JPS647224Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は過給機付のデイーゼル機関において過
給圧を機関熱負荷によつて制御する装置に関す
る。

（従来の技術） 一般に、デイーゼル機関において過給機を備え
て吸入空気量を増大させるようにしたものは、第
１図に示すように、過給圧に応じて燃料噴射量を
増加して出力アツプをはかつている。

これを説明すると、図中１は機関本体、２は吸
気通路、３は排気通路を示し、過給機としてのタ
ーボチヤージヤ４が、排気通路３にタービン５
を、吸気通路２にコンプレツサ６を介装して、排
気圧力で回転するタービン５により同軸上のコン
プレツサ６を駆動し、吸入空気を機関本体（燃焼
室）１へ圧送している。

そして、吸気通路２の過給圧（コンプレツサ６
の下流圧力）を圧力通路７を介して燃料噴射ポン
プ８のブーストコンペンセータ（図示せず）へ導
き、この過給圧の増加に応じて、第２図に示すよ
うに、燃料噴射量を相対的に増大させている。

この結果、機関本体１には過給機のない場合に
比較して、空気と燃料とが余分に供給されること
になり、機関出力が向上するのである。

なお、図中９は過給圧が所定の上限値を越えた
ときに、排気の一部をタービン５のバイパス通路
１０へ流すウエストゲートバルブである。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、このような過給機付内燃機関の
場合、過給圧が高い運転状態では燃料噴射量を大
きくなるので、一時的に過給圧が上限値を越える
ようなときはウエストゲートバルブ９が開いて過
給圧を下げたとしても、長時間にわたりウエスト
ゲートバルブ９が開く直前付近の運転状態を持続
したりすると、機関の熱負荷が非常に大きくな
り、最悪のときは機関オーバヒートやピストンの
焼き付きを起こすという問題も考えられた。

これに対して本出願人は、高温時にブーストコ
ンペンセータに対して過給圧と対抗するように高
圧を導入することにより燃料量を抑制する装置を
提案しているが（実開昭55−158223号公報参照）、
この装置では高圧を供給する高圧タンクが必要で
あるため乗用車等には適用しがたく、またタンク
圧力と過給圧とを適度にバランスさせる必要があ
るので構造的にも精密さが要求されるきらいがあ
つた。

本考案はこうした問題点を解消することを目的
としている。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案では、機関吸
入空気を過給する過給機とともに、過給圧に応じ
て燃料供給量を増量させるブーストコンペンセー
タを備えた内燃機関において、機関温度を検出す
る手段と、この検出温度が所定上限値を越えたと
きに切り換え作動する三方電磁弁を介してブース
トコンペンセータに導かれる圧力を減少させて過
給圧を強制的に低下させる手段とを備え、かつ過
給圧を強制的に低下させる手段は、過給圧をブー
ストコンペンセータに導入する経路の途中に位置
する絞り弁と、この絞り弁の開度を負圧導入時に
小さくするバキユームアクチユエータと、このバ
キユームアクチユエータを駆動する機関駆動のバ
キユームポンプとを備え、三方電磁弁を介してバ
キユームポンプからの負圧または大気圧を選択的
にバキユームアクチユエータに供給するように構
成した。

（作用） 上記構成において、機関温度が所定上限値を越
えると三方電磁弁が切り換わつて、吸気通路の絞
り弁を閉ざす方向にバキユームアクチユエータが
駆動される。このため、機関に供給される過給圧
が絞られて吸入空気量が減じると共に、ブースト
コンペンセータによる燃料増量制御も抑制される
ので、機関の発生熱量つまり熱負荷が減少する。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。なお、第１図と対応する部分には同図と同一
の符号を付して示すことにする。

第３図において、吸気通路２の途中には、過給
圧を燃料噴射ポンプ８のブーストコンペンセータ
に導く圧力通路７の入口部よりも上流側に位置す
るように、絞り弁１５が介装される。

この絞り弁１５には、その駆動手段としてバキ
ユームアクチユエータ１６が連接され、バキユー
ムアクチユエータ１６の負圧室１７には、三方電
磁弁１９を介してバキユームポンプ１８からの負
圧または大気圧が選択的に導入される。

三方電磁弁１９は、温度検出手段としての温度
スイツチ１２のオンオフにより電源１３からの通
電が制御され、機関冷却水温度が設定値を越える
と温度スイツチ１２がオンとなつて負圧をバキユ
ームアクチユエータ１６に導入する。このとき、
バキユームアクチユエータ１６は吸気通路２の通
路面積を絞る方向に絞り弁１５を駆動する。一
方、冷却水温度が設定値以下のときは温度スイツ
チ１２がオンとなり、これに伴い三方電磁弁１９
はバキユームアクチユエータ１６に大気圧を導入
する。この状態では、絞り弁１５は全開位置に位
置決めされている。

従つて、機関冷却水温度が設定値以下の、熱負
荷が比較的小さい運転領域では、吸気通路２の過
給圧が圧力通路７を経て燃料噴射ポンプ８のブー
ストコンペンセータにそのまま供給される。この
ため、第４図に示したように、過給圧に応じて燃
料噴射量及び機関出力が増大する。

これに対して、機関の熱負荷が高まり、冷却水
温度が温度スイツチ１２の設定値を越えると、三
方電磁弁１９が切り換わつてバキユームアクチユ
エータ１６にバキユームポンプ１８からの負圧を
導入するため絞り弁１５が閉じ方向に駆動され、
吸気通路２が絞られる。これにより、過給圧つま
り機関に供給される空気流量が減少すると共に、
絞り弁１５の下流に位置する圧力通路７を介して
燃料噴射ポンプ８のブーストコンペンセータに供
給される圧力も減少するので、燃料噴射量及び機
関出力が減少する。このとき、燃料噴射量のみな
らず、絞り弁１５の閉じ作動に基づいて過給圧も
強制的に減少されるので、機関の発生熱量は温度
スイツチ１２の作動に伴つて応答よく速やかに軽
減される。

このようにして、機関が熱的耐久限界に近付く
と熱負荷が軽減されるのであり、これによりオー
バヒートやピストンの焼き付きといつた不具合が
速やかかつ確実に回避される。

（考案の効果） 以上のように、本考案は機関熱負荷が上限値を
越えると過給圧を減少させるので、熱負荷を速や
かに下げて機関オーバヒートやピストンの焼付き
を未然に回避することができる。特に本考案で
は、絞り弁により吸気通路の過給圧そのものを減
じるようにしたので、高負荷運転時の熱負荷を応
答良く効果的に低減することができる。

また、本考案は三方電磁弁を介しての圧力の切
換えにより絞り弁を駆動してブーストコンペンセ
ータへの過給圧を減殺するようにしたので、構造
が比較的単純であつて信頼性が高く、しかも高圧
タンクを備えない車両に対しても適用可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の断面図、第２図はその作動特
性図である。第３図は本考案の一実施例の断面
図、第４図はその作動特性図である。 ２……吸気通路、３……排気通路、４……ター
ボチヤージヤ（過給機）、７……圧力通路、８…
…燃料噴射ポンプ、１２……温度スイツチ、１５
……絞り弁、１６……バキユームアクチユエー
タ、１９……三方電磁弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機関吸入空気を過給する過給機とともに、過給
   圧に応じて燃料供給量を増量させるブーストコン
   ペンセータを備えた内燃機関において、機関温度
   を検出する手段と、この検出温度が所定上限値を
   越えたときに切り換え作動する三方電磁弁を介し
   てブーストコンペンセータに導かれる圧力を減少
   させて過給圧を強制的に低下させる手段とを備
   え、かつ過給圧を強制的に低下させる手段は、過
   給圧をブーストコンペンセータに導入する経路の
   途中に位置する絞り弁と、この絞り弁の開度を負
   圧導入時に小さくするバキユームアクチユエータ
   と、このバキユームアクチユエータを駆動する機
   関駆動のバキユームポンプとを備え、三方電磁弁
   を介してバキユームポンプからの負圧または大気
   圧を選択的にバキユームアクチユエータに供給す
   るように構成したことを特徴とする過給機付内燃
   機関。