JPWO2005081034A1 - 二次元調光デバイス、露光装置、及び露光方法 - Google Patents

二次元調光デバイス、露光装置、及び露光方法 Download PDF

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Abstract

形成した調光分布を一方向に沿って高速に移動させることが可能な二次元調光デバイスを可変成形マスクとして備えた、走査型のマスクレス露光装置を提供する。走査型のマスクレス露光装置の可変成形マスクとして、信号保持要素と調光要素とからなる調光素子が二次元に配列された調光素子アレイ(11)と、その信号保持要素に保持される調光信号を、一方向に沿って隣接する信号保持要素に順次転送可能な制御回路機構(12)とを有する二次元調光デバイス(VM1)を使用する。その可変成形マスク上のパターンとしての一方向に高速転送可能な調光状態分布を、投影光学系(13)を介して移動している被露光基板(W)上に転写する。

Description

本発明は、例えば半導体集積回路(LSI等)、撮像素子、又は液晶ディスプレイ等の各種デバイスを製造するためのリソグラフィ工程で使用される露光技術に関し、更に詳しくは、固定されたパターンの描画されたフォトマスクを用いることなく、可変成形マスクを用いて露光を行なう、いわゆるマスクレス露光技術に関する。また、本発明はその露光技術を用いるデバイス製造技術に関する。
半導体集積回路又は液晶ディスプレイ等の電子デバイスを構成する微細パターンの形成に際しては、形成すべきパターンを4〜5倍程度に比例拡大して透過性のガラス基板上に描画したフォトマスク(レチクル又は単にマスクともいう)を使用し、フォトマスク上の原版パターンを投影光学系により被露光基板としてのウエハ(又はガラスプレート等)上の感光膜(フォトレジスト)に縮小して露光転写する方法が用いられている。そして、その露光転写に際して、ステッパー等の静止露光型及びスキャニング・ステッパー等の走査露光型の投影露光装置が用いられている。
フォトマスクへの上記原版パターンの描画は、パターンの設計データに基づいて、電子線描画装置またはレーザー描画装置で行なわれている。半導体集積回路等の微細化により、フォトマスク上の原版パターンのサイズも微細化し、かつ描画すべきパターンの量も増大している。その結果、フォトマスクへの原版パターンの描画及び描画後のパターンの検査に要する時間が増大し、フォトマスクの製造コストが増大している。
そこで、ガラス基板に固定的にパターンが形成されたフォトマスクを使用することなく、パターンの設計データに基づいて、その透過率または反射率を可変に設定することが可能な「可変成形マスク」を使用してウエハ等への露光を行なう、いわゆる「マスクレス露光装置」「マスクレス露光方法」の提案も行なわれている(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1、及び非特許文献2参照)。
米国特許出願公開第2003/0081303A1号明細書 米国特許出願公開第2003/0202233A1号明細書 T. Sandstrome他: "Sigma7100, a new architecture for laser pattern generators for 130nm and beyond", SPIE(米国)Vol.4409, PP 270-276(2001年) J. Luberek他: "Controlling CD variations in a massively parallel pattern generator", SPIE(米国)Vol.4691, PP 671-678(2002年)
上記可変成形マスクを用いた露光装置(マスクレス露光装置)では、角度可変の微小ミラー要素が2次元的に配列された如きマルチミラーデバイス等の二次元調光デバイスを可変成形マスクとして使用することが想定される。そして、可変成形マスクを原版として投影露光を行なう場合、一般に可変成形マスク上に可変形成できるパターンの被露光基板上換算での面積が大きい程、そのスループット(処理能力)は増大する。
しかしながら、上記パターン面積の増大は、マルチミラーデバイス上に構成する微小ミラー要素数の増大を必要とし、さらには多量の微小ミラーを駆動するために大量の駆動信号(パターンの形状に応じた調光信号)を高速にマルチミラーデバイスに供給する必要が生じる。
このため、調光信号の伝達に長時間を要し、これがスループットを低下することや、その信号処理系が大規模化かつ高価格化することにより、可変成形マスクを用いる露光装置のコストの上昇が懸念される。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、多数のミラー要素等を備える可変成形マスクを用いる露光装置においても、そのミラー要素等の駆動に必要な駆動信号の大幅な削減を可能にしミラー要素等の高速な駆動を達成するとともに、信号伝達系の簡素化を図り、低コストで高スループットのマスクレス露光装置及びマスクレス露光方法を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、当該マスクレス露光装置及びマスクレス露光方法で使用して好適な二次元調光デバイスを提供することをも目的とする。
さらに、本発明は、上記露光技術を用いて、高性能のデバイスを製造できるデバイス製造技術を提供することをも目的とする。
以下の本発明の各要素に付した括弧付き符号は、後述の本発明の実施形態の構成に対応するものである。しかしながら、各符号はその要素の例示に過ぎず、各要素をその実施形態の構成に限定するものではない。
上記課題の解決のために、本発明の第1の二次元調光デバイス(VM1)は、調光信号を保持する信号保持要素(BD)と照射される光束をその調光信号に基づいて調光する調光要素(49)とからなる調光素子(MU)が二次元に配列された調光素子アレイ(11)と、その調光素子(MU)中の信号保持要素(BD)に保持されたその調光信号を、第1の方向に沿って隣接するその調光素子(MU)中の信号保持要素(BD)に順次信号転送する信号転送機構(XC)と、その第1の方向の少なくとも一方の端に配列されるその調光素子(MU)中の信号保持要素(BD)にその調光信号を供給する信号供給機構(LC,RC)を有するものとした。
また、本発明の第2の二次元調光デバイスは、調光信号を保持する信号保持要素(BD)と照射される光束をその調光信号に基づいて調光する調光要素(49)とからなる調光素子(MU)が二次元に配列された調光素子アレイ(11)と、その調光素子中の信号保持要素(BD)に保持されたその調光信号を、第1の方向に沿って隣接するその調光素子中の信号保持要素に順次信号転送する信号転送機構(XC)と、その第1の方向の少なくとも一方の端に配列されるその調光素子中の信号保持要素に、その調光信号を供給する信号供給機構(LC,RC)を有するとともに、その調光要素はミラー(10a)を含み、その調光はその照射される光束を所定方向に反射する効率を、そのミラーの反射面の傾き角を変更して行なうものとした。
従って、本発明の二次元調光デバイス(VM1)においては、信号転送機構(XC)によって、調光素子(MU)中の信号保持要素(BD)に保持されたその調光信号を、第1の方向に沿って隣接する調光素子(MU)中の信号保持要素(BD)に順次信号転送することが可能となる。これにより、その調光要素(49)へのその照射光(入射光)に対する調光状態を、その第1の方向に沿って隣接する調光要素(49)に順次転送することが可能となる。
このため、その二次元に配列された調光要素(49)に形成される各調光状態の分布を、概ねその形状を保ったままその第1の方向に沿って移動することが可能となる。そして、この各調光状態の分布の、その第1の方向に沿った移動に際しては、その信号供給機構(LC,RC)は、その二次元に配列したその調光素子(MU)のうちの、その第1の方向の一方の端に配列されるその調光素子(MU)中の信号保持要素(BD)にのみ、その調光信号を供給すればよい。
これにより、上記移動に際し各調光素子中の信号保持要素(BD)の全てに調光信号を供給する場合に比べ、調光信号の供給量及びその供給に要する時間を大幅に短縮し、処理時間の短縮を図ることができる。
また、本発明の二次元調光デバイス(VM1)は、一例として、その調光素子アレイを構成するその調光素子のその二次元の配列は、その第1の方向に平行な座標軸とその第1の方向に垂直な座標軸とにより定まる直交座標系上における直方格子の格子点上に配列されるものとすることができる。
また、本発明の二次元調光デバイスのその信号転送機構(XC)は、一例として、電荷結合素子を含むものとすることができる。
また、その信号供給機構(LC,RC)は、一例として、電荷結合素子を含むものとすることができる。これにより、その信号供給機構の構成を簡素化することができる。
本発明の二次元調光デバイスは、その信号転送機構(XC)とその調光素子アレイ(11)とが、積層された構造であるものとすることができる。これにより、二次元調光デバイスを小型化することが可能となり、かつ既存の半導体集積回路等の製造技術等を応用して安価に二次元調光デバイスを製造することが可能となる。
また、本発明の第1の二次元調光デバイスにおいて、二次元調光デバイスの調光要素におけるその調光は、その調光要素の振幅透過率の変更とすることができる。
この場合、その二次元調光デバイスのその調光要素(49)は、一例としてミラー(10a)を含み、その調光は、その照射される光束を所定方向に反射する効率の変更とすることができる。そして、一例として、その効率の変更はそのミラー(10a)の反射面の傾き角を変更して行なうものとすることができる。また、一例として、その調光はそのミラーによる反射光の位相を変化させるものとすることができる。
本発明の第1の露光装置は、被露光基板(W)上に所望のパターンを露光するための露光装置であって、本発明による第1又は第2の二次元調光デバイス(VM1)と、その二次元調光デバイスにその調光信号を供給する形状信号処理系(21)と、光源(1)からの照明光(IL0)をその二次元調光デバイスに照射する照明光学系(2,3,4a,6,7,8)と、その二次元調光デバイスで調光された照明光をその被露光基板上に導く投影光学系(13)と、その被露光基板を保持し、本発明による二次元調光デバイス(VM1)におけるその第1の方向がその投影光学系によりその被露光基板上に投影された方向である第2の方向に走査可能な基板ステージ(14)とを備えるものである。
すなわち、本発明の第1の露光装置は、その二次元調光デバイスを構成する二次元的に配列された各調光要素(49)に形成される各調光状態に基づくパターンを、その被露光基板(W)をその第2の方向に走査しつつ露光する走査型の露光装置とすることができる。そして、その二次元的に配列された各調光要素に形成される各調光状態を、その被露光基板のその走査に同期してその第1の方向に走査しつつ、その露光を行なうことができる。
本発明の第1の露光装置においては、本発明による二次元調光デバイス(VM1)を用いるため、その二次元調光デバイスを構成するその二次元的に配列された各調光要素(49)に形成される各調光状態の分布を、その形状を保ったままその第1の方向に沿って移動することが可能となる。そして、この各調光状態の分布のその第1の方向に沿った移動に際しては、その信号供給機構(LC,RC)は、その二次元に配列したその調光素子(MU)のうちのその第1の方向の一方の端に配列されるその調光素子(MU)中の信号保持要素(BD)にのみ、その調光信号を供給すればよい。
これにより、走査露光に際して各調光素子中の信号保持要素の全てに新たに調光信号を供給する場合に比べ、供給すべき調光信号の量を大幅に削減し調光信号の供給に要する時間を大幅に短縮することが可能である。その結果、その第1の方向に沿った移動の速度を向上し、ひいてはその基板の露光に要する処理時間の短縮を図ることができ、低コストで高スループットのマスクレス露光装置を実現することができる。
本発明の第2の露光装置は、被露光基板(W)上に所望のパターンを露光するための露光装置であって、本発明による第1の二次元調光デバイス(VM1)であってミラー(10a)を含むもの又は本発明の第2の二次元調光デバイスと、その二次元調光デバイスにその調光信号を供給する形状信号処理系(21)と、光源(1)からの照明光(IL0)をその二次元調光デバイスに照射する照明光学系(9b等)と、その二次元調光デバイスで反射された照明光(IL6)をその被露光基板上に導く投影光学系(13)と、その被露光基板を保持し、本発明による二次元調光デバイス(VM1)におけるその第1の方向がその投影光学系によりその被露光基板上に投影された方向である第2の方向に走査可能な基板ステージ(14)とを備えるものであって、その照明光学系は、その照明光をその投影光学系の光軸(AX)に対して、全体として所定角度傾けて、その二次元調光デバイスに照射するものである。
本発明の第2の露光装置においても、本発明による二次元調光デバイスを用いることにより、本発明の第1の露光装置と同様に、その二次元調光デバイス上に形成される調光状態の分布を、第1の方向に沿って高速に移動することが可能であり、その基板の露光に要する処理時間の短縮を図ることができ、低コストで高スループットのマスクレス露光装置を実現することができる。
また、本発明の第2の露光装置においては、二次元調光デバイス(VM1)への照明光(IL5)を全体として投影光学系(13)の光軸(AX)に対して傾けたため、その照明光(IL5)と二次元調光デバイスにより調光された反射光(IL6)との分離が容易になり、露光装置の構成を簡素化し露光装置のコストの削減を図ることができる。
なお、本発明の第1の露光装置および第2の露光装置のいずれにおいても、その基板ステージのその第2の方向の位置の変化に同期して、その二次元調光デバイスを構成するその信号転送機構(XC)によるその信号転送を行なうことができる。
また、本発明の第1の露光装置および第2の露光装置のいずれにおいても、その光源(1)をパルス発光型の光源とし、そのパルス発光に同期して、その二次元調光デバイスを構成するその信号転送機構(XC)によるその信号転送を行なうことができる。
次に、本発明の第1の露光方法は、照明光(IL2)を可変成形マスク(VM1)に照射し、その可変成形マスクで調光されたその照明光(IL3)を投影光学系(13)を介して被露光基板(W)に照射する露光方法であって、その可変成形マスクとして本発明の第1又は第2の二次元調光デバイス(VM1)を用いるものであり、その調光素子アレイ(11)中のその調光素子(MU)に所望のパターンに対応する調光信号を保持させることにより、その調光素子アレイにその所望のパターンに相当する調光分布を形成する。そして、その調光素子(MU)中の信号保持要素(BD)に保持されたその調光信号を、その信号転送機構(XC)によりその第1の方向に沿って隣接するその調光素子(MU)中の信号保持要素(BD)に順次信号転送し、その調光素子アレイ(11)に形成されたその調光分布を前記第1の方向に移動する。さらに、これに伴ってその被露光基板(W)を、その第1の方向がその投影光学系(13)によりその被露光基板上に投影された方向である第2の方向に沿って、その投影光学系に対して相対的に移動させつつ露光を行なうものである。
これにより、走査露光に際して各調光素子中の信号保持要素の全てに新たに調光信号を供給する場合に比べ、調光信号の供給に要する時間を大幅に短縮し、その第1の方向に沿った移動の速度を向上し、ひいてはその基板の露光に要する処理時間の短縮を図ることができる。その結果、低コストで高スループットのマスクレス露光方法を提供することができる。
本発明の第2の露光方法は、照明光(IL5)を可変成形マスク(VM1)に照射し、その可変成形マスクで調光されたその照明光(IL6)を投影光学系(13)を介して被露光基板(W)に照射する露光方法であって、その可変成形マスクとして本発明の第1の二次元調光デバイス(VM1)であってミラー(10a)を有するもの又は本発明の第2の二次元調光デバイスを用いるものである。
そして、その調光素子アレイ(11)中のその調光素子(MU)に所望のパターンに対応する調光信号を保持させることにより、その調光素子アレイにその所望のパターンに相当する調光分布を形成する。そして、その調光素子(MU)中の信号保持要素(BD)に保持されたその調光信号を、その信号転送機構(XC)によりその第1の方向に沿って隣接するその調光素子(MU)中の信号保持要素(BD)に順次信号転送し、その調光素子アレイ(11)に形成されたその調光分布を前記第1の方向に順次移動する。さらに、これに伴ってその被露光基板(W)を、その第1の方向がその投影光学系(13)によりその被露光基板上に投影された方向である第2の方向に沿って、その投影光学系に対して相対的に移動させつつ露光を行なうものであり、かつ、その照明光(IL5)のその二次元調光デバイス(VM1)への照射を、その投影光学系の光軸(AX)に対して、全体として所定角度傾けて行なうものである。
これにより、走査露光に際して各調光素子中の信号保持要素の全てに新たに調光信号を供給する場合に比べ、調光信号の供給に要する時間を大幅に短縮し、その第1の方向に沿った移動の速度を向上し、ひいてはその基板の露光に要する処理時間の短縮を図ることができる。その結果、低コストで高スループットのマスクレス露光方法を提供することができる。
また、これにより二次元調光デバイス(VM1)への照明光(IL5)と二次元調光デバイスにより調光された反射光(IL6)との分離が容易になり、露光装置の低コスト化を図り、より安価に高性能の露光方法を提供することが可能になる。
また、本発明の第1及び第2の露光方法は、その被露光基板(W)のその第2の方向の位置の変化に同期して、その信号転送を行なうものとすることができる。これにより、その二次元調光デバイス(VM1)のその調光素子アレイ(11)に形成されたその所望のパターンに相当する調光分布とその被露光基板(W)との前記投影光学系(13)を介した位置関係を、高精度に保ちながら露光を行なうことができる。
また、本発明の第1及び第2の露光方法は、その照明光がパルス発光型の光源(1)から発生するパルス光であり、そのパルス光の発光に同期してその信号転送を行なうものとすることができる。これにより、被露光基板(W)上に露光されるパターンの像の劣化を防止することができる。
次に、本発明の第1のデバイス製造方法は、照明光(IL2)を可変成形マスク(VM1)に照射し、その可変成形マスクで調光されたその照明光を投影光学系(13)を介してデバイスを形成すべき被露光基板(W)に照射する露光工程を含むデバイス製造方法であって、その露光工程において、その可変成形マスクとして本発明の第1又は第2の二次元調光デバイスを用い、その調光素子アレイ(11)中のその調光素子(MU)に所望のパターンに対応する調光信号を保持させることにより、その調光素子アレイにその所望のパターンに相当する調光分布を形成し、かつその調光素子中の信号保持要素(BU)に保持されたその調光信号を、その信号転送機構(XC)によりその第1の方向に沿って隣接するその調光素子中の信号保持要素に順次信号転送し、その調光素子アレイに形成されたその調光分布をその第1の方向に移動するとともに、その被露光基板を、その第1の方向がその投影光学系によりその被露光基板上に投影された方向である第2の方向に沿って、その投影光学系に対して相対的に移動させつつ露光を行なうものである。
また、本発明の第2のデバイス製造方法は、照明光(IL2)を可変成形マスク(VM1)に照射し、その可変成形マスクで調光されたその照明光を投影光学系(13)を介してデバイスを形成すべき被露光基板(W)に照射する露光工程を含むデバイス製造方法であって、その露光工程において、その可変成形マスクとして本発明の第1の二次元調光デバイス(VM1)であってミラー(10a)を有するもの又は本発明の第2の二次元調光デバイスを用い、その調光素子アレイ(11)中のその調光素子(MU)に所望のパターンに対応する調光信号を保持させることにより、その調光素子アレイにその所望のパターンに相当する調光分布を形成し、かつその調光素子中の信号保持要素(BU)に保持されたその調光信号を、その信号転送機構(XC)によりその第1の方向に沿って隣接するその調光素子中の信号保持要素に順次信号転送し、その調光素子アレイに形成されたその調光分布をその第1の方向に移動し、その被露光基板を、その第1の方向がその投影光学系によりその被露光基板上に投影された方向である第2の方向に沿って、その投影光学系に対して相対的に移動させつつ露光を行なうとともに、その二次元調光デバイスへのその照明光の照射を、その投影光学系の光軸に対して全体として所定角度傾けて行なうものである。
これらの本発明のデバイス製造方法によれば、多数のマスクを製造する必要がないため、安価にかつ高スループットでデバイスを製造できる。
また、本発明の第1及び第2のデバイス製造方法は、その被露光基板(W)のその第2の方向の位置の変化に同期して、その信号転送を行なうものとすることができる。
また、本発明の第1及び第2のデバイス製造方法は、その照明光がパルス発光型の光源から発生するパルス光であり、そのパルス光の発光に同期してその信号転送を行なうものとすることができる。
本発明によれば、いわゆるマスクレス露光技術において、可変成形マスクに所望のパターンを形成するために可変成形マスクにそのパターンに応じた調光信号を供給するための時間を大幅に削減することができる。
従って、マスクレス露光方法およびマスクレス露光装置の処理能力(スループット)を大幅に向上することが可能となり、生産性の高い露光装置および露光方法を実現することができる。
また、リソグラフィ工程において本発明の露光方法を用いることにより、高価なマスクを用いることなく、半導体集積回路等のデバイスを高い生産性で製造することが可能となり、デバイス製造コストの削減が達成できる。
本発明の二次元調光デバイスの第1の実施形態の二次元調光デバイスVM1を表わす図である。 本発明の二次元調光デバイスVM1を構成する制御回路機構12を表わす図である。 (A)は、本発明の二次元調光デバイスVM1の構成要素である電荷結合要素MUを表わす平面図であり、(B)は、そのA−A’線に沿う断面図であり、(C)は、そのB−B’線に沿う断面図である。 本発明の二次元調光デバイスVM1を構成する調光素子MU及び電荷結合要素MUを表わす図である。 (A)は、本発明の二次元調光デバイスVM1の調光素子アレイ11上に形成すべき調光分布に対応する二次元調光データSDを表わす図であり、(B)は調光素子アレイ11上に形成された調光状態分布の一例VD1を表わす図であり、(C)は調光素子アレイ11上に形成された調光状態分布の他の例VD2を表わす図である。 可変成形マスクとして本発明の二次元調光デバイスVM1を備える本発明の第1の実施形態の露光装置を表わす図である。 可変成形マスクとして本発明の二次元調光デバイスVM1を備え、二次元調光デバイスVM1への照明光IL5が傾いて入射する、本発明の第2の実施形態の露光装置の一部を表わす図である。 (A)は、本発明の二次元調光デバイスの第2の実施形態の二次元調光デバイスVM2の一部である調光素子MU2を表わす平面図であり、(B)は、そのA−A’線に沿う断面図であり、(C)はそのB−B’線に沿う断面図である。 図8に示す本発明の二次元調光デバイスの第2の実施形態において、開口55の上方及びその近傍に形成される調光要素を表わす図である。 可変成形マスクとして本発明の二次元調光デバイスVM2を備える本発明の第3の実施形態の露光装置を表わす図である。 本発明のデバイス製造方法を説明する図である。
符号の説明
VM1,VM2…二次元調光デバイス、MU,MU2…調光素子、11…調光素子アレイ、12…制御回路機構、120…信号保持伝送機構、XC…XCCD(電荷をX方向に転送するCCD)、LC…左YCCD(電荷をY方向に転送するCCD)、RC…右YCCD(電荷をY方向に転送するCCD)、121…信号処理系、CU…電荷結合要素、A1〜5…第1相X転送電極、B1〜5…第2相X転送電極、C1〜5…第3相X転送電極、PA,PB,PC…転送信号線、D3〜5…X伝送路、BD…信号保持要素、50…半導体基板、10a…微小ミラー、43…制御トランジスタ、1…光源、8…リレーレンズ、IL0〜10…照明光、13…投影光学系、14…基板ステージ、20…主制御系、21…形状信号処理系、62…透過基板、93…フォトレジスト、92…被加工層
以下、本発明の二次元調光デバイスの好ましい第1の実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態の二次元調光デバイスVM1の全体を示す鳥瞰図であり、この図1において、二次元調光デバイスVM1は、微小ミラー等からなる調光素子MUが二次元的に配列された調光素子アレイ11を有するものである。各調光素子MUは、例えば図中の直交するX軸とY軸とで形成される直交座標系上における直方格子の格子点上に配列される。ここで直方格子とは、X軸方向には第1の間隔を持って等間隔で配列し、Y軸方向には第2の間隔を持って等間隔で配列する格子をいう。また、上記第1の間隔及び第2の間隔は等しくても構わない。また、制御回路機構12には信号線Sigが接続され、信号線Sigを介して不図示の信号処理装置から二次元調光デバイスVM1上に形成すべき調光分布の元になる形状信号(パターン形状信号)が供給される。
はじめに、本発明の二次元調光デバイスVM1を構成する制御回路機構12について、図2を用いて説明する。
図2に示す通り、制御回路機構12は、信号処理系121と電荷結合素子(以降「CCD」と呼ぶ)からなる信号保持伝送機構120から構成される。信号保持伝送機構120は、不図示の半導体基板上に形成され、そのX方向の−側(左側)端には電荷をY方向に転送するCCDである左YCCD(LC)を、そのX方向の+側(右側)端には電荷をY方向に転送するCCDである右YCCD(RC)を、そのX方向の中央部には電荷をX方向に転送するCCDがY方向に複数個並列して配列されたものであるXCCD(XC)を有するものである。
これらの左YCCD(LC)、右YCCD(RC)、及びXCCD(XC)の構成は、通常の3相CCDの構成と大きく異なる所は無い。
左YCCD(LC)は、不図示の半導体基板上に設けられた左Y伝送路DLと、その上に形成された第1相左Y転送電極F1,F2,F3,F4,F5、第2相左Y転送電極G1,G2,G3,G4,G5、第3相左Y転送電極H1,H2,H3,H4,H5、及び上記第1相左Y転送電極F1〜5に信号を供給するY転送信号線Q1、上記第2相左Y転送電極G1〜5に信号を供給するY転送信号線Q2、上記第3相左Y転送電極H1〜5に信号を供給するY転送信号線Q3とからなる。
右YCCD(RC)は、不図示の半導体基板上に設けられた右Y伝送路DRと、その上に形成された第1相右Y転送電極J1,J2,J3,J4,J5、第2相右Y転送電極K1,K2,K3,K4,K5、第3相右Y転送電極L1,L2,L3,L4,L5、及び上記第1相右Y転送電極J1〜5に信号を供給するY転送信号線Q4、上記第2相右Y転送電極K1〜5に信号を供給するY転送信号線Q5、上記第3相右Y転送電極L1〜5に信号を供給するY転送信号線Q6とからなる。
XCCD(XC)は、不図示の半導体基板上に設けられたX方向に平行な複数本のX伝送路D3,D4,D5等と、その上にY方向に平行に形成された第1相X転送電極A1,A2,A3,A4,A5、第2相X転送電極B1,B2,B3,B4,B5、第3相X転送電極C1,C2,C3,C4,C5、及び上記第1相X転送電極A1〜5に信号を供給するX転送信号線PA、上記第2相X転送電極B1〜5に信号を供給するX転送信号線PB、上記第3相X転送電極C1〜5に信号を供給するX転送信号線PCとからなる。
左Y伝送路DLとX伝送路D3〜5等、及び右Y伝送路DRとX伝送路D3〜5等は、図2に示す如く相互に繋がっており、各伝送路中に保持された電荷は相互に移動可能である。なお、図2では、X伝送路D3,D4,D5、及び右Y伝送路DRの形状及び位置関係を示すために、波線V1,V2で囲まれる領域については、X転送電極C5等及び右Y転送電極L5等の一部を削除して表示しているが、実際には波線V1,V2で囲まれる領域内にも、これらの電極が形成されるべきことは言うまでもない。
本発明の二次元調光デバイスVM1に信号線Sigを介して外部から供給される形状信号は、信号処理系121に入力され、ここで調光信号に変換されて信号線S1またはS2を介して信号保持伝送機構120のX方向の両端部に設けられた左Y伝送路DLの入力部D0L、または右Y伝送路DRの入力部D0Rに供給される。
この調光信号に同期して、信号処理系121は3相のYクロック信号を発生し、各相の信号をそれぞれY転送信号線Q1,Q4、Y転送信号線Q2,Q5、Y転送信号線Q3,Q6に供給する。また、信号処理系121は3相のXクロック信号PA,PB,PCも発生し、それぞれをX転送信号線PA,PB,PCに供給する。
なお、調光信号は、本発明の二次元調光デバイスVM1の特徴である調光素子アレイ11上に形成した調光分布の移動に際しての移動方向に応じて、信号線S1またはS2の一方を介して、両入力部D0L,D0Rの一方に供給すればよい。その詳細については後述する。
以下、調光信号が信号線S1を介して、左YCCD(LC)の入力部D0Lに供給される場合について説明する。
調光信号の入力により、入力部D0Lには、調光信号に応じた一例として負の第1の電荷が形成される。この第1の電荷はY転送信号線Q1により第1相左Y転送電極F1に供給される正電位のYクロック信号により、左Y伝送路DL中の第1相左Y転送電極F1の直下に移動する。このときY転送信号線Q2には弱い正電位が、Y転送信号線Q3には0電位がそれぞれ印加される。
その後、信号処理系121から供給されるY方向クロック信号は順次変化し、Y転送信号線Q1に0電位が、Y転送信号線Q2に正電位が、Y転送信号線Q3に弱い正電位がそれぞれ印加される。これにより第1相左Y転送電極F1の直下にあった第1の電荷は、第2相左Y転送電極G1の直下移動する。さらに、Y方向クロック信号が変化し、Y転送信号線Q1に弱い正電位が、Y転送信号線Q2に0電位が、Y転送信号線Q3に正電位がそれぞれ印加されると、第1の電荷は第3相左Y転送電極FHの直下に移動する。
そして、3相のYクロック信号の変化の1サイクルが完了し、Yクロック信号が最初の状態(Y転送信号線Q1に正電位,Y転送信号線Q2に弱い正電位,Y転送信号線Q3に0電位の状態)に戻ると、第1の電荷は第1相左Y転送電極F2の直下に移動する。この状態で、信号処理系121は次の調光信号を信号線S1を介してY伝送路DLの入力部D0Lに供給する。そして、この信号に応じて形成された一例として負の第2の電荷は第1相左Y転送電極F1の直下に保持される。
従って、Yクロック信号の変化の1サイクルに同期して、所定の調光信号を信号線S1を介して順次入力部D0Lに入力することにより、左YCCD(LC)を構成する第1相左Y転送電極F1〜5または第2相左Y転送電極G1〜5等の直下に、所定の調光信号に応じた電荷を順次形成していくことができる。
そして、上記動作の繰り返しにより、第2相左Y転送電極G1〜5の全ての直下に所定の調光信号S1を形成し終えた段階で、信号処理系121はXCCD(XC)を駆動して、左YCCD(LC)中に保持された上記各電荷(調光信号)をXCCD内(XC)に転送し供給する。
すなわち、Y転送信号線Q1〜3を通して左YCCD(LC)の左Y転送電極F1〜5,G1〜5,H1〜5に供給するYクロック信号を全て0電位または負電位とし、X転送信号線PAを通じてXCCD(XC)中の第1相X転送電極A1に正電位のXクロック信号を供給する。これにより、左Y伝送路DL中の第2相左Y転送電極G1〜5のそれぞれの直下に保持されていた電荷(調光信号)を、そのY方向の位置関係(分布)を保ったまま、XCCD(XC)中の各伝送路D3〜D5等の中の左端の、第1相X転送電極A1の直下に移動させ、ここに供給することができる。
XCCD(XC)も電荷結合素子であるから、上記の左YCCD(LC)で示した例と同様に順次変化する3相のXクロック信号をX転送信号線PA,PB,PCに順次印加することにより、上記の各伝送路D3〜5等上のX転送電極A1の直下に保持された上記電荷(調光信号)を、順次+X方向に移動することができることは言うまでも無い。
なお、本例においてはXCCD(XC)も3相CCDであるので、一つの独立した調光信号を保持可能な部分は、図2に破線で示した領域(以下「電荷結合要素」と呼ぶ)CU0の如く、一つのX伝送路D5と第1相から第3相のX転送電極のそれぞれ一つ(A1,B1,C1)とが交差する部分を含む領域になる。
この一つの電荷結合要素CU0は、X伝送路D5上の各X転送電極A1,B1,C1の直下に当る3箇所に、調光信号を保持する機能を有するが、本発明の二次元調光デバイスVM1においては、後述する通り、このうち第2相X転送電極B1の直下に保持された調光信号に基づいて、上記調光素子アレイ11中の調光要素を制御する。そのため、各電荷結合要素中の、X伝送路D3〜5と第2相X転送電極B1〜5との交差点に形成される各領域を、以下、特に「信号保持要素」と呼ぶことにする。
XCCD(XC)は電荷(信号)保持機能を有する信号保持要素が二次元に配列された信号保持要素アレイであるとともに、当該信号保持要素に保持された電荷(調光信号)をX方向に沿って隣接する信号保持要素に転送する信号転送機構として機能する。この場合、X方向は、第1の方向とみることができる。また、左YCCD(LC)は、XCCD(XC)中の−X方向端に配列される各信号保持要素に対して信号を供給する信号供給機構として機能する。
なお、図2では、紙面の都合により電荷結合要素の数をX方向に5列,Y方向に5列の計25個に限って表示しているが、実際に形成すべき電荷結合要素の数は、これよりも圧倒的に多くあるべきであることは言うまでも無い。そしてその配列数は、X方向またはY方向の少なくとも一方については、例えば1000列以上であることが望ましい。
次に、XCCD(XC)内の一つの電荷結合要素CUの詳細について、図3を用いて説明する。
図3(A)は、図2中のX伝送路D3と第1相から第3相のX転送電極のそれぞれ一つ(A3,B3,C3)とが交差する位置に形成された、図中破線で示した電荷結合要素CUとその周囲の電荷結合要素の拡大図を表わす。図3(B)は、平面図である図3(A)中のA−A’線に沿う断面図を表わし、図3(C)は、図3(A)中のB−B’線に沿う断面図を表わす。ここで、図3(A),図3(B),図3(C)に示したXYZ座標の向きは、図2中に示したものと等価である。
シリコンウエハ等の半導体基板50の表面には、X軸方向に平行に、X伝送路D2,D3,D4と絶縁領域E1,E2,E3,E4とが形成される。ここでX伝送路D2〜4は、半導体基板50そのものからなり、一方、絶縁領域E1〜4は半導体基板50を加工して酸化膜等による絶縁層を形成したものである。
これらの上には、第1相X転送電極A2,A3,A4、第2相X転送電極B2,B3,B4、第3相X転送電極C2,C3,C4がY方向に平行に形成される。なお、各X転送電極A2〜4,B2〜4,C2〜4と伝送路D2〜4の間には、シリコン酸化膜(二酸化珪素膜)等の絶縁膜を形成し、各X転送電極A2〜4,B2〜4,C2〜4と伝送路D2〜4の間の絶縁性を確保する。
ここで、電荷結合要素CU中のX伝送路D3中の第2相X転送電極B3の直下は、上述の通り信号保持要素BDを構成する。これは他の電荷結合要素においても同様である。そして、第2相X方向転送電極B2〜4の各電荷結合要素BD等のほぼ中央に相当する位置には、各電荷結合要素BD1等に保持された信号を取り出すための経路としての開口51,52,53,54,55,56,57,58,59を形成する。また、図3(B)中の電極B2c,B2d、電極B3c,B3d、電極B4c,B4dは、それぞれ第2相X転送電極B2〜4の中の、開口54,55,56の両端に位置する部分を表わす。
電荷結合要素CUは、リソグラフィ工程により製造することができる。そして、その製造方法は、一般的なCCDの製造方法と概ね同様であるため、詳細な説明は省略する。
続いて、調光素子アレイ11を構成する微小ミラーを含む調光素子の第1の実施形態について説明する。
図4は、調光素子アレイ11を構成する一つの調光素子MUの拡大図である。なお、電荷結合要素CU等の一部である信号保持要素BDも調光素子MUの一部を構成するため、図4には、電荷結合要素CUについても併せて表示してある。
調光素子MUは、微小ミラー(ミラー)10a、駆動電極33a,33b、ベース板32、接続電極36,37,38,39,40,41、電源配線42、接地配線46、制御トランジスタ43、接続プラグ48等から構成される調光要素49と、電荷結合要素CU中の上記信号保持要素BDとから形成される素子である。なお、図2に示したXCCD(XC)中に二次元的に配列された他の電荷結合要素の上にも、調光要素49と同様な調光要素が形成され、調光素子が二次元的に配列された調光素子アレイ11が形成されることは言うまでもない。従って、本例においては、信号転送機構であるXCCD(XC)と調光素子アレイ11は積層された構造となっている。
なお、図4では図示の便宜上、接続プラグ48の下端面48aが半導体基板50と接続されることなく描かれているが、実際には図中矢印で示した通りこれらは接続される。
また、接続電極38の下面38aと制御トランジスタ43の端部44、及び接続電極41の下面41aと接地配線46の一部である接続部47についても、分離して描かれているが、図中矢印で示した通り、これらの各部も相互に接続されている。
以下、調光素子MUの構成について、その製造方法の一例と併せて説明する。
はじめに、電荷結合要素CU1の形成された半導体基板50の上に、二酸化珪素等からなる不図示の第1の絶縁膜を形成し、第1の絶縁膜中の上記開口55に対応する位置に第1の開口部を形成する。そして、この第1の開口部にポリシリコン(多結晶の珪素)等を埋め込み、接続プラグ48を形成する。そして、接続プラグ48の上端部を酸化するなどによりシリコン酸化膜45を形成する。
続いて、接続プラグ48上及び第1の絶縁膜上に、全面に亘ってポリシリコン等からなる材料を形成(成膜)し、電源配線42、接地配線46、制御トランジスタ43を形成すべき箇所のみ残してこのポリシリコンを除去する。そして、形成された電源配線42、接地配線46、制御トランジスタ43等の上層に、シリコン酸化膜等からなる不図示の第2の絶縁層を形成し、この第2の絶縁層のうち、制御トランジスタ43の端部44及び接地電極46の接続部47に対応する位置に第2の開口部を形成する。
その状態で、第2の絶縁層の上から金属や低抵抗の半導体等の第1の配線材料を成膜する。これにより、上記第2の開口部には第1の配線材料が埋め込まれ接続電極38,41が形成される。そして、第2の絶縁層の上に形成された第1の配線材料のうち、所定の部分以外をエッチング等により除去することにより、接続電極37,40を形成する。
そして、接続電極37,40が形成された基板50上に、さらにシリコン酸化膜等からなる不図示の第3の絶縁層を成膜し、その上に例えば窒化珪素等からなる絶縁性のベース板32を形成する。そして、ベース板32及び第3の絶縁層の所定の位置に第3の開口を形成し、その状態でベース板32上から金属や低抵抗の半導体等の第2の配線材料を成膜する。これにより、上記第3の開口部には第2の配線材料が埋め込まれ接続電極36,39を形成する。そして、ベース板32上に形成された第2の配線材料のうち、所定の部分以外をエッチング等により除去することにより、駆動電極33a、駆動電極33b及び導通線34を形成する。
続いて、ベース板32上に高抵抗な配線材料を成膜し、そのパターンニングにより高抵抗配線35を形成する。駆動電極33aと駆動電極33bは、この高抵抗配線35により電気的に接続される。なお、高抵抗配線35は、上記第2の配線材料から駆動電極33a,bの加工と同時に形成することもできる。この場合、高抵抗配線35の線幅を駆動電極33a,bの線幅に比べて細く加工することにより、その電気抵抗を増大させるものとすることができる。
その後、駆動電極33a,b等の形成されたベース板32上に、シリコン酸化膜等からなる第4の絶縁層を成膜し、第4の絶縁層の所定の位置に第4の開口部を形成する。そして、その上からシリコン等を成膜することにより、第4の開口部の中に支持部31を形成し、第4の絶縁層の上面にはミラー10aを構成するシリコン膜を形成する。さらに、そのシリコン膜の上にはアルミニウム等の高反射率金属や誘電体多層膜を形成し、ミラー10aの表面の高反射率を確保する。
続いて、上記シリコン膜をパターンニングして個々のミラー10aを形成する。そして、上記第4の絶縁層をフッ酸等によるエッチングにより除去し、ベース板32上とミラー10aとの間に、ミラー10aの傾斜動作を可能とする空間を形成する。一方、上述の不図示の第1から第3の絶縁層については除去する必要は無く、絶縁部材として調光素子MUの構成部材となる。
以上の工程により、調光素子MUが完成する。
なお、調光要素49及び調光素子MUの製造方法は上記の例に限られる訳ではなく、他の方法を用いても製造できることは言うまでもない。
ここで、ベース板32、電源配線42、接地配線46については、一つの調光素子MU内に閉じた構成要素ではなく、調光素子アレイ11を構成する他の調光素子MUと接合された構成要素である。電源配線42はX方向に隣接する他の調光素子MUの電源配線と各端部42a,42bにおいて繋がっている。すなわち電源配線42は、調光素子アレイ11を構成する調光素子MUのうち、同じY位置でX方向に並ぶ一列の調光素子群を結ぶX方向の配線を構成し、その終端部は不図示の電源回路に接続され所定の電源電位が供給される。
同様に、接地配線46はX方向に隣接する他の調光素子MUの接地配線と各端部46a,46bにおいて繋がっており、同じY位置でX方向に並ぶ一列の調光素子群を結ぶX方向の配線を構成し、その終端部は不図示の接地回路に接続され所定の接地電位が供給される。そして、絶縁性のベース板32は調光素子49とX方向及びY方向に隣接する他の調光素子MU中のベース板と繋がっている。
駆動電極33bには接続電極39が接続され、これから接続電極40,41を経て接地配線46上の接続部47に接続(導通)される。これにより、駆動電極33bには接地配線46を介して、常に所定の接地電位が供給される。また、微小ミラー10aは、支持部31を介して導通線34により駆動電極33bと導通しているため、その電位は常に接地電位に保たれる。
これに対し、駆動電極33aは、接続電極36,37,38及び制御トランジスタ43を介して電源電極42と接続されるとともに、高抵抗配線35を介して駆動電極33bとも接続される。制御トランジスタ43は、n型半導体またはp型半導体で構成され、絶縁膜45を介して接続される接続プラグ48の上端部をゲート電極とする電界効果型トランジスタ(FET)を構成する。その一端は電源配線42と接続され所定の電源電位が供給され、その他端には端部44を介して接続電極38が接続される。
従って、駆動電極33aの電位は、制御トランジスタ43の導通または非導通を制御することにより可変とすることができる。すなわち、制御トランジスタ43を導通とすれば駆動電極33aは電源電極42と導通し、これから電源電位が供給される。一方、制御トランジスタ43を非導通とすれば、駆動電極33aと電源電極42との導通は絶たれ、駆動電極33aが高抵抗配線35を介して駆動電極33bと繋がっていることから駆動電極33aの電位も駆動電極33bと同様に接地電位となる。
ここで、一例として上記電源電位が正であり接地電位が負である場合、制御トランジスタ43の導通時には、駆動電極33aの電位は正、駆動電極33b及び微小ミラー10aの電位は負となる。このとき、駆動電極33aと微小ミラー10aの間には静電引力が生じ、駆動電極33bと微小ミラー10aの間には静電斥力が生じる。この結果微小ミラー10aは傾斜し、その反射面の法線方向は図中+Z方向から+X方向に傾いた方向に変化する。
一方、制御トランジスタ43の非導通時には、駆動電極33a、駆動電極33b及び微小ミラー10aの電位はいずれも負となり、駆動電極33aと微小ミラー10aの間及び駆動電極33bと微小ミラー10aの間には、共に静電斥力が生じる。従って、この静電斥力のつりあいにより、微小ミラー10aの反射面は、その法線方向が図中+Z方向と一致する方向に向く。
なお、制御トランジスタ43の導通、非導通は、接続プラグ48に生じる電荷の正負(または0)により、すなわち電荷結合要素CUに保持された電荷の正負等により決定されるものであるから、微小ミラー10aの傾き角は、電荷結合要素CU中の信号保持要素BDに保持された電荷の正負(または0)により制御することができることになる。
なお、上記の電源電位及び接地電位の正負の設定は、上記の例示に限られる訳ではなく、上記とは正負が反転したものであってもよく、一方が0であっても良いことは言うまでもない。
以上の説明の通り、本実施形態においては、調光素子MUはそれを構成する信号保持要素BDに保持された信号に応じて、調光要素49中の微小ミラー10aの角度を変更し、すなわち、微小ミラー10aに照射された照明光の所定の方向に対する反射効率を変化させること、すなわち調光をすることができる。
そして、上述の如く調光素子MUは、調光素子アレイ11として図2に示したXCCD(XC)上の電荷伝送要素CU上の全てに形成されることから、本発明の二次元調光デバイスVM1においては、XCCD(XC)上の各信号保持要素BDに保持された調光信号に基づいて、調光素子アレイ11上の各調光素子MUに所望の分布形状の調光状態を形成することが可能となる。
以下、この調光分布の形成について、図2及び図5を用いて説明する。
図5(A)は、調光素子アレイ11上の各調光素子MU上に形成するべき二次元調光データSDを表わす図であり、図中白または黒で表わされた1ビットの調光信号が、X方向にm列、Y方向にn列に亘って配列されたものである。ここで上記の白黒は、例えば白が1に対応し、黒が0に対応する。
なお、二次元調光データSDは、二次元調光デバイスVM1を構成する制御回路機構12の中の信号処理系121に記憶されたものであってもよく、あるいは二次元調光デバイスVM1とは別の不図示の信号処理装置に記憶され、そこから信号線Sigを介して形状信号として供給されるものであってもよい。そして、その記憶の形態はメモリー素子上の電気信号であってもよく、大規模記憶装置上の磁気信号等の信号であっても良い。
ここで、二次元調光データSDの、Y方向の配列数nは調光素子アレイ11上の調光素子MUのY方向配列数(すなわちXCCD(XC)上に配列された電荷結合要素CUのY方向の配列数に同じ)に等しく、X方向の配列数mは調光素子MUのX方向配列数(すなわち電荷結合要素CUのX方向の配列数に同じ)より多い。
上記調光分布の形成に際し、信号処理系121は、先ずY転送信号線Q1〜3を通して左YCCD(LC)の左Y転送電極F1〜5,G1〜5,F1〜5に、上述の3相のYクロック信号の供給を開始する。そして信号処理系121は、二次元調光データSDのうちX方向右端に位置する列X1上に並ぶ調光データを、そのY方向位置Y1,Y2,Y3,・・Ynの順に、Yクロック信号の上記変化の1サイクルに同期して1つずつ、調光信号として信号線S1を介して順次左YCCD(LC)の入力部D0Lに供給する。
このとき、入力部D0Lに送られる調光信号は、例えば、二次元調光データSD中の信号が0であれば0電位からなる信号とし、1であれば負電位からなる信号とする。
信号処理系121は、上記の信号転送をmサイクル繰り返すことにより、2次元信号SD上の列X1に並ぶ調光データを全て左YCCD(LC)に供給した後、XCCDを駆動して上述の如く左YCCD(LC)に保持された調光信号をXCCD(XC)内の左端の一列に配列する電荷結合要素CU0等の中の信号保持要素BDに転送して供給する。
続いて信号処理系121は、二次元調光データSDのうち列X2上に並ぶ調光データを、上記と同様にして、調光信号として順次入力部D0Lに供給する。信号処理系121は、これをmサイクル繰り返した後、再びXCCD(XC)を駆動して、XCCD(XC)上の左端の一列に配列する電荷結合要素CU0等の中の信号保持要素BDに保持された先の調光信号列を、+X方向に隣接する各電荷結合要素中の信号保持要素BDに転送するとともに、左YCCD(LC)上に保持された新たな信号列をXCCD(XC)上の左端の一列に配列する電荷結合要素CU0等の中の信号保持要素BDに転送して供給する。
XCCD(XC)の各電荷結合要素CUのX方向配列をq列とすれば、上記XCCD(XC)駆動を含む一連の動作をq回繰り返すことにより、XCCD(XC)の各電荷結合要素CU内の信号保持要素BDの全てに対しての、所定の二次元調光データSDの供給が完了する。なお、上述の通り、本例においては信号保持要素BDは各調光素子MUの一部でもある。この結果、二次元調光デバイスVM1上の各調光素子MUには、各調光素子MU内の信号保持要素BDに保持された各調光信号に応じた調光分布が形成される。
ところで、本発明の二次元調光デバイスVM1は、このように調光素子アレイ11上に所定の二次元調光形状分布を形成できるだけなく、その形状を概ね保ったまま、それを所定の方向(X方向)に移動可能であることに特徴がある。すなわち本発明は、各調光素子MU内の信号保持要素BD及びそれへの信号の供給機構にCCD(上述のXCCD(XC))を採用しているため、この移動を容易に実現できることに特徴がある。
すなわちXCCD(XC)の上記駆動により、XCCD(XC)上に二次元的に配列された信号保持要素BD上に保持された調光信号を、+X方向に隣接する信号保持要素BD上に容易に移動できる。そして、これに伴って調光素子アレイ11上に形成される所定の二次元調光形状分布をも、+X方向に容易に移動できる。なお、このXCCD(XC)の駆動に際しては、XCCD(XC)の左端に配列される電荷結合要素CU0等の中の信号保持要素BDに、YCCD(LC)を経由して二次元調光データSD上の新たな調光信号を供給することは言うまでもない。
なお、信号保持要素BD上の全てに所定の調光信号が保持された状態でXCCD(XC)を駆動するには、XCCD(XC)の右端に形成された信号保持要素BD(図2中では各Y伝送路D3〜5上の第2相X転送電極B5の直下に対応)上に保持された信号を、何らかの方法で除去する必要が生じる。
そこで信号処理系121は、上記XCCD(XC)の転送動作に同期して、右YCCDRC中の第2相Y転送電極K1〜5に正電位を印加して、XCCD(XC)右端の信号保持要素BD上に保持された電荷を右YCCD(RC)中に除去する。そして、右YCCD(RC)を駆動して、これらの電荷を右伝送路DR中の排出端DREに順次移動する。排出端DREには、不図示の接地線が接続され、この接地線により上記電荷は信号処理系121に回収される。
図5(B)は、調光素子アレイ11上に形成された調光状態分布VD1の一例を表わす図である。上述の通り、調光素子アレイ11中の調光素子MUのX方向配列数はq列(B1からBq)であり、Y方向配列数はn列(D1からDn)としている。調光状態分布VD1中の白または黒の表示は、二次元調光データSDに対応したものであり、各調光要素49による所定方向への反射率が、例えば白の部分では高く、黒の部分で低いことを表わす。
調光状態分布VD1は、図5(A)に示した二次元調光データSDのうち列Xjを中心とするX方向の幅q列上に並ぶ調光データに対応する調光分布を、調光素子アレイ11のX方向の中心である列Bcを中心として形成した状態を表わす。調光素子アレイ11上の各調光素子MUには、二次元調光データSD上の当該部分の調光データに対応する調光状態が、X方向およびY方向の配列を保って形成される。
一方、図5(C)は、図5(B)に示した状態から、XCCD(XC)の上記駆動を3サイクル行なった後の、調光素子アレイ11上の調光状態分布VD2を表わす図である。すなわち調光素子アレイ11上の調光状態分布VD2は、図5(B)に示した調光状態分布VD1に比べ3素子分+X方向に移動している。また、調光素子アレイ11の左側3列には、図5(A)中の二次元調光データSDに基づく新たな調光分布が形成される。
このように、本発明の二次元調光デバイスVM1においては、調光素子アレイ11上に所定の二次元の調光状態分布を形成できるだけなく、その形状を概ね保ったまま、それを所定の方向(X方向)に移動可能である。
なお、上記の例に於いては調光素子アレイ11上の調光分布を+X方向に移動する例のみを示したが、これを−X方向に移動することも可能であることは言うまでもない。これは、調光信号を右YCCD(RC)を経由してXCCD(XC)中の右端の電荷結合要素CU列に供給し、Xクロック信号の相変化状態を変更してXCCD(RC)における電荷(調光信号)の転送方向を−X方向とすることで実現できる。
また、その場合のXCCD(XC)中の左端の信号保持要素BD上に保持された電荷は、左YCCD(LC)中に排出された後、左伝送路DL中の排出端DLEから不図示の接地線により信号処理系121に回収すればよい。
なお、本発明の二次元調光デバイスVM1は、その用途によっては一方の向きにのみ調光分布を移動できれば良い場合も有る。その場合、左YCCD(LC)と右YCCD(RC)が常に両方必要な訳ではなく、そのうち調光信号をXCCD(XC)に供給する側となる片方のみを装備すれば良い。
なお、上述の実施形態においては、信号転送機構であるXCCD(XC)や信号供給機構である左右の左YCCD(LC)及び右YCCD(RC)は、電荷結合素子(CCD)よりなるものとしたが、その実現手段はこれに限られるものではなく、例えば磁気バブルメモリ等、所定の記憶要素に保持された情報を所定の方向にそって隣接する他の記憶要素に転送することが可能な他の素子を用いることもできる。
一例として、磁気バブルメモリを使用する場合には、磁気バブルメモリ中に保持された信号を読み込むために変調要素49中に設ける信号読み取り機構も、上記の接続プラグ48と電荷効果型トランジスタである制御トランジスタ43に代えて、磁性体プラグとコイル等を使用することになる。
次に、本発明の露光装置の第1の実施形態及び本発明の露光方法の第1の実施形態を、図6を参照して説明する。
本実施形態の露光装置は、本発明の二次元調光デバイスVM1上の上記反射型の調光素子アレイ11中の微小ミラー10aからなる反射面10に照明光IL2を照射し、その反射光IL3を投影光学系13を介して被露光基板W上に露光する露光装置であり、いわゆる走査型のマスクレス露光装置である。
エキシマレーザあるいは高調波変換型レーザ等のレーザ、水銀ランプまたは発光ダイオード等の光源1から発せられた照明光IL0は、整形光学系2,3を経て偏向素子4aに入射する。偏向素子4aは例えば回折格子等の光学素子であり、入射した照明光IL0を必要に応じて所定の方向に偏向して、あるいは光束(「光線束」と同義)を分割したうえにそれぞれを偏向して射出する。
偏向素子4aを射出した照明光IL1は、リレーレンズ6を経てフライアイレンズ等のオプチカルインテグレータ7に入射する。オプチカルインテグレータ7を射出した照明光は、リレーレンズ8を経てビームスプリッタ9に入射し、その分割面9aで反射して照明光IL2となって可変成形マスクとしての二次元調光デバイスVM1上の反射型の調光素子アレイ11の反射面10に照射される。この反射面10は、上記調光素子MU中の微小ミラー10aが二次元的に配列されたものである。各微小ミラー10aの反射面の大きさは、一例として5から20μm角程度とする。
調光素子アレイ11で調光された照明光IL3は、ビームスプリッタ9の分割面9aを透過し投影光学系13により集光され、半導体ウエハあるいはガラス基板等の被露光基板W上に照射される。このとき被露光基板W上には、上述の所望のパターン形状に対応して形成された調光素子アレイ11上の調光分布に対応する明暗分布、すなわち所望のパターン形状に対応する像が形成され、これが露光される。
各微小ミラー10aの反射面の向きは、形状信号処理系21より信号線Sigを通して制御回路機構12に伝達される形状信号に基づいて決定される。このとき微小ミラー10aの法線の向きがZ軸に平行であれば、照明光IL2はその微小ミラー10aで+Z方向に反射されるため、ビームスプリッタ9及び投影光学系13を経て被露光基板W上に投影される。
一方、微小ミラー10aの反射面が傾斜し、その法線の向きがZ軸からずれている場合には、照明光IL2はその微小ミラー10aによりZ方向、すなわち投影光学系13の光軸AX方向と異なる方向に反射され、投影光学系13に入射することなく、あるいは投影光学系13の不図示の開口絞り等により遮光されて、被露光基板W上に達することはない。これにより被露光基板W上には、調光素子アレイ11上の微小ミラー10aを含む各調光素子MUの変調状態に応じた照明強度分布が形成され、これが被露光基板W上に露光される。
被露光基板W上に形成される像の分解能は、調光素子アレイ11を構成する調光要素49に含まれる微小ミラー10aの大きさと投影光学系13の縮小倍率とその解像度で決まる。微小ミラー10aの大きさを20μm角とし、投影光学系13の縮小率が1/100倍のとき、被露光基板W上に形成される像の分解能は、上記ミラーのピッチ(ほぼ2つ分の大きさ)である40μmに縮小率を掛けた400nmとなることが期待される。ただし、これは投影光学系13の開口数(NA)や、光源の波長によっても制約を受ける。すなわち、光源の波長をλとするとき、投影光学系の解像度はほぼλ/NAで決まるため、被露光基板W上において上記400nmの解像度を得るためには、短波長の光源と大NAの投影光学系を使用する必要がある。
例えば光源として、波長193nmのArF(アルゴン・フッ素)エキシマレーザを使用する場合には、0.48程度以上の開口数を有する投影光学系することにより上記分解能を達成することができる。ただし、調光素子アレイ11上の調光素子MUの配列ピッチと投影光学系13の解像度は、等しく設定されるべき必要があるわけではなく、どちらかがより微細であっても構わない。
なお、可変成形マスクを用いる露光装置においても、いわゆる変形照明法を適用することは可能である。すなわち、調光素子アレイ11への照明光の入射角度特性を変更することにより投影光学系13の実質的な解像度を向上することができる。
そこで、本例の露光装置では、調光素子アレイ11に照射する照明光IL2の入射角度特性を変更可能とするために、上述の偏向素子4aを、例えばターレット式に複数個交換可能に配置し、被露光基板に露光すべきパターンの形状等に応じて、ターレット部材5を回転し、複数の偏向素子4a,4b等から最適な偏向素子4a等を選択して照明光光路に装填し、照明光に所望の偏向特性を与えるものとしている。
偏向素子4aの交換により、偏向素子4aを射出する照明光IL1の偏向特性が変わり、オプチカルインテグレータ7に入射する照明光IL1の光量分布が変更される。オプチカルインテグレータ7の射出面には、概ねこの光量分布を保った光量分布が形成され、照明光IL2は、この光量分布に基づく角度特性を持って調光素子アレイ11に照射され、これにより例えば輪帯照明等の変形照明が実現される。
なお、変形照明は、照明光IL2を複数の部分光束に分割し、それぞれの部分光束の調光素子アレイ11への入射角を変更するものであり、照明光IL2の全体としての調光素子アレイ11への入射角度を変更するものではない。これは、フォトマスクを使用する露光装置における変形照明と同様である。
被露光基板Wは例えば直径300mm程度の半導体ウエハであるのに対し、投影光学系13の露光視野は一般にそれよりかなり狭い。そこで、被露光基板Wの表面の全面にわたって所望のパターンを露光するためには、露光中に被露光基板Wを移動する必要がある。そこで、被露光基板Wは、基板ステージ14に載置され、不図示の駆動機構により定盤17上を図中X方向及びY方向に可動になっている。そして、その位置は基板ステージ14上に設置された移動鏡15の位置を介してレーザ干渉計16により計測され、ステージ制御系18に伝達される。
なお、図1には基板ステージ14のX方向の位置を計測するための移動鏡15及びレーザ干渉計16のみが表示されるが、Y方向の位置を計測するための移動鏡及びレーザ干渉計も設置されることは言うまでもない。
以下、本実施形態の露光装置及び露光方法における被露光基板Wへの露光動作について説明する。本実施形態の露光装置及び露光方法では、投影光学系13及び二次元調光デバイスVM1等に対して、被露光基板Wを相対走査(スキャン)しつつ、被露光基板Wへの露光を行なう。
はじめに、不図示の基板搬送機構により被露光基板Wを基板ステージ14上に装填する。そして、必要に応じて被露光基板W上に既存の回路パターンの位置を位置合せ顕微鏡19で計測する。
次に主制御系20は、基板ステージ制御系18を介して基板ステージ14を露光準備位置に移動させる。この露光準備位置は、被露光基板W上に露光すべきパターンの位置情報と、上記の位置合せ顕微鏡で計測した既存の回路パターンの位置とに基づいて主制御系20が決定する。
続いて、主制御系20は基板ステージ制御系18に指令を発し、基板ステージ14を−X方向に概ね一定の速度で走査(スキャン)させる。このときの基板ステージ14のX方向及びY方向の位置はレーザ干渉計16等により計測され、基板ステージ制御系18を介して主制御系20に伝達される。そして主制御系20及び基板ステージ制御系18は、この計測された位置情報に基づいて基板ステージ14を所定の速度に保って−X方向に走査させる。
一方、主制御系20は形状信号処理系21に指令を発し、形状信号処理系21に記憶されている被露光基板W上に露光すべきパターン形状に関する形状信号を、可変成形マスクVM1に伝送させる。形状信号は可変成形マスクとしての二次元調光デバイスVM1中の制御回路機構12に伝送され、上述の可変成形マスク(本発明の二次元調光デバイスVM1)の機能により、調光素子アレイ11上には、被露光基板W上に露光すべきパターンの形状に対応した調光分布が形成される。
ところで、上述の通り被露光基板Wは、概一定の速度で−X方向に走査されているので、調光素子アレイ11上に形成した調光分布を、所定の位置関係を保って被露光基板W上に露光するには、その調光分布も+X方向に走査する必要がある。ここで、X方向についての符号が反転するのは、投影光学系13として一般的な倒立像を形成する光学系を想定するためである。
本発明の二次元調光デバイスVM1には、上述の通り、調光素子アレイ11上に形成した調光分布を、XCCD(XC)の駆動により+X方向に移動する機能を有しているため、容易にこれを実現することができる。そして、主制御系20は、形状信号処理系21を介して二次元調光デバイスVM1に指令を送り、調光素子アレイ11上に形成した上記調光分布を、投影光学系13を介して被露光基板Wと結像関係を保ちながら+X方向に移動させる。
なお、上記調光分布のX方向への移動に際しては、上述の如く、それに応じて調光素子アレイ11のX方向の一方の端に、順次新たなパターンに対応する調光分布を形成していく必要がある。そのために、可変成形マスクとしての二次元調光デバイスVM1中の制御回路機構12中の上述の信号処理系121は、上述の通りYCCD(LC,RC)を介してXCCD(XC)上のX方向端に配列される信号保持要素BDに新たな調光信号を供給する。また、必要に応じて、形状信号処理系21は、新たなパターンに対応する形状信号を、制御回路機構12中の信号処理系121に供給する。
なお、投影光学系13が正立像を形成する光学系の場合には、被露光基板Wの走査方向と調光素子アレイ11上の調光分布の走査方向が同符号になる場合もあり、また反射屈折光学系である場合には、被露光基板Wの走査方向と調光素子アレイ11上の調光分布の走査方向が平行にならない場合もある。この場合にも、二次元調光デバイスVM1の設置方向や基板ステージ14の設置方向を適宜変更して、上記と同様に、基板ステージ14の走査方向を、すなわち被露光基板Wの走査方向を、調光素子アレイ11上の調光分布の走査方向である第1の方向が投影光学系13を介して被露光基板W上に投影された方向に一致させるように構成すれば良いことは言うまでもない。
主制御系20は、レーザ干渉計16等による位置情報に基づき、基板ステージ14が所定位置に達した段階で光源1に対して発光指令を発する。この結果、光源1からの照明光IL0の発光が開始され、調光素子アレイ11上に照明光IL2が照射される。そして、所望のパターン形状に対応した調光分布が与えられた反射光IL3は、投影光学系13を介して被露光基板W上に照射され、被露光基板W上に上記所望形状のパターンが露光される。
また、主制御系20は、基板ステージ14が別の所定位置に達したときには、光源1に対して発光中止指令を発し、露光を中断する。その後、基板ステージ14をY方向に、あるいはさらにX方向に駆動して別の露光準備位置に移動させ、上記露光動作を繰り返して被露光基板W上の必要な箇所への露光を行なう。
これにより、被露光基板Wへの露光動作が完了する。そして、被露光基板Wを不図示の基板搬送機構により基板ステージ14から除去し、露光装置外へ搬出する。
なお、引き続き別の被露光基板(不図示)を露光する場合には、基板搬送機構により別の被露光基板を基板ステージ14上に装填して、上記と同様の露光動作を繰り返す。
なお、上記各走査露光は、基板ステージ14を常に同一の向き(例えば+X方向)に走査しつつ行なうことも可能であるが、一般には、基板ステージ14を交互に+X方向及び−X方向に走査しつつ行なう方が処理能力が向上する。
本発明の露光装置の可変成形マスクである二次元調光デバイスVM1は、上述の如く調光素子アレイ11上に形成した調光分布を、+X方向と−X方向の双方に移動可能な構成とすることができるので、走査方向を交互に変更しつつ行なう走査露光も容易に実現することができる。
なお、従来提案されている可変成形マスクも、例えば回転可能な微小ミラーが二次元的に配列されたミラーアレイからなるものである。そして、各微小ミラーの回転角度は、それぞれに対応して形成されるコンデンサーまたはメモリー素子等の記憶素子に保持された電気信号に応じて決定される構成となっている。
しかし、従来の可変成形マスクは、本発明の特徴である信号転送機構を有していない。
従って、上記各微小ミラーに対応する記憶素子に記憶された信号を、その二次元的な分布形状を保ったまま、それぞれ隣接する記憶素子に転送することができない。そのため、ミラーアレイ上の調光分布を1方向に僅かに移動する場合であっても、ミラーアレイを構成するすべての微小ミラーに対応する記憶素子の全てに、再度、全信号を書き込む必要がある。このため従来の可変成形マスクでは、ミラーアレイ上の調光分布の移動要する時間が比較的長く、それにより露光装置としての処理能力も制限されることになる。
一方、本発明の露光装置においては、信号転送機構(XCCD(XC))により、XCCD上に二次元に配列された信号保持要素BDに保持された調光信号を、X方向に高速に移動することが可能であり、これにより調光素子アレイ11上に形成した調光分布を、X方向に高速に移動することが可能である。このため、調光素子アレイ11上の調光分布の移動要する時間が短く、それにより露光装置としての処理能力を大幅に向上することができる。
なお、上述の二次元調光デバイスVM1では、信号転送機構(XCCD(XC))中のX方向端部に配列する信号保持要素BDの一列に調光信号を供給する信号供給機構は左右のYCCD(LC,RC)とし、YCCD(LC,RC)への調光信号の供給は信号線S1またはS2を介してシリアルに(直列的に)供給するものとした。しかし、信号供給機構を信号処理系121とXCCD(XC)中の左右方向の端部に配列する各信号保持要素BDとを結ぶ多数本の信号線から構成し、上記信号保持要素BDの一列にパラレルに(並列的に)調光信号を供給する構成とすることもできる。これにより、XCCD(XC)への信号の供給を一層高速化することができ、調光素子アレイ11上の調光分布の移動に要する時間を一層短くし、露光装置としての処理能力をさらに向上することもできる。
ところで、以上の実施形態においては、基板ステージ14のX方向位置と調光素子アレイ11上の調光分布のX方向位置は、それぞれ独立して位置制御するものとしたが、基板ステージ14のX方向位置に同期して調光素子アレイ11上の調光分布のX方向位置を移動させる構成とすることもできる。例えば、基板ステージ14のX方向位置を計測するレーザ干渉計16の出力信号に基づき、その計測値の所定量の変動に同期して、二次元調光デバイスVM1中のXCCD(XC)を駆動する構成とすることにより、これを実現することができる。
また、光源1がエキシマレーザ等のパルス発光型の光源である場合には、そのパルス発光時において、調光素子アレイ11上の各微小ミラー10aの傾き角が所定の角度に設定された状態である必要がある。上記傾き角の変更中の状態においてパルス発光が行なわれると、所望のパターンとは異なる明暗形状分布が被露光基板W上に露光されることになり、形成される像を劣化させるためである。
そこで、XCCD(XC)を駆動するタイミングは、パルス発光型の光源1の発光タイミングに同期して行なうことが望ましい。すなわち、パルス発光型の光源1が発光された後に、これに同期してXCCD(XC)を駆動し、次のパルス発光までの間に信号の転送及び各微小ミラー10aの傾き角の変更を完了させ、その後に再度パルス発光型の光源1の発光を行なうようにすれば良い。
このときのXCCD(XC)の駆動は、パルス発光毎に1サイクルの駆動するのみ、すなわち信号保持要素BDに保持された信号をX方向に隣接する信号保持要素BDに1列分だけの転送にのみ限られるわけではない。従って、各パルス発光の間にXCCD(XC)の複数サイクルの駆動を行ない、各信号保持要素BDに保持された信号を、X方向に沿って複数列離れた信号保持要素BDに転送することができる。
これにより、パルス発光の繰り返しレートの遅いパルス発光光源を使用しても、調光素子アレイ11上の調光分布のX方向移動速度を高速化することができ、露光装置の処理能力を維持及び向上することが可能になる。
なお、現在のリソグラフィ技術において主流であるフォトマスクを用いた微細パターン露光技術においては、そのフォトマスクとして、透過光の位相(光路長)を部分的に変更するいわゆる位相シフトマスクを用いて解像度を向上する方法が一部採用されている。
本発明の二次元調光デバイスVM1も、このような位相シフト作用を有するマスクとすることができる。このためには、図4に示した調光素子MUにおいて、微小ミラー10aを上下方向(Z方向)に可動となるように構成すれば良い。微小ミラー10aを反射した照明光には、微小ミラー10aのZ方向への移動量の2倍の光路差が形成されるので、これにより、二次元調光デバイスVM1に位相シフトマスクとしての機能を持たせることができる。
微小ミラー10aをZ方向に駆動するためには、具体的には、例えば図4に示した調光要素49において微小ミラー10aを支持する支持部材31を導通線34上に形成し、導通線34近傍のベース板32に開口部を形成しておく。これにより、導通線34の可撓性により微小ミラー10aを上下させることができる。さらに、駆動電極33a,33bを一体的に導通して形成し、一方、接続電極39,40,41のうち少なくとも一つを高抵抗材料で形成する。
そして、電源電位として正または負の電位を供給し、接地電位として0電位を供給すると、制御トランジスタ43の導通により微小ミラー10a及び駆動電極33a,33bには正または負の電荷が蓄積され相互に斥力が生じるため、微小ミラー10aは上方に移動する。一方、制御トランジスタ43の非導通により微小ミラー10a及び駆動電極33a,33bは0電位となり電荷は蓄積されず斥力も生じない。このため、導通線34の弾性により微小ミラー10aは元に位置に戻る。従って、微小ミラー10aを上下動作させることができる。
なお、フォトマスクを用いた微細パターン露光技術においては、位相シフトマスクの一形態として、マスク上の所定のパターンについて、そのパターンからの透過光の位相を他のパターンからの透過光と反転せしめるのみでなく、その透過率を低減するいわゆるハーフトーン位相シフトマスクも使用されており、これにより解像度の向上等の効果が得られている。上記の本発明の露光装置及び露光方法においても、例えば以下の如き方法により、このハーフトーン位相シフトマスクと原理的に同等な構成を実現し、同様な効果を得ることが可能である。
この方法は、一例として、上記の変形例の如く微小ミラー10aがZ方向に上下動する構成の二次元調光デバイスVM1を使用し、かつ、複数の調光素子MUの組み合わせを一つの調光素子とみなして調光を行なうものとする。これは、例えば、隣接する4個の調光素子MUを一つの調光素子とみなし、そのうち3個の調光素子MU中の上記微小ミラー10aをZ方向の上方位置に配置し、残る1つを元に位置(すなわちZ方向の下方位置)に配置させるものである。そして、それらのZ方向位置の差は、反射する光束の波長の1/4に設定する。
このとき、Z方向の下方位置に配置された微小ミラー10aによる反射光束の振幅反射率を+1(基準)とすると、Z方向の上方位置に配置された微小ミラー10aによる反射光束の振幅反射率は−1となる。この結果、両光束は干渉により相殺するが、ミラーの数の多い振幅反射率−1の光束は残存し、4個の調光素子MUは全体として−2の負の振幅反射率を有することになる。
一方、その他の部分では隣接する4個の調光素子MUを構成する各微小ミラー10aをいずれもZ方向下方に配置させるものとすれば、これらのミラーからの振幅反射率の和は+4であるから、上記の各微小ミラー10aがZ方向の上方位置及び下方位置に配置された状態での反射光は、その他の部分からの反射光に対し、光量が低減しかつ位相が反転した光束を形成することとなり、ハーフトーン位相シフトマスクを形成可能である。
なお、この場合調光素子アレイ11上の調光素子MUの配列のピッチは、隣接する複数個の調光素子MU間の調光状態の変化が、被露光基板Wに露光されないように、投影光学系13の解像度に対して十分に小さく、具体的にはその解像度の半分程度以下に設定する必要がある。
ところで、上記の本発明の露光装置の第1の実施形態及び露光方法の第1の実施形態においては、可変成形マスクである二次元調光デバイスVM1を構成する各調光素子MU中の微小ミラー10aの法線の向きがZ軸と平行であるときに、その反射光が投影光学系13を経由して被露光基板13上に露光されるものとした。この構成では、微小ミラー10aへの照明光IL2と、微小ミラー10aを反射して被露光基板Wに照射される照明光IL2とが空間的には分離されないため、両光束の分離のためにビームスプリッタ9を必要とした。
そこで、以下の本発明の露光装置の第2の実施形態及び露光方法の第2の実施形態として、可変成形マスクである微小ミラー10aを備えた二次元調光デバイスVM1への照明光IL2を所定の角度傾けた例を図7を用いて説明する。
なお、本発明の露光装置の第2の実施形態は、図6中の本発明の露光装置の第1の実施形態と概ね共通しており、図7には変更箇所のみを示してある。
図7において、リレーレンズ8を射出した照明光IL4は、傾斜ミラー9bで反射して照明光IL5となり、投影光学系13の光軸AXに対し、全体として所定の傾き角をもって可変成形マスクである二次元調光デバイスVM1に照射される。従って、二次元調光デバイスVM1上の微小ミラー10aの反射面の法線方向がZ軸に平行であると、その反射光は破線で示した反射光IL7となって反射し、投影光学系13に入射しない。
一方、微小ミラー10aの反射面の法線方向がZ軸に対して、所定の角度傾いている場合には、その反射光IL6は概ねZ軸と平行な方向に反射し、投影光学系13に入射し被露光基板Wに達する。
従って、第2の実施形態による露光装置においては、二次元調光デバイスVM1への入射光束IL5と被露光基板Wに達する反射光束IL6との空間的な分離が可能であり、ビームスプリッタ9が不要になるという利点がある。
なお、本実施形態においても、上述の変形照明を併用することができる。この場合、図6中に示したのと同じ偏光素子4a等で分割された部分照明光は、それぞれ異なる入射角度で二次元調光デバイスVM1に入射するが、本実施形態では、各部分照明光は全体としても上記所定の傾き角をもって二次元調光デバイスVM1に入射する。
ところで、従来のフォトマスクを用いる露光方法においては、特に変形照明を採用する場合に、フォトマスク上のパターンの形状が部分的に変形して被露光基板上に露光転写されるという課題があり、これを解決するためにフォトマスク上に形成する原版パターンの形状を上記変形を見込んで予め補正しておく方法(いわゆるOPC:光学的近接効果補正)が採用されている。
本発明の露光装置及び露光方法においても、特に変形照明使用時に、二次元調光デバイスVM1上に形成する調光分布の形状が、部分的に変形されて被露光基板W上に露光される場合には、可変成形マスクVM1上に形成する調光分布を、所望のパターンの形状からその変形分を考慮して補正した形状とすることができる。
この補正は、例えば被露光基板W上に露光すべき所望のパターンの形状に基づくデータ(図5(A)に示した二次元調光データSDの如きデータ)に基づいて、形状信号処理系21にて行なうこともでき、あるいは、二次元調光デバイスVM1内の制御回路機構12にて行なうこともできる。また、この補正は、予め露光装置外のデータ処理装置にて行なうものとし、露光装置内ではこのような補正を行なわないものとすることもできる。
なお、フォトマスクを用いる露光方法においては、投影光学系と被露光基板の間に液体を満たし、被露光基板に入射する露光光(照明光)の波長を、その液体の屈折率分だけ縮小することにより、その解像度を向上する方法であるいわゆる液浸露光方法も提案されている。この液浸露光方法は、本発明の露光装置および露光方法に対しても適用可能であり、すなわち、例えば被露光基板W及び基板ステージ14と投影光学系13との間に局所的に純水等の液体を供給し、あるいはさらに強制除去することにより液浸露光方法を実現できる。
ところで、本発明の二次元調光デバイスは、上述の反射型に限られるわけではなく、透過型の構成とすることもできる。以下、図8、図9を用いて透過型の二次元調光デバイスの実施形態(本発明の二次元調光デバイスの第2の実施形態)について説明する。
図8(A)は、二次元調光デバイスVM2の一部を表わす図であって、これを構成する図中破線で示した調光素子MU2がX方向に3列、Y方向に3列配列された部分を拡大して表わした図である。また、図8(B)は、調光素子MU2の中央部を通る図8(A)中の線分A−A’における二次元調光デバイスVM2の断面図を、図8(C)は、調光素子MU2の端部を通る図8(A)中の線分B−B’における二次元調光デバイスVM2の断面図を表わす。
二次元調光デバイスVM2を構成する透過基板62は、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等のバンドギャップ(禁制帯幅)が大きく紫外線に対する透過率が良好な金属酸化物や金属フッ化物及び金属窒化物あるいはそれらの混合からなる半導体材料からなるものである。半導体材料が吸収する光の最長波長(吸収端波長)は、その半導体のバンドギャップにより決まる。すなわち、透過基板62のバンドギャップを、二次元調光デバイスVM2において使用が想定される光(以下「対象光」と呼ぶ)の1光子あたりのエネルギーよりも大きくすることで、対象光に対して透過基板62を透過性とすることができる。
透過基板62を構成する半導体材料は、そのバンドギャップが二次元調光デバイスVM2の対象光の波長のエネルギーに対して僅かに大きな値となるように設定する。例えば、対象光の波長が193nmの紫外光であれば、その1光子のエネルギーは6.42[eV]であるため、透過基板62を構成する材料のバンドギャップは、6.43から6.6[eV]程度になるようにすれば良く、これは例えば酸化マグネシウムと酸化亜鉛の混合により実現できる。
透過基板62の表面には、各調光素子MU2のそれぞれに対応して、対象光に対し透過性を有する制御電極L22,L23,L24,L32,L33,L34,L42,L43,L44が形成され、それ以外の部分には遮光性及び絶縁性を有する遮光膜63を形成する。一方、透過基板62の裏面には、対象光に対し透過性を有する一様な対向電極64を形成する。
このとき、制御電極L22〜L44と対向電極64との間に所定の電位差を印加すると、フランツ‐ケルディシュ(Franz−Keldysh)効果により、透過基板62を構成する半導体材料の吸収端波長を長波長側にシフトさせ、対象光に対する吸収特性を持たせることができる。本第2実施形態の二次元調光デバイスVM2は、この効果を利用して各調光素子MU2の透過率や位相(以下まとめて「振幅透過率」という)を制御して調光機能を実現するものである。
透過基板62の表面の上記遮光膜63上には、制御電極L22〜L44に所定の電位を印加するための信号配線等を形成する。ここで、制御電極L22〜L44を含む各調光素子MU2等への調光信号の伝達は、本実施形態の二次元調光デバイスVM2においても、上記第1の実施形態と同様にCCDデバイスを使用するものとする。
すなわち、各制御電極L22〜L44の配列のY方向の間隔部の遮光膜63上には、調光信号を保持し、かつX方向に伝送するためのX伝送路U2,U3,U4,U5を形成する。これは、遮光膜63上にシリコン等の半導体膜を成膜し、あるいはさらにそれをアニール(熱処理)等により多結晶化あるいは単結晶化して形成する。そして、その上にY方向に概ね平行に第1相X転送電極R2,R3,R4、第2相X転送電極S2,S3,S4及び第3相X転送電極T1,T2,T3,T4を形成する。
これらにより、各伝送路U2〜5上に、電荷をX方向に転送するCCD(XCCD)が形成され、第1相、第2相、第3相のX転送電極R2〜4,S2〜4,T1〜4の各電極に3相のXクロック信号を順次印加することにより、各伝送路U2〜5上の各X転送電極R2〜4,S2〜4,T1〜4の直下に保持される電荷をX方向に転送することが可能となる。
なお、本第2の実施形態においても、X伝送路D3中の第2相X転送電極S2〜4の直下に相当する部分を、以下「信号保持要素」と呼ぶ。これは、図3(C)中の信号保持要素BD2,BD3,BD4に相当する部分である。本実施形態においても第2相X転送電極S2〜4上の、それらがX伝送路U2〜5と交差する位置の中央に開口部71,72,73,74,75,76,77,78,79が設けられ、X伝送路U2〜5上であって第2相X転送電極S2〜4の直下にあたる信号保持要素に保持された電荷である調光信号は、開口部71〜79を介して読み出される。なお、図8(C)中の電極S2c,S2d、電極S3c,S3d、電極S4c,S4dは、それぞれ第2相X転送電極S2〜4の中の、開口74,75,76の両端に位置する部分を表わす。
開口部71〜79の上方(+Z方向)には、信号保持要素からの信号を読み取り、これを増幅して制御電極L22〜44に印加するための増幅機構が設けられる。図8では、複雑化を避けるためこの増幅機構を省略したが、以下、図9を用いてこれを説明する。
はじめに、開口部75の位置に接続プラグを形成する。この接続プラグの下端は、信号保持要素BD3(図8(C)参照)に直接または絶縁膜を介して接続され、接続プラグの上端部にはシリコン酸化膜等の絶縁膜を形成する。そして、ポリシリコン等からな制御トランジスタ85,86、電源電極83及び接地電極84を形成する。なお、これらの機能は、上述の第1の実施形態における、それらに該当する各部材の機能と同様である。制御トランジスタ85,86の一端部85は電源電極83に接続され、他端部86は別途形成する高抵抗部材88を介して接地電極84に接続される。また、制御トランジスタ85,86の他端部86には、局所配線87が接続され、局所配線87の他方の端は制御電極L33に接続される。
これにより、制御電極L33に印加される電位を、接続プラグ直下の信号保持要素BD3に保持された電荷(調光信号)に応じて変化させることができる。すなわち、二次元に配列された各調光素子MU2の振幅透過率を、信号保持要素BD3に保持された調光信号に応じて変化させることができる。
この場合においては、調光要素の一つは、不図示の接続プラグ、制御トランジスタ85,86、高抵抗部材88、局所配線87、制御電極L33、及び対向電極64のうちこれに対向する部分、並びに制御電極L33と対向電極64の当該部分に挟まれた透過基板62の一部等の部材によって構成される。そして、調光素子MU2の一つは、上記調光要素の一つと信号保持要素BD3によって構成されることになる。
調光素子MU2は、透過基板62上に二次元的に配列されて調光素子アレイを構成する。そして、信号保持要素BD3も二次元的に配列されるとともに、信号転送機構として機能する上述のXCCDにより、各信号保持要素BD3に保持される電荷(調光信号)を、それぞれの信号保持要素BD3にX方向に隣接する信号保持要素BD2,BD4に、順次転送することが可能である。
なお、本第2の実施形態の二次元調光デバイスVM2においても、調光素子MU2及びX方向への信号転送機構以外の機構以外の構成については、第1の実施形態の二次元調光デバイスVM1と同様に構成できる。すなわち、本第2の実施形態の二次元調光デバイスVM2においても、その制御回路機構は、図2に示した制御回路機構12と同様に、調光素子MU2により構成される調光素子アレイの両端に信号供給機構として左YCCD(LC)及び右YCCD(RC)を設け、図2と同様な信号処理系121を設けることで構成することができる。
続いて、この第2の実施形態の透過型の二次元調光デバイスVM2を用いる、本発明の第3の実施形態の露光装置及び第3の実施形態の露光方法について、図10を用いて説明する。本形態の露光装置も、いわゆる走査型のマスクレス露光装置である。なお、第1の実施形態を示した図6中に示したものと同じ符号を付した部材は、第1の実施形態で示したものと同様な部材であるため、その説明を省略する。
図10においてリレーレンズ8を射出した照明光IL8は、ミラー60で反射して照明光IL9となり、上述の透過型の二次元調光デバイスVM2に入射する。二次元調光デバイスVM2が形成する振幅透過率分布により変調された照明光IL10は、投影光学系13を介して被露光基板Wに照射され、これにより被露光基板W上に二次元調光デバイスVM2により形成された所望の強度分布を持った照明光が露光される。
本例においても、二次元調光デバイスVM2上の各調光素子MU2の大きさは一例として5から20μm角程度であり、照明光IL8等の波長や投影光学系13の開口数は、第1の実施形態の露光装置と同様である。また、被露光基板Wへの露光動作についても、第1の実施形態の露光装置及び第1の実施形態の露光方法と同様であり、二次元調光デバイスVM2上の調光素子アレイに形成する調光分布(振幅透過率分布)を、図中+X方向および−X方向の少なくとも一方に走査しつつ、基板ステージ14を、その走査方向が投影光学系13を介して被露光基板Wの投影される方向に走査しつつ行なう。形状信号処理系21は、当該走査露光に際し、被露光基板W上に露光すべきパターンの形状を二次元調光デバイスVM2に伝達する。
次に、本発明の露光装置及び露光方法を用いたデバイス製造方法について図11を用いて説明する。
図11(A)は、集積回路の一部等のパターン91が形成された状態の半導体ウエハ等の被露光基板Wを表わす断面図であり、被露光基板W上のパターン91以外の部分にはシリコン酸化膜等の絶縁膜が形成されている。
そして、それらの上層にさらにシリコン酸化膜からなる絶縁膜等の被加工膜92をCVD法(化学蒸着法)等で形成(成膜)し、被加工膜92のさらに上層にフォトレジスト(感光材料)93をスピンコート等で形成する。
この状態の被露光基板Wを本発明の露光装置に装填し、上記露光により所望のパターン形状を露光する。この露光に際しては、被露光基板Wに既存の回路パターン91の位置を位置合せ顕微鏡19で計測し、既存のパターン91と所定の位置関係を保って所望のパターンを露光する。
この露光後に、被露光基板W上のフォトレジスト93を現像することにより、フォトレジスト93は、図11(B)に示す通り、上記所望のパターンが露光された部分に対応したレジストパターン93pに加工される。フォトレジスト93としては、露光された部分が除去されるポジ型と露光されなかった部分が除去されるネガ型の、いずれを用いても良い。
続いて、レジストパターン93pをエッチングマスクとして、被加工層92をエッチングし、図11(C)に示す通り、被加工層92をレジストパターン93pの形状に倣ってパターン92pに加工する。その後、レジストパターン93pを溶剤または光化学反応等により除去し、被加工層92の所望のパターン92pへ加工(パターニング工程)が完了する。
高集積かつ高機能なデバイスにおいては、上記の成膜及びパターニング工程を繰り返すことにより形成される。このとき、被加工層92は、上記の例の絶縁膜に限るものではなく、金属や半導体等の導電層である場合もあることは言うまでもない。また、加工すべき層は、被露光基板W上に形成された膜には限定されず、被露光基板Wそのものを所定の形状に加工する工程を含めることもできる。
なお、本発明の露光方法は、デバイスの製造に利用可能なのみではなく、フォトマスクの製造にも使用できる。
このように、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。また、明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約を含む2004年2月25日付け提出の日本国特願2004−048984の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。
本発明の二次元調光デバイスによれば、入力された形状信号に基づいて、それを構成する調光素子アレイ上に二次元の調光分布を形成できるとともに、その分布を一方向に高速に移動することができる。これにより、例えば走査型のマスクレス露光装置の可変成形マスクとして使用した場合に、その調光分布を当該露光装置の走査法に高速に移動することができ、露光装置の処理能力を高めることができる。
また、本発明の露光装置によれば、走査型のマスクレス露光装置において、本発明の二次元調光デバイスを可変成形マスクとして用いることにより、可変成形マスク上に形成される調光分布を一方向に高速に移動させることが可能となる。従って、露光装置の処理能力を高めることができ、半導体集積回路等のデバイスの生産性を向上することができる。
また、本発明の露光方法によれば、本発明の二次元調光デバイスを可変成形マスクとして用いることにより、可変成形マスク上に形成される調光分布を一方向に高速に移動させることが可能となる。従って、露光装置の処理能力を高めることができ、半導体集積回路等のデバイスの生産性を向上することができる。
さらに、本発明のデバイス製造方法によれば、本発明による上記の高生産性の露光方法によりデバイスを製造するため、デバイスの生産性を向上できデバイスの生産コストを削減することが可能となる。さらに、マスクレス露光方法の特徴であるマスクコストの削減効果と相俟って、デバイスの生産コストを一層削減することが可能となる。

Claims (32)

  1. 調光信号を保持する信号保持要素と照射される光束を前記調光信号に基づいて調光する調光要素とからなる調光素子が二次元に配列された調光素子アレイと、
    前記調光素子中の信号保持要素に保持された前記調光信号を、第1の方向に沿って隣接する前記調光素子中の信号保持要素に順次信号転送する信号転送機構と、
    前記第1の方向の少なくとも一方の端に配列される前記調光素子中の信号保持要素に、前記調光信号を供給する信号供給機構を有することを特徴とする二次元調光デバイス。
  2. 前記調光素子アレイを構成する前記調光素子の前記二次元の配列は、前記第1の方向に平行な座標軸と前記第1の方向に垂直な座標軸とにより定まる直交座標系上における直方格子の格子点上に配列されることを特徴とする請求項1に記載の二次元調光デバイス。
  3. 前記信号転送機構は、電荷結合素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次元調光デバイス。
  4. 前記信号供給機構は、電荷結合素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次元調光デバイス。
  5. 前記信号転送機構と前記調光素子アレイとが、積層された構造であることを特徴とする請求項1に記載の二次元調光デバイス。
  6. 前記調光は前記調光要素の振幅透過率の変更であることを特徴とする請求項1に記載の二次元調光デバイス。
  7. 前記調光要素はミラーを含み、前記調光は前記照射される光束を所定方向に反射する効率の変更であることを特徴とする請求項1に記載の二次元調光デバイス。
  8. 前記効率の変更は、前記ミラーの反射面の傾き角を変更して行なうことを特徴とする請求項7に記載の二次元調光デバイス。
  9. 前記調光は、前記ミラーによる反射光の位相を変化させるものであることを特徴とする請求項7に記載の二次元調光デバイス。
  10. 調光信号を保持する信号保持要素と照射される光束を前記調光信号に基づいて調光する調光要素とからなる調光素子が二次元に配列された調光素子アレイと、
    前記調光素子中の信号保持要素に保持された前記調光信号を、第1の方向に沿って隣接する前記調光素子中の信号保持要素に順次信号転送する信号転送機構と、
    前記第1の方向の少なくとも一方の端に配列される前記調光素子中の信号保持要素に、前記調光信号を供給する信号供給機構を有するとともに、
    前記調光要素はミラーを含み、前記調光は前記照射される光束を所定方向に反射する効率を、前記ミラーの反射面の傾き角を変更して行なうことを特徴とする二次元調光デバイス。
  11. 前記調光素子アレイを構成する前記調光素子の前記二次元の配列は、前記第1の方向に平行な座標軸と前記第1の方向に垂直な座標軸とにより定まる直交座標系上における直方格子の格子点上に配列されることを特徴とする請求項10に記載の二次元調光デバイス。
  12. 前記信号転送機構は、電荷結合素子を含むことを特徴とする請求項10に記載の二次元調光デバイス。
  13. 前記信号供給機構は、電荷結合素子を含むことを特徴とする請求項10に記載の二次元調光デバイス。
  14. 前記信号転送機構と前記調光素子アレイとが、積層された構造であることを特徴とする請求項10に記載の二次元調光デバイス。
  15. 被露光基板上に所望のパターンを露光するための露光装置であって、
    請求項1から14のいずれか一項に記載の二次元調光デバイスと、
    前記二次元調光デバイスに前記調光信号を供給する形状信号処理系と、
    光源からの照明光を前記二次元調光デバイスに照射する照明光学系と、
    前記二次元調光デバイスで調光された照明光を前記被露光基板上に導く投影光学系と、
    前記被露光基板を保持し、前記第1の方向が前記投影光学系により前記被露光基板上に投影された方向である第2の方向に走査可能な基板ステージとを備えることを特徴とする露光装置。
  16. 前記基板ステージの前記第2の方向の位置の変化に同期して、前記二次元調光デバイスの前記信号転送を行なうことを特徴とする請求項15に記載の露光装置。
  17. 前記光源はパルス発光型の光源であり、かつ前記パルス発光に同期して前記二次元調光デバイスの前記信号転送を行なうことを特徴とする請求項15に記載の露光装置。
  18. 被露光基板上に所望のパターンを露光するための露光装置であって、
    請求項7から14のいずれか一項に記載の二次元調光デバイスと、
    前記二次元調光デバイスに前記調光信号を供給する形状信号処理系と、
    光源からの照明光を前記二次元調光デバイスに照射する照明光学系と、
    前記二次元調光デバイスで調光された照明光を前記被露光基板上に導く投影光学系と、
    前記被露光基板を保持し、前記第1の方向が前記投影光学系により前記被露光基板上に投影された方向である第2の方向に走査可能な基板ステージとを備えるとともに、
    前記照明光学系は、前記投影光学系の光軸に対して前記照明光を全体として所定角度傾けて前記二次元調光デバイスに照射することを特徴とする露光装置。
  19. 前記基板ステージの前記第2の方向の位置の変化に同期して、前記二次元調光デバイスの前記信号転送を行なうことを特徴とする請求項18に記載の露光装置。
  20. 前記光源はパルス発光型の光源であり、かつ前記パルス発光に同期して前記二次元調光デバイスの前記信号転送を行なうことを特徴とする請求項18に記載の露光装置。
  21. 照明光を可変成形マスクに照射し、前記可変成形マスクで調光された前記照明光を投影光学系を介して被露光基板に照射する露光方法であって、
    前記可変成形マスクとして請求項1から14のいずれか一項に記載の二次元調光デバイスを用いるものであり、
    前記調光素子アレイ中の前記調光素子に所望のパターンに対応する調光信号を保持させることにより、前記調光素子アレイに前記所望のパターンに相当する調光分布を形成し、かつ前記調光素子中の信号保持要素に保持された前記調光信号を、前記信号転送機構により前記第1の方向に沿って隣接する前記調光素子中の信号保持要素に順次信号転送し、前記調光素子アレイに形成された前記調光分布を前記第1の方向に移動するとともに、
    前記被露光基板を、前記第1の方向が前記投影光学系により前記被露光基板上に投影された方向である第2の方向に沿って、前記投影光学系に対して相対的に移動させつつ露光を行なうことを特徴とする露光方法。
  22. 前記被露光基板の前記第2の方向への移動に同期して、前記信号転送を行なうことを特徴とする請求項21に記載の露光方法。
  23. 前記照明光はパルス発光型の光源から発せられるパルス光であり、
    前記パルス光の発光に同期して前記信号転送を行なうことを特徴とする請求項21に記載の露光方法。
  24. 照明光を可変成形マスクに照射し、前記可変成形マスクで調光された前記照明光を投影光学系を介して被露光基板に照射する露光方法であって、
    前記可変成形マスクとして請求項7から14のいずれか一項に記載の二次元調光デバイスを用いるものであり、
    前記調光素子アレイ中の前記調光素子に所望のパターンに対応する調光信号を保持させることにより、前記調光素子アレイに前記所望のパターンに相当する調光分布を形成し、かつ前記調光素子中の信号保持要素に保持された前記調光信号を、前記信号転送機構により前記第1の方向に沿って隣接する前記調光素子中の信号保持要素に順次信号転送し、前記調光素子アレイに形成された前記調光分布を前記第1の方向に移動し、
    前記被露光基板を、前記第1の方向が前記投影光学系により前記被露光基板上に投影された方向である第2の方向に沿って、前記投影光学系に対して相対的に移動させつつ露光を行なうとともに、
    前記二次元調光デバイスへの前記照明光の照射を、前記投影光学系の光軸に対して全体として所定角度傾けて行なうことを特徴とする露光方法。
  25. 前記被露光基板の前記第2の方向への移動に同期して、前記信号転送を行なうことを特徴とする請求項24に記載の露光方法。
  26. 前記照明光はパルス発光型の光源から発せられるパルス光であり、
    前記パルス光の発光に同期して前記信号転送を行なうことを特徴とする請求項24に記載の露光方法。
  27. 照明光を可変成形マスクに照射し、前記可変成形マスクで調光された前記照明光を投影光学系を介してデバイスを形成すべき被露光基板に照射する露光工程を含むデバイス製造方法であって、
    前記露光工程において、
    前記可変成形マスクとして請求項1から14のいずれか一項に記載の二次元調光デバイスを用い、
    前記調光素子アレイ中の前記調光素子に所望のパターンに対応する調光信号を保持させることにより、前記調光素子アレイに前記所望のパターンに相当する調光分布を形成し、かつ前記調光素子中の信号保持要素に保持された前記調光信号を、前記信号転送機構により前記第1の方向に沿って隣接する前記調光素子中の信号保持要素に順次信号転送し、前記調光素子アレイに形成された前記調光分布を前記第1の方向に移動するとともに、
    前記被露光基板を、前記第1の方向が前記投影光学系により前記被露光基板上に投影された方向である第2の方向に沿って、前記投影光学系に対して相対的に移動させつつ露光を行なうことを特徴とするデバイス製造方法。
  28. 前記被露光基板の前記第2の方向への移動に同期して、前記信号転送を行なうことを特徴とする請求項27に記載のデバイス製造方法。
  29. 前記照明光はパルス発光型の光源から発せられるパルス光であり、
    前記パルス光の発光に同期して前記信号転送を行なうことを特徴とする請求項27に記載のデバイス製造方法。
  30. 照明光を可変成形マスクに照射し、前記可変成形マスクで調光された前記照明光を投影光学系を介してデバイスを形成すべき被露光基板に照射する露光工程を含むデバイス製造方法であって、
    前記露光工程において、
    前記可変成形マスクとして請求項7から14のいずれか一項に記載の二次元調光デバイスを用い、
    前記調光素子アレイ中の前記調光素子に所望のパターンに対応する調光信号を保持させることにより、前記調光素子アレイに前記所望のパターンに相当する調光分布を形成し、かつ前記調光素子中の信号保持要素に保持された前記調光信号を、前記信号転送機構により前記第1の方向に沿って隣接する前記調光素子中の信号保持要素に順次信号転送し、前記調光素子アレイに形成された前記調光分布を前記第1の方向に移動し、
    前記被露光基板を、前記第1の方向が前記投影光学系により前記被露光基板上に投影された方向である第2の方向に沿って、前記投影光学系に対して相対的に移動させつつ露光を行なうとともに、
    前記二次元調光デバイスへの前記照明光の照射を、前記投影光学系の光軸に対して全体として所定角度傾けて行なうことを特徴とするデバイス製造方法。
  31. 前記被露光基板の前記第2の方向への移動に同期して、前記信号転送を行なうことを特徴とする請求項30に記載のデバイス製造方法。
  32. 前記照明光はパルス発光型の光源から発せられるパルス光であり、
    前記パルス光の発光に同期して前記信号転送を行なうことを特徴とする請求項30に記載のデバイス製造方法。
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