JPWO2003066192A1 - 微生物捕捉剤 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、微生物捕捉剤に関する。更に詳細には、本発明は、少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、アミド系化合物、非水溶性アゾ化合物、特定の構造を有する第4級アンモニウム塩、及び特定の構造を有する第4級アンモニウム塩含有重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする微生物捕捉剤に関する。本発明の微生物捕捉剤は、優れた微生物捕捉能を有するのみならず、そのような優れた微生物捕捉能を長時間維持できるので、水処理における水中の微生物の捕捉並びに気相中の微生物の捕捉に有効に用いることができる。さらに、本発明の微生物捕捉剤は、有機溶媒及び/又は含水有機溶媒に可溶なため、該微生物捕捉剤の溶液を用いて、該捕捉剤が担持されてなる担体を含む微生物捕捉用複合体を容易に製造することができる。本発明の微生物捕捉剤を用いた微生物捕捉用複合体は、バイオリアクターおよびバイオセンサーにおける微生物及び/又は菌体の保持担体等として有利に用いることができる。
従来技術
従来、水処理用の微生物除去材やバイオリアクターの微生物捕及び/又は菌体の保持担体に使用する微生物捕捉能を有する物質(以下、「微生物捕捉剤」と称す)に関して様々な提案なされている。微生物捕捉剤は、主に水中での使用を目的としているので、微生物捕捉剤の溶出による微生物除去効果の経時的な減弱を防ぐために、非水溶性でなければならないと考えられていた。例えば、日本国特公昭62−41641号公報は、架橋ポリビニルピリジニウムハライドからなる不溶性の微生物捕捉剤を開示している。しかし、この公報に記載の微生物捕捉剤の場合、架橋により十分なポリマー強度を得るためには、ジビニル化合物の割合を高めねばならない。そのためにビニルピリジニウム単位の含有率が低下し、その結果として微生物吸着能が低下するという問題があった。更に、この微生物捕捉剤は、水だけでなく、通常の有機溶媒にも不溶であるため、溶液として担体に塗布するというようなことはできず、固体としてビーズのような形態でしか取り扱うことができなかった。同様に日本国特開平3−8442号公報においては、4級化ピリジニウム重合体を架橋することによって不溶化したものを微生物捕捉剤として用いている。この公報の微生物捕捉剤は、不溶化のための架橋によって微生物吸着量が低下するという問題があった。
このように、微生物捕捉剤として、優れた微生物捕捉能を長時間にわたって発揮し、且つ有機溶媒または含水有機溶媒に溶解して担体に担持させることが可能な微生物捕捉剤は見出されていなかった。
発明の概要
本発明者は、上記のような優れた微生物捕捉剤を開発すべく鋭意検討を行った。その結果、意外にも、少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、アミド系化合物、非水溶性アゾ化合物、特定の構造を有する第4級アンモニウム塩、及び特定の構造を有する第4級アンモニウム塩含有重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする微生物捕捉剤が、優れた微生物捕捉能を有するのみならず、そのような優れた微生物捕捉能を長時間維持できるので、水処理における水中の微生物の捕捉並びに気相中の微生物の捕捉に有効に用いることができることを見出した。また、上記の微生物捕捉剤は、有機溶媒及び/又は含水有機溶媒に可溶なため、該微生物捕捉剤の溶液を用いて、該捕捉剤が担持されてなる担体を含む微生物捕捉用複合体を容易に製造することができ、得られた微生物捕捉用複合体は、バイオリアクターおよびバイオセンサーにおける微生物及び/菌体の保持担体等として有利に用いることができることを見出した。これらの知見に基づき本発明を完成した。
従って本発明の目的の1つは、優れた微生物捕捉能を有するのみならず、そのような優れた微生物捕捉能を長時間維持できる、有機溶媒または含水有機溶媒に可溶な微生物捕捉改良剤を提供することにある。
本発明の他の1つの目的は、該微生物捕捉剤を担持してなる微生物捕捉用複合体を提供することにある。
本発明の更に他の1つの目的は、該微生物捕捉剤を、微生物を含有する液体又は気体と接触させて、微生物を捕捉する方法を提供することにある。
本発明の更に他の1つの目的は、該微生物捕捉用複合体を、微生物を含有する液体又は気体と接触させて、微生物を捕捉する方法を提供することにある。
本発明の上記及び他の諸目的、諸特徴並びに諸利益は、以下の詳細な説明及び請求の範囲から明らかになる。
発明の詳細な説明
本発明の1つの態様によれば、
少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物、
アミド系化合物、
非水溶性アゾ化合物、
下記式(1)で表される第4級アンモニウム塩、及び
下記式(2)〜(5)で表される重合体鎖をそれぞれ有する、第4級アンモニウム塩含有重合体
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする微生物捕捉剤が提供される。
(式中、
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、C6−C50アリール基、4−ピリジル基、2−ジメチルアミノエチル基、2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチル基、ベンジル基、飽和若しくは不飽和C1−C50脂肪酸残基、及び飽和又は不飽和脂肪酸エステル残基からなる群より選ばれる基を表し;
X−は、ハロゲン化物イオン、アルキルスルホン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンからなる群より選ばれるイオンを表す。)、
(式中、
R4は、該重合体鎖の側鎖のCH2−基と結合してアンモニウムイオンを形成する窒素含有化合物であって、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,4,6−コリジン、2,3,5−コリジン、トリ(飽和又は不飽和C3−C18脂肪族ヒドロカルビル)アミン、及びキノリンからなる群より選ばれる窒素含有化合物を表し、
X−は、ハロゲン化物イオンを表し、
k及びlは、下記の条件を満足する整数である。
10≦k≦100,000、及び
10≦l≦100,000。)、
(式中、
R5は、該重合体鎖の側鎖のCH2−基と結合してアンモニウムイオンを形成する窒素含有化合物であって、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,4,6−コリジン、2,3,5−コリジン、トリ(飽和又は不飽和C3−C18脂肪族ヒドロカルビル)アミン、及びキノリンからなる群より選ばれる窒素含有化合物を表し、
R6は、水素原子又はC1−C3アルキル基を表し、
X−は、ハロゲン化物イオンを表し、
Yは、水素原子、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビロキシ基、(飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビロキシ)カルボニル基、飽和又は不飽和C1−C50脂肪酸残基、C6−C50アリール基、ベンジル基、及びカルボキシル基を表し、
m及びnは、下記の条件を満足する整数である。
10≦m≦100,000、及び
10≦n≦100,000。)、
(式中、R2及びR3は、式(1)で定義した通りである。)、及び
(式中、R3は、式(1)で定義した通りである。)。
次に本発明の理解を容易にするために、まず本発明の基本的特徴および好ましい諸態様を列挙する。
1.少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物、
アミド系化合物、
非水溶性アゾ化合物、
下記式(1)で表される第4級アンモニウム塩、及び
下記式(2)〜(5)で表される重合体鎖をそれぞれ有する、第4級アンモニウム塩含有重合体
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする微生物捕捉剤。
(式中、
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、C6−C50アリール基、4−ピリジル基、2−ジメチルアミノエチル基、2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチル基、ベンジル基、飽和若しくは不飽和C1−C50脂肪酸残基、及び飽和又は不飽和脂肪酸エステル残基からなる群より選ばれる基を表し;
X−は、ハロゲン化物イオン、アルキルスルホン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンからなる群より選ばれるイオンを表す。)、
(式中、
R4は、該重合体鎖の側鎖のCH2−基と結合してアンモニウムイオンを形成する窒素含有化合物であって、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,4,6−コリジン、2,3,5−コリジン、トリ(飽和又は不飽和C3−C18脂肪族ヒドロカルビル)アミン、及びキノリンからなる群より選ばれる窒素含有化合物を表し、
X−は、ハロゲン化物イオンを表し、
k及びlは、下記の条件を満足する整数である。
10≦k≦100,000、及び
10≦l≦100,000。)、
(式中、
R5は、該重合体鎖の側鎖のCH2−基と結合してアンモニウムイオンを形成する窒素含有化合物であって、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,4,6−コリジン、2,3,5−コリジン、トリ(飽和又は不飽和C3−C18脂肪族ヒドロカルビル)アミン、及びキノリンからなる群より選ばれる窒素含有化合物を表し、
R6は、水素原子又はC1−C3アルキル基を表し、
X−は、ハロゲン化物イオンを表し、
Yは、水素原子、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビロキシ基、(飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビロキシ)カルボニル基、飽和又は不飽和C1−C50脂肪酸残基、C6−C50アリール基、ベンジル基、及びカルボキシル基を表し、
m及びnは、下記の条件を満足する整数である。
10≦m≦100,000、及び
10≦n≦100,000。)、
(式中、R2及びR3は、式(1)で定義した通りである。)、及び
(式中、R3は、式(1)で定義した通りである。)。
2.該式(1)の第4級アンモニウム塩が、下記式(6)で表される第4級アンモニウムクロライド、下記式(7)で表される第4級アンモニウムサルフェート、及び下記式(8)で表される第4級アンモニウムナイトレートであり、
該式(4)のポリマーが下記式(9)で表されるポリカチオンであり、
該式(5)のポリマーが下記式(10)で表されるポリカチオンである、
ことを特徴とする前項1に記載の微生物捕捉剤。
(式中、
Rは、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、C6−C50アリール基、ベンジル基、飽和又は不飽和C1−C50脂肪酸残基、又は飽和又は不飽和脂肪酸エステル残基を表し
r及びsは、以下の関係を満足する整数である。
10≦r≦100,000、及び
10≦s≦100,000。)
3.該式(2)の重合体を構成するモノマーの(k:l)モル比が5:95〜95:5の範囲であることを特徴とする前項1に記載の微生物捕捉剤。
4.該式(3)の重合体を構成するモノマーの(m:n)モル比が5:95〜95:5の範囲であることを特徴とする前項1に記載の微生物捕捉剤。
5.式(2)のポリマーの重量平均分子量が、1,000〜1,000,000であることを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載の微生物捕捉剤。
6.式(3)のポリマーの重量平均分子量が、1,000〜1,000,000であることを特徴とする前項1、2及び4のいずれかに記載の微生物捕捉剤。
7.少なくとも2個のカルボキシル基を有する該化合物が、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、1,3プロパンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である前項1に記載の微生物捕捉剤。
8.該ベンゾトリアゾール化合物が、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール及び(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする前項1に記載の微生物捕捉剤。
9.該アミド化合物が、式(11)で表されるN,N−ジ(ポリオキシエチレン)置換アミド化合物であることを特徴とする前項1に記載の微生物捕捉剤。
(式中、
R7は、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、C6−C50アリール基、ベンジル基、飽和又は不飽和C1−C50脂肪酸残基、又は飽和又は不飽和脂肪酸エステル残基を表し、
p及びqは、以下の関係を満足する整数である。
10≦p≦10,000、及び
10≦q≦10,000。)
10.前項1〜9のいずれかに記載の微生物捕捉剤を担持してなる担体を含む微生物捕捉用複合体であって、該微生物捕捉剤の重量が該担体の重量に対して0.001〜20重量%であることを特徴とする微生物捕捉用複合体。
11.該担体が、繊維、織物、不織布、膜、中空糸および粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前項10に記載の微生物捕捉用複合体。
12.該担体が、ポリエステル、ポリアクリル酸又はその誘導体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、多糖、ポリオキシアルキレン、及びポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物から製造されたものであることを特徴とする前項10に記載の微生物捕捉用複合体。
13.該担体が、微生物吸着能を有する担体であることを特徴とする前項10に記載の微生物捕捉用複合体。
14.下記の工程(1)及び(2)を含むことを特徴とする、微生物の捕捉方法。
(1)前項1〜9のいずれかに記載の微生物捕捉剤を提供する。
(2)該微生物捕捉剤を、微生物を含有する液体又は気体と接触させて、該微生物を捕捉する。
15.下記の工程(1)及び(2)を含むことを特徴とする、微生物の捕捉方法。
(1)前項10〜13のいずれかに記載の微生物捕捉用複合体を提供する。
(2)該微生物捕捉用複合体を、微生物を含有する液体又は気体と接触させて、該微生物を捕捉する。
16.式(12)で表される第4級アンモニウム塩。
17.式(2)で表される第4級アンモニウム塩含有重合体。
(式中、
R4は、該重合体鎖の側鎖のCH2−基と結合してアンモニウムイオンを形成する窒素含有化合物であって、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,4,6−コリジン、2,3,5−コリジン、トリ(飽和又は不飽和C3−C18脂肪族ヒドロカルビル)アミン、及びキノリンからなる群より選ばれる窒素含有化合物を表し、
X−は、ハロゲン化物イオンを表し、
k及びlは、下記の条件を満足する整数である。
10≦k≦100,000、及び
10≦l≦100,000。)。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明において、「ヒドロカルビル(hydrocarbyl)基」とは、炭化水素に由来する1価の基を表し、この用語はIUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry(国際純正応用化学連合))の命名法に従ったものである。
本発明の微生物捕捉剤は、少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、アミド系化合物、非水溶性アゾ化合物、後述する特定の構造を有する第4級アンモニウム塩、及び後述する特定の構造を有する第4級アンモニウム塩含有重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。
本発明の微生物捕捉剤を用いると、微生物の活性状態を維持したままで捕捉することができる。ここで活性状態の微生物とは、例えば汚水浄化能力を有した状態の微生物(即ち、活性汚泥菌)のことをいう。
少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物(以後、屡々、単に「カルボキシル基含有化合物」と称す)としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、1,3プロパンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸が挙げられ、好ましくはクエン酸やエチレンジアミンである。
例えば、クエン酸の場合、クエン酸の微生物捕捉の機構は必ずしも明らかではないが、排水や汚水中に存在する金属イオンに対してカルボキシル基が配位結合して金属イオンを捕捉し、さらにこの陽荷電を有する金属イオンを介し、微生物の細胞表面の負電荷と相互作用するものと推定される。したがって、金属イオンに対し、カルボキシル基が配位結合し得る構造を有する化合物が優れた微生物捕捉効果を発揮すると考えられる。
上記したように、従来技術においては、微生物捕捉剤は非水溶性であることが必要であると考えられていた。本発明者は、本発明で用いる上記のカルボキシル基含有化合物は、水溶性であるにもかかわらず、上記のような化合物を担体に担持してなる微生物捕捉用複合体は、優れた微生物捕捉能を発揮するのみならず、そのような優れた微生物捕捉能を長時間にわたって維持することが可能であることを見出した。その理由は明らかではないが、以下のようなことと考えられる。例えば、上記のような微生物捕捉用複合体を用いて排水や汚水中の微生物を捕捉する場合、該複合体表面上に有機分子が吸着し、これによって該複合体表面が変性される。この変性された複合体表面に微生物が吸着され、担体上に吸着された微生物に更に微生物が吸着する。本発明の微生物捕捉剤を用いた場合には、微生物捕捉処理中に微生物捕捉剤が担体から脱離しても、処理開始後数日〜約一週間の微生物の吸着量(初期吸着量)が多いため、長時間にわたり優れた微生物捕捉能を維持することができる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、従来、紫外線吸収剤として使用されているものが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の具体例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール,2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール,2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール,2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール,2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールおよび(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾールが挙げられ、好ましくは2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物は、骨格分子であるベンゾトリアゾールによる陽荷電部分と微生物の細胞表面の負電荷とが相互作用しているものと推定される。
アミド系化合物の例としては、従来、帯電防止剤として使用されているものが挙げられる。アミド系化合物の好ましい具体例としては、式(11)で示されるN,N−ジ(ポリオキシエチレン)置換アミドアミド化合物が挙げられる。
(式中、
R7は、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、C6−C50アリール基、ベンジル基、飽和又は不飽和C1−C50脂肪酸残基、又は飽和又は不飽和脂肪酸エステル残基を表し、
p及びqは、以下の関係を満足する整数である。
10≦p≦10,000、及び
10≦q≦10,000。)
式(11)で表されるN,N−ジ(ポリオキシエチレン)置換アミド化合物は、構成成分中にR7基における疎水性の炭化水素部分と親水性のポリオキシエチレン部分を有することから界面活性効果を発揮する。従って、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)置換アミド化合物を担体表面に被覆した場合、疎水性担体表面における水との親和性を向上させることで微生物の初期吸着を促進し、微生物を捕捉するものと考えられる。
非水溶性アゾ化合物の例としては、従来、アゾ顔料として使用されているものが挙げられる。アゾ顔料に関しては、ジアゾ成分やカップリング成分の組み合わせにより黄、橙、赤、紫など幅広い色相の含量がある。アゾ顔料の具体例としては、ファストエロー、ジスアゾエロー、ジスアゾオレンジ、ナフトールレッドなどが挙げられる。
例えば、非水溶性アゾ化合物の一つであるジスアゾオレンジはその分子中にジアゾ基およびイミダゾールを有することから担体表面にジスアゾオレンジを被覆した場合、捕捉材表面は水中では正荷電を呈する。その結果水中で負に帯電している微生物との間に静電相互作用が働き微生物を捕捉すると考えられる。
本発明で用いることができる第4級アンモニウム塩は、下記式(1)で表される化合物である。
(式中、
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、C6−C50アリール基、4−ピリジル基、2−ジメチルアミノエチル基、2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチル基、ベンジル基、飽和若しくは不飽和C1−C50脂肪酸残基、及び飽和又は不飽和脂肪酸エステル残基からなる群より選ばれる基を表し;
X−は、ハロゲン化物イオン、アルキルスルホン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンからなる群より選ばれるイオンを表す。)。
式(1)のアンモニウム塩のR1、R2及びR3はそれぞれ独立して飽和又は不飽和C1−C20脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する飽和又は不飽和C1−C20脂肪族ヒドロカルビル基、C6−C12アリール基、4−ピリジル基、2−ジメチルアミノエチル基、2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチル基、ベンジル基、飽和又は不飽和C1−C20脂肪酸残基、若しくは飽和又は不飽和脂肪酸エステル残基であることが好ましく、飽和又は不飽和C1−C10脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する飽和又は不飽和C1−C10脂肪族ヒドロカルビル基、C6−C12アリール基、4−ピリジル基、2−ジメチルアミノエチル基、2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチル基、ベンジル基、飽和又は不飽和C1−C10脂肪酸残基、若しくは飽和又は不飽和脂肪酸エステル残基であることがより好ましい。
式(1)のアンモニウム塩のX−は塩化物イオンであることが好ましい。
また、本発明で用いることができる第4級アンモニウム塩含有重合体は、下記式(2)〜(5)で表される重合体鎖をそれぞれ有する重合体である。
(式中、
R4は、該重合体鎖の側鎖のCH2−基と結合してアンモニウムイオンを形成する窒素含有化合物であって、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,4,6−コリジン、2,3,5−コリジン、トリ(飽和又は不飽和C3−C18脂肪族ヒドロカルビル)アミン、及びキノリンからなる群より選ばれる窒素含有化合物を表し、
X−は、ハロゲン化物イオンを表し、
k及びlは、下記の条件を満足する整数である。
10≦k≦100,000、及び
10≦l≦100,000。)、
(式中、
R5は、該重合体鎖の側鎖のCH2−基と結合してアンモニウムイオンを形成する窒素含有化合物であって、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,4,6−コリジン、2,3,5−コリジン、トリ(飽和又は不飽和C3−C18脂肪族ヒドロカルビル)アミン、及びキノリンからなる群より選ばれる窒素含有化合物を表し、
R6は、水素原子又はC1−C3アルキル基を表し、
X−は、ハロゲン化物イオンを表し、
Yは、水素原子、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビロキシ基、(飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビロキシ)カルボニル基、飽和又は不飽和C1−C50脂肪酸残基、C6−C50アリール基、ベンジル基、及びカルボキシル基を表し、
m及びnは、下記の条件を満足する整数である。
10≦m≦100,000、及び
10≦n≦100,000。)、
(式中、R2及びR3は、式(1)で定義した通りである。)、及び
(式中、R3は、式(1)で定義した通りである。)。
式(2)中のR4は、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、又はトリ(飽和または不飽和C3−C12脂肪族ヒドロカルビル)アミンであることが好ましい。
式(2)中のX−は、塩化物イオンであることが好ましい。
式(3)中のR5は、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、又はトリ(飽和または不飽和C3−C12脂肪族ヒドロカルビル)アミンであることが好ましい。
式(3)中のR6は、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
式(3)中のX−は、塩化物イオンであることが好ましい。
式(3)中のYは、飽和又は不飽和C1−C20脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する飽和又は不飽和C1−C20脂肪族ヒドロカルビル基、飽和又は不飽和C1−C20脂肪族ヒドロカルビロキシ基、(飽和又は不飽和C1−C20脂肪族ヒドロカルビロキシ)カルボニル基、飽和又は不飽和C1−C20脂肪酸残基、C6−C12アリール基、ベンジル基、若しくはカルボキシル基であることが好ましい。
式(4)及び(5)におけるR2及びR3の好ましい例としては、式(1)に関連して上記したものと同様である。
該式(1)の第4級アンモニウム塩の好ましい例としては、下記式(6)で表される第4級アンモニウムクロライド、下記式(7)で表される第4級アンモニウムサルフェート、及び下記式(8)で表される第4級アンモニウムナイトレートが挙げられ、
該式(4)の重合体の好ましい例としては、下記式(9)で表されるポリカチオンが挙げられ、
該式(5)の重合体の好ましい例としては、下記式(10)で表されるポリカチオンが挙げられる。
(式中、
Rは、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、C6−C50アリール基、ベンジル基、飽和又は不飽和C1−C50脂肪酸残基、又は飽和又は不飽和脂肪酸エステル残基を表し
r及びsは、以下の関係を満足する整数である。
10≦r≦100,000、及び
10≦s≦100,000。)。
式(6)〜(8)で表される第4級アンモニウム塩において、好ましいRは飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、C6−C50アリール基、及びベンジル基であり、更に好ましい例はC1−C10脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する、飽和又は不飽和C1−C10脂肪族ヒドロカルビル基、C6−C12アリール基、及びベンジル基である。
式(9)で表される第4級アンモニウム塩含有重合体としては公知のものを用いることができ、その具体例としては、{2−(メタクリロイルオキシ)エチル}トリメチルアンモニウムクロリド(日本国、三菱レイヨン(株)製)が挙げられる。
式(10)で示される第4級アンモニウム塩含有重合体としては公知のものを用いることができ、その具体例としては、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム(商品名:PD−50;日本国、旭電化工業(株)製)が挙げられる。
一般に、第4級アンモニウム塩は、官能基が正に帯電している。一般に微生物の細胞表面は負に帯電していることから考えて、本発明で用いる第4級アンモニウム塩及び第4級アンモニウム塩含有重合体は、目的とする微生物表面と静電気的な相互作用をしているものと推定される。本発明で用いる第4級アンモニウム塩及び第4級アンモニウム塩含有重合体は、アミノ基の4級化により次式で表せられる構造を有しているものが多い。
R3N+X−
この4級化アミノ基の具体的な構造の例として以下の3個の構造が考えられる。
この4級化アミノ基が主体となって微生物の活性状態を維持したままで捕捉する働きをしているものと考えられる。しかし、同様の4級化アミノ基を含む化合物であっても、本発明の要件を満たさないもの、例えば、陽イオン型界面活性剤である塩化ベンゼトニウム(Benzethonium Chloride)や、塩化ベンザルコニウム(Benzalkonium Chloride)は、通常、外皮用殺菌消毒剤として用いられることからも、4級化アミノ基は場合によっては殺菌作用を呈することが予想される。このような殺菌作用を有する化合物は、本発明の微生物捕捉剤用途として不適当である。さらに、日本国特許3118604号明細書に微生物吸着樹脂として記載されているポリビニルピリジニウムハライド誘導体(日本国特許3118604号明細書)にも、殺菌作用があることが報告されている(Joerg C.Tiller,Chun−Jen Liao,Kim Lewis,and Alexander M.Klibanov,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,98,5981−5985,2001)。一方、本発明で用いる第4級アンモニウム塩及び第4級アンモニウム塩含有重合体は、実施例に示すように微生物に対し殺菌作用が弱く、且つ優れた捕捉作用を有する。
式(2)及び式(3)で表される重合体鎖を有する第4級アンモニウム塩含有重合体は、重合開始剤存在下、4−ビニルベンジルクロリドと、塩化ビニリデン、置換ビニル化合物等、例えば、スチレン等とを加熱下で共重合させ、その後、これにピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、3級有機アミン等の塩基を作用させることにより製造することができる。
式(2)で表される重合体鎖を有する第4級アンモニウム塩含有重合体は、例えばモノマーとして4−ビニルベンジルクロライド(4−Vinylbenzyl chloride)および塩化ビニリデン(Vinylidene chloride)を、重合開始剤としてAIBN(2,2’−Azobisisobutyronitrile)アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤を用いて共重合した後、4−ビニルベンジルクロライドに対して約等モル量の上記の窒素含有化合物(例えば、ピリジン)をエタノールなどの極性溶媒中で反応させることで得られる。4−ビニルベンジルクロライドと塩化ビニリデンとの共重合の際の反応条件としては、反応圧力が大気圧〜20気圧であることが好ましく、大気圧〜10気圧であることが更に好ましく、反応温度が−80〜300℃であることが好ましく、−20〜80℃であることが更に好ましい。上記の窒素含有化合物を反応させる際の反応条件としては、反応圧力が大気圧〜5気圧であることが好ましく、大気圧〜2気圧であることが更に好ましく、反応温度が0〜200℃であることが好ましく、20〜100℃であることが更に好ましい。
式(3)で表される重合体鎖を有する第4級アンモニウム塩含有重合体は、例えばモノマーとして4−ビニルベンジルクロリドおよびスチレンを、重合開始剤としてAIBNなどのラジカル開始剤を用いて共重合した後、4−ビニルベンジルクロライドに対して約等モル量の上記の窒素含有化合物(例えば、ピリジン)をエタノールなどの極性溶媒中で反応させることで得られる。4−ビニルベンジルクロライドとスチレンとの共重合の際の反応条件としては、反応圧力が大気圧〜10気圧であることが好ましく、大気圧〜2気圧であることが更に好ましく、反応温度が0〜200℃であることが好ましく、50〜150℃であることが更に好ましい。上記の窒素含有化合物を反応させる際の反応条件としては、反応圧力が大気圧〜5気圧であることが好ましく、大気圧〜2気圧であることが更に好ましく、反応温度が0〜200℃であることが好ましく、20〜100℃であることが更に好ましい。
例えば、式(2)で表される重合体鎖を有する第4級アンモニウム塩含有重合体を構成するモノマー単位の数kは、10≦k≦100,000、好ましくは10≦k≦10,000、より好ましくは10≦k≦5,000、lは、10≦l≦100,000、好ましくは10≦l≦10,000、より好ましくは10≦l≦5,000である。4−ビニルベンジルクロリドと塩化ビニリデンとの比率、すなわち、k:lの割合は5:95〜95:5の範囲にあるのが好ましく、2:8〜9:1がより好ましい。この範囲よりも4−ビニルベンジルクロリドの割合が少ないと十分に良好な微生物捕捉性能が得られにくく、これより多いと得られる共重合体の水溶性が高くなりすぎる傾向がある。
例えば、式(3)で示される本発明の重合体鎖を有する第4級アンモニウム塩含有重合体を構成するモノマー単位の単位の数mは、10≦m≦100,000、好ましくは10≦m≦10,000、より好ましくは10≦m≦5,000、nは、10≦n≦100,000、好ましくは10≦n≦10,000、より好ましくは10≦n≦5,000である。4−ビニルベンジルクロリドとスチレンとの比率、すなわち、m:nの割合は5:95〜95:5の範囲にあるのが好ましく、2:8〜9:1がより好ましい。この範囲よりも4−ビニルベンジルクロリドの割合が少ないと十分に良好な微生物捕捉が得られにくく、これより多いと得られる共重合体が水溶性の高いものとなりやすい。
式(2)および(3)で表される第4級アンモニウム塩含有重合体の重合度は、好ましくは100以上9,000以下である。重合度が100未満になると、得られる重合体の水溶性が増す傾向にあり、9,000を超えると有機溶媒に対する溶解性が低下する。この第4級アンモニウム塩含有重合体の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準とするGPC分析によれば、1,000〜1,000,000が好ましく、有機溶媒に対する溶解性を考慮すると1,000〜500,000がより好ましい。分子量が500,000を越えても本発明の微生物捕捉効果は達成される。
式(2)および(3)で示される第4級アンモニウム塩含有重合体は、そのポリマー骨格自体が化学的安定性に優れるものの、これだけでは微生物捕捉効果は十分に発揮されない。ポリマー骨格に含まれるベンジルクロリドに対し、種々の含窒素化合物、例えば、ピリジン、2,4,6−コリジン、2,3,5−コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物を反応させて第4級アンモニウム塩を構築することにより、微生物捕捉効果が十分に発揮される。
本発明の他の1つの態様によれば、上記の微生物捕捉剤を担持してなる担体を含む微生物捕捉用複合体であって、該微生物捕捉剤の重量が該担体の重量に対して0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.01〜5重量%であることを特徴とする微生物捕捉用複合体が提供される。
上記式(2)および(3)で表される第4級アンモニウム塩含有重合体を、添加または被覆して調製した微生物捕捉用複合体表面は、水相中においては、陽荷電に帯電しているものと考えられる。上記したように、微生物の細胞表面は、一般的に負に帯電しており、微生物−微生物捕捉剤の間における静電気的な相互作用を利用し、微生物を複合体表面に捕捉することが可能となる(微生物細胞表面の状態については、編集委員:森崎久雄、大島広行および磯部賢治、“バイオフィルム”、日本国(株)サイエンスフォーラム発行(1998)参照)。同様に細胞も複合体表面に捕捉することが可能である。
本発明の微生物捕捉剤として用いることができる化合物は、その大半が水分含量20重量%以下の有機溶剤に可溶である。この性質を利用して、上記化合物を、エステル、エーテル、アルコール等の有機溶剤に溶解して溶液とすることができる。このため、本発明の微生物捕捉剤の溶液に各種の担体を含浸させたり、この溶液を担体に噴霧することなどによりコーティングを行うことにより本発明の微生物捕捉用複合体を製造することができる。
また、本発明の微生物捕捉剤が上記式(2)〜(5)で現される重合体を含む場合、微生物捕捉剤自体を微生物捕捉用担体製造のための素材あるいは基材として用いることが可能である。
上記の有機溶剤としてはTHF、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMA(ジメチルアセトアミド)などが好ましく、その中でも沸点の低いTHFが最も好ましい。
微生物捕捉用複合体の担体に用いる素材としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリオキシアルキレンポリオキシアルキレン系化合物、セルロース、キチン等の天然多糖等が用いられる。化合物の耐久性や化学的安定性、および水中に設置して使用する場合、その化合物からなる繊維の比重が大きい方が速く沈むという点からポリ塩化ビニリデンが好ましい。しかし、必ずしもこれらの素材にはとらわれる必要はなく、繊維、織物、編物、不織布、膜、中空糸、粒子等、微生物捕捉用複合体の形態を構成できるものであればよい。
本発明の微生物捕捉剤を微生物捕捉用担体に付与する方法としては、微生物捕捉用担体を微生物捕捉剤溶液に含浸させる方法、微生物捕捉剤溶液を担体に噴霧などによりコーティングする方法、微生物捕捉剤を担体原料に混ぜて溶融し、成形する方法等が挙げられる。
本発明の微生物捕捉剤が付与された微生物捕捉用複合体の形態としては、繊維、織物、編物、不織布、膜、中空糸、粒子、およびそれらをもとにして構築された吸着担体があり、織物や編物の形態として用いるのが好ましい。上記の繊維は通常、繊維を単に纏めた集合体として用い、例えば、網目バッグ状やネット状の容器に短繊維、長繊維を詰めたりした形態として用いる。
また、本発明の微生物捕捉用複合体に用いる担体は、微生物吸着能を有する担体であることが好ましい。そのような担体の例としてはポリ塩化ビニリデン、及びポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
本発明の更に他の1つの態様によれば、本発明の微生物捕捉剤を、微生物を含有する液体又は気体と接触させて、微生物を捕捉する方法が提供される。
上記の微生物を含む液体の例としては上水、下水、工業用水、廃水、し尿などを挙げることができ、微生物を含む気体の例としては無菌室、クリーンルーム、病室、手術室、微生物の育種栽培場、医薬工場、食品工場、精密機械工場などに使用する空気を挙げることができる。
本発明の方法において用いる上記の微生物捕捉剤に関しては、既に説明した通りである。具体的な微生物捕捉操作に関しては、公知の方法で行なうことができる。例えば、本発明の微生物捕捉剤が上記式(2)〜(5)で表される重合体の場合、繊維状の重合体を用いて、その繊維状の重合体を網やボール状にして水中に沈めて微生物を捕捉することができる。詳細な捕捉操作に関しては「水質浄化マニュアル−技術と実例−」(2001年、日本国、海文堂出版株式会社)などの公知文献を参照することができる。
更に、上記の本発明の微生物捕捉剤を担体に担持させて得られる上記の微生物捕捉用複合体を、微生物を含有する液体又は気体と接触させて、微生物を捕捉することもできる。この方法において用いる上記微生物捕捉用複合体に関しては、既に説明した通りである。具体的な微生物捕捉操作に関しては公知の方法で行うことができる。該微生物捕捉用複合体の担体が繊維、織物、編物、膜、中空糸等の形態の場合には、それらの繊維表面または膜表面に吸着させる方法、不織布の形態の場合には、不織布表面または不織布内部において、ろ過により吸着する方法等がある。この場合、不織布内部にまで微生物が入り込み、微生物を内部にまで吸着するので表面積を有効に使うことができる。粒子形態の場合には、粒子表面または粒子内部に吸着する方法があり、カラム等に粒子を充填して使用することができる。詳細な捕捉操作に関しては「環境微生物工学研究法」(1993年、日本国、技報堂出版株式会社)などの公知文献を参照することができる。
上述したように、本発明の微生物捕捉剤は、それ単独で、若しくは担体に担持させて微生物捕捉に用いることができる。さらに、担体として微生物吸着能を有するものを用いて、該担体の微生物吸着能を向上させるために用いることもできる。また、上記の本発明の微生物捕捉用複合体は、バイオリアクターやバイオセンサーでの使用を目的として、微生物、菌体の吸着担体等に利用することができる。またバイオリアクター用途として、細胞捕捉や細胞固定用に用いることもできる。
本発明の微生物捕捉剤を微生物捕捉用担体に付与することによって得られる微生物捕捉用複合体は、表面が、水相および気相中において正に帯電することが可能となる。したがって、微生物の細胞表面が一般的に負に帯電していることを利用し、微生物−材料表面の間における静電気的な相互作用を利用して、微生物を材料表面に捕捉することが可能となる。
微生物捕捉剤および微生物捕捉用複合体の捕捉対象である微生物には、細菌、真菌、藻類、ウイルス、活性汚泥菌、脱窒素菌等が含まれる。さらに細胞も捕捉対象として含まれる。
微生物については、例えば日本国、岩波書店「岩波 生物学事典 第4版」(2002年7月15日第4版7刷発行)に収載されている生物分類表などの記載を参考にする。
細菌の例として、通性嫌気性細菌群であるStaphylococcus aureus(黄色ブドウ状球菌)、無胞子球菌で通性嫌気性桿菌である腸内細菌科(Enterobacteriaceae)のEschericia Coli(大腸菌)、ビブリオ科(Vibrionaceae)のVibrio cholerae(コレラ菌)およびシュードモナス属(Pseudomonas)細菌の一種でグラム陰性好気性であるPseudomonas aeruginosa(緑膿菌)などが挙げられる。
真菌の例として、不完全菌に属するTrichophytonやMicrosporumなどが挙げられる。また一般にカビと呼ばれるものも真菌であり、クラドスポリウム属(Cladosporiumu)の黒カビ、アスペルギルス属(Aspergillus)、ペニシリウム属(Penicilium)の青カビなどが挙げられる。
藻類の例として、藍藻綱に属するMicrocystis(アオコ)やOscillatoria(ユレモ)などが挙げられる。
ウイルスの例として、細菌ウイルス(バクテリオファージ)、Coliphage T4(大腸菌ファージT4)、Coliphage T7(大腸菌ファージT7)やColiphage lambda(大腸菌ファージlambda)およびM13大腸菌ファージなどが挙げられる。活性汚泥菌の例として、Zoogloeaおよびramigeraなどが挙げられる。
脱窒素細菌の例として、Pseudomonas aeruginosa、P.stutzeriおよびParacoccus denitrificansが挙げられる。
下水に代表される有機性の汚濁物質が含まれる廃水の処理には活性汚泥法等が広く用いられるが、微生物によるこれらの方法は、有機性物質を効率よく、短時間に、経済的に処理できる方法として広く利用されている。本発明の微生物捕捉剤を用いると、水中の活性汚泥菌や脱窒菌等の微生物を速やかに効率よく吸着することができる。そのために、微生物による廃水の浄化をより高速に、より効率よく行うことができる。特に、活性汚泥菌や脱窒菌等の微生物の初期吸着量増加に著しい効果が期待される。また、本発明の微生物捕捉剤により製造した微生物捕捉用複合体は、時間が経過してもその微生物捕捉能は低下しにくい。
本発明の微生物捕捉剤により製造した微生物捕捉用複合体をバイオセンサーやバイオリアクターとして用いた場合、微生物や細胞を生きたままの活性の高い状態で、高い効率で捕捉し固定化することができる。このため、測定感度の向上、さらには、これら菌体に含まれる酵素を働かせて反応生成物を得たり、物質の選別を行ったりすることができ、優れた生体触媒機能を十分に活用することができる。
本発明の更に他の1つの目的は、上記式(2)で表される第4級アンモンニウム塩含有重合体を提供することである。この第4級アンモンニウム塩含有重合体の具体的な構造及びその製造方法に関しては上記した通りである。この第4級アンモンニウム塩含有重合体は、微生物捕捉剤として特に有用な化合物である。
本発明の更に他の1つの目的は、下記式(12)で表される第4級アンモンニウム塩を提供することである。
上記式(12)の第4級アンモニウム塩は、上記式(1)の第4級アンモニウム塩の特に好ましい1例であり、微生物捕捉剤として極めて有用である。式(12)で示される第4級アンモニウム塩は、4−ジメチルアミノピリジンと当モルあるいは過剰量(通常1〜2当量)のベンジルクロライドを常圧下、エタノールなどの極性溶媒中で加熱下(エタノール溶媒の場合50〜80℃)で数時間〜数十時間反応させることで得られる。反応点はピリジンの窒素原子ではなく、ジメチルアミノ基の窒素原子であることがNMR等により確認された。
発明を実施するための最良の形態
以下に挙げる参考例、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
次の実施例及び比較例における、ファージ粒子数の測定及び660nmの吸光係数の算出は以下のようにして行った。
(1)ファージ粒子数の測定方法
ファージ捕捉処理後の液を被検液とし、その一部を取りリン酸緩衝液中にて希釈する。被検液および希釈液各50μlをそれぞれLB培地(蒸留水に対して、バクトトリプトン10g/l、酵母エキス5g/l、塩化ナトリウム5g/lを加えて調製する)にて37℃で一昼夜培養した大腸菌JM109の培養液200μlに添加し、得られた混合液を37℃にて10分間静置する。これら混合液を、あらかじめ溶解し50℃に保温しておいた3mlのLB軟寒天培地(LB培地中に0.7重量%になるように寒天を加えて調製する)に全量移し、LB寒天培地(LB培地中に1.5重量%になるように寒天を加えて調製する)プレートに重層する。これらプレートを37℃にて一昼夜培養し、生じたプラークを計数する。被検液1ml中に残存するファージ粒子数を求める。
(2)660nmにおける吸光係数(PET不織布に捕捉された菌体の量の評価)
菌体の付着したPET不織布をメチレンブルー溶液に2分間浸漬して該菌体を染色し、その後余分な色素を水洗により除去し、一定量の10%SDS(sodium dodecyl sulfate)溶液を加えて色素を抽出し試料溶液とする。吸光度測定における対照液として上記10%SDS溶液を用いる。UV−160A分光光度計(日本国、島津製作所製)を用い、試料溶液の660nmにおける吸光度を長さ1cmの石英セルを用いて測定する。下記の式に従い、吸光度から660nmにおける吸光係数を算出する。
log10(I0/I)=εcd
(式中、I0は入射光の強度であり、Iは透過光の強度であり、εは660nmにおける吸光係数であり、cは試料溶液の濃度であり、dは吸光度の測定に用いたセルの長さ(cm)である。)
実施例1
4−ジメチルアミノピリジン(3.05g、25mmol)とベンジルクロリド(3.16g、25mmol)をエタノール20ml中、常圧下80℃で15時間反応させ、その後反応液をエーテル中に加え生じた沈殿をエーテルで洗浄し、減圧下乾燥することにより化学式(13)で示される第4級アンモニウム化合物(6.15g、24.7mmol)を得た。
この化合物は、テトラメチルシランを標準とするDMSO(ジメチルスルフォキシド)−d6溶媒による1H−NMR分析により、4−ジメチルアミノ基の窒素原子がベンジル基(C6H5−CH2−)により4級化されていることが確認された。また、δ3.19にジメチルによる2重線ピーク、δ5.48にベンジルメチレンの単線ピークが観察された。
一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)(繊度0.016デシテックス)からなる不織布を2cmφに打抜いた微生物捕捉用担体を得た。このPET不織布に、上記第4級アンモニウム化合物を溶解したTHF溶液(10mg/ml)を30秒含浸させた後、室温で減圧下1時間乾燥して微生物捕捉用複合体を得た。また、不織布に対する上記第4級アンモニウム化合物の付着率{(付着後の不織布の重量−付着前の不織布の重量)/(付着前の不織布の重量)×100}は1.0重量%であった。
この微生物捕捉用複合体を、内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法(第14改正 日本薬局方(The Japanese Pharmacopoeia Fourteenth Edition)、一般試験法、50.微生物限度試験法に準拠して実施)により経時的に測定し、除菌率{(除菌前溶液中の菌数−除菌後溶液中の菌数)/除菌前溶液中の菌数)×100}を求めた。結果を表1に示す。
実施例2
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(2.32g、20mmol)とベンジルクロリド(7.59g、60mmol)をエタノール30ml中、常圧下80℃で30時間反応させ、その後反応液をエーテル中に加え生じた沈殿をエーテルで洗浄し、減圧下乾燥することにより化学式(14)で示される第4級アンモニウム化合物(6.80g、18.4mmol)を得た。
この化合物は、テトラメチルシランを標準とするDMSO−d6溶媒による1H−NMR分析によりジメチルアミノ基がベンジル基により4級化されていることが確認された。また、δ3.15にジメチルによる1重線ピーク、δ4.19にエチレンによる1重線ピーク、δ4.76にベンジルメチレンによる1重線ピーク、δ7.53〜7.70にフェニルによるピークが観察された。
一方、PET(繊度0.016デシテックス)からなる不織布を2cmφに打抜いた微生物捕捉用担体を得た。このPET不織布に、上記第4級アンモニウム化合物を溶解したTHF溶液(10mg/ml)を30秒含浸させた後、室温で減圧下1時間乾燥して微生物捕捉用複合体を得た。不織布に対する第4級アンモニウム化合物(14)の付着率は1.0重量%であった。
この微生物捕捉用複合体を、内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法により経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1と同様のPET不織布(繊度0.016デシテックス)に、クエン酸を溶解したTHF溶液(10mg/ml)を30秒含浸させた後、室温で減圧下1時間乾燥して微生物捕捉材を得た。不織布に対するクエン酸の付着率は1.0重量%であった。
この微生物捕捉用複合体を、内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法により経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1と同様のPET不織布(繊度0.016デシテックス)に、化学式(15)で示される2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(商品名:JF−79、日本国、城北化学工業株式会社製)を溶解したTHF溶液(10mg/ml)を30秒含浸させた後、室温で減圧下1時間乾燥して、微生物捕捉用複合体を得た。不織布に対するベンゾトリアゾール誘導体(15)の付着率は約1.0重量%であった。
この微生物捕捉用複合体を内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法により経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表1に示す。
実施例5
実施例1と同様のPET不織布(繊度0.016デシテックス)に、化学式(9)で示されるポリカチオン[{2−(メタクリロイルオキシ)エチル}トリメチルアンモニウムクロリド(日本国、三菱レイヨン(株)製)]を溶解したTHF溶液(10mg/ml)を30秒含浸させた後、室温で減圧下1時間乾燥して微生物捕捉用複合体を得た。不織布に対するポリカチオン(9)の付着率は約1.0重量%であった。
この微生物捕捉用複合体を、内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法により経時的に測定し除菌率を求めた。結果を表1に示す。
実施例6
4−ビニルベンジルクロリド(3.82g、25mmol)と塩化ビニリデン(9.69g、100mmol)をトルエン20mlに溶解し、AIBN(2,2’−azobisisobutyronitrile)(41mg、0.25mmol)存在下、常圧40℃で15時間反応し、その後常圧80℃で15時間反応した。反応液をエタノールに加え生じた沈殿を減圧下乾燥し、(塩化ビニリデン/4−ビニルベンジルクロリド)モル比が3/2の割合で共重合した化合物(2.96g)を得た。上記モル比はNMRにより確認した。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジン(1.98g、25mmol)を加え、エタノール溶媒中、常圧下80℃で15時間反応し、反応液をエーテルに加え生じた沈殿を減圧下乾燥し、目的とする第4級アンモニウム塩含有重合体(2.49g)を得た。
一方、PET(繊度0.016デシテックス)からなる不織布を2cmφに打抜いた微生物捕捉用担体を得た。このPET不織布に、上記第4級アンモニウム塩含有重合体を溶解したTHF溶液(10mg/ml)を30秒含浸させた後、室温で減圧下1時間乾燥して、微生物捕捉用複合体を得た。不織布に対するビニル系共重合体の付着率は1.0重量%であった。
この微生物捕捉用複合体を、内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法により経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表1に示す。
実施例7
4−ビニルベンジルクロリド(4.19g、27.5mmol)とスチレン(2.60g、25mmol)をトルエン20mlに溶解し、AIBN(41mg、0.25mmol)存在下、常圧80℃で15時間反応した。反応液をエタノールに加え生じた沈殿を減圧下乾燥し、(4−ビニルベンジルクロリド/スチレン)モル比が3/2の割合で共重合した化合物(1.65g)を得た。上記モル比はNMRにより確認した。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジン(2.18g、27.5mmol)を加え、エタノール溶媒中、常圧下80℃で15時間反応し、反応液をエーテルに加え生じた沈殿を減圧下乾燥し、目的とする第4級アンモニウム塩含有重合体(2.66g)を得た。これ以外は実施例6と同様にして微生物捕捉用複合体を得た。
この微生物捕捉用複合体を実施例1と同様にしてカラムに充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法により経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表1に示す。
比較例1
本発明の化合物を用いず、実施例1で用いた微生物捕捉用担体のPET不織布のみをカラムに充填し、これに、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法により経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1、2、3、4、5、6および7の微生物捕捉剤を付着させたPET不織布を用いた微生物捕捉用複合体は、菌の吸着力に優れ、高い除菌率を示した。本発明の微生物捕捉剤を付着させていない比較例1のものは、菌の吸着力が弱く、しかも時間の経過と共に著しく低下し、わずか10%程度の除菌率しか示さなかった。
実施例8
実施例1〜7と同様の方法で得られた2cmφの微生物捕捉用複合体を、それぞれ、内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)を生理食塩水に3×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、60ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法により経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表2に示す。
比較例2
本発明の微生物捕捉剤を用いず、実施例1で用いた微生物捕捉用担体のPET不織布のみをカラムに充填し、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)を生理食塩水に3×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、60ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法により経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例1、2、3、4、5、6および7の微生物捕捉剤を付着させたPET不織布を用いた微生物捕捉用複合体は、菌の吸着力に優れ、良好な除菌率を示したが、本発明の微生物捕捉剤を付着させていない比較例2のものは、菌の吸着力が弱く、しかも時間の経過と共に著しく低下し、わずか10%程度の除菌率しか示さなかった。
実施例9
実施例1〜7と同様の方法で得られた2cmφの微生物捕捉用複合体を、それぞれ、内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、シュードモナス アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)を生理食塩水に6×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、30ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法により経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表3に示す。
比較例3
本発明の微生物捕捉剤を用いず、実施例1で用いた微生物捕捉用担体のPET不織布のみをカラムに充填し、シュードモナス アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)を生理食塩水に6×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、30ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法により経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表3に示す。
表3から明らかなように、実施例1、2、3、4、5、6および7の微生物捕捉剤を付着させたPET不織布を用いた微生物捕捉用複合体は、菌の吸着力に優れ、良好な除菌率を示したが、本発明の微生物捕捉剤を付着させていない比較例3のものは、菌の吸着力が弱く、しかも時間の経過と共に著しく低下し、わずか8%程度の除菌率しか示さなかった。
実施例10
実施例1、2、3、5および7と同様の方法で製造した2cmφの微生物捕捉用複合体を、それぞれ、内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、M13バクテリオファージを生理食塩水に5×106粒子/mlの濃度に懸濁させた液を、40ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中のファージ粒子数を上記の方法により経時的に測定し、除去率を求めた。結果を表4に示す。比較例4
本発明の微生物捕捉剤を用いず、実施例1で用いた微生物捕捉用担体のPET不織布のみをカラムに充填し、M13バクテリオファージを生理食塩水に5×106粒子/mlの濃度に懸濁させた液を、40ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中のファージ粒子数を経時的に測定し、除去率を求めた。結果を表4に示す。
表4から明らかなように、実施例1、2、3、5および7の微生物捕捉剤を付着させたPET不織布を用いた微生物捕捉用複合体は菌体に比べて微小なウイルスに対しても有効に働くことが判った。
実施例11
実施例1〜7と同様の方法で得られた2cmφの微生物捕捉用複合体を、活性汚泥菌含有液に14時間もしくは48時間浸漬し、活性汚泥菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。上記の微生物捕捉用複合体に付着した菌体をメチレンブルーで染色し、吸光度(660nm)を経時的に測定し、付着量を求めた。結果を表5に示す。ここで、菌体付着量はメチレンブルーの吸光度に比例し、吸光度(660nm)の数値が高いほど菌体付着量が多いと判断する。
比較例5
本発明の微生物捕捉剤を用いず、実施例1で用いたPET不織布のみを、活性汚泥菌含有液に14時間もしくは48時間浸漬し、活性汚泥菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。上記のPET不織布に付着した菌体をメチレンブルーで染色し、吸光度(660nm)を経時的に測定し、付着量を求めた。結果を表5に示す。
表5から明らかなように、実施例1〜7の微生物捕捉剤を付着させて調製したPET不織布を用いた微生物捕捉用複合体は菌の捕捉力に優れるが、本発明の微生物捕捉化合物を付着させていない比較例5のものは菌の捕捉力が弱いことが分かる。
実施例12
微量アンモニアおよび硝酸含有廃液処理の検討のために、実施例1〜7と同様の方法で製造した2cmφの微生物捕捉用複合体を、脱窒素菌含有液に14時間もしくは48時間浸漬し、脱窒素菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。上記の微生物捕捉用複合体に付着した菌体をメチレンブルーで染色し、吸光度(660nm)を経時的に測定し、付着量を求めた。結果を表6に示す。ここで、菌体付着量はメチレンブルーの吸光度に比例し、吸光度(660nm)の数値が高いほど菌体付着量が多いと判断する。
比較例6
本発明の微生物捕捉剤を用いず、実施例1で用いたPET不織布のみを、脱窒素菌含有液に14時間もしくは48時間浸漬し、脱窒素菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。上記のPET不織布に付着した菌体をメチレンブルーで染色し、吸光度(660nm)を経時的に測定し、付着量を求めた。結果を表6に示す。
表6から明らかなように、実施例1〜7の微生物捕捉剤を付着させて調製したPET不織布を用いた微生物捕捉用複合体は菌の捕捉力に優れるが、本発明の微生物捕捉剤を付着させていない比較例6のものは菌の捕捉力が弱いことが分かる。
実施例13
4−ビニルベンジルクロリド(3.82g、25mmol)と塩化ビニリデン(12.12g、125mmol)およびAIBN(41mg、0.25mmol)を実施例6と同様の条件下で反応させ、4−ビニルベンジルクロリドと塩化ビニリデンとがモル比1/1の割合で共重合した化合物を得た。上記モル比はNMRにより確認した。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジンで4級化処理して第4級アンモニウム塩含有重合体を得た。
一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)(繊度0.016デシテックス)からなる不織布を2cmφに打抜いた微生物捕捉用担体を準備した。
PET不織布に、上記第4級アンモニウム塩含有重合体を溶解したTHF溶液(10mg/ml)を30秒含浸させた後、室温で減圧下1時間乾燥して、不織布に対するビニル系共重合体の付着率が約1.0重量%の微生物捕捉用複合体を作成した。
この微生物捕捉用複合体を、内径2cmのカラムに32枚、積層充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液した。
通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法を用いて経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表7に示す。
比較例7
本発明の第4級アンモニウム塩含有重合体を用いず、実施例13で用いたPET不織布のみをカラムに充填し、これに、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を経時的に測定し、除菌率を求めた結果を表7に示す。
実施例14
4−ビニルベンジルクロリド(3.82g、25mmol)と塩化ビニリデン(16.96g、175mmol)およびAIBN(41mg、0.25mmol)を実施例6と同様の条件下で反応させ(4−ビニルベンジルクロリド/塩化ビニリデン)モル比が2/3の割合で共重合した化合物を得た。上記モル比はNMRにより確認した。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジンで4級化処理してなる第4級アンモニウム塩含有重合体を用いたこと以外は、実施例13と同様にして微生物捕捉用複合体を得た。
この微生物捕捉用複合体を実施例13と同様にしてカラムに充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液し、濾液中の生菌数を経時的に測定した結果を表7に示す。
表7から明らかなように、実施例13および14の微生物捕捉剤(第4級アンモニウム塩含有重合体)を付着させたPET不織布を用いた微生物捕捉用複合体は、菌の捕捉力に優れ、高い除菌率を示したが、本発明の微生物捕捉剤を付着させていない比較例7のものは、菌の捕捉力が弱く、しかも時間の経過と共に著しく低下し、わずか10%程度の除菌率しか示さなかった。
実施例15
実施例13と同様の方法で得られた2cmφの微生物捕捉用複合体を、内径2cmカラムに32枚積層充填した後、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)を生理食塩水に3×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、60ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表8に示す。
実施例16
実施例13と同様の方法で得られた2cmφの微生物捕捉用複合体を、内径2cmのカラムに32枚、積層充填した後、シュードモナス アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)を生理食塩水に6×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、30ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表8に示す。
表8から明らかなように、菌の種類にかかわらず、本発明の微生物捕捉剤を用いた微生物捕捉用複合体は良好な菌の捕捉力を示した。
実施例17
実施例13と同様の方法で得られた2cmφの微生物捕捉用複合体を、内径2cmのカラムに32枚、積層充填した後、M13バクテリオファージを生理食塩水に5×106粒/mlの濃度に懸濁させた液を、40ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中のファージ粒子数を経時的に測定し、除去率を求めた。結果を表9に示す。
比較例8
実施例1と同様のPET不織布を用い、これを実施例17と同じく2cmφの大きさに打抜き、これを内径2cmのカラムに32枚、積層充填した後、M13バクテリオファージを生理食塩水に5×106粒/mlの濃度に懸濁させた液を、40ml/hrの速度でカラムに通液した。
通液して得た濾液中の粒子数を経時的に測定し、除去率を求めた。結果を表9に示す。
表9から、本発明の微生物捕捉剤を用いた微生物捕捉用複合体が、菌体に比べて微小なウイルスに対しても有効に働くことがわかる。
実施例18
4−ビニルベンジルクロリド(3.82g、25mmol)と塩化ビニリデン(33.93g、350mmol)およびAIBN(41mg、0.25mmol)を実施例6と同様の条件下で反応させ(4−ビニルベンジルクロリド/塩化ビニリデン)モル比1/4の割合で共重合した化合物を得た。上記モル比はNMRにより確認した。次に、これを4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジンで4級化処理して第4級アンモニウム塩含有重合体を得た。得られた第4級アンモニウム塩含有重合体を用いたこと以外は、実施例13と同様にして微生物捕捉用複合体を得た。
この微生物捕捉用複合体を実施例13と同様にしてカラムに充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液し、濾液中の生菌数を経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表10に示す。
表10から本発明の微生物捕捉剤の原料物質である4−ビニルベンジルクロリドと塩化ビニリデンの割合によって、微生物捕捉用複合体の微生物の捕捉力に差が生じることが判った。
実施例19
4−ビニルベンジルクロリド(3.82g、25mmol)と塩化ビニリデン(12.12g、125mmol)およびAIBN(41mg、0.25mmol)を実施例6と同様の条件下で反応させ、4−ビニルベンジルクロリドと塩化ビニリデンとがモル比1/1の割合で共重合した化合物を得た。組成比はNMRにより確認した。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジンで4級化処理して第4級アンモニウム塩含有重合体を得た。
一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)(繊度0.016デシテックス)からなる不織布を2cmφに打抜いた微生物捕捉用担体を準備した。
PET不織布に、上記第4級アンモニウム塩含有重合体を溶解したTHF溶液(10mg/ml)を30秒含浸させた後、室温で減圧下1時間乾燥して、不織布に対するビニル系共重合体の付着率が約1.0重量%の微生物捕捉用複合体を作成した。
この微生物捕捉用複合体を、活性汚泥菌含有液に14時間もしくは48時間浸漬し、活性汚泥菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。上記の微生物捕捉用複合体に付着した菌体をメチレンブルーで染色し、吸光度(660nm)を経時的に測定し、付着量を求めた。結果を表11に示す。
比較例9
本発明の微生物捕捉剤を用いず、実施例13で用いたPET不織布のみを、活性汚泥菌を懸濁させた液に浸漬し、活性汚泥菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。上記の微生物捕捉用複合体に付着した菌体をメチレンブルーで染色し、吸光度(660nm)を経時的に測定し、付着量を求めた。結果を表11に示す。
実施例20
4−ビニルベンジルクロリド(3.82g、25mmol)と塩化ビニリデン(16.96g、175mmol)およびAIBN(41mg、0.25mmol)を実施例6と同様の条件下で反応させ(4−ビニルベンジルクロリド/塩化ビニリデン)モル比が2/3の割合で共重合した化合物を得た。上記モル比はNMRにより確認した。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジンで4級化処理して、第4級アンモニウム塩含有重合体を得た。得られた第4級アンモニウム塩含有重合体を用いたこと以外は、実施例19と同様にして微生物捕捉用複合体を得た。
この微生物捕捉用複合体を実施例19と同様にして活性汚泥菌含有液に14時間もしくは48時間浸漬し、活性汚泥菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。上記の微生物捕捉用複合体に付着した菌体をメチレンブルーで染色し、吸光度(660nm)を経時的に測定し、付着量を求めた。結果を表11に示す。
表11から明らかなように、実施例19および20の微生物捕捉剤を付着させたPET不織布を用いた微生物捕捉用複合体は、菌の捕捉力に優れるが、本発明の微生物捕捉剤を付着させていない比較例9のものは、菌の捕捉力が弱いことが分かる。
実施例21
4−ビニルベンジルクロリド(7.04g、46mmol)とスチレン(4.80g、46mmol)をトルエン20mlに溶解し、AIBN(72mg、0.44mmol)存在下、常圧80℃で15時間反応した。反応液をエタノールに加え生じた沈殿を減圧下乾燥し、4−ビニルベンジルクロリドとスチレンとがモル比1/1の割合で共重合した化合物(5.98g)を得た。組成比はNMRにより確認した。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジン(3.63g、46mmol)を加え、エタノール溶媒中、常圧下80℃で15時間反応し、反応液をエーテルに加え生じた沈殿を減圧下乾燥し、目的とする第4級アンモニウム塩含有重合体(7.30g)を得た。
一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)(繊度0.016デシテックス)からなる不織布を2cmφに打抜いて微生物吸着用担体を得た。
PET不織布に、上記第4級アンモニウム塩含有重合体を溶解したTHF溶液(10mg/ml)を30秒含浸させた後、室温で減圧下1時間乾燥して、不織布に対する第4級アンモニウム塩含有重合体の付着率が約1.0質量%の微生物捕捉用複合体を得た。
この微生物捕捉用複合体を、内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液した。
通液して得た濾液中の生菌数を寒天平板混釈法を用いて経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表12に示す。
比較例10
本発明の第4級アンモニウム塩含有重合体を用いず、実施例21で用いたPET不織布のみをカラムに充填し、これに、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表12に示す。
実施例22
4−ビニルベンジルクロリド(6.10g、40mmol)とスチレン(6.25g、60mmol)をトルエン60mlに溶解しAIBN(82mg、0.5mmol)存在下、常圧80℃で15時間反応させ(4−ビニルベンジルクロリド/スチレン)モル比が2/3の割合で共重合した化合物(7.23g)を得た。上記モル比はNMRにより確認した。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジンで4級化処理して第4級アンモニウム塩含有重合体を得た。得られた第4級アンモニウム塩含有重合体を用いたこと以外は、実施例21と同様にして微生物捕捉用複合体を得た。
この微生物捕捉用複合体を実施例21と同様にしてカラムに充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液し、濾液中の生菌数を経時的に測定した。結果を表12に示す。
表12から明らかなように、実施例21および22の微生物捕捉剤を付着させたPET不織布を用いた微生物捕捉用複合体は、菌の吸着力に優れ、高い除菌率を示したが、本発明の微生物捕捉樹脂を付着させていない比較例10のものは、菌の捕捉力が弱く、しかも時間の経過と共に著しく低下し、わずか10%程度の除菌率しか示さなかった。
実施例23
実施例21と同様の方法で得られた2cmφの微生物捕捉用複合体を、内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、スタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)を生理食塩水に3×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、60ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表13に示す。
実施例24
実施例21と同様の方法で得られた2cmφの微生物捕捉用複合体を、内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、シュードモナス アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)を生理食塩水に6×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、30ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中の生菌数を経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表13に示す。
表13から明らかなように、菌の種類にかかわらず、本発明の微生物捕捉剤を用いた微生物捕捉用複合体は良好な菌の捕捉力を示した。
実施例25
実施例21と同様の方法で得られた2cmφの微生物捕捉用複合体を、内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、M13バクテリオファージを生理食塩水に5×106粒子/mlの濃度に懸濁させた液を、40ml/hrの速度でカラムに通液した。通液して得た濾液中のファージ粒子数を経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表14に示す。
比較例11
実施例21で用いたものと同様のPET不織布を用い、これを実施例25と同じく2cmφの大きさに打抜き、これを内径2cmのカラムに32枚積層充填した後、M13バクテリオファージを生理食塩水に5×106粒子/mlの濃度に懸濁させた液を、40ml/hrの速度でカラムに通液した。
通液して得た濾液中の粒子数を経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表14に示す。
表14から、本発明の微生物捕捉剤を用いた微生物捕捉用複合体が、菌体に比べて微小なウイルスに対しても有効に働くことがわかる。
実施例26
4−ビニルベンジルクロリド(3.05g、20mmol)とスチレン(8.33g、80mmol)をトルエン60mlに溶解しAIBN(82mg、0.5mmol)存在下、常圧80℃で15時間反応させ、(4−ビニルベンジルクロリド/スチレン)モル比が1/4の割合で共重合した化合物(6.28g)を得た。上記のモル比はNMRにより確認した。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジンで4級化処理して、第4級アンモニウム塩含有重合体を得た。得られた第4級アンモニウム塩含有重合体を用いたこと以外は、実施例21と同様にして微生物捕捉用複合体を得た。
この微生物捕捉用複合体を実施例21と同様にしてカラムに充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液し、濾液中の生菌数を経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表15に示す。
実施例27
4−ビニルベンジルクロリド(6.87g、45mmol)とメタクリル酸メチル(5.51g、55mmol)をトルエン60mlに溶解しAIBN(82mg、0.5mmol)存在下、常圧80℃で15時間反応させ、(4−ビニルベンジルクロリド/メタクリル酸メチル)モル比が2/3の割合で共重合した化合物(6.43g)を得た。上記のモル比はNMRにより確認した。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジンで4級化処理して第4級アンモニウム塩含有重合体を得た。得られたを用いたこと以外は、実施例21と同様にして微生物捕捉用複合体を得た。
この微生物捕捉用複合体を実施例21と同様にしてカラムに充填した後、エシエリキア コリ(Escherichia Coli)を生理食塩水に5×108個/mlの濃度に懸濁させた液を、45ml/hrの速度でカラムに通液し、濾液中の生菌数を経時的に測定し、除菌率を求めた。結果を表15に示す。
表15から、本発明の微生物捕捉剤の原料物質である4−ビニルベンジルクロリドとビニルモノマーの割合によって、微生物捕捉用複合体の微生物の捕捉力に差が生じることが判った。尚、表15から、ビニルモノマー成分を変更しても、良好な捕捉力を持つ微生物捕捉剤が得られることがわかる。
実施例28
実施例21と同様の方法により、4−ビニルベンジルクロリドとスチレンがモル比1:1の割合で共重合した化合物を得た。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジンで4級化処理して、目的とする第4級アンモニウム塩含有重合体を得た。
一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)(繊度0.016デシテックス)からなる不織布を2cmφに打抜いた微生物吸着用担体を得た。
PET不織布に、上記第4級アンモニウム塩含有重合体を溶解したTHF溶液(10mg/ml)を30秒含浸させた後、室温で減圧下1時間乾燥して、不織布に対するビニル系共重合体の付着率が約1.0質量%の微生物捕捉用複合体を得た。
この微生物捕捉用複合体を、活性汚泥菌含有液に14時間もしくは48時間浸漬し、活性汚泥菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。上記の微生物捕捉用複合体に付着した菌体をメチレンブルーで染色し、吸光度(660nm)を経時的に測定し、付着量を求めた。結果を表16に示す。
比較例12
本発明の微生物捕捉剤(第4級アンモニウム塩含有重合体)を用いず、実施例21で用いたPET不織布のみを、活性汚泥菌含有液に14時間もしくは48時間浸漬し、活性汚泥菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。上記の微生物捕捉用複合体に付着した菌体をメチレンブルーで染色し、吸光度(660nm)を経時的に測定し、付着量を求めた。結果を表16に示す。
実施例29
実施例22と同様の方法により、(4−ビニルベンジルクロリド/スチレン)モル比が2/3の割合で共重合した化合物を得た。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジンで4級化処理して、目的とする第4級アンモニウム塩含有重合体を得、更に実施例28と同様にして微生物捕捉用複合体を得た。
この微生物捕捉用複合体を実施例28と同様にして活性汚泥菌含有液に14時間もしくは48時間浸漬し、活性汚泥菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。上記の微生物捕捉用複合体に付着した菌体をメチレンブルーで染色し、吸光度(660nm)を経時的に測定し、付着量を求めた。結果を表16に示す。
表16から明らかなように、実施例28および29の微生物捕捉剤を付着させたPET不織布を用いた微生物捕捉用複合体は、菌の捕捉力に優れるが、本発明の微生物捕捉樹脂を付着させていない比較例12のものは、菌の捕捉力が弱いことがわかる。
実施例30
実施例13および実施例14と同様の方法により、それぞれ(4−ビニルベンジルクロリド/塩化ビニリデン)モル比が2/3の割合で共重合した化合物及び上記モル比が1/1の割合で共重合した化合物を得た。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジンで4級化処理して、目的とする第4級アンモニウム塩含有重合体として化合物16(上記モル比が2/3での生成物)及び化合物17(上記モル比が1/1での生成物))を得た。
一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)(繊度0.016デシテックス)からなる不織布を2cmφに打抜いた微生物吸着用担体を得た。
PET不織布に、上記第4級アンモニウム塩含有重合体を溶解したTHF溶液(10mg/ml)を30秒含浸させた後、室温で減圧下1時間乾燥して、不織布に対するビニル系共重合体の付着率が約1.0質量%の微生物捕捉用複合体を得た。
この微生物捕捉用複合体を、脱窒素菌含有液に14時間もしくは48時間浸漬し、脱窒素菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。上記の微生物捕捉用複合体に付着した菌体をメチレンブルーで染色し、吸光度(660nm)を経時的に測定し、付着量を求めた。結果を表17に示す。
実施例31
実施例21及び実施例22と同様の方法により、それぞれ(4−ビニルベンジルクロリド/スチレン)モル比2/3及び1/1の割合で共重合した化合物を得た。次に、4−ビニルベンジルクロリドに対し等モル量のピリジンで4級化処理して、目的とする第4級アンモニウム塩含有重合体として化合物18(上記モル比が2/3での生成物)及び化合物19(上記モル比が1/1による生成物)を得、その後、実施例30と同様にして微生物捕捉用複合体を得た。
この微生物捕捉用複合体を実施例30と同様にして脱窒素菌含有液に14時間もしくは48時間浸漬し、脱窒素菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。上記の微生物捕捉用複合体に付着した菌体をメチレンブルーで染色し、吸光度(660nm)を経時的に測定し、付着量を求めた。結果を表17に示す。
比較例13
本発明の微生物捕捉剤を用いず、実施例30で用いたPET不織布のみを、脱窒素菌含有液に14時間もしくは48時間浸漬し、脱窒素菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。上記の微生物捕捉用複合体に付着した菌体をメチレンブルーで染色し、吸光度(660nm)を経時的に測定し、付着量を求めた。結果を表17に示す。ここで、菌体付着量はメチレンブルーの吸光度に比例し、吸光度(660nm)の数値が高いほど菌体付着量が多いと判断する。
表17から明らかなように、実施例30および実施例31の微生物捕捉剤を付着させたPET不織布を用いた微生物捕捉用複合体は、比較例13に比べ脱窒素菌の捕捉力に優れるが、その中でも実施例30の本発明の微生物捕捉剤を付着させた微生物捕捉用複合体は実施例31の微生物捕捉剤を付着させた微生物捕捉用複合体よりも脱窒素菌の捕捉力に優れることが分かる。さらに微生物捕捉剤を付着させていない比較例13のものは、菌の捕捉力が弱いことがわかる。
実施例32
実施例20で得られた第4級アンモニウム塩含有重合体を用い、単軸押出機により押出温度180℃で紡口より溶融紡出し、冷水機で急冷した後、温度差ローラーで4倍延伸して断面円形の直径約100μmの単糸10本よりなる繊維を得た。この繊維を長さ50cm、50本の束にして微生物捕捉用繊維束を得た。得られた微生物捕捉用繊維束を活性汚泥菌含有液に浸漬し、活性汚泥菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。68時間経過後、微生物捕捉用繊維束を常圧下、105℃で3時間乾燥させ、微生物捕捉用繊維束に付着した菌体量の乾燥重量を測定した。
微生物捕捉用繊維束への菌体付着量は、微生物捕捉用繊維束の単位繊維重量当たりの菌体付着量で計算した。比較例に対する菌体付着量を100%とした場合における菌体の吸着量で評価した。その結果を表18に示す。
菌体付着量の算出方法:
{(菌体付着後の繊維束乾燥重量−菌体付着前の繊維束乾燥重量)/菌体付着前の繊維束乾燥重量}×100
比較例14
市販のポリ塩化ビニリデンよりなる素材(登録商標、サランラップ;日本国、旭化成株式会社製)を用い、上記実施例32と同様の手法で溶融紡出し、断面円形の直径約100μmの単糸10本よりなる繊維を得た。この繊維を長さ50cm、50本の束にして実施例32と同様の手法で菌体付着量を測定した。
微生物捕捉用繊維束への菌体付着量は、微生物捕捉用繊維束の単位繊維重量当たりの菌体付着量で計算した。比較例に対する菌体付着量を100%とした場合における菌体の吸着量で評価した。その結果を表18に示す。
実施例33
実施例32で得られた繊維を長さ50cm、50本の束にして脱窒菌懸濁液に浸漬し、脱窒菌槽を50rpmの速度で往復振とうした。68時間経過後、微生物捕捉用繊維束に付着した菌体量の乾燥重量を常圧下、105℃で3時間乾燥させ、微生物捕捉用繊維束に付着した菌体量の乾燥重量を測定した。
微生物捕捉用繊維束への菌体付着量は、微生物捕捉用繊維束の単位繊維重量当たりの菌体付着量で計算した。比較例に対する菌体付着量を100%とした場合における菌体の吸着量で評価した。その結果を表18に示す。
表18から明らかなように、実施例32で示される微生物捕捉繊維は活性汚泥菌および脱窒菌の捕捉に優れた効果を発揮した。
比較例15
市販のポリ塩化ビニリデン(登録商標、サランラップ;日本国、旭化成株式会社製)を用い、これを上記実施例32と同様の手法で溶融紡出し、断面円形の直径約100μmの単糸10本よりなる繊維を得た。この繊維を長さ50cm、50本の束にして実施例33と同様の手法で菌体付着量を測定した。
微生物捕捉用繊維束への菌体付着量は、微生物捕捉用繊維束の単位繊維重量当たりの菌体付着量で計算した。比較例に対する菌体付着量を100%とした場合における菌体の吸着量で評価した。その結果を表18に示す。
産業上の利用可能性
本発明の微生物捕捉剤は、優れた微生物捕捉能を有するのみならず、そのような優れた微生物捕捉能を長時間維持できるので、水処理における水中の微生物の捕捉並びに気相中の微生物の捕捉に有効に用いることができる。さらに、本発明の微生物捕捉剤は、有機溶媒及び/又は含水有機溶媒に可溶なため、該微生物捕捉剤の溶液を用いて、該捕捉剤が担持されてなる担体を含む微生物捕捉用複合体を容易に製造することができる。本発明の微生物捕捉剤を用いて微生物捕捉用複合体を製造すると、微生物捕捉用複合体の微生物捕捉能を左右する微生物捕捉用複合体の単位重量当りの表面積を、担体を適宜選択することにより、自由に設定することができ、所望の微生物捕捉能を備えた微生物捕捉用複合体を得ることができる。本発明の微生物捕捉剤を用いた微生物捕捉用複合体は、バイオリアクターおよびバイオセンサーにおける微生物及び/菌体の保持担体等として有利に用いることができる。
Claims (17)
- 少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物、
アミド系化合物、
非水溶性アゾ化合物、
下記式(1)で表される第4級アンモニウム塩、及び
下記式(2)〜(5)で表される重合体鎖をそれぞれ有する、第4級アンモニウム塩含有重合体
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする微生物捕捉剤。
(式中、
R1、R2及びR3はそれぞれ独立して飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、C6−C50アリール基、4−ピリジル基、2−ジメチルアミノエチル基、2−(N−ベンジル−N,N−ジメチルアンモニウム)エチル基、ベンジル基、飽和若しくは不飽和C1−C50脂肪酸残基、及び飽和又は不飽和脂肪酸エステル残基からなる群より選ばれる基を表し;
X−は、ハロゲン化物イオン、アルキルスルホン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンからなる群より選ばれるイオンを表す。)、
(式中、
R4は、該重合体鎖の側鎖のCH2−基と結合してアンモニウムイオンを形成する窒素含有化合物であって、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,4,6−コリジン、2,3,5−コリジン、トリ(飽和又は不飽和C3−C18脂肪族ヒドロカルビル)アミン、及びキノリンからなる群より選ばれる窒素含有化合物を表し、
X−は、ハロゲン化物イオンを表し、
k及びlは、下記の条件を満足する整数である。
10≦k≦100,000、及び
10≦l≦100,000。)、
(式中、
R5は、該重合体鎖の側鎖のCH2−基と結合してアンモニウムイオンを形成する窒素含有化合物であって、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,4,6−コリジン、2,3,5−コリジン、トリ(飽和又は不飽和C3−C18脂肪族ヒドロカルビル)アミン、及びキノリンからなる群より選ばれる窒素含有化合物を表し、
R6は、水素原子又はC1−C3アルキル基を表し、
X−は、ハロゲン化物イオンを表し、
Yは、水素原子、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビロキシ基、(飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビロキシ)カルボニル基、飽和又は不飽和C1−C50脂肪酸残基、C6−C50アリール基、ベンジル基、及びカルボキシル基を表し、
m及びnは、下記の条件を満足する整数である。
10≦m≦100,000、及び
10≦n≦100,000。)、
(式中、R2及びR3は、式(1)で定義した通りである。)、及び
(式中、R3は、式(1)で定義した通りである。)。 - 該式(1)の第4級アンモニウム塩が、下記式(6)で表される第4級アンモニウムクロライド、下記式(7)で表される第4級アンモニウムサルフェート、及び下記式(8)で表される第4級アンモニウムナイトレートであり、
該式(4)のポリマーが下記式(9)で表されるポリカチオンであり、
該式(5)のポリマーが下記式(10)で表されるポリカチオンである、
ことを特徴とする請求項1に記載の微生物捕捉剤。
(式中、
Rは、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、水酸基を含有する、飽和又は不飽和C1−C50脂肪族ヒドロカルビル基、C6−C50アリール基、ベンジル基、飽和又は不飽和C1−C50脂肪酸残基、又は飽和又は不飽和脂肪酸エステル残基を表し
r及びsは、以下の関係を満足する整数である。
10≦r≦100,000、及び
10≦s≦100,000。) - 該式(2)の重合体を構成するモノマーの(k:l)モル比が5:95〜95:5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の微生物捕捉剤。
- 該式(3)の重合体を構成するモノマーの(m:n)モル比が5:95〜95:5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の微生物捕捉剤。
- 式(2)のポリマーの重量平均分子量が、1,000〜1,000,000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微生物捕捉剤。
- 式(3)のポリマーの重量平均分子量が、1,000〜1,000,000であることを特徴とする請求項1、2及び4のいずれかに記載の微生物捕捉剤。
- 少なくとも2個のカルボキシル基を有する該化合物が、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、1,3プロパンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の微生物捕捉剤。
- 該ベンゾトリアゾール化合物が、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール及び(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の微生物捕捉剤。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の微生物捕捉剤を担持してなる担体を含む微生物捕捉用複合体であって、該微生物捕捉剤の重量が該担体の重量に対して0.001〜20重量%であることを特徴とする微生物捕捉用複合体。
- 該担体が、繊維、織物、不織布、膜、中空糸および粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項10に記載の微生物捕捉用複合体。
- 該担体が、ポリエステル、ポリアクリル酸又はその誘導体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、多糖、ポリオキシアルキレン、及びポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物から製造されたものであることを特徴とする請求項10に記載の微生物捕捉用複合体。
- 該担体が、微生物吸着能を有する担体であることを特徴とする請求項10に記載の微生物捕捉用複合体。
- 下記の工程(1)及び(2)を含むことを特徴とする、微生物の捕捉方法。
(1)請求項1〜9のいずれかに記載の微生物捕捉剤を提供する。
(2)該微生物捕捉剤を、微生物を含有する液体と接触させて、該微生物を捕捉する。 - 下記の工程(1)及び(2)を含むことを特徴とする、微生物の捕捉方法。
(1)請求項10〜13のいずれかに記載の微生物捕捉用複合体を提供する。
(2)該微生物捕捉用複合体を、微生物を含有する液体と接触させて、該微生物を捕捉する。
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