JPS638874Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は比較的小型の斜流ポンプに於いても実
施可能な斜流ポンプに於ける翼可動機構に関する
ものである。

従来、羽根の外径を一定に保つたまま羽根の角
度のみを変化させる翼可動機構を設けた斜流ポン
プは、この種の大型ポンプに於いて既に実施され
てきているが、この種の翼可動機構は駆動軸の先
端部に設けられるボス部に回動可能に装着された
羽根をボス部内部に配設されたリンク機構を介し
て上記駆動軸内に挿通させた操作軸に連結し、こ
の操作軸をポンプ上方部に設けたレバー機構で昇
降動作させて羽根の角度を変更操作できるように
したものである。

したがつて、このような翼可動機構が採用でき
るのは、複雑なリンク機構を収容できる大きなボ
ス部と、操作軸を挿通する大径な駆動軸を備えた
大型の斜流ポンプに限られ、スペース等の制約か
ら小型の斜流ポンプには適用できない問題があつ
た。

また構造も複雑なため、羽根の角度を変更して
種々の実験を試みるようなモデルポンプには、コ
スト面で不向きであつた。

本考案はこのような事情に着目してなされたも
ので、その目的とするところは小型の斜流ポンプ
にも適用可能であり、構造が簡単で安価に実施で
き、モデルポンプ等にも好適する斜流ポンプに於
ける翼可動機構を提供することにある。

かかる目的を達成すべく本考案は以下の如く構
成したことを特徴とする。

すなわち、駆動軸の先端部に形成された内部が
中空なボス部と、このボス部に羽根軸を貫装して
該ボス部に回動可能に支持する羽根と、上記羽根
軸の偏心位置に突設してボス部内に突出させた偏
心ピンと、一端部を駆動軸の先端部中央に形成し
た雌ねじ部に螺合して周方向に回動させることに
より軸方向に移動させる操作軸と、この操作軸に
周方向回転自在にかつ軸方向移動不能に軸支する
軸受台と、この軸受台の上記偏心ピンに対応する
位置に設け上記偏心ピンを周方向回転自在にかつ
軸方向揺動自在に支持する自在軸受と、上記操作
軸の他端部に係合し上記ボス部に固定させて上記
操作軸の回り止めを行う固定部材とを具備してな
るものである。

したがつて、羽根の角度を変更する際は、操作
軸を固定している固定部材を外して、操作軸を回
動操作することにより、この操作軸に軸支されて
いる軸受台が操作軸と共に軸方向に移動し、該軸
受台によつて周方向回転自在に、かつ軸方向揺動
自在に支持されている偏心ピンが円弧状に移動し
て羽根の角度が変更されるものである。

つまり、ボス部内に設けられる操作軸を回動操
作することによつて、羽根の角度を容易に変更す
ることができ、従来のように大きなスペースを占
有する複雑なリンク機構を設けたり、操作軸を駆
動軸内に挿通するような必要がなく、構造が簡単
で、小型にかつ安価に製作可能であり、特に小型
の斜流ポンプ及びモデルポンプ等に好適するもの
である。

以下、本考案の１実施例を図面を参照して説明
する。

図中１はモータ等に直結される駆動軸であり、
その先端部に内部が中空に形成されるボス部２を
設けている。

３は上記ボス部２の外周部に設けられる羽根で
あり、その羽根軸４をボス部２に貫装して、ニー
ドルベアリング５及びスラストニードルベアリン
グ６，６を介して回動可能に支持される。

７は上記羽根軸４の偏心位置に突設してボス部
２内に突出させた偏心ピンである。

一方、上記駆動軸１の先端部中央に形成した雌
ねじ部に、両端部にねじ溝８ａ，８ｂを螺刻した
操作軸８の一端部を螺合して、該操作軸８を回動
させることにより軸方向に移動自在となし、この
操作軸８に環状の軸受台９を挿入して、該軸受台
９をベアリング１０，１０を介して周方向回転自
在に軸支するとともに、操作軸８に嵌着した係止
リング１１，１１によつて上記軸受台９が操作軸
８上をその軸線方向に移動するのを阻止してい
る。

また軸受台９の上記偏心ピン７に対応する部位
に自在軸受１２を設けている。

この自在軸受１２は偏心ピン７を周方向回転自
在に支持するリニアボールベアリング１３と偏心
ピン７を軸方向揺動自在に支持する球面すべり軸
受１４とを組合せたもので構成される。

また上記操作軸８の他端部に設けたねじ溝８ｂ
に、該操作軸８の回り止めを行なう固定部材とし
ての羽根車ナツト１５を螺合し、この羽根車ナツ
ト１５をボス部２の先端部にボルト１６を介して
固着している。

また上記操作軸８の他端部端面にスパナ等の工
具を係合させて操作軸８を回動操作するための、
係合突部１７を一体に突設している。

このような構成によれば、羽根３の角度を変更
する場合は、羽根車ナツト１５を取外し、操作軸
８をスパナ等の工具を使用して回動操作すればよ
い。操作軸８の回転によつて軸受台９が移動する
とともに、羽根軸４に突設した偏心ピン７を自在
軸受１２で支持している関係上、軸受台９が回転
動作し、偏心ピン７は第２図に矢印αで示すよう
に円弧を描いて回動する。つまり羽根３が矢印β
で示す如く回動することになる。

尚、調整後は再び羽根車ナツト１５を操作軸８
に螺合して、羽根車ナツト１５をボルト１６でボ
ス部２に固着すればよい。

また、この実施例では偏心ピン７を支持する自
在軸受１２にリニアボールベアリング１３と球面
すべり軸受１４とを組合せたものを使用したこと
により、偏心ピン７の回動操作が円滑に行なわ
れ、羽根３の回転に無理が生じない。

また、操作軸８の他端部に羽根車ナツト１５を
螺合して、操作軸８を両端部から牽引して固定す
るようにしたことにより、操作軸８が確実に固定
されるのは勿論、ボス部２等の強化にも寄与す
る。

尚、単に操作軸８に回り止めを施すだけのもの
であれば、操作軸８に固定金具を係合させて、該
固定金具をボス部等に固定すればよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例を示す断面図、第２
図は同実施例の偏心ピンの動作を示す説明図であ
る。 １……駆動軸、２……ボス部、３……羽根、４
……羽根軸、７……偏心ピン、８……操作軸、９
……軸受台、１２……自在軸受、１５……固定部
材（羽根車ナツト）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 駆動軸の先端部に形成された内部が中空なボス
   部と、このボス部に羽根軸を貫装して該ボス部に
   回動可能に支持する羽根と、上記羽根軸の偏心位
   置に突設してボス部内に突出させた偏心ピンと、
   一端部を駆動軸の先端部中央に形成した雌ねじ部
   に螺合して周方向に回動させることにより軸方向
   に移動させる操作軸と、この操作軸に周方向回転
   自在にかつ軸方向移動不能に軸支する軸受台と、
   この軸受台の上記偏心ピンに対応する位置に設け
   上記偏心ピンを周方向回転自在にかつ軸方向揺動
   自在に支持する自在軸受と、上記操作軸の他端部
   に係合し上記ボス部に固定させて上記操作軸の回
   り止めを行う固定部材とを具備してなることを特
   徴とする斜流ポンプに於ける翼可動機構。