本発明は、各種DVD(Digital Versatile Disc)ディスクや、Blu−rayディスクなどの高密度記録媒体に対して情報を再生または記録する光ディスク装置に関し、特に、レンズシフトに伴いピックアップに搭載された対物レンズの傾斜(以下、チルトと記す)、およびコマ収差の影響を抑圧可能とするチルト制御方法、集積回路、および光ディスク装置に関する。
従来の光ディスク装置のピックアップでは、対物レンズが、ディスク半径方向にレンズシフトすると同時に、チルトすることが知られていた。また、ピックアップの光学部品構成によって、対物レンズが、ディスク半径方向にレンズシフトすると同時に、コマ収差が発生することも知られていた。
そこで前者に対して、磁気回路の構造に工夫をして、対物レンズがレンズシフトしても、チルトが発生しないようにしたピックアップ、およびレンズシフトに伴うチルトを、セルフキャンセルするピックアップが提案された(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開平10−031829号公報
特開2004−127422A号公報
DVDやBlu−rayディスクなどは、高密度記録を実現するために、ピックアップの対物レンズの許容チルト範囲(チルトマージン)が狭く、高精度なチルト制御を必要としている。そこで、ディスク反りなどがあった場合においても、ディスクに記録されたデータの再生、およびディスクへの記録を、精度よく行うことのできる光ディスク装置が要望されている。
特許文献1、あるいは特許文献2に記載の従来の発明は、ピックアップの磁気回路の構造に工夫をして、対物レンズがレンズシフトしても、チルトが発生しないようにした、あるいは対物レンズがレンズシフトしても、これをセルフキャンセルするようにしたものであったが、ピックアップの組立精度が要求される場合、あるいは精密機器であるが故に何らかの原因でピックアップの組立精度が変化した場合に、レンズシフトが発生すると、チルトが発生する、あるいはこのレンズシフトをキャンセルできずに再生、および記録ができないという課題を有していた。
本発明は、前記のような従来の課題に鑑みてなされたもので、ディスク反りのみならず、レンズシフトによる対物レンズのチルトや、ピックアップのコマ収差に対しても、チルト補正を行うことのできるチルト制御方法、集積回路、および光ディスク装置を提供することを目的としている。
(1)本発明の第1のチルト制御方法は、光ビームを光ディスクに集光する対物レンズよりの出射光の光軸ずれ量を検出する第1のステップと、光ディスクのディスク反り量を検出する第2のステップと、前記第1のステップにおいて検出した光軸ずれ量と、前記第2のステップにおいて検出したディスク反り量に基づいて、前記対物レンズの傾きを制御する第3のステップとを、行なわせることを特徴とする。
また、本発明の第1の集積回路は、光ビームを光ディスクに集光する対物レンズよりの出射光の光軸ずれ量を検出する光軸ずれ量検出手段と、光ディスクのディスク反りを検出するチルト検出手段と、前記光軸ずれ量検出手段の出力、および前記チルト検出手段の出力に基づいて、前記対物レンズの傾きを制御する対物レンズ傾き制御手段と、前記対物レンズ傾き制御手段の出力に基づいて対物レンズを駆動するチルト駆動手段とを、備えた、ことを特徴とする。
(2)本発明の第2のチルト制御方法は、光ビームを光ディスクに集光する対物レンズよりの出射光の光軸ずれ量を検出する第1のステップと、前記第1のステップにおいて検出した光軸ずれ量に基づいてチルト補正量を決定する第2のステップと、前記第2のステップにおいて決定した前記チルト補正量と、光ディスクのディスク反りを補正する出力とを加算する第3のステップと、前記第3のステップにおいて加算した出力によって、前記対物レンズの傾きを制御する第4のステップとを、行なわせることを特徴とする。
また、第2のステップは、前記光ディスクのディスク反りに対して、予め前記対物レンズの傾きを制御した状態で、前記第1のステップにおいて検出した光軸ずれ量に基づいてチルト補正量を決定する、ことを特徴とする。
また、第2のステップは、所定量の光軸ずれを発生させ、再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力を検出する動作を少なくとも2点以上、前記所定量を変化させて行い、前記所定量と前記対物レンズの傾きを制御する出力との比率を算出し、前記第1のステップで検出した光軸ずれ量に前記比率を乗算して、チルト補正量を決定する、ことを特徴とする。
また、第2のステップは、所定量の光軸ずれを発生させ、再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力を検出する動作を少なくとも2点以上、前記所定量を変化させて行い、前記所定量と前記対物レンズの傾きを制御する出力との比率を算出し、それぞれの光軸ずれ量に対する比率をテーブル化しており、前記第1のステップで検出した光軸ずれ量に応じて、前記テーブルから前記比率を決定して、前記第1のステップで検出した光軸ずれ量に前記比率を乗算して、チルト補正量を決定する、ことを特徴とする。
また、第2のステップは、光軸ずれを発生させない状態での再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力と、光軸ずれを発生させた状態での再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力とを検出し、光軸ずれ量に対する前記対物レンズの傾きを制御する出力の比率を算出し、前記比率が第1の所定値よりも小さい場合にチルト補正量をゼロとする、ことを特徴とする。
また、第2のステップは、光軸ずれを発生させない状態での再生信号の品質と、光軸ずれを発生させた状態での再生信号の品質との差が第1の所定値よりも小さい場合に、チルト補正量をゼロとする、ことを特徴とする。
また、第2のステップは、光ビームを前記光ディスクの任意のトラックに位置決め制御するトラッキング制御ループが開いているときに前記第2のステップはチルト補正量をゼロとする、ことを特徴とする。
また、本発明の第2の集積回路は、光ビ-ームを光ディスクに集光する対物レンズよりの出射光の光軸ずれ量を検出する光軸ずれ量検出手段と、光ディスクのディスク反りを検出するチルト検出手段と、前記チルト検出手段の出力に基づいて、前記対物レンズの傾きを制御する信号を出力するチルト制御手段と、前記光軸ずれ量検出手段の出力に基づいて、前記対物レンズの傾きを制御するチルト補正量を決定し出力するチルト補正制御手段と、前記チルト制御手段の出力と、前記チルト補正制御手段の出力とを加算する加算手段と、前記加算手段の出力によって、前記対物レンズの傾きを制御するチルト駆動手段とを、備えた、ことを特徴とする。
また、前記チルト補正制御手段は、予め前記ディスクのディスク反りに対する対物レンズの傾きを前記チルト制御手段によって制御している状態で、前記光軸ずれ量検出手段の出力に基づいて、前記対物レンズの傾きを制御するチルト補正量を決定し出力する、ことを特徴とする。
また、前記チルト補正制御手段は、所定量の光軸ずれを発生させ、再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力を検出する動作を少なくとも2点以上、前記所定量を変化させて行い、前記所定量と前記対物レンズの傾きを制御する出力との比率を算出し、前記光軸ずれ量検出手段の出力に前記比率を乗算した値をチルト補正量として出力する、ことを特徴とする。
また、前記チルト補正制御手段は、所定量の光軸ずれを発生させ、再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力を検出する動作を少なくとも2点以上、前記所定量を変化させて行い、前記所定量と前記対物レンズの傾きを制御する出力との比率を算出し、それぞれの光軸ずれ量に対する比率をテーブル化しており、前記光軸ずれ量検出手段が検出した光軸ずれ量に応じて、前記テーブルから前記比率を決定して、前記光軸ずれ量検出手段が検出した光軸ずれ量に前記比率を乗算しした値をチルト補正量として出力する、ことを特徴とする。
また、前記チルト補正制御手段は、光軸ずれを発生させない状態での再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力と、光軸ずれを発生させた状態での再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力とを検出し、光軸ずれ量に対する前記対物レンズの傾きを制御する出力の比率を算出し、前記比率が第1の所定値よりも小さい場合にチルト補正量をゼロとする、ことを特徴とする。
また、前記チルト補正制御手段は、光ビームを前記光ディスクの任意のトラックに位置決め制御するトラッキング制御ループが開いているときに前記チルト補正制御手段はチルト補正量をゼロとする、ことを特徴とする。
(3)本発明の光ディスク装置は、光ビームを光ディスクに集光する対物レンズと、前記対物レンズの傾きを変化させるチルトアクチュエータと、前記対物レンズよりの出射光の光軸ずれを検出する光軸ずれセンサと、光ディスクのディスク反りを検出するチルト検出手段と、前記光軸ずれセンサの出力に基づいて、チルト補正量を決定し出力するチルト補正制御手段と、前記チルト検出手段の出力に基づいて、前記対物レンズの傾きを制御する信号を出力するチルト制御手段と、前記チルト制御手段の出力と、前記チルト補正制御手段の出力とを加算する加算手段と、前記加算手段の出力によって、前記チルトアクチュエータを駆動するチルト駆動手段とを、備えたことを特徴とする。
本発明によれば、光ディスクにデータを記録する、あるいは光ディスクからデータを再生する場合に、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが発生したときの対物レンズのチルト、およびピックアップのコマ収差による、あるいは光ディスクのディスク反りによる、光ディスクからの反射光に基づく再生信号の劣化を、ディスク反りの影響と、光軸ずれによる影響とを考慮したチルト制御を行って対物レンズの傾きを適切に補正することにより、適確に抑圧することができる。
また、本発明によれば、光ディスクにデータを記録する、あるいは光ディスクからデータを再生する場合に、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが発生したときの対物レンズのチルト、およびピックアップのコマ収差による、あるいは光ディスクのディスク反りによる、光ディスクからの反射光に基づく再生信号の劣化を、ディスク反りの影響を制御するディスクチルト制御に加えて、光軸ずれによる影響を光軸ずれ量に応じた補正値により適切に制御するチルト補正制御をも行って対物レンズの傾きを適切に精度よく補正することにより、精度よく抑圧することができ、正確なデータの記録、あるいは再生を行うことができる。
また、対物レンズが所定以上チルトする、あるいはピックアップのコマ収差が所定以上発生した場合にのみ、チルト補正に加えて行うチルト補正制御を実行するので、このような場合に、記録媒体からの反射光に基づく再生信号の劣化を、対物レンズの傾きを適切に精度よく補正することにより精度よく抑圧でき、正確なデータの記録、あるいは再生を行うことができる。さらには、光軸ずれによる再生信号の劣化が少ない場合においては、チルト補正制御を実行しないので、対物レンズの光軸ずれによって光軸ずれ量検出手段の出力が異常状態になったような場合にも、チルトアクチュエータに過大な入力信号が与えられるようなことがなく、装置の誤動作等を防止できるという効果が得られる。
また、本発明によれば、光ディスクにデータを記録する、あるいは光ディスクからデータを再生する場合に、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが発生したときの対物レンズのチルト、およびピックアップのコマ収差による、あるいは光ディスクのディスク反りによる、光ディスクからの反射光に基づく再生信号の劣化を、ディスク反りの影響を制御するチルト制御に加えて、光軸ずれを正確に検出し、光軸ずれによる影響を光軸ずれ量に応じた補正値により適切に制御するチルト補正制御をも行って対物レンズの傾きを適切に精度よく補正することにより、精度よく抑圧することができ、正確なデータの記録、あるいは再生を行うことができる。
図1は、本発明の実施の形態1による光ディスク装置1010を示すブロック図である。
図2は、前記実施の形態1の光ディスク装置1010における、再生信号RF振幅(a)およびジッタ検出手段出力JITのレンズシフト特性(b)を示す図である。
図3は、本発明の実施の形態1の光ディスク装置1010における、光軸ずれ量検出手段13、チルト検出手段14、およびマイコン10Aを示す図である。
図4は、本発明の実施の形態1による光ディスク装置1020を示すブロック図である。
図5は、本発明の実施の形態1の光ディスク装置1020による光軸ずれ量検出手段13、チルト検出手段14’、およびマイコン10Aを示す図である。
図6は、本発明の実施の形態1による、集積回路20を含む光ディスク装置1030を示すブロック図である。
図7(a)は、本発明の実施の形態2による光ディスク装置2010を示すブロック図である。
図7(b)は、本発明の実施の形態2による光ディスク装置2010における、チルト検出手段14、およびマイコン10Bを示す図である。
図8は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、光軸ずれ量検出手段13、チルト補正制御手段15の構成を示す図である。
図9は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15の所定のゲインkを決定する第1の決定方法を示すフローチャート図である。
図10は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する決定方法を実行する際の、光ピックアップと、対物レンズ2−5の相対位置を示す模式図である。
図11は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する第2の決定方法を示すフローチャート図である。
図12は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15のレンズシフト量に対するゲインの第1の関係図である。
図13は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、対物レンズ2−5のレンズシフト量に対する、チルト補正制御手段15の出力TIC−C、およびマイコン10Bの出力TI−Cの関係図である。
図14は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する第3の決定方法を示すフローチャート図である。
図15は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15のレンズシフト量に対するゲインの第2の関係図である。
図16は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する第4の決定方法を示すフローチャート図である。
図17は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する第5の決定方法を示すフローチャート図である。
図18は、本発明の実施の形態2による光ディスク装置2030を示すブロック図である。
図19は、本発明の実施の形態3による光ディスク装置2020を示すブロック図である。
図20は、本発明の実施の形態4の光ディスク装置2010’ を示すブロック図である。
図21は、本発明の実施の形態4の光ディスク装置2010’における検索動作時の検索信号SEEK、トラッキング制御信号TRON/OFF、チルト補正量TIC−Cの関係図である。
符号の説明
1010 光ディスク装置
1020 光ディスク装置
1030 光ディスク装置
2010 光ディスク装置
2010’ 光ディスク装置
2020 光ディスク装置
2030 光ディスク装置
1 ディスク
2 ピックアップ
2−1 半導体レーザ
2−2 コリメータレンズ
2−3 偏向ビームスプリッタ
2−4 波長板
2−5 対物レンズ
2−6 検出レンズ
2−7 再生光検出器
2−8 トラッキングアクチュエータ
2−9 チルトアクチュエータ
2−10 チルトセンサー
3 移送モータ
4 トラッキング検出手段
5 トラッキング制御手段
6 トラッキング駆動手段
7 再生信号検出手段
8 アドレス検出手段
9 ジッタ検出手段
10 マイコン
10−1 乗算手段
10−2 ディスクチルト制御手段
10−3 減算手段
11 チルト駆動手段
12 移送モータ駆動手段
13 光軸ずれ量検出手段
14 チルト検出手段
14’ チルト検出手段
15 チルト補正制御手段
16 加算手段
17 光軸ずれセンサ
18 AD変換器
19 DA変換器
20 集積回路
21 集積回路
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態による光ディスク装置を説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の光ディスク装置1010を示すブロック図である。
図1を用いて、本発明の実施の形態1による光ディスク装置1010の構成を説明する。
まず最初に、図1において、ディスク1の一例としてBlu−ray Rewritableディスクが装填されているものとする。
半導体レーザ2−1を出射したレーザ光は、コリメータレンズ2−2で平行光にされて、偏向ビームスプリッタ2−3、波長板2−4を通過して、対物レンズ2−5に入射する。対物レンズ2−5に入射したレーザ光は、集光されてディスク1上にビームスポットを形成する。ディスク1上に集光されたビームスポットの反射光は、再び、対物レンズ2−5、波長板2−4を通過し、偏向ビームスプリッタ2−3で、出射光の光路から分離されて、集光レンズ2−6を経て、再生光検出器2−7の所定の受光面上に、集光される。
再生光検出器2−7に集光された反射光は、電気信号に変換されて(図中に示すDETOUT信号)トラッキング検出手段4に入力される。トラッキング検出手段4は、再生光検出器2−7の出力DETOUTより、ディスク1上のトラックと、ビームスポットとのトラック位置ずれ量として、トラッキングエラー信号TEを検出し、トラッキング制御手段5に出力する。トラッキング制御手段5は、トラッキングエラー信号TEに基づいて、ディスク1上のトラックと、ビームスポットとの位置ずれをゼロにするように制御する駆動信号TE−Cを、トラッキング駆動手段6に出力し、かつ、トラッキングをオン、オフするトラッキング制御信号TRON/OFFをマイコン10に出力する。トラッキング駆動手段6は、トラッキング制御手段5の出力TE−Cに基づいて、トラッキングアクチュエータ2−8へトラッキング駆動電流TR−Dを出力する。トラッキングアクチュエータ2−8は、トラッキング駆動電流TR−Dによって、対物レンズ2−5を、ディスク1上のトラックを横断する方向に駆動する。
また、再生光検出器2−7の出力DETOUTは、再生信号検出手段7に出力され、再生信号検出手段7は、再生信号RFを生成する。再生信号RFは、アドレス検出手段8、およびジッタ検出手段9に出力される。アドレス検出手段8の出力IDは、マイコン10Aに出力されて、対物レンズ2−5によってディスク1上に集光されたビームスポットが、ディスク1のどの位置に集光されているのかを検出することができる。また、ジッタ検出手段9の出力JITも、マイコン10Aに出力される。該出力JITによってマイコン110Aは、ディスク1に記録されている情報の再生信号特性や、対物レンズ2−5の位置決め制御の状態を、定量的に検出することができる。
さらに、マイコン10Aは、ピックアップ2をディスク1の半径方向に対して任意に移動させる移送制御信号SL−Cを、移送モータ駆動手段12に出力する。移送モータ駆動手段12は、移送制御信号SL−Cに基づいて、移送モータ3を駆動する移送モータ駆動信号SLED−Dを移送モータ3に出力し、移送モータ3は、移送モータ駆動信号SLED−Dに基づいて、ピックアップ2をディスク半径方向の任意の位置に移送する。
続いて、対物レンズ2−5のディスクに対するディスク1反りを含めた角度差(以下、ディスクチルトと記す)を、ピックアップ2に内蔵されたチルトセンサー2−10により検出する。ディスク1の反りを検出するチルトセンサー2−10はすでに多くのものが実用化されているので説明を省略する。チルトセンサー2−10の出力はチルト検出手段14を介してマイコン10Aに出力される。また、トラッキング駆動手段6の出力を用いて、対物レンズ2−5によって集光されたビームスポットの光軸ずれ量を、光軸ずれ量検出手段13は検出し、マイコン10Aへ出力する。これらの出力に基づいて、マイコン10Aは、ディスクチルト、および対物レンズ2−5の光軸ずれによるチルト、およびコマ収差の影響を制御する制御出力TI−Ctlをチルト駆動手段11に出力する。チルト駆動手段11はマイコン10Aから出力された制御出力TI−Ctlに基づいて、チルトアクチュエータ2−9への駆動電流TILT−Dを出力する。チルトアクチュエータ2−9は、チルト駆動手段11からの駆動電流TILT−Dに基づいて、対物レンズ2−5を、ディスク1半径方向の内周、あるいは外周側に傾けるように駆動する。
図3は、本実施の形態1の光ディスク装置1010における、光軸ずれ検出手段13、チルト検出手段14、およびマイコン10Aを、詳細に示したブロック図である。ここで、図3のマイコン10aは、図1のマイコン10Aの構成の一例を示す。
チルトセンサー2−10によって検出されたディスクチルトは、チルト検出手段14に入力される。また、トラッキング駆動手段6の出力TR−Dは、光軸ずれ量検出手段13に入力される。光軸ずれ量検出手段13は、トラッキングアクチュエータ2−8の動特性Gt(s)に等しい伝達関数Gt^(s)からなるフィルタで構成されている。即ち、光軸ずれ量検出手段13の出力xt^は、対物レンズ2−5のレンズシフト量を推定した出力である。
光軸ずれ量検出手段13の出力は、マイコン10a内部の乗算手段10−1に入力される。
また、前記チルト検出手段14の出力はディスクチルト制御手段10−2に入力される。ディスクチルト制御手段10−2はチルト検出手段14の出力に基づいて、ディスク1と対物レンズ2−5によるチルトをゼロに近づけるようにフィルタ処理し、ディスクチルト制御出力TI−Cを演算する。ここで、ディスクチルト制御手段10−2の伝達特性はHtilt(s)で、制御帯域はモータ回転周波数程度が望ましい。
続いて、マイコン10a内部の乗算手段10−1の出力TIC−Cとディスクチルト制御手段10−2の出力TI−Cを加算し、加算された出力を制御出力TI−Ctlとしてチルト駆動手段11に出力する。
また、乗算手段10−1による所定のゲインKtiltは、ディスクチルトに対して制御された状態における、光軸ずれ量に対する、ジッタ検出手段9の出力JITを最適にできる制御信号TI−Ctlの割合を、1次関数で近似したときの傾きを、設計値として与えたものである。
次に、対物レンズ2−5によって集光されるビームスポットの光軸ずれが生じたときの再生信号特性について、図2を用いて説明する。
図2は、対物レンズ2−5によって集光されたビームスポットの光軸ずれ量に対する、再生信号検出手段7の出力RFの振幅(a)と、ジッタ検出手段9の出力JITの特性(b)を、それぞれ示した図である。
対物レンズ2−5により集光されたビームスポットの光軸ずれ量が、ゼロ近傍のとき、対物レンズ2−5そのものは、チルトすることなく、さらにピックアップ内部のコマ収差もほとんどゼロであるので、再生信号検出手段7の出力であるRF振幅も、図2(a)の実線に示すように、最大値近傍である。また、該RF信号振幅に顕著な変化がなく、信号歪みがないので、ジッタ検出手段9の出力JITも、図2(b)の実線に示すように、最適(最小)値とほとんど差異がない。
この状態から、内周あるいは外周方向に、対物レンズ2−5がレンズシフトし、光軸ずれが発生すると、対物レンズ2−5はディスク内周あるいは外周方向に傾斜し、RF信号振幅は、図2(a)の破線に示すように、小さくなる。また、ジッタ検出手段9が検出するRF信号のジッタJITも、同じく図2(b)の破線に示すように、劣化する。
これに対して、本実施の形態1の光ディスク装置1010では、例えば、前記のように光軸ずれが生じた場合には、マイコン10Aが出力する制御信号TI−Ctlを適切にすることによって、再生信号RF振幅、およびジッタ検出手段9の出力JITは、ともに、図2の実線で示す特性をもつようになる。
即ち、ディスクチルトについてはチルトセンサー2−10によって検出した誤差信号をチルト検出手段14を介してマイコン10aに内蔵したディスクチルト制御手段10−2によって制御し、ディスクチルト制御出力TI−Cを演算する。また、光軸ずれにより発生した対物レンズ2−5のチルト、あるいはコマ収差の影響については、光軸ずれ量検出手段13によって対物レンズ2−5のレンズシフト量を推定することで、光軸ずれ量を検出し、マイコン10a内の乗算手段10−1は、光軸ずれ量検出手段13の出力に、所定のゲインKtiltを乗算してチルト補正量TIC−Cを演算する。そして、乗算手段10−1の出力であるチルト補正量TIC−Cとディスクチルト制御手段10−2の出力TI−Cとを加算し、制御信号TI−Ctlを出力することによって、ディスクチルトと、光軸ずれによる対物レンズ2−5のチルト、およびピックアップのコマ収差の影響を抑圧するように、制御することができる。
図4は、本発明の実施の形態1の光ディスク装置1020を示すブロック図である。本光ディスク装置1020において、前記光ディスク装置1010と同じ構成部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図4の本光ディスク装置1020においては、ディスクチルトを検出するチルト検出手段14’は、アドレス検出手段8の出力IDと、ジッタ検出手段9の出力JITとを、入力信号として用いる。該チルト検出手段14’は、任意のディスク半径位置における再生信号RFのジッタが最適となるマイコン10Aの制御出力TI−Ctlを求めて、テーブル化して格納しておく。
光軸ずれ量検出手段13は、前記光ディスク装置1010におけると同様に、対物レンズ2−5によるレンズシフト量を、光軸ずれ量として推測してマイコン10Aに出力する。
図5は、本実施の形態1の光ディスク装置1020における、光軸ずれ検出手段13、チルト検出手段14’、およびマイコン10Aを、詳細に示したブロック図である。ここで、図5のマイコン10bは、図4のマイコン10Aの構成の一例を示す。
マイコン10bは、図5に示すように、光軸ずれ量検出手段13の出力に所定のゲインKtiltを乗算した信号TIC−Cと、前記チルト検出手段14’の出力TI−Cとを、内部の減算手段10−3で減算して、制御信号TI−Ctlとしてチルト駆動手段11に出力する。
ここで、チルト検出手段14’が格納するテーブルは、任意の半径位置で定義することができる。例えば、テーブル数を1とした場合は、ディスク半径全領域に対して一意の値で、ディスクチルトへの制御信号を出力する。また、テーブル数を2点以上とした場合は、事前にディスクの半径位置と、該半径位置での再生信号RFのジッタが最適となる制御信号TI−Ctlとをテーブル化しておくことで、アドレス検出手段8の出力でディスク半径位置を検出して、ディスクチルトに追従するように、制御信号を出力することができる。
なお、本光ディスク装置1020では、光軸ずれ量検出手段13は、トラッキング駆動手段6の出力TR−Dより、対物レンズ2−5のレンズシフト量を推定して検出する構成としたが、例えば、対物レンズ2−5のレンズシフト量を検出するセンサにより構成してもよく、前記と同様の制御を行うことが可能である。
また、この対物レンズ2−5の光軸ずれ量は、再生光検出器2−7の出力DETOUTから、生成するようにしてもよい。
また、本光ディスク装置1020では、チルトアクチュエータ2−9を駆動するチルト駆動信号TILT−Dを決定するための検出信号に、ジッタ検出手段9の出力JITを用いるようにしたが、これは、再生信号検出手段7の出力RFの振幅を用いるようにしてもよく、同様の効果が得られる。
また、図1、4のマイコン10Aは、それぞれ図3のマイコン10a、図5のマイコン10bのいずれの構成でもよい。
ここで、図1に示した前記光ディスク装置1010の構成の一部を、以下のように集積回路20により構成することができる。
図6は、本発明の実施の形態1の、集積回路20を含む光ディスク装置1030を示すブロック図である。本光ディスク装置1030において、前記光ディスク装置1010と同じ構成部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図6に示す、本光ディスク装置1030においては、トラッキング検出手段4からのアナログ信号をデジタル変換するAD変換器18、トラッキング制御手段5、トラッキング駆動手段6からなるトラッキング制御系を、デジタル制御で構成し、更に、アドレス検出手段8、ジッタ検出手段9、マイコン10A、光軸ずれ量検出手段13、チルト駆動手段11、および移送モータ駆動手段12からなるチルト制御系をも、デジタル制御で構成して、トラッキング駆動手段6、チルト駆動手段11、および移送モータ駆動手段12の出力を、DA変換器19でアナログ変換する構成とし、かつこれらの機能を集積化し、集積回路20として構成したものである。
また、トラッキング制御手段5、光軸ずれ量検出手段13、およびマイコン10Aの機能は、チルト制御プログラムにより構成してもよい。
以上のように、本実施の形態1の光ディスク装置によれば、光ビームを光ディスクに集光する対物レンズよりの出射光の光軸ずれ量を検出する光軸ずれ量検出手段13と、光ディスクのディスク反りを検出するチルト検出手段14と、光軸ずれ量検出手段13の出力、およびチルト検出手段14の出力に基づいて、対物レンズの傾きを制御するマイコン10Aとを備えたので、記録媒体にデータを記録する、あるいは記録媒体からデータを再生するときに、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが起こったときの対物レンズのチルトによって、あるいはコマ収差によって、再生光検出器に入射する反射光が劣化するような場合に、ディスク反りの影響と、光軸ずれによる影響とを考慮して対物レンズの傾きを制御するようにしたので、記録媒体からの反射光に基づく再生信号の劣化を、抑圧することができ、正確なデータの記録、あるいは再生を行うことができる。
(実施の形態2)
図7(a)は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010を示すブロック図である。
図7(a)を用いて、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010の構成を説明する。なお図7(a)において、図1に示される前記光ディスク装置1010と同じ構成部分には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7(a)に示す、本実施の形態2の光ディスク装置2010において、チルト補正制御手段15は、ディスク1へデータを記録、あるいは再生する際に、対物レンズ2−5がレンズシフトして光軸ずれが生じたときの再生信号の劣化を、対物レンズ2−5の光軸ずれ量を検出する前記光軸ずれ量検出手段13と協動して、補正するために設けられた要素である。
即ち、チルト補正制御手段15は、光軸ずれ量検出手段13の出力に基づいて、対物レンズ2−5がレンズシフトした際の、対物レンズ2−5のチルト、およびコマ収差の影響を補正するために、対物レンズ2−5へのチルト補正量TIC−Cを演算して出力する。該チルト補正量TIC−Cは、加算手段16に出力される。
ここで、チルト補正制御手段15には、制御信号TICON/OFFが、マイコン10Bより出力される。
このTICON/OFF信号は、チルト補正制御のON/OFFを制御する信号であり、例えば、トラッキング制御がOFF(信号TRON/OFFがOFF)の状態や、後述するチルト補正制御が必要でない場合には、TICON/OFF信号によって、チルト補正制御は停止される。
なお、このチルト補正制御の詳細については、後ほど詳細に説明する。
ピックアップ2に内蔵されたチルトセンサー2−10はディスク1の反り、即ちディスクチルトを検出し、チルト検出手段14を介してマイコン10Bにディスクチルト量を出力する。マイコン10Bに入力されたチルト検出手段14の出力はディスクチルトに起因するディスク1と対物レンズ2−5によるチルトをゼロに近づけるようにフィルタ処理し、制御出力を演算し、出力TI−Cを加算手段16に出力する。即ち、マイコン10Bは、光ディスクのディスク反りに応じて、対物レンズ2−5のチルトを制御するチルト制御手段としての機能を備えている。
ここで光ディスクのディスク反りに応じて、対物レンズ2−5に適切なチルトを制御するチルト制御手段としてのマイコン10Bの構成について図7(b)を用いて説明する。
図7(b)は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010におけるマイコン10Bの構成を示すブロック図である。チルト検出手段14の出力はディスクチルト制御手段10−2に入力される。ディスクチルト制御手段10−2ではディスク1と対物レンズ2−5によるチルトをゼロに近づけるようにフィルタ処理し、制御出力を演算し、出力TI−Cを加算手段16に出力する。ここで、ディスクチルト制御手段10−2の伝達特性はHtilt(s)で、制御帯域はモータ回転周波数程度が望ましい。
加算手段16は、チルト補正制御手段15の出力TIC−Cと、マイコン10Bの出力TI−Cとを加算して、制御信号TI−Ctlをチルト駆動手段11に出力する。即ち、加算手段16は、光軸ずれによる対物レンズ2−5のチルト、あるいはコマ収差の影響を制御する制御信号TIC−Cと、ディスクチルトを制御する制御信号TI−Cとを加算するものである。
チルト駆動手段11は、加算手段16の出力に基づいて、チルトアクチュエータ2−9を駆動する出力TILT−Dを、チルトアクチュエータ2−9に出力する。チルトアクチュエータ2−9は、チルト駆動手段11からの駆動信号TILT−Dに基づいて、対物レンズ2−5を駆動する。
次に、光軸ずれ量検出手段13、およびチルト補正制御手段15による、光軸ずれに伴うチルト補正制御の詳細について、図8を用いて説明する。
図8は、本実施の形態2の光ディスク装置2010における、光軸ずれに伴うチルト補正制御を行うための、光軸ずれ量検出手段13、およびチルト補正制御手段15の構成を説明するブロック図である。
最初に、光軸ずれ量検出手段13は、図3を用いて説明した通り、トラッキングアクチュエータ2−8の動特性Gt(s)に等しい伝達関数Gt^(s)からなるフィルタで構成されている。したがって、光軸ずれ量検出手段13は、トラッキング駆動手段6からの出力TR−Dを入力として、トラッキングアクチュエータ2−8の位置情報を推定して検出する。
光軸ずれ量検出手段13の出力は、チルト補正制御手段15に入力される。
チルト補正制御手段15は、光軸ずれ量検出手段13の出力に応じて、所定のゲインkを乗算して、チルト補正量TIC−Cを加算手段16に出力する。ここで、所定のゲインkは、対物レンズ2−5の光軸ずれ量に応じて可変できるように構成されている。
対物レンズ2−5は、一般的に光軸ずれ量が小さいときは、チルト量およびコマ収差の影響も小さく、あるいは無視できるが、光軸ずれ量が大きくなるほどに、チルト量あるいはコマ収差も増大する傾向がある。
このような特性に対応することを、本実施の形態2の光ディスク装置2010では、図8に示す、光軸ずれ量検出手段13、およびチルト補正制御手段15よりなる構成によって実現している。
図8に示す光軸ずれ量検出手段13とチルト補正制御手段15よりなる構成では、チルト補正制御手段15は、対物レンズ2−5が50μmレンズシフトする毎に、光軸ずれ量検出手段13の出力に乗算する所定のゲインkを可変できる構成のテーブルを有している。
即ち、対物レンズ2−5のレンズシフト量が200μmから151μmの範囲では、所定のゲインkはk4、対物レンズ2−5のレンズシフト量が150μmから101μmの範囲では、所定のゲインkはk3、対物レンズ2−5のレンズシフト量が100μmから51μmの範囲では、所定のゲインkはk2、対物レンズ2−5のレンズシフト量が50μmから1μmの範囲では、所定のゲインkはk1、対物レンズ2−5のレンズシフト量が0μmから−50μmの範囲では、所定のゲインkはk(−1)、対物レンズ2−5のレンズシフト量が−51μmから−100μmの範囲では、所定のゲインkはk(−2)、対物レンズ2−5のレンズシフト量が−101μmから−150μmの範囲では、所定のゲインkはk(−3)、対物レンズ2−5のレンズシフト量が−151μmから−200μmの範囲では、所定のゲインkはk(−4)と設定している。
また、本光ディスク装置2010では、所定ゲインkをk4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)の8点で設定する例を示しているが、これに限るものではなく、所定のゲインkを2点以上で任意に設定することも可能である。
なお、既に説明した通り、マイコン10Bからは、制御信号TICON/OFFが、チルト補正制御手段15に出力されており、この制御信号TICON/OFF信号は、チルト補正制御が不要な場合にチルト補正制御をOFFするよう切り替えて出力され、これにより所定のゲインkをゼロとすることによって、チルト補正制御は停止される。
次に、所定のゲインkの構成要素であるk4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)の、第1の決定方法、および第2の決定方法を、図9、図10、図11を用いて説明する。
図9は、本実施の形態2の光ディスク装置2010における、所定のゲインkの構成要素であるk4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)を決定する第1の決定方法のアルゴリズムを、フローチャートに示したものである。
最初に、図7(a)に示される光ディスク装置2010は、ディスク1を所定の回転数で駆動し、半導体レーザ2−1は、ディスク1のデータを再生するための光出力を出力し、対物レンズ2−5はディスク1のトラック上にビームスポットを集光する。
次に、図7(a)には図示していないが、ビームスポットをディスク1記録面に集光するように焦点位置を制御し、更に、トラッキング制御手段5によって、ディスク1のトラックの中心位置近傍にビームスポットを集光するように制御を行う、即ちサーボONを行い(以下、STEP0と称す)、続いて、ディスク1の記録済み領域を探索する。例えば、DVDディスクや、Blu−rayディスク規格で定義された記録情報管理領域などを再生して、既にデータが記録されたトラックが存在するか否かを検出する(STEP1−1)。
次に、ディスク1上に記録済み領域があるか否かを判別する(STEP1−2)。もし、記録済み領域が存在しない場合(STEP1−2でNO)、記録されたトラックを作成するために、テスト記録可能領域へビームスポットをシークさせる(STEP1−3)。テスト記録可能領域として、例えば、DVDディスクや、Blu−rayディスクなどのパワー補正領域(PCA領域)などへシークをするようにしてもよい。
続いて、テスト記録可能領域へテスト記録を行う(STEP1−4)。
これらによって、ディスク1上に記録済み領域がない場合、例えば、ブランクディスクが装填された場合でも、所定のゲインkを決定するための領域を作成することができる。
続いて、ディスク1上の記録済み領域に、ビームスポットをシークさせる(STEP1−5)。そして、記録済み領域におけるデータのジッタを測定することによって、チルト補正制御手段15の所定のゲインkの構成要素k4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)を決定する(STEP2)。ここで、所定のゲインkの詳細な決定方法は、図10、図11を用いて、後ほど説明する。
そして、所定のゲインkの構成要素k4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)が決定された後に、マイコン10Bは、チルト補正制御をONするように、TICON/OFF信号を切り替えて、光軸ずれに伴う対物レンズ2−5のチルト補正制御を実行する(STEP3)。
引き続いて、図9のSTEP2における所定のゲインkの決定方法について、図10、図11を用いて詳細に説明する。
図10は、本実施の形態2の光ディスク装置2010において、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkの構成要素k4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)を決定する際の、ピックアップ2と、対物レンズ2−5との位置関係を示す模式図であり、図11は、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkの構成要素k4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)を決定する第2の決定方法のフローチャートを示す図である。
図11において、最初に、マイコン10Bは、チルト補正制御手段15に、チルト補正制御ONを示すTICON/OFF制御信号を出力する(STEP2−1−1)。
続いて、ビームスポットは、記録済み領域にシークしている状態で、スチルジャンプを開始する。即ち、ディスク1の記録済みトラックの任意の基点から隣接する1トラック、あるいは数トラックの区間で、ビームスポットは位置制御されている(STEP2−1−2)。その結果、図10(a)に示すように、光軸ずれ量がゼロ近傍の状態で制御することができている。
次に、光軸ずれがゼロ近傍の状態での最適チルト調整を実施する。ここでは、STEP2−1−2で位置制御されたトラックでのジッタを測定し、ジッタが最小になるためのチルト補正量TIC−Cを検出し、TIC−C(0)として記憶する(STEP2−1−3)。
続いて、スチルジャンプを解除し(STEP2−1−4)、光軸ずれ量を、外周方向に51μmとするように、チルト補正制御手段15、およびマイコン10Bの変数を設定する(STEP2−2−1)。
次に、マイコン10Bは、移送モータ駆動手段12を介して、移送モータ3を、STEP2−1−3で最適チルト調整した記録済み領域よりも内周方向に51μm移送し(STEP2−2−2)、続いて、移送モータの駆動を停止する(STEP2−2−3)。
続いて、マイコン10Bは、対物レンズ2−5に対して、STEP2−1−3で最適チルト調整したトラックにビームスポット位置を制御するために、トラッキング駆動手段6を介して、レンズシフト駆動信号LS−Cを出力する。レンズシフト駆動信号LS−Cにしたがって、トラッキングアクチュエータ2−8は、対物レンズ2−5を外周方向に51μmだけレンズシフトするように駆動する(STEP2−2−4)。
次に、STEP2−1−2と同様に、スチルジャンプを開始する(STEP2−2−5)。即ち、図10(b)に示すように、ビームスポットはSTEP2−1−3の状態と同じトラックに位置制御されているが、光軸は51μmだけ外周側にずれた状態に制御されている。その結果、図10(b)に示すように、光軸ずれ量が外周側に51μmずれた状態にあるが、図10(a)に示した調整開始位置と同じ位置近傍に、ビームスポットを制御することができている。
続いて、STEP2−1−3と同じように、光軸ずれ量が外周側に51μmずれた状態での最適チルト調整を実施する。ここでは、STEP2−2−5で位置制御されたトラックでのジッタを測定し、ジッタが最小となるチルト補正量TIC−Cを検出し、TIC−C(51)として記憶する。そして、STEP2−1−3にて検出したチルト補正量TIC−C(0)とTIC−C(51)の差をレンズシフト量51μmで除算した値を所定のゲインkをk1として、テーブルに設定する(STEP2−2−6)。
次に、再びスチルジャンプを解除し(STEP2−2−7)、光軸ずれ量をSTEP2−2−1で設定した値に対して更に50μm加算するように、チルト補正制御手段15、およびマイコン10Bの変数を設定する(STEP2−2−8)。
そして、STEP2−2−8で設定した光軸ずれ量の変数が200よりも大きくなければ、光軸ずれ量の変数に応じて、STEP2−2−2以降を繰り返して実行する。この処理を繰り返して、チルト補正制御手段15はレンズシフト量xに対するジッタが最小となるチルト補正量TIC−C(x)を検出し、レンズシフト量xと、対物レンズの傾きを制御するチルト補正量TIC−C(x)との比率を演算して所定のゲインkの構成要素k1、k2、k3、k4を決定する。これらの決定されたk1、k2、k3、k4は、それぞれ図8に示すようにテーブルに設定する。
外周方向の光軸ずれに対するチルト補正制御の所定のゲインk1、k2、k3、k4を決定した後に、内周方向のゲインを決定するステップを実行する。
まず、対物レンズ2−5をレンズシフトさせる駆動信号LS−Cをゼロにして、レンズシフトを解除し(STEP2−2−10)、STEP2−2−3で停止させた移送モータ3の駆動停止を解除して、制御を再開させる(STEP2−2−11)。
続いて、光軸ずれ量を内周51μmとするように、チルト補正制御手段15、およびマイコン10Bの変数を設定し(STEP2−3−1)、STEP2−1−3、およびSTEP2−2−6で、最適チルト調整した記録済みトラックよりも51μmだけ外周側にビームスポットをシークさせて(STEP2−3−2)、移送モータ3の駆動を、再び停止させる(STEP2−3−3)。
次に、対物レンズ2−5を、STEP2−1−3、およびSTEP2−2−6で実行した最適チルト調整と同じトラックに移動するように、マイコン10Bはトラッキング駆動手段6を介して対物レンズ2−5をレンズシフトさせる駆動信号LS−Cを出力する(STEP2−3−4)。
ここで、ビームスポットを最適チルト調整するトラックに位置決めするために、スチルジャンプを開始する(STEP2−3−5)。その結果、図10(c)に示すように、光軸ずれ量が内周側に51μmずれた状態であるが、図10(a)に示した調整開始位置と同じ位置近傍に、ビームスポットを制御することができている。
そしてSTEP2−1−3、およびSTEP2−2−6と同様に、光軸ずれ量が内周側に51μmずれた状態での最適チルト調整を実施する。ここでは、STEP2−3−5で位置制御されたトラックでのジッタを測定し、ジッタが最小になるチルト補正量TIC−Cを検出し、TIC−C(−51)として記憶する。そして、STEP2−1−3にて検出したチルト補正量TIC−C(0)とTIC−C(−51)の差をレンズシフト量51μmで除算した値を所定のゲインkをk(−1)としてテーブルに設定する(STEP2−3−6)。
次に、スチルジャンプを解除し(STEP2−3−7)、光軸ずれ量をSTEP2−3−1で設定した値に対して、更に50μm加算するように、チルト補正制御手段15、およびマイコン10Bの変数を設定する(STEP2−3−8)。
そして、STEP2−3−8で設定した光軸ずれ量の変数が200よりも大きくなければ(STEP2−3−8でNO)、光軸ずれ量の変数に応じて、STEP2−3−2以降を繰り返し、実行する。この処理を繰り返し、チルト補正制御手段15はレンズシフト量xに対するジッタが最小となるチルト補正量TIC−C(x)を検出し、レンズシフト量xと、対物レンズの傾きを制御するチルト補正量TIC−C(x)との比率を演算して、所定のゲインkの構成要素k(−2)、k(−3)、k(−4)を決定する(STEP2−3−9)。これらの決定されたゲインk(−1)、k(−2)、k(−3)、k(−4)は、それぞれ図8に示すようにテーブルに設定する。
内周方向の光軸ずれに対するチルト補正制御の所定のゲインk(−1)、k(−2)、k(−3)、k(−4)が決定した後に、対物レンズ2−5をレンズシフトさせる駆動信号LS−Cをゼロにしてレンズシフトを解除し(STEP2−3−10)、STEP2−3−3で停止させた移送モータ3の駆動停止を解除して、制御を再開させる(STEP2−3−11)。
続いて、図7(a)に示す光ディスク装置2010がディスク1のデータを再生する、あるいはデータを記録するときの、対物レンズ2−5による光軸ずれ量、チルト補正量TIC−C、ディスクチルト制御TI−Cの出力を、図12、図13を用いて説明する。
図12は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、対物レンズ2−5がレンズシフトしたことに伴う光軸ずれにより、チルト、あるいはコマ収差が発生し、それを補正するためのチルト補正制御手段15が決定した所定のゲインkをプロットしたものである。
図12において、横軸はレンズシフト量を示し、外周方向を正数、内周方向を負数で表記した。縦軸は所定のゲインkを示した。ここでは、レンズシフト量50μm毎に、所定のゲインkを決定しており、レンズシフト量に対するそれぞれの所定のゲインは、k(−4)、k(−3)、k(−2)、k(−1)、k(1)、k(2)、k(3)、k(4)である。
そこで、図9で説明したSTEP3が実行されると、チルト補正制御が実行される。そして、図7(a)の光ディスク装置2010が、ディスク1にデータを記録、あるいはディスク1からデータを再生するときに、チルト補正制御手段15は、光軸ずれ補正制御出力のチルト補正量TIC−Cを出力する。例えば、図7(a)の光ディスク装置2010が、ディスク1上にデータを記録するときの、対物レンズ2−5の光軸ずれ量、チルト補正量TIC−C、ディスクチルト制御出力TI−Cについて、図13を用いて説明する。
図13は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、対物レンズ2−5のレンズシフト量に対する、チルト補正制御手段15の出力TIC−C、およびマイコン10Bの出力TI−Cの関係図であり、図13の横軸は、記録開始トラックを基点としたビームスポットが位置するトラックを示す。
図13(a)は対物レンズ2−5の光軸ずれ量を示す。ここで、移送モータ3は、対物レンズ2−5についておおよそ200μm光軸ずれが生じると、外周方向に200μm移動し、同時に対物レンズ2−5は、光軸ずれ量をゼロにするような設計がされていると仮定する。図13(b)はチルト補正制御手段15が出力するチルト補正量TIC−C信号であり、図13(c)はマイコン10Bが出力するディスクチルト制御信号TI−Cをそれぞれ示す。
図7(a)に示される本実施の形態2の光ディスク装置2010に装填されているディスク1のトラックピッチは、0.32μmであり、ディスク1が1回転する毎に対物レンズ2−5は、0.32μmだけ光軸ずれ量が加算される。
したがって、例えば図13(a)に示すように、ディスク1が156回転すると、光軸ずれ量は49.92μmとなる。同様に、ディスク1が625回転すると光軸ずれ量は200μmとなり、マイコン10Bは移送モータ駆動手段12を介して移送モータ3を外周方向に200μm移動するように駆動する。
移送モータ3は、移送モータ駆動手段12からの駆動信号SLED−Dにしたがって、ピックアップ2を200μm移送する。同時に、トラッキング制御手段5は、対物レンズ2−5のレンズシフトをゼロにするように、制御出力TE−Cをトラッキング駆動手段6に出力し、トラッキング駆動手段6は、トラッキング制御手段5からのTE−C信号に基づいて、トラッキング駆動TR−Dを出力し、トラッキングアクチュエータ2−8を駆動する。トラッキングアクチュエータ2−8は、対物レンズ2−5のレンズシフトをゼロとする。
また、図7(a)の光ディスク装置2010は、装填されたディスク1の反りの影響を抑制するためのディスクチルトを、チルト検出手段14で検出し、マイコン10Bはディスクチルト制御出力TI−Cを出力しているものと仮定する。ここでは、図13(c)に示すように、ディスク1の全周に渡って、ディスクチルト制御出力TI−C信号としてTIdを出力するものとする。さらに、チルト補正制御手段15は、光軸ずれ量検出手段13からの出力に基づいて、チルト補正量TIC−Cを出力する。
最初に、図7(a)の光ディスク装置2010は、ディスク1の任意のトラックを基点として記録動作を開始する。記録開始時は、対物レンズ2−5のレンズシフト量はゼロである。
そこで、図13(b)のAに示すように、チルト補正制御手段15は、対物レンズ2−5の光軸ずれ量がゼロのときの所定のゲインkを、図8に示したチルト補正制御手段15のテーブルのレンズシフト量0〜−50μmのk(−1)に設定し、光軸ずれ量検出手段13の出力にk(−1)を乗算して、チルト補正量TIC−Cとして出力する。
マイコン10は、ディスク1の反りを制御するディスクチルト制御出力TI−Cとして、TIdを出力するので、加算手段16は、チルト補正量TIC−Cと、TIdを加算して、チルト駆動手段11を介して、チルトアクチュエータ2−9に、チルト駆動信号TILT−Dを出力する。
続いて、ディスク1が記録開始を基点に4回転すると、記録開始トラックを基点に、ビームスポットは1.28μmの位置に制御されるので、チルト補正制御手段15は、所定のゲインkをk(−1)から、図8に示したチルト補正制御手段15のテーブルのレンズシフト量50〜1μmのk(1)に設定する。そして、チルト補正制御手段15は、光軸ずれ量検出手段13の出力に、k(1)を乗算して、チルト補正量TIC−Cを出力する。
次に、図13(b)のBに示すように、ディスク1が、記録開始を基点に160回転すると、記録開始トラックを基点に、ビームスポットは51.2μmの位置に制御されるので、チルト補正制御手段15は、所定のゲインkをk(1)から、図8に示したチルト補正制御手段15のテーブルのレンズシフト量100〜51μmのk(2)に設定する。そして、チルト補正制御手段15は、光軸ずれ量検出手段13の出力にk(2)を乗算して、チルト補正量TIC−Cを出力する。
続いて、図13(b)のCに示すように、ディスク1が記録開始を基点に316回転すると、記録開始トラックを基点に、ビームスポットは101.12μmの位置に制御されるので、チルト補正制御手段15は、所定のゲインkをk(2)から、図8に示したチルト補正制御手段15のテーブルのレンズシフト量150〜101μmのk(3)に設定する。そして、チルト補正制御手段15は、光軸ずれ量検出手段13の出力にk(3)を乗算して、チルト補正量TIC−Cを出力する。
同様に、図13(b)のDに示すように、ディスク1が記録開始を基点に472回転すると、記録開始トラックを基点に、ビームスポットは151.04μmの位置に制御されるので、チルト補正制御手段15は、所定のゲインkをk(3)から、図8に示したチルト補正制御手段15のテーブルのレンズシフト量200〜151μmのk(4)に設定する。そして、光軸ずれ量検出手段13の出力に、k(4)を乗算して、チルト補正量TIC−Cを出力する。
その後、記録開始を基点に、ディスク1が625回転すると、対物レンズ2−5は記録開始トラックを基点に、200μmの位置に制御され、光軸ずれ量が200μmになるので、マイコン10Bは、移送モータ3を外周方向に200μmだけ移動させるように、移送制御信号SL−Cを移送モータ駆動手段12に出力する。移送モータ駆動手段12は、マイコン10BからのSL−C信号に基づいて、移送モータ3を移送する駆動信号SLED−Dを、移送モータ3に出力する。その結果、移送モータ3は、外周方向に200μm移動する。
同時に、トラッキング制御手段5は、対物レンズ2−5のレンズシフト量をゼロにするように、トラッキング制御信号TE−Cを出力する。トラッキング駆動手段6は、トラッキング制御手段5から出力されたTE−C信号に基づいて、トラッキングアクチュエータ2−8に、トラッキング駆動信号TR−Dを出力する。
以上の結果、図13(b)のEに示すように、対物レンズ2−5、チルト補正制御手段15の出力は、記録開始時と同じ状態に戻る。以降は、前記と同じ動作を記録終了まで繰り返す。
また、予め、チルト検出手段14によって検出される光ディスクのディスク反りに対して、対物レンズの傾きをマイコン10Bで制御している状態で、チルト補正制御手段15は、光軸ずれに対するチルト補正制御を行い、チルト補正量TIC−Cを加算手段16に出力する構成としてもよい。
なお、上記では、図7(a)の光ディスク装置2010が、記録時における、ディスク反りおよび光軸ずれに対する対物レンズの傾きを制御する場合を説明したが、これは再生時のおいても同様の制御を行うことができ、データ再生性能を格段に向上させることができる。
図14は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する第3の決定方法を示すフローチャート図である。
図7(a)の光ディスク装置2010に装填されるディスク1が、内周方向から外周方向にデータを記録するフォーマットである場合、図14に示すように、チルト補正制御手段15の所定のゲインkを決定する方法は、対物レンズ2−5が外周方向にレンズシフトした状態のみで決定するようにしてもよい。即ち、図11に示すSTEP2−1−1からSTEP2−2−11を実行するのみでよく、この場合でも、ディスク1にデータを記録再生する際に、図11に示した方法で決定した場合と同様の効果が得られることは明らかである。さらに、この場合には、所定のゲインkを決定するための所要時間を短くすることができる効果が得られる。
ここで、チルト補正制御手段15の所定のゲインkは、光軸ずれ量に応じて可変するものとすることができるが、図15に示すように、所定の定数にしてもよい。
図15は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15のレンズシフト量に対するゲインの第2の関係図である。
例えば、図12では、対物レンズ2−5のレンズシフト量が50μm毎に所定のゲインkを可変するような構成について説明したが、図15に示すように、レンズシフト量を内周側に200μm(図中、内周方向を負数で表記)で調整した最適チルト調整値と、レンズシフト量を外周側に200μmで調整した最適チルト調整値を、1次直線で近似して、その傾きを所定のゲインkとするようにしてもよい。
このような構成にすることで、チルト補正制御手段15の構成を簡素化することができ、且つ、図8に示した、実施の形態2の光ディスク装置2010のチルト補正制御手段15に近い性能の制御を、実現することも可能である。
ここで、光軸ずれに対するチルト変化が小さい場合には、チルト補正制御を実行しないようにすることができ、図16、図17を用いて以下に説明する。
図16は、本実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15の所定のゲインkを決定する方法を示す第4のフローチャートであり、該図16において、図11のフローチャートの説明と同じ処理をする場合は、同様の符号を付与している。
最初に、ビームスポットは、既にディスク1の記録済み領域にシークしているので、チルト補正制御を実行するように、TICON/OFF信号を、マイコン10Bは、チルト補正制御手段15に出力する(STEP2−1−1)。次に、スチルジャンプを開始する(STEP2−1−2)。続いて、レンズシフトがない状態での最適チルト調整を行い、ジッタが最小になるためのチルト補正量TIC−Cを検出し、TIC−C(0)として記憶する(STEP2−1−3)。
続いて、スチルジャンプを解除し(STEP2−1−4)、対物レンズ2−5が最もレンズシフトする値xmaxを、チルト補正制御手段15、およびマイコン10に設定する(STEP2−2−1’)。
そして、STEP2−1−2で最適チルト調整したときよりも、xmax μmだけ内周側にシークする(STEP2−2−2’)。そこで、移送モータ3を停止させるように、移送モータ駆動手段12に駆動信号をゼロにする移送制御信号SL−Cを、マイコン10Bは出力する(STEP2−2−3’)。
次に、マイコン10Bは、対物レンズ2−5を、xmax μmだけ外周側にレンズシフトさせるレンズシフト駆動信号LS−Cを、トラッキング駆動手段6を介してトラッキングアクチュエータ2−8に出力する(STEP2−2−4’)。引き続き、スチルジャンプを再開する(STEP2−2−5’)。このことによって、ビームスポットは、STEP2−1−2で実行した最適チルト調整と同じトラック近傍に位置決め制御されている。
ここで、対物レンズ2−5が外周側にxmax μmだけレンズシフトした状態での最適チルト調整を行い、チルト補正量TIC−Cを検出し、TIC−C(xmax)として記憶する(STEP2−2−6’)。
最適チルト調整が終了した後に、STEP2−1−3およびSTEP2−2−6’で検出したチルト補正量TIC−C(0)、TIC−C(xmax)の差の絶対値を式1を用いて演算する(STEP2−2−20)。
TIC−C(Calc)=[{TIC−C(xmax)}−{TIC−C(0)}] ・・・(式1)
続いて、レンズシフトを再び解除し(STEP2−2−10’)、マイコン10Bは、移送モータ3の制御を再開する(STEP2−2−11’)。
次に、チルト補正制御手段15は、STEP2−2−20で算出したTIC−C(Calc)と、所定の値Cを比較して、TIC−C(Calc)がCよりも小さい場合(STEP2−2−21でNo)は、チルト補正制御手段15の所定のゲインkを常にゼロとして制御をOFFする。また、TIC−C(Calc)がCよりも小さくない場合(STEP2−2−21でYes)は、図11のSTEP2−1−1に戻って所定のゲインkを決定する。
図17は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する第5の決定方法を示すフローチャート図である。
図17の第5のフローチャートに示すように、図16の第4のフローチャートにおけるSTEP2−1−3、およびSTEP2−2−6’の代わりに、STEP2−1−30、2−2−30において、マイコン10Bは、レンズシフト量ゼロ、およびレンズシフト量xmax時のジッタ検出手段9の出力JITであるJ(0)およびJ(xmax)を測定し、それぞれの出力の差の絶対値J(Calc)が所定の値C’よりも大きい場合(STEP2−2−21’でYes)のみ、チルト補正制御を実行する構成とするようにしてもよく、光軸ずれを発生させない状態での再生信号の品質と、光軸ずれを発生させた状態での再生信号の品質との差を所定値と比較することにより、図16の第4のフローチャートにおけると同様の効果が得られる。
ここで、図7(a)に示した前記光ディスク装置2010の構成の一部を、以下のように集積回路21により構成することができる。
図18は、本発明の実施の形態2の、集積回路21を含む光ディスク装置2030を示すブロック図である。本実施の形態2の光ディスク装置2030において、前記光ディスク装置2010と同じ構成部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態2の光ディスク装置2030は、トラッキング検出手段4からのアナログ信号をデジタル変換するAD変換器18、トラッキング制御手段5、トラッキング駆動手段6からなるトラッキング制御系を、デジタル制御で構成し、更にアドレス検出手段8、ジッタ検出手段9、マイコン10B、光軸ずれ検出手段13、チルト補正制御手段15、加算手段16、チルト駆動手段11、および移送モータ駆動手段12からなるチルト制御系をも、デジタル制御で構成して、トラッキング駆動手段6、チルト駆動手段11、および移送モータ駆動手段12の出力を、DA変換器19でアナログ変換する構成とし、かつこれらの機能を集積化して集積回路21としたものである。
また、トラッキング制御手段5、光軸ずれ量検出手段13、チルト補正制御手段15、加算手段16、およびマイコン10Bの機能は、チルト制御プログラムにより構成してもよい。
以上のように、本実施の形態2の光ディスク装置によれば、光ディスク反りを検出するチルト検出手段13と、チルト検出手段13の出力に基づいて、対物レンズの傾きを制御する信号を出力するマイコン10Bと、光軸ずれ量検出手段の出力に基づいて、対物レンズの傾きを制御するチルト補正量を決定し出力するチルト補正制御手段15と、マイコン10Bの出力と、チルト補正制御手段15の出力とを加算する加算手段16と、加算手段16の出力によって、対物レンズの傾きを制御するチルト駆動手段11とを備え、記録媒体にデータを記録する、あるいは記録媒体からデータを再生するときに、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが起こったときの対物レンズのチルトによって、あるいはコマ収差によって、再生光検出器に入射する反射光が劣化するような場合に、ディスク反りの影響を制御するチルト制御に加えて、光軸ずれによる影響を光軸ずれ量に応じた補正値により適切に制御するチルト補正制御をも行って、対物レンズの傾きを制御するようにしたので、記録媒体からの反射光に基づく再生信号の劣化を、精度よく抑圧することができ、正確なデータの記録、あるいは再生を行うことができる。
また、記録媒体にデータを記録する、あるいは記録媒体からデータを再生するときに、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが起こり、該光軸ずれによる対物レンズのチルトによる、あるいはピックアップのコマ収差による、再生信号の劣化の影響が大きい場合にのみ、ディスク反りの影響を制御するチルト制御と併せて、光軸ずれによる影響を適切に制御するチルト補正制御を行うようにしたので、記録媒体からの反射光に基づく再生信号の劣化を、必要に応じて精度よく抑圧することができる。また、前記光軸ずれによる再生信号の劣化の影響が小さい場合は、チルト補正制御を実行しないので、対物レンズの光軸ずれによって光軸ずれ量検出手段の出力が異常状態になったような場合にも、チルトアクチュエータに過大な入力信号が与えられるようなことがなく、装置の誤動作等を防止できるという効果が得られる。
(実施の形態3)
図19は、本発明の実施の形態3の光ディスク装置2020を示す図である。
本発明の実施の形態3の光ディスク装置2020において、前記実施の形態2の光ディスク装置2010と同じ構成部分には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態2の光ディスク装置2010では、図7(a)に示すように、光軸ずれ量検出手段13が、対物レンズ2−5によって集光されたビームスポットの光軸ずれ量を推定し、チルト補正制御手段15に出力していたのに対し、本実施の形態3の光ディスク装置2020では、図19に示すように、光軸ずれセンサ17で光軸ずれ量を検出し、チルト補正制御手段15に出力する構成となっている。
この構成においても、図7(a)に示す前記実施の形態2の光ディスク装置2010と同様の性能、効果が得られることは明らかである。
以上のように、本実施の形態3の光ディスク装置2020によれば、光ビームを光ディスクに集光する対物レンズよりの出射光の光軸ずれ量を検出する光軸ずれセンサ17の出力に基づいて、対物レンズの傾きを制御するチルト補正量を決定し出力するチルト補正制御手段15と、チルト検出手段14の出力に基づいて、対物レンズの傾きを制御する信号を出力するマイコン10Bと、マイコン10Bの出力と、チルト補正制御手段15の出力とを加算する加算手段16と、加算手段16の出力によって、対物レンズの傾きを制御するチルト駆動手段11とを備え、記録媒体にデータを記録する、あるいは記録媒体からデータを再生するときに、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが起こったときの対物レンズのチルトによって、あるいはコマ収差によって、再生光検出器に入射する反射光が劣化するような場合に、ディスク反りの影響を制御するチルト制御に加えて、光軸ずれを正確に検出し、光軸ずれによる影響を光軸ずれ量に応じた補正値により適切に制御するチルト補正制御をも行って対物レンズの傾きを制御するようにしたので、記録媒体からの反射光に基づく再生信号の劣化を、精度よく抑圧することができ、正確なデータの記録、あるいは再生を行うことができる。
(実施の形態4)
図20は、本発明の実施の形態4の光ディスク装置2010’を示すブロック図である。
本発明の実施の形態4の光ディスク装置2010’において、前記実施の形態2の光ディスク装置2010と同じ構成部分には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態2の光ディスク装置2010では、図7(a)に示すように、マイコン10Bは駆動電流TILT−D、レンズシフト駆動信号LS−C、移送モータ駆動信号SLED−Dを出力するように構成されていたが、更に検索信号SEEKをトラッキング制御手段5に出力できるようにし、符号をマイコン10Cとしたものである。トラッキング制御手段5はマイコン10Cから出力される検索信号SEEKに基づいてトラッキング制御のON/OFFを切り替え、トラッキング制御信号TRON/OFFをチルト補正制御手段15に出力する構成とした。なお検索信号SEEKはディスク1に集光したビームスポットを任意のトラックに移動させるときにON状態になり、マイコン10Cは移送制御信号SL−Cを、移送モータ駆動手段12に出力してピックアップ2をディスク1半径方向の任意の位置に移動させる。
続いてチルト補正制御手段15の機能について説明する。前記実施の形態2において図8を用いて詳細に説明したように、光軸ずれ量検出手段13の出力にゲインkを乗算してチルト補正量TIC−Cを生成する。本実施の形態4ではトラッキング制御手段5から出力されるTRON/OFF信号に基づいてチルト補正量TIC−Cの出力をON/OFF切り替えられる構成とした。
上記構成にすることによる効果について、図21を用いて説明する。
図21は、図20に示す本実施の形態4の光ディスク装置2010’がディスク1に記録されているデータを再生する状態から、再生を一時停止して、ディスク1の任意のトラックへ移動して再びデータを再生するときの、検索信号SEEK(a)、トラッキング制御信号TRON/OFF(b)、チルト補正量TIC−C(c)の出力を示したものであり、横軸は時間を示す。
図21において、時刻SkStart以前まで、光ディスク装置2010’はディスク1の任意トラックのデータを再生している。そこで、図21(a)に示すように、マイコン10Cは、検索信号SEEKとしてOFF信号をトラッキング制御手段5に出力する。トラッキング制御手段5はディスク1上のデータを再生するためにビームスポットを所望のトラックに位置決めするためにトラッキング制御ループを閉じる。したがって、トラッキング制御手段5は、トラッキング制御信号TRON/OFFの出力として、図21(b)に示すようにON信号をチルト補正制御手段15に出力する。チルト補正制御手段15は図13を用いて説明したように、対物レンズ2−5のレンズシフト量に応じたチルト補正量TIC−Cを図21(c)のように出力する。
続いて、時刻SkStartではマイコン10Cはディスク1上のデータ再生を一時停止して、対物レンズ2−5が集光するビームスポットを移動させる検索動作を開始する。そこでマイコン10Cは検索信号SEEKとしてON信号をトラッキング制御手段5に出力する。その結果、トラッキング制御手段5はトラッキング制御ループを開いて、トラッキング制御信号TRON/OFFをOFFとしてチルト補正制御手段15に出力する。チルト補正制御手段15はトラッキング制御信号TRON/OFFがOFFであるのでチルト補正量TIC−Cの出力を停止する。そして、マイコン10Cは移送モータ駆動信号SLED−Dを出力して、ピックアップ2をディスク1半径方向の任意の位置に移動させる。
時刻SkStopになると、ピックアップ2はディスク1半径方向の任意の位置に移動し、再びトラッキング制御ループを閉じる。したがって、マイコン10Cはトラッキング制御手段5に対して検索信号SEEKとしてOFFを出力する。トラッキング制御手段5はトラッキング制御ループを再び閉じて、トラッキング制御信号TRON/OFFとしてONをチルト補正制御手段15に出力する。そしてチルト補正制御手段15は再びチルト補正量TIC−Cを出力開始して、ディスク1のデータ再生を開始する。
なお、図21では時刻SkStopにてチルト補正量TIC−Cの出力を再開する場合について説明したが、トラッキング制御が安定するまでに一定時間だけウエイトしてからチルト補正量TIC−Cの出力を再開してもよい(図示せず)。
このように本実施の形態3の光ディスク装置2010’によれば、光ビームを光ディスクの任意のトラックに位置決め制御するトラッキング制御ループが開いているときに、チルト補正量TIC−Cをゼロとするようにしたので、検索区間(時刻SkStartから時刻SkStopまで)において、ピックアップ2が移送されることに起因して対物レンズ2−6が揺れてチルト検出手段14の出力に異常が生じた場合、あるいはトラッキング駆動手段6の出力TR−Dが何らかの原因で異常な信号を出力した場合でも、チルト補正制御手段15はチルト補正量TIC−Cの出力を停止しているので、チルト駆動手段11からチルトアクチュエータ2−9へ出力される駆動電流TILT−Dが一定の状態で、安定な検索制御を実現することができる。
本発明のチルト制御方法、集積回路、および光ディスク装置において、ディスク反りのみならず、レンズシフトによる対物レンズのチルトや、ピックアップのコマ収差に対しても、チルト補正を行うことができるようにしたものであり、記録媒体にデータを記録、あるいは記録媒体からデータを再生する際、光ディスクからの反射光に基づく再生信号の劣化を適確に抑圧するチルト制御方法、集積回路、および光ディスク装置を提供する上で有用である。
本発明は、各種DVD(Digital Versatile Disc)ディスクや、Blu−rayディスクなどの高密度記録媒体に対して情報を再生または記録する光ディスク装置に関し、特に、レンズシフトに伴いピックアップに搭載された対物レンズの傾斜(以下、チルトと記す)、およびコマ収差の影響を抑圧可能とするチルト制御方法、集積回路、および光ディスク装置に関する。
従来の光ディスク装置のピックアップでは、対物レンズが、ディスク半径方向にレンズシフトすると同時に、チルトすることが知られていた。また、ピックアップの光学部品構成によって、対物レンズが、ディスク半径方向にレンズシフトすると同時に、コマ収差が発生することも知られていた。
そこで前者に対して、磁気回路の構造に工夫をして、対物レンズがレンズシフトしても、チルトが発生しないようにしたピックアップ、およびレンズシフトに伴うチルトを、セルフキャンセルするピックアップが提案された(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開平10−031829号公報
特開2004−127422A号公報
DVDやBlu−rayディスクなどは、高密度記録を実現するために、ピックアップの対物レンズの許容チルト範囲(チルトマージン)が狭く、高精度なチルト制御を必要としている。そこで、ディスク反りなどがあった場合においても、ディスクに記録されたデータの再生、およびディスクへの記録を、精度よく行うことのできる光ディスク装置が要望されている。
特許文献1、あるいは特許文献2に記載の従来の発明は、ピックアップの磁気回路の構造に工夫をして、対物レンズがレンズシフトしても、チルトが発生しないようにした、あるいは対物レンズがレンズシフトしても、これをセルフキャンセルするようにしたものであったが、ピックアップの組立精度が要求される場合、あるいは精密機器であるが故に何らかの原因でピックアップの組立精度が変化した場合に、レンズシフトが発生すると、チルトが発生する、あるいはこのレンズシフトをキャンセルできずに再生、および記録ができないという課題を有していた。
本発明は、前記のような従来の課題に鑑みてなされたもので、ディスク反りのみならず、レンズシフトによる対物レンズのチルトや、ピックアップのコマ収差に対しても、チルト補正を行うことのできるチルト制御方法、集積回路、および光ディスク装置を提供することを目的としている。
(1)本発明の第1のチルト制御方法は、光ビームを光ディスクに集光する対物レンズよりの出射光の光軸ずれ量を検出する第1のステップと、光ディスクのディスク反り量を検出する第2のステップと、前記第1のステップにおいて検出した光軸ずれ量と、前記第2のステップにおいて検出したディスク反り量に基づいて、前記対物レンズの傾きを制御する第3のステップとを、行なわせることを特徴とする。
また、本発明の第1の集積回路は、光ビームを光ディスクに集光する対物レンズよりの出射光の光軸ずれ量を検出する光軸ずれ量検出手段と、光ディスクのディスク反りを検出するチルト検出手段と、前記光軸ずれ量検出手段の出力、および前記チルト検出手段の出力に基づいて、前記対物レンズの傾きを制御する対物レンズ傾き制御手段と、前記対物レンズ傾き制御手段の出力に基づいて対物レンズを駆動するチルト駆動手段とを、備えた、ことを特徴とする。
(2)本発明の第2のチルト制御方法は、光ビームを光ディスクに集光する対物レンズよりの出射光の光軸ずれ量を検出する第1のステップと、前記第1のステップにおいて検出した光軸ずれ量に基づいてチルト補正量を決定する第2のステップと、前記第2のステップにおいて決定した前記チルト補正量と、光ディスクのディスク反りを補正する出力とを加算する第3のステップと、前記第3のステップにおいて加算した出力によって、前記対物レンズの傾きを制御する第4のステップとを、行なわせることを特徴とする。
また、第2のステップは、前記光ディスクのディスク反りに対して、予め前記対物レンズの傾きを制御した状態で、前記第1のステップにおいて検出した光軸ずれ量に基づいてチルト補正量を決定する、ことを特徴とする。
また、第2のステップは、所定量の光軸ずれを発生させ、再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力を検出する動作を少なくとも2点以上、前記所定量を変化させて行い、前記所定量と前記対物レンズの傾きを制御する出力との比率を算出し、前記第1のステップで検出した光軸ずれ量に前記比率を乗算して、チルト補正量を決定する、ことを特徴とする。
また、第2のステップは、所定量の光軸ずれを発生させ、再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力を検出する動作を少なくとも2点以上、前記所定量を変化させて行い、前記所定量と前記対物レンズの傾きを制御する出力との比率を算出し、それぞれの光軸ずれ量に対する比率をテーブル化しており、前記第1のステップで検出した光軸ずれ量に応じて、前記テーブルから前記比率を決定して、前記第1のステップで検出した光軸ずれ量に前記比率を乗算して、チルト補正量を決定する、ことを特徴とする。
また、第2のステップは、光軸ずれを発生させない状態での再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力と、光軸ずれを発生させた状態での再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力とを検出し、光軸ずれ量に対する前記対物レンズの傾きを制御する出力の比率を算出し、前記比率が第1の所定値よりも小さい場合にチルト補正量をゼロとする、ことを特徴とする。
また、第2のステップは、光軸ずれを発生させない状態での再生信号の品質と、光軸ずれを発生させた状態での再生信号の品質との差が第1の所定値よりも小さい場合に、チルト補正量をゼロとする、ことを特徴とする。
また、第2のステップは、光ビームを前記光ディスクの任意のトラックに位置決め制御するトラッキング制御ループが開いているときに前記第2のステップはチルト補正量をゼロとする、ことを特徴とする。
また、本発明の第2の集積回路は、光ビームを光ディスクに集光する対物レンズよりの出射光の光軸ずれ量を検出する光軸ずれ量検出手段と、光ディスクのディスク反りを検出するチルト検出手段と、前記チルト検出手段の出力に基づいて、前記対物レンズの傾きを制御する信号を出力するチルト制御手段と、前記光軸ずれ量検出手段の出力に基づいて、前記対物レンズの傾きを制御するチルト補正量を決定し出力するチルト補正制御手段と、前記チルト制御手段の出力と、前記チルト補正制御手段の出力とを加算する加算手段と、前記加算手段の出力によって、前記対物レンズの傾きを制御するチルト駆動手段とを、備えた、ことを特徴とする。
また、前記チルト補正制御手段は、予め前記ディスクのディスク反りに対する対物レンズの傾きを前記チルト制御手段によって制御している状態で、前記光軸ずれ量検出手段の出力に基づいて、前記対物レンズの傾きを制御するチルト補正量を決定し出力する、ことを特徴とする。
また、前記チルト補正制御手段は、所定量の光軸ずれを発生させ、再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力を検出する動作を少なくとも2点以上、前記所定量を変化させて行い、前記所定量と前記対物レンズの傾きを制御する出力との比率を算出し、前記光軸ずれ量検出手段の出力に前記比率を乗算した値をチルト補正量として出力する、ことを特徴とする。
また、前記チルト補正制御手段は、所定量の光軸ずれを発生させ、再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力を検出する動作を少なくとも2点以上、前記所定量を変化させて行い、前記所定量と前記対物レンズの傾きを制御する出力との比率を算出し、それぞれの光軸ずれ量に対する比率をテーブル化しており、前記光軸ずれ量検出手段が検出した光軸ずれ量に応じて、前記テーブルから前記比率を決定して、前記光軸ずれ量検出手段が検出した光軸ずれ量に前記比率を乗算しした値をチルト補正量として出力する、ことを特徴とする。
また、前記チルト補正制御手段は、光軸ずれを発生させない状態での再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力と、光軸ずれを発生させた状態での再生信号が最適となるような対物レンズの傾きを制御する出力とを検出し、光軸ずれ量に対する前記対物レンズの傾きを制御する出力の比率を算出し、前記比率が第1の所定値よりも小さい場合にチルト補正量をゼロとする、ことを特徴とする。
また、前記チルト補正制御手段は、光ビームを前記光ディスクの任意のトラックに位置決め制御するトラッキング制御ループが開いているときに前記チルト補正制御手段はチルト補正量をゼロとする、ことを特徴とする。
(3)本発明の光ディスク装置は、光ビームを光ディスクに集光する対物レンズと、前記対物レンズの傾きを変化させるチルトアクチュエータと、前記対物レンズよりの出射光の光軸ずれを検出する光軸ずれセンサと、光ディスクのディスク反りを検出するチルト検出手段と、前記光軸ずれセンサの出力に基づいて、チルト補正量を決定し出力するチルト補正制御手段と、前記チルト検出手段の出力に基づいて、前記対物レンズの傾きを制御する信号を出力するチルト制御手段と、前記チルト制御手段の出力と、前記チルト補正制御手段の出力とを加算する加算手段と、前記加算手段の出力によって、前記チルトアクチュエータを駆動するチルト駆動手段とを、備えたことを特徴とする。
本発明によれば、光ディスクにデータを記録する、あるいは光ディスクからデータを再生する場合に、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが発生したときの対物レンズのチルト、およびピックアップのコマ収差による、あるいは光ディスクのディスク反りによる、光ディスクからの反射光に基づく再生信号の劣化を、ディスク反りの影響と、光軸ずれによる影響とを考慮したチルト制御を行って対物レンズの傾きを適切に補正することにより、適確に抑圧することができる。
また、本発明によれば、光ディスクにデータを記録する、あるいは光ディスクからデータを再生する場合に、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが発生したときの対物レンズのチルト、およびピックアップのコマ収差による、あるいは光ディスクのディスク反りによる、光ディスクからの反射光に基づく再生信号の劣化を、ディスク反りの影響を制御するディスクチルト制御に加えて、光軸ずれによる影響を光軸ずれ量に応じた補正値により適切に制御するチルト補正制御をも行って対物レンズの傾きを適切に精度よく補正することにより、精度よく抑圧することができ、正確なデータの記録、あるいは再生を行うことができる。
また、対物レンズが所定以上チルトする、あるいはピックアップのコマ収差が所定以上発生した場合にのみ、チルト制御に加えて行うチルト補正制御を実行するので、このような場合に、記録媒体からの反射光に基づく再生信号の劣化を、対物レンズの傾きを適切に精度よく補正することにより精度よく抑圧でき、正確なデータの記録、あるいは再生を行うことができる。さらには、光軸ずれによる再生信号の劣化が少ない場合においては、チルト補正制御を実行しないので、対物レンズの光軸ずれによって光軸ずれ量検出手段の出力が異常状態になったような場合にも、チルトアクチュエータに過大な入力信号が与えられるようなことがなく、装置の誤動作等を防止できるという効果が得られる。
また、本発明によれば、光ディスクにデータを記録する、あるいは光ディスクからデータを再生する場合に、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが発生したときの対物レンズのチルト、およびピックアップのコマ収差による、あるいは光ディスクのディスク反りによる、光ディスクからの反射光に基づく再生信号の劣化を、ディスク反りの影響を制御するチルト制御に加えて、光軸ずれを正確に検出し、光軸ずれによる影響を光軸ずれ量に応じた補正値により適切に制御するチルト補正制御をも行って対物レンズの傾きを適切に精度よく補正することにより、精度よく抑圧することができ、正確なデータの記録、あるいは再生を行うことができる。
図1は、本発明の実施の形態1による光ディスク装置1010を示すブロック図である。
図2は、前記実施の形態1の光ディスク装置1010における、再生信号RF振幅(a)およびジッタ検出手段出力JITのレンズシフト特性(b)を示す図である。
図3は、本発明の実施の形態1の光ディスク装置1010における、光軸ずれ量検出手段13、チルト検出手段14、およびマイコン10Aを示す図である。
図4は、本発明の実施の形態1による光ディスク装置1020を示すブロック図である。
図5は、本発明の実施の形態1の光ディスク装置1020による光軸ずれ量検出手段13、チルト検出手段14’、およびマイコン10Aを示す図である。
図6は、本発明の実施の形態1による、集積回路20を含む光ディスク装置1030を示すブロック図である。
図7(a)は、本発明の実施の形態2による光ディスク装置2010を示すブロック図である。
図7(b)は、本発明の実施の形態2による光ディスク装置2010における、チルト検出手段14、およびマイコン10Bを示す図である。
図8は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、光軸ずれ量検出手段13、チルト補正制御手段15の構成を示す図である。
図9は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15の所定のゲインkを決定する第1の決定方法を示すフローチャート図である。
図10は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する決定方法を実行する際の、光ピックアップと、対物レンズ2−5の相対位置を示す模式図である。
図11は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する第2の決定方法を示すフローチャート図である。
図12は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15のレンズシフト量に対するゲインの第1の関係図である。
図13は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、対物レンズ2−5のレンズシフト量に対する、チルト補正制御手段15の出力TIC−C、およびマイコン10Bの出力TI−Cの関係図である。
図14は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する第3の決定方法を示すフローチャート図である。
図15は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15のレンズシフト量に対するゲインの第2の関係図である。
図16は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する第4の決定方法を示すフローチャート図である。
図17は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する第5の決定方法を示すフローチャート図である。
図18は、本発明の実施の形態2による光ディスク装置2030を示すブロック図である。
図19は、本発明の実施の形態3による光ディスク装置2020を示すブロック図である。
図20は、本発明の実施の形態4の光ディスク装置2010’ を示すブロック図である。
図21は、本発明の実施の形態4の光ディスク装置2010’における検索動作時の検索信号SEEK、トラッキング制御信号TRON/OFF、チルト補正量TIC−Cの関係図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態による光ディスク装置を説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の光ディスク装置1010を示すブロック図である。
図1を用いて、本発明の実施の形態1による光ディスク装置1010の構成を説明する。
まず最初に、図1において、ディスク1の一例としてBlu−ray Rewritableディスクが装填されているものとする。
半導体レーザ2−1を出射したレーザ光は、コリメータレンズ2−2で平行光にされて、偏向ビームスプリッタ2−3、波長板2−4を通過して、対物レンズ2−5に入射する。対物レンズ2−5に入射したレーザ光は、集光されてディスク1上にビームスポットを形成する。ディスク1上に集光されたビームスポットの反射光は、再び、対物レンズ2−5、波長板2−4を通過し、偏向ビームスプリッタ2−3で、出射光の光路から分離されて、集光レンズ2−6を経て、再生光検出器2−7の所定の受光面上に、集光される。
再生光検出器2−7に集光された反射光は、電気信号に変換されて(図中に示すDETOUT信号)トラッキング検出手段4に入力される。トラッキング検出手段4は、再生光検出器2−7の出力DETOUTより、ディスク1上のトラックと、ビームスポットとのトラック位置ずれ量として、トラッキングエラー信号TEを検出し、トラッキング制御手段5に出力する。トラッキング制御手段5は、トラッキングエラー信号TEに基づいて、ディスク1上のトラックと、ビームスポットとの位置ずれをゼロにするように制御する駆動信号TE−Cを、トラッキング駆動手段6に出力し、かつ、トラッキングをオン、オフするトラッキング制御信号TRON/OFFをマイコン10に出力する。トラッキング駆動手段6は、トラッキング制御手段5の出力TE−Cに基づいて、トラッキングアクチュエータ2−8へトラッキング駆動電流TR−Dを出力する。トラッキングアクチュエータ2−8は、トラッキング駆動電流TR−Dによって、対物レンズ2−5を、ディスク1上のトラックを横断する方向に駆動する。
また、再生光検出器2−7の出力DETOUTは、再生信号検出手段7に出力され、再生信号検出手段7は、再生信号RFを生成する。再生信号RFは、アドレス検出手段8、およびジッタ検出手段9に出力される。アドレス検出手段8の出力IDは、マイコン10Aに出力されて、対物レンズ2−5によってディスク1上に集光されたビームスポットが、ディスク1のどの位置に集光されているのかを検出することができる。また、ジッタ検出手段9の出力JITも、マイコン10Aに出力される。該出力JITによってマイコン10Aは、ディスク1に記録されている情報の再生信号特性や、対物レンズ2−5の位置決め制御の状態を、定量的に検出することができる。
さらに、マイコン10Aは、ピックアップ2をディスク1の半径方向に対して任意に移動させる移送制御信号SL−Cを、移送モータ駆動手段12に出力する。移送モータ駆動手段12は、移送制御信号SL−Cに基づいて、移送モータ3を駆動する移送モータ駆動信号SLED−Dを移送モータ3に出力し、移送モータ3は、移送モータ駆動信号SLED−Dに基づいて、ピックアップ2をディスク半径方向の任意の位置に移送する。
続いて、対物レンズ2−5のディスクに対するディスク1反りを含めた角度差(以下、ディスクチルトと記す)を、ピックアップ2に内蔵されたチルトセンサー2−10により検出する。ディスク1の反りを検出するチルトセンサー2−10はすでに多くのものが実用化されているので説明を省略する。チルトセンサー2−10の出力はチルト検出手段14を介してマイコン10Aに出力される。また、トラッキング駆動手段6の出力を用いて、対物レンズ2−5によって集光されたビームスポットの光軸ずれ量を、光軸ずれ量検出手段13は検出し、マイコン10Aへ出力する。これらの出力に基づいて、マイコン10Aは、ディスクチルト、および対物レンズ2−5の光軸ずれによるチルト、およびコマ収差の影響を制御する制御出力TI−Ctlをチルト駆動手段11に出力する。チルト駆動手段11はマイコン10Aから出力された制御出力TI−Ctlに基づいて、チルトアクチュエータ2−9への駆動電流TILT−Dを出力する。チルトアクチュエータ2−9は、チルト駆動手段11からの駆動電流TILT−Dに基づいて、対物レンズ2−5を、ディスク1半径方向の内周、あるいは外周側に傾けるように駆動する。
図3は、本実施の形態1の光ディスク装置1010における、光軸ずれ検出手段13、チルト検出手段14、およびマイコン10Aを、詳細に示したブロック図である。ここで、図3のマイコン10aは、図1のマイコン10Aの構成の一例を示す。
チルトセンサー2−10によって検出されたディスクチルトは、チルト検出手段14に入力される。また、トラッキング駆動手段6の出力TR−Dは、光軸ずれ量検出手段13に入力される。光軸ずれ量検出手段13は、トラッキングアクチュエータ2−8の動特性Gt(s)に等しい伝達関数Gt^(s)からなるフィルタで構成されている。即ち、光軸ずれ量検出手段13の出力xt^は、対物レンズ2−5のレンズシフト量を推定した出力である。
光軸ずれ量検出手段13の出力は、マイコン10a内部の乗算手段10−1に入力される。
また、前記チルト検出手段14の出力はディスクチルト制御手段10−2に入力される。ディスクチルト制御手段10−2はチルト検出手段14の出力に基づいて、ディスク1と対物レンズ2−5によるチルトをゼロに近づけるようにフィルタ処理し、ディスクチルト制御出力TI−Cを演算する。ここで、ディスクチルト制御手段10−2の伝達特性はHtilt(s)で、制御帯域はモータ回転周波数程度が望ましい。
続いて、マイコン10a内部の乗算手段10−1の出力TIC−Cとディスクチルト制御手段10−2の出力TI−Cを加算し、加算された出力を制御出力TI−Ctlとしてチルト駆動手段11に出力する。
また、乗算手段10−1による所定のゲインKtiltは、ディスクチルトに対して制御された状態における、光軸ずれ量に対する、ジッタ検出手段9の出力JITを最適にできる制御信号TI−Ctlの割合を、1次関数で近似したときの傾きを、設計値として与えたものである。
次に、対物レンズ2−5によって集光されるビームスポットの光軸ずれが生じたときの再生信号特性について、図2を用いて説明する。
図2は、対物レンズ2−5によって集光されたビームスポットの光軸ずれ量に対する、再生信号検出手段7の出力RFの振幅(a)と、ジッタ検出手段9の出力JITの特性(b)を、それぞれ示した図である。
対物レンズ2−5により集光されたビームスポットの光軸ずれ量が、ゼロ近傍のとき、対物レンズ2−5そのものは、チルトすることなく、さらにピックアップ内部のコマ収差もほとんどゼロであるので、再生信号検出手段7の出力であるRF振幅も、図2(a)の実線に示すように、最大値近傍である。また、該RF信号振幅に顕著な変化がなく、信号歪みがないので、ジッタ検出手段9の出力JITも、図2(b)の実線に示すように、最適(最小)値とほとんど差異がない。
この状態から、内周あるいは外周方向に、対物レンズ2−5がレンズシフトし、光軸ずれが発生すると、対物レンズ2−5はディスク内周あるいは外周方向に傾斜し、RF信号振幅は、図2(a)の破線に示すように、小さくなる。また、ジッタ検出手段9が検出するRF信号のジッタJITも、同じく図2(b)の破線に示すように、劣化する。
これに対して、本実施の形態1の光ディスク装置1010では、例えば、前記のように光軸ずれが生じた場合には、マイコン10Aが出力する制御信号TI−Ctlを適切にすることによって、再生信号RF振幅、およびジッタ検出手段9の出力JITは、ともに、図2の実線で示す特性をもつようになる。
即ち、ディスクチルトについてはチルトセンサー2−10によって検出した誤差信号をチルト検出手段14を介してマイコン10aに内蔵したディスクチルト制御手段10−2によって制御し、ディスクチルト制御出力TI−Cを演算する。また、光軸ずれにより発生した対物レンズ2−5のチルト、あるいはコマ収差の影響については、光軸ずれ量検出手段13によって対物レンズ2−5のレンズシフト量を推定することで、光軸ずれ量を検出し、マイコン10a内の乗算手段10−1は、光軸ずれ量検出手段13の出力に、所定のゲインKtiltを乗算してチルト補正量TIC−Cを演算する。そして、乗算手段10−1の出力であるチルト補正量TIC−Cとディスクチルト制御手段10−2の出力TI−Cとを加算し、制御信号TI−Ctlを出力することによって、ディスクチルトと、光軸ずれによる対物レンズ2−5のチルト、およびピックアップのコマ収差の影響を抑圧するように、制御することができる。
図4は、本発明の実施の形態1の光ディスク装置1020を示すブロック図である。本光ディスク装置1020において、前記光ディスク装置1010と同じ構成部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図4の本光ディスク装置1020においては、ディスクチルトを検出するチルト検出手段14’は、アドレス検出手段8の出力IDと、ジッタ検出手段9の出力JITとを、入力信号として用いる。該チルト検出手段14’は、任意のディスク半径位置における再生信号RFのジッタが最適となるマイコン10Aの制御出力TI−Ctlを求めて、テーブル化して格納しておく。
光軸ずれ量検出手段13は、前記光ディスク装置1010におけると同様に、対物レンズ2−5によるレンズシフト量を、光軸ずれ量として推測してマイコン10Aに出力する。
図5は、本実施の形態1の光ディスク装置1020における、光軸ずれ検出手段13、チルト検出手段14’、およびマイコン10Aを、詳細に示したブロック図である。ここで、図5のマイコン10bは、図4のマイコン10Aの構成の一例を示す。
マイコン10bは、図5に示すように、光軸ずれ量検出手段13の出力に所定のゲインKtiltを乗算した信号TIC−Cと、前記チルト検出手段14’の出力TI−Cとを、内部の減算手段10−3で減算して、制御信号TI−Ctlとしてチルト駆動手段11に出力する。
ここで、チルト検出手段14’が格納するテーブルは、任意の半径位置で定義することができる。例えば、テーブル数を1とした場合は、ディスク半径全領域に対して一意の値で、ディスクチルトへの制御信号を出力する。また、テーブル数を2点以上とした場合は、事前にディスクの半径位置と、該半径位置での再生信号RFのジッタが最適となる制御信号TI−Ctlとをテーブル化しておくことで、アドレス検出手段8の出力でディスク半径位置を検出して、ディスクチルトに追従するように、制御信号を出力することができる。
なお、本光ディスク装置1020では、光軸ずれ量検出手段13は、トラッキング駆動手段6の出力TR−Dより、対物レンズ2−5のレンズシフト量を推定して検出する構成としたが、例えば、対物レンズ2−5のレンズシフト量を検出するセンサにより構成してもよく、前記と同様の制御を行うことが可能である。
また、この対物レンズ2−5の光軸ずれ量は、再生光検出器2−7の出力DETOUTから、生成するようにしてもよい。
また、本光ディスク装置1020では、チルトアクチュエータ2−9を駆動するチルト駆動信号TILT−Dを決定するための検出信号に、ジッタ検出手段9の出力JITを用いるようにしたが、これは、再生信号検出手段7の出力RFの振幅を用いるようにしてもよく、同様の効果が得られる。
また、図1、4のマイコン10Aは、それぞれ図3のマイコン10a、図5のマイコン10bのいずれの構成でもよい。
ここで、図1に示した前記光ディスク装置1010の構成の一部を、以下のように集積回路20により構成することができる。
図6は、本発明の実施の形態1の、集積回路20を含む光ディスク装置1030を示すブロック図である。本光ディスク装置1030において、前記光ディスク装置1010と同じ構成部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図6に示す、本光ディスク装置1030においては、トラッキング検出手段4からのアナログ信号をデジタル変換するAD変換器18、トラッキング制御手段5、トラッキング駆動手段6からなるトラッキング制御系を、デジタル制御で構成し、更に、アドレス検出手段8、ジッタ検出手段9、マイコン10A、光軸ずれ量検出手段13、チルト駆動手段11、および移送モータ駆動手段12からなるチルト制御系をも、デジタル制御で構成して、トラッキング駆動手段6、チルト駆動手段11、および移送モータ駆動手段12の出力を、DA変換器19でアナログ変換する構成とし、かつこれらの機能を集積化し、集積回路20として構成したものである。
また、トラッキング制御手段5、光軸ずれ量検出手段13、およびマイコン10Aの機能は、チルト制御プログラムにより構成してもよい。
以上のように、本実施の形態1の光ディスク装置によれば、光ビームを光ディスクに集光する対物レンズよりの出射光の光軸ずれ量を検出する光軸ずれ量検出手段13と、光ディスクのディスク反りを検出するチルト検出手段14と、光軸ずれ量検出手段13の出力、およびチルト検出手段14の出力に基づいて、対物レンズの傾きを制御するマイコン10Aとを備えたので、記録媒体にデータを記録する、あるいは記録媒体からデータを再生するときに、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが起こったときの対物レンズのチルトによって、あるいはコマ収差によって、再生光検出器に入射する反射光が劣化するような場合に、ディスク反りの影響と、光軸ずれによる影響とを考慮して対物レンズの傾きを制御するようにしたので、記録媒体からの反射光に基づく再生信号の劣化を、抑圧することができ、正確なデータの記録、あるいは再生を行うことができる。
(実施の形態2)
図7(a)は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010を示すブロック図である。
図7(a)を用いて、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010の構成を説明する。なお図7(a)において、図1に示される前記光ディスク装置1010と同じ構成部分には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7(a)に示す、本実施の形態2の光ディスク装置2010において、チルト補正制御手段15は、ディスク1へデータを記録、あるいは再生する際に、対物レンズ2−5がレンズシフトして光軸ずれが生じたときの再生信号の劣化を、対物レンズ2−5の光軸ずれ量を検出する前記光軸ずれ量検出手段13と協動して、補正するために設けられた要素である。
即ち、チルト補正制御手段15は、光軸ずれ量検出手段13の出力に基づいて、対物レンズ2−5がレンズシフトした際の、対物レンズ2−5のチルト、およびコマ収差の影響を補正するために、対物レンズ2−5へのチルト補正量TIC−Cを演算して出力する。該チルト補正量TIC−Cは、加算手段16に出力される。
ここで、チルト補正制御手段15には、制御信号TICON/OFFが、マイコン10Bより出力される。
このTICON/OFF信号は、チルト補正制御のON/OFFを制御する信号であり、例えば、トラッキング制御がOFF(信号TRON/OFFがOFF)の状態や、後述するチルト補正制御が必要でない場合には、TICON/OFF信号によって、チルト補正制御は停止される。
なお、このチルト補正制御の詳細については、後ほど詳細に説明する。
ピックアップ2に内蔵されたチルトセンサー2−10はディスク1の反り、即ちディスクチルトを検出し、チルト検出手段14を介してマイコン10Bにディスクチルト量を出力する。マイコン10Bに入力されたチルト検出手段14の出力はディスクチルトに起因するディスク1と対物レンズ2−5によるチルトをゼロに近づけるようにフィルタ処理し、制御出力を演算し、出力TI−Cを加算手段16に出力する。即ち、マイコン10Bは、光ディスクのディスク反りに応じて、対物レンズ2−5のチルトを制御するチルト制御手段としての機能を備えている。
ここで光ディスクのディスク反りに応じて、対物レンズ2−5に適切なチルトを制御するチルト制御手段としてのマイコン10Bの構成について図7(b)を用いて説明する。
図7(b)は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010におけるマイコン10Bの構成を示すブロック図である。チルト検出手段14の出力はディスクチルト制御手段10−2に入力される。ディスクチルト制御手段10−2ではディスク1と対物レンズ2−5によるチルトをゼロに近づけるようにフィルタ処理し、制御出力を演算し、出力TI−Cを加算手段16に出力する。ここで、ディスクチルト制御手段10−2の伝達特性はHtilt(s)で、制御帯域はモータ回転周波数程度が望ましい。
加算手段16は、チルト補正制御手段15の出力TIC−Cと、マイコン10Bの出力TI−Cとを加算して、制御信号TI−Ctlをチルト駆動手段11に出力する。即ち、加算手段16は、光軸ずれによる対物レンズ2−5のチルト、あるいはコマ収差の影響を制御する制御信号TIC−Cと、ディスクチルトを制御する制御信号TI−Cとを加算するものである。
チルト駆動手段11は、加算手段16の出力に基づいて、チルトアクチュエータ2−9を駆動する出力TILT−Dを、チルトアクチュエータ2−9に出力する。チルトアクチュエータ2−9は、チルト駆動手段11からの駆動信号TILT−Dに基づいて、対物レンズ2−5を駆動する。
次に、光軸ずれ量検出手段13、およびチルト補正制御手段15による、光軸ずれに伴うチルト補正制御の詳細について、図8を用いて説明する。
図8は、本実施の形態2の光ディスク装置2010における、光軸ずれに伴うチルト補正制御を行うための、光軸ずれ量検出手段13、およびチルト補正制御手段15の構成を説明するブロック図である。
最初に、光軸ずれ量検出手段13は、図3を用いて説明した通り、トラッキングアクチュエータ2−8の動特性Gt(s)に等しい伝達関数Gt^(s)からなるフィルタで構成されている。したがって、光軸ずれ量検出手段13は、トラッキング駆動手段6からの出力TR−Dを入力として、トラッキングアクチュエータ2−8の位置情報を推定して検出する。
光軸ずれ量検出手段13の出力は、チルト補正制御手段15に入力される。
チルト補正制御手段15は、光軸ずれ量検出手段13の出力に応じて、所定のゲインkを乗算して、チルト補正量TIC−Cを加算手段16に出力する。ここで、所定のゲインkは、対物レンズ2−5の光軸ずれ量に応じて可変できるように構成されている。
対物レンズ2−5は、一般的に光軸ずれ量が小さいときは、チルト量およびコマ収差の影響も小さく、あるいは無視できるが、光軸ずれ量が大きくなるほどに、チルト量あるいはコマ収差も増大する傾向がある。
このような特性に対応することを、本実施の形態2の光ディスク装置2010では、図8に示す、光軸ずれ量検出手段13、およびチルト補正制御手段15よりなる構成によって実現している。
図8に示す光軸ずれ量検出手段13とチルト補正制御手段15よりなる構成では、チルト補正制御手段15は、対物レンズ2−5が50μmレンズシフトする毎に、光軸ずれ量検出手段13の出力に乗算する所定のゲインkを可変できる構成のテーブルを有している。
即ち、対物レンズ2−5のレンズシフト量が200μmから151μmの範囲では、所定のゲインkはk4、対物レンズ2−5のレンズシフト量が150μmから101μmの範囲では、所定のゲインkはk3、対物レンズ2−5のレンズシフト量が100μmから51μmの範囲では、所定のゲインkはk2、対物レンズ2−5のレンズシフト量が50μmから1μmの範囲では、所定のゲインkはk1、対物レンズ2−5のレンズシフト量が0μmから−50μmの範囲では、所定のゲインkはk(−1)、対物レンズ2−5のレンズシフト量が−51μmから−100μmの範囲では、所定のゲインkはk(−2)、対物レンズ2−5のレンズシフト量が−101μmから−150μmの範囲では、所定のゲインkはk(−3)、対物レンズ2−5のレンズシフト量が−151μmから−200μmの範囲では、所定のゲインkはk(−4)と設定している。
また、本光ディスク装置2010では、所定ゲインkをk4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)の8点で設定する例を示しているが、これに限るものではなく、所定のゲインkを2点以上で任意に設定することも可能である。
なお、既に説明した通り、マイコン10Bからは、制御信号TICON/OFFが、チルト補正制御手段15に出力されており、この制御信号TICON/OFF信号は、チルト補正制御が不要な場合にチルト補正制御をOFFするよう切り替えて出力され、これにより所定のゲインkをゼロとすることによって、チルト補正制御は停止される。
次に、所定のゲインkの構成要素であるk4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)の、第1の決定方法、および第2の決定方法を、図9、図10、図11を用いて説明する。
図9は、本実施の形態2の光ディスク装置2010における、所定のゲインkの構成要素であるk4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)を決定する第1の決定方法のアルゴリズムを、フローチャートに示したものである。
最初に、図7(a)に示される光ディスク装置2010は、ディスク1を所定の回転数で駆動し、半導体レーザ2−1は、ディスク1のデータを再生するための光出力を出力し、対物レンズ2−5はディスク1のトラック上にビームスポットを集光する。
次に、図7(a)には図示していないが、ビームスポットをディスク1記録面に集光するように焦点位置を制御し、更に、トラッキング制御手段5によって、ディスク1のトラックの中心位置近傍にビームスポットを集光するように制御を行う、即ちサーボONを行い(以下、STEP0と称す)、続いて、ディスク1の記録済み領域を探索する。例えば、DVDディスクや、Blu−rayディスク規格で定義された記録情報管理領域などを再生して、既にデータが記録されたトラックが存在するか否かを検出する(STEP1−1)。
次に、ディスク1上に記録済み領域があるか否かを判別する(STEP1−2)。もし、記録済み領域が存在しない場合(STEP1−2でNO)、記録されたトラックを作成するために、テスト記録可能領域へビームスポットをシークさせる(STEP1−3)。テスト記録可能領域として、例えば、DVDディスクや、Blu−rayディスクなどのパワー補正領域(PCA領域)などへシークをするようにしてもよい。
続いて、テスト記録可能領域へテスト記録を行う(STEP1−4)。
これらによって、ディスク1上に記録済み領域がない場合、例えば、ブランクディスクが装填された場合でも、所定のゲインkを決定するための領域を作成することができる。
続いて、ディスク1上の記録済み領域に、ビームスポットをシークさせる(STEP1−5)。そして、記録済み領域におけるデータのジッタを測定することによって、チルト補正制御手段15の所定のゲインkの構成要素k4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)を決定する(STEP2)。ここで、所定のゲインkの詳細な決定方法は、図10、図11を用いて、後ほど説明する。
そして、所定のゲインkの構成要素k4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)が決定された後に、マイコン10Bは、チルト補正制御をONするように、TICON/OFF信号を切り替えて、光軸ずれに伴う対物レンズ2−5のチルト補正制御を実行する(STEP3)。
引き続いて、図9のSTEP2における所定のゲインkの決定方法について、図10、図11を用いて詳細に説明する。
図10は、本実施の形態2の光ディスク装置2010において、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkの構成要素k4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)を決定する際の、ピックアップ2と、対物レンズ2−5との位置関係を示す模式図であり、図11は、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkの構成要素k4、k3、・・・、k(−3)、k(−4)を決定する第2の決定方法のフローチャートを示す図である。
図11において、最初に、マイコン10Bは、チルト補正制御手段15に、チルト補正制御ONを示すTICON/OFF制御信号を出力する(STEP2−1−1)。
続いて、ビームスポットは、記録済み領域にシークしている状態で、スチルジャンプを開始する。即ち、ディスク1の記録済みトラックの任意の基点から隣接する1トラック、あるいは数トラックの区間で、ビームスポットは位置制御されている(STEP2−1−2)。その結果、図10(a)に示すように、光軸ずれ量がゼロ近傍の状態で制御することができている。
次に、光軸ずれがゼロ近傍の状態での最適チルト調整を実施する。ここでは、STEP2−1−2で位置制御されたトラックでのジッタを測定し、ジッタが最小になるためのチルト補正量TIC−Cを検出し、TIC−C(0)として記憶する(STEP2−1−3)。
続いて、スチルジャンプを解除し(STEP2−1−4)、光軸ずれ量を、外周方向に51μmとするように、チルト補正制御手段15、およびマイコン10Bの変数を設定する(STEP2−2−1)。
次に、マイコン10Bは、移送モータ駆動手段12を介して、移送モータ3を、STEP2−1−3で最適チルト調整した記録済み領域よりも内周方向に51μm移送し(STEP2−2−2)、続いて、移送モータの駆動を停止する(STEP2−2−3)。
続いて、マイコン10Bは、対物レンズ2−5に対して、STEP2−1−3で最適チルト調整したトラックにビームスポット位置を制御するために、トラッキング駆動手段6を介して、レンズシフト駆動信号LS−Cを出力する。レンズシフト駆動信号LS−Cにしたがって、トラッキングアクチュエータ2−8は、対物レンズ2−5を外周方向に51μmだけレンズシフトするように駆動する(STEP2−2−4)。
次に、STEP2−1−2と同様に、スチルジャンプを開始する(STEP2−2−5)。即ち、図10(b)に示すように、ビームスポットはSTEP2−1−3の状態と同じトラックに位置制御されているが、光軸は51μmだけ外周側にずれた状態に制御されている。その結果、図10(b)に示すように、光軸ずれ量が外周側に51μmずれた状態にあるが、図10(a)に示した調整開始位置と同じ位置近傍に、ビームスポットを制御することができている。
続いて、STEP2−1−3と同じように、光軸ずれ量が外周側に51μmずれた状態での最適チルト調整を実施する。ここでは、STEP2−2−5で位置制御されたトラックでのジッタを測定し、ジッタが最小となるチルト補正量TIC−Cを検出し、TIC−C(51)として記憶する。そして、STEP2−1−3にて検出したチルト補正量TIC−C(0)とTIC−C(51)の差をレンズシフト量51μmで除算した値を所定のゲインkをk1として、テーブルに設定する(STEP2−2−6)。
次に、再びスチルジャンプを解除し(STEP2−2−7)、光軸ずれ量をSTEP2−2−1で設定した値に対して更に50μm加算するように、チルト補正制御手段15、およびマイコン10Bの変数を設定する(STEP2−2−8)。
そして、STEP2−2−8で設定した光軸ずれ量の変数が200よりも大きくなければ、光軸ずれ量の変数に応じて、STEP2−2−2以降を繰り返して実行する。この処理を繰り返して、チルト補正制御手段15はレンズシフト量xに対するジッタが最小となるチルト補正量TIC−C(x)を検出し、レンズシフト量xと、対物レンズの傾きを制御するチルト補正量TIC−C(x)との比率を演算して所定のゲインkの構成要素k1、k2、k3、k4を決定する。これらの決定されたk1、k2、k3、k4は、それぞれ図8に示すようにテーブルに設定する。
外周方向の光軸ずれに対するチルト補正制御の所定のゲインk1、k2、k3、k4を決定した後に、内周方向のゲインを決定するステップを実行する。
まず、対物レンズ2−5をレンズシフトさせる駆動信号LS−Cをゼロにして、レンズシフトを解除し(STEP2−2−10)、STEP2−2−3で停止させた移送モータ3の駆動停止を解除して、制御を再開させる(STEP2−2−11)。
続いて、光軸ずれ量を内周51μmとするように、チルト補正制御手段15、およびマイコン10Bの変数を設定し(STEP2−3−1)、STEP2−1−3、およびSTEP2−2−6で、最適チルト調整した記録済みトラックよりも51μmだけ外周側にビームスポットをシークさせて(STEP2−3−2)、移送モータ3の駆動を、再び停止させる(STEP2−3−3)。
次に、対物レンズ2−5を、STEP2−1−3、およびSTEP2−2−6で実行した最適チルト調整と同じトラックに移動するように、マイコン10Bはトラッキング駆動手段6を介して対物レンズ2−5をレンズシフトさせる駆動信号LS−Cを出力する(STEP2−3−4)。
ここで、ビームスポットを最適チルト調整するトラックに位置決めするために、スチルジャンプを開始する(STEP2−3−5)。その結果、図10(c)に示すように、光軸ずれ量が内周側に51μmずれた状態であるが、図10(a)に示した調整開始位置と同じ位置近傍に、ビームスポットを制御することができている。
そしてSTEP2−1−3、およびSTEP2−2−6と同様に、光軸ずれ量が内周側に51μmずれた状態での最適チルト調整を実施する。ここでは、STEP2−3−5で位置制御されたトラックでのジッタを測定し、ジッタが最小になるチルト補正量TIC−Cを検出し、TIC−C(−51)として記憶する。そして、STEP2−1−3にて検出したチルト補正量TIC−C(0)とTIC−C(−51)の差をレンズシフト量51μmで除算した値を所定のゲインkをk(−1)としてテーブルに設定する(STEP2−3−6)。
次に、スチルジャンプを解除し(STEP2−3−7)、光軸ずれ量をSTEP2−3−1で設定した値に対して、更に50μm加算するように、チルト補正制御手段15、およびマイコン10Bの変数を設定する(STEP2−3−8)。
そして、STEP2−3−8で設定した光軸ずれ量の変数が200よりも大きくなければ(STEP2−3−9でNO)、光軸ずれ量の変数に応じて、STEP2−3−2以降を繰り返し、実行する。この処理を繰り返し、チルト補正制御手段15はレンズシフト量xに対するジッタが最小となるチルト補正量TIC−C(x)を検出し、レンズシフト量xと、対物レンズの傾きを制御するチルト補正量TIC−C(x)との比率を演算して、所定のゲインkの構成要素k(−2)、k(−3)、k(−4)を決定する(STEP2−3−9)。これらの決定されたゲインk(−1)、k(−2)、k(−3)、k(−4)は、それぞれ図8に示すようにテーブルに設定する。
内周方向の光軸ずれに対するチルト補正制御の所定のゲインk(−1)、k(−2)、k(−3)、k(−4)が決定した後に、対物レンズ2−5をレンズシフトさせる駆動信号LS−Cをゼロにしてレンズシフトを解除し(STEP2−3−10)、STEP2−3−3で停止させた移送モータ3の駆動停止を解除して、制御を再開させる(STEP2−3−11)。
続いて、図7(a)に示す光ディスク装置2010がディスク1のデータを再生する、あるいはデータを記録するときの、対物レンズ2−5による光軸ずれ量、チルト補正量TIC−C、ディスクチルト制御TI−Cの出力を、図12、図13を用いて説明する。
図12は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、対物レンズ2−5がレンズシフトしたことに伴う光軸ずれにより、チルト、あるいはコマ収差が発生し、それを補正するためのチルト補正制御手段15が決定した所定のゲインkをプロットしたものである。
図12において、横軸はレンズシフト量を示し、外周方向を正数、内周方向を負数で表記した。縦軸は所定のゲインkを示した。ここでは、レンズシフト量50μm毎に、所定のゲインkを決定しており、レンズシフト量に対するそれぞれの所定のゲインは、k(−4)、k(−3)、k(−2)、k(−1)、k(1)、k(2)、k(3)、k(4)である。
そこで、図9で説明したSTEP3が実行されると、チルト補正制御が実行される。そして、図7(a)の光ディスク装置2010が、ディスク1にデータを記録、あるいはディスク1からデータを再生するときに、チルト補正制御手段15は、光軸ずれ補正制御出力のチルト補正量TIC−Cを出力する。例えば、図7(a)の光ディスク装置2010が、ディスク1上にデータを記録するときの、対物レンズ2−5の光軸ずれ量、チルト補正量TIC−C、ディスクチルト制御出力TI−Cについて、図13を用いて説明する。
図13は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、対物レンズ2−5のレンズシフト量に対する、チルト補正制御手段15の出力TIC−C、およびマイコン10Bの出力TI−Cの関係図であり、図13の横軸は、記録開始トラックを基点としたビームスポットが位置するトラックを示す。
図13(a)は対物レンズ2−5の光軸ずれ量を示す。ここで、移送モータ3は、対物レンズ2−5についておおよそ200μm光軸ずれが生じると、外周方向に200μm移動し、同時に対物レンズ2−5は、光軸ずれ量をゼロにするような設計がされていると仮定する。図13(b)はチルト補正制御手段15が出力するチルト補正量TIC−C信号であり、図13(c)はマイコン10Bが出力するディスクチルト制御信号TI−Cをそれぞれ示す。
図7(a)に示される本実施の形態2の光ディスク装置2010に装填されているディスク1のトラックピッチは、0.32μmであり、ディスク1が1回転する毎に対物レンズ2−5は、0.32μmだけ光軸ずれ量が加算される。
したがって、例えば図13(a)に示すように、ディスク1が156回転すると、光軸ずれ量は49.92μmとなる。同様に、ディスク1が625回転すると光軸ずれ量は200μmとなり、マイコン10Bは移送モータ駆動手段12を介して移送モータ3を外周方向に200μm移動するように駆動する。
移送モータ3は、移送モータ駆動手段12からの駆動信号SLED−Dにしたがって、ピックアップ2を200μm移送する。同時に、トラッキング制御手段5は、対物レンズ2−5のレンズシフトをゼロにするように、制御出力TE−Cをトラッキング駆動手段6に出力し、トラッキング駆動手段6は、トラッキング制御手段5からのTE−C信号に基づいて、トラッキング駆動TR−Dを出力し、トラッキングアクチュエータ2−8を駆動する。トラッキングアクチュエータ2−8は、対物レンズ2−5のレンズシフトをゼロとする。
また、図7(a)の光ディスク装置2010は、装填されたディスク1の反りの影響を抑制するためのディスクチルトを、チルト検出手段14で検出し、マイコン10Bはディスクチルト制御出力TI−Cを出力しているものと仮定する。ここでは、図13(c)に示すように、ディスク1の全周に渡って、ディスクチルト制御出力TI−C信号としてTIdを出力するものとする。さらに、チルト補正制御手段15は、光軸ずれ量検出手段13からの出力に基づいて、チルト補正量TIC−Cを出力する。
最初に、図7(a)の光ディスク装置2010は、ディスク1の任意のトラックを基点として記録動作を開始する。記録開始時は、対物レンズ2−5のレンズシフト量はゼロである。
そこで、図13(b)のAに示すように、チルト補正制御手段15は、対物レンズ2−5の光軸ずれ量がゼロのときの所定のゲインkを、図8に示したチルト補正制御手段15のテーブルのレンズシフト量0〜−50μmのk(−1)に設定し、光軸ずれ量検出手段13の出力にk(−1)を乗算して、チルト補正量TIC−Cとして出力する。
マイコン10は、ディスク1の反りを制御するディスクチルト制御出力TI−Cとして、TIdを出力するので、加算手段16は、チルト補正量TIC−Cと、TIdを加算して、チルト駆動手段11を介して、チルトアクチュエータ2−9に、チルト駆動信号TILT−Dを出力する。
続いて、ディスク1が記録開始を基点に4回転すると、記録開始トラックを基点に、ビームスポットは1.28μmの位置に制御されるので、チルト補正制御手段15は、所定のゲインkをk(−1)から、図8に示したチルト補正制御手段15のテーブルのレンズシフト量50〜1μmのk(1)に設定する。そして、チルト補正制御手段15は、光軸ずれ量検出手段13の出力に、k(1)を乗算して、チルト補正量TIC−Cを出力する。
次に、図13(b)のBに示すように、ディスク1が、記録開始を基点に160回転すると、記録開始トラックを基点に、ビームスポットは51.2μmの位置に制御されるので、チルト補正制御手段15は、所定のゲインkをk(1)から、図8に示したチルト補正制御手段15のテーブルのレンズシフト量100〜51μmのk(2)に設定する。そして、チルト補正制御手段15は、光軸ずれ量検出手段13の出力にk(2)を乗算して、チルト補正量TIC−Cを出力する。
続いて、図13(b)のCに示すように、ディスク1が記録開始を基点に316回転すると、記録開始トラックを基点に、ビームスポットは101.12μmの位置に制御されるので、チルト補正制御手段15は、所定のゲインkをk(2)から、図8に示したチルト補正制御手段15のテーブルのレンズシフト量150〜101μmのk(3)に設定する。そして、チルト補正制御手段15は、光軸ずれ量検出手段13の出力にk(3)を乗算して、チルト補正量TIC−Cを出力する。
同様に、図13(b)のDに示すように、ディスク1が記録開始を基点に472回転すると、記録開始トラックを基点に、ビームスポットは151.04μmの位置に制御されるので、チルト補正制御手段15は、所定のゲインkをk(3)から、図8に示したチルト補正制御手段15のテーブルのレンズシフト量200〜151μmのk(4)に設定する。そして、光軸ずれ量検出手段13の出力に、k(4)を乗算して、チルト補正量TIC−Cを出力する。
その後、記録開始を基点に、ディスク1が625回転すると、対物レンズ2−5は記録開始トラックを基点に、200μmの位置に制御され、光軸ずれ量が200μmになるので、マイコン10Bは、移送モータ3を外周方向に200μmだけ移動させるように、移送制御信号SL−Cを移送モータ駆動手段12に出力する。移送モータ駆動手段12は、マイコン10BからのSL−C信号に基づいて、移送モータ3を移送する駆動信号SLED−Dを、移送モータ3に出力する。その結果、移送モータ3は、外周方向に200μm移動する。
同時に、トラッキング制御手段5は、対物レンズ2−5のレンズシフト量をゼロにするように、トラッキング制御信号TE−Cを出力する。トラッキング駆動手段6は、トラッキング制御手段5から出力されたTE−C信号に基づいて、トラッキングアクチュエータ2−8に、トラッキング駆動信号TR−Dを出力する。
以上の結果、図13(b)のEに示すように、対物レンズ2−5、チルト補正制御手段15の出力は、記録開始時と同じ状態に戻る。以降は、前記と同じ動作を記録終了まで繰り返す。
また、予め、チルト検出手段14によって検出される光ディスクのディスク反りに対して、対物レンズの傾きをマイコン10Bで制御している状態で、チルト補正制御手段15は、光軸ずれに対するチルト補正制御を行い、チルト補正量TIC−Cを加算手段16に出力する構成としてもよい。
なお、上記では、図7(a)の光ディスク装置2010が、記録時における、ディスク反りおよび光軸ずれに対する対物レンズの傾きを制御する場合を説明したが、これは再生時のおいても同様の制御を行うことができ、データ再生性能を格段に向上させることができる。
図14は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する第3の決定方法を示すフローチャート図である。
図7(a)の光ディスク装置2010に装填されるディスク1が、内周方向から外周方向にデータを記録するフォーマットである場合、図14に示すように、チルト補正制御手段15の所定のゲインkを決定する方法は、対物レンズ2−5が外周方向にレンズシフトした状態のみで決定するようにしてもよい。即ち、図11に示すSTEP2−1−1からSTEP2−2−11を実行するのみでよく、この場合でも、ディスク1にデータを記録再生する際に、図11に示した方法で決定した場合と同様の効果が得られることは明らかである。さらに、この場合には、所定のゲインkを決定するための所要時間を短くすることができる効果が得られる。
ここで、チルト補正制御手段15の所定のゲインkは、光軸ずれ量に応じて可変するものとすることができるが、図15に示すように、所定の定数にしてもよい。
図15は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15のレンズシフト量に対するゲインの第2の関係図である。
例えば、図12では、対物レンズ2−5のレンズシフト量が50μm毎に所定のゲインkを可変するような構成について説明したが、図15に示すように、レンズシフト量を内周側に200μm(図中、内周方向を負数で表記)で調整した最適チルト調整値と、レンズシフト量を外周側に200μmで調整した最適チルト調整値を、1次直線で近似して、その傾きを所定のゲインkとするようにしてもよい。
このような構成にすることで、チルト補正制御手段15の構成を簡素化することができ、且つ、図8に示した、実施の形態2の光ディスク装置2010のチルト補正制御手段15に近い性能の制御を、実現することも可能である。
ここで、光軸ずれに対するチルト変化が小さい場合には、チルト補正制御を実行しないようにすることができ、図16、図17を用いて以下に説明する。
図16は、本実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15の所定のゲインkを決定する方法を示す第4のフローチャートであり、該図16において、図11のフローチャートの説明と同じ処理をする場合は、同様の符号を付与している。
最初に、ビームスポットは、既にディスク1の記録済み領域にシークしているので、チルト補正制御を実行するように、TICON/OFF信号を、マイコン10Bは、チルト補正制御手段15に出力する(STEP2−1−1)。次に、スチルジャンプを開始する(STEP2−1−2)。続いて、レンズシフトがない状態での最適チルト調整を行い、ジッタが最小になるためのチルト補正量TIC−Cを検出し、TIC−C(0)として記憶する(STEP2−1−3)。
続いて、スチルジャンプを解除し(STEP2−1−4)、対物レンズ2−5が最もレンズシフトする値xmaxを、チルト補正制御手段15、およびマイコン10に設定する(STEP2−2−1’)。
そして、STEP2−1−2で最適チルト調整したときよりも、xmax μmだけ内周側にシークする(STEP2−2−2’)。そこで、移送モータ3を停止させるように、移送モータ駆動手段12に駆動信号をゼロにする移送制御信号SL−Cを、マイコン10Bは出力する(STEP2−2−3’)。
次に、マイコン10Bは、対物レンズ2−5を、xmax μmだけ外周側にレンズシフトさせるレンズシフト駆動信号LS−Cを、トラッキング駆動手段6を介してトラッキングアクチュエータ2−8に出力する(STEP2−2−4’)。引き続き、スチルジャンプを再開する(STEP2−2−5’)。このことによって、ビームスポットは、STEP2−1−2で実行した最適チルト調整と同じトラック近傍に位置決め制御されている。
ここで、対物レンズ2−5が外周側にxmax μmだけレンズシフトした状態での最適チルト調整を行い、チルト補正量TIC−Cを検出し、TIC−C(xmax)として記憶する(STEP2−2−6’)。
最適チルト調整が終了した後に、STEP2−1−3およびSTEP2−2−6’で検出したチルト補正量TIC−C(0)、TIC−C(xmax)の差の絶対値を式1を用いて演算する(STEP2−2−20)。
TIC−C(Calc)=[{TIC−C(xmax)}−{TIC−C(0)}] ・・・(式1)
続いて、レンズシフトを再び解除し(STEP2−2−10’)、マイコン10Bは、移送モータ3の制御を再開する(STEP2−2−11’)。
次に、チルト補正制御手段15は、STEP2−2−20で算出したTIC−C(Calc)と、所定の値Cを比較して、TIC−C(Calc)がCよりも小さい場合(STEP2−2−21でNo)は、チルト補正制御手段15の所定のゲインkを常にゼロとして制御をOFFする。また、TIC−C(Calc)がCよりも小さくない場合(STEP2−2−21でYes)は、図11のSTEP2−1−1に戻って所定のゲインkを決定する。
図17は、本発明の実施の形態2の光ディスク装置2010における、チルト補正制御手段15が、所定のゲインkを決定する第5の決定方法を示すフローチャート図である。
図17の第5のフローチャートに示すように、図16の第4のフローチャートにおけるSTEP2−1−3、およびSTEP2−2−6’の代わりに、STEP2−1−30、2−2−30において、マイコン10Bは、レンズシフト量ゼロ、およびレンズシフト量xmax時のジッタ検出手段9の出力JITであるJ(0)およびJ(xmax)を測定し、それぞれの出力の差の絶対値J(Calc)が所定の値C’よりも大きい場合(STEP2−2−21’でYes)のみ、チルト補正制御を実行する構成とするようにしてもよく、光軸ずれを発生させない状態での再生信号の品質と、光軸ずれを発生させた状態での再生信号の品質との差を所定値と比較することにより、図16の第4のフローチャートにおけると同様の効果が得られる。
ここで、図7(a)に示した前記光ディスク装置2010の構成の一部を、以下のように集積回路21により構成することができる。
図18は、本発明の実施の形態2の、集積回路21を含む光ディスク装置2030を示すブロック図である。本実施の形態2の光ディスク装置2030において、前記光ディスク装置2010と同じ構成部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態2の光ディスク装置2030は、トラッキング検出手段4からのアナログ信号をデジタル変換するAD変換器18、トラッキング制御手段5、トラッキング駆動手段6からなるトラッキング制御系を、デジタル制御で構成し、更にアドレス検出手段8、ジッタ検出手段9、マイコン10B、光軸ずれ検出手段13、チルト補正制御手段15、加算手段16、チルト駆動手段11、および移送モータ駆動手段12からなるチルト制御系をも、デジタル制御で構成して、トラッキング駆動手段6、チルト駆動手段11、および移送モータ駆動手段12の出力を、DA変換器19でアナログ変換する構成とし、かつこれらの機能を集積化して集積回路21としたものである。
また、トラッキング制御手段5、光軸ずれ量検出手段13、チルト補正制御手段15、加算手段16、およびマイコン10Bの機能は、チルト制御プログラムにより構成してもよい。
以上のように、本実施の形態2の光ディスク装置によれば、光ディスク反りを検出するチルト検出手段13と、チルト検出手段13の出力に基づいて、対物レンズの傾きを制御する信号を出力するマイコン10Bと、光軸ずれ量検出手段の出力に基づいて、対物レンズの傾きを制御するチルト補正量を決定し出力するチルト補正制御手段15と、マイコン10Bの出力と、チルト補正制御手段15の出力とを加算する加算手段16と、加算手段16の出力によって、対物レンズの傾きを制御するチルト駆動手段11とを備え、記録媒体にデータを記録する、あるいは記録媒体からデータを再生するときに、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが起こったときの対物レンズのチルトによって、あるいはコマ収差によって、再生光検出器に入射する反射光が劣化するような場合に、ディスク反りの影響を制御するチルト制御に加えて、光軸ずれによる影響を光軸ずれ量に応じた補正値により適切に制御するチルト補正制御をも行って、対物レンズの傾きを制御するようにしたので、記録媒体からの反射光に基づく再生信号の劣化を、精度よく抑圧することができ、正確なデータの記録、あるいは再生を行うことができる。
また、記録媒体にデータを記録する、あるいは記録媒体からデータを再生するときに、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが起こり、該光軸ずれによる対物レンズのチルトによる、あるいはピックアップのコマ収差による、再生信号の劣化の影響が大きい場合にのみ、ディスク反りの影響を制御するチルト制御と併せて、光軸ずれによる影響を適切に制御するチルト補正制御を行うようにしたので、記録媒体からの反射光に基づく再生信号の劣化を、必要に応じて精度よく抑圧することができる。また、前記光軸ずれによる再生信号の劣化の影響が小さい場合は、チルト補正制御を実行しないので、対物レンズの光軸ずれによって光軸ずれ量検出手段の出力が異常状態になったような場合にも、チルトアクチュエータに過大な入力信号が与えられるようなことがなく、装置の誤動作等を防止できるという効果が得られる。
(実施の形態3)
図19は、本発明の実施の形態3の光ディスク装置2020を示す図である。
本発明の実施の形態3の光ディスク装置2020において、前記実施の形態2の光ディスク装置2010と同じ構成部分には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態2の光ディスク装置2010では、図7(a)に示すように、光軸ずれ量検出手段13が、対物レンズ2−5によって集光されたビームスポットの光軸ずれ量を推定し、チルト補正制御手段15に出力していたのに対し、本実施の形態3の光ディスク装置2020では、図19に示すように、光軸ずれセンサ17で光軸ずれ量を検出し、チルト補正制御手段15に出力する構成となっている。
この構成においても、図7(a)に示す前記実施の形態2の光ディスク装置2010と同様の性能、効果が得られることは明らかである。
以上のように、本実施の形態3の光ディスク装置2020によれば、光ビームを光ディスクに集光する対物レンズよりの出射光の光軸ずれ量を検出する光軸ずれセンサ17の出力に基づいて、対物レンズの傾きを制御するチルト補正量を決定し出力するチルト補正制御手段15と、チルト検出手段14の出力に基づいて、対物レンズの傾きを制御する信号を出力するマイコン10Bと、マイコン10Bの出力と、チルト補正制御手段15の出力とを加算する加算手段16と、加算手段16の出力によって、対物レンズの傾きを制御するチルト駆動手段11とを備え、記録媒体にデータを記録する、あるいは記録媒体からデータを再生するときに、対物レンズがレンズシフトして光軸ずれが起こったときの対物レンズのチルトによって、あるいはコマ収差によって、再生光検出器に入射する反射光が劣化するような場合に、ディスク反りの影響を制御するチルト制御に加えて、光軸ずれを正確に検出し、光軸ずれによる影響を光軸ずれ量に応じた補正値により適切に制御するチルト補正制御をも行って対物レンズの傾きを制御するようにしたので、記録媒体からの反射光に基づく再生信号の劣化を、精度よく抑圧することができ、正確なデータの記録、あるいは再生を行うことができる。
(実施の形態4)
図20は、本発明の実施の形態4の光ディスク装置2010’を示すブロック図である。
本発明の実施の形態4の光ディスク装置2010’において、前記実施の形態2の光ディスク装置2010と同じ構成部分には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態2の光ディスク装置2010では、図7(a)に示すように、マイコン10Bは駆動電流TILT−D、レンズシフト駆動信号LS−C、移送モータ駆動信号SLED−Dを出力するように構成されていたが、更に検索信号SEEKをトラッキング制御手段5に出力できるようにし、符号をマイコン10Cとしたものである。トラッキング制御手段5はマイコン10Cから出力される検索信号SEEKに基づいてトラッキング制御のON/OFFを切り替え、トラッキング制御信号TRON/OFFをチルト補正制御手段15に出力する構成とした。なお検索信号SEEKはディスク1に集光したビームスポットを任意のトラックに移動させるときにON状態になり、マイコン10Cは移送制御信号SL−Cを、移送モータ駆動手段12に出力してピックアップ2をディスク1半径方向の任意の位置に移動させる。
続いてチルト補正制御手段15の機能について説明する。前記実施の形態2において図8を用いて詳細に説明したように、光軸ずれ量検出手段13の出力にゲインkを乗算してチルト補正量TIC−Cを生成する。本実施の形態4ではトラッキング制御手段5から出力されるTRON/OFF信号に基づいてチルト補正量TIC−Cの出力をON/OFF切り替えられる構成とした。
上記構成にすることによる効果について、図21を用いて説明する。
図21は、図20に示す本実施の形態4の光ディスク装置2010’がディスク1に記録されているデータを再生する状態から、再生を一時停止して、ディスク1の任意のトラックへ移動して再びデータを再生するときの、検索信号SEEK(a)、トラッキング制御信号TRON/OFF(b)、チルト補正量TIC−C(c)の出力を示したものであり、横軸は時間を示す。
図21において、時刻SkStart以前まで、光ディスク装置2010’はディスク1の任意トラックのデータを再生している。そこで、図21(a)に示すように、マイコン10Cは、検索信号SEEKとしてOFF信号をトラッキング制御手段5に出力する。トラッキング制御手段5はディスク1上のデータを再生するためにビームスポットを所望のトラックに位置決めするためにトラッキング制御ループを閉じる。したがって、トラッキング制御手段5は、トラッキング制御信号TRON/OFFの出力として、図21(b)に示すようにON信号をチルト補正制御手段15に出力する。チルト補正制御手段15は図13を用いて説明したように、対物レンズ2−5のレンズシフト量に応じたチルト補正量TIC−Cを図21(c)のように出力する。
続いて、時刻SkStartではマイコン10Cはディスク1上のデータ再生を一時停止して、対物レンズ2−5が集光するビームスポットを移動させる検索動作を開始する。そこでマイコン10Cは検索信号SEEKとしてON信号をトラッキング制御手段5に出力する。その結果、トラッキング制御手段5はトラッキング制御ループを開いて、トラッキング制御信号TRON/OFFをOFFとしてチルト補正制御手段15に出力する。チルト補正制御手段15はトラッキング制御信号TRON/OFFがOFFであるのでチルト補正量TIC−Cの出力を停止する。そして、マイコン10Cは移送モータ駆動信号SLED−Dを出力して、ピックアップ2をディスク1半径方向の任意の位置に移動させる。
時刻SkStopになると、ピックアップ2はディスク1半径方向の任意の位置に移動し、再びトラッキング制御ループを閉じる。したがって、マイコン10Cはトラッキング制御手段5に対して検索信号SEEKとしてOFFを出力する。トラッキング制御手段5はトラッキング制御ループを再び閉じて、トラッキング制御信号TRON/OFFとしてONをチルト補正制御手段15に出力する。そしてチルト補正制御手段15は再びチルト補正量TIC−Cを出力開始して、ディスク1のデータ再生を開始する。
なお、図21では時刻SkStopにてチルト補正量TIC−Cの出力を再開する場合について説明したが、トラッキング制御が安定するまでに一定時間だけウエイトしてからチルト補正量TIC−Cの出力を再開してもよい(図示せず)。
このように本実施の形態3の光ディスク装置2010’によれば、光ビームを光ディスクの任意のトラックに位置決め制御するトラッキング制御ループが開いているときに、チルト補正量TIC−Cをゼロとするようにしたので、検索区間(時刻SkStartから時刻SkStopまで)において、ピックアップ2が移送されることに起因して対物レンズ2−6が揺れてチルト検出手段14の出力に異常が生じた場合、あるいはトラッキング駆動手段6の出力TR−Dが何らかの原因で異常な信号を出力した場合でも、チルト補正制御手段15はチルト補正量TIC−Cの出力を停止しているので、チルト駆動手段11からチルトアクチュエータ2−9へ出力される駆動電流TILT−Dが一定の状態で、安定な検索制御を実現することができる。
本発明のチルト制御方法、集積回路、および光ディスク装置において、ディスク反りのみならず、レンズシフトによる対物レンズのチルトや、ピックアップのコマ収差に対しても、チルト補正を行うことができるようにしたものであり、記録媒体にデータを記録、あるいは記録媒体からデータを再生する際、光ディスクからの反射光に基づく再生信号の劣化を適確に抑圧するチルト制御方法、集積回路、および光ディスク装置を提供する上で有用である。
1010 光ディスク装置
1020 光ディスク装置
1030 光ディスク装置
2010 光ディスク装置
2010’ 光ディスク装置
2020 光ディスク装置
2030 光ディスク装置
1 ディスク
2 ピックアップ
2−1 半導体レーザ
2−2 コリメータレンズ
2−3 偏向ビームスプリッタ
2−4 波長板
2−5 対物レンズ
2−6 検出レンズ
2−7 再生光検出器
2−8 トラッキングアクチュエータ
2−9 チルトアクチュエータ
2−10 チルトセンサー
3 移送モータ
4 トラッキング検出手段
5 トラッキング制御手段
6 トラッキング駆動手段
7 再生信号検出手段
8 アドレス検出手段
9 ジッタ検出手段
10 マイコン
10−1 乗算手段
10−2 ディスクチルト制御手段
10−3 減算手段
11 チルト駆動手段
12 移送モータ駆動手段
13 光軸ずれ量検出手段
14 チルト検出手段
14’ チルト検出手段
15 チルト補正制御手段
16 加算手段
17 光軸ずれセンサ
18 AD変換器
19 DA変換器
20 集積回路
21 集積回路