JPS635476B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電気めつきを行なう場合に用いる被め
つき物を保持するための保持装置に関する。

電気めつきを行なう場合、被めつき物をめつき
槽に浸漬したり、めつき槽から取り出したりする
ために複数の被めつき物を保持する保持装置が用
いられるが、この保持装置は被めつき物の支持作
業の作業性、めつき厚さの均一性などの観点から
被めつき物の形状に適応したものにする必要があ
る。

しかして、例えばプリント基板の電気めつきの
際にプリント基板を保持する保持装置として従
来、次のような構造のものが用いられている。

即ち、第１図に示すように従来の電気めつき用
保持装置は搬送装置（図示せず）によつて昇降、
水平移動される水平な柱状の導電性部材（いわゆ
る移動カソードバー）１の任意の位置に、支持部
材２を備えた棒状の導電性部材（いわゆるラツ
ク）３をその上端の係合部３ａによつて懸けて下
方に吊るし、支持部材２によつて導電性部材３の
長手方向に沿つて複数のプリント板４，４，……
を保持するようにしたものである。即ち、導電性
部材３には針金状部材２ａとコ字状部材２ｂとが
長手方向に交互に複数組取り付けられていて、針
金状部材２ａの接点部５ａに上辺部４ａが当接し
コ字状部材２ｂの二つの接点部５ｂ，５ｂに下辺
号４ｂが当接する状態でプリント基板４を針金状
部材２ａの弾力により両者間に挾着支持するよう
になつていて、このようにして水平な導電性部材
１に複数本の導電性部材３，３，……を吊るし、
各導電性部材３，３，……にそれぞれプリント基
板４，４，……を支持し、第２図に示すように搬
送装置により水平な導電性部材１を電気めつき槽
６上に載置してプリント基板４，４，……をめつ
き液中に浸漬して、プリント基板４，４，……に
導電性部材１，３、支持部材２を介して陰極電圧
を印加してめつきを施す。なお第２図中、７はめ
つき液、８は導電性部材１を搬送するための把持
部である。

しかし、この保持装置では (イ) 針金状部材２ａとコ字状部材２ｂとの間隔に
より挾着支持できるプリント基板４の寸法は限
定されるので、多種の形状のプリント基板４に
対応するにはプリント基板４の寸法に応じて針
金状部材２ａとコ字状部材２ｂ間の間隔の異な
る非常に多くの種類の導電性部材３を備えなけ
ればならず、通常めつきを業として行なう場合
最低でも数十種類の保持装置を準備していた。
従つて導電性部材（ラツク）３の製造費用が莫
大となり、またその保管が煩雑で、さらにプリ
ント基板４の取り付けに際し寸法に合致する導
電性部材３を選ぶのが面倒である。

(ロ) 導電性部材（移動カソードバー）１に導電性
部材（ラツク）３が係合部３ａにおいて吊され
ているにすぎないので搬送装置でめつき槽６に
入れたり出したり、あるいは水平移動させる場
合に導電性部材３が揺動したり、位置がずれた
りしてプリント基板４が脱落するおそれがあ
り、このため吊るす導電性部材３の本数、保持
するプリント基板４の数が制限され大量処理が
できない。

(ハ) 導電性部材３の長手方向に沿つてプリント基
板４を保持するため、保持された上下方向に隣
り合うプリント基板４とプリント基板４との間
にはコ字状部材２ｂと針金状部材２ａとが介在
し、このため隣り合うプリント基板間の間隔を
あまり小さくできない。従つて取り付けられる
プリント基板４の枚数も少なくなつて効率良く
大量処理ができず、また間隔が大きくなるため
各プリント基板４において端部に電流が集中し
てめつき厚さが不均一になる。

などの欠点があつた。

本発明はこれらの欠点を改めた電気めつき用保
持装置を提供するもので、以下、図面を参照して
本発明の実施例を説明する。

第３〜５図は本発明のプリント基板の保持に用
いる電気めつき用保持装置の一実施例を示してい
る。

同図において、１１は第１の導電性部材（移動
カソードバー）であつて、断面矩形の水平な柱状
をなし、水平な状態のまま両端上面に突設された
把持部１２，１２によつて搬送装置（図示せず）
で上下方向、水平方向に搬送され、両端から長手
方向に突設された二叉状の導電性の棒体１３，１
３によつてめつき槽あるいはアンロード部の上部
に取りはずし可能に載置されるものである。

第１の導電性部材１１には取りはずし可能且つ
摺動可能に第２の導電性部材（ラツク）１４が電
気的に接続された状態で吊り下げられる。

この第２の導電性部材１４は、第１の導電性部
材１１に適合するように「コ」字状に屈曲された
係合部１５と、この係合部１５に接合された棒状
部１６とから成る。係合部１５は締付具１５ａに
よつて第１の導電性部材１１の任意の位置に固定
できるようになつている。また棒状部１６には第
１の導電性部材１１の長手方向に対して直交する
方向に突設されたプリント基板４を挾着支持して
電流を供給する二種類の支持接点部材１７と弾性
支持部材１８が交互に所定間隔をおいて取り付け
られている。そして第５図に示すように、支持接
点部材１７，１８の先端部の接点１７ａ，１８ａ
は互いに逆側に位置し、支持部材１８は接点１８
ａ側の方向へプリント基板４を押圧する弾性を付
与されている。

なお第２の導電性部材１４は支持部材１７，１
８の接点１７ａ，１８ａを除いた部分には電気め
つきがされないように絶縁物によつて被覆されて
いる。

このような構成において、プリント基板４を取
り付けるには、まず複数の第２の導電性部材１
４，１４，……を第１の導電性部材１１に吊る
し、プリント基板４の左右幅に応じて隣り合う第
２の導電性部材１４，１４間の間隔を調整し締付
具１５ａによつて第２の導電性部材１４，１４の
位置を固定する。そしてプリント基板１４の左右
の一辺側を第２の導電性部材１４の支持部材１８
の接点１８ａに当接し支持部材１８の弾力に抗し
て押圧して他辺側を隣り合う第２の導電性部材１
４の支持部材１７の接点１７ａに当接して隣り合
う２本の第２の導電性部材１４，１４間にプリン
ト基板４を左右両辺で挾着支持させる。このよう
にして多数のプリント基板４，４，……を順次隣
り合う２本の第２の導電性部材１４，１４によつ
て第１の導電性部材１１の長手方向の支持接点１
８ａの押圧力で取り付けた後、搬送装置で第１の
導電性部材１１を搬送して第６図に示すようにめ
つき槽６のめつき液７にプリント基板４，４，…
…を浸漬する。プリント基板４，４，……には棒
体１３、第１の導電性部材１１、第２の導電性部
材１４、支持部材１７，１８を介して負電圧が印
加されて電気めつきが行なわれる。

なお、第２の導電性部材１４を位置決め固定す
る手段として前記の締付具１５ａの代りに第７図
に示すように第１の導電性部材１１に所定ピツチ
で位置決め溝２０を設け、いずれかの溝２０に嵌
合させることにより第２の導電性部材１４を位置
決め固定するようにしてもよい。またこの溝２０
による位置決めと前記締付具１５ａとの両手段に
よつて位置決め固定するようにしてもよく、嵌合
突起を形成してさらに強度を増すようにしてもよ
い。

前記実施例では第２の導電性部材１４をその上
端部において位置決固定したが、他の実施例とし
て第８図に示すように所定ピツチで係合穴２１が
設けられた位置決め部材２２を用いて、任意の係
合穴２１に第２の導電性部材１４の下端部を係合
することにより位置決め固定する。このように位
置決め部材２２を設けることにより被めつき部材
を装着する際の作業性を向上させることができる
と共に、第２の導電性部材１４の支持部材１７，
１８を必要以上に曲げる危険がなくなる。この係
合穴２１はその上部を円錐状に形成し、第２の導
電性部材１４の下端部にこの係合穴２１の上部の
すりばち状部に適合する円錐状のテーパーピン１
９を設け、このテーパーピン１９を係合穴２１に
係合するようにすれば係合が一層確実となる。

この位置決め部材２２は第８図のように単体と
して別個に構成してもよいし、あるいは枠体の底
辺部２３ａそのものに係合穴２１を設けてもよ
い。

また第９図に示すようにある１本の第２の導電
性部材１４の下端部に位置決め板２２を固定した
ものを構成してもよい。さらに第１０図に示すよ
うに第１の導電性部材１１にも位置決め用の凹部
２４，２４，……を位置決め部材２２の係合穴２
１と同一のピツチで設け、第２の導電性部材１４
の係合部１５に凸部１５ｂを設けて位置決めする
ようにすることもできる。このようにすれば第２
の導電性部材１４の上端部と下端部の両方で位置
決めされることになる。

なお、上記の実施例ではプリント基板を保持す
る場合についてのみ説明したが保持する被めつき
部材はプリント基板以外にも他のものを保持する
のに用いることができることは勿論である。

本発明の電気めつき用保持装置は (イ) 隣り合う第２の導電性部材１４，１４間の距
離を変えることにより種々の寸法の異なる被め
つき部材を保持することができるから、従来の
ように被めつき部材の寸法に対応した多種の第
２の導電性部材を揃えることは不要となり最低
一種類のみでよくなり、第２の導電性部材１４
の製造費を減少できまたその保管も容易にな
る。

(ロ) 第２の導電性部材１４の両側に被めつき部材
が保持され、また上下に隣り合う２つの被めつ
き部材の間に支持部材などが介在しないので左
右方向にも上下方向にも複数の被めつき部材を
間隔を狭く密に配列保持できるので被めつき部
材を大量にめつき処理でき、作業能率が向上
し、また間隔が大になつた場合に生ずるめつき
厚さの不均一を防止できる。

(ハ) 第２の導電性部材１４は第１の導電性部材１
１にその上端部において位置決め固定されるか
らめつき槽６内に被めつき部材を出し入れした
り、あるいは水平方向に搬送する際に揺動を防
ぐことができるから多数の被めつき部材を保持
できる。さらに位置決め部材を用いればこのこ
とが一層確実になる。

(ニ) 第３図ａ，ｂに示すように被めつき物４の対
向する二辺の上部と下部とで挟持するため、１
本の棒状部１６の両側に２枚の被めつき物４，
４を取付けることができるため、一度に多量の
被めつき物を処理できる。

【図面の簡単な説明】

第１，２図は従来の電気めつき用保持装置を説
明する図、第３図は第１の導電性部材に第２の導
電性部材が固定された状態を示す図、第５図はそ
の正面図、第６図はプリント基板が第２の導電性
部材に取り付けられた状態を示す正面図、第７図
は位置決め溝を設けた第１の導電性部材を示す斜
視図、第８図は位置決め部材によつて第２の導電
性部材の下端部を係合した場合を示す図、第９図
は１本の第２の導電性部材に位置決め部材を固定
した場合を示す図、第１０図ａは第１の導電性部
材に位置決め用の凹部を設けた場合の要部を示す
斜視図、第１０図ｂはこの凹部に係合部が係合し
た状態を示す要部の断面図である。 １１……第１の導電性部材、１４……第２の導
電性部材、１５……係合部、１５ａ……締付部、
１６……棒状部、１７……支持部材、１７ａ……
接点、１８……弾性支持部材、１８ａ……接点、
２０……位置決め溝、２１……係合穴、２２……
位置決め部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ めつき槽の上部を水平に横断する如く取りは
   ずし可能に載置される第１の導電性部材１１と、 前記第１の導電性部材１１に電気的に接続され
   且つ取りはずし可能に係合される係合部１５と、
   該係合部１５から下方に垂設された、係合部１５
   と電気的に接続された棒状部１６と、該棒状部１
   ６に上下方向に交互に設けられた、水平方向に突
   出し一面側に挟持接点１７ａを有する電気的に接
   続された支持部材１７及び水平方向に突出し反対
   面側に挟持接点１８ａを有し、反対面側への弾性
   復帰力を有する弾性支持部材１８とを備えた複数
   の第２の導電性部材１４と、 前記各第２の導電性部材１４の前記係合部１５
   の前記第１の導電性部材１１への取付け位置を位
   置決めする位置決め手段とを備え、 前記複数の第２の導電性部材間の間隔を調整し
   て、前記位置決め手段で前記係合部１５と前記第
   １の導電性部材１１とを固定して、隣り合う２つ
   の第２の導電性部材１４の一方の前記支持部材１
   ７の前記挟持接点１７ａと一方の前記弾性支持部
   材１８の前記挟持接点１８ａとの間に、矩形の被
   めつき物の対向する二辺の上部と下部とを押圧挟
   持するようにしたことを特徴とする電気めつき用
   保持装置。 ２ めつき槽の上部を水平に横断する如く取りは
   ずし可能に載置される第１の導電性部材１１と、 前記第１の導電性部材１１に電気的に接続され
   且つ取りはずし可能に係合される係合部１５と、
   該係合部１５から下方に垂設された、係合部１５
   と電気的に接続された棒状部１６と、該棒状部１
   ６に上下方向に交互に設けられた、水平方向に突
   出し一面側に挟持接点１７ａを有する電気的に接
   続された支持部材１７及び水平方向に突出し反対
   面側に挟持接点１８ａを有し、反対面側への弾性
   復帰力を有する弾性支持部材１８とを備えた複数
   の第２の導電性部材１４と、 前記各棒状部１６の下端部を位置決めする位置
   決め部材２２とを備え、 前記複数の第２の導電性部材間の間隔を調整し
   て、前記位置決め部材２２で前記第１の導電性部
   材１１の棒状部１６の下端部を固定して、隣り合
   う２つの第２の導電性部材１４の一方の前記支持
   部材１７の前記挟持接点１７ａと一方の前記弾性
   支持部材１８の前記挟持接点１８ａとの間に、矩
   形の被めつき物の対向する二辺の上部と下部とを
   押圧挟持するようにしたことを特徴とする電気め
   つき用保持装置。