JPS6343402Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はLPGを混合器で空気と混合してエン
ジンに供給するにあたり、LPGを減圧ガス化し
て混合器へ送るペーパライザに関するものであ
る。

ペーパライザは周知のように耐圧容器のLPG
を導入する一次室と、混合器へ減圧ガス化した
LPGを送出する二次室とを具え、二次室のガス
圧力が低くなると二次室と空気室とを仕切つた膜
の動きに連動して一次室と二次室とを接続する通
路を開き、LPGを一次室から二次室を経て混合
器へ送出するようになつている。前記通路は閉弁
方向へ働く閉弁ばねを作用させた二次弁によつて
閉じられ、前記膜が閉弁方向へ動作すると二次弁
が開弁する。即ち、エンジンが停止しているとき
は二次室と空気室とはともに大気圧であるので二
次弁は閉弁ばねの作用で閉弁しているが、エンジ
ンが始動して吸入管負圧を発生し二次室のガス圧
力が大気圧力よりも低くなると膜が二次室の方へ
移動し閉弁ばねの閉弁力に打ち勝つて二次弁を閉
弁させるのである。

このようなペーパライザにおいて、エンジンの
アイドル運転時に所要量のガスをエンジンに供給
し安定したアイドリングを行わせるため、一次室
と二次室とを二次弁で開閉される通路とは別にバ
イパスで連通させたバイパス方式、または二次弁
の閉弁ばねに対抗させて開弁方向へ働くバランス
ばねを膜に作用させたバランス方式を採用するこ
とがある。しかしながら、バイパス方式はアイド
ル再現性が良好であるがアイドル運転から軽負荷
低速を経て中速運転へ移行するときのガス供給の
つながり性能に問題があり、バランス方式はアイ
ドル運転から中速運転へ移行するときのガス供給
のつながり性能が良好であるがアイドル再現性に
問題がある。

本考案はこのように長所と短所が互いに反対の
バイパス方式とバランス方式とを併用し且つ空気
室に導入されて膜に働く空気圧力を変えることに
よつて、アイドル再現性およびガス供給つながり
性能がともに良好なペーパライザを供給すること
を目的として考案されたものである。

そして、この目的を達成するため本考案は、
LPGを導入する一次室と、減圧ガス化したLPG
を混合器へ送出する二次室と、この一次室と二次
室とを接続する通路を開閉する二次弁とを具え、
この二次弁は前記二次室と空気室とを隔てた膜の
二次室の方へ移動する動きによつて開弁し且つ閉
弁ばねの作用によつて閉弁させられるペーパライ
ザにおいて、前記一次室と二次室とを連通するバ
イパスと、前記膜に作用し前記閉弁ばねに対抗し
て開弁方向へ働くバランスばねと、前記空気室に
設けた大気口および混合器のベンチユリと絞り弁
との間の部分に接続されている負圧口と、前記大
気口をエンジンのアイドル運転時に閉じるがオ
フ・アイドル時に開く開閉弁とを具えたことを特
徴としている。

次に本考案の具体例を図面に基いて説明する。

図において１は本考案に係るペーパライザ、３
２は混合器を示し、ペーパライザ１はLPGを充
填した耐圧容器２が接続された導入口３を開口さ
せた一次室４と、混合器３２のベンチユリ３３に
開口したノズル３４に減圧ガス化したLPGを送
出する送出口５を有する二次室６とを有し、一次
室４と大気室８とを仕切つた膜９に連動する一次
弁１０によつて導入口３を開閉させると共に、二
次室６と空気室１１とを隔てた膜１２に連動する
二次弁１３によつて一次室４と二次室６とを接続
した通路７を開閉させるようになつて居り、二次
弁１３は二次室６に回動可能に内蔵して閉弁ばね
１４を作用させたレバー１５の一端に取付けら
れ、このレバー１５のもう一つの端部は膜１２の
中心部に接触係合している。

一次室４と二次室６とは前記通路７のほかにバ
イパス１６で連通して居り、このバイパス１６は
手動で調節される絞り１７およびエンジンの運転
時に開くが停止時に閉じる電磁駆動の開閉弁１８
を具えている。

空気室１１にはバランスレバー１９とカウンタ
レバー２０とが回動可能に内蔵され、バランスレ
バ１９の一端部と膜１２の中心部との間にはバラ
ンスばね２１が装入されていると共に、このバラ
ンスレバー１９のもう一つの端部にカウンタレバ
ー２０が接触係合し且つバランスばね２１の力を
弱める方向に働く調整ばね２２が作用させてあ
る。調節ねじ２３をねじ込むとその先端に接触し
ているカウンタレバー２０がバランスレバー１９
を押して回動しバランスばね２１を圧縮して二次
弁１３の開き動作を鋭敏化する。

また、空気室１１は大気口２４と負圧口２５と
を有し、大気口２４はソレノイド２６で駆動され
る開閉弁２７によつて開閉され、負圧口２５は混
合器３２のベンチユリ３３と絞り弁３５との間の
部分と絞り２８を有する負圧路２９で接続されて
いる。前記ソレノイド２６は絞り弁３５の開度に
応じて開閉するスイツチ３０を具えた電気回路３
１を流れる電流で作動し、オフ・アイドル時に開
閉弁２７を開弁させるように働く。

このように構成した本実施例は、エンジンが停
止しているときは二次室６および空気室１１はと
もに大気圧であるのでレバー１５は閉弁ばね１４
の作用で二次弁１３を通路７の開口端に密着させ
るように回動し通路７を閉塞している。

エンジンを始動するとバイパス１６の開閉弁１
８が開いて一次室４のLPGはバイパス１６を通
つて二次室６へ流入するようになる。アイドル運
転時には大気口２４の開閉弁２７は閉弁して居
り、混合器３２のベンチユリ３３と絞り弁３５と
の間の部分に発生する大気圧よりも僅かに低い負
圧が負圧路２９を経て空気室１１に作用し、また
ベンチユリ３３のノズル負圧が二次室６に作用す
る。従つて、二次室６と空気室１１との差圧力は
きわめて小さく、閉弁ばね１４による閉弁力とバ
ランスばね２１による開弁力との差が精密に調整
されていなくても膜１２は二次弁１３を閉弁状態
に維持してバイパス１６を通るLPGのみが混合
器３２へ送出される。このため、アイドル運転時
には通路７を通ることなくバイパス１６のみを
LPGが通り、二次弁１３の開き動作のばらつき
に左右されることがないのでアイドル再現性が良
好であり、常に安定したアイドル運転が行われ
る。

アイドル運転を終つて絞り弁３５を開きはじめ
ると、大気口２４を閉塞していた開閉弁２７が開
弁して空気室１１に大気が導入される。軽負荷低
速を経て中速運転となる領域ではベンチユリ３３
を通る空気流量が次第に増加してノズル負圧が次
第に高くなるので二次室６と空気室１１との差圧
力が次第に大きくなり、膜１２はこの差圧力とバ
ランスばね２１の弾力とによつて二次室６の方へ
移動し、閉弁ばね１４の閉弁力に打ち勝つてレバ
ー１５を回動し二次弁１３を開弁させ、バイパス
１６を通る一定量のLPGと二次弁１３の開度に
応じて通路７を通るLPGとが混合器３２へ送出
される。また、オフ・アイドル時には閉弁ばね１
４とバランスばね２１とが平衡するまでばね荷重
と比例的に二次弁１３が開弁動作し、良好なガス
つながり性能を示す。

高速運転域では膜１２は二次室６の方へ大きく
移動するのでバランスばね２１は自由長まで伸長
し、以後は閉弁ばね１４のみが膜１２を制御す
る。

尚、大気口２４の開閉弁２７は吸入管負圧で開
閉動作させてもよく、またこの開閉弁２７と反対
の開閉を行う開閉弁を負圧路２９に設けてオフ・
アイドル時に空気室１１に負圧の影響がないよう
にすることもある。

以上の説明から明らかなように、本考案はバイ
パス方式とバランス方式の両方を採用し、エンジ
ンのアイドル運転時に混合器のベンチユリと絞り
弁との間の部分に発生する低い負圧を空気室に導
入して二次室との差圧力を小さくするようにした
ので、膜の動きが抑制されて二次弁を確実に閉弁
状態に維持し、バイパスのみによつてアイドル運
転に要求されるガスを正確に供給し常に安定した
アイドル運転を行わせるのである。また、オフ・
アイドル時には空気室に大気を作用させるので膜
は差圧力とバランスばねの力で二次弁を開弁させ
絞り弁開度とエンジン回転速度とを比例させるよ
うにガスを適正に供給できるものである。更に、
空気室は低い負圧から大気圧に切換えられるため
圧力変動が小さく膜を急激に大きく動かして二次
弁を不安定に開弁させるという不都合がなく、且
つバイパスを通るLPGに二次弁開度に応じて通
路を通るLPGが加えられて混合器へ送出される
ので、アイドル運転とオフ・アイドル運転とのつ
ながりが安定し、しかも中速運転更には高速運転
へ良好なガスつながり性能を示し、全運転域に亘
つて安定したエンジン運転を行わせることができ
るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の具体例を示す縦断面図である。 １……ペーパライザ、４……一次室、６……二
次室、７……通路、１１……空気室、１２……
膜、１３……二次弁、１４……閉弁ばね、１６…
…バイパス、２１……バランスばね、２４……大
気口、２５……負圧口、２７……開閉弁、３２…
…混合器、３３……ベンチユリ、３５……絞り
弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. LPGを導入する一次室と、減圧ガス化した
   LPGを混合器へ送出する二次室と、この一次室
   と二次室とを接続する通路を開閉する二次弁とを
   具え、この二次弁は前記二次室と空気室とを隔て
   た膜の二次室の方へ移動する動きによつて開弁し
   且つ閉弁ばねの作用によつて閉弁させられるペー
   パライザにおいて、前記一次室と二次室とを連通
   するバイパスと、前記膜に作用し前記閉弁ばねに
   対抗して開弁方向へ働くバランスばねと、前記空
   気室に設けた大気口および混合器のベンチユリと
   絞り弁との間の部分に接続されている負圧口と、
   前記大気口をエンジンのアイドル運転時に閉じる
   がオフ・アイドル時に開く開閉弁とを具えたペー
   パライザ。