1としたときの2価陰イオンを持つ塩の量は、モル比で、最も好ましくは0.2である。2価金属塩の量に対する2価陰イオンを持つ塩の量が少なすぎるとミセル表面のプラス電荷が中和されず、ミセル同士の凝集及び沈殿の防御効率が低下するという場合がある。2価金属塩の量に対する2価陰イオンを持つ塩の量が多すぎると沈澱が生じやすくなる場合がある。
例えば、塩化マグネシウムと炭酸ナトリウムのモル比を1:1とした場合、一昼夜放置すると沈澱が生じるようになるが、1:0.01〜0.8、特に1:0.4までの場合は透明で、長時間の放置でも沈澱を生じない。濁ったり、沈澱が生じたりする場合は、形成された粒子の粒子径が大きすぎるからであり、粒子径が大きすぎると、皮膚透過性が悪くなり、注射する場合でも不都合が生じる。しかし、透明で沈澱も生じない場合は、形成される粒子の粒子径が小さくかつ分布が狭い。したがって皮膚透過性もよく注射にも不都合が生じないのである。
このようにして、水性分散液中でα−リポ酸ナノ粒子が形成される。
この工程で添加される2価陰イオンを持つ塩の量は任意に選択され得るが、α−リポ酸の濃度を100としたときに、モル比で、好ましくは約0.1以上であり、より好ましくは約0.5以上であり、さらに好ましくは約1.0以上であり、特に好ましくは約1.5以上であり、最も好ましくは約2.0以上である。この工程で添加される2価陰イオンを持つ塩の量は、α−リポ酸の濃度を100としたときに、モル比で、好ましくは約80以下であり、より好ましくは約74以下であり、さらに好ましくは約68以下であり、特に好ましくは約62以下であり、最も好ましくは約60以下である。特定の実施形態では、この工程で添加される2価陰イオンを持つ塩の量は、α−リポ酸の濃度を100としたときに、モル比で、例えば、約50以下、約46以下、約44以下、約42以下または約40以下であってもよい。
2価金属塩を添加した水性分散液に2価陰イオンを持つ塩を添加して混合することにより、ミセル表面に結合した2価金属イオンに2価陰イオンが結合すると考えられる。ミセル表面に結合した2価金属塩に2価陰イオンが結合することにより、ミセル表面の荷電が実質的に中和されると考えられる。ミセル表面では、2価金属イオンと2価陰イオンとが結合して多価金属無機塩を形成していると考えられる。このようにしてミセル表面に多価金属無機塩の被膜が形成されており、その結果、ミセル同士の結合による沈澱が防御されていると考えられる。
アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物を添加した後の溶液をよく攪拌することが好ましい。攪拌は、ある程度の時間継続されることが好ましい。攪拌時間は、好ましくは約10分間以上であり、より好ましくは約20分間以上であり、さらに好ましくは約25分間以上であり、最も好ましくは約30分間以上である。攪拌時間に特に上限はない。例えば、約48時間以下、約24時間以下、約18時間以下、約12時間以下、約6時間以下、約4時間以下、約2時間以下、約1時間以下、約50分間以下、約40分間以下、約35分間以下など、任意に設定され得る。
(2e.他の工程)
上記の各工程を行うことにより、水性分散液中でα−リポ酸のナノ粒子が形成される。この水性分散液を必要に応じて乾燥させて粉末を得ることができる。乾燥は、当該分野で公知の任意の方法によって行われ得る。乾燥は、例えば、凍結乾燥、スプレードライ、ドラムドライなどによって行われる。凍結乾燥が好ましい。この方法に従って製造されたα−リポ酸ナノ粒子を含む粉末は、水に添加したときに容易に分散して透明な液を形成する。
(3.α−リポ酸ナノ粒子)
本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子は、α−リポ酸と、非イオン性界面活性剤と、2価金属イオンと、炭酸イオンまたはリン酸イオンとを含む。
本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子中の非イオン性界面活性剤の量は、α−リポ酸の濃度を100としたときに、重量比で、好ましくは約100以上であり、より好ましくは約200以上であり、さらに好ましくは約300以上であり、特に好ましくは約400以上であり、最も好ましくは約500以上である。本発明のα−リポ酸ナノ粒子中の非イオン性界面活性剤の量は、α−リポ酸の濃度を100としたときに、重量比で、好ましくは約4000以下であり、より好ましくは約3500以下であり、さらに好ましくは約3000以下であり、特に好ましくは約2500以下であり、最も好ましくは約2000以下である。
本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子中の2価金属イオンの量は、α−リポ酸の濃度を100としたときに、モル比で、好ましくは約10以上であり、より好ましくは約20以上であり、さらに好ましくは約30以上であり、特に好ましくは約40以上であり、最も好ましくは約50以上である。本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子中の2価金属イオンの量は、α−リポ酸の濃度を100としたときに、モル比で、好ましくは約200以下であり、より好ましくは約160以下であり、さらに好ましくは約140以下であり、特に好ましくは約120以下であり、最も好ましくは約100以下である。
本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子中の炭酸イオンまたはリン酸イオン(2価陰イオンともいう)の量は、α−リポ酸の濃度を100としたときに、モル比で、好ましくは約0.1以上であり、より好ましくは約0.5以上であり、さらに好ましくは約1.0以上であり、特に好ましくは約1.5以上であり、最も好ましくは約2.0以上である。本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子中の炭酸イオンまたはリン酸イオンの量は、α−リポ酸の濃度を100としたときに、モル比で、好ましくは約80以下であり、より好ましくは約74以下であり、さらに好ましくは約68以下であり、特に好ましくは約62以下であり、最も好ましくは約60以下である。特定の実施形態では、この工程で添加される2価陰イオンを持つ塩の量は、α−リポ酸の濃度を100としたときに、モル比で、例えば、約50以下、約46以下、約44以下、約42以下または約40以下であってもよい。
本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子中の2価金属イオンは、好ましくはカルシウムイオン、亜鉛イオンまたはマグネシウムイオンである。
本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子中の2価金属イオンの量を1としたときの2価陰イオンの量は、モル比で、好ましくは約0.01以上であり、より好ましくは約0.10以上であり、さらに好ましくは約0.20以上である。本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子中の2価金属イオンの量を1としたときの2価陰イオンの量は、モル比で、好ましくは約0.80以下であり、より好ましくは約0.50以下であり、さらに好ましくは約0.40以下である。本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子中の2価金属イオンの量を1としたときの2価陰イオンの量は、モル比で、最も好ましくは約0.2である。
(4.ターンオーバーを促進するための組成物)
本発明の組成物は、皮膚のターンオーバーを促進するための組成物である。本発明の組成物は、α−リポ酸ナノ粒子を含む。
本明細書中では、用語「皮膚のターンオーバー」とは、表皮の細胞の新陳代謝のサイクルをいう。本明細書中では、用語「皮膚のターンオーバーを促進する」とは、皮膚の新陳代謝を活発化することをいう。成人のターンオーバーは通常約28日であるが、加齢に伴ってターンオーバーが延長され、高齢者では約40〜60日になる。
皮膚のターンオーバーにおいては、表皮層の底に並ぶ基底細胞が***し、***後の一部の細胞が上に押し上げられる。基底細胞は次々に***をするため、基底細胞よりも上の細胞は徐々に上に押し上げられていく。この押し上げられた細胞は、上に行くに従って有棘細胞、顆粒細胞などと名前と形を変えていく。この押し上げられた細胞が角質層に到達したときには細胞核を失っており、ケラチンというタンパク質を主成分とする硬い物質となる。上に押し上げられた細胞は、角質層に到達してから約2週間滞在した後、垢として剥がれ落ちる。また加齢や疾患によりターンオーバーが延長することが知られている。従って、本発明の組成物は、この基底細胞が***して角質層に到達し、最終的に垢として剥がれ落ちるまでの過程を促進し、それに要する時間を短縮する。
基底層には、基底細胞とともにメラノサイトが存在する。メラノサイトは基底層の細胞の約5〜15%を占める。メラノサイトは、紫外線照射、刺激、炎症、酸化ストレス、老化等によるケラチノサイトからのシグナル異常などによりメラニンを形成する。メラニンを作るというシグナルを受けたメラノサイトは細胞中でチロシンを原料として使用してメラニンを形成する。形成されたメラニンはメラノサイトの突起に移動する。移動したメラニンは周囲の基底細胞に吸収される。吸収されたメラニンは基底細胞の細胞核を覆って紫外線を吸収することにより、細胞核を紫外線などの影響から保護する。メラニンは基底細胞がターンオーバーにより押し出されて剥がれ落ちる際に排出される。紫外線などの刺激により形成されるメラニンの量とターンオーバーにより排出されるメラニンの量とのバランスにより、皮膚がより白くなるかまたは黒くなるかが決まる。すなわち、形成されるメラニンの量よりもターンオーバーにより排出されるメラニンの量の方が多ければ皮膚のメラニン量が減少するので、美白効果が得られる。
本発明の組成物は肌のターンオーバーを促進するため、本発明の組成物は、美白に役立つ。実際、実施例で示されるように、本発明の組成物を皮膚に塗布することによりメラニンが排出されて皮膚のメラニン量が減少し、皮膚が白くなった。このように、本発明の組成物は、皮膚のメラニンを排出するために使用され得る。例えば、本発明の組成物は美白のために使用され得る。
本明細書中では、用語「美白」とは、皮膚の色素沈着を減らすことをいう。好ましくは、美白とは、皮膚のメラニン量を減少させることをいう。本発明の組成物は、例えば、シミ、ソバカス、色素沈着、皮膚の黒化症、老人性色素斑、肝斑などの疾患を軽減するために使用され得る。
本発明の組成物は皮膚のターンオーバーを促進するため、皮膚の再生が促進される。そのため、本発明の組成物は、創傷治癒のために使用され得る。本明細書中では、用語「創傷治癒」とは、創傷が部分的または完全に治癒することをいう。
本発明の組成物は皮膚のターンオーバーを促進するため、皮膚の再生が促進される。そのため、本発明の組成物は、皮膚の再生を促進するために使用され得る。
皮膚の老化は、内因性老化と外因性老化の2種類に分けられる。内因性老化は遺伝的にプログラムされた老化である。内因性老化は、表皮萎縮である老化皮膚であるともいえる。外因性老化は、内因性老化に紫外線障害、環境汚染、厳しい気候、喫煙などの外的要因が加わったものである。内因性老化では、皮膚に浅いシワが増加し、皮膚が乾燥し、かつ菲薄化する。特に表皮は30〜80歳の間に10〜50%菲薄化するといわれている。加齢に伴って表皮角化細胞の再生率は低下し、ターンオーバーも低下する。(「スキンケアを科学する」、南江堂、112−114頁)。
本発明の組成物は皮膚のターンオーバーを促進するため、皮膚が活性のある状態を維持することを促進し得る。そのため、本発明の組成物は、皮膚の若返りおよび老化防止(アンチエイジングともいう)を促進するために使用され得る。本発明の組成物はまた、老人性色素斑、老人性乾皮症およびアトピー性皮膚炎における乾燥肌、表情ジワなどの疾患を処置するために使用され得る。本発明の組成物はまた、皮膚のターンオーバー低下に関与する疾患を処置するために使用され得る。皮膚のターンオーバー低下に関与する疾患の例としては、角化症、アトピー性皮膚炎、円盤状エリトマトーデスおよび扁平苔癬が挙げられる。
皮膚のターンオーバー異常に関与する疾患に関しては、皮膚のターンオーバーを促進することにより症状が改善すると考えられる。そのため、本発明の組成物はまた、皮膚のターンオーバー異常に関与する疾患を処置するために使用され得る。皮膚のターンオーバー異常に関与する疾患の例としては、乾癬およびニキビが挙げられる。
本明細書においては、「処置する」とは、対象の疾患を治療、治癒、軽減または改善することをいう。
本発明の組成物は、医薬品、医薬部外品または他の組成物として配合され得る。本発明の組成物は、経皮吸収剤として、他の非経口投与剤として、または経口投与剤として配合され得る。本発明の組成物は例えば、皮膚外用剤として配合され得る。
本発明の組成物は、任意の公知の投与経路で投与することができる。例えば、本発明の組成物は、全身的に(例えば、静脈内に、気管内に、経脈管的に、肺内に、腹腔内に、鼻腔内に、非経口で、経腸的に、筋肉内注射により、皮下でまたは頭蓋内に)投与され得る。本発明の組成物はまた、経口投与により、エアロゾル投与により、または肺内点滴により投与され得る。
(4a.皮膚外用剤の形態の本発明の組成物)
1つの実施形態では、本発明のターンオーバー促進用組成物は、皮膚外用剤の形態である。
本明細書において、用語「皮膚外用剤」とは皮膚に接触させることにより、所望の効果を達成する、皮膚に対して使用する製剤をいう。特に長時間継続的に皮膚に接触させる用途(例えば、約1時間以上継続的に皮膚に接触させる用途、または約5時間以上継続的に皮膚に接触させる用途)に本発明は有効である。
皮膚外用剤の好ましい例は、ターンオーバー促進用化粧料である。
化粧料の好ましい例としては、スキンケア化粧料が挙げられる。化粧料の具体的な例としては、化粧水、乳液、クリーム等のスキンケア化粧料、ファンデーション、アイシャドウ、口紅、頬紅などの化粧品、頭髪化粧料、エモリエントクリーム、エモリエントローション、クリーム、クリームリンス、コールドクリーム、バニッシングクリーム、ローション、パック剤、ジェル、フェイスパック、石鹸、ボディーソープ、シャンプー、コンディショナー、リンス、入浴剤、浴用剤、洗顔料、シェービングクリーム、ヘアクリーム、ヘアローション、ヘアートリートメント、髪パック、グロス、リップクリーム、ケーキ、などが挙げられる。特に、美白効果が望まれる用途に本発明は有効である。例えば、美白用基礎化粧品(例えば、化粧水、乳液など)に本発明は有効である。本発明は、長時間皮膚に接触させる用途に特に有効であるが、洗顔料やシャンプーなどのように、短時間で使用した後に洗い流してしまうような用途においても本発明は有効である。
上述したとおり、化粧品も化粧料に含まれる。化粧品としては、清浄用化粧品、頭髪用化粧品、基礎化粧品、メークアップ化粧品、芳香化粧品、日焼け用化粧品、日焼け止め用化粧品、爪化粧品、アイライナー化粧品、アイシャドウ化粧品、チーク、***化粧品、口腔化粧品などに分類され、そのいずれの用途にも本発明は有効である。
皮膚外用剤は、医薬品または医薬部外品であってもよい。例えば、薬学的に有効な成分を含む軟膏にα−リポ酸ナノ粒子を配合することもできる。
乳液、化粧水、クリーム、シャンプー、洗顔料などの化粧品および医薬部外品などの皮膚外用剤にα−リポ酸ナノ粒子を配合することにより、シワ、シミ、ソバカス、色素沈着などの予防および治療に有効な皮膚外用剤が得られる。本発明の皮膚外用剤は、皮膚の新陳代謝を活発化する。さらに、本発明の皮膚外用剤は、紫外線などによるメラニン色素の形成を抑制するというよりも、既に形成されたメラニン色素の排出を促進することにより美白効果を発揮する。したがって、本発明の皮膚外用剤は、乾燥、紫外線などによる肌の黒化を軽減するため、シミ、ソバカス等の色素異常症を改善するため、およびくすみ、シワ、たるみ、脱毛等の老化現象を遅延させるのに有効である。
本発明の皮膚外用剤の剤形の例としては、軟膏、リニメント剤、増粘ゲル系、ローション、油中水(W/O)型エマルジョン、水中油(O/W)型エマルジョン、W/O/W型エマルジョン、O/W/O型エマルジョンなどの乳化型剤形、固形状、シート状、パウダー状、ジェル状、ムース状、油状、液状、練り状、スティック状、揮発性油状、ペースト状、ミスト状およびスプレー状が挙げられる。メーク落としパックなどのように、皮膚外用剤を布等に含浸させた形態の製品としてもよい。
皮膚外用剤の剤形をローション、乳液、増粘ゲル系などとする場合、上記の成分の中でも特に、増粘剤のうち、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、カラギナン、ローカストビーンガム、ペクチン、クインスシード(マルメロ種子)抽出物、褐藻粉末などの植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、プルランなどの微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸などの動物系高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシデンプンなどのデンプン類;メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸塩、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、セルロース末などのセルロース類;ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーなどのビニル系高分子;ポリアクリル酸及びその塩、ポリアクリルイミドなどのアクリル系高分子;グリチルリチン酸やアルギン酸などの有機系増粘剤;ベントナイト、ヘクトライト、ラボナイト、珪酸アルミニウムマグネシウム、無水珪酸などの無機系増粘剤;などからなる水溶性増粘剤と、アルコールのうち、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコールとを配合することが効果を増大させる点で好ましい。
皮膚外用剤の形態の本発明の組成物は公知の方法により製造することができる。
本明細書中では、α−リポ酸ナノ粒子を繊維に結合したり、繊維材料に混合したり、繊維に含浸させたり、または布帛の表面に塗布したりすることにより、その繊維または布帛から製造した衣類(例えば、肌着など)と皮膚とが接触したときにα−リポ酸ナノ粒子が経皮吸収されるような利用方法におけるα−リポ酸ナノ粒子を含む衣類も、皮膚外用剤の概念に含む。α−リポ酸ナノ粒子を繊維に結合することは、例えば、架橋などにより行われ得る。化合物を繊維に結合する方法、繊維材料に混合する方法、繊維に含浸させる方法、布帛表面に塗布する方法などは、当該分野で公知である。
本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子を皮膚外用剤に添加するには特別な工程を必要とせず、皮膚外用剤の製造工程の初期において原料と共に添加するか、製造工程中に添加するか、あるいは製造工程の終期に添加する。添加方式は混和、混練、溶解、浸漬、散布、噴霧、塗布等通常の方法を皮膚外用剤の種類および性状に応じて選択する。本発明の皮膚外用剤は、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
本発明の皮膚外用剤に含まれるα−リポ酸ナノ粒子の含有量は、α−リポ酸に換算して、好ましくは約0.002重量%以上であり、より好ましくは約0.01重量%以上であり、さらに好ましくは約0.1重量%以上であり、特に好ましくは約0.5重量%以上であり、最も好ましくは約1.0重量%以上である。本発明の皮膚外用剤に含まれるα−リポ酸ナノ粒子の含有量は、α−リポ酸に換算して、好ましくは約10重量%以下であり、より好ましくは約8重量%以下であり、さらに好ましくは約5重量%以下であり、特に好ましくは約4重量%以下であり、最も好ましくは約3重量%以下である。
本発明の皮膚外用剤の投与量、投与頻度および投与期間は、投与形態、患者の年令、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度などに応じて決められる。本発明の皮膚外用剤の投与量は、α−リポ酸の量として、塗布面積1cm当たり一日約1ng以上であることが好ましく、約10ng以上であることがさらに好ましく、約100ng以上であることが最も好ましい。本発明の皮膚外用剤の投与量は、α−リポ酸の量として、塗布面積1cm当たり一日約250μg以下であることが好ましく、約80μg以下であることが好ましく、約20μg以下であることがさらに好ましく、約8μg以下であることが最も好ましい。
本発明の皮膚外用剤の投与頻度は、好ましくは1日3回〜3日に1回、より好ましくは1日2回〜2日に1回、さらに好ましくは1日1回である。
本発明の皮膚外用剤の投与期間は、任意に決定され得るが、好ましくは約1日以上であり、より好ましくは約3日以上であり、さらに好ましくは約1週間以上である。本発明の皮膚外用剤の投与期間は、例えば、約1年以下、約6ヶ月以下、約3ヶ月以下、約1ヶ月以下、約3週間以下、約2週間以下、約1週間以下などであり得る。必要な場合、本発明の皮膚外用剤は、ほぼ永続的に投与されてもよい。
(4b.α−リポ酸ナノ粒子を含む徐放性皮膚外用剤)
本発明の皮膚外用剤は、ターンオーバー促進用の徐放性製剤であり得る。徐放性製剤は、固体であっても、半固体であっても、液体であってもよいが、好ましくは液体である。
本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子を徐放性製剤に添加するには特別な工程を必要とせず、徐放性製剤の製造工程の初期において原料と共に添加するか、製造工程中に添加するか、あるいは製造工程の終期に添加する。添加方式は混和、混練、溶解、浸漬、散布、噴霧、塗布等通常の方法を徐放性製剤の種類および性状に応じて選択する。本発明の徐放性製剤は、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
本発明の徐放性製剤に含まれるα−リポ酸ナノ粒子の含有量は、α−リポ酸に換算して、好ましくは約0.002重量%以上であり、より好ましくは約0.01重量%以上であり、さらに好ましくは約0.1重量%以上であり、特に好ましくは約0.5重量%以上であり、最も好ましくは約1.0重量%以上である。本発明の徐放性製剤に含まれるα−リポ酸ナノ粒子の含有量は、α−リポ酸に換算して、好ましくは約10重量%以下であり、より好ましくは約8重量%以下であり、さらに好ましくは約5重量%以下であり、特に好ましくは約4重量%以下であり、最も好ましくは約3重量%以下である。
本発明の徐放性製剤の投与量、投与頻度および投与期間は、投与形態、患者の年令、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度などに応じて決められる。本発明の徐放性製剤の投与量は、α−リポ酸の量として、塗布面積1cm当たり一日約1ng以上であることが好ましく、約10ng以上であることがさらに好ましく、約100ng以上であることが最も好ましい。本発明の皮膚外用剤の投与量は、α−リポ酸の量として、塗布面積1cm当たり一日約250μg以下であることが好ましく、約80μg以下であることがより好ましく、約20μg以下であることがさらに好ましく、約8μg以下であることが最も好ましい。
本発明の徐放性製剤の投与頻度は、好ましくは1日3回〜3日に1回、より好ましくは1日2回〜2日に1回、さらに好ましくは1日1回である。
本発明の徐放性製剤の投与期間は、任意に決定され得るが、好ましくは約1日以上であり、より好ましくは約3日以上であり、さらに好ましくは約1週間以上である。本発明の徐放性製剤の投与期間は、例えば、約1年以下、約6ヶ月以下、約3ヶ月以下、約1ヶ月以下、約3週間以下、約2週間以下、約1週間以下などであり得る。必要な場合、本発明の徐放性製剤は、ほぼ永続的に投与されてもよい。
(4c.α−リポ酸ナノ粒子を含む口腔用組成物)
本発明の口腔用組成物は、本発明のα−リポ酸ナノ粒子を含有する。口腔用組成物は、任意の口腔用組成物であり得る。口腔用組成物は、固体であっても、半固体であっても、液体であってもよいが、好ましくは液体である。口腔用組成物の例としては、歯磨剤(例えば、練り歯磨、粉歯磨きなど)、歯用クリーム、含嗽剤(マウスウォッシュを含む)、マウススプレー、崩壊性フィルム、ゲル、トローチが挙げられる。
本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子を口腔用組成物に添加するには特別な工程を必要とせず、口腔用組成物の製造工程の初期において原料と共に添加するか、製造工程中に添加するか、あるいは製造工程の終期に添加する。添加方式は混和、混練、溶解、浸漬、散布、噴霧、塗布等通常の方法を口腔用組成物の種類および性状に応じて選択する。本発明の口腔用組成物は、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
本発明の口腔用組成物に含まれるα−リポ酸ナノ粒子の含有量は、α−リポ酸に換算して、好ましくは約0.002重量%以上であり、より好ましくは約0.01重量%以上であり、さらに好ましくは約0.1重量%以上であり、特に好ましくは約0.5重量%以上であり、最も好ましくは約1.0重量%以上である。本発明の口腔用組成物に含まれるα−リポ酸ナノ粒子の含有量は、α−リポ酸に換算して、好ましくは約10重量%以下であり、より好ましくは約8重量%以下であり、さらに好ましくは約5重量%以下であり、特に好ましくは約4重量%以下であり、最も好ましくは約3重量%以下である。
(4e.α−リポ酸ナノ粒子を含む食品)
本発明の食品は、皮膚のターンオーバーを促進するための食品であり、α−リポ酸ナノ粒子を含有する。食品は、任意の食品であり得る。食品は、固体であっても、半固体であっても、液体であってもよいが、好ましくは液体である。食品は、好ましくは、健康食品であり、より好ましくは健康飲料であるが、これらに限定されない。健康食品は、その健康食品に含まれるα−リポ酸と同じ通常の用途に用いられ得る。健康食品の用途・効能の例としては、皮膚のターンオーバーの促進、シワ、シミ、ソバカスおよび色素沈着の軽減、などが挙げられる。
食品は、例えば、冷菓(アイスクリーム、アイスミルク、氷菓など)、嗜好性飲料(例えば、清涼飲料、炭酸飲料(サイダー、ラムネ等)、薬味飲料、アルコール性飲料、粉末ジュースなど)、乳製品(牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム、バター、マーガリン、チーズ、ホイップクリーム等)、菓子類(洋菓子、和菓子、スナック菓子等、例えば、あんこ、羊羹、饅頭、チョコレート、ガム、ゼリー、寒天、杏仁豆腐、ケーキ、カステラ、クッキー、煎餅、錠菓等)、パン、餅、水産練製品(蒲鉾、ちくわ等)、畜肉加工品(ソーセージ、ハム等)、果実加工品(ジャム、マーマレード、果実ソース等)、調味料(ドレッシング、マヨネーズ、味噌等)、麺類(うどん、そば等)、漬物、および蓄肉、魚肉、果実の瓶詰、缶詰類などであり得る。
本発明の方法で合成されたα−リポ酸ナノ粒子を食品に添加するには特別な工程を必要とせず、食品の製造工程の初期において原料と共に添加するか、製造工程中に添加するか、あるいは製造工程の終期に添加する。添加方式は混和、混練、溶解、浸漬、散布、噴霧、塗布等通常の方法を食品の種類および性状に応じて選択する。本発明の食品は、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
本発明の食品に含まれるα−リポ酸ナノ粒子の含有量は、α−リポ酸に換算して、好ましくは約0.01重量%以上であり、より好ましくは約0.05重量%以上であり、さらに好ましくは約0.1重量%以上であり、特に好ましくは約0.5重量%以上であり、最も好ましくは約1.0重量%以上である。本発明の食品に含まれるα−リポ酸ナノ粒子の含有量は、α−リポ酸に換算して、好ましくは約10重量%以下であり、より好ましくは約8重量%以下であり、さらに好ましくは約5重量%以下であり、特に好ましくは約4重量%以下であり、最も好ましくは約3重量%以下である。
本発明の食品の投与量、投与頻度および投与期間は、投与形態、患者の年令、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度などに応じて決められる。本発明の食品の投与量は、α−リポ酸の量として、1日体重1kg当たり約0.1mg以上であることが好ましく、約0.2mg以上であることがさらに好ましく、約0.4mg以上であることが最も好ましい。本発明の食品の投与量は、α−リポ酸の量として、1日体重1kg当たり約5mg以下であることが好ましく、約3mg以下であることがさらに好ましく、約1mg以下であることが最も好ましい。
本発明の食品の投与頻度は、好ましくは1日3回〜3日に1回、より好ましくは1日2回〜2日に1回、さらに好ましくは1日1回である。
本発明の食品の投与期間は、任意に決定され得るが、好ましくは約1日以上であり、より好ましくは約3日以上であり、さらに好ましくは約1週間以上である。本発明の食品の投与期間は、例えば、約1年以下、約6ヶ月以下、約3ヶ月以下、約1ヶ月以下、約3週間以下、約2週間以下、約1週間以下などであり得る。必要な場合、本発明の食品は、ほぼ永続的に投与されてもよい。
(4f.α−リポ酸ナノ粒子を含むターンオーバー促進用の医薬品)
本発明の医薬品は、ターンオーバー促進用の医薬品であり、α−リポ酸ナノ粒子を含有する。医薬品は、ターンオーバー促進用の任意の医薬品であり得る。医薬品の形態は、任意であり得る。本発明の医薬品は、散剤、顆粒剤、錠剤(タブレット)、カプセル剤、丸剤、液剤、分散剤、軟膏、リニメント、クリームなどであり得る。本発明の医薬品が経口投与用途に使用される場合、本発明の医薬品は好ましくは、タブレット、粉末製剤、内服液、カプセル剤などの形態である。本発明の医薬品が非経口投与用途に使用される場合、好ましくは、注射剤、軟膏またはクリーム剤であるが、これに限定されない。本発明の医薬品を用いることにより、α−リポ酸ナノ粒子が体内で徐々に分解することによって徐放効果が得られ得る。
本発明の医薬品は、動物および人に使用されることができ、人に使用されることが好ましい。本発明の医薬品は、α−リポ酸ナノ粒子に加えて製薬上許容される通常の担体を含み得る。例えば、本発明の医薬品が乳剤およびシロップ剤のような液体調製物である場合、水、ショ糖、ソルビット、果糖等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ゴマ油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を使用することができる。本発明の医薬品がカプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤である場合は、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニット等の賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダ等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を使用することができる。
注射剤などの非経口投与用製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である。例えば、注射剤の場合、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合物からなる担体等を用いて注射用の溶液を調製する。
局所製剤は、α−リポ酸ナノ粒子を1種もしくはそれ以上の媒質、例えば鉱油、石油、多価アルコール等または局所医薬製剤に使用される他の基剤中に溶解または懸濁させて調製する。腸内投与のための製剤は、通常の担体、例えばカカオ脂、水素化脂肪、水素化脂肪カルボン酸等を用いて調製し、坐剤として提供される。
本発明では、非経口剤においても、経口剤で例示したグリコール類、油類、フレーバー類、防腐剤(抗酸化剤を含む)、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤等から選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
本発明の医薬品の投与量、投与頻度および投与期間は、投与形態、患者の年令、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度などに応じて決められる。本発明の医薬品の投与量は、α−リポ酸の量として、1日体重1kg当たり約0.1mg以上であることが好ましく、約0.2mg以上であることがさらに好ましく、約0.4mg以上であることが最も好ましい。本発明の医薬品の投与量は、α−リポ酸の量として、1日体重1kg当たり約30mg以下であることが好ましく、約20mg以下であることがさらに好ましく、約5mg以下であることが最も好ましい。
本発明の医薬品の投与頻度は、好ましくは1日3回〜3日に1回、より好ましくは1日2回〜2日に1回、さらに好ましくは1日1回である。
本発明の医薬品の投与期間は、任意に決定され得るが、好ましくは約1日以上であり、より好ましくは約3日以上であり、さらに好ましくは約1週間以上である。本発明の医薬品の投与期間は、例えば、約1年以下、約6ヶ月以下、約3ヶ月以下、約1ヶ月以下、約3週間以下、約2週間以下、約1週間以下などであり得る。必要な場合、本発明の医薬品は、ほぼ永続的に投与されてもよい。
本発明の医薬品は、ターンオーバーを促進するために用いられ得る。本発明の医薬品の用途・効能の例としては、皮膚のメラニンの排出、創傷治癒、皮膚再生、皮膚の若返り、および老化防止(アンチエイジング)が挙げられる。例えば、本発明の医薬品は、シミ、ソバカス、色素沈着、皮膚の黒化症、老人性色素斑、肝斑、表情ジワなどの疾患を軽減または治療するための医薬品である。
本発明で使用されるα−リポ酸ナノ粒子を医薬品に添加するには特別な工程を必要とせず、医薬品の製造工程の初期において原料と共に添加するか、製造工程中に添加するか、あるいは製造工程の終期に添加する。添加方式は混和、混練、溶解、浸漬、散布、噴霧、塗布等通常の方法を医薬品の種類および性状に応じて選択する。本発明の医薬品は、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
本発明の医薬品に含まれるα−リポ酸ナノ粒子の含有量は、α−リポ酸に換算して、好ましくは約0.01重量%以上であり、より好ましくは約0.05重量%以上であり、さらに好ましくは約0.1重量%以上であり、特に好ましくは約0.5重量%以上であり、最も好ましくは約1.0重量%以上である。本発明の医薬品に含まれるα−リポ酸ナノ粒子の含有量は、α−リポ酸に換算して、好ましくは約10重量%以下であり、より好ましくは約8重量%以下であり、さらに好ましくは約5重量%以下であり、特に好ましくは約4重量%以下であり、最も好ましくは約3重量%以下である。
以下の実施例および比較例においては、試薬として以下のものを用いた:
α−リポ酸:和光純薬社製α−リポ酸 特級(純度98%以上、粉末状);
ショ糖ラウリン酸エステル:三菱化学フーズ株式会社製リョートーシュガーエステルL−1695(HLB値約15;結合脂肪酸約99%;モノエステル約80%;ジ・トリ・ポリエステル約20%);
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油:日光ケミカルズ社製NIKKOL HCO−60(HLB約14;白色〜微黄色のペースト〜固体);
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル:花王株式会社製エマルゲン2020G−HA(HLB値13.0);
POE(20)POP(8)セチルエーテル:日光ケミカルズ社製NIKKOL PBC44(HLB約12.5;白色〜微黄色の固体)
POE(20)ステアリルエーテル:日光ケミカルズ社製NIKKOL BS−20(HLB18.0;白色〜微黄色の固体);
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレイン酸エステル:日油株式会社製ポリソルベート(80)(HLB約15;無色透明の液体);
MgCl:市販品、試薬グレード;
CaCl:市販品、試薬グレード;
グルコン酸亜鉛:市販品、試薬グレード;
NaCO:市販品、試薬グレード;
NaHPO:市販品、試薬グレード。
(実施例1:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例1A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを7.2に調整した。pHが7.2になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをリョートーシュガーエステルL−1695 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、この溶液に0.5M MgClを20μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを20μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。この透明な分散液を一昼夜(24時間)攪拌した後、分散液を1晩かけて凍結乾燥させてペーストを得た。このα−リポ酸−MgCOナノ粒子を他の試験に使用する際は、凍結乾燥後のペーストを蒸留水で所定の濃度に再分散させて使用した。この凍結乾燥後のペーストを蒸留水に添加したところ、よく再分散し、透明な分散液が得られた。これは、凍結乾燥後に対してα−リポ酸−MgCOナノ粒子が安定であることを示す。
(実施例1B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例1Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含むペーストを得た。このα−リポ酸−MgCOナノ粒子を他の試験に使用する際は、凍結乾燥後のペーストを蒸留水で所定の濃度に再分散させて使用した。この凍結乾燥後のペーストを蒸留水に添加したところ、よく再分散し、透明な分散液が得られた。これは、凍結乾燥後に対してα−リポ酸−MgCOナノ粒子が安定であることを示す。
(実施例2:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例2A)
α−リポ酸 0.25gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを7.1に調整した。pHが7.1になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをリョートーシュガーエステルL−1695 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、この溶液に0.5M MgClを20μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを20μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。この透明な分散液を一昼夜(24時間)攪拌した後、分散液を1晩かけて凍結乾燥させてペーストを得た。このα−リポ酸−MgCOナノ粒子を他の試験に使用する際は、凍結乾燥後のペーストを蒸留水で所定の濃度に再分散させて使用した。この凍結乾燥後のペーストを蒸留水に添加したところ、よく再分散し、透明な分散液が得られた。これは、凍結乾燥に対してα−リポ酸−MgCOナノ粒子が安定であることを示す。
(実施例2B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例2Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含むペーストを得た。このα−リポ酸−MgCOナノ粒子を他の試験に使用する際は、凍結乾燥後のペーストを蒸留水で所定の濃度に再分散させて使用した。この凍結乾燥後のペーストを蒸留水に添加したところ、よく再分散し、透明な分散液が得られた。これは、凍結乾燥に対してα−リポ酸−MgCOナノ粒子が安定であることを示す。
(比較例1:α−リポ酸分散液の作製)
(比較例1A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを7.2に調整した。pHが約7.2になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをリョートーシュガーエステルL−1695 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。この分散液を一昼夜(24時間)攪拌した後、分散液を1晩かけて凍結乾燥させてペーストを得た。
(比較例1B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は比較例1Aと同じ手順でペーストを得た。
(測定例1:粒子径の測定)
実施例1Aで使用した作製したα−リポ酸−MgCOナノ粒子のペーストと、塩化マグネシウムと炭酸ナトリウムを添加しないで作製した比較例1Aのα−リポ酸ナノ粒子のペーストそれぞれ0.3gを3mLの水に添加し、3時間程度4℃で放置した後、1分間攪拌することによって分散させ、動的光散乱光度計(大塚電子 ELS−710TY)によって粒子径を測定した。その結果、実施例1Aで作製したα−リポ酸−MgCOナノ粒子の粒子径が約10nmであり、塩化マグネシウムと炭酸ナトリウムを添加しないで作製した比較例1Aのα−リポ酸ナノ粒子の粒子径が約760nmであることが確認できた。蒸留水を使用した場合もイオン交換水を使用した場合も粒子径はほぼ同じであった。実施例1Aで蒸留水を使用して作製したα−リポ酸−MgCOナノ粒子の粒子径分布を動的光散乱光度計(大塚電子 ELS−710TY)によって測定した結果を、図1に示し、比較例1Aで蒸留水を使用して作製したα−リポ酸ナノ粒子の粒子径分布を動的光散乱光度計(大塚電子 ELS−710TY)によって測定した結果を図2に示す。
(実施例3:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例3A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを7.0に調整した。pHが7.0になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをHCO−60 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、この溶液に0.5M MgClを20μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを20μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例3B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例3Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例4:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例4A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを7.3に調整した。pHが7.3になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として50μL採取し、これをエマルゲン2020G−HA 0.02gを含む蒸留水0.95mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、この溶液に0.5M MgClを10μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを5μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例4B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例4Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例5:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例5A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを7.1に調整した。pHが7.1になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として50μL採取し、これをHCO−60 0.05gを含む蒸留水0.95mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClまたは0.1M NaOHでこの溶液のpHを6.6に調整し、その後、0.5M CaClを10μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを10μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。この透明な分散液を一昼夜(24時間)攪拌した後、分散液を1晩かけて凍結乾燥し、ペーストとした。
(実施例5B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例5Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含むペーストを得た。
(実施例6:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例6A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを7.0に調整した。pHが7.0になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として20μL採取し、これをエマルゲン2020G−HA 0.02gを含む蒸留水0.98mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClまたは0.1M NaOHでこの溶液のpHを6.2に調整し、その後、0.5M CaClを5μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを5μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例6B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例6Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例7:α−リポ酸−CaPOナノ粒子の作製)
(実施例7A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを6.9に調整した。pHが6.9になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として20μL採取し、これをHCO−60 0.02gを含む蒸留水0.98mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClまたは0.1M NaOHでこの溶液のpHを6.4に調整し、その後、0.5M CaClを5μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaHPOを5μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−CaPOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。この透明な分散液を一昼夜(24時間)攪拌した後、分散液を1晩かけて凍結乾燥し、ペーストとした。
(実施例7B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例7Aと同じ手順でα−リポ酸−CaPOナノ粒子を含むペーストを得た。
(実施例8:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例8A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に1M NaOHを加えて混合液のpHを11.7に調整した。pHが11.7になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをPOE(20)POP(8)セチルエーテル(PBC44)0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClまたは0.1M NaOHでこの溶液のpHを11.0に調整し、その後、0.5M CaClを40μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを4μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例8B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例8Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例9:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例9A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に1M NaOHを加えて混合液のpHを11.5に調整した。pHが11.5になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mL)にメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをPOE(20)ステアリルエーテル 0.02gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClまたは0.1M NaOHでこの溶液のpHを10.8に調整し、その後、0.5M CaClを40μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを4μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例9B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例9Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例10:α−リポ酸−ZnCOナノ粒子の作製)
(実施例10A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを6.8に調整した。pHが6.8になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをHCO−60 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClでこの溶液のpHを5.0に調整し、その後、5% グルコン酸亜鉛溶液を20μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを20μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−ZnCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例10B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例10Aと同じ手順でα−リポ酸−ZnCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例11:α−リポ酸−ZnCOナノ粒子の作製)
(実施例11A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを6.9に調整した。pHが6.9になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをHCO−60 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClでこの溶液のpHを5.0に調整し、その後、0.5M 酢酸亜鉛溶液を20μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを20μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−ZnCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例11B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例11Aと同じ手順でα−リポ酸−ZnCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例12:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例12A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを6.9に調整した。pHが6.9になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをリョートーシュガーエステルL−1695 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClでこの溶液のpHを6.8に調整し、その後、0.5M 塩化マグネシウム溶液を40μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを80μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例12B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例12Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例13:α−リポ酸−ZnCOナノ粒子の作製)
(実施例13A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを6.9に調整した。pHが6.9になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをHCO−60 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClでこの溶液のpHを3.9に調整し、その後、0.5M 酢酸亜鉛溶液を20μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを20μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−ZnCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例13B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例13Aと同じ手順でα−リポ酸−ZnCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例14:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例14A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを10.9に調整した。pHが10.9になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをHCO−60 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClでこの溶液のpHを6.4に調整し、その後、0.5M 塩化カルシウム溶液を40μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを40μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例14B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例14Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例15:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例15A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを8.7に調整した。pHが8.7になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをHCO−60 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClでこの溶液のpHを6.3に調整し、その後、0.5M 塩化カルシウム溶液を40μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを40μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例15B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例15Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例16:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例16A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを6.9に調整した。pHが6.9になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをHCO−60 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClでこの溶液のpHを6.4に調整し、その後、0.5M 塩化カルシウム溶液を20μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを40μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例16B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例16Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例17:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例17A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを6.9に調整した。pHが6.9になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをエマルゲン2020G−HA 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClでこの溶液のpHを6.7に調整し、その後、0.5M 塩化カルシウム溶液を20μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを40μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例17B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例17Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例18:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例18A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを11.8に調整した。pHが11.8になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをHCO−60 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClでこの溶液のpHを10.9に調整し、その後、0.5M CaClを20μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを20μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例18B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例18Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例19:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例19A)
α−リポ酸 0.5gを9mLのイオン交換水に添加して混合し、この混合液に5M NaOHを加えて混合液のpHを9.1に調整した。pHが9.1になると、α−リポ酸の粉末が消滅し、溶液のような透明な外観になった。この溶液をイオン交換水で10mLにメスアップした。この溶液を母液として100μL採取し、これをリョートーシュガーエステルL−1695 0.1gを含む蒸留水0.9mLに加え、よく攪拌した。攪拌を約30分間行った後、0.1M HClでこの溶液のpHを8.5に調整し、その後、0.5M MgCl溶液を20μL加えて攪拌した。攪拌を30分間行った後、この溶液に0.1M NaCOを20μL加えてさらに攪拌した。これにより、α−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例19B)
母液の調製のためにイオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例19Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例20:α−リポ酸−MgCO3ナノ粒子の作製)
(実施例20A)
α−リポ酸0.05gに0.28gの1M NaOHを添加して混合し、完全に溶解するまで攪拌した。そこに注射用水(大塚製薬製 日本薬局方注射用水)を9.328ml添加し混合した。この混合液にPOE(20)ステアリルエーテルを0.3g加えて30分以上攪拌した後、5N HClでこの溶液のpHを7.0に調整した。そこに2.5M MgClを40μL添加しよく攪拌した後、1M NaCOを2μL加えてさらに攪拌し、注射用水を加えて10mlとした。これによりα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例20B)
注射用水の代わりにイオン交換水を用いたこと以外は実施例20Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例21:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例21A)
α−リポ酸0.05gに950μLの0.26M NaOHを添加して混合し、完全に溶解するまで攪拌した。そこにPOE(20)ステアリルエーテルを0.25g加えよく攪拌した後、そこにイオン交換水を3.626ml添加して30分以上攪拌した。5N HClでこの溶液のpHを5.5に調整した。そこに2.5M MgClを48μL添加してよく攪拌した後、1M NaCOを48μL加えてさらに攪拌し、イオン交換水を加えて5mlとした。これによりα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例21B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例21Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(比較例22−1:α−リポ酸分散液の作製)
(比較例22−1A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)4.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを6.8に調整した後、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸分散液が得られた。
(比較例22−1B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は比較例22−1Aと同じ手順でα−リポ酸分散液を得た。
(比較例22−2:α−リポ酸分散液の作製)
(比較例22−2A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)5.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを7.0に調整した後、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸分散液が得られた。
(比較例22−2B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は比較例22−2Aと同じ手順でα−リポ酸分散液を得た。
(実施例22:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例22A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)4.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.6に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.48mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.96ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.7に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例22B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例22Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例23:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例23A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)4.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.6に調整した。ここに、2.5M MgCl水溶液0.96mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.96ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.8に調整し、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これによりα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例23B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例23Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例24:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例24A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)4.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.3に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.7に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例24B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例24Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例25:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例25A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)3.5gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.5に調整した。ここに、2.5M MgCl水溶液0.48mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.3に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これによりα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例25B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例25Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例26:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例26A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)3.5gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.2に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.72ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.9に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例26B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例26Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例27:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例27A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)4.5gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.5に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.8に調整し、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例27B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例27Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例28:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例28A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)4.5gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.5に調整した。ここに、2.5M MgCl水溶液0.48mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.48ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.8に調整し、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これによりα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例28B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例28Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例29:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例29A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)5.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.6に調整した。ここに、2.5M MgCl水溶液0.96mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を1.44ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.8に調整し、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これによりα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例29B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例29Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例30:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例30A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)5.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.6に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.48mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.48ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.6に調整し、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例30B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例30Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例31:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例31A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル4.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.3に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.48ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.9に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例31B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例31Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例32:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例32A)
あらかじめ加温して融解したエマルゲン2020G−HA 7.0gへα−リポ酸粉末1.0gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約70mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.6に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.8に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例32B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例32Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例33:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例33A)
あらかじめ加温して融解したポリソルベート(80)7.0gへα−リポ酸粉末0.25gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.3に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.12mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.12ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.5に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例33B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例33Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例34:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例34A)
あらかじめ加温して融解したポリソルベート(80)7.0gへα−リポ酸粉末0.25gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.5に調整した。ここに、2.5M MgCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.12ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.8に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これによりα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例34B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例34Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例35:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例35A)
あらかじめ加温して融解したポリソルベート(80)7.0gへα−リポ酸粉末0.25gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.3に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.48ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.5に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例35B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例35Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例36:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例36A)
あらかじめ加温して融解したポリソルベート(80)7.0gへα−リポ酸粉末0.25gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.5に調整した。ここに、2.5M MgCl水溶液0.48mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.48ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.9に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これによりα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例36B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例36Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例37:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例37A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル4.0gとポリエチレングリコール(1000)1.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.5に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.6に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例37B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例37Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例38:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例38A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル4.0gとポリエチレングリコール(4000)1.5gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.3に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.8に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例38B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例38Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例39:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例39A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル4.0gとポリエチレングリコール(4000)2.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.5に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.5に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例39B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例39Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例40:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例40A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル4.0gとポリエチレングリコール(1000)2.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.4に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.9に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例40B)
蒸留水の代わりに同量のイオン交換水を用いたこと以外は実施例40Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例41:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例41A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル4.0gとポリエチレングリコール(1000)1.5gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.5に調整した。ここに、2.5M MgCl水溶液0.48mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.4に調整し、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例41B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例41Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例42:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例42A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル4.0gとポリエチレングリコール(4000)1.5gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.6に調整した。ここに、2.5M MgCl水溶液0.48mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.8に調整し、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例42B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例42Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例43:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例43A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル5.0gとポリエチレングリコール(1000)1.5gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.5に調整した。ここに、2.5M MgCl水溶液0.48mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.48ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.7に調整し、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例43B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例43Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例44:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例44A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル5.0gとポリエチレングリコール(1000)1.5gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.6に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.72ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.8に調整し、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例44B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例44Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例45:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例45A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル5.0gとポリエチレングリコール(1000)1.5gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.5に調整した。ここに、2.5M MgCl水溶液0.48mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.72ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.6に調整し、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例45B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例45Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例46:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例46A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル5.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。ここにポリエチレングリコール(1000)10gをイオン交換水に溶解して100mlとした溶液を15ml添加して混合し、さらに約20mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.5に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.7に調整し、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例46B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例46Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例47:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例47A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル5.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。ここにポリエチレングリコール(4000)10gをイオン交換水に溶解して100mlとすることにより調製した溶液を15ml添加して混合し、さらに約20mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.3に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.6に調整し、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例47B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例47Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例48:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
(実施例48A)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル5.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。ここにポリエチレングリコール(6000)10gをイオン交換水に溶解して100mlとすることにより調製した溶液を15ml添加して混合し、さらに約20mlのイオン交換水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.4に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.8に調整し、さらにイオン交換水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例48B)
イオン交換水の代わりに同量の蒸留水を用いたこと以外は実施例48Aと同じ手順でα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例49:高濃度のα−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
(実施例49A)
α−リポ酸0.15gに2.85mlの0.26M NaOHを添加して混合し、完全に溶解するまで攪拌した。そこにPOE(20)ステアリルエーテルを0.75g加えよく攪拌した後、そこに蒸留水を0.5ml添加して30分以上攪拌した。5N HClでこの溶液のpHを5.5に調整した。そこに2.5M MgClを144μL添加して12時間以上攪拌した後、1M NaCOを144μL加えてさらに12時間以上攪拌した。そこに蒸留水を加えて5.0mlとした。これによりα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例49B)
蒸留水の代わりにイオン交換水を用いたこと以外は実施例49Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
(実施例50:α−リポ酸−MgCO3ナノ粒子の作製)
(実施例50A)
α−リポ酸0.05gに0.28gの1M NaOHを添加して混合し、完全に溶解するまで攪拌した。そこに注射用水(大塚製薬製 日本薬局方注射用水)を9.35ml添加し混合した。この混合液にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO−60)を0.3g加えて30分以上攪拌した後、5N HClでこの溶液のpHを7.0に調整した。そこに2.5M MgClを40μL添加しよく攪拌した後、1M NaCOを20μL加えてさらに攪拌し、注射用水を加えて10mlとした。これによりα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例50B)
注射用水の代わりにイオン交換水を用いたこと以外は実施例50Aと同じ手順でα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液を得た。
これらの実施例1A〜50Bおよび比較例1A、1B、22−1A〜22−2Bの結果を以下の表1−1から表1−3にまとめる。なお、実施例1A〜21B及び49A〜50Bでは、α−リポ酸含有水性分散液を調製した後に非イオン性界面活性剤を添加する手順を用い、実施例22A〜48Bでは、α−リポ酸を非イオン性界面活性剤に溶かした後に水を添加する手順を用いた。
(試験例1:製剤の熱安定性試験)
実施例1Aで作製したα−リポ酸−MgCOナノ粒子と、比較例1Aで作製した、塩化マグネシウムと炭酸ナトリウムを添加しないα−リポ酸ナノ粒子をそれぞれ60℃にて加温し、加熱1時間後および加熱3時間後のサンプル中のα−リポ酸の量をHPLCで分析した。対照として試薬のα−リポ酸を用いた。加熱後のα−リポ酸の量を加熱前のα−リポ酸の量で除算して100を乗算することにより、α−リポ酸の残存率を計算した。α−リポ酸の残存率の結果を以下の表2および図3に示す。△は対照である試薬のα−リポ酸の結果であり、■は比較例1のα−リポ酸分散液の結果であり、□は実施例1Aのα−リポ酸−MgCOナノ粒子の結果である。
その結果、加温3時間後に試薬のα−リポ酸は55%程度減少したのに対し、実施例1Aのα−リポ酸−MgCOナノ粒子と、塩化マグネシウムと炭酸ナトリウムを添加しないα−リポ酸ナノ粒子ではα−リポ酸の実質的な減少が見られなかった。コントロールとの比較からも明らかなように、本発明の製剤は、α−リポ酸の安定性が極めて優れているものであることが理解される。
(試験例2:硫黄臭の改善)
実施例1Aで作製したα−リポ酸−MgCOナノ粒子の凍結乾燥後のペーストと、比較例1Aで作製した、塩化マグネシウムと炭酸ナトリウムを添加しないα−リポ酸ナノ粒子の凍結乾燥後のペーストをそれぞれ、α−リポ酸が最終濃度0.1%となるように蒸留水に分散させ、透明な樹脂製の試験管に入れ、太陽光の届く室内で放置した。対照として、試薬のα−リポ酸にアルカリ(5M NaOH)を加えてpHを7〜7.5にすることによってα−リポ酸を水に溶解した水性分散液(α−リポ酸の最終濃度0.1%)も同様に放置した。
その結果、2週間経過後、対照溶液および比較例1Aで作製した塩化マグネシウムと炭酸ナトリウムを添加しないα−リポ酸ナノ粒子の分散液からは特有の硫黄臭が強く感じられた。その程度は、対照としたα-リポ酸を水に溶解した水性分散液と同程度であった。
それに対して、α−リポ酸−MgCOナノ粒子分散液では臭いは感じられなかった。
(試験例3:有色モルモットにおけるα−リポ酸−MgCOナノ粒子の紫外線惹起色素沈着抑制効果試験)
メラニン色素産生細胞を持つ有色モルモット(Weiser Maples、5週齢、雄)の背部を2cm×2cmの面積で毛剃りし、実施例3Aにおいて得られたα−リポ酸−MgCOナノ粒子分散液(α−リポ酸を350μg含有する)を一日あたり80mgずつ1日1回、5日/週(月曜日〜金曜日)、塗布した。塗布後、塗布開始日(月曜日)および、2、4、7日後(水曜日、金曜日、次週の月曜日)にそれぞれUV−Aを8J/cm、UV−Bを12mJ/cm照射した。モルモット皮膚でのメラニン産生の指標として色差計を用いて皮膚の明度(L*値)を測定し、明度の減少量を黒色化の程度の指標とした。明度はL*値が大きいほど、色が白いことを示す。メラニン産生による試験開始日からの明度の変化量(ΔL*値)の絶対値を比較した。α−リポ酸を含まない水のみを塗布したモルモットをコントロール区として比較を行った。
その結果、α−リポ酸−MgCOナノ粒子塗布区は試験の全期間を通じてコントロール区よりも明度の減少が少なく、すなわち、皮膚の黒色化が抑制されていた。試験終了時のΔL*値の絶対値はコントロール区が8.3であったのに対し、α−リポ酸−MgCOナノ粒子塗布区は6.6であった。
以下の表3および図4に、0日後(月曜日)、4日後(金曜日)、7日後(月曜日)および9日後(水曜日)に測定したΔL*値の絶対値を示す。以上の結果により、α−リポ酸ナノ粒子が皮膚に吸収され、紫外線により惹起される色素沈着を抑制できることが確認された。
(試験例4:光老化モデルマウスの皮膚水分、バリア機能およびシワの回復におけるα−リポ酸−MgCOナノ粒子の効果確認試験)
ヘアレスマウス(Hos:HR−1、7週齢、雄)の背部に一日あたり55mJ/cmのUV−Bを週5日(すなわち、月曜日〜金曜日のみ照射し、土曜日および日曜日には照射しなかった)、2ヶ月間照射し、光老化モデルマウスを作製した。このマウスに(実施例3Aにより得られたα−リポ酸−MgCOナノ粒子分散液(α−リポ酸を350μg含有する)を一日あたり80mgずつ1日1回、週5日(すなわち、月曜日〜金曜日のみ塗布し、土曜日および日曜日には塗布しなかった)、1ヶ月間塗布した。塗布開始時と塗布終了時のマウス皮膚について目視による皮膚状態観察および、角層水分量、経皮水分蒸散量(TEWL)の測定を行い、シワおよび角層水分、皮膚バリア機能の状態をチェックした。
その結果、以下の表4および図5に示すように、α−リポ酸−MgCOナノ粒子塗布区は塗布開始時よりも角層水分量の回復が認められた。一方、コントロール区(α−リポ酸を含まない水のみを同様に塗布)では角層水分量の回復は認められなかった。試験終了時の角層水分量はα−リポ酸−MgCOナノ粒子塗布区が18.2(μs)であったのに対し、コントロール区で5.6(μs)であった。また、試験最終日のTEWL値はα−リポ酸−MgCOナノ粒子塗布区が15.7(g/h・m)であったのに対し、コントロール区では32.6(g/h・m)であり、α−リポ酸−MgCOナノ粒子塗布により皮膚のバリア機能が回復していることが確認できた。また、シワのレプリカ写真を図6に示す。コントロール区は試験開始時とシワの状態に変化は認められなかったがα−リポ酸−MgCOナノ粒子塗布区では明らかなシワの減少が認められた。以上の結果により、α−リポ酸ナノ粒子が皮膚に吸収され、光老化した皮膚の状態を健全な状態に戻す効果が確認できた。
(測定例2:粒子径の測定)
実施例22Aで作製したα−リポ酸−CaCOナノ粒子の溶液を、動的光散乱光度計(大塚電子 FPAR1000)によって粒子径を測定した。その結果、実施例22Aで作製したα−リポ酸−CaCOナノ粒子の粒子径が約20nmであることが確認できた。蒸留水を使用した場合もイオン交換水を使用した場合も粒子径はほぼ同じであった。実施例22Aで蒸留水を使用して作製したα−リポ酸−CaCOナノ粒子の粒子径分布を動的光散乱光度計(大塚電子 FPAR1000)によって測定した結果を、図7に示す。
(測定例3:粒子径の測定)
実施例29Aで作製したα−リポ酸−MgCOナノ粒子の溶液を、動的光散乱光度計(大塚電子 FPAR1000)によって粒子径を測定した。溶液が完全に透明であること及び粒子径測定の結果から、実施例29Aで作製したα−リポ酸−MgCOナノ粒子は平均粒子径が約12nmである一次粒子が平均粒径200nmおよび1700nmの、弱いクラスターを形成していることが確認できた。蒸留水を使用した場合もイオン交換水を使用した場合も粒子径はほぼ同じであった。実施例29Aでイオン交換水を使用して作製したα−リポ酸−MgCOナノ粒子の粒子径分布を動的光散乱光度計(大塚電子 FPAR1000)によって測定した結果を、図8に示す。
(測定例4:粒子径の測定)
実施例24A、24B、25A、25B、33A、33B、36Aおよび36Bで作製したα−リポ酸−MgCOナノ粒子の溶液のそれぞれについても、動的光散乱光度計(大塚電子 FPAR1000)によって粒子径を測定した。
測定例1〜4で測定した各α−リポ酸ナノ粒子の平均粒子径(nm)を以下の表5にまとめる。
(試験例5:製剤の熱安定性試験)
実施例22Aで作製したα−リポ酸−CaCOナノ粒子と、比較例22−1Aで作製したα−リポ酸分散液(塩化カルシウムも炭酸ナトリウムも添加しないもの)をそれぞれ60℃にて保存(加熱保存)し、3週間まで1週間ごとに溶液中のα-リポ酸の量をHP
LCで分析した。加熱保存後のα−リポ酸の量を加熱前のα−リポ酸の量で除算して100を乗算することにより、α−リポ酸の残存率を計算した。α−リポ酸の残存率の結果を以下の表6および図9に示す。■は比較例22−1Aのα−リポ酸分散液の結果であり、□は実施例22Aのα−リポ酸−CaCOナノ粒子の結果である。
その結果、60℃で3週間保存後に比較例22−1Aで作製した塩化マグネシウムと炭酸ナトリウムを添加しないα−リポ酸ナノ粒子では約18%の減少が見られたが、実施例22Aのα−リポ酸−CaCOナノ粒子ではα−リポ酸の減少が約11%に抑えられていた。このことから、本発明の製剤は、α−リポ酸の安定性が極めて優れているものであることが理解される。
(試験例6:製剤の熱安定性試験)
実施例29Aで作製したα−リポ酸−MgCOナノ粒子と、比較例22−2Aで作製した塩化マグネシウムと炭酸ナトリウムを添加しないα−リポ酸ナノ粒子をそれぞれ60℃にて保存し、3週間まで1週間ごとに溶液中のα-リポ酸の量をHPLCで分析した。加熱保存後のα−リポ酸の量を加熱前のα−リポ酸の量で除算して100を乗算することにより、α−リポ酸の残存率を計算した。α−リポ酸の残存率の結果を以下の表7および図10に示す。■は比較例22−2Aのα−リポ酸ナノ粒子の結果であり、△は実施例29Aのα−リポ酸−MgCOナノ粒子の結果である。
その結果、60℃で3週間保存後に比較例22−2Aで作製した塩化マグネシウムと炭酸ナトリウムを添加しないα−リポ酸ナノ粒子では約13%の減少が見られたが、実施例29Aのα−リポ酸−MgCOナノ粒子ではα−リポ酸の減少が約8%に抑えられていた。このことから、本発明の製剤は、α−リポ酸の安定性が極めて優れているものであることが理解される。
(試験例7:脂肪前駆細胞の分化に関するα−リポ酸−MgCOナノ粒子の機能試験)
直径3.5cmのプラスチックシャーレにD−MEM培地(D−MEM培地に終濃度10% FCS、100ユニット/mlのペニシリン(penicillin)と100μg/mlのストレプトマイシン(streptomycin)になるように添加したもの)を1.5ml添加した。そこに脂肪前駆細胞である3T3−L1細胞を5.0×10個接種し、3日間前培養を行いコンフルエント状態にした。その後、培地を脂肪細胞分化誘導培地(D−MEMに終濃度10%FCS、100ユニット/mlのペニシリンと100μg/mlのストレプトマイシン、5μg/mlのインスリン、0.25μMのデキサメタソン(dexamethasone)、0.5mMのイソブチル−メチルキサンチン(isobutyl−methylxanthine)(IBMX)になるように添加したもの)3mlに交換した。さらに2日後、同じ組成の脂肪細胞分化誘導培地3mlと交換し、そして2日間培養し、合計して4日間脂肪細胞分化誘導培地で培養した。この培養の際に、脂肪細胞分化誘導培地にはα−リポ酸溶液あるいは実施例20Aのα−リポ酸−MgCOナノ粒子溶液を、α−リポ酸濃度で0、100、250または500μMになるように添加した。培養は全て5%CO、37°Cの条件で行った。
こうして得られた培養細胞の蓄積脂肪量を計測した。PBS緩衝液1mlで洗浄後、中性ホルマリンで5分間固定を行った。さらに70%エタノール溶液および蒸留水で洗浄を行った。続いてオイルレッドO溶液(飽和オイルレッドO/イソプロパノール溶液と蒸留水を6:4の比率で混合し、濾過した染色液)を1ml添加し15分間放置した。染色液を除去し、70%エタノール溶液で色素が拡散しなくなるまで洗浄を行った後、0.75mlの4%ノニデットP−40/イソプロパノール溶液を添加し、30分間攪拌し、色素を溶出させた。この溶液を全量回収し、吸光度計を用いて520nmの波長の吸光度を測定した。
その結果、α−リポ酸の添加により脂肪の蓄積が減少する結果となったのに対し、α−リポ酸−MgCOナノ粒子添加では脂肪を細胞内蓄積させる作用が認められた(図11)。すなわちα−リポ酸−MgCOナノ粒子には効率よく未成熟脂肪細胞内に糖を取り込ませる作用があることが示唆された。上記試験において糖の取り込みを促進したことは、α−リポ酸ナノ粒子にはα−リポ酸単体では認められなかった血糖値を改善する効果が期待でき、糖尿病治療薬としての有用性が示唆された。
(試験例8:成熟脂肪細胞の脱分化に関するα−リポ酸−MgCOナノ粒子の機能試験)
直径3.5cmのプラスチックシャーレにD−MEM培地(D−MEM培地に終濃度10%FCS、100ユニット/mlのペニシリンと100μg/mlのストレプトマイシンになるように添加したもの)を1.5ml添加した。そこに脂肪前駆細胞である3T3−L1細胞を5.0×10個接種し、3日間前培養を行いコンフルエント状態にした。その後、培地を脂肪細胞分化誘導培地(D−MEM培地に終濃度10%FCS、100ユニット/mlのペニシリンと100μg/mlのストレプトマイシン、5μg/mlのインスリン、0.25μMのデキサメタゾン、0.5mMのイソブチル−メチルキサンチンになるように添加したもの)3mlに交換して4日間培養し、脂肪細胞への分化を誘導した。さらにその後、脂肪細胞成熟化培地(D−MEM培地に終濃度10%FCS、100ユニット/mlのペニシリンと100μg/mlのストレプトマイシン、5μg/mlのインスリンになるように添加したもの)に交換し、7日間培養した。その後、試験培地に交換して更に4日間培養した。試験培地には脂肪細胞成熟化培地にα−リポ酸溶液あるいは実施例20Aのα−リポ酸−MgCOナノ粒子溶液をα−リポ酸濃度で0、100、250または500μMになるように添加した。それぞれの培地は培養2日毎に同じものに交換した。培養は全て5%CO、37°Cの条件で行った。
こうして得られた培養細胞の蓄積脂肪量を計測した。PBS緩衝液1mlで洗浄後、中性ホルマリンで5分間固定を行った。さらに70%エタノール溶液および蒸留水で洗浄を行った。そこにオイルレッドO溶液を1ml添加し15分間放置した。染色後、70%エタノール溶液で色素が拡散しなくなるまで洗浄を行った。ここに0.75mlの4%ノニデットP−40/イソプロパノール溶液を添加し、30分間攪拌し、色素を溶出させた。この溶液を全量回収し、吸光度計を用いて520nmの波長の吸光度を測定した。
その結果、α−リポ酸添加区では無添加区と脂肪蓄積量がほとんど変わらなかったのに対し、α−リポ酸−MgCOナノ粒子添加区では脂肪を細胞内へ蓄積させる作用が認められた(図12)。すなわち試験例7同様、α−リポ酸−MgCOナノ粒子には効率よく成熟脂肪細胞内に糖を取り込ませる作用があることを示唆している。特に脂肪細胞に対してはどのような分化段階にあっても脂肪を蓄積させる作用が確認された。以上のことからα−リポ酸ナノ粒子にはα−リポ酸単体では認められなかった高い血糖値改善効果が期待でき、糖尿病治療薬としての有用性が示唆された。
(試験例9:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の培養液中での安定性とその細胞局在解析)
試験例7と同様の方法で培養を行った。α−リポ酸および実施例20Aのα−リポ酸−MgCOナノ粒子はそれぞれ終濃度250μMで添加した。この細胞の培養上清を全量回収し培養上清画分とした。さらに細胞をPBS緩衝液で洗浄後、常法にて回収・洗浄を行い遠心処理で沈殿させ、500μLの精製水で懸濁し超音波処理にて破砕した。この破砕液を毎分15000回転、4℃で15分間遠心し、上清を回収し、これを細胞破砕液画分とした。各画分の残存α−リポ酸濃度を高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いて定量した。
その結果、細胞破砕液画分では濃度差が確認されなかった(図13)。しかし、培養上清画分においてはα−リポ酸−MgCOナノ粒子添加実験群において高いα−リポ酸残存が確認された(図14)。以上の結果から、α−リポ酸−MgCOナノ粒子は培養液中でも非常に安定であることが確認された。また、試験例7において観察されたα−リポ酸とα−リポ酸−MgCOナノ粒子の作用の違いは、細胞内α−リポ酸濃度の違いによるものではなく、α−リポ酸−MgCOナノ粒子の持つ物理化学的な性質の違いによるものであることが示唆された。
(試験例10:α−リポ酸−MgCOナノ粒子塗布による皺モデルマウス抗皺効果試験)
ヘアレスマウス(Hr/kud、9週齢、雄)に紫外線を照射し皺モデルマウスを作製した。この皺モデルの作製においては、紫外線を13週間(5日間/週、月曜から金曜まで)にわたって、UVA、UVBがそれぞれ合計148.99J/cm、3.49J/cmの照射量になるように照射した。皺モデルを作製後、マウス背部に0.01%α−リポ酸を含有する市販品化粧品と実施例21Aの0.01%α−リポ酸−MgCOナノ粒子含有水性分散液をそれぞれ30mg/cm/dayの量で5回/週(月曜から金曜まで)で塗布し、これを6週間行った。対照区としては何も製剤を塗布せず6週間飼育した無塗布群およびUV照射による皺形成を行わずに同時に飼育した無処置区を用いた。作製した皺モデルはレプリカ法によって評価し、図15に示す独自に設定した点数化基準を元に、目視によって皺の程度を比較し、皺モデルマウスの点数化を行った。また、マウス背部皮膚のパラフィン包埋切片を作製し、ヒアルロン酸の染色をすることでその量を比較した。ヒアルロン酸の染色は、ビオチンで標識化したヒアルロン酸結合タンパク質(ビオチン標識HABP、生化学工業)をプローブとして用い、ストレプトアビジン標識した蛍光色素(Cy3ストレプトアビジン(Cy3 streptavidin)、Jackson ImmunoResearch LABORATORIES)により検出する方法を用いた。
その結果、6週間塗布したマウス背部のレプリカ解析から0.01%α−リポ酸含有市販品と比較して0.01%α−リポ酸−MgCOナノ粒子含有水性分散液塗布群においてより高い皺の改善効果が観察された(図16)。また点数化においても、皺改善効果が確認された(表8)。
また、同マウス皮膚切片のヒアルロン酸染色を行った結果、0.01%α−リポ酸含有市販品や無塗布群ではヒアルロン酸の減少が観察されたが、0.01%α−リポ酸−MgCOナノ粒子塗布群において無処置群と同程度のヒアルロン酸の蓄積が観察された(図17)。真皮におけるヒアルロン酸減少が皺の形成に関与していることが知られている。以上の結果から、α−リポ酸−MgCOナノ粒子は紫外線により障害を受けた真皮層において細胞外基質であるヒアルロン酸の量を増加させる作用があり、これらの効果により皺が改善されたことが確認された。
(試験例11:α−リポ酸−MgCOナノ粒子塗布によるヒト皺改善効果試験)
30代男性被験者(被験者1)に一方の半顔には0.01%α−リポ酸含有水性分散液を、他方の半顔には実施例21Aの0.01%α−リポ酸−MgCOナノ粒子含有水性分散液を、1日2回、連日、ムラなく塗布してもらった。また、50代女性被験者(被験者2)には半顔だけに実施例21Aの0.01%α−リポ酸−MgCOナノ粒子含有水性分散液を連日ムラなく塗布してもらい、半顔は無塗布とした。それぞれの試験期間は16週間行い、皺の評価は試験前と16週間後に眼尻からレプリカを作製して行った。
その結果、どちらの被験者とも0.01%α−リポ酸−MgCOナノ粒子含有水性分散液を塗布した側が0.01%α−リポ酸含有水性分散液や無塗布であった反対側と比較して皺の改善が観察された(図18)。以上の結果から、α−リポ酸−MgCOナノ粒子はヒトの皺を改善する効果があることが確認された。
(試験例12:α−リポ酸−MgCOナノ粒子によるヒアルロン酸蓄積試験)
直径6.0cmのプラスチックシャーレにD−MEM培地(D−MEM培地に終濃度10%FCS、100ユニット/mlのペニシリンと100μg/mlのストレプトマイシンになるように添加したもの)を3ml添加した。そこに脂肪前駆細胞である3T3−L1細胞を1.5×10個接種し、3日間前培養を行いコンフルエント状態にした。その後、培地を脂肪細胞分化誘導培地(D−MEMに終濃度10%FCS、100ユニット/mlのペニシリンと100μg/mlのストレプトマイシン、5μg/mlのインスリン、0.25μMのデキサメタゾン、0.5mMのイソブチル−メチルキサンチンになるように添加したもの)3mlに交換した。さらに2日後、同じ組成の脂肪細胞化誘導培地3mlと交換し2日間培養し、合計4日間脂肪細胞分化誘導培地で培養した。脂肪細胞分化誘導培地にはα−リポ酸溶液と実施例50Aのα−リポ酸−MgCOナノ粒子溶液がそれぞれα−リポ酸濃度で0、100、250、500μMになるように添加した。培養後、培養上清を除いたシャーレにPBS緩衝液を1ml添加し、細胞をセルスクレーパーで回収した。こうして回収した細胞を超音波破砕したものを細胞破砕液とし、これに含まれるヒアルロン酸量を酵素免疫測定法(ELISA)により定量した。ヒアルロン酸ELISAの実験方法はAnnica Jacobsonら、Int. J. Cancer.102:212−219(2002)に記載される方法に従って行った。また、培養は全て5%CO、37°C条件で行った。
その結果、α−リポ酸添加群と比較してα−リポ酸−MgCOナノ粒子添加群の方が高いヒアルロン酸量を示した(図19)。以上の結果から、α−リポ酸−MgCOナノ粒子はヒアルロン酸を細胞表面へ蓄積させる作用があることが確認された。このことからα−リポ酸−MgCOナノ粒子は皮膚真皮層の保水性を向上させることにより、皺を改善していることが示唆された。また、関節において軟骨細胞表面にヒアルロン酸を蓄積・濃縮させ、関節軟骨組織間の損傷を低減する効果が期待され、変形性関節症の治療薬としての有用性も示唆された。
(実施例51:外用剤軟膏の製造)
当該分野で通常行われる方法に従って以下の表9に示す配合の材料を混合して外用剤軟膏を製造する。
(実施例52:化粧用乳液の製造)
当該分野で通常行われる方法に従って以下の表10に示す配合の材料を混合して化粧用乳液を製造する。
(実施例53:練り歯磨きの製造)
当該分野で通常行われる方法に従って以下の表11に示す配合の材料を混合して練り歯磨きを製造する。
(実施例54:タブレットの製造)
当該分野で通常行われる方法に従って以下の表12に示す配合の材料を混合してタブレットを製造する。
(実施例55:注射液の製造)
当該分野で通常行われる方法に従って以下の表13に示す配合の材料を混合して注射液を製造する。
(実施例56:化粧水の製造)
当該分野で通常行われる方法に従って以下の表14に示す配合の材料を混合して化粧水を製造する。
(実施例57:皮膚外用ローションの製造)
当該分野で通常行われる方法に従って以下の表15に示す配合の材料を混合して皮膚外用ローションを製造した。
(試験例13:UV−B照射によるヘアレスマウス皮膚のバリア機能低下に対するα−リポ酸ナノ粒子含有皮膚外用ローションの効果確認試験)
ヘアレスマウス(Hos:HR−1、25週齢、雄)の背部に70mJ/cmのUV−Bを単回照射した。紫外線照射後、このマウスに実施例57により得られたα−リポ酸−CaCOナノ粒子含有皮膚外用ローションを一日あたり100μlずつ1日1回、連続4日間塗布した。紫外線照射直前および紫外線照射日から4日目および5日目に経皮水分蒸散量(TEWL)の測定を行い、皮膚バリア機能の状態をチェックした。紫外線照射日から各測定日における紫外線照射直前のTEWLに対する増加量をΔTEWLとし皮膚バリア機能低下の目安とした。
表16に示すように、どちらの測定日においてもα−リポ酸−CaCOナノ粒子含有皮膚外用ローション塗布区(n=3)はコントロール区(α−リポ酸を含まない水のみを同様に塗布、n=3)と比較しTEWL値の上昇、すなわち皮膚バリア機能の低下が抑制されていることが確認された。以上の結果により、α−リポ酸−CaCOナノ粒子含有皮膚外用ローションは紫外線照射後の皮膚に作用し、紫外線刺激による皮膚の機能障害を低減する効果を発揮することが確認できた。
(実施例58:ドリンク剤の製造)
当該分野で通常行われる方法に従って以下の表17に示す配合の材料を混合してドリンク剤を製造した。
上記表17におけるα−リポ酸-Caナノ粒子溶液のかわりに、α−リポ酸を最少量の0.25M水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和溶解し1%水溶液としたもので置換した比較品を作製した。専門のパネル5名で実施例58のドリンク剤と比較品の官能評価を行ったところ、全員が本実施例のドリンク剤は比較品に比べて、α−リポ酸に起因する硫黄臭や舌のピリピリ感が低減されており、嗜好性に優れているとの評価を得た。
(実施例59:清涼飲料水の製造)
当該分野で通常行われる方法に従って以下の表18に示す配合の材料を混合して清涼飲料水を製造した。
上記表18におけるα−リポ酸-Mgナノ粒子溶液のかわりに、α−リポ酸を最少量の0.25M水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和溶解し1%水溶液としたもので置換した比較品を作製した。専門のパネル5名で実施例59の清涼飲料水(ドリンク剤)と比較品の官能評価を行ったところ、全員が本実施例の清涼飲料水(ドリンク剤)は比較品に比べて、α−リポ酸に起因する硫黄臭や舌のピリピリ感が低減されており、嗜好性に優れているとの評価を得た。
(実施例60:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
α−リポ酸0.3gに1.68mLの1M NaOHを添加して混合し、完全に溶解するまで攪拌した。そこにPOE(20)ステアリルエーテルを1.5g加えよく攪拌した後、そこにイオン交換水を6ml添加して3時間以上攪拌した。5N HClでこの溶液のpHを5.5に調整した。そこに2.5M MgClを288μL添加して12時間以上攪拌した後、1M NaCOを288μL加えてさらに12時間以上攪拌した。そこに蒸留水を加えて10mlとした。これによりα−リポ酸に換算して3重量%のα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例61:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
α−リポ酸0.2gに1.12mLの1M NaOHを添加して混合し、完全に溶解するまで攪拌した。そこにPOE(20)ステアリルエーテルを2g加えよく攪拌した後、そこにイオン交換水を6ml添加して3時間以上攪拌した。5N HClでこの溶液のpHを5.5に調整した。そこに5M CaClを96μL添加して12時間以上攪拌した後、1M NaCOを192μL加えてさらに12時間以上攪拌した。そこに蒸留水を加えて10mlとした。これによりα−リポ酸に換算して2重量%のα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(比較例60:α−リポ酸分散液の作製)
α−リポ酸0.3gに1.6mLの1M NaOHを添加して混合し、完全に溶解するまで攪拌した。そこにHEPESを0.24g添加し、さらにイオン交換水を加えて攪拌し10mlにした。この際のpHは6.9であった。これにより3%α−リポ酸分散液が得られた。
(実施例62:α−リポ酸−CaCOナノ粒子の作製)
あらかじめ加温して融解したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル4.0gとポリエチレングリコール(1000)1.0gへα−リポ酸粉末0.5gを加えて混合し、α−リポ酸を溶解した。この混合物に約35mlの蒸留水を加えて30分以上混合し、5M NaOHでpHを4.5に調整した。ここに、5M CaCl水溶液0.24mlを添加して混合した後、1M NaCO水溶液を0.24ml加えてさらに混合した。この溶液のpHを測定し、1M NaOH又は1M HClでpH6.6に調整し、さらに蒸留水を加えて50mlとした。これにより、α−リポ酸に換算して1重量%のα−リポ酸−CaCOナノ粒子を含む透明な分散液が得られた。
(実施例63:α−リポ酸−MgCOナノ粒子の作製)
α−リポ酸0.4gに2.24mLの1M NaOHを添加して混合し、完全に溶解するまで攪拌した。そこにイオン交換水を2.5ml添加してよく攪拌した後、グリセリンを1.9g添加してよく攪拌した。さらにPOE(20)ステアリルエーテルを2g加え、6時間以上攪拌した。5N HClでこの溶液のpHを5.5に調整し、そこに2.5M MgClを384μL添加して12時間以上攪拌した後、1M NaCOを384μL加えてさらに12時間以上攪拌した。そこに蒸留水を加えて10mlとした。これによりα−リポ酸に換算して4重量%のα−リポ酸−MgCOナノ粒子を含有する透明な分散液が得られた。
(試験例14:有色モルモットにおけるα−リポ酸ナノ粒子のメラニン排出効果試験)
メラニン色素産生細胞を持つ有色モルモット(Weiser Maples、10週齢、オス)の背部を毛剃りし、1日あたり13J/cmの紫外線UV−Aおよび1日あたり59mJ/cmの紫外線UV−Bを月曜から金曜まで一日1回、週5日間、6週間弱にわたり計28回照射し、シミモデルモルモットを10匹作成した。照射終了後、紫外線照射による炎症の影響を抑えるために1週間放置した。その後、色素沈着の生じた背部を毛剃りし、2cm×2cmの区画を1匹あたり6区画作成した。
各区画に実施例60において得られたα−リポ酸−MgCOナノ粒子分散液の1倍、3倍、30倍、または300倍希釈液(α−リポ酸濃度はそれぞれ3%、1%、0.1%、0.01%)、或いは実施例61において得られたα−リポ酸−CaCOナノ粒子分散液の1倍、2倍、20倍、または200倍希釈液(α−リポ酸濃度はそれぞれ2%、1%、0.1%、0.01%)を一回あたり30mg、1日2回、6時間間隔で塗布した。この分散液の塗布を2週間(1週目:月〜金、2週目:火〜木)の延べ10日にわたって合計16回行った。比較のために、比較例60において得られたα−リポ酸分散液の1倍、3倍、30倍、または300倍希釈液(α−リポ酸濃度としてそれぞれ3%、1%、0.1%、0.01%)を同様に塗布した。無処置区も対照区1として設けた。蒸留水も同様に塗布し、その塗布部分を対照区2とした。
モルモット皮膚でのメラニン産生の指標として色差計を用いて皮膚の明度(L*値)を測定し、明度の増加量を色素沈着からの回復の程度の指標とした。明度はL*値が大きいほど、色が白いことを示す。被検物質塗布開始日(Day0)からの明度の変化量(ΔL*値)の絶対値を比較した。その結果、表19に示すように、α−リポ酸−MgCOナノ粒子塗布区およびα−リポ酸−CaCOナノ粒子塗布区は塗布開始4日後(Day4)あたりから、メラニンの排出を伴う軽い落屑が起こり始め、塗布開始8日後(Day8)および11日後(Day11)には大幅な明度の回復が認められた。これらα−リポ酸−MgCOナノ粒子およびα−リポ酸−CaCOナノ粒子による効果はα−リポ酸濃度として0.01%の製剤においても発揮されていた。一方、α−リポ酸分散液塗布区は最も高濃度である3%においても対照区である無塗布区および水塗布区とほとんど差が認められなかった。
塗布開始日と塗布11日目のモルモット背部製剤塗布部分の写真を図20、図21、図22および図23に示す。塗布11日後に採取した皮膚の病理組織染色画像のうち代表的なものを図24に示す。得られた画像の解析により各塗布部分における表皮層の厚さを計測した結果、α−リポ酸−MgCOナノ粒子塗布区およびα−リポ酸−CaCOナノ粒子塗布区では表皮層の厚みが増大し、ターンオーバーが促進されていることが明らかとなった。一方、α−リポ酸分散液塗布区では、目視観察で明確な落屑は認められないとともに、表皮層部分の厚さも無塗布区(対照区1)や水塗布区(対照区2)と同程度であった。
表皮層の厚みとターンオーバーとの関係については以下のように考えることができる。表皮層の厚みは、基底膜直上の表皮角化細胞の***によって表皮層全体を押し上げる速さと、表皮層の細胞が角層の細胞に分化する速さとの関係によって決まる。つまり、前者の活性化によりその速度が後者の速度を上回ったとき、表皮層は肥厚する。ターンオーバーが加速している表皮層では基底膜直上の表皮角化細胞の***および増殖が活性化しており、表皮層が少なくとも一時的に厚くなる現象が観察される。例えば、ケミカルピーリング等による表皮組織のターンオーバータイムの亢進にともない表皮層が肥厚し厚くなることはよく知られている。ターンオーバーの促進によって表皮層は肥厚し続けるわけではなく、ある時点でバランスがとれる。そのため、ターンオーバーを促進したことにより表皮層が異常に厚くなりすぎることはない。また、老人の皮膚では若年者の皮膚にくらべて表皮のターンオーバーが低下すること、表皮の菲薄化が認められることからも、表皮層の厚みの増加がターンオーバーの促進の指標になりうると考えられる。
さらに目視観察において、α−リポ酸−MgCOナノ粒子塗布区およびα−リポ酸−CaCOナノ粒子塗布区の皮膚表面は無塗布区(対照区1)、水塗布区(対照区2)および比較例60のα−リポ酸分散液希釈液塗布区と同様の皮膚色を呈しており、皮膚炎症反応は確認されなかった。従来からターンオーバー改良効果を有する物質として周知のレチノイン酸は、塗布時に副作用として強い皮膚炎症反応を起こすことが知られているが、本実施例では、そのような副作用がないことが確認された。
以上の結果により、α−リポ酸ナノ粒子はレチノイン酸で知られる副作用である皮膚への炎症を誘発することなく、α−リポ酸単独では認められない表皮層のターンオーバーおよびメラニン排出による色素沈着からの回復を著しく促進することが確認された。
(実施例64:化粧用クリームの調製)
常法に従い以下の表20に示す配合の材料を混合して化粧用クリームを製造した。
(実施例65:皮膚外用クリーム剤の調製)
常法に従い以下の表21に示す配合の材料を混合して皮膚外用クリーム剤を製造した。
(試験例15:ヒトでのシミ減少効果確認試験)
化粧品クリームによるヒトでのシミ減少効果を確認した。46〜54歳までの女性12人に対し、被験者それぞれの日常の化粧品使用に加えて実施例64のα−リポ酸−CaCOナノ粒子含有クリームを左半顔にまんべんなく、朝と夜の1日2回、12週間、1回あたり1cmあたり約1〜2mgずつ塗布してもらい、塗布開始日と12週間後の顔面に存在するシミ個数を顔の皮膚画像解析カウンセリングシステムVISIA−Evolution(CANFIELD社製、アメリカ)を用いて計測した。また塗布12週間後には色彩色差計を用いて頬部明度(L*値)も計測を行った。結果を以下の表22に示す。表22は12週間後のシミ個数から塗布開始日のシミ個数を差し引いたシミ個数の変化量の12名での平均値を示す。無塗布部位ではシミ個数が増加したのに対し、α−リポ酸−CaCOナノ粒子含有クリーム塗布部位ではシミ個数が減少する結果が得られた。また頬部明度の平均値もα−リポ酸−CaCOナノ粒子含有クリーム塗布部位では無塗布部と比較して高くなっていた。以上の結果から、α−リポ酸−CaCOナノ粒子含有クリームはシミ減少効果を有することが確認できた。
(試験例16:ヒトでのシミ部位の色素沈着軽減効果確認試験)
ヒトのシミにおける効果を確認するために、顔面シミへの塗布試験を行った。左右頬部に一箇所ずつ色彩色差計での測定が可能な比較的大きなシミをもつ40代女性に実施例65の0.4%α−リポ酸−MgCOナノ粒子含有クリーム剤を塗布してもらった。塗布はシミ部分だけに、朝と夜の1日2回、1回あたり1cmあたり約1〜2mgずつで行ってもらった。そして塗布前と4週間後にシミ部位およびクリームを塗布しない隣接非シミ部位の明度(L*値)を色彩色差計にて測定し、シミ部位と隣接部位との明度差(ΔL*)により、シミの程度を数値化した。結果を以下の表23に示す。この表23においては、ΔL*が小さくなるほどシミ部位と隣接部位の明度に差がなくシミが目立ちにくいことを表しており、また、4週目のΔL*から塗布前のΔL*を差し引いた値(Δ(ΔL*))が負の値であれば経日的にシミが回復したことを示している。試験の結果、表23に示したように、試験を行った2箇所のシミどちらにおいても4週間の0.4%α−リポ酸−MgCOナノ粒子含有クリーム剤塗布により肉眼観察でのシミ改善が認められたとともにΔL*の値が小さくなる結果を得た。この際、隣接部位の明度はほとんど変化していないことから、このΔL*値の減少はシミ部位のメラニン排出による色素沈着レベルの低下によるものであることが確認できた。
(試験例17:マウス背部へのα-リポ酸ナノ粒子塗布による表皮角化細胞***促進効果)
ヘアレスマウス(HR−1、5週齢、オス)の背部、3cm×2cmの区画に比較例60のα−リポ酸分散液(3重量%α−リポ酸含有)、あるいは実施例60のα−リポ酸−MgCOナノ粒子分散液(3重量%α−リポ酸含有)をそれぞれ45mgずつ1回塗布した。そして塗布前、塗布1、3、5、および7日後のマウス背部皮膚を採取し(n=3)、パラフィン包埋に供した。パラフィン包埋した組織から皮膚組織切片を作製しKi−67抗体免疫染色を行った。Ki−67は細胞***時に核で発現しているタンパク質であり、***休止期には発現しておらず、細胞***の指標となるマーカーである。免疫染色の一次抗体にはラット抗マウスKi−67抗体(Dako社製)を使用し、二次抗体にはペルオキシダーゼ標識されているヤギ抗ラットIgG抗体{シンプルステインマウスMAX−PO(Rat)、ニチレイ社製}を使用した。発色にはジアミノベンジジンを用いた。染色画像から表皮基底細胞層において褐色に染色されたKi−67陽性細胞数をカウントし、基底膜1mm長あたりの平均陽性細胞数をグラフ化した。さらに別に作成した切片をヘマトキシリン・エオジン染色し、その顕微鏡画像から表皮層の厚さを測定した。Ki−67陽性細胞数を図25、表皮層の厚さを図26に示す。この結果から、α−リポ酸−MgCOナノ粒子分散液塗布群では塗布後3日目までα−リポ酸分散液塗布群と比較して有意にKi−67陽性細胞数の増加が観察された。それと相関するように表皮層の厚さも塗布後3日目まで有意に増大が観察された。一方、比較例のα-リポ酸分散液塗布区ではKi−67陽性細胞数、表皮層の厚さともに、塗布前とほとんど変化が認められなかった。また図27にα−リポ酸−MgCOナノ粒子分散液塗布3日後マウス皮膚組織切片の代表的なKi−67抗体免疫染色画像を示す。表皮層の厚み増大には表皮層有蕀細胞や顆粒細胞の増殖異常が関与する場合もあるといわれているが、図27の結果からα−リポ酸−MgCOナノ粒子は表皮基底細胞層の***を活性化し、正常に皮膚のターンオーバーを促進していることが確認された。上記の結果からα−リポ酸−MgCOナノ粒子は優れたターンオーバー促進効果を発揮することが確認できた。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明の組成物は、皮膚のターンオーバーを促進するために使用される。皮膚のターンオーバーを促進することにより皮膚からのメラニンの排出が促進されるため、本発明の組成物をメラニンの排出を目的とする用途に使用し得る。皮膚のターンオーバーを促進すると皮膚の再生が促進されるため、本発明の組成物を皮膚の再生および創傷治癒などに使用し得る。
本発明の組成物に含まれるナノ粒子は水に溶解した場合に透明溶液の形態を保つものであり、且つ、多価金属無機塩の皮膜によりα−リポ酸が被覆されていることから低刺激性である。従って、本発明の組成物を、皮下および静脈内注射製剤として投与することが可能となる。
本発明の組成物を外用剤として塗布投与した場合、あるいは経口投与剤として投与した場合には、良好に経皮吸収され、刺激性がないことから炎症を惹起せず、ナノ粒子から徐放的にα−リポ酸が放出され、皮膚のターンオーバーの促進効果を発揮できる。

Claims (18)

  1. 皮膚のターンオーバーを促進するための組成物であって、該組成物は、α−リポ酸ナノ粒子を含み、該α−リポ酸ナノ粒子は、α−リポ酸と、非イオン性界面活性剤と、2価金属イオンと、炭酸イオンまたはリン酸イオンとを含む、組成物。
  2. 皮膚のメラニンを排出するため、創傷治癒のため、または皮膚再生促進のための組成物である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記2価金属イオンがカルシウムイオン、亜鉛イオンまたはマグネシウムイオンである、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
  5. さらにポリエチレングリコールを含む、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記α−リポ酸ナノ粒子が、
    α−リポ酸と非イオン性界面活性剤とを含む水性分散液を調製する工程;
    該水性分散液に、2価金属塩を添加する工程であって、該2価金属塩が、2価金属ハロゲン化物、2価金属酢酸化物または2価金属グルコン酸化物である、工程;および
    該2価金属塩を添加した水性分散液に、アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物を添加して、α−リポ酸ナノ粒子を形成させる工程
    を包含する方法によって製造される、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記α−リポ酸と非イオン性界面活性剤とを含む水性分散液を調製する工程が、
    液状の非イオン性界面活性剤にα−リポ酸を溶解して界面活性剤溶液を得ること;および該界面活性剤溶液に水または水を含む液体を添加して水性分散液を得ることを含む、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記α−リポ酸と非イオン性界面活性剤とを含む水性分散液を調製する工程が、α−リポ酸とアルカリ性物質と水との混合物を作製してα−リポ酸含有水性分散液を調製すること;および該α−リポ酸含有水性分散液に非イオン性界面活性剤を添加することを含む、請求項6に記載の組成物。
  9. 前記2価金属塩が、塩化カルシウム、臭化カルシウム、フッ化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、フッ化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、ヨウ化亜鉛、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マグネシウムおよびグルコン酸亜鉛からなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
  10. 前記2価金属塩が、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよびグルコン酸亜鉛からなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
  11. 前記アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムからなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
  12. 前記アルカリ金属炭酸化物またはアルカリ金属リン酸化物が、炭酸ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムからなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
  13. 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
  14. 前記非イオン性界面活性剤のHLB値が、10以上である、請求項13に記載の組成物。
  15. 前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(重合度10〜20)オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(重合度10〜20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(重合度10〜20)ポリオキシプロピレン(重合度4〜8)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(重合度20〜100)硬化ヒマシ油およびショ糖ラウリン酸エステルからなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。
  16. 前記α−リポ酸と非イオン性界面活性剤とを含む水性分散液を調製する工程において、
    前記非イオン性界面活性剤にα−リポ酸を溶解する前に、ポリエチレングリコールを該非イオン性界面活性剤中に混合しておくか、または
    前記界面活性剤溶液に水を含む液体を添加する際に、該水を含む液体として、ポリエチレングリコールを含む水を用いる、請求項7に記載の組成物。
  17. 皮膚外用剤である、請求項1に記載の組成物。
  18. 経口投与剤である、請求項1に記載の組成物。
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