JPS6316216Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は例えば乗用車等に音響用振動伝達装置
を付設するのに適し且つ不快音を除去するように
したシートにおける音響用振動体の取付構造に関
する。

近時、音響用振動伝達装置が提案されており、
音響用振動伝達装置とは、音楽等の聴取において
従来のスピーカでは聴取者に伝達することが難し
い低音部分をフイルタで取り出し、これを増幅し
た後に音響用振動体で振動波に変換し、これを聴
取者の身体に伝え、耳から知覚する通常の音波に
よるものと併せて身体でも音楽を感じられるよう
にし、以つて音楽聴取に係る臨場感を向上させる
ことができるという装置である。

上記音響用振動伝達装置は昨今の音楽を愛好す
る若者層の好みに合致し、極めて需要の高い装置
と考えられ、また斯かる装置を乗用車等の乗物に
適用させれば走行時の音楽聴取において一層の快
適性を発揮する。

そこで、上記音響用振動伝達装置を乗用車等の
シートに備えるべく先に振動波を発生する振動体
の取付方法を提案した。当該取付方法の一つによ
れば、シートの座部、背もたれ部の裏面にシート
スプリングを利用して振動体を取付け固定し、こ
れによつて組付けの繁雑さを解消した。ところ
が、上記取付方法によればシートスプリングが振
動体に直接的に接触するように構成されていたた
め、振動体が振動するとシートスプリングが共振
し、これによつて異音又はきしみ音が発生すると
いう欠点を有していた。

本考案者は上記問題に鑑みこれを有効に解決す
べく本考案を成したものである。

本考案の目的は、音響用振動伝達装置の振動体
をシートスプリング等を利用してシートに固定す
る場合において、振動体の振動時にシートスプリ
ング等による異音等を生ぜしめないようにし、そ
のため振動体とシートスプリング等との間に緩衝
部材を介設したシートにおける音響用振動体の取
付構造を提供することにある。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

先ず、音響用振動伝達装置の電気的構成を概説
する。第１図において、シート１に着座した聴取
者２に対し、従来通りの、チユーナ或いはカセツ
トテープレコーダ等、アンプ類等から成る音響回
路３より音楽等に係る電気信号を発生させ、スピ
ーカ４で電気音響変換を行つて音波が与えられ
る。一方、音楽等に係る電気信号を別途に取り出
してローパスフイルタ５で低音部（例えば150Hz
以下）のみを取り出し、この低音に係る電気信号
を低域用の特殊パワーアンプ６で増幅し、その増
幅された電気信号によつてシート１に配設された
電気振動変換器、すなわち音響用振動体７，７が
駆動され、振動波が振動体７，７によつて発生
し、シート１のクツシヨン性の座部８、背もたれ
部９を介して聴取者２の身体に直接的に伝達され
る。

以上の如く音響用振動伝達装置とは、音響に係
る電気信号から低域を取り出し、これのパワーを
高めて振動波として発生させる構成部分をいい、
ローパスフイルタ５、特殊パワーアンプ６、振動
体７から成る。

次に上記シート１における振動体の取付構造を
具体的に説明する。

第２図は、例えば乗用車等の一人着座用のシー
トの外観を示すもので、この一つののシート１に
対して音響用振動伝達装置の振動体７は、一例と
してクツシヨン性を有する座部８、背もたれ部９
の裏面に夫々横に並べて２個ずつ計４個配設され
る。ただし、この取付個数は任意に定めることが
できる。

第３図は背もたれ部９の拡大縦断面図を示す。
背もたれ部９は主としてクツシヨン部材によつて
形成され、当該クツシヨン部材は背もたれ部９の
周縁に配設されたシートフレーム１０によつて支
持されている。背もたれ部９の左右のシートフレ
ーム（図示せず）の間には平行に複数の波形のシ
ートスプリング１１…が配設され、このシートス
プリング１１…よつて弾性を生じ、背もたれ部９
を支持せしめている。そして、略円錐台形をした
振動体７は、背もたれ部９の裏面に形成された同
形の凹部９ａに、図示される如き形状にて収納さ
れ、その収納状態で後面を例えば発泡材の如き振
動吸収作用を有する緩衝部材１２を介設してシー
トスプリング１１で支持固定されている。

以上において、緩衝部材１２の硬さは、振動体
及びシート構成部品の硬さよりも小さいものとす
る。またその大きさは一個の振動体を覆えれば足
り、どの程度の大きさにするかは任意である。

また振動体７の振動を振動板を介して面的に背
もたれ部９に伝えるような取付け方法が採用され
る場合もあり得るが、この場合に振動板とシート
スプリングが接触するときにはそれらの間に上記
の如き緩衝部材が配設されることになる。

上記の如き構成を有する取付方法によれば、振
動体７或いは振動板とシートスプリング１１との
間に緩衝部材１２を設けるようにしたため、振動
体７等が振動したとしてもシートスプリング１１
が共振することはなく、また振動体７とシートス
プリング１１との間に打音が発生するのを防止す
ることができる。

次に本考案に係る音響用振動体の取付構造の別
実施例を説明する。

従来下では、例えば第４図、第５図に示される
ような振動体の取付構造も存する。この構造によ
れば、上記と同様に背もたれ部９の裏面に形成さ
れる収納凹部に収納された振動体７をシートスプ
リング１１…で直接に押え支持するのではなく、
振動体７を２つのシートスプリングの間に配置す
るため板部材１３を用いて振動体７を支持固定し
ている。この場合において、上記板部材１３は２
個のフツク１３ａ，１３ａが上側に形成され、該
フツク１３ａ，１３ａが上側のシートスプリング
１１に係止され、板部材１３の下部が下側のシー
トスプリング１１に押えられることにより背もた
れ部９の裏面に取り付けられ、以つて振動体７を
固定する。

以上において、振動体７に電気信号が与えられ
て振動体７が振動すれば、板部材１３及びこれを
介してシートスプリング１１…が振動し音が発生
することになる。そこで、第６図に示すように振
動体７と板部材１３との間に例えば発泡材（ウレ
タン等）から成る緩衝部材１４を介設し、振動体
７から板部材１３等へ振動が伝えられるのを防止
している。このように固定部材として板部材１３
を使用するような場合にも本考案を適用すること
ができる。なお、上記においても、緩衝部材１４
の硬度は振動体、振動板、シート構成部品よりも
低いものとする。

以上の説明で明らかなように、本考案によれ
ば、シートに備えられた振動体が振動したとき、
シートスプリングの如き押圧固定部材の共振、或
いは振動体等と押圧固定部材との間の打音の発生
を防止し、不要音の発生を防止することができ
る。また不要音を発生を防止したため、ひずみを
生じることなく振動体の振動を人体に伝えること
ができ、更には振動体のシートへの組付性も工数
を削減して簡易なものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は音響
用振動伝達装置の電気的構成図、第２図は振動体
が設けられたシートの斜視図、第３図は背もたれ
部の縦断面図、第４図は背もたれ部の後方斜視
図、第５図は従来の他の振動体固定方法を示すシ
ートの背もたれ部の一部縦断面図、第６図は本考
案に係る別実施例を示す図である。 なお図面中、１はシート、７は振動体、８は座
部、９は背もたれ部、９ａは凹部、１１はシート
スプリング、１２，１４は緩衝部材、１３は板部
材である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クツシヨン材によつて形成された座部、背もた
   れ部を有するシートにおいて、該座部と背もたれ
   部の裏面に振動体収納部を形成してこれに振動体
   を収納し、該振動体を振動吸収用緩衝部材を介し
   て押圧固定部材で固定したことを特徴とするシー
   トにおける音響用振動体の取付構造。