JPS6336936Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

〔考案の技術分野〕 本考案はフイラメントを安定器として外管内に
収容した安定器内蔵形放電灯に関する。 〔考案の技術的背景とその問題点〕 安定器内蔵形放電灯は外管内に発光管と直列に
接続されたフイラメントを収容してあるので、外
部に格別な安定器を必要としない利点がある。 ところで、上記フイラメントは振動による断線
および寿命中における垂れ下がり等を防止するた
めに保持部材としてアンカーが使用される。たと
えば、発光管を取り巻くような形に形成されたフ
イラメントをガラスやセラミクス等の絶縁体に植
設した多数のアンカーで保持したものが知られて
いるが、このものは上記絶縁体および多数のアン
カーによる影を生じやすいとか、部品数が多く組
立工程が複雑である等の欠点がある。これに対し
て、フイラメントを発光管のほぼ長手方向に配置
するとともに、ただ１本のアンカーで保持させる
ようにして上記従来例の欠点の解消を計つたもの
も提案されている。ところが、この改良案ではた
だ１本だけのアンカーにかかる荷重が多数のアン
カーを使用した場合よりも大きいため、振動や衝
撃に対してフイラメントが断線しやすい傾向があ
る。特にこの傾向は発光管を支持し、かつ、フイ
ラメントの一端をも継線支持するサポートワイヤ
の先端を外管トツプ部に係止しないマウント構造
の放電灯において大である。本考案者等はフイラ
メントが断線したものと、断線しなかつたものと
につき仔細に検討した結果、断線はフイラメント
のアンカー保持部の位置に重大な関係があること
が判つた。 〔考案の目的〕 本考案は上記事情を考慮してなされたもので、
フイラメントの断線を防止した安定器内蔵形放電
灯を提供することを目的とする。 〔考案の概要〕 すなわち、本考案は外管トツプ部に先端を係止
しないサポートワイヤを介して発光管を支持する
とともに発光管と直列に接続されたフイラメント
を収容し、フイラメントは発光管のほぼ長手方向
に配置され、かつ、１本のアンカーで保持される
構造の安定器内蔵形放電灯において、上記フイラ
メントはアンカー保持部を境界として一方の長さ
をl₁、他方の長さをl₂としたとき、 l₁：l₂＝１：1.1〜２ としたことを特徴とする。 〔考案の実施例〕 以下、本考案の詳細を図示の実施例を参照して
説明する。第１図は安定器内蔵形放電灯の１種で
ある210V、160W定格の安定器内蔵形高圧水銀ラ
ンプを示す。図において１は外管、２は内部に希
ガスおよび水銀を封入した全長約60mmの石英ガラ
ス製発光管、３ａ，３ｂは主電極、４は始動用補
助電極、５は径が約0.1mmのタングステン線を全
長約35mmの２重コイルに形成したフイラメントを
示す。発光管２はステム６から延長された一対の
サポートワイヤ７ａ，７ｂにホルダ８ａ，８ｂを
介して支持されている。上記一対のサポートワイ
ヤ７ａ，７ｂはそれぞれの先端を外管トツプ部１
ａに係止しない形状としている。その理由は、外
管１の内面に必要に応じて設ける蛍光体または拡
散膜等の被膜をサポートワイヤの先端で傷つける
のを避けること、サポートワイヤをできるだけ短
くすることによつて発光管２からの放射光を遮光
して影が生じるのを防止すること、外管トツプ部
１ａにサポートワイヤの係止部を形成することに
よるコストアツプを避けること、さらには、比較
的小形のランプにおいては、サポートワイヤ７
ａ，７ｂの保持強度はステム６側だけで充分で、
外管トツプ側までわざわざ係止する必要がないか
らである。また、フイラメント５は発光管２と直
列になるように一方の主極３ｂと一方のサポート
ワイヤ７ｂとの間に電気的および機械的に接続さ
れ発光管２の長手方向にほぼ沿つて、配置されて
いる。９はフイラメント５を保持するモリブデン
などの難溶融性金属線からなるアンカーで、基端
が発光管２の封止部２ａに植設されている。な
お、アンカー線９によるフイラメント５の保持は
第２図に示すように、全長約35mmのフイラメント
５の長さ方向の中心点を避けた点に径約0.3mmの
アンカー９の一端を巻回して保持部９ａとし、こ
の保持部９ａを境界として短い方のフイラメント
部の長さをl₁、長い方のフイラメント部の長さを
l₂としたとき、l₁が約14mm、l₂が約21mmすなわち、 l₁：l₂＝１：1.5 となるように形成されている。 このように構成されたランプは20本につき、そ
れぞれ包装箱に入れてランプが横向きになる方向
で高さ70cmの所から落下試験を行なつたが、１本
もフイラメントの断線は発生しなかつた。 ランプを横向きで試験したのは垂直方向にした
場合よりもフイラメントの断線が発生しやすいこ
とがランプ輪送試験で判つているからであり、ま
た落下高さについても通常のランプ輪送や荷扱い
では70cm程度の高さからの落下に耐えれば実用上
問題ないとされているからである。 次に上記実施例と同種ランプにつき、l₁：l₂の
比を種々変化させたランプを製作し、落下試験を
行なつた結果を第１表に示す。表の数値はフイラ
メント断線本数／試験全数（各20本）の比率
（％）で示す。

【表】 第１表に示す結果から、l₁：l₂＝１：1.1〜２と
すれば、上記実用的基準（落下高さ70cm）を充分
満足することが判る。さらに信頼性を増すために
落下高さを80cmにとるならば、l₁：l₂＝１：1.2〜
1.8にすれば一層好ましい。 次に、第２図において矢印で示すようにアンカ
ー保持部９ａを反対方向に移動させ、上記第１表
に示すl₁とl₂を逆転させる、つまり上記試験では
短かくした側のフイラメント部の長さl₁を長くし
てl₂とし、一方長くした側のフイラメント部の長
さl₂を短かくしてl₁とし、上記第１表における場
合と全く同様の落下試験を行なつた結果を第２表
に示す。

〔他の実施例〕

第３図〜第５図は他の実施例を示し、上記第１
図示と同じ安定器内蔵形高圧水銀ランプである
が、マウント（外管内封装物）形状が異なるもの
である。すなわち、第３図示のランプはフイラメ
ント５が主極３ａとサポートワイヤ７ａとの間に
発光管２の長手方向にほぼ沿つて、かつ、発光管
２と直列に配置され、アンカー９の基端は発光管
２の口金側封止部２ｂに植設したもの。第４図示
のランプはフイラメント５が主極３ａとサポート
ワイヤ７ｂとの間に発光管２の長手方向にほぼ沿
つて、かつ発光管２と直列に配置され、アンカー
９の基端はステム６に植設された支持線１０に接
続固定したもの。第５図示のランプはほぼ第４図
示のものと同じで、ただアンカー９の基端を電気
絶縁物１１を介してサポートワイヤ７ｂに非導電
的に接続した点において相違するものである。 これ等他の実施例のランプにおいても、第１図
示の実施例の場合と同様にl₁：l₂＝１：1.1〜２の
範囲に設定すれば、高さ70cmの落下試験でフイラ
メントの断線は発生しなかつた。 また、上記各実施例と同様の形状で定格が異な
る110V 160W、210V 250W、200V 100W等の各
種安定器内蔵形高圧水銀ランプについても同様の
効果が得られることを確認した。 さらにまた、本考案は安定器内蔵形メタルハラ
イドランプ等の他品種安定器内蔵形放電灯にも適
用できるものである。 〔考案の効果〕 以上詳述した通り本考案は、安定器内蔵形放電
灯においてフイラメントを１本のアンカーで保持
するとともに、上記アンカー保持部を境界として
いずれか一方の長さをl₁、他方の長さをl₂とした
とき、 l₁：l₂＝１：1.1〜２ としたので、フイラメントは振動や衝撃に対して
実用上充分な強度を有し、断線が防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の断面図、第２図は
同じく要部拡大図、第３図〜第５図は本考案の他
の実施例の正面図である。 １……外管、２……発光管、３ａ，３ｂ……主
電極、５……フイラメント、７ａ，７ｂ……サポ
ートワイヤ、９……アンカー、９ａ……アンカー
保持部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 外管内に外管トツプ部に先端を係止しないサポ
   ートワイヤを介して発光管を支持するとともに発
   光管と直列に接続されたフイラメントを収容し、
   フイラメントは発光管のほぼ長手方向に配置さ
   れ、かつ、１本のアンカーで保持される構造の安
   定器内蔵形放電灯において、上記フイラメントは
   アンカー保持部を境界としていずれか一方の長さ
   をl₁、他方の長さをl₂としたとき、 l₁：l₂＝１：1.1〜２ としたことを特徴とする安定器内蔵形放電灯。