JPWO2005032561A1 - HIV−Vprの機能に関する発明 - Google Patents
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Abstract
本発明は、HIV−1 Vprタンパク質が、HIV−1 mRNAについてのスプライシングを制御する機能を有し、その作用がHIV−1を複製・増殖過程へと導くものであることを明らかにしたことに基づく。本発明は、Vprタンパク質を阻害、またはその発現を抑制することを特徴とするHIV−1の増殖を抑制するための医薬組成物を提供する。さらに、本発明は、Vprタンパク質を阻害することを特徴とするHIV−1の増殖を抑制する物質をスクリーニングするための方法を提供する。
Description
本発明は、Vprタンパク質の機能に基づく、抗HIV−1薬のスクリーニング方法、およびHIV−1感染を治療するための医薬組成物に関する。
後天性免疫不全症候群(エイズ)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1)の感染によって引き起こされる高度の免疫不全による日和見感染等を特徴とする伝染性致死性疾患である。HIV−1は発見されてから20年たった現在も未だ蔓延し続けており、現状ではその感染により10年後にアフリカの人口が半減するであろうと予測されている。
HIV−1の粒子構造は100nmの球形で、中心に遺伝子本体であるRNAとウイルス複製に働く酵素、逆転写酵素、インテグレース、およびプロテエースが含まれている。これまでに、これらの酵素を標的にした阻害剤が抗HIV薬として開発されてきた。現在では、逆転写酵素阻害剤2種類とプロテエース阻害剤1種類を組み合わせた多剤併用療法(HAART)により、体内のウイルス量を劇的に減らすことが可能となった。しかし、HIV−1は、それが有する逆転写酵素が変異修復能を持たないことによって、その遺伝子に変異が生じやすいという性質を有しているため、薬剤耐性ウイルスの出現が問題となっている。この問題を克服するための新たなるエイズの治療法の緊急な開発が強く望まれている。
HIV−1はレトロウイルスの一員で、gag、pol、envなどの構造遺伝子、調節遺伝子に加え、nef、vif、vpr、vpuなどのアクセサリー遺伝子を有することを特徴とし、レトロウイルスの中では最も複雑な構造と機能を有している。HIV−1においては、9kbからなる1本のゲノムより30種類以上の多様なウイルスmRNAが合成される。この多様性はスプライシングパターンの違いにより引き起こされることが示されている(J.Virology,p.6365−6378,1993)。この多彩なスプライシングパターンがウイルスのタンパク質の発現を制御しており、ウイルスの生活環に大きな役割を果たしていると考えられている。
HIV−1 Vprタンパク質は、ウイルス粒子中に多量に含まれるアクセサリータンパク質で、96アミノ酸からなり、約15kDaの小さなタンパク質で、現在までに3つのα−ヘリックスドメイン、ロイシンジッパー様ドメイン、およびC末端のアルギニンリッチ領域などの様々な構造が確認されている(Virology,263:p.313−322,1999)。このタンパク質は、単独で細胞に導入した場合、細胞周期のG2期停止、アポトーシス、核膜局在、核移行、及び転写活性化などを示し、多機能なタンパク質であることが明らかとなっている(Virology,276:p.16−26,2000)。特に、G2で停止させた細胞はHIVの複製効率が最も上昇することが解明されたことから、宿主細胞の細胞周期をG2期で停止させる機能を有するVprタンパク質は、エイズ発症の鍵を握っているものとして注目されている(Nat.Med.,4:65−71,1998)。
また、Vprタンパク質はHIV−1 LTRからの転写活性を上昇させることが知られているが、ウイルスmRNAの合成にどのような影響を与えるのかは不明である。
さらに、本発明者らグループはVprタンパク質と結合する細胞内因子をYeast two−hybrid法によって単離・同定した結果、spliceosome−associated protein 145(SAP145)がVprタンパク質と結合することを見いだした(第50回日本ウイルス学会学術集会・総会、プログラム・抄録集、p.108、2002年10月16〜18日開催)。そして、Vprタンパク質とSAP145は細胞内においても相互作用しており、核内で部分的に共局在していることを明らかにした。また、SAP145はスプライソソーム中のU2snRNPに含まれるスプライシングファクター3bの構成分子であった。このことから、本発明者らのグループは、Vprタンパク質がスプライシングに関与していると推測し、Vprタンパク質によるα−globin2 pre−mRNAのスプライシングへの影響を解析した。α−globin2 pre−mRNAは、3つのエキソンとそれに夾まれた2つのイントロンを有するもので、スプライシングへの影響を解析するためのモデルとして選択した。その結果、Vprタンパク質には、α−globin2 pre−mRNAのイントロン1のスプライシングを阻害する活性があることが明らかとなった(第50回日本ウイルス学会学術集会・総会、プログラム・抄録集、p.108、2002年10月16〜18日開催)。一方で、イントロン2のスプライシングは阻害されておらず、Vprタンパク質によるスプライシング阻害には配列特異性がある可能性が示唆された。しかしながら、Vprタンパク質によるスプライシング阻害という作用が、HIV−1の複製および増殖とどのような関係を有するのかは未だ明らかとなっていない。
J.Virology,6365−6378,1993 Virology,263:313−322,1999 Virology,276:323−322,2000 Nat.Med.,4:65−71,1998 第50回日本ウイルス学会学術集会・総会、プログラム・抄録集、p.108、2002年10月16〜18日開催 Nucleic Acid Res.,29,464−478,2001 Adachiら、J.Virology,59(2):284−291, 1986 Nishinoら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,232(2):550−554,1997 Annu.Rev.Microbiol.,52:491−532,1998 J.Virology,6365−6378,1993
J.Virology,6365−6378,1993 Virology,263:313−322,1999 Virology,276:323−322,2000 Nat.Med.,4:65−71,1998 第50回日本ウイルス学会学術集会・総会、プログラム・抄録集、p.108、2002年10月16〜18日開催 Nucleic Acid Res.,29,464−478,2001 Adachiら、J.Virology,59(2):284−291, 1986 Nishinoら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,232(2):550−554,1997 Annu.Rev.Microbiol.,52:491−532,1998 J.Virology,6365−6378,1993
本発明は、HIV−1の増殖を抑制するための医薬組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、HIV−1の増殖を抑制するための物質のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、HIV−1 Vprタンパク質がスプライシングを制御する性質を有することを明らかにした。さらに、Vprタンパク質は、HIV−1 mRNAについてのスプライシングにも影響を与えていることを明らかにした。HIV−1ゲノムから生じるpre−mRNAは、9kbフォーム、4kbフォーム、および2kbフォーム(1.8kbフォームと呼ばれることもあるが、本明細書においては2kbフォームと記載する)に大きく分けられる。9kbフォームpre−mRNAは、HIV−1ゲノムRNA(配列番号1)がスプライシングを受けていないことを特徴とする。4kbフォームpre−mRNAは、HIV−1ゲノムRNA(配列番号1)が1回スプライシングを受けていることを特徴とする。2kbフォームpre−mRNAは、HIV−1ゲノムRNA(配列番号1)が2回以上スプライシングを受けていることを特徴とする。これら、9kb、4kb、および2kbの各フォームのpre−mRNAは、総計30種類以上の成熟mRNAとなってHIV−1のタンパク質の発現に使用される。したがって、たとえば、2kbフォームのpre−mRNAからは複数の成熟mRNAが得られるが、本明細書においては、2kbフォームのpre−mRNAに由来する成熟mRNA群を、単に「2kbフォームのmRNA群」と表記する。同様に、9kbフォームのpre−mRNAに由来するの成熟mRNA群を「9kbフォームのmRNA群」と表記し、および、4kbフォームのpre−mRNAに由来する成熟mRNAを「4kbフォームのmRNA群」と表記する。
HIV−1の生活環において、感染初期段階においては、ウイルス由来のタンパク質は2kbフォームのmRNA群から発現するが、感染後期段階となると4kbフォームや9kbフォームのmRNA群からもタンパク質が発現するようになる。4kbフォームや9kbフォームのmRNA群にコードされるタンパク質には、HIV−1粒子を構成する構造タンパク質が含まれており、これらの発現はウイルス複製および増殖につながる(図1参照)。本発明者らは、Vprタンパク質の存在下においては、4kbフォームのmRNA群の量が増加し、2kbフォームのmRNA群の量が減少することを見いだし(図2参照)、これはVprタンパク質によって4kbフォームmRNAから2kbフォームmRNAへのスプライシングが阻害された結果であると結論づけた。このようなVprタンパク質の作用はHIV−1増殖へと導くものであるので、本発明者らはVprタンパク質が有するスプライシング阻害活性を阻害することでHIV−1の増殖を抑制できると結論し、本発明を完成した。
スクリーニング方法
本発明は、HIV−1の増殖を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
(1)(i)野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノムを含むベクター、および、(ii)Vprタンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターを細胞に遺伝子導入する;
(2)遺伝子導入した細胞を、候補物質の存在下で24時間ないし72時間、好ましくは48時間ないし72時間培養する(この時間は使用する細胞や培養条件によって当業者が適宜試験して決定してよい);
(3)(2)の細胞よりRNAを抽出して、半定量的RT−PCRによりHIV−1 mRNAの9kb、4kb、および2kbの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片を増幅する;および、
(4)増幅したHIV−1 mRNAの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片の量が、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較してコントロール(上記の変異HIV−1ゲノムを含むベクター、および、Vprタンパク質をコードする遺伝子を含まないコントロールベクターを遺伝子導入した細胞に由来するもの)の値に近づいた場合には、その候補物質は、HIV−1の増殖を抑制する物質であると判断する;
ことを含む方法を提供する。 野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノムを含むベクターを使用する。Vprタンパク質を発現しないような変異は、(a)vpr遺伝子にコードされるタンパク質の発現が起こらないようにすることを目的とする、vpr遺伝子の開始コドンに導入する変異やプロモータに導入する変異、および、(b)生じた変異Vprタンパク質がVprタンパク質の活性を失うようにすることを目的とする、vpr遺伝子自体に導入する変異を含む。望ましくは、Vprタンパク質を発現しないような変異は、vpr遺伝子の開始コドンに導入する変異である。
スクリーニング方法
本発明は、HIV−1の増殖を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
(1)(i)野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノムを含むベクター、および、(ii)Vprタンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターを細胞に遺伝子導入する;
(2)遺伝子導入した細胞を、候補物質の存在下で24時間ないし72時間、好ましくは48時間ないし72時間培養する(この時間は使用する細胞や培養条件によって当業者が適宜試験して決定してよい);
(3)(2)の細胞よりRNAを抽出して、半定量的RT−PCRによりHIV−1 mRNAの9kb、4kb、および2kbの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片を増幅する;および、
(4)増幅したHIV−1 mRNAの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片の量が、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較してコントロール(上記の変異HIV−1ゲノムを含むベクター、および、Vprタンパク質をコードする遺伝子を含まないコントロールベクターを遺伝子導入した細胞に由来するもの)の値に近づいた場合には、その候補物質は、HIV−1の増殖を抑制する物質であると判断する;
ことを含む方法を提供する。 野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノムを含むベクターを使用する。Vprタンパク質を発現しないような変異は、(a)vpr遺伝子にコードされるタンパク質の発現が起こらないようにすることを目的とする、vpr遺伝子の開始コドンに導入する変異やプロモータに導入する変異、および、(b)生じた変異Vprタンパク質がVprタンパク質の活性を失うようにすることを目的とする、vpr遺伝子自体に導入する変異を含む。望ましくは、Vprタンパク質を発現しないような変異は、vpr遺伝子の開始コドンに導入する変異である。
望ましい態様において、野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノムを含むベクターは、HIV−1のcDNA NL432(配列番号2;GenBankアクセッション番号 M19921)において、vpr遺伝子の開始コドン(配列番号2における塩基番号5559−5561)に変異を導入してVprタンパク質を発現しないようにした変異型HIV−1ゲノム cDNAを含むベクターである。さらに望ましくは、上記の変異HIV−1ゲノムを含むベクターは、HIV−1のcDNA NL432(配列番号2;GenBankアクセッション番号 M19921)において、HIV−1ゲノムのGag−Pol領域の一部分(配列番号2において塩基番号1511−4551)を欠失し、かつ、vpr遺伝子の開始コドン(配列番号2において塩基番号5559−5561)に変異を導入してVprタンパク質を発現しないようにした変異型HIV−1ゲノムcDNAを含むベクターである。ここで、HIV−1ゲノムのGag−Pol領域の一部分(配列番号2において塩基番号1511−4551)を欠失させるのは、通常の実験施設においてもウイルス遺伝子を安全に扱えるようにするためにウイルスの感染能および増幅能を失わせるためであり、この変異型のHIV−1ゲノムcDNAは、野生型HIV−1遺伝子とほぼ同様なmRNAの発現パターンを示すことが報告されている(Nucleic Acid Res.,29,464−478,2001)。
上記の通り、本発明のスクリーニング方法では、野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつVprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノムを含むベクターは、例えば以下のようにして調製することができる。本明細書において、野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示すとは、野生型HIV−1遺伝子と同様に転写およびスプライシング反応が起こり、そして野生型HIV−1遺伝子と同様なHIV−1 mRNAの発現パターンを示すことを意味する。HIV−1のcDNA NL432(配列番号2;GenBankアクセッション番号 M19921)において、vpr遺伝子の開始コドン(配列番号2において塩基番号5559−5561)に変異を導入してVprタンパク質を発現しないようにした変異型HIV−1ゲノムcDNA(配列番号3)を、制限酵素PflMIおよびEcoRIで処理し、処理した変異型HIV−1ゲノムcDNAを、同じく制限酵素PflMIおよびEcoRIで処理したプラスミドに挿入することで調製する。
または、例えば、上記のvpr遺伝子の開始コドンに変異を導入した遺伝子を含むプラスミドを制限酵素BalIおよびSpeIで処理し、gag−pol領域の一部分(配列番号2において、塩基番号1511−4551)を欠失させた断片を平滑末端処理した後、セルフライゲーションさせて調製したものを用いることができる。
野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつVprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノムを含むベクターを導入した細胞においては、vpr遺伝子の開始コドンに変異を有していても、このベクターから発現するmRNAのパターンは野生型HIV−1遺伝子とほぼ同様である。
Vprタンパク質をコードする遺伝子(配列番号5)を含む発現ベクターは、HIV−1分離株NL432感染性分子クローン(Adachiら、J.Virology,59(2):284−291, 1986)のvpr遺伝子をPCR法により増幅後、Flag−tagを付加したpBluescriptII−SK(+)のEcoRVおよびXbaIサイトに挿入されたもの(Fvpr/pSK+II)を鋳型として、哺乳類細胞用発現プラスミドpME−18Neo vectorのXhoIおよびNotIサイトにサブクローニングされたもの(Fvpr/pME18Neo)(Nishinoら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,232(2):550−554,1997)を調製して用いることができる。
別の態様において本発明は、HIV−1の増殖を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
(1)野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示すHIV−1ゲノムを含むベクターを細胞に遺伝子導入する;
(2)遺伝子導入した細胞を、候補物質の存在下で24時間ないし72時間、好ましくは48時間ないし72時間培養する(この時間は使用する細胞や培養条件によって当業者が適宜試験して決定してよい);
(3)(2)の細胞よりRNAを抽出して、半定量的RT−PCRによりHIV−1 mRNAの9kb、4kb、および2kbの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片を増幅する;および、
(4)増幅したHIV−1 mRNAの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片の量が、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較してコントロール(野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノムを含むベクターを遺伝子導入した細胞に由来するもの)の値に近づいた場合には、その候補物質は、HIV−1の増殖を抑制する物質であると判断する;
ことを含む方法を提供する。
(1)野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示すHIV−1ゲノムを含むベクターを細胞に遺伝子導入する;
(2)遺伝子導入した細胞を、候補物質の存在下で24時間ないし72時間、好ましくは48時間ないし72時間培養する(この時間は使用する細胞や培養条件によって当業者が適宜試験して決定してよい);
(3)(2)の細胞よりRNAを抽出して、半定量的RT−PCRによりHIV−1 mRNAの9kb、4kb、および2kbの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片を増幅する;および、
(4)増幅したHIV−1 mRNAの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片の量が、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較してコントロール(野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノムを含むベクターを遺伝子導入した細胞に由来するもの)の値に近づいた場合には、その候補物質は、HIV−1の増殖を抑制する物質であると判断する;
ことを含む方法を提供する。
望ましい態様において野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示すHIV−1ゲノムを含むベクターは、HIV−1のcDNA NL432(配列番号2;GenBankアクセッション番号 M19921)を含むベクターである。さらに望ましくは、上記の変異HIV−1ゲノムを含むベクターは、HIV−1のcDNA NL432(配列番号2;GenBankアクセッション番号 M19921)において、HIV−1ゲノムのGag−Pol領域の一部分(配列番号2において塩基番号1511−4551)を欠失した変異型HIV−1ゲノムcDNAを含むベクターである。
さらなる態様において本発明は、HIV−1の増殖を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
(1)野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノム、および、前記変異HIV−1ゲノムとは異なる発現カセットに組み込まれたVprタンパク質をコードする遺伝子、を含むベクターを細胞に遺伝子導入する;
(2)遺伝子導入した細胞を、候補物質の存在下で24時間ないし72時間、好ましくは48時間ないし72時間培養する(この時間は使用する細胞や培養条件によって当業者が適宜試験して決定してよい);
(3)(2)の細胞よりRNAを抽出して、半定量的RT−PCRによりHIV−1 mRNAの9kb、4kb、および2kbの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片を増幅する;および、
(4)増幅したHIV−1 mRNAの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片の量が、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較してコントロール(野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノムを含むベクター;または、野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノム、および、前記変異HIV−1ゲノムとは異なる発現カセットに組み込まれたvpr遺伝子であって、Vprタンパク質を発現しないDNAを含むベクター;を遺伝子導入した細胞に由来するもの)の値に近づいた場合には、その候補物質は、HIV−1の増殖を抑制する物質であると判断する;
ことを含む方法を提供する。
(1)野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノム、および、前記変異HIV−1ゲノムとは異なる発現カセットに組み込まれたVprタンパク質をコードする遺伝子、を含むベクターを細胞に遺伝子導入する;
(2)遺伝子導入した細胞を、候補物質の存在下で24時間ないし72時間、好ましくは48時間ないし72時間培養する(この時間は使用する細胞や培養条件によって当業者が適宜試験して決定してよい);
(3)(2)の細胞よりRNAを抽出して、半定量的RT−PCRによりHIV−1 mRNAの9kb、4kb、および2kbの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片を増幅する;および、
(4)増幅したHIV−1 mRNAの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片の量が、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較してコントロール(野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノムを含むベクター;または、野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノム、および、前記変異HIV−1ゲノムとは異なる発現カセットに組み込まれたvpr遺伝子であって、Vprタンパク質を発現しないDNAを含むベクター;を遺伝子導入した細胞に由来するもの)の値に近づいた場合には、その候補物質は、HIV−1の増殖を抑制する物質であると判断する;
ことを含む方法を提供する。
遺伝子導入する細胞は、哺乳類の細胞であれば特に限定されないが、望ましくは、ヒト由来の細胞である。ヒト由来の細胞で好ましいのはヒト由来の培養細胞、更に好ましくはHeLa細胞、Jurkat細胞、などである。培養は細胞系によって異なり、当業者に周知の方法で行うことができるが、より詳細な条件については適宜当業者が決定してもよい。
遺伝子導入は、当業者に周知の常法で行ってもよく、特別な制限はないが、リポフェクション法、またはエレクトロポレーション法などにより行うことができる。また、トランスフェクション後の培養時間は24時間ないし72時間であるが、この時間は使用する細胞や培養条件によって当業者が適宜試験して決定してよい。例えば、少なくとも24時間以上、望ましくは48時間、または72時間である。
細胞からRNAを抽出するには、AGPC法(acid guanidium-phenol-chloroform method)などの常法により行えばよく、Trizol試薬(Invitrogen)などの市販のRNA抽出用試薬を用いて行ってもよい。
RT−PCRは、HIV−1 mRNAの全種類、ならびに9kb、4kbおよび2kbの各フォームのmRNA群を特異的に増幅するプライマーを用いて行う。RT−PCRは、例えば、KOD+(TOYOBO)を用い、94℃2分の加熱の後、94℃60秒−60℃60秒−72℃60秒のサイクルを適宜繰り返す条件で行うことができる。そして、増幅した各フォームのmRNAに対応するDNA断片は、例えば、FLA−2000(FUJIFILM)を用いる方法により定量する。定量方法は、半定量的方法であってもよい。このDNA断片の量は、各フォームのmRNA群の量を反映する。
ここで、HIV−1 mRNAの全種類に対応するDNA断片の量を測定して、実験系とコントロール系とで比較するのは、他の9kb、4kbおよび2kbの各フォームのmRNA群の生成量が比較可能であるかどうかを確認するためである。mRNA(全種類)生成量が実験系とコントロール系とで同じであれば、他の各フォームのmRNAの生成量の差を直接比較することができるからである。たとえば、図2においては、4kbフォームのmRNA群(4Kで示した)の生成量の比は1.5であるが、mRNAの全種類(LTRで示した)の生成量の比は1.0であるので、4kbフォームのmRNA量の増加はmRNA全体の生成量が増加したことによるものではなく、スプライシングの制御によって生じたものであると結論することができる。
本発明のスクリーニング方法において、増幅したHIV−1 mRNAの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片の量が、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較してコントロール(pΔPSPΔvprおよびVprタンパク質を発現しないコントロールベクターを遺伝子導入した細胞に由来するもの)の値に近づくとは、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較して4kbフォームのmRNA群に対応するDNA断片の量が減少することをいい、望ましくは4kbフォームのmRNA群に対応するDNA断片の量が減少し、かつ、2kbフォームのmRNA群に対応するDNA断片の量が増加することをいう。このような場合は、当該候補物質はVprタンパク質によるスプライシング阻害活性を阻害しているので、この物質はHIV−1の増殖を抑制する物質であると判断する。
本発明のスクリーニング方法において、候補物質は、化学物質であってもよく、タンパク質、ペプチド、抗体、核酸などの生体物質であってもよい。化学物質は、公知の化合物を用いてもよく、または、当業者に既知のコンビナトリアルケミストリーの手法により合成した化合物ライブラリーを用いてもよい。生体物質は、天然由来の配列を有するものを用いてもよく、または、人工的な配列のものを用いてもよい。
また、候補物質は、数段階の希釈列で試験することにより、Vprタンパク質によるスプライシング阻害活性の阻害能力を更に詳細に評価することができる。
HIV−1の2kbフォームおよび4kbフォームのmRNA群には、選択的スプライシングを受けることによって生じる30種類以上の異なるmRNAが含まれる(図3参照)。本発明者らは、それぞれのフォームのmRNA群を構成するmRNAの発現量についても詳細に検討したところ、Vprタンパク質の存在下においては、4kbフォームのmRNA群を構成するmRNAのうちenv mRNAが増加し、および、2kbフォームのmRNA群を構成するmRNAのうちtat mRNAの量が減少することを見いだした(図4および5参照)。このことは、Vprタンパク質はHIV−1 mRNAにおける選択的スプライシングをも選択的に阻害することにより制御することで、HIV−1の遺伝子の中でも構造遺伝子の発現を上昇させていることを示している。
したがって、別の態様において、本発明のスクリーニング方法は、前記(4)の工程に代えて、以下の工程:
(4’)増幅した各フォームのRNA群に対応するDNA断片を、それぞれゲル電気泳動(例えば、アクリルアミドゲル電気泳動)に供して、各フォームのmRNA群を構成するmRNAに対応するDNA断片を分離して検出する;および、
(5’)各mRNAに対応するDNA断片の検出により判明するHIV−1の各フォームのmRNA群を構成するmRNAの発現パターンが、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較してコントロール(上記の変異HIV−1ゲノムを含むベクター、および、Vprタンパク質をコードする遺伝子を含まないコントロールベクターを遺伝子導入した細胞に由来するもの)の発現パターンに近づいた場合には、その候補物質はHIV−1の増殖を抑制する物質であると判断する;
によって候補物質を評価してもよい。
(4’)増幅した各フォームのRNA群に対応するDNA断片を、それぞれゲル電気泳動(例えば、アクリルアミドゲル電気泳動)に供して、各フォームのmRNA群を構成するmRNAに対応するDNA断片を分離して検出する;および、
(5’)各mRNAに対応するDNA断片の検出により判明するHIV−1の各フォームのmRNA群を構成するmRNAの発現パターンが、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較してコントロール(上記の変異HIV−1ゲノムを含むベクター、および、Vprタンパク質をコードする遺伝子を含まないコントロールベクターを遺伝子導入した細胞に由来するもの)の発現パターンに近づいた場合には、その候補物質はHIV−1の増殖を抑制する物質であると判断する;
によって候補物質を評価してもよい。
この場合に、本発明のスクリーニング方法において、各mRNAに対応するDNA断片の検出により判明するHIV−1の各フォームのmRNA群を構成するmRNAの発現パターンが、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較してコントロール(pΔPSPΔvprおよびVprタンパク質を発現しないコントロールベクターを遺伝子導入した細胞に由来するもの)の値に近づくとは、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較して4kbフォームのmRNA群についてenv mRNAに対応するDNA断片の量が減少した場合をいい、望ましくは、4kbフォームのmRNAについてenv mRNAに対応するDNA断片の量が減少し、かつ、2kbフォームのmRNA群についてtat mRNAに対応するDNA断片の量が増加した場合をいう。このような場合は、当該候補物質はVprタンパク質によるスプライシング制御を阻害しているので、この物質はHIV−1の増殖を抑制する物質であると判断する。
プライマー
本発明は、HIV−1 mRNAの全種類、ならびに9kb、4kbおよび2kbの各フォームのmRNA群を特異的に増幅するプライマーを提供する。プライマーはいずれも、HIV−1ゲノムに対応する連続した15−30塩基のDNAで構成される。
プライマー
本発明は、HIV−1 mRNAの全種類、ならびに9kb、4kbおよび2kbの各フォームのmRNA群を特異的に増幅するプライマーを提供する。プライマーはいずれも、HIV−1ゲノムに対応する連続した15−30塩基のDNAで構成される。
具体的には、フォーワードプライマーとしては配列番号6の塩基配列を有するプライマーを用い、リバースプライマーとしては、HIV−1 mRNAの全種類を増幅するものとして配列番号7の塩基配列を有するプライマーを、9kbフォームmRNA群に特異的なものとして配列番号8の塩基配列を有するプライマーを、4kbフォームmRNA群に特異的なものとして配列番号9の塩基配列を有するプライマーを、2kbフォームmRNA群に特異的なものとして配列番号10の塩基配列を有するプライマーをそれぞれ用いればよい(図6参照)。したがって、HIV−1 mRNAの全種類を増幅するためには配列番号6および配列番号7で示されるプライマー対、9kbフォームmRNA群を特異的に増幅するためには配列番号6および配列番号8で示されるプライマー対、4kbフォームmRNA群を特異的に増幅するためには配列番号6および配列番号9で示されるプライマー対、2kbフォームmRNA群を特異的に増幅するためには配列番号6および配列番号10で示されるプライマー対をそれぞれ用いればよい。
本発明のプライマーは当業者に既知のホスホルアミダイト法などによる化学合成によって得ることができる。
医薬組成物
本発明は、HIV−1 Vprタンパク質を阻害することにより、HIV−1における、4kbフォームのmRNA群の増加および2kbフォームのmRNA群の減少を抑制する物質を有効成分とする医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、望ましくは本発明のスクリーニング方法により選択される物質を有効成分とする。本発明の医薬組成物は、望ましくはHIV−1の増殖を抑制するために用いられる。
医薬組成物
本発明は、HIV−1 Vprタンパク質を阻害することにより、HIV−1における、4kbフォームのmRNA群の増加および2kbフォームのmRNA群の減少を抑制する物質を有効成分とする医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、望ましくは本発明のスクリーニング方法により選択される物質を有効成分とする。本発明の医薬組成物は、望ましくはHIV−1の増殖を抑制するために用いられる。
本発明の医薬組成物は、医薬的に許容できるキャリアーまたは希釈剤などを含んでいてもよい。医薬的に許容できるキャリアーまたは希釈剤などは、本質的に化学的に不活性および無害な組成物であり、本発明の医薬組成物の生物学的活性に全く影響を与えないものである。そのようなキャリアーまたは希釈剤の例は、塩溶液、糖溶液、グリセロール溶液、エタノールなどがあるが、これらに限定されない。
本発明の医薬組成物は、患者に適切に投与できるような形態で提供される。本発明の医薬組成物の製剤形態は、例えば注射剤、点滴剤などの液剤、または凍結乾燥製剤などであってもよい。液剤の場合、本発明の医薬組成物は医薬的に許容される任意の添加剤、例えば、乳化補助剤、安定化剤、等張化剤、pH調製剤を適当量含有していてもよい。凍結乾燥製剤は、本発明の液剤を凍結乾燥処理することにより調製することができる。凍結乾燥処理は、常法により行うことができる。本発明の凍結乾燥製剤は、一般には任意の適当な滅菌済の溶液(再溶解液)の添加によって再溶解し使用することができる。このような再溶解液としては、注射用水、生理食塩水などの電解質液、ブドウ糖液、その他一般輸液を挙げることができる。
本発明の医薬組成物は、投与単位形態で投与することが望ましく、ヒトに対し、静脈内投与、動脈内投与、経口投与、組織内投与、経粘膜投与または経直腸投与することができ、患者の症状に合わせた適切な方法により投与してよい。これらの投与方法に適した剤型、例えば各種の注射剤、経口剤、点滴剤、坐剤等で投与される。
本発明の医薬組成物の用量は、薬物、剤型、年齢や体重などの患者の状態、投与経路、病気の性質と程度などを考慮した上で決定することが望ましい。医師であれば、個々の患者に最適な投与量および投与間隔を決定することができる。
siRNA
本発明者らは、HIV−1 Vprタンパク質がHIV−1 mRNAのスプライシング制御に関わって、HIV−1の複製・増殖に重要な役割を果たしていることを突き止めた。そして、Vprタンパク質の発現を抑制することで、HIV−1の複製・増殖を抑制できるという考えに到達し、本発明を完成させた。
siRNA
本発明者らは、HIV−1 Vprタンパク質がHIV−1 mRNAのスプライシング制御に関わって、HIV−1の複製・増殖に重要な役割を果たしていることを突き止めた。そして、Vprタンパク質の発現を抑制することで、HIV−1の複製・増殖を抑制できるという考えに到達し、本発明を完成させた。
したがって、本発明は、HIV−1 Vprタンパク質の発現を抑制するためのsiRNA(short interference RNA)に関する。siRNAは、21〜23塩基の配列を有する二本鎖RNAであって、それぞれのRNAの3’末端は2〜3塩基の突出端となっているものである。siRNAが細胞内に導入されると、RISC(RNA−induced silencing complex)と呼ばれるタンパク質複合体によって、当該siRNAの相補鎖を有するRNAが切断される(S.M.Elbashirら、“Nature”、2001年、411巻、p.494−498)。したがって、vpr遺伝子に対応するsiRNAを細胞内に導入することによって、vpr mRNAが切断されるため、Vprタンパク質の発現が抑制(ノックダウン)される。vpr遺伝子についてのsiRNAによってVprタンパク質の発現を抑制することで、HIV−1の複製・増殖を抑制することができる。
本発明のsiRNAは、vpr遺伝子(配列番号5)の内部の連続する21〜23塩基の配列を有する二本鎖RNAに加えて、それぞれのRNAの3’末端は2〜3塩基の突出端となっているものである。本発明のsiRNAは、ホスホルアミダイト法などにより化学合成で作成してもよい。
また、本発明は、本発明のsiRNAを含む医薬組成物に関する。本発明のsiRNAを含む医薬組成物は、HIV−1の増殖を抑制するために用いられる。
本発明のsiRNAを含む医薬組成物は、siRNAを細胞内に移行させるのに有効な、カチオン性リポソームおよびカチオン性ポリマーなどのカチオン性担体、またはウイルスエンベロープを利用した担体などを含んでいてもよい。また、本発明のsiRNAを含む医薬組成物は、本発明の医薬組成物と同様に、医薬的に許容できるキャリアーまたは希釈剤などを含んでいてもよく、患者に適切に投与できるような形態であり、用量は医師により決定される。
また、本発明のsiRNAを含む医薬組成物は、本発明のsiRNAの代わりに、標的細胞内で本発明のsiRNAを発現するようなベクターを含んでいる医薬組成物をも意味する。このようなベクターは、標的細胞に導入すると、細胞内で本発明のsiRNAを発現するので、本発明のsiRNAを投与するのと同様の効果が得られる。
アンチセンス核酸
本発明は、HIV−1 Vprタンパク質の発現を抑制するためのアンチセンス核酸に関する。本発明のアンチセンス核酸は、vpr遺伝子(配列番号5)の内部の連続する15〜30塩基の配列の相補鎖DNAで構成される。本発明のアンチセンス核酸は、ホスホルアミダイト法などにより化学合成で作成してもよい。
アンチセンス核酸
本発明は、HIV−1 Vprタンパク質の発現を抑制するためのアンチセンス核酸に関する。本発明のアンチセンス核酸は、vpr遺伝子(配列番号5)の内部の連続する15〜30塩基の配列の相補鎖DNAで構成される。本発明のアンチセンス核酸は、ホスホルアミダイト法などにより化学合成で作成してもよい。
また、本発明は、本発明のアンチセンス核酸を含む医薬組成物に関する。本発明のアンチセンス核酸を含む医薬組成物は、HIV−1の増殖を抑制するために用いられる。
本発明のアンチセンス核酸を含む医薬組成物は、アンチセンス核酸を細胞内に移行させるのに有効な、カチオン性リポソームおよびカチオン性ポリマーなどのカチオン性担体、またはウイルスエンベロープを利用した担体などを含んでいてもよい。また、本発明のアンチセンス核酸を含む医薬組成物は、本発明の医薬組成物と同様に、医薬的に許容できるキャリアーまたは希釈剤などを含んでいてもよく、患者に適切に投与できるような形態であり、用量は医師により決定される。
本発明は、新規な抗HIV−1薬およびそのスクリーニング方法を提供することにより、薬剤耐性ウイルスの出現が問題となっているエイズ治療の分野に、新たな治療法およびその開発手段を提供する。本発明のスクリーニング方法および医薬組成物は、従来治療のターゲットとされてきたウイルスの感染過程でなく、感染後のウイルスの複製・増幅過程における全くの新規な機構をターゲットとしており、エイズ治療に多様性を持たせるという意味においても貢献するものである。
実施例1:HIV−1 Vprタンパク質がウイルスゲノムのスプライシングに及ぼす影響
HIV−1のcDNA NL432(配列番号2:GenBankアクセッションNo.M19921)よりGag−Pol領域の一部分(配列番号2における塩基番号1511−4551)を欠失させたpΔPSPを作成するために、制限酵素BalIおよびSpeIで処理した。このpΔPSPは野生型遺伝子と同様な発現パターンを示すことが報告されている(Nucleic Acid Res.,29:464−478)。
HIV−1のcDNA NL432(配列番号2:GenBankアクセッションNo.M19921)よりGag−Pol領域の一部分(配列番号2における塩基番号1511−4551)を欠失させたpΔPSPを作成するために、制限酵素BalIおよびSpeIで処理した。このpΔPSPは野生型遺伝子と同様な発現パターンを示すことが報告されている(Nucleic Acid Res.,29:464−478)。
また、HIV−1のcDNA NL432(配列番号2:GenBankアクセッションNo.M19921)を制限酵素NdeIおよびsalIで処理し、切り出した断片を平滑末端処理してpBluescript SK+に組み込んだ。このプラスミド中のvpr遺伝子の開始コドン(配列番号2における塩基番号5559−5561)ATGをGTGに変異させた。変異させたプラスミドより制限酵素PflMIおよびEcoRIで断片を切り出し、同様に制限酵素PflMIおよびEcoRIで処理したN432に組み込むことで、NL432Δvprを作成した。次に、NL432Δvprを制限酵素BalIおよびSpeIで処理し、gag−pol領域の一部分(配列番号2における塩基番号1511−4551)を欠失させた断片を平滑末端処理した後、セルフライゲーションさせ変異HIV−1ゲノムcDNA(配列番号4)含むプラスミドpΔPSPΔvprとした。
Vprタンパク質をコードする遺伝子(配列番号5)を含む発現ベクターは、HIV−1分離株NL432感染性分子クローン(Adachiら、J.Virology,59(2):284−291,1986)のvpr遺伝子をPCR法により増幅後、Flag−tagを付加したpBluescriptII−SK(+)のEcoRIおよびXbaIサイトに挿入されたもの(Fvpr/pSK+II)を鋳型として、哺乳類細胞用発現プラスミドpME−18NeoベクターのXhoIおよびNotIサイトにサブクローニングされたもの(Fvpr/pME18Neo)を調製して用いた。
コントロールベクターとしては、上述のVpr発現ベクターのVprタンパク質の三番目のアミノ酸をコードする配列CAAを終止コドンTAAに変異させたものを用いた。したがって、コントロールベクターからはVprタンパク質は発現しない。
上記のpΔPSPΔvprを、Vpr発現ベクターまたはコントロールベクターと共に、トランスフェクション法によりHeLa細胞に導入した。具体的にはトランスフェクションは、リポフェクタミンPlus(Invitrogen)を用い、製造元のプロトコルに従って行った。トランスフェクションした細胞を37℃、5%CO2存在下で培養した。 培養開始後、24時間、48時間、72時間の各時間において、Trizol試薬(Invitrogen)を用いて、細胞からRNAを抽出した。このRNAを鋳型として、ランダムヘキサマーをプライマーとして用いて、逆転写反応によりcDNAを合成した。具体的には、MMLV−RT(Invitrogen)を用いて、製造元のプロトコルに従って逆転写反応を行った。
HIV−1 mRNAの9kb、4kb、および2kbの各フォームのmRNA群を特異的に増やすプライマーを設計して合成した。具体的には、フォーワードプライマーとしてはodp045プライマー(配列番号6)を用い、リバースプライマーとしては、HIV−1 mRNAの全種類を増幅するものとして744(Total)プライマー(配列番号7)、9KbフォームmRNA群特異的なものとしてGagプライマー(配列番号8)、4KbフォームmRNA群特異的なものとしてKPNAプライマー(配列番号9)、および2KbフォームmRNA群特異的なものとしてSJ4.7Aプライマー(配列番号10)を用いた(図6参照)。
上記のプライマーを用いて、上記の細胞から抽出したRNAを鋳型に、半定量的RT−PCR法により各フォームのmRNA群に対応するDNA断片を半定量的に増幅した。このDNA断片の量は、各フォームのmRNA群の量を反映しているので、増幅されたDNA断片の量を観察することにより、Vprタンパク質の有無によってそれぞれのフォームのmRNA群の量が変化するかどうかについて観察した。
トランスフェクション後、24時間目に抽出したRNAでは、Vprタンパク質の有無に基づくHIV−1の各フォームのmRNA群の量の変化は認められなかった。一方、48時間目に抽出したRNAでは、Vprタンパク質が存在する場合、4kbフォームmRNA群の増加および2kbフォームmRNA群の減少が観察された(図2参照)。
通常、HIV−1の感染の初期段階では、HIV−1ゲノムRNAは2回スプライシングを受けた2kb(1.8kb)フォームになり、核外へ移行し、細胞質においてこのRNAから調節性遺伝子であるRev、Tat、Nefが発現する。この時点では、フルゲノムRNAである9kbフォームおよび1回スプライシングを受けた4kbフォームは、核外へ移行できず核内にとどまる。一方、Revの発現量が高まって感染後期になると、pre−mRNA中のRRE(Rev response element)配列にRevが結合し、4kbフォームおよび9kbフォームのRNAが核外に輸送され、Env、Gag、Polといったウイルス本体を構成するタンパク質も発現するようになる(図1参照:Annu.Rev.Microbiol.,52:491−532,1998)。
本実施例の結果は、Vprタンパク質が2kbフォームRNA群の生成を抑制しつつ、4kbフォームmRNA群の生成を促進する働きを有することを示すものである。このことは、Vprタンパク質によるウイルスゲノムのスプライシング阻害がHIV−1ウイルスの感染段階をウイルス複製・増殖の過程に導いていることを示唆している。
また、本実施例の実験系の確立により、Vprタンパク質のHIV−1 mRNAのスプライシングに及ぼす影響を評価することが可能となったので、この実験系を抗HIV薬のスクリーニングにおける評価に適用することができる。
実施例2:HIV−1 Vprタンパク質の存在下でのウイルスゲノムのスプライシングパターンが受ける影響
HIV−1の2kbフォームおよび4kbフォームのmRNA群には、選択的スプライシングをうけることによって生じる30種類以上の異なるmRNAが含まれる(図3参照)。この選択的スプライシングのパターンによって、Env、調節遺伝子、およびアクセサリー遺伝子など、個々の遺伝子の発現を制御していることが明らかとなっている(J.Virology,6365−6378,1993)。
実施例2:HIV−1 Vprタンパク質の存在下でのウイルスゲノムのスプライシングパターンが受ける影響
HIV−1の2kbフォームおよび4kbフォームのmRNA群には、選択的スプライシングをうけることによって生じる30種類以上の異なるmRNAが含まれる(図3参照)。この選択的スプライシングのパターンによって、Env、調節遺伝子、およびアクセサリー遺伝子など、個々の遺伝子の発現を制御していることが明らかとなっている(J.Virology,6365−6378,1993)。
そこで、Vprタンパク質の存在下および非存在下における各フォームのmRNA群に含まれるmRNA種を調べて、Vprタンパク質が選択的スプライシングに及ぼす影響を観察した。
実施例1と同様にして得た半定量RT−PCR産物を、4%アクリルアミドゲルにて泳動後、SYBR Green(Molecular Probe Inc.)により染色し、蛍光イメージアナライザー(FLA−2000:FUJIFILM)により各バンドを定量した。
観察の結果、4kbフォームmRNA群ではVprタンパク質の存在下、Envタンパク質をコードする遺伝子が、Vprタンパク質の非存在下と比較して増加していることが示唆された(図4参照)。一方、2kbフォームmRNA群ではVprタンパク質の存在によりTatタンパク質をコードしているmRNAがVprタンパク質の非存在下と比較して減少していることが観察された(図5参照)。
実施例3:HIV−1感染細胞におけるHIV−1 Vprタンパク質の存在下でのウイルスゲノムのスプライシングパターンが受ける影響
Molt4細胞にHIV−1 NL432(配列阿番号2:GenBankアクセッションNo.M19921)またはHIV−1 NL432Δvprを感染させ、HIV−1感染細胞を作製した。HIV−1感染細胞を2、3、4、または8日間培養した後、細胞からトータルRNAを抽出し、LTR、9kbフォーム、env、tat、rev、nef、およびvprのそれぞれに特異的なプライマーでReal−time PCR(Roche)により、製造者のプロトコルに従って定量した。
実施例3:HIV−1感染細胞におけるHIV−1 Vprタンパク質の存在下でのウイルスゲノムのスプライシングパターンが受ける影響
Molt4細胞にHIV−1 NL432(配列阿番号2:GenBankアクセッションNo.M19921)またはHIV−1 NL432Δvprを感染させ、HIV−1感染細胞を作製した。HIV−1感染細胞を2、3、4、または8日間培養した後、細胞からトータルRNAを抽出し、LTR、9kbフォーム、env、tat、rev、nef、およびvprのそれぞれに特異的なプライマーでReal−time PCR(Roche)により、製造者のプロトコルに従って定量した。
実施例2の結果、すなわち、pΔPSPΔvprとVpr発現ベクター、または、pΔPSPΔvprとコントロールベクターをHeLa細胞に導入した際のHIV−1 mRNAの発現パターンをアクリルアミドゲル電気泳動で測定した結果(図4および図5)と同様に、HIV−1感染細胞を用いた場合においてもVpr存在下で、感染後8日目においてenv mRNAおよびrev mRNAの増加とtat mRNAの減少が観察された(図7)。また、感染後、2、3、および4日目に抽出したRNAにおいても同様の傾向がみられた。このことから、HIV−1感染細胞においても、Vprタンパク質はenv、rev、およびtatのmRNAパターンに影響を及ぼすことが示唆された。
本実施例の結果は、Vprタンパク質が選択的スプライシングにも影響を及ぼして、HIV−1ウイルスのタンパク質発現パターンに関与していることを示唆している。
本実施例の結果は、Vprタンパク質が選択的スプライシングにも影響を及ぼして、HIV−1ウイルスのタンパク質発現パターンに関与していることを示唆している。
また、本実施例の実験系の確立により、Vprタンパク質のHIV−1 mRNAのスプライシングに及ぼす影響を各mRNAレベルで評価することが可能となったので、この実験系を抗HIV薬のスクリーニングにおける評価に適用することができる。
Claims (15)
- HIV−1 Vprタンパク質が、宿主細胞内におけるHIV−1 mRNAの生成において、4kbフォームのmRNA群の生成を増加させ、および/または、2kbフォームのmRNA群の生成を減少させる活性を阻害する物質を有効成分とする、HIV−1の増殖を抑制するための医薬組成物。
- AIDSの発症および/またはAIDSウイルスの増殖を抑制するための、請求項1に記載の医薬組成物。
- HIV−1の増殖を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
(1)(i)野生型HIV−1遺伝子と同様なmRNA発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノムを含むベクター、および、(ii)Vprタンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターを細胞に遺伝子導入する;
(2)遺伝子導入した細胞を、候補物質の存在下で24時間ないし72時間、好ましくは48時間ないし72時間培養する;
(3)(2)の細胞よりRNAを抽出して、RT−PCRによりHIV−1 mRNAの9kb、4kb、および2kbの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片を増幅する;および、
(4)増幅したHIV−1 mRNAの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片の量が、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較してコントロールの値に近づいた場合には、その候補物質は、HIV−1の増殖を抑制する物質であると判断する;
ことを含む、上記方法。 - HIV−1の増殖を抑制する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
(1)(i)野生型HIV−1遺伝子と同様なmRNA発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノムを含むベクター、および、(ii)Vprタンパク質をコードする遺伝子を含む発現ベクターを細胞に遺伝子導入する;
(2)遺伝子導入した細胞を、候補物質の存在下で24時間ないし72時間、好ましくは48時間ないし72時間培養する;
(3)(2)の細胞よりRNAを抽出して、RT−PCRによりHIV−1 mRNAの9kb、4kb、および2kbの各フォームのmRNA群に対応するDNA断片を増幅する;
(4)増幅した各フォームのRNA群に対応するDNA断片を、それぞれゲル電気泳動に供して、各フォームのmRNA群を構成するmRNAに対応するDNA断片を分離して検出する;および、
(5)各mRNAに対応するDNA断片の検出により判明するHIV−1の各フォームのmRNA群を構成するmRNAの発現パターンが、候補物質の存在によって、候補物質の非存在下と比較してコントロールのmRNA発現パターンに近づいた場合には、その候補物質はHIV−1の増殖を抑制する物質であると判断する;
ことを含む、上記方法。 - HIV−1 mRNAの9kbフォームのmRNA群を特異的に増幅するための配列番号6および配列番号8の配列を有するプライマー対。
- HIV−1 mRNAの4kbフォームのmRNA群を特異的に増幅するための配列番号6および配列番号9の配列を有するプライマー対。
- HIV−1 mRNAの2kbフォームのmRNA群を特異的に増幅するための配列番号6および配列番号10の配列を有するプライマー対。
- HIV−1 mRNAの全種類を増幅するための配列番号6および配列番号7の配列を有するプライマー対。
- HIV−1 Vprタンパク質の発現を抑制するためのsiRNA。
- HIV−1の増殖を抑制するための、請求項9に記載のsiRNAを含む医薬組成物。
- AIDSの発症を抑制するための、請求項10に記載の医薬組成物。
- HIV−1 Vprタンパク質の発現を抑制するためのアンチセンス核酸。
- HIV−1の増殖を抑制するための、請求項12に記載のアンチセンス核酸を含む医薬組成物。
- AIDSの発症を抑制するための、請求項13に記載の医薬組成物。
- (1)の工程が、野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示すHIV−1ゲノムを含むベクターを細胞に遺伝子導入する;または、野生型HIV−1遺伝子と同様な発現パターンを示し、かつ、Vprタンパク質を発現しないように変異させた変異HIV−1ゲノム、および前記変異HIV−1ゲノムとは異なる発現カセットに組み込まれたVprタンパク質をコードする遺伝子、を含むベクターを細胞に遺伝子導入する;工程である、請求項3または4に記載の方法。
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