JPS6329549Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、各種物品の包装、梱包に使用させる
段ボール、つまり、波形状の中芯とその上下に形
成されるライナとによつて構成される段ボールに
関する。

〔従来の技術〕

従来の段ボールは、波形状に成型した中芯の山
と谷に接着材を介してライナを接着して構成され
たものであり、中芯及びライナとしては、クラフ
ト紙が使用されていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記の従来例においては、中芯、ライナともそ
の素材がクラフト紙であるため、重量物の梱包に
用いた場合、在庫管理、出荷、輸送等の取り扱い
時、殊に複数個を積み重ねたときに、中芯が押し
潰されて所期の緩衝効果が失われたり、破れたり
することが多い。そのため、段数を増し、段ボー
ルを肉厚化することによつて、これに対処してい
るが、根本的な解決策であるとは言い難い。

上記の現状に鑑み、本考案は、段ボールの中芯
及びライナの材料に薄鋼板を用いることによつて
潰れたり破れたりしにくく且つ積層段数を少なく
することができて、重量物や高価な物品の梱包に
好適であると共に、中芯及びライナの材料に薄鋼
板を用いることによつて派生する種々の不都合、
例えば、波形状に成型する金型や成型ロール等の
摩耗、中芯とライナとの接着性の悪化、錆発生
等々を回避でき、しかも表裏の区別なく使用で
き、表裏いずれの面に対しても、印刷することが
できる段ボールを提供するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題点を解決するために、本考案は、波
形状の中芯と、その上下に形成されるライナとに
よつて構成される段ボールにおいて、中芯を、薄
鋼板の表裏両面が紙で被覆された板紙で構成する
と共に、上下のライナを、薄鋼板の表裏両面が紙
で被覆された板紙で構成した点に特徴がある。

〔実施例〕

本考案の実施例を図面に基づいて説明すると、
本考案の段ボールは、第１図、第２図に示すよう
に、波形状の中芯１とその上下に形成されるライ
ナ２，２とによつて構成される段ボールにおい
て、前記中芯１を、薄鋼板３の表裏両面が紙４
ａ，４ａで被覆された板紙５で構成すると共に、
前記両ライナ２，２を、薄鋼板３の表裏両面が紙
４ａ，４ａで被覆された板紙５で構成したもので
ある。６，６は薄鋼板３と紙４ａ，４ａとを貼着
する接着材である。中芯１とライナ２，２とは接
面ａ，ａにおいて接着材にて接着されている。

薄鋼板３としては、曲げ、裁断等の加工を容易
に行えるように、焼鈍した冷延鋼板を使用してい
るが、強度をより高めるために、焼鈍しない冷延
鋼板を用いてもよい。また防錆の効果をより高め
るために、亜鉛等で防錆メツキを施した鋼板やス
テンレス鋼板を用いてもよい。

薄鋼板３の表裏の４ａ，４ａは、同一材質であ
り、具体的には、いずれもクラフト紙であるが、
上質紙、和紙、防水紙等、他の材質の紙を用いる
ことが可能である。また、表裏の紙４ａ，４ａの
一方をクラフト紙、他方を防水紙といつたよう
に、互いに異なる材質にしてもよい。さらには、
プリント加工した紙でもよい。

前記薄鋼板３の厚さl₁は100μ、接着材６の厚さ
l₂は40μ、紙４ａの厚さl₃は50μであるが、これら
の厚さl₁，l₂，l₃は適宜に設定し得る。但し、製
造コスト及び実用性の面からは薄鋼板３の厚さ
は、重量及び材料費の面から50〜200μの範囲と
することが望ましい。

上記の構成よりなる段ボールは、中芯１やライ
ナ２，２として、薄鋼板３と紙４ａ，４ａとの複
合材である板紙５を採用し、さらにその薄鋼板３
として、焼鈍した冷延鋼板を使用しているので、
薄鋼板３が焼鈍によつて材質的に柔らかくなつて
いて、波形状に成型する場合や段ボールを箱型等
に成型する場合の加工性が良くなるのに加えて、
その表裏にクラフト紙が貼つてあるので、表裏の
クラフト紙が緩衝材層や潤滑材層として機能し、
中芯１を成型する際のプレス加工、ロール加工等
による波形加工を容易に行え、金型や成型用ロー
ルの摩耗防止にも非常に有効である。

また中芯１とライナ２との接着において、中芯
１における表裏クラフト紙とライナ２のクラフト
紙との接着性が良く、段ボールの製造が容易であ
る。

また薄鋼板３の表裏両面にクラフト紙が貼着さ
れているので、発錆しにくく、たとえ発錆して
も、錆が表面に出にくいという利点がある。

殊に、中芯１とその上下のライナ２，２を夫々
薄鋼板３の表裏両面が紙４ａ，４ａで被覆された
板紙で構成したので、段ボールを表裏の区別なく
使用でき、段ボール函の製造が容易であり、さら
に、段ボール函として使用した際、中芯１が押し
潰れにくく、且つ外側のライナ２が他物と当接し
ても、また内側ライナ２が収納物品の角部などに
当たつても簡単には破れず、重量物や高価な物品
の梱包に非常に有効であり、また中芯１やライナ
２の紙４ａ，４ａが水に濡れても、薄鋼板３の保
形作用が発揮されるので、段ボールにこしがあ
り、荷崩れ等が防止される。

尚、薄鋼板３として、亜鉛等の防錆メツキを施
した鋼板やステンレス鋼板を使用すれば、防錆効
果が高くなる。また薄鋼板として、未焼鈍の鋼板
を用いれば、未焼鈍故に加工性は減じるが、強度
が大となり、中芯１の押し潰れ、他物との当接に
よる外側ライナ２の破れ等が生じにくいので、重
量の大きい機械類の梱包など、段ボールの用途に
よつて大きな効果を有する。紙４ａ，４ａとして
クラフト紙以外の紙を用いる場合にも、中芯１製
造時にクラフト紙と略同様な作用を果たす。上記
の実施例では、中芯１の上下にライナ２，２を形
成した単層の段ボールを図示したが、複層の段ボ
ールについて本考案を実施してもよい。図示しな
いが、薄鋼板３に多数の穿孔を施してパンチング
メタルとすることによつて軽量化などを図ること
ができる。

〔考案の効果〕

本考案は上述した構成よりなり、波形状の中芯
と、その上下に形成されるライナとによつて構成
される段ボールにおいて、中芯を、薄鋼板の表裏
両面が紙で被覆された板紙で構成し、上下のライ
ナを、薄鋼板の表裏両面が紙で被覆された板紙で
構成したので、強度面において段ボールの表裏の
区別がなく、且つ表裏いずれの面に対しても印刷
や筆記具による記入が可能であるから、表裏を間
違えないように注意する必要がなくて段ボール函
の製造が容易であり、さらに段ボール函として使
用した際、中芯が潰れにくく、外側ライナが他物
と当接しても、また内側ライナが収納物品の角部
などに当たつても簡単には破れず、しかも内外両
ライナの薄鋼板が紙で被覆されているので、たと
え薄鋼板に錆が発生しても収納物品などを汚すこ
とがなく、重量物や高価な物品の梱包に有効であ
る。

これに加えて、重量物や高価な物を梱包する場
合にはライナと中芯との積層段数を多段にしてい
るが、従来のものに比してその積層段数を減らす
ことができ、よつて、製造工数が減少するという
効果がある。

しかも、薄鋼板の表裏両面が紙で被覆されてい
るため、中芯及びライナの材料に薄鋼板を用いて
いるにもかかわらず、耐蝕性が得られ、ライナと
の接着性も良く、且つ波形状に成型する際、表裏
の紙が緩衝材層や潤滑材層として機能するので、
プレス加工、ロール成型加工等による波形加工が
容易に行え、金型や成型用ロールの摩耗防止にも
非常に有効である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る段ボールの実施例を示し、
第１図は段ボールの断面図、第２図は第１図の中
芯及びライナを構成する板紙の拡大断面図であ
る。 １…中芯、２…ライナ、３…薄鋼板、４ａ…
紙、５…板紙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 波形状の中芯と、その上下に形成されるライナ
   とによつて構成される段ボールにおいて、中芯
   を、薄鋼板の表裏両面が紙で被覆された板紙で構
   成すると共に、上下のライナを、薄鋼板の表裏両
   面が紙で被覆された板紙で構成したことを特徴と
   する段ボール。