JPWO2006038335A1 - 電気化学的析出方法、電気化学的析出装置及び微細構造体 - Google Patents

電気化学的析出方法、電気化学的析出装置及び微細構造体 Download PDF

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Abstract

作用極の表面に析出される物質の構造を決定する電気化学的析出方法、電気化学的析出装置及び微細構造体を提供する。 陽極1及び作用極として機能する陰極2を対向して、複数の物質がイオン状態で溶解した電解(酸性)溶液(以下、溶液という)4を容れた液槽5内に配置し、陽極1と陰極2との間に所定の電圧を印加する。また、参照電極3を液槽5内に配置し、陰極2,参照電極3間の電位を計測する。溶液4は導体と考えられるので、陰極2の溶液4に対する電位V1を求めることができる。さらに、液槽5内には、反応阻害種が混入されており、反応阻害種の存在下における物質の電気化学的析出反応において、自発的な電気化学振動(ここでは、電流振動)を生じさせる。陰極の電位V1、溶液中の物質の濃度、反応阻害種の種類及び濃度を調整することによって、電気化学振動の波形を制御し、作用極の表面に析出される物質の構造を決定する。

Description

本発明は、金属のような電気化学的な析出が可能な物質がイオン状態で溶解した溶液に浸漬した複数の電極間に電圧を印加又は電流を流すことにより、作用極の表面に物質を析出する電気化学的析出方法、電気化学的析出装置及び格子1個が数十〜数百マイクロメートルスケールのような微細構造体に関する。
微細加工技術の進展によって、集積度の向上に加えてナノスケールの微小デバイス(ナノデバイス)が提案されている。例えば、金属、半導体及び導電性ポリマーなどのナノ周期構造は、巨大磁気抵抗、トンネル磁気抵抗及びフォトニックなど、その周期構造に基づいた色々な機能が現れることから様々な分野で活発に研究が進められている。現在、ナノ周期構造の製造方法としては、蒸着法のような薄膜形成法が確立されている。これらはいずれも目的とする物質を交互に積層させていくというマルチステップ的な手法である。
しかしながら、上述したような従来の手法は、マルチステップ的であるが故に、生産性の低下及びコストの上昇が避けられないという問題がある。また、製造するための装置は、構成の大嵩化が避けられず、この点でも高コスト化を増長させることになっている。
そこで、上述した問題を解決する技術として、非線形化学ダイナミクスによる構造形成と呼ばれる自己組織化による微細加工技術が考案されている。これは、一種のボトムアップ的アプローチであり、未発達の段階にあるが、これまでの手法に大きなパラダイム変化を与える技術として期待されている。
自己組織化には、静的な自己組織化と動的な自己組織化とがあるが、前者によって形成される構造は、熱平衡構造、つまり静的な秩序構造であり、分子間力(原子間力)及び平衡熱力学の原理によって決定される。一方、後者によって形成される構造は、エネルギーの流れの中で自発的に形成されるパターン、つまり非平衡系のなかに現れる秩序構造であり、時間的及び空間的に多様な構造を有する。動的な自己組織化には、静的な自己組織化にはない引き込み現象の発現、自己修復機能、及び長距離相互作用などの特徴があり、動的な自己組織化を制御することができれば、所望する構造を有する微細構造体を製造することが可能となる。
特許文献1には、金属イオンを含む水溶液中に導電性支持体を浸漬させ、導電性支持体を電極として導電性支持体の電位を振動させ、導電性支持体に対して金属層及び金属酸化物層を交互に析出させることによる積層膜の製造方法が開示されている。
特開2002−129374号公報
しかしながら、動的な自己組織化のメカニズムは未確立であり、何を制御すれば、自己組織化を制御することができるのか確立されていないため、所望の構造を有する微細構造体を製造することは不可能であった。換言すれば、従来は、製造条件を変更した結果として微細構造体を製造することができたが、所望の構造にすることは不可能であった。また、動的な自己組織化は、エネルギーの流れの中で存在するので、外部から供給されるエネルギーが遮断されると構造が消失してしまうという問題があった。
本発明者は、電気化学反応系における動的な自己組織化について鋭意研究を行った結果、電気化学振動(電流振動又は電位振動)を利用して微細構造体を製造する場合、電気化学振動の波形(周期及び振幅など)に基づいて、構築される構造が決定されるとの知見を得た。電気化学反応は、その反応の制御が容易であるとともに、エネルギーを遮断した場合であっても、構造が履歴(析出物)として蓄積され、動的な時空間秩序の痕跡を固定化・記憶することができるため、構築された構造が消失されることはない。また、本発明者は、電気化学振動の波形を、電気化学的析出(例えば電解析出)する物質の種類、作用極の電位及び電流によって、自己触媒過程を制御することができるとの知見を得た。
本発明は、上述した知見を得てなされたものであり、金属のような電気化学的な析出が可能な物質がイオン状態で溶解した溶液に浸漬した複数の電極間に電圧を印加又は電流を流し、溶液に対する一の電極(作用極という)の電位又は電流を制御して電気化学振動、つまり電流振動又は電位振動を生じさせることにより、電気化学振動の波形に基づいて、作用極の表面に析出される物質の構造を決定する電気化学的析出方法の提供を目的とする。
また本発明は、反応阻害種を混入し、反応阻害種により誘起される負性微分抵抗と溶液中の電位降下とのカップリングにより自己触媒過程を生じさせて、電気化学振動を制御する電気化学的析出方法の提供を目的とする。
また本発明は、反応阻害種の濃度を調整することにより、電気化学振動が生じる作用極の電位又は電流を制御して、作用極の表面に析出される物質の構造を決定する電気化学的析出方法の提供を目的とする。
また本発明は、カーボン鎖が10以上のカチオン性界面活性剤を反応阻害種として用い、カーボン鎖を調整することにより、電気化学振動が生じる電位又は電流を制御して、作用極の表面に析出される物質の構造を決定する電気化学的析出方法の提供を目的とする。
また本発明は、物質の濃度を調整することにより、電気化学振動の波形を制御して、作用極の表面に析出される物質の構造を決定する電気化学的析出方法の提供を目的とする。
また本発明は、複数の物質がイオン状態で溶液に溶解している場合、電気化学振動の波形を制御することにより、複数の物質からなる構造の組成比を決定する電気化学的析出方法の提供を目的とする。
また本発明は、電気化学振動の波形に基づいて決定される物質の構造が多層構造である場合、電気化学振動の波形を制御して、多層構造の各層の膜厚及び/又は各層の組成比を決定する電気化学的析出方法の提供を目的とする。
また本発明は、作用極の電位又は電流を、電気化学的析出が拡散支配に進むように制御して、電気化学振動を生じさせることにより、電気化学振動の波形に基づいて、作用極の表面に析出される物質の構造を決定する電気化学的析出方法の提供を目的とする。
また本発明は、電気化学振動の振動毎の上端電位又は下端電位を検出し、検出した上端電位又は下端電位の変動に基づいて作用極の電流を制御することにより、電流密度が次第に小さくなって自発的振動が発生する領域から外れて自発的振動が停止してしまうことを防止することができる電気化学的析出方法及び電気化学的析出装置の提供を目的とする。
また本発明は、溶液に対する作用極の実効的な電流密度が略一定となるように制御することにより、作用極の表面に成長する微細構造体の形状が一定となって、均一性が優れた微細格子構造を得ることができる電気化学的析出方法の提供を目的とする。
また本発明は、自発的振動が発生する電流密度となるように作用極の電流を制御する構成とすることにより、電流密度が次第に小さくなって自発的振動が発生する領域から外れて自発的振動が停止してしまうことはなく、自発的振動を継続することができる電気化学的析出装置の提供を目的とする。
また本発明は、上述した各電気化学的析出方法により析出した物質を3次元の基本骨格として、該物質の表面に他の物質を堆積することにより、例えば結晶学的に安定した面が露出された高強度の極めて広い表面積の電極とすることができる微細構造体の提供を目的とする。
また本発明は、上述した各電気化学的析出方法により析出した物質の表面に他の物質を重合させ、析出した物質を除去することによって内部に多孔構造が形成された微細構造体の提供を目的とする。
第1発明に係る電気化学的析出方法は、電気化学的析出が可能な物質がイオン状態で溶解した溶液に浸漬した複数の電極間に電圧を印加又は電流を流し、作用極の表面に前記物質を析出する電気化学的析出方法において、前記溶液に対する前記作用極の電位又は電流を制御して、電気化学振動を生じさせ、該電気化学振動の波形に基づいて、前記物質の構造を決定することを特徴とする。
本発明にあっては、電気化学的析出が可能な物質(金属、半導体及び導電性ポリマーなど)がイオン状態で溶解した溶液に複数の電極を浸漬し、複数の電極間に電圧を印加又は電流を流すことにより、複数の電極のうちの一の電極(作用極)の表面に、溶解していた物質が電気化学的に析出される。電気化学的析出の際、溶液に対する作用極の電位又は電流を制御することによって自発的な電気化学振動を生じさせる。作用極の電位又は電流を制御することで、電気化学振動の波形(例えば周期)を制御することができるので、電気化学振動の波形に応じて、作用極の表面に析出される物質の構造を決定することができる。自己組織的な振動現象によって自己構築されるので、構築される構造は、振動現象の履歴を反映して順次積層される。よって、構造が履歴として蓄積され、動的な時空間秩序の痕跡を固定化・記憶することができるため、構築された構造が消失されることはない。
第2発明に係る電気化学的析出方法は、第1発明において、前記溶液に反応阻害種を混入し、該反応阻害種が前記作用極の表面に付着している状態と付着していない状態とを自発的に交互に生じさせ、前記電気化学振動が生じる前記作用極の電位又は電流を制御することを特徴とする。
本発明にあっては、溶液に反応阻害種を混入することによって、反応阻害種により誘起される負性微分抵抗と溶液中の電位降下とのカップリングにより自己触媒過程を生じさせ、つまり反応阻害種が作用極の表面に付着している状態と付着していない状態とを自発的に交互に生じさせ、電気化学振動が生じる作用極の電位又は電流を制御する。この反応阻害種は、化学反応系に応じて適宜混入することができ、電気化学振動が生じる作用極の電位又は電流の領域を調整することができる。
第3発明に係る電気化学的析出方法は、第2発明において、前記反応阻害種の濃度を調整することにより、前記電気化学振動が生じる前記作用極の電位又は電流を制御することを特徴とする。
本発明にあっては、反応阻害種の濃度を調整することにより、電気化学振動が生じる作用極の電位又は電流を制御することができる。例えば、電気化学振動の一形態である電流振動において、負性微分抵抗の電位(作用極に流れる電流が急激に減少する作用極の電位)を、溶液に混入する反応阻害種の濃度を調整することによって、正側又は負側に移動させることができる。具体的には、反応阻害種の濃度を高くすることにより、電流振動が生じる電位を正側にシフトすることができる。電流振動は負性微分抵抗の電位にて生じることから、同一の反応阻害種を用いた場合、反応阻害種の濃度を調整することで電流振動が生じる電位を制御することができ、作用極の表面に析出される物質の構造を決定することができる。
第4発明に係る電気化学的析出方法は、第2発明又は第3発明において、前記反応阻害種は、カーボン鎖が10以上のカチオン性界面活性剤であり、カーボン鎖を調整することにより、前記電気化学振動が生じる前記作用極の電位又は電流を制御することを特徴とする。
本発明にあっては、カーボン鎖が10以上のカチオン性界面活性剤を反応阻害種として用いた場合、カーボン鎖を調整することにより、電気化学振動が生じる作用極の電位又は電流を制御することができる。例えば、負性微分抵抗の電位を、カーボン鎖を調整することによって、正側又は負側に移動させることができる。具体的には、カーボン鎖を長くすることにより、電流振動が生じる電位を正側にシフトすることができる。したがって、同系列の反応阻害種を用いた場合、カーボン鎖を調整することで電流振動が生じる電位を制御することができ、作用極の表面に析出される物質の構造を決定することができる。
第5発明に係る電気化学的析出方法は、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記物質の濃度を調整することにより、前記電気化学振動の波形を制御することを特徴とする。
本発明にあっては、溶液に含まれる物質の濃度を調整することによって、作用極の電位又は電流を制御、つまり電気化学振動の波形を制御することができるので、析出される物質の構造を決定することができる。
第6発明に係る電気化学的析出方法は、第1発明乃至第5発明のいずれかにおいて、前記溶液には、複数の物質がイオン状態で溶解しており、前記電気化学振動の波形を制御して、前記複数の物質からなる構造の組成比を決定することを特徴とする。
本発明にあっては、複数の物質をイオン状態で溶液に溶解されている場合、電気化学振動の波形を制御して、複数の物質からなる構造の組成比を決定することができる。例えば、複数の物質からなる構造体を析出する場合、各物質は、それぞれのイオン化傾向度合の相違に応じて、作用極の電位に対する析出量が相違する。また、作用極の電位を制御すれば、電気化学振動の波形を制御することができるので、各物質の析出量を制御して、構造の組成比を決定(制御)することができる。例えば、物質が金属である場合、作用極の電位を低くすれば(より負の電位にすれば)、析出電流が大きくなる、つまり析出量が大きくなる特性があるが、金属のイオン化傾向度合の相違に応じて電位に対する析出量の割合が異なるので、組成比を変えることができる。
第7発明に係る電気化学的析出方法は、第1発明乃至第6発明のいずれかにおいて、前記電気化学振動の波形に基づいて決定される前記物質の構造が多層構造であることを特徴とする。
本発明にあっては、上述した電気化学的析出方法によって、多層構造を有する物質を作用極の表面に析出させることができる。
第8発明に係る電気化学的析出方法は、第7発明において、前記電気化学振動の波形を制御し、前記多層構造の各層の膜厚及び/又は各層の組成比を決定することを特徴とする。
本発明にあっては、例えば、溶液に含まれる物質の濃度を調整することによって、作用極の電位又は電流を制御、つまり電気化学振動の波形を制御することができるので、物質の析出量を制御することができる。複数の物質からなる多層構造の構造体を生成する場合には、各物質の析出量を調整できるので、各層の膜厚及び/又は各層の組成比を決定することができる。具体的には、各物質の濃度比を一定に維持した状態で、各物質の濃度を連動して調整することにより、各層の膜厚を決定することができる。
第9発明に係る電気化学的析出方法は、第1発明乃至第8発明のいずれかにおいて、前記物質が金属であることを特徴とする。
本発明にあっては、上述した電気化学的析出方法によって、金属を作用極の表面に析出させることができる。
第10発明に係る電気化学的析出方法は、第1発明において、前記作用極の電位又は電流を、電気化学的析出が拡散支配に進むように制御して、電気化学振動を生じさせることを特徴とする。
本発明にあっては、作用極の電位又は電流を、電気化学的析出が拡散支配に進むように制御することによって、電気化学振動を生じさせる。電気化学現象は、特定方位への自己触媒的結晶成長と、熱力学的安定面における自己触媒的表面不活性化との兼ね合いにより生じることから、作用極の表面には、電気化学振動の履歴を反映し、作用極の垂直方向に成長した微細な規則的構造体が形成される。よって、構造が履歴として蓄積され、動的な時空間秩序の痕跡を固定化・記憶することができるため、構築された構造が消失されることはない。
第11発明に係る電気化学的析出方法は、第10発明において、前記電気化学振動の振動毎の上端電位又は下端電位を検出し、検出した上端電位又は下端電位の変動に基づいて前記作用極の電流を制御することを特徴とする。
本発明にあっては、電気化学振動の振動毎の上端電位又は下端電位を検出し、検出した上端電位又は下端電位の変動に基づいて作用極の電流を制御する。振動現象は、反応律速過程から拡散律速過程へ移る閾値となる電流密度を境界にして自発的振動を始める。ところで、作用極の表面に微細構造体が成長することから、作用極の実効的な電極面積が次第に増加し、電流密度が次第に小さくなって自発的振動が発生する領域から外れて自発的振動が停止してしまう。そこで、作用極の電流を制御することで自発的振動を継続することができる。
第12発明に係る電気化学的析出方法は、第11発明において、前記溶液に対する前記作用極の実効的な電流密度が略一定となるように制御することを特徴とする。
本発明にあっては、溶液に対する作用極の実効的な電流密度が略一定となるように制御することにより、作用極の表面に成長する微細構造体の形状(例えば格子間隔)が一定となって、均一性が優れた微細格子構造を得ることができる。
第13発明に係る電気化学的析出方法は、第10発明乃至第12発明のいずれかにおいて、前記物質の濃度を調整することにより、前記電気化学振動の波形を制御することを特徴とする。
本発明にあっては、溶液に含まれる物質の濃度を調整することによって、作用極の電位又は電流を制御、つまり電気化学振動の波形を制御することができるので、析出される物質の構造を決定することができる。例えば、物質のイオン濃度を高くすることによって、物質の周期構造の個々の構造を大きくすることができる。
第14発明に係る電気化学的析出装置は、電気化学的析出が可能な物質がイオン状態で溶解した溶液に浸漬した複数の電極間に電流を流し、電気化学振動を生じさせ、作用極の表面に前記物質を析出するための電気化学的析出装置であって、前記電気化学振動の振動毎の上端電位又は下端電位を検出する検出手段と、該検出手段にて検出した上端電位又は下端電位に基づいて、前記溶液に対する前記作用極の電流を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、電気化学的析出が可能な物質(金属、半導体及び導電性ポリマーなど)がイオン状態で溶解した溶液に複数の電極を浸漬し、検出手段が電気化学振動の振動毎の上端電位又は下端電位を検出し、検出した上端電位又は下端電位に基づいて、制御手段が溶液に対する作用極の電流を制御する。複数の電極間に電流を流すことにより、自発的な電気化学振動を生じさせて複数の電極のうちの一の電極(作用極)の表面に、溶解していた物質が電気化学的に析出される。作用極に流す電流を制御することで、析出される物質の構造を制御することができる。
第15発明に係る電気化学的析出装置は、第14発明において、前記制御手段は、自発的振動が発生する電流密度となるように制御するようにしてあることを特徴とする。
本発明にあっては、自発的振動が発生する電流密度となるように作用極の電流を制御することで、電流密度が次第に小さくなって自発的振動が発生する領域から外れて自発的振動が停止してしまうことはなく、自発的振動を継続することができる。
第16発明に係る微細構造体は、上述した各電気化学的析出方法により析出した物質を3次元の基本骨格として、該物質の表面に他の物質が堆積していることを特徴とする。
本発明にあっては、微細構造体(例えば微細格子構造)を3次元の基本骨格(テンプレート)として、例えば白金のような他の物質(導電体)を微細構造体の表面に堆積することによって、高強度の極めて広い表面積の電極とすることができる。また、結晶学的に安定した面が露出されているという利点も有している。
第17発明に係る微細構造体は、上述した各電気化学的析出方法により析出した物質の表面に他の物質を重合させ、前記析出した物質を除去することによって内部に多孔構造が形成されていることを特徴とする。
本発明にあっては、微細構造体(例えば微細格子構造)を3次元のテンプレートとして、微細構造体が抜きパターンとなった微細構造体を実現することができる。
本発明によれば、自己組織的な振動現象によって微細な規則的構造が基板から垂直に自己構築される。また、構築される構造は、振動現象の履歴を反映して順次積層される。本発明では、電気化学振動現象自体を制御することにしたので、得られる規則的構造を制御することができる。さらに、単純な周期構造から、より複雑な3次元規則構造及び種々の微細格子構造を1ステップかつ安価に、電極の表面全体に構築することが可能となる。さらにまた、自発的振動が発生する電流密度となるように作用極の電流を制御することによって、電流密度が次第に小さくなって自発的振動が発生する領域から外れて自発的振動が停止してしまうことはなく、自発的振動を継続することができ、ミリメートル〜センチメートルスケールの金属微細格子集合体を得ることができる。また、得られる規則的構造自体をテンプレートとして活用するようにすれば、金属、半導体及び導電性ポリマーなどの3次元の規則的構造の構築も可能である。さらに、原理上、反応阻害種を適宜選択することで、所望の物質の電気化学的析出反応に適用できるため、様々な機能性材料形成への応用が期待される。またさらに、そのための装置の構成が極めて簡単であるため、極めて低コストで所定の微細構造体を製造することができる等、優れた効果を奏する。
本発明の実施の形態1に係る電気化学的析出方法を説明するための説明図である。 電流振動を示すグラフである。 薄膜の評価方法を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態1に係る電気化学的析出方法により形成した多層膜の評価結果を示す電子顕微鏡写真及びオージェ分光結果である。 作用極の電位に対するCu及びSnの析出電流を示すグラフである。 電気振動の波形と析出物の組成比との対応を示すグラフである。 2X−1N(CHClを用いた場合における作用極の電位に対する析出電流を示すグラフである。 C12TACを用いた場合における作用極の電位に対する析出電流を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係る電気化学的析出方法を説明するための説明図である。 電位振動を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係る電気化学的析出方法により形成した微細構造体の一例を示す電子顕微鏡写真である。 Snの電位振動と同期した周期的な構造変化を説明するための説明図である。 Snの電位振動と同期した周期的な構造変化を説明するための説明図である。 Snにおける電位振動を示すグラフである。 作用極の電流値を変更することによって構築される微細構造体を示す電子顕微鏡写真である。 Znにおける電位振動を示すグラフである。 Znのイオン濃度を変更した場合に構築される微細構造体を示す電子顕微鏡写真である。 電位と電流密度との関係を示すグラフである。 電位振動の時間変化を示すグラフである。 図19(a)のA点、B点における電子顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態3に係る電気化学的析出装置の構成を説明するための説明図である。 制御部による電流値の制御を説明するための説明図である。 制御部による電流値の制御の一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態3に係る電気化学的析出装置を用いて形成した微細構造体の一例を示す光学顕微鏡写真である。
符号の説明
1,11 陽極
2,12 陰極(作用極)
3,13 参照電極
4,14 溶液
5,15 液槽
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る電気化学的析出方法を説明するための説明図である。なお、本例では、電気化学振動の一形態としての電流振動を制御する場合について説明することとする。
同図において、導電性の金属基板である陽極1及び陰極2を対向して、複数の物質(ここではCu及びSnとする)がイオン状態で溶解した電解(酸性)溶液(以下、溶液という)4を容れた液槽5内に配置し、陽極1と陰極2との間に所定の電圧を印加する。また、上述した2つの電極1,2に加えて、参照電極3を液槽5内に配置し、陰極2,参照電極3間の電位を計測する。溶液4は導体と考えられるので、陰極2の溶液4に対する電位V1を求めることができる。さらに、溶液4には、反応阻害種が混入されており、反応阻害種の存在下におけるCu及びSnの電気化学的析出反応において、自発的な電気化学振動(ここでは、電流振動)を生じさせる。反応阻害種は、例えば、カチオン性界面活性剤であり、Amiet−320(化学式1)、C2X−1N(CHCl(化学式2)、TritonX−100(化学式3)などを用いることができる。なお、平滑剤としてクエン酸を溶液4に混入することが好ましく、本例では、0.15MのCuSO、0.15MのSnSO)0.6MのHSO、0.5Mのクエン酸、及び0.5mMのAmiet−320が混合された溶液4を用いた。
Figure 2006038335
溶液4に反応阻害種を混入することによって、反応阻害種により誘起される負性微分抵抗と溶液中の電位降下とのカップリングにより自己触媒過程が生じ、陰極2の電位V1が所定の範囲内である場合に、微小なゆらぎ(濃度や温度など)が自己触媒過程により増幅されて、図2に示すような、巨視的かつ周期的な振動となる電流振動が発現する。
より詳述すれば、溶液4は導体と考えられるので、陰極2の表面では各イオンに強い電界が加わり、その影響で脱水和が起こり、各イオンは陰極2から電子を受け取り吸着原子となる。吸着原子は陰極表面上を拡散し結晶格子の形成点に達し、結晶が形成される。反応阻害種の陰極2への付着と脱離とが交互に自発的に生じ、反応阻害種の付着及び脱離に伴って振動現象が現れる。本例では、陰極2が作用極として機能し、発現した振動現象の波形に基づいて、陰極2の表面にCu及びSnからなる平滑性に優れた薄膜が陰極2に析出する。なお、平滑性はクエン酸を混入したことに起因しており、クエン酸を混入しない場合には膜表面に凹凸が残存する。
次に、成長させた薄膜について評価した。図3は薄膜の評価方法を説明するための説明図である。まず、薄膜21を成長させたサンプル20を回転させながら、薄膜表面をArエッチング処理し(図3(a))、薄膜21にすり鉢状の穴を形成する(図3(b))。このように加工した薄膜21を上面から電子顕微鏡にて観察して、図4(a)に示すように、同心円状のコントラスト(明暗比)の存在を確認した。つまり、成長させた薄膜が多層構造を有することを確認した。さらに、薄膜(多層膜)の組成比を評価するために、多層膜の側面を走査オージェ分光法によって解析を行った結果、図4(b)に示すように、組成比が周期的に変化していることを確認した。
多層膜は陰極2の表面に成長することから、例えば、陰極2の形状を円筒形にすることにより、円筒の内側に、平滑性に優れた多層膜を形成することができる。電気化学的析出方法は、電極の形状に依存することなく、その表面に析出物を成長させることができるので、いかなる形状の電極に対しても、その表面に平滑性に優れた多層膜を形成することができる。換言すれば、所望の形状に予め加工した電極を用いて、本発明の電気化学的析出方法を適用すれば、所望の形状を有する多層膜を電極の表面に形成することができる。
多層膜は、電流振動が生じることによって析出された薄膜(CuとSnとの合金)であるが、本発明では、この多層膜の組成比、膜厚、及び層の数(積層回数)を以下のようにして制御する。
<1、陰極の電位>
電流振動が生じる陰極(作用極)の電位は幅を持っており、作用極の電位を調整することによって、電流振動の波形を制御して、多層膜の組成比及び各層の膜厚を調整することができる。換言すれば、所望の組成比を有する多層膜となるようにするには、作用極の電位を調整すればよい。作用極の電位は、陽極1,陰極2間に印加する電圧を変更することにより所望の値にすることができる。
図5は作用極の電位に対するCu及びSnの析出電流を示すグラフである。Cu及びSnは、それぞれ、作用極の電位を低くすれば(より負の電位にすれば)、析出電流が大きくなるが、SnはCuよりも、より負の電位から析出電流が生じる。したがって、作用極の電位が高い状態で電流振動を生じさせるように設定すれば、Snの析出量がCuの析出量に比べて少なくすることができる、つまりCuの組成比(Cu/(Cu+Sn))を大きくすることができる。逆に、作用極の電位が低い状態で電流振動を生じさせるように設定すれば、Cuの組成比を小さくすることができる。つまり、溶液に含まれる物質のイオン化傾向度合の相違に応じて、陰極の電位を調整して析出物の組成比を制御することができる。例えば、CuSn/CuSnが1単位構造として積層された多層膜を形成することができる。
また、作用極の電位を調整することによって、電流振動の波形(例えば周期)を制御して、各層の膜厚を調整することができる。例えば、作用極の電位を低くすることにより、各層の膜厚を厚くすることができ、逆に、電位を高く小さくすることにより、膜厚を薄くすることができる。
<2、溶液中の物質の濃度>
溶液に含まれる各物質の濃度を調整することによって、析出電流を調整することができるので、各物質の析出量を調整して組成比を決定(制御)することができる。例えば、Cuの濃度を高くすることによって、Cuの組成比を大きくすることができる。
また、SnとCuとの濃度比を一定に維持した状態で、Cu及びSnの濃度を連動して調整することにより、各層の膜厚を調整することができる。図6は電気振動の波形と析出物の組成比との対応を示すグラフであり、同図(a),(b)は、CuSO及びSnSOの濃度がそれぞれ0.15M,0.10Mである場合を示す。濃度を低くすることによって振動の周期を短くすることができ、その振動の周期に応じた多層膜を析出することができる。例えば、本例において、濃度が0.15Mである場合は各層の膜厚が90nmとなり、0.10Mである場合は各層の膜厚が38nmとなる。
<3、反応阻害種の種類及び濃度>
反応阻害種がゆらぎによって基板の1ヶ所に付着された場合、反応阻害種の有する自己触媒機能により、位相を揃えて陰極の表面全体に広がるので、陰極の表面全体に析出物が析出されるが、反応阻害種の付着が生じる陰極の電位は、反応阻害種の種類及び濃度によって決定されることから、反応阻害種の種類及び濃度によって、電流振動が生じる電位を制御、つまり電流振動の波形を制御することができる。
2X−1N(CHClを用いた場合、カーボン鎖が10(C10)以上でれば反応阻害種として機能し、組成パラメータXが10(C10TAC)、12(C12TAC)及び16(C16TAC)において、反応阻害種として機能することを確認した。
0.15MのCuSO、0.15MのSnSO、0.5MのHSO)及び0.5Mのクエン酸に、5mMのカーボン鎖の異なるC2X−1N(CHClを混合した溶液4を用いて、反応阻害種の種類と電流振動が生じる電位との関係について評価した。
図7はC2X−1N(CHClを用いた場合における作用極の電位に対する析出電流を示すグラフであり、同図(a)はC10TACを、同図(b)はC12TACを、同図(c)はC16TACを、それぞれ反応阻害種として溶液に混合した場合を示す。電流振動は負性微分抵抗の電位にて生じることから、同系列の反応阻害種を用いた場合、カーボン鎖が長い反応阻害種を用いることにより、電流振動が生じる電位を正側にシフトすることができる。したがって、反応阻害種のカーボン鎖を調整することで電流振動が生じる電位を制御、つまり電流振動の波形を制御することができるので、電流振動に応じた構造の多層膜を形成することができる。
0.15MのCuSO、0.15MのSnSO、0.25MのHSO、及び0.5Mのクエン酸に、濃度を変更したC12TACを混合した溶液4を用いて、反応阻害種の濃度と電流振動が生じる電位との関係について評価した。
図8はC12TACを用いた場合における作用極の電位に対する析出電流を示すグラフであり、同図(a)はC12TACの濃度が2mM、同図(b)はC12TACの濃度が3mM、同図(c)はC12TACの濃度が4mMである場合を示す。電流振動は負性微分抵抗の電位にて生じることから、同一の反応阻害種を用いた場合、その濃度を高くすることにより、電流振動が生じる電位を正側にシフトすることができる。したがって、反応阻害種の濃度を調整することで電流振動が生じる電位を制御、つまり電流振動の波形を制御することができるので、電流振動に応じた構造の多層膜を形成することができる。
以上詳述したように、実施の形態1に係る電気化学的析出方法によれば、1ステップかつ安価に、作用極の表面全体に多層膜を形成することができる。また原理上、反応阻害種を適宜選択することで、金属のみならず、半導体(例えばCuO)及び導電性ポリマー(例えばポリアニリン)などの電気化学的析出反応に応用できるため、様々な機能性材料形成への応用が期待される。また、そのための装置の構成が極めて簡単であるため、極めて低コストで所定の微細構造体を製造することができる。
なお、本実施の形態では、Cu/Snの混合溶液からCu/Snの合金を製造する場合について説明したが、その材料について限定されるものではなく、反応阻害種として作用するフェナントレン(C1410)が混合された溶液中におけるCuの電気化学的析出反応、及び次亜リン酸(HPO(OH))が混合された溶液中におけるNiの電気化学的析出反応などにおいても多層膜が形成され、電流振動が生じる反応系に対して有効である。したがって、所望の材料から容易に高品質の多層構造を構築することができる。例えば、巨大磁気抵抗及びトンネル磁気抵抗など、多層構造に基づいた機能を有するデバイスを容易かつ低コストで製造することが可能となる。
また、本実施の形態では、電気化学振動の一形態として電流振動について説明したが、作用極の電位が振動する電位振動においても同様であり、作用極の電流を制御して振動現象を生じさせるようにしてもよいことは言うまでもない。
(実施の形態2)
実施の形態1では、溶液に反応阻害種を混合し、反応阻害種により誘起される負性微分抵抗と溶液中の電位降下とのカップリングにより振動現象を生じさせるようにしたが、溶液に溶解させた物質の作用極表面への析出が物質の拡散支配に進むように、作用極の電位又は電流を制御してもよく、このようにしたものが実施の形態2である。以下、電位振動を制御して、格子構造を作用極の表面に形成する方法について説明する。
図9は本発明の実施の形態2に係る電気化学的析出方法を説明するための説明図である。なお、本例では、電気化学振動の一形態としての電位振動を制御する場合について説明することとする。
同図において、導電性の金属基板である陽極11及び陰極12を対向して、物質(ここではSn、Znなどの金属とする)がイオン状態で溶解した電解溶液(以下、溶液という)14を容れた液槽15内に配置し、陰極12と陽極11と間に所定の電流を流す。つまり、陰極12,陽極11間に定電流源を接続する。なお、定電流源による出力電流値を適宜設定することができるものとする。また、上述した2つの電極11,12に加えて、参照電極13を液槽15内に配置し、参照電極13,陰極12間の電位を計測する。溶液14は導体と考えられるので、陰極12の溶液14に対する電位V2を求めることができる。物質の電気化学的析出反応において、物質の拡散律速条件において、拡散支配に進むように電流を制御して、自発的な電気化学振動(ここでは、電位振動)を生じさせる。なお、本例では、0.2MのSn2+及び4MのNaOHが混合された溶液14を用いた。
拡散支配に進むように電流を制御することによって自己触媒過程が生じ、陰極12,陽極11間の電流値が所定の範囲内である場合に、微小なゆらぎが自己触媒過程により増幅されて、図10に示すような、巨視的かつ周期的な振動となる電位振動が発現する。
振動現象は、特定方位への自己触媒的結晶成長と、熱力学的安定面における自己触媒的表面不活性化との兼ね合いにより生じることから、作用極として機能する陰極12の表面には、電位振動の履歴を反映し、作用極の垂直方向に成長した微細な規則的構造体が形成される。物質がSn,Znの場合には、それぞれ、図11(a),(b)に示すように、格子構造、六角形プレートが重なり合った構造が構築される。もちろん、物質の種類については限定されるものではなく、例えばPbの場合には、3次元的に張り巡らされた微細ネットワーク構造が構築される。このように、析出される構造は、析出される物質の結晶構造自体に依存する。
電位振動の波形がどのように格子構造に反映されるのかを評価するため、電位振動の各電位で陰極12(作用極)を溶液14から引き上げて、作用極の表面を電子顕微鏡及び光学顕微鏡を用いて観察した。
図12、図13はSnの電位振動と同期した周期的な構造変化を説明するための説明図であり、図12(a)はSnの電位振動の波形、図12(b)はSnの結晶面及び方位を示し、図13(a),(b),(c)は、図12(a)の電位A,B,Cの各点における陰極表面の電子顕微鏡(SEM)写真、光学顕微鏡(OM)写真及び模式図である。なお、陰極12,陽極11間に−36mA/cmの電流密度が流れるように定電流源を設定した。
電位振動の負端(図12(a)電位A)では、角張ったSnの結晶が見られ、その1つ1つは熱力学的に安定な方位面である(110)面や(011)面が露出していることが観察された(図13(a))。電位が負から正へとシフトしたとき(図12(a)電位B)には、角張ったSnの結晶の角から<101>方向への針状のSnが析出していることが観察された(図13(b))。また、正端の電位(図12(a)電位C)では、針状のSnの先端が再び熱力学的な安定面を露出し、結晶化を開始していることが観測された(図13(c))。この観察結果から、電位振動の波形を制御することができれば、形成される格子構造を所望の形状にすることが可能であることが分かった。
次に、いかにして電位振動の波形を制御するかについて説明する。
<1、作用極の電流値>
図14はSnにおける電位振動を示すグラフであり、横軸は時間の経過を、縦軸は電位をそれぞれ示す。同図においては、62秒までは、作用極、すなわち陰極12,陽極11間に−12mAの定電流を流し、62秒以後は陰極12,陽極11間に−20mAの定電流を流した場合の電位振動を示す。電流値を変更したことによって、62秒を境界にして電位振動の波形が変化していることが分かる。なお、42秒までは反応が不安定であるために、電位振動が不安定であることを示している。
このように、作用極の電流値を変更することによって構築される構造は、図15に示すように、形成される格子の構造パラメータを制御することができる。つまり、本例のSnを析出する場合、電流値を変更することによって、格子の間隔を変えることができる。本例では、結晶成長の途中で電流値を変更したので、電流値を変更した時点における結晶Cから格子の間隔が変化したことが分かる。
つまり、電位振動が生じる電流値は幅を持っており、その電流値を調整することによって、電位振動の波形を制御して、形成される構造体の構造パラメータを制御することができる。
<2、溶液中の物質の濃度>
濃度を変更したZn2+及び4MのNaOHが混合された溶液14を用いて、物質の濃度と電位振動の波形との関係について評価した。
図16はZnにおける電位振動を示すグラフであり、横軸は時間の経過を示し、同図(a),(b),(c)は、Znのイオン濃度がそれぞれ0.1M,0.2M,0.5Mである場合の電位をそれぞれ示す。Znのイオン濃度を高くすることによって振動の周期を長くすることができる。図17はZnのイオン濃度を変更した場合に構築される微細構造体を示す電子顕微鏡写真である。同図(a),(b),(c)は、イオン濃度をそれぞれ0.1M,0.2M,0.5Mとした場合を示し、形成される六角形プレートの大きさを、イオン濃度に応じて大きくすることができることが分かる。
つまり、溶液に含まれる物質の濃度を調整することによっても、電位振動の波形を制御することができるので、上述と同様に、形成される構造体の構造パラメータを制御することができる。
以上詳述したように、実施の形態2に係る電気化学的析出方法によれば、1ステップかつ安価に、作用極の表面全体に、析出する物質に固有の微細構造体を形成することができる。また、そのための装置の構成が極めて簡単であるため、極めて低コストで所定の微細構造体を製造することができる。
なお、本実施の形態では、電気化学振動の一形態として電位振動について説明したが、作用極の電流が振動する電流振動においても同様であり、作用極の電位を制御して振動現象を生じさせるようにしてもよいことは言うまでもない。
ところで、電気化学振動の一形態として電位振動は、図18に示すように、電流密度が閾値jdl(略−25mA/cm)を境界にして電位が自発的に振動を始める。換言すれば、電流密度が少ないときは電気化学振動が生じることはなく、閾値jdlは反応律速過程から拡散律速過程へ移る境界であると言える。つまり、電位振動を継続するには、電流密度を制御して拡散律速過程を維持することが極めて重要である。
図19は電位振動の時間変化を示すグラフであり、横軸は時間の経過を、縦軸は電位をそれぞれ示す。図19(a)は作用極(すなわち陰極12),陽極11間に定電流を印加した場合であり、略250秒(振動回数に換算すると略75回)を経過してしまうと電位振動が停止してしまう。これは、作用極の表面に微細構造体が成長することから、作用極の実効的な電極面積が次第に増加して、電流密度が次第に小さくなって自発的振動が発生する領域から外れるためである。また、図20に示すように、成長を繰り返す毎に電流密度が小さくなることから、作用極の表面に成長する微細構造体の格子間隔が徐々に小さくなり、微細構造体の均一性が損なわれる。なお、図20(a)、(b)は、それぞれ図19(a)のA点、B点における電子顕微鏡写真である。
したがって、図19(b)に示すように、実効的な電極面積の増加を考慮し、その増加の効果を相殺するように、作用極(すなわち陰極12),陽極11間に印加する電流を制御(徐々に増加)して、実効的な電流密度が変化しないようにして自発的振動を継続することが好ましい。
(実施の形態3)
図21は本発明の実施の形態3に係る電気化学的析出装置の構成を説明するための説明図である。なお、本例では、電気化学振動の一形態としての電位振動を制御する場合について説明することとする。
本発明の実施の形態3に係る電気化学的析出装置は、導電性の金属基板である陽極11及び陰極12を対向して、物質(ここではSn、Znなどの金属とする)がイオン状態で溶解した電解溶液(以下、溶液という)14を容れた液槽15内に配置し、陰極12と陽極11との間に電流を流すように構成されている。また、上述した2つの電極11,12に加えて、参照電極13を液槽15内に配置し、参照電極13,陰極12間の電位を計測し、電気化学振動の振動毎の上端電位又は下端電位を検出する検出部16と、検出部16にて検出した上端電位又は下端電位に基づいて、溶液に対する作用極の電流を制御する制御部10とを備える。溶液14は導体と考えられるので、陰極12の溶液14に対する電位V2を求め、制御部10が電位V2に基づいて陰極12,陽極11間に流す電流を制御する。具体的には、陰極12,陽極11間に定電流源を接続し、その出力電流値を制御部10が制御する。ここで、上端電位とは振動の正方向の極値(極大値)であり、下端電位とは振動の負方向の極値(極小値)である。
図22は制御部による電流値の制御を説明するための説明図である。
同図(a)は、電位振動が生じているときの電位波形を示しており、Aはn番目の振動波形、Bはn+1番目の振動波形、Cはn+2番目の振動波形である。上述したように、電位振動によって作用極に微細構造体が成長することから、実効的な電極面積が増加し、電位振動の上端電位及び下端電位は1振動毎に負の方向に変位する。また、溶液抵抗をRとすると、オームの法則により、電流Iが流れた場合、I×R分の電位損失が生じる。すなわち、同図(b)に示すように、第n世代から第n+1世代への成長過程では、電極面積の増加ΔA分の電位損失が生じる。電流Iは面積Aに比例するので、I=k×Aと表すことができ、電位損失の増加は、(k×ΔA)×Rとなる。ここで、電位振動の上端電位及び下端電位(以下、上端電位とする)の変位量ΔUは、ΔU=(k×ΔA)×R…(式(1))で表すことができる。
一方、電流密度jは、j=I/A(I:電流値,A:実効電極面積)と定義することができる。第n世代ではjn=In/An、第n+1世代ではjn+1=(In+ΔI)/(An+ΔA)とすると、本実施の形態では、jn=jn+1となるようにΔIを制御するので、In/An=(In+ΔI)/(An+ΔA)となり、ΔI=In/An×ΔA…(式(2))となる。
式(1)及び式(2)から、ΔI=jn×(ΔU/(k×R))が導かれ、さらにj0=j1=…=jnであるから、ΔI=j0×(ΔU/(k×R))…(式(3))となる。ここで、k×Rは、電極の配置及び濃度などの実験系に依存するパラメータで一定値である。したがって、ΔUを検出して、このΔUに基づいて、式(3)からΔIを算出して、陰極12,陽極11間に流す電流値を制御し、次世代での電位振動における波形を制御する。
図23は制御部による電流値の制御の一例を示すグラフであり、横軸は時間の経過を、縦軸は作用極(すなわち陰極12),陽極11間に流す電流値をそれぞれ示す。同図から明らかなように、時間の経過とともに、作用極(すなわち陰極12),陽極11間に流す電流値を大きくしていることが分かる。これは、時間の経過とともに実効的な電極面積の増加を考慮し、その増加の効果を相殺するように電流値を徐々に増加したからであり、これによって、実効的な電流密度が変化せず自発的振動を継続することができる。したがって、略250秒を経過した場合であっても電位振動が停止してしまうことはない。本例では、略2000秒(振動回数に換算すると略600回)以上を経過しても電位振動が継続していることを確認した。
また、電位振動が繰り返された場合であっても、電流密度が変わることがないので、作用極の表面に成長する微細構造体の格子間隔は振動の開始時点のピッチを維持でき、均一性が優れた微細格子構造となる。このように、時間の経過とともに実効的な電極面積の増加を考慮し、その増加の効果を相殺するように電流値を徐々に増加することによって、格子間隔の均一な微細格子構造体を安価かつ大量に製造することが可能となる。また、格子1個は数十〜数百マイクロメートルスケールであるが、本実施の形態に係る電気化学的析出方法を用いれば、図24に示すように、ミリメートル〜センチメートルスケールの金属微細格子集合体を得ることができる。
これにより、ミクロな微細構造を持つバルク材料が得られ、新しい電極バルク材料としての利用が可能となる。Snの微細格子構造自体には用途が限定されるが、微細構造体(例えば微細格子構造)を3次元の基本骨格(テンプレート)として、白金のような導電体を微細構造体の表面にメッキすることによって、高強度の極めて広い表面積の電極とすることができる。また、結晶学的に安定した面が露出されているという利点も有している。もちろん、微細構造体に被覆する材料については、用途に応じて選択すればよく、白金以外では酸化銅が考えられる。
逆に、微細構造体(例えば微細格子構造)を3次元のテンプレートとして、微細構造体が抜きパターンとなった微細構造体を製造することができる。例えば、製造した微細構造体を高分子ポリマーの溶液中に入れて重合した後に、塩酸のようなエッチング液でSnを除去(エッチング)して、微細構造体の形状が空洞(アリの巣のような形状)となった高分子ポリマーを製造することができる。このような高分子ポリマーは多孔構造となることから、フィルタとしての用途として期待することができる。また、電気化学振動の波形を制御して格子間隔を調整することができるので、高分子ポリマー内に間隔の異なる複数の構造を形成することも可能である。
なお、本実施の形態では、電気化学振動の振動毎の上端電位又は下端電位を検出し、制御部10が上端電位又は下端電位に基づいて陰極12,陽極11間に流す電流を制御するようにしたが、上端電位又は下端電位から電気化学振動の振動毎の周期を算出し、算出した周期に基づいて、自発的振動が発生する電流密度となるように、溶液に対する作用極の電流を制御するようにしてもよい。
以上、本発明に係る電気化学的析出方法について、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した実施の形態に係る発明の構成及び機能に様々な変更又は改良を加えることが可能である。

Claims (17)

  1. 電気化学的析出が可能な物質がイオン状態で溶解した溶液に浸漬した複数の電極間に電圧を印加又は電流を流し、作用極の表面に前記物質を析出する電気化学的析出方法において、
    前記溶液に対する前記作用極の電位又は電流を制御して、電気化学振動を生じさせ、
    該電気化学振動の波形に基づいて、前記物質の構造を決定すること
    を特徴とする電気化学的析出方法。
  2. 前記溶液に反応阻害種を混入し、
    該反応阻害種が前記作用極の表面に付着している状態と付着していない状態とを自発的に交互に生じさせ、
    前記電気化学振動が生じる前記作用極の電位又は電流を制御すること
    を特徴とする請求項1に記載の電気化学的析出方法。
  3. 前記反応阻害種の濃度を調整することにより、前記電気化学振動が生じる前記作用極の電位又は電流を制御すること
    を特徴とする請求項2に記載の電気化学的析出方法。
  4. 前記反応阻害種は、カーボン鎖が10以上のカチオン性界面活性剤であり、
    カーボン鎖を調整することにより、前記電気化学振動が生じる前記作用極の電位又は電流を制御すること
    を特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電気化学的析出方法。
  5. 前記物質の濃度を調整することにより、前記電気化学振動の波形を制御すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電気化学的析出方法。
  6. 前記溶液には、複数の物質がイオン状態で溶解しており、
    前記電気化学振動の波形を制御して、前記複数の物質からなる構造の組成比を決定すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電気化学的析出方法。
  7. 前記電気化学振動の波形に基づいて決定される前記物質の構造が多層構造であること
    を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電気化学的析出方法。
  8. 前記電気化学振動の波形を制御して、前記多層構造の各層の膜厚及び/又は各層の組成比を決定すること
    を特徴とする請求項7に記載の電気化学的析出方法。
  9. 前記物質が金属であること
    を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の電気化学的析出方法。
  10. 前記作用極の電位又は電流を、電気化学的析出が拡散支配に進むように制御して、電気化学振動を生じさせること
    を特徴とする請求項1に記載の電気化学的析出方法。
  11. 前記電気化学振動の振動毎の上端電位又は下端電位を検出し、
    検出した上端電位又は下端電位の変動に基づいて前記作用極の電流を制御すること
    を特徴とする請求項10に記載の電気化学的析出方法。
  12. 前記溶液に対する前記作用極の実効的な電流密度が略一定となるように制御すること
    を特徴とする請求項11に記載の電気化学的析出方法。
  13. 前記物質の濃度を調整することにより、前記電気化学振動の波形を制御すること
    を特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれかに記載の電気化学的析出方法。
  14. 電気化学的析出が可能な物質がイオン状態で溶解した溶液に浸漬した複数の電極間に電流を流し、電気化学振動を生じさせ、作用極の表面に前記物質を析出するための電気化学的析出装置であって、
    前記電気化学振動の振動毎の上端電位又は下端電位を検出する検出手段と、
    該検出手段にて検出した上端電位又は下端電位に基づいて、前記溶液に対する前記作用極の電流を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする電気化学的析出装置。
  15. 前記制御手段は、自発的振動が発生する電流密度となるように制御するようにしてあること
    を特徴とする請求項14に記載の電気化学的析出装置。
  16. 請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の電気化学的析出方法により析出した物質を3次元の基本骨格として、該物質の表面に他の物質が堆積していることを特徴とする微細構造体。
  17. 請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の電気化学的析出方法により析出した物質の表面に他の物質を重合させ、前記析出した物質を除去することによって内部に多孔構造が形成されていることを特徴とする微細構造体。
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