JPS6340187Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、エスプレツソ式のようにある程度
の高温と圧力を加えてコーヒー液を抽出するよう
にしたコーヒーメーカーにおけるフイルタ保持構
造の改良に関する。

〈従来の技術とその問題点〉 エスプレツソ式のコーヒーメーカーは、フイル
タに入れられたコーヒー粉末に加熱装置からの高
温高圧の湯と蒸気を供給し、短時間にコーヒー液
を抽出するようにしたものである。このため、フ
イルタを加熱装置に圧接した状態で保持する必要
があり、ねじあるいはテーパを利用してフイルタ
を加熱装置に取付ける構造が採用されている。

しかしながら、従来はフイルタ全体を回動させ
ているため、加熱装置側の本体のパツキンが比較
的短時間で摩耗し、交換が必要になるという問題
点があり、また着脱操作が比較的面倒なものが多
かつた。

この考案はこのような問題点に着目し、フイル
タの着脱操作が簡単でパツキンの摩耗がないコー
ヒーメーカーを提供することを目的としてなされ
たものである。

〈問題点を解決するための手段〉 上述の目的を達成するために、この考案では、
中央にノズルを、上縁にフランジをそれぞれ備
え、側方にレバーを突出させたノズル体と、底部
にメツシユ部を、上縁に回り止め用の耳片をそれ
ぞれ備え、前記ノズル体に収納されるように構成
されたカツプ状のフイルタ、とでフイルタホルダ
ーを形成するとともに、フイルタの下縁とノズル
体の上縁の少なくとも一方にテーパ段部を形成
し、ボデーの上部腕の下面には、上記フイルタホ
ルダーのフランジを支える支持リブを両側に備
え、ボデーの前面からフイルタホルダーを挿入で
きるとともに、ノズル体を回動させることにより
上部腕の下面に設けられた加熱装置への接続口に
フイルタを圧接させることを可能とする保持部を
形成している。

〈作用〉 フイルタをボデーに取付けるには、フイルタを
セツトしたノズル体をボデーの保持部に前面から
挿入してレバーを回せばよく、簡単な操作で着脱
を行うことができる。またフイルタには回り止め
用の耳片があるため、ノズル体を回してもフイル
タは回動せず、フイルタとノズル体との間のテー
パ段部の作用でフイルタが上に押し上げられる。
このため、加熱装置の接続口に設けられるパツキ
ンが着脱の都度フイルタで摩擦されることがな
く、パツキンの摩耗は生じない。

〈実施例〉 次に図示の家庭用半自動式エスプレツソマシー
ンにおける実施例について説明する。

まず、外観を示す第１図と内部構造の概略を示
す第２図により、全体の概要から説明する。

ボデー１は前面の凹部をカツプ置台としたコ字
状の形状となつており、上部腕１ａには加熱装置
２を内蔵するとともにフイルタホルダー３を前面
から挿入する保持部４を形成し、下部腕１ｂには
排水プレート５を設けてある。また背面にはカー
トリツジ式の水タンク６を着脱自在に取付けてあ
り、水タンク６内の水はポンプ７により流出口
８、受座９からホース１０、ポンプ７、ホース１
１を経て加熱装置２に送られる。ここで加熱され
て沸騰した湯は、弁部１２を経て接続口１３から
蒸気とともにフイルタ１４に入れられたコーヒー
粉末１５に噴射され、圧力をかけて抽出されたコ
ーヒーがメツシユ部１６を経てノズル１７から滴
下し、排水プレート５上に置かれたカツプに入れ
たてのコーヒーが得られるのである。以上が本器
の概要であり、以下にその詳細を説明する。

加熱装置２はアルミダイカスト製の基体２１と
蓋体２２で構成されており、蓋体２２の下面に突
設したフイン２３の端縁が基体２１と蓋体２２の
間に挟着されたシートパツキン２５に圧接される
ことによつて水路２４が形成されている。この水
路２４はシートパツキン２５と一体の逆止弁２５
ａを設けた水入口２６から中心の蒸気溜め２７ま
で連続しており、フイン２３の形状を適正に選定
して渦巻き状にあるいは適宜折返しながら次第に
中心に近づくような形状に構成されている。蓋体
２２の上面中央にはセラミツクヒータ２８が収納
されており、固定板２９、押さえばね３０により
蓋体２２に密着させてある。弁部１２は水路の他
の部分よりも高くなつた蒸気溜め２７内に突出し
て基体２１の中央に設けられており、多数の小孔
を設けた押さえ板３１、押しばね３２によつて押
圧される弁体３３を有している。また接続口１３
の周囲には環状のパツキン３４が埋設されてい
る。

フイルタホルダー３は第３図に示すカツプ状の
フイルタ１４と第４図に示すノズル体４１とで構
成されており、各部材ともポリカーボネート樹脂
などの成形品からなつている。フイルタ１４は筒
状でその底部にメツシユ部１６を一体に形成して
あるが、このメツシユ部１６は別体のものを嵌着
するような形式にすることもできる。フイルタ１
４の上縁にはフランジ４２が設けられ、外周の対
応する二箇所に端面が互いに平行な耳片４３が設
けられている。この耳片４３は保持部４に挿入さ
れた時の回り止めの作用をするものである。また
フランジ４２の下面には時計方向に行くほど次第
に高くなるテーパ段部４４を三個形成してある。
一方、中央にノズルを有するノズル体４１には側
方に突出したレバー４５を設けてあり、また上縁
のフランジ４６の上面には、テーパ段部４４に対
応して時計方向に行くほど高くなる三個にテーパ
段部４７が形成され、フランジ４６の周縁にリブ
４８を設けてある。

コーヒーを抽出する際には、まずフイルタ１４
をノズル体４１に重ね合わせる。各部の寸法はフ
イルタ１４がノズル体４１にちようど収納される
ように選んであり、リブ４８がフイルタ１４のテ
ーパ段部４４と耳片４３の下面に設けた突起４９
との間にはまり、両部材が一体となるから、この
状態でフイルタ１４内に適量のコーヒー粉末を入
れ、保持部４に挿入する。保持部４には両側下部
に支持リブ４ａが形成されており、フランジ４６
をこの支持リブ４ａに乗せた状態で接続口１３に
対応する位置で止まるまで挿入する。次いでレバ
ー４５を右に回してノズル体４１を下から見て時
計方向に回動させることにより、テーパ段部４
４，４７の相互作用によりフイルタ１４が垂直に
押上げられ、フイルタ１４の上面に形成されてい
る段面三角形状の環状リブ５０がパツキン３４に
圧接され、取付けが完了する。５１はストツパで
ある。

ここで電源スイツチ（図示せず）を入れると、
セラミツクヒータ２８により水路２４内の水が加
熱され、中心部では沸騰して水路２４内の圧力が
上昇するが、逆止弁２５ａのため逆流は阻止され
る。弁部１２の弁体３３は約３Kg／cm²の圧力によ
つて開くように設定されており、この圧力に達す
ると蒸気と熱湯とがコーヒー粉末１５に一斉に加
えられる。そこで抽出レバー５５を押すと抽出ス
イツチ５６が入り、送出圧力が3.5〜４Kg／cm²に
設定されたポンプ７が駆動されて水タンク６から
新しい水が供給され、熱湯は接続口１３からフイ
ルタ１４へ送出され、ノズル１７からコーヒー液
が抽出されるのである。５７は電源表示灯、５８
は適温表示灯である。

第５図はフイルタ１４のメツシユ部１６の拡大
断面図であり、流入側となる上方の径が小さく、
流出側となる下方の径が大きいテーパ状透孔１６
ａを多数穿設してある。このような形状のメツシ
ユ部は例えばポリカーボネート樹脂の射出成形に
よる精密成形などにより容易に得ることができる
が、このように流出側に向けて拡径したテーパ状
透孔１６ａとなつているので目づまりが生じにく
く、万一目づまりが生じても簡単に掃除すること
ができる。なお、テーパ状透孔１６ａは円錐状、
角錐状のいずれでもよいが、樹脂成形の場合は角
錐状にした方がよい。これは金型製作上の理由か
ら来るものであり、円錐状の場合には円錐状のピ
ンを多数植設する必要があるのに対し、角錐状の
場合にはＶ字状のカツトを二方向あるいは三方向
から平行に入れれば多数の角錐状部を有する雄型
が簡単に得られるからである。

第６図は水タンク６の接続口の構造を示すもの
で、下方に突出した流出口８の端部に弁体６１が
取付けられている。弁体６１はシリコンラバー等
の弾性体で作られており、第６図ａに示すように
円板状のものに円弧状の切れ目６２を入れ、弁体
６１の一端が支持部６１ａにおいて外輪６３と連
結した形状となつており、パツキン６４とともに
流出口８の端部に止め具６５によつて固定され、
流出口８を閉塞している。６６は〇リング、６７
は網蓋である。一方、流出口８が挿入される受座
９にはその中心部に押上体６８が設けられ、弁体
６１を押上げて流出口８を開口するようになつて
いる。押上体６８は受座９の内壁にフイン（図示
せず）によつて連結されており、上端に傾斜端面
６９が形成されている。この傾斜端面６９は弁体
６１の支持部６１ａ側を低くし、その延長線がほ
ぼ支持部６１ａと交わる方向に傾斜しており、弁
体６１が押上げられる時に弁体６１に無理な応力
が加わらないようにされている。また押上体６８
はパイプ状となつており、傾斜端面６９の近くに
透孔７０を設けてある。従つて、弁体６１が押上
げられて流出口８が開口している時は矢印のよう
に透孔７０を通る経路もできるので接続口での流
通抵抗が低下し、水タンク６からの水の供給がよ
り円滑に行われることになる。なお、図において
は透孔７０は傾斜端面６９の最も高い部分に接近
して一個形成されているが、これは二個以上設け
ることもでき、また形状も丸孔でなく長孔として
有効断面積を増すこともできる。

第７図はシートパツキン２５の形状を示してお
り、シリコンラバー等の弾性体からなる円板状の
側縁を突出させ、弁体６１と同様に円弧状の切れ
目２５ｂを入れて逆止弁２５ａを形成してある。
２５ｃは弁部１２の逃げ孔である。この逆止弁２
５ａは、第２図に示すように水入口２６の上部の
傾斜端面２６ａに押上げられた状態で水入口２６
を閉塞している。このように傾斜端面で押上げら
れているため、逆止弁２５ａは自己の弾力によつ
て平板状に戻ろうとする復帰力が作用し、水入口
２６に密着するので逆止効果が高く、微圧に対し
ても十分な閉塞作用を発揮する。なお、シートパ
ツキン２５と逆止弁２５ａは一体となつているの
で、部品点数が少なく組立ても容易である。

〈考案の効果〉 上述の実施例から明らかなように、この考案
は、側方にレバーを突出させたノズル体と、回り
止め用の耳片を有するカツプ状のフイルタとでフ
イルタホルダーを構成し、ボデーの上部腕の下面
に設けた保持部にフイルタホルダーを前面から挿
入してノズル体を回動させることにより、フイル
タの下縁とノズル体の上縁の少なくとも一方に形
成したテーパ段部の作用によりフイルタを上方に
押動して、フイルタを加熱装置の接続口に圧接す
るようにしたものであり、簡単な構造でフイルタ
の保持と密封が可能となる。

このため、フイルタをボデーに取付けるには、
フイルタをセツトしたノズル体をボデーの前面か
ら保持部に挿入してレバーを回せばよく、ワンタ
ツチで着脱できて操作が非常に容易となり、使い
やすさが向上する。またレバーを回してもフイル
タ自体は回らず、そのままの姿勢で押し上げられ
て加熱装置の接続口に密着するので、ボデー側の
部材である接続口のパツキンが摩耗せず、フイル
タ部の気密状態を長時間良好に保つことができ、
信頼性が向上されるのである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すものであり、
第１図は斜視図、第２図は断面図、第３図ａ，ｂ
はフイルタの斜視図、第４図ａ，ｂはノズル体の
斜視図、第５図はフイルタの要部の拡大断面図、
第６図ａ，ｂは水タンク接続口の弁体の平面図及
び同接続口の拡大断面図、第７図はシートパツキ
ンの平面図である。 １……ポデー、１ａ……上部腕、２……加熱装
置、３……フイルタホルダー、４……保持部、４
ａ……支持リブ、１３……接続口、１４……フイ
ルタ、１６……メツシユ部、１７……ノズル、４
１……ノズル体、４３……耳片、４５……レバ
ー、４６……フランジ、４４，４７……テーパ段
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中央にノズル１７を、上縁にフランジ４６をそ
   れぞれ備え、側方にレバー４５を突出させたノズ
   ル体４１と、底部にメツシユ部１６を、上縁に回
   り止め用の耳片４３をそれぞれ備え、前記ノズル
   体４１に収納されるように構成されたカツプ状の
   フイルタ１４、とでフイルタホルダー３を形成す
   るとともに、フイルタ１４の下縁とノズル体４１
   の上縁の少なくとも一方にテーパ段部４４，４７
   を形成し、ボデー１の上部腕１ａの下面には、上
   記フイルタホルダー３のフランジ４６を支える支
   持リブ４ａを両側に備え、ボデー１の前面からフ
   イルタホルダー３を挿入できるとともに、ノズル
   体４１を回動させることにより上部腕１ａの下面
   に設けられた加熱装置２への接続口１３にフイル
   タ１４を圧接させることを可能とする保持部４を
   形成したコーヒーメーカー。