JPWO2010095163A1 - 真空バルブ用電気接点およびそれを用いた真空遮断器 - Google Patents

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Abstract

低融点金属を添加せずに溶着引離し力の低減効果を十分に発揮し、優れた遮断性能と通電性能を有するとともに、真空遮断器等の大幅な小型化を可能とする電気接点を提供する。電気接点は、CrとCu、およびCuに対し非反応・非固溶成分からなるCr被覆層を有する焼結金属で構成され、Cuマトリックス中にCr粉末が分散され、Cr粉末表面の前記非反応・非固溶成分からなる被覆層は、C、Mo、Wのいずれか1種から構成される。

Description

本発明は、真空遮断器、真空開閉器等に用いられる新規な真空バルブ用電気接点に関する。
真空遮断器等の受配電機器には、小型・低価格化が求められている。そのためには真空バルブ内の電気接点を低強度化し、ジュール熱により電気接点同士が溶着した際の引離し力を低減することによって、電気接点の開閉動作を行う操作機構部を小型化する必要がある。電気接点の多くはCuマトリックス中にCrを分散させたCr−Cu系焼結合金が用いられ、これを低強度化させる手段として、特許文献1〜3に示すようにTeなどの低融点金属を添加する方法が用いられている。
特開2005−135778号公報 特開2006−140073号公報 特開2003−223834号公報
従来のCr−Cu系電気接点において、溶着発生時の接点の引離しを容易にする耐溶着成分、あるいは電流遮断後の接点表面の荒れの抑制成分としてTe等の低融点金属が数重量%添加されていた。この程度の量の低融点金属を添加すると、通電成分であるCuマトリックスに欠陥が生じたり焼結が不十分となりやすく、良好な通電性能や遮断性能が得られない場合がある。また、真空バルブを真空封止ろう付けして製作する場合、電気接点から低融点金属が揮散してろう付け部の健全性を損ない、真空バルブ内の真空度低下を招く恐れがあった。一方、低融点金属添加量が適正量よりも少ない場合には、電気接点の低強度化が十分でなく、引離し力の低減効果が不足する場合があった。
本発明の目的は、従来技術の問題を解消し、溶着引離し力の低減効果を十分に発揮し優れた遮断性能と通電性能を有するとともに、真空遮断器等の大幅な小型化を可能とする電気接点およびそれを用いた真空遮断器を提供することにある。
本発明の電気接点は、Cuマトリックス中に分散されたCr粉末を有し、前記Cr粉末表面にCuに対して非反応・非固溶成分からなる被覆層を設けたことを特徴とする。
また、前記非反応・非固溶成分からなる被覆層は、C、Mo、Wのいずれか1種からなることを特徴とする。
また、前記Cr粉末表面の非反応・非固溶成分からなる被覆層の厚さは、0.01μm以上であることを特徴とする。
また、前記Cr粉末表面の75%以上が前記非反応・非固溶成分からなる被覆層により被覆されていることを特徴とする。
また、Cr粉末の前記被覆層とCuマトリックスとの界面は、その70%〜90%に空隙が存在することを特徴とする。
また、前記Cr粉末の含有量が15〜40重量%とし、電気接点の遮断性能を保証することを特徴とする。
さらに、電気接点の製造方法において、Cu粉末と、Cuに対する非反応・非固溶成分を被覆したCr粉末とを混合して得られる混合粉末を加圧成形し、Cuの融点以下の温度で加熱焼結することを特徴とする。
さらに、前記Cr粉末の粒径は104μm以下であり、前記Cu粉末の粒径は61μm以下とし、Cr粉末のCuマトリックス中の分散性を確保し、Cu粉末の焼結性を確保することを特徴とする。
また、円盤形状をなし、該円板形状の円中心に形成された中心孔と、該中心孔に対して非接触で円中心から外周部に向かって形成された複数本の貫通したスリット溝とを有し、前記円盤形状部材が上述の構成を有する電気接点からなり、前記円盤形状部材のアーク発生面の反対面に一体に接合された電極棒を有する電極であることを特徴とする。
また、真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極を備えた真空バルブにおいて、前記固定側電極及び可動側電極の少なくとも一方が、上述した電気接点を有することを特徴とする。
また、真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極を備えた真空バルブと、該真空バルブ内の前記固定側電極及び可動側電極の各々に前記真空バルブ外に接続された導体端子と、前記可動側電極を駆動する開閉手段とを備えた真空遮断器において、前記真空バルブが上述の真空バルブからなることを特徴とする。
本発明の電気接点はCrとCu、およびCuと非反応・非固溶の成分を有し、Cuマトリックス中にCr粉末が分散され、かつCr粉末表面にCuと非反応・非固溶の成分からなる被覆層を有し、焼結過程においてCrとCu間に空隙を生成してCrがCuに固溶することによる両者の強固な結合を防ぎCrとCuとの界面強度を低下させ、溶着した電気接点同士を引離す力を小さくすることができる。
本発明の原理を示す模式図。 本発明の実施例1に係る電極の構造を示す水平断面図。 図2におけるII−II線断面図。 本発明の実施例2に係る真空バルブの模式図。 本発明の実施例3に係る真空遮断器の模式図。 本発明の実施例4に係る路肩設置変圧器用負荷開閉器の模式図。
符号の説明
1…電気接点、1a…固定側電気接点、1b…可動側電気接点、2…スリット溝、4、4a、4b…電極棒、6a…固定側電極、6b…可動側電極、14…真空バルブ、17…上部端子、18…集電子、G…空隙、A…被覆層
本発明者らは、低融点金属を添加したCr−Cu焼結電気接点における強度低減をもたらす原因が、Cr粉末とCuマトリックスの間の物理的乖離によることを見出した。すなわち、従来の焼結過程において低融点金属は優先的に溶融移動してCrとCuの界面に空隙を形成させ、界面強度の低下をもたらし、接点材料としての強度を低下させる。このことから、Cr粉末表面をCuと非反応・非固溶の成分で被覆すれば、焼結過程におけるCuマトリックスの焼結収縮に伴って、より確実にCrとCuが物理的に乖離するとの知見を得た。
図1に本発明の原理を模式図で説明する。(a)はCuマトリックス中のCr粒子界面を示す。Cr−Cu系ではCrマトリックス中に若干のCrが拡散し固溶層Sを形成し強固な固着力を発生するため、耐溶着性が悪い。(b)は耐溶着性を改善するためにTeを添加した例を示す。焼結過程の進行に従いTeが溶融移動しCr−Cu間に(Cuマトリックスの収縮に伴う)空隙Gが形成されるため、耐溶着性が改善される。(c)は本発明の構成を示す。Cr表面にCrと非反応・非固溶成分である物質の被覆層Aを設けることにより、焼結過程でCr−Cu間に空隙Gが形成され耐溶着性が改善される。
このCuと非反応・非固溶の被覆層Aの成分としては、C、Mo、Wのいずれか1種が望ましい。これらの成分をCr粉末に被覆することにより、CrがCuに固溶して両者の結合が強まることを防ぐことができる。また、C、Mo、Wのいずれか1種のみを使用することにより、非反応・非固溶成分同士の反応による化合物生成に伴う被覆層の脆化破壊を防ぐことができる。
Cr粉末表面への非反応・非固溶成分の被覆層Aの被覆厚さは0.01μm以上とし、この被覆厚さを有する被覆面積をCr粉末表面の75%以上とすることにより、上述のCrとCuの界面強度低減効果が得られる。厚さ、面積ともこの値より小さいと、CrがCuに固溶するのを防ぐ効果が十分でなく、溶着引離し力を低減する効果が得られない。
Cr粉末表面への非反応・非固溶成分の被覆層Aにより、焼結後の被覆層AとCuマトリックスとの界面には空隙Gが生じる。これは、被覆層AとCuマトリックスとの界面で化学的な結合が生じず、Cuの焼結収縮に伴って界面で物理的に乖離するためである。この空隙Gは、界面の70%〜90%に存在することが望ましい。この値より小さいと、界面強度低減効果が不十分となる。なお、空隙Gは界面の90%以上であることがより良いが、界面形状の影響などにより物理的に接触する箇所があるため、90%を越える空隙率は生じにくい。
以上のような、Cr粉末表面への非反応・非固溶成分の被覆層Aによる溶着引離し力の低減効果を得るためには、Cr粉末と非反応・非固溶成分との間で反応生成物(化合物)を形成しないことが望ましい。これは、Cr粉末の周囲に化合物が生成すると、化合物層が分解した場合に、含まれるCrがCuマトリックスに固溶し、CrとCuの界面の結合を促進して界面強度が低下しない可能性があるためである。また、化合物を生成すると、反応に伴いCr粉末が微細化して耐電圧性能が向上する可能性があるが、一方でCr特有の遮断性能が損なわれる恐れがある。したがって、Cr粉末表面は、C、Mo、Wのいずれか1種からなるCuと非反応・非固溶成分の単体層で被覆されることが、本発明の目的を解決する上で好ましい。
本発明の電気接点におけるCrの含有量は15〜40重量%の範囲にあることが望ましい。Cr量がこれより少ないと耐電圧性能が低下し、これより多いと通電性能が低下するとともに焼結性が低下して緻密な電気接点の製造が困難になり、十分な遮断性能が得られない。
本発明の電気接点の製造方法は、Cuの粉末と、Cuと非反応・非固溶の成分を被覆したCr粉末とを混合し、この混合粉末を加圧成形した後、Cuの融点以下の温度で加熱焼結するもので、比較的容易に低コストで製造することが可能になる。Cr粉末の非反応・非固溶成分による被覆は、蒸着などの物理気相析出法や、他の表面処理技術を応用することによって可能であり、メカノフュージョン法などの機械的複合化技術を応用することもできる。混合粉末の加圧成形は、最終形状の金型を用いて成形することにより、加熱焼結後に機械加工を用いることなく、最終形状の電気接点を製造することができる。この加熱焼結は真空中、または不活性あるいは還元性雰囲気中で行うことにより、加熱中の酸化を防止し、真空バルブを高真空に保つことができる。用いる原料粉末の粒径は、Cr粉末が104μm以下、Cu粉末が61μm以下とすることが望ましい。それぞれの粒径がこの値より大きいと、焼結後の組織の均一性が低下し、電流遮断時における接点面においてCuが溶出し、溶着が発生しやすくなる。
本発明の電気接点を用いた電極は、円盤形状をなし、この円板形状の円中心に形成された中心孔と、この中心孔に対して非接触で円中心から外周部に向かって形成された複数本の貫通したスリット溝とを有し、さらに円盤形状部材のアーク発生面の反対面に一体に接合された電極棒を有するもので、円盤形状部材が本発明の電気接点からなることにより、遮断性能に優れ、溶着引離し力の小さい所望の性能を有する電極が得られる。
本発明に係る真空バルブは、真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極を備え、その少なくとも一方が、本発明の電気接点を用いた電極からなるものである。また、本発明に係る真空遮断器は、少なくとも一方に本発明の電気接点を用いた固定側電極及び可動側電極を真空容器内に備えた真空バルブと、この真空バルブ内の固定側電極及び可動側電極の各々に真空バルブ外に接続された導体端子と、可動側電極を駆動する開閉手段とを備えたものである。これにより、優れた遮断性能や通電性能を有し、電気接点同士が溶着した際の引離し力が小さく、操作機構部を小型化することができ、小型で低価格の真空遮断器、さらには各種真空開閉装置が得られる。
以下、発明を実施するための最良の形態を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す組成の電気接点を作製し、これを用いて電極を作製した。
Figure 2010095163
図2は作製した電極の構造を示す水平断面図、図3は図2のII-II線断面図である。図2、図3において、1は電気接点、2はアークに駆動力を与えるためのスリット溝、3はステンレス製の補強板、4は電極棒、5はろう材、44は電気接点1の中央にアークが発生して停滞するのを防ぐための中央孔である。
電気接点1の作製方法は次の通りである。まず、Cuと非反応・非固溶の成分であるMoを、Cr粉末に被覆した。本実施例では、Cr粉末(粒径88μm以下)とMo粉末(粒径0.7μm)をダンシングミキサで強負荷混合することによりMo被覆を施した。Mo被覆層の厚さおよびCr粉末表面に対する被覆面積率は、Mo粉末の混合量と混合時間によって調整した。
次にこのMo被覆Cr粉末と、粒径60μm以下のCu粉末とを、表1のCr含有量となるような配合比でV型混合器により混合した。続いて、この混合粉末を、円盤形状の金型に充填し、油圧プレスにより400MPaの圧力で加圧成形した。成形体の密度は、およそ73%であった。これを圧力40Paの水素雰囲気中で、1060℃×2時間加熱して焼結し、電気接点1の素材となる焼結体を作製した。得られた焼結体の相対密度は、およそ96%であった。
得られた焼結体を機械加工し、図2に示す形状の電気接点1を作製した。なお、スリット溝2および中央孔44を有する最終形状を形作ることのできる金型に混合粉末を充填し、焼結する方法によっても電気接点1を得ることができ、この方法では機械加工などの後加工が不要であるため、容易に製作が可能である。
実施例1の比較例として、Cuに固溶するNiをCr粉末に被覆した電気接点(表1のNo.10)を作製した。Cr粉末へのNi被覆はめっき法により行い、その後の工程は上記と同様である。
また、別の比較例として、従来材の一つであるTeを添加した電気接点(表1のNo.11)を作製した。これは、上記Cr粉末およびCu粉末とともに、Te粉末(粒径45μm以下)をV型混合器により混合した後、成形・焼結して作製した。加圧成形条件、焼結条件は上記と同様である。
さらに別の比較例として、Cr以外の耐火性金属として、Cuと非反応・非固溶成分であるMoを用いた電気接点(表1のNo.12)を作製した。これは、上記のCu粉末とともにMo粉末(粒径63μm以下)をV型混合器により混合した後、成形・焼結して作製した。加圧成形条件、焼結条件は上記と同様である。
電極の作製方法は次の通りである。電極棒4を無酸素銅で、また、補強板3をSUS304であらかじめ機械加工により作製しておき、前記の焼結および機械加工で得られた電気接点1、補強板3、電極棒4それぞれの間にろう材5を載置し、これを8.2×10−4Pa以下の真空中で970℃×10分間加熱し、図3に示す電極を作製した。この電極は定格電圧7.2kV、定格電流600A、定格遮断電流20kA用の真空バルブに用いられる電極である。なお、電気接点1の強度が十分であれば、補強板3は省いてもよい。
実施例1で作製した電極を用いて真空バルブを作製した。真空バルブの仕様は定格電圧7.2kV、定格電流600A、定格遮断電流20kAである。
図4は、本実施例に係る真空バルブ14の構造を示す模式図である。図4において、1aは固定側電気接点、1bは可動側電気接点、3a、3bは補強板、4aは固定側電極棒、4bは可動側電極棒で、これらにより固定側電極6a、可動側電極6bを構成する。なお、実施例2では、固定側と可動側の電気接点のスリット溝2が接触面において一致するように設置している。
可動側電極6bは、遮断時の金属蒸気等の飛散を防ぐ可動側シールド8を介して可動側ホルダー12にろう付け接合される。これらは、固定側端板9a、可動側端板9b及び絶縁筒13によって高真空にろう付け封止され、固定側電極6a及び可動側ホルダー12のネジ部をもって外部導体と接続される。絶縁筒13の内面には、遮断時の金属蒸気等の飛散を防ぐシールド7が設けられ、また、可動側端板9bと可動側ホルダー12の間には摺動部分を支えるためのガイド11が設けられる。可動側シールド8と可動側端板9bの間にはべローズ10が設けられており、真空バルブ14内を真空に保ったまま、可動側ホルダー12を上下させて固定側電極6aと可動側電極6bを開閉させることができる。
次に、実施例2で作製した真空バルブを搭載した真空遮断器を作製した。図5は、本発明に係る真空バルブ14とその操作機構を示す真空遮断器を示す模式図である。
真空遮断器は、操作機構部を前面に配置し、背面に真空バルブ14を支持する3相一括型の3組のエポキシ筒15を配置した構造である。真空バルブ14は、絶縁操作ロッド16を介して操作機構部によって開閉される。
真空遮断器が閉路状態の場合、電流は上部端子17、電気接点1a、1b、集電子18、下部端子19を流れる。電極間の接触力は、絶縁操作ロッド16に装着された接触バネ20によって保たれている。電極間の接触力および短絡電流による電磁力は、支えレバー21およびプロップ22で保持されている。投入コイル30を励磁すると開路状態からプランジャ23がノッキングロッド24を介してローラ25を押し上げ、主レバー26を回して電極間を閉じたあと、支えレバー21で保持している。
真空遮断器を開路する場合は、引き外しコイル27を励磁すると、引き外しレバー28がプロップ22の係合を外し、主レバー26が回って電極間が開かれる。真空遮断器が開路状態では、電極間が開かれたあと、リセットバネ29によってリンクが復帰し、同時にプロップ22が係合する。この状態で投入コイル30を励磁すると閉路状態になる。なお、31は排気筒である。
実施例1で作製した電気接点を実施例2で示した定格電圧7.2kV、定格電流600A、定格遮断電流20kAの真空バルブに用い、実施例3で示した真空遮断器に搭載して性能試験を行った。
表1は、電気接点組成と性能試験結果を示す表であり、No.1〜No.5が本発明実施例、No.6〜No.12が比較例を示す。各性能は従来の接点材であるNo.11の結果を基準とし、相対値で表わした。
なお、Cr粉末の被覆層厚さは、被覆後のCr粉末を樹脂埋め後、粉末断面を研磨し、電子顕微鏡およびX線分析装置を用いて測定した値である。被覆層の面積率は、粉末表面における被覆成分分布をX線分析装置により測定し、粉末表面積に対する被覆成分検出面積の比で表わした。耐火性金属粉末あるいはその被覆層とCuマトリックスの界面における空隙率は、焼結後の電気接点断面を電子顕微鏡により観察し、界面長さに対する空隙存在長さの比で表わした。
No.6はCr粉末表面のMo被覆層の厚さ、面積率ともに本発明の範囲に満たないもので、従来材のNo.11に比べて引離し性に劣る。
No.7は被覆層の面積率が本発明の範囲に満たないもので、CrのCuに対する固溶がある程度抑制されて通電性が向上するものの引離し性は劣り、従来材のNo.11に代わるだけの利点がない。
No.8およびNo.9は、電気接点におけるCr含有量が本発明の範囲外のものである。No.8は高抵抗のCrが少ないために通電性や電流遮断性能に優れ、Cr粉末のMo被覆により引離し性の向上が見られるが、耐電圧性能が低下する。No.9は耐火性金属であるCrが多いため耐電圧性能に優れるとともに、Mo被覆面積の絶対値が大きくなり引離し性の大幅な向上が見られるが、通電性や電流遮断性能が低下する。
No.10は、Cuに固溶する成分であるNiをCr粉末に被覆したもので、Cr粉末のNi被覆面積率はほぼ100%であるものの、焼結後にはNiがCuマトリックスに固溶するため、界面の空隙はほとんど生じない。これにより、Cuマトリックスの導電性は低下し、通電性や電流遮断性能が大幅に低下するとともに、引離し性に劣る。このことから、Cr粉末の被覆成分はCuと非反応・非固溶であることが必要といえる。
No.12は、Cuと非反応・非固溶成分であるMoを、耐火性金属としてCrに代えて含有させたものである。MoはCuマトリックスに固溶せず、界面の空隙が十分に生じているため、通電性や引離し性が向上するとともに耐電圧性も高いが、MoはCrに比べて電流遮断に対する寄与が小さいため、電流遮断性能の大幅な低下が見られる。
以上の比較例に比べて本発明実施例に係るNo.1〜No.5は、いずれも引離し性が大幅に向上し、他の性能に関しても著しい低下は見られない。なお、通電性、電流遮断性能および耐電圧性はCr含有量の影響が大きいため、No.3およびNo.5でCr量によってこれらの性能が低下するが、いずれも実用上は支障のない範囲である。
このように、本発明に係る電気接点によって、優れた遮断性能、通電性能および耐電圧性能を有しながら、CrとCuの界面強度を低下させることで溶着した接点同士の引離し力を大幅に低減することができ、操作機構部の小型化が実現可能な真空バルブおよび真空遮断器が得られる。
実施例2で作製した真空バルブを、真空遮断器以外の真空開閉装置に搭載した。図6は、実施例2で作製した真空バルブ14を搭載した路肩設置変圧器用の負荷開閉器を示す模式図である。
この負荷開閉器は、主回路開閉部に相当する真空バルブ14が、真空封止された外側真空容器32内に複数対収納されたものである。外側真空容器32は、上部板材33と下部板材34及び側部板材35を備え、各板材の周囲(縁)が互いに溶接によって接合されているとともに、設備本体とともに設置されている。
上部板材33には、上部貫通孔36が形成されており、各上部貫通孔36の縁には環状の絶縁性上部ベース37が各上部貫通孔36を覆うように固定されている。そして、各上部ベース37の中央に形成された円形空間部には、円柱状の可動側電極棒4bが往復動(上下動)自在に挿入されている。すなわち、各上部貫通孔36は上部ベース37と可動側電極棒4bによって閉塞されている。
可動側電極棒4bの軸方向端部(上部側)は、外側真空容器32の外部に設置される電磁操作器に連結されるようになっている。また、上部板材33の下部側には、各上部貫通孔36の縁に沿って外側ベローズ38が上下方向に往復動自在に配置されており、各外側ベローズ38は、軸方向の一端側が上部板材33の下部側に固定され、軸方向の他端側が各可動側電極棒4bの外周面に装着されている。すなわち、外側真空容器32を密閉構造とするために、各上部貫通孔36の縁には各可動側電極棒4bの軸方向に沿って外側ベローズ38が配置されている。また、上部板材33には排気管(図示省略)が連結され、この排気管を介して外側真空容器32内が真空排気されるようになっている。
一方、下部板材34には下部貫通孔39が形成されており、各下部貫通孔39の縁には絶縁性ブッシング40が各下部貫通孔39を覆うように固定されている。各絶縁性ブッシング40の底部には、環状の絶縁性下部ベース41が固定されている。そして、各下部ベース41の中央の円形空間部には、円柱状の固定側電極棒4aが挿入されている。すなわち、下部板材34に形成された下部貫通孔39は、それぞれ絶縁性ブッシング40、下部ベース41、及び固定側電極棒4aによって閉塞されている。そして、固定側電極棒4aの軸方向の下部側は、外側真空容器32の外部に配置された配電ケーブルに連結されるようになっている。
外側真空容器32の内部には、負荷開閉器の主回路開閉部に相当する真空バルブ14が収納されており、各可動側電極棒4bは、2つの湾曲部を有する可撓性をもつフレキシブル導体42を介して互いに連結されている。フレキシブル導体42は、軸方向において2つの湾曲部を有する導電性板材である銅板とステンレス板を交互に複数枚積層して構成されている。フレキシブル導体42には貫通孔43が形成されており、各貫通孔43に各可動側電極棒4bを挿入して互いに連結される。
以上のように、実施例2で作製した本発明に係る真空バルブは、路肩設置変圧器用の負荷開閉器にも適用可能であり、これ以外の真空絶縁スイッチギアなどの各種真空開閉装置にも適用できる。

Claims (11)

  1. Cuマトリックスと、Cuマトリックス中に分散されたCr粉末とを有する電気接点において、前記Cr粉末表面にCuに対して非反応・非固溶成分からなる被覆層を設けたことを特徴とする電気接点。
  2. Cuマトリックスと、Cuマトリックス中に分散されたCr粉末とを有する電気接点において、前記Cu粉末表面に被覆層を有し、前記被覆層は、C、Mo、Wのいずれか1種からなることを特徴とする電気接点。
  3. 請求項1または2に記載の電気接点において、前記被覆層の厚さは、0.01μm以上であることを特徴とする電気接点。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の電気接点において、前記Cr粉末表面の75%以上が前記被覆層により被覆されていることを特徴とする電気接点。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の電気接点において、Cr粉末の前記被覆層とCuマトリックスとの界面は、その70%〜90%に空隙が存在することを特徴とする電気接点。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の電気接点において、前記Cr粉末の含有量が15〜40重量%であることを特徴とする電気接点。
  7. Cu粉末と、Cuに対する非反応・非固溶成分を被覆したCr粉末とを混合して得られる混合粉末を加圧成形し、Cuの融点以下の温度で加熱焼結することを特徴とする電気接点の製造方法。
  8. 請求項7に記載の電気接点の製造方法において、前記Cr粉末の粒径は104μm以下であり、前記Cu粉末の粒径は61μm以下であることを特徴とする電気接点の製造方法。
  9. 円盤形状をなし、該円板形状の円中心に形成された中心孔と、該中心孔に対して非接触で円中心から外周部に向かって形成された複数本の貫通したスリット溝とを有し、前記円盤形状部材が請求項1乃至6のいずれかに記載された電気接点からなり、前記円盤形状部材のアーク発生面の反対面に一体に接合された電極棒を有することを特徴とする電極。
  10. 真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極を備えた真空バルブにおいて、前記固定側電極及び可動側電極の少なくとも一方が、請求項9に記載の電極からなることを特徴とする真空バルブ。
  11. 真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極を備えた真空バルブと、該真空バルブ内の前記固定側電極及び可動側電極の各々に前記真空バルブ外に接続された導体端子と、前記可動側電極を駆動する開閉手段とを備えた真空遮断器において、前記真空バルブが請求項10に記載の真空バルブからなることを特徴とする真空遮断器。
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