JPWO2004000376A1 - 医療用生分解性生体吸収材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

脈管ステントや縫合糸等の医療用材として用いられている生体吸収性ポリマーは、その引張強度等の力学的特性および吸収のための分解速度がそれぞれほぼ定まっているもので、その力学的特性をあげると脆くなりかつ分解速度も遅くなる。また、分解速度をあげると力学的特性が減少してしまうために使用目的および使用個所が限定されてしまうという問題がある。そこで、生体吸収性ポリマーに環状デプシペプチドを共重合してデプシペプチドが開環共重合した共重合体とすることにより、デプシペプチドの含有量によってその力学的特性および分解速度を調整することができるようにした。

Description

本発明は、縫合糸、脈管ステント、生体細胞の担持体、薬剤等の担持体等の医療用生分解性生体吸収材製用具として用いることができる生体吸収性ポリマーによる医療用生分解性生体吸収材料およびその製造方法に関する。
脈管ステントや縫合糸等の医療用材として用いられている生体吸収性ポリマーとしては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、この両者の共重合体であるポリグラクチン、ポリジオキサノン、ポリグリコネート(トリメチレンカーボネートとグリコリドの共重合体)等がある。
このような、生体吸収性ポリマーは、生体内で分解し、しかも吸収されるためにひろく用いられているが、その引張強度等の力学的特性および吸収のための分解速度がそれぞれほぼ定まっているもので、その力学的特性を上げると脆くなりかつ分解速度も遅くなる。また、分解速度を上げると力学的特性が減少してしまう。したがって使用目的および使用個所が限定されてしまうという問題がある。
本発明は、生体吸収性ポリマーと環状デプシペプチドを共重合させてデプシペプチドが開環共重合した共重合体であることにより、デプシペプチドの含有量によってその力学的特性および分解速度を調整することができるようにし、しかも炎症等の問題も生じさせない生体吸収性ポリマーによる医療用生分解性生体吸収材料とした。
なお、デプシペプチドの添加量は、概ねモル比で2%〜60%程度であり、2%未満では添加した効果が得られず、60%以上では力学的特性が減少し過ぎてしまうことになるからである。しかし、利用できる生体吸収性ポリマーの種類は多く、その種類や共重合体生体吸収性ポリマーの場合はその配合量によってデプシペプチドの添加限界量は上記以外の添加量でも効果を示すことがあり、上記の添加割合は確定値ではない。
図1は、デプシペプチドの構造図であり、図2はデプシペプチドユニットを有する3元共重合体の構造図であり、図3は、デプシペプチドの合成を説明する構造図であり、図4は、デプシペプチドが開環共重合した3元共重合体の構造図であり、図5は、3元共重合体のH NMRスペクトルを示すグラフであり、図6は、緩衝液のみを含む分解液による加水分解試験の結果を示すグラフであり、図7は、3元共重合体および各ホモポリマーのプロテイナーゼKによる酵素分解特性の結果を示すグラフであり、図8は、デプシペプチドを有する共重合体の分解特性を示すグラフであり、図9は、デプシペプチド量と分解速度の関係を示すグラフであり、図10は、各コポリマーおよびホモポリマーの合成条件と、ポリマーの収率と分子量を示す図表であり、図11は、3元共重合体ならびに各ホモポリマーの熱的特性を示す図表であり、図12は、3元共重合体の機械的特性(引張特性)と熱的特性を示す図表であり、図13は、3元共重合体のプロテイナーゼKによる分解前後のポリマー諸物性変化を示す図表であり、図14は、デプシペプチド量と熱的特性の関係を示す図表である。
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
デプシペプチドの構造を図1に示す。
図中に示す如く、側鎖R基がメチル基、イソプロピル基、イソブチル基等のアルキル基であり、側鎖R’基がメチル基、エチル基等のアルキル基である。
デプシペプチドの例としては、アミノ酸とヒドロキシ酸誘導体とから合成したデプシペプチドは、ヒドロキシ酸誘導体としてはクロロアセチルクロリド、2−ブロモプロピオニルブロミドおよび2−ブロモ−n−ブチリルブロミドを用い、得られたデプシペプチドをこれをヒドロキシ酸誘導体の順に従いそれぞれ、L−MMO、L−DMO、L−MEMOとし、それらすべてが本発明に適応可能であるが、これらデプシペプチドモノマーと生体吸収性ポリマーとしてのε−カプロラクトン(CL)とによる共重合体の酵素分解性はプロテイナーゼKによる分解では、L−MMO/CL>L−DMO/CL>L−MEMO/CLの順である。
さらに、アミノ酸とオキシ酸誘導体とから合成したデプシペプチドは、アミノ酸としてL−アラニン、L−(DL−またはD−)バリンおよびL−ロイシンを用い、得られたデプシペプチドをこれをアミノ酸の順に従いそれぞれ、DMO、PMO、BMOとし、それらすべてが本発明に適応可能であるが、これらデプシペプチドモノマーとε−カプロラクトン(CL)とによる共重合体の酵素分解性はプロテイナーゼKによる分解では、DMO/CL>PMO/CL≧BMO/CLの順で、コレステロールエストラーゼではPMO/CL>BMO/CL≧DMO/CLの順である。
第1実施の形態例
ポリ乳酸の原料であるL−ラクチド(L−LA)とポリε−カプロラクトンの原料であるε−カプロラクトン(CL)との共重合体に環状デプシペプチド(DMO)を加えた3元共重合体とした。
図2はこのデプシペプチドを重合して得られるペプチドユニットを有する共重合体の構造図である。Uはデプシペプチドユニットを示している。
そこで、環状デプシペプチドとして、3,6−ジメチル−2,5−モルフォリンジオン(DMO)を合成した。環状デプシペプチドは、α−アミノ酸とα−ヒドロキシ酸誘導体からなる環状エステルアミドである。ここでは、α−アミノ酸にDL−アラニンを、α−ヒドロキシ酸誘導体のDL−2−ブロモプロピオニルブロミドを用いた。
合成の第1段階として、まず、アラニンと2−ブロモプロピオニルブロミドとのSchotten−Baumann反応をアルカリ水溶液中で行い、ペプチド結合させ、2−ブロモプロピオニルアラニンを得た(図3)。
すなわち、DL−アラニン(53.4g、0.6mol)の4N NaOH(0.6mol)水溶液150mlを約5°Cに冷却した後、これに4N NaOH(0.72mol)180mlとDL−2−ブロモプロピオニルブロミド(0.66mol)69.9mlを氷浴中で冷却攪拌しながら交互に約30分間かけて添加した。反応混合物は常に微アルカリ性を保っておいた。反応終了後白色の生成物を濾過して分離した。
生成物を水に溶解し、pHが約3となるように5N HClを滴下しながら加えた後、水分は蒸発させることによって除去した。残存している水溶液を冷却しながら5N HClで徐々に酸性にすると、白色の生成物がさらに得られた。得られたこれら白色生成物をジエチルエーテルを用いてソックスレー抽出して精製した。
収率30〜40%;H NMR(δ、CDCl)1.54(d,3H,NHCHCH)、1.91(d,3H,BrCHCH)、4.45(q,1H,NHCHCH)、4.59(q,1H,BrCHCH)、6.88(brs,1H,NH)。
つづいて、精製した2−ブロモプロピオニルアラニン(19.7g,0.0881mol)とこれと等モルのNaHCO(7.40g,0.0881mol)をジメチルホルムアミド(DMF)150mlに加えた後、60°Cで24時間還流して分子内環化脱塩させることにより環状デプシペプチドであるDMOを白色粉末として得た(図3)。
DMOはクロロホルムから2回再結晶して精製した。
収率40〜60%;mp 158〜159°C;H NMR(δ、CDCl)1.54(d,3H,NHCHCH)、1.62(d,3H,OCHCH)、4.24(q,1H,NHCH)、4.91(q,1H,OCH)、7.07ppm(brs,1H,NH)。
つぎに、3元共重合体の合成について述べる。
共重合モノマーのうち環状デプシペプチド(L−DMO)は、α−アミノ酸(L−アラニン)とα−ヒドロキシ酸誘導体(DL−2−ブロモプロピオニルブロミド)とから合成後、精製して用いた。
また、ラクトン(CL)はトルエンに溶解後CaHにより48時間乾燥した後、減圧蒸留(2回)することにより、L−ラクチド(L−LA)はTHFから再結晶後、昇華(2回)することにより精製した。
重合操作はすべてアルゴン雰囲気下で行った。
L−DMO/CL/L−LA3元共重合体の合成スキームを図4に示す。
共重合体の調製は以下のように行った。
THF中に溶解させた所定量のL−DMOとL−LAの両モノマーならびに触媒のオクチル酸スズ(II){Sn(Oct);0.2mol%/monomer}のトルエン溶液をシュレンク管(重合容器)に導入後、減圧下で溶媒のTHFとトルエンをトラップ除去する。
つぎに、所定量のCLモノマーを同じ重合容器に入れ、容器を封管する。封管した容器を120°Cの油浴中に浸漬して重合を開始した。
所定の時間(12時間)後、重合容器を油浴から取り出して冷却した。生じた粗ポリマーをクロロホルムに溶解し、メタノール中で再沈殿(2回)させることにより精製した。図10に各コポリマーおよびホモポリマーの合成条件、そして得られたポリマーの収率と分子量を示す。
また、L−DMO/CL/L−LA(=8:13:79)3元共重合体のH NMRデータ(δ、CDCl)は以下のようである。
1.38(m,2H,CH CH CH CH CH)、1.50(m,6H,CH×2(L−DMO))、1.57(d,6H,CH×2(L−LA))、1.68(m,4H,CH CH CH CH CH)、2.25〜2.45(splitting in two peaks,2H,CCH)、4.60(m,1H,OCH(L−DMO))、5.17(q,3H,OCH×2(L−LA),NHCH(L−DMO))、6.60ppm(br.m,1H,NH)。
つぎに、上記ポリマーの諸物性について説明する。
コポリマーの組成は400MHZの核磁気共鳴装置(JEOL JMN−LA400)を用いて測定したH NMRスペクトルのピーク積分値比から決定した。また、これらスペクトルからコポリマーの連鎖配列(ランダム性)についても推定を行った。
ポリマーの数平均分子量(M)と分子量分布(M/M)は東ソー株式会社製のGPC8010システム{カラム:TSKgel(G2000HHR+G3000HHR+G4000HHR+G5000HHR)、カラム温度40°C、示差屈折率(RI)検出器}を用い、標準ポリスチレンにより作製した検量線から決定した。溶離液としてクロロホルムを用い、流速は1mLminとした。
ポリマーの熱的特性、すなわちガラス転移温度(T)、融点(T)および融解熱(ΔH)はセイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量計SSC5100DSC22Cを用いて測定した。測定は窒素雰囲気下、昇温速度10°C/minで行った。そして、これら熱的特性の値からもコポリマーのランダム性について推定した。
ポリマーの機械的特性(破壊時の引張強度と伸び)は株式会社オリエンテック製の引張試験機RTC−1210Aを用い、クロスヘッドスピード50mm/minにて測定した。測定は少なくとも3回行いその平均値を採用した。なお、ポリマーサンプルのダンベル試験片(平行長×幅×厚さ=12×2.65×1.46mm)は、ポリマー材料を180〜200°Cで約5分間加熱プレスして作製した。
つぎに、ポリマーの酵素分解試験について述べる。
酵素分解試験は従来と同様に行ったが、以下に概略を示す。
ポリエチレン製のシートメッシュ(網目約1×1mm)に封入したポリマーフィルム(膜厚約100μm、数10mg)を、酵素ならびに緩衝液(50ml)の入ったサンプル管瓶内でインキュベート(37°C)することにより分解を行った。酵素濃度はポリマーサンプル1mg当たり1国際単位(IU)とした。
なお、酵素を含む緩衝液(分解液)は、酸素活性の低下や空気中の微生物の混入・増殖を考慮して、約40時間ごとに新しい分解液と交換した。
分解性は分解前後のポリマーの重量および物性(分子量,組成,熱的特性)の変化により評価した。酵素としてプロテアーゼの1種であるプロテイナーゼK(Tritirachium album由来、和光純薬工業株式会社製、活性20IU/mg)を、Goodの緩衝液としてTricine(pH8.0)を用いた。
以上の試験によるL−DMO/CL/L−LA3元共重合体ならびに各ホモポリマーの重合結果を図10に示す。
CLおよびL−LAホモポリマー{それぞれpoly(CL),poly(L−LA)}の場合、高分子量かつ高収率でポリマーが得られたが、L−DMOホモポリマー{poly(L−DMO)}は収率、分子量共に低いものしか得られなかった。これは生じたデプシペプチドポリマーが、そのモノマー(ここでは、L−DMO)やオリゴマーとのエステル交換反応あるいは分子鎖切断の原因となるバックバイティング反応を起こしやすい結果と考えられる。
一方、3元共重合体の場合、コポリマー組成比から本共重合条件下ではL−LAの反応性が高いことがわかる。
また、L−DMOはCLよりもコポリマー中に多く取り込まれていることから、CLに比べ反応性は低くはない。それゆえに、上記したL−DMOホモポリマーの分子量や収率が低い原因はやはりそのエステル交換の起こりやすさにある。コポリマーの分子量や収率は比較的良好であるが、それらの値はL−DMO含有量の増大と共に徐々に低下する。このことも上記の考察を裏付けている。
得られた3元共重合体ならびに各ホモポリマーの熱的特性を図11に示す。
従来から報告されているように、poly(CL)はT、Tがそれぞれ約−60および60°Cの柔軟性ではあるが、低融点の結晶性ポリマー、poly(L−LA)はT、Tがそれぞれ約60および180°Cの高融点であるが硬くてもろい結晶性ポリマーであり、また、poly(L−DMO)は非晶性ガラス様のポリマーである。
3元共重合体の場合、TおよびTがそれぞれ一つしか観察されておらず、それらの値も組成と共に変化していることから、ランダム性が強いことが示唆され、また、機械的特性における引張強度と伸び(柔軟性)とのバランスからいえば、T値は35°C前後が適切であると考えられる。
図5には、L−DMO/CL/L−LA(8:13:79)3元共重合体のH NMRスペクトルを示す。この図からも3元共重合体がランダム性であることが確認できる。すなわち、CLユニット中のα−およびε−メチレンのプロトンピーク(f,i)は隣接するコモノマーユニットに敏感であり、これらのピークがそれぞれ二つに***している(f,iの高磁場側のピークがCL−CLのホモシーケンスに、低高磁場側のピークがL−LA−CLおよびL−DMO−CLのヘテロシーケンスに基づくピークに相当する。)ことから、この3元共重合体がランダムコポリマーであることが判明した。
なお、L−DMOのT(約170°C)より低い120°Cでの共重合において、このユニットが的確にコポリマー中に導入されるのは、反応性の高いL−LA(Tは約95°C)の重合がまず起こり、この活性な成長末端によりL−DMO(およびまたはCL)が開環し、コポリマー中にランダムに取り込まれるからである。
図12には3元共重合体の機械的特性(引張特性)と熱的特性を示す。
図中の3元共重合体はこれらの物性を測定するために、新たにラージスケールで合成したものである。(主としてポリマーの柔軟性を改善するためにCL量を変化させ合成した。)分子量(M)的にはすべて10万以上(10.2〜15.8万)のものが得られたので物性におよぼす分子量の影響はあまり考慮する必要はない。
まず、引張特性は、CL含有量の増大すなわちL−LA量の減少に伴いその強度は低下する反面、伸びはCL量20mol%以上において急激に上昇し、コポリマーの柔軟性が改善されていることがわかる。
これら3元共重合体の引張強度は汎用プラスチックであるポリエチレン(PE)より大きく、ポリプロピレン(PP)以上の値を示している。さらに、生分解性プラスチックであるビオノーレ〔ポリブチレンサクシネート(PBSU),昭和高分子株式会社製〕やバイオポール〔P(3HB−co−3HV),日本モンサント株式会社製〕よりも引張強度は大きい。
破断伸度はCL含有量20mol%以上のサンプルではバイオポールよりもはるかに大きく、PE、PPおよびビオノーレと同等以上であった。
一方、3元共重合体の熱的特性は、図11の場合と同様、T、ΔHの両方ともCL量の増加に伴い低下したが、いずれもT100°C以上の結晶性ポリマーであることがわかる。
これら機械的特性と熱的特性から判断して、CL含有量20mol%以上のL−DMO/CL/L−LA(4:20:76)3元共重合体(T=34.3°C)が物性のバランスがとれている。
つぎに、酵素分解性を調べる前に、緩衝液のみを含む分解液による加水分解試験を行った(図6)。なお、L−DMOホモポリマーは水溶性を示すので分解試験には用いなかった。図からわるように、加水分解性はCLユニット量の増加に伴い低下し、逆にL−DMOユニット量の増加と共に上昇している。従って、L−DMO<L−LA<CLユニットの順に疎水性が大きくなる。しかし、最大を示す3元共重合体でも200時間後の重量減少は10%程度である。
図7には3元共重合体と各ホモポリマーのプロテイナーゼKによる酸素分解性を示す。
ホモポリマーの場合、poly(L−LA)はある程度分解されるのに対し、熱的特性の面から考えるとより分解されやすいpoly(CL)は200時間以内でほとんど重量減少を示さなかった。これは、本酵素がエステル結合間のアルキル鎖長が短くかつ側鎖を有するポリマー{ここではラクトイル基〔−O−CH(CH)−CO−〕を有するpoly(L−LA)}に対しては基質特異性が高いが、エステル結合間のエチレン鎖が直鎖で比較的長いpoly(CL)には特異性がなからと思われる。一方、3元共重合体の場合、L−DMOユニット含有量の増加と共に分解性がpoly(L−LA)に比べて大きく増加する。これは本酵素が、同様にラクトイル基を有するL−DMOユニットにも基質特異性を示すことが大きな要因であろう。
他の原因としては、poly(L−LA)に比べ3元共重合体の分子量(M)や熱的特性(T、ΔH)が低下していることも考えられる(図11)。
いずれにせよ、L−DMO/CL/L−LA3元共重合体は、poly(L−LA)の熱的および機械的特性を比較的維持しながらプロテイナーゼKによる酵素分解性が向上した。
つづいて、酵素による分解メカニズムを推定するためにL−DMO/CL/L−LA(8:8:84)3元共重合体のプロテイナーゼKによる分解前後のポリマー諸物性変化について調べた(図13)。
図13からわかるように、分解の進行に伴い、残存ポリマー中のL−DMOユニット含量が大きく低下する結果となった。本酵素は、上述のようにL−LAおよびL−DMOの両ユニットに対して基質特異性を有しているが、L−LAユニットを含むポリマードメインは結晶性であることからL−DMOユニットが多く含まれる非晶性親水部の分解性が大きくなり、その組成比が減少したものと考えられる。
また、ほとんど分解されないCLユニット量も減少していることから、L−DMOユニットの隣にはCLユニットが存在し、両者間のエステル結合が酵素により切断されたことが示唆される。ポリマーの分子量(M)は分解の進行とともに低下し、その分布(M/M)は広がる傾向を示した。したがって、本酵素による分解はポリマーフィルム内部からもランダムに進行していることがわる。
さらに、ポリマーの熱的特性(T、ΔH)は分解の進行に伴い上昇していることから、上記のようにL−DMOユニットを多く含む非晶性親水部の分解が優先して起こることがわかる。
得られた共重合体は、NMR(核磁気共鳴測定装置)や熱的特性の測定結果からランダム共重合体であることがわかった。
これにより、デプシペプチドを加えることにより、機械的強度と柔軟性を失うことなく飛躍的に分解速度が上昇したことがわかる。
また、図7にこのデプシペプチドユニットを有する共重合体の酵素分解特性を示す。
なお、上記説明ではラクチドをL−ラクチドで説明を行ったが、L−ラクチドとその鏡像異性体であるD−ラクチドとを組み合わせて重合し、ステレオコンプレックスを形成することにより、融点等の熱的特性を向上させたものとすることができる。
また、ガラス転移温度を変えることにより自由形成能を付与することができる。
そこで、上記のような3元共重合体でなく、デプシペプチドとL−ラクチドとを共重合してデプシペプチドが開環重合した2元共重合体でもよく、さらには、デブシペプチドと上記したL−ラクチドとその鏡像異性体であるD−ラクチドとを組み合わせて共重合してステレオコンプレックスを形成したラクチドとを共重合してデプシペプチドが開環重合した共重合体のステレオコンプレックスとしてもよい。
第2実施の形態例
ポリε−カプロラクトンの原料であるε−カプロラクトンと共重合してデプシペプチドが開環重合した共重合体を得た場合のペプチドユニットを有する共重合体の構造を図2に示す。Uはデプシペプチドユニットを示している。
これによっても上記第1実施の形態例と同様に機械的強度が付与され、分解速度が上昇した。
ここで、ペプチドユニットを有する共重合体中のデプシペプチドユニットの影響を知るために、デプシペプチド中の側鎖R基をメチル基、イソプロピル基、イソブチル基と変化させ、その影響を検討した。
図8にデプシペプチドを有する共重合体の分解特性を示す。
これによると、分解特性は、メチル基>>イソプロピル基>イソブチル基の順となり、側鎖のかさ高さの増大に伴い分解性は減少したことがわかる。
第3実施の形態例
デプシペプチドとして3−イソプロピル−6−メチル−2.5−モルホリンジオン(PMO)を用い、ポリε−カプロラクトンと共重合してデプシペプチドが開環重合した共重合体とした。
そこで、デプシペプチド量を変化させた場合の熱的特性と分解速度の変化を検討した。
熱的特性の関係を図14に、分解速度の関係を図9に示す。
これによると、デプシペプチド量の増加に伴いガラス転移温度(T)は上昇し、ε−カプロラクトン量が20mol%以下では融点(T)および融解熱(ΔH)が観察され、結晶性を有することがわかった。
また、分解速度はデプシペプチド量の増大とともに上昇した。
なお、上記各実施の形態例の説明においては、生体吸収性ポリマーとしてポリε−カプロラクトンとポリ乳酸を例にして説明を行ったが、これらに限るものではなく、どのような生体吸収性ポリマーでもよく、例えばポリジオキサノン、トリメチレンカーボネートおよびそれらの2つ以上の共重合体等がある。
以上詳細に説明した本発明によると、生体吸収性ポリマーに環状デプシペプチドを共重合させてデプシペプチドユニットを有する共重合体とすることにより力学的特性および分解特性を調整した医療用生分解性生体吸収材料とすることができる効果を有する。
さらに、ペプチドユニットをアルキル基で修飾することによっても力学的特性および分解特性を調整することができる効果を有する。

Claims (17)

  1. 生体吸収性ポリマーと環状デプシペプチドを共重合させてデプシペプチドが開環共重合した共重合体であることを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  2. 請求項1において、デプシペプチドの添加量を2〜60%としたことを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  3. 請求項1において、生体吸収性ポリマーをカプロラクトンとしたことを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  4. 請求項1および請求項3において、デプシペプチドが環状デプシペプチドであり、カプロラクトンがε−カプロラクトンであることを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  5. 請求項1において、生体吸収性ポリマーをラクチドとしたことを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  6. 請求項1および請求項5において、デプシペプチドが環状デプシペプチドであり、ラクチドがL−ラクチドであることを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  7. 請求項1および請求項5において、デプシペプチドが環状デプシペプチドであり、ラクチドがL−ラクチドとD−ラクチドとのステレオコンプレックスであることを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  8. 請求項1において、生体吸収性ポリマーをカプロラクトンとラクチドを共重合させたことを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  9. 請求項1において、デプシペプチドと生体吸収性ポリマーの割合を変えて生分解速度を調整したことを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  10. 請求項1において、環状デプシペプチドの側鎖R基をアルキル基としたことを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  11. 請求項1において、環状デプシペプチドの側鎖R’基をアルキル基としたことを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  12. 請求項1において、環状デプシペプチドの側鎖R基をメチル基としたことを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  13. 請求項1において、環状デプシペプチドの側鎖R基をイソプロピル基としたことを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  14. 請求項1において、環状デプシペプチドの側鎖R基をイソブチル基としたことを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  15. 請求項1において、環状デプシペプチドの側鎖R’基をメチル基としたことを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  16. 請求項1において、環状デプシペプチドの側鎖R’基をエチル基としたことを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料。
  17. 生体吸収性ポリマーと環状デプシペプチドとを共重合させる際に、デプシペプチドを開環反応させることを特徴とする医療用生分解性生体吸収材料の製造方法。
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