JPS647156Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は壁つなぎ固定アンカーに係り、仮設足
場の支持安定を図る壁つなぎを、建築物の壁に固
定させる壁つなぎ固定アンカーに関する。

従来から、仮設足場の倒壊防止手段として、仮
設足場と建築物の壁との間に取付けられる、棒状
で伸縮自在の壁つなぎが提供されており、仮設足
場に連結された壁つなぎの固定端を建築物の壁に
固定させるための固定アンカーも種々提案されて
いた。

しかし、従来の壁つなぎ固定アンカーでは、打
込部の一端が尖鋭状に形成されているものの、打
込部に切刃が設けられていなかつたため、壁の奥
にある硬質建材に打込部を充分に打ち込むことが
できなかつた（実開昭57−133750号）。

従つて、壁が気泡コンクリート（ALC）のよ
うな稍硬度に劣る建材で構設されている場合にあ
つては、その壁に打ち込んだ固定アンカーの引張
強度が弱いために、使用中に脱落して仮設足場の
倒壊を招く危険性があつた。

また、従来の壁つなぎ固定アンカーは、打込部
の一端にネジを設け、ナツト部のネジ穴に打込部
のネジを螺合させるものであつた（実開昭54−
72348号）。

従つて、ナツト部に電動ドリルを取付け、ドリ
ルを回転させたときに打込部の一端にネジ込んだ
ナツト部が外れ易く、打込部を硬質建材に充分に
打ち込むことができなかつた。同様に、打込部を
壁から抜き去るためにスパナ等でナツト部を回転
させたときも、打込部からナツト部が外れ易く、
打込部の抜き去りが困難であつた。

本考案は、叙上の欠点を解決するために案出さ
れたものであり、その要旨は、外周にネジ山を螺
刻した棒状の打込部と壁つなぎの固定端が螺着可
能なナツト部からなる壁つなぎ固定アンカーにお
いて、打込部の一端に切刃を設けると共に、打込
部の他端にナツト部を設けたことにある。

以下、図面に従つて本考案の一実施例を説明す
る。

図において符号１は、棒状の打込部であり、こ
の打込部１の一端には切刃２が設けられている。
また、切刃２から他端方向への外周にはネジ山３
が螺刻されている。そして、打込部１の他端は六
角形状の係止端４となつており、ナツト部５に貫
装させた打込部１が抜け落ちないようにしてあ
る。

外周が六角状のナツト部５は、一方の開口部分
が狭口状に形成されており、ナツト部５に打込部
１を貫装させた後、係止端４付近の打込部１外周
部分をナツト部５に溶着せしめて全体を完成させ
てある。しかして、図中６は打込部１とナツト部
５との溶着部である。もつとも、溶着以外の方
法、例えば、ナツト部５に貫装させた打込部１の
外周の一部を圧潰することで両者を結合せしめて
もよいし、或いは、図示例のようにナツト部５と
打込部１とを別個に形成することなく、両者を一
体成形しても差支えないものである。

次に、第３図に従つて、本考案の使用方法を説
明すると、まず電動ドリル（図示せず）にナツト
部５を取付け、打込部１を気泡コンクリート製の
外壁７の継目８から貫通せしめ、更に、打込部１
の先端部分を、リツプみぞ形鋼を対峙溶接して形
成した間柱９の間に打ち込むものである。

このとき、打込部１の一端に切刃２が設けられ
ていることから、ドリルの回転により打込部１の
切刃２も回転し、外壁７の継目８への打ち込みを
充分に行なうことができると共に、間柱９への圧
入が比較的容易に行なえるのである。

また、一端に切刃２を設けた打込部１の他端に
ナツト部５を溶接等により設けていることから、
電動ドリルにナツト部５を取付け、ドリルを回転
させたときは、ナツト部５の回転にともなつて、
切刃２も充分に回転し、外壁７の継目８への打ち
込み及び間中９への圧入が容易に行なえるので
る。更に、ネジ山３の形成によつて打込部１の脱
落を完全に防止できるのである。

外壁７の内側の適当な位置に図示例のような間
柱９がない場合は、胴縁やその他アングル材等の
硬質建材に打込部１を打ち込むものとする。この
場合にも、打込部１の一端に切刃２が設けられて
おり、また、打込部１の他端にナツト部５が溶接
等により設けられていることから、電動ドリルに
ナツト部５を取付け、ドリルを回転させたとき
は、硬質建材に打込部１を容易に打ち込むことが
できる。

打込部１の打ち込み作業終了後は、電動ドリル
を外し、ネジ山が螺刻されている壁つなぎ１０の
固定端１１をナツト部５に螺着せしめることで、
壁つなぎ１０の固定作業は完了する。一方、仮設
足場の解体時には、壁つなぎ１０を取外した後、
スパナー等でナツト部５を回転させて打込部１を
抜き去り、然る後に、打込部１の打ち込み跡を補
修するものである。

この場合、打込部１の一端に溶接等によりナツ
ト部５を設けていることから、スパナ等でナツト
部５を回転させたときは、ナツト部の回転に伴つ
て打込部１も充分に回転し、打込部１の抜き去り
を容易に行なうことができる。

よつて、本考案によれば、打込部１の一端に切
刃２を形成したので、外壁７を貫通させた打込部
１を、外壁７の内側に構設される間柱９その他の
硬質建材に打ち込み可能となり、打込部１の引張
強度が増強されることによつて、壁つなぎ１０を
確実かつ堅牢に固定させることができる。

従つて、外壁７が、気泡コンクリート等のよう
な硬度に劣る建材で構設されている場合であつて
も、仮設足場を堅牢、かつ、安定的に支持させる
ことが可能となるのである。特に、壁つなぎ１０
の取付が必須となる一側足場にあつては、その支
持状態を安定させて倒壊防止を図るために、壁つ
なぎ１０の脱落を完全に防止できる固定アンカー
が必要となるのであり、本考案は、一側足場に取
付ける壁つなぎ１０の固定手段に使用して極めて
効果的なものである。

なお、打込部１を、外壁７の継目８から貫通さ
せれば、外壁７の損傷を最小限に止めることがで
きるばかりでなく、その貫通作業も容易となる。

また、打込部１の他端にナツト部５を設けたこ
とから、電動ドリル等にナツト部５を取付けるこ
とで、打込部１の打込作業が容易になるし、壁つ
なぎ１０の固定端１１をこのナツト部５に螺着せ
しめるだけで、簡単かつ堅牢に、仮設足場の支持
が可能となる。しかも、ナツト部５を回転させれ
ば、打込部１を容易に抜き去ることができるの
で、打込部１を使り捨てることなく何度でも使用
できる利点がある。

更に、本考案の構造は極めて簡単であるから、
製造単価も安くて済み、安価で実用性に優れる製
品として提供できる。

以上説明したように本考案によれば、仮設足場
の支持固定を図る壁つなぎを、建築物の壁に堅牢
に固定せしめる等種々の優れた実用的効果を奏す
るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであり、第
１図は斜視図、第２図は一部切欠正面図、第３図
は使用状態を示す断面図である。 １……打込部、２……切刃、３……ネジ山、４
……係止端、５……ナツト部、６……溶着部、７
……外壁、８……継目、９……間柱、１０……壁
つなぎ、１１……固定端。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外周にネジ山を螺刻した棒状の打込部と壁つな
   ぎの固定端が螺着可能なナツト部からなる壁つな
   ぎ固定アンカーにおいて、打込部の一端に切刃を
   設けると共に、打込部の他端にナツト部を設けた
   ことを特徴とする壁つなぎ固定アンカー。