JPS6319871Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動販売機等に備えられ、投入され
た硬貨を選別するためのキヤリヤアームを有する
硬貨選別装置に関し、特にキヤリヤアームへの硬
貨の連続投入による誤選別を防止するための硬貨
の連続投入防止手段に関するものである。

〔従来の技術〕 自動販売機等に備えられる硬貨選別装置は、投
入された硬貨の外径、厚さおよび材質の面からそ
の硬貨を選別し、それぞれ所定の通路に導き入れ
るような構造になつている。

第１図は、このような硬貨選別装置の概略構成
を示す正面図で、１は硬貨選別装置、２は基板、
３は硬貨投入口、４は硬貨選別部材としてのクレ
ードル、５はコインレール、６は磁石、７はデフ
レクタ、８はセパレータ、９は硬貨選別部材とし
てのキヤリヤアームである。

硬貨投入口３より投入された硬貨は、クレード
ル４の突起４１，４２間の寸法より外径が小さな
硬貨は軌跡abcのように基板２に開口する窓２１
を介して裏面に設けられた不図示の硬貨通路へと
導かれる。

また、突起４１，４２間より外径寸法の大きな
硬貨はクレードル４によつてコインレール５上に
導かれ、磁石６、デフレクタ７およびセパレータ
８によつて、次のような材質による選別が行なわ
れる。

コインレール５の端に設けられた磁石６の磁場
を硬貨が通過する際、その材質によつて受ける制
動力の程度が異なるため、制動を強く受けた硬貨
は軌跡deのように滑落し、また、制動をそれ程
受けなかつた硬貨はデフレクタ７上に落下し、そ
の反発力の違いにより軌跡dfe、あるいは軌跡dfg
のように弾かれる。そして、セパレータ８を飛び
越えた硬貨はキヤリヤアーム９により２度目の外
径選別が行なわれ、所定の外径寸法を有するもの
が軌跡fghのように硬貨通路１０に導かれる。尚、
１０１は硬貨通路１０を区画する側壁である。

次に、このキヤリヤアーム９による外径選別の
様子を第２図の動作図を基に詳述する。キヤリヤ
アーム９はアーム部９１とウエイト部９２の２つ
の部分から成り、アーム部９１の先端に設けられ
た突起９１１が硬貨通路内に突出するように軸１
１によつて回転可能に支持され、待機状態におい
ては突起９１１を硬貨通路壁面に設けられた不図
示の上部ストツパに当接して実線で示すようにア
ーム部９１をほぼ水平にして静止している。そし
て、キヤリヤアーム９が軸１１を中心に時計方向
に破線で示した位置（以下下死点という）まで回
転すると不図示の下部ストツパに当接して回転が
阻止される。ここで、待機状態の突起９１１と硬
貨通路側面１２との間隔Ａと、この下死点におけ
る突起９１１と側面１３との間隔Ｂは、Ａ＜Ｂに
なるように設定されているので、セパレータ８を
飛び越えた硬貨で外径寸法が間隔Ａより大きく間
隔Ｂより小さいものは、突起９１１と側面１２の
間に係止され、その硬貨の自重によつてキヤリヤ
アーム９が時計方向に破線で示した下死点まで回
転すると側面との間隔が広がるため、硬貨は突起
９１１と側面１３との間を通り抜けて軌跡ghの
ように硬貨通路１０に導かれる。また、外径寸法
が間隔Ａより小さな硬貨は突起９１１と側面１２
との間（間隔Ａ）を通り抜けてしまうため軌跡gi
のように滑落する。

しかしながら、キヤリヤアーム９が硬貨を硬貨
通路１０に導いた後、ウエイト部９２の重量によ
り待機状態の位置に復帰する途中で次の硬貨がセ
パレータ８を飛び越えて来てしまつた場合には、
回転中のアーム部９１の突起９１１に衝突して径
小の硬貨にも拘らず硬貨通路１０に導き入れてし
まうことがある。このような硬貨の連続投入によ
る誤選別を防止するため、従来より硬貨の転動通
路に連投を防止する手段が講じられている。

第３図および第４図は、従来の硬貨選別装置に
用いられている連投防止手段である。第３図Ａ，
Ｂに示す連投防止手段１４はキヤリヤアーム９の
上方に回転可能に軸着され、待機状態ではウエイ
ト１４２によつて実線で示す位置で平衡が保たれ
ている。そして、デレフクタ７によつて反発され
セパレータ８を飛び越えた硬貨はＢ図に示す通路
壁１５に設けられた切欠部１５１からその転動通
路内に突出する突起１４３に衝突し、連投防止手
段１４を時計方向に回転させてキヤリヤアーム９
上に滑落する。この連投防止手段１４の他端に設
けられた突起１４４が破線のようにデフレクタ７
の方向に突き出して続いて投入された２枚目の硬
貨を弾き、キヤリヤアーム９に連続して硬貨が到
達するのを防止する。

また、第４図Ａ，Ｂに示す連投防止手段１６は
キヤリヤアーム９の下方の硬貨通路１０の入口に
軸１６１，１６１を回転可能に枢支され、待機状
態ではウエイト１６２によつて第４図Ｂのように
突起１６３が通路壁１５に設けられた切欠部１５
１から硬貨通路１０に突出した状態となつてい
る。そして、キヤリヤアーム９によつて硬貨通路
１０に導かれた硬貨によつて通路内に突出してい
た突起１６３が押されると、連投防止手段１６は
軸１６１，１６１を中心に回転し、上端に設けら
れた突起１６４が切欠部１５２から通路内に突出
して硬貨通路１０を遮断する。したがつて、突起
１６４が硬貨通路１０の入口に突出している間に
キヤリヤアーム９によつて導かれた硬貨は硬貨通
路１０への滑落が阻止される（たとえば実開昭56
−164372号）。

〔考案が解決しようとする問題点〕

以上示した２種類の連投防止手段はキヤリヤア
ームの上方あるいは下方に設けられ、それぞれの
防止手段は異なるにしろ、１枚目の硬貨が連投防
止手段の突起に当たることによつて動作し、通路
内に続いて投入された硬貨を弾く突起を突出する
ことによつて連続投入による誤選別を防止すると
いう点では共通している。このような従来の連投
防止手段では転動する硬貨を直接検知して動作す
るため、第２図で示したキヤリヤアームの回転動
作領域外に設けられ、キヤリヤアームと個別に動
作するので、たとえばキヤリヤアームがゴミ等の
付着により第４図に破線で示す復帰の途中でロツ
クされた場合にはその後の硬貨はその外径に拘ら
ずキヤリヤアームの突起に衝突して硬貨通路に飛
び込むこととなり、偽硬貨による物品の不正購入
が行われてしまう。また、上述の連投防止手段は
キヤリヤアームとは別の位置に単独で設けられる
ので、その設置のためには比較的長い転動通路を
必要とし、限られた装置にしか適用できないとい
う欠点があつた。

従つて、本考案の技術的課題は、キヤリヤアー
ムの回動によつて連投防止手段が動作するように
することである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、上述の課題の解決のために、基板と
側壁との間の硬貨通路と、前記側壁に当該側壁と
平行な面内で回動可能に軸支され、一端側にアー
ム部を有しその先端で前記硬貨通路内に突出した
突起が転動硬貨に係合して回動され、他端側にほ
ぼ水平な待機状態に復帰させるためのウエイト部
を有するキヤリヤアームと、前記側壁側に当該側
壁と直交する方向に揺動可能に取付けられるシー
ソー状の連投防止レバーとを備えた硬貨選別装置
において、前記連投防止レバーの一端側に、待機
状態の前記キヤリヤアームのアーム部の下方に位
置し、回動されたキヤリヤアームのアーム部が当
接するよう回動方向に湾曲された当接部を設け、
他端側に、前記アーム部の当接により前記硬貨通
路内に突出される突起および該突起を硬貨通路外
に退出させる方向に付勢するウエイトを設けたこ
とを特徴としている。

〔作用〕

本考案においては、転動硬貨によりキヤリヤア
ームが回動されるとそのアーム部が連投防止レバ
ーの一端側の当接部に当接するので、これにより
他端側の突起が硬貨通路に突出され、この突出さ
れた突起により、次の硬貨のキヤリヤアームへの
到達が阻止され、誤選別が防止される。そして、
連投防止レバーの当接部は、キヤリヤアームの回
動方向に湾曲されているので、キヤリヤアームの
回動中（待機状態に戻るまで）は、突起が硬貨通
路に突出されており、次硬貨のキヤリヤアームへ
の到達は阻止される。

〔実施例〕

以下本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第５図ＡおよびＢは、本考案の一実施例を示す
正面構成図および−縦断面図である。図にお
いて、連投防止レバー１７はそのレバー本体に設
けられた軸１７１を図面を簡略化するために示し
ていない支持部に枢支されてシーソー状に揺動可
能となつており、一方の揺動部分１７２をキヤリ
ヤアーム９の回転動作内に配置し、また他方の揺
動部分１７３には突起１７４を設けている。そし
て、待機状態においては、やはり揺動部分１７３
に設けられたウエイト１７５による反時計方向
（Ｂ図において）の回転モーメントのため揺動部
分１７２が図示のように通路壁１５に設けられた
切欠部１５１からキヤリヤアーム９の回転動作領
域を貫いて基板２に当接し、その際突起１７４は
硬貨の転動通路外に引き抜かれた状態となつてい
る。

このような待機時に硬貨投入口３より硬貨が投
入されると第１図で説明したようにその硬貨はク
レードル４によつて最初の外径選別が行なわれ、
所定の外径寸法を有するもの（例えば本硬貨選別
装置１が新500円硬貨の選別が可能なもので第１
図で示した基板２の表面側で10円硬貨と500円硬
貨の選別を、裏面側で50円硬貨と500円硬貨の選
別を行なうものとすれば10円硬貨と500円硬貨）
がコインレール５に導かれる。そして、磁石６、
デクレクタ７およびセパレータ８によつて材質の
選別が行なわれ、所定の材質の硬貨のみが（10円
硬貨は磁石６の制動力によつてデフレクタ７とセ
パレータ８との間に滑落してしまうので500円硬
貨のみが）セパレータ８を飛び越えてキヤリヤア
ーム９に到達する。キヤリヤアーム９の動作は先
に第２図を基に説明したので細述は省略するが、
キヤリヤアーム９が回転すると連投防止レバー１
７の揺動部分１７２の通路を臨む面（以下当接面
という）１７６に当接して揺動部分１７２を押し
上げるため、連投防止レバー１７は軸１７１を中
心に時計方向（Ｂ図において）に回転し、揺動部
分１７３に設けられた突起１７４を切欠部１５２
を介して硬貨通過後の通路１０内に突出する。そ
して、揺動部分１７２は、キヤリヤアーム９の回
転方向に湾曲しているので、回転中は常に当接面
１７６に当接して揺動部分１７２を押し上げてお
り、突起１７４はキヤリヤアーム９が待機状態の
位置に復帰するまで通路１０内に突出し続けるこ
ととなる。

したがつて、キヤリヤアーム９の回転動作中に
後続の硬貨がデフレクタ７に反発されてセパレー
タ８を飛び越えたとしても、この突起１７４に弾
かれ、キヤリヤアーム９への到達が阻止されるた
め硬貨連投によるキヤリヤアーム９の誤選別が確
実に防止できる。そして、キヤリヤアーム９の復
帰に伴ない揺動部分１７２が再びＢ図のように切
欠部１５１からキヤリヤアームの回転動作領域に
突出するため、突起１７４は切欠部１５２を介し
て硬貨通路１０内から退出され連投防止レバー１
７も待機状態へと戻る。

第５図Ｂに示した連投防止レバー１７の揺動部
分１７２にはキヤリヤアーム９との当接面との間
に「あそび」を持たせ、また速やかに突起１７４
が通路に突出するように僅かにくの字状に屈曲す
るとともに、強度面の考慮から先端部を肉厚とし
ているが、本考案はこのような形状の連投防止レ
バーに限定されるものではなく、単なる棒状の揺
動部分であつてもかまわない。

〔考案の効果〕

以上のような本考案によれば、キヤリヤアーム
の回動によつて連投防止レバーを動作させるよう
にしたので、キヤリヤアームの回動領域に連投防
止レバーを設置してそれらを駆動する硬貨が転動
する硬貨通路を共用でき、従来のように個別の位
置に設けた場合と比較して必要な硬貨通路を短縮
できる。従つて、その分硬貨選別装置の小形化な
いし同一スペース内でのより多くの金種の硬貨の
選別が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置内の投入硬貨の流れを示す正
面構成図、第２図はキヤリヤアームの動作説明
図、第３図は、第４図ＡおよびＢは連投防止手段
を備えた従来装置の正面構成図および縦断面図、
第５図ＡおよびＢは本考案の一実施例における正
面構成図および縦断面図である。 １……硬貨選別装置、２……基板、９……キヤ
リヤアーム、９１……アーム部、９１１……突
起、９２……ウエイト部、１０……硬貨通路、１
５……側壁、１７……連投防止レバー、１７４…
…突起、１７５……ウエイト、１７６……当接
面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基板と側壁との間の硬貨通路と、前記側壁に当
   該側壁と平行な面内で回動可能に軸支され、一端
   側にアーム部を有しその先端で前記硬貨通路内に
   突出した突起が転動硬貨に係合して回動され、他
   端側にほぼ水平な待機状態に復帰させるためのウ
   エイト部を有するキヤリヤアームと、前記側壁側
   に当該側壁と直交する方向に揺動可能に取付けら
   れるシーソー状の連投防止レバーとを備えた硬貨
   選別装置において、前記連投防止レバーの一端側
   に、待機状態の前記キヤリヤアームのアーム部の
   下方に位置し、回動されたキヤリヤアームのアー
   ム部が当接するよう回動方向に湾曲された当接部
   を設け、他端側に、前記アーム部の当接により前
   記硬貨通路内に突出される突起および該突起を硬
   貨通路外に退出させる方向に付勢するウエイトを
   設けたことを特徴とする硬貨選別装置。