JPWO2004005842A1 - 読み取り装置とこれを用いた認証器 - Google Patents

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JPWO2004005842A1
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Abstract

本発明の読み取り装置(1)は、対象物(101)の表面の形状を読み取る読み取り装置であって、上記表面と接触したときに、上記形状に応じて磁気状態が異なる磁気変位部(2)と、磁気変位部(2)の磁気状態を検知する検出部(3)とを含んでいる。また、本発明の認証器は、上記読み取り装置と、メモリ部と、照合部とを含み、メモリ部には、対象物の表面の形状が予め登録してあり、照合部によって、読み取り装置によって読み取られた上記形状と、メモリ部に登録してある上記形状とを照合する。 このような読み取り装置および認証器とすることによって、磁気変位を検知方式に用いた読み取り装置および認証器を提供することができる。

Description

本発明は、読み取り装置とこれを用いた認証器に関する。
現在の生活では、様々な状況において個人の認証が求められる。例えば、銀行口座の預金の管理、インターネットなどの通信回線を用いた情報の授受などにおいて、契約者個人であることの認証が必要である。従来、個人が予め決めておいた認証番号・記号などを、その都度入力し、照合する認証方法が一般的である。このような認証方法は、運用が極めて簡単(例えば、認証番号・記号の登録が容易であり、照合も容易に行える)であるため広く用いられている。しかし、近年のように個人の認証が求められる場面が増えてくると、それぞれの場面ごとに認証番号・記号の設定が必要となり、個人が全てを記憶することが困難になってくる。このため、個人の生体的特徴を利用したバイオメトリクス型の認証、なかでも指紋などの表面の形状を利用した簡便な認証が期待されている。指紋を利用した認証には、まず指紋の形状を検知する読み取り装置が必要である。現在、指紋の形状を検知できる読み取り装置(および、読み取り装置を用いた認証器)には、その検知方式により、主として3種類(静電容量式、感熱式、光学式)が存在する(例えば、P2000−501640A/JPには感熱式の認証器が記載されている)。これら従来の読み取り装置には、種類に応じて異なるが、CMOS製造プロセスを応用して製造できるなどの長所と、静電気あるいは環境温度の変化に弱い、小型化に制約があるなどの短所とがある。
本発明は、これら従来の検知方式とは異なり、磁気状態の変化(磁気変位)を検知方式に用いた読み取り装置と、これを用いた認証器とを提供することを目的とする。
本発明の読み取り装置は、対象物の表面の形状を読み取る読み取り装置であって、前記表面と接触したときに、前記形状に応じて磁気状態が異なる磁気変位部と、前記磁気変位部の前記磁気状態を検知する検出部とを含んでいる。
本発明の読み取り装置では、前記形状が、凸部と凹部とからなり、前記磁気変位部は、前記表面が接触することによって生じる圧力によって、前記凸部が面する領域と前記凹部が面する領域との間で磁気状態が異なっていてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気変位部が、機械エネルギーと磁気エネルギーとを変換する転移体を含んでいてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記転移体が、磁歪材料を含んでいてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記転移体が、式Fe−Zで示される組成を有する材料を含んでいてもよい。ただし、Zは、Mn、Co、Ni、Cu、Al、Si、Ga、Pd、Pt、TbおよびDyから選ばれる少なくとも1種の元素である。
本発明の読み取り装置では、前記転移体の歪みの変化量が、10−3%以上であってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気変位部が、軟磁性層をさらに含み、前記軟磁性層と前記転移体とは磁気的に結合しており、前記転移体の磁気状態によって前記軟磁性層の磁気状態が異なってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記検出部がコイルを含み、前記コイルによって前記磁気状態を検知してもよい。
本発明の読み取り装置では、前記検出部が磁気抵抗素子を含み、前記磁気抵抗素子によって前記磁気状態を検知してもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気抵抗素子は、非磁性層と、前記非磁性層を狭持する一対の磁性層とを含む多層構造を含み、双方の前記磁性層が有する磁化方向の相対角度により抵抗値が異なり、前記磁気変位部が、機械エネルギーと磁気エネルギーとを変換する転移体を含み、前記転移体の磁気状態によって一方の前記磁性層の磁化方向が異なってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記一方の磁性層と前記転移体とが磁気的に結合していてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気抵抗素子が反強磁性層をさらに含み、前記反強磁性層は、前記反強磁性層と前記非磁性層とによって他方の前記磁性層を狭持するように配置されていてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記一対の磁性層から選ばれる少なくとも1つの磁性層が、非磁性膜と、前記非磁性膜を狭持する一対の磁性膜とを含んでもよい。
本発明の読み取り装置では、前記一対の磁性膜が、積層フェリ結合および静磁結合から選ばれるいずれかの磁気的結合の状態にあってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気変位部が、前記対象物の前記表面に垂直な方向に固定されていてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気変位部が、前記対象物の前記表面に垂直な方向に可動であってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気変位部が点状、線状および面状から選ばれる少なくとも1つの形状に配置されていてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記検出部が点状、線状および面状から選ばれる少なくとも1つの形状に配置されていてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気変位部を移動させる第1のスキャン部をさらに含み、前記第1のスキャン部によって前記磁気変位部を前記対象物の表面に沿って移動させ、前記対象物の表面の形状を読み取ってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記検出部を移動させる第2のスキャン部をさらに含み、前記第2のスキャン部によって前記検出部を前記磁気変位部に沿って移動させ、前記磁気変位部の磁気状態を検知してもよい。
本発明の読み取り装置では、前記対象物が人体であってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記表面の形状が指紋であってもよい。
次に、本発明の認証器は、読み取り装置と、メモリ部と、照合部とを含み、前記読み取り装置は、対象物の表面の形状を読み取る読み取り装置であって、前記表面と接触したときに、前記形状に応じて磁気状態が異なる磁気変位部と、前記磁気変位部の前記磁気状態を検知する検出部とを含んでおり、前記メモリ部には、対象物の表面の形状が予め登録してあり、前記照合部によって、前記読み取り装置によって読み取られた前記形状と、前記メモリ部に登録してある前記形状とを照合する。
図1Aおよび図1Bは、本発明の読み取り装置の一例を示す模式断面図である。
図2Aおよび図2Bは、本発明の読み取り装置の別の一例を示す模式断面図である。
図3は、本発明の読み取り装置のまた別の一例を示す模式断面図である。
図4は、本発明の読み取り装置のさらにまた別の一例を示す模式断面図である。
図5は、本発明の読み取り装置に用いる磁気抵抗素子の一例を説明するための模式断面図である。
図6は、本発明の読み取り装置に用いる磁気抵抗素子の別の一例を説明するための模式断面図である。
図7は、本発明の読み取り装置に用いる磁気抵抗素子のまた別の一例を説明するための模式断面図である。
図8Aから図8Dは、本発明の読み取り装置に用いる磁気変位部の配置の一例を示す模式図である。
図9Aから図9Dは、本発明の読み取り装置に用いる検出部の配置の一例を示す模式図である。
図10は、本発明の読み取り装置の上記とは別の一例を示す模式断面図である。
図11は、本発明の読み取り装置の作動例を示す模式図である。
図12は、本発明の読み取り装置の別の作動例を示す模式図である。
図13は、本発明の読み取り装置のまた別の作動例を示す模式図である。
図14は、本発明の読み取り装置の構造の一例を示す模式図である。
図15は、本発明の読み取り装置の構造の別の一例を示す模式図である。
図16Aから図16Fは、本発明の読み取り装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図17は、本発明の認証器の一例を示す模式図である。
図18は、実施例で測定した、指紋の形状の読み取り結果を示す図である。
図19Aから図19Gは、本発明の読み取り装置の製造方法の別の一例を示す模式断面図である。
発明の実施形態
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態において、同一の部分に同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
まず、本発明の読み取り装置について説明する。
本発明の読み取り装置は、対象物の表面の形状を読み取る読み取り装置であって、対象物の表面と接触したときに、その表面の形状に応じて磁気状態が異なる磁気変位部と、磁気変位部の磁気状態を検知する検知部とを含んでいる。なお、磁気状態とは、磁気変位部が有する磁気的なパラメータである限り、特に限定されず、例えば、磁気変位部から生じる磁束の大きさ、磁気変位部が有する磁化方向および/または磁化の大きさなどを意味している。
このような読み取り装置とすることによって、従来の読み取り装置とは異なり、磁気状態の変化(磁気変位)を検知方式とする読み取り装置を得ることができる。このため、上述した従来の読み取り装置とは異なり、静電気や温度などの環境の影響を受けにくい読み取り装置とすることができる。また、光源、レンズなどの光学部品、あるいは、ヒーターなどの部品を省略することができるため、より小型、低消費電力の読み取り装置とすることもできる。さらに、本発明の読み取り装置は、後述するように、一般的なデバイス製造プロセス、半導体製造プロセスを応用して製造できる。なお、これらの効果は選択的な効果であって、本発明の読み取り装置が、これらすべての効果を同時に満たす必要はない。
図1Aおよび図1Bに本発明の読み取り装置の一例を示す。図1Aおよび図1Bに示す読み取り装置1は、対象物101の表面と接触したときに、その表面の形状に応じて磁気状態が異なる磁気変位部2と、磁気変位部2の磁気状態を検知する検出部3とを含んでいる。また、図1Aおよび図1Bに示す検出部3は、磁気変位部2に沿って移動する(例えば、図1Aおよび図1Bに示す矢印に沿う方向に移動すればよい)ことによって、磁気変位部2の磁気状態を検知できる。なお、磁気変位部2および検出部3の具体例については、後述する。また、図1Aおよび図1Bは、本発明の読み取り装置の模式断面図であるが、説明を分かりやすくするためにハッチは省略する。以降の図についても、ハッチを省略する部分がある。
本発明の読み取り装置では、対象物の表面の形状が凸部と凹部とからなり、磁気変位部は、対象物の表面が接触することによって生じる圧力によって、凸部が面する領域と凹部が面する領域との間で磁気状態が異なっていてもよい。
図1Aおよび図1Bの例に示すように、表面に凸部と凹部とを有する対象物101を磁気変位部2に接触させると、磁気変位部2のうち、対象物101の凸部に面している領域と、対象物101の凹部に面している領域とでは、対象物101から受ける圧力は異なる。例えば、磁気変位部2に上記圧力に応じて磁気状態が異なる材料を配置すれば、磁気変位部2には、対象物101の形状に応じて磁気状態の分布が生じることになる。この分布を検出部3によって検知すれば、対象物101の表面の形状を読み取れることになる。なお、対象物101の表面の形状を読み取る際には、磁気変位部2と対象物101の凸部とは接触している必要があるが、磁気変位部2と対象物101の凹部とは接触していても、接触していなくてもよい。
ここで、磁気変位部2について説明する。
本発明の読み取り装置では、磁気変位部2は、対象物の表面の形状に応じて磁気状態が異なれば、その材料、構成などは特に限定されない。例えば、磁気変位部2が、機械エネルギーと磁気エネルギーとを変換する転移体を含んでいてもよい。このような転移体を含むことによって、磁気変位部2に、対象物101の形状に応じた磁気状態の分布を発生させることができる。
図2Aに、本発明の読み取り装置の別の一例を示す。図2Aに示す読み取り装置1は、図1Aに示す読み取り装置1の磁気変位部2が転移体4を含んでいる。
転移体4は、例えば、磁歪材料を含めばよい。このような材料は、圧力などの機械エネルギーによって磁気状態(例えば、磁化の大きさ、磁化方向など)が変化する特徴を有している。このため、磁気変位部2に、対象物101の形状に応じた磁気状態の分布を発生させることができる。
磁歪材料は、一般的に磁歪特性を有するとされる材料であれば、特に限定されない。例えば、Fe、Co、Ni、Ni−Co、Ni−Mn−Ga、Ni−Mn−Alや;
式Fe−Zで示される組成を有する材料、例えば、Ni−Fe、Fe−Co、Ni−Fe−Co、Fe−Al、Fe−Si、Fe−Al−Si、Fe−Pt、Fe−Pd、Tb−Fe、Dy−Fe、Tb−Dy−Fe、Ni−Fe−Cuなど;
Fe、CoFe、NiCoFe、NiCuフェライト、NiCuCoFeフェライトなどのフェライト類(オルソフェライトやスピネル型フェライトなどを含む)、センダスト;
式D−Eで示される組成を有する材料などのラーベス素材(ただし、Dは、ランタノイドから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Eは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素である);
あるいは、希土類ガーネットなどを用いればよい。
なお、Ni−Feのように、組成比を示していない材料では、その組成比は特に限定されず、必要な特性に応じて任意に設定すればよい。以下に示す材料についても、同様である。
また、あるいは、式AMOで示される組成を有する金属酸化物を用いてもよい。ただし、Aは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Bi、Pb、Li、Tl、Sr、CaおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素である。なかでも、Aが、Bi、Pb、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、HoおよびLiから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Mが、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましく、式(Bi、La)(Sr、Ca、Ba)MnOで示される組成の材料がより好ましい。
本発明の読み取り装置では、転移体4の歪みの変化量は、例えば、10−3%以上であればよい。なかでも、10−2%以上であることが好ましい。例えば、Fe−SiやTb−Dy−Feなどの材料は、上記10−2%以上の条件を満たしている。なお、転移体4の歪みの変化量の上限は特に限定されないが、例えば、10%以下であればよい。なお、歪みの変化量が大きければ、それだけ転移体を薄く、小型化できる。
転移体4の厚さ(対象物101の磁気変位部2と接触する表面に垂直な方向の厚さ、以降に示す「厚さ」もすべて同様である)は、特に限定されず、転移体の特性に応じて任意に設定すればよい。例えば、10nm以上10μm以下の範囲、好ましくは、100nm以上100μm以下の範囲であればよい。なお、転移体4は、1つの材料からなるだけでなく、複数の材料の層からなる多層構造を有していてもよい。
本発明の読み取り装置の別の一例を図2Bに示す。図2Bに示す読み取り装置1は、図2Aに示す読み取り装置1の磁気変位部2が軟磁性層5をさらに含み、軟磁性層5と転移体4とが磁気的に結合しており、転移体4の磁気状態によって軟磁性層5の磁気状態が異なっている。この場合、軟磁性層5の磁気状態の分布を検出部3によって検知すればよい。このような読み取り装置では、転移体4の厚さを薄くすることが可能であり、転移体4だけの場合に比べると、軟磁性層5を含めても磁気変位部2をより薄くすることができる。よって、より小型の読み取り装置1とすることができる。
軟磁性層5に用いる材料は、特に限定されず、例えば、Co、Co−Fe、Ni−Fe、Ni−Fe−Coなどの軟質磁性合金を用いればよい。なかでも、軟質磁性合金としてNi−Fe−Coを用いる場合、式NiFeCoで示される原子組成比を有する合金(ただし、x、yおよびzは、0.6≦x≦0.9、0≦y≦0.3、0≦z≦0.4を満たす数値である)、あるいは、式Nix’Fey’Coz’で示される原子組成比を有する合金(ただし、x’、y’およびz’は、0≦x’≦0.4、0≦y’≦0.5、0.2≦z’≦0.95を満たす数値である)が好ましい。また、これらの軟磁性合金は低磁歪特性(1×10 以下)を有しているため、より特性に優れる軟磁性層5とすることができる。
本発明の読み取り装置では、磁気変位部2の対象物101が接触する面には、磁気変位部2の表面を保護するための保護層を含んでいてもよい。例えば、図2Aおよび図2Bに示す例では、転移体4と対象物101との間に、転移体4の表面を保護するための保護層を含んでいてもよい。より耐久性に優れる読み取り装置1とすることができる。保護層の厚さは、対象物101が接触したときに、その表面の形状に応じて磁気変位部2の磁気状態が異なることができれば特に限定されない。例えば、0.1nm以上100nm以下の範囲である。
保護層に用いる材料は特に限定されず、例えば、W、Ta、Au、Pt、Pdなどの金属材料、Al、SiO、ZnS、MoSなどの無機化合物材料、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などのカーボン材料、ポリイミド、フッ素系樹脂(例えば、デュポン社製テフロン(R))などの樹脂材料などを用いればよい。
磁気変位部2の具体的な配置の方法については、検出部3の具体的な配置の方法と併せて後述する。
次に、検出部3について説明する。
本発明の読み取り装置では、検出部3がコイルを含み、コイルによって磁気変位部2の磁気状態を検知してもよい。検出部3がコイルを含む場合、例えば、磁気変位部2から発する漏れ磁界(より具体的には、図2Aに示す例では、転移体4から発する漏れ磁界、図2Bに示す例では、転移体4および/または軟磁性層5から発する漏れ磁界)をコイルがピックアップすることによって、磁気変位部2の磁気状態を検知することができる。また、コイルを組み込んだ検出部3は、一般的なデバイス製造プロセスにより作製することができる。このため、より低コストの読み取り装置1とすることができる。
コイルの構造は、磁気変位部2の磁気状態を検知することができる限り、特に限定されない。磁気変位部2の磁気的な特性、読み取り装置として必要な特性に応じて任意に設定すればよい。例えば、最も単純な構造として、単巻きのコイルであればよい。
コイルに用いる材料は、導電性材料であれば特に限定されず、例えば、Cu、Al、Ag、Au、Pt、Ti−Nなどを用いればよい。なかでも、線抵抗率が100μΩ・cm以下の材料が好ましい。
本発明の読み取り装置では、検出部3が磁気抵抗素子(以下、単に「MR素子」ともいう)を含み、MR素子によって磁気変位部2の磁気状態を検知してもよい。検出部3がMR素子を含む場合、例えば、磁気変位部2から発する漏れ磁界をMR素子がピックアップすることによって、磁気変位部2の磁気状態を検知することができる。また、MR素子を組み込んだ検出部3は、一般的な半導体製造プロセスにより作製することができる。また、後述するが、磁気変位部2と検出部3とを一体化して形成することもできるため、より特性の安定した読み取り装置1とすることができる。
MR素子は、磁気抵抗効果を示す素子であれば特に限定されず、一般的なMR素子を用いればよい。例えば、異方性磁気抵抗(AMR)効果を利用した素子(AMR素子:AMR効果は、素子を構成する磁性膜の磁化方向と、素子を流れる電流の方向との相対角度により素子の電気抵抗値が異なる現象)や、巨大磁気抵抗(GMR)効果を利用した素子(GMR素子:GMR効果は、非磁性金属層を介して積層した一対の磁性層の磁化方向の相対角度により素子の電気抵抗値が異なる現象)、トンネル磁気抵抗(TMR)効果を利用した素子(TMR素子:TMR効果は、非磁性絶縁層を介して積層した一対の磁性層の磁化方向の相対角度により素子の電気抵抗値が異なる現象)を用いればよい。なかでも、より大きい磁気抵抗効果を得られるGMR素子およびTMR素子を用いることが好ましい。
図3に本発明の読み取り装置のまた別の一例を示す。図3に示す読み取り装置1は、検出部3がMR素子9を含んでおり、MR素子9によって磁気変位部2の磁気状態を検知する読み取り装置1である。ここで、MR素子9は、非磁性層8と、非磁性層8を狭持する一対の磁性層6および7とを含む多層構造を含み、双方の磁性層6および7が有する磁化方向の相対角度により抵抗値が異なる素子である。また、図3に示す読み取り装置1は、磁気変位部2が機械エネルギーと磁気エネルギーとを変換する転移体4を含み、転移体4の磁気状態によって一方の磁性層6の磁化方向が異なる。このような読み取り装置では、MR素子はGMR素子またはTMR素子となり、磁性層6の磁化方向に応じてMR素子9の電気抵抗値が異なるため、転移体4の(即ち、磁気変位部2の)磁気状態を検知することができる。
なお、一般に、MR素子における上記一対の磁性層のうち、相対的に磁化方向が変化しやすい磁性層を自由磁性層、相対的に磁化方向が変化しにくい磁性層を固定磁性層という。図3に示す例では、磁気変位部2のより近くに配置されている磁性層6を自由磁性層、磁気変位部2からより遠くに配置されている磁性層7を固定磁性層とするMR素子9とすればよい。そのためには、例えば、磁気変位部2と磁気的に結合した磁性層6としたり、磁性層6と磁性層7との間で異なる材料を用いたり、反強磁性層をさらに含むMR素子とすればよい。具体例は後述する。また、図3に示す例において、磁性層6と転移体4とは必ずしも接触していなくてもよい。
図4に本発明の読み取り装置のさらにまた別の一例を示す。図4に示す読み取り装置1は、図3に示す読み取り装置1における転移体4と磁性層6とが磁気的に結合している読み取り装置である。このような読み取り装置では、磁性層6を自由磁性層、磁性層7を固定磁性層とするMR素子9とすることができる。また、転移体4の磁気変位を漏れ磁界としてMR素子9により検出する場合に比べて、転移体4の磁気変位を磁性層6の磁化方向に、より直接的に反映させることができるため、より特性に優れる読み取り装置1とすることができる。さらに、自由磁性層である磁性層6に上述の軟磁性層を用いれば、磁性層6が検出部3の一部であると同時に、磁気変位部2の一部である読み取り装置1とすることもできる。即ち、磁気変位部2と検出部3とを一体化した読み取り装置とすることも可能であり、より小型で特性に優れる読み取り装置とすることができる。なお、図4に示す例において、磁性層6と転移体4とが磁気的に結合できる限り、磁性層6と転移体4とは必ずしも接触していなくてもよい。
磁性層6および磁性層7に用いる材料は、磁性材料である限り特に限定されない。例えば、Fe、Co、Niなどの単体;
Fe−Co、Ni−Fe、Co−Ni、Ni−Fe−Coなどの合金;
式X−X−Xで示される組成を有する磁性体(ただし、Xは、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Xは、Mg、Ca、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Al、Si、Mg、GeおよびGaから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Xは、N、B、O、FおよびCから選ばれる少なくとも1種の元素である。例えば、Fe−N、Fe−Ti−N、Fe−Al−N、Fe−Si−N、Fe−Ta−N、Fe−Co−N、Fe−Co−Ti−N、Fe−Co(Al,Si)−N、Fe−Co−Ta−Nなど);
式(Co,Fe)−Xで示される組成を有する磁性体(ただし、Xは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、CuおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素である);
式X−Xで示される組成を有する磁性体(ただし、Xは、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Xは、Cu、Ag、Au、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Os、Ru、Si、Ge、Al、Ga、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素である。例えば、Fe−Cr、Fe−Si−Al、Fe−Si、Fe−Al、Fe−Co−Si、Fe−Co−Al、Fe−Co−Si−Al、Fe−Co−Ti、Fe(Ni、Co)−Pt、Fe(Ni、Co)−Pd、Fe(Ni、Co)−Rh、Fe(Ni、Co)−Ir、Fe(Ni、Co)−Ru、Fe−Ptなど);
式X−Mn−Sbで示される組成を有するハーフメタル材料(ただし、Xは、Ni、CuおよびPtから選ばれる少なくとも1種の元素である);
Fe、式(D、G)−J−Oで示される組成を有する材料、式(D、G)−J−O5+d示される組成を有する材料、CrOなどのハーフメタル材料(ただし、Dは、ランタノイドから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Gは、アルカリ土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Jは、IVa族〜VIIa族、VIII族およびIb族〜IIIb族の遷移金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、dは、0≦d≦1.5を満たす数値である);
式X−X−Xで示される組成を有する磁性半導体(ただし、Xは、Sc、Y、ランタノイド(La、Ceを含む)、Ti、Zr、Hf、Nb、TaおよびZnから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Xは、C、N、O、FおよびSから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Xは、V、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素である);
式X−X10−X11で示される組成を有する磁性半導体(ただし、Xは、V、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素、X10は、B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも1種の元素、X11は、As、C、N、O、PおよびSから選ばれる少なくとも1種の元素である。例えば、Ga−Mn−N、Al−Mn−N、Ga−Al−Mn−N、Al−B−Mn−Nなど);
その他、ペロブスカイト型酸化物、フェライトなどのスピネル型酸化物、ガーネット型酸化物などを用いればよい。
また、なかでも自由磁性層となる磁性層6には、例えば、上述の軟磁性層と同様の材料を用いればよい。
磁性層6および磁性層7の厚さは、特に限定されず、MR素子9として必要な特性に応じて任意に設定すればよい。例えば、0.2nm以上100nm以下の範囲であればよい。
非磁性層8に用いる材料は、非磁性であれば導電性の材料であっても、絶縁性の材料であってもよい。導電性の材料を用いた場合、磁気抵抗素子は、いわゆるGMR素子となる。また、絶縁性の材料を用いた場合、磁気抵抗素子は、いわゆるTMR素子となる。
非磁性かつ導電性の材料は、例えば、Cr、Cu、Ag、Au、Ru、Ir、ReおよびOsから選ばれる少なくとも1種の元素を用いればよい。これら元素の合金や酸化物を用いてもよい。また、非磁性層に導電性の材料を用いる場合、その膜厚は、例えば、0.2nm以上1.2nm以下の範囲であればよい。
非磁性かつ絶縁性の材料は、絶縁体および/または半導体であれば特に限定されない。例えば、Mg、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、ランタノイド(La、Ceを含む)などのIIa族元素〜VIa族元素、および、Zn、B、Al、GaおよびSiなどのIIb族元素〜IVb族元素から選ばれる少なくとも1種の元素と、F、O、C、NおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素との化合物であればよい。なかでも、Alの酸化物、窒化物、酸窒化物から選ばれる少なくとも1種の化合物が、磁気抵抗素子の特性などの観点から好ましい。非磁性層に絶縁性の材料を用いる場合、その膜厚は、例えば、0.2nm以上10nm以下の範囲であればよい。
本発明の読み取り装置において、MR素子9が、図5に示すようなMR素子9であってもよい。図5に示すMR素子9は、反強磁性層10をさらに含んでいる。また、反強磁性層10は、反強磁性層10と非磁性層8とによって、転移体4の磁気状態の影響を相対的に受けにくい磁性層(即ち、転移体4からより遠い磁性層7)を狭持するように配置されている。このようなMR素子では、反強磁性層10と磁性層7とが磁気的に結合するため、磁性層7の磁化方向をより固定することができる。このため、より磁気抵抗効果の大きいMR素子とすることができる。なお、図5では、説明を分かりやすくするために、MR素子9以外にも転移体4を記載している。以降の図6および図7についても同様である。
反強磁性層10に用いる材料は、反強磁性を有する磁性材料である限り特に限定されない。例えば、Pt−Mn、Pt−Pd−Mn、Fe−Mn、Ir−Mn、Ni−Mnなどの合金、あるいは、反強磁性を有する遷移金属酸化物を用いればよい。また、反強磁性層の厚さは、特に限定されず、例えば、0.2nm以上100nm以下の範囲である。
本発明の読み取り装置において、一対の磁性層のうち少なくとも1つが、非磁性膜と、非磁性膜を狭持する一対の磁性膜とを含んでいてもよい。
例えば、図6に示すMR素子9では、自由磁性層である磁性層6が、非磁性膜62と、非磁性膜62を狭持する一対の磁性膜61および63とを含んでいる。
非磁性膜を一対の磁性膜で狭持する多層膜構造では、非磁性膜の材料および膜厚を制御することによって、上記一対の磁性膜を磁気的に結合させることができる(その結合の仕方によって、積層フェリ結合と静磁結合とがある)。このような多層膜構造では、一対の磁性膜の磁気的な実効膜厚は、両者の膜厚の和ではなく、両者の膜厚の差によってほぼ示されると考えられる。即ち、一対の磁性膜における膜厚の差を制御することによって、より磁気的な実効膜厚が小さい磁性膜を形成することが可能になる。このため、磁性層が、上記の多層膜構造を含むことによって、磁性層の磁気的な実効膜厚をより小さくすることができる。磁性層の磁気的な実効膜厚が小さくなれば磁性層の飽和磁化の大きさを小さくでき(反磁界の大きさを小さくでき)、より高感度のMR素子とすることができる。
例えば、図6に示す例では、自由磁性層である磁性層6の磁化方向の変化をより容易にすることができる。
磁性膜61および63の膜厚の差は特に限定されず、磁性層として必要な特性に応じて任意に設定すればよい。例えば、0.2nm以上2nm以下の範囲である。このとき、上記多層膜構造を含む磁性層の磁気的な実効膜厚は、0.2nm以上2nm以下となる。あまりに差が大きいと、単層の磁性層の膜厚と変らなくなり、効果が小さくなる。また、あまりに差が小さいと、磁性層として必要な特性が得られなくなる可能性がある。
また、非磁性膜62に用いる材料は、導電性の材料であれば特に限定されない。例えば、Cr、Cu、Ag、Au、Ru、Ir、ReおよびOsから選ばれる少なくとも1種の元素などを用いればよい。また、非磁性膜に用いる材料によって異なるが、その膜厚を、例えば、0.2nm以上2nm以下の範囲にすることによって、磁性膜61および63を積層フェリ結合させることができる。その膜厚を、例えば、2nm以上100nm以下とすることによって、磁性膜61および63を静磁結合させることができる。
自由磁性層である磁性層が、このような多層膜構造を含むことによって、微細な素子においても、自由磁性層としての磁化が消失することなく、かつ、軟磁性を保持することができる。
なお、積層フェリ結合は、MR素子の面方向における磁性層(磁性膜)の面積がサブミクロンオーダー以下の場合に特に効果的となる。また、静磁結合は、磁性層(磁性膜)の面積がより大きい場合(例えば、100ミクロンオーダー以下)に特に効果的となる。
また、図7に示すMR素子9では、固定磁性層である磁性層7が、非磁性膜72と、非磁性膜72を狭持する一対の磁性膜71および73とを含んでいる。図7に示すMR素子9では、磁性層7と反強磁性層10とが磁気的に結合しており、固定磁性層である磁性層7が上記多層膜構造を含むことによって、磁性層7の磁化方向をより固定することができる。また、磁性膜71と磁性膜73とが、非磁性膜72を介して反強磁性的に結合する場合(積層フェリ結合)、磁束漏れを抑制することができる。なお、磁性膜71および73は、磁性膜61および63と同様であればよく、非磁性膜72は、非磁性膜62と同様であればよい。
なお、本発明の読み取り装置に用いるMR素子には、その他、必要に応じて任意の特性を有する層を付加することができる。
また、MR素子に電流を印加して磁気抵抗効果を測定する方法は、一般的なMR素子で用いられている方法を用いればよい。なお、TMR素子の場合には、素子の面方向に垂直な方向に(即ち、非磁性層を介して)電流を印加する必要があるが、GMR素子の場合には、素子の面方向に垂直な方向に電流を印加するCPP(Current Perpendicular to Plane)−GMRとしても、素子の面方向に平行な方向に電流を印加するCIP(Current In Plane)−GMRとしてもよい。
また、磁気抵抗効果を測定する際には、検出部3がMR素子9に対する参照抵抗を含んでいてもよい。この場合、参照抵抗との差を読み出すことができるため、より特性が安定した読み取り装置1とすることができる。なお、参照抵抗は、例えば、MR素子の一部を用いればよい。
次に、磁気変位部2および検出部3の配置方法について説明する。
本発明の読み取り装置では、磁気変位部が、対象物の表面(形状を読み取る面)に垂直な方向に固定されていてもよい。また、磁気変位部が、対象物の表面に垂直な方向に可動であってもよい。例えば、図1Aに示す例では、磁気変位部2は、対象物101の表面に垂直な方向に対して固定されている。また、図2Aに示す例では、磁気変位部2は、対象物101の表面に対して垂直な方向に対して可動である。このように、本発明の読み取り装置は、磁気変位部が固定、可動のいずれの構成にすることもできる。固定にするか、可動にするか、また、可動にする場合にその移動量などは、読み取り装置として必要な特性や対象物の種類などに応じて任意に設定することができる。例えば、対象物の表面の形状が指紋であり、磁気変位部を可動にする場合、磁気変位部の対象物の表面に垂直な方向への移動量は、例えば、1nm以上1000μm以下の範囲程度であればよい。
本発明の読み取り装置では、磁気変位部が、点状、線状および面状から選ばれる少なくとも1つの形状に配置されていてもよい。
本発明の読み取り装置における磁気変位部の配置の例を図8A〜図8Dに示す。図8Aに示す例では、対象物101の読み取るべき表面(図8A中の点線部分、以下の図8B〜図8Dにおいても同様)に対して、磁気変位部2が点状に配置されている。この場合、読み取り装置が磁気変位部2を移動させるスキャン部を含み、スキャン部によって磁気変位部2を対象物101の読み取るべき表面に沿って移動させる(例えば、図8Aに示す矢印の方向)ことによって、対象物101の読み取るべき表面をすべて読み取ることができる。図8Bに示す例では、対象物101の読み取るべき表面に対して、磁気変位部2が線状に配置されている。また、図8Cに示す例では、対象物101の読み取るべき表面に対して、磁気変位部2が面状に配置されている。これらの場合も、図8Aと同様に磁気変位部2を移動させる(例えば、図8Bおよび図8Cに示す矢印の方向)ことによって、対象物101の読み取るべき表面をすべて読み取ることができる。図8Dに示す例では、対象物101の読み取るべき表面に対して磁気変位部2が面状に配置されており、その面積は、上記表面とほぼ同等、あるいはそれ以上の大きさにある。このような場合は、磁気変位部2を移動させることなく、対象物101の読み取るべき表面をすべて読み取ることができる。
同様に、本発明の読み取り装置では、検出部が、点状、線状および面状から選ばれる少なくとも1つの形状に配置されていてもよい。
本発明の読み取り装置における検出部の配置の例を、図9A〜図9Dに示す。図9A〜図9Dに示す例は、図8A〜図8Dに示す磁気変位部2を検出部3に、対象物101の読み取るべき表面を磁気変位部における磁気状態を検知すべき領域11(図9A〜図9Dにおける点線部)にすれば、図8A〜図8Dに示す例と同様である。図9A〜図9Dに示すいずれの例においても、検出部3によって、磁気変位部の磁気状態を検知することができる。なお、図9A〜図9Cに示す例のように、検出部3のスキャンが必要な場合は、読み取り装置が検出部3を移動させるスキャン部を含み、スキャン部によって検出部3を磁気変位部に沿って移動させればよい。
磁気変位部2および検出部3を移動させるスキャン部の構造は、特に限定されない。移動手段として一般的な構造、方法を用いればよい。例えば、プリンタやスキャナーなどでヘッドを移動させるために用いる構造、方法や、ハードディスクドライブなどでカンチレバーを移動させるために用いる構造、方法などを応用すればよい。また、原子間力顕微鏡(AFM)や走査型トンネル顕微鏡(STM)などに用いられるピエゾ素子を用いたり、上記構造、方法と組み合わせたりしてもよい。
なお、磁気変位部の配置と、検出部の配置とは任意の組み合わせで設定することができる。また、線状の磁気変位部および検出部は、点状の磁気変位部(磁気変位素子)および点状の検出部(検出素子)の集合体であってもよい。面状の磁気変位部および検出部についても同様であり、磁気変位素子および検出素子の集合体であってもよい。例えば、図8Dに示す磁気変位部2と図9Dに示す検出部3とを用いた読み取り装置の一例の断面模式図(図8Dおよび図9Dに示す直線A−A’で切断したと仮定)を図10に示す。図10に示す読み取り装置1では、磁気変位部2と検出部3とは、それぞれ磁気変位素子11と検出素子12との集合体となっている。なお、磁気変位素子11は、点状の転移体4と点状の軟磁性層5を含んでいる。また、各素子は、図10における斜線部分の領域である。
磁気変位素子の面方向(対象物の表面に平行な方向)の面積は、例えば、100nm以上10μm以下の範囲であり、なかでも指紋を読み取る場合、1000nm以上1010nm以下の範囲が好ましい。上記面積が小さいほど、同一の領域を読み取るために必要な素子数は増えるが、読み取った情報(例えば、対象物の表面の形状を示す画像など)をより精細にすることができる。
同様に、検出素子の面方向(対象物の表面に平行な方向)の面積は、例えば、100nm以上10μm以下の範囲であり、なかでも指紋を読み取る場合、1000nm以上1010nm以下の範囲が好ましい。上記面積が小さいほど、同一の領域の磁気状態を検知するために必要な素子数は増えるが、読み取った情報をより精細にすることができる。なお、検出素子がMR素子を含み、MR素子の上記面方向の面積が、例えば、1μm以下での場合、MR素子の自由磁性層に積層フェリ結合の状態にある多層膜構造が含まれていることが好ましい。
磁気変位素子および検出素子の形状は、特に限定されず、例えば、それぞれの面方向に切断した面の形状が、正方形状、長方形状、円形状、楕円形状、多角形状であればよい。
読み取り装置が、磁気変位素子の集合体である磁気変位部、および検出素子の集合体である検出部を含む場合における作動例を図11〜図13に示す。
図11に示す読み取り装置1では、対象物101の表面の凸部が接触している転移体4aの磁気状態は、凸部が接触していない(即ち、凹部が面している)転移体4bの磁気状態とは異なっている。この磁気状態の差によって、検出部3であるコイル13aとコイル13bとの出力が異なる(Out1とOut2)ことによって、対象物101の表面の形状を読み取ることができる。
図12、図13に示す例においても同様である。図12は、検出部3がMR素子を含む場合である。転移体4aおよび4bの磁気状態が異なれば、MR素子9aおよび9bにおける、磁性層6aおよび6bの磁化方向が異なる。このため、MR素子9aとMR素子9bとの出力が異なることによって、対象物101の表面の形状を読み取ることができる。図13は、図4に示す例と同様に、磁気変位部2と検出部3とが一体化している場合である。この場合も、MR素子9aとMR素子9bとの出力が異なることによって、対象物101の表面の形状を読み取ることができる。
本発明の読み取り装置では、図14に示すように、対象物101の表面の形状を読み取る際に、対象物101の読み取り部分より磁気変位部2の領域を大きく(例えば、図14に示すL<Lとする)してもよい。この場合、対象物101の読み取り部分を一括して読み取ることができるため、読み取りをより迅速に行うことができる。
本発明の読み取り装置では、図15に示すように、対象物101の表面の形状を読み取る際に、対象物101の読み取り部分より磁気変位部2の領域を小さく(例えば、図15に示すL>Lとする)してもよい。この場合、磁気変位部2を対象物101に対して移動させれば(あるいは、対象物101を磁気変位部2に対して移動させれば)、対象物101の読み取り部分を読み取ることができる。また、例えば、対象物101の読み取り部分の画像を得るためには、別に画像合成が必要となるが、読み取り装置自体は小型化することが可能である。
次に、本発明の読み取り装置の製造方法について説明する。最初に、図15を用いて、本発明の読み取り装置の製造方法の一例を説明する。
まず図16Aに示すように、Si基板21上に、電極層22、磁性層7、非磁性層8、磁性層6、転移体4および保護層23を順に積層して積層体を形成する。次に、図16B〜図16Dに示すように、積層体の微細加工を行うことによって、転移体4からなる磁気変位部2と、検出部であるMR素子9を形成する。次に、図16Eに示すように、MR素子9に電流を印加するための上部電極24と下部電極25とを形成する。最後に、図16Fに示すように、全体を絶縁層26で被覆して表面を研磨することによって、本発明の読み取り装置を得ることができる。
電極層22、上部電極24および下部電極25に用いる材料は、導電性材料であれば特に限定されない。なかでも線抵抗率が100μΩ・cm以下の材料(例えば、Cu、Al、Ag、Au、Pt、Ti−Nなど)が好ましい。絶縁層26は、Al、SiOなどの絶縁特性に優れる材料を用いればよい。その他、各層の材料には、上述した材料を用いればよい。
積層体の各層の形成、および上部電極、下部電極の形成には、半導体素子、MR素子などの形成に一般的に用いられる方法を用いればよい。パルスレーザデポジション(PLD)、イオンビームデポジション(IBD)、クラスターイオンビーム、および、RF、DC、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、ヘリコン、誘導結合プラズマ(ICP)、対向ターゲットなどの各種スパッタリング法、分子線エピタキシー法(MBE)、イオンプレーティング法などを用いればよい。また、これらPVD法の他に、CVD法、メッキ法あるいはゾルゲル法などを用いてもよい。
微細加工についても、半導体素子、MR素子などの形成に一般的に用いられる方法を用いればよい。イオンミリング、反応性イオンエッチング(RIE)、FIB(Focused Ion Beam)などの物理的または化学的エッチング法、微細パターン形成のためのステッパー、電子ビーム(EB)法などを用いたフォトリソグラフィー技術などを組み合わせればよい。また、電極表面などの平坦化には、CMPや、クラスターイオンビームエッチングなどを用いればよい。
絶縁性の材料からなる非磁性層の形成は、例えば、次のように行えばよい。まず、Mg、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、ランタノイド(La、Ceを含む)などのIIa族元素〜VIa族元素、および、Zn、B、Al、GaおよびSiなどのIIb族元素〜IVb族元素から選ばれる少なくとも1種の元素の薄膜前駆体を作製する。次に、F、O、C、NおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素を分子、イオン、プラズマ、ラジカルなどとして含む雰囲気中において、F、O、C、NおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素と上記薄膜前駆体とを温度および時間を制御しながら反応させる。これにより、薄膜前駆体は、ほぼ完全にフッ化、酸化、炭化、窒化または硼化され、非磁性層を得ることができる。また、薄膜前駆体として、F、O、C、NおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素を化学量論比以下の割合で含んだ不定比化合物を作製してもよい。
より具体的な例としては、スパッタリング法によってAlからなる非磁性層を作製する場合、AlまたはAlO(x≦1.5)からなる薄膜前駆体をArまたはAr+O雰囲気中で成膜し、これをOまたはO+不活性ガス中で酸化させることを繰り返せばよい。なお、プラズマやラジカルの発生には、ECR放電、グロー放電、RF放電、ヘリコン、誘導結合プラズマ(ICP)などの一般的な手法を用いればよい。
次に、本発明の認証器について説明する。
本発明の認証器の一例を図17に示す。本発明の認証器は、読み取り装置1と、メモリ部32と、照合部31とを含んでいる。読み取り装置1は上述した本発明の読み取り装置である。メモリ部32には対象物の表面の形状が予め登録してある。読み取り装置1で読み取られた、対象物の表面の形状の情報(例えば、画像情報)は、照合部31へと送られる。照合部31では、読み取り装置1から送られてきた形状と、メモリ部32に登録してある形状とを照合することによって、読み取り装置1で読み取った対象物の認証を行えばよい。照合部31における照合の方法は、特に限定されず、一般的に用いられている照合方法を用いればよい。
このような認証器とすることによって、従来の読み取り装置を用いた認証器とは異なり、磁気状態の変化(磁気変位)を検知方式とする認証器を得ることができる。このため、従来の読み取り装置を用いた認証器とは異なり、静電気や温度などの環境の影響を受けにくい認証器とすることができる。また、光源、レンズなどの光学部品、あるいは、ヒーターなどの部品を省略することができるため、より小型、低消費電力の認証器とすることもできる。なお、これらの効果は、本発明の読み取り装置の場合と同様に、選択的である。
また、本発明の認証器では、読み取り装置1と照合部31との間に、読み取り装置1で読み取った形状の情報(例えば、画像情報)を処理する処理部(例えば、画像処理部)をさらに含んでいてもよい。例えば、読み取り装置1において対象物の表面の形状の画像情報を部分ごとに読み取る場合(例えば、図1Aに示す読み取り装置の場合など)、上記処理部によって対象物の表面全体の形状を示す画像情報を合成し、照合部31に送ってもよい。
本発明の認証器では、読み取り装置、メモリ部、照合部のそれぞれが物理的に独立した装置である必要は必ずしもない。これらの名称は、機能的に付けられた名称である。処理部についても同様である。例えば、本発明の読み取り装置の他に、メモリ部と照合部とを(必要に応じて処理部も)内蔵したコンピューターを含むことによって本発明の認証器を形成することができる。また、例えば、メモリ部と照合部とを(必要に応じて処理部も)内蔵した半導体チップを形成し、この半導体チップと本発明の読み取り装置とを1つの筐体内に内蔵することによって、認証器を形成してもよい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に限定されない。
熱酸化膜付Si基板(熱酸化膜はSiO膜:厚さ500nm)上に、マグネトロンスパッタリング法を用いて、以下に示す膜構成の積層体を作製した。
Ta(10)/Cu(50)/Ta(5)/Pt−Mn(20)/Co−Fe(4)/Ru(0.9)/Co−Fe(2)/Fe−Pt(2)/Al−O(1)/Fe−Pt(1)/Ni−Fe(2)/Ru(0.7)/Ni−Fe(2)/Fe−Si(2000)/Pt(50)
ここで、括弧内の数値は膜厚を示している。単位はnmであり、以下、同様にして膜厚を表示する。ただし、Al−O層は、Alを1nmの膜厚で成膜した後、26.3kPa(200Torr)の酸素含有雰囲気中において1分間の酸化を繰り返して作製した。
基板上のTa(10)/Cu(50)/Ta(5)は、電極層である。Pt−Mn(20)は反強磁性層である。磁性層であるCo−Fe(4)/Ru(0.9)/Co−Fe(2)/Fe−Pt(2)は、Pt−Mn(20)と磁気的に結合して固定磁性層となっている。また、非磁性膜であるRu(0.9)を狭持する磁性膜Co−Fe(4)とCo−Fe(2)とは、積層フェリ結合の状態にある。Al−O(1.0)は、絶縁性の材料からなる非磁性層である。Fe−Pt(1)/Ni−Fe(2)/Ru(0.7)/Ni−Fe(2)は、自由磁性層に相当する磁性層である。非磁性膜であるRu(0.7)を狭持するFe−Pt(1)/Ni−Fe(2)と、Ni−Fe(2)とは積層フェリ結合の状態にある。(上述したように、積層フェリ結合により、自由磁性層の磁気的な実効膜厚は、1nmとなる)。Fe−Si(2000)は転移体、Pt(50)は保護層である。なお、Fe−Si層の組成は、Fe0.965Si0.035であった。ただし、上記組成は、原子組成比により示している。
この積層体を図16B〜図16Dに示すように微細加工し、図16Eに示すように上部電極、下部電極を形成した後に、絶縁層で被覆し、表面を研磨して図16Fに示す読み取り装置を作製した。なお、微細加工は、フォトリソグラフィーの手法によりレジストパターンを形成し、イオンエッチングを用いて行った。上部電極、下部電極には、Cuを用い、絶縁層には、SiOを用いた。表面の研磨は、CMPを用いて行った。また、微細加工することによって、面方向の面積が100μmであり、正方形状である磁気変位素子と検出素子とが、面状に256素子×256素子に配列した読み取り装置とした。
このようにして作製した読み取り装置を用い、対象物の表面の形状に指紋を用いて読み取り試験を行ったところ、図18に示すような画像を得ることができた。この画像情報をメモリ部に予め蓄積された指紋画像と照合したところ、指紋による個人認証が十分に可能であった。
なお、非磁性層であるAl−Oの膜厚を変化させた場合(0.3nm〜3nm)、非磁性層に導電性の材料であるCu(0.2nm〜10nm)を用いた場合も同様の結果を得ることができた。また、転移体として、Dy−Tb−Fe(2000)を用いた場合、上記とは異なる組成比のFe−Siを用いた場合にも、同様の結果を得ることができた。
実施例1と同様に、熱酸化膜付Si基板(熱酸化膜はSiO膜:厚さ500nm)上に、マグネトロンスパッタリング法を用いて、以下に示す膜構成の積層体を作製した。Al−O(1)の作製方法も同様である。
Ta(5)/Cu(50)/Ta(5)/Pt−Mn(20)/Co−Fe(4)/Ru(0.9)/Co−Fe(2)/Fe−Pt(2)/Al−O(1)/Fe−Pt(2)/Ni−Fe(6)/Ru(0.9)/Ni−Fe(10)/BiMnO(1000)
基板上のTa(5)/Cu(50)/Ta(5)は、電極層である。Pt−Mn(20)は反強磁性層である。磁性層であるCo−Fe(4)/Ru(0.9)/Co−Fe(2)/Fe−Pt(2)は、Pt−Mn(20)と磁気的に結合して固定磁性層となっている。また、非磁性膜であるRu(0.9)を狭持する磁性膜Co−Fe(4)とCo−Fe(2)とは、積層フェリ結合の状態にある。Al−O(1)は、絶縁性の材料からなる非磁性層である。Fe−Pt(2)/Ni−Fe(6)/Ru(0.9)/Ni−Fe(10)は、自由磁性層に相当する磁性層である。非磁性膜であるRu(0.9)を狭持するFe−Pt(2)/Ni−Fe(6)と、Ni−Fe(10)とは積層フェリ結合の状態にある。BiMnO(1000)は、転移体である。
この積層体に対して実施例1と同様に微細加工などを行い、図16Fに示す読み取り装置を作製した。また、微細加工することによって、面方向の面積が100μmであり、正方形状である磁気変位素子と検出素子とが、面状に256素子×256素子に配列した読み取り装置とした。
このようにして作製した読み取り装置を用い、対象物の表面の形状に指紋を用いて読み取り試験を行ったところ、実施例1と同様に、図18に示すような画像を得ることができた。この画像情報をメモリ部に予め蓄積された指紋画像と照合したところ、指紋による個人認証が十分に可能であった。
なお、非磁性層であるAl−Oの膜厚を変化させた場合(膜厚が0.3nm〜3nm)、非磁性層に導電性の材料であるCu(膜厚が0.2nm〜10nm)を用いた場合も同様の結果を得ることができた。
実施例1と同様に、熱酸化膜付Si基板(熱酸化膜はSiO膜:厚さ500nm)上に、マグネトロンスパッタリング法を用いて、以下に示す膜構成の積層体を作製した。Al−O(1.0)の作製方法も同様である。
Ta(10)/Cu(50)/Ta(5)/Pt−Mn(20)/Co−Fe(4)/Ru(0.9)/Co−Fe(4)/Al−O(1.0)/Co−Fe(1)/Ni−Fe(4)/Fe−Al(2000)/Ta(50)
基板上のTa(10)/Cu(50)/Ta(5)は、電極層である。Pt−Mn(20)は反強磁性層である。磁性層であるCo−Fe(4)/Ru(0.9)/Co−Fe(4)は、Pt−Mn(20)と磁気的に結合して固定磁性層となっている。また、非磁性膜であるRu(0.9)を狭持する磁性膜Co−Fe(4)とCo−Fe(4)とは、積層フェリ結合の状態にある。Al−O(1.0)は、絶縁性の材料からなる非磁性層である。Co−Fe(1)/Ni−Fe(4)は、自由磁性層に相当する磁性層である。Fe−Al(2000)は、転移体である。なお、Fe−Al層の組成は、Fe0.9Al0.1であった。ただし、上記組成は、重量比で示している。Ta(50)は保護層である。
この積層体に対して実施例1と同様に微細加工などを行い、図16Fに示す読み取り装置を作製した。また、微細加工することによって、面方向の面積が100μmであり、正方形状である磁気変位素子と検出素子とが、面状に256素子×256素子に配列した読み取り装置とした。
このようにして作製した読み取り装置を用い、対象物の表面の形状に指紋を用いて読み取り試験を行ったところ、実施例1と同様に、図18に示すような画像を得ることができた。この画像情報をメモリ部に予め蓄積された指紋画像と照合したところ、指紋による個人認証が十分に可能であった。
なお、非磁性層であるAl−Oの膜厚を変化させた場合(膜厚が0.3nm〜3nm)、非磁性層に導電性の材料であるCu(膜厚が0.2nm〜10nm)を用いた場合も同様の結果を得ることができた。また、転移体として、センダストを含むFe−Al−Siや、Tb−Dy−Feを用いた場合にも同様の結果を得ることができた。
マグネトロンスパッタリング法を用いて、図19Aに示すような積層体を作製した。具体的には、以下に示す膜構成の積層体を作製した。なお、図面を見やすくするために、図19Aでは反強磁性層を図示していない。
TbIG/Ni−Fe(20)/Co−Fe(2)/Al−O(3)/Co−Fe(6)/Ru(0.9)/Co−Fe(6)/Ir−Mn(50)/Ta(10)/Cu(50)/Ta(5)/CAP層
ただし、Al−O層は、Alを3nmの膜厚で成膜した後、26.3kPa(200Torr)の酸素含有雰囲気中において1分間の酸化を繰り返して作製した。
TbIG(テルビウムアイアンガーネット)層は、転移体4であるが積層体を形成する際の基板としても用いた。
TbIG層上のNi−Fe(20)/Co−Fe(2)は自由磁性層に相当する磁性層6である。Ir−Mn(50)は反強磁性層である。磁性層7であるCo−Fe(6)/Ru(0.9)/Co−Fe(6)は、Ir−Mn(50)と磁気的に結合して固定磁性層となっている。Al−O(3)は、絶縁性の材料からなる非磁性層8である。Ta(10)/Cu(50)/Ta(5)は、電極層22である。CAP層27には、スピンコーティングにより形成したポリイミド層(厚さ約10μm)を用いた。
次に、図19Bに示すようにCAP層27を基板の代わりに用い、TbIG層(転移体4)の表面の研磨を行うことによって、TbIG層の厚さを転移体として適当な厚さに加工した。TbIG層は、多結晶あるいは単結晶の状態にあると考えられる。ここでは、約数μmの厚さになるまで研磨を行った。
次に、積層体を図19C〜図19Eに示すように微細加工し、図19Fに示すように上部電極24、下部電極25を形成した後に、絶縁層26で被覆し、表面を研磨して図19Gに示す読み取り装置を作製した。微細加工は、実施例1と同様の手法を用いて行った。上部電極、下部電極には、Cuを用い、絶縁層には、SiOを用いた。表面の研磨は、CMPを用いて行った。また、微細加工することによって、面方向の面積が100μmであり、正方形状である磁気変位素子と検出素子とが、面状に256素子×256素子に配列した読み取り装置とした。
このようにして作製した読み取り装置を用い、対象物の表面の形状に指紋を用いて読み取り試験を行ったところ、実施例1と同様に、図18に示すような画像を得ることができた。この画像情報をメモリ部に予め蓄積された指紋画像と照合したところ、指紋による個人認証が十分に可能であった。
なお、非磁性層であるAl−Oの膜厚を変化させた場合(0.3nm〜3nm)、非磁性層に導電性の材料であるCu(0.2nm〜10nm)を用いた場合も同様の結果を得ることができた。また、転移体として、希土類アイアンガーネットを用いた場合(例えば、希土類元素としてSm、Dyなど)にも、同様の結果を得ることができた。
なお、図19Cから図19Fに示す工程は、上述した図16Bから図16Eに示す工程と同様に行えばよい。また、CAP層27は、図19B以降の工程において基板の代わりに使用できるものであれば特に限定されない。ポリイミド以外にも、様々な材料(例えば、樹脂、無機物など)を用いることができる。CAP層27の形成方法も、スピンコーティングに限らず、特に限定されない。同じく、CAP層27の厚さも、特に限定されない。
本発明は、その意図および本質的な特徴から逸脱しない限り、他の実施形態に適用しうる。この明細書に開示されている実施形態は、あらゆる点で説明的なものであってこれに限定されない。本発明の範囲は、上記説明ではなく添付したクレームによって示されており、クレームと均等な意味および範囲にあるすべての変更はそれに含まれる。
産業上の利用の可能性
以上説明したように、本発明によれば、磁気変位を検知方式に用いた読み取り装置と、これを用いた認証器とを提供できる。
本発明の読み取り装置によって、例えば、人体の表面の形状(例えば、指紋、掌紋など)を読み取ることができる。このため、本発明の読み取り装置は、認証器や、ポインティングデバイスなどに用いることができる。また、例えば、人体の表面に限らず、様々な物体の表面の形状を読み取る表面センサーなどにも用いることができる。
また、本発明の認証器は、例えば、コンピューターのユーザー認証、セキュリティーエリアへの入退室の管理などの用途に用いることができる。また、例えば、自動預け払い機(ATM)など、金融機関における個人の認証が必要とされる様々なサービス(インターネットなどの通信回線を介した情報の授受を含む)にも用いることができる。
本発明は、読み取り装置とこれを用いた認証器に関する。
現在の生活では、様々な状況において個人の認証が求められる。例えば、銀行口座の預金の管理、インターネットなどの通信回線を用いた情報の授受などにおいて、契約者個人であることの認証が必要である。従来、個人が予め決めておいた認証番号・記号などを、その都度入力し、照合する認証方法が一般的である。このような認証方法は、運用が極めて簡単(例えば、認証番号・記号の登録が容易であり、照合も容易に行える)であるため広く用いられている。しかし、近年のように個人の認証が求められる場面が増えてくると、それぞれの場面ごとに認証番号・記号の設定が必要となり、個人が全てを記憶することが困難になってくる。このため、個人の生体的特徴を利用したバイオメトリクス型の認証、なかでも指紋などの表面の形状を利用した簡便な認証が期待されている。指紋を利用した認証には、まず指紋の形状を検知する読み取り装置が必要である。現在、指紋の形状を検知できる読み取り装置(および、読み取り装置を用いた認証器)には、その検知方式により、主として3種類(静電容量式、感熱式、光学式)が存在する(例えば、P2000−501640A/JPには感熱式の認証器が記載されている)。
これら従来の読み取り装置には、種類に応じて異なるが、CMOS製造プロセスを応用して製造できるなどの長所と、静電気あるいは環境温度の変化に弱い、小型化に制約があるなどの短所とがある。
本発明は、これら従来の検知方式とは異なり、磁気状態の変化(磁気変位)を検知方式に用いた読み取り装置と、これを用いた認証器とを提供することを目的とする。
本発明の読み取り装置は、対象物の表面の形状を読み取る読み取り装置であって、前記表面と接触したときに、前記形状に応じて磁気状態が異なる磁気変位部と、前記磁気変位部の前記磁気状態を検知する検出部とを含んでいる。
本発明の読み取り装置では、前記形状が、凸部と凹部とからなり、前記磁気変位部は、前記表面が接触することによって生じる圧力によって、前記凸部が面する領域と前記凹部が面する領域との間で磁気状態が異なっていてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気変位部が、機械エネルギーと磁気エネルギーとを変換する転移体を含んでいてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記転移体が、磁歪材料を含んでいてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記転移体が、式Fe−Zで示される組成を有する材料を含んでいてもよい。ただし、Zは、Mn、Co、Ni、Cu、Al、Si、Ga、Pd、Pt、TbおよびDyから選ばれる少なくとも1種の元素である。
本発明の読み取り装置では、前記転移体の歪みの変化量が、10-3%以上であってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気変位部が、軟磁性層をさらに含み、前記軟磁性層と前記転移体とは磁気的に結合しており、前記転移体の磁気状態によって前記軟磁性層の磁気状態が異なってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記検出部がコイルを含み、前記コイルによって前記磁気状態を検知してもよい。
本発明の読み取り装置では、前記検出部が磁気抵抗素子を含み、前記磁気抵抗素子によって前記磁気状態を検知してもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気抵抗素子は、非磁性層と、前記非磁性層を狭持する一対の磁性層とを含む多層構造を含み、双方の前記磁性層が有する磁化方向の相対角度により抵抗値が異なり、前記磁気変位部が、機械エネルギーと磁気エネルギーとを変換する転移体を含み、前記転移体の磁気状態によって一方の前記磁性層の磁化方向が異なってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記一方の磁性層と前記転移体とが磁気的に結合していてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気抵抗素子が反強磁性層をさらに含み、前記反強磁性層は、前記反強磁性層と前記非磁性層とによって他方の前記磁性層を狭持するように配置されていてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記一対の磁性層から選ばれる少なくとも1つの磁性層が、非磁性膜と、前記非磁性膜を狭持する一対の磁性膜とを含んでもよい。
本発明の読み取り装置では、前記一対の磁性膜が、積層フェリ結合および静磁結合から選ばれるいずれかの磁気的結合の状態にあってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気変位部が、前記対象物の前記表面に垂直な方向に固定されていてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気変位部が、前記対象物の前記表面に垂直な方向に可動であってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気変位部が点状、線状および面状から選ばれる少なくとも1つの形状に配置されていてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記検出部が点状、線状および面状から選ばれる少なくとも1つの形状に配置されていてもよい。
本発明の読み取り装置では、前記磁気変位部を移動させる第1のスキャン部をさらに含み、前記第1のスキャン部によって前記磁気変位部を前記対象物の表面に沿って移動させ、前記対象物の表面の形状を読み取ってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記検出部を移動させる第2のスキャン部をさらに含み、前記第2のスキャン部によって前記検出部を前記磁気変位部に沿って移動させ、前記磁気変位部の磁気状態を検知してもよい。
本発明の読み取り装置では、前記対象物が人体であってもよい。
本発明の読み取り装置では、前記表面の形状が指紋であってもよい。
次に、本発明の認証器は、読み取り装置と、メモリ部と、照合部とを含み、前記読み取り装置は、対象物の表面の形状を読み取る読み取り装置であって、前記表面と接触したときに、前記形状に応じて磁気状態が異なる磁気変位部と、前記磁気変位部の前記磁気状態を検知する検出部とを含んでおり、前記メモリ部には、対象物の表面の形状が予め登録してあり、前記照合部によって、前記読み取り装置によって読み取られた前記形状と、前記メモリ部に登録してある前記形状とを照合する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態において、同一の部分に同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
まず、本発明の読み取り装置について説明する。
本発明の読み取り装置は、対象物の表面の形状を読み取る読み取り装置であって、対象物の表面と接触したときに、その表面の形状に応じて磁気状態が異なる磁気変位部と、磁気変位部の磁気状態を検知する検知部とを含んでいる。なお、磁気状態とは、磁気変位部が有する磁気的なパラメータである限り、特に限定されず、例えば、磁気変位部から生じる磁束の大きさ、磁気変位部が有する磁化方向および/または磁化の大きさなどを意味している。
このような読み取り装置とすることによって、従来の読み取り装置とは異なり、磁気状態の変化(磁気変位)を検知方式とする読み取り装置を得ることができる。このため、上述した従来の読み取り装置とは異なり、静電気や温度などの環境の影響を受けにくい読み取り装置とすることができる。また、光源、レンズなどの光学部品、あるいは、ヒーターなどの部品を省略することができるため、より小型、低消費電力の読み取り装置とすることもできる。さらに、本発明の読み取り装置は、後述するように、一般的なデバイス製造プロセス、半導体製造プロセスを応用して製造できる。なお、これらの効果は選択的な効果であって、本発明の読み取り装置が、これらすべての効果を同時に満たす必要はない。
図1Aおよび図1Bに本発明の読み取り装置の一例を示す。図1Aおよび図1Bに示す読み取り装置1は、対象物101の表面と接触したときに、その表面の形状に応じて磁気状態が異なる磁気変位部2と、磁気変位部2の磁気状態を検知する検出部3とを含んでいる。また、図1Aおよび図1Bに示す検出部3は、磁気変位部2に沿って移動する(例えば、図1Aおよび図1Bに示す矢印に沿う方向に移動すればよい)ことによって、磁気変位部2の磁気状態を検知できる。なお、磁気変位部2および検出部3の具体例については、後述する。また、図1Aおよび図1Bは、本発明の読み取り装置の模式断面図であるが、説明を分かりやすくするためにハッチは省略する。以降の図についても、ハッチを省略する部分がある。
本発明の読み取り装置では、対象物の表面の形状が凸部と凹部とからなり、磁気変位部は、対象物の表面が接触することによって生じる圧力によって、凸部が面する領域と凹部が面する領域との間で磁気状態が異なっていてもよい。
図1Aおよび図1Bの例に示すように、表面に凸部と凹部とを有する対象物101を磁気変位部2に接触させると、磁気変位部2のうち、対象物101の凸部に面している領域と、対象物101の凹部に面している領域とでは、対象物101から受ける圧力は異なる。例えば、磁気変位部2に上記圧力に応じて磁気状態が異なる材料を配置すれば、磁気変位部2には、対象物101の形状に応じて磁気状態の分布が生じることになる。この分布を検出部3によって検知すれば、対象物101の表面の形状を読み取れることになる。なお、対象物101の表面の形状を読み取る際には、磁気変位部2と対象物101の凸部とは接触している必要があるが、磁気変位部2と対象物101の凹部とは接触していても、接触していなくてもよい。
ここで、磁気変位部2について説明する。
本発明の読み取り装置では、磁気変位部2は、対象物の表面の形状に応じて磁気状態が異なれば、その材料、構成などは特に限定されない。例えば、磁気変位部2が、機械エネルギーと磁気エネルギーとを変換する転移体を含んでいてもよい。このような転移体を含むことによって、磁気変位部2に、対象物101の形状に応じた磁気状態の分布を発生させることができる。
図2Aに、本発明の読み取り装置の別の一例を示す。図2Aに示す読み取り装置1は、図1Aに示す読み取り装置1の磁気変位部2が転移体4を含んでいる。
転移体4は、例えば、磁歪材料を含めばよい。このような材料は、圧力などの機械エネルギーによって磁気状態(例えば、磁化の大きさ、磁化方向など)が変化する特徴を有している。このため、磁気変位部2に、対象物101の形状に応じた磁気状態の分布を発生させることができる。
磁歪材料は、一般的に磁歪特性を有するとされる材料であれば、特に限定されない。例えば、Fe、Co、Ni、Ni−Co、Ni−Mn−Ga、Ni−Mn−Alや;
式Fe−Zで示される組成を有する材料、例えば、Ni−Fe、Fe−Co、Ni−Fe−Co、Fe−Al、Fe−Si、Fe−Al−Si、Fe−Pt、Fe−Pd、Tb−Fe、Dy−Fe、Tb−Dy−Fe、Ni−Fe−Cuなど;
Fe34、CoFe24、NiCoFe24、NiCuフェライト、NiCuCoFeフェライトなどのフェライト類(オルソフェライトやスピネル型フェライトなどを含む)、センダスト;
式D−Eで示される組成を有する材料などのラーベス素材(ただし、Dは、ランタノイドから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Eは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素である);
あるいは、希土類ガーネットなどを用いればよい。
なお、Ni−Feのように、組成比を示していない材料では、その組成比は特に限定されず、必要な特性に応じて任意に設定すればよい。以下に示す材料についても、同様である。
また、あるいは、式AMO3で示される組成を有する金属酸化物を用いてもよい。ただし、Aは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Bi、Pb、Li、Tl、Sr、CaおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素である。なかでも、Aが、Bi、Pb、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、HoおよびLiから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Mが、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましく、式(Bi、La)(Sr、Ca、Ba)MnO3で示される組成の材料がより好ましい。
本発明の読み取り装置では、転移体4の歪みの変化量は、例えば、10-3%以上であればよい。なかでも、10-2%以上であることが好ましい。例えば、Fe−SiやTb−Dy−Feなどの材料は、上記10-2%以上の条件を満たしている。なお、転移体4の歪みの変化量の上限は特に限定されないが、例えば、102%以下であればよい。なお、歪みの変化量が大きければ、それだけ転移体を薄く、小型化できる。
転移体4の厚さ(対象物101の磁気変位部2と接触する表面に垂直な方向の厚さ、以降に示す「厚さ」もすべて同様である)は、特に限定されず、転移体の特性に応じて任意に設定すればよい。例えば、10nm以上104μm以下の範囲、好ましくは、100nm以上100μm以下の範囲であればよい。なお、転移体4は、1つの材料からなるだけでなく、複数の材料の層からなる多層構造を有していてもよい。
本発明の読み取り装置の別の一例を図2Bに示す。図2Bに示す読み取り装置1は、図2Aに示す読み取り装置1の磁気変位部2が軟磁性層5をさらに含み、軟磁性層5と転移体4とが磁気的に結合しており、転移体4の磁気状態によって軟磁性層5の磁気状態が異なっている。この場合、軟磁性層5の磁気状態の分布を検出部3によって検知すればよい。このような読み取り装置では、転移体4の厚さを薄くすることが可能であり、転移体4だけの場合に比べると、軟磁性層5を含めても磁気変位部2をより薄くすることができる。よって、より小型の読み取り装置1とすることができる。
軟磁性層5に用いる材料は、特に限定されず、例えば、Co、Co−Fe、Ni−Fe、Ni−Fe−Coなどの軟質磁性合金を用いればよい。なかでも、軟質磁性合金としてNi−Fe−Coを用いる場合、式NixFeyCozで示される原子組成比を有する合金(ただし、x、yおよびzは、0.6≦x≦0.9、0≦y≦0.3、0≦z≦0.4を満たす数値である)、あるいは、式Nix'Fey'Coz'で示される原子組成比を有する合金(ただし、x’、y’およびz’は、0≦x’≦0.4、0≦y’≦0.5、0.2≦z’≦0.95を満たす数値である)が好ましい。また、これらの軟磁性合金は低磁歪特性(1×10-5以下)を有しているため、より特性に優れる軟磁性層5とすることができる。
本発明の読み取り装置では、磁気変位部2の対象物101が接触する面には、磁気変位部2の表面を保護するための保護層を含んでいてもよい。例えば、図2Aおよび図2Bに示す例では、転移体4と対象物101との間に、転移体4の表面を保護するための保護層を含んでいてもよい。より耐久性に優れる読み取り装置1とすることができる。保護層の厚さは、対象物101が接触したときに、その表面の形状に応じて磁気変位部2の磁気状態が異なることができれば特に限定されない。例えば、0.1nm以上100nm以下の範囲である。
保護層に用いる材料は特に限定されず、例えば、W、Ta、Au、Pt、Pdなどの金属材料、Al23、SiO2、ZnS、MoS2などの無機化合物材料、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などのカーボン材料、ポリイミド、フッ素系樹脂(例えば、デュポン社製テフロン(R))などの樹脂材料などを用いればよい。
磁気変位部2の具体的な配置の方法については、検出部3の具体的な配置の方法と併せて後述する。
次に、検出部3について説明する。
本発明の読み取り装置では、検出部3がコイルを含み、コイルによって磁気変位部2の磁気状態を検知してもよい。検出部3がコイルを含む場合、例えば、磁気変位部2から発する漏れ磁界(より具体的には、図2Aに示す例では、転移体4から発する漏れ磁界、図2Bに示す例では、転移体4および/または軟磁性層5から発する漏れ磁界)をコイルがピックアップすることによって、磁気変位部2の磁気状態を検知することができる。また、コイルを組み込んだ検出部3は、一般的なデバイス製造プロセスにより作製することができる。このため、より低コストの読み取り装置1とすることができる。
コイルの構造は、磁気変位部2の磁気状態を検知することができる限り、特に限定されない。磁気変位部2の磁気的な特性、読み取り装置として必要な特性に応じて任意に設定すればよい。例えば、最も単純な構造として、単巻きのコイルであればよい。
コイルに用いる材料は、導電性材料であれば特に限定されず、例えば、Cu、Al、Ag、Au、Pt、Ti−Nなどを用いればよい。なかでも、線抵抗率が100μΩ・cm以下の材料が好ましい。
本発明の読み取り装置では、検出部3が磁気抵抗素子(以下、単に「MR素子」ともいう)を含み、MR素子によって磁気変位部2の磁気状態を検知してもよい。検出部3がMR素子を含む場合、例えば、磁気変位部2から発する漏れ磁界をMR素子がピックアップすることによって、磁気変位部2の磁気状態を検知することができる。また、MR素子を組み込んだ検出部3は、一般的な半導体製造プロセスにより作製することができる。また、後述するが、磁気変位部2と検出部3とを一体化して形成することもできるため、より特性の安定した読み取り装置1とすることができる。
MR素子は、磁気抵抗効果を示す素子であれば特に限定されず、一般的なMR素子を用いればよい。例えば、異方性磁気抵抗(AMR)効果を利用した素子(AMR素子:AMR効果は、素子を構成する磁性膜の磁化方向と、素子を流れる電流の方向との相対角度により素子の電気抵抗値が異なる現象)や、巨大磁気抵抗(GMR)効果を利用した素子(GMR素子:GMR効果は、非磁性金属層を介して積層した一対の磁性層の磁化方向の相対角度により素子の電気抵抗値が異なる現象)、トンネル磁気抵抗(TMR)効果を利用した素子(TMR素子:TMR効果は、非磁性絶縁層を介して積層した一対の磁性層の磁化方向の相対角度により素子の電気抵抗値が異なる現象)を用いればよい。なかでも、より大きい磁気抵抗効果を得られるGMR素子およびTMR素子を用いることが好ましい。
図3に本発明の読み取り装置のまた別の一例を示す。図3に示す読み取り装置1は、検出部3がMR素子9を含んでおり、MR素子9によって磁気変位部2の磁気状態を検知する読み取り装置1である。ここで、MR素子9は、非磁性層8と、非磁性層8を狭持する一対の磁性層6および7とを含む多層構造を含み、双方の磁性層6および7が有する磁化方向の相対角度により抵抗値が異なる素子である。また、図3に示す読み取り装置1は、磁気変位部2が機械エネルギーと磁気エネルギーとを変換する転移体4を含み、転移体4の磁気状態によって一方の磁性層6の磁化方向が異なる。このような読み取り装置では、MR素子はGMR素子またはTMR素子となり、磁性層6の磁化方向に応じてMR素子9の電気抵抗値が異なるため、転移体4の(即ち、磁気変位部2の)磁気状態を検知することができる。
なお、一般に、MR素子における上記一対の磁性層のうち、相対的に磁化方向が変化しやすい磁性層を自由磁性層、相対的に磁化方向が変化しにくい磁性層を固定磁性層という。図3に示す例では、磁気変位部2のより近くに配置されている磁性層6を自由磁性層、磁気変位部2からより遠くに配置されている磁性層7を固定磁性層とするMR素子9とすればよい。そのためには、例えば、磁気変位部2と磁気的に結合した磁性層6としたり、磁性層6と磁性層7との間で異なる材料を用いたり、反強磁性層をさらに含むMR素子とすればよい。具体例は後述する。また、図3に示す例において、磁性層6と転移体4とは必ずしも接触していなくてもよい。
図4に本発明の読み取り装置のさらにまた別の一例を示す。図4に示す読み取り装置1は、図3に示す読み取り装置1における転移体4と磁性層6とが磁気的に結合している読み取り装置である。このような読み取り装置では、磁性層6を自由磁性層、磁性層7を固定磁性層とするMR素子9とすることができる。また、転移体4の磁気変位を漏れ磁界としてMR素子9により検出する場合に比べて、転移体4の磁気変位を磁性層6の磁化方向に、より直接的に反映させることができるため、より特性に優れる読み取り装置1とすることができる。さらに、自由磁性層である磁性層6に上述の軟磁性層を用いれば、磁性層6が検出部3の一部であると同時に、磁気変位部2の一部である読み取り装置1とすることもできる。即ち、磁気変位部2と検出部3とを一体化した読み取り装置とすることも可能であり、より小型で特性に優れる読み取り装置とすることができる。なお、図4に示す例において、磁性層6と転移体4とが磁気的に結合できる限り、磁性層6と転移体4とは必ずしも接触していなくてもよい。
磁性層6および磁性層7に用いる材料は、磁性材料である限り特に限定されない。例えば、Fe、Co、Niなどの単体;
Fe−Co、Ni−Fe、Co−Ni、Ni−Fe−Coなどの合金;
式X1−X2−X3で示される組成を有する磁性体(ただし、X1は、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素であり、X2は、Mg、Ca、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Al、Si、Mg、GeおよびGaから選ばれる少なくとも1種の元素であり、X3は、N、B、O、FおよびCから選ばれる少なくとも1種の元素である。例えば、Fe−N、Fe−Ti−N、Fe−Al−N、Fe−Si−N、Fe−Ta−N、Fe−Co−N、Fe−Co−Ti−N、Fe−Co(Al,Si)−N、Fe−Co−Ta−Nなど);
式(Co,Fe)−X4で示される組成を有する磁性体(ただし、X4は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、CuおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素である);
式X1−X5で示される組成を有する磁性体(ただし、X1は、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素であり、X5は、Cu、Ag、Au、Pd、Pt、Rh、Ir、Ru、Os、Ru、Si、Ge、Al、Ga、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれる少なくとも1種の元素である。例えば、Fe−Cr、Fe−Si−Al、Fe−Si、Fe−Al、Fe−Co−Si、Fe−Co−Al、Fe−Co−Si−Al、Fe−Co−Ti、Fe(Ni、Co)−Pt、Fe(Ni、Co)−Pd、Fe(Ni、Co)−Rh、Fe(Ni、Co)−Ir、Fe(Ni、Co)−Ru、Fe−Ptなど);
式X6−Mn−Sbで示される組成を有するハーフメタル材料(ただし、X6は、Ni、CuおよびPtから選ばれる少なくとも1種の元素である);
Fe34、式(D、G)−J−O3で示される組成を有する材料、式(D、G)−J2−O5+dで示される組成を有する材料、CrO2などのハーフメタル材料(ただし、Dは、ランタノイドから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Gは、アルカリ土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Jは、IVa族〜VIIa族、VIII族およびIb族〜IIIb族の遷移金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、dは、0≦d≦1.5を満たす数値である);
式X7−X8−X9で示される組成を有する磁性半導体(ただし、X7は、Sc、Y、ランタノイド(La、Ceを含む)、Ti、Zr、Hf、Nb、TaおよびZnから選ばれる少なくとも1種の元素であり、X8は、C、N、O、FおよびSから選ばれる少なくとも1種の元素であり、X9は、V、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素である);
式X9−X10−X11で示される組成を有する磁性半導体(ただし、X9は、V、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素、X10は、B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも1種の元素、X11は、As、C、N、O、PおよびSから選ばれる少なくとも1種の元素である。例えば、Ga−Mn−N、Al−Mn−N、Ga−Al−Mn−N、Al−B−Mn−Nなど);
その他、ペロブスカイト型酸化物、フェライトなどのスピネル型酸化物、ガ−ネット型酸化物などを用いればよい。
また、なかでも自由磁性層となる磁性層6には、例えば、上述の軟磁性層と同様の材料を用いればよい。
磁性層6および磁性層7の厚さは、特に限定されず、MR素子9として必要な特性に応じて任意に設定すればよい。例えば、0.2nm以上100nm以下の範囲であればよい。
非磁性層8に用いる材料は、非磁性であれば導電性の材料であっても、絶縁性の材料であってもよい。導電性の材料を用いた場合、磁気抵抗素子は、いわゆるGMR素子となる。また、絶縁性の材料を用いた場合、磁気抵抗素子は、いわゆるTMR素子となる。
非磁性かつ導電性の材料は、例えば、Cr、Cu、Ag、Au、Ru、Ir、ReおよびOsから選ばれる少なくとも1種の元素を用いればよい。これら元素の合金や酸化物を用いてもよい。また、非磁性層に導電性の材料を用いる場合、その膜厚は、例えば、0.2nm以上1.2nm以下の範囲であればよい。
非磁性かつ絶縁性の材料は、絶縁体および/または半導体であれば特に限定されない。例えば、Mg、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、ランタノイド(La、Ceを含む)などのIIa族元素〜VIa族元素、および、Zn、B、Al、GaおよびSiなどのIIb族元素〜IVb族元素から選ばれる少なくとも1種の元素と、F、O、C、NおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素との化合物であればよい。なかでも、Alの酸化物、窒化物、酸窒化物から選ばれる少なくとも1種の化合物が、磁気抵抗素子の特性などの観点から好ましい。非磁性層に絶縁性の材料を用いる場合、その膜厚は、例えば、0.2nm以上10nm以下の範囲であればよい。
本発明の読み取り装置において、MR素子9が、図5に示すようなMR素子9であってもよい。図5に示すMR素子9は、反強磁性層10をさらに含んでいる。また、反強磁性層10は、反強磁性層10と非磁性層8とによって、転移体4の磁気状態の影響を相対的に受けにくい磁性層(即ち、転移体4からより遠い磁性層7)を狭持するように配置されている。このようなMR素子では、反強磁性層10と磁性層7とが磁気的に結合するため、磁性層7の磁化方向をより固定することができる。このため、より磁気抵抗効果の大きいMR素子とすることができる。なお、図5では、説明を分かりやすくするために、MR素子9以外にも転移体4を記載している。以降の図6および図7についても同様である。
反強磁性層10に用いる材料は、反強磁性を有する磁性材料である限り特に限定されない。例えば、Pt−Mn、Pt−Pd−Mn、Fe−Mn、Ir−Mn、Ni−Mnなどの合金、あるいは、反強磁性を有する遷移金属酸化物を用いればよい。また、反強磁性層の厚さは、特に限定されず、例えば、0.2nm以上100nm以下の範囲である。
本発明の読み取り装置において、一対の磁性層のうち少なくとも1つが、非磁性膜と、非磁性膜を狭持する一対の磁性膜とを含んでいてもよい。
例えば、図6に示すMR素子9では、自由磁性層である磁性層6が、非磁性膜62と、非磁性膜62を狭持する一対の磁性膜61および63とを含んでいる。
非磁性膜を一対の磁性膜で狭持する多層膜構造では、非磁性膜の材料および膜厚を制御することによって、上記一対の磁性膜を磁気的に結合させることができる(その結合の仕方によって、積層フェリ結合と静磁結合とがある)。このような多層膜構造では、一対の磁性膜の磁気的な実効膜厚は、両者の膜厚の和ではなく、両者の膜厚の差によってほぼ示されると考えられる。即ち、一対の磁性膜における膜厚の差を制御することによって、より磁気的な実効膜厚が小さい磁性膜を形成することが可能になる。このため、磁性層が、上記の多層膜構造を含むことによって、磁性層の磁気的な実効膜厚をより小さくすることができる。磁性層の磁気的な実効膜厚が小さくなれば磁性層の飽和磁化の大きさを小さくでき(反磁界の大きさを小さくでき)、より高感度のMR素子とすることができる。
例えば、図6に示す例では、自由磁性層である磁性層6の磁化方向の変化をより容易にすることができる。
磁性膜61および63の膜厚の差は特に限定されず、磁性層として必要な特性に応じて任意に設定すればよい。例えば、0.2nm以上2nm以下の範囲である。このとき、上記多層膜構造を含む磁性層の磁気的な実効膜厚は、0.2nm以上2nm以下となる。あまりに差が大きいと、単層の磁性層の膜厚と変らなくなり、効果が小さくなる。また、あまりに差が小さいと、磁性層として必要な特性が得られなくなる可能性がある。
また、非磁性膜62に用いる材料は、導電性の材料であれば特に限定されない。例えば、Cr、Cu、Ag、Au、Ru、Ir、ReおよびOsから選ばれる少なくとも1種の元素などを用いればよい。また、非磁性膜に用いる材料によって異なるが、その膜厚を、例えば、0.2nm以上2nm以下の範囲にすることによって、磁性膜61および63を積層フェリ結合させることができる。その膜厚を、例えば、2nm以上100nm以下とすることによって、磁性膜61および63を静磁結合させることができる。
自由磁性層である磁性層が、このような多層膜構造を含むことによって、微細な素子においても、自由磁性層としての磁化が消失することなく、かつ、軟磁性を保持することができる。
なお、積層フェリ結合は、MR素子の面方向における磁性層(磁性膜)の面積がサブミクロンオーダー以下の場合に特に効果的となる。また、静磁結合は、磁性層(磁性膜)の面積がより大きい場合(例えば、100ミクロンオーダー以下)に特に効果的となる。
また、図7に示すMR素子9では、固定磁性層である磁性層7が、非磁性膜72と、非磁性膜72を狭持する一対の磁性膜71および73とを含んでいる。図7に示すMR素子9では、磁性層7と反強磁性層10とが磁気的に結合しており、固定磁性層である磁性層7が上記多層膜構造を含むことによって、磁性層7の磁化方向をより固定することができる。また、磁性膜71と磁性膜73とが、非磁性膜72を介して反強磁性的に結合する場合(積層フェリ結合)、磁束漏れを抑制することができる。なお、磁性膜71および73は、磁性膜61および63と同様であればよく、非磁性膜72は、非磁性膜62と同様であればよい。
なお、本発明の読み取り装置に用いるMR素子には、その他、必要に応じて任意の特性を有する層を付加することができる。
また、MR素子に電流を印加して磁気抵抗効果を測定する方法は、一般的なMR素子で用いられている方法を用いればよい。なお、TMR素子の場合には、素子の面方向に垂直な方向に(即ち、非磁性層を介して)電流を印加する必要があるが、GMR素子の場合には、素子の面方向に垂直な方向に電流を印加するCPP(Current Perpendicular to Plane)−GMRとしても、素子の面方向に平行な方向に電流を印加するCIP(Current In Plane)−GMRとしてもよい。
また、磁気抵抗効果を測定する際には、検出部3がMR素子9に対する参照抵抗を含んでいてもよい。この場合、参照抵抗との差を読み出すことができるため、より特性が安定した読み取り装置1とすることができる。なお、参照抵抗は、例えば、MR素子の一部を用いればよい。
次に、磁気変位部2および検出部3の配置方法について説明する。
本発明の読み取り装置では、磁気変位部が、対象物の表面(形状を読み取る面)に垂直な方向に固定されていてもよい。また、磁気変位部が、対象物の表面に垂直な方向に可動であってもよい。例えば、図1Aに示す例では、磁気変位部2は、対象物101の表面に垂直な方向に対して固定されている。また、図2Aに示す例では、磁気変位部2は、対象物101の表面に対して垂直な方向に対して可動である。このように、本発明の読み取り装置は、磁気変位部が固定、可動のいずれの構成にすることもできる。固定にするか、可動にするか、また、可動にする場合にその移動量などは、読み取り装置として必要な特性や対象物の種類などに応じて任意に設定することができる。例えば、対象物の表面の形状が指紋であり、磁気変位部を可動にする場合、磁気変位部の対象物の表面に垂直な方向への移動量は、例えば、1nm以上1000μm以下の範囲程度であればよい。
本発明の読み取り装置では、磁気変位部が、点状、線状および面状から選ばれる少なくとも1つの形状に配置されていてもよい。
本発明の読み取り装置における磁気変位部の配置の例を図8A〜図8Dに示す。図8Aに示す例では、対象物101の読み取るべき表面(図8A中の点線部分、以下の図8B〜図8Dにおいても同様)に対して、磁気変位部2が点状に配置されている。この場合、読み取り装置が磁気変位部2を移動させるスキャン部を含み、スキャン部によって磁気変位部2を対象物101の読み取るべき表面に沿って移動させる(例えば、図8Aに示す矢印の方向)ことによって、対象物101の読み取るべき表面をすべて読み取ることができる。図8Bに示す例では、対象物101の読み取るべき表面に対して、磁気変位部2が線状に配置されている。また、図8Cに示す例では、対象物101の読み取るべき表面に対して、磁気変位部2が面状に配置されている。これらの場合も、図8Aと同様に磁気変位部2を移動させる(例えば、図8Bおよび図8Cに示す矢印の方向)ことによって、対象物101の読み取るべき表面をすべて読み取ることができる。図8Dに示す例では、対象物101の読み取るべき表面に対して磁気変位部2が面状に配置されており、その面積は、上記表面とほぼ同等、あるいはそれ以上の大きさにある。このような場合は、磁気変位部2を移動させることなく、対象物101の読み取るべき表面をすべて読み取ることができる。
同様に、本発明の読み取り装置では、検出部が、点状、線状および面状から選ばれる少なくとも1つの形状に配置されていてもよい。
本発明の読み取り装置における検出部の配置の例を、図9A〜図9Dに示す。図9A〜図9Dに示す例は、図8A〜図8Dに示す磁気変位部2を検出部3に、対象物101の読み取るべき表面を磁気変位部における磁気状態を検知すべき領域11(図9A〜図9Dにおける点線部)にすれば、図8A〜図8Dに示す例と同様である。図9A〜図9Dに示すいずれの例においても、検出部3によって、磁気変位部の磁気状態を検知することができる。なお、図9A〜図9Cに示す例のように、検出部3のスキャンが必要な場合は、読み取り装置が検出部3を移動させるスキャン部を含み、スキャン部によって検出部3を磁気変位部に沿って移動させればよい。
磁気変位部2および検出部3を移動させるスキャン部の構造は、特に限定されない。移動手段として一般的な構造、方法を用いればよい。例えば、プリンタやスキャナーなどでヘッドを移動させるために用いる構造、方法や、ハードディスクドライブなどでカンチレバーを移動させるために用いる構造、方法などを応用すればよい。また、原子間力顕微鏡(AFM)や走査型トンネル顕微鏡(STM)などに用いられるピエゾ素子を用いたり、上記構造、方法と組み合わせたりしてもよい。
なお、磁気変位部の配置と、検出部の配置とは任意の組み合わせで設定することができる。また、線状の磁気変位部および検出部は、点状の磁気変位部(磁気変位素子)および点状の検出部(検出素子)の集合体であってもよい。面状の磁気変位部および検出部についても同様であり、磁気変位素子および検出素子の集合体であってもよい。例えば、図8Dに示す磁気変位部2と図9Dに示す検出部3とを用いた読み取り装置の一例の断面模式図(図8Dおよび図9Dに示す直線A−A’で切断したと仮定)を図10に示す。図10に示す読み取り装置1では、磁気変位部2と検出部3とは、それぞれ磁気変位素子11と検出素子12との集合体となっている。なお、磁気変位素子11は、点状の転移体4と点状の軟磁性層5を含んでいる。また、各素子は、図10における斜線部分の領域である。
磁気変位素子の面方向(対象物の表面に平行な方向)の面積は、例えば、100nm2以上106μm2以下の範囲であり、なかでも指紋を読み取る場合、1000nm2以上1010nm2以下の範囲が好ましい。上記面積が小さいほど、同一の領域を読み取るために必要な素子数は増えるが、読み取った情報(例えば、対象物の表面の形状を示す画像など)をより精細にすることができる。
同様に、検出素子の面方向(対象物の表面に平行な方向)の面積は、例えば、100nm2以上106μm2以下の範囲であり、なかでも指紋を読み取る場合、1000nm2以上1010nm2以下の範囲が好ましい。上記面積が小さいほど、同一の領域の磁気状態を検知するために必要な素子数は増えるが、読み取った情報をより精細にすることができる。なお、検出素子がMR素子を含み、MR素子の上記面方向の面積が、例えば、1μm2以下での場合、MR素子の自由磁性層に積層フェリ結合の状態にある多層膜構造が含まれていることが好ましい。
磁気変位素子および検出素子の形状は、特に限定されず、例えば、それぞれの面方向に切断した面の形状が、正方形状、長方形状、円形状、楕円形状、多角形状であればよい。
読み取り装置が、磁気変位素子の集合体である磁気変位部、および検出素子の集合体である検出部を含む場合における作動例を図11〜図13に示す。
図11に示す読み取り装置1では、対象物101の表面の凸部が接触している転移体4aの磁気状態は、凸部が接触していない(即ち、凹部が面している)転移体4bの磁気状態とは異なっている。この磁気状態の差によって、検出部3であるコイル13aとコイル13bとの出力が異なる(Out1とOut2)ことによって、対象物101の表面の形状を読み取ることができる。
図12、図13に示す例においても同様である。図12は、検出部3がMR素子を含む場合である。転移体4aおよび4bの磁気状態が異なれば、MR素子9aおよび9bにおける、磁性層6aおよび6bの磁化方向が異なる。このため、MR素子9aとMR素子9bとの出力が異なることによって、対象物101の表面の形状を読み取ることができる。図13は、図4に示す例と同様に、磁気変位部2と検出部3とが一体化している場合である。この場合も、MR素子9aとMR素子9bとの出力が異なることによって、対象物101の表面の形状を読み取ることができる。
本発明の読み取り装置では、図14に示すように、対象物101の表面の形状を読み取る際に、対象物101の読み取り部分より磁気変位部2の領域を大きく(例えば、図14に示すLT<LPとする)してもよい。この場合、対象物101の読み取り部分を一括して読み取ることができるため、読み取りをより迅速に行うことができる。
本発明の読み取り装置では、図15に示すように、対象物101の表面の形状を読み取る際に、対象物101の読み取り部分より磁気変位部2の領域を小さく(例えば、図15に示すLT>LPとする)してもよい。この場合、磁気変位部2を対象物101に対して移動させれば(あるいは、対象物101を磁気変位部2に対して移動させれば)、対象物101の読み取り部分を読み取ることができる。また、例えば、対象物101の読み取り部分の画像を得るためには、別に画像合成が必要となるが、読み取り装置自体は小型化することが可能である。
次に、本発明の読み取り装置の製造方法について説明する。最初に、図15を用いて、本発明の読み取り装置の製造方法の一例を説明する。
まず図16Aに示すように、Si基板21上に、電極層22、磁性層7、非磁性層8、磁性層6、転移体4および保護層23を順に積層して積層体を形成する。次に、図16B〜図16Dに示すように、積層体の微細加工を行うことによって、転移体4からなる磁気変位部2と、検出部であるMR素子9を形成する。次に、図16Eに示すように、MR素子9に電流を印加するための上部電極24と下部電極25とを形成する。最後に、図16Fに示すように、全体を絶縁層26で被覆して表面を研磨することによって、本発明の読み取り装置を得ることができる。
電極層22、上部電極24および下部電極25に用いる材料は、導電性材料であれば特に限定されない。なかでも線抵抗率が100μΩ・cm以下の材料(例えば、Cu、Al、Ag、Au、Pt、Ti−Nなど)が好ましい。絶縁層26は、Al23、SiO2などの絶縁特性に優れる材料を用いればよい。その他、各層の材料には、上述した材料を用いればよい。
積層体の各層の形成、および上部電極、下部電極の形成には、半導体素子、MR素子などの形成に一般的に用いられる方法を用いればよい。パルスレーザデポジション(PLD)、イオンビームデポジション(IBD)、クラスターイオンビーム、および、RF、DC、電子サイクロトロン共鳴(ECR)、ヘリコン、誘導結合プラズマ(ICP)、対向ターゲットなどの各種スパッタリング法、分子線エピタキシー法(MBE)、イオンプレーティング法などを用いればよい。また、これらPVD法の他に、CVD法、メッキ法あるいはゾルゲル法などを用いてもよい。
微細加工についても、半導体素子、MR素子などの形成に一般的に用いられる方法を用いればよい。イオンミリング、反応性イオンエッチング(RIE)、FIB(Focused Ion Beam)などの物理的または化学的エッチング法、微細パターン形成のためのステッパー、電子ビーム(EB)法などを用いたフォトリソグラフィー技術などを組み合わせればよい。また、電極表面などの平坦化には、CMPや、クラスターイオンビームエッチングなどを用いればよい。
絶縁性の材料からなる非磁性層の形成は、例えば、次のように行えばよい。まず、Mg、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、ランタノイド(La、Ceを含む)などのIIa族元素〜VIa族元素、および、Zn、B、Al、GaおよびSiなどのIIb族元素〜IVb族元素から選ばれる少なくとも1種の元素の薄膜前駆体を作製する。次に、F、O、C、NおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素を分子、イオン、プラズマ、ラジカルなどとして含む雰囲気中において、F、O、C、NおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素と上記薄膜前駆体とを温度および時間を制御しながら反応させる。これにより、薄膜前駆体は、ほぼ完全にフッ化、酸化、炭化、窒化または硼化され、非磁性層を得ることができる。また、薄膜前駆体として、F、O、C、NおよびBから選ばれる少なくとも1種の元素を化学量論比以下の割合で含んだ不定比化合物を作製してもよい。
より具体的な例としては、スパッタリング法によってAl23からなる非磁性層を作製する場合、AlまたはAlOx(x≦1.5)からなる薄膜前駆体をArまたはAr+O2雰囲気中で成膜し、これをO2またはO2+不活性ガス中で酸化させることを繰り返せばよい。なお、プラズマやラジカルの発生には、ECR放電、グロ−放電、RF放電、ヘリコン、誘導結合プラズマ(ICP)などの一般的な手法を用いればよい。
次に、本発明の認証器について説明する。
本発明の認証器の一例を図17に示す。本発明の認証器は、読み取り装置1と、メモリ部32と、照合部31とを含んでいる。読み取り装置1は上述した本発明の読み取り装置である。メモリ部32には対象物の表面の形状が予め登録してある。読み取り装置1で読み取られた、対象物の表面の形状の情報(例えば、画像情報)は、照合部31へと送られる。照合部31では、読み取り装置1から送られてきた形状と、メモリ部32に登録してある形状とを照合することによって、読み取り装置1で読み取った対象物の認証を行えばよい。照合部31における照合の方法は、特に限定されず、一般的に用いられている照合方法を用いればよい。
このような認証器とすることによって、従来の読み取り装置を用いた認証器とは異なり、磁気状態の変化(磁気変位)を検知方式とする認証器を得ることができる。このため、従来の読み取り装置を用いた認証器とは異なり、静電気や温度などの環境の影響を受けにくい認証器とすることができる。また、光源、レンズなどの光学部品、あるいは、ヒーターなどの部品を省略することができるため、より小型、低消費電力の認証器とすることもできる。なお、これらの効果は、本発明の読み取り装置の場合と同様に、選択的である。
また、本発明の認証器では、読み取り装置1と照合部31との間に、読み取り装置1で読み取った形状の情報(例えば、画像情報)を処理する処理部(例えば、画像処理部)をさらに含んでいてもよい。例えば、読み取り装置1において対象物の表面の形状の画像情報を部分ごとに読み取る場合(例えば、図1Aに示す読み取り装置の場合など)、上記処理部によって対象物の表面全体の形状を示す画像情報を合成し、照合部31に送ってもよい。
本発明の認証器では、読み取り装置、メモリ部、照合部のそれぞれが物理的に独立した装置である必要は必ずしもない。これらの名称は、機能的に付けられた名称である。処理部についても同様である。例えば、本発明の読み取り装置の他に、メモリ部と照合部とを(必要に応じて処理部も)内蔵したコンピューターを含むことによって本発明の認証器を形成することができる。また、例えば、メモリ部と照合部とを(必要に応じて処理部も)内蔵した半導体チップを形成し、この半導体チップと本発明の読み取り装置とを1つの筐体内に内蔵することによって、認証器を形成してもよい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に限定されない。
(実施例1)
熱酸化膜付Si基板(熱酸化膜はSiO2膜:厚さ500nm)上に、マグネトロンスパッタリング法を用いて、以下に示す膜構成の積層体を作製した。
Ta(10)/Cu(50)/Ta(5)/Pt−Mn(20)/Co−Fe(4)/Ru(0.9)/Co−Fe(2)/Fe−Pt(2)/Al−O(1)/Fe−Pt(1)/Ni−Fe(2)/Ru(0.7)/Ni−Fe(2)/Fe−Si(2000)/Pt(50)
ここで、括弧内の数値は膜厚を示している。単位はnmであり、以下、同様にして膜厚を表示する。ただし、Al−O層は、Alを1nmの膜厚で成膜した後、26.3kPa(200Torr)の酸素含有雰囲気中において1分間の酸化を繰り返して作製した。
基板上のTa(10)/Cu(50)/Ta(5)は、電極層である。Pt−Mn(20)は反強磁性層である。磁性層であるCo−Fe(4)/Ru(0.9)/Co−Fe(2)/Fe−Pt(2)は、Pt−Mn(20)と磁気的に結合して固定磁性層となっている。また、非磁性膜であるRu(0.9)を狭持する磁性膜Co−Fe(4)とCo−Fe(2)とは、積層フェリ結合の状態にある。Al−O(1.0)は、絶縁性の材料からなる非磁性層である。Fe−Pt(1)/Ni−Fe(2)/Ru(0.7)/Ni−Fe(2)は、自由磁性層に相当する磁性層である。非磁性膜であるRu(0.7)を狭持するFe−Pt(1)/Ni−Fe(2)と、Ni−Fe(2)とは積層フェリ結合の状態にある。(上述したように、積層フェリ結合により、自由磁性層の磁気的な実効膜厚は、1nmとなる)。Fe−Si(2000)は転移体、Pt(50)は保護層である。なお、Fe−Si層の組成は、Fe0.965Si0.035であった。ただし、上記組成は、原子組成比により示している。
この積層体を図16B〜図16Dに示すように微細加工し、図16Eに示すように上部電極、下部電極を形成した後に、絶縁層で被覆し、表面を研磨して図16Fに示す読み取り装置を作製した。なお、微細加工は、フォトリソグラフィーの手法によりレジストパターンを形成し、イオンエッチングを用いて行った。上部電極、下部電極には、Cuを用い、絶縁層には、SiO2を用いた。表面の研磨は、CMPを用いて行った。また、微細加工することによって、面方向の面積が100μm2であり、正方形状である磁気変位素子と検出素子とが、面状に256素子×256素子に配列した読み取り装置とした。
このようにして作製した読み取り装置を用い、対象物の表面の形状に指紋を用いて読み取り試験を行ったところ、図18に示すような画像を得ることができた。この画像情報をメモリ部に予め蓄積された指紋画像と照合したところ、指紋による個人認証が十分に可能であった。
なお、非磁性層であるAl−Oの膜厚を変化させた場合(0.3nm〜3nm)、非磁性層に導電性の材料であるCu(0.2nm〜10nm)を用いた場合も同様の結果を得ることができた。また、転移体として、Dy−Tb−Fe(2000)を用いた場合、上記とは異なる組成比のFe−Siを用いた場合にも、同様の結果を得ることができた。
(実施例2)
実施例1と同様に、熱酸化膜付Si基板(熱酸化膜はSiO2膜:厚さ500nm)上に、マグネトロンスパッタリング法を用いて、以下に示す膜構成の積層体を作製した。Al−O(1)の作製方法も同様である。
Ta(5)/Cu(50)/Ta(5)/Pt−Mn(20)/Co−Fe(4)/Ru(0.9)/Co−Fe(2)/Fe−Pt(2)/Al−O(1)/Fe−Pt(2)/Ni−Fe(6)/Ru(0.9)/Ni−Fe(10)/BiMnO3(1000)
基板上のTa(5)/Cu(50)/Ta(5)は、電極層である。Pt−Mn(20)は反強磁性層である。磁性層であるCo−Fe(4)/Ru(0.9)/Co−Fe(2)/Fe−Pt(2)は、Pt−Mn(20)と磁気的に結合して固定磁性層となっている。また、非磁性膜であるRu(0.9)を狭持する磁性膜Co−Fe(4)とCo−Fe(2)とは、積層フェリ結合の状態にある。Al−O(1)は、絶縁性の材料からなる非磁性層である。Fe−Pt(2)/Ni−Fe(6)/Ru(0.9)/Ni−Fe(10)は、自由磁性層に相当する磁性層である。非磁性膜であるRu(0.9)を狭持するFe−Pt(2)/Ni−Fe(6)と、Ni−Fe(10)とは積層フェリ結合の状態にある。BiMnO3(1000)は、転移体である。
この積層体に対して実施例1と同様に微細加工などを行い、図16Fに示す読み取り装置を作製した。また、微細加工することによって、面方向の面積が100μm2であり、正方形状である磁気変位素子と検出素子とが、面状に256素子×256素子に配列した読み取り装置とした。
このようにして作製した読み取り装置を用い、対象物の表面の形状に指紋を用いて読み取り試験を行ったところ、実施例1と同様に、図18に示すような画像を得ることができた。この画像情報をメモリ部に予め蓄積された指紋画像と照合したところ、指紋による個人認証が十分に可能であった。
なお、非磁性層であるAl−Oの膜厚を変化させた場合(膜厚が0.3nm〜3nm)、非磁性層に導電性の材料であるCu(膜厚が0.2nm〜10nm)を用いた場合も同様の結果を得ることができた。
(実施例3)
実施例1と同様に、熱酸化膜付Si基板(熱酸化膜はSiO2膜:厚さ500nm)上に、マグネトロンスパッタリング法を用いて、以下に示す膜構成の積層体を作製した。Al−O(1.0)の作製方法も同様である。
Ta(10)/Cu(50)/Ta(5)/Pt−Mn(20)/Co−Fe(4)/Ru(0.9)/Co−Fe(4)/Al−O(1.0)/Co−Fe(1)/Ni−Fe(4)/Fe−Al(2000)/Ta(50)
基板上のTa(10)/Cu(50)/Ta(5)は、電極層である。Pt−Mn(20)は反強磁性層である。磁性層であるCo−Fe(4)/Ru(0.9)/Co−Fe(4)は、Pt−Mn(20)と磁気的に結合して固定磁性層となっている。また、非磁性膜であるRu(0.9)を狭持する磁性膜Co−Fe(4)とCo−Fe(4)とは、積層フェリ結合の状態にある。Al−O(1.0)は、絶縁性の材料からなる非磁性層である。Co−Fe(1)/Ni−Fe(4)は、自由磁性層に相当する磁性層である。Fe−Al(2000)は、転移体である。なお、Fe−Al層の組成は、Fe0.9Al0.1であった。ただし、上記組成は、重量比で示している。Ta(50)は保護層である。
この積層体に対して実施例1と同様に微細加工などを行い、図16Fに示す読み取り装置を作製した。また、微細加工することによって、面方向の面積が100μm2であり、正方形状である磁気変位素子と検出素子とが、面状に256素子×256素子に配列した読み取り装置とした。
このようにして作製した読み取り装置を用い、対象物の表面の形状に指紋を用いて読み取り試験を行ったところ、実施例1と同様に、図18に示すような画像を得ることができた。この画像情報をメモリ部に予め蓄積された指紋画像と照合したところ、指紋による個人認証が十分に可能であった。
なお、非磁性層であるAl−Oの膜厚を変化させた場合(膜厚が0.3nm〜3nm)、非磁性層に導電性の材料であるCu(膜厚が0.2nm〜10nm)を用いた場合も同様の結果を得ることができた。また、転移体として、センダストを含むFe−Al−Siや、Tb−Dy−Feを用いた場合にも同様の結果を得ることができた。
(実施例4)
マグネトロンスパッタリング法を用いて、図19Aに示すような積層体を作製した。具体的には、以下に示す膜構成の積層体を作製した。なお、図面を見やすくするために、図19Aでは反強磁性層を図示していない。
TbIG/Ni−Fe(20)/Co−Fe(2)/Al−O(3)/Co−Fe(6)/Ru(0.9)/Co−Fe(6)/Ir−Mn(50)/Ta(10)/Cu(50)/Ta(5)/CAP層
ただし、Al−O層は、Alを3nmの膜厚で成膜した後、26.3kPa(200Torr)の酸素含有雰囲気中において1分間の酸化を繰り返して作製した。
TbIG(テルビウムアイアンガーネット)層は、転移体4であるが積層体を形成する際の基板としても用いた。
TbIG層上のNi−Fe(20)/Co−Fe(2)は自由磁性層に相当する磁性層6である。Ir−Mn(50)は反強磁性層である。磁性層7であるCo−Fe(6)/Ru(0.9)/Co−Fe(6)は、Ir−Mn(50)と磁気的に結合して固定磁性層となっている。Al−O(3)は、絶縁性の材料からなる非磁性層8である。Ta(10)/Cu(50)/Ta(5)は、電極層22である。CAP層27には、スピンコーティングにより形成したポリイミド層(厚さ約10μm)を用いた。
次に、図19Bに示すようにCAP層27を基板の代わりに用い、TbIG層(転移体4)の表面の研磨を行うことによって、TbIG層の厚さを転移体として適当な厚さに加工した。TbIG層は、多結晶あるいは単結晶の状態にあると考えられる。ここでは、約数μmの厚さになるまで研磨を行った。
次に、積層体を図19C〜図19Eに示すように微細加工し、図19Fに示すように上部電極24、下部電極25を形成した後に、絶縁層26で被覆し、表面を研磨して図19Gに示す読み取り装置を作製した。微細加工は、実施例1と同様の手法を用いて行った。上部電極、下部電極には、Cuを用い、絶縁層には、SiO2を用いた。表面の研磨は、CMPを用いて行った。また、微細加工することによって、面方向の面積が100μm2であり、正方形状である磁気変位素子と検出素子とが、面状に256素子×256素子に配列した読み取り装置とした。
このようにして作製した読み取り装置を用い、対象物の表面の形状に指紋を用いて読み取り試験を行ったところ、実施例1と同様に、図18に示すような画像を得ることができた。この画像情報をメモリ部に予め蓄積された指紋画像と照合したところ、指紋による個人認証が十分に可能であった。
なお、非磁性層であるAl−Oの膜厚を変化させた場合(0.3nm〜3nm)、非磁性層に導電性の材料であるCu(0.2nm〜10nm)を用いた場合も同様の結果を得ることができた。また、転移体として、希土類アイアンガーネットを用いた場合(例えば、希土類元素としてSm、Dyなど)にも、同様の結果を得ることができた。
なお、図19Cから図19Fに示す工程は、上述した図16Bから図16Eに示す工程と同様に行えばよい。また、CAP層27は、図19B以降の工程において基板の代わりに使用できるものであれば特に限定されない。ポリイミド以外にも、様々な材料(例えば、樹脂、無機物など)を用いることができる。CAP層27の形成方法も、スピンコーティングに限らず、特に限定されない。同じく、CAP層27の厚さも、特に限定されない。
本発明は、その意図および本質的な特徴から逸脱しない限り、他の実施形態に適用しうる。この明細書に開示されている実施形態は、あらゆる点で説明的なものであってこれに限定されない。本発明の範囲は、上記説明ではなく添付したクレームによって示されており、クレームと均等な意味および範囲にあるすべての変更はそれに含まれる。
以上説明したように、本発明によれば、磁気変位を検知方式に用いた読み取り装置と、これを用いた認証器とを提供できる。
本発明の読み取り装置によって、例えば、人体の表面の形状(例えば、指紋、掌紋など)を読み取ることができる。このため、本発明の読み取り装置は、認証器や、ポインティングデバイスなどに用いることができる。また、例えば、人体の表面に限らず、様々な物体の表面の形状を読み取る表面センサーなどにも用いることができる。
また、本発明の認証器は、例えば、コンピューターのユーザー認証、セキュリティーエリアへの入退室の管理などの用途に用いることができる。また、例えば、自動預け払い機(ATM)など、金融機関における個人の認証が必要とされる様々なサービス(インターネットなどの通信回線を介した情報の授受を含む)にも用いることができる。
本発明の読み取り装置の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の別の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の別の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置のまた別の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置のさらにまた別の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置に用いる磁気抵抗素子の一例を説明するための模式断面図である。 本発明の読み取り装置に用いる磁気抵抗素子の別の一例を説明するための模式断面図である。 本発明の読み取り装置に用いる磁気抵抗素子のまた別の一例を説明するための模式断面図である。 本発明の読み取り装置に用いる磁気変位部の配置の一例を示す模式図である。 本発明の読み取り装置に用いる磁気変位部の配置の一例を示す模式図である。 本発明の読み取り装置に用いる磁気変位部の配置の一例を示す模式図である。 本発明の読み取り装置に用いる磁気変位部の配置の一例を示す模式図である。 本発明の読み取り装置に用いる検出部の配置の一例を示す模式図である。 本発明の読み取り装置に用いる検出部の配置の一例を示す模式図である。 本発明の読み取り装置に用いる検出部の配置の一例を示す模式図である。 本発明の読み取り装置に用いる検出部の配置の一例を示す模式図である。 本発明の読み取り装置の上記とは別の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の作動例を示す模式図である。 本発明の読み取り装置の別の作動例を示す模式図である。 本発明の読み取り装置のまた別の作動例を示す模式図である。 本発明の読み取り装置の構造の一例を示す模式図である。 本発明の読み取り装置の構造の別の一例を示す模式図である。 本発明の読み取り装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。 本発明の認証器の一例を示す模式図である。 実施例で測定した、指紋の形状の読み取り結果を示す図である。 本発明の読み取り装置の製造方法の別の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の製造方法の別の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の製造方法の別の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の製造方法の別の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の製造方法の別の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の製造方法の別の一例を示す模式断面図である。 本発明の読み取り装置の製造方法の別の一例を示す模式断面図である。

Claims (23)

  1. 対象物の表面の形状を読み取る読み取り装置であって、
    前記表面と接触したときに、前記形状に応じて磁気状態が異なる磁気変位部と、
    前記磁気変位部の前記磁気状態を検知する検出部とを含む読み取り装置。
  2. 前記形状が、凸部と凹部とからなり、
    前記磁気変位部は、前記表面が接触することによって生じる圧力によって、前記凸部が面する領域と前記凹部が面する領域との間で磁気状態が異なる請求項1に記載の読み取り装置。
  3. 前記磁気変位部が、機械エネルギーと磁気エネルギーとを変換する転移体を含む請求項2に記載の読み取り装置。
  4. 前記転移体が磁歪材料を含む請求項3に記載の読み取り装置。
  5. 前記転移体が、式Fe−Zで示される組成を有する材料を含む請求項3に記載の読み取り装置。
    ただし、Zは、Mn、Co、Ni、Cu、Al、Si、Ga、Pd、Pt、TbおよびDyから選ばれる少なくとも1種の元素である。
  6. 前記転移体の歪みの変化量が、10−3%以上である請求項3に記載の読み取り装置。
  7. 前記磁気変位部が、軟磁性層をさらに含み、
    前記軟磁性層と前記転移体とは磁気的に結合しており、
    前記転移体の磁気状態によって前記軟磁性層の磁気状態が異なる請求項3に記載の読み取り装置。
  8. 前記検出部がコイルを含み、前記コイルによって前記磁気状態を検知する請求項1に記載の読み取り装置。
  9. 前記検出部が磁気抵抗素子を含み、前記磁気抵抗素子によって前記磁気状態を検知する請求項1に記載の読み取り装置。
  10. 前記磁気抵抗素子は、非磁性層と、前記非磁性層を狭持する一対の磁性層とを含む多層構造を含み、
    双方の前記磁性層が有する磁化方向の相対角度により抵抗値が異なり、
    前記磁気変位部が、機械エネルギーと磁気エネルギーとを変換する転移体を含み、
    前記転移体の磁気状態によって一方の前記磁性層の磁化方向が異なる請求項9に記載の読み取り装置。
  11. 前記一方の磁性層と前記転移体とが磁気的に結合している請求項10に記載の読み取り装置。
  12. 前記磁気抵抗素子が反強磁性層をさらに含み、
    前記反強磁性層は、前記反強磁性層と前記非磁性層とによって他方の前記磁性層を狭持するように配置されている請求項10に記載の読み取り装置。
  13. 前記一対の磁性層から選ばれる少なくとも1つの磁性層が、非磁性膜と、前記非磁性膜を狭持する一対の磁性膜とを含む請求項10に記載の読み取り装置。
  14. 前記一対の磁性膜が、積層フェリ結合および静磁結合から選ばれるいずれかの磁気的結合の状態にある請求項13に記載の読み取り装置。
  15. 前記磁気変位部が、前記対象物の前記表面に垂直な方向に固定されている請求項1に記載の読み取り装置。
  16. 前記磁気変位部が、前記対象物の前記表面に垂直な方向に可動である請求項1に記載の読み取り装置。
  17. 前記磁気変位部が点状、線状および面状から選ばれる少なくとも1つの形状に配置されている請求項1に記載の読み取り装置。
  18. 前記検出部が点状、線状および面状から選ばれる少なくとも1つの形状に配置されている請求項1に記載の読み取り装置。
  19. 前記磁気変位部を移動させる第1のスキャン部をさらに含み、
    前記第1のスキャン部によって前記磁気変位部を前記対象物の表面に沿って移動させ、前記対象物の表面の形状を読み取る請求項1に記載の読み取り装置。
  20. 前記検出部を移動させる第2のスキャン部をさらに含み、
    前記第2のスキャン部によって前記検出部を前記磁気変位部に沿って移動させ、前記磁気変位部の磁気状態を検知する請求項1に記載の読み取り装置。
  21. 前記対象物が人体である請求項1に記載の読み取り装置。
  22. 前記表面の形状が指紋である請求項21に記載の読み取り装置。
  23. 読み取り装置と、メモリ部と、照合部とを含み、
    前記読み取り装置は、対象物の表面の形状を読み取る読み取り装置であって、前記表面と接触したときに、前記形状に応じて磁気状態が異なる磁気変位部と、前記磁気変位部の前記磁気状態を検知する検出部とを含んでおり、
    前記メモリ部には、対象物の表面の形状が予め登録してあり、
    前記照合部によって、前記読み取り装置によって読み取られた前記形状と、前記メモリ部に登録してある前記形状とを照合する認証器。
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