JPWO2008153089A1 - 機構体及びx線管装置 - Google Patents

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Abstract

剥離し難い撥液表面構造を適用した機構体を提供する。微小凸部の先端は、略球面状を呈しており、このような形状の表面に液体金属(8)が接触する状態では、液体金属(8)が微小凸部と微小凸部との間に浸入することができず、微小凸部の先端表面で点接触のみで支持されるようになる。このため、金属母材表面に液体金属(8)が濡れ広がることはない。撥液表面(11)は、多数の微小凸部によって点接触支持されることにより液体金属(8)が弾かれ濡れないような構造になっている。

Description

本発明は、液体金属の撥液技術に関し、詳しくは、液体金属を弾いて濡れない表面とする撥液表面構造を適用したX線管装置を含む機構体の技術に関する。
ガリウム/インジウム/スズの合金からなる液体金属は、低融点で無毒なことが知られており、工業的に水銀を利用している分野への置き換えが図られている。この場合、ガリウム/インジウム/スズの合金からなる液体金属の付着性が大きな障害となっている。液体金属は、共晶合金であって他物質との反応性が高く、これにより他物質表面に付着すると除去することが困難になる。このため、例えば、酸化ガリウム、酸化チタンなどの酸化物によるコーティングを施し、液体金属を弾くようにする(濡れ難くする)ことが必要である。
尚、液体金属を弾く撥液性のある表面(濡れない表面)を形成する技術としては、例えば下記特許文献1、2に開示された技術が知られている。簡単に説明すると、酸化チタンや酸化アルミの膜を物理蒸着(PVD)等の方法により成膜し、この酸化物の膜の撥液作用によって撥液性のある表面を形成する技術である。また、母材表面に酸化層を設け、この酸化層の撥液作用によって撥液性のある表面を形成する技術である。
特開平8−55595号公報 特開平11−93946号公報
ところで、酸化物の膜や酸化層の撥液作用によって撥液性のある表面を形成する上記従来技術にあっては、酸化物の膜や酸化層が剥離して影響を来す恐れがあるという問題点を有している。仮に剥離が生じた場合には、例えば流体すべり軸受などにおいて支障を来してしまうことになる。
本発明の目的は、上述した事情に鑑みてなされたもので、剥離し難い撥液表面構造を適用した機構体を提供することにある。
上記目的を達成するためになされた本発明の機構体は、液体金属を弾いて濡れない表面とする撥液表面構造を有する、前記液体金属を封入する機構体において、前記液体金属の表面張力を維持するように前記液体金属と略点接触する微小凸部を母材表面上に多数設けてなることを特徴としている。
また、上記目的を達成するためになされた本発明のX線管装置は、回転陽極用の流体すべり軸受における軸受隙間と真空の境界部分に適用する液体金属を弾いて濡れない表面とする撥液表面構造を有するX線管装置であって、前記液体金属の表面張力を維持するように前記液体金属と略点接触する微小凸部を母材表面上に多数設けてなることを特徴としている。
また、本発明の撥液表面の製造方法は、クロムを含む鉄系合金に、水蒸気を含む水素雰囲気中で、前記鉄系合金の焼鈍し温度以上で熱処理を施すことにより、前記鉄系合金の表面を、液体金属を弾いて濡れない撥液表面とすることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、酸化物の膜や酸化層による撥液作用によって液体金属を弾き濡れない表面とする撥液表面ではなく、母材表面自体を元の状態から構造的に変えてなる撥液表面にする。母材表面に微小凸部を多数設けることで、液体金属はこれ自身の表面張力によって留まろうとする状態になる。すなわち、母材表面の多数の微小凸部によって液体金属の濡れを防止することが可能になる。
本発明によれば、X線管装置におけるX線管内部の高真空環境下において、液体金属が真空中へ漏洩してしまうことを防止することが可能になる。
本発明によれば、剥離し難い撥液表面構造を適用した機構体を提供することができるという効果を奏する。
本発明のX線管装置の一実施の形態を示すX線管の回転陽極の概略図。 撥液表面による液体金属漏洩防止の原理説明図。 微小凸部を多数一体に設けた撥液表面による液体金属撥液原理の模式的な説明図。 微小凸部の凸部寸法や分布状態を示す模式的な図。 Wet水素熱処理後の母材表面と濡れ性を示す図。 Wet水素熱処理の熱力学状態図。 母材表面が未処理状態の図。 クロムを含まない鉄系材料+Wet水素処理で微小凸部寸法が0.5μmを下回る場合の図。 クロムを含まない鉄系材料+Dry水素処理で微小凸部寸法が4.0〜5.0μm程度の場合の図。 クロムを含む鉄系材料+Dry水素処理で微小凸部寸法が5.0μmを上回る場合の図。 冷却装置の装置概略図。
符号の説明
1 回転陽極、2 陽極ターゲット、3 陽極回転軸、4 断熱部、5 液体金属軸受、6 固定軸、7 軸受回転体、8 液体金属、9 陽極回転体、10 スラスト軸受、11 撥液表面、12 外囲器、13 コイル、14 発熱体、15 吸熱部、16 輸送配管、17 電磁ポンプ、18 循環、19 放熱部、20 フィン
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明のX線管装置の一実施の形態を示すX線管の回転陽極の概略図である。
図1において、引用符号1はX線管装置のX線管における回転陽極の一例を示している。この回転陽極1は、陰極から放出された熱電子が衝突しX線を発生する陽極ターゲット2と、陽極ターゲット2の中央に取り付く陽極回転軸3と、陽極ターゲット2から流入する熱による軸劣化防止のための断熱部4と、液体金属軸受5とから構成されている。
液体金属軸受5は、固定軸6と、軸受回転体7とを有している。液体金属軸受5では、固定軸6と軸受回転体7との嵌合隙間に液体金属8が充填されている。液体金属軸受5は、陽極回転時において、液体金属8に発生する動圧によって固定軸6と軸受回転体7との隙間が一定になるように保たれている。
液体金属8は、ガリウム/インジウム/スズの合金からなる液体金属であって、ここではガリンスタン(登録商標)が用いられている(共晶合金で、常温で液体の金属。組成はガリウムが68.5%、インジウム鉛が21.5%、錫が10%である。沸点は>1300℃、融点は−19℃、比重は6.44g/cm3である)。
固定軸6の表面には、螺旋溝が設けられている(符号省略)。固定軸6は、この螺旋溝により発生する動圧を高めて耐荷重性能を高めるようになっている。引用符号9は、陽極回転体を示している。また、引用符号10はスラスト軸受を示している。この陽極回転体9は、陽極ターゲット2、陽極回転軸3、断熱部4、及び軸受回転体7で構成されており、これらを結合することによって図示のような状態になっている。
回転陽極1及び図示しない陰極は、外囲器12内において対向するように配置されている。外囲器12の内部は、絶縁のために真空に保たれている。回転陽極1及び陰極は、このような外囲器12内に保持されている。外囲器12の外部には、回転陽極1を回転させるためのコイル13が設置されている。コイル13は、回転陽極1の周囲に回転磁界を発生させることができるように設置されている。回転陽極1は、コイル13によって回転磁界が発生すると陽極回転軸3の表面に渦電流が発生し、この渦電流と回転磁界との作用により回転可能となるようになっている。
上記のような液体金属8を潤滑剤として利用したすべり軸受では、固定軸6又は軸受回転体7のどちらか一方が有底円筒形状に形成されている。有底円筒形状に形成されることにより、固定軸6又は軸受回転体7が回転した際に、固定軸6と軸受回転体7の隙間に充填された液体金属8に対して発生する動圧により軸受隙間が一定に保たれ、これによって滑らかな回転が行われるようになっている。
固定軸6と軸受回転体7とにより構成される軸受隙間には、外部との境界面が存在している。この境界部分では、液体金属8が外部と接するようになっている。すなわち、X線管内では、潤滑剤である液体金属8と真空とが接するようになっている。従って、この境界部分での液体金属8の真空中への漏洩を防止することが重要であることから、本実施形態においては撥液表面11が設けられている。
撥液表面11は、真空境界近傍の固定軸6と軸受回転体7との表面にそれぞれ設けられており、液体金属8を弾いて濡れない表面とすることができるようになっている。撥液表面11は、従来のような、酸化物の膜や酸化層による撥液作用によって液体金属を弾き濡れない表面とするような撥液表面ではなく、母材表面自体を元の状態から構造的に変えてなる撥液性のある表面となっている。
具体的には、母材表面に微小凸部を多数一体に設けてなる構造となっており、液体金属8はこれ自身の表面張力によって留まろうとする状態が生じるようになっている。本実施形態では、母材表面の多数の微小凸部によって撥液表面11が構成され、液体金属8の濡れが防止されるようになっている。上記微小凸部に関しては後述する。
ここで、図2を参照しながら液体金属8の濡れを防止する原理について説明する。図2は撥液表面による液体金属漏洩防止の原理説明図である(図2では符号を省略する)。
すべり軸受では、軸受回転体7に液体金属8が引かれて流動することにより動圧が発生し、軸受隙間を一定に保ちながら潤滑するようになっている。このため軸受材料は、液体金属8と良くなじむ、すなわち良く濡れる材料が適している。従って、この良く濡れる材料を用いた軸受母材の上に液体金属8を滴下すると、図2(a)の上段に示すように、液体金属8が母材表面全体に流れてしまうことになる。この状態で図2(a)の下段に示すように軸受隙間を形成し、そして、この軸受隙間に液体金属8を充填すると、真空境界部分から液体金属8が漏洩してしまうことになる。
これに対して、図2(b)の上段に示すように、液体金属8を弾いて濡れない表面、すなわち本実施形態に係る撥液表面11を形成すると、液体金属8は自身の表面張力によって流れを生じさせず、留まろうとするような状態になる。そして、図2(b)の下段に示すように、軸受隙間を形成する固定軸6、軸受回転体7の両方に撥液表面11をそれぞれ形成すると、液体金属8の真空中への漏洩が防止されるようになる。
図3は本実施形態に係る、上記微小凸部を多数一体に設けた撥液表面による液体金属撥液原理の模式的な説明図である(図3では符号を省略する。尚、図中で断面を示すハッチングの向きを変えているのは、母材表面の位置を分かり易くするためである)。
図3において、この図には、潤滑剤としてガリウム/インジウム/スズの合金からなる液体金属8を利用するとともに、軸受母材として金型鋼(SKD11)を利用する場合の撥液表面11の構造が示されている。ここでは露点27℃のWet水素中、1000℃の処理を行っており、この処理を行うと、図中の拡大した部分に示すように、金属母材表面に0.1〜3.0μm程度の微小凸部が多数生成され(微小凸部が金属母材表面に付着するのではない。微小凸部が多数生成されて金属母材表面自体が元の状態から構造的に変化する)、この多数の微小凸部によって点接触支持されることにより液体金属8が弾かれ濡れないような構造になっている。Wet水素とは、水蒸気を含む水素雰囲気のことであり、水素ガスを水の中を通すことにより得ることができ、水素ガスが通る水の温度を露点としている。
尚、微小凸部の上記寸法は、図4中で示す凸部寸法となっている。微小凸部は、図4(a)に示すように、微小凸部同士が隣接するような状態に分布している。このような分布により、液体金属8(図4では符号を省略する)に対する上記点接触支持がなされるようになっている。これに対し図4(b)に示すように、液体金属8が微小凸部と微小凸部との間の凹部に浸入してしまうような状態の分布では、液体金属8に対する撥液性がなくなってしまうことになる。
図3及び図4を参照しながら多数の微小凸部により表面が撥液性を有するようになる原理について説明する。微小凸部の先端は、略球面状(例えば半球に近い形状)を呈しており、このような形状の表面に液体金属8が接触する状態では、液体金属8が微小凸部と微小凸部との間に浸入することができず、微小凸部の先端表面で点接触のみで支持されるようになる。このため、金属母材表面に液体金属8が濡れ広がることはない。これが本実施形態における撥液性を有する原理である。
次に、多数の微小凸部を生成するための上記処理に関して説明をすると、潤滑剤としてガリウム/インジウム/スズの合金からなる液体金属8を利用する場合、微小凸部の寸法(幅及び高さ)が0.5〜3.0μm程度であることが望ましく、このような寸法となる微小凸部を多数生成する方法としては種々があるが、露点が10℃以上、40℃以下のWet水素雰囲気中で、金型鋼(SKD11)を利用し、これを焼鈍温度(約800℃)以上で熱処理する方法をここでは推奨する。この処理を施すと、金型鋼表面に図5に示すような0.5〜3.0μm程度の微小凸部が多数、均一に近い状態で生成され、液体金属8を撥液することができる表面が得られる。
図5の表面を分析すると、微小凸部の根本側にクロムが集中して存在し、これに反して微小凸部の先端側にはクロムが希薄になることが分かった。このことから上記の処理では、微小凸部の生成に、合金元素として12%程度添加されているクロムが関係していることを突き止めている。従って、上記の金型鋼以外でもクロムを含有する鉄系合金であれば同様の効果を期待することができる。
多数の微小凸部を生成するため、上記のように露点が10℃以上、40℃以下のWet水素雰囲気中で焼鈍し温度約800℃以上で熱処理を施しているが、図6に示すように、この処理条件は鉄が還元される条件であり、金属母材表面の酸化は発生しない。一方、クロムは酸化される条件にある。これらのことから、上記説明の処理は、従来の単なる酸化膜、酸化物による撥液ではなく、鉄の還元とクロムの酸化条件下で生成された撥液表面11となる。尚、従来の単なる酸化膜、酸化物による撥液では、例えば、X線管装置におけるX線管内部のような高真空、高温環境下の場合、酸化膜や酸化物の還元が生じるという恐れがあり、これが問題点となってしまうが、本実施形態の撥液表面11ではこれを解消することができるという効果を奏する。
図7は図5との比較のための図であり、母材表面が未処理状態の図である。母材表面が未処理の状態の場合では、液体金属8によって金属母材表面が濡れてしまうことが分かった。図8も比較のための図であり、クロムを含まない鉄系材料+Wet水素処理で微小凸部寸法が0.5μmを下回る場合の図である。この場合も、液体金属8によって金属母材表面が濡れてしまうことが分かった。また、図9も比較のための図であり、クロムを含まない鉄系材料+Dry水素処理で微小凸部寸法が4.0〜5.0μm程度の場合の図である。この場合は、図7、8と異なり微小凸部の寸法が図5の場合よりも若干大きくなっており、液体金属8によって金属母材表面が濡れ易くなることが分かった。また、図10も比較のための図であり、クロムを含む鉄系材料+Dry水素処理で微小凸部寸法が5.0μmを上回る場合の図である。この場合、微小凸部の寸法が図9よりもさらに大きくなったことから、液体金属8によって金属母材表面が濡れてしまうことが分かった。さらに図示しないが、純鉄+Wet水素処理の場合には微小凸部が形成されず、液体金属8によって金属母材表面が濡れてしまうことが分かった。
上記処理の他には、金属母材表面にサンドブラストを施して母材表面自体を元の状態から構造的に変える方法や、溶射によって母材表面自体を元の状態から構造的に変える方法を一例として挙げることができる(微小凸部が確実に剥離しないのであれば、微小凸部を母材表面に付けることでも良いものとする)。また、液体金属8としてガリウム/インジウム/スズの合金からなるものについて説明してきたが、本発明ではこれに限ることなく、例えば、ガリウム、ガリウム合金、インジウム合金、スズ合金、水銀、ナトリウム等を用いても良い。
以上の説明では、撥液表面11を適用する装置としてX線管装置を例に挙げて説明してきたが、X線管装置に限らず、他の装置に適用しても良いものとする。例えばX線管装置と同様に流体すべり軸受を有するハードディスクドライブに適用しても良い。また、本実施形態の撥液表面11は、撥液性が要求されるあらゆる部材、部品に適用することができるものとする。以下、幾つか例を挙げて説明する。
図11は冷却装置の装置概略図を示している。図中において、冷却装置では、発熱体14の発熱表面に液体金属(上記液体金属8と同じ)を封入した吸熱部15が設けられている。液体金属8は、直接、又は吸熱部15の壁面などを介して間接的に発熱体14に接触しており、発熱体14の熱が液体金属8に伝熱されるようになっている。液体金属8は、高い熱伝導率を有している。
伝熱によって温度上昇した液体金属8は、放熱部19へ輸送されるようになっている。放熱部19の表面からは、大気などの装置外部へ放熱がなされるようになっている。放熱部19は、放熱面積拡大のためのフィン20や、強制冷却用のファン等を有している。吸熱部15と放熱部19は、これらを連通する輸送配管16で接続されており、この内部を電磁ポンプ17などの輸送手段により、液体金属8が循環18するような構造となっている。
冷却装置において、吸熱部15や放熱部19の表面には液体金属8が密着することが望ましいが、これに対して輸送配管16では、密着せずに液体金属8のスムーズな輸送ができることが望ましい。これは、電磁ポンプ17の小型化や、循環流量18の増加による放熱効率の向上が期待されるからである。図11の例では、液体金属8のスムーズな輸送のために、輸送配管16の内面に、本実施形態に係る撥液表面11が設けられている。
この他、特に図示しないが、上記液体金属8は高い可視光反射率を有することから、天体望遠鏡の反射鏡として現在使用されている水銀皿の代替物に、本実施形態に係る撥液表面11を適用することが可能であるものとする。
本実施形態は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
本実施形態によれば、剥離し難い撥液表面構造11を適用した機構体を提供することができるという効果を奏する。また、本実施形態に係る撥液表面11によれば、液体金属8の部品表面への濡れ性を制御することができるという効果を奏する。また、液体金属8を熱移動、圧力移動媒体とした場合の配管圧力損失の低減に寄与することができるという効果を奏する。また、液体金属8を貯蔵する容器などの内面に適用すれば、密着を防止し、交換などの作業を容易にすることができるという効果を奏する。また、X線管内真空領域への液体金属8の漏洩を防止し、X線管の耐電圧劣化を防止することができるという効果を奏する。また、液体金属8の漏洩による潤滑材枯渇を防止し、軸受寿命信頼性を向上させることができるという効果を奏する。

Claims (8)

  1. 液体金属を弾いて濡れない表面とする撥液表面構造を有する、前記液体金属を封入する機構体において、
    前記液体金属の表面張力を維持するように前記液体金属と略点接触する微小凸部を母材表面上に多数設けてなることを特徴とする機構体。
  2. 回転陽極用の流体すべり軸受における軸受隙間と真空の境界部分に適用する液体金属を弾いて濡れない表面とする撥液表面構造を有するX線管装置であって、
    前記液体金属の表面張力を維持するように前記液体金属と略点接触する微小凸部を母材表面上に多数設けてなることを特徴とするX線管装置。
  3. 前記液体金属が、ガリウム/インジウム/スズの合金からなる液体金属であることを特徴とする請求項2に記載のX線管装置。
  4. 前記微小凸部の先端は略球面状に形成されることを特徴とする請求項3に記載のX線管装置。
  5. 前記微小凸部の幅及び高さが0.5〜3.0μmの範囲にあることを特徴とする請求項3に記載のX線管装置。
  6. 前記微小凸部の先端よりも根本側のほうがクロムの含有量が大きいことを特徴とする請求項3に記載のX線管装置。
  7. 多数の前記微小凸部が前記母材表面上に一体に形成されることを特徴とする請求項3に記載のX線管装置。
  8. クロムを含む鉄系合金に、水蒸気を含む水素雰囲気中で、前記鉄系合金の焼鈍し温度以上で熱処理を施すことにより、前記鉄系合金の表面を、液体金属を弾いて濡れない撥液表面とすることを特徴とする撥液表面の製造方法。
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