JPS64835Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は口紅、アイシヤドウ等の棒状化粧料容
器に関するもので、特に容器外装部材である軸筒
を固形化粧料を収納する先筒に対して相対回転さ
せるときに視覚、触覚および聴覚を通じて化粧料
の定量繰り出しを確認しうる定量繰り出し容器に
関するものである。

〔従来技術とその問題点〕

口紅やアイシヤドウなどの繰出機構を有する棒
状化粧品は、通常固形化粧料が先筒の内部に収納
され、先筒の後端に連結された軸筒を手で回すこ
とにより化粧料を先筒前端から進出又は後退させ
るようになつている。このような繰り出し式棒状
化粧料容器は全体の形状が通常円柱状をなしてお
り、先筒及び軸筒が円柱形であるため、化粧に最
適な繰り出し量とするために軸筒を先筒に対して
何回転させたかを知ることができない。従つて、
使用者は、化粧料を必要以上に繰り出し過ぎて化
粧料を破損してしまうことがないように、化粧の
たび毎に先筒の先端から突出する化粧料の長さを
目で注意深く見ながら確かめ、最適な繰り出し量
となるように調節しなければならない煩わしさが
あつた。

また、従来の化粧品では、先筒と軸筒との回転
が一様に自由であるため、化粧の際に軸筒の不意
の回転により化粧料が後退したりして化粧料の位
置が定まらず化粧しにくかつたり、収納した場合
でも、例えばハンドバツグに入れて携行中に振動
によつて軸筒が自然に回転し化粧料が突出してキ
ヤツプの底に突き当たり、化粧料自体が欠損する
などの問題もあつた。

〔考案の目的〕

本考案はこれらの事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、化粧に最適な繰り
出し量とするために軸筒を先筒に対して何回転さ
せたかを目と手触りと音とで全感覚的に明確に知
ることができ、常に一定量の化粧料を繰り出すこ
とができるとともに、軸筒が先筒に対して相対回
転する際に抵抗を与えて化粧料の位置を安定せし
め、不時の化粧料の突出又は後退をなくした、定
量繰り出し式棒状化粧料容器を提供することにあ
る。

〔考扱の概要〕

本考案は、基本的には、断面が長円形状の先筒
部及び溝パイプ部から成る中空筒と、断面が先筒
部とほぼ同一または相似形の長円形状の、内周に
メネジを形成した軸筒と、突起を有する進退軸
と、進退軸前端の固形化粧料と、軸筒及び中空筒
に設けられて軸筒と中空筒との回転により嵌脱可
能な凹凸部とから成るものである。

〔考案の実施例〕

次に図面を参照して本考案の実施例について詳
説する。

第１図は本考案に係る棒状化粧料容器の第１実
施例を示す縦断面図で、第２図は第１図の位置の
本考案の第１実施例の左側面図である。第３図は
本考案の第１実施例の水平断面図、第４図は第３
図の位置の本考案の第１実施例の左側面図であ
る。

中空筒１は、前部の先筒部２及び後部の溝パイ
プ部３から成つている。先筒部２は、断面が長円
形状（楕円形状）の、化粧料収納用の筒体であ
る。ここで長円形状とは、真円形を除く、楕円形
又はトラツク形の形状をいう。溝パイプ部３は、
軸線方向に長い溝孔４を有する。

この溝パイプ部３は、軸筒５の内部に挿入され
ている。軸筒５は、内周にメネジ６を形成し、先
筒部２の断面とほぼ同一または相似形の長円形状
断面形状を有する。

溝パイプ部３の内部には、進退軸７が挿入され
ている。進退軸７は、外周に溝孔４から突出して
メネジ６に係合する突起８を有し、前端には中皿
９を固定している。中皿９は固形棒状の化粧料１
０の後端を固定している。化粧料１０もまた、断
面が長円形状であり、先筒部２の内周に沿つて先
筒部２の内部に収納される。

軸筒５の前部外周には、断面が長円形状のキヤ
ツプ１１が嵌脱可能であり、キヤツプ１１の内部
には先筒部２及び化粧料１０を収納することがで
きる。

溝パイプ部３の後部外周には、膨出体１２が組
合わされている。膨出体１２は、溝孔４へ内方に
突出する内方突部１３を有するため、溝パイプ部
３に対して相対回転するのが防止されるが、溝パ
イプ部３に対し軸線方向には可動である。膨出体
１２は、前端面の直径方向の相対する位置に２個
の凸部１４を有する（第５図参図）。軸筒５の後
端には、中心を通して相対する位置に２本の凹部
１５が設けられており、凹部１５は膨出体１２の
凸部１４と嵌合可能である（第６図参照）。膨出
体１２の後端には、内部に溝パイプ部３を挿通さ
せた圧縮コイルバネ１６の前端が当接しており、
コイルバネ１６は膨出体１２を軸筒５に対して弾
力的に圧接させている。

軸筒５の外周には外筒１７の内周が嵌着されて
おり、外筒１７は軸筒５の大部分、膨出体１２、
溝パイプ部３及びコイルバネ１６を内部に収容す
る。外筒１７は、底部を有し断面が長円形状の筒
体であつて、外形がキヤツプ１１の外形と等しい
ため、キヤツプ１１を嵌着した時の容器は外周に
段部を有さず、しよつとした振動や衝撃などでキ
ヤツプ１１がはずれることはない。外筒１７の内
部には、中心の孔１８の内部に溝パイプ部３を固
着した止め具１９が設けられており、コイルバネ
１６の後端を押止している。

化粧料１０を突出させる時、先筒部２に対して
軸筒５を一方向に回転させると、突起８がメネジ
６に沿つて前進し、進退軸７が化粧料１０を先筒
部２の先端から突出させる。化粧料１０を収納す
るためには、逆の操作を行なえばよい。このよう
に軸筒５を回転させる際、先筒部２と軸筒５とは
ともに断面が長円形状であるため、外形が一致し
ている状態から２分の１回転以下の回転量によつ
て先筒端面２０と軸筒端面２１との間にずれ（段
差）を生じる。最初に一致していた状態から２分
の１回転したときにずれはなくなり、再び外形が
一致する。こうして、２分の１回転毎に「ずれ」
と「一致」が現われるから、これを視認し、また
は手で触れることにより、軸筒５を先筒部２に対
して何回転させたかを目と手触りとで知ることが
できる。そして、軸筒５が２分の１回転すること
によつて繰り出される化粧料１０の突出量は一定
であるため、常に一定量の化粧料１０を繰り出す
ことができる。

また、軸筒５後端の凹部１５及び膨出体１２の
凸部１４は、先筒端面２０と軸筒端面２１とが一
致しているとき嵌合されており、先筒端面２０と
軸筒端面２１との間にずれを生じたとき膨出体１
２がコイルバネ１６を圧縮して凸部１４が凹部１
５から脱け出る。再び外形が一致したとき膨出体
１２はコイルバネ１６によつて押圧されているた
め、凸部１４と凹部１５とはパチンという音を出
して互いに嵌合する。従つて、軸筒５の回転数を
音によつても知ることができるとともに、軸筒５
が先筒部２に対して相対回転する際に凸部１４、
凹部１５及びコイルバネ１６による抵抗を与えて
化粧料１０の位置を安定せしめ、不時の化粧料１
０の突出又は後退をなくすことができる。凸部１
４及び凹部１５は、嵌脱容易であるようになめら
かな曲面から成ることが望ましく、軸筒５及び膨
出部１２に対して凹凸が逆に設けられていてもよ
い。また、凸部１４及び凹部１５の数は、必要に
応じて１個乃至12個ぐらいのうちの何個であつて
もよい。

次に本考案の第２実施例について詳説する。

第７図は、本考案に係る棒状化粧料容器の第２
実施例を示す縦断面図である。第８図は第７図の
中空筒の−線における断面図であり、第９図
は第２実施例の軸筒の左側面図である。

中空筒５１は、第１実施例と同様で先筒部５２
及び溝パイプ部５３から成る。溝パイプ部５３の
内部には、前端に中皿部５９を一体として形成し
た進退軸５７が挿入されている。中皿部５９は固
形化粧料６０の後端を固定しており、化粧料６０
は先筒部５２の内部に収納される。溝パイプ部５
３は、内周にメネジ５６を形成した軸筒５５の内
部に挿入されており、進退軸５７後端の突起５８
が溝パイプ部５３の溝孔５４から突出してメネジ
５６に係合している。溝パイプ部５３は、圧縮コ
イルバネ６６によつて軸筒５５の底部側へ押圧さ
れている。

先筒部５２の後端面７０の直径方向の相対する
位置には２本の凹部６５が設けられており、軸筒
５５の前端面７１に中心を通して相対する位置に
設けられた２本の凸部６４と互いに嵌合可能であ
る。

先筒部５２及び軸筒５５の外形断面はともに長
円形状（トラツク形状）であつて、この長円形状
の外形「ずれ」と「一致」及び凸部６４と凹部６
５との嵌合音は、先筒部５２に対する軸筒５５の
回転数を視覚、触覚、聴覚により知つたり、相対
回転の際に抵抗を与えたり等、前述の第１実施例
と同様の作用、効果を有する。

更に、この第２実施例は、膨出体を別に設ける
ことなく、中皿及び進退軸が一体であり、また、
外筒が軸筒と一体であるため、部材数が少なく、
簡単な構成によつて第１実施例と同様の効果、作
用を得ることができる。

〔考案の作用及び効果〕

本考案は、以上の構成を有し、先筒部及び軸筒
の断面が長円形状であるため、化粧に最適な繰り
出し量とするのに軸筒を先筒部に対して何回転さ
せればよいかを先筒部の外形と軸筒の外形とが一
致する回数から目と手触りとによつて知ることが
でき、更に、軸筒及び中空筒には軸筒と中空筒と
の回転により嵌脱可能な凹凸部が設けられている
ため、凹凸部が互いに嵌合する時に生じるパチン
という軽快な音によつても軸筒の回転数を知るこ
とができる。従つて、先筒に対する軸筒の回転数
を視覚と触覚と聴覚とによつて知り、常に一定量
の化粧量を繰り出して最適な繰り出し量とするこ
とができる。

また、本考案では、軸筒及び中空筒の凹凸部が
軸筒と中空筒との相対回転の適当な位置で互いに
嵌合しあつて回転する際に抵抗を与えるため、化
粧料の位置を安定確実にし、不時の化粧料の突出
又は後退をなくすことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る棒状化粧料容器の第１
実施例を示す縦断面図である。第２図は、第１図
の位置の本考案に係る棒状化粧料容器の第１実施
例の左側面図である。第３図は、本考案に係る棒
状化粧料容器の第１実施例の水平断面図である。
第４図は、第３図の位置の本考案に係る棒状化粧
料容器の第１実施例の左側面図である。第５図
は、本考案の第１実施例の軸筒を示す斜視図であ
る。第６図は、本考案の第１実施例の膨出体を示
す斜視図である。第７図は、本考案に係る棒状化
粧料容器の第２実施例を示す縦断面図である。第
８図は、第７図の中空筒の−線における断面
図である。第９図は、本考案の第２実施例の軸筒
の左側面図である。 主要符号、１，５１……中空筒、２，５２……
先筒部、３，５３……溝パイプ、４，５４……溝
孔、５，５５……軸筒、６，５６……メネジ、
７，５７……進退軸、８，５８……突起、１０，
６０……化粧料、１１，６１……キヤツプ、１２
……膨出体、１４，６４……凸部、１５，６５…
…凹部、１６，６６……コイルバネ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ａ 前部は断面が長円形状の先筒部となつて
   おり、後部は軸線方向の溝孔を有する溝パイ
   プ部となつている中空筒と、 ｂ 前記溝パイプ部が内部に挿入されて前記中
   空筒に回転自在に連結し、内周にメネジを形
   成し、前記先筒部の断面とほぼ同一の断面形
   状を有する軸筒と、 ｃ 前記溝パイプ部内に挿入され、前記溝孔か
   ら突出して前記メネジに係合する突起を外周
   に有する進退軸と、 ｄ 前記進退軸の前端に取付けられ、前記先筒
   部内に収納された固形化粧料と、 ｅ 前記軸筒の一端及び前記中空筒の外面に設
   けられて互いに弾力的に圧接され、前記軸筒
   と前記中空筒との回転により嵌脱可能な凹凸
   部と、 から成る長円形定量繰り出し容器。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項に記載された
   長円形定量繰り出し容器であつて、 前記凹凸部が、前記軸筒の後端に設けられた
   凹部及び前記溝パイプ部の後部外周に設けられ
   た膨出部の前端に設けられた凸部から成るとこ
   ろの長円形定量繰り出し容器。 ３ 実用新案登録請求の範囲第１項に記載された
   長円形定量繰り出し容器であつて、 前記凹凸部が、前記軸筒の前端に設けられた
   凸部及び前記先筒部の後端に設けられた凹部か
   ら成るところの長円形定量繰り出し容器。