JPWO2006041079A1 - 液体中生物の電気殺滅方法および電気殺滅装置、液体中生物の電気殺滅用助剤 - Google Patents

液体中生物の電気殺滅方法および電気殺滅装置、液体中生物の電気殺滅用助剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、濾過助剤を用いた円筒状中空(バネ状)フィルタ濾過にて生物殺滅機能を付加した殺滅方法・装置で、特に電気的殺滅法を利用した方法と装置の改善、とりわけ、特許文献15(特願2004 294483号)記載の方法と装置を改善して、より高機能の殺滅が実現される方法、殺滅用助剤、殺滅装置に関する。濾過助剤をプレコートする工程にて、濾過助剤混入液に濾過助剤とともに導電性物質を混入する。導電性物質によって、従来のような高抵抗(高インピーダンス)助剤層がフィルタエレメント表面に形成され殺滅電流が上がらないといった問題が解消され、原水中の生物をより低エネルギーで高効率殺滅できるようになる。

Description

本発明は円筒状中空(バネ状)フィルタと濾過助剤による濾過装置に液体中の生物を殺滅する機能が付加された装置とその殺滅方法、殺滅用助剤、殺滅装置に関する。船舶バラスト水の生物を国際環境基準に適合するレベルに殺滅する船舶バラスト水処理に利用する技術である。濾過助剤は繊維状物質であるケイソウ土が安価のためよく用いられる。
船舶バラスト水は国際的な生態系破壊や細菌感染という問題の原因となるため、2009年から外海でのバラスト水交換(または無生物化処理)、バラストタンク容量によって2014または2016年より無生物化が義務付けられる。よって、船舶バラスト水の生物を殺滅する技術が求められている。環境基準は図7に示す厳しいものである。本明細書で記載される生物の殺滅とは、図7の表に記載された生物に関して同表に記載されたレベルの生物数削減(無生物化)を意味するものである。
生物の殺滅を意図した従来の船舶バラスト水処理方法については、船舶の熱機関の熱を利用する熱殺滅が処理コスト上もっとも有利で実用的と考えられる。熱殺滅の方法にはタンク底部にエンジン冷却用熱水を注入する(特許文献1)、熱交換器をバラスト配管系の途中に配設する(特許文献2)などがある。しかし、殺滅の確実性に疑問があるし、熱エネルギー効率も改善の余地がある。すなわち、特許文献1のように生物の存在しやすい船底に熱エネルギーを与えるとすると与えるべき部位が広いので膨大な熱量を要する。特許文献2ではバラスト配管系全域にわたって殺滅に十分な熱エネルギーを供給せねばならず熱エネルギー効率は悪い。
熱殺滅以外にも、オゾンまたはオゾンと蒸気の混合による殺滅(特許文献3)、高電圧パルスなどによる電気的殺滅(特許文献4、10、11)、酸度濃度を変化させることによる殺滅(特許文献5)、噴流衝突・爆発・キャビテーションなどで機械エネルギーを水中生物に与え破壊する殺滅、紫外線や光触媒による方法など、多くの新方式が開発されているが、実用レベルに達しているものはない。しかしながら、発明者らは、これらの方式のなかで電気的殺滅法については比較的有望と考え、本案を発明するに至った。
電気的殺滅法の原理は、処理水に電圧を印加して電解によって種々のラジカル(活性酸素など)を生成し、その酸化力により殺滅効果を得ることであり、また、電位差が直接的に細胞膜などの生体を破壊することである。さらにまた、大腸菌,酵母,動物細胞等では、細胞の呼吸活性に必要不可欠な酵素:補酵素A(CoA:Co-enzyme A)の存在が確認されていて、細胞を電極に接触させ細胞に電位差を与えていくと、+0.74V付近に酸化のピークが出現し、補酵素Aもこの電位で酸化ピークとなることが知られている。(この電位は、電流電位曲線(current-potential curve・ボルタンモグラム)またはサイクリックボルタンメ トリー(cyclic voltammetry)を参照電極:飽和カロメル電極(SCE)として測定したときの電位である) したがって、電気的殺滅法の別原理は、生物細胞に補酵素Aが酸化する+0.74V程度の電位差を細胞内外に与え、補酵素Aを不活化し細胞の呼吸活性に損傷を与え死滅させることである。
生物の殺滅工程の一方で、濾過・浄化工程も船舶バラスト水処理に必要である。すなわち濾過・浄化も殺滅に組み合わせて船舶上で行われるべきであり、保守性・経済性で有利な濾過・浄化法も必要である。発明者らは、円筒状中空フィルタエレメントによる濾過装置の保守性・経済性に注目した(特許文献6−9参照)。
円筒状中空フィルタエレメントそのもの、および濾過装置に円筒状中空フィルタを利用することは公知である(特許文献6、7、12、13参照)。本案にて円筒状中空フィルタの好適なる選択例は、金属の「バネ状フィルタ」である。以下簡単のためバネ状フィルタの例を主体として説明するが、本案はこれに限定されず、特許文献12、13のような焼結フィルタでもよい。さて、「バネ状フィルタ」は「コイル状フィルタ」、「スプリングフィルタ」とも呼ばれ、これらは同一である。バネ状フィルタは構造上細長い空隙をもつので、細長い物体はすり抜けてしまう。そのため、とりわけ不定形である生物を濾過する場合には珪藻土などの濾過助剤を濾過前にフィルタ表面にあらかじめ被覆(プリコート)している。濾過助剤が細長い空隙にブリッジングし、そのブリッジング部位が濾過作用する。すなわち、バネ状フィルタ自体は濾過助剤がブリッジングして濾過助剤が固定され濾過作用を行う場所を形成させるためにある。
濾過排除すべき物体の形状が扁平でなく、必ずバネ状フィルタの細長い空隙に捕獲されるという保証があれば濾過助剤は不要である。しかし、このようなケースはごく稀である。バネ状フィルタ濾過装置は前記の濾過助剤と組み合わせて用いる必要がある。一方、特許文献12、13のような焼結フィルタでは助剤は必ずしも必要とせず、焼結体内に形成した微細迷路構造で濾過排除すべき物体を捕獲する。焼結フィルタでは、助剤不要というメリットの一方、フィルタ自体が高価である、微細迷路構造に捕獲された濾過排除すべき物体を逆洗でも排除できず特殊な抽出洗浄を必要とする場合がある、というディメリットがある。焼結フィルタとバネ状フィルタとは、たとえば精密濾過(10ミクロンレベル)と一般濾過(10ミクロン超)といった用途で使い分けられている。本案は焼結フィルタとバネ状フィルタのいずれにも適用可能だが、簡単のためバネ状フィルタを用いた説明を継続する。
図5が円筒状中空(バネ状)フィルタ濾過装置の模式図である。1は円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント、2は原水(被処理水)流入孔、3はフィルタ1で濾過した水流出孔である。図4が円筒状中空(バネ状)フィルタ濾過装置を用いた公知の水処理フローである。ここでCwは濾過処理された清浄水、Dwは処理前の原水(バラスト水用途であれば港湾などで吸引した港湾水)である。図6が円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの状態遷移図であって、(a)濾過スタンバイ、(b)助剤のプリコート、(c)濾過、(d)逆洗、(e)フィルタ洗浄状態である。ここで、Jは珪藻土などの濾過助剤、Pwは逆洗用の高圧液体または高圧気体である。公知の円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントによる濾過装置の構造と機能の詳細は特許文献7−9に記載されているので略す。
本案発明者は、濾過助剤を用いた円筒状中空(バネ状)フィルタの濾過中または濾過直後に該フィルタエレメントに捕獲された生物を電気的殺滅法で殺滅する装置と方法を提案済みである(特許文献15参照)。すなわち、複数の導電性の円筒状中空(バネ状)フィルタを内蔵した濾過槽で原水中の生物を殺滅する方法であって、該フィルタエレメントに生物を捕獲しつつ原水を通過させ清浄水を分離する第一工程の工程中に該フィルタエレメントに通電する第二工程を行う、または、第一工程のあとで該フィルタエレメントに通電する第二工程を行うことで液体中の生物を電気的に殺滅する方法、および複数の導電性円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントを内蔵した濾過槽で原水中の生物を殺滅する装置であって、複数のフィルタエレメントが二群に分けられ、該二群の一群の導電部と他群の導電部を通電する電圧を印加する電源が前記二群の一群の導電部および他群の導電部とに接続し配設された液体中の生物を電気的に殺滅する装置である。
さらに本案発明者は、装置の別態様として、複数のフィルタエレメントと離隔した対抗電極が濾過槽内に配設され、該対抗電極とフィルタエレメントの導電部を通電する電圧を印加する電源が前記対抗電極およびフィルタエレメントの導電部とに接続し配設された液体中の生物を電気的に殺滅する装置も提案済みである(特許文献15参照)。これら方法・装置を船舶バラスト水処理方法ならびに一般の生物を殺滅した液体の製法として利用することも提案済みである(特許文献14参照)。
本案発明者の上記発明の本質は、フィルタエレメントには濾過中に生物が集中し、かつ、フィルタエレメント表面に比較的薄く延ばされた薄膜状となっているのでインピーダンスが小さく、殺滅のための電圧は低電圧でよい。他の方法で、たとえば生物がバルク(塊)状であるとインピーダンスが比較的大きく、バルク(塊)中心にまで通電する電圧は高電圧を要し比較的難しく実用化困難となる。すなわち、濾過のためにフィルタエレメントに捕獲された状態が殺滅のため電気エネルギーを付与するのにきわめて好適な状態であると認識(notice)したことである。
また、本案発明者の上記発明の別の本質は、円筒状中空(バネ状)フィルタ濾過装置では導電性金属のフィルタエレメントが用いられ、かつまた、フィルタ能力を極力上げるべく、複数のフィルタエレメントを極限まで隣接・密集させた状態で濾過槽内に林立配設されている。このことは、フィルタエレメント表面を電極と見た場合、互いに近接して表面電極があるということなので、これら表面電極間に通電する場合の電極間インピーダンスが小さく、好都合であることを認識(notice)したことである。
なお、先行技術として濾過助剤に磁性体粉末を使用し、余剰汚泥と濾過助剤を分離させるものが、特許文献16に開示されている。これは本案の目的(生物殺滅)とは異なる。
特許第2794537号「バラストタンクの熱処理方法およびその装置」日本郵船株式会社 米国特許第5816181号「Ballast Water Treatment System」T.W.Sherman 特開2004-160437号「水浄化方法およびその装置」日本郵船株式会社、郵船商事株式会社ほか 特開2002-192161号「船舶のバラスト水の処理方法及びその処理装置」三菱重工業株式会社 米国特許第5932112号「Method and Apparatus for Killing Microorganisms in Ship Ballast Water」Browning Transport Management, Inc. 特許第3124901号「液体濾過フィルターエレメント」加藤耕一、株式会社モノベエンジニアリング 特許第3394490号「濾過装置」株式会社モノベエンジニアリング、イワブチ株式会社 特許第3069955号「濾過装置および濾過方法」東芝プラント建設株式会社 特開2003-71500号「排水処理装置および処理方法」東芝プラント建設株式会社 特開2004−188404号「海洋生物死滅方法」菱洋産業株式会社 特開2003−334563号「バラスト水」菱洋産業株式会社 特許第2791737号「焼結フィルタ及びその製造方法」東京特殊電線株式会社 特許第2763751号「フィルタエレメント及びその製造方法」シーケーディ株式会社 特願2004 294482号「船舶バラスト水処理方法ならびに生物を殺滅した液体の製法」株式会社アイ・ピー・ビーほか 特願2004 294483号「液体中の生物を電気的に殺滅する方法および装置」株式会社アイ・ピー・ビーほか 特開平09-117619号「排水処理方法および装置」日立プラント建設サービス株式会社
本発明の課題は、円筒状中空(バネ状)フィルタと濾過助剤による濾過に液体中の生物を殺滅する機能を付加し、船舶バラスト水の生物を殺滅し、国際環境基準に適合するレベルとなす殺滅方法・装置で、特に電気的殺滅法を利用した方法と装置の改善、とりわけ、特許文献15(特願2004 294483号)記載の方法と装置を改善し、より高機能の殺滅が実現される方法、殺滅用助剤、殺滅装置に関する。
本発明の課題を、より具体的に図13で説明する。図13は、フィルタエレメントに通電し原水中の生物を殺滅する従来の(特許文献15の)方法の説明図である。(a)助剤のプリコート開始、(b)助剤のプリコート完了、(c)濾過開始、(d)フィルタエレメントに通電して電気殺滅、の各状態を示す。図13(d)で、高抵抗(高インピーダンス)助剤層ZZがフィルタエレメント表面に形成されるため、殺滅電流が上がらない。電源から投入するエネルギーがZZでロスされる。すなわち、液体中の生物を殺滅するべく投入された電気エネルギーの大半が高抵抗(高インピーダンス)助剤層ZZで発熱などの不要エネルギーに消費される。さらに高抵抗(高インピーダンス)助剤層ZZ抵抗(インピーダンス)が、電源パワーに対して大きい場合には、電流がほとんど流れない。これらの現象が生じると生物を殺滅できない。本案はこの問題を解決する。
本案は、(請求項1:図14参照) 導電性の円筒状中空フィルタエレメントを内蔵した濾過槽で該フィルタエレメントに通電し原水中の生物を殺滅する方法であって、濾過助剤を混入した液を濾過槽に流動し円筒状中空フィルタエレメントに濾過助剤をプレコートする工程にて、前記濾過助剤混入液に濾過助剤とともに導電性物質JXを混入する。図14(a)にプリコートにてJXがJとともに混入されている状況を示す。
また本案は、(請求項2:図15参照) 濾過助剤を混入した液を濾過槽に流動し円筒状中空フィルタエレメントに濾過助剤をプレコートする工程に先行して、導電性物質JXを混入した液を濾過槽に流動する工程を有する。図15に図15(a)に先行してJXを混入した液を濾過槽に流動する工程を示す。
さらにまた本案は、(請求項3:図16参照) 円筒状中空フィルタエレメント表面に濾過助剤をプレコートする工程につづく原水の濾過工程において、導電性物質JXを原水に混入する。図16(c)の濾過工程にJXが原水に混入され濾過されている状況を示す。
導電性物質については、(請求項4) その素材が、金属、またはカーボン、または炭化物、または金属と炭素系の物質との混合物のいずれかであって、該導電性物質の形態が、粉状、またはフレーク状、または繊維状、または粉とフレークと繊維の3つのうち少なくとも2つが混在したもの、のいずれかであり、該導電性物質の平均粒径が、円筒状中空フィルタエレメントの平均フィルタ間隙長の50分の1以上かつ2分の1以下であり、該導電性物質の体積抵抗値が10オームセンチ以下であるのが好適である。
より具体的に導電性物質は、鉄粉、鉄フレーク、ニッケルパウダー、ニッケルフレーク、アルミ粉、アルミフレーク、炭素粉、カーボンファイバー(炭素繊維)、活性炭、などでこれらの混合物であってもよい。とくに活性炭のように多孔質(ポーラス)で比表面積が大きく吸着性があると生物吸着されるのできわめて好適である。
また、本案は電気殺滅用助剤を提案するものである。その電気殺滅用助剤は、(請求項5)濾過槽内で通電することで濾過対象液体中の生物を殺滅するための導電性物質を混入した体積抵抗値が10オームセンチ以下である濾過助剤であって、該導電性物質の混入率が体積比で10%以上であり、該導電性物質の形態が、粉状、またはフレーク状、または繊維状、または粉とフレークと繊維の3つのうち少なくとも2つが混在したもの、のいずれかであり、該導電性物質の平均粒径が、濾過槽内フィルタエレメントの平均フィルタ間隙長の50分の1以上かつ2分の1以下である。この濾過助剤は円筒状中空フィルタエレメントによる濾過に限定されない。すなわち助剤を用いた濾過一般に利用できる。
従来のような高抵抗(高インピーダンス)助剤層ZZがフィルタエレメント表面に形成され殺滅電流が上がらないという問題(図13(d))が解消され、原水中の生物をより低エネルギーで高効率殺滅できるようになる(図14(d)、図16(d))。該導電性物質の平均粒径が、円筒状中空フィルタエレメントの平均フィルタ間隙長の50分の1以上かつ2分の1以下であると、フィルタエレメントの間隙にうまくブリッジングする。ブリッジングすると導電性物質がフィルタエレメント表面とその近傍に多数存在する。そのためインピーダンスが大きく下がる。該導電性物質の体積抵抗値が10オームセンチ以下であり、導電性物質の混入率が体積比で10%以上であれば、インピーダンス低減効果が顕著であり有効である。
(a)二群に分けられた円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの一群に属する円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント1Aと他群1Bとの間に電圧を印加して通電する例、(b)円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントと離隔した対抗電極が濾過槽内に配設されていて、円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントと対抗電極との間に直流または交流またはパルス状の電圧を印加して通電する例、(c)前例(b)で対抗電極の数を減らした例のそれぞれ説明図 二群に分けられた円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの一群に属する円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント1Aと他群1Bとの間に電圧を印加して通電する例の説明図(図1(a)とは別の実施例) 円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントと離隔した対抗電極が濾過槽内に配設されていて、円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントと対抗電極との間に電圧を印加して通電する例の説明図(図1(b)と同様の実施例) 円筒状中空(バネ状)フィルタ濾過装置を用いた公知の水処理フロー(特許文献9図1) 円筒状中空(バネ状)フィルタ濾過装置(特許文献9図5) (a)濾過スタンバイ、(b)助剤のプリコート、(c)濾過、(d)逆洗、(e)フィルタ洗浄が繰り返される円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの状態遷移の図 船舶バラスト水の環境基準 (a)従来の助剤プリコート状況で、上下方向の助剤拡散不均一が生じている例、(b)攪拌手段10で助剤不均一を解消したが、フィルタエレメント数が減少しフィルタ効率が下がる例、(c)適切な攪拌手段の配設でフィルタ効率を悪化させることなく助剤不均一を解消した例 NcおよびNnの両方を有する洗浄手段の例図 隣接する円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントに電圧を印加することで液体中の生物を殺滅することの説明図 ロッド(棒)状の複数の対抗電極Rを円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントに近接して配設した例の説明図 ロッド(棒)状の複数の対抗電極Rを円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントに近接して配設した例の説明図その2 フィルタエレメントに通電し原水中の生物を殺滅する従来の(特許文献15の)方法の説明図:高抵抗(高インピーダンス)助剤層ZZがフィルタエレメントに表面に形成され殺滅電流が上がらない (本案請求項1)プレコート工程にて濾過助剤混入液に濾過助剤とともに導電性物質を混入することの説明図:導電性物質JXが高抵抗(高インピーダンス)助剤層ZZの形成を阻止し大きな殺滅電流を流せるようにする (本案請求項2)プレコートする工程に先行して導電性物質を混入した液を濾過槽に流動する工程を有することの説明図 (本案請求項3)原水の濾過工程にて導電性物質を原水に混入することの説明図 生物の殺滅反応の流れを示すフロー図
符号の説明
1 円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント
1A 二群に分けられた複数の円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの一群に属する円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント
1B 二群に分けられた複数の円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの他群に属する円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント
2 原水(被処理水)流入孔
3 フィルタ1で濾過した水流出孔
4 熱水・スチーム流入孔
5 殺滅死骸を清浄水で混合希釈した液の排出孔
6 フィルタ1内部に至る開口を有して7に固定されたフィルタ1下端部
7 容器下部と容器中央部の仕切り板であって、フィルタ1下端部を固定し上下動する板
10 フィルタ1を洗浄する洗浄手段またはフィルタ1の周縁を攪拌する攪拌手段であり、その導電性部が対抗電極(counter electrode)の機能をはたすものであり該電極がEL0に接続されている。
11 10にフィルタ1を洗浄する流体またはフィルタ1の周縁を攪拌する流体を供給する供給管
Bw 濾過槽底部を満たすために注入されるダミー水であって熱水でもよい。
Cw 濾過処理された清浄水 Clear water
Dw 処理前の原水(バラスト水用途であれば港湾などで吸引した港湾水) Dirty water
E 液体を排出した空の状態 Empty
EL 円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント1に接続された外部端子
EL0 対抗電極10に接続された外部端子
EL1 円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの一群(1A)に接続された外部端子
EL2 円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの他群(1B)に接続された外部端子
ELA EL1と1Aを電気的に接続する配線
ELB EL2と1Bを電気的に接続する配線
Hw 生物を殺滅するための流動熱源(熱水など)Hot water
J 珪藻土などの濾過助剤
JX 導電性物質
Nc 洗浄手段に隣接するフィルタエレメント表面およびその周縁を洗浄する噴流ノズル
Nn 隣接する他の洗浄手段の表面を洗浄する噴流を放出する噴流ノズル
Pw 逆洗用の高圧液体または高圧気体
Qw 殺滅死骸を清浄水で混合希釈した液
R ロッド(棒)状の対抗電極
S 流動熱源Hwを加熱・保温するために導入する低圧の蒸気
SS 円筒状中空(バネ状)フィルタの間隙を開口させ逆洗するために導入する高圧の蒸気
X 生物の殺滅反応の流れ
Z 電気絶縁材
ZZ 高抵抗(高インピーダンス)助剤層
本案の装置は、(請求項6) 導電性の円筒状中空フィルタエレメントを内蔵した濾過槽と該フィルタエレメントに通電し原水中の生物を殺滅するための印加電源を有する装置であって、濾過槽に原水を供給する配管系に導電性物質を供給する手段、および/または、円筒状中空フィルタエレメントに濾過助剤をプレコートするためのプレコート液を供給する配管系に導電性物質を供給する手段、を有する液体中生物の電気殺滅装置
本案の装置の導電性物質については、前記同様である。すなわち(請求項7) 素材が、金属、またはカーボン、または炭化物、または金属と炭素系の物質との混合物のいずれかであって、該導電性物質の形態が、粉状、またはフレーク状、または繊維状、または粉とフレークと繊維の3つのうち少なくとも2つが混在したもの、のいずれかであり、
該導電性物質の平均粒径が、円筒状中空フィルタエレメントの平均フィルタ間隙長の50分の1以上かつ2分の1以下であり、該導電性物質の体積抵抗値が106オームセンチ以下である。
また、本案では次のような濾過槽の助剤プレコート・濾過・逆洗の運転状態を切り替える切り替え制御手段をもつ装置であるとさらに有効である。すなわち、(請求項8)導電性の円筒状中空フィルタエレメントに通電する際の電気抵抗の変化を測定する手段を兼備し、該測定手段による電気抵抗の変化に基づいて濾過槽の助剤プレコート・濾過・逆洗の運転状態を切り替える切り替え制御手段を兼備した装置である。
円筒状中空フィルタエレメントに通電するので、その電流値(電気エネルギー)が可観測である。その電流値が殺滅のプロセスセンサーに使用可能であることを認識し、前記制御手段を発明した。従来の濾過槽の制御は、センサーとして、濾過槽内外の差圧を測定する圧力センサーが用いられていた。差圧では濾過槽全体の集合的状態を把握するにはよいが、個別のフィルタエレメントの状態は把握できない。一方前記手法では、フィルタエレメントの状態を個別に把握できる。個別のフィルタエレメントの通電部に電流変換器(Current Transformer)を配設すればよい。制御の方法はたとえば、所定の電流値を設定し、電流を観測し、設定値以下に到達したら、フィルタに捕捉された物体が過多になったとして、逆洗モードにする。プリコートの際に、電流を観測し、設定値以下に到達したら、フィルタに十分に導電性物質が付着したとして、プリコートを完了する、などである。
特許文献15のフィルタエレメントや電極のアレンジで、次の態様がある。すなわち、濾過槽に複数の導電性円筒状中空フィルタエレメントが内蔵され、該複数の導電性円筒状中空フィルタエレメントが二群に分けられ、該二群の一群の導電部と他群の導電部を通電する電圧を印加する電源が前記二群の一群の導電部および他群の導電部とに接続し配設された電気殺滅装置。
特許文献15のフィルタエレメントや電極の別のアレンジで、次の態様がある。すなわち、濾過槽に複数の導電性円筒状中空フィルタエレメントが内蔵され、該複数の導電性の円筒状中空フィルタエレメントと離隔した対抗電極が濾過槽内に配設され、該対抗電極と円筒状中空フィルタエレメントの導電部を通電する電圧を印加する電源が前記対抗電極および円筒状中空フィルタエレメントの導電部とに接続し配設された液体中生物の電気殺滅装置。
さらに、電源が印加電圧の極性を反転する回路を有するものでもよい。
またさらに、円筒状中空フィルタエレメントに隣接して該円筒状中空フィルタエレメント表面およびその周縁を洗浄する噴流ノズルを具備した洗浄手段が濾過槽内に配設され、対抗電極が前記洗浄手段の導電部である、または、濾過槽内の液体を攪拌する噴流ノズルを具備した攪拌手段が濾過槽内に配設され、対抗電極が前記攪拌手段の導電性部である、といった構成でもよい。
さらにフィルタエレメント表面の改善について、であるが、フィルタエレメント表面を陽極酸化(anodic oxidation)して、表面を多孔(ポーラス)化して比表面積をあげたものを採用し配設するとよい。表面を多孔(ポーラス)化したエレメントが配設されていると、プリコート工程で多孔(ポーラス)化した表面に導電性物質が定着しやすく、かつ、定着したものを種として導電性物質が繊維状の助剤とからみあいながらつぎつぎと樹状に成長して好適である。濾過工程でこのような樹状部に生物が捕捉され、かかる部位にまで通電されるので効果的な電気殺滅が実行される。
(特許文献15について)
以下冗長であるが、本案方法と装置の実施形態のベースである特許文献15について説明する。特許文献15は、濾過助剤を用いた円筒状中空(バネ状)フィルタの濾過中または濾過直後に該フィルタエレメントに捕獲された生物を電気的殺滅法で殺滅するというものである。特に、バネ状フィルタの場合は、(バネ状限定特許文献15請求項1)複数の導電性のバネ状フィルタエレメントを内蔵した濾過槽で原水中の生物を殺滅する方法であって、バネ状フィルタエレメントにプリコートした濾過助剤に生物を捕獲しつつ原水を通過させ清浄水を分離する第一工程の工程中に該バネ状フィルタエレメントに通電する第二工程を行う、または、第一工程のあとで該バネ状フィルタエレメントにプリコートした濾過助剤を残留させたまま該バネ状フィルタエレメントに通電する第二工程を行うことで液体中の生物を電気的に殺滅する方法である。
フィルタエレメントには濾過中に生物が集中し、かつ、フィルタエレメント表面に比較的薄く延ばされた薄膜状となっているのでインピーダンスが小さく、殺滅のための電圧は低電圧でよい。他の方法で、たとえば生物がバルク(塊)状であるとインピーダンスが比較的大きく、バルク(塊)中心にまで通電する電圧は高電圧を要し比較的難しく実用化困難となる。すなわち、濾過のためにフィルタエレメントに捕獲された状態が殺滅のため電気エネルギーを付与するのにきわめて好適な状態であると認識(notice)した。これが特許文献15の発明の本質である。
また、円筒状中空(バネ状)フィルタ濾過装置では導電性金属のフィルタエレメントが用いられ、かつまた、フィルタ能力を極力上げるべく、複数のフィルタエレメントを極限まで隣接・密集させた状態で濾過槽内に林立配設されている。このことは、フィルタエレメント表面を電極と見た場合、互いに近接して表面電極があるということなので、これら表面電極間に通電する場合の電極間インピーダンスが小さく、好都合であることを認識(notice)した。これも特許文献15の発明の本質である。
さて特許文献15の発明原理を図10および図17で説明する。1Aは二群に分けられた複数の円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの一群に属する円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント、1Bは二群に分けられた複数の円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの他群に属する円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント、EL1が円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの一群(1A)に接続された外部端子、EL2が円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの他群(1B)に接続された外部端子、ELAがEL1と1Aを電気的に接続する配線、ELBがEL2と1Bを電気的に接続する配線である。この構成で二群の一群と他群の間に電圧を印加する。
つまり、EL1とEL2間に電圧を印加して、あたかも1Aの表面電極と1Bの表面電極をもちいた原水(被処理水)の電気分解と同様の状態で生物殺滅する。すなわち、原水に電圧を印加して電解によって種々のラジカル(活性酸素など)を生成し、その酸化力により殺滅効果を得る。また、電位差が直接的に濾過助剤に捕獲された生物の細胞膜などの生体を破壊する。さらにまた、大腸菌,酵母,動物細胞等では、生物細胞に補酵素Aが酸化する+0.74V程度の電位差が細胞内外に与えられ、補酵素Aを不活化し細胞の呼吸機序にダメージを与え死滅させる。
電気的生物殺滅の上記原理は公知だが電子レベルの電気化学反応、およびインビボ、インビトロの生化学反応の機序解明は研究段階にある。そのため、こういった殺滅装置において機能仕様を満たす電気エネルギーのヒントは現状理論からは得られない。しかし、実用的には装置を組んで特定の殺滅生物ターゲットにつき、電気的殺滅前後のターゲット生物生存数を比較しつつ最適電圧仕様をきめる実験を実施すればよい。
ただし、電気エネルギーの付与仕様として、装置保守の条件から直流電圧を極性同一のまま印加するのは好ましくない。特定の円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント表面が電気腐食されるからである。また、電気分解で正極にあらわれるラジカル種と量は、負極のそれとは大きく異なる。そのため、極性同一印加では二群に分けられた一群と他群の表面電極での殺滅効果に差があらわれ好ましくない。電気腐食分散の装置保守上の条件、ならびに、ラジカル種と量の極性差を平準化するため、二群の一群と他群の間に少なくとも一回の極性反転を伴う電圧を印加することが望ましい。これは、持続時間の長い電圧を印加する場合でも、パルス状の電圧を繰り返し印加する場合でも同様である。前記「少なくとも一回の極性反転を伴う電圧」には、交流電圧を含むものである。かかる交流電圧の波形は、商用サイン波でもよいが、のこぎり波、矩形波、三角波といった特徴的な波形のいずれかが特定の生物殺滅により好適である可能性がある。
特許文献15発明の方法をバネ状フィルタの場合に限定せず記すると、(特許文献15請求項1)複数の導電性の円筒状中空フィルタエレメントを内蔵した濾過槽で原水中の生物を殺滅する方法であって、円筒状中空フィルタエレメントに生物を捕獲しつつ原水を通過させ清浄水を分離する第一工程の工程中に該円筒状中空フィルタエレメントに通電する第二工程を行う、または、円筒状中空フィルタエレメントにプリコートした濾過助剤に生物を捕獲しつつ原水を通過させ清浄水を分離する第一工程のあとで円筒状中空フィルタエレメントに通電する第二工程を行うことで液体中の生物を電気的に殺滅する方法である。ここで第二工程は、第一工程の工程中であっても、第一工程のあとであってもよいことが明示されている。第二工程は、電圧印加するだけであるので、これらいずれでも実施可能であることは自明である。
また特許文献15発明の方法の一態様は、(特許文献15請求項2)複数の導電性の円筒状中空フィルタエレメントが二群に分けられ、第二工程が、導電性円筒状中空フィルタエレメントの前記二群の一群と他群の間に少なくとも一回の極性反転をして電圧を印加することで円筒状中空フィルタエレメントの一群の導電部と他群の導電部間に正逆両方向に通電する方法である。図1(a)およびその部分拡大図である図2が本項を例示した図である。Zは電気絶縁材、EL1は円筒状中空フィルタエレメントの一群(1A)に接続された外部端子、EL2は円筒状中空フィルタエレメントの他群(1B)に接続された外部端子、ELAはEL1と1Aを電気的に接続する配線、ELBはEL2と1Bを電気的に接続する配線である。
ところで、フィルタエレメントを二群とする分け方は、この図1(a)に示すように交互に、1Aと1Bの配置に対称性があるように配置されるよう分けるのが望ましい。電位分布に不均等ができにくくなるからである。電位分布が不均等・非対称になると、殺滅効果も不均等になるし特定の近接部分で電流が大きくなり短絡を招くので好ましくない。
また、第二工程が、導電性円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの前記二群の一群と他群の間にパルス状の電圧を繰り返し印加する、でもよい。パルス状の電圧であれば電気エネルギーが小さくてすみエネルギー節約になるばかりか、生物に与える影響は定常なる電位差よりも、電圧の変化(電圧時間微分)のほうが大きいとする知見もあるからである。もちろんパルス状電圧印加でも少なくとも一回の極性反転はするほうがよい。「少なくとも一回の極性反転」は、交流電圧で実施してもよい。
特許文献15発明の方法の別態様は、(請求項3)導電性の円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントと離隔した対抗電極(counter electrode)が濾過槽内に配設されていて、第二工程が、導電性円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントと前記対抗電極の間に電圧を印加することで円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの導電部と前記対抗電極間に通電する方法である。図1(b)、(c)が本項を例示した図である。図1(b)、(c)で10はフィルタ1を洗浄する洗浄手段またはフィルタ1の周縁を攪拌する攪拌手段であり、その導電性部が対抗電極の機能をはたすものであり該電極がEL0に接続されている。EL0は対抗電極10に接続された外部端子である。図3も図1(b)と同様の実施例の例示図である。
このように対抗電極が洗浄・攪拌手段の付加機能としてもよい。すなわち、(特許文献15請求項7)円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントに隣接して該円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント表面およびその周縁を洗浄する噴流ノズルを具備した洗浄手段が濾過槽内に配設され、対抗電極が前記洗浄手段の導電部である、または、濾過槽内の液体を攪拌する噴流ノズルを具備した攪拌手段が濾過槽内に配設され、対抗電極が前記攪拌手段の導電性部である、としてもよい。
前記の攪拌手段は助剤プリコートでの流れ不均等を防ぐための流れアジテートを行う。その流れアジテートの模式図が図8である。図8(a)は従来の助剤プリコート状況で、上下方向の助剤拡散不均一が生じている例、図8(b)が本案装置の攪拌手段で助剤不均一を解消したが、フィルタエレメント数が減少しフィルタ効率が下がる例、図8(c)が適切な攪拌手段の配設でフィルタ効率を極度に悪化させることなく助剤不均一を解消した例である。
図9が、洗浄噴流ノズルNc、および隣接する他の洗浄手段の表面を洗浄するノズルNnの両方を有する本案洗浄手段の例図である。Nnは隣接する他の洗浄手段に高圧噴流を噴出して洗浄手段同士を洗浄する。
特許文献15発明の方法のさらなる別態様は、対抗電極をロッド(棒)状のものとして円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント表面から等距離で、フィルタエレメント周縁に近接離隔して、複数のロッド(棒)状対抗電極を対称配設するものである。これを図11、図12に例示する。Rがロッド(棒)状の対抗電極である。こういった構成であれば、電極間距離が小さいのでインピーダンスが小さく、殺滅電圧を下げることができるし、電極配置に対称性があるので電位分布の不均等ができにくく好適である。しかも、ロッド(棒)状であるので、濾過する際の吸引流体流を阻害しない。ロッド(棒)断面積は極力小さくしたほうが吸引流体流を阻害しないので、ロッド(棒)状と表現するよりも、針状といった表現であるものが望ましい。
また、ロッド(棒)状の丸型断面を流線型のフィン状にして(図示略)、フィンによってプリコートまたは濾過の際の吸引流体流をアジテートする、といった工夫も考えられる。該フィンは縦長の流れのガイド板であって、円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントへの吸引流体流をマクロに見てスパイラル状として流れを円滑化するようにしてもよい。
(特許文献15の発明の効果)
特許文献15の殺滅は、円筒状中空(バネ状)フィルタエレメント表面にプリコートした濾過助剤に捕獲された生物を電気的殺滅法で殺滅するというものである。濾過助剤には濾過中に生物が集中し、かつ、フィルタエレメント表面に比較的薄く延ばされた薄膜状となっているので、殺滅のための電気エネルギーを与えやすい。他の方法で、たとえば生物がバルク(塊)状であると、バルク(塊)中心にまで熱を与えるのは比較的難しい。すなわち、濾過のために濾過助剤に捕獲された状態が殺滅のために電気エネルギー付与するのにきわめて好適な状態であると認識した。これが本発明の本質であり、効果的かつ実用的な生物殺滅が実現される。
特許文献15の発明は薄膜状になった殺滅ターゲットを殺滅するので電気的殺滅の効率が極めてよく電力コストは安い。しかも、公知の濾過装置の簡単な改造で実現できるのでイニシャルコストも低い。船舶バラスト水処理に利用可能である。
(特許文献15の発明を実施するための最良の形態)
特許文献15の装置を記載する。すなわち、(特許文献15請求項4)複数の導電性円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントを内蔵した濾過槽で原水中の生物を殺滅する装置であって、複数の導電性円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントが二群に分けられ、該二群の一群の導電部と他群の導電部を通電する電圧を印加する電源が前記二群の一群の導電部および他群の導電部とに接続し配設された液体中の生物を電気的に殺滅する装置である。
特許文献15の装置の別形態は、(特許文献15請求項5)複数の導電性の円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントと離隔した対抗電極が濾過槽内に配設され、該対抗電極と円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの導電部を通電する電圧を印加する電源が前記対抗電極および円筒状中空(バネ状)フィルタエレメントの導電部とに接続し配設された液体中の生物を電気的に殺滅する装置である。
特許文献15の装置の電源については、(特許文献15請求項6)電源が印加電圧の極性反転回路を有するものであればよい。この回路は、直流の電圧極性を所定の時間経過で反転出力するもの、あるいは、交流の電圧電源の回路である。交流電源の電圧波形は、商用供給電源同様のサイン波でもよいが、のこぎり波、矩形波、三角波といった波形でもよい。もちろんパルス状で、パルスの極性を変化させた交流パルスでもよい。これらのいずれかが特定の生物殺滅にとって好適である可能性がある。なお、簡単のため、本明細書の記載・図面は、動作電極(working electrode)、対抗電極(対向電極 counter electrode)のみ記載・描画し、参照電極(reference electrode)の記載・描画は略した。

Claims (8)

  1. 導電性の円筒状中空フィルタエレメントを内蔵した濾過槽で該フィルタエレメントに通電し原水中の生物を殺滅する方法であって、濾過助剤を混入した液を濾過槽に流動し円筒状中空フィルタエレメントに濾過助剤をプレコートする工程にて、前記濾過助剤混入液に濾過助剤とともに導電性物質を混入することを特徴とした液体中生物の電気殺滅方法
  2. 導電性の円筒状中空フィルタエレメントを内蔵した濾過槽で該フィルタエレメントに通電し原水中の生物を殺滅する方法であって、濾過助剤を混入した液を濾過槽に流動し円筒状中空フィルタエレメントに濾過助剤をプレコートする工程に先行して、導電性物質を混入した液を濾過槽に流動する工程を有することを特徴とした液体中生物の電気殺滅方法
  3. 導電性の円筒状中空フィルタエレメントを内蔵した濾過槽で該フィルタエレメントに通電し原水中の生物を殺滅する方法であって、円筒状中空フィルタエレメント表面に濾過助剤をプレコートする工程につづく原水の濾過工程において、導電性物質を原水に混入することを特徴とした液体中生物の電気殺滅方法
  4. 導電性物質の素材が、金属、またはカーボン、または炭化物、または金属と炭素系の物質との混合物のいずれかであって、該導電性物質の形態が、粉状、またはフレーク状、または繊維状、または粉とフレークと繊維の3つのうち少なくとも2つが混在したもの、のいずれかであり、該導電性物質の平均粒径が、円筒状中空フィルタエレメントの平均フィルタ間隙長の50分の1以上かつ2分の1以下であり、該導電性物質の体積抵抗値が10オームセンチ以下である請求項1から請求項3の液体中生物の電気殺滅方法
  5. 濾過槽内で通電することで濾過対象液体中の生物を殺滅するための導電性物質を混入した体積抵抗値が10オームセンチ以下である濾過助剤であって、
    該導電性物質の混入率が体積比で10%以上であり、該導電性物質の形態が、粉状、またはフレーク状、または繊維状、または粉とフレークと繊維の3つのうち少なくとも2つが混在したもの、のいずれかであり、該導電性物質の平均粒径が、濾過槽内フィルタエレメントの平均フィルタ間隙長の50分の1以上かつ2分の1以下である液体中生物の電気殺滅用助剤
  6. 導電性の円筒状中空フィルタエレメントを内蔵した濾過槽と該フィルタエレメントに通電し原水中の生物を殺滅するための印加電源を有する装置であって、
    濾過槽に原水を供給する配管系に導電性物質を供給する手段、および/または、
    円筒状中空フィルタエレメントに濾過助剤をプレコートするためのプレコート液を供給する配管系に導電性物質を供給する手段、を有する液体中生物の電気殺滅装置
  7. 導電性物質の素材が、金属、またはカーボン、または炭化物、または金属と炭素系の物質との混合物のいずれかであって、該導電性物質の形態が、粉状、またはフレーク状、または繊維状、または粉とフレークと繊維の3つのうち少なくとも2つが混在したもの、のいずれかであり、該導電性物質の平均粒径が、円筒状中空フィルタエレメントの平均フィルタ間隙長の50分の1以上かつ2分の1以下であり、該導電性物質の体積抵抗値が10オームセンチ以下である請求項6の液体中生物の電気殺滅装置
  8. 導電性の円筒状中空フィルタエレメントに通電する際の電気抵抗の変化を測定する手段を兼備し、該測定手段による電気抵抗の変化に基づいて濾過槽の助剤プレコート・濾過・逆洗の運転状態を切り替える切り替え制御手段を兼備した請求項6から請求項9の液体中生物の電気殺滅装置
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