JPWO2008149661A1 - 脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

触媒分離のプロセスが不要で、かつ温和な条件下、大きな反応速度によりエステル交換反応を進行させることにより効率的に脂肪酸エステルを製造することの可能な脂肪酸エステルの製造方法を提供する。スルホン酸の有機オニウム塩を触媒として用いて、油脂類とアルコール類とのエステル交換反応を行い、脂肪酸エステルを製造する。触媒として用いる有機オニウム塩は、繰り返し反応に使用することが可能である。また、従来の均相アルカリ触媒法と異なり、触媒分離の工程が不要であり、かつアルカリ触媒を用いないので脂肪酸石鹸が生成することもない。

Description

本発明は油脂類を原料としてエステル交換反応により脂肪酸エステルを製造する方法に関する。
油脂類とアルコール類とのエステル交換反応によって合成される脂肪酸エステルは、バイオディーゼル燃料として注目されている。バイオディーゼル燃料は、従来の石油系ディーゼル燃料(軽油)に比べて、
(1)燃焼した際の排ガスが75%程度クリーンになり、
(2)一酸化炭素や炭化水素、粒子状物質等の排出量が10〜20%減少し、
(3)排出ガス中に硫黄酸化物や硫酸塩を含まず、
(4)潤滑性能が高い、など多くの利点を有している。
バイオディーゼル燃料は、動植物由来の天然油脂を原料としているため、燃料として用いても、二酸化炭素生成については負荷ゼロとされ、環境にやさしい燃料である。この燃料は、どんなディーゼルエンジンにも改造する必要がなくそのまま使用することができる利点がある。また、環境汚染の一因となる廃食用油を原料として用いることもできるため、環境負荷を二重に減らすことができるバイオマス原料である。アメリカやヨーロッパでは、既に、石油系ディーゼル燃料に1〜20%程度バイオディーゼル燃料を混合したものを使用しはじめており、それだけでも、高潤滑性のためにエンジンに与える負荷が軽減し、かつ、環境や健康に与える負荷も軽減していることが報告されている。
このようにあらゆる点で石油系ディーゼル燃料よりも優れたバイオディーゼル燃料を積極的に利用しようとする動きは、近年徐々に活発化しているが、石油系ディーゼル燃料の2〜3倍という高コストであることが大きな問題となっている。これは、現在のバイオディーゼル燃料製造プロセスでは水酸化カリウムなどの均相アルカリ触媒が用いられ、アルカリ触媒は反応液に均一に溶解するため、製品化の際にこれらのアルカリ触媒を分離除去するためのコストが加わることによる。また、天然油脂には多量の遊離脂肪酸が含有されているのが一般的である。遊離脂肪酸が多量に含まれた状態でアルカリ触媒を使用すると脂肪酸石鹸が副生しアルカリ触媒が大量に必要になり、あるいは生成した脂肪酸石鹸により脂肪酸エステル層とグリセリン層との分離が困難になるという問題もある。そのため、触媒の分離プロセスが不要で、脂肪酸石鹸が生成することもない、活性の高い不均相固体触媒が検討されている。
例えば、バイオディーゼル燃料の製造を直接の目的とした不均相固体触媒として、CaTiO、CaMnOのようなペロブスカイト型構造を有する複合酸化物を用いる方法(特許文献1)、アルコールを超臨界状態もしくは亜臨界状態にして、アルカリ土類金属酸化物、水酸化物もしくは炭酸塩を用いる方法(特許文献2)、生石灰もしくは苦土石灰を用いる方法(特許文献3)、水酸化カルシウムもしくは酸化カルシウムを用いる方法(特許文献4)などが提案されている。しかしながら、これらの方法では、高温度・高圧力が必要である、触媒の再生が困難である、触媒が高価である、或いは反応速度が充分ではない等の問題があった。
一方、バイオディーゼル燃料の製造とは別に、古くから、トリグリセリドとアルコールから脂肪酸エステルを製造する方法が知られている。例えば、トリグリセリドにアルコール類および必要に応じて溶剤を加え、塩基性イオン交換樹脂(アニオン交換樹脂)と接触させる方法(特許文献5)が挙げられる。しかしながら、この方法においては、基質となるトリグリセリドはアルコールに対して希薄であることが好ましいとされ、また、イオン交換樹脂当たりの脂肪酸エステルの生成量が充分ではないという問題があった。
また、トリグリセライドとアルコールとを、複合金属化合物、金属硫酸塩、ヘテロポリ酸、合成ゼオライト、イオン交換樹脂等の固体酸触媒の存在下で反応させる方法(特許文献6)が知られている。しかしながら、特許文献6の方法は、油脂中の遊離脂肪酸を前処理することなく、脂肪酸石鹸の副生が少ないという利点はあるが、酸触媒のエステル交換反応に対する活性がアルカリ触媒に比べて低いため、反応速度が小さく実用的ではないという問題があった。
特開2002−294277号公報 特開2002−308825号公報 特開2004−35873号公報 特開2001−271090号公報 特開昭62−218495号公報 特開平6−313188号公報
しかしながら、従来の均相アルカリ触媒を用いる方法に代わる工業化可能な方法が見出されていないのが現状である。
そこで、本発明は、触媒分離のプロセスが不要で、かつ温和な条件下、大きな反応速度によりエステル交換反応を進行させることにより効率的に脂肪酸エステルを製造することの可能な脂肪酸エステルの製造方法を提供することを目的とした。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、スルホン酸基を含む有機オニウム塩を触媒として用いることにより、上記の課題を解決可能なことを見出して本発明を完成させたものである。すなわち、本発明の脂肪酸エステルの製造方法は、油脂類とアルコール類とのエステル交換反応による脂肪酸エステルの製造方法であって、スルホン酸の有機オニウム塩を触媒として用いることを特徴とするものである。
本発明においては、油脂類に天然油脂、合成油脂、合成トリグリセリド、モノグリセリド及び/又はジグリセリドを含む合成トリグリセリド、これらの変性物、又はこれらを含む廃品油脂類を用いることができる。
また、アルコール類には、炭素数1〜8のアルコール又はメチルセロソルブを用いることができる。
また、スルホン酸には、フッ素含有スルホン酸を用いることができる。
また、上記のスルホン酸の有機オニウム塩には、ペンタフルオロフェニルアンモニウムトリフラート、トリフェニルホスホニウムトリフラート、ジクロロアニリニウムトリフラート又はトリクロロアニリニウムトリフラートのいずれかを用いることができる。
本発明に触媒として用いる有機オニウム塩は、繰り返し反応に使用することが可能である。すなわち、本発明に用いる有機オニウム塩は、アルコールに溶解させて用いるが、反応時には油脂とアルコールの2層界面でその触媒作用を発現させ、反応後には生成したグリセリンに溶解する。そのため、脂肪酸エステルやグリセリン、そしてアルコールを蒸留により回収した後、反応容器内に残渣として残留させることができる。そのため、反応容器に新たな油脂とアルコールを添加することにより、次の反応を行うことができる。これにより、従来の均相アルカリ触媒法と異なり、触媒分離の工程が不要となる。また、アルカリ触媒を用いないので、脂肪酸石鹸が生成しない。また、時間当たりの脂肪酸エステルの生成量が大きい。また、油脂類を高濃度で使用することが可能である。これにより、従来に比べ、より効率的に脂肪酸エステルを製造することができる。
本発明におけるエステル転化率と時間との関係を示すグラフの一例であり、実施例1から4の結果を示している。
[1]触媒
本発明で触媒として用いる有機オニウム塩は、有機オニウムカチオンとスルホン酸アニオンとからなり、以下の(1)式で表される。
Figure 2008149661
有機オニウムカチオンとは、孤立電子対を有する元素を含む化合物において、孤立電子対にプロトン又は他の陽イオンが配位結合して生じるカチオンである。式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、あるいは置換基を有しても良い直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。Aは窒素原子又はリン原子を表す。また、R〜Rのうちの1個ないし3個が水素原子であっても良い。また、Xは、スルホン酸基を表す。
直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等を挙げることができる。脂環式炭化水素基としてはシクロアルキル基を挙げることができる。芳香族炭化水素基としては、アリール基やアラルキル基を挙げることができる。複素環基としては、含窒素の単環又は縮合環化合物を挙げることができる。また、上記脂肪族炭化水素基等の置換基としてはハロゲン原子を挙げることができる。好ましくはフッ素原子である。
有機オニウムカチオンの具体例として、例えば以下の窒素カチオンを挙げることができる。トリエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、エチルジメチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−プロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム、アニリニウム、ジフェニルアンモニウム、テトラフェニルアンンモニウム等の芳香族アンモニウム、N,N−ジメチルピロリジウム、N,N−ジメチルピペリジニウム、N,N−ジメチルモルホリニウム等の脂環式アンモニウム、ピリジニウム、ピラゾリウム、N−メチルイミダゾリウム、N−メチルピリジニウム等の含窒素複素環化合物を挙げることができる。好ましくはアニリニウム、ピラゾリウム、N−メチルイミダゾリウムである。さらに、アニリニウムは、フッ素置換体、または塩素置換体、具体的にはペンタフルオロアニリニウム、ジクロロアニリニウム又はトリクロロアニリニウムが好ましい。
また、リンカチオンについては、以下のものを挙げることができる。
トリアリールホスホニウム、アリールジアルキルホスホニウム、ジアリールアルキルホスホニウム、トリアルキルホスホニウム等を挙げることができる。好ましくはトリアリールホスホニウム、具体的にはトリフェニルホスホニウムである。
本発明で用いる有機オニウム塩は、ブレンシュテッド酸としてエステル交換反応を触媒するため、そのpKaが小さいほど(酸性が強いほど)好ましい。そのため、アニオンにはスルホン酸を用いる。スルホン酸には、置換基を有しても良い、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等のアルキルスルホン酸や、置換基を有しても良い、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のアリールスルホン酸を挙げることができる。好ましくは超強酸であり、具体例を挙げると、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロヘキサンスルホン酸等のハロゲン化アルキルスルホン酸である。ここで、超強酸とは100%硫酸よりも強い酸であり、例えば、本発明では、ハメットの酸度関数(H)で表すと、Hが−12より小さい酸をいう。例えば、トリフルオロメタンスルホン酸は−14.5、パーフルオロエタンスルホン酸は−14.0、パーフルオロブタンスルホン酸は−13.2、パーフルオロヘキサンスルホン酸は−12.3である。
本発明の有機オニウム塩は、上記の窒素カチオン又はリンカチオンと、スルホン酸アニオンとの組合せであれば特に限定されないが、好ましくはペンタフルオロアニリンとトリフルオロメタンスルホン酸とからなる、ペンタフルオロフェニルアンモニウムトリフラート(以下、PFPATと略す。)、又はトリフェニルホスフィンとトリフルオロメタンスルホン酸とからなる、トリフェニルホスホニウムトリフラート(以下、TPPTと略す。)又は、ジクロロアニリン(置換位置は問わない)とトリフルオロメタンスルホン酸とからなるジクロロアニリニウムトリフラート、トリクロロアニリン(置換位置は問わない)とトリフルオロメタンスルホン酸とからなるトリクロロアニリニウムトリフラートである。より好ましくは、ジクロロアニリニウムトリフラート、トリクロロアニリニウムトリフラート、さらに好ましくは、2,4−ジクロロアニリニウムトリフラート、2,5−ジクロロアニリニウムトリフラートである。
油脂に対する触媒濃度は、0.1〜30モル%、より好ましくは0.1〜10モル%である。触媒濃度は、反応温度と反応時間に影響を与えるので、上記の範囲内で適宜選定することができる。例えば、触媒を油脂に対して10モル%用い、アルコールとしてメタノールを用い、反応温度60℃で行った場合は24時間で油脂の転化率は100%となるが、触媒を油脂に対して1モル%用い、アルコールとしてメタノールを用い、反応温度130℃で行った場合は4時間で油脂の転化率は100%となる。すなわち、反応は完全に触媒量に依存した偽一次反応となるので、温度と反応に要する時間は反比例の関係になる。ここで、油脂の転化率とは、以下の式で定義されるものである。
転化率=(1−反応後残存油脂量/反応前油脂量)×100
[2]反応基質
本発明で使用される油脂類は特に限定されるものではなく、天然油脂でも合成油脂でも、これらの混合物でもよい。例えば、大豆油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、ヒマワリ油、オリーブ油、サフラワー油、ココナッツ油、カシ油、アーモンド油、クログルミ油、アンズの仁油、ココアバター油、大風子油、紅花油、シナ脂、アマニ油、綿実油、ナタネ油、キリ油、ヒマシ油、綿実ステアリン、ゴマ油等の植物系油脂、ラード油、ニワトリ油、バター油、タラ肝油、鹿脂、イルカ脂、イワシ油、サバ油、馬脂、豚脂、骨油、羊脂、牛脚油、ネズミイルカ油、サメ油、マッコウクジラ油、鯨油、牛脂、牛骨脂などの動物系油脂、レストラン、食品工場、一般家庭などから廃棄される植物油等を例示できる。これらの油脂を単独あるいは混合した油脂、ジグリセリドやモノグリセリドを含む油脂、合成されたトリグリセリド、モノグリセリド及び/ 又はジグリセリドを含む合成トリグリセリド、これらの油脂類の一部を酸化、還元等の処理をして変性した変性油脂でもよい。または、これらの油脂を主成分とする油脂加工品も原料とすることができる。
油脂中には、油脂以外の成分が混入していてもよい。具体的には、原油、重油、軽油、鉱物油、精油、石炭、脂肪酸、糖類、金属粉、金属塩、タンパク質、アミノ酸、炭化水素、コレステロール、フレーバー、色素化合物、酵素、香料、アルコール、繊維、樹脂、ゴム、塗料、セメント、洗剤、芳香物化合物、脂肪族化合物、すす、ガラス、土砂、含窒素化合物、含硫黄化合物、含リン化合物、含ハロゲン化合物等を挙げることができるが、これには限定されない。これらの異物成分は、好ましくは沈降、濾過、分液などにより除去した後使用する。なお、廃油中に含有される可能性のある、水分、脂肪酸、糖類、アミノ酸、タンパク質については、本発明においては反応に影響を与えない。
[3]アルコール類
本発明に使用するアルコール類は特に限定されないが、飽和の直鎖または分岐鎖の脂肪族炭化水素骨格を有するアルコール類である。好ましくは炭素数1〜8、さらに好ましくは炭素数1〜5のアルコール類である。さらに置換基として、ハロゲン原子やエーテル基を有していても良い。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、メチルセロソルプなどを挙げることができる。これらのアルコール類を単独あるいは2種以上混合して使用することができる。好ましくは、メタノール、エタノール及びメチルセロソルプのいずれか1種である。入手が容易で、得られる脂肪酸エステルの利用性が高いからである。なお、本発明においてアルコール類は、油脂類を加アルコール分解(エステル交換反応)する反応基質として作用するほか、油脂類の希釈や粘度を調節するための溶媒としての作用も有する。
[4]油脂類とアルコール類のモル比
反応基質として使用する油脂類とアルコール類とのモル比(油脂類/アルコール類)は、1/1以上であれば特に制限はないが、好ましくは1/20〜1/2、さらに好ましくは1/15〜1/3、さらに好ましくは1/10〜1/2の範囲である。油脂類対アルコール類のモル比が小さい時(例えば1/2)反応は2次反応となり、反応の完結に有する時間が長くなり、油脂類対アルコール類のモル比が大きい時(例えば1/10)反応は偽1次反応となり、反応を短時間で完結させることができる。なお、油脂類とアルコール類は、両者の混合物として存在して居ればよく、十分な攪拌がなされていれば、特に均一相を形成する必要はない。なお、本発明においては、特に断らない限り、油脂類とアルコール類とのモル比は、油脂中のエステル1個当りに対するアルコールのモル数で表す。
[5]その他の反応条件
反応温度としては、室温から200℃、より好ましくは60〜130℃である。反応は使用する油脂類対アルコール類のモル比によって、2次反応または偽一次反応となるので、反応温度が高いほど速い反応速度が得られるが、60〜130℃で行うのが好ましい。
反応時間(接触時間)は反応温度や触媒の使用量に左右される。例えば、反応温度を60℃として、触媒を油脂に対して10モル%用い、アルコールとしてメタノールを用いた場合、20時間で油脂の転化率は100%となる。一方、反応温度を130℃とした場合は触媒を油脂に対して1モル%用い、アルコールとしてメタノールを用いた場合4時間で油脂の転化率は100%となる。したがって、反応時間は、触媒濃度や反応温度により適宜選定することができる。
反応圧力は特に制限されない。常圧下で実施するのが操作上簡便であるが、必要に応じて1〜10気圧程度に加圧してもよい。低沸点のアルコールを用いる場合には、所望の反応温度を確保するため、密閉容器にて加圧下反応することが望ましい。
反応溶媒は特に必要とはしない。反応基質として使用するアルコール類が溶媒としての作用を兼ねるからである。
本発明を実施する反応装置の形式は特に限定されない。バッチ法、連続法などの反応方法に応じて、撹拌槽、流動層反応器、振とう型反応器等を用いて行うことができる。
[6]後処理(分離、精製、触媒の再利用など)
撹拌槽型反応器を使用した場合は、所定の温度まで冷却し、液相を脂肪酸エステル層とグリセリン層に成層分離する。遠心分離を利用することもできる。脂肪酸エステル層は、要すれば水洗浄、アルカリ洗浄、吸着剤処理等をして、更にアルコール類を除去して製品化することができる。吸着剤としては、活性炭、酸性白土、珪藻土などが使用できる。一方、グリセリン層は比重差によって分離でき、公知の方法にてグリセリンを回収することができる。また、分相操作によらなくとも、反応終了後直接蒸留により、アルコール類とグリセリンを回収し、さらに脂肪酸エステルを回収することができる。なお、触媒は蒸留残渣として反応容器内に残る。これにより、新しい油脂類およびアルコール類を添加して次の反応を行うことができ、触媒は再利用可能である。なお、触媒は必要に応じて再結晶により精製して再利用することができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
合成例1(PFPATの合成)
2,3,4,5,6−ペンタフルオロアニリン(東京化成社製) 5.0gをジクロロメタン25ml中に溶解させ、氷冷しながらトリフルオロメタンスルホン酸(東京化成社製) 2.4mlをゆっくり滴下し混合、攪拌した。析出した結晶を吸引ろ過し、ろ過物をジエチルエーテルで洗い、減圧乾燥した。やや紫がかった乳白色の結晶が得られた。収率は79.6%であった。融点は211.5℃であった。
合成例2(TPPTの合成)
200mlナスフラスコ中で塩化メチレン25mlにトリフェニルホスフィン(和光純薬社製)2.3gを溶解し、氷冷、攪拌しながらトリフルオロメタンスルホン酸0.9mlを少しずつ滴下した。塩化メチレン/ジエチルエーテル/ヘキサン=2/2/1の溶媒から析出した結晶を吸引ろ過して減圧乾燥した。収率78.9%
参考文献:van der Akker, M. Jellinek, Recl. Trav. Chim. Pays-Bas, 1967, 86, 275-288.
分析(H−NMR(500MHz)スペクトル測定)
BRUKERDRX500 spectrometer(ブルカー社製)を使用した。溶媒には標準化合物としてテトラメチルシラン(TMS)を0.03vol%g含むCDC1を用いた。
実施例1(2次反応の検討1)
油脂(日清サラダ油)9.0g、メタノール(和光純薬社製1級)2.7ml(2当量)、PFPAT(36mg、1mol%)、磁気攪拌子を耐圧反応容器に入れ、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、油温130℃のオイルバスにて加熱した。一定時間経過後、油脂相をNMRで分析し、転化率を算出した。結果を図1中の○印で示す。反応が2次反応であることを示している。なお、6時間後の転化率は94.3%であった。
実施例2(2次反応の検討2)
油脂(日清サラダ油)9.0g、メチルセロソルブ(和光純薬社製1級)5.4ml(2当量)、PFPAT(36mg、1mol%)、磁気攪拌子を耐圧反応容器に入れ、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、油温130℃のオイルバスにて加熱した。一定時間経過後、油脂相をNMRで分析し、転化率を算出した。結果を図1中の□印で示す。反応が2次反応であることを示している。なお、4時間後の転化率は90%であった。
実施例3(2次反応の検討3)
油脂(日清サラダ油)9.0g、メチルセロソルブ(和光純薬社製1級)5.4ml(2当量)、TPPT(47mg、1mol%)、磁気攪拌子を50mlナス型フラスコに入れ、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、油温130℃のオイルバスにて加熱した。一定時間経過後、油脂相をNMRで分析し、転化率を算出した。結果を図1中の◇印で示す。反応が2次反応であることを示している。10時間後の転化率は88%であった。
実施例4(偽一次反応の検討)
油脂(日清サラダ油)9.0g、メタノール(和光純薬社製1級)13.5ml(10当量)、PFPAT(36mg、1mol%)、磁気攪拌子を耐圧反応容器に入れ、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、油温130℃のオイルバスにて加熱した。4時間後、室温に放冷した。結果を図1中の△印で示す。転化率は100%であった。
本実施例では、実施例1の場合よりもメタノールを油脂に対し過剰に添加した。その結果、偽一次反応となり、短時間で高い転化率を得ることができた。
実施例5(廃油の検討)
家庭で使用済みの廃油9.0g、メタノール(和光純薬社製1級)13.5ml(10当量)、PFPAT(36mg、1mol%)、磁気攪拌子を耐圧反応容器に入れ、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、油温130℃のオイルバスにて加熱した。6時間後、室温に放冷した。転化率は100%であった。
実施例6(反応温度の検討)
油脂(日清サラダ油)1.7g、メタノール(和光純薬社製1級)0.35g(2当量)、TPPT(0.23g、30mol%)、磁気攪拌子を20mlナス型フラスコに入れ、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、油温60℃のオイルバスにて加熱した。20時間後、室温に放冷した。TLCで分析したところ、転化率は100%であった。
実施例7(触媒種の検討)
油脂(日清サラダ油)20g、メタノール(和光純薬社製1級)35.1g(15当量)、2,5−ジクロロアニリニウムトリフラート(34mg、0.5mol%)、磁気攪拌子を100mlの耐圧反応容器に入れ、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、油温100℃のオイルバスにて加熱した。15時間後、室温に放冷した。内容物を分液ロートにあけ1時間放置し、2層を分離した。メチルエステル層をH−NMRで分析したところ、転化率は100%、グリセリンの含有率は0.1%未満であった。
実施例8(触媒種の検討)
油脂(日清サラダ油)20g、メタノール(和光純薬社製1級)35.1g(15当量)、2,4,6−トリクロロアニリニウムトリフラート(38mg、0.5mol%)、磁気攪拌子を100ml耐圧反応容器に入れ、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、油温130℃のオイルバスにて加熱した。2時間後、室温に放冷した。内容物を分液ロートにあけ1時間放置し、2層を分離した。メチルエステル層をH−NMRで分析したところ、転化率は100%、グリセリンの含有率は0.1%未満であった。
実施例9(触媒の再利用の検討)
サラダ油 9.01gにメタノール (20.08ml, 0.495mol, 45当量)、2,5−ジクロロアニリウムトリフラート(0.0346g,0.110mmol,1当量)を高耐圧反応容器中で、100℃で15時間加熱撹拌し、分層後、上層(メタノール層)と下層(メチルエステル層)を分別し、H−NMRで下層を分析した。そして、上層を50mlのメスシリンダーに移し、メタノールを加えて20.08mlにした後、高耐圧反応容器に戻し、サラダ油9.02gを加えて再び100℃で15時間反応させた。その後同様にして、H−NMRで下層を分析した。さらに同様の操作を2回繰り返した。以下の表1に示すように、触媒を4回繰り返し使用しても、100%の転化率が得られた。
Figure 2008149661

Claims (5)

  1. 油脂類とアルコール類とのエステル交換反応による脂肪酸エステルの製造方法であって、スルホン酸の有機オニウム塩を触媒として用いる脂肪酸エステルの製造方法。
  2. 上記油脂類が天然油脂、合成油脂、合成トリグリセリド、モノグリセリド及び/又はジグリセリドを含む合成トリグリセリド、これらの変性物、又はこれらを含む廃品油脂類である請求項1に記載の脂肪酸エステルの製造方法。
  3. 上記アルコール類が炭素数1〜8のアルコール又はメチルセロソルブである請求項1又は2に記載の脂肪酸エステルの製造方法。
  4. 上記スルホン酸がフッ素含有スルホン酸である請求項1から3のいずれか一つに記載の脂肪酸エステルの製造方法。
  5. 上記のスルホン酸の有機オニウム塩が、ペンタフルオロフェニルアンモニウムトリフラート、トリフェニルホスホニウムトリフラート、ジクロロアニリニウムトリフラート又はトリクロロアニリニウムトリフラートである請求項1記載の脂肪酸エステルの製造方法。
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