JPWO2003054545A1 - 抗テロメラーゼ抗体の検出方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、疾患マーカーとなり得る抗テロメラーゼ抗体の検出方法の提供を目的とする。本発明の要旨は、テロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片と、生体試料中の抗テロメラーゼ抗体とを反応せしめ、反応生成物を解析することを特徴とする抗テロメラーゼ抗体の検出法に存する。生体試料中の抗テロメラーゼ抗体力価は、各種疾患の患者で健常者より有意に高く、病態を反映する疾患マーカーとなり得ることが明らかとなった。
Description
技術分野
本発明は、抗テロメラーゼ抗体の検出方法に関する。
背景技術
テロメアは、真核細胞の線状染色体末端の特殊な構造であり、染色体長の維持と染色体の安定性の維持に必須の役割を果たしている。テロメア構造は、テロメア反復配列と呼ばれるTTAGGG配列が反復されてなる染色体の末端領域と、特異なDNA結合タンパク質とから構成される。テロメア配列部分のDNA複製は、通常の染色体複製とは異なり、テロメラーゼと呼ばれるRNAタンパク質複合体によるRNA依存DNA合成反応すなわち逆転写により行われる。
テロメラーゼは、正常細胞ではその活性が厳密に抑制されているが、癌細胞の90%以上で活性が認められる。テロメラーゼ活性の律速因子であると同時にテロメラーゼ触媒成分であるテロメラーゼ逆転写酵素は、正常細胞への導入で細胞の不死化を誘導し、ある種の癌遺伝子との共導入により正常上皮細胞の悪性形質転換を引き起こす。この様に、テロメラーゼ逆転写酵素は、細胞の不死化と癌化に強い関わりがある。また、臨床的にも肝細胞においては前癌病変から癌に至る過程で有意にテロメラーゼ逆転写酵素の発現が上昇していることが報告されており、臨床的にも分子生物学的にも発癌過程におけるテロメラーゼ逆転写酵素の重要性が示唆されている。
テロメラーゼは特異的逆転写酵素である。ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(以下これを「hTERT」と略称することがある)はテロメラーゼの触媒活性サブユニットとして同定され、その活性には鋳型RNAとしてヒトテロメラーゼRNAサブユニット(以下これを「hTR」と略称することがある)を必要とすることが知られている。しかし、これまで組換え型精製hTERTとhTRを用いたイン・ビトロ再構成系が報告されていなかったため、hTERTとhTRのみがテロメラーゼ活性の必要最少成分であるかどうか明らかではなかった。
本発明者等は先に、昆虫細胞発現系を用いて、可溶性組換え型hTERTの発現・精製を行い、組換え型精製hTERTを生化学的な方法を用いて分画し、約127KDaの単一バンドとして精製した。精製hTERTは、イン・ビトロで合成され精製したhTRの存在下で量依存的なテロメラーゼ活性を示した。またhTRプローブとしたゲルシフトアッセイ(EMSA)で、hTERTはhTRと量依存的に特異的複合体を形成することが示された。これらの結果より、hTERTとhTRの二つのサブユニットがテロメラーゼ活性の最少成分であることがイン・ビトロ再構成系で確認された(J.Biol.Chem.,275;22568−22573(2000))。
発明の開示
本発明は、生物学的機能を有する組換え型ヒトテロメラーゼ逆転写酵素の臨床応用、例えば該組換え型ヒトテロメラーゼ逆転写酵素を抗原として用いる血中抗テロメラーゼ抗体の検出方法等の提供を目的としてなされたものである。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、担癌患者では、健常人と比較し、有意に血中抗ヒトテロメラーゼ抗体が高値であることを見出した。また、慢性肝疾患患者の血中抗ヒトテロメラーゼ抗体は、慢性肝炎、肝硬変、肝癌と、病気が進行するに従い、有意に上昇することを見出した。また、他の疾患での検討を行ったところ自己免疫疾患患者において高い抗体反応性が見出された。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
即ち、本発明によれば、(1)テロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片と、生体試料中の抗テロメラーゼ抗体とを反応せしめ、反応生成物を解析することを特徴とする抗テロメラーゼ抗体の検出方法が提供される。
この発明の好ましい態様により、(2)テロメラーゼを構成するタンパク質が、テロメラーゼ逆転写酵素である上記(1)に記載の方法;(3)反応生成物の解析が、ウエスタンブロッティング法又は免疫酵素抗体法により行われる上記(1)又は(2)に記載の方法;(4)抗テロメラーゼ抗体の検出結果を疾患マーカーとして用いる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法;(5)疾患マーカーが、腫瘍マーカーである上記(4)に記載の方法、(6)疾患マーカーが、自己免疫疾患マーカーである上記(4)に記載の方法が提供される。
また、本発明の別の態様により、(7)少なくともテロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片を含んでなる上記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法を行うための試薬キットが提供される。
この発明の好ましい態様により、(8)テロメラーゼを構成するタンパク質が、テロメラーゼ逆転写酵素である上記(7)に記載の試薬キットが提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明で抗原として用いられるテロメラーゼは、抗テロメラーゼ抗体と反応し得るものであれば如何なる由来のものでも良いが、具体的には、テロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片が挙げられる。テロメラーゼは、テロメア反復配列を複製し得る能力を有するものであれば、如何なるものでも用いることができる。テロメラーゼを構成するタンパク質としては、例えばテロメラーゼ逆転写酵素が挙げられ、この逆転写酵素を抗原として用いるのが好ましい。テロメラーゼ逆転写酵素としては、例えばMatthew Meyerson et al.,Cell,Vol.90,785−795,August 22,1997に記載されている配列を有するものが挙げられる。これらの中で、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するものが特に好ましい。
ここで、本明細書における「テロメラーゼ逆転写酵素」には、生物(動物、植物、及び微生物を含む)由来の天然のテロメラーゼ逆転写酵素(すなわち、鋳型RNA(TR)と一緒になってテロメラーゼを構成するタンパク質であって、しかも、鋳型RNA(TR)の存在下において逆転写触媒活性を有し、テロメア反復配列を複製する能力を有するタンパク質)が含まれる。また、例えば、それらの機能的等価改変体[すなわち、天然のテロメラーゼ逆転写酵素のアミノ酸配列において1又はそれ以上(好ましくは1又は数個)のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、しかも、天然テロメラーゼ逆転写酵素と同じ機能を有するタンパク質]、あるいは、天然のテロメラーゼ逆転写酵素の部分断片、機能的等価改変体の部分断片、あるいは、天然のテロメラーゼ逆転写酵素又はそれらの機能的等価改変体と融合用パートナー(例えば、検出用タンパク質、例えばFLAGペプチド又はグルタチオン−S−トランスフェラーゼ)との融合タンパク質等が含まれる。
抗原として用いるテロメラーゼ逆転写酵素は、それをコードするDNAを適当な発現ベクターに導入し、該ベクターを有する形質転換体を培養して、タンパク質を発現させることにより調製できる。
該DNAのベクターへの導入は、それ自体既知の通常用いられる方法、例えばChristopher M.Counter et al.,Oncogene(1998)16,1217−1222に記載されている方法により行うことができる。かくして調製されるテロメラーゼ逆転写酵素をコードするDNAを有するベクターとして、例えばpCI−neo−hTERT−HA(Oncogene(1998)16,1217−1222)、pCI−Neo−hTERT(J.Biol.Chem.,275;22568−22573(2000))等が挙げられる。これらのベクターは、配列番号1に記載のDNAを有するものである。
テロメラーゼ逆転写酵素の発現方法は、特に限定されるものではなく、イン・ビトロトランスレーション法や組換え体による発現法等の如何なる方法を用いても良い。発現産物がテロメラーゼの生理活性を維持していれば、テロメラーゼ活性の測定で真の抗体やその抗体の状況を判断することが可能となる。テロメラーゼの生理学的特徴から、従来のコンストラクションや通常の動物細胞での発現では、機能性のあるテロメラーゼ或いはテロメラーゼ触媒成分hTERTの量的な精製が困難であった。しかし、本発明者等により開発された昆虫細胞を用いる発現方法、中でも下記のコンストラクションおよび調製方法(WO01/57227号公報)を用いれば、生物学的機能を有する物が取得できる。
具体的には、例えば、昆虫細胞を用いてテロメラーゼ逆転写酵素を発現させることによりテロメラーゼ逆転写酵素を合成する工程(以下「合成工程」と称することがある)と、昆虫細胞内で発現されたテロメラーゼ逆転写酵素を、特定の界面活性剤を用いて可溶化する工程(以下「可溶化工程」と称することがある)とを含む方法により調製できる。
合成工程に用いることのできるバキュロウイルスは、通常のバキュロウイルス発現系に用いることのできるバキュロウイルスである限り、特に限定されるものではなく、例えば、カイコガ(Bombyx mori)核多角体病ウイルス(nuclear polyhedrosis virus;以下、「NPV」と称する)(BmNPV)又はカリフォルニアギンウワバ(Autographa californica)NPV(AcNPV)を挙げることができる。
テロメラーゼ逆転写酵素をコードするDNAを含む組換えバキュロウイルスを調製するために使用するバキュロウイルス発現ベクター(すなわち、トランスファーベクター)としては、バキュロウイルス由来のトランスファーベクター、例えば、pVL1392又はpVL1393等を挙げることができる。
合成工程に用いることのできる宿主は、通常のバキュロウイルス発現系に用いることのできる昆虫細胞である限り、特に限定されるものではなく、例えば、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)由来培養細胞、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)由来培養細胞、又はカイコガ(Bombyx mori)由来培養細胞を挙げることができる。
より高い発現量を達成することができる点で、イラクサギンウワバ由来培養細胞が好ましく、イラクサギンウワバの卵細胞に由来する培養細胞がより好ましく、イラクサギンウワバの卵細胞を、Biotechnol.Prog.,8,391−396,1992又はIn Vitro Cell.&Dev.,29A,388−390,1993に記載の方法に従って処理することにより得られる培養細胞が更に好ましく、High5細胞(Biotechnol.Prog.,8,391−396,1992;In Vitro Cell.&Dev.,29A,388−390,1993)が特に好ましい。High5細胞は、例えば、インビトロゲン(Invitrogen)社(商品番号:BTI−TN−5BI−4)から市販されている。
上記トランスファーベクターに、テロメラーゼ逆転写酵素をコードするDNAを導入することにより、テロメラーゼ逆転写酵素をコードするDNAを含むトランスファーベクターを構築した後、常法に従って、前記ベクターとバキュロウイルスとの相同組換えを実施することにより、テロメラーゼ逆転写酵素をコードするDNAを含むバキュロウイルスを調製することができる。
合成工程における感染の際の感染多重度(multiplicity of infection;m.o.i.)は特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜10、好ましくは0.1〜0.3又は5〜10、より好ましくは0.1〜0.3になるように感染を実施することができる。なお、通常のバキュロウイルス発現系においては、5〜10が至適条件であるとされている。
合成工程では、感染後の培養期間も特に限定されるものではないが、例えば、2〜8日間、好ましくは4〜6日間培養を行なうことができる。なお、通常のバキュロウイルス発現系においては、2〜3日間が至適条件であるとされている。
合成工程において昆虫細胞内で発現されたテロメラーゼ逆転写酵素は、不溶性の状態で細胞内に蓄積しており、単に、緩衝液中で細胞を破砕しても、不溶状態のままであって、そのままでは精製操作を実施することはできない。
可溶化工程では、上記合成工程で得られた昆虫細胞、あるいは、その細胞破砕物を、N−D−グルコ−N−メチルアルカンアミドを含有する水溶液(以下「可溶化溶液」と称することがある)で処理することにより可溶化する。可溶化工程で用いるN−D−グルコ−N−メチルアルカンアミドには、n−オクタノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−8)、n−ノナノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−9)、及びn−デカノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−10)が含まれる。
可溶化工程で用いるN−D−グルコ−N−メチルアルカンアミドの濃度は、テロメラーゼ逆転写酵素を可溶化することのできる濃度である限り、特に限定されるものではないが、例えば、0.5〜2重量%、好ましくは0.5〜1重量%であることができる。
上記可溶化溶液は、所望により、塩、プロテアーゼ阻害剤、還元剤、及び/又はグリセロールなどを更に含有することができる。ここで、塩としては、タンパク質精製に一般に用いられる塩、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物を挙げることができる。プロテアーゼ阻害剤としては、例えば、フェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、ロイペプチン、ペプスタチン、アンチパイン、フェナンスロリン、又はベンズアミドを挙げることができる。また、還元剤としては、例えば、ジチオトレイトール(DTT)又は2−メルカプトエタノールを挙げることができる。
可溶化溶液における塩、プロテアーゼ阻害剤、還元剤、グリセロール等の濃度は、テロメラーゼ逆転写酵素を可溶化することのできる濃度である限り、特に限定されるものではない。また、可溶化溶液のpHは、テロメラーゼ逆転写酵素の生物学的活性を消失することのないpHである限り、特に限定されるものではないが、中性付近のpH(例えば、pH7.2〜7.8)であることが好ましい。
可溶化工程において、可溶化の対象である昆虫細胞又はその細胞破砕物を、前記可溶化溶液で処理する方法は、前記可溶化対象物に含まれるテロメラーゼ逆転写酵素を可溶化することができる限り、特に限定されるものではない。
例えば、可溶化対象物が懸濁液である場合には、その懸濁液と可溶化溶液とを一緒にした後、充分に混合することにより行なうことができる。また、可溶化対象物が固形物(例えば、遠心した後、上清を除去することにより得られる沈殿物)である場合には、その固形物と可溶化溶液とを一緒にした後、充分に混合することにより行なうことができる。
上記可溶化工程により得られた溶液には、可溶化されたテロメラーゼ逆転写酵素が含まれている。この溶液をそのままテロメラーゼ逆転転写酵素含有画分として用いることもできるし、あるいは、公知のタンパク質精製方法(例えば、硫安塩析、クロマトグラフィー、透析、及び/又は凍結乾燥等)を用いて、更にテロメラーゼ逆転写酵素を精製することもできる。
テロメラーゼ逆転写酵素の精製には、それ自体既知の上記タンパク質精製方法以外にも、例えば、ヘパリンセファロース又はポリ(U)−セファロースを用いるアフィニティークロマトグラフィーを用いることができる。
テロメラーゼ逆転写酵素の調製において、合成工程で得られた昆虫細胞又はその細胞破砕物に対して、予備処理(例えば、部分精製処理)を実施することなく、そのまま、可溶化工程を実施することもできるし、あるいは、昆虫細胞の細胞破砕物を部分精製処理することにより得られた細胞破砕物に関して分画処理を行ない、得られた画分に対して、可溶化工程を実施することもできる。可溶化工程に先だって、適当な部分精製処理を実施すると、可溶化工程により得られるテロメラーゼ逆転転写酵素含有溶液に対して実施する精製操作を省略又は簡略化することができる。
例えば、合成工程で得られた昆虫細胞を破砕した後、その細胞破砕物を遠心して上清を除去し、残った沈澱に対して、可溶化工程を実施することができる。この場合には、細胞破砕物に含まれていた可溶性タンパク質が、前記上清と一緒にほとんど除去されるので、前記沈澱を可溶化処理して得られるタンパク質画分(テロメラーゼ逆転写酵素を含む画分)を更に精製する際に、可溶性タンパク質を分離する操作を省略又は簡略化することができる。
あるいは、合成工程で得られた昆虫細胞を破砕した後、その細胞破砕物を遠心して第1の上清を除去し、残った第1の沈澱を、N−D−グルコ−N−メチルアルカンアミド以外の界面活性剤(例えば、トリトンX−100、NP−40、又はCHAPS(3−[(3−Cholamidopropyl)dimethyl−ammonio]propanesufonic acid))を含む緩衝液で処理した後、再び、遠心して第2の上清を除去し、残った第2の沈澱に対して、可溶化工程を実施することができる。この場合には、細胞破砕物に含まれていた可溶性タンパク質が前記第1の上清と一緒にほとんど除去され、続いて、前記第1の沈澱に残っていた前記界面活性剤により可溶化するタンパク質も前記第2の上清と一緒にほとんど除去されるので、前記第2の沈澱を可溶化処理して得られるタンパク質画分(テロメラーゼ逆転写酵素を含む画分)を更に精製する際に、可溶性タンパク質及び前記界面活性剤により可溶化するタンパク質を分離する操作を省略又は簡略化できる。
このようにして得られたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)と、別に調製した鋳型RNA(RT)とを、例えば、イン・ビトロで一緒にすることにより、テロメラーゼを再構成することができる。かくして、生物学的機能を有するテロメラーゼ逆転写酵素を調製することができる。
本発明の抗テロメラーゼ抗体の検出方法は、前記の通り、少なくともテロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片と、生体試料中の抗テロメラーゼ抗体とを反応せしめ、反応生成物を解析することを特徴とするものである。
抗体の検出に用いることができる生体試料としては、全血、血清、血漿、腹水、胸水、脊髄液、組織や細胞およびそれらの培養物、尿等が挙げられる。
抗テロメラーゼ抗体の検出に用いられる抗原としては、上記の通り、少なくともテロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片が挙げられる。これらの中で、テロメラーゼ逆転写酵素又はその部分断片がより好ましい。また、抗原として用いるテロメラーゼ逆転写酵素は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するものが特に好ましい。
上記抗原と生体試料に加えて、生体試料中の抗テロメラーゼ抗体とを反応せしめ、その反応生成物を解析、即ち反応生成物を検出又は定量する方法としては、それ自体既知の通常用いられる免疫学的な検出又は定量法が用いられる。
免疫学的検出又は定量法としては、免疫酵素抗体法[Enzyme Linked Immunosorbent Assay(ELISA)]、放射性物質標識免疫抗体法(RIA)、ウェスタンブロッティング法、ドットブロッティング法、免疫沈降法、赤血球凝集反応法、ラテックス凝集反応法、リポソーム凝集法等が挙げられる。また、抗原に対しての抗体の結合を非ラベルで表面プラズモン共鳴や水晶発振機を用いて直接的に検出する方法等も用いることができる。さらには、生体試料、例えば血清や尿の前処理を行うことにより一層感度を上げることができる。抗体の検出又は定量は、たとえば最終的な反応を酵素反応、蛍光、化学発光、放射能等からの信号を検出又は定量することにより行えばよい。これらの方法は、例えば単クローン抗体実験マニュアル(講談社サイエンティフィック、1987年)、続生化学実験講座5免疫生化学研究法(東京化学同人、1986年)の記載に準じて容易に実施することができる。
具体的には、例えば、免疫酵素抗体法(ELISA)とは、上記抗原と生体試料中の抗テロメラーセ抗体を反応させ、反応生成物に、さらにペルオキシダーゼ、ビオチンなどの酵素標識などを施した抗体あるいは結合断片を反応させた後、発色色素を吸光光度計で測定する方法である。
放射性物質標識免疫抗体法(RIA)とは、上記抗原と生体試料中の抗テロメラーゼ抗体を反応させ、さらに反応生成物に、放射線標識を施した抗体あるいは結合断片を反応させた後、シンチレーションカウンターなどで測定する方法である。
ウェスタンブロッティング法とは、上記抗原をPVDF膜あるいはニトロセルロース膜等にブロッティングし、該膜に生体試料を添加して抗テロメラーゼ抗体と反応させ、さらに反応生成物に、FITCなどの蛍光物質、ペルオキシダーゼ、ビオチンなどの酵素標識を施した抗体あるいは結合断片を反応させた後、確認する方法である。
上記した本発明の方法を用いて、ヒト血中の抗テロメラーゼ抗体を解析した結果、担癌患者、自己免疫疾患の患者では健常者に比し、有意に血中抗テロメラーゼ抗体が高値であることが本発明者等により始めて確認された。従って、血中抗テロメラーゼ抗体は、各種の疾患のマーカー、例えば腫瘍マーカー、自己免疫疾患マーカーとなり得ると考えられる。また、生体試料中の抗テロメラーゼ抗体を検出又は定量し、健常者の値と比較し、例えば健常者より有意に高値である場合は、例えば、発癌状態、自己免疫疾患である可能性があると判定できる。
上記した本発明の抗テロメラーゼ抗体の検出法に用いる試薬キットは、少なくとも抗原としてテロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片を含み、通常の免疫反応を利用したキットと同様の構成によって提供される。抗原としては、テロメラーゼ逆転写酵素又はその部分断片が好ましい。また、抗原として用いるテロメラーゼ逆転写酵素は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するものが特に好ましい。本発明の試薬キットは、少なくとも上記抗原を含み、さらに任意の要素として、試料希釈液、洗浄液、標識化抗体、色素、陽性コントロール用の抗体等を含んでいてもよい。
実施例
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:FLAG−hTERT融合タンパク質の調製
(1)プラスミドの構築
hTERTのcDNA(配列番号1)を含むプラスミドpCI−Neo−hTERT(J.Biol.Chem.,275;22568−22573(2000))を、制限酵素EcoRI及び制限酵素SalIで切断することにより、上記hTERT−cDNAを含むEcoRI/SalI−DNA断片を得た。このEcoRI/SalI−DNA断片を、プラスミドpNKFLAGZのEcoRI−SalI部位に挿入することにより、プラスミドpNKFLAG−hTERTを構築した。前記プラスミドpNKFLAGZは、プラスミドpNKFLAG(J.Biol.Chem.,273,15479−15486,1998)のFLAG配列cDNAの3’端がイン・フレーム(in frame)となってEcoRIとSalI部位に接続する配列に改変したものである。
得られたプラスミドpNKFLAG−hTERTは、hTERTのN末端にFLAGペプチドが標識されたFLAG−hTERT融合タンパク質(FLAG標識hTERT)をコードするDNAを含む。
上記プラスミドpNKFLAG−hTERTを、制限酵素NotI及び制限酵素BglIIで切断することにより、FLAG−hTERT融合タンパク質をコードするDNAを含むNotI/BglII−DNA断片を得た。このNotI/BglII−DNA断片を、バキュロウイルストランスファーベクターpVL1393(Pharmingen社)のNotI−BglII部位に挿入することにより、プラスミドpBYK−FLAG−hTERTを構築した。
(2)組換え型バキュロウイルスの作成
組換え型バキュロウイルスの作成は、市販のキット[BaculoGoldスターターパッケージ(Sf9昆虫細胞及びBaculoGold線状化バキュロウイルスDNAを含む);Pharmingen社]を用いて、以下の手順で実施した。
すなわち、10%のウシ胎児血清を添加したTNM−FH昆虫細胞培養液(シグマ社)中で、Sf9細胞を懸濁培養した後、トランスフェクションの30分前に、9cm2シャーレ当たり106個になるようにSf9細胞をシャーレに蒔種した。続いて、前記キットに添付の説明書に従って、上記実施例1(1)で調製したプラスミドpBYK−FLAG−hTERT(2.5μg)と、BaculoGold線状化バキュロウイルスDNA(0.25μg)との混合液を用いて、共トランスフェクションを行なった。共トランスフェクションを実施した後、27℃で5日間培養し、その培溶液上清を回収した。回収した培養液上清とSf9細胞とを用いて、FLAG−hTERT融合タンパク質を発現する組換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株の増幅を行なった。Sf9細胞を用いたウイルスの力価の測定は、キットに添付の説明書に基づいて実施した。以下の実験には、高力価(1.0×107pfu/mL以上)の組換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株を使用した。組み換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株は、4℃保存下で約6か月以上は安定であり、その後、ウイルスの力価は減少した。
(3)種々の昆虫細胞におけるFLAG−hTERT融合タンパク質の発現量の評価
昆虫細胞として、実施例1(2)で用いたのと同じSf9細胞と、High5細胞(Invitrogen社)とを用いて、FLAG−hTERT融合タンパク質の発現レベルを比較した。Sf9細胞の培地としては、前記実施例1(2)で用いたのと同じ10%ウシ胎児血清含有TNM−FH昆虫細胞培養液を使用し、High5細胞の培地としては、市販の培地(High Five無血清培地;Invitrogen社)に10%ウシ胎児血清を添加したものを使用した。前記実施例1(2)で調製した組換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株を、感染多重度(m.o.i.)が2となるように感染させ、感染後、27℃で3日間培養した。
(4)感染多重度(m.o.i.)及び感染後の培養時間の各至適条件の決定
昆虫細胞としてHigh5細胞を用いて、感染多重度(m.o.i.)及び感染後の培養時間の各至適条件を決定した。
一般的に、組み換え型バキュロウイルスの感染時の感染多重度は、5〜10が至適であるとされている。しかし、異なる感染多重度で組換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株を感染させた場合、FLAG−hTERT融合タンパク質の発現量は、感染時の感染多重度が0.2の条件において、感染多重度が5〜10の場合と同程度であるか、あるいは、より高かった。感染多重度が0.2より更に低い0.1〜0.02となった場合には、FLAG−hTERT融合タンパク質の収量が低下したので、最適な感染多重度は約0.2近辺と思われた。
感染多重度が0.2となるように感染させた後、48時間、72時間、96時間、120時間、又は144時間培養した各昆虫細胞の全細胞抽出液をSDS−PAGE法により分画し、CBBにより染色した。その結果、FLAG−hTERT融合タンパク質の発現レベルが最高となるのは、感染後4〜6日後であった。
(5)FLAG−hTERT融合タンパク質の発現及び精製
市販の培地(High Five無血清培地;Invitrogen社)で培養したHigh5昆虫細胞(Invitrogen社)を、1.0×107個になるように5×25cm2シャーレに蒔種した後、実施例1(2)で調製した組換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株を、感染多重度(m.o.i.)が0.2となるように感染させた。感染後、27℃で5日間培養した。
感染後、5日間培養した前記細胞をシャーレから剥がし、リン酸緩衝化生理食塩水[以下、「PBS(−)」と称する]に懸濁し、4,000回転で10分間遠心した。
以下、本工程の全ての操作は4℃で行ない、使用した全ての緩衝液には、1mmol/Lフッ化フェニルメチルスルフォニル(シグマ社)、10mg/mLペプスタチンA(シグマ社)、10mg/mLロイペプチン(シグマ社)、10mg/mLアプロチニン(BOEHRINGER MANNHEIM社)、10mg/mLフェナンスロリン(Sigma)、16mg/mLベンズアミド(Sigma)、及び1mmol/Lジチオスレイトール(Nakarai社)を添加した。また、コントロールとして、組換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株非感染の昆虫細胞についても、同様の精製操作を実施した。
遠心により回収した前記細胞を、PBS(−)で一度洗浄した後、バッファーA[20mmol/L−Tris−HCl(pH7.5),20%グリセロール,0.1%ノニデット(Nonidet)P−40,150mmol/L塩化ナトリウム,10mmol/L−β−メルカプトエタノール]5mLに懸濁し、超音波破砕(10秒間)を3回行なった。10,000gで10分間遠心した後に、上清(以下、「S1画分」と称する)を分取し、沈降物を再びバッファーA(5mL)に懸濁した。
上記懸濁液を10,000gで10分間遠心した後に、上清(以下、「S2画分」と称する)を分取し、沈降物をライシス(lysis)バッファーB[20mmol/L−Tris−HCl(pH7.5),50%グリセロール,0.5%MEGA−9,500mmol/L塩化ナトリウム,10mmol/L−β−メルカプトエタノール]1mLに懸濁し、超音波破砕(10秒間)を3回行なった。
得られた懸濁液を、再び、10,000gで10分間遠心した後、上清(以下、「S3画分」と称する)を分取し、残った沈降物をライシスバッファーC[20mmol/L−Tris−HCl(pH7.5),50%グリセロール,0.5%MEGA−9,1000mmol/L塩化ナトリウム,10mmol/L−β−メルカプトエタノール]1mLに懸濁し、超音波破砕(10秒間)を3回行なった。
得られた懸濁液を、10,000gで10分間遠心した後、上清(以下、「S4画分」と称する)を分取し、先に分取したS3画分と、このS4画分とを一緒にした。この混合液を、バッファーD[20mmol/L−Tris−HCl(pH7.5),50%グリセロール,0.5%MEGA−9,1mmol/Lジチオトレイトール(DTT)]を用いて、塩化ナトリウムの最終濃度が300mmol/Lになるように希釈した(以下、「S5画分」と称する)。
このS5画分を、バッファーE[20mmol/L−Tris−HCl(pH7.5),50%グリセロール,0.5%MEGA−9,300mmol/L塩化ナトリウム,1mmol/L−DTT]で平衡化したDNAセファロース(LKB Pharmacia社)カラム(1.0mLパック量)に通した。その通過液画分を、前記バッファーEで平衡化したヘパリン−セファロースCL−6B及びセファロースCL−6B混合物(ヘパリン−セファロースCL−BとセファロースCL−6Bとを1:1の重量比で混合したもの:以下、単に「ヘパリン−セファロース」と称する)1mLと混合し、4℃で3〜4時間回転撹拌を行なった。
ヘパリン−セファロースに結合したタンパク質を低速遠心で回収した後、バッファーEで洗浄し、バッファーB(2mL)で溶出することにより、FLAG−hTERT融合タンパク質の精製品を得た。タンパク質を定量するために、SDS−PAGE法で分画し、CBBで染色した。タンパク質濃度を測定する標準標品としては、牛血清アルブミン(Sigma社)を用いた。
得られた各画分をSDS−PAGE法(ゲル濃度=8%)で分画した後、CBB染色又は抗FLAGモノクローナル抗体を用いるウエスタンブロットを行ない、FLAG−hTERT融合タンパク質の検出を行った。
その結果、昆虫細胞のタンパク質の殆どは、低濃度のNP−40、グリセリン、及び塩化ナトリウムを含む緩衝液(バッファーA)で溶出された(S1画分及びS2画分)。一方、FLAG−hTERT融合タンパク質は、MEGA−9及び高塩濃度を含む緩衝液(ライシスバッファーB)を用いた場合にのみ、効率的に溶出された(S3画分)。
実施例2:テロメラーゼのイン・ビトロ再構成及びテロメラーゼ活性の測定
(1)テロメラーゼのイン・ビトロ再構成
実施例1で調製した組換え型FLAG−hTERT融合タンパク質が、ヒトテロメラーゼの触媒活性を有することを直接的に証明するために、前記FLAG−hTERT融合タンパク質と、精製したヒトテロメアRNA(hTR)とが、イン・ビトロで再構成してテロメラーゼ活性を示すかどうかを評価した。なお、テロメラーゼ活性は、異なる2種類の方法、すなわち、市販のキット(TeloChaser;東洋紡)を用いるテロメア反復配列増幅プロトコール法(Telomere Repeat Amplification Protocol Assay;以下、「TRAPアッセイ」と称する)と、市販のELISAテロメラーゼ測定キット(TRAPEZEキット;Intergen社)を用いるTRAP−ELISA法とにより実施した。2種類の前記方法の内、後者のTRAP−ELISA法は、テロメラーゼ活性を相対的活性として定量化することが可能である。
まず、hTR−cDNAを含むプラスミドpGRN164(Science,269,1236−1241,1995)を鋳型として、T7RNAポリメラーゼを用いるイン・ビトロ転写系により、hTRを合成した。
得られたhTRと、前記実施例1で調製したFLAG−hTERT融合タンパク質とを、種々の量で、再構成緩衝液A[最終濃度:10mmol/L−HEPES(pH8.0),100mmol/L塩化ナトリウム,25%グリセリン,1mmol/L塩化マグネシウム,3mmol/L塩化カリウム,0.1mmol/Lフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF),1mmol/L−DTT,10U/μlリボヌクレアーゼインヒビター(RNasin)]20μl中で、10分間反応させる(温度=33℃)ことにより、イン・ビトロ再構成を行なった。
(2)TRAPアッセイによるテロメラーゼ活性の測定
市販のキット(TeloChaser;東洋紡)を用いてTRAPアッセイを行った。なお、TRAPアッセイは、前記キットに添付の説明書に従って実施し、得られたPCR産物を、10%ポリアクリルアミドゲルを用いる電気泳動により分画した後、染色試薬[SYBR Green I;Molecular Probes社]で可視化した。
その結果、テロメラーゼ活性は、FLAG−hTERT融合タンパク質とhTRとを加えた場合にのみ観察され、FLAG−hTERT融合タンパク質のみではテロメラーゼ活性を示さなかった。この結果は、この2成分の機能的再構成によりテロメラーゼ活性が観察されたことを明示する。また、この結果は、hTERTとhTRとがテロメラーゼ活性に充分で最少限の成分であることを明らかに示した。
さらに、FLAG−hTERT融合タンパク質(120ng)とhTR(200ng)とを用い、上記(1)に記載の方法に準じて、異なる反応時間でイン・ビトロ再構成を行い、TRAPアッセイを実施した。
その結果、33℃の条件下において、テロメア合成は約10分後に観察され、その後、1時間は見かけ上直線的に持続した。プライマーと基質なしに前もって33℃処理を行なった場合も、同様のテロメア合成の潜伏時間が観察されたことは、プライマーと基質が加えられた後にFLAG−hTERT融合タンパク質の重要な構造変換が起きることを示唆している。
FLAG−hTERT融合タンパク質の触媒活性は、30℃〜37℃の間で、pHは8.0近傍で最高であり、3mmol/Lのマグネシウムイオンを要求した。TIG3細胞抽出液を用いた相補実験でFLAG−hTERT融合タンパク質によるテロメラーゼ活性の反応でも、同一の至適条件であった。
(3)TRAP−ELISA法によるテロメラーゼ活性の測定
上記(2)で実施したTRAPアッセイは、感度が良いが、テロメラーゼの定量には適さないので、異なった量比のFLAG−hTERT融合タンパク質とhTRとの存在下でイン・ビトロで再構成されたテロメラーゼ活性の定量を、市販のキット(TRAPEZEキット;Intergen社)を用いるTRAP−ELISA法により行なった。TRAP−ELISA法は、キットに添付の説明書に従って、以下に示す手順で実施した。
すなわち、イン・ビトロ再構成を、再構成緩衝液B[最終濃度:10mmol/L−HEPES(pH8.0),100mmol/L塩化ナトリウム,25%グリセリン,1mmol/L塩化マグネシウム,3mmol/L塩化カリウム,0.1mmol/L−PMSF,1mmol/L−DTT,10U/μl−RNasin,2ng/μl−TS−プライマー,1mmol/L未標識dATP,1mmol/L未標識dTTP,0.1mmol/L未標識dGTP,0.1μCi/nL[α−32P]標識dGTP(800Ci/mmol;Amersham Pharmacia Biotech社)]20μl中で、33℃で1時間行なった後、反応液中の10μlを採取してDE81フィルターにスポットし、続いて、フィルターを洗浄し、フィルターに結合した放射能を既に報告されている方法に従って測定した。
その結果、テロメラーゼ活性は、FLAG−hTERT融合タンパク質及びhTRの2成分が当モル比の場合に最高であった。このことは、2成分の効率的な複合体形成を示唆している。
以上の通り、FLAG−hTERT融合タンパク質は、テロメラーゼ活性を有することが確認された。
実施例3;血中抗ヒトテロメラーゼ抗体の検出(1)
(1)患者および使用血清
総数83人(年齢40〜82歳)の患者血清および健常者血清を用いて、抗体の検出を行った。これらには肝細胞癌30症例、16症例の肝硬変、7症例の慢性肝炎と、悪性疾患12症例を含む。なお、対象コントロールとして健常人ボランティア18人の血清を使用した。なお、採血に際しては、インフォームドコンセントを、書面を用いて得た。患者群と健常人群との間で、年齢性別による有意な差異は認められなかった。
(2)hTERTタンパク質
実施例1で調製した組換え型精製hTERT(FLAG−hTERT)を抗原として用いて、抗体の検出を行った。
(3)ウエスタンブロティング
ウエスタンブロティングは、常法に従って行い、陽性コントロールとして抗FLAG M2モノクローナル抗体(シグマ社)を用いた。患者由来血清由来の分画蛋白の抗hTERT抗体をウエスタンブロティング法により次の通り検出した。
トランスファー(転写)蛋白をTBST(Tris−HCl,pH 7.4,150mM NaCl,1%Tween20)で50倍希釈した患者血清で30分反応後、20分洗浄した。その後、TBSTで1000倍希釈したHRP(horseradish peroxidase)コンジュゲートIgG(アマシャム社NA933)で20分間反応させた。
(4)精製蛋白による患者血清の吸収実験
患者血清(100μl)に対し35μgの精製hTERT(FLAG−hTERT)を加え、2時間室温で反応させ、10,000xGで10分遠心し、HRPを用いたウエスタンブロッティングを行った。
(5)ELISA
96wellプレート(ヌンク社)に0.2μgのC末FLAGhタグのTERT(FLAG−hTERT)を4℃オーバーナイトでインキュベーションしてコーティングした。ブロッキングは、プレートに100μlの1%BSAを含むブロッキングバッファー((9.6mM PBS,pH7.3,1%BSA、以下「PBSB」と略す)を加え、37℃1時間で行った。吸光度測定のための反応は、PBSBで1:100に希釈した患者血清100μlを各ウエルに加え、1時間37℃でインキュベーションした。5回洗浄後、PBSBを用い1:2000に希釈した100μlのHRPコンジュゲート抗ヒトIgGを各ウエルに添加した。プレートを洗浄後、ABTS基質(2,2’−Azinobis(3−ethylbenzothiazoline−6−sulfonic Acid;A.B.T.S.from Nakarai ELISA POS Substrate A.B.T.S Kit、Code 14351−80)を加え、マイクロタイタープレートリーダー、405nmフィルターで測定した。
(6)統計解析
全てのデーターは平均値±標準誤差で表示した。統計解析はStudentT検定とχ2テストを用いた。
(7)結果
癌患者における抗hTERT抗体の検出は、精製hTHER(FLAG−hTERT)を用いて行った。まず最初に、患者血清を用いて精製蛋白をウエスタンブロッティングによって検出した。患者血清の反応は約127kDaの精製蛋白に特異的な反応が認められた。一方、健常人血清での反応では検出されなかった。この患者血清中の反応は精製hTERTを添加する事で吸収された。この結果はウエスタンブロッティングによる癌患者由来血清のシグナルが特異的であることを示している。
次に、ELISA法で血清のスクリーニングとStudentT検定とχ2テストによる統計解析を行った。抗M2と抗マウスIgG抗体の濃度により濃度依存的に吸光度が増加したことから、抗原とM2抗体の反応が特異的で有ることが判明した。
肝細胞癌30症例、肝硬変16症例、慢性肝炎7症例、健常人18例および他の悪性疾患(癌)12症例の吸光度(OD)は、それぞれ0.365±0.021、0.325±0.019、0.256±0.020、0.239±0.013および0.319±0.027であった(図1)。肝癌と健常人、他の悪性疾患と健常人の差違は統計的に有意であった(それぞれP<0.0001およびP<0.01)(図1)。さらにhTERTに対する自己抗体量は慢性肝疾患における病状の進行度に対応して増加した。対照的に、無関係な蛋白であるウシ血清アルブミン(BSA)に対する抗体は、患者並びに健常人血清中に見いだされなかった。
同一患者における異なる時期でのhTERT抗体力価を測定し、これらの患者の中で非癌状態から癌のステージまでの間での変化を検討した。肝硬変段階に患者がある時は、かすかなバンドの検出が認められ、この抗hTERT抗体のシグナルは患者が肝癌に進行した後において増加した。この結果は、少なくともある患者においてはhTERTに反応する新規の免疫反応が悪性化の過程において生じており、それは循環抗hTERT自己抗体として検出される事を示唆している。
実施例4;血中抗ヒトテロメラーゼ抗体の検出(2)
自己免疫疾患患者10名での抗hTERT抗体の測定値を、健常人9例の抗体の測定値と比較検討した。
採血に際しては、実施例3(1)と同様にインフォームドコンセントを、書面を用いて得た。抗hTERT抗体の測定は、実施例3(5)と同様に、ELISA法で行い、同様に統計解析を行った。その結果、自己免疫疾患患者が高い抗hTERT抗体価を有していた。すなわち健常人が0.286±0.022であるのに対して、自己免疫疾患患者では0.503±0.074であり、自己免疫疾患患者で有意に高値であった(図2)。このことは肝疾患、肝癌のみならず、他の疾患でも抗hTERT自己抗体を測定することが可能で、かつ病態を反映する情報が得られることを示している。
産業上の利用可能性
本発明により、生体試料中の抗テロメラーゼ抗体の検出法が提供される。本発明の方法を用いて、例えば患者血清の抗テロメラーゼ抗体を検出することにより、各種の疾患、例えば肝癌等の癌、自己免疫疾患等の検出が可能となる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2001年12月21日の日本特許出願(特願2001−390050号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。また、本明細書にて引用した文献の内容もここに参照として取り込まれる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例3における、血中抗ヒトテロメラーゼ抗体の検出結果を示す図である。図中、HCCは肝細胞癌、LCは肝硬変、CHは慢性肝炎、Normalは健常人、Othersは他の悪性疾患(癌)を示し、nは症例数を示す。
図2は、実施例4における、血中抗ヒトテロメラーゼ抗体の検出結果を示す図である。図中、ANA positiveは抗核抗体陽性患者(自己免疫疾患患者)、Normalは健常人を示す。
本発明は、抗テロメラーゼ抗体の検出方法に関する。
背景技術
テロメアは、真核細胞の線状染色体末端の特殊な構造であり、染色体長の維持と染色体の安定性の維持に必須の役割を果たしている。テロメア構造は、テロメア反復配列と呼ばれるTTAGGG配列が反復されてなる染色体の末端領域と、特異なDNA結合タンパク質とから構成される。テロメア配列部分のDNA複製は、通常の染色体複製とは異なり、テロメラーゼと呼ばれるRNAタンパク質複合体によるRNA依存DNA合成反応すなわち逆転写により行われる。
テロメラーゼは、正常細胞ではその活性が厳密に抑制されているが、癌細胞の90%以上で活性が認められる。テロメラーゼ活性の律速因子であると同時にテロメラーゼ触媒成分であるテロメラーゼ逆転写酵素は、正常細胞への導入で細胞の不死化を誘導し、ある種の癌遺伝子との共導入により正常上皮細胞の悪性形質転換を引き起こす。この様に、テロメラーゼ逆転写酵素は、細胞の不死化と癌化に強い関わりがある。また、臨床的にも肝細胞においては前癌病変から癌に至る過程で有意にテロメラーゼ逆転写酵素の発現が上昇していることが報告されており、臨床的にも分子生物学的にも発癌過程におけるテロメラーゼ逆転写酵素の重要性が示唆されている。
テロメラーゼは特異的逆転写酵素である。ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(以下これを「hTERT」と略称することがある)はテロメラーゼの触媒活性サブユニットとして同定され、その活性には鋳型RNAとしてヒトテロメラーゼRNAサブユニット(以下これを「hTR」と略称することがある)を必要とすることが知られている。しかし、これまで組換え型精製hTERTとhTRを用いたイン・ビトロ再構成系が報告されていなかったため、hTERTとhTRのみがテロメラーゼ活性の必要最少成分であるかどうか明らかではなかった。
本発明者等は先に、昆虫細胞発現系を用いて、可溶性組換え型hTERTの発現・精製を行い、組換え型精製hTERTを生化学的な方法を用いて分画し、約127KDaの単一バンドとして精製した。精製hTERTは、イン・ビトロで合成され精製したhTRの存在下で量依存的なテロメラーゼ活性を示した。またhTRプローブとしたゲルシフトアッセイ(EMSA)で、hTERTはhTRと量依存的に特異的複合体を形成することが示された。これらの結果より、hTERTとhTRの二つのサブユニットがテロメラーゼ活性の最少成分であることがイン・ビトロ再構成系で確認された(J.Biol.Chem.,275;22568−22573(2000))。
発明の開示
本発明は、生物学的機能を有する組換え型ヒトテロメラーゼ逆転写酵素の臨床応用、例えば該組換え型ヒトテロメラーゼ逆転写酵素を抗原として用いる血中抗テロメラーゼ抗体の検出方法等の提供を目的としてなされたものである。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、担癌患者では、健常人と比較し、有意に血中抗ヒトテロメラーゼ抗体が高値であることを見出した。また、慢性肝疾患患者の血中抗ヒトテロメラーゼ抗体は、慢性肝炎、肝硬変、肝癌と、病気が進行するに従い、有意に上昇することを見出した。また、他の疾患での検討を行ったところ自己免疫疾患患者において高い抗体反応性が見出された。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
即ち、本発明によれば、(1)テロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片と、生体試料中の抗テロメラーゼ抗体とを反応せしめ、反応生成物を解析することを特徴とする抗テロメラーゼ抗体の検出方法が提供される。
この発明の好ましい態様により、(2)テロメラーゼを構成するタンパク質が、テロメラーゼ逆転写酵素である上記(1)に記載の方法;(3)反応生成物の解析が、ウエスタンブロッティング法又は免疫酵素抗体法により行われる上記(1)又は(2)に記載の方法;(4)抗テロメラーゼ抗体の検出結果を疾患マーカーとして用いる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法;(5)疾患マーカーが、腫瘍マーカーである上記(4)に記載の方法、(6)疾患マーカーが、自己免疫疾患マーカーである上記(4)に記載の方法が提供される。
また、本発明の別の態様により、(7)少なくともテロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片を含んでなる上記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法を行うための試薬キットが提供される。
この発明の好ましい態様により、(8)テロメラーゼを構成するタンパク質が、テロメラーゼ逆転写酵素である上記(7)に記載の試薬キットが提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明で抗原として用いられるテロメラーゼは、抗テロメラーゼ抗体と反応し得るものであれば如何なる由来のものでも良いが、具体的には、テロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片が挙げられる。テロメラーゼは、テロメア反復配列を複製し得る能力を有するものであれば、如何なるものでも用いることができる。テロメラーゼを構成するタンパク質としては、例えばテロメラーゼ逆転写酵素が挙げられ、この逆転写酵素を抗原として用いるのが好ましい。テロメラーゼ逆転写酵素としては、例えばMatthew Meyerson et al.,Cell,Vol.90,785−795,August 22,1997に記載されている配列を有するものが挙げられる。これらの中で、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するものが特に好ましい。
ここで、本明細書における「テロメラーゼ逆転写酵素」には、生物(動物、植物、及び微生物を含む)由来の天然のテロメラーゼ逆転写酵素(すなわち、鋳型RNA(TR)と一緒になってテロメラーゼを構成するタンパク質であって、しかも、鋳型RNA(TR)の存在下において逆転写触媒活性を有し、テロメア反復配列を複製する能力を有するタンパク質)が含まれる。また、例えば、それらの機能的等価改変体[すなわち、天然のテロメラーゼ逆転写酵素のアミノ酸配列において1又はそれ以上(好ましくは1又は数個)のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、しかも、天然テロメラーゼ逆転写酵素と同じ機能を有するタンパク質]、あるいは、天然のテロメラーゼ逆転写酵素の部分断片、機能的等価改変体の部分断片、あるいは、天然のテロメラーゼ逆転写酵素又はそれらの機能的等価改変体と融合用パートナー(例えば、検出用タンパク質、例えばFLAGペプチド又はグルタチオン−S−トランスフェラーゼ)との融合タンパク質等が含まれる。
抗原として用いるテロメラーゼ逆転写酵素は、それをコードするDNAを適当な発現ベクターに導入し、該ベクターを有する形質転換体を培養して、タンパク質を発現させることにより調製できる。
該DNAのベクターへの導入は、それ自体既知の通常用いられる方法、例えばChristopher M.Counter et al.,Oncogene(1998)16,1217−1222に記載されている方法により行うことができる。かくして調製されるテロメラーゼ逆転写酵素をコードするDNAを有するベクターとして、例えばpCI−neo−hTERT−HA(Oncogene(1998)16,1217−1222)、pCI−Neo−hTERT(J.Biol.Chem.,275;22568−22573(2000))等が挙げられる。これらのベクターは、配列番号1に記載のDNAを有するものである。
テロメラーゼ逆転写酵素の発現方法は、特に限定されるものではなく、イン・ビトロトランスレーション法や組換え体による発現法等の如何なる方法を用いても良い。発現産物がテロメラーゼの生理活性を維持していれば、テロメラーゼ活性の測定で真の抗体やその抗体の状況を判断することが可能となる。テロメラーゼの生理学的特徴から、従来のコンストラクションや通常の動物細胞での発現では、機能性のあるテロメラーゼ或いはテロメラーゼ触媒成分hTERTの量的な精製が困難であった。しかし、本発明者等により開発された昆虫細胞を用いる発現方法、中でも下記のコンストラクションおよび調製方法(WO01/57227号公報)を用いれば、生物学的機能を有する物が取得できる。
具体的には、例えば、昆虫細胞を用いてテロメラーゼ逆転写酵素を発現させることによりテロメラーゼ逆転写酵素を合成する工程(以下「合成工程」と称することがある)と、昆虫細胞内で発現されたテロメラーゼ逆転写酵素を、特定の界面活性剤を用いて可溶化する工程(以下「可溶化工程」と称することがある)とを含む方法により調製できる。
合成工程に用いることのできるバキュロウイルスは、通常のバキュロウイルス発現系に用いることのできるバキュロウイルスである限り、特に限定されるものではなく、例えば、カイコガ(Bombyx mori)核多角体病ウイルス(nuclear polyhedrosis virus;以下、「NPV」と称する)(BmNPV)又はカリフォルニアギンウワバ(Autographa californica)NPV(AcNPV)を挙げることができる。
テロメラーゼ逆転写酵素をコードするDNAを含む組換えバキュロウイルスを調製するために使用するバキュロウイルス発現ベクター(すなわち、トランスファーベクター)としては、バキュロウイルス由来のトランスファーベクター、例えば、pVL1392又はpVL1393等を挙げることができる。
合成工程に用いることのできる宿主は、通常のバキュロウイルス発現系に用いることのできる昆虫細胞である限り、特に限定されるものではなく、例えば、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)由来培養細胞、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)由来培養細胞、又はカイコガ(Bombyx mori)由来培養細胞を挙げることができる。
より高い発現量を達成することができる点で、イラクサギンウワバ由来培養細胞が好ましく、イラクサギンウワバの卵細胞に由来する培養細胞がより好ましく、イラクサギンウワバの卵細胞を、Biotechnol.Prog.,8,391−396,1992又はIn Vitro Cell.&Dev.,29A,388−390,1993に記載の方法に従って処理することにより得られる培養細胞が更に好ましく、High5細胞(Biotechnol.Prog.,8,391−396,1992;In Vitro Cell.&Dev.,29A,388−390,1993)が特に好ましい。High5細胞は、例えば、インビトロゲン(Invitrogen)社(商品番号:BTI−TN−5BI−4)から市販されている。
上記トランスファーベクターに、テロメラーゼ逆転写酵素をコードするDNAを導入することにより、テロメラーゼ逆転写酵素をコードするDNAを含むトランスファーベクターを構築した後、常法に従って、前記ベクターとバキュロウイルスとの相同組換えを実施することにより、テロメラーゼ逆転写酵素をコードするDNAを含むバキュロウイルスを調製することができる。
合成工程における感染の際の感染多重度(multiplicity of infection;m.o.i.)は特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜10、好ましくは0.1〜0.3又は5〜10、より好ましくは0.1〜0.3になるように感染を実施することができる。なお、通常のバキュロウイルス発現系においては、5〜10が至適条件であるとされている。
合成工程では、感染後の培養期間も特に限定されるものではないが、例えば、2〜8日間、好ましくは4〜6日間培養を行なうことができる。なお、通常のバキュロウイルス発現系においては、2〜3日間が至適条件であるとされている。
合成工程において昆虫細胞内で発現されたテロメラーゼ逆転写酵素は、不溶性の状態で細胞内に蓄積しており、単に、緩衝液中で細胞を破砕しても、不溶状態のままであって、そのままでは精製操作を実施することはできない。
可溶化工程では、上記合成工程で得られた昆虫細胞、あるいは、その細胞破砕物を、N−D−グルコ−N−メチルアルカンアミドを含有する水溶液(以下「可溶化溶液」と称することがある)で処理することにより可溶化する。可溶化工程で用いるN−D−グルコ−N−メチルアルカンアミドには、n−オクタノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−8)、n−ノナノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−9)、及びn−デカノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−10)が含まれる。
可溶化工程で用いるN−D−グルコ−N−メチルアルカンアミドの濃度は、テロメラーゼ逆転写酵素を可溶化することのできる濃度である限り、特に限定されるものではないが、例えば、0.5〜2重量%、好ましくは0.5〜1重量%であることができる。
上記可溶化溶液は、所望により、塩、プロテアーゼ阻害剤、還元剤、及び/又はグリセロールなどを更に含有することができる。ここで、塩としては、タンパク質精製に一般に用いられる塩、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物を挙げることができる。プロテアーゼ阻害剤としては、例えば、フェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、ロイペプチン、ペプスタチン、アンチパイン、フェナンスロリン、又はベンズアミドを挙げることができる。また、還元剤としては、例えば、ジチオトレイトール(DTT)又は2−メルカプトエタノールを挙げることができる。
可溶化溶液における塩、プロテアーゼ阻害剤、還元剤、グリセロール等の濃度は、テロメラーゼ逆転写酵素を可溶化することのできる濃度である限り、特に限定されるものではない。また、可溶化溶液のpHは、テロメラーゼ逆転写酵素の生物学的活性を消失することのないpHである限り、特に限定されるものではないが、中性付近のpH(例えば、pH7.2〜7.8)であることが好ましい。
可溶化工程において、可溶化の対象である昆虫細胞又はその細胞破砕物を、前記可溶化溶液で処理する方法は、前記可溶化対象物に含まれるテロメラーゼ逆転写酵素を可溶化することができる限り、特に限定されるものではない。
例えば、可溶化対象物が懸濁液である場合には、その懸濁液と可溶化溶液とを一緒にした後、充分に混合することにより行なうことができる。また、可溶化対象物が固形物(例えば、遠心した後、上清を除去することにより得られる沈殿物)である場合には、その固形物と可溶化溶液とを一緒にした後、充分に混合することにより行なうことができる。
上記可溶化工程により得られた溶液には、可溶化されたテロメラーゼ逆転写酵素が含まれている。この溶液をそのままテロメラーゼ逆転転写酵素含有画分として用いることもできるし、あるいは、公知のタンパク質精製方法(例えば、硫安塩析、クロマトグラフィー、透析、及び/又は凍結乾燥等)を用いて、更にテロメラーゼ逆転写酵素を精製することもできる。
テロメラーゼ逆転写酵素の精製には、それ自体既知の上記タンパク質精製方法以外にも、例えば、ヘパリンセファロース又はポリ(U)−セファロースを用いるアフィニティークロマトグラフィーを用いることができる。
テロメラーゼ逆転写酵素の調製において、合成工程で得られた昆虫細胞又はその細胞破砕物に対して、予備処理(例えば、部分精製処理)を実施することなく、そのまま、可溶化工程を実施することもできるし、あるいは、昆虫細胞の細胞破砕物を部分精製処理することにより得られた細胞破砕物に関して分画処理を行ない、得られた画分に対して、可溶化工程を実施することもできる。可溶化工程に先だって、適当な部分精製処理を実施すると、可溶化工程により得られるテロメラーゼ逆転転写酵素含有溶液に対して実施する精製操作を省略又は簡略化することができる。
例えば、合成工程で得られた昆虫細胞を破砕した後、その細胞破砕物を遠心して上清を除去し、残った沈澱に対して、可溶化工程を実施することができる。この場合には、細胞破砕物に含まれていた可溶性タンパク質が、前記上清と一緒にほとんど除去されるので、前記沈澱を可溶化処理して得られるタンパク質画分(テロメラーゼ逆転写酵素を含む画分)を更に精製する際に、可溶性タンパク質を分離する操作を省略又は簡略化することができる。
あるいは、合成工程で得られた昆虫細胞を破砕した後、その細胞破砕物を遠心して第1の上清を除去し、残った第1の沈澱を、N−D−グルコ−N−メチルアルカンアミド以外の界面活性剤(例えば、トリトンX−100、NP−40、又はCHAPS(3−[(3−Cholamidopropyl)dimethyl−ammonio]propanesufonic acid))を含む緩衝液で処理した後、再び、遠心して第2の上清を除去し、残った第2の沈澱に対して、可溶化工程を実施することができる。この場合には、細胞破砕物に含まれていた可溶性タンパク質が前記第1の上清と一緒にほとんど除去され、続いて、前記第1の沈澱に残っていた前記界面活性剤により可溶化するタンパク質も前記第2の上清と一緒にほとんど除去されるので、前記第2の沈澱を可溶化処理して得られるタンパク質画分(テロメラーゼ逆転写酵素を含む画分)を更に精製する際に、可溶性タンパク質及び前記界面活性剤により可溶化するタンパク質を分離する操作を省略又は簡略化できる。
このようにして得られたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)と、別に調製した鋳型RNA(RT)とを、例えば、イン・ビトロで一緒にすることにより、テロメラーゼを再構成することができる。かくして、生物学的機能を有するテロメラーゼ逆転写酵素を調製することができる。
本発明の抗テロメラーゼ抗体の検出方法は、前記の通り、少なくともテロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片と、生体試料中の抗テロメラーゼ抗体とを反応せしめ、反応生成物を解析することを特徴とするものである。
抗体の検出に用いることができる生体試料としては、全血、血清、血漿、腹水、胸水、脊髄液、組織や細胞およびそれらの培養物、尿等が挙げられる。
抗テロメラーゼ抗体の検出に用いられる抗原としては、上記の通り、少なくともテロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片が挙げられる。これらの中で、テロメラーゼ逆転写酵素又はその部分断片がより好ましい。また、抗原として用いるテロメラーゼ逆転写酵素は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するものが特に好ましい。
上記抗原と生体試料に加えて、生体試料中の抗テロメラーゼ抗体とを反応せしめ、その反応生成物を解析、即ち反応生成物を検出又は定量する方法としては、それ自体既知の通常用いられる免疫学的な検出又は定量法が用いられる。
免疫学的検出又は定量法としては、免疫酵素抗体法[Enzyme Linked Immunosorbent Assay(ELISA)]、放射性物質標識免疫抗体法(RIA)、ウェスタンブロッティング法、ドットブロッティング法、免疫沈降法、赤血球凝集反応法、ラテックス凝集反応法、リポソーム凝集法等が挙げられる。また、抗原に対しての抗体の結合を非ラベルで表面プラズモン共鳴や水晶発振機を用いて直接的に検出する方法等も用いることができる。さらには、生体試料、例えば血清や尿の前処理を行うことにより一層感度を上げることができる。抗体の検出又は定量は、たとえば最終的な反応を酵素反応、蛍光、化学発光、放射能等からの信号を検出又は定量することにより行えばよい。これらの方法は、例えば単クローン抗体実験マニュアル(講談社サイエンティフィック、1987年)、続生化学実験講座5免疫生化学研究法(東京化学同人、1986年)の記載に準じて容易に実施することができる。
具体的には、例えば、免疫酵素抗体法(ELISA)とは、上記抗原と生体試料中の抗テロメラーセ抗体を反応させ、反応生成物に、さらにペルオキシダーゼ、ビオチンなどの酵素標識などを施した抗体あるいは結合断片を反応させた後、発色色素を吸光光度計で測定する方法である。
放射性物質標識免疫抗体法(RIA)とは、上記抗原と生体試料中の抗テロメラーゼ抗体を反応させ、さらに反応生成物に、放射線標識を施した抗体あるいは結合断片を反応させた後、シンチレーションカウンターなどで測定する方法である。
ウェスタンブロッティング法とは、上記抗原をPVDF膜あるいはニトロセルロース膜等にブロッティングし、該膜に生体試料を添加して抗テロメラーゼ抗体と反応させ、さらに反応生成物に、FITCなどの蛍光物質、ペルオキシダーゼ、ビオチンなどの酵素標識を施した抗体あるいは結合断片を反応させた後、確認する方法である。
上記した本発明の方法を用いて、ヒト血中の抗テロメラーゼ抗体を解析した結果、担癌患者、自己免疫疾患の患者では健常者に比し、有意に血中抗テロメラーゼ抗体が高値であることが本発明者等により始めて確認された。従って、血中抗テロメラーゼ抗体は、各種の疾患のマーカー、例えば腫瘍マーカー、自己免疫疾患マーカーとなり得ると考えられる。また、生体試料中の抗テロメラーゼ抗体を検出又は定量し、健常者の値と比較し、例えば健常者より有意に高値である場合は、例えば、発癌状態、自己免疫疾患である可能性があると判定できる。
上記した本発明の抗テロメラーゼ抗体の検出法に用いる試薬キットは、少なくとも抗原としてテロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片を含み、通常の免疫反応を利用したキットと同様の構成によって提供される。抗原としては、テロメラーゼ逆転写酵素又はその部分断片が好ましい。また、抗原として用いるテロメラーゼ逆転写酵素は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するものが特に好ましい。本発明の試薬キットは、少なくとも上記抗原を含み、さらに任意の要素として、試料希釈液、洗浄液、標識化抗体、色素、陽性コントロール用の抗体等を含んでいてもよい。
実施例
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:FLAG−hTERT融合タンパク質の調製
(1)プラスミドの構築
hTERTのcDNA(配列番号1)を含むプラスミドpCI−Neo−hTERT(J.Biol.Chem.,275;22568−22573(2000))を、制限酵素EcoRI及び制限酵素SalIで切断することにより、上記hTERT−cDNAを含むEcoRI/SalI−DNA断片を得た。このEcoRI/SalI−DNA断片を、プラスミドpNKFLAGZのEcoRI−SalI部位に挿入することにより、プラスミドpNKFLAG−hTERTを構築した。前記プラスミドpNKFLAGZは、プラスミドpNKFLAG(J.Biol.Chem.,273,15479−15486,1998)のFLAG配列cDNAの3’端がイン・フレーム(in frame)となってEcoRIとSalI部位に接続する配列に改変したものである。
得られたプラスミドpNKFLAG−hTERTは、hTERTのN末端にFLAGペプチドが標識されたFLAG−hTERT融合タンパク質(FLAG標識hTERT)をコードするDNAを含む。
上記プラスミドpNKFLAG−hTERTを、制限酵素NotI及び制限酵素BglIIで切断することにより、FLAG−hTERT融合タンパク質をコードするDNAを含むNotI/BglII−DNA断片を得た。このNotI/BglII−DNA断片を、バキュロウイルストランスファーベクターpVL1393(Pharmingen社)のNotI−BglII部位に挿入することにより、プラスミドpBYK−FLAG−hTERTを構築した。
(2)組換え型バキュロウイルスの作成
組換え型バキュロウイルスの作成は、市販のキット[BaculoGoldスターターパッケージ(Sf9昆虫細胞及びBaculoGold線状化バキュロウイルスDNAを含む);Pharmingen社]を用いて、以下の手順で実施した。
すなわち、10%のウシ胎児血清を添加したTNM−FH昆虫細胞培養液(シグマ社)中で、Sf9細胞を懸濁培養した後、トランスフェクションの30分前に、9cm2シャーレ当たり106個になるようにSf9細胞をシャーレに蒔種した。続いて、前記キットに添付の説明書に従って、上記実施例1(1)で調製したプラスミドpBYK−FLAG−hTERT(2.5μg)と、BaculoGold線状化バキュロウイルスDNA(0.25μg)との混合液を用いて、共トランスフェクションを行なった。共トランスフェクションを実施した後、27℃で5日間培養し、その培溶液上清を回収した。回収した培養液上清とSf9細胞とを用いて、FLAG−hTERT融合タンパク質を発現する組換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株の増幅を行なった。Sf9細胞を用いたウイルスの力価の測定は、キットに添付の説明書に基づいて実施した。以下の実験には、高力価(1.0×107pfu/mL以上)の組換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株を使用した。組み換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株は、4℃保存下で約6か月以上は安定であり、その後、ウイルスの力価は減少した。
(3)種々の昆虫細胞におけるFLAG−hTERT融合タンパク質の発現量の評価
昆虫細胞として、実施例1(2)で用いたのと同じSf9細胞と、High5細胞(Invitrogen社)とを用いて、FLAG−hTERT融合タンパク質の発現レベルを比較した。Sf9細胞の培地としては、前記実施例1(2)で用いたのと同じ10%ウシ胎児血清含有TNM−FH昆虫細胞培養液を使用し、High5細胞の培地としては、市販の培地(High Five無血清培地;Invitrogen社)に10%ウシ胎児血清を添加したものを使用した。前記実施例1(2)で調製した組換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株を、感染多重度(m.o.i.)が2となるように感染させ、感染後、27℃で3日間培養した。
(4)感染多重度(m.o.i.)及び感染後の培養時間の各至適条件の決定
昆虫細胞としてHigh5細胞を用いて、感染多重度(m.o.i.)及び感染後の培養時間の各至適条件を決定した。
一般的に、組み換え型バキュロウイルスの感染時の感染多重度は、5〜10が至適であるとされている。しかし、異なる感染多重度で組換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株を感染させた場合、FLAG−hTERT融合タンパク質の発現量は、感染時の感染多重度が0.2の条件において、感染多重度が5〜10の場合と同程度であるか、あるいは、より高かった。感染多重度が0.2より更に低い0.1〜0.02となった場合には、FLAG−hTERT融合タンパク質の収量が低下したので、最適な感染多重度は約0.2近辺と思われた。
感染多重度が0.2となるように感染させた後、48時間、72時間、96時間、120時間、又は144時間培養した各昆虫細胞の全細胞抽出液をSDS−PAGE法により分画し、CBBにより染色した。その結果、FLAG−hTERT融合タンパク質の発現レベルが最高となるのは、感染後4〜6日後であった。
(5)FLAG−hTERT融合タンパク質の発現及び精製
市販の培地(High Five無血清培地;Invitrogen社)で培養したHigh5昆虫細胞(Invitrogen社)を、1.0×107個になるように5×25cm2シャーレに蒔種した後、実施例1(2)で調製した組換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株を、感染多重度(m.o.i.)が0.2となるように感染させた。感染後、27℃で5日間培養した。
感染後、5日間培養した前記細胞をシャーレから剥がし、リン酸緩衝化生理食塩水[以下、「PBS(−)」と称する]に懸濁し、4,000回転で10分間遠心した。
以下、本工程の全ての操作は4℃で行ない、使用した全ての緩衝液には、1mmol/Lフッ化フェニルメチルスルフォニル(シグマ社)、10mg/mLペプスタチンA(シグマ社)、10mg/mLロイペプチン(シグマ社)、10mg/mLアプロチニン(BOEHRINGER MANNHEIM社)、10mg/mLフェナンスロリン(Sigma)、16mg/mLベンズアミド(Sigma)、及び1mmol/Lジチオスレイトール(Nakarai社)を添加した。また、コントロールとして、組換え型バキュロウイルスBVKM−FLAG−hTERT株非感染の昆虫細胞についても、同様の精製操作を実施した。
遠心により回収した前記細胞を、PBS(−)で一度洗浄した後、バッファーA[20mmol/L−Tris−HCl(pH7.5),20%グリセロール,0.1%ノニデット(Nonidet)P−40,150mmol/L塩化ナトリウム,10mmol/L−β−メルカプトエタノール]5mLに懸濁し、超音波破砕(10秒間)を3回行なった。10,000gで10分間遠心した後に、上清(以下、「S1画分」と称する)を分取し、沈降物を再びバッファーA(5mL)に懸濁した。
上記懸濁液を10,000gで10分間遠心した後に、上清(以下、「S2画分」と称する)を分取し、沈降物をライシス(lysis)バッファーB[20mmol/L−Tris−HCl(pH7.5),50%グリセロール,0.5%MEGA−9,500mmol/L塩化ナトリウム,10mmol/L−β−メルカプトエタノール]1mLに懸濁し、超音波破砕(10秒間)を3回行なった。
得られた懸濁液を、再び、10,000gで10分間遠心した後、上清(以下、「S3画分」と称する)を分取し、残った沈降物をライシスバッファーC[20mmol/L−Tris−HCl(pH7.5),50%グリセロール,0.5%MEGA−9,1000mmol/L塩化ナトリウム,10mmol/L−β−メルカプトエタノール]1mLに懸濁し、超音波破砕(10秒間)を3回行なった。
得られた懸濁液を、10,000gで10分間遠心した後、上清(以下、「S4画分」と称する)を分取し、先に分取したS3画分と、このS4画分とを一緒にした。この混合液を、バッファーD[20mmol/L−Tris−HCl(pH7.5),50%グリセロール,0.5%MEGA−9,1mmol/Lジチオトレイトール(DTT)]を用いて、塩化ナトリウムの最終濃度が300mmol/Lになるように希釈した(以下、「S5画分」と称する)。
このS5画分を、バッファーE[20mmol/L−Tris−HCl(pH7.5),50%グリセロール,0.5%MEGA−9,300mmol/L塩化ナトリウム,1mmol/L−DTT]で平衡化したDNAセファロース(LKB Pharmacia社)カラム(1.0mLパック量)に通した。その通過液画分を、前記バッファーEで平衡化したヘパリン−セファロースCL−6B及びセファロースCL−6B混合物(ヘパリン−セファロースCL−BとセファロースCL−6Bとを1:1の重量比で混合したもの:以下、単に「ヘパリン−セファロース」と称する)1mLと混合し、4℃で3〜4時間回転撹拌を行なった。
ヘパリン−セファロースに結合したタンパク質を低速遠心で回収した後、バッファーEで洗浄し、バッファーB(2mL)で溶出することにより、FLAG−hTERT融合タンパク質の精製品を得た。タンパク質を定量するために、SDS−PAGE法で分画し、CBBで染色した。タンパク質濃度を測定する標準標品としては、牛血清アルブミン(Sigma社)を用いた。
得られた各画分をSDS−PAGE法(ゲル濃度=8%)で分画した後、CBB染色又は抗FLAGモノクローナル抗体を用いるウエスタンブロットを行ない、FLAG−hTERT融合タンパク質の検出を行った。
その結果、昆虫細胞のタンパク質の殆どは、低濃度のNP−40、グリセリン、及び塩化ナトリウムを含む緩衝液(バッファーA)で溶出された(S1画分及びS2画分)。一方、FLAG−hTERT融合タンパク質は、MEGA−9及び高塩濃度を含む緩衝液(ライシスバッファーB)を用いた場合にのみ、効率的に溶出された(S3画分)。
実施例2:テロメラーゼのイン・ビトロ再構成及びテロメラーゼ活性の測定
(1)テロメラーゼのイン・ビトロ再構成
実施例1で調製した組換え型FLAG−hTERT融合タンパク質が、ヒトテロメラーゼの触媒活性を有することを直接的に証明するために、前記FLAG−hTERT融合タンパク質と、精製したヒトテロメアRNA(hTR)とが、イン・ビトロで再構成してテロメラーゼ活性を示すかどうかを評価した。なお、テロメラーゼ活性は、異なる2種類の方法、すなわち、市販のキット(TeloChaser;東洋紡)を用いるテロメア反復配列増幅プロトコール法(Telomere Repeat Amplification Protocol Assay;以下、「TRAPアッセイ」と称する)と、市販のELISAテロメラーゼ測定キット(TRAPEZEキット;Intergen社)を用いるTRAP−ELISA法とにより実施した。2種類の前記方法の内、後者のTRAP−ELISA法は、テロメラーゼ活性を相対的活性として定量化することが可能である。
まず、hTR−cDNAを含むプラスミドpGRN164(Science,269,1236−1241,1995)を鋳型として、T7RNAポリメラーゼを用いるイン・ビトロ転写系により、hTRを合成した。
得られたhTRと、前記実施例1で調製したFLAG−hTERT融合タンパク質とを、種々の量で、再構成緩衝液A[最終濃度:10mmol/L−HEPES(pH8.0),100mmol/L塩化ナトリウム,25%グリセリン,1mmol/L塩化マグネシウム,3mmol/L塩化カリウム,0.1mmol/Lフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF),1mmol/L−DTT,10U/μlリボヌクレアーゼインヒビター(RNasin)]20μl中で、10分間反応させる(温度=33℃)ことにより、イン・ビトロ再構成を行なった。
(2)TRAPアッセイによるテロメラーゼ活性の測定
市販のキット(TeloChaser;東洋紡)を用いてTRAPアッセイを行った。なお、TRAPアッセイは、前記キットに添付の説明書に従って実施し、得られたPCR産物を、10%ポリアクリルアミドゲルを用いる電気泳動により分画した後、染色試薬[SYBR Green I;Molecular Probes社]で可視化した。
その結果、テロメラーゼ活性は、FLAG−hTERT融合タンパク質とhTRとを加えた場合にのみ観察され、FLAG−hTERT融合タンパク質のみではテロメラーゼ活性を示さなかった。この結果は、この2成分の機能的再構成によりテロメラーゼ活性が観察されたことを明示する。また、この結果は、hTERTとhTRとがテロメラーゼ活性に充分で最少限の成分であることを明らかに示した。
さらに、FLAG−hTERT融合タンパク質(120ng)とhTR(200ng)とを用い、上記(1)に記載の方法に準じて、異なる反応時間でイン・ビトロ再構成を行い、TRAPアッセイを実施した。
その結果、33℃の条件下において、テロメア合成は約10分後に観察され、その後、1時間は見かけ上直線的に持続した。プライマーと基質なしに前もって33℃処理を行なった場合も、同様のテロメア合成の潜伏時間が観察されたことは、プライマーと基質が加えられた後にFLAG−hTERT融合タンパク質の重要な構造変換が起きることを示唆している。
FLAG−hTERT融合タンパク質の触媒活性は、30℃〜37℃の間で、pHは8.0近傍で最高であり、3mmol/Lのマグネシウムイオンを要求した。TIG3細胞抽出液を用いた相補実験でFLAG−hTERT融合タンパク質によるテロメラーゼ活性の反応でも、同一の至適条件であった。
(3)TRAP−ELISA法によるテロメラーゼ活性の測定
上記(2)で実施したTRAPアッセイは、感度が良いが、テロメラーゼの定量には適さないので、異なった量比のFLAG−hTERT融合タンパク質とhTRとの存在下でイン・ビトロで再構成されたテロメラーゼ活性の定量を、市販のキット(TRAPEZEキット;Intergen社)を用いるTRAP−ELISA法により行なった。TRAP−ELISA法は、キットに添付の説明書に従って、以下に示す手順で実施した。
すなわち、イン・ビトロ再構成を、再構成緩衝液B[最終濃度:10mmol/L−HEPES(pH8.0),100mmol/L塩化ナトリウム,25%グリセリン,1mmol/L塩化マグネシウム,3mmol/L塩化カリウム,0.1mmol/L−PMSF,1mmol/L−DTT,10U/μl−RNasin,2ng/μl−TS−プライマー,1mmol/L未標識dATP,1mmol/L未標識dTTP,0.1mmol/L未標識dGTP,0.1μCi/nL[α−32P]標識dGTP(800Ci/mmol;Amersham Pharmacia Biotech社)]20μl中で、33℃で1時間行なった後、反応液中の10μlを採取してDE81フィルターにスポットし、続いて、フィルターを洗浄し、フィルターに結合した放射能を既に報告されている方法に従って測定した。
その結果、テロメラーゼ活性は、FLAG−hTERT融合タンパク質及びhTRの2成分が当モル比の場合に最高であった。このことは、2成分の効率的な複合体形成を示唆している。
以上の通り、FLAG−hTERT融合タンパク質は、テロメラーゼ活性を有することが確認された。
実施例3;血中抗ヒトテロメラーゼ抗体の検出(1)
(1)患者および使用血清
総数83人(年齢40〜82歳)の患者血清および健常者血清を用いて、抗体の検出を行った。これらには肝細胞癌30症例、16症例の肝硬変、7症例の慢性肝炎と、悪性疾患12症例を含む。なお、対象コントロールとして健常人ボランティア18人の血清を使用した。なお、採血に際しては、インフォームドコンセントを、書面を用いて得た。患者群と健常人群との間で、年齢性別による有意な差異は認められなかった。
(2)hTERTタンパク質
実施例1で調製した組換え型精製hTERT(FLAG−hTERT)を抗原として用いて、抗体の検出を行った。
(3)ウエスタンブロティング
ウエスタンブロティングは、常法に従って行い、陽性コントロールとして抗FLAG M2モノクローナル抗体(シグマ社)を用いた。患者由来血清由来の分画蛋白の抗hTERT抗体をウエスタンブロティング法により次の通り検出した。
トランスファー(転写)蛋白をTBST(Tris−HCl,pH 7.4,150mM NaCl,1%Tween20)で50倍希釈した患者血清で30分反応後、20分洗浄した。その後、TBSTで1000倍希釈したHRP(horseradish peroxidase)コンジュゲートIgG(アマシャム社NA933)で20分間反応させた。
(4)精製蛋白による患者血清の吸収実験
患者血清(100μl)に対し35μgの精製hTERT(FLAG−hTERT)を加え、2時間室温で反応させ、10,000xGで10分遠心し、HRPを用いたウエスタンブロッティングを行った。
(5)ELISA
96wellプレート(ヌンク社)に0.2μgのC末FLAGhタグのTERT(FLAG−hTERT)を4℃オーバーナイトでインキュベーションしてコーティングした。ブロッキングは、プレートに100μlの1%BSAを含むブロッキングバッファー((9.6mM PBS,pH7.3,1%BSA、以下「PBSB」と略す)を加え、37℃1時間で行った。吸光度測定のための反応は、PBSBで1:100に希釈した患者血清100μlを各ウエルに加え、1時間37℃でインキュベーションした。5回洗浄後、PBSBを用い1:2000に希釈した100μlのHRPコンジュゲート抗ヒトIgGを各ウエルに添加した。プレートを洗浄後、ABTS基質(2,2’−Azinobis(3−ethylbenzothiazoline−6−sulfonic Acid;A.B.T.S.from Nakarai ELISA POS Substrate A.B.T.S Kit、Code 14351−80)を加え、マイクロタイタープレートリーダー、405nmフィルターで測定した。
(6)統計解析
全てのデーターは平均値±標準誤差で表示した。統計解析はStudentT検定とχ2テストを用いた。
(7)結果
癌患者における抗hTERT抗体の検出は、精製hTHER(FLAG−hTERT)を用いて行った。まず最初に、患者血清を用いて精製蛋白をウエスタンブロッティングによって検出した。患者血清の反応は約127kDaの精製蛋白に特異的な反応が認められた。一方、健常人血清での反応では検出されなかった。この患者血清中の反応は精製hTERTを添加する事で吸収された。この結果はウエスタンブロッティングによる癌患者由来血清のシグナルが特異的であることを示している。
次に、ELISA法で血清のスクリーニングとStudentT検定とχ2テストによる統計解析を行った。抗M2と抗マウスIgG抗体の濃度により濃度依存的に吸光度が増加したことから、抗原とM2抗体の反応が特異的で有ることが判明した。
肝細胞癌30症例、肝硬変16症例、慢性肝炎7症例、健常人18例および他の悪性疾患(癌)12症例の吸光度(OD)は、それぞれ0.365±0.021、0.325±0.019、0.256±0.020、0.239±0.013および0.319±0.027であった(図1)。肝癌と健常人、他の悪性疾患と健常人の差違は統計的に有意であった(それぞれP<0.0001およびP<0.01)(図1)。さらにhTERTに対する自己抗体量は慢性肝疾患における病状の進行度に対応して増加した。対照的に、無関係な蛋白であるウシ血清アルブミン(BSA)に対する抗体は、患者並びに健常人血清中に見いだされなかった。
同一患者における異なる時期でのhTERT抗体力価を測定し、これらの患者の中で非癌状態から癌のステージまでの間での変化を検討した。肝硬変段階に患者がある時は、かすかなバンドの検出が認められ、この抗hTERT抗体のシグナルは患者が肝癌に進行した後において増加した。この結果は、少なくともある患者においてはhTERTに反応する新規の免疫反応が悪性化の過程において生じており、それは循環抗hTERT自己抗体として検出される事を示唆している。
実施例4;血中抗ヒトテロメラーゼ抗体の検出(2)
自己免疫疾患患者10名での抗hTERT抗体の測定値を、健常人9例の抗体の測定値と比較検討した。
採血に際しては、実施例3(1)と同様にインフォームドコンセントを、書面を用いて得た。抗hTERT抗体の測定は、実施例3(5)と同様に、ELISA法で行い、同様に統計解析を行った。その結果、自己免疫疾患患者が高い抗hTERT抗体価を有していた。すなわち健常人が0.286±0.022であるのに対して、自己免疫疾患患者では0.503±0.074であり、自己免疫疾患患者で有意に高値であった(図2)。このことは肝疾患、肝癌のみならず、他の疾患でも抗hTERT自己抗体を測定することが可能で、かつ病態を反映する情報が得られることを示している。
産業上の利用可能性
本発明により、生体試料中の抗テロメラーゼ抗体の検出法が提供される。本発明の方法を用いて、例えば患者血清の抗テロメラーゼ抗体を検出することにより、各種の疾患、例えば肝癌等の癌、自己免疫疾患等の検出が可能となる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2001年12月21日の日本特許出願(特願2001−390050号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。また、本明細書にて引用した文献の内容もここに参照として取り込まれる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例3における、血中抗ヒトテロメラーゼ抗体の検出結果を示す図である。図中、HCCは肝細胞癌、LCは肝硬変、CHは慢性肝炎、Normalは健常人、Othersは他の悪性疾患(癌)を示し、nは症例数を示す。
図2は、実施例4における、血中抗ヒトテロメラーゼ抗体の検出結果を示す図である。図中、ANA positiveは抗核抗体陽性患者(自己免疫疾患患者)、Normalは健常人を示す。
Claims (8)
- テロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片と、生体試料中の抗テロメラーゼ抗体とを反応せしめ、反応生成物を解析することを特徴とする抗テロメラーゼ抗体の検出方法。
- テロメラーゼを構成するタンパク質が、テロメラーゼ逆転写酵素である請求項1に記載の方法。
- 反応生成物の解析が、ウエスタンブロッティング法又は免疫酵素抗体法により行われる請求項1又は2に記載の方法。
- 抗テロメラーゼ抗体の検出結果を、疾患マーカーとして用いる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 疾患マーカーが、腫瘍マーカーである請求項4に記載の方法。
- 疾患マーカーが、自己免疫疾患マーカーである請求項4に記載の方法。
- 少なくともテロメラーゼを構成するタンパク質、鋳型RNA、又はそれらの複合物若しくはそれらの部分断片を含んでなる請求項1〜6のいずれかに記載の方法を行うための試薬キット。
- テロメラーゼを構成するタンパク質が、テロメラーゼ逆転写酵素である請求項7に記載の試薬キット。
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