JPWO2010016132A1 - 情報記録再生メモリ媒体及びその製造方法 - Google Patents

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健二郎 藤本
健二郎 藤本
高博 河野
高博 河野
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昌樹 楠原
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優 梅田
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昌之 都田
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Abstract

容易に成膜が可能でありながら、局所的な読み取り時におけるバラツキの発生を抑制し得て、粒界の内読み取り特性を向上することができる情報記録再生メモリ媒体を提供する。基板1の上層に電極層2と記録層3とが積層されると共に、記録層3よりも上層に積層された最上層部がアモルファス層4で構成されている。このとき、最上層部の化学変化を抑制することができる。情報記録再生メモリ媒体をプローブメモリ用のメモリ媒体とすることもできる。このとき、メモリ媒体の上面には上部電極が無く、剥き出しの状態となっている。かかる状態において、記録層に導電性部が存在することにより媒体表面のチャージアップを防止するという作用は特に有効ある。

Description

本発明は、情報記録再生メモリ媒体及びその製造方法に関するものである。
PIONEER R&D Vol.15 No.2「SNDM強誘電体プローブメモリによる超高密度デジタルデータ記録再生」 特開平09−153235号公報 特開平09−097457号公報
近年のマルチメディア社会、特に、ハイビジョンシステム、高度情報通信システム、コンピュータネットワーク、ビデオオンデマンド、インフォメーションデマンド等に必要とされる大容量の画像情報やデータファイルを記録・再生する際には、高速な記録・再生処理の要求が益々高まっている。
このような、ランダムアクセスが可能な高密度記録技術には、磁気記録、光記録、半導体メモリ等がある。
情報通信技術が著しく発展するにともない、情報の大容量化が進み、より高密度・大容量の記録が要求されて。しかし,現在広く用いられている磁気記録の記録密度はそろそろ理論限界に達すると考えられている。
そこで、強誘電体メモリが着目されている。強誘電体メモリは、より高密度な記録が可能であると考えられており、次世代の高密度記録方式として期待されている。
そして、かかる超高密度メモリにおいて高速アクセス−高速データ転送が可能な強誘電体プローブメモリが盛んに研究されている。
走査型プローブ顕微鏡の原理を利用するプローブメモリ技術は、記録密度を向上させる記録方式として期待されている。これは、記録メデイアと、その記録メデイアをステージ上に設置してX−Y方向に駆動するアクチュエータと、前記記録メディアへの情報書込みあるいは情報読出しを実行するための超小型の探針(プローブチップ)を1つまたはそれ以上供えたプローブと、この情報を適宜処理して所望のデータを出力する信号処理部とから構成される。プローブチップを記録メデイア(記録媒体ともいう。)の所望の位置に接近あるいは接触させ、記録メディアにおける種々の物理量を原子分子レベルの空間分解能で検出することで、情報の読出しあるいは書込みを実行する。したがって、X−Y方向の2軸以上の駆動を実行することができる高精度なX−Yアクチュエータが必要である。また、Z軸方向にはX−Y平面上を移動する記録メデイアと同期させてプローブを変形し、プローブチップを記録メディアに接近あるいは接触させるプロービング駆動部が必要となる。
その一つとして、図11に示すように、SNDM強誘電体プローブメモリ10が本発明者により開発されている。
これは、強誘電体の分極分布を純電気的に高分解能で測定可能な走査型非線形誘電率顕微鏡(Scanning Nonlinear Dielectric Microscopy ;SNDM)の技術を再生法として応用した技術である。
この技術においては、図10に示すように、強誘電体記録媒体21は、基板22の上層に、電極層23及び強誘電体層24が順次形成された層構造を有している。尚、強誘電体記録媒体21の外観の一例を図9に示す。
SNDM強誘電体プローブメモリ10では、プローブ(ヘッド)11を走査させて記録再生を行うため、媒体表面の平坦性及び平滑性が重要である。
また、媒体表面の面内均一性を確保することは、信頼性(例えば、エラーやデータ欠損の抑制)や歩留まりを向上するために重要である。
尚、SNDM強誘電体プローブメモリ10においては、FeRAM等とは異なり、強誘電体層24の上層に上部電極を必要とせず、プローブ(ヘッド)11が電極の代わりとなっている。すなわち、強誘電体層24の表面は露出面となっている。なお、プローブは、記録層への情報の書き込み乃至読み出しが可能なものであれば特に限定されるものではなく、探針あるいはプローブチップと呼ばれることもある。
また、FeRAMでは、1ビットに1つのキャパシタが形成されるか、または、強誘電体をゲート絶縁膜として用いたトランジスタが形成されている。
それに対して、SNDM強誘電体プローブメモリ10においては、媒体面内のほぼ全面が強誘電体層となっている。
記録に使用するのは強誘電体層の分極のZ軸成分である。従って、C軸配向を有する強誘電体膜が好ましい。
かかる観点から、強誘電体層は次のように作成される。
(1)LiTaO(CLT)単結晶(3インチ径、500μm)に下部電極として、クロム(Cr)を蒸着する。
(2)クロムを蒸着したCLTウェーハを、Si基板あるいはCLT基板に貼り付ける。
(3)機械研磨により、CLTウェーハを厚さ1μm程度まで研磨する。
(4)ArとOの混合ガスによるドライエッチングにより、厚さ50nm程度に仕上げる。結晶厚さを100nm以下にまで薄く加工するのは、低電圧駆動・高速・高密度記録を達成するためである。
この技術により、1T(テラ)bit/inch超の高密度記録が可能となっている。(非特許文献1)
しかしながら、このような技術においては、強誘電体層として、ウェーハを始発材料としているため、大量の量の研磨を必要とせざるを得ない。
一方、強誘電体層を成膜により形成する半導体メモリ等にあっては、半導体基板(例えば、Si基板)の上層に、電極層と強誘電体記録層とをこの順に成膜した多層の積層体構造を採用したものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
この際、強誘電体記録層は、その材料としては、優れた強誘電性を示すPb(Zr,Ti)O[PZT]等のPb系や、SrBiTa[SBT]又はBiTi12[BIT]等が用いられており、特に、これらの中でも、残留分極が大きい点において、Pb(Zr,Ti)O[PZT]が好ましいとされている。
また、強誘電体の特徴は、自発分極を有し、その方向を電界によってコントロールすることができることにあり、電界の方向に対して2つの安定点を利用して、デジタルデータの“0”“1”に対応させ、両者間を高速に切り換え記録することができる。
さらに、このような半導体メモリ等に対する情報の記録・消去は、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)構成による記録・消去装置によって行い、その針状電極を有する導電性カンチレバーによる記録ヘッドを接触させて、その記録ヘッドすなわち導電性カンチレバーから20V以下の高速パルス電圧を印加して、強誘電体記録層の自発分極の向きを局所的にかつ高速に反転させて行うことで高速記録が可能となる。
一方、電極層や強誘電体記録層等の各構成料層は、例えば、スパッタリング法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition )法、LPCVD(低圧CVD)法、分子線蒸着法、通常の蒸着法、MOD(MetalOxide Deposition)法、レーザアブレーション法、ゾルゲル法、スピンコート法、熱酸化法、熱窒化法、等によって成膜することができる。
ところで、上記の如く構成された情報記録再生メモリ媒体にあっては、強誘電体記録層の自発分極の向き(配向)を局所的にかつ高速に反転させるため、その配向は厳密に規定されており、全体的若しくは局所的な平均化を実現するためには、非常に高度な技術が必要で、製品コストの高騰要因となってしまうばかりでなく、局所的な読み取り時にバラツキが発生し易いという問題が生じていた。
即ち、上述したプローブ11による読み取り時において、メモリが多結晶の場合、結晶粒界において電界の集中が生じ、局所的な読み取りのバラツキが生ずることになる。
本発明は、上記問題を解決するため、容易に成膜が可能でありながら、局所的な読み取り時におけるバラツキの発生を抑制し得て、粒界の内読み取り特性を向上することができる情報記録再生メモリ媒体を提供することを目的とする。
その目的を達成するため、本発明に係る情報記録再生メモリ媒体は、次の通りである。
請求項1に係る発明は、基板上に電極層と記録層とが積層された情報記録再生メモリ媒体において、該記録層よりも上層に積層された最上層部がアモルファス層で構成されていることを特徴とする情報記録再生メモリ媒体である。
請求項1に記載の発明によれば、最上層部の化学変化を抑制することができる。
請求項2に係る発明は、情報記録再生メモリ媒体がプローブメモリ用のメモリ媒体であることを特徴とする請求項1記載の情報記録再生メモリ媒体である。
プローブメモリ用の媒体においては、ヘッド又はプローブが媒体上を相対的に走査して、情報を記録再生する。すなわち、プローブメモリ用の媒体においては、メモリ媒体の上面には上部電極が無く、剥き出しの状態となっている。かかる状態において、記録層に導電性部が存在することにより媒体表面のチャージアップを防止するという作用は特に有効ある。
また、微小領域で物理特性の変化と保持(例えば分極の向き、その他の例としては磁化の変化、抵抗率変化など)が可能である。高分解能で媒体の物理特性の制御、測定(記録、再生)が可能なプローブメモリに用いることができ、小型大容量のメモリが実現できる。
請求項3に係る発明は、前記記録層の上層に保護層が設けられると共に、該保護層が前記記録層よりも粒径が小さいか又はアモルファス層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録再生メモリ媒体である。
請求項3に記載の発明によれば、物理的な表面保護を確保することができる。
請求項4に係る発明は、前記保護層は前記録層の構成原子を全て含んでいることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の情報記録再生メモリ媒体である。
請求項4に記載の発明によれば、表面保護性能を向上することができる。
請求項5に係る発明は、前記保護層と前記記録層との組成比が同じであることを特徴とする請求項4に記載の情報記録再生メモリ媒体である。
請求項5に記載の発明によれば、プローブヘッド等からの電界、圧力、熱等によって保護層の結晶化や分解が発生した時の特性変化を緩和することができる。
請求項6に係る発明は、前記保護層は、記録層の表面を化学研磨して得られた層であることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の情報記録再生メモリ媒体である。
請求項7に係る発明は、前記保護層の表面はプラズマエッチング処理がされていることを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れかに記載の情報記録再生メモリ媒体である。
請求項6、請求項7に記載の発明によれば、保護層の製作を容易に行うことができる。
請求項8に係る発明は、前記保護層の上層に、該保護層よりも微粒子又はアモルファスな表面層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の情報記録再生メモリ媒体である。
請求項8に記載の発明によれば、記録層の粒子形状、グレインバウンダリの再生信号への影響を緩和することができる。
請求項9に係る発明は、前記保護層又は前記表面層の上層に、潤滑層が積層されていることを特徴とする請求項7に記載の情報記録再生メモリ媒体である。
請求項9に記載の発明によれば、プローブヘッドとの摩擦を抑えることができる。
請求項10に係る発明は、基板の上層に電極層を形成する電極層形成ステップと、前記電極層の上層に記録層を形成する記録層形成ステップとを実行した後に、前記電極層中の原子を前記記録層中に拡散させる電極−記録層拡散ステップ、前記記録層中の原子を前記電極層中に拡散させる記録−電極層拡散ステップ、前記電極層中の原子を前記記録層中に拡散させると共に前記記録層中の原子を前記電極層中に拡散させる相互拡散ステップ、の何れかを実行したうえで、化学機械研磨処理を行うCMP処理ステップと、プラズマエッチングを行うエッチング処理ステップとの一方のステップ又は両方のステップを実行することを特徴とする情報記録再生メモリの製造方法である。
請求項10に記載の発明によれば、記録層を成長初期段階から良い結晶構造で成長させることができる。
本発明の情報記録再生メモリ媒体によれば、記録層の局所的な平均化を実現することにより、結果的に記録再生の安定化を確保することができる。
強誘電体は導電性があっても情報(分極)は保持されている。導電性がある場合、キャパシタンスとしては両極が常にショートされている状態である。プローブメモリにおいては、中和がされても読み出しが可能である。強誘電体プローブメモリにおいては、強誘電体層の表面は、上部電極のないむきだし状態である。そのため、強誘電体層が導電性を有していると、媒体表面のチャージアップを防止することができる。
本発明の情報記録再生メモリ媒体の断面図である。 本発明の情報記録再生メモリ媒体における成形方法の手順を示すフロー図である。 本発明の情報記録再生メモリ媒体における実験結果のグラフ図である。 本発明の情報記録再生メモリ媒体における強誘電体記録層の堆積量が粒子径に与える影響を示す説明図である。 本発明の情報記録再生メモリ媒体における粒径と記録マーク径との関係の一例を示す説明図である。 本発明の情報記録再生メモリ媒体におけるRTAの温度を変化させた場合における強誘電体記録層と電極層との間の変化の様子を示す説明図である。 本発明の情報記録再生メモリ媒体におけるCMP前後の分極反転特性を示す説明図である。 本発明の情報記録再生メモリ媒体におけるプラズマエッチングの効果を反転特性により評価した結果の説明図である。 本発明の情報記録再生メモリ媒体の一例の外観斜視図である。 従来の情報記録再生メモリ媒体の断面図である。 SNDM強誘電体プローブメモリの説明図である。
符号の説明
1は基板(Si基板、ガラス基板、アルミ基板)、2は基板1の上層に設けられた電極層、3は電極層2の上層に設けられた強誘電体記録層、4は保護層、5は表面層、6は潤滑層である。
1…基板
2…電極層
3…強誘電体記録層
4…保護層
5…表面増
6…潤滑層
10…プローブメモリ
11…プローブ(ヘッド)
次に、本発明の情報記録再生メモリ媒体に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の情報記録再生メモリ媒体の断面図である。
図1において、1は基板(Si基板、ガラス基板、アルミ基板)、2は基板1の上層に設けられた電極層、3は電極層2の上層に設けられた強誘電体記録層、4は保護層、5は表面層、6は潤滑層である。
具体的には、基板1の上部にスパッタリング形成(又は熱酸化により形成)されたアモルファス層(SiO膜)1aの上層に、スパッタリング法により電極層2を約150nmの厚みに積層形成した後、その電極層2の上層に、MOCVD法によりPb(Zr,Ti)O[PZT]の強誘電体記録層3を形成(成膜)する。
ここで、本実施の形態においては、図2に示すように、Siウェーハ熱酸化(ステップS1)、SRO電極スパッタリング(ステップS2)、PZT成膜(ステップS3)、ポストアニール(RTA)(ステップS4)、CMP(ステップS5)、プラズマエッチング(ステップS6)の工程を経由して作成される。
すなわち、Siウェーハ熱酸化(ステップS1)では、電極材料のSiへの拡散を防ぐ目的で、好ましくは50〜700nm、より好ましくは400〜550nm程度の表面熱酸化膜(SiO)を形成する。
また、SRO電極の形成(ステップS2)で
は、高温(500℃〜)でSROをスパッタ成膜することによって、現状ポストアニールでは良好な成膜が得られず、モフォロジー等の問題を解消することができる。
この際、スパッタガスにはAr+Oを用いることにより、膜のO原子の不足を防ぐことができる。また、電極層2は、強誘電体記録層(本例ではPZT層)3と同じ結晶構造(本例では、ペロブスカイト構造)とすることが好ましい。この際、電極層2と強誘電体記録層3とを構成する材料の結晶の格子定数の差異は4%以内が好ましく、特に、格子定数の差異は2%以内が好ましい。また、強誘電体記録層3の結晶粒子は、電極層2の結晶粒子に倣って成長し、堆積直後(PZT最下層)から転位、空孔が少なく、また、粒内歪みの少ない良好な結晶性を有する層として形成される。
強誘電体記録層3の成膜後においては、膜表面をスパッタエッチングすることが好ましい。一般的に成膜時における電力は100W近くが用いられるが、膜表面はダメージを受ける。そのため低い電力(例えば、40W以下)の電力でのスパッタエッチングを行うことによりダメージ層の除去を行うことが好ましい。
また、成膜されたSROは無配向となり、体積抵抗率は5×10−4程度、厚さ50nm程度とし得て、微粒子膜、即ち、微粒子のPZTを成長させることができる。
PZT成膜(ステップS3)では、例えば、MOCVDを用いて成膜すると共に、その際の設定温度を500℃以下とし、この時点での結晶性は悪い(例えば、XRDの検査結果)PZTとなっているものの、Pbを少し多めに入れる(Pb1.1(Zr0.4,Ti0.6)O)ことでポストアニール時のPb,Srの相互拡散が促進されるうえ、SROに倣って微粒子で無配向な層とすることができる。
尚、上層に向かう程、粒子は成長(厚さ50nm〜200nm)するため、この上層の粒子成長を考慮して下地層の微粒子径を設定するのが望ましい。
例えば、(Pb(Zr,Ti1−y)O)において、1.0<x<1.3が好ましく、1.01<x<1.2がより好ましく、強誘電体記録層3の拡散の影響とによって、より一層、好ましい導電率を得ることができる。
なお、記録層の成膜は、スパッタリングにより行う場合、記録層の組成成分(例えばPb)の組成制御が極めて難しく必ずしも所望の組成の記録層が得られない。それに対し、MOCVDにより成膜を行うことにより、組成精度の良好な膜を形成することが可能となる。その結果、後の工程である熱処理によっても所望の導電率を有する記録層の形成が可能となる。
さらに、ポストアニール(RTA)(ステップS4)では、PZT結晶化アニール(回復アニール)としてO雰囲気中で急速加熱(昇温レート約100K/s、温度500℃〜700℃(PZTの成膜温度より高い温度)、保持時間30sec〜5min)とすることにより、結晶化または結晶性が改善されて強誘電性を発現することができる。また同時にPb,Srの相互拡散が起こり、記録層が多少の導電性を持つようになり電荷の過不足を抑制し、記録に適した特性を持たせることができる。
CMP(ステップS4)では、上記各工程を経て物理的・化学的・熱的な作用により粗くなった表面の平坦化を行う。この際、研磨は、目的の厚さ(20nm〜150nm)まで研磨を行う。
その後、プラズマエッチング(ステップS5)を行うことにより、上述したCMPによるダメージ層をAr+Oプラズマにより0〜5nmエッチングして除去する。
以下、本発明の詳細を説明する。
(電極層2)
電極層2は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スパッタリング法等により基板1(1a)の上層に形成することができる。スパッタリング法等による電極層2の形成条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
電極層2の材料としては、強誘電体記録層3の材料に応じて、同じ結晶構造を有するものを、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SRO,LSCO,LaNiO,NbドープSTO、等が好適であり、これらの中でも、強誘電体記録層3にPZTを用いた場合には、Pbの拡散を促進する観点から、SROを用いることが好ましい。SROとPZTとは同じ結晶構造を有しているためPbとSrの相互拡散が生じやすいと考えられる。ただ、同じ結晶構造を有する他の組合せと比較しても、SROとPZTとの組合せの場合は、相互拡散が生じやすい。また、電極層を無配向とすることにより記録層も無配向とすることができる。
また、電極層2の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10〜1000nm程度であり、50〜500nmが好ましい。
尚、基板1に上層部位にアモルファス層1aを構成することにより、例えば、電極層2の材料に上述した導電性酸化物を用いた場合の拡散が防止されるといったように、導電性酸化物に限らず各種材料がSiと反応することを抑制し、アモルファス層1aとの密着性が向上される。
(強誘電体記録層3)
強誘電体記録層3は、強誘電性を示す結晶化構造をとる結晶化温度以上の温度で形成される。この強誘電性を示す結晶化構造をとる結晶化温度は、強誘電体の材料により異なるが、一般的に、強誘電体記録層3がPb(Zr,Ti)O[PZT]である場合には、500℃以上が好ましく、500〜700℃がより好ましい。尚、強誘電性を示す結晶化構造とは、例えば、ペロブスカイト型結晶構造を意味する。
従って、強誘電体記録層3は、ペロブスカイト型結晶構造を有することが好ましい。また、強誘電体記録層3としては、高密度で高強度な結晶が得られる点で、柱状構造であるのが好ましい。
ペロブスカイト型結晶構造は、式、ABXで表わされる。ここで、Aサイトの陽イオン(カチオン)と、Xサイトの陰イオン(アニオン)とが同程度の大きさを有し、このAサイトとXサイトとから構成される立方晶系単位格子の中に、Aサイトよりも小さなサイズの陽イオンがBサイトに位置する。
ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物の大部分は、室温では理想的な立方晶構造から僅かに歪んだ構造をしており、この適度な歪、いわゆる構造の非対称性が、ペロブスカイト型結晶構造が種々の機能を示す原因となっている。
強誘電体記録層3を形成する強誘電体の材料としては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Pb(Zr,Ti)O[PZT]、SrBiTa(SBT)、BiTi12(BIT)、LiTaO、LiNbO、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。この際、これらの中でも、残留分極が大きい点で、Pb(Zr,Ti)O[PZT]が好ましい。
さらに、本実施の形態においては、強誘電体記録層3は、例えば、アモルファス型構造からペロブスカイト型結晶構造に転化されたPb(Zr,Ti1−x)O[PZT]で形成されている。
強誘電体記録層3の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、化学溶液堆積(Chemical Solution Deposition;CSD)法、有機金属化学気相堆積(Metalorganic Chemical Vapor Deposition;MOCVD)法、パルス・レーザー・デポジション(Pulse Laser Deposition;PLD)法、ゾルゲル法、スパッタリング法、などから選択した方法により形成することができ、これらの中でも、ステップカバレッジが良好であり、高密度な強誘電体の結晶が得られる点で、MOCVD法が好ましい。また、MOCVD法は、組成制御性に優れており、熱処理(RTA)により拡散させる化学量論比より多めにする成分の量を正確に実現させることができる。また、本発明では、電極層からのエピタキシャル成長が重要な要素となるがMOCVD法によれば優れたエピタキシャル成長を実現させることができるため特に好ましい。
MOCVD法により強誘電体記録層3を形成する際の原料ガス、反応条件等については、形成する強誘電体記録層3の種類等により異なり一概に規定することができないが、強誘電体記録層3がPb(ZrTi1−x)O[PZT]である場合、原料としては、Pb原料、Zr原料、Ti原料などが用いられる。
Pb原料としては、例えば、Pb(DPM)などが挙げられる。Zr原料としては、例えば、Zr(dmhd)などが挙げられる。Ti原料としては、例えば、Ti(O−iPr)(DPM)などが挙げられる。
Pb原料の流量としては、0.01〜1.0ml/min程度であり、0.1〜0.5ml/minが好ましく、Zr原料の流量としては、0.01〜1.0ml/min程度であり、0.1〜0.5ml/minが好ましく、Ti原料の流量としては、0.01〜1.0ml/min程度であり、0.1〜0.5ml/minが好ましい。
気化後における原料ガスにおける酸素分圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1〜10Torr(133〜1333Pa)程度であり、3〜7Torr(399〜933Pa)が好ましい。
尚、原料の調製方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、原料の材料物質をTHF等の溶剤に溶解させて溶液を調製した後、溶液を公知の気化器を用いて気化する方法などが挙げられる。
また、気化された後の原料ガスは、例えば、酸素ガスと混合されて所定の酸素ガス分圧に調整されてから、電極層2の上層にシャワーヘッド等を用いて吹き付けられ、これにより、電極層2の上層に強誘電体記録層3を形成することができる。
さらに、反応条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、温度としては、形成する強誘電体記録層3の種類に応じて異なり一概に規定することはできないが、Pb(Zr,Ti)O[PZT]の場合には通常580〜620℃程度である。
尚、本実施の形態においては、MOCVD成膜時には500℃以下で結晶化度の低い状態で堆積させ、その後工程のRTA(580℃)により結晶化させている。
具体的には、Pb(Zr,Ti1−x)O[PZT]の成膜温度は600℃以下、さらには、500℃以下(例えば、475℃)でも可能である。また、Pb原料としてPb(DPM)を0.05〜0.5ml/min、Zr原料としてZr(dmhd)を0.01〜0.10ml/min、Ti原料としてTi(O−iPr)(DPM)を0.05〜0.3ml/min導入する。
また、本実施の形態においては、強誘電体記録層3を構成するPb(Zr,Ti1−x)O[PZT]の結晶粒子は、異なる成分、組成でありながら同じ粒子の結晶構造を持つ電極層2を構成するSROの結晶粒子と共に、微結晶(例えば、30nm以下)とされている。
ここで、微結晶(微結晶子)とは、その粒径が記録ピット径(例えば、30nm)と同程度かそれよりも小さいということを意味し、一つのビットを1つないし複数の微結晶で構成することにより、各ビットの特性信号を平均化することができる。
この際、電極層2の結晶粒子は、強誘電体記録層3の結晶粒子よりも、さらに微結晶とするのが好ましい。これは、強誘電体記録層3を成膜する際、電極層2の粒子に倣って強誘電体記録層3が成長するため、上層に向かう程、粒子径が大きくなり易いことに起因する。
このように、強誘電体記録層3を構成するPb(Zr,Ti1−x)O[PZT]の結晶粒子を、異なる成分、組成でありながら同じ(粒子の)結晶構造を持つ電極層2を構成するSROの結晶粒子と共に、微結晶(例えば、30nm以下)とすることにより、電極層2と強誘電体記録層3とを無配向に構成することができる。
例えば、SROの成膜方法において、アモルファスSiO層上へスパッタリングでSROを成膜することによってSROは配向を持たずに成長し、その無配向のSRO上にPZTを成膜するとPZTはSROに倣って無配向となる。
尚、ここでの無配向とは、図3に示すように、XRDで確認し得るロッキングカーブが実質的にピークを示さない(X線測定装置の構成、膜としての形状から多少の山はできる)ことで定義し、この無配向(又はアモルファス)とすると、強誘電体記録層3の分解能(分極量(値))が落ちる変わりに、全体若しくは局所的な平均化が可能となり、結果的に、配向させた場合に比べて容易に平均化を実現することができる。
さらに、Pb原料としてのPb(DPM)は、0.14ml/min〜0.16ml/minの範囲で電極層2側から上層に向かう程、その濃度を高くする(例えば、最上層部で20%〜22%)ことにより、強誘電体記録層3の導電性を下げる工夫がなされている。尚、Pbの濃度が多いとSROの拡散が促進され過ぎてリークしてしまうことと、Pbが少ないと強誘電性が損なわれてしまうからである。また、Zr原料とTi原料との比は4:6となるようにするのか好ましい。
尚、これとは逆に、導電性をあげる場合においては、電極層2と強誘電体記録層3との組成(例えば、Pbのみでも良い)を傾斜的、即ち、電極層2と強誘電体記録層3とを連続的な粒子構造(柱状)とすることにより、結晶性が向上され、格子不整合が緩和されるばかりでなく、分極電荷の非局在化による安定化を確保することができる。
この際、強誘電体記録層3に、導電性部分と絶縁性部分とを混在(例えば、メッシュ状やスパイラル状)することにより、強誘電体記録層3の分極反転時の表面電荷の過不足の発生を抑制(チャージアップ防止)することも可能である。尚、導電性部分と絶縁性部分とをメッシュ状に混在させる場合、導電性材料(金属や高ドープ半導体)を導入すればよい。
強誘電体記録層3の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10〜1000nmが好ましく、50〜500nmがより好ましい。
強誘電体記録層3は、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic ForceMicroscope)で測定した表面粗さ(RMS)は、例えば、MOCVD法等により形成した場合においては、30nm以下あるいはそれよりもう少し大きい粗さとなる。
尚、本実施の形態においては、強誘電体記録層3で構成した場合を説明したが、単なる多結晶の記録層として、微結晶(微結晶子)の無配向構造とすれば、磁性体や光記録等の記録媒体用として適用することも可能である。
なお、前記したように、記録層(例えば、PZT膜)は下地電極層(例えばSRO膜)に倣った成長が生じる。下地が微粒子ならば微粒子に、下地が無配向ならば無配向に成長する。また、上層ほど粒子が成長する。
図4に強誘電体記録層3の堆積量が粒子径に与える影響を示す。
電極層(SRO)2の上層に強誘電体記録層(PZT)3を400nm堆積したところ、ごつごつした状態となる。また、強誘電体記録層3は、電極層2の粒子を核として微粒子で成長しているが、RTA後においては、上層に行くに従って微粒子の粒径が大きくなる。従って、微粒子の粒径を大きくするためには、強誘電体記録層3の堆積量は大きくすることが好ましい。例えば、50nmの粒径としたい場合には、100nmの堆積量とすることが好ましい。
図5に粒径と記録マーク径との関係の一例を示す。
ピット径が粒径に対して小さくなってくると(図の右側に移動すると)、ピット毎の形状(格子状の形状)、信号強度のバラツキが大きくなる。
(組成)
本発明では、膜中において、拡散原子を化学量論比より多い組成とする。
例えば、PZT:Pb(Zr0.4,Ti0.6)Oにおいて、1<x<1.3が好ましく、1.02<x<1.3がより好ましく、1.1<x<1.25がさらに好ましい。
Pbの比率が多いとPb、Srの拡散が促進され、リーク(導電性)が大きくなる。
成膜初期において、所望する特性成分(例えば、Pb)について化学量論比からはずした組成比とするには、MOCVDによる堆積方法において、液体原料中における該成分を含む有機金属錯体の量を調整することにより容易に達成することができる。
(RTA:ポストアニール)
本発明においては、強誘電体層3の形成後、強誘電体層3の組成原子の拡散等を行うための熱処理を行う。
この熱処理は、強誘電体層3から電極層2への拡散(例えば、Pbの電極層2への拡散)及び電極層2から強誘電体層3への拡散(例えば、Srの強誘電体層3への拡散)が生じさせることが好ましい。即ち、電極層2と強誘電体層3との間で相互拡散を生じさせることが好ましい。
熱処理温度は、強誘電体層3から電極層2への拡散、電極層2から強誘電体層3への拡散、あるいは、強誘電体層3から電極層2への拡散と電極層2から強誘電体層3への拡散が生じる温度である。記録層2の成膜温度より高い温度が好ましい。500℃〜700℃が好ましい。550℃〜700℃がより好ましい。
RTAの温度を変化させた場合における強誘電体記録層3と電極層2との間の変化の様子を図6に示す。
なお、図6における成膜条件は次の通りである。
電極層:スパッタリング
ターゲット:SRO
平行平板電極
周波数:13.56MHz
ガス:Ar+O
厚さ:50nm
記録層:MOCVD
溶媒
Pb(DPM):0.1ml/min
Zr(dmhd):0.07ml/min
Ti(O−iPr)(DPM):0.13ml/min
Pb(Zr0.4,Ti0.6)O
x=1.1
厚さ:100nm
RTA: 昇温レート: 100℃/sec
熱処理時間(保持時間):
熱処理雰囲気:Ar+O
図6(A)に示す通り、RTA前においては、強誘電体記録層3と電極層2との境界は明確である。
一方、図6(B)に示すように、580℃では、強誘電体記録層3と電極層2との境界は不明確になる。また、PZTの一部成分とSROの一部成分とからなる粒子が形成されている。
同様に、図6(C),(D)に示すように、600℃、620℃と加熱温度を上げると、強誘電体記録層3と電極層2との境界はより不鮮明となり、特に、620℃においては境界は消滅している。
一方、図3にはPbの量を化学量論比からずらした場合の影響を示す。
図3は、Pbの量と拡散の影響を示すグラフである。測定はRTA後、CMP前における測定値である。
図3の上段グラフは、Pb(Zr,Ti1−y)Oにおいてx=1.1であり、下段グラフはx=1.0の場合である。
測定は、膜の表面からエッチング速度約8nm/minで表面からエッチングを行い、各成分元素の濃度を測定したものである。
Pbを多くした場合には、RATによりPb、Srの相互拡散が促進されており、それらの濃度は傾斜的に分布していることがわかる。
両者のリーク特性を測定した結果、x=1.1の場合はリーク大であったが、x=1.0の場合はリーク無であった。
熱処理時間は、5秒以上5分以下が好ましい。5秒未満では、十分な拡散が生じない場合がある。5分以上では、構成原子が膜から抜け出してしまうことがある。また、電極層2から強誘電体層3の反対側表面まで拡散させることが好ましい。また、拡散原子は、濃度勾配を生ずるように拡散させることが好ましい。一般的には、濃度勾配をもって拡散する。実際の温度・時間において予め実験により、拡散距離や拡散量を調べておけば、拡散の距離、濃度勾配などは容易に制御することができる。
上記温度、時間による熱処理により結晶化または結晶性が改善され優れた強誘電体特性が得られる。
熱処理雰囲気は、特に限定されないが、酸化性雰囲気が好ましい。
室温から、上記熱処理温度までの加熱速度は、50℃/sec以上が好ましい。加熱速度が50℃/sec未満では、非強誘電相の結晶(パイロクロア相)が発生する。
次に、得られたPb(Zry,Ti1−y)O[PZT]の強誘電体記録層3の上層に、スパッタリング法等を用いて保護層4、表面層5、潤滑層6を順次形成してもよい。
保護層4は、強誘電体記録層3よりもさらに微粒子又はアモルファス構造(高誘電率)とされ、その構成は強誘電体記録層と同じ組成比のものから構成されている。
これにより、例えば、プローブ等のヘッドからの電界・圧力・熱等が加わったときに、保護層4の結晶化や強誘電体記録層3の分解が起きたときに、保護層4や強誘電体記録層3を含めた全体としての特性の変化(再結晶化)を緩和することができる。
(CMP)
表面の平坦化及び目的の厚さとするためにCMPを行う。このCMPの手法としては、通常のシリコン半導体の研磨に用いられている手法を用いることができる。
CMP後における表面粗度は、Raとして10nm以下が好ましい。
図7にCMPの前後における分極反転特性を示す。なお、図7は、共に後工程のプラズマエッチング処理を行ったものである。
図7(A)に示すCMP前においては、場所・粒子の表面形状に信号状態が依存していると推定され、強い信号が見られた。それに対して、図7(B)に示すCMP後においては、強い信号は見られなかった。
(プラズマエッチング・保護層)
CMPの際に、物理的、化学的、熱的要因により表面にダメージが入る。そのため均一な信号強度を得ることができない。そこで、このダメージを除去するためにプラズマエッチングを行うことが好ましい。
エッチング量としては、0〜5nmが好ましい。また、プラズマガスとしては、酸素の抜けを防止するため酸素を含有させたArを用いることが好ましい。
プラズマエッチングを行うことによりダメージ層が除去される。なお、プラズマエッチングにおける電力としては、ウェーハの大きさや装置の大きさ(能力等)によるが、本実施の形態においては、50W以下が好ましい。
プラズマエッチング後においては、記録層2の表面には、アモルファス層が形成されている。
このアモルファス層は、強誘電体記録層3と同じ構成元素から構成されている。仮に強誘電体記録層3とは異なる原子を含む材料により強誘電体記録層3の上層に保護層4が形成されていると、その異なる元素が強誘電体記録層3に、拡散等によって混入し、強誘電体記録層3の特性の阻害をもたらす虞がある。
しかるに、強誘電体記録層3の表面をプラズマエッチングすることにより、アモルファス化した保護層4を形成する場合には、異種元素の混入による特性の劣化ということは防止することができる。また、保護層4をアモルファスとすることにより、粒界の内読み取り特性の優れたメモリとすることが可能となる。すなわち、プローブ11による読み取り時、多結晶の場合、結晶粒界において電界の集中が生じるおそれがある。その場合、局所的な読み取りのバラツキが生ずることになる。しかるに、保護層4をアモルファスとすると上記のような結晶粒界における読み取りのバラツキということは生じない。
本発明においては、保護層4は、その表面をCMPで研磨した後にプラズマ処理してアモルファス化をすれば良いので、その他のアモルファス化や微粒子層を成膜するよりも容易に構成することができる。
なお、プラズマエッチングを行う際には、最初は大きな電力を用い、次に開始時よりも小さな電力でプラズマエッチングを行うことが好ましい。
図8にプラズマエッチングの効果を反転特性により評価した結果を示す。この図8に示すように、エッチング時間を増加させるにつれ反転特性が改善されていくことがわかる。
尚、保護層4の厚さは、その厚さを厚くし過ぎると分解能と信号強度(S/N)とが悪化してしまうため、信号強度(S/N)と分解能とのミクロ的不均一さの緩和とのトレードオフを考慮して決定(例えば、0〜10nm)するのが好ましい。
なお、表面層5は、他の材料により構成してもよい。例えば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の強度の高い材料から成膜され、化学変化の抑制並びにプローブ等のヘッドからの物理的な保護を可能とする。
潤滑層6は、PFPE等から構成され、プローブ等のヘッドとの摩擦を緩和することができる。尚、潤滑層6は、硬い表面層5との組み合わせにより、潤滑効果を向上することができる。
このように、本発明に係る情報記録再生メモリ媒体においては、従来のFeRAM等の情報記録再生メモリ媒体のように1ビット1つのキャパシタ又は強誘電体ゲート絶縁膜を形成するのとは異なり、強誘電体層3の上層に上部電極を設けることなく、一つの電極層2を用いることで、メモリ媒体読み取り装置等のプローブ電極が上部電極の代わりを果たすと共に、媒体面内の略全面を連続な強誘電体層2とすることができる。
また、強誘電体層2が多少の導電性を有している場合も、その強誘電体層2の分極は維持することができる。従って、導電性を有していることによってキャパシタンスとしては両極が常にショートされている状態であるため電位(電界)や分極反転時の反転電流による読み出しが困難とされていたが、本実施の形態においては、読み出しを可能とすることができるばかりでなく、本来導電性が無い方が読み出し方法の自由度は広がるものの、導電性があることによる媒体表面のチャージアップを抑制することができる。
本発明によれば、容易に成膜が可能でありながら、局所的な読み取り時におけるバラツキの発生を抑制し得て、粒界の内読み取り特性を向上することができる情報記録再生メモリ媒体を提供することができる。

Claims (10)

  1. 基板上に電極層と記録層とが積層された情報記録再生メモリ媒体において、
    該記録層よりも上層に積層された最上層部がアモルファス層で構成されていることを特徴とする情報記録再生メモリ媒体。
  2. 前記情報記録再生メモリ媒体はプローブメモリ用のメモリ媒体であることを特徴とする請求項1記載の情報記録再生メモリ媒体。
  3. 前記記録層の上層に保護層が設けられると共に、該保護層が前記記録層よりも粒径が小さいか又はアモルファス層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録再生メモリ媒体。
  4. 前記保護層は前記記録層の構成原子を全て含んでいることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の情報記録再生メモリ媒体。
  5. 前記保護層と前記記録層との組成比が同じであることを特徴とする請求項4に記載の情報記録再生メモリ媒体。
  6. 前記保護層は、前記記録層の表面を化学研磨して得られた層であることを特徴とする請求項3乃至請求項5の何れかに記載の情報記録再生メモリ媒体。
  7. 前記保護層の表面はプラズマエッチング処理がされていることを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れかに記載の情報記録再生メモリ媒体。
  8. 前記保護層の上層に、該保護層よりも微粒子又はアモルファスな表面層が積層されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の情報記録再生メモリ媒体。
  9. 前記保護層又は前記表面層の上層に、潤滑層が積層されていることを特徴とする請求項8に記載の情報記録再生メモリ媒体。
  10. 基板の上層に電極層を形成する電極層形成ステップと、前記電極層の上層に記録層を形成する記録層形成ステップと、を実行した後に、
    前記電極層中の原子を前記記録層中に拡散させる電極−記録層拡散ステップ、前記記録層中の原子を前記電極層中に拡散させる記録−電極層拡散ステップ、前記電極層中の原子を前記記録層中に拡散させると共に前記記録層中の原子を前記電極層中に拡散させる相互拡散ステップ、の何れかを実行したうえで、
    化学機械研磨処理を行うCMP処理ステップと、
    プラズマエッチングを行うエッチング処理ステップと、
    の一方のステップ又は両方のステップを実行することを特徴とする情報記録再生メモリの製造方法。
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