JPS6313142Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内面に金属箔層を有する紙容器のシ
ール部に外面側より半切線又はミシン目線を設け
たことを特徴とする火脹れ防止シール部を備えた
紙容器に関する。

〔従来の技術〕

近年第１図に示すような屋根型頭部を有する紙
容器の内面にアルミ箔の層を設け、清酒、サラダ
オイル等の浸透性の強い液体を充填して流通過程
に乗せることが行われているが、かかる容器は第
２図の展開図に示すようなブランク板を第３図に
示すように扁平に折り畳みつつ胴貼りし、そのよ
うに胴貼りした扁平折畳状態のままで製函業者か
ら内容物充填業者へ送られ、内容物充填業者に
て、先ず胴部を四角筒状に折り起した後、底部及
び頂部のヒートシール部近傍を加熱し、その後、
底部及び頂部を折り曲げ組み立てするのが一般で
ある。

〔考案が解決しようとする問題点〕 而して、この内容物充填業者における加熱後の
折り曲げ組み立て時にいわゆる火脹れ現象からア
ルミ箔層に亀裂が生じ、該亀裂から液漏れを生ず
るという欠点があつた。

上述において火脹れ現象と亀裂とが何故生ずる
かというと、上述のような容器はバリヤー性を向
上するため、例えば、外面側から順にポリエチレ
ン／紙／ポリエチレン／アルミ箔／ポリエチレン
又はポリエステル／ポリエチレンのような層構成
とするのが一般である。

而して、内容物充填業者においては機械を高速
度で運転するためヒートシールに際し、かなりの
高温で加熱し且つ折り曲げるため、加熱に伴つて
紙中の水分及び空気が膨張し、該膨張した水分及
び空気は紙の両面にガス不透過性を有するポリエ
チレン、アルミ箔等が存在するため逃げ場がなく
なり結局火脹れ現象として紙の両面に存在するポ
リエチレン、アルミ箔自体を外方へ押圧、脹らま
す結果となる。而して、アルミ箔は伸縮性に乏し
いので、この段階ですでに無理を生じているので
あるが、更に組み立てシールのために折り曲げる
とアルミ箔に亀裂が生じてしまうのである。

本考案は上述の問題点に鑑みてなされたもの
で、内面に金属箔層を有する紙容器の底部及び頂
部を組み立てる時に金属箔層に亀裂が生じない構
造をもつ紙容器を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この目的達成のため本考案は、一枚のブランク
板をあらかじめ設けた複数の折込線で折り返し、
かつ所望部で貼付けて構成した内面に金属箔層を
有する紙容器の頂部のヒートシール部を構成する
アツパーシールフラツプ１７の上方位置及び該紙
容器の底部のヒートシール部を構成するボトムシ
ールフラツプ２８の下方位置に外面側より半切線
又はミシン目線を設けたことを特徴とする火脹れ
防止シール部を備えた紙容器を提供する。

〔実施例〕

図により本考案の一実施例を説明すると、第４
図は本考案に係る火脹れ防止シール部を備えた紙
容器を外面側からみた展開図であり、ブランク板
２は外面側から順にポリエチレン／紙／ポリエチ
レン／アルミ箔／ポリエチレンの層構成からな
る。

ブランク板２は多数の折込線によつて複数のパ
ネル部に区画される。すなわち、ブランク板２の
長手方向に沿つて延びる２本の折込線３ａ，３ｂ
および幅員方向に延びる３ｃ〜３ｆの４本の折込
線によつて厚紙の中央には左から右に向かつてフ
ロントパネル１２、ライトサイドパネル１３、バ
ツクパネル１４、レフトサイドパネル１５、シー
ルパネル１６が形作られる。また、上方の折込線
３ａの上には前記１２〜１６で示す各パネルの上
にアツパーシールフラツプ１７を構成する。この
アツパーシールフラツプ１７は左から右へ向かつ
てフロントシールパネル１８、ライトシールパネ
ル１９、バツクシールパネル２０、レフトシール
パネル２１、シールパネル２２を形作つている。
また、１８〜２２の各パネルの外側には折込線３
ａに平行に延びる折込線３ｇを介してシールパネ
ル２３〜２７が設けられている。また、ライト・
レフトシールパネル１９，２１には下縁両端と上
縁中央を結ぶ２本の折込線３ｈ，３ｊが設けら
れ、この折込線３ｈ，３ｊによりライト・レフト
シールパネル１９，２１は内側に折り込まれる。
また折込線３ｈと折込線３ｇとの交点からは折込
線３ｃに平行な折込線３ｋが設けられている。

一方、１２〜１６の各パネルの下方にはボトム
シールフラツプ２８が構成されている。このボト
ムシールフラツプ２８は左から右に向かつてアウ
ターフラツプ２９、ライトサイドパネル（挟持
片）３０、インナーフラツプ３１、レフトサイド
パネル（挟持片）３２、シールパネル３３が形作
られている。ライトサイドパネル３０およびレフ
トサイドパネル３２にはアツパーシールフラツプ
１７のライトシールパネル１９、レフトシールパ
ネル２１と同様に折込線３ｈ，３ｊが設けられて
いる。また、ボトムシールフラツプ２８には折込
線３ｈ，３ｊが交わる２箇所の頂点を結ぶ折込線
３ｌが設けられている。この折込線３ｌの外側は
シールパネルとなる。さらに、両挟持片３０，３
２にも折込線３ｋが設けられている。

他方、アウターパネル２９はインナーパネル３
１をその先端部で被うため、インナーパネル３１
よりも長くなつている。

ここで、底部及び頂部のヒートシール部となる
シールパネル２３〜２７、ボトムシールフラツプ
２８の下部には外面側より半切線１が設けられ、
この半切線１は紙の層の厚さの略半分の深さまで
穿設してある。

使用に当たつては前述の第２図に示すようなブ
ランク板のものと同様に、第５図に示すように扁
平に折り畳みつつ胴貼りし、該胴貼りした扁平折
畳状態で製函業者から内容物充填業者へ送られ、
内容物充填業者にて胴部を四角筒状に折り起こし
た後、底部及び頂部のヒートシール部近傍を加熱
し、次いで底部及び頂部を折り曲げて紙容器が組
み立てられる。而して、底部及び頂部のヒートシ
ール部近傍の加熱の際、紙中の水分及び空気が膨
張するが、該膨張した水分及び空気は半切線１の
部分より容器体外方へ発散するためポリエチレ
ン、アルミ箔等の層が火脹れ現象を起こして外方
へ膨出することはなく、従つて、その後の、底部
及び頂部を折り曲げ組み立てもアルミ箔層に亀裂
が生ずることはない。又、組み立てて完了時にお
いて、半切線１の存在する部分は二枚以上の素材
が相互にヒートシールされて補強し合う部分とな
つているため半切線１の存在により容器体の一部
が脆弱となるということはない。

本考案は上述の実施例に限定されるものではな
く容器体の形状は如何なるものであつてもよい。
又、半切線の代わりにミシン目線があつてもよ
い。

〔考案の効果〕

本考案は上述の構成を有するため高速度で加熱
し折り曲げシールしても金属箔に亀裂が生ずるの
を完全に防止しうるという顕著な効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は従来の金属箔を有する容器
を示し、第１図は斜視図、第２図は外面側から見
た展開図、第３図は製造完了後の扁平折畳状態を
示す平面図、第４図及び第５図は本考案の一実施
例を表し、第４図は外面側から見た展開図、第５
図は製造完了後の扁平折畳状態を示す平面図であ
る。 図の主要な部分を表す符号の説明、１……半切
線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一枚のブランク板をあらかじめ設けた複数の折
   込線で折り返し、かつ所望部で貼付けて構成した
   内面に金属箔層を有する紙容器の頂部のヒートシ
   ール部を構成するアツパーシールフラツプ１７の
   上方位置及び該紙容器の底部のヒートシール部を
   構成するボトムシールフラツプ２８の下方位置に
   外面側より半切線又はミシン目線を設けたことを
   特徴とする火脹れ防止シール部を備えた紙容器。