JPS63196287A - 細胞培養用基材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は、細胞培養用基材に関する。さらに詳細には
、動物細胞を培養するために使用される細胞培養用基材
に関するものである。

〈従来の技術〉 近年、生物の細胞を培養し、その細胞の代謝活動により
有用な生理活性物質、例えば、ワクチン、ホルモン、イ
ンターフェロン等を生産する研究が活発に行われている
。

このような方法において、従来、接着性動物細胞の培養
は、ガラス、プラスチック製のシャーレ、試験管、培養
ビンなどを用いて行なわれてきた。

また、最近、マイクロキャリアや中空糸を培養用基材と
して用い、より高密度の培養や、長期の培養を行なう試
みがなされつつある。接着性動物細胞を培養周基村上に
接着させ、増殖させるには、基材表面と細胞との親和性
、接着性が良好であることと共に、細胞の物質代謝を容
易に行なわしめることが重要である。

上記の特性を有するものとして、多孔性材料が有用であ
ることから、上記多孔性材料を集合させて大量培養に適
した培養器を作製することが試られている。例えば、単
一素材よりなる多孔性中空糸を用いたり（特公昭５４−
６４３４号公報、特開昭８ｌ−２５４７１ｉ号公報参照
）、多孔性材料に代えて、ガス透過性フィルムを波形ス
ペーサと共に渦巻き状に巻とった培養器（特公昭５８−
１３１４８号公報参照）が提案されている。

〈発明が解決しようとする間裏点〉 しかしながら、上記の培養器は、いずれも単一の素材あ
るいはその組合せにより構成されているため、細胞培養
を行なう上で要求される細胞との接着性、細胞の伸展、
増殖性、物質代謝性、基材の加工性などの全ての特性を
十分に満足しうるちのではない。すなわち、細胞との親
和性、接着性が十分でなく、物質代謝に有用な多孔構造
を冑するものの未だ物質代謝が十分でなかったり、集合
等の加工性が劣る等の問題があった。従って、上記の細
胞培養用基材は、細胞との接着性および細胞の伸展性と
増殖性が不十分であり、細胞培養を高密度かつ長期に亘
って行なうことができないという問題点がある。

く目　的〉 この発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、細
胞の接着性、伸展および増殖に優れ、高密度かつ長期間
の細胞培養を可能ならしめる細胞培養用基材を提供する
ことを目的とする。

く問題点を解決するための手段および作用〉上記目的を
達成するため、この発明の細胞培養用基材は、多孔性高
分子基材に、他の高分子材料が被覆されていることを特
徴とするものである。

なお、上記他の高分子材料としては、シリコーン単独重
合体またはシリコーン共重合体が好ましく、また、多孔
性高分子基材は、フィルムまたは中空糸が好ましい。

上記の構成の細胞培養用基材によれば、高分子基材と他
の高分子材料とで構成されているので、物質代謝性、基
材の加工性等の特性と、細胞との親和性、接着性および
細胞の伸展、増殖性等の特性を、それぞれ上記基材と他
の高分子材料とに分担させることができる。すなわち、
高分子基材が多孔性であるため、多孔性材料の孔を通じ
て物質代謝が円滑に行なわれると共に、上記多孔性高分
子基材として、機械的強度の大きいものを使用すること
により、多孔性高分子基材は、機械的強度に優れた支、
特休としての役割を果し、集合等の加工性に優れる。ま
た前記高分子基材の表面には、細胞との親和性、接着性
および細胞の伸展、増殖性に優れる上記他の高分子材料
が存在する。従って、上記他の高分子材料に接着した細
胞の伸展、増殖性を高めることができると共に、物質代
謝性に優れるので□長期に亘り高密度の細胞培養を行な
うことができる。

また、上記他の高分子材料が、シリコーン系重合体であ
るときは、細胞との親和性、接着性に優れるだけでなく
、物質透過性に優れるので、細胞の伸展、増殖性および
物質代謝性に優れる。

また、多孔性高分子基材がフィルム、中空糸であるとき
は、細胞との接着性、物質透過性を高めることができ、
細胞の伸展、増殖に有用である。

特に、前記高分子基材が中空糸であるものは、中空部内
や中空糸の外側に培養液等を潅流することにより、中空
糸上に細胞を高密度に育成、増殖させることができる。

以下、この発明の詳細な説明する。

この発明の細胞培養用基材は、高分子基材と、この基材
の表面を被覆する他の高分子材料とからなる。

上記高分子基材の材料としては、賦形性、機械的強度を
有するものであればいかなるものでも使用でき、例えば
、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン
、アイオノマー等のオレフィン系重合体、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹
脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタ
クリレート等のアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール
、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリ
ロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リカーボネート、ボリアリレート、ポリフェニレンオキ
サイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート等のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リアミド、ポリイミド、ポリスルホン、セルロース系樹
脂、シリコーン樹脂、ポリウレタンなどの種々の重合体
もしくは共重合体またはそれらのブレンド物が例示でき
る。特に、上記多孔性高分子基材として、機械的強度が
大きく、多孔性を有する基材に加工するのが容易な材料
や、細胞培養用基材の使用時に高圧蒸気滅菌処理が容易
に行なえる耐熱性の大きな材料が好ましい。このような
材料としては、上記高分子のうち、ポリプロピレン、ポ
リフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイ
ミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ボリアリ
レート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネー
ト、ポリアミド等が例示できる。

上記高分子基材は、多孔性であるため、孔により物質代
謝性を高めることができ、接着した細胞の伸展、増殖だ
けでなく、長期に亘り細胞培養することができる。

なお、上記高分子材料を用いて、多孔性高分子基材を作
製するには、相分離法、延伸法や焼結法など従来公知の
技術を用いることができる。また、上記多孔性高分子基
材は、種々の形態に形成でき、例えば、シャーレ、フラ
スコ等の成形品の他、フィルム、チューブ、中空糸、繊
維、微粒子等の形態が例示できる。また、上記高分子基
材が繊維状であるときは、編成、織成することにより編
物、織物とし、多孔性を有する高分子基材を作製しても
よい。これらの形態のうち、長期に亘り細胞培養を行な
うには、物質代謝を円滑にするため、フィルム状のもの
が好ましく、また、高密度培養を行なうには、チューブ
、中空糸の形状が好適である。特に、物質代謝が容易で
、高密度培養を長期に亘り行なえる中空糸が好ましい。

この中空糸を用いるとき、培養液を、中空糸の中空部ま
たは外側に泡流させ、必要に応じて炭酸ガスや空気等を
上記中空糸の中空部等に送ることにより、細胞を中空糸
上で育成し、増殖することができる。なお、前記中空糸
としては、種々の大きさのものが使用でき、例えば、内
径５０〜１０００μ烏程度のものが用いられる。

また、この発明にかかる細胞培養用基材をマイクロキャ
リアー法のビーズ担体として使用する場合には、前記高
分子基材は１００〜３００μ■程度の粒径のものが用い
られる。

この発明の細胞培養用基材は、細胞との接着性を高め、
細胞の伸展、増殖を促進するため、上記高分子基材の表
面が他の高分子材料で被覆されている。

上記他の高分子材料としては、細胞との親和性、接着性
に優れるものであればいかなるものも使用できるが、物
質透過性に優れたシリコーン系重合体が好ましい。上記
シリコーン系重合体としては、シリコーン単独重合体、
シリコーン共重合体のいずれも好適に使用でき、これら
の具体例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリフェ
ニルシロキサン、ポリビニルシロキサン、ポリジメチル
シロキサン−カーボネートブロック共重合体、ポリジメ
チルシロキサン−α−メチルスチレンブロック共重合体
等を例示することができる。

なお、前記多孔性高分子基材を他の高分子材料で被覆す
る方法としては、種々の方法、例えば、上記他の高分子
材料の溶液中に前記多孔性高分子基材を浸漬した後、乾
燥硬化する方法や、ロールコータ、ナイフコータ等のコ
ーティング手段により、上記他の高分子材料の溶液を多
孔性高分子基材に塗布し乾燥、硬化させる方法等が例示
できる。

上記被覆工程においては、物質代謝性を低下させない範
囲で、多孔性高分子基材の孔を上記高分子材料が塞がな
いようにするのが望ましい。

この発明の細胞培養用基材は、種々の細胞の培養に使用
することができ、細胞の種類は特に限定されず生体由来
細胞、ハイブリドーマ−等が挙げられ、例えば、チャイ
ニーズハムスター肺由来細胞ｖ−７９、ヒト子宮癌由来
細胞ＨｅＬａ、ヒト胎児肺由来細胞ＭＲＣ−５、ヒト肝
由来細胞Ｃｈａｎｇ　Ｌｌｖｅｒ　、ヒト肺由来正二倍
体線維芽細胞ＩＲＣ−９０、ヒトリンパ腫由来ナマルバ
細胞等が例示される。

また、この発明の細胞培養用基材を用いて動物細胞を培
養する場合、培養する細胞の種類に応じて種々の培養液
が用いられ、細胞の増殖に適した至適温度、ｐＨ等の条
件で培養が行なわれる。

本発明の細胞培養゛用基材は、従来公知の種々のモジュ
ールにて、動物細胞の増殖に適用できる。

本発明の細胞培養基材として多孔質のチューブ状基材を
用いたモジュールの一例を、第１図および第２図に基づ
いて説明すると以下の通りである。

第１図に示す細胞培養器（１）は、所定数集束された多
孔質チューブ状基材（■が、細胞懸濁液を注入するため
の孔（４）を有するポリカーボネート等からなる円筒状
容器（３）に装填されていると共に上記基材（りの両端
部がシリコーン接着剤（５）等により接着固定されてい
る。また、上記孔（４）は、細菌等で培養器（１）等が
汚染されるのを防止するため、フィルター付きのｉｆ　
（４ａ）で被冠されている。上記孔（４）より注入され
て前記基材■に接着した細胞を増殖させるため、上記円
筒状容器Ｇ）の両端部には、培養液８）を供給する供給
口（７ａ）を備えたキャップ（６ａ）と、培養液（８）
を排出する排出口（７ｂ）を備えたキャップ（６ｂ）と
がそれぞれ装着されており、培養器（１）内の前記基材
（２に培養液［Ｆ］）を移送できるようにしている。

上記の培養器（１）は、例えば、第２図に示されるシス
テムで用いられる。すなわち、新鮮な培養液（８）を培
養器（１）に供給するため、上記培養器（１）の供給口
（７ａ）には、中間にポンプ００）が配されたバイブ（
１２ａ）が接続されており、培養液容器（９）に収容さ
れた新鮮な培養液（８）を上記パイプ（１２ａ）を経て
、上記培養器（１）に供給している。また、培養器（１
）を通過した培養液［Ｆ］）は、培養器（１）の排出口
（７ｂ）に接続されたバイブ（１２ｂ）を経て前記培養
液容器（９）に排出され、培養液Ｂ）が上記システムを
循環するように構成されている。なお、上記培養器（１
）等は、インキュベータ（１１）内に配されている。

上記の培養器（１）およびシステムを用いて細胞を増殖
させるには、上記孔（４）から細胞懸濁液を注入して細
胞を前記基材■上に接着させると共に、前記孔（４）を
フィルター付きの蓋（４ａ）で被冠し、所定の培養条件
の下、培養液容器（９）に収容された培養液（８）を前
記パイプ（１２ａ）　（１２ｂ）を通じて培養器（１）
内を所定時間循環させることにより行なわれる。

〈実施例〉 以下、実施例に基づいてこの発明をより詳細に説労する
。

実施例 四弗化エチレン樹脂多孔質チューブ（住人電気工業■製
、外形２　ｍｍφ、内径１鴫φ、気孔率５２％、平均孔
径０．３μ−）をポリジメチルシロキサン−カーボネー
トブロック共重合体（チッソ■販売、ＰＳ−０９９）の
ジクロロメタン３重量％溶液に浸漬後、１２０℃で乾燥
することにより、複合チューブを得た。

このチューブを用いて、第１図に示される培養器を作製
した。すなわち、上記チューブ（２）　１００本を集束
し、円筒状ポリカーボネート容器口）に充填し、端部を
シリコーン接着剤（５）を用いて接着固定後、円筒の軸
に垂直に切断することで、チューブ■端部が全て露出し
た形の培養器を得た。ついで、この両端部に培養液の供
給用口のついたキャップ（Ｂａ）　（８ｂ）を装着し、
外部から培養器（１）のチューブ■の内部に培養液（Ｂ
）を移送できる形とし、第２図に示すシステムに結合さ
せた。

この装置を用い、ハムスター仔腎由来細胞（ＢＨＫ−２
１）の培養を行なった。培養器（１）は、あらかしめエ
チレンキサイドでガス滅菌し、殺菌した水、次いで、培
養液でフラッシングを行なった。

細胞懸濁液（細胞数２．１Ｘ１０４個／１１）は、孔（
４）より注入し、培養条件は、イーグルＭＥＭ培地に１
０％牛脂児血清を添加したものを用い、５％炭酸ガスを
含む空気雰囲気中、３７℃でインキュベイトして１５日
間培養した。細胞はチューブ（２）の周辺に肉眼でも確
認できるほど増殖しており、トリプシン−ＥＤＴＡ溶液
で細胞を分離し、細胞数を計算したところ５．１Ｘ１０
５個／１１であった。

〈発明の効果〉 以上のように、この発明の細胞培養用基材によれば、物
質代謝性、加工性等に優れた多孔性高分子基材が、細胞
との親和性、接着性および細胞の伸展、増殖性に優れた
他の高分子材料で被覆されているので、加工性に優れる
だけでな（、細胞との接着性並びに細胞の伸展性および
増殖性に優れ、高密度かつ長期間の細胞培養が可能とな
るという特有の効果を奏する。従って、この発明の細胞
培養用基材は、動物細胞の培養によるホルモン等の有用
物の生産システムに利用できる他、例えばインスリン産
生細胞を基材表面に接着、培養することにより人工膵臓
が形成できるように人工臓器の構築に利用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の細胞培養用基材を用いた細胞培養器の
一例を示す断面図、 第２図は第１図に示す細胞培養器を用いる細胞培養のフ
ローチャートである。 （１）・・・培養器、（２）・・・チューブ状基材、（
３）・・・円筒状容器、（４）・・・孔、（８）・・・
培養液。 特許出願人　　住友電気工業株式会社 第１図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １、多孔性高分子基材に、他の合成高分子 材料が被覆されていることを特徴とする 細胞培養用基材。 ２、他の高分子材料が、シリコーン単独重 合体またはシリコーン共重合体である上 記特許請求の範囲第１項記載の細胞培養 用基材。 ３、多孔性高分子基材が、フィルムまたは 中空糸である上記特許請求の範囲第１項 記載の細胞培養用基材。