JPWO2010095475A1 - (メタ)アクリレート樹脂、その製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、及びプラスチックレンズ - Google Patents
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Abstract
Description
従来より、かかる要求に応える屈折率の高い光学材料として、フルオレン骨格を有するアクリレート樹脂が知られており、例えば、アクリロイル基がアルキレンオキシ基を介してフルオレン骨格に結合した2官能型化合物や(下記特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)、フルオレン骨格を含有するジグリシジルエーテルとアクリル酸又はメタクリル酸とを反応させて得られる化合物(下記特許文献4参照)が知られている。
然しながら、かかるビナフトール骨格を有するポリエステル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が10,000〜100,000と高く、常温で固形の熱可塑性樹脂であるため、活性エネルギー線または熱硬化樹脂の用途に適用できるものでなく、更に、耐溶剤性、耐熱性、高耐湿性に劣る他、光学材料の長期信頼性も低いものであった。
(式中、R1は炭素原子数2〜5の直鎖状又は分岐状アルキレン基、R2は水素原子又はメチル基であり、lは繰り返し単位で1〜10の整数である。)
で表される置換基を有することを特徴とする(メタ)アクリレート樹脂に関する。
本発明は、更に、ビナフトール類とアルキレンカーボネートを反応させて、次いで、得られた反応生成物に(メタ)アクリレート化剤を反応させることを特徴とする(メタ)アクリレート樹脂の製造方法に関する。
本発明は、更に、前記(メタ)アクリレート樹脂(A)とラジカル重合開始剤(B)とを必須成分とすることを特徴とする硬化性樹脂組成物に関する。
本発明は、更に、前記硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線照射又は加熱により硬化させてなる硬化物に関する。
本発明は、更に、前記硬化性樹脂組成物を成形、硬化させてなるプラスチックレンズに関する。
(式中、R1は炭素原子数2〜5の直鎖状又は分岐状アルキレン基、R2は水素原子又はメチル基であり、lは繰り返し単位で1〜10の整数である。)
で表される置換基を有することを特徴とするものである。前記(メタ)アクリレート樹脂は、ビナフタレン骨格を有することから、耐熱性及び耐湿性が良好なものとなると共に、有機材料としては極めて高い1.60以上の屈折率を有する材料となる。また、該ビナフタレン骨格上の置換基として末端にアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基を有するアルキルオキシ基又はポリオキシアルキレン基を有することから反応性官能基である(メタ)アクリロイルオキシ基の自由度が高くなり、反応性に優れ硬化物の耐熱性・耐湿性が高くなる。
(式中、R1は炭素原子数2〜5の直鎖状又は分岐状アルキレン基、R2は水素原子又はメチル基であり、lは繰り返し単位で1〜10の整数である。)
で表される置換基は、本発明の(メタ)アクリレート樹脂を活性エネルギー線の照射、或いは加熱により硬化させる際の反応性基として機能する構造部位である。該構造部位は、モノアルキルオキシ基又はポリオキシアルキレン基を介して(メタ)アクリロイルオキシ基がビナフタレン構造に結合していることから、反応性官能基である(メタ)アクリロイルオキシ基の自由度が高くなり、反応性が優れると共に、硬化物の耐熱性・耐湿性が高くなる。
(式中、X1〜X12は、各々独立的に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、又は炭素原子数1〜10のアルコキシ基、A1、A2は炭素原子数2〜5の直鎖状又は分岐状アルキレン基、Y1、Y2は水酸基、アクリロイルオキシ基、又はメタクロイルオキシ基であり、n及びmは繰り返し単位であって、それぞれ1〜10の整数である。但し、Y1及びY2の少なくとも一方はアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基である。)
で表される分子構造を有するものが挙げられる。
更に、前記した通り、前記炭素原子数3〜5のアルキレン基(a2)としてn−プロピレン又はイソプロピレン(以下、これらを「C3アルキル」と略記する。)が好ましいことから、前記エチレン基(a1)とC3アルキルとのモル比率(エチレン基(a1)/C3アルキル)が、50/50〜98/2の範囲であることが好ましい。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
使用しうるシランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ここで該プリズムレンズのプリズム部の形状は、プリズム頂角の角度θが70〜110°の範囲であることが、集光性に優れ輝度が向上する点から好ましく、特に75〜100°の範囲、中でも80〜95°の範囲であることが特に好ましい。
1)粘度:25℃にてE型粘度計(東機産業(株)製「TV−20形」コーンプレートタイプを使用して測定した。
2)13C−NMR:日本電子株式会社製NMR「GSX270」
3)FD−MS:日本電子株式会社製 二重収束型質量分析装置「AX505H(FD505H)」
攪拌機、温度計、ディーンスタークトラップ、コンデンサーが装着された5Lの4つ口フラスコにビナフトール858g(3モル)、エチレンカーボネート634g(7.2モル)、48質量%水酸化カリウム24gを加え、170℃で4時間反応させた。その後、メチルイソブトキシケトン1500gを加えて溶解し、水1000gを加え、攪拌を停止して下層を棄却した。更に水1000gを加え、攪拌を停止して下層を棄却した。その後、150℃で脱溶剤を行いDSC測定による融点108℃の樹脂1050gを得た。この樹脂をマススペクトル(FD−MS)で測定し、M=374のピークが確認されたこと、また、図1に示した13C−NMRの測定結果から、下記構造式で表される水酸基含有化合物(a)であることを確認した。
次いで、得られたアクリレート樹脂(A)の80質量部、フェノキシエチルアクリレート20質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製「イルガキュアー184」)3質量部を配合した組成物をバーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布し、その後、空気雰囲気下で120W/cm2の高圧水銀灯を用い、100mJ/cm2の照射量で照射し、硬化性を評価した。評価は以下の基準にて判断した。
○:硬化(タック性なし)
×:未硬化(タック性あり)
硬化性の結果をアクリレート樹脂(A)の性状と共に表1に示す。
アクリル酸の使用量を61g(0.85モル)に変更した以外は実施例1と同様に行い、アクリレート樹脂(B)190gを得た。ガスクロマトグラフ(各々を単離し、内部標準法により算出)より、化合物(α)と化合物(β)との比率[(α)/(β)のモル比]は60/40であり、また、アクリロイルオキシ基/水酸基は80/20(モル比)であることを確認した。このアクリレート樹脂の屈折率は1.64、E型粘度計で測定した粘度は490Pa.sであった。
(硬化性評価)
アクリレート樹脂(A)をアクリレート樹脂(B)に変更する他は実施例1と同様にして硬化性を評価した。硬化性の結果をアクリレート樹脂(B)の性状と共に表1に示す。
アクリル酸の使用量を86g(1.2モル)に変更、反応時間を12時間に変更した以外は合成例1と同様に行い、アクリレート樹脂(C)205gを得た。ガスクロマトグラフ(各々を単離し、内部標準法により算出)より化合物(α)と化合物(β)との比率[(α)/(β)のモル比]は99/1、また、アクリロイルオキシ基/水酸基は99.5/0.5(モル比)であることを確認した。このアクリレート樹脂の屈折率は1.63、E型粘度計で測定した粘度は440Pa.sであった。また、このアクリレート樹脂を25℃で2時間放置したところ結晶化した。
(硬化性評価)
アクリレート樹脂(A)をアクリレート樹脂(C)に変更する他は実施例1と同様にして硬化性を評価した。硬化性の結果をアクリレート樹脂(C)の性状と共に表1に示す。
アクリル酸の使用量を58g(0.80モル)に変更、反応時間を6時間に変更した以外は実施例1と同様に行い、アクリレート樹脂(D)185gを得た。ガスクロマトグラフ(各々を単離し、内部標準法により算出)より、化合物(α)と化合物(β)との比率[(α)/(β)のモル比]は40/60、また、アクリロイル基/水酸基=70/30(モル比)であることを確認した。このアクリレート樹脂の屈折率は1.65、E型粘度計で測定した粘度は510Pa.sであった。
(硬化性評価)
アクリレート樹脂(A)をアクリレート樹脂(D)に変更する他は実施例1と同様にして硬化性を評価した。硬化性の結果をアクリレート樹脂(D)の性状と共に表1に示す。
攪拌機、温度計、ディーンスタークトラップ、コンデンサーが装着された2Lの4つ口フラスコにビナフトール286g(1モル)、エチレンカーボネート190g(2.16モル)、プロピレンカーボネート24g(0.24モル)、48質量%水酸化カリウム水溶液8gを加え、170℃で4時間反応させた。その後、メチルイソブトキシケトン500gを加えて溶解し、水300gを加え、攪拌を停止して下層を棄却した。更に水300gを加え、攪拌を停止して下層を棄却した。その後、150℃で脱溶剤を行い、樹脂340gを得た。
(硬化性評価)
アクリレート樹脂(A)をアクリレート樹脂(E)に変更する他は実施例1と同様にして硬化性を評価した。硬化性の結果をアクリレート樹脂(E)の性状と共に表2に示す。
エチレンカーボネート127g(1.44モル)、プロピレンカーボネート98g(0.96モル)に変更した以外は実施例5と同様に行い、アクリレート樹脂(F)203gを得た。また、13C−NMRの測定結果から、エチレンオキソ基/プロピレンオキソ基のモル比が60/40であることを確認した。このアクリレート樹脂の屈折率は1.62、E型粘度計で測定した粘度は480Pa.sであった。
(硬化性評価)
アクリレート樹脂(A)をアクリレート樹脂(F)に変更する他は実施例1と同様にして硬化性を評価した。硬化性の結果をアクリレート樹脂(F)の性状と共に表2に示す。
エチレンカーボネート209g(2.38モル)、プロピレンカーボネート2g(0.02モル)に変更した以外は実施例5と同様に行い、アクリレート樹脂(G)206gを得た。また、13C−NMRの測定結果から、エチレンオキソ基/プロピレンオキソ基のモル比が99/1であることを確認した。このアクリレート樹脂の屈折率は1.63、E型粘度計で測定した粘度は455Pa.sであった。また、このアクリレート樹脂を25℃で2時間放置したところ結晶化した。
(硬化性評価)
アクリレート樹脂(A)をアクリレート樹脂(G)に変更する他は実施例1と同様にして硬化性を評価した。硬化性の結果をアクリレート樹脂(G)の性状と共に表2に示す。
エチレンカーボネート95g(1.08モル)、プロピレンカーボネート135g(1.32モル)、に変更した以外は実施例5と同様に行い、アクリレート樹脂(H)206gを得た。また、NMRよりエチレンオキソ基/プロピレンオキソ基=45/55(モル比)であることを確認した。このアクリレート樹脂(H)の屈折率は1.61、E型粘度計で測定した粘度は510Pa.sであった。
(硬化性評価)
アクリレート樹脂(A)をアクリレート樹脂(H)に変更する他は実施例1と同様にして硬化性を評価した。硬化性の結果をアクリレート樹脂(H)の性状と共に表2に示す。
以上のように、アクリロイル基/水酸基=75/25〜99/1(モル比)の範囲にある場合は常温で液状になり、硬化性も良好であった。一方、水酸基の比率が、この範囲より少ない場合は結晶性が高くなり、常温で2時間放置したところ結晶化した。
以上のように、エチレンオキソ基/プロピレンオキソ基の比率がエチレンオキソ基/プロピレンオキソ基=50/50〜98/2(モル比)の範囲にある場合は常温で液状になった。しかし、プロピレンオキソの比率が、この範囲より少ない場合は結晶性が高くなり、常温で2時間放置したところ結晶化した。
攪拌機、温度計、コンデンサー、デカンターが装着された1Lの4つ口フラスコに実施例1で得られたで化合物(a)187g(0.5モル)、テレフタル酸83g(0.5モル)、ジブチルスズオキシド0.7gを加え、撹拌しながら減圧度5〜10Torr、温度を190℃から230℃に徐々に加熱してエステル化を行なった。所定量の水を系外へ抜き出した後、昇温と減圧を徐々に行ない、発生する水を抜きながら、加熱槽温度を280℃、減圧度を133.322Pa以下に到達させた。この条件を1時間維持した後、反応物を水中に押し出してポリエステル樹脂(I)210gを得た。この樹脂の屈折率は1.67であった。またE型粘度計は固形のため測定できなかった。
下記構造式
下記構造式
アクリレート樹脂(A)、(B)、(E)、(F)、比較化合物1のフルオレン型アクリレート樹脂(J)、フルオレン型エポキシアクリレート樹脂(K)、ポリエステル樹脂(I)を用いて下記の方法で塗膜を作成し、各種評価を行った。結果を表3に示す。
アクリレート樹脂(A)、(B)、(E)、(F)、(J)又は(K)のアクリレート樹脂80質量部、フェノキシエチルアクリレート20質量部、光重合開始剤としてイラガキュアー184(3部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)を配合した組成物をバーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布した。次に、空気雰囲気下で120W/cm2の高圧水銀灯を用い、500mJ/cm2の照射量で照射し、硬化塗膜を得た。
ポリエステル樹脂(I)を150℃に加熱し溶融させ、バーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布した。
塗膜作製で得られた塗膜をメチルエチルケトンを含ませた綿棒(ジョンソン社製)で50往復擦った後に塗膜の変化を目視で観察した。評価は以下のように判断した。
評価
○:変化なし
×:曇り、剥がれなどの変化あり
(耐熱性)
塗膜作製で得られた塗膜を125℃の乾燥機に入れ150時間保持した。保持後の塗膜の変化を目視で観察した。評価は以下のように判断した。
評価
○:変化なし
△:色相のみ変化、形状変化なし
×:色相および形状が変化
(耐湿性)
塗膜作製で得られた塗膜を85℃、湿度85%の恒温恒湿機に入れ300時間保持した。保持後の塗膜の変化を目視で観察した。評価は以下のように判断した。
評価
○:変化なし
△:色相のみ変化、形状変化なし
×:色相および形状が変化
アクリレート樹脂(A)、(B)、(E)、(F)、比較化合物1のフルオレン型アクリレート樹脂(J)、比較化合物2のフルオレン型エポキシアクリレート樹脂(K)を用いた活性エネルギー線硬化物、および比較例1で得られたポリエステル樹脂(I)を用いて下記の方法で塗膜を作成し、実施例12と同様にして各種評価を行った。結果を表4に示す。
(アクリレート樹脂(A)、(B)、(E)、(F)、(J)又は(K)の硬化塗膜の作成)
アクリレート樹脂(A)、(B)、(E)、(F)、(J)又は(K)のアクリレート樹脂80質量部、フェノキシエチルアクリレート20質量部、熱重合開始剤としてメチルエチルケトンパーオキサイド3質量部を配合した組成物をバーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布した。次に、100℃の乾燥機に入れ4時間保持し、硬化塗膜を得た。
(ポリエステル樹脂(I)を用いた塗膜の調整)
ポリエステル樹脂(I)を150℃に加熱し溶融させ、バーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布した。
下記表5の配合に従い、ワニス状の組成物を調整し、該組成物の液屈折率及び粘度を下記の方法にて測定し、次いで、実施例12と同様にして、硬化塗膜を製造し、耐溶剤性、耐熱性、耐湿性を評価した。
また、各組成物を用いて下記の方法で硬化フィルムA及び硬化フィルム付き基板Bを製造して透明性、密着性を評価した。更に、該組成物を用い下記の方法にて金型からの離型性を評価した。結果を表5に示す。
下記表5の配合に従って調整した組成物を、クロムメッキ処理金属板と透明表面未処理PETフィルムとの間に入れた後に厚さを調整し、高圧水銀灯により500mJ/cm2の紫外線を透明基材側から照射して硬化させた後、金属板および透明基材から硬化フィルム(以下、これを「硬化フィルムA」と略記する。)を取り出した。
下記表5の配合に従って調整した組成物を、クロムメッキ処理金属板と透明表面密着処理PETフィルムとの間に入れた後に厚さを調整し、高圧水銀灯により、500mJ/cm2の紫外線を透明基材側から照射して硬化させた後、金属板のみを剥離し、硬化フィルム付基板(以下、これを「硬化フィルム付き基板B」と略記する。)を得た。
アッベ屈折計のプリズムに直接塗布し、25℃にて屈折率(589.3mmのD線)の測定を行った。
[粘度]
E型回転粘度計にて25℃での粘度測定を行った。
[硬化物屈折率]
硬化フィルムAを、1−ブロモナフタレンにより、アッベ屈折計のプリズムに密着させ、25℃にて屈折率(589.3mmのD線)の測定を行った。
[透明性]
硬化フィルムAを用い、400〜900nmの波長領域の光透過率を測定し、全領域で85%以上の透過率を示すものを○とし、透過率がそれ未満のものを×とした。
[密着性]
硬化フィルム付き基板Bを用い、基材と硬化フィルム層との密着性をJIS K5400に準拠して測定し、升目が全て残存する時を○、それ以外を×とした。
[離型性]
クロムメッキ処理したプリズム金型と透明表面密着処理PETフィルムとの間に下記表5の配合に従って調整した組成物を入れた後に厚さを調整し、高圧水銀灯により500mJ/cm2の紫外線を透明基材側から照射して硬化させた後、金型から離型する際、金型に組成物が残らないものを○、残るものを×とした。
従来より、かかる要求に応える屈折率の高い光学材料として、フルオレン骨格を有するアクリレート樹脂が知られており、例えば、アクリロイル基がアルキレンオキシ基を介してフルオレン骨格に結合した2官能型化合物や(下記特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)、フルオレン骨格を含有するジグリシジルエーテルとアクリル酸又はメタクリル酸とを反応させて得られる化合物(下記特許文献4参照)が知られている。
然しながら、かかるビナフトール骨格を有するポリエステル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が10,000〜100,000と高く、常温で固形の熱可塑性樹脂であるため、活性エネルギー線または熱硬化樹脂の用途に適用できるものでなく、更に、耐溶剤性、耐熱性、高耐湿性に劣る他、光学材料の長期信頼性も低いものであった。
(式中、X1〜X12は、各々独立的に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、又は炭素原子数1〜10のアルコキシ基、A1、A2は炭素原子数2〜5の直鎖状又は分岐状アルキレン基、Y1、Y2は水酸基、アクリロイルオキシ基、又はメタクロイルオキシ基であり、n及びmは繰り返し単位であって、それぞれ1〜10の整数である。但し、Y1及びY2の少なくとも一方はアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基である。)で表される分子構造を有する、種々の化合物の混合物であって、かつ、前記構造式(1)のA 1 及びA 2 が、それぞれ独立的にエチレン基(a1)及び炭素原子数3〜5のアルキレン基(a2)からなる群から選択されるものであり、かつ、前記エチレン基(a1)と前記炭素原子数3〜5のアルキレン基(a2)とのモル比率(a1/a2)が50/50〜98/2の範囲となるものであることを特徴とする(メタ)アクリレート樹脂に関する。
本発明は、更に、ビナフトール化合物と、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートとを、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートのモル比[エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート]が50/50〜98/2となる割合で用いて反応させて、次いで、得られた反応生成物に(メタ)アクリレート化剤を反応させることを特徴とする(メタ)アクリレート樹脂の製造方法に関する。
本発明は、更に、前記(メタ)アクリレート樹脂(A)とラジカル重合開始剤(B)とを必須成分とすることを特徴とする硬化性樹脂組成物に関する。
本発明は、更に、前記硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線照射又は加熱により硬化させてなる硬化物に関する。
本発明は、更に、前記硬化性樹脂組成物を成形、硬化させてなるプラスチックレンズに関する。
(式中、X1〜X12は、各々独立的に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、又は炭素原子数1〜10のアルコキシ基、A1、A2は炭素原子数2〜5の直鎖状又は分岐状アルキレン基、Y1、Y2は水酸基、アクリロイルオキシ基、又はメタクロイルオキシ基であり、n及びmは繰り返し単位であって、それぞれ1〜10の整数である。但し、Y1及びY2の少なくとも一方はアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基である。)
で表される分子構造を有する、種々の化合物の混合物であって、かつ、前記構造式(1)のA 1 及びA 2 が、それぞれ独立的にエチレン基(a1)及び炭素原子数3〜5のアルキレン基(a2)からなる群から選択されるものであり、かつ、前記エチレン基(a1)と前記炭素原子数3〜5のアルキレン基(a2)とのモル比率(a1/a2)が50/50〜98/2の範囲となるものが挙げられる。
更に、前記した通り、前記炭素原子数3〜5のアルキレン基(a2)としてn−プロピレン又はイソプロピレン(以下、これらを「C3アルキル」と略記する。)が好ましいことから、前記エチレン基(a1)とC3アルキルとのモル比率(エチレン基(a1)/C3アルキル)が、50/50〜98/2の範囲であることが好ましい。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
使用しうるシランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ここで該プリズムレンズのプリズム部の形状は、プリズム頂角の角度θが70〜110°の範囲であることが、集光性に優れ輝度が向上する点から好ましく、特に75〜100°の範囲、中でも80〜95°の範囲であることが特に好ましい。
1)粘度:25℃にてE型粘度計(東機産業(株)製「TV−20形」コーンプレートタイプを使用して測定した。
2)13C−NMR:日本電子株式会社製NMR「GSX270」
3)FD−MS:日本電子株式会社製 二重収束型質量分析装置「AX505H(FD505H)」
攪拌機、温度計、ディーンスタークトラップ、コンデンサーが装着された2Lの4つ口フラスコにビナフトール286g(1モル)、エチレンカーボネート190g(2.16モル)、プロピレンカーボネート24g(0.24モル)、48質量%水酸化カリウム水溶液8gを加え、170℃で4時間反応させた。その後、メチルイソブトキシケトン500gを加えて溶解し、水300gを加え、攪拌を停止して下層を棄却した。更に水300gを加え、攪拌を停止して下層を棄却した。その後、150℃で脱溶剤を行い、樹脂340gを得た。
(硬化性評価)
次いで、得られたアクリレート樹脂(E)の80質量部、フェノキシエチルアクリレート20質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製「イルガキュアー184」)3質量部を配合した組成物をバーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布し、その後、空気雰囲気下で120W/cm 2 の高圧水銀灯を用い、100mJ/cm 2 の照射量で照射し、硬化性を評価した。評価は以下の基準にて判断した。
○:硬化(タック性なし)
×:未硬化(タック性あり)
硬化性の結果をアクリレート樹脂(E)の性状と共に表2に示す。
エチレンカーボネート127g(1.44モル)、プロピレンカーボネート98g(0.96モル)に変更した以外は実施例5と同様に行い、アクリレート樹脂(F)203gを得た。また、13C−NMRの測定結果から、エチレンオキソ基/プロピレンオキソ基のモル比が60/40であることを確認した。このアクリレート樹脂の屈折率は1.62、E型粘度計で測定した粘度は480Pa.sであった。
(硬化性評価)
アクリレート樹脂(E)をアクリレート樹脂(F)に変更する他は実施例5と同様にして硬化性を評価した。硬化性の結果をアクリレート樹脂(F)の性状と共に表2に示す。
エチレンカーボネート209g(2.38モル)、プロピレンカーボネート2g(0.02モル)に変更した以外は実施例5と同様に行い、アクリレート樹脂(G)206gを得た。また、13C−NMRの測定結果から、エチレンオキソ基/プロピレンオキソ基のモル比が99/1であることを確認した。このアクリレート樹脂の屈折率は1.63、E型粘度計で測定した粘度は455Pa.sであった。また、このアクリレート樹脂を25℃で2時間放置したところ結晶化した。
(硬化性評価)
アクリレート樹脂(E)をアクリレート樹脂(G)に変更する他は実施例5と同様にして硬化性を評価した。硬化性の結果をアクリレート樹脂(G)の性状と共に表2に示す。
エチレンカーボネート95g(1.08モル)、プロピレンカーボネート135g(1.32モル)、に変更した以外は実施例5と同様に行い、アクリレート樹脂(H)206gを得た。また、NMRよりエチレンオキソ基/プロピレンオキソ基=45/55(モル比)であることを確認した。このアクリレート樹脂(H)の屈折率は1.61、E型粘度計で測定した粘度は510Pa.sであった。
(硬化性評価)
アクリレート樹脂(E)をアクリレート樹脂(H)に変更する他は実施例5と同様にして硬化性を評価した。硬化性の結果をアクリレート樹脂(H)の性状と共に表2に示す。
以上のように、エチレンオキソ基/プロピレンオキソ基の比率がエチレンオキソ基/プロピレンオキソ基=50/50〜98/2(モル比)の範囲にある場合は常温で液状になった。しかし、プロピレンオキソの比率が、この範囲より少ない場合は結晶性が高くなり、常温で2時間放置したところ結晶化した。
攪拌機、温度計、コンデンサー、デカンターが装着された1Lの4つ口フラスコに実施例1で得られたで化合物(a)187g(0.5モル)、テレフタル酸83g(0.5モル)、ジブチルスズオキシド0.7gを加え、撹拌しながら減圧度5〜10Torr、温度を190℃から230℃に徐々に加熱してエステル化を行なった。所定量の水を系外へ抜き出した後、昇温と減圧を徐々に行ない、発生する水を抜きながら、加熱槽温度を280℃、減圧度を133.322Pa以下に到達させた。この条件を1時間維持した後、反応物を水中に押し出してポリエステル樹脂(I)210gを得た。この樹脂の屈折率は1.67であった。またE型粘度計は固形のため測定できなかった。
下記構造式
下記構造式
アクリレート樹脂(E)、(F)、フルオレン型アクリレート樹脂(J)、フルオレン型エポキシアクリレート樹脂(K)、ポリエステル樹脂(I)を用いて下記の方法で塗膜を作成し、各種評価を行った。結果を表3に示す。
アクリレート樹脂(E)、(F)、(J)又は(K)のアクリレート樹脂80質量部、フェノキシエチルアクリレート20質量部、光重合開始剤としてイラガキュアー184(3部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)を配合した組成物をバーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布した。次に、空気雰囲気下で120W/cm2の高圧水銀灯を用い、500mJ/cm2の照射量で照射し、硬化塗膜を得た。
ポリエステル樹脂(I)を150℃に加熱し溶融させ、バーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布した。
塗膜作製で得られた塗膜をメチルエチルケトンを含ませた綿棒(ジョンソン社製)で50往復擦った後に塗膜の変化を目視で観察した。評価は以下のように判断した。
評価
○:変化なし
×:曇り、剥がれなどの変化あり
(耐熱性)
塗膜作製で得られた塗膜を125℃の乾燥機に入れ150時間保持した。保持後の塗膜の変化を目視で観察した。評価は以下のように判断した。
評価
○:変化なし
△:色相のみ変化、形状変化なし
×:色相および形状が変化
(耐湿性)
塗膜作製で得られた塗膜を85℃、湿度85%の恒温恒湿機に入れ300時間保持した。保持後の塗膜の変化を目視で観察した。評価は以下のように判断した。
評価
○:変化なし
△:色相のみ変化、形状変化なし
×:色相および形状が変化
アクリレート樹脂(E)、(F)、フルオレン型アクリレート樹脂(J)、比較化合物2のフルオレン型エポキシアクリレート樹脂(K)を用いた活性エネルギー線硬化物、および比較例1で得られたポリエステル樹脂(I)を用いて下記の方法で塗膜を作成し、実施例12と同様にして各種評価を行った。結果を表4に示す。
(アクリレート樹脂(E)、(F)、(J)又は(K)の硬化塗膜の作成)
アクリレート樹脂(E)、(F)、(J)又は(K)のアクリレート樹脂80質量部、フェノキシエチルアクリレート20質量部、熱重合開始剤としてメチルエチルケトンパーオキサイド3質量部を配合した組成物をバーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布した。次に、100℃の乾燥機に入れ4時間保持し、硬化塗膜を得た。
(ポリエステル樹脂(I)を用いた塗膜の調整)
ポリエステル樹脂(I)を150℃に加熱し溶融させ、バーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布した。
下記一般式(1)
【化1】
(式中、X1〜X12は、各々独立的に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、又は炭素原子数1〜10のアルコキシ基、A1、A2は炭素原子数2〜5の直鎖状又は分岐状アルキレン基、Y1、Y2は水酸基、アクリロイルオキシ基、又はメタクロイルオキシ基であり、n及びmは繰り返し単位であって、それぞれ1〜10の整数である。但し、Y1及びY2の少なくとも一方はアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基である。)で表される分子構造を有する、種々の化合物の混合物であって、かつ、前記構造式(1)のA1及びA2が、それぞれ独立的にエチレン基(a1)及び炭素原子数3〜5のアルキレン基(a2)からなる群から選択されるものであり、かつ、前記エチレン基(a1)と前記炭素原子数3〜5のアルキレン基(a2)とのモル比率(a1/a2)が50/50〜98/2の範囲となるものであることを特徴とする(メタ)アクリレート樹脂に関する。
本発明は、更に、前記(メタ)アクリレート樹脂(A)とラジカル重合開始剤(B)とを必須成分とすることを特徴とする硬化性樹脂組成物に関する。
本発明は、更に、前記硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線照射又は加熱により硬化させてなる硬化物に関する。
本発明は、更に、前記硬化性樹脂組成物を成形、硬化させてなるプラスチックレンズに関する。
【発明の効果】
Claims (11)
- 25℃において液状である請求項1又は2記載の(メタ)アクリレート樹脂。
- 前記(メタ)アクリレート樹脂が、前記一般式(1)で表される種々の化合物の混合物であって、かつ、前記一般式(1)のY1及びY2における、水酸基(y1)と、アクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基(y2)との割合がモル比率(y2/y1)で75/25〜99/1の範囲である請求項2記載の(メタ)アクリレート樹脂。
- 前記(メタ)アクリレート樹脂が、前記一般式(1)で表される種々の化合物の混合物であって、かつ、前記構造式(1)のA1及びA2が、それぞれ独立的にエチレン基(a1)及び炭素原子数3〜5のアルキレン基(a2)からなる群から選択されるものであり、かつ、前記エチレン基(a1)と前記炭素原子数3〜5のアルキレン基(a2)とのモル比率(a1/a2)が50/50〜98/2の範囲となるものである請求項2記載の(メタ)アクリレート樹脂。
- 25℃における粘度が3000Pa・s以下のものである請求項1〜5の何れか1つに記載の(メタ)アクリレート樹脂。
- ビナフトール類と、アルキレンオキサイド、ハロゲノアルカノール、又はアルキレンカーボネートとを反応させて水酸基を有する化合物を得、次いで、得られた水酸基を有する反応生成物に(メタ)アクリレート化剤を反応させることを特徴とする(メタ)アクリレート樹脂の製造方法。
- 請求項1〜6の何れか1つに記載の(メタ)アクリレート樹脂(A)とラジカル重合開始剤(B)とを必須成分とすることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリレート樹脂(A)及び前記ラジカル重合開始剤(B)に加え、更にラジカル重合性単量体(C)を含む請求項8記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項9記載の硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線照射又は加熱により硬化させてなる硬化物。
- 請求項9記載の硬化性樹脂組成物を成形、硬化させてなるプラスチックレンズ。
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