JPWO2009142086A1 - マイコプラズマ感染症用ワクチン組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、現在有効な予防手段がないマイコプラズマ肺炎に対し、安全かつ有効なワクチンの開発に資する抗原および当該抗原を用いるワクチンなどを提供する。具体的には、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)に由来するリポプロテインから設計されるペプチド、当該ペプチドおよび医薬として許容され得る担体を含有するワクチン組成物、ならびに当該ペプチドをエピトープとして認識する抗体を有効成分として含有するマイコプラズマ感染症の予防または治療剤などを提供する。

Description

本発明は、マイコプラズマ感染症用ワクチン組成物、及びマイコプラズマ感染症の予防または治療剤などに関する。
マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)は、マイコプラズマ肺炎の起因菌である。この起因菌は、気管支上皮細胞に付着した後、サイトカインをはじめ、様々な宿主免疫応答を誘導するが、その機序は明らかになっていない。当該菌は、直径125〜153nm程度でウィルス程度の小さな病原体であるが、増殖するためにはウィルスとは異なり生きた細胞を必要とせず(偏性細胞外寄生菌)、また、一部の抗生物質が有効だったことから、細菌に分類されていた時期もあるが、最近では別の綱に分類されている。
マイコプラズマ属の菌は、細菌の特徴である細胞壁を持っていない。細菌感染症治療の第一選択として使われるβ−ラクタム系の抗生物質(ペニシリン系、セフェム系など)は細菌の細胞壁を障害して菌を殺す作用を持つが、細胞壁を持たないマイコプラズマには無効である。有効な抗生物質は、タンパク合成阻害剤のマクロライド系抗生剤やテトラサイクリン系抗生物質、またはDNA複製を抑制するニューキノロン系抗生物質である。
臨床の現場では、臨床症状から判断してマイコプラズマ感染症が疑われた場合、マクロライドなどのタンパク質合成阻害剤が処方されている。しかし、これら抗生物質の多用により、抗生物質抵抗性のマイコプラズマ・ニューモニエの出現が報告されている。本症の治療において、早期診断・早期治療をすることが病状の遷延化や流行を防止するために必要とされるが、診断が確定するまでの日数がかかる場合が多い。近年、細菌性肺炎が激減した中で、肺炎全体に占めるマイコプラズマ肺炎の比率は高まっている。
一方、非特許文献1に記載されているように、トールライクレセプター(Toll Like Receptor(TLR))と呼ばれる受容体ファミリーが細菌の様々な菌体成分を認識し、最終的に転写因子であるNF−κBを活性化することにより自然免疫を誘導することが報告されている。
本発明者らは、既にマイコプラズマ・ニューモニエ由来のF型ATPアーゼのサブユニットbであるリポプロテイン(非特許文献2参照)が、TLR1、TLR2およびTLR6依存的に転写因子NF−κBを活性化させることを報告し(非特許文献3参照)、特許出願(特許文献1)を行った。
前記リポプロテインは、マイコプラズマ感染における宿主応答およびマイコプラズマ肺炎の発症機序の解明、ならびに、TLRを介してNF−κBが関与する転写誘導の研究の進展に寄与することができる。したがってこれを含有してなるワクチン組成物は、従来有効な予防手段や改善手段が存在していなかったマイコプラズマ感染症を予防すること、治療することまたはその症状を軽減することを可能とすることが期待されている。
また本発明者らは、マイコプラズマ・ニューモニエ菌体由来の分画成分であるF型ATPアーゼのサブユニットb(リポプロテイン)の効果の最大化、最適化を図ることを目的として当該リポプロテインの一部を合成し、得られたリポペプチド類がもともとのリポプロテインと同等以上の活性を示すことを見出し、特許出願した(特許文献2参照)。これらのリポペプチド類も上記リポプロテインと同様にワクチン製剤としてマイコプラズマ感染症に対し、安全かつ有効な予防、治療または軽減薬となり得る。しかしながら、これらリポプロテインや合成リポペプチド類は、有効な抗体を産生させるという点ではいまだ不十分なものであった。
国際公開2006/126719号パンフレット 国際公開2007/049805号パンフレット
Akira,S.&Takeda,K.,Toll−like receptor signalling,Nature Rev.Immunol.,Vol.4,pp.499−511(2004) George Pyrowolakis et al,The subunit b of F0F1−type ATPase of the Bacterium Mycoplasma pneumoniae is a lipoprotein,The Journal of Biological Chemistry,Vol.273(3),No.38,Issue of September 18,pp.24792−24796(1998) Takashi Shimizu,Yutaka Kida and Koichi Kuwano,A Dipalmitoylated Lipoprotein from Mycoplasma pneumoniae Activates NF−κB through TLR1,TLR2 and TLR6,J.Immunology,175:4641−4646(2005)
本発明の目的は、現在有効な予防手段がないマイコプラズマ感染症に対する、さらに安全かつ有効なワクチン組成物等を提供することである。
また、マイコプラズマ感染症に対する予防剤または治療剤を提供することである。
加えて、マイコプラズマ感染症の診断薬、マイコプラズマ・ニューモニエの検査方法などを提供することなども本発明の目的である。
本発明者らは、上記した非特許文献3および特許文献1において見出したマイコプラズマ・ニューモニエ菌体由来の分画成分であるF型ATPアーゼのサブユニットb(リポプロテイン)の効果の最大化、最適化を目的として、更には上記特許文献2にて見出した合成リポペプチド類と比較して更なる高性能化を図ることを目的として、当該リポプロテインの全アミノ酸配列を検討しその活性部位を推定した。さらに上記リポプロテインや、合成リポペプチドにおいて十分な活性がみとめられないことを鑑み、その構造的な問題等について鋭意検討した。その結果、驚くべきことに、上記リポプロテインが構成するアミノ酸配列の特殊な部分から選択された、アミノ酸の数が20前後から構成されるオリゴペプチド類が当該リポプロテインや、上記したFAM−20を含む合成されたリポペプチドに比較して格段の活性を示すことを見出した。加えて、これらのオリゴペプチド類から産生された抗体類は、上記したリポプロテインや合成リポペプチド類から産生される抗体類に比較して格段に高い抗体の活性を示すことを見出した。その結果、本発明者らは、当該新規オリゴペプチド類がワクチン製剤としてマイコプラズマ肺炎に対し、安全・高活性かつ有効なワクチン・予防薬となり得ることを見出し、更には、これらオリゴペプチドから産生される抗体類が、マイコプラズマ肺炎の治療薬・軽減薬となり得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下のものを提供する:
[1](1)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、
(3)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、
(4)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および
(5)配列番号1〜4のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1または2個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列からなる変異ペプチドであって、変異前のペプチドと同等の免疫原性を有するペプチド
からなる群より選ばれる少なくとも1種のペプチドならびに医薬として許容されうる担体を含有するマイコプラズマ感染症用ワクチン組成物;
[2]アジュバントをさらに含有する、[1]に記載の組成物;
[3][1]記載のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体を有効成分として含有してなる、マイコプラズマ感染症の予防または治療剤;
[4]TNF−αの産生を抑制する、[3]に記載の剤;
[5]マイコプラズマ感染症の予防または治療剤を製造するための、[1]記載のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体の使用;
[6][1]記載のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体を含有してなる、マイコプラズマ感染症の診断薬;
[7][1]記載のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体を用いることを特徴とする、マイコプラズマ・ニューモニエの検出方法;
[8][1]記載のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体を用いることを特徴とする、マイコプラズマ感染症の検出方法;
[9][1]記載のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体の有効量をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、マイコプラズマ感染症の予防または治療方法;
[10](1)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、
(3)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、
(4)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および
(5)配列番号1〜4のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1または2個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列からなる変異ペプチドであって、変異前のペプチドと同等の免疫原性を有するペプチド
からなる群より選ばれる少なくとも1種のペプチドならびに医薬として許容されうる担体を含有するワクチン組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、マイコプラズマ感染症の予防方法。
本発明のワクチン組成物の有効成分である本発明のペプチドは、マイコプラズマ・ニューモニエ由来のリポプロテインの活性部位を検討し、最適化することにより選択されたものである。従って本発明のペプチドを含有してなる本発明のワクチン組成物は、マイコプラズマ感染症に対する安全・高活性かつ有効なワクチン製剤となり得る。そして本発明のワクチン組成物によれば、従来有効な予防および改善手段が存在していなかたマイコプラズマ感染症を予防、治療することが可能となり、またその症状を軽減することが可能となる。
本発明の予防または治療剤によれば、本発明のペプチドをエピトープとして産生した抗体を有効成分として含有するので、マイコプラズマ感染症を有効に予防または治療することができる。
本発明の抗体はマイコプラズマ感染症の原因菌を検出することができる。よって当該抗体を用いることで、患者がマイコプラズマ感染症に羅患しているか否かを診断することができるし、マイコプラズマ感染症の起因菌を検出する方法を提供することもできる。
図1は、抗FAM123血清を用いたウエスタンブロットによってマイコプラズマ・ニューモニエ(M.p)およびLAMPsに存在するF型ATPアーゼ・サブユニットb(21kDa)を検出したことを示す図である。 図2は、抗FAM123血清が、LAMPs、およびゲルから抽出したF型ATPアーゼ・サブユニットb(21kDa)によるTNF−αの産生を抑制することを示す図である。縦軸はTNF−αの産生量を、横軸の「cont」は無添加対照のマウス腹腔細胞を、「+」は抗FAM123血清を添加したことを、「−」は抗FAM123血清を添加しなかったことを示す。 図3は、抗FAM123血清および抗FAM162血清を用いたサンドイッチELISAによる、マイコプラズマ・ニューモニエ由来のF型ATPアーゼのサブユニットbの検出結果を示す図である。コントロールは、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)を示す。
本発明において、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)とは、ヒトマイコプラズマ感染症(特にマイコプラズマ肺炎)の起因菌であり、現在までに単離・同定された菌株ばかりでなく、現在未同定であってもマイコプラズマ感染症の発症に関与する限り、これらすべての菌を包含するものである。当該マイコプラズマは、抗生物質耐性菌株であってもよい。
本発明のワクチン組成物の有効成分である本発明のペプチドとは、
(1)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
(3)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
(4)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;および
(5)配列番号1〜4のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1または2個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列からなる変異ペプチドであって、変異前のペプチドと同等の免疫原性を有するペプチド;
からなる群より選ばれる少なくとも1種のペプチドである。
上記ペプチドのうち、(1)および(2)のペプチドは、マイコプラズマ・ニューモニエ菌体由来のリポプロテインであるF型ATPアーゼのサブユニットbのアミノ酸配列を詳細に検討して新たに選択されたアミノ酸配列からなるペプチドである。上記(3)および(4)のペプチドは、それぞれ、マイコプラズマ・ニューモニエ菌体由来の別のリポプロテインであるN−ALP−1およびN−ALP−2のアミノ酸配列を詳細に検討して新たに選択されたアミノ酸配列からなるペプチドである。
配列番号1〜4のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1〜3個(好ましくは1または2個)のアミノ酸残基が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列からなる変異ペプチドであっても、変異前のペプチドと同等の免疫原性を有する限り本発明のペプチドに含まれる。
ここで「同等の免疫原性を有する」とは、変異ペプチドで免疫して得られた抗体が、変異前のペプチドで免疫して得られた抗体と同じ物質を認識することをいい、すなわち、免疫原として変異ペプチドを用いた場合であっても、変異前のペプチドを認識できる抗体を誘導できることを意味する。
具体的には、
「(1)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド」の1〜3個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列からなるペプチド(以下、「ペプチド(1)の変異ペプチド」という)は、J.Biol.Chem.,Vol.273(3),No.38,pp.24792−24796(1998)および国際公開2007/049805号パンフレットに記載のFAMと称されるリポプロテインを認識する抗体を誘導することができる限り、本発明のペプチドに含まれる。
「(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド」の1〜3個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列からなるペプチド(以下、「ペプチド(2)の変異ペプチド」という)は、J.Biol.Chem.,Vol.273(3),No.38,pp.24792−24796(1998)および国際公開2007/049805号パンフレットに記載のFAMと称されるリポプロテインを認識する抗体を誘導することができる限り、本発明のペプチドに含まれる。
「(3)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド」の1〜3個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列からなるペプチド(以下、「ペプチド(3)の変異ペプチド」という)は、Immunology 121:473−483,2007および特開2008−024619号公報に記載のN−ALP−1と称されるリポプロテインを認識する抗体を誘導することができる限り、本発明のペプチドに含まれる。
「(4)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド」の1〜3個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列からなるペプチド(以下、「ペプチド(4)の変異ペプチド」という)は、Immunology 121:473−483,2007および特開2008−024619号公報に記載のN−ALP−2と称されるリポプロテインを認識する抗体を誘導することができる限り、本発明のペプチドに含まれる。
従って本発明のペプチドとは、
(1)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
(3)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
(4)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
ペプチド(1)の変異ペプチド;
ペプチド(2)の変異ペプチド;
ペプチド(3)の変異ペプチド;および
ペプチド(4)の変異ペプチド
からなる群より選ばれる少なくとも1種のペプチドを意味する。
「アミノ酸残基の置換」としては、例えば保存的アミノ酸置換があげられる。保存的アミノ酸置換とは、特定のアミノ酸を、そのアミノ酸の側鎖と同様の性質の側鎖を有するアミノ酸で置換することをいう。具体的には、保存的アミノ酸置換では、特定のアミノ酸は、そのアミノ酸と同じグループに属する他のアミノ酸により置換される。同様の性質の側鎖を有するアミノ酸のグループは、当該分野で公知である。例えば、このようなアミノ酸のグループとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、中性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)があげられる。また、中性側鎖を有するアミノ酸は、さらに、極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、および非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)に分類することもできる。また、他のグループとして、例えば、芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン)、水酸基(アルコール性水酸基、フェノール性水酸基)を含む側鎖を有するアミノ酸(例えば、セリン、トレオニン、チロシン)などもあげることができる。
「アミノ酸残基の欠失」としては、例えば各配列番号で表されるアミノ酸配列の中から、任意のアミノ酸残基を選択して欠失させることがあげられる。
「アミノ酸残基の付加」としては、各配列番号で表されるアミノ酸配列のC末端側に、例えば、Leu、Leu−Trp、またはLeu−Trp−Valからなるアミノ酸残基を付加させることがあげられる。また、ペプチドの水溶解性を増強するため、アミノ酸配列のC末端側に塩基性アミノ酸であるアルギニン(Arg)またはリジン(Lys)を1ないし2残基付加してもよい。
これらアミノ酸はL体、D体およびDL体を包含するものであるが、通常、L体であることが好ましい。これらのペプチドは、通常のペプチド合成法によって合成され本発明に供することが出来るが、本発明においては製造方法・合成方法、調達方法等については、特に限定されない。
本発明のペプチドは、通常のペプチド合成装置を用いることにより、当業者であれば容易に合成することができる。
本発明のワクチン組成物は、上記のペプチドの中から任意の1種のみを選択して含有してもよいが、2種以上のペプチドを適宜選択して含有してもよい。抗原として多種類のペプチドを含有する本発明のワクチン組成物は、様々な接種対象者においてマイコプラズマ感染症に対する獲得免疫を惹起させることが可能である。
さらに本発明のワクチン組成物は、国際公開2007/049805号パンフレット、特開2008−024619号公報などに記載のマイコプラズマ・ニューモニエ由来のF型ATPアーゼのサブユニットbであるリポプロテインおよび/またはFAM−20に代表されるリポペプチドを含有していてもよい。
前記医薬として許容され得る担体としては、ワクチンの製造に通常用いられる担体を限定なく使用することができる。具体的には、食塩水、緩衝化食塩水、デキストロース、水、グリセロール、等張水性緩衝液およびそれらの組合せがあげられる。担体は、好ましくは滅菌されたものである。また、これに乳化剤、保存剤(例、チメロサール)、等張化剤、pH調整剤および不活化剤(例、ホルマリン)等が適宜配合される。
本発明の組成物は、ワクチンの投与様式に適合した形態を有することが好ましく、例えば、注射可能な形態として、溶液、懸濁液または乳化液があげられる。あるいは、液体溶液、懸濁液または乳化液に供せられる形態として、凍結乾燥製剤等の固体形態があげられる。
本発明の組成物は、製薬上許容可能で且つ活性成分と相溶性であるアジュバントをさらに含有することが好ましい。アジュバントは、一般には、宿主の免疫応答を非特異的に増強する物質であり、多数の種々のアジュバントが当技術分野で公知である。アジュバントの例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)、Quill A(登録商標)、リゾレシチン、サポニン誘導体、プルロニックポリオール、モンタニドISA−50(Seppic,Paris,France)、Bayol(登録商標)およびMarkol(登録商標)。
本発明のワクチン組成物は、本発明のペプチドを有効成分として、前記担体および好ましくはアジュバントとともに常法により製造することができる。当該有効成分としてのペプチドは、本発明のワクチン組成物中に0.001〜99.999重量%含有されていればよい。また本発明のペプチドや上記リポプロテイン等を有効成分として2種以上含有する場合、ワクチン組成物中における有効成分同士の割合は特に限定されず、目的に応じて当業者が適宜決定することができる。
本発明のワクチン組成物は、様々な経路により接種することによってマイコプラズマ感染症を予防することができる。投与経路としては、例えば、皮内、皮下、鼻腔内、筋肉内、腹腔内、および経口経路等があげられるが、これらに限定されない。また本発明のワクチン組成物を投与する対象としては特に限定されないが、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
投与量は、対象の年齢、性別、体重、薬物への忍容性等を考慮して決められるが、通常0.001mg〜1,000mgを1回または2回以上投与することができる。好ましくは複数回の投与であり、この場合、2〜4週間の間隔をあけて投与することが好ましい。
また本発明は、本発明のワクチン組成物の1または2以上の成分を包含する、1または2以上の容器からなるキットを提供する。本発明のキットを用いることによっても、マイコプラズマ感染症を予防することができ、またはその症状を治療もしくは軽減することができる。
本発明の抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体等の天然型抗体、トランスジェニックマウスや遺伝子組換え技術を用いて製造され得るキメラ抗体、ヒト化抗体および一本鎖抗体、ヒト抗体産生遺伝子を導入したマウスやファージディスプレイなどによって作製したヒト抗体ならびにこれらの断片などが含まれる。本発明の抗体は、それぞれ本発明のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体である限り特に限定されないが、マイコプラズマ・ニューモニエに対する特異性の点からモノクローナル抗体であることが好ましい。あるいはヒトへの臨床応用の点から、本発明の抗体はヒト化抗体またはヒト抗体であることが好ましい。
上記抗体断片とは、前述した抗体の一部分の領域を意味し、具体的には、例えばF(ab’)、Fab’、Fab、Fc領域を含む抗体断片、Fv(variable fragment of antibody)、sFv、dsFv(disulphide stabilised Fv)、dAb(single domain antibody)等が挙げられる(Exp.Opin.Ther.Patents,Vol.6,No.5,p.441−456,1996)。
上記ヒト化抗体とは、抗原認識部位のみヒト以外の遺伝子を由来とし、かつ残りの部位をヒト遺伝子由来として、遺伝子組換え技術を用いて製造された抗体のことをいう。また上記ヒト抗体とは、ヒト抗体産生遺伝子を導入したトランスジェニックマウス(例、TransChromo Mouse(商標))が産生するヒト抗体や、ヒトのBリンパ球のmRNAやゲノム由来のVH遺伝子とVL遺伝子とをランダムに組み合わせて構築したライブラリーから、ファージディスプレイ法などのディスプレイ技術によって抗体可変領域を発現させたヒト抗体ライブラリーを基に作製した抗体のことをいう。
また抗体のクラスも特に限定されず、本発明の抗体は、IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE等のいずれのアイソタイプを有する抗体をも包含する。好ましくはIgGまたはIgMであり、抗体の精製の容易性等を考慮すると、より好ましくはIgGである。
次に、抗体の製造方法について説明する。
ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体は、自体公知の方法によって製造することができる。すなわち、例えば免疫原(本発明のペプチドなど)を、必要に応じてフロイントアジュバント(Freund’s Adjuvant)と共に、哺乳動物、例えばポリクローナル抗体の場合、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ヤギ、ウマまたはウシなど、好ましくはマウス、ラット、ハムスター、モルモット、ヤギ、ウマまたはウサギに免疫する。モノクローナル抗体の場合は、同様の方法で、マウス、ラット、ハムスターなどに免疫する。
本発明のペプチドは、そのまま免疫原として用いることも可能であるが、分子量1万以上の高分子化合物との複合体として免疫することが望ましい。従って、本発明のペプチドは、免疫原として使用するとき、自体公知の方法により高分子化合物(例、タンパク質(以下、キャリアタンパク質と記載する場合がある)など)との複合体としてもよい。例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチドを上記記載の方法に従って合成し、牛血清アルブミン(BSA)、ウサギ血清アルブミン(RSA)、オボアルブミン(OVA)、スカシ貝ヘモシアニン(KLH)、チログロブリン(TG)、免疫グロブリン等のキャリアタンパク質との複合体を形成させる。当該複合体は、その後好ましい免疫原として用いることができる。複合体としては、スカシ貝ヘモシアニンとの複合体が好ましく用いられる。
前記ペプチドとキャリアタンパク質との複合体を形成させるなどの目的で、本発明のペプチドには1〜2個、好ましくは1個のアミノ酸を付加することが出来る。付加されるアミノ酸の位置はペプチドのいずれの位置でもよく、特に限定されないが、ペプチドのN末端またはC末端が好ましい。
複合体の形成においては、本発明のペプチドの抗原性を維持することができる限り、限定なく公知の方法を適用することができる。例えば、本発明のペプチドにシステイン残基を導入し、当該システインの側鎖であるSH基を介して前記高分子化合物(キャリアタンパク質)のアミノ基と結合させることもできる(MBS法)。また、タンパク質のリジン残基のεアミノ基や、αアミノ基などのアミノ基同士を結合させることもできる(グルタルアルデヒド法)。
ポリクローナル抗体は、具体的には下記のようにして製造することができる。すなわち、免疫原をマウス、ラット、ハムスター、モルモット、ヤギ、ウマまたはウサギ、好ましくはヤギ、ウマまたはウサギ、より好ましくはウサギの皮下内、筋肉内、静脈内、フッドパッド内あるいは腹腔内に1〜数回注射することにより免疫感作を施す。通常、初回免疫から約1〜14日毎に1〜5回免疫を行って、最終免疫より約1〜5日後に免疫感作された該哺乳動物から血清を取得する。
血清そのものをポリクローナル抗体として用いることも可能であるが、限外ろ過、硫安分画、ユーグロブリン沈澱法、カプロイン酸法、カプリル酸法、イオン交換クロマトグラフィー(DEAEまたはDE52等)、抗イムノグロブリンカラムもしくはプロテインA/Gカラム、免疫原を架橋させたカラム等を用いたアフィニティカラムクロマトグラフィーにより、該抗体を単離および/または精製し、得られた精製抗体を用いることも可能である。
モノクローナル抗体の製造方法としては、例えば下記の方法が挙げられる。まず上記免疫感作動物から得た該抗体産生細胞と自己抗体産生能のない骨髄腫系細胞(ミエローマ細胞)からハイブリドーマを調製し、該ハイブリドーマをクローン化する。すなわち、ハイブリドーマの培養上清を検体として、免疫学的手法により、哺乳動物の免疫に用いた本発明のペプチドに対する特異的親和性を示しかつキャリアタンパク質と交差反応性を示さないモノクローナル抗体を産生するクローンを選択する。次いで、当該ハイブリドーマの培養上清などから、自体公知の方法によって抗体を製造することができる。
具体的には、下記のようにしてモノクローナル抗体を製造することができる。すなわち、免疫原を、マウス、ラットまたはハムスター(ヒト抗体産生トランスジェニックマウスのような他の動物由来の抗体を産生するように作出されたトランスジェニック動物を含む)の皮下内、筋肉内、静脈内、フッドパッド内もしくは腹腔内に1〜数回注射するか、または移植することにより免疫感作を施す。通常、初回免疫から約1〜14日毎に1〜4回免疫を行って、最終免疫より約1〜5日後に免疫感作された該哺乳動物の脾臓などから抗体産生細胞を取得する。
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ(融合細胞)の調製は、ケーラーおよびミルシュタインらの方法(Nature,Vol.256,p.495−497,1975)ならびにそれらに準じる修飾方法に従って行うことができる。すなわち、前述の如く免疫感作された哺乳動物から取得される脾臓、リンパ節、骨髄または扁桃等、好ましくは脾臓に含まれる抗体産生細胞と、好ましくはマウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギまたはヒト等の哺乳動物、より好ましくはマウス、ラットまたはヒト由来の自己抗体産生能のないミエローマ細胞との細胞融合により、ハイブリドーマを得る。
細胞融合に用いられるミエローマ細胞としては、例えばマウス由来ミエローマP3/X63−AG8.653(653;ATCC No.CRL1580)、P3/NSI/1−Ag4−1(NS−1)、P3/X63−Ag8.U1(P3U1)、SP2/0−Ag14(Sp2/0、Sp2)、PAI、F0またはBW5147、ラット由来ミエローマ210RCY3−Ag.2.3.、ヒト由来ミエローマU−266AR1、GM1500−6TG−A1−2、UC729−6、CEM−AGR、D1R11またはCEM−T15が挙げられる。
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングは、得られたハイブリドーマを、例えばマイクロタイタープレート内で培養し、増殖の見られたウェルの培養上清の、前述の免疫感作で用いた本発明のペプチドに対する反応性および前記上清のキャリアタンパク質に対する反応性を、例えばELISA等の免疫測定法によって測定し、比較することによって行うことができる。
スクリーニングによりクローン化されたハイブリドーマは、培地(例えば、10%牛胎仔血清を含むDMEM)を用いて培養される。そして、その培養液の遠心上清をモノクローナル抗体溶液とすることができる。また、該ハイブリドーマを、該ハイブリドーマに由来する動物の腹腔に注入することにより、動物に腹水を生成させ、該動物から得られた腹水をモノクローナル抗体溶液とすることができる。モノクローナル抗体は、上述のポリクローナル抗体と同様の方法で、単離および/または精製されることが好ましい。
また、キメラ抗体は、例えば「実験医学(臨時増刊号),Vol.6,No.10,1988」、特公平3−73280号公報等を、ヒト化抗体は、例えば特表平4−506458号公報、特開昭62−296890号公報等を、ヒト抗体は、例えば「Nature Genetics,Vol.15,p.146−156,1997」、「Nature Genetics,Vol.7,p.13−21,1994」、特表平4−504365号公報、国際公開WO94/25585号パンフレット、「日経サイエンス、6月号、第40〜第50頁、1995年」、「Nature,Vol.368,p.856−859,1994」、特表平6−500233号公報等を参考にそれぞれ製造することができる。
ファージディスプレイによる抗体作製は、例えばヒト抗体スクリーニング用に作製されたファージライブラリーから、バイオパニングにより抗原に親和性を有するファージを回収、濃縮することにより行うことができ、これによりFab等の抗体等を容易に得ることができる。この場合、配列番号1〜4で表されるアミノ酸配列からなるペプチドから選ばれる、連続する少なくとも5アミノ酸を有するペプチドを抗原として用いて、抗体ライブラリーをスクリーニングすることが好ましい。好ましい抗体ライブラリーおよび抗体のスクリーニング方法については、「Science,228:4075 p.1315−1317(1985)」、「Nature,348:p.552−554(1990)」、「Curr.Protein Pept.Sci.,Sep;1(2):155−169(2000)」、国際公開WO01/062907号パンフレットなどを参照のこと。これにより得られた抗体断片を用いたり、ファージが有するDNAを利用して抗体を調製することができる。
次に、上記抗体を含有する、マイコプラズマ感染症の予防または治療剤について説明する。
本発明のペプチドは、マイコプラズマ感染症の原因菌であるマイコプラズマ・ニューモニエを構成するリポプロテインの活性部位を検討し、これを最適化することによって得られたものである。従って本発明の抗体は、マイコプラズマ・ニューモニエの成分を認識しうるので、生体の獲得免疫機構、例えば:
(1)NK細胞やマクロファージなどの免疫細胞による捕食(オプソニン作用)、
(2)補体の活性化(エフェクター作用)、
(3)菌などの中和作用、
(4)抗体依存性細胞障害活性(ADCC活性)
などの作用により、当該菌を排除する効果が期待される。これにより、マイコプラズマ感染症を未然に防止(予防)したり、治療することが可能となる。
本発明において「マイコプラズマ感染症の予防または治療」とは、マイコプラズマ・ニューモニエの感染により発症する症状、例えば肺炎(マイコプラズマ肺炎(非定型肺炎という場合がある))だけでなく、例えば咽頭炎、気管支炎、中耳炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群などの合併症の予防、治療もしくは軽減をも含む。これらの症状は、生体内からマイコプラズマ・ニューモニエを排除することで改善することができる。
本発明の予防または治療剤が有効成分として含有する抗体は、前記したとおりである。実施例に示すように、本発明の抗体は、マイコプラズマ・ニューモニエ由来のLAMPsおよびF型ATPアーゼ・サブユニットb(21kDa)によるTNF(Tumor Necrosis Factor:腫瘍壊死因子)−αをはじめとした炎症性サイトカインの産生を抑制することもできる。本発明の抗体を有効成分として含有してなる剤は、TNF−αの産生を抑制することによってもマイコプラズマ感染症を予防・治療することが期待される。
本発明の予防または治療剤中に含まれる前記抗体の配合量は、上記効果を奏する限り特に限定されるものではないが、通常、本発明の予防または治療剤全体の0.001〜90重量%であり、好ましくは0.005〜50重量%であり、より好ましくは0.01〜10重量%である。
本発明の予防または治療剤は、有効成分である前記抗体以外に医薬的に許容される担体を含有していてもよい。かかる担体としては、製剤分野において通常用いられる担体を使用することができ、例えば、ショ糖、デンプン、マンニット、ソルビット、乳糖、グルコース、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の賦形剤、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等の保存剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等の安定剤、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウム等の懸濁剤、界面活性剤等の分散剤、水、生理食塩水等の希釈剤、グリセリン、ポリエチレングリコール等のベースワックスなどが挙げられるが、それらに限定されない。従って、本発明の予防または治療剤は、マイコプラズマ感染症の予防、治療または軽減用医薬組成物でもある。
本発明の予防または治療剤の投与剤形としては、例えば液剤、注射製剤などが挙げられるが、それらに限定されない。また本発明の予防または治療剤は、その剤形が速放性製剤または徐放性製剤などの放出制御製剤であってもよい。抗体は一般に水性溶媒に可溶であるため、上記いずれの剤形を採っても容易に吸収される。さらに自体公知の方法により抗体の溶解性を上昇させることも可能である。
上記本発明の予防または治療剤の製造方法について説明する。
マイコプラズマ感染症の予防、治療または軽減のために用いることができる本発明の予防または治療剤は、製剤製法として自体公知である手段に従って、上記抗体を有効成分として使用することで製造することができる。
例えば、全身投与に好適な本発明の予防または治療剤は、水性または非水性の等張な無菌の注射液に有効量の本発明の抗体を溶解させて製造(例、注射製剤)することができる。本発明の抗体を凍結乾燥させ(例、凍結乾燥製剤)これを水性または非水性の等張な無菌の希釈液に溶解させることで製造してもよい。また、局所投与に好適な本発明の予防または治療剤は、水または生理食塩水のような希釈液に本発明の抗体を溶解させて製造することができる(例、液剤)。液剤は、噴霧器を用いた気管支や肺などへの吸入療法によって使用することも可能である。なお、これらの剤には抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、等張化剤等が含まれていてもよい。これらの本発明の予防または治療剤は、アンプル及びバイアルのように、単位投与量あるいは複数回投与量ずつ容器に封入することができる。
本発明の予防または治療剤の投与量は、有効成分として含有する抗体の活性、種類もしくは配合量、投与対象、投与ルート、投与対象の年齢及び体重等により適宜設定することができるが、例えば成人(体重60kg)1日あたりの投与量(有効量)としては、抗体量として0.1mg〜1000mg、好ましくは0.1mg〜500mg、さらに好ましくは0.1mg〜300mgである。本発明の予防または治療剤は、1日あたり、必要に応じて一度又は数回に分割して投与することができ、また数日に分けて投与することもできる。
本発明の予防または治療剤は、マイコプラズマ・ニューモニエに有効な公知の抗生剤(以下、剤Xと記載)と併用することができる。剤Xとしては、マクロライド系抗生剤(ジスロマック、リカマイシン、エリスロシン、クラリスなど)、テトラサイクリン系抗生剤(ミノマイシンなど)、リンコマイシン系抗生剤(ダラシンなど)などのマイコプラズマ・ニューモニエのタンパク質合成を阻害する物質を有効成分とする製剤、ニューロキノン抗生剤(アクアチムなど)などのマイコプラズマ・ニューモニエのDNA複製を抑制する薬剤などが挙げられる。これらは1種類のみを併用してもよいし、複数の種類を併用してもよい。本明細書中、「併用」とは、本発明の予防または治療剤と剤Xとを組み合わせて使用することを意味し、その使用形態は特に限定されない。例えば、本発明の予防または治療剤と剤Xとを共に含有した医薬組成物としての投与、または混合することなく別途製剤し、同時若しくは時間差をあけての投与の両方を含む。
本発明の予防または治療剤の投与対象としては特に限定されず、マイコプラズマ・ニューモニエを保持するまたは保持する可能性があるあらゆる動物が挙げられるが、ヒト、イヌ、ネコ、サル、ウマ、ウシ、マウス、ラット、ハムスターなどの哺乳類などが好ましい。
本発明は、本発明の抗体を用いることを特徴とする、マイコプラズマ・ニューモニエの検出方法を提供する。また本発明は、本発明の抗体を用いることを特徴とする、マイコプラズマ感染症の検出方法も提供する。検出対象の試料としては、試料中にマイコプラズマ・ニューモニエが存在する可能性のある限りいかなる試料であってもよい。具体的には、本発明の抗体を用いて、抗原抗体反応によりマイコプラズマ・ニューモニエを検出および/または定量する方法が挙げられる。かかる方法としては特に限定されるものではないが、放射性同位元素免疫測定法(RIA法)、酵素免疫測定法(例、ELISA法)、蛍光もしくは発光測定法、凝集法、イムノブロット法、イムノクロマト法(Meth.Enzymol.,92,p.147−523(1983),Antibodies Vol.II,IRL Press Oxford(1989))などを利用した方法が挙げられる。
また本発明は、本発明の抗体を含有してなる、マイコプラズマ感染症の診断薬を提供する。具体的には、例えば対象(例、ヒト)の咽頭拭い液や喀痰を採取し、それをサンプルとして当該診断薬とともに上記検出方法と同様の方法を適用してマイコプラズマ・ニューモニエを検出することで、検体がマイコプラズマ感染症に感染しているか否かを診断することができる。当該診断は、従来からマイコプラズマ肺炎の診断に利用されている、(1)PCR法による診断、(2)胸部レントゲンによる診断、(3)マイコプラズマの分離培養による診断、(4)血清診断などと共に行ってもよい。
さらに本発明は、本発明の抗体の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、マイコプラズマ感染症の予防または治療方法を提供する。具体的には、上記した生体の獲得免疫機構に基づき、マイコプラズマ感染症を発症していないマイコプラズマ・ニューモニエ保菌者に対して本発明の抗体を投与することでマイコプラズマ感染症の発症を予防することができるだけでなく、マイコプラズマ感染症を発症した患者に対して本発明の抗体を投与することでその症状を緩和し、治療することもできる。投与方法、有効量は前記した通りである。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はいかなる意味においてもこれらに限定されない。
実施例1:ペプチドの合成
配列番号1で表されるペプチド(以下、ペプチド(1)と記載)は、9−fluorenylmethoxycarbonyl(Fmoc)法に従い、自動化シンセサイザ(モデル433A;Applied Biosystems)を使って合成した。tert−butoxycarbonylによって保護されたFmoc−レジンを充填したWang−PHB樹脂を固相化の支持体として使った。0.1mMアミノ酸をそれぞれの結合に使用した。使用したアミノ酸の側鎖の保護基を次に示す。セリン(tert−butyl)、リジン(tert−butoxy−carbonyl)等。樹脂(レジン)に結合したFmoc−アミノ酸の遊離は、ピペリジンを使用して行った。アミノ酸の結合には2−(1H−benzotriazol−1−yl)−1,1,3,3−tetramethyluronium tetrafluoroborateおよびhydroxybenzotriazole(HOBt)を使った。樹脂に結合したアミノ酸20個前後からなるペプチドとFmoc−Dhc(Pam2)−OH(Dhc:(2,3−dihydroxypropyl)−L−Cysteine)の結合は、dimethylformamide/dichloromethane(1:2)中で、12時間反応させて行った。5%フェノール含有TFA(トリフルオロ酢酸)、5%thioanisole、5%ethanedithiole、および7%水を用いて、樹脂からのペプチドの切り出しおよびすべての保護基の除去を行った。合成の進行を、エレクトロスプレーイオン化質量分析機によってモニターした。得られた化合物は、質量分析に加え、核磁気共鳴スペクトル、赤外線吸収データ等によりペプチド(1)であることを確認した。配列番号2〜4で示されるペプチドも、同様の方法で合成する。
実施例2:ペプチドに対する抗体の作製
本発明のペプチド(1)に対する抗体(抗FAM123ポリクローナル抗体)は以下のようにして作製した。まず、上記のMycoplasma pneumoniaeのF型ATPアーゼ・サブユニットb由来のRQEIEKEKRLIQEQSLKE(配列番号1)を合成(N末端にリンカーCを付加)し、次にKLH(キャリアー)をN末端に結合させた。この融合タンパク質を抗原としてウサギを免疫(day0、抗原200μg/FCA;day7、抗原100μg/FIA;day14、抗原100μg/FIA;day21、抗原100μg/FIA;day28、抗原100μg/FIA;day42、抗原200μg/FIA;day49、抗原200μg/FIA;day56、抗原200μg/FIA)した。初回免疫後、63日に全採血を行い、血清を得た。さらに抗FAM123ポリクローナル抗体を得るため、アフィニティークロマトグラフィー(HiTrap NHS−activated HP column:GEヘルスケア)を使って粗精製することで、抗原特異的抗体(抗FAM123血清)を得た。
配列番号2で示されるペプチドに対する抗体は、N末端にリンカーCを付加したペプチド(2)DKAFIEEFIRELEAEDDHDを用い、同様の方法で作製した(抗FAM162血清)。配列番号3〜4で示されるペプチドに対する抗体も、同様の方法で作製する。
実施例3:抗体のTNF−α抑制活性の測定
抗体の中和活性は、マウスの腹腔細胞から産生されるTNF−αの抑制により評価した。まず、C57BLマウスの腹腔へOK432(1単位、中外製薬社製)を注射した。48時間後、腹腔より滲出細胞を回収した。
次に、刺激物と抗体の前処理について述べる。TNF−αの産生刺激物として、Mycoplasma pneumoniae 由来のLAMPs(TX−114可溶画分)および「21kDa」としてのLAMPsをSDS−PAGEにより展開した。次に21kDa付近のゲルを切り出し、リポプロテインを抽出したものを調製した。これらと実施例2で得られた抗FAM123血清(最終濃度40μg/ml)を1時間プレインキュベーションした。次に、マウス腹腔滲出細胞3x10個を添加して、さらに5時間培養した。培養上清を回収して、上清中のTNF−αをELISAキット(R&D Systems)で定量した。
その結果、図2に示されるように、抗FAM123血清は、マイコプラズマ・ニューモニエ由来のLAMPs分画によるTNF−α産生を約71%まで抑制し、21kDaの抽出物によるTNF−α産生を約28%まで抑制した。このように、本発明の抗体の活性が顕著に認められた。
実施例4:ELISAによるリポプロテイン抗原の検出
キャプチャー抗体として、実施例2で作製した抗FAM123血清を使用した。またディテクション抗体として、実施例2で作製した抗FAM162血清を使用した。
抗原として、Mycoplasma pneumoniaeの生菌および熱不活化菌ならびにMycoplasma penetransの熱不活化菌を用いた。これらの種々の抗原は、以下のように調製した。
Mycoplasma pneumoniae M129(ATCC 29432)を、20%ウマ血清を補足した改変Hayflick培地を含むフラスコ中で、37℃で48〜72時間培養した。10mlの培養液を集め、4℃、6000×gで10分間遠心分離し、ペレットを回収した。回収したペレットをPBS(リン酸緩衝生理食塩水)に懸濁し、「生M.p」を得た。さらに、60℃、30分間の熱処理を行い、「不活化M.p」を得た。生M.pおよび不活化M.pのそれぞれに対し、TX−114(Sigma)を0.01%となるように加え、それぞれ「生M.p+TX114」および「不活化M.p+MX114」を得た。さらに、対照として、Mycoplasma penetransをMycoplasma pneumoniaeと同様に培養して、生菌を回収し、TX−114を0.01%となるように加えたものを調製した(「M.penetrans+TX114」)。また、0.01%TX−114のみのもの(「TX114」)、および、PBSのみのもの(「コントロール」)も対照として調製した。
キャプチャー抗体(0.5μg/ml)をELISA用96穴マイクロプレート(Nunc)1穴あたり100μl(PBS(リン酸緩衝生理食塩水))の量で分注し、室温で一晩インキュベーションした。翌日、プレートを洗浄バッファー(T−PBS(0.5%Tween20添加PBS))で3回洗浄した。次に、ブロッキングバッファー(ブロッキングワン、ナカライテスク)を100μl/穴で添加し、室温で1時間インキュベーションした。洗浄バッファーで前と同様に3回洗浄した。次に、前記した種々の抗原を100μl/穴で添加し、室温で2時間インキュベーションした。また、洗浄バッファーで同様に3回洗浄した。次に、ディテクション抗体(0.5μg/ml)を96穴マイクロプレートへ1穴あたり100μl(1%BSA−PBS)で分注し、室温で2時間インキュベーションした。インキュベーション後、洗浄バッファーで3回洗浄した。次に、ペルオキシダーゼ標識した抗モルモットIgG抗体(0.4μg/ml、Cappel)を100μl(1%BSA−PBS)/穴で添加し、室温で2時間インキュベーションした。次に、洗浄バッファーで3回洗浄した。発色は、ELISA POD基質 TMBキット(ナカライ)を使用し、次のように行った。室温で2時間インキュベーション後、プレートを3回洗浄した。ついでキットのインストラクションに従い、発色+基質液を100μl/穴添加、10分後、停止液を100μl/穴で添加した。最後に、ELISAプレートリーダーで450nmの吸光度を測定した。結果を図3に示す。
Mycoplasma pneumoniaeそれ自体(生M.p)を直接検出することはできなかったが、生M.pに0.01%TX114を添加したサンプル(生M.p+TX114)では、抗原を検出できた。熱により不活化したMycoplasma pneumoniaeについても、0.01%TX114の添加により抗原の検出感度が増強することが分かった(不活化M.p+TX114)。一方、熱不活化Mycoplasma penetransに0.01%TX114を添加しても抗原は検出できなかった(M.penetrans+TX114)。
したがって実施例2で作製した抗体は、Mycoplasma pneumoniaeを特異的に検出し、マイコプラズマ感染症の診断に利用可能である。
マイコプラズマ・ニューモニエ由来のF型ATPアーゼのサブユニットbであるリポプロテイン由来の、アミノ酸20前後から構成される特定のアミノ酸配列からなるペプチドを含有する組成物は、マイコプラズマ感染症用のワクチン組成物として有用である。また、本発明のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体を有効成分として含有してなる剤は、マイコプラズマ感染症の予防または治療剤として有用であり、かつ当該抗体はマイコプラズマ・ニューモニエの検出や、マイコプラズマ感染症の診断などに利用することができる。
以上、本発明の具体的な態様のいくつかを詳細に説明したが、当業者であれば示された特定の態様には、本発明の教示と利点から実質的に逸脱しない範囲で様々な修正と変更をなすことは可能である。従って、そのような修正及び変更も、すべて後記の請求の範囲で請求される本発明の精神と範囲内に含まれるものである。
本出願は、日本で出願された特願2008−136011(出願日:2008年5月23日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (10)

  1. (1)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、
    (2)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、
    (3)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、
    (4)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および
    (5)配列番号1〜4のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1または2個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列からなる変異ペプチドであって、変異前のペプチドと同等の免疫原性を有するペプチド
    からなる群より選ばれる少なくとも1種のペプチドならびに医薬として許容されうる担体を含有するマイコプラズマ感染症用ワクチン組成物。
  2. アジュバントをさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
  3. 請求項1記載のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体を有効成分として含有してなる、マイコプラズマ感染症の予防または治療剤。
  4. TNF−αの産生を抑制する、請求項3に記載の剤。
  5. マイコプラズマ感染症の予防または治療剤を製造するための、請求項1記載のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体の使用。
  6. 請求項1記載のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体を含有してなる、マイコプラズマ感染症の診断薬。
  7. 請求項1記載のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体を用いることを特徴とする、マイコプラズマ・ニューモニエの検出方法。
  8. 請求項1記載のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体を用いることを特徴とする、マイコプラズマ感染症の検出方法。
  9. 請求項1記載のペプチドの少なくとも1種を認識する抗体の有効量をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、マイコプラズマ感染症の予防または治療方法。
  10. (1)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、
    (2)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、
    (3)配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、
    (4)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、および
    (5)配列番号1〜4のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1または2個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列からなる変異ペプチドであって、変異前のペプチドと同等の免疫原性を有するペプチド
    からなる群より選ばれる少なくとも1種のペプチドならびに医薬として許容されうる担体を含有するワクチン組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、マイコプラズマ感染症の予防方法。
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