JPWO2006059765A1 - 運転行動モデルとその構築方法及び構築システム - Google Patents
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Abstract
Description
そして、個々のドライバの運転行動を正確に解析することが出来れば、個々のドライバに対応して最も適切な運転支援システムを提供することが可能となる。ここで、先進国を中心として高齢化が進む中で、特に高齢者に対して適切な運転支援を行うシステムの早期の実現は、非常に重要な問題に位置付けされている。
実際の人間による運転操作の実験結果に基いてドライバのモデルを構築した従来技術も存在するが、当該従来技術では、車両の安定化のために行う操作の成分のみでドライバのモデルを作成している。そのため、実際の人間による運転操作と、当該従来技術により構築された運転操作モデルとでは、無視出来ない程度の差異が生じてしまう。
しかし、係る技術は操舵制御に関する技術であって、操舵を行うドライバのモデルを構築する技術ではない。
上述する構成を具備する本発明の運転行動モデル(例えば、ドライバモデル)では、出力成分にフィードフォワード制御による成分(フィードフォワード項)とフィードバック制御による成分(フィードバック項)とを有しており、実際のドライバによる運転と同様な出力或いは挙動となる。そして、本発明では、フィードフォワード制御による成分及びフィードバック制御による成分は、運転者(例えば、自動車のドライバ)による運転行動の結果の測定値に基いて決定されているので、当該運転者と同じ様な行動或いは挙動を示すモデルを提供することが出来るのである。
そして、個々の運転者毎に、差異的な運転支援システムを設計することが可能となる。
また、速度制御も可能に構成すれば、車速が早くなり過ぎて、道路のセンターラインに直交する方向への加速度が大きくなった際に、その旨を検知して、車速を減じる制御を行うことも可能となる。
最初に、図1を参照して、本発明に係るドライバモデルを説明する。
図1において、符号10で示す系全体から、自動車を示すブロック12を除いたものが、本発明に係るドライバモデルである。
図1のドライバモデルは、例えば高速道路等の直線路が多い道路走行時のモデル構築により得られたものである。
ここで「安定化制御」とは、自動車の挙動変化に対するものであり、凍結路等におけるスリップ時のカウンターステアが、その代表的な操舵である。
そして、図1のドライバモデルによる出力は操舵角であるが、具体的には、自動車のヨー角θVと、自動車の横方向変位YVである。
なお、フィードバック制御ブロック16において、ヨー角θVに関連する成分を処理する部分を符号16−θで示し、横方向変位YVに関連する成分を処理する部分を符号16−Yで示している。
a1θR’(t+Δt1)
但し、a1はフィードフォワード項のゲイン、θR’(=dθR/dt)は道路のヨー角(θR)の微分値、Δt1はフィードフォワード項の遅れ時間である、
に対応している。
a2{ε1y’(t+Δt2)+ε2y(t+Δt2)+ε3θr(t+Δt2)+ε4θr’(t+Δt2)}
但し、a2はフィードバック項のゲイン、ε1〜ε4は重回帰分析を行うための重み付け、y’は道路センターラインからの(横方向)相対速度、Δt2はフィードバック項の遅れ時間、yは道路センターラインからの相対横変位、θr’(=dθr/dt)は道路センターラインとの相対ヨー角(θr)の角速度、θrは道路センターラインとの相対ヨー角である、
における
a2{ε3θr(t+Δt2)+ε4θr’(t+Δt2)}
に対応している。
a2{ε1y’(t+Δt2)+ε2y(t+Δt2)}
に対応している。
a3{ε5ω(t+Δt3)+ε6ω’(t+Δt3)}
但し、a3は安定化項のゲイン、ωはヨーレイト、Δt3は安定化項の遅れ時間、ω’はヨー角加速度である、
に対応している。
道路のセンターラインのヨー角θRと、道路のセンターラインに直交する方向の変位(横方向変位)YRが、各々、信号I1−1、I1−2として、図1のドライバモデルに入力される。
信号I1−1は、引出し点42で信号O−42−1、O−42−2に分岐する。信号O−42−1は、フィードフォワード制御ブロック14の伝達要素22に入力され、上述した伝達関数により処理されて、信号O−22として出力され、加え合わせ点34に送出される。
伝達要素24で処理された出力信号O−24は、加え合わせ点34に送出される。
伝達要素26で処理された出力信号O−26は、加え合わせ点34に送出される。
加え合わせ点40では、伝達要素32の出力信号O−32と、伝達要素30の出力信号O−30とが加算され、信号O−40として、伝達要素28へ入力される。そして、伝達要素28において、前述した伝達関数によって処理が為され、信号O−28として加え合わせ点38に送出される。
加え合わせ点38では、信号O−36−1、O−28、O−20とが加算されて、信号O−38として自動車ブロック12に送られる。
一方の信号O−48−1は、自動車における要素50においてヨー角θV決定に関する処理が為され、ヨー角θVを示す信号O−50として出力される。
この信号O−50は、引出し点54で出力信号O−54−1と、フィードバック信号O−54−2とに分岐する。そして、フィードバック信号O−54−2は、フィードバック制御ブロック16における部分16−θの引出し点58で信号O−58−1、O−58−2に分岐し、信号O−58−1はフィードバック信号として加え合わせ点44に送られ、信号O−58−2は安定化制御ブロック18の伝達要素30に入力される。
この信号O−52は、引出し点56で出力信号O−56−1と、フィードバック信号O−56−2とに分岐する。そして、フィードバック信号O−56−2は、フィードバック制御ブロック16における部分16−Yの加え合わせ点46に送られる。
図1のブロック図で表現されたドライバモデルを数式で表現したものが、次式(1)である。
δ(t)=a0+a1θR’(t+Δt1)+a2{ε1y’(t+Δt2)+ε2y(t+Δt2)+ε3θr(t+Δt2)+ε4θr’(t+Δt2)}+a3{ε5ω(t+Δt3)+ε6ω’(t+Δt3)}+N ・・・・(1)
この式(1)において、
a1θR’(t+Δt1)はフィードフォワード項、
a2{ε1y’(t+Δt2)+ε2y(t+Δt2)+ε3θr(t+Δt2)+ε4θr’(t+Δt2)}はフィードバック項、
a3{ε5ω(t+Δt3)+ε6ω’(t+Δt3)}は安定化項、
Nは外乱である。
δ(t)はその時点における操舵角、
a0はスライドオフセット(degree)、
a1はフィードフォワード項のゲイン、
a2はフィードバック項のゲイン、
a3は安定化項のゲイン、
Δt1はフィードフォワード項の遅れ時間、
Δt2はフィードバック項の遅れ時間、
Δt3は安定化項の遅れ時間、
θR’(=dθR/dt)は道路(センターライン)のヨー角(θR)の微分値、
θrは道路センターラインとの相対ヨー角、
yは道路センターラインからの相対横変位、
y’(=dy/dt)は道路センターラインからの(横方向)相対速度、
θr’(=dθr/dt)は道路センターラインとの相対ヨー角(θr)の角速度、
ωはヨーレイト、
ω’(=dω/dt)はヨー角加速度、
ε1〜ε5は重回帰分析を行うための重み付けである。
先ず、ドライバによるフィードフォワード制御において、入力される情報から、実際のドライバによる運転の感覚に近しいであろう情報を選択する。例えば、フィードフォワード制御において入力される情報として、道路のヨー角(θR)、道路の曲率、道路のヨー角の変化率(微分値:θR’)がある。
ここで、道路のヨー角の変化によって自動車が進行するべき方向を予測して操舵角を調節することが、ドライバによる実際の運転と感覚的に近い。また、図2で示す様に、実験値から道路のヨー角の微分値と操舵角との特性においては、相関係数が0.8以上であり、相関性が良好である。
従って、図示の例では、道路のヨー角の微分値(θR’)を選択する。
図示の例では、図2で示す道路のヨー角の微分値と操舵角との特性から、道路のヨー角の微分値θR’と操舵角δ(t)との回帰式(図3の符号「α」で示す直線参照)を求める。
単回帰分析により得られた回帰式は δ(t)=a1θR’+a0 なる形となるので、その縦軸の切片及び傾きから、スライドオフセットa0と、フィードフォワード項のゲインa1とが求まる。例えば、図3における直線αの傾きからフィードフォワード項のゲインa1を求めることが出来て、図3における直線αの縦軸(操舵角軸)の切片からスライドオフセットa0が求まる。
なお、図3は回帰式を示す直線αを記入した点以外は、図2と同一である。
この遅れ時間Δt1を求めるには、スライドオフセットa0とフィードフォワード項のゲインa1とを求めるのに用いたパラメータ(情報:図示の例では、ヨー角の微分値θR’)の遅れ(或いは進み)とドライバによるアウトプットである操舵角との相関を、例えば図4で示す様に求める。
そして、フィードフォワード項の遅れ時間Δt1としては、相関係数が最も大きくなる値、図4の例では−0.4sec.を採用する。なお、図4において、プラスは「進み」を示し、マイナスは「遅れ」を意味している。
ゲインa1と、遅れ時間Δt1とが決定すれば、操舵角δ(t)の内のフィードフォワード項により制御される部分が決定する。
すなわち、操舵角δ(t)から、スライドオフセット及びフィードフォワードを減算した結果から、前述したフィードバック項a2{ε1y’(t+Δt2)+ε2y(t+Δt2)+ε3θr(t+Δt2)+ε4θr’(t+Δt2)}を決定する。
図5は、発明者が行った実験結果から求めた相関、すなわち、道路センターラインとの相対ヨー角θr、道路センターラインからの相対横変位y、道路センターラインからの横方向相対速度y’、道路センターラインとの相対ヨー角の角速度θr’の4項目を用いた重相関解析の結果と、フィードバック成分の操舵角との相関を示している。
さらに、図5で示す様な高い相関が得られた場合において、図3で示す回帰式αの様な直線を求めれば、その傾きがフィードバック項におけるゲインとなる。
すなわち、フィードバック項における遅れ時間Δt2を変化させて、道路センターラインとの相対ヨー角θr、道路センターラインからの相対横変位y、道路センターラインからの横方向相対速度y’、道路センターラインとの相対ヨー角の角速度θr’の4項目を用いた重相関解析の結果とフィードバック成分の操舵角との相関係数の変化特性を求める。発明者による実験結果からは、例えば、図6で示す様な特性が得られた。
そして、図6で示す特性において、ピークの箇所(最も相関係数が高い箇所)の時間をフィードバック項における遅れ時間Δt2に決定するのである。
以上により、フィードバック項(或いは位置制御のためのフィードバック操舵成分)a2{ε1y’(t+Δt2)+ε2y(t+Δt2)+ε3θr(t+Δt2)+ε4θr’(t+Δt2)}が決定する。
ここで、安定化項において、ヨーレイトωと、ヨー角加速度ω’(=dω/dt)をパラメータとして採用しているのは、発明者が幾つかの状態量について検討した結果、操舵角との相関が高いパラメータであることによる。すなわち、ヨーレイトωと、ヨー角加速度ω’とをフィードバックすることにより、自動車走行の安定について有効であることが、発明者の検討結果より判明したからである。
すなわち、ヨーレイトωによる応答及びヨー角加速度ω’による応答に対する安定化による操舵角の重相関を取り、図5で示す様な高い相関係数が得られた場合における重み付けをε5(ヨーレイトωにおける重み付け)、ε6(ヨー角加速度ω’における重み付け)とする。
そして、高い相関が得られた場合における線形関数(図3における直線α参照)を求め、その傾きを、安定化項におけるゲインa3として決定する。
そして、相関係数がピークとなった時間を、安定化項における遅れ時間Δt3に決定する。
ここで、発明者による実験結果から得られた図7では、遅れ時間(進み時間)がゼロ近傍の箇所と、進み側に0.1秒〜0.2秒の箇所の2箇所に、ピーク(極大値)が存在している。しかし、進み側のピークは操舵に対するヨーレイト等の応答を表しているものと考えられるので、図7では、遅れ時間として、ゼロ近傍の数値を採用する。
以上により、安定化項が決定する。
ここで、式(1)の数式モデルも、図1のブロック図も、共に、同一のドライバモデルを表現している。換言すれば、式(1)と図1は、同一のモデルを異なる形式で表現しているのである。
先ず、実際の自動車或いはドライビングシミュレータ等を用いて、種々の条件下、或いは入力された情報に対して、ドライバが運転行動の結果として行ったハンドル操作の操舵角を計測する(ステップS1)。
そして、自動車或いはドライビングシミュレータで与えられた各種条件、或いは入力された情報(環境情報)と、操舵角との関係或いは特性を実験結果としてまとめる(ステップS2)。
ステップS2で求めた各種特性に基いて、数式(1)におけるフィードフォワード項、フィードバック項、安定化項を決定する。
最初に、ステップS2において、フィードフォワード項におけるパラメータを決定する。上述した様に、図示の例では、ドライバによる実際の運転と感覚的に近い結果が得られ、且つ、操舵角と相関が良好なパラメータである「道路のヨー角の微分値(θR’)」を、フィードフォワード項におけるパラメータとして選択している。
具体的には、上述した様に、選択されたパラメータ(図示の例では、ヨー角の微分値θR’)と操舵角との特性を単回帰分析して回帰式(図3の直線α)を決定し、その傾き(図3の直線αの傾き)からゲイン(a1)を求め、回帰式(図3の直線α)の縦軸の切片から、スライドオフセットa0を求め、ヨー角の微分値θR’の遅れ(或いは進み)と相関係数(ヨー角の微分値θR’と操舵角δ(t)との相関係数)との特性から、相関が最も良好となる遅れ(進み)時間を時間遅れ(Δt1)に決定する。
そして、フィードバックパラメータについて、重回帰分析を行い、図5で示す様な高い相関が得られた場合における(重回帰分析で行った)重み付けをε1〜ε4として決定し、その様な高い相関が得られた場合における回帰式の傾きをフィードバック項におけるゲインa2とし、重相関解析の結果とフィードバック成分の操舵角との相関係数が最も高くなる遅れ時間をフィードバック項における遅れ時間Δt2に決定する(ステップS7)。
フィードバック項が決定したならば(ステップS7が完了)、図9のステップSAに進む。
そして、ステップS10で、a3、Δt3、ε5、ε6を決定する。
すなわち、ヨーレイトωによる応答及びヨー角加速度ω’による応答に対する安定化による操舵角の重相関を取り、高い相関係数が得られた場合における重み付けをε5、ε6とする。
そして、高い相関が得られた場合における線形関数を求め、その傾きを、安定化項におけるゲインa3と決定する。
また、遅れ時間を変化させて、相関係数が最も良い遅れ時間を安定化制御の遅れ時間Δt3に決定する。
図10において、全体を符号70で示すシステムは、図8、図9で示す手法により、ドライバモデルを決定するためのシステムである。
図10において、ドライビングシミュレータ或いは自動車等で運転操作をしているドライバに対して与えられる各種情報(環境情報)は、ラインL1を介して計測装置72に入力される信号として表現されており、ドライバの運転行動の結果である操舵角(実験結果)は、計測装置72からラインL2へ出力される信号として表現されている。
特性解析装置74は、入力された環境情報の各々と操舵角(実験結果)との関係或いは特性を作成し、例えば各種特性図(図2参照)の形式で整理して、出力する(図8のステップS2に相当する処理)。
システム70では、特性解析装置74で作成された関係或いは特性に基いて、数式(1)におけるフィードフォワード項、フィードバック項、安定化項を決定するのである。
そして、フィードフォワード項決定装置76では、特性解析装置74で作成された関係或いは特性に基いて、上述したフィードフォワード項と、スライドオフセットとを決定する。
従って、パラメータ決定装置78は、制御パラメータが手作業に選択されるのであればキーボードその他の入力手段により構成され、自動制御により一定の手順に従って選択されるのであれば係る自動制御を実行する様に構成され、そして、特定のパラメータだけが選択されるのであれば図示しない記憶手段(メモリ等)で構成される。
そして、当該回帰式の傾き(図3の直線αの傾き)からゲイン(a1)を求め、回帰式(図3の直線α)の縦軸の切片から、スライドオフセットa0を求める。
さらに、フィードフォワード項決定装置76では、ヨー角の微分値θR’の遅れ(或いは進み)と相関係数(ヨー角の微分値θR’と操舵角δ(t)との相関係数)との特性から、相関が最も良好となる遅れ(進み)時間を時間遅れ(Δt1)に決定する。
この様にして、フィードフォワード決定装置76では、フィードフォワード項a1θR’(t+Δt1)と、スライドオフセットa0とを決定する。
同時に、決定されたフィードフォワード項a1θR’(t+Δt1)と、スライドオフセットa0とが、ラインL7に出力される。
フィードバック制御は、スライドオフセット(a0)とフィードフォワード項で求まる操舵成分とでは特定することが出来ない成分、すなわち自動車(車両)の位置に対する修正動作に関するものである。そのため、フィードバック項決定装置82は、操舵角からスライドオフセット(a0)とフィードフォワード項で求まる操舵成分とを除去或いは減算した残りの成分を用いて、フィードバック項を決定する。
そのため、パラメータ決定装置78からラインL9を介して、どのパラメータを選択するべきであるかがフィードバック項決定装置82に入力される(図8のステップS6に相当する処理)。
図示の例では、最も基本的な情報である道路センターラインとの相対ヨー角θrと、道路センターラインからの相対横変位yと、各々の微分値(道路センターラインからの横方向相対速度y’、道路センターラインとの相対ヨー角の角速度θr’)がフィードバックパラメータとして採用される。
選択されたフィードバックパラメータに関するデータは、ラインL3、L3−2を介して、特性解析装置74からフィードバック項決定装置82へ伝達される。
この様にして、フィードバック項決定装置82では、フィードバック項を決定する。
同時に、決定されたフィードバックがラインL11に出力される。
図示の例では、ヨーレイトωと、ヨー角加速度ω’(=dω/dt)をパラメータとして採用している。
そして、高い相関(が得られた場合)における線形関数を求め、その傾きを、安定化項におけるゲイン(a3)に決定する。
さらに、遅れ時間を変化させて各々の遅れ時間における相関を求め、最も良好な相関における時間遅れを、安定化項の時間遅れ(Δt3)として決定する。
この様にして、安定化項決定装置84で、安定化項a3{ε5ω(t+Δt3)+ε6ω’(t+Δt3)}を決定したならば、ラインL14に出力する。
係るドライバモデルについては、例えばディスプレイ等の表示手段(図示せず)で表示することも可能であるし、記憶手段100(データベース等)に格納する事も可能である。
すなわち、計測装置72以外をコンピュータで構成する場合、符号74は入力された環境情報の各々と操舵角(実験結果)との関係或いは特性を作成する機能を有するブロックを示し、符号76はフィードフォワード項を決定する機能を有するブロックを示し、符号78は制御パラメータを決定する機能を有するブロックであり、符号80は減算機能を有するブロックであり、符号82はフィードバック項を決定する機能を有するブロックであり、符号84は安定項決定機能を有するブロックであり、符号100はコンピュータ内のメモリ部分となる。
図11において、横軸は、車量の位置(運転時間の経過に対応)で、縦軸が操舵角である。ここで、横軸の「1600」、「1700」というのは、車両走行距離(m)である。実際のデータは、図11で示すよりも長距離(長時間)に及んでいるため、図11では、走行距離が1600m〜1700mの比較データのみを示している。
太い線(ドライバモデルにより求めた操舵角)と細い線(実際のドライバの操舵角)とは良く一致しており、図示の実施形態で求めたドライバモデルが、実際のドライバの運転行動を正確に表現可能であることが理解される。
図12は、フィードフォワード構成分、フィードバック構成分、安定化項成分を、それぞれ別個に求めて、表示している。
このことから、運転初心者に対する支援システム(サポートシステム)は、フィードフォワード項に関連する情報処理について、支援することが効果的であることが予想される。
換言すれば、最大傾斜法で重回帰分析を行えば、フィードフォワード項、フィードバック項、安定化項の順番に処理するのではなく、同時にゲインや遅れ等を決定することが出来るのである。
図13は、係る変形例を説明するためのフローチャートである。
しかし、図13においては、フィードフォワード項、フィードバック項、安定化項の各々における制御パラメータは、同時に決定される(ステップS13)。
そして、制御パラメータが決定したら(ステップS13が完了)、最大傾斜法で重回帰分析を行うことにより、フィードフォワード項、フィードバック項、安定化項のゲイン、遅れ時間等が同時に決定される(ステップS14)。
図14のドライバモデル決定システムにおいて、計測装置72と特性解析装置74については、図10と同様である。
しかし、図14のドライバモデル決定システムにおいては、パラメータ決定手段92は、フィードフォワード項の制御パラメータ、フィードバック項の制御パラメータ、安定化項の制御パラメータを同時に決定する処理(図13のステップS13に相当する処理)を行う様に結成されている。
係る場合においては、上述の説明から、安定化制御項に関する部分を省略すれば良い。
図15の運転支援システムにおいて、全体を符号110で示す自動車は、ドライバDにより運転されている。
ドライバDの足元にはブレーキペダル及びアクセルペダルが配置されている。図15においては、図示の簡略化のため、ブレーキペダル及びアクセルペダルの双方を表示することはせずに、単一のペダル116のみを示している。係るペダル116には、当該ペダル116の踏み代を計測するペダルセンサ118が設けられており、ペダルセンサ118の出力(計測結果)は伝達ラインCL12を介してコントローラ100に伝達される。
ドライバDの前方には、ドライバDと同等の視野を有する様にCCDカメラ122が配置されている。後述する様に、CCDカメラ122は道路形状認識用のセンサとして機能する。その計測結果(画像データ)は、伝達ラインCL14を介して、コントローラ100に伝達される。
さらに自動車110には3軸ジャイロ加速度計128が設けられており、3軸ジャイロ加速度計128の計測結果は、伝達ラインCL17を介して、コントローラ100に伝達される。
フロントブレーキアクチュエータ132は、伝達ラインCL19を介して、コントローラ100から出力されるフロントブレーキ制御信号を受信し、所定の制動力を発揮するように構成されている。
一方、リアブレーキアクチュエータ134は、伝達ラインCL20を介して、コントローラ100からのリアブレーキ制御信号を受信して、所定の制動力を発揮するように構成されている。
図16において、GPSアンテナ124及びGPSコントローラ126の出力情報は、伝達ラインCL16を介してコントローラ100に伝達され、ラインL21を介してヨー角θR決定手段142に伝達される。
CCDカメラ122の計測結果(画像データ)は、伝達ラインCL14を介してコントローラ100に伝達され、ラインL22を介してヨー角θR決定手段142に伝達されると共に、ラインL23を介して横方向偏差ΔYR決定手段144に伝達される。
横方向偏差ΔYR決定手段144は、CCDカメラ122の画像データと、3軸ジャイロ加速度計128の計測結果と、車速計120の計測結果(自動車110の速度)とから、道路のセンターラインの直行する方向の変異に関する偏差である横方向偏差ΔYRを決定し、ラインL27を介して、決定した横方向偏差ΔYRを後述する横方向変位YV決定手段150に送出する機能を有するように構成されている。
そしてフィードフォワード制御手段146は、決定された道路のヨー角θRから道路のヨー角速度を計算し,これを用い自動車の操舵角を決定し、伝達ラインCL18を介して操舵角信号をハンドルアクチュエータ130へ送出する
比較手段148Aは、フィードフォワード操舵成分が大きいか否かを決定する機能を有している。具体的には比較手段148Aは、図示しない記憶手段に記憶された第1の閾値とフィードフォワード操舵成分とを比較するように構成されている。
そして、フィードフォワード操舵成分が第1の閾値よりも小さい場合(フィードフォワード操舵成分が大きくない場合)には、コントローラ100からの操舵角信号にフィードバック操舵成分を付加するべく、フィードフォワード操舵成分が第1の閾値よりも小さい旨の比較結果を、ラインL29、ラインL30を介して、自動車のヨー角θV決定手段148と、自動車の横方向変位YV決定手段150とに、それぞれ伝達する。
決定された偏差(θV偏差)は、ラインL36を介して、フィードバック制御手段152に伝達される。
決定された偏差(YV偏差)は、ラインL37を介して、フィードバック制御手段152に伝達される。
係る速度制御においては、横向き加速度を決定して、それが所定の数値以上になるとブレーキによる制動を行って、車速を抑制している。
次に、図16を参照して、速度制御に関連する構成を説明する。
上述したヨー角θR決定手段142で決定された道路のセンターラインのヨー角θRは、ラインL39を介して、ヨー角速度ω決定手段158へ送られる。ヨー角速度ω決定手段158は、ヨー角θR決定手段142で決定された道路のセンターラインのヨー角θRを微分してセンターラインのヨー角θRの角速度(ヨー角速度ω)を求めると共に、ラインL40を介して当該角速度(ヨー角速度ω)を横向き加速度YG決定手段156へ送る様に構成されている。
比較手段160は、横向き加速度YG決定手段156で求められた横向き加速度YGが大きいか否かを決定する。具体的には、図示しない記憶手段から呼び出した第2の閾値と、求められた横向き加速度YGとを比較し、横向き加速度YGが第2の閾値よりも大きい場合には、「横向き加速度YG決定手段156で求められた横向き加速度YGが大きい」と判定する。
そして、速度制御手段162は、比較手段160から「横向き加速度YGが大きい旨」が伝達された場合には、伝達ラインCL19或いはCL20を介して、フロントブレーキアクチュエータ132或いはリアブレーキアクチュエータ134に作動信号を出力して、制動を行わせる様に構成されている。以って、自動車110を減速させるのである。
最初に、図17及び図18を参照して、図示の運転支援システムにおけるメインの制御である自動車のヨー角θV及び自動車の横方向変位YVを決定する制御について、説明する。
そして、ヨー角θR決定手段142によって、道路のセンターラインのヨー角θRを決定する(ステップS23)。
図8のステップS28では、図7のステップS27で決定された自動車のヨー角θV及び自動車の横方向変位YVのフィードフォワード操舵成分を決定する。決定されたフィードフォワード操舵成分は、図示しない記憶手段に記憶された第1の閾値と比較される(ステップS29)。
決定されたフィードバック成分は、フィードフォワード成分に加算され(図18における連結点BP)、自動車110の操舵が決定される(ステップS31)。
図19は、その様な速度制御を示している。
車速計120の計測結果から速度Vを決定し、ヨー角θR決定手段142で決定された道路のセンターラインのヨー角θRを微分することによりヨー角速度ωを決定する(図19のステップS41)。
図9で示す速度制御における支配的なパラメータである横向き加速度YGは、曲率ρを求めなくても演算できるからである(YG=ω・V)。
横向き加速度YGが第2の閾値以上であれば(ステップS44がYes)、自動車110の速度が速すぎると判断して、ブレーキアクチュエータ132、134を作動して制動を掛ける(ステップS45)。
一方、横向き加速度YGが第2の閾値よりも小さければ(ステップS44がNo)、自動車110の速度が速すぎることはないと判断し、ブレーキアクチュエータ132、134は作動しない。すなわち、速度制御を行わない(ステップS46)。
16・・・フィードバック制御ブロック
18・・・安定化制御ブロック
70・・・ドライバモデル決定システム
72・・・計測装置
74・・・特性解析装置
76・・・フィードフォワード項決定装置
78、92・・・パラメータ決定装置
80・・・減算機構
82・・・フィードバック項決定装置
84・・・安定化項決定装置
90・・・モデル決定装置
100・・・記憶手段
Claims (8)
- 出力成分にフィードフォワード制御による成分とフィードバック制御による成分とを有し、フィードフォワード制御による成分及びフィードバック制御による成分は、運転者による運転行動の結果の測定値に基いて決定されていることを特徴とする運転行動モデル。
- 出力成分に安定化制御による成分をも有しており、安定化制御による成分も運転者による運転行動の結果の測定値に基いて決定されている請求項1の運転行動モデル。
- フィードフォワード制御における制御パラメータを選択する工程と、フィードフォワード制御による成分を決定する工程と、フィードバック制御における制御パラメータを決定する工程と、フィードバック制御による成分を決定する工程、とを有することを特徴とする運転行動モデルの構築方法。
- 安定化制御における制御パラメータを選択する工程と、安定化制御による成分を決定する工程、とを有する請求項3の運転行動モデルの構築方法。
- フィードフォワード制御における制御パラメータと、フィードバック制御における制御パラメータとを選択する様に構成されている装置と、フィードフォワード制御による成分を決定する装置と、フィードバック制御による成分を決定する装置、とを有することを特徴とする運転行動モデルの構築システム。
- 制御パラメータを選択する装置は安定化制御における制御パラメータをも選択する様に構成されており、安定化制御による成分を決定する装置を備えている請求項5の運転行動モデルの構築システム。
- 自動車に搭載される運転支援システムにおいて、ハンドルの操舵角を検出する手段と、ブレーキペダル及び/又はアクセルペダルの踏み代を計測する手段と、車速を計測する手段と、道路形状認識手段と、自動車の位置を検出する手段と、加速度計と、ハンドルの操舵角を制御する手段と、制御手段とが設けられており、該制御手段は、ハンドルの操舵角を検出する手段、ブレーキペダル及び/又はアクセルペダルの踏み代を計測する手段、車速を計測する手段、道路形状認識手段、自動車の位置を検出する手段及び加速度計の計測結果或いは検出結果に基いて、自動車のヨー角と自動車の相対横方向変位とを決定し、ハンドルの操舵角を制御する手段へ制御信号を出力する様に構成されていることを特徴とする運転支援システム。
- 自動車の制動力を制御する手段が設けられており、前記制御手段は、曲線部道路のセンターラインと直交する方向の加速度を演算し、当該加速度が大きい場合には自動車の制動力を制御する手段を作動して車速を減じる制御を行う様に構成されている請求項7の運転支援システム。
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