JPS632502Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は建設工事に於けるコンクリート覆工、
例えばトンネル、立坑、ダム、地下構造物等の造
成に於けるコンクリート覆工に先立ち、コンクリ
ート被覆工面に張られる止水パネル、特に不織布
とこれの片面に積層された熱融着性を有する防水
シートとの複合積層体からなる止水パネルに関す
る。

このような止水パネルは既に公知であり、コン
クリート覆工背面の排水及び仕上つたコンクリー
ト覆工のクラツク防止に役立ち、またその排水性
によりコンクリート覆工完成後はコンクリート覆
工に水圧をかけない利点がある。更にまた不織布
と防水シートが積層された複合積層体からなるた
め、不織布と防水シートを別々に張る場合より施
工が簡単である。

しかしこの種の止水パネルとして従来公知のも
のは、不織布と防水シートとが全体に亘つて積層
一体化された構造を有し、止水パネルと止水パネ
ルとの継目の止水性を得るのに、コンクリート被
覆工面に端を突合せ或いは一部重ね合せにして張
つた止水パネルの継目部の表側、即ち熱融着性防
水シートに別に熱融着性防水テープをトンネル地
山等のコンクリート被覆工面沿いに溶接するか、
或いは先に張つた止水パネルの端部に、他の止水
パネルの端部を不織布が内側となるようコンクリ
ート被覆工面沿いの二つ折りに折曲げて、別の防
水テープの介在下に重ね、それ等を溶接すること
に依存しており、このような要領での溶接による
止水パネルの継目のシールでは、コンクリート被
覆工面の凹凸で必要部位の的確な全面溶接が困難
なため、シール性が不良となり勝ちであつた。止
水パネル継目のシール性が悪ければ、漏水を生
じ、止水パネルを張つた意義が損われる。

このシール性の問題は、防水シートの端部を所
要帯域幅に亘つて全面的に不織布に対し遊離させ
ておけば、解決されるであろう。即ちこれによれ
ば、隣合う止水パネルの遊離された防水シートの
端部帯域と端部帯域とをコンクリート被覆工面と
直角向きにして重ね、従つてコンクリート被覆工
面の凹凸に影響されずに、必要部位を全面溶接し
てシールすることが可能である。しかしこの場
合、コンクリート被覆工面の凹凸に可撓性及び腰
の強さの異なる不織布と防水シートを共になじま
せて止水パネルを張るには、不織布と防水シート
の遊離された端部帯域以外の部分が全面的なべた
積層ではなく、点々と部分的に一体化されている
ことが好ましく、その部分的一体化はコンクリー
ト被覆工面の凹凸の不規則な分布に対応するよう
相当粗らな配置にする必要があり、斯くて防水シ
ートの端部帯域を単に遊離するだけでは、その遊
離による防水シートの端部帯域の自由な領域の始
部が内外方に凸凹した不規則なものとなるので、
コンクリート被覆工面に止水パネルを釘打ちして
張つた際、防水シートの端部帯域が不揃いに垂れ
下がり、これを溶接すべく揃え重ねることは容易
ではない。しかも防水シートの端部帯域は、部分
的溶断による破損を伴うことなく所期の溶接がな
されるには、それに即した厚肉とすることが望ま
れ、そのような厚みの防水シートはごわごわし
て、揃え重ねがより困難である。

そこで本考案は防水シートの遊離された端部帯
域が良好な溶接施工を得るのに適した比較的厚肉
のもので、これを溶接に際し、コンクリート被覆
工面に対する横断方向に容易に揃え重ねることが
できる止水パネルを提供しようというものであ
る。

図面を参照して説明すると、本考案の止水パネ
ルは不織布１とこれの片面に積層された熱融着性
を有する防水シート２の複合積層体からなり、コ
ンクリート覆工に先立ちコンクリート被覆工面
３、例えばトンネル地山の一次覆工面に張られる
止水パネルであつて、その防水シート２の端部帯
域４が溶接に適するよう厚肉、例えば約0.8mm以
上、より好ましくは1.0〜1.2mm程度の肉厚とさ
れ、かつ該端部帯域４はその始端側に於てのみ該
端部外端沿いに連続的或いは断続的に該部不織布
と結合一体化され、端部帯域４の他の部位が全面
的に不織布に対し遊離されていることを特徴と
し、上記端部帯域４は一般的には外端が不織布１
の端に合致する長さで充分であるが、要すれば外
端が不織布１の端より適当長さはみ出す余剰長さ
にしてもよい。防水シート２の端部帯域４以外の
部分は端部帯域４より薄い肉厚で充分であるが、
端部帯域４と同じ肉厚にしても構わない。図で符
号４ａは防水シート２の遊離された端部帯域４始
端側の不織布１に対する結合一体化部を示し、こ
れは図示の場合、連続的に施されている。５は針
を示す。

本考案の止水パネルは、防水シート２の端部帯
域４が不織布１に対し遊離されているので、コン
クリート被覆工面３に先に張つた止水パネルに次
の止水パネルを接続して張るのに際し、それ等止
水パネルの防水シート２の端部帯域４を余らせた
状態で張ることができ（第２図参照）、従つてそ
の余剰部である防水シート端部帯域４と４とをコ
ンクリート被覆工面３に対する横断方向向きに重
ねて溶接することにより、コンクリート被覆工面
３の凹凸に影響されることなく、必要部位の確実
な全面溶接が可能である。しかも本考案では防水
シート２の端部帯域４は、その始端側に於てのみ
該端部外端沿いに連続的或いは断続的に該部不織
布と結合一体化されているため、コンクリート被
覆工面３に止水パネルを張ると、端部帯域４以外
の部分の防水シート２が不織布１に点々と部分的
に一体化されている場合でも、防水シート２の端
部帯域４の垂れ下がりが該端部外端沿いの規則的
な帯状に規制され、従つて該端部帯域４が溶接に
適するよう厚肉とされているにかゝわらず、溶接
に必要とする端部帯域４の揃え重ねを容易に行う
ことが保証される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す斜面図、第２
図は第１図に示された止水パネルによる施工例を
示す縦断面図である。 １は不織布、２は防水シート、３はコンクリー
ト被覆工面、４は防水シートの端部帯域、４ａは
端部帯域始端側の不織布に対する結合一体化部、
５は釘。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 不織布とこれの片面に積層された熱融着性を有
   する防水シートとの複合積層体からなり、コンク
   リート覆工に先立ちコンクリート被覆工面に張ら
   れる止水パネルであつて、その防水シートの端部
   帯域が溶接に適するよう厚肉とされ、かつ該端部
   帯域はその始端側に於てのみ該端部外端沿いに連
   続的或いは断続的に該部不織布と結合一体化さ
   れ、端部帯域の他の部位が全面的に不織布に対し
   遊離されている止水パネル。