JPS6349545Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ターボ過給機を備えたエンジンの排
気装置に関するものである。

（従来技術） 従来より、２つのターボ過給機を並列に設けた
多気筒エンジンの過給装置は公知である（実開昭
56−161134号公報参照）。

また、最近では低負荷領域においても充填効率
の向上による出力性能のアツプを図るため、排気
流量のさほど多くない低負荷領域において良好な
過給性能を示すターボ過給機が開発され、高速・
高負荷領域で良好な過給性能を有する高負荷用タ
ーボ過給機と併用するようにしたものが実用化さ
れつつある。

ところで、ターボ過給機はエンジンの排気ガス
をタービンに直接的に導いてこれを駆動するもの
であるため、排気ガスの熱エネルギの一部がター
ビンによつて奪われ、その結果排気ガス温度は低
下する。このように温度の低下した排気ガスをタ
ーボ過給機下流の排気通路に介設した触媒に導い
て浄化を図る場合、触媒の容量は高速・高負荷運
転時の排気ガス量に見合つて設定されているた
め、とりわけ低負荷用ターボ過給機を専ら使用す
る低負荷運転時には、触媒を有効な触媒作用を示
す活性温度にまで暖機することができず、排気性
能が悪化するという問題があつた。

（考案の目的） 本考案の目的は、低負荷用ターボ過給機だけが
使用される低負荷運転領域にあつても排気浄化性
能を低下させることなく、しかも高負荷運転領域
にあつても良好な排気効率、および排気浄化性能
を確保することができるターボ過給機付エンジン
の排気装置を提供することにある。

（考案の構成） このため、本考案においては排気通路を低負荷
用、高負荷用の２系統の排気通路で構成して、低
負荷用、高負荷用の排気通路には、低負荷用、高
負荷用のターボ過給機のタービンを夫々介設し、
少なくとも低負荷時には低負荷用ターボ過給機
を、また高負荷時には少なくとも高負荷用ターボ
過給機を使用するようにしたうえで、低負荷用、
高負荷用排気通路を上記各ターボ過給機の下流側
において集合させ、集合部下流の排気通路にはエ
ンジンの最大排気量をカバーする第１触媒を介設
し、また、低負荷用排気通路のタービン下流には
第１触媒より小さい容量の第２触媒を介設したも
のである。

（考案の効果） 本考案によれば、低負荷用ターボ過給機使用時
には低負荷用排気通路に介設した容量の小さい第
２触媒が専ら使用されるので、第２触媒は早期に
加熱され高温に維持されるので排気浄化性能を良
好なものとすることができる。

さらに、高負荷時には大容量の第１触媒によつ
て排気ガスの浄化を行なうことができ、排気効率
を低下させることなく、排気ガスの全量を第１触
媒に集めることによつて触媒作用に不可欠な活性
温度以上に第１触媒を維持することができ、必要
な排気浄化性能を確保することができる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を具体的に説明する。

エンジンＥに吸気を供給する吸気通路１は、上
流にエアクリーナ２とエアフローメータ３とを備
え、エアフローメータ３の下流で一旦低負荷用、
高負荷用の吸気通路４，５に分岐し、これら吸気
通路４，５はインタークーラ６の手前で再び合流
されている。この吸気通路１のインタークーラ６
の下流には、エンジンＥの負荷に応じて開閉され
る絞り弁７が介設されており、吸気弁８によつて
吸気ポート９が開かれると、燃焼室１０内に吸気
が吸入される。

一方、排気弁１１が開かれたときに、燃焼室１
０内の排気ガスを排気ポート１２ａから外部に導
出する排気通路１２は、排気ポート１１の下流に
おいて低負荷用、高負荷用排気通路１３，１４に
分岐されている。

図示の如く、低負荷用排気通路１３と低負荷用
吸気通路４とにまたがつて低負荷用ターボ過給機
１５を、また高負荷用排気通路１４と高負荷用吸
気通路５とにまたがつて高負荷用ターボ過給機１
６を夫々設けている。

そして、上記低負荷用、高負荷用排気通路１
３，１４は、低負荷用、高負荷用ターボ過給機１
５，１６のタービン１５ａ，１６ａの下流におい
て集合されて再び一つの排気通路１２′となり、
この下流の排気通路１２′にはエンジンＥの総排
気量に見合つた浄化容量を有する第１触媒１７が
介設され、さらにその下流にはサイレンサ１８が
介設されている。

一方、低負荷用、高負荷用排気通路１３，１４
の分岐部の上流側には、低負荷用ターボ過給機１
５をバイパスして低負荷用排気通路１３の下流に
連通する排気バイパス通路１９の上流端が連結さ
れ、この排気バイパス通路１９の途中には、低負
荷用ターボ過給機１５のブロア１５ｂの下流の過
給圧を作動信号とするダイヤフラム式のウエスト
ゲートバルブ２０が介設されている。

また、高負荷用排気通路１４の高負荷用ターボ
過給機１６のタービン１６ａ上流、および高負荷
用吸気通路５のブロア１６ｂ下流には、夫々開閉
弁２１，２２が介設され、これら開閉弁２１，２
２は低負荷用排気通路１３の下流側より、具体的
には高負荷用排気通路１４との集合部よりやや上
流における排圧を作動源とするダイヤフラム装置
２３，２４により、夫々排圧の低いエンジンＥの
低負荷時には全閉され、排圧が高くなる高負荷時
には全開される。即ち、高負荷用ターボ過給機１
６は、エンジンＥの高負荷時にのみ排気ガスによ
り駆動されてブロア１６ｂによる過給を行なう。

これに対し、低負荷用ターボ過給機１５は、エ
ンジンＥの低負荷、高負荷を問わず駆動されるよ
うになつており、タービン１５ａを駆動する排気
ガスは、このタービン１５ａの下流の低負荷用排
気通路１３に介設してある第２触媒２５によつて
浄化される。この第２触媒２５は、低負荷時の排
気ガスの全量を受合うことができるものであれば
よく、第１触媒１７に比して十分容量の小さいも
のが使用される。

いま、上記の構成において、エンジンＥの低負
荷運転時には、開閉弁２１，２２が閉じられてい
て、排気ガスは専ら低負荷用排気通路１３を通つ
て低負荷用ターボ過給機１５のタービン１５ａを
駆動する。このタービン１５ａに駆動軸を介して
連結されたブロア１５ｂは吸気を加圧して下流に
供給する。

このタービン１５ａの駆動に際して、排気ガス
の熱エネルギの一部が消費されて、排気ガスの温
度が下降するが、この排気ガスが流入する第２触
媒２５は容量が小さいので早期に暖機され、必要
な活性温度にまで達し、良好な浄化性能を発揮す
ることができる。

次に、低負荷用排気通路１３の第２触媒２５下
流の排圧が設定値以上に達するエンジンＥの高負
荷運転時には、上記排圧を作動源とするダイヤフ
ラム装置２３，２４が作動され、高負荷用排気通
路１４の上流の開閉弁２１および高負荷用吸気通
路５の下流の開閉弁２２を夫々開く。

このため、高負荷用排気通路１４にも排気ガス
が流れ、高負荷用ターボ過給機１６のタービン１
６ａが駆動され、ブロア１６ｂが吸気の加圧を開
始する。即ち、高負荷運転時には、高負荷用ター
ボ過給機１６が低負荷用ターボ過給機１５と並列
に駆動され、高負荷時に必要な充填量が確保され
る。

この段階では、低負荷用、高負荷用ターボ過給
機１５，１６を駆動するのに使用された排気の全
量が第１触媒１７に流入するが、第１触媒１７は
予めその容量が十分に大きく設定してあるので、
排気の全量を有効に浄化することができる。ま
た、エンジンＥの高負荷運転では、排気ガス量が
多くなり、排気ガスの熱エネルギも高くなるの
で、高負荷用ターボ過給機１６を駆動することに
よる排気ガス温度の低下はさほど問題ではなくな
る。

また、低負荷用ターボ過給機１５のブロア１５
ｂ下流の過給圧が予め設定された最高過給圧を越
えて上昇しようとした場合には、その過給圧を作
動源とするウエストゲートバルブ２０が開作動さ
れ、排気ガスの一部がバイパス通路１９にバイパ
スされる。この排気ガスの一部バイパスにより、
過給圧は最高過給圧を越えて上昇しないように制
御され、エンジンＥの信頼性が確保される。

以上のように、低負荷用ターボ過給機に対して
は容量の小さい第２触媒を、高負荷用ターボ過給
機に対しては容量の大きい第１触媒を夫々組合せ
て使用するようにしたので、低、高いずれの負荷
運転においても触媒性能を低下させることなく、
エンジンの全負荷範囲における過給の実を向上す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の実施例を示すエンジンの吸、
排気系統の全体概略説明図である。 Ｅ……エンジン、９……吸気ポート、１０……
燃焼室、１１……排気ポート、１２……排気通
路、１３……低負荷用排気通路、１４……高負荷
用排気通路、１５……低負荷用ターボ過給機、１
６……高負荷用ターボ過給機、１７……第１触
媒、２５……第２触媒。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 排気通路を、少なくとも低負荷時に排気ポート
   に連通する低負荷用排気通路と、高負荷時にのみ
   開く弁を有する高負荷用排気通路との２系統とし
   て、夫々に低負荷用、高負荷用ターボ過給機のタ
   ービンを介設し、これら２つのタービンの下流で
   低負荷用、高負荷用排気通路を集合し、この集合
   部下流に最大排気量をカバーする第１触媒を設置
   する一方、低負荷用排気通路には第１触媒より容
   量の小さい第２触媒を設置したことを特徴とする
   ターボ過給機付エンジンの排気装置。