JPS6333743Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野 本考案は、自動車の後部、特にリヤエンドコー
ナ部における組立作業性、車体強度を向上できる
車体構造に関するものである。

〔従来技術〕

一般的な自動車の後部車体構造として、従来、
実開昭57−187270号公報に記載されているよう
に、リヤフレームに固定されたフロアパネルと、
リヤクオータパネルとを接合したものがあつた。

また、他の後部車体構造として、従来第１図に
示すようなものがあつた。第１図において、１は
フロアパネルであり、該フロアパネル１の下面に
は車体前後方向に延びるリヤフレーム２が配設さ
れており、該リヤフレーム２は横断面ハツト状の
ものでその接続フランジ部２ａが上記フロアパネ
ル１に溶接固着されている。また３は車体側部の
後部部分を構成するクオータパネルであり、該ク
オータパネル３の車室外側にはリヤフエンダー５
が配設され、該リヤフエンダー５、クオータパネ
ル３の下端に形成された接続フランジ部５ａ，３
ａは相互に溶接接続されている。そしてクオータ
パネル３の車室内側と上記フロアパネル１との間
にはフロアサイド４が配設され、該フロアサイド
４の両端部に接続フランジ部４ａ，４ｂは各々上
記クオータパネル３、フロアパネル１の端縁部に
溶接固着されている。さらに上記クオータパネル
３のフロアサイド４下方部分とリヤフレーム２と
の間にはクロスメンバー６が配設され、該クロス
メンバー６の両端部に形成された接続フランジ部
６ａ，６ｂは、各々上記クオータパネル３、リヤ
フレーム２に溶接固着されている。

ところがこのような従来の車体構造では、フロ
アサイド４及びクロスメンバー６をクオータパネ
ル３に接合するには、溶接ガンを挿入するための
作業穴が必要となり、またアーム長の長い溶接ガ
ンが必要となるなど、これらの組立作業性は低い
ものであつた。また、車体後端部にリヤバンパー
を取付ける場合、従来、クオータパネル３とリヤ
フエンダー５との間の部分を利用してソフトフエ
イシヤーの端部をボルト締めするようにしている
が、このような従来の取付構造では、クオータパ
ネル３とリヤフエンダー５とは閉断面になつてい
るため、この取付作業の作業性が悪いという問題
があつた。

〔考案の目的〕 本考案は、以上のような従来の問題点に鑑みて
なされたもので、クロスメンバーの組立作業性を
大きく向上でき、かつクロスメンバーの横剛性ひ
いては車体強度を大きく向上できる自動車の後部
車体構造を提供することを目的としている。

〔考案の構成〕

本考案は、自動車の後部車体構造において、ク
オータパネルをアツパパネルとロアパネルとに分
割し、該ロアパネルをリヤフエンダーに沿う形状
に形成し、上記両パネル及びクロスメンバーに接
合フランジ部を下向きに形成し、この３つの接合
フランジ部を相互に接合したものであり、これに
より、クオータパネルに作業穴を明けることな
く、アツパパネル、ロアパネル及びクロスメンバ
ーを外方から容易に溶接接合できるようにすると
ともに、クロスメンバーの横剛性をロアパネルで
もつて補強できるようにしたものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図について説明する。

第２図及び第３図は本考案の一実施例を示す。
図において、第１図と同一符号は同一又は相当部
分を示し、本実施例のクオータパネル１３はアツ
パパネル１１とロアパネル１２とに分割されてい
る。上記ロアパネル１２は横辺部１２ａと縦辺部
１２ｂとからなる横断面大略Ｌ字状のもので、上
記縦辺部１２ｂは、該クオータパネル１３の車外
側に配設されたリヤフエンダー１５の下部に沿う
円弧状に形成され、該縦辺部１２ｂの下端部はリ
ヤフエンダー１５の下端部に溶接されており、ま
た上記ロアパネル１２の後端部には取付フランジ
部１２ｄが車室内側に折曲げ形成されている。ま
た上記リヤフエンダー１５の後端部にも取付フラ
ンジ部１５ａが車内側に折曲げ形成され、これは
上記ロアパネル１２の取付フランジ部１２ｄに溶
接されており、該両取付フランジ部１２ｄ，１５
ａにはリヤバンパーのソフトフエーシヤ（図示せ
ず）を取付けるための複数の取付穴１８が形成さ
れている。

また、アツパパネル１１とフロアパネル１との
間に配設されたフロアサイド１４の車外、内縁部
には下向き、水平の外側、内側フランジ部１４
ａ，１４ｂが形成され、該フランジ部１４ａ，１
４ｂはアツパパネル１１、フロアパネル１に溶接
固着されている。

そしてアツパパネル１１とリヤフレーム２との
間に配設されたクロスメンバー６の外側フランジ
部６ａは、上記アツパパネル１１の下端に形成さ
れたフランジ部１１ａ及び上記ロアパネル１２の
横辺部１２ａの車内側端部に下向きに折曲げ形成
されたフランジ部１２ｃと溶接固着さている。

また、１６は左、右のリヤフエンダー１５の後
端部どおしを接続して車体後端部を形成するエン
ドパネルで、その左、右にはコンビネーシヨンラ
ンプ取付穴１６ａが形成されている。１７はクロ
スメンバー６、リヤフレーム２等の後端面を覆う
左、右のシールプレートである。

本実施例構造では、クオータパネル１３と、フ
ロアサイド１４及びクロスメンバー６とを溶接す
る場合は、ロアパネル１２及びクロスメンバー６
を組立てる前に、アツパパネル１１にフロアサイ
ド１４を溶接組立る訳であるが、まず、溶接ガン
を下方から挿入してそのチツプでフロアサイド１
４の外側フランジ部１４ａとアツパパネル１１と
を挾持し、溶接する。そして次にクロスメンバー
６、アツパパネル１１及びロアパネル１２を接合
するには、溶接ガンを下方から挿入してそのチツ
プで各接合フランジ部６ａ，１１ａ，１２ｃを挾
持し、溶接することとなる。

またリヤバンパーのソフトフエーシヤを本実施
例の車体に取付けるには、上記リヤフエンダー１
５、ロアパネル１２の取付フランジ部１５ａ，１
２ｄに形成された取付穴１８にソフトフエーシヤ
の端部に設けられた取付ボルトを挿入し、ナツト
により締付固定する。そしてこの際上記取付フラ
ンジ部１２ｄ，１５ａの内側は、第２図に示すよ
うに外方に開いた形状となつているので、この部
分においてナツトにより容易に締付固定できる。

このように、本実施例では、アツパ、ロアパネ
ル１１，１２、フロアサイド１４、及びクロスメ
ンバー６を接合するための接合フランジ部を下向
きに形成したので、これらを接合する場合、クオ
ータパネル１３等に作業穴を明けることなく、小
さな溶接ガンにより外方から容易に溶接でき、作
業性を向上できる。また、クロスメンバー６とリ
ヤフエンダー１５との間にロアパネル１２を配設
したのでクロスメンバー６の横剛性を向上でき
る。

また、ソフトフエーシヤを取付ける場合は、取
付フランジ部１２ｄ，１５ａの内側が、従来のよ
うな閉断面ではないため、作業穴を設けることな
く容易にボルト締め作業ができ、上記取付作業の
作業性を向上できる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案に係る自動車の後部車体構
造によれば、クオータパネルをアツパ、ロアパネ
ルに分割し、ロアパネルをリヤフエンダーに沿う
形状に成形し、アツパ、ロアパネル及びクロスメ
ンバーに下向きに形成された接合フランジ部を相
互に接合するようにしたので、アツパ、ロアパネ
ルとクロスメンバーとの組立作業性を大きく向上
でき、クロスメンバーの横剛性ひいては車体強度
を大きく向上できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の自動車の後部車体構造の横断面
図、第２図は本考案の一実施例による自動車の後
部車体構造の横断面図、第３図はその斜視図であ
る。 ２……リヤフレーム、６……クロスメンバー、
６ａ……クロスメンバーの接合フランジ部、１１
……アツパパネル、１１ａ……アツパパネルの接
合フランジ部、１２……ロアパネル、１２ｃ……
ロアパネルの接合フランジ部、１３……クオータ
パネル、１５……リヤフエンダー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体の側部後方にクオータパネルが設けられ、
   該クオータパネルはアツパパネルとロアパネルと
   に分割され、上記ロアパネルの下部はリヤフエン
   ダーの下部に沿う形状に成形され、上記アツパパ
   ネル及びロアパネルには該両パネルを接合する接
   合フランジ部が各々下向きに形成され、車体前後
   方向に延びるリヤフレームにクロスメンバーの一
   端が接合され、上記クオータパネルの両接合フラ
   ンジ部は上記クロスメンバーの他端に下向きに形
   成された接合フランジ部に接合されていることを
   特徴とする自動車の後部車体構造。