JPS633758Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、垂直部材をレールとして走行しなが
ら該垂直部材と水平部材との突合せ部を両側から
水平隅肉溶接する自動溶接装置に関する。

船体を構成する鋼板は多数の補強材で補強され
ているが、この補強材の取付けに自動溶接機が使
用されている。この種の溶接は水平部材と垂直部
材との当接部の水平隅肉溶接として把握でき、箱
型部材の溶接などもこの範疇に入る。溶接機とし
ては水平部材をレール（または走行面）として走
行しながら溶接するもの、及び垂直部材をレール
として走行しながら溶接するものなどがあり、後
者は垂直部材の間隔が密でスペースがとれない場
合などに有利である。

垂直部材をレールとするタイプのものには、垂
直部材の上縁に取付けられている帯状水平部材に
走行車輪を接触させ、該車輪をモータで駆動して
走行するものがある。しかしこの形式のものでは
当然、該帯状水平部材の幅が充分でないと安定し
た走行は期待できない。安定な走行には車体重量
も関与しており、軽いとスリツプを起したりす
る。しかし持ち運びには当然、軽量小型であるこ
とが望ましい。この背反問題に対しては磁力の利
用が考えられる。具体的には走行車輪を磁石にす
ると走行面に吸着し、車体の見掛け重量が増加
し、スリツプ防止かつ持運び容易が期待できる。
しかし走行車輪を磁石にすると該車輪に磁性粉
（溶接現場にはこの種のものは多い）が吸着し、
これが走行面との間に介在するからスリツプが起
りやすい。

本考案は垂直部材をレールとするタイプの自動
溶接機であるが、垂直部材上縁の帯状部材は幅の
狭いものでもよく、磁石利用で軽量化を図るが走
行車輪に磁粉が吸着してスリツプを生じるような
ことはない、ツイン型自動水平隅肉溶接機を提供
しようとするものである。以下図面を参照しなが
ら本考案の溶接機を説明する。

第１図は本考案に係る溶接機の斜視図を示し、
第２図および第３図はその一部の端面図である。
これらの図で１０は水平部材、１２は垂直部材で
あり、これらの部材の突合せ部の左、右両縁が隅
肉溶接線l₁，l₂になる。溶接トーチ１４，１６は
これらの溶接線を同時に溶接する。これらのトー
チを取付けて走行する台車２０は枠状体で、垂直
部材１２の側面に当接する４個の走行車輪２２、
垂直部材１２の帯状水平部材（フランジ）１２ａ
の垂直部材に近い位置の上端面に当接する落下防
止、重量支持用として台車の前後に各１個のロー
ラ２４、帯状水平部材１２ａの端縁に接触する反
転落下防止用の１個のローラ２６を備える。該台
車２０はまたモータ２８を搭載しており、該モー
タ２８が走行車輪２２を駆動する。ローラ２６は
伸縮可能なロツド３０の先端に取付けられてお
り、帯状水平部材１２ａの幅に応じて前、後され
て該部材の端縁に当接するようにされ、その進退
位置は蝶ねじ３２により固定される。

台車２０にはまた水平ガイドロツド３４が取付
けられ、この両側に調整ブロツク３６，３８が取
付けられ、該ブロツクに垂直ガイドロツド４０，
４２が取付けられる。４４，４６は前後調整ハン
ドルで、これを廻わして図示しないラツクピニオ
ン機構により調整ブロツク３６，３８を水平ガイ
ドロツド３４に沿つて移動させることができる。
また４８，５０は上下調整ハンドルで、これを廻
わしてロツド４０，４２のラツク４０ａ，４２ａ
と噛合うピニオン（図示しない）を廻わし、該ロ
ツド４０，４２を上下に移動させることができ
る。トーチ１４，１６のホルダー５２，５４は垂
直ガイドロツド４０，４２に垂直面角度調整ブロ
ツク５６，５８、水平面角度調整ブロツク６０，
６２を介して取付けられる。６４，６６は調整ブ
ロツク５６，５８の操作ハンドルであり、同様な
ハンドルは調整ブロツク６０，６２にもあるが図
面では陰にかくれて見えない。６８はハンドル
で、調整ブロツク３６によるロツド４０の締付
け、その解除を行なう。調整ブロツク３８にも同
様なハンドルがあるが、図示してない。７０もハ
ンドルで、調整ブロツク３８によるロツド３４の
締付け、同解除を行なう。同様なハンドルは調整
ブロツク３６にもあるが、図示してない。７２は
取手で、これを持つて本溶接機を運搬する。７４
は操作箱であり、溶接開始、停止、その他各種制
御を行なう。７４は電磁石で台車２０の下面に取
付けられ、垂直部材１２と間隙ｇを介して対向す
る。

溶接は、取手７２を持つて本溶接機を垂直部材
１２に図示のように載せ、ロツド３０を伸縮させ
てローラ２６が帯状水平部材１２ａの端面に当る
ようにし、この状態にねじ３２により固定して据
付けを完了する。トーチ１４，１６の左右、上
下、水平面および垂直面角度はハンドル４４と４
６，４８と５０，６４と６６等を操作して調整
し、その位置に固定する。然るのち操作箱７４の
各種スイツチ等を操作して電磁石７４の励磁、溶
接電源投入、モータ２８の起動などを行ない、溶
接線l₁，l₂の水平隅肉溶接を開始する。

この自動溶接機は種々の特徴を有する。即ち台
車重量は電磁石７４による垂直部材１２の吸着で
見掛け上増加され、安定な走行が行なえる。車輪
を磁石とするタイプではないので、車輪に磁粉が
吸着してそれが走行面との間に介在するようなこ
とはない。垂直部材１２つまり補強材は高さは比
較的あり、走行車輪２２はこの高さ部分（垂直部
材の側面）を転動するので、車幅は広くとれ、こ
の点でも走行が安定する。またセツトした後での
トーチ上下位置はローラ２４が決定するが、これ
は溶接線l₁，l₂上を転動するので、垂直部材１２
の高さ変動がない限り一定である。この垂直部材
１２の高さは精度よく一定であり、これに対して
帯状水平部材１２ａのつまりフランジ部は多少傾
斜する。フランジ部走行型であるとこの傾斜の影
響を受けるが、垂直部材の垂直部に近い上端面に
当接するローラ２４を設けているため本装置では
そのようなことはない。またローラ２６、ロツド
４０，４２の水平方向位置は可調整であるから帯
状水平部材１２ａの幅は各種のものであつてよ
く、さらに台車上端と垂直に近い上端面に当接す
るローラ２６との間に間隙を設けてあるため、部
材１２，１２ａは図示のようなＬ型の他にＴ型、
Ｉ型などであつてもよい。また、水平部材１０が
２次元、又は３次元的な曲面であつて、それにと
もなつて垂直部材１２の立設状態が垂直から変化
している場合でも本考案の自動溶接装置は使用可
能である。

また本考案の装置は１部改造することによつて
サイドロンジ部材の溶接にも適用できる。すなわ
ち、前述までの説明における水平部材１０が垂直
の船体外板となり、垂直部材１２が船体外板に垂
直に取付けられている水平部材、帯状部材１２ａ
が垂直部材とするサイドロンジ部に適用する場合
には、水平部材に台車２０を載置してローラ２４
の内進行方向の前位置にあるローラを後位置のロ
ーラよりも台車から遠い位置に取付けることによ
つて台車２０に指向性（垂直船体外板方向）を持
たせて倣い走行させることによつて可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す斜視図、第２図
および第３図は第１図の一部の端面図である。 図面で、１２……垂直部材、１０……水平部
材、２０……台車、２２……走行車輪、２８……
その駆動モータ、７４……電磁石、２４，２６…
…ローラ、３０……伸縮可能なロツド、３４……
水平ガイドロツド、３６，３８……調整ブロツ
ク、４０，４２……垂直ガイドロツド、５６，５
８，６０，６２……角度調整機構、５２，５４…
…トーチホルダーである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 垂直部材と水平部材との突合せ部を両側から同
   時に水平隅肉溶接する自動溶接装置において、 台車に、該垂直部材の側面に当接する走行車輪
   と、該走行車輪を駆動するモータと、該垂直部材
   の側面に間隙を介して対向する電磁石と、該垂直
   部材の垂直部に近い上端面に当接するローラを取
   付け、また伸縮可能なロツドを介して該垂直部材
   の上面の側縁に当接するローラを取付け、 更に該台車に水平ガイドロツドを取付け、その
   左、右端に横行可能に調整ブロツクを取付け、こ
   れらの調整ブロツクに上下動可能に垂直ガイドロ
   ツドを取付け、これらの垂直ガイドロツドに角度
   調整機構を介して溶接トーチホルダーを取付けた
   ことを特徴とする水平隅肉ツイン自動溶接装置。