JPS636204B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明の第一の目的は、化学繊維製あるいは天
然繊維と化学繊維との混紡繊維から成るスライド
フアスナーストリンガーテープに合成樹脂製ある
いは金属製の噛合せエレメントを縫着、植付けな
どによつて止着した一対のスライドフアスナース
トリンガー（以下単にストリンガーと略称する）
を噛合せたスライドフアスナー連続チエーン（以
下単に連続チエーンと略称する）を縫製などの二
次加工の際に加工担当者が特別な器具例えばハサ
ミ、截断カツターなどを使用することなく素手で
所定の分離部をちぎることにより容易に分離し使
用し得ると共に、連続チエーンの生産過程や運
搬、販売のための包製などの過程では取扱中にち
ぎれて連続チエーンの製品価値を損なつたり、製
造中の生産能率の低下を招くことのない適度の強
度を持つ分離溝を有する連続チエーンを得ること
にあり、この目的達成のために本発明では、連続
チエーンの分離部に電熱エツジ、電熱ロールなど
の溶融・焼切り装置、超音波合成樹脂溶融装置な
どを用いて連続チエーンの長手方向に直交してチ
エーンのエレメントあるいはスペース部分に単列
あるいは複数列の分離溝から成る分離部を設置し
た構成を特徴とする。

次に本発明の第二の目的は、上記第一の目的を
達すると共にちぎり操作を行なう際織成あるいは
編成された連続チエーンテープが分離部において
一部の糸が手際よく切断されないために生ずるい
わゆる糸びき現象の起らないように上記第一の目
的達成のために設ける分離部の設置に際し連続チ
エーンテープの組織の関係を充分考慮し、糸引き
現象防止のため連続チエーンテープに形成する分
離部を連続チエーンテープの組織中の経糸のすべ
てを包含するように設置することを特徴とする。

以下本発明の実施例について明細書に添付した
図面を参照して説明するが、図示の実施例は本発
明の実施態様の数例であつて、本明細書の特許請
求の範囲に本発明の必須の構成要件として列記し
た技術的思想を有するものがすべて本発明の技術
的範囲に属することはたとえその実施態様に本明
細書記載のものと差違があつてもいうまでもな
い。

実施例 １ 第１図において１は化学繊維、天然繊維と化学
繊維の混紡繊維から織成または編成された連続チ
エーンテープ、２は縫糸３によつて連続チエーン
テープに縫着した合成樹脂製の噛合せエレメン
ト、Ａは一対のストリンガーＢおよよびＣを噛合
せ部４によつて噛合せたスライドフアスナー連続
チエーン（以下単に連続チエーンと略称する）、
５は連続チエーンＡの適宜の個所でスペース加工
によつてエレメント２を除去したスペース部、Ｄ
は本発明の連続チエーンＡの分離部、６はスペー
ス部５の連続チエーンＡの長手方向と直交して、
電熱エツジ、超音波合成樹脂溶融装置などを使用
して設置した連続チエーンテープの上面から下面
近くにに達する深さの単列一条の通しの分離溝で
ある。Ｅはスペース加工により噛合せエレメント
の除去された連続ストリンガーテープ間に生じた
連続チエーンの空間部である。そして上記分離溝
６は、第１図ｂで示すように下面近くの底部に比
し上面の溝巾がやや広い溝状としてあるがこれは
例えば合成繊維製の連続チエーンテープを電熱エ
ツジ、電熱ローラあるいは超音波合成樹脂溶融装
置（周知の超音波合成樹脂接合機と原理的に同
じ）のヘツドなどで局所的に熱溶融する場合最も
加工形成し易い形状を示したもので連続チエーン
テープ（以下単にテープと略称することがある）
の材質、組織により分離部Ｄでちぎる時の抵抗乃
至は裂断性が違うのでそれぞれの性質に応じ適当
な分離溝６の形状（例えば本例のような皿形断面
の底部両側にｃ図のように更に切込みを附加す
る）および深さを選択することが必要である。な
お、上記分離溝６の形成に際し噛合せエレメント
２を連続ストリンガーテープに縫着した縫糸３が
溶断されることはいうまでもない。また、後述す
る各実施例を含めてチエーンのスペース部に分離
溝を配設するものにおいて、前記エレメント材質
は樹脂に限定されるものではなく金属エレメント
も含まれる。そして第１図では分離溝をテープの
上面に形成したが、製品の体裁上分離溝が見えな
いようにするなど必要に応じ溝の形成はテープの
下面（裏側）に実施してもよく、また、一面から
の分離溝とせず第７図に示すように両面からの分
離溝でもよい。さらにテープの巾方向に配設され
る分離溝を第１図ａに示す直線状に配設するのみ
ならずｄのようにジグザグ状に配設しても良い。
この場合チエーンを手でちぎることなく単にチエ
ーンの長手方向に引張る丈けで前記分離溝を介し
てチエーンが分離されるので分離作業をきわめて
簡単に行うことができる。

実施例 ２ 第２図において符号１〜５、Ａ〜Ｅまでは実施
例１と同じ、７は連続チエーンの長手方向と直交
して長い破線に相当する連続チエーンテープの上
面から下面近くに達する長くて深い分離溝、８は
破線の白地の部分に相当する短くて浅い分離溝で
両者は交互に連接して全体として通しの単列一条
の深浅を交互に繰返す分離溝を形成している。本
実施例の作用として連続チエーンテープの材質が
実施例１と同じ場合は分離溝７ではちぎり易く分
離溝８では分離溝７よりも大きな力をちぎるのに
必要とする反面取扱中は分離溝８の肉厚が厚い分
丈け全体として分離部Ｄは実施例１に比し分離し
にくく、さらに一部の分離溝７が切れたとしても
分離溝８で他部への分離の波及が止められるので
取扱中不用意に強い力が連続チエーンに加わつた
時などには実施例１のものにくらべ比較的分離部
Ｄ全体が切断する恐れが少ないと言え、したがつ
て取扱中の切断に関する配慮は実施例１に比し少
くてすむことになる。なお、本実施例の場合も溝
の形成は上面、下面両面のいづれでもよく、ま
た、実施例１と同じくジグザグ状としてもよい。

実施例 ３ 第３図に示す例は、分離部Ｄにおけるスペース
部５の連続チエーンの長手方向と直交して設けた
分離溝が実施例１および２のように単列でなく複
列XYZで構成され、しかも各列は破線状に配列
した長く深い分離溝７と破線中の白地部分に相当
するテープの生地の部分が交互に配置してある。
したがつて、分離溝７同志の間の接続部分はそれ
ぞれテープの生地のままの状態であるから強い強
度を持つので、このような配列のものを単列でち
ぎろうとすると明細書で最初に指摘した糸引き現
象が高い頻度で発生する。そのため本実施例で
は、隣接する単列の破線状の、生地のままの部分
より長く深い分離溝７の配列を千鳥足状にし、或
る列の個々の分離溝７がその隣りの列の短い生地
のままの部分をその全長を越えて併行して配置
し、短い生地の部分の糸がちぎる時の力で強く引
張られてもその引張力が隣の列の長く深い分離溝
７の部分で作用する丈けでその分離溝７の破壊力
となつて分離溝の反対側に存在する糸の部分に引
張り力が作用することは無い。その状況を拡大し
て画いた第３図ｂによつてテープの織りの組織と
分離溝の複列の配置の関係を図示したが、図中横
方向のテープの長手方向の糸が経糸であり、複列
の深い分離溝７は図中縦方向のテープの巾すなわ
ち緯糸と平行して設けられ、その千鳥足状の配置
によつて経糸ははテープの巾方向において二重に
配列した分離溝７にその全長を越えて完全にカバ
ーされているから、ちぎつて切離す操作の時に分
離部Ｄで糸が引きつられて糸引き現象の発生する
恐れはない。本例では織成したテープについて説
明したが編成によるテープの場合も同様である。
また、第３図ｄに示すように複数列の深い分離溝
７で囲まれた複数列間のテープの生地のままの部
分全体を実施例２の分離溝８程度の浅い深さ９に
分離部Ｄを形成しておけば、ちぎり操作に際し分
離がテープ生地の分離部Ｄ以外に波及する恐れは
一層少くなり従つて糸引き現象の発生も殆んど起
らない。そして本実施例の場合も溝の配設はテー
プの上面、下面両面のいづれでもよく、また、ジ
グザグ状でもよい。

実施例 ４ 第４図において複列Ｘ，Ｙにおいてそれぞれ７
は、実施例２の７と同じ一点鎖線状に配設した一
点鎖線の長い線に相当する長くて深い分離溝、８
は一点鎖線の点に相当する実施例２の８と同じ短
くて浅い分離溝、１０は一点鎖線の白地に相当す
るテープの生地のままの部分である。そして平行
したＸ列とＹ列における分離溝の関係は、長く深
い各分離溝７が相隣る列の短く浅い各分離溝８お
よび各テープの生地のままの部分１０とすべて併
行して配設してあり、かつ長い分離溝７の長さは
短かい分離溝８とその前後の各テープの生地のま
まの部分１０の長さを加えた長さを越えた長さに
して上記８および１０の位置に併行して完全にカ
バーする位置に配備してある。したがつて、ちぎ
り操作において実施例３と同様テープの経糸の切
り損いによる糸引き現象を防止できる。なお、本
例の場合も溝の配設はテープの上面、下面両面の
いづれでもよく、また、ジグザグ状でもよい。

実施例 ５ 第５図において６は実施例１と同じテープの巾
の全長に亘る深い分離溝であるが、本例の場合は
連続チエーンにスペース加工がなされていないの
で分離溝６の溝内面に電熱エツジ、電熱ロール、
超音波合成樹脂溶融装置など熱溶融方式の溝加工
によつて分離溝を設けることによりスライドフア
スナーの噛合せエレメントが加工の際テープと一
緒に溶融してテープの溝の内面に層１１として附
着することになる。なお、テープと上記エレメン
トはたやすく融合すると共に、テープの織りある
いは編みの組織中に入りこんでテープと一体に融
着する。また、テープ材料の誘電率が高いものに
ついては高周波加熱装置を使えばその電極をエツ
ジ形とし、あるいは回転電極として能率よく電気
溶融方式の溝加工により分離溝を形成することが
できる。本例の場合はスペース加工した他の例と
異なり分離部Ｄに噛合せエレメントが溝の形成の
際存在するのでエレメントは合成樹脂材料により
つくられたものに限られる。本例も溝の配設はテ
ープの上面、下面、両面のいずれでもよく、ま
た、ジグザグ状でもよい。

実施例 ６ 第６図に示すように本実施例では連続チエーン
Ａのスペース部分に公知のほつれ防止の合成樹脂
フイルム１２が固着してある。本例の分離溝の構
成は部分Ｆにおいては実施例３と同一であり、部
分Ｇにおいては実施例１と同じである。

上記第１乃至第６の実施例によつて本発明の実
施態様の数例を説明し本発明の構成および作用を
詳述した。

以上のことから本発明は連続チエーンに分離部
Ｄを配設する際特に連続チエーンテープのちぎり
操作の際の糸引き現象の発生を防止することを第
２の目的として本発明のスライドフアスナー連続
チエーンの分離部の構成および機能を第１の目的
と共に実施できるので、本発明の分離部を具備し
たスライドフアスナー連続チエーンは、各加工段
階、輸送段階、分割、包装過程における取扱中み
だりに連続チエーンが分離部Ｄで切断し、加工や
運搬、包装に支障を来したり、製品価値を低下さ
せない優れた効果を有するので、連続チエーンの
製造工過および出荷後の各種使用分野における縫
製加工の際の能率の向上、自動加工への寄与、単
品としての販売時における軽便さ、長尺のものか
らの分割が容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは実施例１の平面図、ｂはその−
の説明的断面図、ｃは切込を附加した説明的断面
図、ｄはａと異なる形状の分離溝を有する実施例
１の平面図、第２図ａは実施例２の平面図、ｂは
その−の、ｃはその−の説明的断面図、
第３図ａは実施例３の平面図、ｂはＡ部の拡大
図、ｃはその−の、ｄはｃと異なる形の分離
溝の説明的断面図、第４図ａは実施例４の平面
図、ｂはその−の、ｃはその−の説明的
断面図、第５図ａは実施例５の平面図、ｂはその
−における拡大した説明的断面図、ｃはその
−における説明的断面図、第６図ａは実施例
６の平面図、ｂはその−における説明的断面
図である。第７図ａ〜ｃは上下両面から溶融した
場合の種々の説明的断面図である。 図面の主要な部分を表わす符号の説明、Ａ……
スライドフアスナー連続チエーン（連続チエーン
と略称）、Ｂ，Ｃ……スライドフアスナーストリ
ンガー（ストリンガーと略称）、Ｄ……連続チエ
ーンの分離部、Ｅ……スペース加工により噛合せ
エレメントの除去された連続チエーンの空間部、
１……連続チエーンテープ（テープと略称）、２
……噛合せエレメント、３……縫糸、５……スペ
ース部、６，７，８……分離溝、１０……分離溝
間のテープの生地のままの部分、１２……スペー
ス部に固着した合成樹脂フイルム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 織成または編成した繊維製のスライドフアス
   ナー用ストリンガーテープにスライドフアスナー
   の噛合せエレメントを止着した一組のストリンガ
   ーを噛合せたスライドフアスナー連続チエーン
   の、個々のスライドフアスナーチエーンとして分
   離すべき位置のテープの巾方向に、該テープまた
   は該テープと前記エレメントを熔融してテープの
   厚さに比し薄肉に成形した分離溝を連続して配設
   したスライドフアスナー連続チエーン。 ２ 前記分離溝が、破線状に交互に長さと深さの
   異なる特許請求の範囲第１項に記載のスライドフ
   アスナー連続チエーン。 ３ 織成または編成した繊維製のスライドフアス
   ナー用ストリンガーテープにスライドフアスナー
   の噛合せエレメントを止着した一組のストリンガ
   ーを噛合せたスライドフアスナー連続チエーン
   の、個々のスライドフアスナーチエーンとして分
   離すべき位置のテープの巾方向に、該テープまた
   は該テープと前記エレメントを熔融してテープの
   厚さに比し薄肉に成形した分離溝を破線状に複列
   配設すると共に該分離溝を隣接する列のテープの
   生地のままの部分の全長を越えて配設したスライ
   ドフアスナー連続チエーン。 ４ 前記分離溝が破線状に交互に長さと深さが異
   なる特許請求の範囲第３項に記載のスライドフア
   スナー連続チエーン。