JPS6324156Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はウエブ形成装置に関する。さらに詳し
くは紡糸口金の下方に連結された加圧筒と、該加
圧筒の下方に設けられた噴射筒により上記紡糸口
金より紡出された多数の糸条を加圧気体と共に噴
射して引取るウエブ形成装置の改良に関するもの
である。

〔従来技術〕

従来、紡糸工程から一挙に不織布ウエブを作る
装置としては、第４図に示すものが知られてい
る。

すなわち、第４図において、２は紡糸口金、３
は上段側加圧筒、１１は下段側噴射筒、１２は噴
射ノズルで、加圧筒中心は紡糸口金中心に係合す
るように連結されている。

チツプ溶融体１は紡糸口金２の細孔を通じ、加
圧筒３からなる圧空室６に押出され、一方圧空は
圧空導入パイプ８を通つて圧空分配室７に導か
れ、多孔性フイルター５を通つて圧空室に供給さ
れる。紡出糸条４は圧空により、冷却固化されて
噴射筒１１、噴射ノズル１２から連続的に噴射さ
れ、移動する金網１６上に補集され単繊維がラン
ダムに並べられたウエブ１５か形成される。９，
１０は加圧筒と噴射筒の接続部材、１３は紡糸口
金と加圧筒の接続部材、１４は隣接する各噴射筒
間の距離を一定に保つための固定部材、１７，１
８，１９はシールリングである。

このような装置においては、紡糸口金は不織布
ウエブを形成するため、製品の幅方向に等分して
複数個（または製品の進行方向に対して複数列）
配置されるか、紡糸口金を構成するスピニングブ
ロツクは加熱による熱膨脹があるため各隣接する
紡糸口金間の距離を一定に保つことは製作上むつ
かしいという問題がある。

すなわち、操業を続けると該加圧筒と噴射筒の
中心にズレがあるため、前述の如く噴射筒が曲
り、この結果噴射状態（噴射方向）が変動しし、
かつ再現性がないことから次工程で補集される不
織布ウエブの目付均一化のための管理条件の設定
に時間がかかり、生産量減になるという問題が起
る。また噴射筒の曲りのため糸条がこの曲り部で
腰かけ現象を起し、この結果噴射筒内で糸条が詰
まつたり、噴射筒まわりのシールリング１８，１
９の圧空シール機能が低下し、圧空洩れが起る。
この結果筒内の糸条が圧空洩れ部に吸い寄せられ
上述した糸条の噴射筒内への詰まりが発生する。
これを紡糸するためのシールリングは頻繁に交換
する必要がある。また噴射筒の損耗が早いといつ
た問題を併発する。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案はかかる従来技術の諸欠点に鑑み創案さ
れたもので、その目的とするところは紡糸口金に
係合される加圧筒と該加圧筒の下方に設けられた
噴射筒の各中心のズレを簡単に調整でき、常に糸
条の噴射状態（噴射方向）を安定せしめて効率よ
く均一目付の不織布ウエブを得ることのできるウ
エブ形成装置を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

かかる本考案の目的は、紡糸口金の下方に加圧
筒と噴射筒をこの順に連続して配設し、上記紡糸
口金より紡出された多数の糸条を加圧気体と共に
噴射して引取るウエブの形成装置において、上記
加圧筒と上記噴射筒の間に調芯装置を設けると共
に、該調芯装置は、加圧筒の下部に取付けられ、
下端に紡出糸条と交差する方向に摺動する摺動面
を有する上部調芯筒と、噴射筒の上部に取付けら
れ、上記上部調芯筒の摺動面と係合する摺動面を
上端に有する下部調芯筒、および上記上部調芯筒
と下部調芯筒との摺動面同士を当接せしめて調芯
した状態において両者を固定する固定部材とから
なることを特徴とするウエブ形成装置により達成
される。

以下本考案を図面を用いて詳細な説明する。

第１図は本考案に係るウエブ形成装置の１例を
示す概略断面図で、加圧筒３と噴射筒１１との間
に第２図および第３図に示すごとき調芯装置２０
を設けたものである。

すなわち、調芯装置２０は加圧筒３の下部に形
成され、下端にフランジタイプの摺動面を有する
上部調芯筒２１と、上端に上記摺動面に係合可能
なフランジタイプの摺動面を有する下部調芯筒２
２およびリングナツト２３、テーパピン２４、シ
ールリング２５から成る。

調芯筒２１のフランジ外周面にはネジ加工が施
され、又、調芯筒２２のフランジ摺動面にはシー
ルリング用溝加工が施されている。さらに、フラ
ンジ径は次式を満足するように設計されている。

D1−D2≧2δ ただし、 D1：調芯筒２１のフランジネジ部谷径 D2：調芯筒２２のフランジ外形 〔作用〕 係る装置において加圧筒と噴射筒の中心ズレδ
は調芯筒２１および２２の係合であるフランジ摺
動面で調整（吸収）される。

調芯作業は噴射筒１１の垂直性を維持した状態
でリングナツトを調芯筒２１のフランジ外周面に
加工したネジ部に係合し、調芯筒２１と２２を固
定する。次にテーパピン（２か所）を調芯筒２
１，２２に挿入し、フランジ摺動面の移動がない
ように完全固定する。

加圧筒内のエアーが洩れるのを防ぐため、テー
パピンはシールリングの外部に挿入すること、お
よびシールリングはフランジ摺動面から露出させ
ないことは言うまでもない。

係る装置において加圧筒と噴射筒の中心ズレδ
を調整した場合、噴射筒は垂直にセツトできるた
め曲ることはなく、従来の問題点は解消される。
また加圧筒と噴射筒の中心ズレ調整部内径にδの
段差が発生するが、この部分での糸条は充分に冷
却されており、かつ噴射筒入口に近いため糸条は
収束されているため、この段差部で糸条がひつか
かる等の問題は発生しない。我々の経験では加圧
筒中心に対する噴射筒中心のズレδ値は２〜８mm
Ｒ程度である。

なお加圧筒と噴射筒の各中心ズレの調整装置が
第３，４図に示す装置のみに限定されるものでな
いことは言うまでもない。

〔考案の効果〕

本考案の上述した構成となつているので噴射筒
の曲りが解消され、噴射状態（噴射方向）の変動
がなく、かつ再現性があることから金網上に補集
される不織布ウエブの目付均一化のための管理条
件設定時間が短縮でき、かつ噴射筒内での糸条の
腰かけ現象がなく、また噴射筒まわりシールリン
グの圧空シール機能が低下しない（圧空洩れを起
さない）ため、噴射筒で糸条が詰まることはなく
なるため生産ロスが大幅に減少した。またシール
リングおよび噴射筒の損耗も見られない等優れた
効果を持つものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るウエブ形成装置を示す概
略断面図、第２図は調芯部分の１例を示す拡大断
面図、第３図は調芯部分の分解説明図、第４図は
従来のウエブ形成装置を示す概略断面図である。 １：チツプ溶融体、２：紡糸口金、３：加圧
筒、４：糸条、５：多孔性フイルター、６：圧空
室、７：圧空分配室、８：圧空導入パイプ、９，
１０：接続部材、１１：噴射筒、１２：噴射ノズ
ル、１３：接続部材、１４：固定部材、１５：ウ
エブ、１６：金網、１７，１８，１９：シールン
グ、２０：調芯装置、２１，２２：調芯筒、２
３：リングナツト、２４：テーパピン、２５：シ
ールリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 紡糸口金の下方に加圧筒と噴射筒をこの順に連
   続して配設し、上記紡糸口金より紡出された多数
   の糸条を加圧気体と共に噴射して引取るウエブの
   形成装置において、上記加圧筒と上記噴射筒の間
   に調芯装置を設けると共に、該調芯装置は、加圧
   筒の下部に取付けられ、下端に紡出糸条と交差す
   る方向に摺動する摺動面を有する上部調芯筒と、
   噴射筒の上部に取付けられ、上記上部調芯筒の摺
   動面と係合する摺動面を上端に有する下部調芯
   筒、および上記上部調芯筒と下部調芯筒との摺動
   面同士を当接せしめて調芯した状態において両者
   を固定する固定部材とからなることを特徴とする
   ウエブ形成装置。