JPS646637Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はオーデイオ信号を再生するヘツドホン
に関する。

背景技術とその問題点 先に、スピーカユニツトを収納したハウジング
に耳介に挿入する様にした第１図及び第３図に示
す如きヘツドホンが夫々提案されている。この第
１図において、１は略円錐台形状をしたハウジン
グを示し、このハウジング１内にはスピーカユニ
ツト２が収納されている。３はスピーカユニツト
２の振動板２ａに対向する位置に設けたプロテク
タであり、このプロテクタ３にはスピーカユニツ
ト２の振動板２ａから放射された音を通過させる
多数の透孔が設けられている。４はコード保持部
５はコードである。

このヘツドホンは第２図に示す如く耳介Ａに挿
入され装着される。即ち、ハウジング１が略円錐
台状のくぼみ所謂耳甲介腔Ｂ内に配され、このハ
ウジング１の背面側が耳甲介腔Ｂの下側に位置し
耳甲介腔Ｂ上に両側から張り出した所謂耳珠Ｃ及
び対珠Ｄに押えられ、コード保持部４が耳珠Ｃと
対珠Ｄとの間の略Ｕ字形状の隙間所謂珠間切痕Ｅ
に配される。

この様に装着されるヘツドホンにおいては、イ
ヤホンの如く外耳道に圧迫感を受けることなく良
好に装着できる。

ところで、一般に外耳道Ｆの入口は耳甲介腔Ｂ
の側部に位置している。この為、外耳道Ｆの入口
に対してスピーカユニツト２の正面は偏つた位置
となり、外耳道Ｆの入口方向にはスピーカユニツ
ト２の振動板２ａの略半分が対向し、振動板２ａ
から放射される音の略半分が外耳道Ｆの入口に対
して反対方向に漏れてしまうという不都合があつ
た。又、耳甲介腔Ｂの大きさには個人差がある
為、耳甲介腔Ｂ内にハウジング１が装着されたと
きに人により外耳道Ｆに対するスピーカユニツト
２の振動板２ａの対向の度合が異り音色に差を生
じてしまうという不都合があつた。

第３図に示すものはハウジングに支持体を設
け、この支持体によりスピーカユニツトの振動板
を外耳道の入口に対向させて装着できるようにし
たヘツドホンである。この第３図において、６は
馬蹄形のヘツドバンドであり、このヘツドバンド
６の両端側にこのヘツドバンド６を内部に収納し
保持するハンガ７ａ及び７ｂが設けられている。
このハンガ７ａ及び７ｂの夫々の一端にハウジン
グホルダ８ａ及び８ｂを介してハウジング１ａ及
び１ｂが取り付けられる。この場合、ヘツドバン
ド６を人の頭部に掛け渡したときにハウジング１
ａ，１ｂ内に収納したスピーカユニツト２の振動
板２ａが顔面と同一面方向に向くように即ちヘツ
ドバンド６及びハンガ７ａ，７ｂを含む面に平行
となるようにハンガ７ａ，７ｂにハウジング１
ａ，１ｂが取り付けられる。又、ハウジングホル
ダ８ａ，８ｂは所謂ユニバーサルジヨイントによ
りハンガ７ａ，７ｂに対してハウジング１ａ，１
ｂを回動可能に連結する。３ａ，３ｂは左右用の
スピーカユニツトのプロテクタであり、９はプラ
グである。その他スピーカユニツト２等の構成は
上述第１図に示すヘツドホンと同様である。

斯かるヘツドホンにおいては第４図に示す如く
ヘツドバンド６を頭部Ｈに掛け渡し、スピーカユ
ニツト２の振動板２ａが外耳道Ｆの入口に対向す
るようにハウジング１ａ及び１ｂを夫々左右の耳
介Ａに挿入し装着する。この場合、スピーカユニ
ツト２の振動板２ａが外耳道Ｆを介して鼓膜Ｇに
対向し、振動板２ａから放射される音が直接鼓膜
Ｇに伝わり、外耳道Ｆにて反射する音は比較的少
ない。従つて、スピーカユニツト２の振動板２ａ
から放射される音が人により異なる外耳道Ｆの形
状に比較的影響されず良好な音質が得られる。

ところで、この様に装着時に振動板２ａを外耳
道Ｆの入口に対向させるヘツドホンにおいては、
顔面の表側から見て第５図に示す如く振動板２ａ
に対向するプロテクタ３ａの略半分は耳珠Ｃ等に
より覆われるけれども、残りの略半分は露呈す
る。この為、露呈した部分の振動板２ａから放射
される音は漏れてしまい効率が低下するという不
都合があつた。

考案の目的 本考案は斯かる点に鑑み再生音の漏れが比較的
少なく良好な音質が得られるものを得ることを目
的とする。

考案の概要 本考案はスピーカユニツトを耳介に挿入するよ
うにしたヘツドホンにおいて、スピーカユニツト
の振動板の外耳道に対向しない範囲にスピーカユ
ニツトの振動板に対向して遮蔽板を設け、この遮
蔽板により再生音の漏れを少なくするようにした
ヘツドホンであり、斯かる本考案ヘツドホンによ
れば、再生音の漏れが比較的少なく良好な音質が
得られる。

実施例 以下、第６図乃至第８図を参照して本考案ヘツ
ドホンの一実施例について説明しよう。この第６
図乃至第８図において第３図と対応する部分に同
一符号を付してその詳細な説明は省略する。

本例においては第６図及び第７図に示す如くプ
ロテクタ３ａ，３ｂの内側にスピーカユニツト２
の振動板２ａに対向するように半円形状の遮蔽板
１０を設ける。この遮蔽板１０はスピーカユニツ
ト２の振動板２ａから放射される音の透過率を小
さくするものであり、第６図に示す如く左耳に対
応する側の遮蔽板１０はスピーカユニツト２の振
動板２ａの左側半分を遮蔽する如くなすと共に右
耳に対応する側の遮蔽板１０はスピーカユニツト
２の振動板２ａの右側半分を遮蔽する如くなす。
その他スピーカユニツト２等は第３図乃至第５図
に示す従来のものと同様に構成する。

斯かる本例のヘツドホンにおいては第４図に示
す如くスピーカユニツト２の振動板２ａが外耳道
Ｆの入口に対向するように装着する。この場合、
顔のおもて側から見て第８図に示す如くプロテク
タ３ａ，３ｂの内略半分は耳珠Ｃ等により覆わ
れ、残りの略半分即ち遮蔽板１０により遮蔽され
ている部分は露呈される。スピーカユニツト２の
振動板２ａから放射される音は遮蔽板１０により
遮蔽されていない部分から放射される。このと
き、振動板２ａの遮蔽板１０に対向する部分から
の音の指向性の強い高域成分は遮蔽板１０により
遮蔽され、この音の指向性の弱い低域成分は遮蔽
板１０を回り込み外耳道Ｆを介して鼓膜Ｇに伝わ
る。従つて、スピーカユニツト２を耳介Ａに挿入
するヘツドホンの如く低域成分が比較的不足しが
ちな口径の比較的小さなスピーカユニツト２にお
いても、聴感上低域成分が増強され良好な音質が
得られる。

以上述べた如く本例によれば、スピーカユニツ
ト２を耳介Ａに挿入するようにしたヘツドホンに
おいて、スピーカユニツト２の振動板２ａの外耳
道Ｆに対向しない範囲にスピーカユニツト２の振
動板２ａに対向して遮蔽板１０を設けたので、放
射される音の漏れが減少し、この漏れの減少した
分だけ効率の高いものを得ることができる。又、
この遮蔽板１０により再生音の漏れを少なくする
ようにした為、低域成分が比較的不足しがちな口
径の比較的小さなスピーカユニツト２において
も、聴感上低域成分が増強され良好な音質が得ら
れる。又、比較的小さなスピーカユニツト２の振
動板２ａの略半分が遮蔽板１０により遮蔽される
ので、耳甲介腔Ｂの大きさに個人差が生じても外
耳道Ｆに対するスピーカユニツト２の振動板２ａ
の開口の度合の個人差が比較的少なく、人により
音色に差を生じることが比較的少ないものを得る
ことができる。

第９図に本例によるヘツドホンの周波特性を実
線で示し、上述第３図に示すヘツドホンの周波数
特性を一点鎖線で示す。この第９図より明らかな
如く本例のヘツドホンによれば口径の比較的小さ
なスピーカユニツト２では失われ易い低域成分が
増強され、良好な音質が得られた。

又、第１０図に本考案の他の実施例を示す。こ
の第１０図に示すものは上述第１図及び第２図に
示す如く耳介Ａにスピーカユニツト２を挿入する
ようにしたヘツドホンにおいて、ハウジング１の
プロテクタ３の内側に振動板に対向するように半
円形状の遮蔽板１０を設けたものである。

斯かる第１０図に示す実施例においても上述第
６図及び第７図に示す実施例と同様の作用効果が
得られることは容易に理解できよう。

尚、本考案は上述実施例に限らず本考案の要旨
を逸脱することなくその他種々の構成を取り得る
ことは勿論である。

考案の効果 本考案ヘツドホンに依れば、スピーカユニツト
を耳介に挿入するようにしたヘツドホンにおい
て、スピーカユニツトの振動板の外耳道に対向し
ない範囲にスピーカユニツトの振動板に対向して
遮蔽板を設けたので、放射される音の漏れが減少
し、この漏れの減少した分だけ効率の高いものを
得ることができる。又、この遮蔽板により再生音
の漏れを少なくするようにした為、低域成分が比
較的不足しがちな口径の比較的小さなスピーカユ
ニツトにおいても、聴感上低域成分が増強され良
好な音質が得られる。又、比較的小さなスピーカ
ユニツトの振動板の略半分が遮蔽板により遮蔽さ
れるので、耳甲介腔の大きさに個人差を生じても
外耳道Ｆに対するスピーカユニツトの振動板の開
口の度合の個人差が比較的少なく、人により音色
に差を生じることが比較的少ないものを得ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第３図は夫々ヘツドホンの例を示す
側面図及び正面図、第２図は第１図の装着状態の
説明に供する略線図、第４図及び第５図は夫々第
３図の装着状態の説明に供する略線図、第６図は
本発明ヘツドホンの一実施例を示す正面図、第７
図は第６図の要部を示す略線図、第８図は第６図
の装着状態の説明に供する略線図、第９図は第６
図と第３図とによる夫々の周波数特性を示す線
図、第１０図は本考案の他の実施例を示す正面図
である。 １はハウジング、２はスピーカユニツト、２ａ
は振動板、１０は遮蔽板、Ａは耳介である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 電気音響変換素子及び振動板が収納され、耳介
   の凹部に装着したときに耳介の一部によつて係止
   される形状と成されたハウジングと、 該ハウジングの放音面側に取り付けられた、複
   数の透孔を有するプロテクタとを有し、 上記ハウジングを耳介の凹部に装着した状態で
   外耳道に相対向する領域を除いた上記振動板と上
   記プロテクタ間に、外耳道と相対向する領域より
   音響透過性の小さい遮蔽板を設けたことを特徴と
   するヘツドホン。