JPS649557B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は高炉および電気炉、特殊精錬炉、取
鍋もしくは石灰シヤフト炉等、製鉄業において使
用する背高でかつ炉内壁横断面が円形である処
理炉の垂直または傾斜した耐火物の内張り壁の吹
付け補修に適用する装置に関し、特に炉を完全に
休止もしくは冷却することなく熱間状態において
不定形耐火物の補修材を炉内壁に吹付けて補修す
る装置に関するものである。

周知の如く前記の各種炉はその操業後期あるい
は多数回使用によつて内張耐火物が局部的に損毛
もしくは脱落するので、その使用寿命の延命を図
るため炉内壁の部分補修（中間補修ともいう）が
行われている。

従来行われている炉内壁の補修は、大別して炉
の操業または使用を完全に停止し冷却をまつて炉
内に作業員がはいつて行うものと、操業中または
操業を一時中断して炉外から行うものとの二方式
がある。

前者は、炉内の装入物を炉外に排出し炉体の冷
却を持つて後、作業員が炉内にはいり補修材料、
器材等を搬入して築炉施工や耐火物吹付け施工を
行い、耐火物の乾燥と炉内昇温を行つてから再操
業を開始するもので、操業停止から平常稼動まで
長時間を要するだけでなくその間の熱損失も大き
く、また作業環境が悪いため作業員の健康と安全
保持のためにも問題がある。

一方熱間で炉外から行う後者の補修方式は、炉
の操業、使用を完全に停止することなく補修でき
る利点がある反面、炉高が高く特に高炉の如くシ
ヤフト部のみで高さ20m、直径10数ｍにも達する
場合は、補修に際し炉体の鉄皮と炉壁を多数箇所
切開して作業用の大型マンホールを設置し、これ
ら開口部から補修材の吹付けノズルを挿入し手動
で吹付け補修施工を行つている。これは１箇所で
吹付け可能な範囲が限定されるためであつて炉体
の強度保持上好ましくない。また施工上の制約か
ら吹付け補修材のリバウンドロスが多く、さらに
補修位置の把握、施工内容も正確性を欠き吹付け
精度、施工信頼性に欠けるので炉壁の延命に多く
は期待できない。

また多くの作業員を必要とし吹付け作業の生産
性が工数当り２屯程度と低く、さらには炉体廻り
の作業用デツキの設置、大型マンホールの開口と
閉鎖、長尺な吹付けノズルの炉内への挿入取出し
等々煩雑な作業を必要とし、加えて高熱重筋作業
であるから作業員の健康、安全面でも問題がある
等多くの欠点を有する。

別の方法として、炉壁の損傷部位と思われる箇
所を炉外から小さく開口し、この狭小な開口部か
ら圧入ノズルを挿入して所定粘度の不定形耐火物
圧入材を圧入して乾燥固化させる補修が行われて
いるが、炉壁の損傷位置、損傷状況を炉外から正
確に把握することは困難であるから旋工の実効を
あげ得ないという問題が生じている。

上述の如く高炉等背高な炉の内壁補修には従来
多くの欠点があるにも拘らず、これらを解決する
有効な補修方法もしくは補修装置もしくは自動補
修装置が開発されていないのが現状である。

この発明は前記従来方式の諸欠点を解決して、
背高な炉の内壁を特に熱間において、その損傷位
置と損傷状況および補修作業の状況を正確に把握
しながら、マンホールを新たに開口することなく
少人数で適格な吹付け施工が可能な補修装置を提
供することを目的とする。

この発明は、補修すべき炉の上部開口部近くの
作業デツキ即ち高炉ではムーバブルアーママンホ
ールのある作業デツキ、取鍋では鍋修理場に設け
た上方開口部に接する作業台等に水平にブームを
保持した走行装置を設置し、該走行装置でブーム
を炉の中心方向に水平に移動させることによつて
ブームの先端が炉体軸中心位置に伸張し、該ブー
ムの先端付近に４本のワイヤロープで吊下げられ
た補修材吹付け装置を取付け、炉外の駆動装置と
ワイヤシープを介して連結した前記４本のワイヤ
ロープの伸縮によつて前記補修材吹付け装置が炉
内を垂直に昇降自在となり、しかして該補修材吹
付け装置は、水平方向に延びた吹付けノズルと該
吹付ノズルを回転自在とするノズル旋回装置とさ
らにテレビカメラ、放射温度計、照明灯を格納し
た冷却凾とからなるもので、さらに上記吹付けノ
ズルを炉外に設けた補修材供給装置と水ポンプと
伸縮可能な圧送ホースを介して接続し、さらに炉
補修に当たつての耐火物吹付け補修作業を制御し
操作する自動制御装置を備えたことを特徴とする
炉内壁吹付け補修装置である。

以下この発明を図面に示す実施例にもとづいて
詳細に説明する。第１図はこの発明の補修装置の
側面図、第２図は平面図で、図において１はブー
ム走行装置２によつて水平に移動する移動ブーム
で、ブーム走行装置２には、ブーム走行用ブレー
キ付モーター３、減速機４、前後に１対づつ計４
箇のブーム走行用ローラー５、同じく４個の挿入
ローラー６、同じく４箇のサイドローラ７が備え
られ、移動ブーム１を任意の水平位置まで移動し
かつ停止させることができる。８は移動ブーム１
の先端付近に４本のワイヤーロープ９で吊下げら
れた炉補修材吹付け装置（以下単に「吹付け装置
という）で、４本のワイヤーロープ９は前後左右
４組のワイヤシーブ１０を介して昇降ドラム１１
に延び、昇降用モーター１２の作動によつて伸縮
自在となるので吹付け装置８は垂直方向に昇降自
在となつている。また４本のワイヤーロープ９で
その４隅を吊下げ加えてバランスウエイト１３で
重心位置を調節してあるので、吹付け装置は昇降
移動に際して横ゆれしたり傾いたりすることがな
い。

吹付け装置８は、図示するように吹付けノズル
１４、ノズル旋回装置１５、冷却凾１６および補
修材料と添加水圧送用ホース１７との連結部から
なる。

第３図は吹付け装置８の内部構造を示す側面図
で、１４は吹付けノズルで、吹付け装置架台１８
に取付けられ材料、水の圧送ホース１７と連結し
ており、かつ図示Ａ部およびＢ部の摺動によつて
第４図−ａから第４図−ｂに示すように伸長する
ことができ、例えば長さ4mから7mまで任意に伸
縮可能となつている。これにより高炉のように高
さレベルによつて炉の内径が変化する場合でも炉
内壁との距離即ち吹付け距離を一定に保つことが
できるので、最適な吹付け施工が実現できる。

次にノズル旋回装置１５の作動について述べる
と、先ずモーター１９の駆動が減速機２０および
２１を通じて歯車２２に伝達され駆動軸２３が回
転することによつて吹付けノズル１４が軸廻りに
回転する。即ち吹付け装置の架台１８が圧送ホー
ス１７を軸として回転するので、吹付けノズル１
４の先端は円軌道を周回するのである。

冷却凾１６内には施工状況を写し出すテレビカ
メラ２４と壁面の温度を測定する放射温度計２５
が格納されており、その外穀は水冷パイプ２６，
２６′によつて循環冷却され、またその内部は空
冷パイプ２７の空気によつて冷却された冷却凾と
なつている。また冷却凾１６の両側面には500W
の投光器２８（第２図に示す）が固定され吹付け
施工面を照明するようになつている。なお施回装
置１５は断熱材２９で側面を保護され、また冷却
凾１６の前面窓は石英ガラス３０で保護されてい
る。

次に補修装置を高炉の内壁補修のために設置し
た状態および補修作業について説明すると、第５
図において３１は高炉の外穀鉄皮、３２は耐火物
で内張りしたシヤフト部内壁、３３は内壁の損傷
部、３４はムーバブルアーママンホール、３５は
作業デツキである高炉内部の装入物を示す図示は
上段が操業時の原料レベル、中段がシヤフト上部
吹付け時の減尺操業原料レベル、下段はシヤフト
部吹付け時の減尺操業原料レベルである。

高炉操入物を所定のレベルまで減尺した炉内へ
吹付け装置８を装入するには、移動ブーム１内に
吹付け装置８を格納しブーム走行装置２を適当な
別位置によつてムーバブルアーママンホール３４
の正面近くの作業デツキ３５上に移動させ固定し
た後、走行用モーター３を作動してブーム１を炉
内に伸張させる。この際吹付装置８はブーム１の
中に密着させた状態で装入することによつてマン
ホール３４を通過させることができる。

次にブームの走行をブーム走行装置に取付けら
れた検出器により制御することによつて、図示す
るように吹付け装置を炉体軸の中心位置に正確に
位置させることができる。

吹付け装置８を吊下げているワイヤーロープ９
はワイヤシーブ１０を介して昇降ドラム１１に連
結されているので、昇降用モーター１２を作動し
調整することで吹付け装置８を予め定めた内壁要
補修位置のレベルまで下降させ停止させることが
できる。

吹付け装置には前述したように、吹付けノズル
１４が回転自在および伸縮可能に取付けられてい
るので、装入時にはブームの進行方向を向いてい
る吹付ノズルの先端を要補修壁の角度まで水平に
周回させかつ補修壁までの距離が所定の吹付け距
離となるように吹付けノズルを伸張し位置を固定
することができる。

吹付け装置に連結されている材料と水の圧送ホ
ース１７はホースガイド３６、ホース巻取装置３
７を経て補修材料供給装置３８および添加水ポン
プ３９に接続し、コンプレツサー４０のホースが
前記材料供給装置と接続しており、その駆動によ
つて吹付け施工に必要な混合と吹付け圧力を付与
し、吹付けノズル１４から補修材料を噴出させ
る。

吹付けノズルの先端が所定の吹付け位置に定着
すると補修材料ホツパー４１に所定配合の不定形
耐火物（補修材料）が投入され吹付け施工を開始
する。吹付け施工は高炉内雰囲気温度および炉壁
表面温度が300〜600℃の熱間において行うことが
でき、吹付け方法は先ず所定の時間内に第１層の
吹付けを完了し得る時間を限度として炉壁を単位
吹付け面積に区分けする。（ブロツク化する）。ブ
ロツク化は吹付けノズルの施回角度と昇降スパン
を与えることによつて定まる。

一ブロツクに対する吹付けは、吹付けノズルの
所定角度による首振りと上下移動の繰返しによつ
て積層吹付けがなされる。（吹付けパターンの設
定）。吹付けパターンは、吹付けノズルの旋回速
度、旋回角度、昇降速度、昇降ピツチ、昇降スパ
ン、最初の吹付け出発位置へのリターン速度およ
び吹付け積層回数を与えることによつて設定され
る。

１つの施工ブロツクを完了して隣接の施工ブロ
ツクへ順次移動させてゆくのであるが、この間補
修壁の損傷程度と補修材の噴出状況をテレビカメ
ラで監視しながら吹付けノズルの移動速度、噴出
圧を微調整し、また壁面温度を放射温度計で測定
監視しながら添加水の調整を行う。

減尺操業で炉内操入物レベルが第５図の下段に
示す位置にあつてシヤフト下部を吹付ける場合
は、吹付け装置８を第５図下方に図示する位置ま
で下降させ施工するので吊下げ長さはほぼ18〜
19mに達するが、吊下げワイヤーロープ９は前述
したように４本でバランスよく吊下げているの
で、吹付装置８は移動中も施工中も傾いたり横ゆ
れすることなく、また補修材の噴出による反力は
非常に小さいので吹付け装置の自重のみでも後退
することが全くない。従つて吹付ノズルの方向お
よび先端位置は常に所定の操作位置に制御するこ
とができる。第５図に示す４２は以上の諸作業を
制御し操作する自動制御操作装置である。

以上説明したブームの伸張、吹付け装置の上下
位置の固定と上下移動、吹付けノズルの施回角度
と旋回速度、吹付け回数（吹付け厚さ）、補修材
の供給およびその圧力と添加水の調整等を、要補
修壁の施工区画と施工順序、その損傷の程度、炉
壁温度等により決定することで施工作業方法のパ
ターンを設定して殆んど全作業の自動運転が可能
である。

このようにして炉内壁の吹付け補修が完了した
ら、吹付けノズルを引込め吹付け装置が吊上げて
ブームに密着させ、ブーム走行装置円駆動してブ
ームを炉外に後退させ、必要であればブーム走行
装置をマンホールから取引して全作業を完了す
る。

この発明の補修装置は以上説明したような構造
および操作であるから補修施工にあたり次のよう
な効果を有する。

１ 炉を休止することなく熱間で吹付け補修施工
ができるので補修後短時間で平常操業に戻るこ
とができる。

２ 既存の開口部のみで施工でき、かつ既設設備
を改造する必要がない。

３ 装置全体がコンパクトで短時間で装置のセツ
トができる。

４ 吹付け状況の把握、ノズル位置の固定、移動
と壁面温度の検出、吹付けノズルの作動調整等
が正確にできるので最適条件で吹付け施工がで
きる。

５ 大型炉の上部から下部まで広範囲を連続的に
短時間で施工できる。

６ 施工パターンを予め設定しておき施工を自動
運転で行うことができる。

７ 作業員の人数を大巾に削減できる。

８ 内壁の傾斜プロフイールに対して適確に対応
して最適施工ができる。

９ 作業環境が良好でかつ安全である。

なお前記の説明は主として高炉における施工に
ついて述べたが、高炉以外の背高な円形の炉お
よび容器の内壁の吹付け施工に対して、この補修
装置を応用することができ、同様の効果を上げる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例を示す側面図、第２
図は同じく平面図、第３図は吹付け装置の内部を
示す側面図、第４図は吹付けノズルの伸縮を示す
説明図、第５図はこの発明に係る補修装置の高炉
における使用状態を示す全体正面図である。 １……移動ブーム、２……ブーム走行装置、３
……ブーム走行用モーター、８……補修材吹付け
装置、９……吊下げワイヤーロープ、１０……ワ
イヤーシープ、１１……昇降ドラム、１２……昇
降用モータ、１４……吹付けノズル、１５……ノ
ズル旋回装置、１６……冷却凾、１７……圧送用
ホース、２４……テレビカメラ、２５……放射温
度計、３５……作業デツキ、３８……補修材料供
給装置、３９……添加水ポンプ、４０……コンプ
レツサー、４１……補修材料ホツパー、４２……
自動制御操作装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 筒状炉の垂直または傾斜した耐火物の内張り
   壁を熱間状態において不定形耐火物を吹付け補修
   する装置において、 該炉上部の作業デツキ上に据え付けられ水平に
   移動するブーム走行装置と該ブーム走行装置に保
   持されて炉内に向かつてほぼ水平に伸縮可能に伸
   長する移動ブームの先端付近に、炉外の駆動装置
   とワイヤーシーブを介して４本のワイヤーロープ
   で昇降自在にした炉補修材吹付け装置を吊下げ、
   該炉補修材吹付け装置は、水平方向に延びた吹付
   けノズルと該吹付けノズルを回転自在にするノズ
   ル旋回装置とテレビカメラおよび放射温度計を格
   納した冷却函とからなり、前記吹付けノズルを炉
   外に設けた補修材供給装置および水ポンプと伸縮
   可能な圧送ホースを介して接続し、さらに前記炉
   補修に当たつての耐火物吹付け補修作業を制御し
   操作する自動制御装置を備えたことを特徴とする
   炉内壁吹付け補修装置。