JPWO2005042742A1 - サルnpyy4受容体及び化合物の評価方法 - Google Patents

サルnpyy4受容体及び化合物の評価方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2005042742A1
JPWO2005042742A1 JP2005515200A JP2005515200A JPWO2005042742A1 JP WO2005042742 A1 JPWO2005042742 A1 JP WO2005042742A1 JP 2005515200 A JP2005515200 A JP 2005515200A JP 2005515200 A JP2005515200 A JP 2005515200A JP WO2005042742 A1 JPWO2005042742 A1 JP WO2005042742A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
receptor
npy
seq
monkey
nucleic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005515200A
Other languages
English (en)
Inventor
佐野 秀樹
秀樹 佐野
岩浅 央
央 岩浅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MSD KK
Original Assignee
Banyu Phamaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Banyu Phamaceutical Co Ltd filed Critical Banyu Phamaceutical Co Ltd
Publication of JPWO2005042742A1 publication Critical patent/JPWO2005042742A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • C07K14/70571Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants for neuromediators, e.g. serotonin receptor, dopamine receptor

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

配列番号1又は3に記載の核酸、配列番号2又は4に記載のタンパク質、前記核酸からなる遺伝子を含む組換えベクター、当該組換えベクターを含む形質転換細胞を用いることにより、ヒト以外の霊長類のNPY Y4遺伝子等が提供され、また、NPY Y4受容体に作用する化合物の評価やスクリーニングが可能となる。

Description

本発明は、新規サル神経ペプチドY(Neuropeptide−Y:以下、NPYと称する)Y4受容体遺伝子、タンパク質、前記遺伝子を含有する組換えベクター、前記組換えベクターを含む形質転換細胞及び前記遺伝子又はタンパク質を用いた化合物の評価方法に関する。
NPYは36アミノ酸からなるペプチドであり、1982年、立元らにより豚脳より単離された(非特許文献1)。NPYは中枢神経系及び末梢神経系に広く分布し、神経系における最も多量に存在するペプチドの一つとして、生体において多様な機能を司っている。
すなわち、NPYは中枢において食欲促進物質として働くとともに、各種ホルモンの分泌又は神経系の作用を介して脂肪蓄積を顕著に促進する。例えば、NPYの脳室内連続投与はこれらの作用に基づき、肥満及びインスリン抵抗性を誘発することが知られている。また、NPYは、うつ病、不安、精神***、痛み、痴呆及び概日リズムの調節などの中枢作用を持つことが知られている。さらに、NPYは、末梢において、交感神経終末にノルエピネフリンと共存し、交感神経系の緊張性と関係している。NPYの末梢投与は血管収縮を引き起こし、またノルエピネフリンを初めとする他の血管収縮物質の作用を増強することが知られている。
NPYは、その類縁体であるペプチドYY(Peptide−YY:以下、PYYと称する)及びパンクレアティック・ポリペプチド(Pancreatic Polypeptide:以下、PPと称する)と一部共通の受容体を介して、多種多様な薬理作用を有する。これらNPYによる薬理作用はNPY Y1からY5といった、少なくとも5種類の受容体の単独あるいは相互作用を介して惹起されることが知られている(非特許文献2)。なかでも、NPY Y4受容体は、PPとの親和性が高く、特に、顕著な薬理作用としては、膵外分泌及び消化管運動の抑制が報告されている(非特許文献3)。また、中枢においては、性ホルモンの分泌を促進することが知られている(非特許文献4)。さらに、マウスやヒトへPPを末梢投与すると、食欲が抑制されることも見出されている(非特許文献5、非特許文献6)。
NPY及び関連ペプチドの機能は、中枢又は末梢神経系に存在するNPY受容体に結合することにより発現される。したがって、NPY及び関連ペプチドのNPY受容体との結合を阻害すればこれらの薬理作用発現を阻止することができる。その結果、NPY及び関連ペプチドのNPY受容体結合に拮抗する物質は、NPY及び関連ペプチドが関与する各種疾患、例えば狭心症、急性・うっ血性心不全、心筋梗塞、高血圧、腎臓病、電解質異常、血管れん縮等の循環器系疾患、例えば過食症、うつ病、不安、痙攣、てんかん、痴呆、痛み、アルコール依存症、薬物の断薬に伴う禁断症状、概日リズムの変調、統合失調症、記憶障害、睡眠障害、認知障害等の神経系疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン分泌異常、痛風、脂肪肝等の代謝性疾患、不妊、早産、性機能障害等の生殖系疾患、消化管系疾患、呼吸器系疾患、炎症性疾患又は緑内障等の予防又は治療における有用性が期待できる。また、最近、ある種のNPY受容体拮抗物質が、高コレステロール血症、高脂血症、動脈硬化症の予防又は治療において有用であることが見出されている(特許文献1)。
このように、NPY及び関連ペプチドとその受容体の生体内の機能の解明が前述の各種疾患に対する治療薬や診断薬の開発に繋がることから、遺伝子レベルでの解析が急速に進んできた。NPY Y4受容体に関しては、遺伝子レベルでの解析として、既にヒトNPY Y4受容体遺伝子が単離されている(非特許文献7、非特許文献8、特許文献2)。ヒトNPY Y4受容体は、ヒトゲノムライブラリーをNPY Y1受容体cDNAをプローブとしてスクリーニングすることにより単離されたものであり、7回膜貫通型構造を有し、Y1受容体とはアミノ酸レベルで42%の相同性を有することが明らかにされた。また、NPYの他、PPにも高い親和性を持ち、NPY Y1受容体やY2受容体と同じく、細胞内カルシウム濃度を上昇させ、cAMP産生に対して抑制的な効果を示すことが明らかにされている。
一方、治療薬や診断薬の開発において、候補化合物は、げっ歯類及び霊長類においてその生理学的作用が評価される。これは、候補化合物が動物種によって異なる薬効を示すことがあるためであり、よりヒトに近い霊長類において評価することが効率的な治療薬や診断薬の開発に結びつく。
国際公開第99/27965号パンフレット 国際公開第95/17906号パンフレット Nature、296巻、659頁(1982年) Trends in Neuroscience、20巻、294頁(1997年) Gastroenterology、85巻、1411頁(1983年) Endocrinology、140巻、5171頁(1999年) Gastroenterology、124巻、1325頁(2003年) The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism、88巻、3989頁(2003年) The Journal of Biological Chemistry、270巻、26762頁(1995年) The Journal of Biological Chemistry、270巻、29123頁(1995年)
しかしながら、ヒト以外の霊長類のNPY Y4受容体遺伝子は未だ単離されておらず、このような遺伝子を用いた治療薬や診断薬の評価は不可能な状況であった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ヒト以外の霊長類のNPY Y4受容体遺伝子及びタンパク質を提供することを目的とする。また、当該遺伝子又はタンパク質を用いた化合物の評価方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アカゲザルのNPY Y4受容体遺伝子を単離することに成功するとともに、当該受容体を用いた結合実験によりリガンドの評価を行うことに成功し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の核酸は、配列番号1又は3に記載の塩基配列を含むことを特徴とする。
また、本発明の核酸は、配列番号1又は3に記載の塩基配列からなることを特徴とする。このような核酸からなる、サルNPY Y4受容体遺伝子(NPY Y4受容体としての活性を有するタンパク質をコードする、サル由来の遺伝子)も、本発明によって提供される。
さらに、本発明の核酸は、配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードすることを特徴とする。このような核酸からなる、サルNPY Y4受容体遺伝子も、本発明によって提供される。
また、本発明の核酸は、配列番号1又は3に記載の塩基配列又はこれと相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつNPY Y4受容体としての活性を有するタンパク質をコードする、サル由来の単離された核酸であることを特徴とする。このような核酸からなる、サルNPY Y4受容体遺伝子も、本発明によって提供される。
さらに、本発明の組換えベクターは、前述の核酸又は遺伝子を含むことを特徴とする。また、本発明の形質転換細胞は、前記組換えベクターを含むことを特徴とする。
また、本発明のタンパク質は、配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列を含むことを特徴とする。
さらに、本発明のタンパク質は、配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列からなることを特徴とする。
また、本発明のタンパク質は、配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつNPY Y4受容体としての活性を有する単離されたタンパク質であることを特徴とする。
このような核酸、遺伝子、タンパク質、組換えベクター又は形質転換細胞を利用することにより、霊長類(主としてサル)NPY Y4受容体又はその変異体の発現系の構築が可能となるとともに、当該発現系を用いた化合物の評価系の構築が可能となる。
また、本発明の化合物の評価方法は、サルNPY Y4受容体遺伝子を導入し、当該受容体を発現する細胞を調製する工程と、当該細胞に被検化合物を接触させる工程と、当該受容体に対する当該被検化合物の特異的結合を検出する工程と、を含むことを特徴とする。
さらに、本発明の化合物の評価方法は、サルNPY Y4受容体遺伝子を導入し、当該受容体を発現する細胞を調製する工程と、該細胞に被検化合物を接触させる工程と、当該接触により生じた細胞内情報伝達物質の活性を測定する工程と、当該活性と被検化合物を接触させない場合の当該細胞内情報伝達物質の活性とを比較する工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の化合物の評価方法は、被検化合物を、サルNPY Y4受容体タンパク質(NPY Y4受容体としての活性を有するサル由来のタンパク質)に接触させる工程と、接触による前記タンパク質の活性の変化を検出する工程と、を含むことを特徴とする。
以上のような化合物の評価方法によれば、霊長類NPY Y4受容体を使用した治療薬・診断薬の候補化合物の評価やスクリーニングが可能となり、よりヒトに近いモデルシステムによって効率的な薬剤の開発が可能となる。
本発明の核酸、タンパク質及び化合物の評価方法によれば、ヒト以外の霊長類のNPY Y4受容体遺伝子及びタンパク質を得ることが可能となるとともに、当該遺伝子又はタンパク質を用いて化合物の評価、スクリーニングを行うことが可能となる。従って、当該遺伝子又はタンパク質を用いた治療薬や診断薬の評価、開発が可能となる。
図1は、本発明の核酸(配列番号1)を用いた場合の、膜画分濃度とヒトPP結合量との関係を示すグラフである。 図2は、本発明の核酸(配列番号3)を用いた場合の、膜画分濃度とヒトPP結合量との関係を示すグラフである。 図3は、本発明の核酸(配列番号1)を用いた場合の、ヒトPP、ヒトNPY及びブタPYYのペプチド濃度とヒトPP結合量との関係を示すグラフである。 図4は、本発明の核酸(配列番号3)を用いた場合の、ヒトPP、ヒトNPY及びブタPYYのペプチド濃度とヒトPP結合量との関係を示すグラフである。 図5は、本発明の核酸(配列番号1又は3)をトランスフェクトした細胞における、ヒトPP濃度と蛍光強度の変化との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明における「核酸」とは、例えば、DNA、RNA若しくは修飾されたDNA又はRNAをいい、好ましくはDNAをいう。また、前記DNAとしては、ゲノムDNAであるとcDNAであるとを問わず、一本鎖であってもよく、二本鎖であってもよい。
また、本発明における「単離された」核酸又はタンパク質とは、組換えDNA技術により作成された場合は細胞物質、培養培地を実質的に含有せず、化学合成された場合には前駆体物質又はその他の物質を実質的に含まない、核酸又はタンパク質をいう。
また、本発明における「ストリンジェントな条件でハイブリダイズする」とは、二つの核酸断片が、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、コールドスプリングハーバー(1989)、9.47−9.62及び11.45−11.61に記載されたハイブリダイゼーション条件下で、相互にハイブリダイズすることを意味する。より具体的には、例えば、約45℃にて6.0×SSCでハイブリダイゼーションを行った後に、50℃にて2.0xSSCで洗浄する条件が挙げられる。ストリンジェンシー選択のため、洗浄工程における塩濃度を、例えば低ストリンジェンシーとしての約2.0xSSC、50℃から、高ストリンジェンシーとしての約0.2×SSC、50℃まで選択することができる。さらに、洗浄工程の温度を低ストリンジェンシー条件の室温、約22℃から、高ストリンジェンシー条件の約65℃まで増大させることができる。
次に、本発明に係るアカゲザルNPY Y4受容体について説明する。
本発明に係るアカゲザルNPY Y4受容体遺伝子のうち、塩基配列が明らかになっているものには2種類(配列番号1及び3)あり、これらは1塩基相違する。これらの遺伝子はいずれも1128塩基のオープンリーディングフレームを有し、375アミノ酸のタンパク質(配列番号2及び4)をコードする。しかし、翻訳領域内の1111番目の塩基が相違し、この相違に基づいて361番目のアミノ酸が相違する。かかる相違は遺伝子多型によるものと本発明者らは考えている。
アカゲザルNPY Y4受容体遺伝子のクローニング法としては特に制限はないが、具体的には、例えば、アカゲザルNPY Y4受容体遺伝子又は当該遺伝子に相同性の高い遺伝子由来の核酸断片をもとに5’−RACE又は3’−RACEで全長cDNAを増幅する方法、適切なベクター(プラスミドベクター、バクテリオファージ等)を用いて構築されたcDNAライブラリーをアカゲザルNPY Y4受容体遺伝子の核酸断片を用いてスクリーニングする方法が挙げられる。これらの方法は当業者に周知の方法によっておこなうことができ、例えば、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85巻、8998頁(1988)を参照することができる。
また、配列番号1に記載のアカゲザルNPY Y4受容体遺伝子とヒトNPY Y4受容体遺伝子(GenBank accession No.NM_005972)との間の相同性は、コーディング領域において約95.6%であり、50塩基が相違する。また、配列番号3に記載のアカゲザルNPY Y4受容体遺伝子とヒトNPY Y4受容体遺伝子との相同性は、コーディング領域において95.5%であり、51塩基が相違する。本発明の核酸には、配列番号1又は3に記載の塩基配列において1又は2以上の塩基の置換、欠失、挿入又は付加があるものも含まれ、好ましくは1〜49塩基、より好ましくは1〜30塩基、さらに好ましくは1〜20塩基、特に好ましくは1〜10塩基、さらに好ましくは1〜5塩基の置換、欠失、挿入又は付加があってもよい。また、前記置換、欠失、挿入又は付加がある核酸の塩基配列は、その相同性に基づけば、配列番号1又は3に記載の塩基配列との相同性が96%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましく、98%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることが特に好ましい。ここで、前記置換、欠失、挿入又は付加がある核酸は、本発明に係る配列番号1又は3に記載の塩基配列又はこれと相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を単離することにより得ることができ、その種類としては生物学的に活性な核酸であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、サル由来のNPY Y4受容体遺伝子(NPY Y4受容体としての活性を有するタンパク質をコードする遺伝子)であることが好ましく、サル由来のNPY Y4受容体遺伝子としては、例えば、アカゲザル、カニクイザル、ニホンザル、リスザル、ミドリザル、アヌビスヒヒ又はコモンマーモセットのNPY Y4受容体遺伝子が挙げられる。
また、本発明は、配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質又はその変異体を含む。配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質は、上述したように、375アミノ酸からなる。また、これら二つのタンパク質間では、361番目のアミノ酸が相違している。前記変異体としては、配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列において、1又は2以上16以下のアミノ酸が置換、欠失又は挿入されているアミノ酸配列からなるタンパク質や、1又は2以上のアミノ酸が付加されているアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。このような変異タンパク質は、生物学的に活性であることが好ましく、NPY Y4受容体としての活性を有することがより好ましい。
アカゲザルNPY Y4受容体タンパク質の調製方法としては特に制限はないが、具体的には、例えば、単離したアカゲザルNPY Y4受容体遺伝子を発現ベクターに挿入した後、この発現ベクター(組換えベクター)を動物細胞、昆虫細胞又は大腸菌等の宿主細胞に導入して前記遺伝子を発現させ、その遺伝子産物であるタンパク質を精製する方法が挙げられる。かかる方法は当業者に周知の方法によって行うことができ、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、第3版、コールドスプリングハーバー(1989、2001)を参照して行うことができる。
また、本発明は以下のいずれかの核酸又は遺伝子を含有する発現ベクター(組換えベクター)をも提供する。
1.配列番号1又は3に記載の塩基配列を含む単離された核酸。
2.配列番号1又は3に記載の塩基配列からなる単離された核酸、又はこの核酸からなるサルNPY Y4受容体遺伝子。
3.配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする単離された核酸、又はこの核酸からなるサルNPY Y4受容体遺伝子。
4.配列番号1又は3に記載の塩基配列又はこれと相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつNPY Y4受容体としての活性を有するタンパク質をコードする、サル由来の単離された核酸、又はこの核酸からなるサルNPY Y4受容体遺伝子。
本発明の組換えベクターは、公知の方法に従って、本発明の核酸又は遺伝子を適当な発現ベクターに挿入することにより得ることができる。ここで、前記発現ベクターとしては、当業者に周知のベクターであれば特に制限はなく、例えば、pcDNA3.1、pBlueBacHis2、pCI−neo、pcDNAI、pMC1neo、pXT1、pSG5、pEF1/V5−HisB、pCR2.1、pET11又はλgt11が挙げられる。本発明の組換えベクターは、宿主細胞中で自律複製が可能であると同時に、プロモーター、リボゾーム結合配列(SD配列)及びターミネーターを含んだものであることが好ましい。
また、前記1.における「配列番号1又は3に記載の塩基配列を含む」とは、前記塩基配列に、ベクターとのリンカー配列や遺伝子組換えに使用可能な制限酵素切断部位等の遺伝子の改変に必要な配列が付加されていることをいう。
さらに、本発明は、前記組換えベクターを含む宿主細胞(形質転換細胞)をも提供する。
本発明の形質転換細胞は、公知の方法に従って、本発明の組換えベクターを適当な宿主細胞中に導入することにより得ることができる。ここで、前記宿主細胞としては、当業者に周知の細胞であれば特に制限はなく、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、微生物のいずれでもよい。かかる細胞としては、具体的には、例えば、COS1、COS7、CHO、NIH/3T3、293、Raji、CV11、C1271、MRC−5、CPAE、L−M(TK−)、HeLa又はSf9が挙げられる。前記組換えベクターを宿主細胞に導入する方法としては、公知の方法であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法、リポフェクション法又は遺伝子銃法が挙げられる。
また、本発明は、配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質又はその変異体に対する抗体を含む。当該抗体は、前記タンパク質又はその一部のペプチドを抗原として調製することができ、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれであってもよい。当該抗体はエピトープとなるアミノ酸配列によってサルNPY Y4受容体タンパク質のみならず、異種のNPY Y4受容体タンパク質にも反応する場合があるが、サルNPY Y4受容体タンパク質にのみ選択性を有する抗体を調製する場合には、サルNPY Y4受容体タンパク質において異種のNPY Y4受容体タンパク質との相同性の低い領域をペプチド抗原として使用してモノクローナル抗体を調製することにより、所望の特異性を有する抗体を調製することができる。
次に、本発明にかかる、配列番号1又は3に記載の塩基配列を有する核酸、及び配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質の用途について列挙し、それぞれ説明する。
(1)化合物の評価
本発明の核酸又はタンパク質を用いて、NPY Y4受容体に作用する化合物の評価をすることができる。NPY Y4受容体に対する作用の有無又はその程度を検出する方法として、被検化合物の当該受容体に対する特異的結合を検出する方法、被検化合物の接触によって変化した遺伝子の発現量を検出する方法、及び、当該接触によって生じたNPY Y4受容体を介した細胞内情報伝達の活性を検出する方法が挙げられる。以下、その内容を説明する。
本発明の化合物の評価方法は、サルNPY Y4受容体遺伝子を導入し、当該受容体を発現する細胞を調製する工程と、当該細胞に被検化合物を接触させる工程と、当該受容体に対する当該被検化合物の特異的結合を検出する工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の第2の化合物の評価方法は、サルNPY Y4受容体遺伝子を導入し、当該受容体を発現する細胞を調製する工程と、当該細胞に被検化合物を接触させる工程と、当該接触により生じた細胞内情報伝達物質の活性を測定する工程と、当該活性と被検化合物を接触させない場合の該細胞内情報伝達物質の活性とを比較する工程と、を含むことを特徴とする。
前記被検化合物としては、特に制限はなく、例えば、タンパク質、ペプチド、非ペプチド性化合物、人工的に合成された化合物が挙げられる。
また、サルNPY Y4受容体遺伝子を発現する細胞は、当業者が公知の方法で調製すればよく、具体的な調製方法としては特に制限はないが、例えば以下の方法によることができる。すなわち、先ず、本発明の配列番号1又は3に記載の塩基配列を有する核酸又はその一部からなる核酸を好適なプロモーター及び転写調節エレメントを含む発現ベクターにクローニングする。ここで、前記ベクターとしては、発現ベクターとして利用可能なものであれば特に限定されないが、例えば、pcDNA3.1、pBlueBacHis2、pCI−neo、pcDNAI、pMC1neo、pXT1、pSG5、pEF1/V5−HisB、pCR2.1、pET11又はλgt11が挙げられる。
次に、本発明の核酸又は遺伝子が挿入された発現ベクター(組換えベクター)を宿主細胞に導入する。かかる宿主細胞としては、遺伝子の発現に通常使用されるものであれば特に限定されず、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、微生物のいずれであってもよく、具体的には、例えば、COS1、COS7、CHO、NIH/3T3、293、Raji、CV11、C1271、MRC−5、CPAE、L−M(TK−)、HeLa又はSf9が挙げられる。また、前記組換えベクターを宿主細胞に導入する方法としては、公知の方法であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法、リポフェクション法又は遺伝子銃法が挙げられる。
次に、このようにして調製したNPY Y4受容体を発現する細胞(形質転換細胞)に被検化合物を接触させる。接触させる方法としては特に制限はなく、例えば、水溶液や緩衝液のような溶液中で接触させる方法が挙げられる。細胞表面に発現した受容体と被検化合物との結合は、例えば、結合した化合物に付された標識による検出(例えば、結合量を放射活性や蛍光強度により検出する)のほか、細胞の膜画分を用いた結合実験による方法が挙げられ、これらは、当業者に公知の方法によって行うことができる。また、被検化合物の細胞表面上の前記受容体への結合による細胞内へのシグナル伝達(例えば、Gタンパク質の活性化、Ca2+またはcAMPの濃度変化(FLIPR(Fluorometric Imaging Plate Reader)等が使用できる)、ホスホリパーゼCの活性化、pHの変化)を指標に検出することができる。また、前記シグナル伝達によって生じたシグナル伝達経路上の分子の発現レベルや活性を指標にすることもできる。ここで、当該発現レベルを指標とする場合、発現レベルの測定法は特に制限されないが、例えば、ノーザンブロッティング、リアルタイムPCR又はDNAチップが挙げられる。また、シグナル伝達経路上の分子の活性を指標にする場合、活性測定方法は特に制限されず、測定の対象となる分子の種類によって好適な方法を選択すればよい。
一方、単離されたサルNPY Y4受容体タンパク質を化合物の評価に直接使用することもできる。すなわち、被検化合物をサルNPY Y4受容体に接触させ、次に、接触によって生じた前記タンパク質の活性の変化を検出する方法である。かかる接触の方法としては特に制限はなく、具体的には、例えば、緩衝液(リン酸緩衝液等)等の溶液中で混合することにより接触させる方法や、前記タンパク質をメンブレン上に固定し、メンブレン上で被検化合物と接触させる方法が挙げられる。
次に、接触によって生じた前記タンパク質の活性の変化を検出する。
タンパク質の活性変化の検出方法としては、使用するタンパク質の性質により適宜設定すればよく、具体的には、例えば、NPY Y4受容体に対するNPY及び関連ペプチドの結合活性を指標にする方法が挙げられる。
前記のNPY及び関連ペプチドの結合活性を指標にする方法としては特に制限はないが、具体的には、例えば、NPY Y4受容体タンパク質が固定されたメンブレンに対する被検化合物の親和性を測定することによって結合活性を測定する方法が挙げられる。ここで用いられる被検化合物は、検出が容易なように放射性同位体等で標識されていてもよい。また、前記結合活性の検出方法として、放射性同位体で標識したNPY及び関連ペプチドと競合してNPY Y4受容体へ結合する化合物を検出する方法も挙げられ、かかる方法を用いた場合には、被検化合物の標識は不要である。
以上のような化合物の評価方法により検出した結果、被検化合物の存在下におけるNPY及び関連ペプチドの結合活性が、被検化合物の非存在下におけるNPY及び関連ペプチドの結合活性(対照)より低い値を示した場合には、当該被検化合物は、NPY Y4受容体とリガンドまたはそのアナログとの結合を阻害すると判定される。このような化合物は、前記受容体に結合して細胞内へのシグナル伝達を誘導する活性を有する化合物(アゴニスト)および当該活性を有しない化合物(アンタゴニスト)などが含まれる。アゴニストは、前記受容体に対するリガンドと同様の生理活性を有している。一方、アンタゴニストは、前記受容体に対するリガンドが有する生理活性を有しておらず、前記受容体に対するリガンドの結合を阻害する。このため、これらアゴニストやアンタゴニストは、NPY Y4受容体を介したシグナル伝達系の異常などに起因する疾患の治療などのための医薬組成物として有用である。
また、本発明の化合物の評価方法により、NPY Y4受容体の活性を促進又は阻害する物質のスクリーニングを行うことができる。すなわち、上述した方法によって複数の被検化合物を評価することにより、アゴニスト又はアンタゴニストとして機能する化合物を選択することができる。かかる選択の結果、被検化合物非存在下においてリガンドやそのアナログを作用させた場合の細胞における変化と比較して、細胞における変化が抑制されれば、当該被検化合物は、NPY Y4受容体の活性を阻害する化合物であると判定される。逆に、被検化合物が細胞における変化を増強させれば、当該化合物は、本発明に係るNPY Y4受容体の活性を促進する化合物であると判定される。このようなスクリーニング方法によって選択された化合物は、NPYが関与する各種疾患、例えば狭心症、急性・うっ血性心不全、心筋梗塞、高血圧、腎臓病、電解質異常、血管れん縮等の循環器系疾患、例えば過食症、うつ病、不安、痙攣、てんかん、痴呆、痛み、アルコール依存症、薬物の断薬に伴う禁断症状、概日リズムの変調、統合失調症、記憶障害、睡眠障害、認知障害等の神経系疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン分泌異常、痛風、脂肪肝等の代謝性疾患、不妊、早産、性機能障害等の生殖系疾患、消化管系疾患、呼吸器系疾患、炎症性疾患、高コレステロール血症、高脂血症、動脈硬化症又は緑内障等の予防又は治療に有用であると考えられる。
また、上述した本発明の化合物の評価方法により、PET(positron emission tomography)に用いるリガンドの評価を行うことができる。PETは、水、酸素、ブドウ糖、アミノ酸といった生体内に存在する物質や薬物(目的とする受容体に対するリガンド等)を放射性物質で標識して体内に投与することにより、非侵襲的に生体機能を観察する方法であり、研究や臨床において利用されている。PETの特徴は、トレーサーとして用いるリガンドに依存した機能特異的なイメージングを可能にする点にあり、新たなトレーサーの開発は未知の生体機能の解明や疾患の診断に不可欠である。本発明の化合物の評価方法によれば、被検化合物としてPETリガンド候補物質を適用することにより、当該物質のインビトロでの評価を行うことが可能となる。
(2)ハイブリダイゼーションに用いるプローブ
本発明の配列番号1又は3に記載の塩基配列の一部、又は全部からなる核酸をハイブリダイゼーション用のプローブとして使用することにより、NPY Y4受容体遺伝子を検出することが可能である。かかる検出としては、生体由来の組織や細胞を被検体としたNPY Y4受容体遺伝子の検出のみならず、NPY Y4受容体遺伝子又は当該遺伝子と相同性の高い遺伝子のクローニング等にも応用可能である。また、前記核酸をプローブとして使用し、種々の組織における遺伝子発現を調べることにより、遺伝子発現の分布を同定することも可能である。
前記核酸をプローブとして使用する場合、ハイブリダイゼーションの方法としては特に制限はなく、例えば、サザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーション、ドットハイブリダイゼーション、fluorescence in situ hybridization(FISH)、in situ hybridization(ISH)、DNAチップ法が挙げられる。
前記核酸をハイブリダイゼーション用のプローブとして使用する場合、少なくとも連続する20塩基の長さの核酸が必要であり、好ましくは40塩基、さらに好ましくは60塩基、特に好ましくは80塩基以上のものが使用される。また、当該プローブは、必要に応じて検出可能なように標識して用いてもよい。具体的には、例えば、32P、14C、125I、H、35S等の放射性同位体で標識されていてもよく、ビオチン、蛍光色素、酵素、金コロイド等で標識されていてもよい。
また、前記核酸をハイブリダイゼーション用のプローブとして使用する場合のハイブリダイゼーションの条件としては、プローブの長さやハイブリダイゼーションの対象となる遺伝子の種類に応じて当業者が適宜選択すればよいが、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、コールドスプリングハーバー(1989)、9.47−9.62及び11.45−11.61を参照して行うことができる。より具体的には、約45℃にて6.0×SSCでハイブリダイゼーションを行った後に、50℃にて2.0xSSCで洗浄する条件が挙げられる。ストリンジェンシー選択のため、洗浄工程における塩濃度を、例えば低ストリンジェンシーとしての約2.0xSSC、50℃から、高ストリンジェンシーとしての約0.2×SSC、50℃まで選択することができる。さらに、洗浄工程の温度を低ストリンジェンシー条件の室温、約22℃から、高ストリンジェンシー条件の約65℃まで増大させることができる。
(3)PCRに使用するプライマー
NPY Y4遺伝子を検出する方法として、本発明の配列番号1又は3に記載の塩基配列の一部をプライマーとして使用したPolymerase Chain Reaction(PCR)法を挙げることができる。
このようなプライマーの長さは、その塩基配列や単離する遺伝子の塩基配列等によって適宜設定することができるが、一般に、連続した10〜60塩基であることが好ましく、15〜30塩基であることがより好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1:アカゲザルY4受容体遺伝子の単離)
ヒトY4受容体遺伝子(GenBank accession No.U35232)の5’及び3’非翻訳領域の塩基配列に基づいてhY4−4FBamHI(配列番号5)及びhY4−1323RNotI2(配列番号6)の2本のオリゴDNAプライマーを設計した。アカゲザルのゲノムDNA(Clontech社)を鋳型にして、これらのプライマーを用い、94℃10秒間(変性反応)/55℃1分間(アニーリング)/68℃2分間(伸長反応)のサイクルを40回繰り返し、PCR反応を行った。得られたPCR増幅産物を制限酵素BamHI及びNotIで消化し、pEF1/V5−HisBプラスミドベクター(Invitrogen社)にクローニングした。独立した6つのPCR反応より得られたクローンから6クローンを無作為に選び、T7、BGHreverse、Y41、Y42、Y43、Y44、Y45、Y46、Y47、Y48の10本のプライマー(配列番号7〜16)を用いてダイターミネーター法により塩基配列を決定した。これら6クローンの塩基配列の比較により、配列番号1及び3の2種のアカゲザルY4受容体遺伝子の塩基配列が明らかとなった。
配列番号1及び3の配列には共に1128塩基のオープンリーディングフレーム(30番目から1157番目)が存在する。各々のオープンリーディングフレームから予測されるアミノ酸配列(375残基)を配列番号2及び4に示す。配列番号1と3の間にはその翻訳領域内(1111番目)に1塩基の相違があり、その予測されるアミノ酸配列である配列番号2と4の間では361番目のアミノ酸のみが異なっている。
配列番号2及び4の配列をヒトY4受容体タンパク質のアミノ酸配列(GenPept accession No.NP_005963)と比較したところ、各々96%(375残基中359残基が同一)及び95%(375残基中358残基が同一)の非常に高い同一性を示し、配列番号1及び3の塩基配列はアカゲザルのY4受容体タンパク質をコードしているものと考えられた。
以下に、使用したプライマーの塩基配列を示す。
hY4−4FBamHI:ATCGGATCCG TCATCCCTCA AGTGTATCAC TTAGTTC(配列番号5)
hY4−1323RNotI:CATGCGGCCG CAAACAGCTC TTGCCAGCCT ATCTGG(配列番号6)
T7:TAATACGACT CACTATAGGG(配列番号7)
BGHreverse:GGAGCTGACA CGGAAGAT(配列番号8)
Y41:GGGACATGGC AGGGAGAAGA(配列番号9)
Y42:GCTGTTGAAC ACATGCAGAG(配列番号10)
Y43:TCTTGTGGAA GACATTCTCC(配列番号11)
Y44:AGAAGGCCAG GTTGGCGATA(配列番号12)
Y45:GATGGTCTTC ATCGTCACTT(配列番号13)
Y46:CAGCTCATCA TCAACCCAAC(配列番号14)
Y47:ATCAAGGCCC TGGTGCTGAC TTGC(配列番号15)
Y48:TTATGCACGC ATCTACCGGC(配列番号16)。
(実施例2:COS−7細胞によるアカゲザルY4受容体の発現と[125I]ヒトPPとの結合実験)
24ウェル培養プレートにCOS−7細胞(American Type Culture Collection)を5×10個/ウェルの密度で播種し、24時間後に実施例1で得られた配列番号1及び3の塩基配列を保持したpEF1/V5−HisBプラスミドベクター並びにインサートを持たない同ベクター(mock)をEfectene(Qiagen社)を用いてトランスフェクションした。48時間培養後、50pMの[125I]ヒトPP(PerkinElmer社)を添加した240μl/ウェルの反応用緩衝液(20mM HEPES、0.2% ウシ血清アルブミンを含むHanks’平衡塩溶液、pH7.4)中で37℃にて30分間インキュベーションした。氷冷した反応用緩衝液で洗浄した後、2M NaOHで細胞を溶解回収しγカウンター(Packard社、Cobra)にて放射活性を測定した。
また、上記反応溶液中に1μM ヒトPPを加えることで非特異的結合量を測定した。表1に示すように、配列番号1あるいは3の塩基配列を保持した発現ベクターをトランスフェクションしたCOS−7細胞は[125I]ヒトPPに特異的結合を示したが、インサートを持たないベクター(mock)をトランスフェクションした細胞では特異的結合は見られなかった。
本実施例より配列番号1及び3の塩基配列にコードされるタンパク質はY4受容体の特徴であるPPの結合能を有することが明らかとなった。
Figure 2005042742
(実施例3:アカゲザルY4受容体発現COS−7細胞膜画分を用いた受容体結合実験)
COS−7細胞にLipofectAmine Plus(Invitrogen社)を用いて配列番号1及び3の配列を保持したpEF1/V5−HisBプラスミドベクターをトランスフェクトした。48時間後に細胞を回収し、20%ショ糖、154mM NaCl、10mM KCl及び0.8mM CaClを含む10mM MOPS緩衝液(pH7.4)中で、氷冷しながらPolytronホモジナイザー(Kinematica社)を用いて破砕した。得られたホモジネートを1,000×gで15分間、4℃にて遠心し、その上清をさらに90,000×gで50分間遠心して沈殿を回収した。これを5mM HEPES/Tris緩衝液(pH7.4)に懸濁した後に、再び90,000×gで50分間遠心し、得られた沈殿を膜標品として回収した。
上記のようにして得られた膜画分を31pMの[125I]ヒトPPとともに、10mM MgCl、1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド、0.1% バシトラシン及び0.5% ウシ血清アルブミンを含む25mM Tris緩衝液(pH7.4)中で25℃にて2時間インキュベーションした後、ポリエチレンイミン処理したUniFilter−96 GF/C(PerkinElmer社)にて濾過した。0.3% ウシ血清アルブミンを含む5mM Tris緩衝液(pH7.4)にて洗浄した後に乾燥し、MicroScint0(PerkinElmer社)を添加して、TopCount HTS(Packard社)を用いてフィルター上に残存した放射活性を測定した。非特異的結合は1μM ヒトPP存在下で測定した。
図1及び図2に示すように、配列番号1及び3のどちらの配列をトランスフェクトした細胞の膜標品についても、膜画分の濃度に依存した[125I]ヒトPPの特異的な結合が認められた。
また、膜画分濃度を0.155及び0.14mgタンパク質/ml、[125I]ヒトPP濃度を59pMに設定して、上記反応溶液中に各種濃度のヒトPP、ヒトNPY及びブタPYYを各種濃度で添加し、各ペプチドの特異的[125I]ヒトPP結合に対する阻害曲線(図3及び図4)からPrism Version 4.00(GraphPad社)を用いて50%阻害濃度(IC50値)を求めた。各ペプチドのIC50値は表2のようになり、配列番号1及び3の塩基配列にコードされるタンパク質は、NPYやPYYに比べてPPに対する親和性が高い既知のY4受容体[The Journal Biological Chemistry、270巻、26762頁(1995年);The Journal Biological Chemistry、270巻、29123頁(1995年);FEBS Letters、381巻、58頁(1996年);Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、93巻、4661頁(1995年);Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、93巻、5111頁(1995年)]と同様の特性を示すことが明らかとなった。
Figure 2005042742
(実施例4:アカゲザルY4受容体及びGα15タンパク質を共発現したCHO−K1細胞におけるPPによる細胞内カルシウムイオン濃度上昇の測定)
PromiscuousなGタンパク質αサブユニットであるGα15を安定発現しているCHO−K1細胞(Aurora Biosciences社、CHO.Gα15−blast.3xNFAT−blaX−zeo.S1.C3−21)に、配列番号1及び3の配列を保持したpEF1/V5−HisBプラスミドベクター並びにインサートを持たない同ベクター(mock)をEfectene(Qiagen社)を用いてトランスフェクションし、Geneticin(Invitrogen社)耐性細胞を選択した。得られた細胞をViewPlate−96(PerkinElmer社)に2×10個/ウェルの密度で播種し、48時間培養した後に、2μM Fluo−4,AM(Molecular Probes社)及び1%ウシ胎仔血清を含むアッセイ用緩衝液(20mM HEPES、2.5mM プロベネシド、0.5% ウシ血清アルブミンを含むHanks’平衡塩溶液、pH7.4)中にて37℃で1時間インキュベーションしてカルシウムイオン指示薬であるFluo−4を細胞内にロードした。アッセイ用緩衝液で4回洗浄した後に、FLIPR(Molecular Devices社)にセットし、種々の濃度のヒトPPを添加した際の細胞内カルシウムイオン濃度の変化を蛍光強度の変化として測定した。
図5に示すように、配列番号1及び3の配列をトランスフェクトした細胞では、ヒトPPの濃度に依存した蛍光強度の上昇が観察され、PPがこれらの細胞の細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させることが示された。濃度反応曲線から、EC50は1.8nM(配列番号1)及び4.8nM(配列番号3)と計算された。一方、インサートを持たないベクター(mock)をトランスフェクションした細胞では上記のようなヒトPP添加による蛍光強度の上昇は観察されなかった。
本試験により、配列番号1及び3の塩基配列にコードされるタンパク質は、PPとの相互作用によりGタンパク質と共役して細胞内にシグナルを伝達し得ることが明らかとなった。
本発明の核酸、タンパク質及び化合物の評価方法によれば、ヒト以外の霊長類のNPY Y4受容体遺伝子及びタンパク質を得ることが可能となるとともに、当該遺伝子又はタンパク質を用いて化合物の評価、スクリーニングを行うことが可能となる。従って、当該遺伝子又はタンパク質を用いた治療薬や診断薬の評価、開発が可能となる。従って、ヒトの医薬の研究、開発の効率化に大きく貢献をするものである。

Claims (12)

  1. 配列番号1又は3に記載の塩基配列からなる単離された核酸。
  2. 配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする単離された核酸。
  3. 配列番号1又は3に記載の塩基配列又はこれと相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつNPY Y4受容体としての活性を有するタンパク質をコードする、サル由来の単離された核酸。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の核酸からなるサルNPY Y4受容体遺伝子。
  5. 請求項4に記載のサルNPY Y4受容体遺伝子を含有する組換えベクター。
  6. 請求項5に記載の組換えベクターを含む形質転換細胞。
  7. 配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列からなる単離されたタンパク質。
  8. 配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸が置換、欠失、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつNPY Y4受容体としての活性を有する単離されたタンパク質。
  9. サルNPY Y4受容体遺伝子を導入し、該受容体を発現する細胞を調製する工程と、
    該細胞に被検化合物を接触させる工程と、
    該受容体に対する該被検化合物の特異的結合を検出する工程と、を含む化合物の評価方法。
  10. サルNPY Y4受容体遺伝子を導入し、該受容体を発現する細胞を調製する工程と、
    該細胞に被検化合物を接触させる工程と、
    該接触により生じた細胞内情報伝達物質の活性を測定する工程と、
    該活性と被検化合物を接触させない場合の該細胞内情報伝達物質の活性とを比較する工程と、を含む化合物の評価方法。
  11. 被検化合物を、NPY Y4受容体としての活性を有するサル由来のタンパク質に接触させる工程と、
    該接触による該タンパク質の活性の変化を検出する工程と、を含む化合物の評価方法。
  12. 前記サルがアカゲザルである、請求項9〜11のいずれか一項に記載の化合物の評価方法。
JP2005515200A 2003-10-30 2004-11-01 サルnpyy4受容体及び化合物の評価方法 Pending JPWO2005042742A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003369840 2003-10-30
JP2003369840 2003-10-30
PCT/JP2004/016242 WO2005042742A1 (ja) 2003-10-30 2004-11-01 サルnpy y4受容体及び化合物の評価方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2005042742A1 true JPWO2005042742A1 (ja) 2008-02-21

Family

ID=34543836

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005515200A Pending JPWO2005042742A1 (ja) 2003-10-30 2004-11-01 サルnpyy4受容体及び化合物の評価方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20070083037A1 (ja)
EP (1) EP1688494A4 (ja)
JP (1) JPWO2005042742A1 (ja)
CA (1) CA2543999A1 (ja)
WO (1) WO2005042742A1 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5516653A (en) * 1993-12-28 1996-05-14 Synaptic Pharmaceutical Corporation DNA encoding a human neuropeptide Y/peptide YY/pancreatic polypeptide receptor (Y4) and uses thereof
WO2001053477A1 (en) * 2000-01-20 2001-07-26 Baylor College Of Medicine Methods and compositions for control of bone formation via modulation of neuropeptide y activity

Also Published As

Publication number Publication date
US20070083037A1 (en) 2007-04-12
CA2543999A1 (en) 2005-05-12
EP1688494A1 (en) 2006-08-09
EP1688494A4 (en) 2007-08-08
WO2005042742A1 (ja) 2005-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3657602B2 (ja) ソマトスタチン受容体
EP1243648A1 (en) Novel guanosine triphosphate-binding protein-coupled receptors, genes thereof and production and uses thereof
KR20010086040A (ko) 사람의 오르판 g 단백질과 커플링된 수용체
JPWO2006132406A1 (ja) 下痢を伴う疾患の治療剤としてのnpyy2アゴニスト
JP2000060578A (ja) 新規g―タンパク質結合レセプタ―(hfgan72x)
JP2004526441A (ja) 内因性および非内因性型ヒトgタンパク質共役受容体
JP2000083669A (ja) Cxcr4ケモカイン受容体のヒトスプライス変異体cxcr4b
JP2001525178A (ja) ヒト11cbスプライス変異体に対するアゴニストおよびアンタゴニストの探索方法
US20020111303A1 (en) Diagnostic and therapeutic methods
US7696339B2 (en) Nucleic acid encoding monkey QRFP
JPWO2005042742A1 (ja) サルnpyy4受容体及び化合物の評価方法
US6998244B1 (en) Cloning and expression of a novel 5-HT4 receptor
EP1693456B1 (en) Method of identifying modulators of a g protein-coupled receptor
JP4326326B2 (ja) Epf受容体アッセイ、化合物および治療用組成物
US6428982B1 (en) Polynucleotides encoding mouse urotensin-II Receptor (UTB-R)
WO2000058462A1 (fr) Nouvelles proteines de recepteur couplees aux proteines de liaison a la guanosine triphosphate (gtp), bg3
WO2000031107A1 (en) 7tm receptor hlwar77
WO2001098456A2 (en) IDENTIFICATION OF cDNAs ASSOCIATED WITH BENIGN PROSTATIC HYPERPLASIA
JPWO2005045042A1 (ja) サルorl1遺伝子及び化合物の評価方法
JP2003525571A (ja) 7TM受容体GABAB−R2a
JP2004500864A (ja) 新規g−タンパク質共役型受容体
JP2004521612A (ja) 39残基のヒト結節漏斗状ペプチド
JP2001149072A (ja) 新規g蛋白質共役型レセプター蛋白質、そのdnaおよびそのリガンド
JP2005508164A (ja) 21132、ヒトgタンパク質共役レセプターファミリーメンバーおよびそれらの使用
JP2002078492A (ja) スクリーニング方法