JPS6330361B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はプレス装置により粉末を加圧して粉末
成形体を成形する粉末成形体の製造方法に関す
る。

粉末冶金およびセラミツクの製造においては、
金属粉末またはセラミツク粉末を加圧して粉末成
形体を成形するためにプレス装置が多く用いられ
ている。第１図は一般的なプレス装置を示し、図
中１はダイ、２は下パンチ、３は上パンチで、ダ
イ１は油圧駆動の下部シリンダ４の下ラム５によ
り昇降される昇降ロツド６に支持され、下パンチ
２はテーブル７に載置したベース８上に固定さ
れ、上パンチ３は油圧駆動の上部シリンダ９の上
ラム１０により昇降される。そして、このプレス
装置において粉末成形体を成形する場合には、下
部シリンダ４の下ラム５の上昇によりダイ１を下
パンチ２が下部に位置するまで上昇させておき、
材料粉末を下パンチ２上に載せてダイ１内に充填
し、次いで上部シリンダ９の上ラム１０の下降に
より上パンチ３をダイ１の上部内に下降してダイ
１内に充填してある粉末を加圧することにより、
両パンチ２，３の間で粉末成形体１１を成形す
る。成形終了後は粉末成形体１１をダイ１から取
出す必要があり、このため従来は上部シリンダ９
の上ラム１０の上昇により上パンチ３をダイ１か
ら上昇させ、下部シリンダ４の下ラム５の下降に
よりダイ１を粉末成形体１１の下方まで下降させ
て抜出しを行なつている。

しかして、このようにして粉末成形体１１をダ
イ１から抜出させる工程においては、粉末成形体
１１に亀裂を生じて不良品となることがある。す
なわち、抜出しを行なうためにダイ１を下降させ
ると、粉末成形体１１は下パンチ２上に静止され
ているので、ダイ１の内側壁がこれと接する粉末
成形体１１の側壁に対し摩擦により下向きの外力
すなわちダイ側圧を作用することになり、このた
め粉末成形体１１はダイ側圧により全体として周
囲側壁が下向きとなる曲げを生じ、この曲げに伴
う圧縮および引張り応力により亀裂が発生する。

従来、粉末成形体の抜出し時における亀裂の発
生を防止する対策として、粉末中に添加する潤滑
剤の量を増加させる方法が行なわれているが、こ
れは焼結時に焼結体のフクレ、焼結炉の汚染など
が生じる欠点がある。また、抜出し時におけるダ
イの下降速度を遅くして粉末成形体に作用するダ
イ側圧を減少させる方法も行なわれている。しか
しながら、この場合にはプレス装置による粉末成
形体の成形速度が大幅に低下して生産性に悪影響
を及ぼし、しかもダイ１の下降速度の低下による
ダイ側圧の減少には限界があり、粉末成形体の亀
裂の発生を充分防止することができなかつた。

また、従来粉末成形体を上パンチにて軽く押え
ながら下パンチを上昇させてダイの上方へ押し出
す方法がある。しかし、この方法では、下パンチ
をダイの内部を上昇させて粉末成形体をダイから
押し出した後に、はじめて上部シリンダの上ラム
により上パンチを上昇させて粉末成形体から離
し、粉末成形体を下パンチから取り外すようにし
ているために、上ラムの動作時間が下パンチの移
動時間（上昇時間）に制限されて成形加工時間の
短縮化を図ることができなかつた。

本発明は前記事情に基づいてなされたもので、
粉末成形体の抜出し時の破損を防止しながら成形
加工時間の短縮化を図る粉末成形体の製造方法を
提供することを目的とする。

すなわち、本発明による粉末成形体の製造方法
は、ダイに充填した粉末を上部シリンダの上パン
チを前記シリンダとは独立して昇降可能な補助シ
リンダを有するラムにより昇降される上パンチ、
および下パンチにより加圧成形した後、得られた
粉末成形体を前記上パンチおよび下パンチで挟持
しつつ下部シリンダのラムにより昇降される前記
ダイを下降させ、前記ダイの下降開始時に前記シ
リンダの上ラムはダイの下降と同時に上昇駆動
し、前記上部シリンダの上ラムはダイの下降と同
時に上昇駆動し、前記補助シリンダは下降駆動し
て前記上パンチを下降させることにより前記粉末
成形体を挟持した状態で抜出し工程を行い、上パ
ンチは粉末成形体の抜出しが終了した時または抜
出しの途中において補助シリンダにより上昇させ
ることにより前記粉末成形体を取出すことを特徴
とするものである。すなわち、粉末成形体が取出
し時に両パンチに挾持されてダイ側圧による変形
破損を防止され、またダイの下降開始時または下
降途中にタイミングを設定して上ラムを上昇させ
ることにより成形加工時間が短縮される。

以下本発明を図面で示す実施例について説明す
る。

本発明の粉末成形体の製造方法の一実施例を第
１図および第２図について説明する。この実施例
におけるプレス装置は２個の油圧ポンプ（図示せ
ず）により下部シリンダ４と上部シリンダ９に
夫々個別に油を供給して両シリンダ４，９を独立
して駆動し、電磁弁１４，１３により下部シリン
ダ４と上部シリンダ９の駆動を制御してダイ１と
上パンチ３の昇降を制御するものである。さらに
この実施例では上ラム１０に補助シリンダ１５を
設けて、この補助シリンダ１５により上パンチ３
を上ラム１０とは独立して補助的に昇降できるよ
うにする。

油圧系統は各シリンダ９，４を油圧ポンプ（図
示せず）で駆動し、補助シリンダ１５は油圧ポン
プ又は空圧ポンプ（図示せず）で駆動する。

そして、上部シリンダ９の上ラム１０を下降し
て上パンチ３をダイ１内に下降し、ダイ１内に充
填した粉末を加圧して粉末成形体１１を成形す
る。粉末成形体１１を成形した後には上パンチ３
を下降行程における最下降位置（下死点位置）に
位置させ、粉末成形体１１上面に載つた状態で最
下降位置に停止する。従つて、粉末成形体１１は
下パンチ２上に載置されるとともに上面に上パン
チ３が載ることにより、上パンチ３と下パンチ２
とにより上下側から挾持されて押えられることに
なる。なお、上パンチ３と下パンチ２は粉末成形
体１１の上面および下面に夫々全面的に接する。
次いで、粉末成形体１１をダイ１から抜出すため
に、下部シリンダ４の下ラム５を下降駆動させて
ダイ１を下降させる。ダイ１は上パンチ３と下パ
ンチ２で挾持された粉末成形体１１を通過し、粉
末成形体１１の下方まで下降して停止する。この
ため、粉末成形体１１は全体がダイ１内より抜出
す。また、上部シリンダ９の上ラム１０はダイ１
の下降と同時に上昇駆動し、補助シリンダ１５は
下降駆動して上パンチ３を下降させる。すなわ
ち、粉末成形体１１を成形する時には上ラム１０
が下降して上パンチ３も最下降位置まで下降して
おり、抜出し時に上ラム１０が上昇駆動するのと
は反対に補助シリンダ１５により上パンチ３を下
降させることにより上パンチ３を最下降位置に位
置させてその状態を保つことができる。このた
め、ダイ１が下降する時に上パンチ３は最下降位
置にあつて下パンチ２とともに粉末成形体１１を
挾持することができる。なお、上パンチ３は粉末
成形体１１の抜出しが終了した時または抜出しの
途中において補助シリンダ１５により上昇させ
る。この場合、上パンチ３を上昇させる動作開始
は例えばタイマを用いて行なわせ、タイマの調整
により上パンチ３の上昇させるタイミングを任意
に設定できるようにすることが考えられる。

しかして、粉末成形体１１の抜出し時において
ダイ１が下降すると、ダイ１の内部周側壁が粉末
成形体１１の外部周側壁に摺接して下向きのダイ
側圧を作用させる。しかし、粉末成形体１１は上
面及び下面に上パンチ３と下パンチ２が全面的に
当接して上パンチ３と下パンチ２とにより上下側
から挟持してあるので、第３図で示すようにダイ
１の側圧が作用しても上パンチ３と下パンチ２で
平担な状態に押えられていて周側壁が下向きとな
る曲りが生じない。このため、粉末成形体１１は
曲げが生じないので、曲げに伴う応力による亀裂
が発生しない。また、このようにダイ１の下降時
に粉末成形体１１の亀裂の発生を防止できるた
め、ダイ１は亀裂の発生を考慮することなく下降
させることができ、その下降速度を従来に比べて
速めることができる。第５図はこの実施例の各ラ
ムの動作経過を示しており、図中Ｃ線は上パンチ
３の動作を示すものである。ここでは、上ラム１
０の動作時間t3が下ラムの下降開始と同時に行な
われる。このようにすれば上ラム１０の上昇開始
時点が最も早く、粉末成形体１１の成形時間が従
来の粉末成形体１１を上下パンチで挟持しないで
取出す場合と成形時間は同じで可能となり、粉末
成形体１１の亀裂発生なしで成形が行なえる。こ
の実施例は若干圧縮応力に耐えられる厚物や形状
をなす粉末成形体１１を成形する場合に適してい
る。

本発明の粉末成形体の製造方法は以上説明した
ように、プレス装置において成形した粉末成形体
をダイより抜出すに際して、上部シリンダのシリ
ンダとは独立して昇降可能な補助シリンダを有す
る上ラムにより昇降される上パンチを最下降位置
に位置させて上パンチと下パンチとで粉末成形体
を挾持して下部シリンダにより昇降されるダイを
下降させることにより、ダイの側圧による粉末成
形体の亀裂発生を防止でき、しかもダイの下降開
始時に上ラムを上昇させ、前記上ラムの上昇開始
と同時に補助シリンダを下降させるため、上パン
チは粉末成形体抜出し完了時まで粉末成形体を挟
持できる。したがつて上ラムの上昇開始時間を成
形終了時まで早めることが可能となり、粉末成形
体の成形時間が一層短縮できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はプレス装置を示す構成図、第２図は本
発明の製造方法の実施例に用いるプレス装置を示
す説明図、第３図は本発明の製造方法における粉
末成形体の抜出し時の状態を示す説明図、第４図
は本発明の実施例における動作経過を示す図であ
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ダイに充填した粉末を上部シリンダの上パン
   チを前記上部シリンダとは独立して昇降可能な補
   助シリンダを有するラムにより昇降される上パン
   チおよび下パンチにより加圧成形した後、得られ
   た粉末成形体を前記上パンチおよび下パンチて挟
   持しつつ下部シリンダのラムにより昇降される前
   記ダイを下降させ、前記ダイの下降開始時に前記
   上部シリンダの上ラムはダイの下降と同時に上昇
   駆動し、前記補助シリンダは下降駆動して前記上
   パンチを下降させることにより前記粉末成形体を
   下パンチとともに挟持した状態で抜出し工程を行
   い、上パンチは粉末成形体の抜き打しが終了した
   時または抜き打しの途中において補助シリンダに
   より上昇させることにより前記粉末成形体を取出
   すことを特徴とする粉末成形体の製造方法。