JPS6346170Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は回転用工具保持装置の内周面に挿入保
持され、刃具柄部を握持するコレツト、主として
外周面及び内周面がストレート状（非テーパ状）
に形成されたコレツトに関する。

まず本考案の第１図を利用して一般的な工具保
持装置及びストレートコレツトの構造について説
明すると、工具保持装置はチヤツク筒１と、柄部
２と、締付ナツト３と、連結リング４と、締付テ
ーパ筒５よりなつている。柄部２はチヤツク筒１
の後端に一体形成されると共に、工作機械の回転
主軸６の挿入孔７に嵌合接続され、例えば軸方向
と平行なボルト等により後方へ締め付けられてい
る。テーパ筒５はその外周面が前開きテーパ状に
形成されると共に、内周面８がストレート状（非
テーパ状）に形成されている。テーパ筒５の前端
部は連結リング４に係合し、連結リング４と共に
軸方向移動自在となつている。締付ナツト３は、
連結リング４に対して回動可能かつ連結リング４
と共に軸方向移動可能となるように、ボール１０
を介して連結リング４に連結されている。締付ナ
ツト３はチヤツク筒１の外側に螺合している。

ストレートコレツト１２は内周面１３及び外周
面１４が共にストレート状に形成されており、上
記テーパ筒５のストレート内周面８に挿入され
る。コレツト１２には軸心方向と平行な複数本の
縮径用割溝１７（第３、第４図）が、円周方向に
等間隔を隔てて形成されている。

刃具１５は例えば後方から見て右刃右ねじれの
構造を有しており、その柄部１６がコレツト内周
面１３に挿入されている。

上記構成の工具保持装置等において、締付ナツ
ト３を締め付けることにより、連結リング４を介
してテーパ筒５を後方へ押し込み、テーパ筒５及
びコレツト１２を縮径させ、コレツト内周面１３
で刃具柄部１６を握持するのである。

このように保持される刃具１５を後方から見て
右回転させてワークを切削する場合には、刃具１
６に対してワークから切削抵抗力がかかる。この
切削抵抗力を円周方向分力と軸方向分力とに分解
すると、上記の右刃右ねじれの刃具１５では、左
回転方向への円周方向分力と、刃具１５を前方へ
抜き出す方向への軸方向分力になる。一方チヤツ
ク筒１から刃具柄部１６へは、テーパ筒内周面８
とコレツト外周面１４間の摩擦伝達力と、コレツ
ト内周面１３と刃具柄部１６間の摩擦伝達力を介
して回転力が伝えられているのであるが、コレツ
ト内周面１３と刃具柄部１６間の摩擦面積の方が
テーパ筒内周面８とコレツト外周面１４間の摩擦
面積よりも小さいことから、前述の切削抵抗力に
よりコレツト内周面１３と刃具柄部１６間で軸方
向及び円周方向にスリツプが生じ、切削精度に影
響を与えることが多い。

本考案は上述のスリツプ現象、特に軸方向のス
リツプ現象を大幅に減少させ、切削精度を向上さ
せることを目的としており、その要旨は、コレツ
ト内周面に、作業時に刃具にかかる切削抵抗力の
スラスト方向分力に対抗する分力を与えうる方向
にねじれたねじれ溝を形成したことである。以下
図面により本考案を説明する。

第２図において、刃具１５が後方から見て右刃
右ねじれの構造を有している場合には、コレツト
１２のストレート状内周面１３には後方から見て
右ねじれのねじれ溝２０が形成されている。ねじ
れ溝２０は刃具柄部１６に当接しうるコレツト内
周面１３の軸方向全範囲Ｌ１にわたつて形成され
ている。ねじれ溝２０の断面形状は、例えば半円
形状に形成されている。

なおねじれ溝２０の断面形状としては矩形状等
各種考えられる。

刃具１５を後方から見て右回転させてワークを
切削する場合において、ワークによる切削抵抗力
の円周方向分力に対しては、ねじれ溝２０による
柄部１６の油膜面破断作用によつて摩擦係数が増
加することと、割溝１７の円周方向端縁（エツ
ジ）が柄部１６へ噛み付くことにより、充分に耐
持（耐久保持）でき、円周方向のスリツプ現象を
防止することができる。ワークによる切削抵抗力
の軸方向分力、即ち刃具１５を前方へ引き抜こう
とする分力に対しては、ねじれ溝２０の軸方向端
縁（エツジ部）の噛み付きにより耐持し、軸方向
のスリツプ現象を防止することができる。

なお刃具１５が右刃左ねじれの構造を有するも
のであつて、右回転することによりワークから後
方への軸方向分力がかかるような場合には、例え
ば第５図に示すように、左ねじと同様なねじれ方
向のねじれ溝２０′をコレツト１２の内周面１３
に形成する。

また本考案は第６図に示すように、刃具柄部１
６を握持するコレツト内周面１３の軸方向幅Ｌ１
が短い場合には、実用的効果が大きい。

以上説明したように本考案は、回転用工具保持
装置の内周面８に挿入保持され、刃具柄部１６を
握持するコレツトにおいて、刃具柄部１６を押圧
するコレツト内周面１３に、作業時に刃具１５に
かかる切削抵抗力のスラスト方向分力（軸方向分
力）に対向する分力を与えうる方向にねじれたね
じれ溝２０を形成しているので、ねじれ溝２０の
軸方向端縁（エツジ）の刃具柄部１６への噛付に
より、刃具柄部１６のコレツト１２に対する軸方
向のスリツプ現象を確実に防止することができ、
またねじれ溝２０による刃具柄部１６の油膜面破
断作用によつて、コレツト内周面１３と刃具柄部
１６間の摩擦係数を増加させ、円周方向のスリツ
プ防止にも充分に役立つ。従つて切削精度が向上
するのは勿論のこと、工作機械の動力損失を大幅
に減少させることができる。

本考案の利点をより詳しく説明すると： 軸心方向と平行な縮径用割溝を有し、刃具柄部
を半径方向内方に押圧して押圧面の摩擦力だけで
柄部を保持してトルク伝達するコレツトであり、
このようなコレツトにおいて、コレツト内周面１
３に、該内周面１３の軸方向略全範囲Ｌ１にわた
るねじれ溝２０を形成し、ねじれ溝２０は作業時
に刃具にかかる切削抵抗力のスラスト方向分力に
対向する分力を与えうる方向にねじれると共に、
ねじれ溝間にコレツト内周面１３部分を押圧面と
して残存させており、これによりコレツト内周面
１３の摩擦による握持力自体を直接向上させてい
るのである。

即ちねじれ溝２０のエツジの噛付により軸方向
のスリツプを防止し、ねじれ溝２０によるコレツ
ト内周面の油膜破断作用並びに割溝１７のエツジ
の噛み付きによりコレツト内周面１３の摩擦係数
を増加させて、円周方向のスリツプを防止してい
るのである。

なお刃具１５としてはエンドミル、リーマ等の
各種回転切削工具が考えられる。またコレツト１
２が保持される工具保持装置としては、第１図に
示すような装置に限定されるものではなく、例え
ばニードルローラ等を介して締付ナツト３等がチ
ヤツク筒１に嵌合するような工具保持装置に適用
することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるコレツトを備えた工具保
持装置の部分縦断面図、第２図は第１実施例を示
す第１図の要部拡大図、第３図は第２図の矢視
図、第４図は第２図の矢視図、第５、第６図は
それぞれ第２、第３実施例を示す要部の部分縦断
面図である。１３……コレツト内周面、１５……
刃具、１６……刃具柄部、２０……ねじれ溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転用工具保持装置の内周面に挿入保持される
   と共に、軸心方向と平行な縮径用割溝を有し、刃
   具柄部を半径方向内方に押圧して押圧面の摩擦力
   だけで柄部を保持し、トルク伝達するコレツトに
   おいて、刃具柄部１６の外周面を半径方向内方側
   に押圧するコレツト内周面１３に、該内周面１３
   の軸方向略全範囲Ｌ１にわたるねじれ溝２０を形
   成し、該ねじれ溝２０は作業時に刃具にかかる切
   削抵抗力のスラスト方向分力に対向する分力を与
   えうる方向にねじれると共に、ねじれ溝間にコレ
   ツト内周面１３部分を押圧面として残存させてい
   ることを特徴とするコレツト。