JPWO2004059619A1 - 情報記録媒体用ガラス基板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、主表面の平滑性を低下させることなく均一なテクスチャーを形成することができる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供する。その方法は、円盤状のガラス板(11a)の主表面に研磨剤を供給しながら、研磨部材(33)でその主表面を摺接することにより、その主表面にテクスチャーを形成する工程を含む。この工程は、ガラス板をその周方向に所定の回転速度で回転させながら、ガラス板をその径方向へ揺動させることを含む。ガラス板の回転速度と揺動速度及び揺動ストロークは、研磨剤中の砥粒(34)が、ガラス板の表面に、少なくとも3箇所で交差する軌跡を描くように決められる。

Description

本発明は、テクスチャーの形成された主表面を有するガラス基板の製造方法に関し、特に、ハードディスクドライブ等の情報記録装置に設けられる、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の情報記録媒体用のガラス基板の製造方法に関する。
−般に磁気ディスクは、円盤状をなすガラス基板の主表面に磁性膜及び保護膜を積層することによって製造される。高密度で大容量のデータを磁気ディスクに記録するため、ガラス基板の主表面は平滑に研磨される。しかし、平滑に研磨された磁気ディスクの主表面には、情報を磁気ディスクから読み取る及び磁気ディスクに書き込むための磁気ヘッドが吸着しやすくなる。そこで、磁気ヘッドの吸着の低減を目的として、ガラス基板の表面に同心円状に延びる複数のライン状の微細な突起を含むテクスチャーを形成する機械式テクスチャー加工法が特開2001−101656号公報に提案されている。ライン状の微細な突起同士が0.1〜45°の範囲の交差角で交差するようにテクスチャーを形成することにより、磁気ディスクの円周方向に磁気異方性を付与する方法が特開2001−209927号公報に提案されている。
ところが、従来の方法でテクスチャーを形成したガラス基板には、研磨加工を施したにも係わらず、高い確率で表面の平滑性が低下してしまうという問題があった。表面の平滑性を示す基準のうち、三次元表面構造解析顕微鏡を用い0.2〜1.4mmの波長の光で測定される微小うねりが高くなる傾向があった。
この原因として、ライン状の微小突起同士を所定の角度で交差させるための加工条件は一義的に定められるものではないことが挙げられる。すなわち、所定の交差角を得るための加工条件が幾つも存在するため、ある加工条件では、所定の交差角と表面の平滑性が得られる一方、他の加工条件では、所定の交差角は得られるが、表面の平滑性は低下することがある。これは、交差角が同じであっても、テクスチャーの一部では深い溝が形成され、他の一部では浅い溝が形成されてテクスチャーが不均一になり、ガラス基板の平滑性が低下するからであると考えられる。
本発明の目的は、均一なテクスチャーと高い平滑性とを有する情報記録媒体用ガラス基板及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の一態様は、円盤状をなすガラス板の主表面に砥粒を含む研磨剤を供給しつつ、前記主表面を研磨部材で摺接することにより、前記主表面にテクスチャーを形成する工程を含む情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、砥粒が前記ガラス板の主表面上の少なくとも3箇所で交差する一筆書きの軌跡を周期的に描くように、前記ガラス板を回転させながら、前記研磨部材及び前記ガラス板のいずれか一方を他方に対して前記ガラス板の径方向へ揺動させることを特徴とする。
前記揺動の周波数F(Hz)と前記ガラス板の回転速度R(min−1)は、前記回転速度Rが(F×60)±5の範囲外になるように決められていることが好ましい。
一実施形態では、前記一筆書きの軌跡はその途中に少なくとも5箇所の交点を有する。
一実施形態では、揺動の周波数は0Hzより高く、20Hz以下である。
一実施形態では、前記回転速度は240〜540min−1である。
一実施形態では、揺動のストロークは0.5〜2mmである。
研磨部材はISO7627−2に規定されるduro硬度が40〜90である弾性材料製のローラであることが好ましい。
一実施形態では、前記テクスチャーを形成する工程後、JIS K7113に規定される100%モジュラスが2.9〜39.2MPaであるスクラブ材で前記ガラス板の主表面を擦る工程が更に行なわれる。
前記ガラス板の外径が48mm以下の場合、前記揺動の周波数は0Hzより高く、4Hz以下であり、前記外径が48mmを超える場合、前記揺動の周波数は4Hzより高く、20Hz以下であることが好ましい。
本発明の他の態様は、主表面と中心円孔とを有する円盤状のガラス板を用意する工程と、各々が前記中心円孔の周りの少なくとも3箇所で交差する閉じた曲線に沿って延びる複数の溝を含むテクスチャーを、前記主表面に形成する工程とを備える情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を開示する。
一実施形態では、前記テクスチャーを形成する工程が、前記ガラス板の主表面に砥粒を含む研磨剤を供給することと、研磨部材を前記ガラス板の主表面に押し付けることと、前記ガラス板と前記研磨部材のいずれか一つを当該ガラス板の径方向に周期的に揺動させることと、前記ガラス板を一定の速度で回転させる工程とを同時に行なうことを含む。
揺動のストロークは0.5〜2mmであり、前記揺動の周波数F(Hz)と前記ガラス板の回転速度R(min−1)は、前記回転速度Rが(F×60)±5の範囲外になるように決められていることが好ましい。
前記揺動の周波数は前記ガラス板の外径寸法に応じて変更されることが好ましい。
本発明の他の態様は、テクスチャの形成された主表面を有する情報記録媒体用ガラス基板を開示する。原子間力顕微鏡を用いて測定される、ガラス基板の主表面の算術平均粗さRaが0.5nm以下であり、0.2〜1.4mmの測定波長の光を用いた三次元主表面構造解析顕微鏡により測定される、前記主表面の微小うねりの高さNRaが0.2nm以下である。
ガラス基板のテクスチャは複数の突起を含むものであり、前記主表面において所定の基準面積を有する一領域内において、前記複数の突起の断面積の合計値が前記基準面積に対して50%となるように前記複数の突起を横切る、仮想の基準面を設定した場合、前記複数の突起の断面積の合計値が前記基準面積に対して0.4%となるように前記複数の突起を横切る、前記主表面と平行な第1の仮想面は、前記仮想の基準面から第1の距離だけ離間しており、複数の突起の断面積の合計値が前記基準面積に対して0.01%となるように前記複数の突起を横切る、前記主表面と平行な第2の仮想面が、前記仮想の基準面から第2の距離だけ離間しており、前記第1の距離と第2の距離との差が0.01〜1.0nmである。
本発明の他の態様は、中心円孔と主表面とを有する円盤状の情報記録媒体用ガラス基板において、前記主表面に、各々が前記中心円孔の周りの少なくとも3箇所で交差する閉じた曲線に沿って延びる複数の溝を含むテクスチャーが形成されていることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板に関する。
図1は本発明の情報記録媒体用ガラス基板の正面図。
図2Aはテクスチャーマシンの概略側面図。
図2Bはテクスチャーマシンの概略正面図。
図3Aはテクスチャーの概略的拡大図。
図3Bは図3Aの3B−3B線に沿った断面図。
図3Cは図3Aの3C−3C線に沿った断面図。
図4A及び図4Bはガラス板の回転と揺動が非同期しているときに、一つの砥粒によってガラス板の表面に形成される溝描く軌跡。
図5A、図5B、図6A及び図6Bはガラス板の回転と揺動が同期しているときに、砥粒がガラス板の表面に描く軌跡。
図7A及び図7Bはガラス板の表面に押圧されたテクスチャーマシンのローラの拡大図。
図8〜図11は本発明の実施例と比較例のガラス基板について、ベアリングレシオ(BR)とベアリングハイト(BH)の関連を示すグラフ。
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、情報記録媒体用ガラス基板11は、中心に円孔12を有し、その主表面にテクスチャー13の形成された円盤である。ガラス基板11は、フロート法、ダウンドロー法、リドロー法又はプレス法で製造されたソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、結晶化ガラス等の多成分系のガラス材料製である。ガラス基板11は、シート状のガラス材料から円盤状のガラス板を切り出し、そのガラス板を研磨し、その表面にテクスチャー加工を施すことにより製造される。
テクスチャー13は、複数の尾根部(凸部)と、複数の谷部とから構成される。尾根部及び谷部はガラス基板11の周方向へ断続的に延びるラインをなしている。テクスチャー13を有するガラス基板11の主表面に、例えばコバルト(Co)、クロム(Cr)、鉄(Fe)等の金属又は合金よりなる磁性膜、保護膜等を形成することによって磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の情報記録媒体が得られる。テクスチャー13を形成することによって、ガラス基板11から製造された情報記録媒体の記録面とヘッドとの接触面積が低減される。
次に、ガラス基板11の製造方法について説明する。
ガラス基板11は、円盤加工工程、端面面取り工程、ラップ工程、研磨工程、洗浄処理工程及びテクスチャー加工工程を経て製造される。
円盤加工工程においては、超硬合金又はダイヤモンド製のカッターを用いることにより、四角形のガラス材料から円盤状のガラス板が切り抜かれる。端面面取り工程においては、ガラス板の外周端面及び内周端面が研削され、外径寸法及び内径寸法が所定長さとされるとともに、外周端面及び内周端面の角部が面取りされる。ラップ工程においては、研磨装置を用いてラップ処理が施されることにより、ガラス板の反りが修正される。研磨工程においては、研磨装置を用いて複数段階の研磨処理が施され、ガラス板の主表面が平滑面とされる。洗浄処理工程においては、研磨処理後のガラス板を洗浄液で洗浄することにより、ガラス板の主表面に付着した研磨剤、研磨粉、塵埃等の付着物が除去される。
テクスチャー加工工程においては、研磨工程でその主表面を平滑とされたガラス板に対し、テクスチャーマシンを用いて、機械式テクスチャー形成法に従い、ガラス板の主表面にテクスチャーが形成される。このようにして、ガラス基板11が製造される。
テクスチャーマシンについて説明する。
図2A,図2Bに示すように、テクスチャーマシン内において、ガラス板11aは図示しないスピンドルにより回転可能に支持されている。ガラス板11aは、互いに対向するように設けられた一対のローラ31間に配置される。各ローラ31は、ガラス板11aの半径方向に延びる回転軸32によって回転可能に支持される。両ローラ31はガラス板11aに対して接近及び離間可能である。
ガラス板11aの主表面と、対応するローラ31との間には、研磨部材としてのテープ部材33が移動可能に配置される。テープ部材33は、ガラス板11aの主表面と各ローラ31との間において、その一端側(図2Aの上側)から他端側(図2Aの下側)へと移動される。テープ部材33とガラス板11aの主表面との間には、図示しない供給部から研磨剤が供給され、この研磨剤に含まれる砥粒がテープ部材33に付着する。ガラス板11aを一定の回転速度で回転させながら、ガラス板11aの主表面に一対のローラ31を接近させることにより、テープ部材33はガラス板11aの主表面を摺接する。このテープ部材33の摺接により、砥粒がガラス板11aの主表面に押し付けられ、同主表面を削ることにより、複数のライン状の微細な溝すなわちテクスチャーの谷部が形成される。また、これら谷部の間にテクスチャーの尾根部が画定される。
研磨剤に含まれる砥粒は、その粒径に若干の差異を有している。このため、一つ一つの砥粒が形成する谷部の深さ及び幅に差異が生じ、尾根部の形状が不均一となってしまう。例えば、谷部が深く、幅広に形成された箇所では、谷部の間の部分が大きく削られることから、尾根部は低く、細くなる。これとは逆に、谷部が浅く、幅狭に形成された箇所では、谷部の間の部分が小さく削られることから、尾根部は高く、太く形成される。そして、低く細い尾根部に高く太い尾根部が連なったり等して該尾根部の頂上を繋ぐ線(稜線)が波状をなすように歪み、この歪みが主表面の微小うねりに影響を与えることとなる。
従来のガラス基板の製造方法では、回転されるガラス板に研磨部材を押し付けるだけであり、ガラス板も研磨部材も揺動されない。従って、テクスチャーの尾根部と谷部が同心円状に形成される。ガラス板に押し付けられる一つの砥粒がガラス板の主表面上に描く軌跡は、図5Aに示すように、ガラス板の周方向へ延びる円形である。この場合、複数の軌跡が互いに交差することはない。つまり、ある場所で比較的高い尾根部が形成されたとしても、他の砥粒の軌跡がこの尾根部を削るように横切り、該尾根部の高さを修正することはない。また、一旦、谷部が深く、幅広に形成されると、その谷部に砥粒が入り込みやすくなることから、周期運動する砥粒によって主表面の同じ箇所ばかりが削られるという現象が発生しやすくなる。特に、円形の軌跡の場合、一つの砥粒が他の砥粒の通った跡をなぞりやすくなることから、この現象が極めて高い確率で発生する。その結果、ガラス板の主表面全体を観点とする巨視的に見て、同一のガラス板でありながら、ある任意の箇所と他の箇所とで尾根部の高さ、幅等の形状に偏りが生じやすくなる。また、個々の尾根部を観点とする微視的に見て、連なる一つの尾根部でありながら、ある箇所では稜線が上下左右に大きく歪み、他の箇所では稜線が平坦である等のように、稜線の形状、なかでも頂上の高さが不均一となりやすい。特に、ガラス板11aの主表面で同じ箇所ばかりが深く削られた場合、微視的に見て尾根部の稜線上に大きな削り残しが存在することにより、バリと呼ばれる異常突起が形成されやすくなる。そして、巨視的及び微視的に見て尾根部の形状に偏りが生じたり、稜線の形状が不均一となったりすることで微小うねりの高低差が大きくなり、ガラス基板の表面品質が低下してしまう。
なお、この明細書中で一周期とは、ガラス板の主表面の任意の1点(始点)に押し付けられた砥粒が、その始点と同一位置(終点)まで戻るまでの時間をいう。この明細書中で周期運動とは、略同一の軌跡を略同一時間間隔毎に繰り返し描く運動をいう。
そこで、第1実施形態では、図2Bに示すように、ガラス板11aが回転されるだけでなく、ガラス板11aとローラ31の一方が、ガラス板11aの径方向へ所定の周波数及びストロークで揺動される。この状態で主表面にテープ部材33が摺接される。テープ部材33上の一つの砥粒34に着目すると、図2B中の鎖線の矢印で示すように、砥粒34はガラス板の主表面で、ガラス板の径方向に周期的に揺らされる。従って、砥粒34との接触により、回転するガラス板11aの主表面には周期的な波状の溝が掘られる。(図4A参照)尚、ガラス板11aに着目すれば、一つの砥粒34がガラス板11aの主表面上で周期運動するように見える。図4Aの例では、周期運動する砥粒は、ガラス板11aの主表面上に、3箇所で交差する一筆書きの閉じた曲線に沿って延びる溝を形成する。
図5Aの軌跡の一周期はガラス板11aの1回転であるが、図4Aの軌跡の一周期はガラス板11aの3回転である。従って、図4Aの軌跡の一周期の長さは図5Aの円形軌跡のものに比べて長く、巨視的に見て谷部がガラス板の主表面全体に分散して形成される。このため、周期運動する砥粒により、ガラス板の主表面の同じ箇所ばかりが削られるという現象はほとんど発生しない。また、一つの軌跡が一周期内で交差することから、例えばある場所で尾根部が高く形成されたとき、砥粒がこの尾根部の頂上を積極的に削ることができ、微視的に見て稜線の形状を修正することが可能である。特に、バリを積極的に削り取ることが可能であり、このバリを除去するという観点からも、一周期の軌跡の途中に交点を有するように、上記のような形状とすることは有効な方法である。
従って、尾根部は、微視的に見て稜線の形状又は頂上の高さがほぼ揃えられた状態で、巨視的に見てガラス板の主表面全体に略均一に分散して形成される。この場合、ガラス板の主表面において、微小うねりの高低差は小さくなり、表面品質の低下が抑制される。以下、明細書中で周期運動する砥粒の軌跡を一周期内で交差させる方法を、「クロスハッチ法」と記載する。
クロスハッチ法において、ガラス板の主表面に砥粒が一周期で描く軌跡を上記のような形状とするため、その加工条件は以下のようにすることが好ましい。
ガラス板11aまたはローラ31の揺動周波数と、回転速度(一分間あたりの回転数)とは、同期した状態ではなく、非同期の状態とすることが好ましい。ここで、揺動周波数と回転速度とが同期した状態とは、揺動周波数をF(Hz)で表したとき、回転速度R(min−1)が(F×60)±5の範囲内にある状態である。
例えば、揺動周波数Fが4Hz、回転速度Rが4×60すなわち240min−1(240rpm)である場合、一周期の軌跡の形状は、図5Bに示すように、楕円形状となる。これは、揺動周波数Fと回転速度Rとが完全に同期することにより、一つの砥粒34の揺動の始点及び終点と、一周期の軌跡の始点及び終点とがそれぞれ一致することによるものと考えられる。つまり、一周期内で1回の揺動が行われることにより、このような形状となると考えられる。この場合、円形状の軌跡と同様に、巨視的及び微視的に見て尾根部の形状に偏りが生じたり、稜線の形状が不均一となりやすく、微小うねりの高低差が大きくなり、ガラス基板の表面品質が低下してしまうおそれがある。
揺動周波数Fが4Hz、回転速度Rが(4×60)+5すなわち245min−1(245rpm)である場合、一周期の軌跡の形状は、図6Aに示すように、一周期の始点から終点まで交差しながら一筆書きで延びる形状ではあるが、2箇所で交差する形状となる。このとき、2箇所の交点以外の箇所では、軌跡が内方又は外方へ略同心状に位置ずれする。これは、揺動周波数Fと回転速度Rとが完全に同期する状態から若干のずれがあっても、未だ揺動周波数Fと回転速度Rとがほぼ同期する状態にあり、その影響は揺動の終点と一周期の軌跡の終点とを極僅かに位置ずれさせることのみに止まることによるものと考えられる。そして、軌跡の位置ずれは、揺動の終点と一周期の軌跡の終点との位置ずれによって生じるものと考えられる。
一つの軌跡がその途中の2箇所で交差する場合、2箇所の交点及びその近傍では、砥粒がほぼ同じ箇所を何度も繰り返し通過することから、ガラス板の主表面が深く削られる。これに対し、それ以外の箇所では、主表面が浅く削られる。このため、微視的及び巨視的に見て、尾根部の形状に偏りが生じたり、稜線の形状が不均一となり、ガラス基板が表面品質の低下したものとなる。また、回転速度Rが(4×60)−5すなわち235min−1(235rpm)である場合、一周期の軌跡の形状は、図6Bに示すような形状となる。これは、図6Aに示した形状とほぼ同一であり、前に述べた理由と同じく、ガラス基板が表面品質の低下したものとなる。
ところで、図示はしないが、揺動周波数Fと回転速度Rとが完全に同期した状態から、例えば回転速度Rを(F×60)+4、(F×60)−3とする等のように、−5〜0、0〜+5の範囲内でずらした場合、一周期の軌跡の形状は、図6A,図6Bに示した形状とほぼ同じ形状となる。なお、軌跡の形状は、2箇所の交点以外の箇所で軌跡の間の距離が拡がるか、あるいは狭まるかという点では異なる。しかし、交点部分が2箇所であるという点で違いはないため、ガラス基板が表面品質の低下したものとなる。
これらに対し、揺動周波数Fと回転速度Rとを非同期の状態としたとき、例えば揺動周波数Fを3Hzとし、回転速度Rを(3×60)+60の240min−1(240rpm)とすれば、一周期の軌跡の形状は、図4Aに示したような形状となる。これは、揺動周波数Fと回転速度Rとを非同期の状態とすることにより、一つの砥粒34の揺動の終点と、一周期の軌跡の終点とが一致しなくなることによるものと考えられる。つまり、一周期内で複数回の揺動が行われることにより、このような形状となると考えられる。この場合、巨視的及び微視的に見て、尾根部の形状に偏りが生じにくく、稜線の形状が不均一となりにくいため、微小うねりの高低差が小さくなり、ガラス基板は表面品質が維持されたものとなる。さらに、当該形状は、尾根部の稜線上にバリが形成されにくいという利点も有する。
また、例えば揺動周波数Fが4.5Hz、回転速度Rが(4.5×60)−30すなわち240min−1(240rpm)である場合、一周期の軌跡の形状は、図4Bに示したような形状となる。この場合には、図4Aに示した形状と比べ、一周期内における軌跡の交点が増加する。このように交点を増加させる場合、尾根部の頂上をさらに積極的に削ることができる等のように、微視的に見て稜線の形状をより効果的に修正することが可能であり、加えてバリの形成を抑制することが可能である。
本発明においては、上記のように、一周期内での軌跡の交点の個数が重要である。これは、交点の増加に伴い、テクスチャーの尾根部分が広範囲にわたって削られることにより、削り残しの部分が低減し、微視的には稜線の形状を揃え、巨視的にはガラス板の主表面全体をほぼ均一な厚さで削ることが可能となるためである。一方、図6A,図6Bに示した形状について、その軌跡同士の交差角は4〜9°であり、図4Aに示した形状における軌跡同士の交差角が7°程度であることから、互いの交差角は、略同一の範囲内にあるといえる。しかし、図6A,図6Bに示した軌跡と、図4Aに示した軌跡とでは、その形状が大きく異なり、図6A,図6Bに示した形状では、表面品質の低下を招くおそれがあるのに対し、図4Aに示した形状では、表面品質は維持される。このため、従来例のように軌跡同士の交差角を定めることは、表面品質の維持という観点では重要な要因となりえない。従って、微小うねりから見た表面品質の維持という観点では、一周期内での軌跡の交点の個数が重要な要因となる。
一周期内での軌跡の交点の個数は、揺動周波数Fと回転速度Rとを非同期の状態とした上で、これらをさらに細かく定めることにより、増減させることが可能である。そして、表面品質を維持するため、一周期内での軌跡の交点は、少なくとも3箇所である。交点が3箇所未満の場合とは、すなわち図5A,図5B及び図6A,図6Bに示したような形状の場合であり、巨視的及び微視的に見て、尾根部の形状に偏りが生じたり、稜線の形状が不均一となりやすい形状となる場合をいう。また、表面品質を高めるためには、一周期内での軌跡の交点を少なくとも5箇所とすることが好ましい。これは、交点の増加に伴い、テクスチャーの尾根部分が広範囲にわたって削られることにより、微視的には稜線の形状を揃え、巨視的にはガラス板の主表面全体をほぼ均一な厚さで削ることが可能となるためである。
砥粒のガラス板の主表面上での移動距離を長く、又はガラス板に対する移動速度を速くするに従い、砥粒が描く軌跡は長く延び、その軌跡同士をより確実に交差させることが可能となる。しかし、ガラス板は、平面視で円形状をなしており、砥粒の移動距離は、ガラス板の外径側に位置するものほど長くなり、内径側に位置するものほど短くなる。また、砥粒の移動速度は、ガラス板の外径側に位置するものほど速く、内径側に位置するものほど遅くなる。
従って、クロスハッチ法を行う場合、ガラス板の内径側の部分を砥粒に十分な時間接触させないと、この内径側の部分で砥粒の軌跡同士が十分に交差せず、表面品質の低下を招くおそれがある。特に、図2Bに示したようなテクスチャーマシンにおいては、揺動時にガラス板11aの外径側の部分は常にテープ部材33が摺接された状態となるが、内径側の部分は一時的にテープ部材33が摺接されない時間が存在する可能性がある。このような内径側の部分が一時的にテープ部材33が摺接されない時間を短くする、あるいは無くすためには、揺動周波数及び揺動ストロークをより細かく定めることが好ましい。
具体的に、揺動周波数は、好ましくは4Hzより高く、20Hz以下である。揺動周波数が4Hz以下の場合、ガラス板が揺動の始点から終点まで戻る時間が長くなるため、内径側の部分が一時的にテープ部材33が摺接されない時間も長くなる可能性があり、巨視的に見て尾根部の形状に偏りが生じ、表面品質の低下を招くおそれがある。また、揺動周波数が20Hzを超えると、ガラス板の外径側の部分にテープ部材33が摺接される時間が不必要に長くなり、その外径側の部分が砥粒によって過剰に削られる可能性があり、巨視的に見て却って尾根部の形状に偏りが生じ、表面品質の低下を招くおそれがある。
また、揺動ストロークは、好ましくは0.5〜2mmである。揺動ストロークが0.5mm未満の場合、砥粒の軌跡同士の距離が不必要に近くなり、複数の溝が集まった1本の太い溝として形成されてしまう。このように複数の溝が集まる場合には、ガラス板を揺動させているにも係わらず、外観上では従来の同心円状のテクスチャーが形成されてしまうおそれがある。揺動ストロークが2mmを超えると、ガラス板が揺動の始点から終点まで戻る時間が長くなるため、内径側の部分が一時的にテープ部材33が摺接されない時間も長くなる可能性がある。このような場合、巨視的に見て尾根部の形状に偏りが生じ、表面品質の低下を招くおそれがある。
さらに、回転速度は、好ましくは240〜540min−1(240〜540rpm)である。回転速度が240min−1未満の場合、一回の揺動における砥粒の移動距離が短くなることにより、軌跡の交点を3箇所以上とすることができなくなるおそれがある。また、回転速度が540min−1を超えると、形成された尾根部の幅又は長さが極端に短くなるおそれがあり、テクスチャーとしての機能を発揮することができなくなるおそれがある。
テープ部材33は、例えば織物、不織布、植毛シート、及びスウェードシートである。このようなテープ部材33は、その表面に極微細な凹凸を有するため、その極微細な凹凸に研磨剤の砥粒が保持されるため好ましい。また、テープ部材33の材料として、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂、綿等の天然繊維を使用することができる。合成樹脂製の発泡体から形成されたスウェードシートを使用することができる。
研磨剤としては、ダイヤモンド製の砥粒を水等の分散媒に分散させて得られるダイヤモンドスラリーが主に使用される。また、砥粒の平均粒径(D50)は好ましくは0.05〜0.3μmであり、より好ましくは0.08〜0.25μmである。D50が0.05μm未満の場合、ガラス板に対する研磨能力が低く、テクスチャーの形成速度が遅くなるため、歩留まりの低下、加工コストが高騰するおそれがある。一方、D50が0.3μmを超えると、一つ一つの砥粒の粒径のばらつきが顕著となり、均一なテクスチャーを形成することが困難となるおそれがある。
ローラ31は、ISO7627−2に規定されるduro硬度が好ましくは40〜90である、合成ゴム、天然ゴム、エラストマー等の弾性材料製である。ローラ31の硬度と砥粒の軌跡との関連について説明する。
図7A、図7Bに示すように、ガラス板11aへの押圧によってローラ31は弾性変形する。図7Aの場合、1つの砥粒34は、テープ部材33の移動に伴って接触幅L1と同じ距離だけ移動する期間だけガラス板11aと接触し、この後、ガラス板11aの主表面から脱する。すなわち、1つの砥粒34は、ガラス板11aに接触している間に前に挙げたような一周期分の軌跡を描ききれるとは限らず、接触幅L1の長さに応じて半周期分、1/4周期分等の軌跡を描く。
表面品質の維持を達成するためには、1つの砥粒34をできる限り長くガラス板11aの主表面に接触させ、一周期内で軌跡をより多くの箇所で交差させることが好ましい。これは、砥粒34の接触が短くなるに従い、一の砥粒と、他の砥粒とのガラス板11aの主表面に対する微妙な接触位置のずれにより、形成された谷部が僅かにずれることから、軌跡同士が交差する可能性が低くなることによる。従って、1つの砥粒34をできる限り長くガラス板11aの主表面に接触させるためには、ガラス板11aに対するローラ31の接触幅が大きい必要がある。弾性変形の程度はローラ31のduro硬度によって異なるので、図7Bに示すように、比較的大きい接触幅L2が得られるように、ローラ31のduro硬度が規定されている。
ローラ31のduro硬度が40未満である場合、ローラ31が過剰に軟らかくなることにより、砥粒34をガラス板11aの主表面に押し付ける力が過不足となり、テクスチャーを十分な高さで形成することができなくなるおそれがある。また、duro硬度が90を超えるローラ31を使用した場合、接触幅を十分に拡げることができなくなるおそれがある。
また、一対のローラ31がガラス板11aの主表面に砥粒34を押し付ける力は、好ましくは13.4〜44.5N(3.0〜10.01bs)である。押し付ける力が13.4N(3.01bs)未満の場合、ローラ31の接触幅が拡がらないか、又は砥粒34が十分にガラス板11aに押し付けられず、テクスチャーを十分な高さで形成することができなくなるおそれがある。押し付ける力が44.5N(10.01bs)を超えると、一対のローラ31の間に挟まれたガラス板11aが割れたり、ガラス板11aを回転させる際に、却って抵抗となる等の不具合を生じるおそれがある。
上記のクロスハッチ法によるテクスチャー加工工程の後には、スクラブ工程を施すことが好ましい。クロスハッチ法によってテクスチャーを形成した場合、大半の尾根部は、微視的に見て稜線の形状が揃ったものとなるが、まれに、バリが形成されることがある。
ここで、テクスチャーを形成する方法としては、上記の機械式テクスチャー形成法の他に、ケミカルテクスチャー形成法が存在する。このケミカルテクスチャー形成法は、フッ化水素酸等の酸性水溶液、アルカリ性水溶液等のエッチング液を使用し、ガラス板の主表面をエッチングしてテクスチャーを形成する方法である。ケミカルテクスチャー形成法においては、ガラス板の主表面全体をエッチングすることから、バリが形成されにくいという利点を有する。一方、ケミカルテクスチャー形成法は、一旦バリが形成されると、そのバリの表面に化学的性質の異なる層が形成されてしまう。この層は、バリの表面をコーティングし、該バリを保護するものとなる。従って、ケミカルテクスチャー形成法は、バリを除去しにくいという欠点を有する。
これに対し、機械式テクスチャー形成法は、ガラス板の主表面を砥粒で削るときに削り残しが発生しやすく、ケミカルテクスチャー形成法に比べればバリが形成されやすい方法と一般には言われている。しかし、このバリは、その周囲が砥粒で削られることによって形成されたものであり、いわば削り残しである。このことから、機械式テクスチャー形成法で形成されたバリの表面にはひびが存在している。従って、機械式テクスチャー形成法によって生じたバリは、物理的手段により、その基部から折り取ることが十分に可能であり、ケミカルテクスチャー形成法によって生じたバリに比べ除去しやすい。
そこで、本実施形態においては、スクラブ工程において、ガラス板の主表面に洗浄液をシャワーしつつ、同主表面をスクラブ材で擦ることにより、ガラス板の主表面に残留する砥粒、ガラス粉等の異物を除去するとともに、バリと呼ばれる異常突起を取り除く。
スクラブ材には、合成樹脂製の発泡体よりなるスポンジ、スウェード材等が使用される。このスクラブ材には、JIS K7113に規定される100%モジュラスが、好ましくは2.9〜39.2MPa(30〜400kgf/cm)のものが使用される。また、SRISO101に規定されるアスカーC硬度が、好ましくは40以上のスクラブ材が使用される。100%モジュラスが2.9MPa(30kgf/cm)未満、又はアスカーC硬度が40未満のスクラブ材を使用した場合、バリの強度にスクラブ材が負け、このバリを十分に取り除くことができないおそれがある。また、100%モジュラスが39.2MPa(400kgf/cm)を超える過剰に硬いスクラブ材の場合、形成されたテクスチャーまで削り取ってしまう可能性がある。
また、洗浄液としては、水、純水、イソプロピルアルコール等のアルコール等の中性水溶液が挙げられる。この他に中性水溶液として、塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩等といった無機塩の水溶液を電気分解することにより得られた電解水又はガスが溶解されたガス溶解水等の機能水等の中性水溶液が挙げられる。さらに、ガラス材料に対してエッチング能を有するアルカリ性水溶液、酸性水溶液等を洗浄液として使用してもよい。この場合には、ガラス材料に対するエッチング能が低い、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性水溶液を使用することが好ましい。
なお、機械式テクスチャー形成法で形成されたバリをスクラブ工程で物理的手段により除去可能であることは、本発明者等の多くの実験と、その結果の解析とによって初めて見出されたものである。つまり、バリ自体がAFM等の測定機器を使用して初めて判別できる程度の微小なものであり、その表面を微細に走査できるものではないことから、そのひびは、測定機器等を使用しても判別できない位の極微小なものである。このため、単に従来のスクラブ工程によるガラス板の主表面の洗浄という観点からは、このバリが有するひびを利用し、同バリを折り取って除去するという事項は、容易に類推し得るものではない。
また、本発明の趣旨からは逸脱するが、上記のスクラブ工程は、機械式テクスチャー形成法で形成された従来の同心円状をなすテクスチャーにおいて、そのバリを除去する場合にも、十分な効果を有する。つまり、スクラブ材として100%モジュラスが2.9〜39.2MPaの材料を使用する又はアスカーC硬度が40以上のスクラブ材を使用することにより、クロスハッチ法を含む機械式テクスチャー形成法の全般において、形成されるバリを十分に除去することが可能である。
上記のようにして製造されたテクスチャーを有するガラス基板は、その主表面の微小うねりの高さ(NRa)が0.2nm以下であり、表面粗さ(Ra)が0.5nm以下である。また、この場合の主表面のうねりの高さ(Wa)は、好ましくは0.5nm以下である。なお、NRaとは、Zygo社製の三次元表面構造解析顕微鏡(NewView200)を用い、測定波長(λ)を0.2〜1.4mmとして主表面の所定領域を白色光で走査して測定された値を示すものである。Raとは、原子間力顕微鏡(AFM)で測定された値を示すものである。Waとは、Phase Metrix社製の多機能ディスク干渉計(Optiflat)を用い、測定波長(λ)を0.4〜5.0mmとして主表面の所定領域を白色光で走査して測定された値を示すものである。
NRaが0.2nmを超え、かつ、Raが0.5nmを超えていると、ガラス基板の主表面は荒れた平滑性の低いものである。これには、背景として、近年の情報記録媒体は、さらなる高密度記録化を図るため、情報記録媒体の主表面とヘッドとの距離をさらに接近させる傾向があることが挙げられる。このヘッドが情報記録媒体上を移動する際、うねりの高さWaが若干大きくとも、うねりにヘッドが追従することが可能である。しかし、NRa及びRaが大きいと、ヘッドは微小うねりに追従できず、また、異常突起を飛び越えることができずに、ヘッドが異常突起に引っ掛かったり、衝突したりする等の不具合が頻繁に発生しやすくなるためである。
一方で、主表面の平滑性が過剰に高すぎると、ヘッドが情報記録媒体の主表面に吸着され、移動が不可能になったりする等の不具合を発生させる。そこで、テクスチャーは、ガラス基板の主表面を平滑としながらも、ヘッドとの接触面積を低減するために形成されている。そして、テクスチャーは、ヘッドとの接触面積を低減することにより、情報記録媒体の主表面に対するヘッドの吸着を抑制するという機能を有する。また、当該テクスチャーを有するガラス基板から製造された情報記録媒体は、テクスチャーによって高い磁気異方性と保磁力とが付与される。これは、磁性膜を形成する金属の原子が、テクスチャーの側面で配向良く並べられることが理由であると考えられる。
また、ガラス基板の表面品質を測定する方法として、ベアリングレシオ(BR)と、ベアリングハイト(BH)を使用した方法が挙げられる。このBRと、BHを使用した方法によれば、テクスチャーの形状の他、バリの有無をも測定することが可能である。まず、BRについて、以下に説明する。
BRを求めるためには、まず第1に、AFMを使用し、ガラス基板の主表面の所定領域内において、その表面状態が測定される。なお、同AFMでは、JISB0601の規定に従い、その走査線毎に粗さ曲線を求めることが可能であり、同粗さ曲線に基づき、ガラス基板の主表面の凹凸を鳥瞰図として示すことが可能である。この測定された所定領域の面積が基準面積とされる。例えば、測定された所定領域が5μm四方の正方形であれば、基準面積は25μmである。
第2に、図3A〜Cに示すように、ガラス基板11の主表面と平行な面でテクスチャー13が切断される。ここでは、図3A中の3B線を含む面でテクスチャー13を切断したそれぞれの切断面14を図3Bに示し、3C線を含む面でテクスチャー13を切断した切断面14を図3Cに示す。その後、テクスチャー13の切断面14の面積が算出される。この切断面14の面積が、測定面積とされる。
そして、前述の基準面積に対する当該測定面積の割合が、BRとして示される。例えば、基準面積に対する測定面積の割合が50%ならば、BRは50%であり、割合が0.01%ならば、BRは0.01%である。
次に、BHについて、以下に説明する。
BHを求めるためには、まず第1に、BRが50%となる位置が求められる。このBRが50%となる位置が、図3A中に示した基準面15とされる。第2に、BRが所定値となるときにテクスチャーを切断する面が求められる。このテクスチャーを切断する面が測定面とされる。ここでは、図3A中で、3B線を含む面又は3C線を含む面が測定面である。そして、前述の基準面15から当該測定面までの高さが、BHとして示される。例えば、3B線を含む面を測定面としたとき、ここでのBRが10%ならば、BH(10)と表記し、基準面15から3B線を含む測定面までの高さH1が0.5nmならば、BH(10)は0.5nmである。また、3C線を含む面を測定面としたとき、ここでのBRが0.1%ならば、BH(01)と表記し、基準面15から3C線を含む測定面までの高さH2が1.5nmならば、BH(01)は1.5nmである。
さて、上記のBRとBHを使用し、ガラス基板の表面品質を測定する場合、所定のBR毎にBHを測定し、測定されたBH毎に差を求め、その差を評価することで、テクスチャーの形状、バリの有無を測定することが可能となる。すなわち、図3Aに示したように、テクスチャーは、各尾根部の上端に向かうに従い、その切断面の面積が小さくなる。このとき、尾根部が一定の勾配の尾根状をなすならば、BRが一定の比率で小さくなり、これに比例してBHは高くなり、BH毎の差もほぼ一定となる。しかし、尾根部が、その途中から急激に細く、高くなったり、あるいは図3A中に示すように、その上端に細く切り立ったバリを有する場合には、BH毎の差に変化を生じる。そこで、製造されるガラス基板において、BH毎の差を所定値に定めることにより、テクスチャーを均一な形状とし、バリの発生を防止することが可能となる。
当該ガラス基板において、BRが0.01%のときのBH(001)と、BRが0.4%のときのBH(04)との差(BH(001)−BH(04))は、好ましくは0.01〜1.0nmであり、より好ましくは0.2〜0.7nmである。このBH(001)−BH(04)が0.01nm未満の場合、尾根部の稜線にへこみが形成されることとなる。BH(001)−BH(04)が1.0nmを超えると、図3A中に示したように、稜線上に細く切り立ったバリ13aが形成されることとなる。
上記の範囲は、AFMによる鳥瞰図から、バリがBH(001)〜BH(04)の範囲内に発生することを本発明者等が初めて見出した結果、得られたものである。つまり、AFMによる鳥瞰図を見ると、稜線上に所々細く切り立った部分が観測されており、この細く切り立った部分をバリとした結果、同バリがBH(001)〜BH(04)の範囲内に存在していたことによる。そして、BH(001)−BH(04)を0.01〜1.0nmとすることで、バリの形成を防止することが可能である。
また、微視的な観点から個々の尾根部の形状を評価した結果、BH(04)と、BRが1.0%のときのBH(1)との差(BH(04)−BH(1))は、好ましくは0.15〜0.2nmであり、より好ましくは0.17〜0.20nmである。このBH(04)−BH(1)が0.15nm未満の場合、尾根部の頂上が高く突出して形成されることとなる。BH(04)−BH(1)が0.2を超えると、尾根部の頂上が低くへこんで形成されることとなる。
そして、BH(1)と、BRが15.0%のときのBH(15)との差(BH(1)−BH(15))は、BH(04)−BH(1)の値と同じか、それ以下であることが好ましい。これは、テクスチャーとして好ましいものは、BH(15)からBH(04)の範囲で略一定の勾配で高くなる形状をなすものであることを理由とする。この部分で勾配が急激に上がれば、それは尾根部の高さが低いテクスチャーとなり、勾配が急激に下がれば、この範囲より高い部分に勾配のピークがある、つまりはバリの存在、頂上が高く突出した尾根部の存在を示すこととなる。
第1の実施形態によれば以下の利点が得られる。
ガラス基板11はガラス板に機械式テクスチャー形成法でテクスチャーを形成する際、クロスハッチ法を用いている。このクロスハッチ法により、ガラス板の主表面で砥粒は、一周期の始点から終点まで少なくとも3箇所で交差しながら一筆書きで延びる軌跡を描くようにされている。このため、ガラス板の同一箇所ばかりが削られたり、大きな削り残しの部分が存在する等の弊害を防止することができ、主表面のNRaが0.2nm以下、Raが0.5nm以下のガラス基板を製造することができる。従って、主表面の平滑性を低下させることなく、凹凸状のテクスチャーを形成することができる。
また、クロスハッチ法においては、ガラス板の回転速度Rとローラの揺動の揺動周波数とが非同期の状態とされる。これにより、ガラス板の主表面上で砥粒に、一周期の始点から終点まで少なくとも3箇所で交差しながら一筆書きで延びる軌跡を確実に描かせることができる。従って、主表面の平滑性の低下を効果的に抑制することができる。
砥粒の軌跡の交点は、5箇所以上であることが好ましい。そして、5箇所以上とすることにより、テクスチャーを構成する尾根部の頂上を積極的に削り、稜線の形状をより良く修正することができる。
また、揺動周波数は4Hzより高く、20Hz以下、回転速度は240〜540min−1、揺動ストロークは0.5〜2mmに、それぞれ範囲が設定されている。これにより、砥粒の軌跡を少なくとも3箇所で交差させつつ、テクスチャーの形状が均一に揃えられた状態とすることができる。
また、製造されるガラス基板においては、BH(001)−BH(04)が0.01〜1.0nmとされている。このため、尾根部の稜線上にバリが形成されることを防止することができる。
以下、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、この第2の実施形態では第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図1に示すように、第2の実施形態のガラス基板11は、外径等のサイズを除き、形状等の構成が第1の実施形態のガラス基板11と同じものであり、中心に円孔12を有する円盤状に形成されるとともに、その主表面にはテクスチャー13が形成されている。この第2の実施形態のガラス基板11は、第1の実施形態のガラス基板11に比べ、その外径が小さなものとされている。具体的に、外径が、例えば65mm(2.5in)、95mm(3.5in)等の48mmを超えるものが大径基板であり、第1の実施形態のガラス基板11はこの大径基板に該当する。外径が48mm(1.8in)以下のものは小径基板であり、第2の実施形態のガラス基板11は小径基板に該当する。
次に、第2の実施形態のガラス基板11の製造方法について説明する。
当該ガラス基板は、円盤加工工程、端面面取り工程、ラップ工程、研磨工程、洗浄処理工程及びテクスチャー加工工程を経て製造される。円盤加工工程から洗浄処理工程までの各工程は、前に挙げたものとそれぞれ同様の工程である。
テクスチャー加工工程においては、前述のテクスチャーマシンを使用してクロスハッチ法を行う。すなわち、図2A,図2Bに示したように、ローラ31に対してガラス板11aをその直径方向へ所定の揺動周波数及び揺動ストロークで揺動させつつ、かつ回転させながら、主表面にテープ部材33を摺接させることにより、テクスチャーが形成される。そして、周期運動する砥粒が一周期でガラス板11aの主表面に描く軌跡は、一周期の始点から終点まで少なくとも3箇所で互いに交差しながら一筆書きで延びる形状となる。また、小径基板において、軌跡は、一周期の始点から終点まで少なくとも16箇所で互いに交差することがより好ましい。これは、軌跡を少なくとも16箇所で交差させれば、小径基板で主表面品質を維持しつつ、クロスハッチ法によるテクスチャーを確実に得ることができるためである。
クロスハッチ法を行う際、平面視で円形状をなすガラス板の主表面で砥粒の移動距離は、前述したように、外径側に位置するものほど長くなり、内径側に位置するものほど短くなる傾向がある。また、砥粒の移動速度は、ガラス板の外径側に位置するものほど速く、内径側に位置するものほど遅くなる傾向がある。これらの傾向は、大径基板に比べ小径基板では特に顕著に現れる。そして、1つの砥粒は、ガラス板の主表面で一周期分の軌跡を描ききれるとは限らない。
小径基板では、特に主表面の内径側の部分で砥粒の移動距離が短く、移動速度が遅いため、砥粒が描く軌跡の長さが顕著に短くなり、大半の砥粒は互いの軌跡を十分に交差させる前にガラス板の主表面から脱してしまう。砥粒の軌跡同士が十分に交差しなければ、尾根部の形状に偏りが生じる等の不具合が高い確率で発生してしまう。そこで、小径基板のクロスハッチ法を行うときには、砥粒の軌跡を出来る限り短い長さで確実に交差させる必要がある。
このため、小径基板のクロスハッチ法においては、軌跡同士の交差角を出来る限り小さくすることが好ましい。これは、交差角が小さくなるに従い交差させるために必要となる軌跡の長さも短くなるためである。具体的に、軌跡同士の交差角は、0°を超えて13°以下とすることが好ましく、0°を超えて9°以下とすることがより好ましい。交差角が0°の場合、砥粒の軌跡同士が交差しないか、あるいは同一箇所に溝が形成されてしまうこととなる。交差角が13°を超える場合、小径基板では交差させるために必要とする軌跡の長さを得にくく、大半の砥粒が軌跡を交差させる前にガラス板の主表面から脱してしまう。なお、大径基板においては、大半の砥粒がガラス板の主表面から脱するまでに描く軌跡は互いに交差することが可能な程度の十分な長さを有しており、軌跡同士の交差角はさして問題とせず、軌跡の交点の個数を重要な要因とした。これに対し、小径基板においては、軌跡同士を交差させることすらできなくなるおそれがあるため、軌跡の交点の個数のみならず交差角も重要な要因となる。
テクスチャーマシンを使用してクロスハッチ法を行うとき、ガラス板の主表面で内周縁には、揺動時におけるローラ31のスピンドルへの接触防止等のため、テープ部材33が摺接されない部分が存在している。当該部分がガラス板11aの主表面全体に対して占める割合は、大径基板では極僅かなものであったが、小径基板では大きなものとなる。このため、テープ部材33が摺接されない部分の面積を出来る限り低減する必要がある。そして、交差角を小さくする、摺接されない部分の面積を低減する等を目的とし、小径基板のクロスハッチ法では、揺動周波数、揺動ストローク、回転速度等の加工条件が設定される。
小径基板のクロスハッチ法を行うときの加工条件について説明する。
小径基板のクロスハッチ法においても、ガラス板11aのローラ31に対する揺動の周波数と、回転速度とは、非同期の状態とすることが好ましい。これは、揺動周波数Fと回転速度Rとを同期させると、ガラス板11aの主表面で砥粒34が描く軌跡が前述のように円形状又は楕円形状となるためである。この場合、巨視的及び微視的に見てテクスチャーの形状に偏りが生じ、微小うねりの高低差が大きくなって表面品質が低下してしまうおそれがある。
小径基板のクロスハッチ法では、ガラス板が揺動の始点から終点まで戻る時間を長くするため、大径基板のクロスハッチ法に比べて揺動周波数を低くすることが好ましい。大径基板であれば、砥粒34の軌跡が長く、互いに交差しやすいため、特にはこれを問題とせず、むしろ面積が大きいが故に主表面全体にテクスチャーを均一に形成することが問題となり、ガラス板が揺動の始点から終点まで戻る時間を短くするために揺動周波数を高めていた。これに対し、小径基板は面積が小さいため主表面全体にテクスチャーを均一に形成することは容易であるが、砥粒34の軌跡が短く、軌跡を互いに交差させることが難しくなる。このため、揺動周波数を低くしてガラス板が揺動の始点から終点まで戻る時間を長くすることにより、テープ部材33に対してガラス板の主表面上で同箇所が摺接される時間を延ばし、1つの砥粒によって描かれる軌跡の長さを長くしている。但し、揺動周波数が過剰に低い場合、軌跡同士が交差しなくなるため、尾根部の形状が偏ったり、稜線の形状が不均一となったりして、微小うねりが大きくなり、表面品質の低下を招くおそれがある。
具体的に、揺動周波数は、好ましくは0Hzより高く、4Hz以下であり、より好ましくは0.5〜2Hzである。揺動周波数が4Hzを超える場合、ガラス板の主表面において、特に内径側の部分でテープ部材33を摺接させる時間が不十分となる。この場合、砥粒の軌跡が交差させるための十分な長さを有しておらず、テクスチャーが偏って形成され、微小うねりが大きくなり、表面品質の低下を招くおそれがある。揺動周波数を0Hzとした場合、ローラ31に対してガラス板11aが揺動せず、砥粒の軌跡を交差させることができなくなる。
揺動ストロークは、大径基板に比べて小さくすることが好ましい。これは、小径基板の外径が大径基板の外径に比べて小さいためである。揺動ストロークは、好ましくは0.5〜1mmである。揺動ストロークが0.5mm未満の場合、砥粒の軌跡同士の距離が不必要に近くなり、複数の溝が集まった1本の太い溝として形成されてしまい、外観上では従来の同心円状のテクスチャーが形成されてしまうおそれがある。揺動ストロークが1mmを超えると、ガラス板が揺動の始点から終点まで戻る時間が長くなるため、内径側の部分が一時的にテープ部材33が摺接されない時間も長くなる可能性があり、表面品質の低下を招くおそれがある。
回転速度は、大径基板に比べて高くすることが好ましい。これは、砥粒によって単位時間当たりに描かれる軌跡を長くするためである。回転速度は、好ましくは300〜540min−1(300〜540rpm)である。回転速度が300min−1未満の場合、一回の揺動における砥粒の移動距離が短くなることにより、軌跡が短くなり、軌跡同士を交差させることができなくなるおそれがある。また、回転速度が540min−1を超えると、形成される尾根部の幅又は長さが極端に短くなるおそれがあり、テクスチャーとしての機能を発揮することができなくなるおそれがある。
研磨剤としては、ダイヤモンド製の砥粒を水等の溶媒に分散させて得られるダイヤモンドスラリーが主に使用される。砥粒の粒径は、大径基板に比べて小さくすることが好ましい。これは、砥粒の粒径を小さくすることで、一対のローラ31がガラス板の主表面に砥粒を押し付ける力を強くして溝をはっきりと確実に形成するためである。砥粒の粒径は、平均粒径(D50)で好ましくは0.085〜0.155μmである。D50が0.085μm未満の場合、形成される尾根部の幅が極端に長くなるおそれがあり、テクスチャーとしての機能を発揮することができなくなるおそれがある。D50が0.155μmを超える場合、ガラス板の主表面に砥粒が十分に押し付けられず、良好な形状のテクスチャーを形成することができなくなるおそれがある。
ISO7627−2に規定される、ローラ31のduro硬度は、好ましくは40〜90である。duro硬度が40未満の場合、ガラス板の主表面に砥粒を押し付ける力が不十分となったり、ガラス板に対して砥粒が位置ずれしたり等の不具合を生じ、良好な形状のテクスチャーを形成することができなくなるおそれがある。duro硬度が90を超える場合、ガラス板に対するローラ31の接触幅が短くなり、砥粒によって描かれる軌跡がさらに短くなって軌跡同士を交差させることができなくなるおそれがある。また、ローラ31の力が局所的に作用してガラス板が割れてしまうおそれもある。
一対のローラ31がガラス板の主表面に砥粒を押し付ける力は、大径基板に比べて弱くすることが好ましい。これは、押し付ける力によるガラス板の割れを抑えるためである。但し、押し付ける力を過剰に弱めると、ガラス板の主表面で谷部をはっきりと確実に形成することができなくなるおそれもある。このため、一対のローラ31がガラス板の主表面に砥粒を押し付ける力は、好ましくは13.3〜26.7N(3.0〜6.01bs)である。押し付ける力が13.3N(3.01bs)未満の場合、ローラ31の接触幅が拡がらないか、又は砥粒34が十分にガラス板に押し付けられず、尾根部を十分な高さで形成することができなくなるおそれがある。押し付ける力が26.7N(6.01bs)を超えると、一対のローラ31の間に挟まれたガラス板が割れたり、ガラス板を回転させる際に、却って抵抗となる等の不具合を生じるおそれがある。
クロスハッチ法によるテクスチャー加工工程の後には、前述のスクラブ工程を施すことが好ましい。これは、クロスハッチ法によって形成されたテクスチャー上からバリを除去するためである。そして、テクスチャー加工が施されて形成された小径基板であるガラス基板は、その主表面の微小うねりの高さ(NRa)が0.2nm以下であり、表面粗さ(Ra)が0.5nm以下である。また、この場合の主表面のうねりの高さ(Wa)は、好ましくは0.5nm以下である。
当該ガラス基板のテクスチャーにおいて、BH(001)−BH(04)は、好ましくは0.01〜1.0nmであり、より好ましくは0.2〜0.7nmである。BH(04)−BH(1)は、好ましくは0.15〜0.2nmであり、より好ましくは0.17〜0.20nmである。BH(1)−BH(15))は、BH(04)−BH(1)の値と同じか、それ以下であることが好ましい。
第2の実施形態によれば以下の利点が得られる。
第2の実施形態のガラス基板によれば、クロスハッチ法でガラス板にテクスチャーを形成することにより、ガラス板の主表面に描かれる砥粒の軌跡が互いに交差するようになっている。このため、ガラス板の同一箇所ばかりが削られたり、大きな削り残しの部分が存在する等の弊害を防止することができ、主表面のNRaが0.2nm以下、Raが0.5nm以下のガラス基板を製造することができる。従って、主表面の平滑性を低下させることなく、凹凸状のテクスチャーを形成することができる。
また、第2の実施形態のガラス基板は、その外径が48mm以下の小径基板である。小径基板においては、大径基板に比べて砥粒の軌跡の長さが短く、軌跡同士を交差させにくいという問題もある。このため、小径基板では軌跡の交点を16箇所以上とすることが好ましいとされている。つまり、大径基板に比べて交点を増やすことにより、軌跡同士を確実に交差させることができるように構成されている。
また、小径基板では軌跡同士の交差角が0°を超えて13°以下とされている。これは、交差角を小さく定めることにより、軌跡同士を接近させ、短い軌跡であっても確実に交差させるためである。従って、軌跡同士を確実に交差させることができ、主表面の平滑性を低下させることなく、均一なテクスチャーを形成することができる。
また、クロスハッチ法においては、大径基板に比べて外径の短い小径基板にあわせて、揺動周波数は低く、揺動ストロークは短く、回転速度は高くなるように、それぞれ範囲が設定されている。このため、小径基板のクロスハッチ法であっても、軌跡同士を確実に交差させることができ、主表面の平滑性を低下させることなく、凹凸状のテクスチャーを形成することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1及び比較例1)
フロート法により得られたアルミノシリケートガラスよりなるガラス板の主表面に、図2に示したようなテクスチャーマシンを使用し、機械式テクスチャー形成法に従い、テクスチャーを形成した。ガラス板の組成は、SiOが63mol%、Alが16mol%、NaOが11mol%、LiOが4mol%、MgOが2mol%、CaO 4mol%であった。また、ガラス板のサイズは、厚み0.65mm、外径65mm、内径20mmであった。
機械式テクスチャー形成法において、平均粒径が0.2μmのダイヤモンド砥粒を含む研磨剤を使用した。そして、表1に示すような加工条件で実施例1及び比較例1のガラス基板を得た。このとき、実施例1で砥粒の軌跡は、図4Bに示したような形状となり、軌跡同士の交点数は99個となった。一方、比較例1で砥粒の軌跡は、図5Aに示したような形状となり、軌跡同士の交点数は0個であった。なお、実施例1及び比較例1では、例えば揺動ストローク、テープ部材の材質、ローラの硬度、一対のローラの間に加える荷重等は全て同じ条件とした。
実施例1及び比較例1のガラス基板について、テクスチャー形成前のNRa及びテクスチャー形成後のNRaと、BR及びBHとを測定した。その結果を表1及び図8のグラフに示した。
Figure 2004059619
表1の結果より、比較例1はテクスチャー形成前のNRaに比べ、テクスチャー形成後のNRaが0.06nm悪化し、またテクスチャー形成後のNRaが0.2nmを超えることとなった。これに対し、実施例1はテクスチャー形成の前後でNRaの差が0.01しかなく、またテクスチャー形成後のNRaが0.15nmであり、0.2nm以下となった。
図8のグラフより、比較例1は全体的にBHが高く、特にBRが0.4〜0.1%の間でBHがばらつくことが示された。これは、測定領域内で尾根部の高さにばらつきがあることを示す。これに対し、実施例1はBRに対しBHが比例するように、グラフの線が略直線状をなすものとなった。これは、テクスチャー(尾根部の高さ)が均一に揃えられており、かつバリが形成されていないことを示す。
これらの結果より、砥粒の軌跡を交差させた実施例1では、軌跡を交差させない比較例1と比べ、テクスチャー形成後にもNRaを良好に維持することが可能であることが示された。また、BR及びBHから、形成されるテクスチャーは、尾根部の高さが均一に揃ったバリの無いものになることが示された。
(実施例2〜5及び比較例2〜9)
次に、実施例1及び比較例1と同様にして、表2に示すような加工条件で実施例2〜5及び比較例2〜9のガラス基板を製造した。このとき、実施例2〜5は、砥粒の軌跡が図4Bに示したような形状となり、軌跡同士の交点数は99個となった。比較例2〜5は、砥粒の軌跡が図5Aに示したような形状となり、その交点数は0個であった。比較例6〜9は、砥粒の軌跡が図6Bに示したような形状となり、その交点数は2個であった。
Figure 2004059619
実施例2〜5及び比較例2〜9のガラス基板について、BR及びBHを測定した。その結果を図9〜図11のグラフに示した。
図9のグラフより、実施例2〜5のガラス基板は、それぞれ異なるものであるにも係わらず、BHに大きな隔たりがなく、形成されるテクスチャーは、高さが均一に揃ったバリの無いものになることが示された。
これに対し、図10のグラフより、比較例2〜5のガラス基板は、それぞれでBHに大きな隔たりがある。なかでも、比較例5はグラフの描く線が直線から大きくずれ、テクスチャーの形状に大きなばらつきがあることが示された。これは、前述したように、交点数が0の軌跡を描くものは、同じ箇所を何度も削るように砥粒が移動すれば、それだけガラス基板の表面状態は悪化することによるものと思われる。しかし、比較例2は良好な結果を示すことから、欠点を修正するように砥粒が移動すれば、表面状態は良好になることも示された。
図11のグラフより、比較例6〜9のガラス基板は、それぞれでBHに大きな隔たりがあるとともに、グラフの描く線が大きく乱れることから、テクスチャーの形状にも大きなばらつきがあることが示された。これは、前述したように、交点数が2の軌跡を描くものは、その交点では同じ箇所を何度も削るように砥粒が移動し、それだけガラス基板の表面状態を悪化させることによるものと思われる。特に、比較例9は表面状態の悪化が著しいものとなることが示された。
以上の結果より、軌跡同士を交差させることにより、軌跡を交差させないものと比較し、表面状態を安定に維持しながらガラス基板にテクスチャーを形成することが可能であることが示された。また、表面状態の良好なガラス基板を安定した歩留まりで得られることも示された。
上記の実施形態を次のように変更してもよい。
情報記録媒体として要求される耐衝撃性、耐振動性、耐熱性等を満たすため、テクスチャー加工工程よりも前の工程でガラス板に化学強化処理を施してもよい。この化学強化処理とは、ガラス基板の組成中に含まれるリチウムイオンやナトリウムイオン等の一価の金属イオンを、これと比較してそのイオン半径が大きなナトリウムイオンやカリウムイオン等の一価の金属イオンにイオン交換することをいう。そして、ガラス基板の主表面に圧縮応力を作用させて化学強化する方法である。この化学強化処理は、化学強化塩を加熱溶融した化学強化処理液にガラス基板を所定時間浸漬することによって行われる。化学強化塩の具体例としては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸銀等をそれぞれ単独、あるいは少なくとも2種を混合したものが挙げられる。化学強化処理液の温度は、ガラス基板に用いた材料の歪点よりも好ましくは50〜150℃程度低い温度であり、より好ましくは化学強化処理液自身の温度が300〜450℃程度である。ガラス基板の材料の歪点よりも150℃程度低い温度未満では、ガラス基板を十分に化学強化処理することができない。一方、ガラス基板の材料の歪点よりも50℃程度低い温度を超えると、ガラス基板に化学強化処理を施すときに、ガラス基板に歪みが発生するおそれがある。
実施形態ではローラ31を揺動させることとしたが、これに限らず、ガラス板11aを揺動させてもよい。つまり、この場合、ガラス板11aは回転しながら、ローラ31に対し、その直径方向へ揺動することとなる。
【書類名】明細書
【技術分野】
本発明は、テクスチャーの形成された主表面を有するガラス基板の製造方法に関し、特に、ハードディスクドライブ等の情報記録装置に設けられる、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の情報記録媒体用のガラス基板の製造方法に関する。
背景技術
一般に磁気ディスクは、円盤状をなすガラス基板の主表面に磁性膜及び保護膜を積層することによって製造される。高密度で大容量のデータを磁気ディスクに記録するため、ガラス基板の主表面は平滑に研磨される。しかし、平滑に研磨された磁気ディスクの主表面には、情報を磁気ディスクから読み取る及び磁気ディスクに書き込むための磁気ヘッドが吸着しやすくなる。そこで、磁気ヘッドの吸着の低減を目的として、ガラス基板の表面に同心円状に延びる複数のライン状の微細な突起を含むテクスチャーを形成する機械式テクスチャー加工法が特開2001−101656号公報に提案されている。ライン状の微細な突起同士が0.1〜45゜の範囲の交差角で交差するようにテクスチャーを形成することにより、磁気ディスクの円周方向に磁気異方性を付与する方法が特開2001−209927号公報に提案されている。
ところが、従来の方法でテクスチャーを形成したガラス基板には、研磨加工を施したにも係わらず、高い確率で表面の平滑性が低下してしまうという問題があった。表面の平滑性を示す基準のうち、三次元表面構造解析顕微鏡を用い0.2〜1.4mmの波長の光で測定される微小うねりが高くなる傾向があった。
この原因として、ライン状の微小突起同士を所定の角度で交差させるための加工条件は一義的に定められるものではないことが挙げられる。すなわち、所定の交差角を得るための加工条件が幾つも存在するため、ある加工条件では、所定の交差角と表面の平滑性が得られる一方、他の加工条件では、所定の交差角は得られるが、表面の平滑性は低下することがある。これは、交差角が同じであっても、テクスチャーの一部では深い溝が形成され、他の一部では浅い溝が形成されてテクスチャーが不均一になり、ガラス基板の平滑性が低下するからであると考えられる。
発明の開示
本発明の目的は、均一なテクスチャーと高い平滑性とを有する情報記録媒体用ガラス基板及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の一態様は、円盤状をなすガラス板の主表面に砥粒を含む研磨剤を供給しつつ、前記主表面を研磨部材で摺接することにより、前記主表面にテクスチャーを形成する工程を含む情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、砥粒が前記ガラス板の主表面上の少なくとも3箇所で交差する一筆書きの軌跡を周期的に描くように、前記ガラス板を回転させながら、前記研磨部材及び前記ガラス板のいずれか一方を他方に対して前記ガラス板の径方向へ揺動させることを特徴とする。
前記揺動の周波数F(Hz)と前記ガラス板の回転速度R(min-1)は、前記回転速度Rが(F×60)±5の範囲外になるように決められていることが好ましい。
一実施形態では、前記一筆書きの軌跡はその途中に少なくとも5箇所の交点を有する。
一実施形態では、揺動の周波数は0Hzより高く、20Hz以下である。
一実施形態では、前記回転速度は240〜540min-1である。
一実施形態では、揺動のストロークは0.5〜2mmである。
研磨部材はISO7627−2に規定されるduro硬度が40〜90である弾性材料製のローラであることが好ましい。
一実施形態では、前記テクスチャーを形成する工程後、JIS K7113に規定される100%モジュラスが2.9〜39.2MPaであるスクラブ材で前記ガラス板の主表面を擦る工程が更に行なわれる。
前記ガラス板の外径が48mm以下の場合、前記揺動の周波数は0Hzより高く、4Hz以下であり、前記外径が48mmを超える場合、前記揺動の周波数は4Hzより高く、20Hz以下であることが好ましい。
本発明の他の態様は、主表面と中心円孔とを有する円盤状のガラス板を用意する工程と、各々が前記中心円孔の周りの少なくとも3箇所で交差する閉じた曲線に沿って延びる複数の溝を含むテクスチャーを、前記主表面に形成する工程とを備える情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を開示する。
一実施形態では、前記テクスチャーを形成する工程が、前記ガラス板の主表面に砥粒を含む研磨剤を供給することと、研磨部材を前記ガラス板の主表面に押し付けることと、前記ガラス板と前記研磨部材のいずれか一つを当該ガラス板の径方向に周期的に揺動させることと、前記ガラス板を一定の速度で回転させる工程とを同時に行なうことを含む。
揺動のストロークは0.5〜2mmであり、前記揺動の周波数F(Hz)と前記ガラス板の回転速度R(min-1)は、前記回転速度Rが(F×60)±5の範囲外になるように決められていることが好ましい。
前記揺動の周波数は前記ガラス板の外径寸法に応じて変更されることが好ましい。
本発明の他の態様は、テクスチャの形成された主表面を有する情報記録媒体用ガラス基板を開示する。原子間力顕微鏡を用いて測定される、ガラス基板の主表面の算術平均粗さRaが0.5nm以下であり、0.2〜1.4mmの測定波長の光を用いた三次元主表面構造解析顕微鏡により測定される、前記主表面の微小うねりの高さNRaが0.2nm以下である。
ガラス基板のテクスチャは複数の突起を含むものであり、前記主表面において所定の基準面積を有する一領域内において、前記複数の突起の断面積の合計値が前記基準面積に対して50%となるように前記複数の突起を横切る、仮想の基準面を設定した場合、前記複数の突起の断面積の合計値が前記基準面積に対して0.4%となるように前記複数の突起を横切る、前記主表面と平行な第1の仮想面は、前記仮想の基準面から第1の距離だけ離間しており、複数の突起の断面積の合計値が前記基準面積に対して0.01%となるように前記複数の突起を横切る、前記主表面と平行な第2の仮想面が、前記仮想の基準面から第2の距離だけ離間しており、前記第1の距離と第2の距離との差が0.01〜1.0nmである。
本発明の他の態様は、中心円孔と主表面とを有する円盤状の情報記録媒体用ガラス基板において、前記主表面に、各々が前記中心円孔の周りの少なくとも3箇所で交差する閉じた曲線に沿って延びる複数の溝を含むテクスチャーが形成されていることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板に関する。
図面の簡単な説明
図1は本発明の情報記録媒体用ガラス基板の正面図。
図2Aはテクスチャーマシンの概略側面図。
図2Bはテクスチャーマシンの概略正面図。
図3Aはテクスチャーの概略的拡大図。
図3Bは図3Aの3B−3B線に沿った断面図。
図3Cは図3Aの3C−3C線に沿った断面図。
図4A及び図4Bはガラス板の回転と揺動が非同期しているときに、一つの砥粒によってガラス板の表面に形成される溝描く軌跡。
図5A、図5B、図6A及び図6Bはガラス板の回転と揺動が同期しているときに、砥粒がガラス板の表面に描く軌跡。
図7A及び図7Bはガラス板の表面に押圧されたテクスチャーマシンのローラの拡大図。
図8〜図11は本発明の実施例と比較例のガラス基板について、ベアリングレシオ(BR)とベアリングハイト(BH)の関連を示すグラフ。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、情報記録媒体用ガラス基板11は、中心に円孔12を有し、その主表面にテクスチャー13の形成された円盤である。ガラス基板11は、フロート法、ダウンドロー法、リドロー法又はプレス法で製造されたソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、結晶化ガラス等の多成分系のガラス材料製である。ガラス基板11は、シート状のガラス材料から円盤状のガラス板を切り出し、そのガラス板を研磨し、その表面にテクスチャー加工を施すことにより製造される。
テクスチャー13は、複数の尾根部(凸部)と、複数の谷部とから構成される。尾根部及び谷部はガラス基板11の周方向へ断続的に延びるラインをなしている。テクスチャー13を有するガラス基板11の主表面に、例えばコバルト(Co)、クロム(Cr)、鉄(Fe)等の金属又は合金よりなる磁性膜、保護膜等を形成することによって磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の情報記録媒体が得られる。テクスチャー13を形成することによって、ガラス基板11から製造された情報記録媒体の記録面とヘッドとの接触面積が低減される。
次に、ガラス基板11の製造方法について説明する。
ガラス基板11は、円盤加工工程、端面面取り工程、ラップ工程、研磨工程、洗浄処理工程及びテクスチャー加工工程を経て製造される。
円盤加工工程においては、超硬合金又はダイヤモンド製のカッターを用いることにより、四角形のガラス材料から円盤状のガラス板が切り抜かれる。端面面取り工程においては、ガラス板の外周端面及び内周端面が研削され、外径寸法及び内径寸法が所定長さとされるとともに、外周端面及び内周端面の角部が面取りされる。ラップ工程においては、研磨装置を用いてラップ処理が施されることにより、ガラス板の反りが修正される。研磨工程においては、研磨装置を用いて複数段階の研磨処理が施され、ガラス板の主表面が平滑面とされる。洗浄処理工程においては、研磨処理後のガラス板を洗浄液で洗浄することにより、ガラス板の主表面に付着した研磨剤、研磨粉、塵埃等の付着物が除去される。
テクスチャー加工工程においては、研磨工程でその主表面を平滑とされたガラス板に対し、テクスチャーマシンを用いて、機械式テクスチャー形成法に従い、ガラス板の主表面にテクスチャーが形成される。このようにして、ガラス基板11が製造される。
テクスチャーマシンについて説明する。
図2A,図2Bに示すように、テクスチャーマシン内において、ガラス板11aは図示しないスピンドルにより回転可能に支持されている。ガラス板11aは、互いに対向するように設けられた一対のローラ31間に配置される。各ローラ31は、ガラス板11aの半径方向に延びる回転軸32によって回転可能に支持される。両ローラ31はガラス板11aに対して接近及び離間可能である。
ガラス板11aの主表面と、対応するローラ31との間には、研磨部材としてのテープ部材33が移動可能に配置される。テープ部材33は、ガラス板11aの主表面と各ローラ31との間において、その一端側(図2Aの上側)から他端側(図2Aの下側)へと移動される。テープ部材33とガラス板11aの主表面との間には、図示しない供給部から研磨剤が供給され、この研磨剤に含まれる砥粒がテープ部材33に付着する。ガラス板11aを一定の回転速度で回転させながら、ガラス板11aの主表面に一対のローラ31を接近させることにより、テープ部材33はガラス板11aの主表面を摺接する。このテープ部材33の摺接により、砥粒がガラス板11aの主表面に押し付けられ、同主表面を削ることにより、複数のライン状の微細な溝すなわちテクスチャーの谷部が形成される。また、これら谷部の間にテクスチャーの尾根部が画定される。
研磨剤に含まれる砥粒は、その粒径に若干の差異を有している。このため、一つ一つの砥粒が形成する谷部の深さ及び幅に差異が生じ、尾根部の形状が不均一となってしまう。例えば、谷部が深く、幅広に形成された箇所では、谷部の間の部分が大きく削られることから、尾根部は低く、細くなる。これとは逆に、谷部が浅く、幅狭に形成された箇所では、谷部の間の部分が小さく削られることから、尾根部は高く、太く形成される。そして、低く細い尾根部に高く太い尾根部が連なったり等して該尾根部の頂上を繋ぐ線(稜線)が波状をなすように歪み、この歪みが主表面の微小うねりに影響を与えることとなる。
従来のガラス基板の製造方法では、回転されるガラス板に研磨部材を押し付けるだけであり、ガラス板も研磨部材も揺動されない。従って、テクスチャーの尾根部と谷部が同心円状に形成される。ガラス板に押し付けられる一つの砥粒がガラス板の主表面上に描く軌跡は、図5Aに示すように、ガラス板の周方向へ延びる円形である。この場合、複数の軌跡が互いに交差することはない。つまり、ある場所で比較的高い尾根部が形成されたとしても、他の砥粒の軌跡がこの尾根部を削るように横切り、該尾根部の高さを修正することはない。また、一旦、谷部が深く、幅広に形成されると、その谷部に砥粒が入り込みやすくなることから、周期運動する砥粒によって主表面の同じ箇所ばかりが削られるという現象が発生しやすくなる。特に、円形の軌跡の場合、一つの砥粒が他の砥粒の通った跡をなぞりやすくなることから、この現象が極めて高い確率で発生する。その結果、ガラス板の主表面全体を観点とする巨視的に見て、同一のガラス板でありながら、ある任意の箇所と他の箇所とで尾根部の高さ、幅等の形状に偏りが生じやすくなる。また、個々の尾根部を観点とする微視的に見て、連なる一つの尾根部でありながら、ある箇所では稜線が上下左右に大きく歪み、他の箇所では稜線が平坦である等のように、稜線の形状、なかでも頂上の高さが不均一となりやすい。特に、ガラス板11aの主表面で同じ箇所ばかりが深く削られた場合、微視的に見て尾根部の稜線上に大きな削り残しが存在することにより、バリと呼ばれる異常突起が形成されやすくなる。そして、巨視的及び微視的に見て尾根部の形状に偏りが生じたり、稜線の形状が不均一となったりすることで微小うねりの高低差が大きくなり、ガラス基板の表面品質が低下してしまう。
なお、この明細書中で一周期とは、ガラス板の主表面の任意の1点(始点)に押し付けられた砥粒が、その始点と同一位置(終点)まで戻るまでの時間をいう。この明細書中で周期運動とは、略同一の軌跡を略同一時間間隔毎に繰り返し描く運動をいう。
そこで、第1実施形態では、図2Bに示すように、ガラス板11aが回転されるだけでなく、ガラス板11aとローラ31の一方が、ガラス板11aの径方向へ所定の周波数及びストロークで揺動される。この状態で主表面にテープ部材33が摺接される。テープ部材33上の一つの砥粒34に着目すると、図2B中の鎖線の矢印で示すように、砥粒34はガラス板の主表面で、ガラス板の径方向に周期的に揺らされる。従って、砥粒34との接触により、回転するガラス板11aの主表面には周期的な波状の溝が掘られる。(図4A参照)尚、ガラス板11aに着目すれば、一つの砥粒34がガラス板11aの主表面上で周期運動するように見える。図4Aの例では、周期運動する砥粒は、ガラス板11aの主表面上に、3箇所で交差する一筆書きの閉じた曲線に沿って延びる溝を形成する。
図5Aの軌跡の一周期はガラス板11aの1回転であるが、図4Aの軌跡の一周期はガラス板11aの3回転である。従って、図4Aの軌跡の一周期の長さは図5Aの円形軌跡のものに比べて長く、巨視的に見て谷部がガラス板の主表面全体に分散して形成される。このため、周期運動する砥粒により、ガラス板の主表面の同じ箇所ばかりが削られるという現象はほとんど発生しない。また、一つの軌跡が一周期内で交差することから、例えばある場所で尾根部が高く形成されたとき、砥粒がこの尾根部の頂上を積極的に削ることができ、微視的に見て稜線の形状を修正することが可能である。特に、バリを積極的に削り取ることが可能であり、このバリを除去するという観点からも、一周期の軌跡の途中に交点を有するように、上記のような形状とすることは有効な方法である。
従って、尾根部は、微視的に見て稜線の形状又は頂上の高さがほぼ揃えられた状態で、巨視的に見てガラス板の主表面全体に略均一に分散して形成される。この場合、ガラス板の主表面において、微小うねりの高低差は小さくなり、表面品質の低下が抑制される。以下、明細書中で周期運動する砥粒の軌跡を一周期内で交差させる方法を、「クロスハッチ法」と記載する。
クロスハッチ法において、ガラス板の主表面に砥粒が一周期で描く軌跡を上記のような形状とするため、その加工条件は以下のようにすることが好ましい。
ガラス板11aまたはローラ31の揺動周波数と、回転速度(一分間あたりの回転数)とは、同期した状態ではなく、非同期の状態とすることが好ましい。ここで、揺動周波数と回転速度とが同期した状態とは、揺動周波数をF(Hz)で表したとき、回転速度R(min-1)が(F×60)±5の範囲内にある状態である。
例えば、揺動周波数Fが4Hz、回転速度Rが4×60すなわち240min-1(240rpm)である場合、一周期の軌跡の形状は、図5Bに示すように、楕円形状となる。これは、揺動周波数Fと回転速度Rとが完全に同期することにより、一つの砥粒34の揺動の始点及び終点と、一周期の軌跡の始点及び終点とがそれぞれ一致することによるものと考えられる。つまり、一周期内で1回の揺動が行われることにより、このような形状となると考えられる。この場合、円形状の軌跡と同様に、巨視的及び微視的に見て尾根部の形状に偏りが生じたり、稜線の形状が不均一となりやすく、微小うねりの高低差が大きくなり、ガラス基板の表面品質が低下してしまうおそれがある。
揺動周波数Fが4Hz、回転速度Rが(4×60)+5すなわち245min-1(245rpm)である場合、一周期の軌跡の形状は、図6Aに示すように、一周期の始点から終点まで交差しながら一筆書きで延びる形状ではあるが、2箇所で交差する形状となる。このとき、2箇所の交点以外の箇所では、軌跡が内方又は外方へ略同心状に位置ずれする。これは、揺動周波数Fと回転速度Rとが完全に同期する状態から若干のずれがあっても、未だ揺動周波数Fと回転速度Rとがほぼ同期する状態にあり、その影響は揺動の終点と一周期の軌跡の終点とを極僅かに位置ずれさせることのみに止まることによるものと考えられる。そして、軌跡の位置ずれは、揺動の終点と一周期の軌跡の終点との位置ずれによって生じるものと考えられる。
一つの軌跡がその途中の2箇所で交差する場合、2箇所の交点及びその近傍では、砥粒がほぼ同じ箇所を何度も繰り返し通過することから、ガラス板の主表面が深く削られる。これに対し、それ以外の箇所では、主表面が浅く削られる。このため、微視的及び巨視的に見て、尾根部の形状に偏りが生じたり、稜線の形状が不均一となり、ガラス基板が表面品質の低下したものとなる。また、回転速度Rが(4×60)−5すなわち235min-1(235rpm)である場合、一周期の軌跡の形状は、図6Bに示すような形状となる。これは、図6Aに示した形状とほぼ同一であり、前に述べた理由と同じく、ガラス基板が表面品質の低下したものとなる。
ところで、図示はしないが、揺動周波数Fと回転速度Rとが完全に同期した状態から、例えば回転速度Rを(F×60)+4、(F×60)−3とする等のように、−5〜0、0〜+5の範囲内でずらした場合、一周期の軌跡の形状は、図6A,図6Bに示した形状とほぼ同じ形状となる。なお、軌跡の形状は、2箇所の交点以外の箇所で軌跡の間の距離が拡がるか、あるいは狭まるかという点では異なる。しかし、交点部分が2箇所であるという点で違いはないため、ガラス基板が表面品質の低下したものとなる。
これらに対し、揺動周波数Fと回転速度Rとを非同期の状態としたとき、例えば揺動周波数Fを3Hzとし、回転速度Rを(3×60)+60の240min-1(240rpm)とすれば、一周期の軌跡の形状は、図4Aに示したような形状となる。これは、揺動周波数Fと回転速度Rとを非同期の状態とすることにより、一つの砥粒34の揺動の終点と、一周期の軌跡の終点とが一致しなくなることによるものと考えられる。つまり、一周期内で複数回の揺動が行われることにより、このような形状となると考えられる。この場合、巨視的及び微視的に見て、尾根部の形状に偏りが生じにくく、稜線の形状が不均一となりにくいため、微小うねりの高低差が小さくなり、ガラス基板は表面品質が維持されたものとなる。さらに、当該形状は、尾根部の稜線上にバリが形成されにくいという利点も有する。
また、例えば揺動周波数Fが4.5Hz、回転速度Rが(4.5×60)−30すなわち240min-1(240rpm)である場合、一周期の軌跡の形状は、図4Bに示したような形状となる。この場合には、図4Aに示した形状と比べ、一周期内における軌跡の交点が増加する。このように交点を増加させる場合、尾根部の頂上をさらに積極的に削ることができる等のように、微視的に見て稜線の形状をより効果的に修正することが可能であり、加えてバリの形成を抑制することが可能である。
本発明においては、上記のように、一周期内での軌跡の交点の個数が重要である。これは、交点の増加に伴い、テクスチャーの尾根部分が広範囲にわたって削られることにより、削り残しの部分が低減し、微視的には稜線の形状を揃え、巨視的にはガラス板の主表面全体をほぼ均一な厚さで削ることが可能となるためである。一方、図6A,図6Bに示した形状について、その軌跡同士の交差角は4〜9゜であり、図4Aに示した形状における軌跡同士の交差角が7゜程度であることから、互いの交差角は、略同一の範囲内にあるといえる。しかし、図6A,図6Bに示した軌跡と、図4Aに示した軌跡とでは、その形状が大きく異なり、図6A,図6Bに示した形状では、表面品質の低下を招くおそれがあるのに対し、図4Aに示した形状では、表面品質は維持される。このため、従来例のように軌跡同士の交差角を定めることは、表面品質の維持という観点では重要な要因となりえない。従って、微小うねりから見た表面品質の維持という観点では、一周期内での軌跡の交点の個数が重要な要因となる。
一周期内での軌跡の交点の個数は、揺動周波数Fと回転速度Rとを非同期の状態とした上で、これらをさらに細かく定めることにより、増減させることが可能である。そして、表面品質を維持するため、一周期内での軌跡の交点は、少なくとも3箇所である。交点が3箇所未満の場合とは、すなわち図5A,図5B及び図6A,図6Bに示したような形状の場合であり、巨視的及び微視的に見て、尾根部の形状に偏りが生じたり、稜線の形状が不均一となりやすい形状となる場合をいう。また、表面品質を高めるためには、一周期内での軌跡の交点を少なくとも5箇所とすることが好ましい。これは、交点の増加に伴い、テクスチャーの尾根部分が広範囲にわたって削られることにより、微視的には稜線の形状を揃え、巨視的にはガラス板の主表面全体をほぼ均一な厚さで削ることが可能となるためである。
砥粒のガラス板の主表面上での移動距離を長く、又はガラス板に対する移動速度を速くするに従い、砥粒が描く軌跡は長く延び、その軌跡同士をより確実に交差させることが可能となる。しかし、ガラス板は、平面視で円形状をなしており、砥粒の移動距離は、ガラス板の外径側に位置するものほど長くなり、内径側に位置するものほど短くなる。また、砥粒の移動速度は、ガラス板の外径側に位置するものほど速く、内径側に位置するものほど遅くなる。
従って、クロスハッチ法を行う場合、ガラス板の内径側の部分を砥粒に十分な時間接触させないと、この内径側の部分で砥粒の軌跡同士が十分に交差せず、表面品質の低下を招くおそれがある。特に、図2Bに示したようなテクスチャーマシンにおいては、揺動時にガラス板11aの外径側の部分は常にテープ部材33が摺接された状態となるが、内径側の部分は一時的にテープ部材33が摺接されない時間が存在する可能性がある。このような内径側の部分が一時的にテープ部材33が摺接されない時間を短くする、あるいは無くすためには、揺動周波数及び揺動ストロークをより細かく定めることが好ましい。
具体的に、揺動周波数は、好ましくは4Hzより高く、20Hz以下である。揺動周波数が4Hz以下の場合、ガラス板が揺動の始点から終点まで戻る時間が長くなるため、内径側の部分が一時的にテープ部材33が摺接されない時間も長くなる可能性があり、巨視的に見て尾根部の形状に偏りが生じ、表面品質の低下を招くおそれがある。また、揺動周波数が20Hzを超えると、ガラス板の外径側の部分にテープ部材33が摺接される時間が不必要に長くなり、その外径側の部分が砥粒によって過剰に削られる可能性があり、巨視的に見て却って尾根部の形状に偏りが生じ、表面品質の低下を招くおそれがある。
また、揺動ストロークは、好ましくは0.5〜2mmである。揺動ストロークが0.5mm未満の場合、砥粒の軌跡同士の距離が不必要に近くなり、複数の溝が集まった1本の太い溝として形成されてしまう。このように複数の溝が集まる場合には、ガラス板を揺動させているにも係わらず、外観上では従来の同心円状のテクスチャーが形成されてしまうおそれがある。揺動ストロークが2mmを超えると、ガラス板が揺動の始点から終点まで戻る時間が長くなるため、内径側の部分が一時的にテープ部材33が摺接されない時間も長くなる可能性がある。このような場合、巨視的に見て尾根部の形状に偏りが生じ、表面品質の低下を招くおそれがある。
さらに、回転速度は、好ましくは240〜540min-1(240〜540rpm)である。回転速度が240min-1未満の場合、一回の揺動における砥粒の移動距離が短くなることにより、軌跡の交点を3箇所以上とすることができなくなるおそれがある。また、回転速度が540min-1を超えると、形成された尾根部の幅又は長さが極端に短くなるおそれがあり、テクスチャーとしての機能を発揮することができなくなるおそれがある。
テープ部材33は、例えば織物、不織布、植毛シート、及びスウェードシートである。このようなテープ部材33は、その表面に極微細な凹凸を有するため、その極微細な凹凸に研磨剤の砥粒が保持されるため好ましい。また、テープ部材33の材料として、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂、綿等の天然繊維を使用することができる。合成樹脂製の発泡体から形成されたスウェードシートを使用することができる。
研磨剤としては、ダイヤモンド製の砥粒を水等の分散媒に分散させて得られるダイヤモンドスラリーが主に使用される。また、砥粒の平均粒径(D50)は好ましくは0.05〜0.3μmであり、より好ましくは0.08〜0.25μmである。D50が0.05μm未満の場合、ガラス板に対する研磨能力が低く、テクスチャーの形成速度が遅くなるため、歩留まりの低下、加工コストが高騰するおそれがある。一方、D50が0.3μmを超えると、一つ一つの砥粒の粒径のばらつきが顕著となり、均一なテクスチャーを形成することが困難となるおそれがある。
ローラ31は、ISO7627−2に規定されるduro硬度が好ましくは40〜90である、合成ゴム、天然ゴム、エラストマー等の弾性材料製である。ローラ31の硬度と砥粒の軌跡との関連について説明する。
図7A、図7Bに示すように、ガラス板11aへの押圧によってローラ31は弾性変形する。図7Aの場合、1つの砥粒34は、テープ部材33の移動に伴って接触幅L1と同じ距離だけ移動する期間だけガラス板11aと接触し、この後、ガラス板11aの主表面から脱する。すなわち、1つの砥粒34は、ガラス板11aに接触している間に前に挙げたような一周期分の軌跡を描ききれるとは限らず、接触幅L1の長さに応じて半周期分、1/4周期分等の軌跡を描く。
表面品質の維持を達成するためには、1つの砥粒34をできる限り長くガラス板11aの主表面に接触させ、一周期内で軌跡をより多くの箇所で交差させることが好ましい。これは、砥粒34の接触が短くなるに従い、一の砥粒と、他の砥粒とのガラス板11aの主表面に対する微妙な接触位置のずれにより、形成された谷部が僅かにずれることから、軌跡同士が交差する可能性が低くなることによる。従って、1つの砥粒34をできる限り長くガラス板11aの主表面に接触させるためには、ガラス板11aに対するローラ31の接触幅が大きい必要がある。弾性変形の程度はローラ31のduro硬度によって異なるので、図7Bに示すように、比較的大きい接触幅L2が得られるように、ローラ31のduro硬度が規定されている。
ローラ31のduro硬度が40未満である場合、ローラ31が過剰に軟らかくなることにより、砥粒34をガラス板11aの主表面に押し付ける力が過不足となり、テクスチャーを十分な高さで形成することができなくなるおそれがある。また、duro硬度が90を超えるローラ31を使用した場合、接触幅を十分に拡げることができなくなるおそれがある。
また、一対のローラ31がガラス板11aの主表面に砥粒34を押し付ける力は、好ましくは13.4〜44.5N(3.0〜10.0lbs)である。押し付ける力が13.4N(3.0lbs)未満の場合、ローラ31の接触幅が拡がらないか、又は砥粒34が十分にガラス板11aに押し付けられず、テクスチャーを十分な高さで形成することができなくなるおそれがある。押し付ける力が44.5N(10.0lbs)を超えると、一対のローラ31の間に挟まれたガラス板11aが割れたり、ガラス板11aを回転させる際に、却って抵抗となる等の不具合を生じるおそれがある。
上記のクロスハッチ法によるテクスチャー加工工程の後には、スクラブ工程を施すことが好ましい。クロスハッチ法によってテクスチャーを形成した場合、大半の尾根部は、微視的に見て稜線の形状が揃ったものとなるが、まれに、バリが形成されることがある。
ここで、テクスチャーを形成する方法としては、上記の機械式テクスチャー形成法の他に、ケミカルテクスチャー形成法が存在する。このケミカルテクスチャー形成法は、フッ化水素酸等の酸性水溶液、アルカリ性水溶液等のエッチング液を使用し、ガラス板の主表面をエッチングしてテクスチャーを形成する方法である。ケミカルテクスチャー形成法においては、ガラス板の主表面全体をエッチングすることから、バリが形成されにくいという利点を有する。一方、ケミカルテクスチャー形成法は、一旦バリが形成されると、そのバリの表面に化学的性質の異なる層が形成されてしまう。この層は、バリの表面をコーティングし、該バリを保護するものとなる。従って、ケミカルテクスチャー形成法は、バリを除去しにくいという欠点を有する。
これに対し、機械式テクスチャー形成法は、ガラス板の主表面を砥粒で削るときに削り残しが発生しやすく、ケミカルテクスチャー形成法に比べればバリが形成されやすい方法と一般には言われている。しかし、このバリは、その周囲が砥粒で削られることによって形成されたものであり、いわば削り残しである。このことから、機械式テクスチャー形成法で形成されたバリの表面にはひびが存在している。従って、機械式テクスチャー形成法によって生じたバリは、物理的手段により、その基部から折り取ることが十分に可能であり、ケミカルテクスチャー形成法によって生じたバリに比べ除去しやすい。
そこで、本実施形態においては、スクラブ工程において、ガラス板の主表面に洗浄液をシャワーしつつ、同主表面をスクラブ材で擦ることにより、ガラス板の主表面に残留する砥粒、ガラス粉等の異物を除去するとともに、バリと呼ばれる異常突起を取り除く。
スクラブ材には、合成樹脂製の発泡体よりなるスポンジ、スウェード材等が使用される。このスクラブ材には、JIS K7113に規定される100%モジュラスが、好ましくは2.9〜39.2MPa(30〜400kgf/cm2)のものが使用される。また、SRISO101に規定されるアスカーC硬度が、好ましくは40以上のスクラブ材が使用される。100%モジュラスが2.9MPa(30kgf/cm2)未満、又はアスカーC硬度が40未満のスクラブ材を使用した場合、バリの強度にスクラブ材が負け、このバリを十分に取り除くことができないおそれがある。また、100%モジュラスが39.2MPa(400kgf/cm2)を超える過剰に硬いスクラブ材の場合、形成されたテクスチャーまで削り取ってしまう可能性がある。
また、洗浄液としては、水、純水、イソプロピルアルコール等のアルコール等の中性水溶液が挙げられる。この他に中性水溶液として、塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩等といった無機塩の水溶液を電気分解することにより得られた電解水又はガスが溶解されたガス溶解水等の機能水等の中性水溶液が挙げられる。さらに、ガラス材料に対してエッチング能を有するアルカリ性水溶液、酸性水溶液等を洗浄液として使用してもよい。この場合には、ガラス材料に対するエッチング能が低い、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性水溶液を使用することが好ましい。
なお、機械式テクスチャー形成法で形成されたバリをスクラブ工程で物理的手段により除去可能であることは、本発明者等の多くの実験と、その結果の解析とによって初めて見出されたものである。つまり、バリ自体がAFM等の測定機器を使用して初めて判別できる程度の微小なものであり、その表面を微細に走査できるものではないことから、そのひびは、測定機器等を使用しても判別できない位の極微小なものである。このため、単に従来のスクラブ工程によるガラス板の主表面の洗浄という観点からは、このバリが有するひびを利用し、同バリを折り取って除去するという事項は、容易に類推し得るものではない。
また、本発明の趣旨からは逸脱するが、上記のスクラブ工程は、機械式テクスチャー形成法で形成された従来の同心円状をなすテクスチャーにおいて、そのバリを除去する場合にも、十分な効果を有する。つまり、スクラブ材として100%モジュラスが2.9〜39.2MPaの材料を使用する又はアスカーC硬度が40以上のスクラブ材を使用することにより、クロスハッチ法を含む機械式テクスチャー形成法の全般において、形成されるバリを十分に除去することが可能である。
上記のようにして製造されたテクスチャーを有するガラス基板は、その主表面の微小うねりの高さ(NRa)が0.2nm以下であり、表面粗さ(Ra)が0.5nm以下である。また、この場合の主表面のうねりの高さ(Wa)は、好ましくは0.5nm以下である。なお、NRaとは、Zygo社製の三次元表面構造解析顕微鏡(NewView200)を用い、測定波長(λ)を0.2〜1.4mmとして主表面の所定領域を白色光で走査して測定された値を示すものである。Raとは、原子間力顕微鏡(AFM)で測定された値を示すものである。Waとは、Phase Metrix社製の多機能ディスク干渉計(Optiflat)を用い、測定波長(λ)を0.4〜5.0mmとして主表面の所定領域を白色光で走査して測定された値を示すものである。
NRaが0.2nmを超え、かつ、Raが0.5nmを超えていると、ガラス基板の主表面は荒れた平滑性の低いものである。これには、背景として、近年の情報記録媒体は、さらなる高密度記録化を図るため、情報記録媒体の主表面とヘッドとの距離をさらに接近させる傾向があることが挙げられる。このヘッドが情報記録媒体上を移動する際、うねりの高さWaが若干大きくとも、うねりにヘッドが追従することが可能である。しかし、NRa及びRaが大きいと、ヘッドは微小うねりに追従できず、また、異常突起を飛び越えることができずに、ヘッドが異常突起に引っ掛かったり、衝突したりする等の不具合が頻繁に発生しやすくなるためである。
一方で、主表面の平滑性が過剰に高すぎると、ヘッドが情報記録媒体の主表面に吸着され、移動が不可能になったりする等の不具合を発生させる。そこで、テクスチャーは、ガラス基板の主表面を平滑としながらも、ヘッドとの接触面積を低減するために形成されている。そして、テクスチャーは、ヘッドとの接触面積を低減することにより、情報記録媒体の主表面に対するヘッドの吸着を抑制するという機能を有する。また、当該テクスチャーを有するガラス基板から製造された情報記録媒体は、テクスチャーによって高い磁気異方性と保磁力とが付与される。これは、磁性膜を形成する金属の原子が、テクスチャーの側面で配向良く並べられることが理由であると考えられる。
また、ガラス基板の表面品質を測定する方法として、ベアリングレシオ(BR)と、ベアリングハイト(BH)を使用した方法が挙げられる。このBRと、BHを使用した方法によれば、テクスチャーの形状の他、バリの有無をも測定することが可能である。まず、BRについて、以下に説明する。
BRを求めるためには、まず第1に、AFMを使用し、ガラス基板の主表面の所定領域内において、その表面状態が測定される。なお、同AFMでは、JIS B0601の規定に従い、その走査線毎に粗さ曲線を求めることが可能であり、同粗さ曲線に基づき、ガラス基板の主表面の凹凸を鳥瞰図として示すことが可能である。この測定された所定領域の面積が基準面積とされる。例えば、測定された所定領域が5μm四方の正方形であれば、基準面積は25μm2である。
第2に、図3A〜Cに示すように、ガラス基板11の主表面と平行な面でテクスチャー13が切断される。ここでは、図3A中の3B線を含む面でテクスチャー13を切断したそれぞれの切断面14を図3Bに示し、3C線を含む面でテクスチャー13を切断した切断面14を図3Cに示す。その後、テクスチャー13の切断面14の面積が算出される。この切断面14の面積が、測定面積とされる。
そして、前述の基準面積に対する当該測定面積の割合が、BRとして示される。例えば、基準面積に対する測定面積の割合が50%ならば、BRは50%であり、割合が0.01%ならば、BRは0.01%である。
次に、BHについて、以下に説明する。
BHを求めるためには、まず第1に、BRが50%となる位置が求められる。このBRが50%となる位置が、図3A中に示した基準面15とされる。第2に、BRが所定値となるときにテクスチャーを切断する面が求められる。このテクスチャーを切断する面が測定面とされる。ここでは、図3A中で、3B線を含む面又は3C線を含む面が測定面である。そして、前述の基準面15から当該測定面までの高さが、BHとして示される。例えば、3B線を含む面を測定面としたとき、ここでのBRが10%ならば、BH(10)と表記し、基準面15から3B線を含む測定面までの高さH1が0.5nmならば、BH(10)は0.5nmである。また、3C線を含む面を測定面としたとき、ここでのBRが0.1%ならば、BH(01)と表記し、基準面15から3C線を含む測定面までの高さH2が1.5nmならば、BH(01)は1.5nmである。
さて、上記のBRとBHを使用し、ガラス基板の表面品質を測定する場合、所定のBR毎にBHを測定し、測定されたBH毎に差を求め、その差を評価することで、テクスチャーの形状、バリの有無を測定することが可能となる。すなわち、図3Aに示したように、テクスチャーは、各尾根部の上端に向かうに従い、その切断面の面積が小さくなる。このとき、尾根部が一定の勾配の尾根状をなすならば、BRが一定の比率で小さくなり、これに比例してBHは高くなり、BH毎の差もほぼ一定となる。しかし、尾根部が、その途中から急激に細く、高くなったり、あるいは図3A中に示すように、その上端に細く切り立ったバリを有する場合には、BH毎の差に変化を生じる。そこで、製造されるガラス基板において、BH毎の差を所定値に定めることにより、テクスチャーを均一な形状とし、バリの発生を防止することが可能となる。
当該ガラス基板において、BRが0.01%のときのBH(001)と、BRが0.4%のときのBH(04)との差(BH(001)−BH(04))は、好ましくは0.01〜1.0nmであり、より好ましくは0.2〜0.7nmである。このBH(001)−BH(04)が0.01nm未満の場合、尾根部の稜線にへこみが形成されることとなる。BH(001)−BH(04)が1.0nmを超えると、図3A中に示したように、稜線上に細く切り立ったバリ13aが形成されることとなる。
上記の範囲は、AFMによる鳥瞰図から、バリがBH(001)〜BH(04)の範囲内に発生することを本発明者等が初めて見出した結果、得られたものである。つまり、AFMによる鳥瞰図を見ると、稜線上に所々細く切り立った部分が観測されており、この細く切り立った部分をバリとした結果、同バリがBH(001)〜BH(04)の範囲内に存在していたことによる。そして、BH(001)−BH(04)を0.01〜1.0nmとすることで、バリの形成を防止することが可能である。
また、微視的な観点から個々の尾根部の形状を評価した結果、BH(04)と、BRが1.0%のときのBH(1)との差(BH(04)−BH(1))は、好ましくは0.15〜0.2nmであり、より好ましくは0.17〜0.20nmである。このBH(04)−BH(1)が0.15nm未満の場合、尾根部の頂上が高く突出して形成されることとなる。BH(04)−BH(1)が0.2を超えると、尾根部の頂上が低くへこんで形成されることとなる。
そして、BH(1)と、BRが15.0%のときのBH(15)との差(BH(1)−BH(15))は、BH(04)−BH(1)の値と同じか、それ以下であることが好ましい。これは、テクスチャーとして好ましいものは、BH(15)からBH(04)の範囲で略一定の勾配で高くなる形状をなすものであることを理由とする。この部分で勾配が急激に上がれば、それは尾根部の高さが低いテクスチャーとなり、勾配が急激に下がれば、この範囲より高い部分に勾配のピークがある、つまりはバリの存在、頂上が高く突出した尾根部の存在を示すこととなる。
第1の実施形態によれば以下の利点が得られる。
ガラス基板11はガラス板に機械式テクスチャー形成法でテクスチャーを形成する際、クロスハッチ法を用いている。このクロスハッチ法により、ガラス板の主表面で砥粒は、一周期の始点から終点まで少なくとも3箇所で交差しながら一筆書きで延びる軌跡を描くようにされている。このため、ガラス板の同一箇所ばかりが削られたり、大きな削り残しの部分が存在する等の弊害を防止することができ、主表面のNRaが0.2nm以下、Raが0.5nm以下のガラス基板を製造することができる。従って、主表面の平滑性を低下させることなく、凹凸状のテクスチャーを形成することができる。
また、クロスハッチ法においては、ガラス板の回転速度Rとローラの揺動の揺動周波数とが非同期の状態とされる。これにより、ガラス板の主表面上で砥粒に、一周期の始点から終点まで少なくとも3箇所で交差しながら一筆書きで延びる軌跡を確実に描かせることができる。従って、主表面の平滑性の低下を効果的に抑制することができる。
砥粒の軌跡の交点は、5箇所以上であることが好ましい。そして、5箇所以上とすることにより、テクスチャーを構成する尾根部の頂上を積極的に削り、稜線の形状をより良く修正することができる。
また、揺動周波数は4Hzより高く、20Hz以下、回転速度は240〜540min-1、揺動ストロークは0.5〜2mmに、それぞれ範囲が設定されている。これにより、砥粒の軌跡を少なくとも3箇所で交差させつつ、テクスチャーの形状が均一に揃えられた状態とすることができる。
また、製造されるガラス基板においては、BH(001)−BH(04)が0.01〜1.0nmとされている。このため、尾根部の稜線上にバリが形成されることを防止することができる。
以下、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、この第2の実施形態では第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
図1に示すように、第2の実施形態のガラス基板11は、外径等のサイズを除き、形状等の構成が第1の実施形態のガラス基板11と同じものであり、中心に円孔12を有する円盤状に形成されるとともに、その主表面にはテクスチャー13が形成されている。この第2の実施形態のガラス基板11は、第1の実施形態のガラス基板11に比べ、その外径が小さなものとされている。具体的に、外径が、例えば65mm(2.5in)、95mm(3.5in)等の48mmを超えるものが大径基板であり、第1の実施形態のガラス基板11はこの大径基板に該当する。外径が48mm(1.8in)以下のものは小径基板であり、第2の実施形態のガラス基板11は小径基板に該当する。
次に、第2の実施形態のガラス基板11の製造方法について説明する。
当該ガラス基板は、円盤加工工程、端面面取り工程、ラップ工程、研磨工程、洗浄処理工程及びテクスチャー加工工程を経て製造される。円盤加工工程から洗浄処理工程までの各工程は、前に挙げたものとそれぞれ同様の工程である。
テクスチャー加工工程においては、前述のテクスチャーマシンを使用してクロスハッチ法を行う。すなわち、図2A,図2Bに示したように、ローラ31に対してガラス板11aをその直径方向へ所定の揺動周波数及び揺動ストロークで揺動させつつ、かつ回転させながら、主表面にテープ部材33を摺接させることにより、テクスチャーが形成される。そして、周期運動する砥粒が一周期でガラス板11aの主表面に描く軌跡は、一周期の始点から終点まで少なくとも3箇所で互いに交差しながら一筆書きで延びる形状となる。また、小径基板において、軌跡は、一周期の始点から終点まで少なくとも16箇所で互いに交差することがより好ましい。これは、軌跡を少なくとも16箇所で交差させれば、小径基板で主表面品質を維持しつつ、クロスハッチ法によるテクスチャーを確実に得ることができるためである。
クロスハッチ法を行う際、平面視で円形状をなすガラス板の主表面で砥粒の移動距離は、前述したように、外径側に位置するものほど長くなり、内径側に位置するものほど短くなる傾向がある。また、砥粒の移動速度は、ガラス板の外径側に位置するものほど速く、内径側に位置するものほど遅くなる傾向がある。これらの傾向は、大径基板に比べ小径基板では特に顕著に現れる。そして、1つの砥粒は、ガラス板の主表面で一周期分の軌跡を描ききれるとは限らない。
小径基板では、特に主表面の内径側の部分で砥粒の移動距離が短く、移動速度が遅いため、砥粒が描く軌跡の長さが顕著に短くなり、大半の砥粒は互いの軌跡を十分に交差させる前にガラス板の主表面から脱してしまう。砥粒の軌跡同士が十分に交差しなければ、尾根部の形状に偏りが生じる等の不具合が高い確率で発生してしまう。そこで、小径基板のクロスハッチ法を行うときには、砥粒の軌跡を出来る限り短い長さで確実に交差させる必要がある。
このため、小径基板のクロスハッチ法においては、軌跡同士の交差角を出来る限り小さくすることが好ましい。これは、交差角が小さくなるに従い交差させるために必要となる軌跡の長さも短くなるためである。具体的に、軌跡同士の交差角は、0゜を超えて13゜以下とすることが好ましく、0゜を超えて9゜以下とすることがより好ましい。交差角が0゜の場合、砥粒の軌跡同士が交差しないか、あるいは同一箇所に溝が形成されてしまうこととなる。交差角が13゜を超える場合、小径基板では交差させるために必要とする軌跡の長さを得にくく、大半の砥粒が軌跡を交差させる前にガラス板の主表面から脱してしまう。なお、大径基板においては、大半の砥粒がガラス板の主表面から脱するまでに描く軌跡は互いに交差することが可能な程度の十分な長さを有しており、軌跡同士の交差角はさして問題とせず、軌跡の交点の個数を重要な要因とした。これに対し、小径基板においては、軌跡同士を交差させることすらできなくなるおそれがあるため、軌跡の交点の個数のみならず交差角も重要な要因となる。
テクスチャーマシンを使用してクロスハッチ法を行うとき、ガラス板の主表面で内周縁には、揺動時におけるローラ31のスピンドルへの接触防止等のため、テープ部材33が摺接されない部分が存在している。当該部分がガラス板11aの主表面全体に対して占める割合は、大径基板では極僅かなものであったが、小径基板では大きなものとなる。このため、テープ部材33が摺接されない部分の面積を出来る限り低減する必要がある。そして、交差角を小さくする、摺接されない部分の面積を低減する等を目的とし、小径基板のクロスハッチ法では、揺動周波数、揺動ストローク、回転速度等の加工条件が設定される。
小径基板のクロスハッチ法を行うときの加工条件について説明する。
小径基板のクロスハッチ法においても、ガラス板11aのローラ31に対する揺動の周波数と、回転速度とは、非同期の状態とすることが好ましい。これは、揺動周波数Fと回転速度Rとを同期させると、ガラス板11aの主表面で砥粒34が描く軌跡が前述のように円形状又は楕円形状となるためである。この場合、巨視的及び微視的に見てテクスチャーの形状に偏りが生じ、微小うねりの高低差が大きくなって表面品質が低下してしまうおそれがある。
小径基板のクロスハッチ法では、ガラス板が揺動の始点から終点まで戻る時間を長くするため、大径基板のクロスハッチ法に比べて揺動周波数を低くすることが好ましい。大径基板であれば、砥粒34の軌跡が長く、互いに交差しやすいため、特にはこれを問題とせず、むしろ面積が大きいが故に主表面全体にテクスチャーを均一に形成することが問題となり、ガラス板が揺動の始点から終点まで戻る時間を短くするために揺動周波数を高めていた。これに対し、小径基板は面積が小さいため主表面全体にテクスチャーを均一に形成することは容易であるが、砥粒34の軌跡が短く、軌跡を互いに交差させることが難しくなる。このため、揺動周波数を低くしてガラス板が揺動の始点から終点まで戻る時間を長くすることにより、テープ部材33に対してガラス板の主表面上で同箇所が摺接される時間を延ばし、1つの砥粒によって描かれる軌跡の長さを長くしている。但し、揺動周波数が過剰に低い場合、軌跡同士が交差しなくなるため、尾根部の形状が偏ったり、稜線の形状が不均一となったりして、微小うねりが大きくなり、表面品質の低下を招くおそれがある。
具体的に、揺動周波数は、好ましくは0Hzより高く、4Hz以下であり、より好ましくは0.5〜2Hzである。揺動周波数が4Hzを超える場合、ガラス板の主表面において、特に内径側の部分でテープ部材33を摺接させる時間が不十分となる。この場合、砥粒の軌跡が交差させるための十分な長さを有しておらず、テクスチャーが偏って形成され、微小うねりが大きくなり、表面品質の低下を招くおそれがある。揺動周波数を0Hzとした場合、ローラ31に対してガラス板11aが揺動せず、砥粒の軌跡を交差させることができなくなる。
揺動ストロークは、大径基板に比べて小さくすることが好ましい。これは、小径基板の外径が大径基板の外径に比べて小さいためである。揺動ストロークは、好ましくは0.5〜1mmである。揺動ストロークが0.5mm未満の場合、砥粒の軌跡同士の距離が不必要に近くなり、複数の溝が集まった1本の太い溝として形成されてしまい、外観上では従来の同心円状のテクスチャーが形成されてしまうおそれがある。揺動ストロークが1mmを超えると、ガラス板が揺動の始点から終点まで戻る時間が長くなるため、内径側の部分が一時的にテープ部材33が摺接されない時間も長くなる可能性があり、表面品質の低下を招くおそれがある。
回転速度は、大径基板に比べて高くすることが好ましい。これは、砥粒によって単位時間当たりに描かれる軌跡を長くするためである。回転速度は、好ましくは300〜540min-1(300〜540rpm)である。回転速度が300min-1未満の場合、一回の揺動における砥粒の移動距離が短くなることにより、軌跡が短くなり、軌跡同士を交差させることができなくなるおそれがある。また、回転速度が540min-1を超えると、形成される尾根部の幅又は長さが極端に短くなるおそれがあり、テクスチャーとしての機能を発揮することができなくなるおそれがある。
研磨剤としては、ダイヤモンド製の砥粒を水等の溶媒に分散させて得られるダイヤモンドスラリーが主に使用される。砥粒の粒径は、大径基板に比べて小さくすることが好ましい。これは、砥粒の粒径を小さくすることで、一対のローラ31がガラス板の主表面に砥粒を押し付ける力を強くして溝をはっきりと確実に形成するためである。砥粒の粒径は、平均粒径(D50)で好ましくは0.085〜0.155μmである。D50が0.085μm未満の場合、形成される尾根部の幅が極端に長くなるおそれがあり、テクスチャーとしての機能を発揮することができなくなるおそれがある。D50が0.155μmを超える場合、ガラス板の主表面に砥粒が十分に押し付けられず、良好な形状のテクスチャーを形成することができなくなるおそれがある。
ISO7627−2に規定される、ローラ31のduro硬度は、好ましくは40〜90である。duro硬度が40未満の場合、ガラス板の主表面に砥粒を押し付ける力が不十分となったり、ガラス板に対して砥粒が位置ずれしたり等の不具合を生じ、良好な形状のテクスチャーを形成することができなくなるおそれがある。duro硬度が90を超える場合、ガラス板に対するローラ31の接触幅が短くなり、砥粒によって描かれる軌跡がさらに短くなって軌跡同士を交差させることができなくなるおそれがある。また、ローラ31の力が局所的に作用してガラス板が割れてしまうおそれもある。
一対のローラ31がガラス板の主表面に砥粒を押し付ける力は、大径基板に比べて弱くすることが好ましい。これは、押し付ける力によるガラス板の割れを抑えるためである。但し、押し付ける力を過剰に弱めると、ガラス板の主表面で谷部をはっきりと確実に形成することができなくなるおそれもある。このため、一対のローラ31がガラス板の主表面に砥粒を押し付ける力は、好ましくは13.3〜26.7N(3.0〜6.0lbs)である。押し付ける力が13.3N(3.0lbs)未満の場合、ローラ31の接触幅が拡がらないか、又は砥粒34が十分にガラス板に押し付けられず、尾根部を十分な高さで形成することができなくなるおそれがある。押し付ける力が26.7N(6.0lbs)を超えると、一対のローラ31の間に挟まれたガラス板が割れたり、ガラス板を回転させる際に、却って抵抗となる等の不具合を生じるおそれがある。
クロスハッチ法によるテクスチャー加工工程の後には、前述のスクラブ工程を施すことが好ましい。これは、クロスハッチ法によって形成されたテクスチャー上からバリを除去するためである。そして、テクスチャー加工が施されて形成された小径基板であるガラス基板は、その主表面の微小うねりの高さ(NRa)が0.2nm以下であり、表面粗さ(Ra)が0.5nm以下である。また、この場合の主表面のうねりの高さ(Wa)は、好ましくは0.5nm以下である。
当該ガラス基板のテクスチャーにおいて、BH(001)−BH(04)は、好ましくは0.01〜1.0nmであり、より好ましくは0.2〜0.7nmである。BH(04)−BH(1)は、好ましくは0.15〜0.2nmであり、より好ましくは0.17〜0.20nmである。BH(1)−BH(15))は、BH(04)−BH(1)の値と同じか、それ以下であることが好ましい。
第2の実施形態によれば以下の利点が得られる。
第2の実施形態のガラス基板によれば、クロスハッチ法でガラス板にテクスチャーを形成することにより、ガラス板の主表面に描かれる砥粒の軌跡が互いに交差するようになっている。このため、ガラス板の同一箇所ばかりが削られたり、大きな削り残しの部分が存在する等の弊害を防止することができ、主表面のNRaが0.2nm以下、Raが0.5nm以下のガラス基板を製造することができる。従って、主表面の平滑性を低下させることなく、凹凸状のテクスチャーを形成することができる。
また、第2の実施形態のガラス基板は、その外径が48mm以下の小径基板である。小径基板においては、大径基板に比べて砥粒の軌跡の長さが短く、軌跡同士を交差させにくいという問題もある。このため、小径基板では軌跡の交点を16箇所以上とすることが好ましいとされている。つまり、大径基板に比べて交点を増やすことにより、軌跡同士を確実に交差させることができるように構成されている。
また、小径基板では軌跡同士の交差角が0゜を超えて13゜以下とされている。これは、交差角を小さく定めることにより、軌跡同士を接近させ、短い軌跡であっても確実に交差させるためである。従って、軌跡同士を確実に交差させることができ、主表面の平滑性を低下させることなく、均一なテクスチャーを形成することができる。
また、クロスハッチ法においては、大径基板に比べて外径の短い小径基板にあわせて、揺動周波数は低く、揺動ストロークは短く、回転速度は高くなるように、それぞれ範囲が設定されている。このため、小径基板のクロスハッチ法であっても、軌跡同士を確実に交差させることができ、主表面の平滑性を低下させることなく、凹凸状のテクスチャーを形成することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1及び比較例1)
フロート法により得られたアルミノシリケートガラスよりなるガラス板の主表面に、図2に示したようなテクスチャーマシンを使用し、機械式テクスチャー形成法に従い、テクスチャーを形成した。ガラス板の組成は、SiO2が63mol%、Al23が16mol%、Na2Oが11mol%、Li2Oが4mol%、MgOが2mol%、CaO 4mol%であった。また、ガラス板のサイズは、厚み0.65mm、外径65mm、内径20mmであった。
機械式テクスチャー形成法において、平均粒径が0.2μmのダイヤモンド砥粒を含む研磨剤を使用した。そして、表1に示すような加工条件で実施例1及び比較例1のガラス基板を得た。このとき、実施例1で砥粒の軌跡は、図4Bに示したような形状となり、軌跡同士の交点数は99個となった。一方、比較例1で砥粒の軌跡は、図5Aに示したような形状となり、軌跡同士の交点数は0個であった。なお、実施例1及び比較例1では、例えば揺動ストローク、テープ部材の材質、ローラの硬度、一対のローラの間に加える荷重等は全て同じ条件とした。
実施例1及び比較例1のガラス基板について、テクスチャー形成前のNRa及びテクスチャー形成後のNRaと、BR及びBHとを測定した。その結果を表1及び図8のグラフに示した。
【表1】
Figure 2004059619
表1の結果より、比較例1はテクスチャー形成前のNRaに比べ、テクスチャー形成後のNRaが0.06nm悪化し、またテクスチャー形成後のNRaが0.2nmを超えることとなった。これに対し、実施例1はテクスチャー形成の前後でNRaの差が0.01しかなく、またテクスチャー形成後のNRaが0.15nmであり、0.2nm以下となった。
図8のグラフより、比較例1は全体的にBHが高く、特にBRが0.4〜0.1%の間でBHがばらつくことが示された。これは、測定領域内で尾根部の高さにばらつきがあることを示す。これに対し、実施例1はBRに対しBHが比例するように、グラフの線が略直線状をなすものとなった。これは、テクスチャー(尾根部の高さ)が均一に揃えられており、かつバリが形成されていないことを示す。
これらの結果より、砥粒の軌跡を交差させた実施例1では、軌跡を交差させない比較例1と比べ、テクスチャー形成後にもNRaを良好に維持することが可能であることが示された。また、BR及びBHから、形成されるテクスチャーは、尾根部の高さが均一に揃ったバリの無いものになることが示された。
(実施例2〜5及び比較例2〜9)
次に、実施例1及び比較例1と同様にして、表2に示すような加工条件で実施例2〜5及び比較例2〜9のガラス基板を製造した。このとき、実施例2〜5は、砥粒の軌跡が図4Bに示したような形状となり、軌跡同士の交点数は99個となった。比較例2〜5は、砥粒の軌跡が図5Aに示したような形状となり、その交点数は0個であった。比較例6〜9は、砥粒の軌跡が図6Bに示したような形状となり、その交点数は2個であった。
【表2】
Figure 2004059619
実施例2〜5及び比較例2〜9のガラス基板について、BR及びBHを測定した。その結果を図9〜図11のグラフに示した。
図9のグラフより、実施例2〜5のガラス基板は、それぞれ異なるものであるにも係わらず、BHに大きな隔たりがなく、形成されるテクスチャーは、高さが均一に揃ったバリの無いものになることが示された。
これに対し、図10のグラフより、比較例2〜5のガラス基板は、それぞれでBHに大きな隔たりがある。なかでも、比較例5はグラフの描く線が直線から大きくずれ、テクスチャーの形状に大きなばらつきがあることが示された。これは、前述したように、交点数が0の軌跡を描くものは、同じ箇所を何度も削るように砥粒が移動すれば、それだけガラス基板の表面状態は悪化することによるものと思われる。しかし、比較例2は良好な結果を示すことから、欠点を修正するように砥粒が移動すれば、表面状態は良好になることも示された。
図11のグラフより、比較例6〜9のガラス基板は、それぞれでBHに大きな隔たりがあるとともに、グラフの描く線が大きく乱れることから、テクスチャーの形状にも大きなばらつきがあることが示された。これは、前述したように、交点数が2の軌跡を描くものは、その交点では同じ箇所を何度も削るように砥粒が移動し、それだけガラス基板の表面状態を悪化させることによるものと思われる。特に、比較例9は表面状態の悪化が著しいものとなることが示された。
以上の結果より、軌跡同士を交差させることにより、軌跡を交差させないものと比較し、表面状態を安定に維持しながらガラス基板にテクスチャーを形成することが可能であることが示された。また、表面状態の良好なガラス基板を安定した歩留まりで得られることも示された。
上記の実施形態を次のように変更してもよい。
情報記録媒体として要求される耐衝撃性、耐振動性、耐熱性等を満たすため、テクスチャー加工工程よりも前の工程でガラス板に化学強化処理を施してもよい。この化学強化処理とは、ガラス基板の組成中に含まれるリチウムイオンやナトリウムイオン等の一価の金属イオンを、これと比較してそのイオン半径が大きなナトリウムイオンやカリウムイオン等の一価の金属イオンにイオン交換することをいう。そして、ガラス基板の主表面に圧縮応力を作用させて化学強化する方法である。この化学強化処理は、化学強化塩を加熱溶融した化学強化処理液にガラス基板を所定時間浸漬することによって行われる。化学強化塩の具体例としては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸銀等をそれぞれ単独、あるいは少なくとも2種を混合したものが挙げられる。化学強化処理液の温度は、ガラス基板に用いた材料の歪点よりも好ましくは50〜150℃程度低い温度であり、より好ましくは化学強化処理液自身の温度が300〜450℃程度である。ガラス基板の材料の歪点よりも150℃程度低い温度未満では、ガラス基板を十分に化学強化処理することができない。一方、ガラス基板の材料の歪点よりも50℃程度低い温度を超えると、ガラス基板に化学強化処理を施すときに、ガラス基板に歪みが発生するおそれがある。
実施形態ではローラ31を揺動させることとしたが、これに限らず、ガラス板11aを揺動させてもよい。つまり、この場合、ガラス板11aは回転しながら、ローラ31に対し、その直径方向へ揺動することとなる。

Claims (17)

  1. 円盤状をなすガラス板の主表面に砥粒を含む研磨剤を供給しつつ、前記主表面を研磨部材で摺接することにより、前記主表面にテクスチャーを形成する工程を含む情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、
    前記砥粒が前記ガラス板の主表面上の少なくとも3箇所で交差する一筆書きの軌跡を周期的に描くように、前記ガラス板を回転させながら、前記研磨部材及び前記ガラス板のいずれか一方を他方に対して前記ガラス板の径方向へ揺動させることを特徴とする前記製造方法。
  2. 前記揺動の周波数F(Hz)と前記ガラス板の回転速度R(min−1)は、前記回転速度Rが(F×60)±5の範囲外になるように決められていることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記一筆書きの軌跡はその途中に少なくとも5箇所の交点を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記揺動の周波数は0Hzより高く、20Hz以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記回転速度は240〜540min−1であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記揺動のストロークは0.5〜2mmであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記研磨部材は、ISO7627−2に規定されるduro硬度が40〜90である弾性材料製のローラであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記テクスチャーを形成する工程後、JIS K7113に規定される100%モジュラスが2.9〜39.2MPaであるスクラブ材で前記ガラス板の主表面を擦る工程を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記ガラス板の外径が48mm以下の場合、前記揺動の周波数は0Hzより高く、4Hz以下であり、前記外径が48mmを超える場合、前記揺動の周波数は4Hzより高く、20Hz以下であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、
    主表面と中心円孔とを有する円盤状のガラス板を用意する工程と、
    各々が前記中心円孔の周りの少なくとも3箇所で交差する閉じた曲線に沿って延びる複数の溝を含むテクスチャーを、前記主表面に形成する工程とを備える。
  11. 前記テクスチャーを形成する工程は、
    前記ガラス板の主表面に砥粒を含む研磨剤を供給することと、
    研磨部材を前記ガラス板の主表面に押し付けることと、
    前記ガラス板と前記研磨部材のいずれか一つを当該ガラス板の径方向に周期的に揺動させることと、
    前記ガラス板を一定の速度で回転させる工程とを同時に行なうことを含む請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記テクスチャーを形成する工程は、前記ガラス板の回転速度、前記揺動の周波数、及び前記揺動のストロークを決めることを含む、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記揺動のストロークは0.5〜2mmであり、前記揺動の周波数F(Hz)と前記ガラス板の回転速度R(min−1)は、前記回転速度Rが(F×60)±5の範囲外になるように決められていることを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記揺動の周波数は前記ガラス板の外径寸法に応じて変更されることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
  15. テクスチャの形成された主表面を有する情報記録媒体用ガラス基板であって、
    原子間力顕微鏡を用いて測定される、前記主表面の算術平均粗さRaが0.5nm以下であり、0.2〜1.4mmの測定波長の光を用いた三次元主表面構造解析顕微鏡により測定される、前記主表面の微小うねりの高さNRaが0.2nm以下であることを特徴とする前記ガラス基板。
  16. 前記テクスチャは複数の突起を含むものであり、
    前記主表面において所定の基準面積を有する一領域内において、前記複数の突起の断面積の合計値が前記基準面積に対して50%となるように前記複数の突起を横切る、仮想の基準面を設定した場合、
    前記複数の突起の断面積の合計値が前記基準面積に対して0.4%となるように前記複数の突起を横切る、前記主表面と平行な第1の仮想面は、前記仮想の基準面から第1の距離だけ離間しており、
    複数の突起の断面積の合計値が前記基準面積に対して0.01%となるように前記複数の突起を横切る、前記主表面と平行な第2の仮想面が、前記仮想の基準面から第2の距離だけ離間しており、
    前記第1の距離と第2の距離との差が0.01〜1.0nmであることを特徴とする請求項15に記載のガラス基板。
  17. 中心円孔と主表面とを有する円盤状の情報記録媒体用ガラス基板であって
    前記主表面に、各々が前記中心円孔の周りの少なくとも3箇所で交差する閉じた曲線に沿って延びる複数の溝を含むテクスチャーが形成されていることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板。
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