JPS6348753Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、隣接建屋のエキスパンシヨンジヨイ
ント部の工事に用いる仮設足場支持具に関する。

耐震性を考慮して、独立した適当規模の建屋を
小間隔をもつて隣接させると共に、廊下やベラン
ダに相対移動を許容する渡り通路を設けて、隣接
建屋間に相対揺動を許容する部分つまりエキスパ
ンシヨンジヨイント部を有せしめた所謂連層建屋
において、その隣接する建屋の外壁としてPC版
製耐震壁を立設したり渡り通路を設けたりする
に、従来は、隣接建屋相当間に間隔をへだてて足
場支柱を立設すると共に、該支柱の隣るものにわ
たつてクランプ金具により足場棒を取付け、その
足場棒上で、上下及び左右の耐震壁どうしや柱と
耐震壁を連結したり、現場打ちする床スラブコン
クリート型枠の端部仕舞いをしたり、渡り通路を
取付けたりしている。

そして、各階においてそれらの工事を完了する
たびに、次々と足場支柱を上方に継ぎ足すと共
に、該支柱に足場棒を取付けており、仮設足場の
組立て並びにそれの解体の手間が多大であると共
に、多くの部材を要し、しかも足場の解体に際し
ては、小間隔の建屋間に入り込んでの困難な作業
が強いられるものであつた。

本考案は、このような実情に鑑みて成されたも
のであつて、全体の部材量を少なくし、しかも、
仮設足場の設置並びに解体が迅速容易で、従来の
仮設足場構造の欠点を全て解消し得る使用面で有
用なる仮設足場を提供することを目的としてお
り、第１部材とそれの長手方向両側に位置する第
２部材を、その内の少なくとも一方を水平板部と
それの両側に垂直板部とを有する形状として、そ
れに他方を内嵌させると共に前記垂直板部にわた
るビンにより枢支連結し、かつ、前記第２部材の
遊端を隣接建屋の梁材にわたつて載置させた第１
状態において、前記第１及び第２部材が上下方向
で面当接してほぼ直線状になると共に、前記第１
部材を吊下げ支持させた第２状態において、前記
第２部材が前記ピンわまりに垂下して全体が隣る
梁材間の寸法よりも小になるように構成し、前記
第１部材の上部側には、該第１部材の吊下げ支持
部材を兼ねる足場棒取付け支柱を着脱自在に装着
するためのクランプ金具を設けると共に、該第１
部材の適所には、足場板載架用の支持棒を複数本
前記第１部材の長手方向に対して直角にかつ着脱
自在に装着するための複数のクランプ金具を設け
てあることを特徴とする。

以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図乃至第４図において、１，１は小間隔を
もつて構築される隣接建屋の外壁を構成するPC
版製の耐震壁で、上部に主梁２を備える関係上、
上部側の壁厚がそれよりも下部の壁部分よりも両
側に張り出す形状となつており、該耐震壁１，１
の上部を梁材Ａ，Ａとして、その上面にエキスパ
ンシヨンジヨイント部足場Ｂが仮設されている。

該足場Ｂは、仮設足場の支持具３……を梁材Ａ
の長手方向に間隔をへだてて仮設すると共に、そ
れらを後述する足場棒４……と足場板支持棒５…
…で連結して構成されており、次に、前記支持具
３の具体構造について説明する。

即ち、支持具３は、水平板部６とそれの巾方向
両側に立上がる垂直板部７，７を有する断面コの
字状の第１部材８と、同じく水平板部９とそれの
巾方向両側に立上がる垂直板部１０，１０を有す
る断面コの字状の第２部材１１とを、該第２部材
１１の２個を前記第１部材８の長手方向両側に内
嵌位置させて、前記第１部材８の垂直板部７，７
にわたるピン（具体的にはボルトとそれに螺合す
るナツト）１２，１２によつて連結し、木材１３
を介して前記第２部材１１，１１の遊端を前記梁
材Ａ，Ａにわたつて載置させた第１状態Ｘにおい
て、第１部材８と第２部材１１，１１の水平板部
６，９，９どうしが上下方向で面当接し、第１及
び第２部材８，１１，１１に対して上方からの荷
重がかかつても、それらはほぼ直線の状態を維持
するようになつている。

一方、前記第１部材８の水平板部６の両端部分
６ａ，６ａを切除してあつて、前記第２部材１
１，１１は、第１部材８に対して前記ピン１２ま
わりで下方に揺動自在であり、即ち、前記第１部
材８を吊下げ支持させた第２状態Ｙにおいて、前
記第２部材１１，１１がピン１２，１２まわりで
垂下姿勢に切換わるようになつており、かつ、こ
の垂下状態で第１部材８の長手方向における全体
の長さが隣る梁材Ａ，Ａ間の寸法ｌよりも巾狭ま
になるように構成してある。

そして、前記第１部材８の下部側には、第２部
材１１，１１の垂下を許容する状態で２個のクラ
ンプ金具１４，１４を、また上部側の長手方向ほ
ぼ中央部には、垂直面材７，７にわたつて固着し
た板状部材１５の上面にアングル材１５′を介し
て１個のクランプ金具１６を、夫々取付けてあ
り、而して、隣る支持具３……の適当数をグルー
プにして、それらの下部側クランプ金具１４，１
４にわたつて前記第１部材８の長手方向と直角に
２本の支持棒５，５を装着すると共に、該支持棒
５，５に前記寸法ｌよりも巾狭まの足場板１７を
載置して、それを適宜クランプ金具（図外）等に
よつて固着し、かつ、上部側クランプ金具１６…
…に所定長さの支柱１８を立ち姿勢の状態で取付
けると共に、それらの支柱１８……にわたつてク
ランプ金具１９により足場棒４，４を取付け、も
つて、複数個の支持具３……をユニツトにする状
態で足場Ｂを構成してある。

更に、前記支柱１８の上端にはフツク２０が設
けられていて、該支柱１８の吊下げ支持部材に兼
れる状態で、前記支持具３……をユニツトごとに
クレーン等によつて吊上げることができるように
なつており、また、前記第２部材１１，１１の遊
端側にはロープ２１，２１が係止等によつて連結
されていて、前記第２状態Ｙにおいて垂下姿勢に
ある第２部材１１，１１を水平姿勢に吊上げるこ
とができるようになつている。

尚、足場棒４を各ユニツトにわたつて連続する
ように取付け、かつ、ブレースによつて補強して
もよい。このようにすれば、足場Ｂの全体を同時
に吊上げて上階へと転用できる。

前記支柱１８の上部側には、ネジ軸２２を螺着
したネジ筒２３の２個が取付けられており、ネジ
軸２２の螺進操作によつてその軸線を上部側の梁
材Ａ，Ａの対向面に当接あるいは近接させること
により、支柱１８……の振れ止めを図るようにな
つている。

上記構成の足場Ｂの使い勝手について説明する
と、先ず第５図イに示すように、連層建屋のエキ
スパンシヨンジヨイント部における地中梁材Ａ，
Ａにわたつて複数ユニツトからなる足場Ｂを仮設
し、それの両側に耐震壁１，１を立設すると共
に、足場棒４，４に乗つて、床スラブコンクリー
ト型枠２４の端部仕舞いや上階の耐震壁１，１の
連結、耐震壁１と柱との連結等の作業を行ない、
足場Ｂによる工事が完了した時点で、同図ロに示
すように、ユニツト化させた支持具３……をクレ
ーン等によつて吊上げるのである。

而して、支持具３……は、それの第２部材１
１，１１が垂下する第２状態Ｙとなり、耐震壁
１，１の梁材Ａ，Ａ間を通してそれの上方に容易
に持上げられ、この持上げ状態でロープ２１，２
１を引つ張つて第２部材１１，１１を水平姿勢に
し、そのままの状態で同図ハに示すように仮設足
場３……を下げて耐震壁梁材Ａ，Ａ上に載置する
のである。

この載置状態はまさに第１状態Ｘであり、これ
だけの操作で、１階における足場Ｂの解体と２階
における足場Ｂの仮設を行なうことができるので
あり、この操作を繰返えすだけで全階のエキスパ
ンシヨンジヨイント部における工事を行なうこと
ができる。

第６図は支持具３の別実施例を示し、夫々が水
平板部６，９とそれの両側に垂下する７，７，１
０，１０を有する第１及び第２部材８，１１，１
１とをその内の第１部材８の長手方向両側に第２
部材１１，１１を外嵌合させてピン１２，１２に
より枢支連結し、そして、第２状態Ｙにおいて第
２部材１１，１１の垂下姿勢への切換わりを許容
させるべく、第１部材８両側の板部６，７，７の
一部を切除したものである。

尚、第１及び第２部材８，１１，１１を角筒構
造にして、第２部材１１，１１を水平姿勢と垂下
姿勢とに切換え自在に構成する上で必要な連結部
分のみを断面コの字状に加工するも良く、実用新
案登録請求の範囲に記載の「第１及び第２部材の
少なくとも一方が水平板部とそれの両側に垂直板
部を有する形状」とは、上記の構成をも含むもの
である。

また、足場載置用支持棒５，５に対するクラン
プ金具１４，１４は、支持棒５が第２部材１１，
１１の姿勢変更を阻害しないならば、第１部材８
の上部側に設けても良い。

本考案は、上述した構成よりなるため、次の効
果を奏し得るものである。

支持具を、第１及び第２部材が直線状をなし
て隣接建屋の梁材間に載置された第１状態と、
第１部材を吊下げて第２部材を第１部材から垂
下させた第２状態とに順次繰り返すだけで、１
階分相当の仮設足場を順次転用しながら全ての
階におけるエキスパンシヨンジヨイント部の工
事が行え、仮設足場の設置及び解体の作業工数
を減少することができる。

第１部材とその両側の第２部材は上方からの
荷重に対して剛なる枢支構造となるので、両側
の第２部材を隣接建屋の梁材間に載置した状態
において、第１部材と第２部材とを直線状に保
持するための特別なロツク機構が不要であり、
しかも第１部材を吊り下げた状態では、第２部
材が第１部材に対して自重でピンまわりに垂下
することになるので、第２部材を折り畳むため
の特別な駆動装置が不要である。従つて、構成
部材点数の少ない簡単な構造の仮設足場を構成
でき、転用も容易である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るエキスパンシヨンジヨイン
ト部用仮設足場の支持具の実施例を示し、第１図
は第１状態の縦断側面図、第２図は第２状態の縦
断側面図、第３図は第１状態の平面図、第４図は
ユニツト状態の足場の側面図、第５図イ，ロ，ハ
は足場転用の説明図、第６図は別実施例の要部の
縦断側面図である。 ５……足場板支持棒、６，９……水平板部、
７，１０……垂直板部、８……第１部材、１１…
…第２部材、１２……ピン、１４，１６……クラ
ンプ金具、１８……足場棒取付け支柱、Ａ……梁
材、Ｘ……第１状態、Ｙ……第２状態。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 隣接建屋のエキスパンシヨンジヨイト部の工事
   に用いる仮設足場の支持具であつて、第１部材と
   それの長手方向両側に位置する第２部材を、その
   内の少なくとも一方を水平板部とそれの両側に垂
   直板部とを有する形状として、それに他方を内嵌
   させると共に前記垂直板部にわたるピンにより枢
   支連結し、かつ、前記第２部材の遊端を隣接建屋
   の梁材にわたつて載置させた第１状態において、
   前記第１及び第２部材が上下方向で面当接してほ
   ぼ直線状になると共に、前記第１部材を吊下げ支
   持させた第２状態において、前記第２部材が前記
   ピンまわりに垂下して全体が隣る梁材間の寸法よ
   りも小になるように構成し、前記第１部材の上部
   側には、該第１部材の吊下げ支持部材を兼ねる足
   場棒取付け支柱を着脱自在に装着するためのクラ
   ンプ金具を設けると共に、該第１部材の適所に
   は、足場板載架用の支持棒を複数本前記第１部材
   の長手方向に対して直角にかつ着脱自在に装着す
   るための複数のクランプ金具を設けてあることを
   特徴とするエキスパンシヨンジヨイント部用仮設
   足場の支持具。